本出願は、シロキサン化合物(たとえば、シロキサンオリゴマーおよびシロキサン化合物)、架橋シリコーンポリマー、およびそれらを生成する方法に関する。
背景
シロキサン化合物およびシリコーンは、現代の工業において多くの用途が見出されている。たとえば、シロキサン化合物は、架橋シリコーンポリマーの生成において広く使用されている。これらのポリマーは、典型的には、ヒドロシリル化反応または縮合反応のいずれかによって生成される。ヒドロシリル化反応では、ビニル基を有するシロキサン化合物が付加を受けて、新しいSi−C結合の形成によって化合物の個々の分子と連結する。ヒドロシリル化反応は、典型的には白金によって触媒されるが、白金は硬化したエラストマーから回収できないため、これらのポリマーのコストの一因となっている。縮合反応では、シロキサン化合物が縮合反応において反応して、個々の分子間で新しいSi−O−Si連結を形成する。この縮合反応は、副生成物として、揮発性有機化合物(VOC)を生成する。
架橋シリコーンポリマーは、エレクトロニクス用の密閉剤または封入剤として使用することができる。特に、架橋シリコーンポリマーは、発光ダイオード(LED)用の封入剤として使用することができる。これらの架橋シリコーンポリマーは、電子部品の動作に干渉しないため、望ましい。しかし、より高出力のLED用の封入剤として使用するのに十分な高温安定性を示す架橋シリコーンポリマーは、高い屈折率を有さない。このより低い屈折率は、LEDの半導体ダイ中における内部反射に起因して、LEDからの光出力が低下することを意味する。
縮合硬化架橋シリコーンポリマーによって生成される大量の揮発性反応生成物、たとえば炭素含有VOCを発生させることのない、架橋シリコーンポリマーを作製する際の使用に適したシロキサン化合物に対する必要性は、存在し続けている。高い屈折率を有し、したがって高い屈折率を示す封入剤材料が要求される用途(たとえば、LED封入剤用途)における使用により適した、シロキサン化合物および架橋シリコーンポリマーに対する必要性もまた、存在し続けている。これらのシロキサン化合物および架橋シリコーンポリマーを生成する方法に対する必要性もまた、存在し続けている。本出願で記載される主題は、これらおよび他の必要性に対処しようとするものである。
第1の態様では、本発明は、複数のシロキサン反復単位を含み、シロキサン反復単位の約10mol%以上がシクロトリシロキサン反復単位であり、シクロトリシロキサン反復単位が、以下の式(I)の構造
[式中、R1およびR2は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、トリアルキルシロキシ基、アリールジアルキルシロキシ基、アルキルジアリールシロキシ基、およびトリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択され;R3およびR4は、アルキル基、置換アルキル基、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルケンジイル基、置換アルケンジイル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、トリアルキルシロキシ基、アリールジアルキルシロキシ基、アルキルジアリールシロキシ基、およびトリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択され;ただし、R3およびR4のうちの一方が、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、アルケンジイル基、および置換アルケンジイル基からなる群から選択される場合、R3およびR4のうちの他方もまた、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、アルケンジイル基、および置換アルケンジイル基からなる群から選択され、R3およびR4は、結合して環状部分を形成することを条件とする]
に一致するシクロトリシロキサン反復単位からなる群から独立に選択される、シロキサン化合物を提供する。
第2の態様では、本発明は、
(a)式(XX)の構造
[式中、R1およびR2は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、トリアルキルシロキシ基、アリールジアルキルシロキシ基、アルキルジアリールシロキシ基、およびトリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択され;R20およびR21は、水素、アルキル基、置換アルキル基、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルケンジイル基、置換アルケンジイル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、トリアルキルシロキシ基、アリールジアルキルシロキシ基、アルキルジアリールシロキシ基、およびトリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択され;ただし、R20およびR21のうちの一方のみが水素であってもよく;さらに、R20およびR21のうちの一方が、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、アルケンジイル基、および置換アルケンジイル基からなる群から選択される場合、R20およびR21のうちの他方もまた、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、アルケンジイル基、および置換アルケンジイル基からなる群から選択され、R20およびR21は、結合して環状部分を形成することを条件とし;xは、0または任意の正の整数である]
に一致する少なくとも1つのセグメントを含む第1のシロキサン化合物を準備する工程と、
(b)式(XXX)の構造
[式中、R3およびR4は、アルキル基、置換アルキル基、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルケンジイル基、置換アルケンジイル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、トリアルキルシロキシ基、アリールジアルキルシロキシ基、アルキルジアリールシロキシ基、およびトリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択され;ただし、R3およびR4のうちの一方が、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、アルケンジイル基、および置換アルケンジイル基からなる群から選択される場合、R3およびR4のうちの他方もまた、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、アルケンジイル基、および置換アルケンジイル基からなる群から選択され、R3およびR4は、結合して環状部分を形成することを条件とし;R30およびR31は、水素、アルキル基、置換アルキル基、アシル基、および置換アシル基からなる群から独立に選択され;yは、1〜6の正の整数である]
に一致する有機ケイ素化合物を準備する工程と、
(c)ルイス酸触媒および溶媒を含む反応相を準備する工程と、
(d)第1のシロキサン化合物および有機ケイ素化合物が縮合反応において反応して、式(XL)の構造
に一致する少なくとも1つのセグメントを含む、第2のシロキサン化合物を生成するような条件下で、反応相中で第1のシロキサン化合物と有機ケイ素化合物とを合わせる工程と
を含む、シロキサン化合物を生成する方法を提供する。
第3の態様では、本発明は、複数のシロキサン反復単位を含み、シロキサン反復単位の少なくとも一部がシクロシロキサン反復単位であり、シクロシロキサン反復単位が、式(XL)の構造
[式中、R1およびR2は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、トリアルキルシロキシ基、アリールジアルキルシロキシ基、アルキルジアリールシロキシ基、およびトリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択され;R20およびR21は、水素、アルキル基、置換アルキル基、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルケンジイル基、置換アルケンジイル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、トリアルキルシロキシ基、アリールジアルキルシロキシ基、アルキルジアリールシロキシ基、およびトリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択され;ただし、R20およびR21のうちの一方のみが水素であってもよく;さらに、R20およびR21のうちの一方が、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、アルケンジイル基、および置換アルケンジイル基からなる群から選択される場合、R20およびR21のうちの他方もまた、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、アルケンジイル基、および置換アルケンジイル基からなる群から選択され、R20およびR21は、結合して環状部分を形成することを条件とし;R3およびR4は、ハロアルキル基、アラルキル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択され;xは、0または任意の正の整数であり;yは、1〜6の正の整数である]
に一致するシクロシロキサン反復単位からなる群から独立に選択される、シロキサン化合物を提供する。
第4の態様では、本発明は、式(LXX)の構造
[式中、R70およびR71は、ハロアルキル基、アラルキル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択され;cは、0または1〜3の正の整数であり;R72、R73、R74、R75、R76、R77、R78、R80、R81、R82、R83、R84、R85、およびR86は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、トリアルキルシロキシ基、アリールジアルキルシロキシ基、アルキルジアリールシロキシ基、およびトリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択され;ただし、cが0の場合、R74およびR82は、ハロアルキル基、アラルキル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択されることを条件とする]
に一致する化合物を提供する。
第5の態様では、本発明は、
(a)式(XL)の構造
[式中、R1およびR2は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、トリアルキルシロキシ基、アリールジアルキルシロキシ基、アルキルジアリールシロキシ基、およびトリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択され;R3およびR4は、アルキル基、置換アルキル基、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルケンジイル基、置換アルケンジイル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、トリアルキルシロキシ基、アリールジアルキルシロキシ基、アルキルジアリールシロキシ基、およびトリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択され;ただし、R3およびR4のうちの一方が、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、アルケンジイル基、および置換アルケンジイル基からなる群から選択される場合、R3およびR4のうちの他方もまた、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、アルケンジイル基、および置換アルケンジイル基からなる群から選択され、R3およびR4は、結合して環状部分を形成することを条件とし;R20およびR21は、水素、アルキル基、置換アルキル基、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルケンジイル基、置換アルケンジイル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、トリアルキルシロキシ基、アリールジアルキルシロキシ基、アルキルジアリールシロキシ基、およびトリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択され;ただし、R20およびR21のうちの一方のみが水素であってもよく;さらに、R20およびR21のうちの一方が、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、アルケンジイル基、および置換アルケンジイル基からなる群から選択される場合、R20およびR21のうちの他方もまた、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、アルケンジイル基、および置換アルケンジイル基からなる群から選択され、R20およびR21は、結合して環状部分を形成することを条件とし;xは、0または1〜6の正の整数であり;yは、1〜6の正の整数である]
に一致する複数の反復単位を含む、第1のシロキサン化合物を準備する工程と、
(b)開環触媒を準備する工程と、
(c)第1のシロキサン化合物と開環触媒とを合わせて、反応混合物を生成する工程と、
(d)(i)開環触媒が、第1のシロキサン化合物中の式(XL)の構造に一致する反復単位の少なくとも一部を開環して架橋基を形成し、(ii)架橋基の少なくとも一部が第1のシロキサン化合物の他の分子と反応して分子間に架橋を生成し、これにより、架橋シリコーンポリマーを形成するような条件下で、反応混合物中の成分を反応させる工程と
を含む、架橋シリコーンポリマーを生成する方法を提供する。
第6の態様では、本発明は、第1の部分と第2の部分とを含む、架橋シリコーンポリマーを生成するためのキットであって、第1の部分と第2の部分とが、混合されて架橋シリコーンポリマーを生成する時点まで、互いに物理的に隔てられており、
(a)第1の部分が、式(XL)の構造
[式中、R1およびR2は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、トリアルキルシロキシ基、アリールジアルキルシロキシ基、アルキルジアリールシロキシ基、およびトリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択され;R3およびR4は、アルキル基、置換アルキル基、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルケンジイル基、置換アルケンジイル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、トリアルキルシロキシ基、アリールジアルキルシロキシ基、アルキルジアリールシロキシ基、およびトリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択され;ただし、R3およびR4のうちの一方が、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、アルケンジイル基、および置換アルケンジイル基からなる群から選択される場合、R3およびR4のうちの他方もまた、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、アルケンジイル基、および置換アルケンジイル基からなる群から選択され、R3およびR4は、結合して環状部分を形成することを条件とし;R20およびR21は、水素、アルキル基、置換アルキル基、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルケンジイル基、置換アルケンジイル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、トリアルキルシロキシ基、アリールジアルキルシロキシ基、アルキルジアリールシロキシ基、およびトリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択され;ただし、R20およびR21のうちの一方のみが水素であってもよく;さらに、R20およびR21のうちの一方が、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、アルケンジイル基、および置換アルケンジイル基からなる群から選択される場合、R20およびR21のうちの他方もまた、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、アルケンジイル基、および置換アルケンジイル基からなる群から選択され、R20およびR21は、結合して環状部分を形成することを条件とし;xは、0または1〜6の正の整数であり;yは、1〜6の正の整数である]
に一致する複数の反復単位を含む、第1のシロキサン化合物を含み、
(b)第2の部分が、開環触媒を含む、
キットを提供する。
第7の態様では、本発明は、
(a)半導体結晶であって、半導体結晶の第1の領域中にn型半導体材料、半導体結晶の第2の領域中にp型半導体材料、および半導体材料の第1の領域と第2の領域との間の境界にp−n接合を含む、半導体結晶、
(b)半導体結晶の第1の領域に電気的に接続されたカソード、
(c)半導体結晶の第2の領域に電気的に接続されたアノード、ならびに
(d)半導体結晶を取り囲む封入剤材料であって、
(i)式(XL)の構造
[式中、R1およびR2は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、トリアルキルシロキシ基、アリールジアルキルシロキシ基、アルキルジアリールシロキシ基、およびトリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択され;R20およびR21は、水素、アルキル基、置換アルキル基、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルケンジイル基、置換アルケンジイル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、トリアルキルシロキシ基、アリールジアルキルシロキシ基、アルキルジアリールシロキシ基、およびトリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択され;ただし、R20およびR21のうちの一方のみが水素であってもよく;さらに、R20およびR21のうちの一方が、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、アルケンジイル基、および置換アルケンジイル基からなる群から選択される場合、R20およびR21のうちの他方もまた、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、アルケンジイル基、および置換アルケンジイル基からなる群から選択され、R20およびR21は、結合して環状部分を形成することを条件とし;xは、0または1〜6の正の整数であり;yは、1〜6の正の整数である]
に一致する複数の反復単位を含む第1のシロキサン化合物を準備する工程と、
(ii)開環触媒を準備する工程と、
(iii)第1のシロキサン化合物と開環触媒とを合わせて、反応混合物を生成する工程と、
(iv)(A)開環触媒が、第1のシロキサン化合物中の式(XL)の構造と一致する反復単位の少なくとも一部を開環して架橋基を形成し、(B)架橋基の少なくとも一部が第1のシロキサン化合物の他の分子と反応して分子間に架橋を生成し、これにより、架橋シリコーンポリマーを形成するような条件下で、反応混合物中の成分を反応させる工程と
を含む方法によって製造される架橋シリコーンポリマーを含む、封入剤材料
を含む、発光ダイオードを提供する。
図1は、本発明による発光ダイオード(LED)の概略断面図である。
発明の詳細な説明
本出願を通して使用されるいくつかの用語を定義するために、以下の定義を与える。
ここで使用される場合、「置換アルキル基」という用語は、置換アルカンから、そのアルカンの炭素原子から水素原子を除去することによって得られる、一価官能基を指す。この定義において、「置換アルカン」という用語は、(1)炭化水素の水素原子のうちの1個以上が非水素原子(たとえば、ハロゲン原子)もしくは非アルキル官能基(たとえば、ヒドロキシ基、アリール基、ヘテロアリール基)で置きかえられた、かつ/または(2)炭化水素の炭素−炭素鎖が、酸素原子(エーテルにおける場合)もしくは硫黄原子(スルフィドにおける場合)によって中断されている、脂環式非分枝および分枝炭化水素から得られる化合物を指す。
ここで使用される場合、「置換シクロアルキル基」という用語は、置換シクロアルカンから、そのシクロアルカンの炭素原子から水素原子を除去することによって得られる、一価官能基を指す。この定義において、「置換シクロアルカン」という用語は、(1)炭化水素の水素原子のうちの1個以上が非水素原子(たとえば、ハロゲン原子)もしくは非アルキル官能基(たとえば、ヒドロキシ基、アリール基、ヘテロアリール基)で置きかえられた、かつ/または(2)炭化水素の炭素−炭素鎖が、酸素原子、窒素原子、もしくは硫黄原子によって中断されている、飽和単環式および多環式炭化水素(側鎖ありまたはなし)から得られる化合物を指す。
ここで使用される場合、「アルケニル基」という用語は、非環式、非分枝および分枝オレフィンから、そのオレフィン(すなわち、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する炭化水素)の炭素原子から水素原子を除去することによって得られる、一価官能基を指す。
ここで使用される場合、「置換アルケニル基」という用語は、非環式置換オレフィンから、そのオレフィンの炭素原子から水素原子を除去することによって得られる、一価官能基を指す。この定義において、「置換オレフィン」という用語は、(1)炭化水素の水素原子のうちの1個以上が非水素原子(たとえば、ハロゲン原子)もしくは非アルキル官能基(たとえば、ヒドロキシ基、アリール基、ヘテロアリール基)で置きかえられた、かつ/または(2)炭化水素の炭素−炭素鎖が、酸素原子(エーテルにおける場合)もしくは硫黄原子(スルフィドにおける場合)によって中断されている、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する非環式非分枝および分枝炭化水素から得られる化合物を指す。
ここで使用される場合、「シクロアルケニル基」という用語は、環状オレフィン(すなわち、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する非芳香族単環式および多環式炭化水素)から、そのオレフィンの炭素原子から水素原子を除去することによって得られる、一価官能基を指す。環状オレフィン中の炭素原子はアルキル基かつ/またはアルケニル基で置換されていてもよい。
ここで使用される場合、「置換シクロアルケニル基」という用語は、置換環状オレフィンから、その環状オレフィンの炭素原子から水素原子を除去することによって得られる、一価官能基を指す。この定義において、「置換環状オレフィン」という用語は、炭化水素の水素原子のうちの1個以上が非水素原子(たとえば、ハロゲン原子)または非アルキル官能基(たとえば、ヒドロキシ基、アリール基、ヘテロアリール基)で置きかえられた、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する非芳香族単環式および多環式炭化水素から得られる化合物を指す。
ここで使用される場合、「ヘテロシクリル基」という用語は、複素環化合物から、その複素環化合物の環状部分における原子から水素原子を除去することによって得られる、一価官能基を指す。この定義において、「複素環化合物」という用語は、少なくとも2種の異なる元素の原子から構成される環構造を有する、非芳香族単環式および多環式化合物から得られる化合物を指す。これらの複素環化合物はまた、1つ以上の二重結合を含んでいてもよい。
ここで使用される場合、「置換ヘテロシクリル基」という用語は、置換複素環化合物から、その化合物の環状部分の原子から水素原子を除去することによって得られる、一価官能基を指す。この定義において、「置換複素環化合物」という用語は、環状化合物の水素原子のうちの1個以上が非水素原子(たとえば、ハロゲン原子)または官能基(たとえば、ヒドロキシ基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基)で置きかえられた、少なくとも2種の異なる元素の原子から構成される環構造を有する、非芳香族単環式および多環式化合物から得られる化合物を指す。これらの置換複素環化合物はまた、1つ以上の二重結合を含んでいてもよい。
ここで使用される場合、「置換アリール基」という用語は、置換アレーンから、その環炭素原子から水素原子を除去することによって得られる、一価官能基を指す。この定義において、「置換アレーン」という用語は、炭化水素の水素原子のうちの1個以上が非水素原子(たとえば、ハロゲン原子)または非アルキル官能基(たとえば、ヒドロキシ基)で置きかえられた、単環式および多環式芳香族炭化水素から得られる化合物を指す。
ここで使用される場合、「置換ヘテロアリール基」という用語は、置換ヘテロアレーンから、その環炭素原子から水素原子を除去することによって得られる、一価官能基を指す。この定義において、「置換アレーン」という用語は、(1)炭化水素の水素原子のうちの1個以上が非水素原子(たとえば、ハロゲン原子)または非アルキル官能基(たとえば、ヒドロキシ基)で置きかえられ、(2)炭化水素の少なくとも1個のメチン基(−C=)が三価ヘテロ原子で置きかえられた、かつ/または炭化水素の少なくとも1個のビニリデン基(−CH=CH−)が二価ヘテロ原子で置きかえられた、単環式および多環式芳香族炭化水素から得られる化合物を指す。
ここで使用される場合、「アルカンジイル基」という用語は、アルカンから、そのアルカンから2個の水素原子を除去することによって得られる、二価官能基を指す。これらの水素原子は、アルカン上の同じ炭素原子から除去されてもよく(エタン−1,1−ジイルにおける場合)、異なる炭素原子から除去されてもよい(エタン−1,2−ジイルにおける場合)。
ここで使用される場合、「置換アルカンジイル基」は、置換アルカンから、そのアルカンから2個の水素原子を除去することによって得られる、二価官能基を指す。これらの水素原子は、置換アルカン上の同じ炭素原子から除去されてもよく(2−フルオロエタン−1,1−ジイルにおける場合)、異なる炭素原子から除去されてもよい(1−フルオロエタン−1,2−ジイルにおける場合)。この定義において、「置換アルカン」という用語は、置換アルキル基の定義において上記のものと同じ意味を有する。
ここで使用される場合、「アルケンジイル基」という用語は、非環式非分枝および分枝オレフィン(すなわち、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する炭化水素)から、そのオレフィンから2個の水素原子を除去することによって得られる、二価官能基を指す。これらの水素原子は、オレフィン上の同じ炭素原子から除去されてもよく(ブタ−2−エン−1,1−ジイルにおける場合)、異なる炭素原子から除去されてもよい(ブタ−2−エン−1,4−ジイルにおける場合)。
ここで使用される場合、「アシル基」という用語は、アルキルカルボン酸から、そのカルボン酸基からヒドロキシ基を除去することによって得られる、一価官能基を指す。この定義において、「アルキルカルボン酸」という用語は、1個以上のカルボン酸基を有する非環式非分枝および分枝炭化水素を指す。
ここで使用される場合、「置換アシル基」という用語は、置換アルキルカルボン酸から、そのカルボン酸基からヒドロキシ基を除去することによって得られる、一価官能基を指す。この定義において、「置換アルキルカルボン酸」という用語は、置換アルカンに結合した1つ以上のカルボン酸基を有する化合物を指し、「置換アルカン」という用語は、上記の置換アルキル基の定義におけるように定義される。
第1の態様では、本発明は、複数のシロキサン反復単位を含むシロキサン化合物を提供する。好ましくは、シロキサン反復単位の少なくともいくつかはシクロトリシロキサン反復単位であり、これらのシクロトリシロキサン反復単位は、以下の式(I)の構造
と一致する反復単位からなる群から独立に選択される。式(I)の構造において、R1およびR2は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、トリアルキルシロキシ基、アリールジアルキルシロキシ基、アルキルジアリールシロキシ基、およびトリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択される。R3およびR4は、アルキル基、置換アルキル基、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルケンジイル基、置換アルケンジイル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、トリアルキルシロキシ基、アリールジアルキルシロキシ基、アルキルジアリールシロキシ基、およびトリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択される。R3およびR4はまた、互いに結合して環状部分を形成してもよい。よって、R3およびR4のうちの一方が、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、アルケンジイル基、および置換アルケンジイル基からなる群から選択される場合、R3およびR4のうちの他方もまた、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、アルケンジイル基、および置換アルケンジイル基からなる群から選択され、R3およびR4は、結合して環状部分を形成する。R3およびR4はまた、互いに結合して環状部分を形成してもよい。式(I)の構造および以下の構造において、部分結合(すなわち、波線によって切断された結合)は、隣接する部分または反復単位への結合を表す。
好ましい態様では、R1およびR2は、C1〜C30アルキル基(たとえば、C1〜C8アルキル基)、C2〜C30アルケニル基(たとえば、C2〜C8アルケニル基)、C1〜C30ハロアルキル基(たとえば、C1〜C8ハロアルキル基)、C6〜C30アリール基(たとえば、C6〜C10アリール基)、C7〜C31アラルキル基、C3〜C9トリアルキルシロキシ基、C8〜C26アリールジアルキルシロキシ基、C13〜C28アルキルジアリールシロキシ基、およびC18〜C30トリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択される。より好ましくは、R1およびR2は、C1〜C8アルキル基、C1〜C8ハロアルキル基、C6〜C10アリール基、およびC7〜C31アラルキル基からなる群から独立に選択される。最も好ましくは、R1およびR2は、C1〜C8アルキル基(たとえば、メチル基)からなる群から独立に選択される。
好ましい態様では、R3およびR4は、C1〜C30アルキル基(たとえば、C1〜C8アルキル基)、C1〜C5アルカンジイル基、C2〜C30アルケニル基(たとえば、C2〜C8アルケニル基)、C2〜C5アルケンジイル基、C1〜C30ハロアルキル基(たとえば、C1〜C8ハロアルキル基)、C6〜C30アリール基(たとえば、C6〜C10アリール基)、C7〜C31アラルキル基、C3〜C9トリアルキルシロキシ基、C8〜C26アリールジアルキルシロキシ基、C13〜C28アルキルジアリールシロキシ基、およびC18〜C30トリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択される。より好ましくは、R3およびR4は、C1〜C8アルキル基、C1〜C8ハロアルキル基、C6〜C10アリール基、およびC7〜C31アラルキル基からなる群から独立に選択される。より好ましくは、R3およびR4は、C6〜C10アリール基からなる群から独立に選択される。最も好ましくは、R3およびR4は、それぞれフェニル基である。
この第1の態様のシロキサン化合物は、任意の好適な量の式(I)の構造に一致するシロキサン反復単位を含んでいてもよい。好ましくは、化合物中の約10mol%以上のシロキサン反復単位が、式(I)の構造に一致する。より好ましくは、化合物中の、約15mol%以上、約20mol%以上、約25mol%以上、約30mol%以上、約35mol%以上、約40mol%以上、約45mol%以上、約50mol%以上、約55mol%以上、約60mol%以上、約65mol%以上、約70mol%以上、約75mol%以上、約80mol%以上、約85mol%以上、または約90mol%以上のシロキサン反復単位が、式(I)の構造に一致する。
記載された構造を有するシロキサン反復単位の百分率は、任意の好適な分析技法によって決定することができる。たとえば、特定の反復単位中のケイ素原子の相対量は、29Si核磁気共鳴(NMR)を使用して定量することができる。ケイ素原子の化学シフトは、ケイ素原子がその中に存在する特定の部分または反復単位に応じて変動する。よって、シロキサン化合物のNMRスペクトルを使用して、化合物中に存在する異なる種類のケイ素含有部分または反復単位を決定することができる。さらに、NMRスペクトルのそれぞれのピーク下の面積を計算したとき、これらの面積値を使用して、それぞれの異なる種類のシロキサン部分または反復単位中に存在するケイ素原子の相対量を決定することができる。
この第1の態様のシロキサン化合物中に存在するシクロトリシロキサン反復単位は、同じ基本構造(すなわち、式(I)に一致する構造)を有するが、必ずしも反復単位のすべてが同じ基で置換されている必要はない。言い換えると、本発明のこの第1の態様によるシロキサン化合物は、R1、R2、R3、およびR4置換基の選択において異なるシクロトリシロキサン反復単位を含んでいてもよい。
上記したように、この第1の態様のシロキサン化合物は、式(I)の構造に一致するものに加えてシロキサン単位を含んでいてもよい。たとえば、好ましい態様では、シロキサン化合物は、以下の式(X)の構造:
に一致する1つ以上のセグメントを含んでいてもよい。式(X)の構造において、R10およびR11は、水素、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、トリアルキルシロキシ基、アリールジアルキルシロキシ基、アルキルジアリールシロキシ基、およびトリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択される。式(X)の構造において、R10およびR11のうちの一方のみが水素であってもよい。より好ましくは、R10およびR11は、C1〜C30アルキル基(たとえば、C1〜C8アルキル基)、C2〜C30アルケニル基(たとえば、C2〜C8アルケニル基)、C1〜C30ハロアルキル基(たとえば、C1〜C8ハロアルキル基)、C6〜C30アリール基(たとえば、C6〜C10アリール基)、C7〜C31アラルキル基、C3〜C9トリアルキルシロキシ基、C8〜C26アリールジアルキルシロキシ基、C13〜C28アルキルジアリールシロキシ基、およびC18〜C30トリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択される。より好ましくは、R10およびR11は、C1〜C8アルキル基、C1〜C8ハロアルキル基、C6〜C10アリール基、およびC7〜C31アラルキル基からなる群から独立に選択される。最も好ましくは、R10およびR11は、C1〜C8アルキル基(たとえば、メチル基)からなる群から独立に選択される。
別の好ましい態様では、第1の態様のシロキサン化合物は、以下に記載する式(XV)または式(XL)の構造に一致する少なくとも1つのセグメントをさらに含む。式(XV)の構造は、
である。この構造において、R1、R3およびR4は、上記の基から選択される。式(XL)の構造は、
である。式(XL)の構造において、R1、R2、R3およびR4は、上記の基から選択され、R20およびR21は、水素、アルキル基、置換アルキル基、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルケンジイル基、置換アルケンジイル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、トリアルキルシロキシ基、アリールジアルキルシロキシ基、アルキルジアリールシロキシ基、およびトリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択される。(XL)の構造において、R20およびR21のうちの一方のみが水素であってもよい。さらに、R20およびR21のうちの一方が、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、アルケンジイル基、および置換アルケンジイル基からなる群から選択される場合、R20およびR21のうちの他方もまた、アルカンジイル基、置換アルカンジイル基、アルケンジイル基、および置換アルケンジイル基からなる群から選択され、R20およびR21は、結合して環状部分を形成する。変数xは、0または任意の正の整数であり;yは、1〜6の正の整数であり;xとyの和は、2以上である。好ましい態様では、xは、0、1、および2からなる群から選択され;yは、1〜6の正の整数であり;xとyの和は、2〜8の整数である。より好ましい態様では、xは1であり、yは1である。
式(XL)の構造の好ましい態様では、R20は、C1〜C30アルキル基(たとえば、C1〜C8アルキル基)、C2〜C30アルケニル基(たとえば、C2〜C8アルケニル基)、C1〜C30ハロアルキル基(たとえば、C1〜C8ハロアルキル基)、C6〜C30アリール基(たとえば、C6〜C10アリール基)、C7〜C31アラルキル基、C3〜C9トリアルキルシロキシ基、C8〜C26アリールジアルキルシロキシ基、C13〜C28アルキルジアリールシロキシ基、およびC18〜C30トリアリールシロキシ基からなる群から選択される。より好ましくは、R20は、C1〜C8アルキル基、C1〜C8ハロアルキル基、C6〜C10アリール基、およびC7〜C31アラルキル基からなる群から選択される。特に好ましい一態様では、R20は、C1〜C8アルキル基(たとえば、メチル基)からなる群から選択される。特に好ましい別の態様では、R20およびR21のうちの少なくとも一方は、C6〜C30アリール基(たとえば、C6〜C10アリール基)およびC7〜C31アラルキル基からなる群から選択され、C6〜C10アリール基がより好ましく、フェニル基が最も好ましい。
好ましい別の態様では、R21は、水素、C1〜C30アルキル基(たとえば、C1〜C8アルキル基)、C2〜C30アルケニル基(たとえば、C2〜C8アルケニル基)、C1〜C30ハロアルキル基(たとえば、C1〜C8ハロアルキル基)、C6〜C30アリール基(たとえば、C6〜C10アリール基)、C7〜C31アラルキル基、C3〜C9トリアルキルシロキシ基、C8〜C26アリールジアルキルシロキシ基、C13〜C28アルキルジアリールシロキシ基、およびC18〜C30トリアリールシロキシ基からなる群から選択される。より好ましくは、R21は、水素、C1〜C8アルキル基、C1〜C8ハロアルキル基、C6〜C10アリール基、およびC7〜C31アラルキル基からなる群から選択される。最も好ましくは、R21は、C1〜C8アルキル基(たとえば、メチル基)からなる群から選択される。
上記で描かれた構造は、シロキサン化合物中の反復単位を表しているにすぎない。シロキサン化合物は、末端基をさらに含む。これらの末端基は、シロキサン化合物に適する任意の末端基であってもよい。好ましい態様では、シロキサン化合物は、シリル末端基をさらに含む。好適なシリル末端基には、トリアルキルシリル基、たとえば、トリメチルシリル基が含まれるが、これに限定されない。
好ましい別の態様では、シロキサン化合物は、1つ以上のシクロシロキサン末端基を含んでいてもよい。好ましくは、シクロシロキサン末端基は、式(XLV)および式(XLVI)
からなる群から選択される構造に一致する。式(XLV)および式(XLVI)の構造において、R1、R2、R3、R4、R20、およびR21は、上記の基から選択され、R40は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基からなる群から選択される。変数xは、0または任意の正の整数であり;yは、1〜6の正の整数である。好ましい態様では、xは、0、1、および2からなる群から選択され;yは、1〜6の正の整数であり;xとyの和は、1〜8の整数である。このようなシクロシロキサン末端基の特に好ましい態様では、xは0であり、yは1である。
好ましい態様では、R40は、C1〜C30アルキル基(たとえば、C1〜C8アルキル基)、C2〜C30アルケニル基(たとえば、C2〜C8アルケニル基)、C1〜C30ハロアルキル基(たとえば、C1〜C8ハロアルキル基)、C6〜C30アリール基(たとえば、C6〜C10アリール基)、C7〜C31アラルキル基、C3〜C9トリアルキルシロキシ基、C8〜C26アリールジアルキルシロキシ基、C13〜C28アルキルジアリールシロキシ基、およびC18〜C30トリアリールシロキシ基からなる群から選択される。より好ましくは、R40は、C1〜C8アルキル基、C1〜C8ハロアルキル基、C6〜C10アリール基、およびC7〜C31アラルキル基からなる群から選択される。最も好ましくは、R40は、C1〜C8アルキル基(たとえば、メチル基)からなる群から独立に選択される。
第1の態様のシロキサン化合物は、任意の好適な分子量を有していていもよい。好ましくは、シロキサン化合物は、約500mol/g以上の分子量を有する。好ましい態様では、シロキサン化合物は、約500,000mol/g以下の分子量を有する。
第1の態様のシロキサン化合物は、好ましくは、少なくとも可視スペクトルにおいて光学的に透明である。シロキサン化合物はまた、好ましくは、良好な安定性(たとえば、良好な熱安定性)ならびに様々な有機溶媒、たとえば、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、およびアセトニトリル中への良好な可溶性を示す。
この第1の態様のシロキサン化合物は、任意の好適な方法によって生成することができる。たとえば、シロキサン化合物は、好適な触媒、たとえば、白金またはルテニウム触媒の存在下における、ヒドロシランおよびヒドロキシシランの脱水素カップリングによって生成することができる。しかし、第2の態様では、本発明は、シクロシロキサン反復単位、たとえば、第1の態様のシロキサン化合物を含むシロキサン化合物を生成する方法を提供する。特に、この方法は、(a)第1のシロキサン化合物を準備する工程と;(b)有機ケイ素化合物を準備する工程と;(c)ルイス酸触媒および溶媒を含む反応相を準備する工程と;(d)第1のシロキサン化合物および有機ケイ素化合物が縮合反応において反応して、第2のシロキサン化合物を生成するような条件下で、反応相中で第1のシロキサン化合物と有機ケイ素化合物とを合わせる工程とを含む。
この方法で使用される第1のシロキサン化合物は、好ましくは、式(XX)の構造
に一致する少なくとも1つのセグメントを含む。式(XX)の構造において、R1、R2、R20、およびR21は上記の様々な基から選択される。
この方法で使用される第1のシロキサン化合物は、任意の好適な末端基を含んでいてもよい。たとえば、第1のシロキサン化合物は、シリル末端基、たとえば、本発明の第1の態様のシロキサン化合物との関連において上記のシリル末端基を含んでいてもよい。第1のシロキサン化合物はまた、ヒドリド保有末端基を含んでいてもよい。このようなヒドリド保有末端基が第1のシロキサン化合物中に存在する場合、この方法で生成されるシロキサン化合物は、いくつかのシクロシロキサン末端基、たとえば、上記の式(XLV)および式(XLVI)に一致するシクロシロキサン末端基を含む。
この方法で使用される有機ケイ素化合物は、好ましくは、式(XXX)の構造
に一致する。(XXX)の構造において、R3およびR4は、上記の様々な基から選択され、R30およびR31は、水素、アルキル基、置換アルキル基、アシル基、および置換アシル基からなる群から独立に選択される。好ましくは、R30およびR31は、水素、C1〜C30アルキル基(たとえば、C1〜C8アルキル基またはC1〜C4アルキル基)、およびC1〜C30アシル基(たとえば、C1〜C8アシル基)からなる群から独立に選択される。最も好ましくは、R30およびR31は、それぞれ水素である。変数yは、正の整数、好ましくは、1〜6の正の整数であり、最も好ましくは、yは1である。
第1のシロキサン化合物および有機ケイ素化合物は、ルイス酸触媒および溶媒を含む反応相中で合わせられる。反応相は、第1のシロキサン化合物のSiH官能基と有機ケイ素化合物のSiOR官能基との縮合以外の、これらの官能基またはシロキサン結合の望ましくない副反応が含まれる反応を促進することのない、任意の不活性溶媒を含んでいてもよい。ヒドロキシル基を含む溶媒は、一般に、反応相のための溶媒として不適当である。第1のシロキサン化合物および有機ケイ素化合物の置換基の種類に応じて、望ましい溶媒は変動し得る。独立に、または混合物として用いることのできる溶媒には、脂肪族炭化水素(たとえば、シクロヘキサン、ヘプタン、またはイソオクタン)、芳香族炭化水素(たとえば、トルエンまたはキシレン)、およびシロキサン(たとえば、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、または他のシクロシロキサン)が含まれるが、これらに限定されない。
反応相は、任意の好適なルイス酸触媒を含んでいてもよい。好ましい態様では、ルイス酸は、式B(C6HxX5〜x)3[式中、xは0〜5であり、Xは、独立に、F、OCF3、SCF3、R、またはORであり、ここで、Rは、H、C1〜C22アルキルまたはC6〜C22アリールである]を有するトリフェニルボランを含む。用いることのできる他の触媒は、参照によりここに組み込まれる、Priouらによる米国特許第6,593,500号およびDeforthらによる米国特許出願公開第2003/0139287号に開示される触媒である。ルイス酸触媒は、さらに改変されて、反応混合物の非反応相中でその混和性を抑制することができる。たとえば、ルイス酸触媒は樹脂と結合させることができ、この場合、樹脂の表面に対する非反応性相の親和性が、ほとんどまたはまったく存在しない。
第1のシロキサン化合物および有機ケイ素化合物は、反応相中で合わせられ、これによって、これらが縮合反応において反応して式(XL)の構造に一致するシクロシロキサン部分を形成し、第2のシロキサン化合物を生成する。シクロシロキサン部分の形成は、第1のシロキサン化合物上のSiH官能基と有機ケイ素化合物上のSiOR官能基との間の縮合反応によって開始される。シクロシロキサン部分は、この最初の反応から得られた分子上の残存するSiOR官能基が、同じ分子上の別のSiH官能基との縮合反応を受けると、完成する。当業者であれば理解するように、シクロシロキサン部分を作り出すのに必要とされる後続の反応はまた、シクロシロキサン部分の形成につながらない他の反応と競合する。たとえば、最初の反応から得られた分子上の残存するSiOR官能基は、第1のシロキサン化合物の別の分子上のSiH官能基とも縮合反応し得る。このような分子間反応の結果は、式(XV)の構造に一致する連結部分となり、この場合、R3およびR4基を有するケイ素原子に最も近接する部分結合が、第1のシロキサン化合物の別の分子に由来する部分中のケイ素原子との結合を表す。よって、反応は、他の競合する分子間反応に対してシクロ縮合反応を促進するように設計された条件下で行われるべきである。これは一般に、準希釈系を使用することによって達成することができる。ここで用いられる準希釈系は、生成物および1種以上の試薬が反応容器中に高濃度で存在することができるが、反応相中では、反応性官能基が十分に低い濃度(多くの場合、シクロシロキサン部分の所望の大きさおよびその置換基の性質に応じた、非常に低い濃度)であり、シクロシロキサン部分を形成するのに必要とされる第2の分子内反応が、いずれの分子間反応に対しても非常に迅速である系である。
反応は、任意の好適な温度で行うことができる。反応温度は、当業者が理解し容易に決定できるように、使用される試薬、触媒および溶媒に応じて、0℃以下から100℃またはさらには200℃を超える温度まで、広範に変動し得る。
反応が完了したら、生成物を安定化させるために、触媒を好ましくは生成物から除去するか、または失活させる。生成物中に残留する「活性」触媒は、シクロシロキサン環を開環させ、以下で記載するように、生成物中における架橋の形成を開始させる可能性があると考えられる。触媒を好適な吸着剤、たとえば、酸化アルミニウム上に吸着させ、次いで、生成物を濾過して吸着剤を除去することによって、触媒を生成物から除去することができる。触媒を、任意の好適なルイス塩基、たとえば、アミン、ホスフィン、またはホスファイトを生成物に添加することによって失活させることができる。
第3の態様では、本発明は、複数のシロキサン反復単位を含むシロキサン化合物を提供する。好ましくは、シロキサン反復単位の少なくとも一部はシクロシロキサン反復単位であり、シクロシロキサン反復単位は、以下の式(XL)の構造
に一致するシクロシロキサン反復単位からなる群から独立に選択される。式(XL)の構造において、R1、R2、R20、およびR21は、本発明の第1の態様について上記の基から選択される。変数xは、0または任意の正の整数であり;yは、1〜6の正の整数である。好ましい態様では、xは、0、1、および2からなる群から選択され;yは、1〜6の正の整数であり;xとyの和は、1〜8の整数である。特に好ましい態様では、反復単位の少なくとも一部は、xが0でありyが1である構造を有する。式(XL)の構造において、R3およびR4は、ハロアルキル基、アラルキル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択される。好ましい態様では、R3およびR4は、C1〜C30ハロアルキル基(たとえば、C1〜C8ハロアルキル基)、C7〜C31アラルキル基、C6〜C30アリール基(たとえば、C6〜C10アリール基)、およびC6〜C30置換アリール基(たとえば、C6〜C10置換アリール基)からなる群から独立に選択される。より好ましくは、R3およびR4は、C1〜C8ハロアルキル基、C6〜C10アリール基、およびC6〜C10置換アリール基からなる群から独立に選択される。好ましい一態様では、R3およびR4は、C6〜C10アリール基からなる群から独立に選択され、フェニル基が特に好ましい。好ましい別の態様では、R3およびR4は、ハロアルキル基(たとえば、C1〜C8ハロアルキル基)からなる群から独立に選択され、フルオロアルキル基(たとえば、C1〜C8フルオロアルキル基)が特に好ましい。
第1の態様のシロキサン化合物と同様に、この第3の態様のシロキサン化合物は、上記の式(X)の構造に一致する1つ以上のセグメントをさらに含んでいてもよい。この第3の態様のシロキサン化合物はまた、上記の式(XV)の構造に一致する1つ以上のセグメントを含んでいてもよい。シロキサン化合物はまた、任意の好適な末端基、たとえば、本発明の第1の態様との関連において上記の様々な末端基を含んでいてもよい。
この第3の態様のシロキサン化合物は、本発明の第2の態様との関連において上記の方法を含めた、任意の好適な方法によって生成することができる。
第4の態様では、本発明は、以下の式(LXX)の構造
に一致するシロキサン化合物を提供する。式(LXX)の構造において、R70およびR71は、ハロアルキル基、アラルキル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択される。変数cは、0または1〜3の正の整数である。R72、R73、R74、R75、R76、R77、R78、R80、R81、R82、R83、R84、R85、およびR86は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、トリアルキルシロキシ基、アリールジアルキルシロキシ基、アルキルジアリールシロキシ基、およびトリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択される。cが0である場合、R74およびR82は、ハロアルキル基、アラルキル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、および置換ヘテロアリール基からなる群から独立に選択される。
好ましい態様では、R70およびR71は、C1〜C30ハロアルキル基(たとえば、C1〜C8ハロアルキル基)、C7〜C31アラルキル基、C6〜C30アリール基(たとえば、C6〜C10アリール基)、およびC6〜C30置換アリール基(たとえば、C6〜C10置換アリール基)からなる群から独立に選択される。より好ましくは、R70およびR71は、C1〜C8ハロアルキル基、C6〜C10アリール基、およびC6〜C10置換アリール基からなる群から独立に選択される。好ましい一態様では、R70およびR71は、C6〜C10アリール基からなる群から独立に選択され、フェニル基が特に好ましい。好ましい別の態様では、R70およびR71は、ハロアルキル基(たとえば、C1〜C8ハロアルキル基)からなる群から独立に選択され、フルオロアルキル基(たとえば、C1〜C8フルオロアルキル基)が特に好ましい。
好ましい態様では、R72、R73、R74、R75、R76、R77、R78、R80、R81、R82、R83、R84、R85、およびR86は、C1〜C30アルキル基(たとえば、C1〜C8アルキル基)、C2〜C30アルケニル基(たとえば、C2〜C8アルケニル基)、C1〜C30ハロアルキル基(たとえば、C1〜C8ハロアルキル基)、C6〜C30アリール基(たとえば、C6〜C10アリール基)、C7〜C31アラルキル基、C3〜C9トリアルキルシロキシ基、C8〜C26アリールジアルキルシロキシ基、C13〜C28アルキルジアリールシロキシ基、およびC18〜C30トリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択される。より好ましくは、R72、R73、R74、R75、R76、R77、R78、R80、R81、R82、R83、R84、R85、およびR86は、アルキル基(たとえば、C1〜C8アルキル基)、ハロアルキル基(たとえば、C1〜C8ハロアルキル基)、アリール基(たとえば、C6〜C30アリール基)、およびアラルキル基(たとえば、C7〜C31アラルキル基)からなる群から独立に選択される。最も好ましくは、R72、R73、R75、R76、R77、R78、R80、R81、R83、R84、R85、およびR86は、アルキル基(たとえば、C1〜C8アルキル基、好ましくはメチル基)からなる群から独立に選択され、R74およびR82は、アリール基(たとえば、C6〜C30アリール基、C6〜C10アリール基、好ましくはフェニル基)からなる群から独立に選択される。
cが0である、式(LXX)による化合物の好ましい態様では、R72、R73、R75、R76、R77、R78、R80、R81、R83、R84、R85、およびR86は、C1〜C30アルキル基(たとえば、C1〜C8アルキル基、C2〜C30アルケニル基(たとえば、C2〜C8アルケニル基)、C1〜C30ハロアルキル基(たとえば、C1〜C8ハロアルキル基)、C6〜C30アリール基(たとえば、C6〜C10アリール基)、C7〜C31アラルキル基、C3〜C9トリアルキルシロキシ基、C8〜C26アリールジアルキルシロキシ基、C13〜C28アルキルジアリールシロキシ基、およびC18〜C30トリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択される。より好ましくは、R72、R73、R75、R76、R77、R78、R80、R81、R83、R84、R85、およびR86は、アルキル基(たとえば、C1〜C8アルキル基)、ハロアルキル基(たとえば、C1〜C8ハロアルキル基)、アリール基(たとえば、C6〜C30アリール基)、およびアラルキル基(たとえば、C7〜C31アラルキル基)からなる群から独立に選択される。最も好ましくは、R72、R73、R75、R76、R77、R78、R80、R81、R83、R84、R85、およびR86は、アルキル基(たとえば、C1〜C8アルキル基、好ましくはメチル基)からなる群から独立に選択される。このような態様では、R74およびR82は、C1〜C30ハロアルキル基(たとえば、C1〜C8ハロアルキル基)、C7〜C31アラルキル基、C6〜C30アリール基(たとえば、C6〜C10アリール基)、およびC6〜C30置換アリール基(たとえば、C6〜C10置換アリール基)からなる群から独立に選択される。より好ましくは、R74およびR82は、C1〜C8ハロアルキル基、C6〜C10アリール基、およびC6〜C10置換アリール基からなる群から独立に選択される。好ましい一態様では、R74およびR82は、C6〜C10アリール基からなる群から独立に選択され、フェニル基が特に好ましい。好ましい別の態様では、R74およびR82は、ハロアルキル基(たとえば、C1〜C8ハロアルキル基)からなる群から独立に選択され、フルオロアルキル基(たとえば、C1〜C8フルオロアルキル基)が特に好ましい。
上記で述べたように、変数cは、0または1〜3の正の整数である。特に好ましい態様では、cは1である。
式(LXX)の構造に一致するシロキサン化合物は、任意の好適な方法によって作製することができる。たとえば、シロキサン化合物は、異なる一連の試薬を使用して、本発明の第2の態様において上記の方法によって生成することができる。特に、cが正の整数である場合、このような方法で使用される第1のシロキサン化合物は、好ましくは、式(LXXX)の構造に一致し、有機ケイ素化合物は、好ましくは、式(XC)の構造に一致する。式(LXXX)の構造は、
である。式(LXXX)の構造において、R72、R73、R74、R75、R76、R77、およびR78は、式(LXX)の構造との関連において上記の基から選択される。式(XC)の構造は、
である。(XC)の構造において、R70およびR71は、式(LXX)の構造との関連において上記の基から選択される。R90およびR91は、水素、アルキル基、置換アルキル基、アシル基、および置換アシル基からなる群から独立に選択される。好ましくは、R90およびR91は、水素、C1〜C30アルキル基(たとえば、C1〜C8アルキル基またはC1〜C4アルキル基)、およびC1〜C30アシル基(たとえば、C1〜C8アシル基)からなる群から独立に選択される。最も好ましくは、R90およびR91は、それぞれ水素である。変数cは正の整数、好ましくは、1〜3の正の整数であり、最も好ましくは、cは1である。
当業者であれば理解するように、式(LXXX)の構造に一致する1種より多くのシロキサン化合物を、式(LXX)の構造に一致する化合物を作製する方法において使用することができる。1種より多くのシロキサン化合物が使用される場合、この方法の生成物は、末端シクロシロキサン基が異なる置換基を有する、非対称化合物を含む。また、式(XC)の構造に一致する1種より多くの有機ケイ素化合物を、式(LXX)の構造に一致する化合物を作製する方法において使用することができる。1種より多くの有機ケイ素化合物が使用される場合、この方法の生成物は、末端シクロシロキサン基が異なる置換基を有する、非対称化合物を含む。式(LXX)の化合物の好ましい態様では、化合物は、式(LXXX)の構造に一致するただ1種のシロキサン化合物と、式(XC)の構造に一致するただ1種の有機ケイ素化合物とを使用することによって生成されるように、非対称である。
式(LXX)の構造においてcが0である場合、式(CXX)のシロキサン化合物を式(CX)の有機ケイ素化合物と反応させることにより、化合物を生成することができる。式(CXX)の構造は、
である。式(CXX)の構造において、R120は、式(LXX)においてcが0である場合のR74およびR82について上記の基から選択される。式(CX)の構造は、
である。式(CX)の構造において、R100、R101、R102、およびR103は、式(LXX)においてcが0である場合のR72、R73、R80、およびR81について上記の基から選択される。
cが0である式(LXX)の化合物は、式(CXX)の構造に一致する1種より多くのシロキサン化合物および/または式(CX)の構造に一致する1種より多くの有機ケイ素化合物を用いて生成することもできる。いずれかの化合物のうちの1種より多くが使用される場合、この方法の生成物は、末端シクロシロキサン基が異なる置換基を有する、非対称化合物を含む。cが0である式(LXX)の化合物の好ましい態様では、化合物は、式(CXX)の構造に一致するただ1種のシロキサン化合物と、式(CX)の構造に一致するただ1種の有機ケイ素化合物とを使用することによって生成されるように、非対称である。
上記の第1、第3、および第4の態様のシロキサン化合物は、様々な用途に適していると考えられる。たとえば、これらのシロキサン化合物は、それらのシクロシロキサン部分により、架橋シリコーンポリマーの生成における使用に十分に適していると考えられる。特に、第1および第3の態様のシロキサン化合物は、単独で、または他のシロキサン化合物、たとえば、式(LXX)に一致するシロキサン化合物と組み合わせて使用し、シクロシロキサン部分を開環して他のシロキサン化合物との架橋を形成する、好適な開環触媒と反応させることができると考えられる。最終結果は、架橋シリコーンポリマーとなる。いずれかの特定の理論に束縛されることを望むものではないが、本発明のシロキサン化合物は、架橋シリコーンポリマーの生成において使用される他の種類のシロキサン化合物に対して利点を有すると考えられる。たとえば、従来の縮合硬化機構によって生成される架橋シリコーンポリマーは、典型的には、それらの硬化時に揮発性有機化合物(VOC)を放出する。これらのVOCは、硬化中のポリマーにおいて新しいSi−O−Si連結を形成させる縮合反応によって生成される、副生成物である。対照的に、本発明のシロキサン化合物の開環および架橋機構は、このようなVOCを副生成物として生成しない。さらに、この開環硬化機構を、比較的安価な材料を使用して開始し、進展させることができる。これは、従来のヒドロシリル化硬化架橋シリコーンポリマー系において使用される、比較的高価な白金系触媒とは対照的である。
よって、第5の態様では、本発明は、架橋シリコーンポリマーを生成する方法およびこの方法によって生成される架橋シリコーンポリマーを提供する。この方法は一般に、(a)第1のシロキサン化合物を準備する工程と、(b)開環触媒を準備する工程と、(c)第1のシロキサン化合物と開環触媒とを合わせて反応混合物を生成する工程と、(d)反応混合物中の成分を反応させる工程とを含む。
この第5の態様では、第1のシロキサン化合物は、複数のシロキサン反復単位を含む。好ましくは、シロキサン反復単位の少なくとも一部はシクロシロキサン反復単位であり、シクロシロキサン反復単位は、式(XL)の構造
に一致するシクロシロキサン反復単位からなる群から独立に選択される。この態様では、式(XL)の構造において、R1、R2、R3、R4、R20、およびR21は、第1の態様のシロキサン化合物との関連において上記の基から選択される。変数xは、0または任意の正の整数であり;yは、1〜6の正の整数である。好ましい態様では、xは、0、1、および2からなる群から選択され;yは、1〜6の正の整数であり;xとyの和は、1〜8の整数である。特に好ましい態様では、シクロシロキサン反復単位の少なくとも一部は、xが0でありyが1である構造を有し、この構造は、式(I)の構造に一致する構造を有するシクロシロキサン反復単位となる。このような態様では、R1、R2、R3、およびR4は、第1の態様のシロキサン化合物における式(I)との関連において上記の基から選択されてもよい。
第1の態様のシロキサン化合物と同様に、この第5の態様の方法で使用されるシロキサン化合物は、上記の式(X)の構造に一致する1つ以上のセグメントをさらに含んでいてもよい。この第5の態様の方法で使用されるシロキサン化合物はまた、上記の式(XV)の構造に一致する1つ以上のセグメントを含んでいてもよい。シロキサン化合物はまた、任意の好適な末端基、たとえば、本発明の第1の態様との関連において上記の様々な末端基を含んでいてもよい。
先の解説から読み取ることができるように、この第5の態様の方法における使用に適するシロキサン化合物には、本発明の第1および第3の態様との関連において上記のシロキサン化合物が含まれるが、これらに限定されない。
本発明のこの第5の態様の方法では、開環触媒を使用して架橋シリコーンポリマーを作り出す。開環触媒は、この方法で使用される第1のシロキサン化合物上のシクロシロキサン部分の開環を触媒することが可能な、任意の好適な化合物であってもよい。好適な触媒は、たとえば、書籍「Silicon−Containing Polymers:The Science and Technology of Their Synthesis and Applications」(Jamesら、Dordrecht: Kluwer Academic Publishers、2000)の第1章、書籍「Handbook of Ring−Opening Polymerization」(Duboisら、Weinheim: WILEY−VCH Verlag GmbH & Co. KGaA、2009)の第3章、米国特許出願第2008/0097064 A1号(Blanc−Magnardら)、Jaroentomeechaiら、Inorg. Chem. 2012、51、12266〜72、およびGilbertら、Journal of Polymer Science 1959、XL、35〜58に記載されている。開環触媒の1つの好適なクラスは、1つ以上のシラノレートまたはシロキサノレート部分を含む化合物である。好ましい態様では、開環触媒は、シロキサノレート塩(たとえば、テトラメチルアンモニウムシロキサノレート)、ジアラルキルシラノレート塩(たとえば、ナトリウムジメチルフェニルシラノレート)、およびホスホニウムヒドロキシド(たとえば、テトラアルキルホスホニウムヒドロキシド)からなる群から選択されてもよい。
この方法の態様では、シロキサン化合物と開環触媒とが合わせられて、反応混合物を形成する。反応混合物は、シロキサン化合物および開環触媒に加え、他の成分を含んでいてもよい。たとえば、反応混合物は、好適な溶媒または希釈剤を含んでいてもよい。反応混合物はまた、架橋シリコーンポリマーの硬化反応に関与することが可能なシロキサン化合物を含めた、1種以上のさらなるシロキサン化合物を含んでいてもよい。たとえば、一態様では、反応混合物は、式(LX)、式(LXV)、および式(LXX)からなる群から選択される構造に一致する化合物を、さらに含んでいてもよい。式(LXX)の構造は上記で表現されており、構造上の置換基は、上記の基から選択される。式(LX)の構造は、
である。式(LX)の構造において、R60、R61、R62、およびR63は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、トリアルキルシロキシ基、アリールジアルキルシロキシ基、アルキルジアリールシロキシ基、およびトリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択される。変数aは、正の整数であり;bは、正の整数であり;aとbの和は、3〜5である。好ましくは、aとbの和は3である。好ましくは、R60、R61、R62、およびR63は、C1〜C30アルキル基(たとえば、C1〜C8アルキル基)、C2〜C30アルケニル基(たとえば、C2〜C8アルケニル基)、C1〜C30ハロアルキル基(たとえば、C1〜C8ハロアルキル基)、C6〜C30アリール基(たとえば、C6〜C10アリール基)、C7〜C31アラルキル基、C3〜C9トリアルキルシロキシ基、C8〜C26アリールジアルキルシロキシ基、C13〜C28アルキルジアリールシロキシ基、およびC18〜C30トリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択される。より好ましくは、R60、R61、R62、およびR63は、C1〜C8アルキル基、C1〜C8ハロアルキル基、C6〜C10アリール基、およびC7〜C31アラルキル基からなる群から独立に選択される。好ましい具体的な一態様では、R60およびR61は、ハロアルキル基(たとえば、C1〜C30ハロアルキル基、好ましくはC1〜C8ハロアルキル基)、アリール基(たとえば、C6〜C30アリール基、C6〜C10アリール基)、およびアラルキル基(たとえば、C7〜C31アラルキル基)からなる群から選択され、アリール基が特に好ましく、フェニル基が最も好ましい。好ましい具体的な別の態様では、R62およびR63は、アルキル基(たとえば、C1〜C30アルキル基、好ましくはC1〜C8アルキル基)からなる群から選択され、メチル基が特に好ましい。
式(LXV)の構造は、
である。式(LXV)の構造において、R65およびR68は、水素、アルキル基、置換アルキル基、アシル基、置換アシル基、トリアルキルシリル基、アリールジアルキルシリル基、アルキルジアリールシリル基、およびトリアリールシリル基からなる群から独立に選択される。R66およびR67は、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、置換ヘテロシクリル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、置換ヘテロアリール基、トリアルキルシロキシ基、アリールジアルキルシロキシ基、アルキルジアリールシロキシ基、およびトリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択される。変数nは、正の整数である。好ましくは、R65およびR68は、水素、C1〜C30アルキル基(たとえば、C1〜C8アルキル基またはC1〜C4アルキル基)、およびC1〜C30アシル基(たとえば、C1〜C8アシル基)からなる群から独立に選択される。最も好ましくは、R65およびR68は、それぞれ水素である。好ましくは、R66およびR67は、C1〜C30アルキル基(たとえば、C1〜C8アルキル基)、C2〜C30アルケニル基(たとえば、C2〜C8アルケニル基)、C1〜C30ハロアルキル基(たとえば、C1〜C8ハロアルキル基)、C6〜C30アリール基(たとえば、C6〜C10アリール基)、C7〜C31アラルキル基、C3〜C9トリアルキルシロキシ基、C8〜C26アリールジアルキルシロキシ基、C13〜C28アルキルジアリールシロキシ基、およびC18〜C30トリアリールシロキシ基からなる群から独立に選択される。より好ましくは、R66およびR67は、C1〜C8アルキル基、C1〜C8ハロアルキル基、C6〜C10アリール基、およびC7〜C31アラルキル基からなる群から独立に選択される。
上記したように、開環触媒はシロキサン化合物と反応して、シクロシロキサン反復単位の少なくとも一部を開環する。得られる「開環された」部分(すなわち、「開環された」前者のシクロシロキサン反復単位)は、その末端に、別のケイ素原子と反応することによってSi−O−Si連結を形成することができる反応性基を有する。よって、この開環された部分が第1のシロキサン化合物の別の分子と反応してSi−O−Si連結を形成するとき、その結果は、それまで別々であったシロキサン分子間での架橋である。この方法を複数回繰り返す場合、その最終結果は、架橋シリコーンポリマーである。この硬化機構を加速するために、反応混合物および架橋シリコーンポリマーを高温に加熱してもよい。さらに、反応混合物を、好ましくは、脱ガスして、架橋シリコーンポリマー中における気泡の形成を回避する。反応混合物を、当技術分野において公知の任意の好適な技法を使用して脱ガスしてもよい。
本発明の架橋シリコーンポリマーは、好ましくは、高温に曝露された後の黄変がないまたは非常に低レベルであることから明らかなように、比較的高程度の熱安定性を示す。より具体的には、本発明の架橋シリコーンポリマーは、好ましくは、200℃の温度に1,000時間曝露した後、黄変を示さない。本発明の架橋シリコーンポリマーは、ポリマーの作製において使用される特定の条件に応じて、様々な異なる硬度にすることができる。たとえば、架橋シリコーンポリマーをゲルとすることができ、ショアD硬度を示す固体とすることもできる。本発明の架橋シリコーンポリマーは、かなりの広範な範囲から選択される屈折率を示すように、作製することもできる。ポリマーの屈折率は、ポリマーを生成するために使用されるシロキサン化合物の置換基に依存する。特に、架橋シリコーンポリマーは、約1.35〜約1.6の屈折率を示し得る。好ましい態様では、架橋シリコーンポリマーは、約1.5以上または約1.55以上(たとえば、約1.57以上)の屈折率を示す。
第6の態様では、本発明は、架橋シリコーンポリマーを生成するためのキットを提供する。このキットは、第1の部分と第2の部分とを含む。第1の部分と第2の部分とは、各部分に収容された成分の混合を防ぐために、互いに物理的に隔てられている。第1の部分は、架橋シリコーンポリマーを生成する方法との関連において上記の第1のシロキサン化合物、およびこのような方法における使用に適するとして上記で開示された、さらなるシロキサン化合物のいずれかを含む。第2の部分は、開環触媒を含む。よって、第1の部分と第2の部分とが混合されたとき、上記のように、シロキサン化合物と開環触媒とが反応して、架橋シリコーンポリマーを形成する。
キットの第1および第2の部分は、他の成分を含んでいてもよい。たとえば、第1の部分はまた、1種以上の接着促進剤を含んでいてもよい。第2の部分は、開環触媒をその中に分散することができる媒体となる、シロキサン流体を含んでいてもよい。第1または第2の部分はまた、系の粘度を調整するための、反応性または非反応性の希釈剤を含んでいてもよい。
キットを任意の好適な形態としてもよい。たとえば、使用者が架橋シリコーンポリマーを作製することを所望したときに、内容物(またはその一部)が取り出されて手作業で混合される、2つの別々の異なる容器の形態としてもよい。あるいは、キットは、各チャンバーが第1の部分および第2の部分のうちの一方を保持する、2つの別々のチャンバーを有する管の形態とすることもできる。各チャンバーは出口を有していてもよく、2つの出口は互いに近接して位置していてもよい。よって、管中の内容物が圧縮されたとき、各部分の内容物がそのそれぞれの出口から押し出され、標的表面上で混合される。あるいは、2つの出口は、各部分の内容物をノズルから出る前に完全に混合するように設計されたノズルに供給してもよい。
上記の架橋シリコーンポリマーは、広範な用途における使用に適していると考えられる。このエラストマーは、典型的には従来の縮合硬化エラストマーによって生成されるVOCを発生させず、シロキサン出発材料上のある特定の基(たとえば、ハロアルキル基、アラルキル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、または置換アリール基)の使用によってこのエラストマーの屈折率を調節することができることを前提とすると、このエラストマーは、エレクトロニクス、たとえば、発光ダイオード(LED)用の封入剤における使用に特に適していると考えられる。さらに、VOCの発生がないこともまた、ポリマーが硬化するときに生じる収縮を低減する傾向を生じさせ(典型的には、収縮は5%未満、好ましくは2%未満)、ポリマーを、密閉剤または封入剤としての使用に特に十分に適したものにする。
第7の態様では、本発明は、本発明による架橋シリコーンポリマー(たとえば、上記の方法による、または上記のキットを使用して生成された架橋シリコーンポリマー)を封入剤として利用するLEDを提供する。図1は、このようなLEDの簡略化された概略断面図を示す。LED100は、(a)半導体結晶102と、(b)半導体結晶102に電気的に接続されたカソード104と、(c)半導体結晶102に電気的に接続されたアノード106と、(d)半導体結晶102を取り囲む封入剤材料110とを含む。上記したように、封入剤材料110は、本発明による架橋シリコーンポリマーを含む。
半導体結晶は、電流が材料中を通過したときに放射(たとえば、可視光)を発生させるのに適する、任意の結晶性半導体材料から構成されてもよい。好適な半導体結晶は、当技術分野において周知であり、窒化ガリウムから作製された結晶が中でも一般的に使用される。さらに、半導体結晶を、当技術分野において公知の任意の好適な支持体、たとえば、炭化ケイ素またはサファイア上に保持してもよい。基本的に、半導体結晶102は、半導体結晶の第1の領域中(図示せず)にn型半導体材料を含み、半導体材料の第2の領域(図示せず)中にp型半導体材料を含む。半導体材料の第1の領域と第2の領域との間の境界は、p−n接合になる。
LED100は、半導体結晶102の第1の領域に電気的に接続されたカソード104をさらに含む。カソードは、LEDに電力を与えるのに必要な電流を運ぶことが可能な、任意の好適な材料(たとえば、金属)であってもよい。図1に示すように、半導体結晶102は、カソード104に直接取り付けられ、これによって第1の領域への電気的接続を与えてもよい。あるいは、カソードは、アノードに関して以下で論じられるように、好適なボンドワイヤーによって半導体結晶に接続されてもよい。アノード106は、半導体結晶102の第2の領域に電気的に接続される。アノードは、LEDに電力を与えるのに必要な電流を運ぶことが可能な、任意の好適な材料(たとえば、金属)であってもよい。図1に示すように、アノード106は、好適なボンドワイヤー108によって半導体結晶の第2の領域に電気的に接続されてもよい。ボンドワイヤーは、電流をアノードから半導体材料の第2の領域へと運ぶことが可能な、任意の好適な材料(たとえば、金属)であってもよい。
上記したように、LED100は、半導体材料102を取り囲む封入剤材料110をさらに含む。図1に示すように、封入剤110はまた、カソード104とアノード106とが半導体結晶102から隔てられている場合、2つを取り囲んでいてもよいが、これは必ずしも必要ではない。封入剤材料は、2つの基本的な機能をもたらす。第1に、封入剤材料は、半導体結晶およびこの結晶との電気的接続を、外部の力または混入物質による損傷から保護する。第2に、封入剤材料は、半導体結晶の高屈折率材料とLEDを取り囲む低屈折率の空気との間の遷移域となる。当業者に公知のように、半導体結晶の屈折率と周囲の空気の屈折率との間の比較的大きな差は、LED内で光の内部反射を引き起こす。これらの内部反射は、半導体結晶から出てLEDによって放射される光量を減少させる。中間の屈折率(すなわち、半導体結晶の高い屈折率と空気の屈折率との間の屈折率)を有する媒体を用いることにより、封入剤材料は、内部反射して半導体結晶に戻る光量を減少させ、これにより、LEDによって放射される光量を増加させることができる。
上記したように、封入剤材料は、好ましくは、本発明による架橋シリコーンポリマーを含む。特に、封入剤材料は、好ましくは、架橋シリコーンポリマー上に存在する官能基の少なくとも一部が、ハロアルキル基、アラルキル基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、または置換アリール基からなる群から選択され、ハロアルキル基、アリール基、およびアラルキル基が特に好ましい、架橋シリコーンポリマーを含む。このような架橋シリコーンポリマーを生成する方法は、上記されている。これらの基の存在により、遷移域の改善およびLEDに戻る内部反射の量の減少を可能にする、より高い屈折率を有する架橋シリコーンポリマーがもたらされると考えられる。
封入剤材料は、本発明の架橋シリコーンポリマーに加えて、他の成分を含んでいてもよい。たとえば、封入剤材料は、LEDによって放射される光の波長を改変するために、半導体結晶によって発生した光の一部を異なる波長に変換する蛍光体をさらに含んでいてもよい。任意の好適な蛍光体または蛍光体の組合せを使用することができる。好適な蛍光体は、当技術分野において周知である。
図1で表現されるように、LED100は、内部部品を覆うカバーまたはレンズ112をさらに含んでいてもよい。カバーまたはレンズは、LEDの内部部品をさらに保護する役割を果たすことができ、また、LEDによって発生した光の焦点を合わせる役割を果たすこともできる。
以下の例は、上記の主題をさらに例示するが、当然ながら、いかなる形においてもその限定として解釈されるべきではない。
例1
この例は、本発明による、シクロシロキサン反復単位を含むシロキサン化合物の調製を実際に示す。
54gのジフェニルシランジオール(250mmol)、200mgのトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(0.391mmol)、および1000mlのキシレンを、室温においてアルゴン下で、磁気撹拌棒を備えた三ツ口2Lフラスコに添加した。激しく撹拌しながら、36.45gのα,ω−ビス(トリメチルシロキシ)ポリメチルヒドロシロキサン(607.5mmol[Si−H]、平均Mn=1700〜3200)と18mlのキシレンとの混合物を、室温において、シリンジポンプを使用して17時間掛けてゆっくりと添加した。添加中、気体の泡が形成された。添加後、溶液を1時間さらに撹拌した。次いで、約74gの中性酸化アルミニウムを溶液に添加し、混合物を終夜放置した。次いで、溶液を、フリットフィルターを通して濾過した。次いで、濾液中の溶媒を高真空下で除去して、粘性の白色生成物を得た。次いで、粘性の白色生成物を、室温において200mlのエタノール中に12時間浸漬した。次いで、エタノールを真空下で除去し、粘性のガムが得られた。次いで、ガムをおよそ100mlのジエチルエーテル中に溶解させた。次いで、エーテル溶液を400mlのヘキサメチルジシロキサンの撹拌溶液に添加し、添加中に沈殿物が形成された。次いで、溶液をデカンテーションし、沈殿物を真空下で乾燥させてすべての残留する溶媒を除去し、85gの生成物を得た(約94%収率)。GPC(THF、室温、ポリスチレンで較正):Mn=5049、PD=29.3;NMR: 1H NMR (ppm, CDCl3) δ 7.65 (広幅の多重ピーク, 4H), 7.30 (広幅の多重ピーク, 6H), 0.07 (広幅の多重ピーク, 6H) 31C NMR (ppm, CDCl3) δ 134 (多重ピーク), 130 (多重ピーク) 128 (多重ピーク) -3 (多重ピーク) 29Si NMR (ppm, CDCl3) δ 8.8 (O-TMS), -37.1(多重ピーク, -O-SiPh2-O-、D3環), -46 (多重ピーク, -O-SiPh2-O-、非D3型), -56.9 (Me-SiO3-、D3環), -66.1 (Me-SiO3-、非D3環); IR: 2956, 1592, 1429, 1269, 1227, 1122, 990, 906, 843, 773,
695.
例2
この例は、本発明による、シクロシロキサン反復単位を含むシロキサン化合物の調製を実際に示す。
80mgのトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(0.156mmol)および150mlのキシレンを、アルゴン下で、磁気撹拌棒を備えた三ツ口フラスコに添加した。溶液の温度を60℃に保った。激しく撹拌しながら、12gのα,ω−ビス(トリメチルシロキシ)ポリメチルヒドロシロキサン(200mmol[Si−H]、平均Mn=1700〜3200)と、22gのジメトキシジフェニルシラン(90mmol)と、15mlのキシレンとの混合物を、3時間掛けてゆっくりと添加した。添加中、気体の泡が形成された。添加後、反応物をさらに2時間、60℃に保ち、0.5時間、120℃に保った。次いで、溶液を室温に冷却し、41mgのトリフェニルホスフィン(0.156mmol)を添加した。次いで、溶媒を真空下で除去して、およそ30gの高度に粘稠な液体を得た(約96%収率)。生成物中にはおよそ6%(mol%)のSi−Hおよび5%(mol%)の残存するSi−OMeが存在していた。Mn=4109、PD=14.4;1H NMR (ppm, CDCl3) δ 7.60 (広幅の多重ピーク, 4H), 7.25 (広幅の多重ピーク, 6H), 0.00 (広幅の多重ピーク, 6H 29Si NMR (ppm, CDCl3) δ 10, -37, -47, -57, -67; IR 2969, 1429, 1269, 1121, 988, 904, 846, 772, 695.
例3
この例は、本発明による、シクロシロキサン反復単位を含むシロキサン化合物の調製を実際に示す。
80mgのトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(0.156mmol)および150mlのキシレンを、アルゴン下で、磁気撹拌棒を備えた三ツ口フラスコに添加した。溶液の温度を60℃に保った。激しく撹拌しながら、12gのα,ω−ビス(トリメチルシロキシ)ポリメチルヒドロシロキサン(200mmol[Si−H]、平均Mn=1700〜3200)と、12gのジメトキシジメチルシラン(100mmol)との混合物を、4時間掛けてゆっくりと添加した。添加中、気体の泡が形成された。添加後、反応物をさらに1時間、60℃に保持した。次いで、溶液を室温に冷却し、18gのAl2O3を添加した。混合物を終夜放置した。次いで、混合物を濾過し、溶媒を真空下で除去して、約20gの清澄で粘性の液体を得た(約95%収率)。生成物中にはおよそ6%(mol%)のSi−Hおよび9%(mol%)の残存するSi−OMeが存在していた。Mn=4249、PD=8.5;1H NMR (ppm, CDCl3) δ 0.00 (広幅, 12H); 29Si NMR (ppm, CDCl3) δ 8, -8, -11, -19, -21, -54, -58, -67; IR 2964, 1264, 1002,907, 849, 760, 702.
例4
この例は、本発明による、シクロシロキサン反復単位を含むシロキサン化合物の調製を実際に示す。
54.08gのジフェニルシランジオール(250mmol)、200mgのトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(0.391mmol)、および1000mlのキシレンを、室温においてアルゴン下で、磁気撹拌棒を備えた三ツ口フラスコに添加した。激しく撹拌しながら、68.5gのトリメチルシロキシ末端メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(500mmol[Si−H]、平均Mn=680)を、シリンジポンプを使用して24時間掛けてゆっくりと添加した。添加中、気体の泡が形成された。添加後、反応温度を60℃に上昇させ、4.5時間撹拌した。IRは、残留するSi−Hが存在しないことを示していた。次いで、78gの中性酸化アルミニウムを溶液に添加した。1時間後、溶液を濾過し、濾液中の溶媒を高真空下で除去して、粘性の液体を得た(17.5g、約96%収率)。生成物の屈折率は、589.3nmにおいて1.4965であった。Mn=3543、PD=1.9;1H NMR (ppm, CDCl3) δ 7.60 (広幅の多重ピーク, 4H), 7.30 (広幅の多重ピーク, 6H), 0.00 (広幅の多重ピーク, 19H); 31C NMR (ppm, CDCl3) δ 134 (多重ピーク), 130 (多重ピーク), 127 (多重ピーク), 0, (多重ピーク), -3 (多重ピーク); 29Si NMR (ppm, CDCl3) δ 9, -20, -36, -47, -57, -66; IR 2962, 1429, 1262, 1006, 842, 792, 697.
例5
この例は、式(LXX)の構造に一致するシロキサン化合物の調製を実際に示す。
50mlのキシレン、0.04gのトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(0.078mmol)および5.4gのジフェニルシランジオール(25mmol)を、アルゴン下で、磁気撹拌棒を備えた三ツ口フラスコに添加した。激しく撹拌しながら、5.50gのフェニルトリス(ジメチルシロキシ)シラン(16.7mmol)と2.75gのキシレンとの混合物を、50℃において3時間掛けてフラスコにゆっくりと添加した。添加中、気体の泡が形成された。次いで添加後、反応混合物を、IRによってSi−Hが検出されなくなるまで50℃で加熱した(およそ1時間)。次いで、反応混合物を室温に冷却し、9gの酸化アルミニウムを添加した。室温で終夜撹拌した後、反応混合物を濾過し、溶媒を減圧下で除去して、清澄な液体を得た(10.5g、約95%収率)。MALDI−TOFにより分子量が確かめられた((M+K+)計算値:1335、実測値:1335)。GPCの結果において、隣接する2つのピークが存在し、これは、2つの異性体が存在することを示していた。1H NMR (ppm, CDCl3) δ 7.60 (多重ピーク, 16H), 7.30 (多重ピーク, 24H), 0.08 (多重ピーク, 36H) 31C NMR (ppm, CDCl3) δ 134 (多重ピーク), 130 (多重ピーク), 128 (多重ピーク), 1(多重ピーク) 29Si NMR (ppm, CDCl3) δ -17, -19, -46, -48, -79; IR 2962, 1429, 1259, 1009, 839, 797, 742, 695, 597.
例6
この例は、本発明による架橋シリコーンポリマーの調製を実際に示す。
0.2gの本発明によるポリシクロシロキサンのTHF溶液2gと、0.6gの1,1−ジフェニル−3,3,5,5−テトラメチルシクロトリシロキサンのTHF溶液2.5gとを混合した。次いで、0.196gのTHF中の0.048mgのテトラメチルアンモニウムシロキサノレート(60ppm、GelestカタログSIT7502.0)を混合物に添加した。次いで、溶液を十分に振盪し、溶媒を真空下で除去して、白色固体を得た。次いで、固体を、75℃で2時間、125℃で18時間、150℃で2時間加熱して、完全に硬化させた。得られた架橋シリコーンポリマーは、およそ39のショアA硬度、および400nmにおける97%の透明度を有していた。
例7
この例は、本発明による様々な架橋シリコーンポリマーの調製、およびこれらのポリマーによって示される様々な特性を実際に示す。
4つの架橋シリコーンポリマー(試料7A〜7D)を、ポリシクロシロキサン化合物対1,1−ジフェニル−3,3,5,5−テトラメチルシクロトリシロキサン(存在する場合)の比を表1に記載されるように変動させて、例6で概説された一般手順に従って調製した。表1は、得られたポリマーの硬度も列挙する。
例8
この例は、本発明による架橋シリコーンポリマーの調製を実際に示す。
0.5gの例1のポリ(シクロ)シロキサンおよび1.5gのフェニルメチルシクロテトラシロキサンを、THF中に溶解させた。次いで、THF中の0.12mgのテトラメチルアンモニウムシロキサノレート(60ppm、GelestカタログSIT7502.0)を混合物に添加した。溶液を十分に振盪し、溶媒を真空下で除去して清澄な液体を得た。次いで、液体を125℃で16時間加熱して、軟らかいエラストマーに硬化させた。得られたエラストマーは、およそ20のショアA硬度を有していた。
例9
この例は、本発明による架橋シリコーンポリマーの調製を実際に示す。
0.05gの例1のポリ(シクロ)シロキサンおよび0.15gのフェニルメチルシクロテトラシロキサン(Gelestカタログ番号SIP6737−100g)を、THF中に溶解させた。次いで、THF中の0.012mgのナトリウムジメチルフェニルシラノレート(60ppm、Sigma Aldrich、カタログ番号673269−1G)を混合物に添加した。溶液を十分に振盪し、溶媒を真空下で除去して、清澄な液体を得た。次いで、液体を75℃で40分間、150℃で4時間加熱して、軟らかいエラストマーに硬化させた。
例10
この例は、本発明による架橋シリコーンポリマーの調製を実際に示す。
2gの例5の化合物をTHF中に溶解させ、次いで、1.2mgのテトラメルチアンモニウムシロキサノレート(600ppm、GelestカタログSIT7502.0)を溶液に添加した。次いで、THFを除去して、清澄な液体を得た。次いで、液体を75℃で1時間、120℃で5時間加熱して、非常に軟らかいエラストマーに硬化させた。次いで、触媒を、150℃で1時間加熱することによって除去した。このエラストマーは、約0のショアA硬度を有していた。もう1つの実験では、0.67gの例1のポリシクロシロキサンおよび1.33gの例5の化合物を同様に硬化させて、およそ50のショアA硬度を有するエラストマーを得た。
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特許請求された主題を実施するための本発明者らが知る最良の形態を含めた、本出願の主題の好ましい態様がここで記載されている。好ましい態様の変形形態は、以上の記載を読んだ当業者には明らかになると思われる。本発明者らは、当業者がこのような変形形態を適宜採用すると推測すると共に、本発明者らは、ここで記載された主題が、ここで具体的に記載されたものとは異なる様式で実施されることを意図している。したがって、この開示は、準拠法が許す場合、ここに添付される特許請求の範囲に記載される主題の、すべての改変形態および等価物を含む。さらに、上記の要素の、そのすべての可能な変形形態における任意の組合せは、ここで別段の指摘がない限り、または文脈により明確に否定されない限り、本開示によって包含される。