本発明について記載する際に、以下の用語が使用され、以下に示すように定義されることが意図されている。
単数形の「1つの(a) 」、「1つの(an)」及び「その(the) 」が、本明細書及び添付の特許請求の範囲に用いられている場合、文脈が別段に明示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。従って、例えば、「LMWH」への言及は、必要に応じて2以上のLMWHの混合物を含んでもよい。
本明細書で使用されている「低分子ヘパリン」(LMWH)は、望まない血栓症を特徴付ける疾患を治療するための、本明細書に記載されている様々な凝固検査法のいずれかにおいて、また望まない血栓症の高い危険性のための予防法に関して抗凝固活性を示す短鎖硫酸化多糖類(SP)の種類に言及している。以下により詳細に記載するように、望まない血栓症という用語は、組織への血液供給を妨げる場合があり、 例えば深部静脈血栓症、肺塞栓症、心臓発作又は卒中のような合併症を引き起こす(つまり、血栓塞栓症を引き起こす)場合がある血管内の血塊の形成を指している。低分子ヘパリンは、未分画ヘパリンの生物源から分別され解重合されたもののような天然の硫酸化多糖類であってもよく、又は合成法(例えば化学合成)によって部分的又は全体的に生成される合成の硫酸化多糖類であってもよい。活性の一基準は、低分子ヘパリンによって示された凝固時間を未分画ヘパリンによって示された抗凝固活性と比較することである。例えば、着目する低分子ヘパリンは希釈プロトロンビン時間(dPT )凝固検査法又は活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)凝固検査法で抗凝固活性及び抗血栓作用を示す。この抗凝固活性及び抗血栓作用は、未分画ヘパリンのモル抗凝固活性及び抗血栓作用に少なくとも等しいか又はより大きい(MWの範囲5,000 〜40,000;平均18,000ダルトン)。
着目する低分子ヘパリンは短鎖硫酸化多糖類であり、短鎖硫酸化多糖類の分子量の範囲は、2000ダルトン〜12,000ダルトン、例えば2500ダルトン〜10,000ダルトン、3000ダルトン〜9500ダルトン、3500ダルトン〜9000ダルトンであってもよく、4000ダルトン〜8500ダルトンを含む。低分子ヘパリンの平均分子量の範囲は、2000ダルトン〜10,000ダルトン、例えば2500ダルトン〜9000ダルトン、3000ダルトン〜8500ダルトンであってもよく、4000ダルトン〜8000ダルトンを含む。
場合によっては、着目する低分子ヘパリンは、アルデパリン(Ardeparin )、ベミパリン(Bemiparin )、バイオペリン(Bioparin)、セルトパリン(Certoparin)、ダルテパリン(Dalteparin)、エノキサパリン(Enoxaparin)、ミニパリン(Miniparin )、ナドロパリン(Nadroparin)、パルナパリン(Parnaparin)、レビパリン(Reviparin )、サンドパリン(Sandoparin)及びチンザパリン(Tinzaparin)並びにこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせとの低分子ヘパリンは、血管血栓症又は肺塞栓症として発現する、動脈血栓症及び静脈血栓症に関連した疾患のような血栓塞栓症を治療する際に、特には胃腸系による吸収を高める必要があるとき又は高めることが望ましいとき、止血を改善するための本発明の方法に使用されてもよい。低分子ヘパリンが血栓症を抑制して凝固を軽減させる可能性が、様々なインビトロ凝固検査法(例えばトロンビン生成及びトロンボエラストグラフィ(TEG )又は較正自動トロンボグラフィ(CAT )検査法)及びインビボ出血モデル(例えば血友病のマウス又はイヌにおける尾の切り取り、横方向の切断、全血凝固時間又は表皮出血時間決定)を使用して決定されてもよい。例えば、PDR Staff.Physicians' Desk Reference.2004,Anderson等著,1976年,「Thromb. Res.」9:575-580;Nordfang等著,1991年,「Thromb Haemost.」,66:464-467;Welsch等著,1991年,「Thrombosis Research」,64:213-222;Broze 等著,2001年,「Thromb Haemost」,85:747-748;Scallan 等著,2003年,「Blood.」,102:2031-2037;Pijnappels等著,1986年,「Thromb. Haemost.」,55:70-73;及びGiles 等著,1982年,「Blood」,60:727-730、及びこの文献内の実施例を参照。
本明細書で使用されている「多糖」という用語は、2以上の共有結合している糖残基を包含しているポリマーに言及している。糖残基は、例えばグリコシド、エステル、アミド又はオキシム結合部分によって結合されてもよい。多糖の平均分子量は、例えば2000ダルトン〜12,000ダルトン、例えば2500ダルトン〜10,000ダルトン、3000ダルトン〜9500ダルトン、3500ダルトン〜9000ダルトンであって4000ダルトン〜8500ダルトンを含む範囲内で大きく異なってもよい。多糖は直鎖状(つまり線状)であってもよく又は分岐していてもよく、或いは、線状部分及び分岐した部分の別個の領域を含んでもよい。多糖は、より大きな多糖の分解(例えば加水分解)によって生成される多糖の断片であってもよい。分解は、断片化された多糖を生成するために、酸、塩基、熱、オキシダント又は酵素での多糖の処理を含むあらゆる便利なプロトコルによって行われ得る。多糖は、硫酸化、ポリ硫酸化、エステル化及びメチル化を含むがこれらに限定されない方法により化学変化して修飾されてもよい。
本明細書に記載されている分子量は、数平均分子量又は量平均分子量のいずれかとして表現され得る。特に示されていない場合、本明細書における分子量への言及は全て量平均分子量を指す。数平均分子量及び量平均分子量の両方の分子量は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィ技術又は他の液体クロマトグラフィ技術を使用して測定され得る。
「由来する」という用語は、最初の分子源を識別するために本明細書で使用されているが、分子を作成する方法、例えば化学合成法又は組み換え法を制限することを意味しない。
「変異体」、「類似体」及び「突然変異タンパク質」という用語は、血栓塞栓症の治療で抗凝固活性のような所望の作用を保持する、参照分子の生物学的に活性のある誘導体を指す。ポリペプチド(例えば凝固因子)に関する「変異体」及び「類似体」という用語は、修飾体が生物学的活性を壊さない限り、未変性のポリペプチド配列と、未変性の分子に対して一又は複数のアミノ酸が追加されるか、(一般的には自然で保存的に)置換されるか及び/又は欠損された構造とを有する化合物を指し、このような化合物は、以下に定めるように参照分子に対して「略同族」である。このような類似体のアミノ酸配列は参照配列に対して高度の配列相同性を有し、2つの配列が並んでいるとき、例えば50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上であって99%以上を含む(場合によっては100 %以下)のアミノ酸配列相同性を有する。場合によっては、類似体は同数のアミノ酸を含むが、置換体を含む。「突然変異タンパク質」という用語は、一又は複数のアミノ酸様分子を有するポリペプチドを更に含み、このようなポリペプチドは、アミノ分子及び/又はイミノ分子のみを含む化合物、(例えば非天然に生じる合成アミノ酸などを含む)アミノ酸の一又は複数の類似体を含むポリペプチド、置換された連鎖体を有するポリペプチド、本技術分野で公知の他の修飾体、天然及び非天然の両方で存在する(例えば合成の)環化されて分岐された分子などを含むが、これらに限定されない。この用語は、一又は複数のN置換グリシン残基(「ペプトイド」)及び他の合成アミノ酸又はペプチドを含む分子を更に含んでいる。(例えば、ペプトイドの記載に関する米国特許第5,831,005 号明細書、米国特許第5,877,278 号明細書及び米国特許第5,977,301 号明細書;Nguyen等著,「Chem Biol.」,2000年,7:463-473;及びSimon 等著,「Proc. Natl. Acad. Sci.」,USA ,1992年,89:9367−9371参照)。本発明の実施形態では、類似体及び突然変異タンパク質は未変性の分子と少なくとも同一の凝固作用を有する。
上記に説明したように、類似体は保守的な置換体を含んでもよく、つまり、それらの側鎖で関連付けられたアミノ酸群内で置換された置換体を含んでもよい。具体的には、アミノ酸は一般に4群、つまり(1) 酸性−アスパラギン酸塩及びグルタミン酸塩、(2) 塩基−リジン、アルギニン、ヒスチジン、(3) 無極性−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン及び(4) 非荷電極性−グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリントレオニン、チロシンに分けられる。フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンは、場合によっては芳香族アミノ酸として分類される。例えば、ロイシンのイソロイシン若しくはバリンとの単離された置換、アスパラギン酸塩のグルタミン酸塩との単離された置換、トレオニンのセリンとの単離された置換、又はアミノ酸の構造的に関連するアミノ酸との同様の保存的置換は、生物学的活性に大きな影響を及ぼさない。例えば、着目するポリペプチドは、分子の所望の機能が完全なままである限り、約5〜10までの保存アミノ酸置換体若しくは非保存アミノ酸置換体、約15〜25までの保存アミノ酸置換体若しくは非保存アミノ酸置換体、すなわち5〜25の間の任意の整数の保存アミノ酸置換体若しくは非保存アミノ酸置換体を含んでもよい。
「誘導体」という用語は、参照分子の所望の生物学的活性(例えば血栓作用の軽減)が保持される限り、外来部分の硫酸化、アセチル化、グリコシル化、リン酸化、(例えばポリエチレングリコールとの)ポリマー結合又は他の付加などによる、着目する参照分子又はその類似体のあらゆる適切な修飾体を意味する。例えば、低分子ヘパリン多糖は、一又は複数の有機基又は無機基で誘導されてもよい。例として、少なくとも1つの水酸基で別の部分(例えば硫酸基、カルボキシル基、リン酸基、アミノ基、ニトリル基、ハロ基、シリル基、アミド基、アシル基、脂肪族基、芳香族基又は糖類基)と置換された多糖、又は環酸素が硫黄基、窒素基、メチレン基などと置換された多糖が含まれるが、これに限定されない。多糖は、例えば抗血栓症の作用を改善するために化学変化してもよい。このような修飾は、硫酸化、ポリ硫酸化、エステル化及びメチル化を含んでもよいが、これらに限定されない。
「断片」という用語は、無傷の完全長配列及び構造の一部を含む分子を意味する。場合によっては、多糖の断片がより大きな多糖の分解(例えば加水分解、解重合)によって生成されてもよい。本発明の多糖の活性断片は、活性断片が生物学的活性を保持する限り、2の糖単位と全長分子との間のあらゆる整数の糖単位を含む、全長分子の約5〜10の糖単位のような約2〜20の糖単位の全長多糖を含んでもよい。ポリペプチドの断片が、未変性のポリペプチドのC末端欠失、N末端欠失又は内部欠失を含むことができる。特定のタンパク質の活性断片は、ある実施形態では、問題の断片が例えば抗トロンビンIII への結合、抗血栓作用又は第IIa 因子の活性及び第Xa因子の活性を不活性化する能力のような生物学的活性を保持する限り、5つのアミノ酸と全長配列との間のあらゆる整数の隣接しているアミノ酸残基を含む、全長分子の約15〜25以上の隣接しているアミノ酸残基、全長分子の約20〜50以上の隣接しているアミノ酸残基のような全長分子の約5〜10以上の隣接しているアミノ酸残基を含んでもよい。
「略精製された」という用語は、物質が存在する試料の大部分を該物質が含むように、物質(例えば非抗凝固性硫酸化多糖類)が単離することを意味する。例えば、略精製された試料は、着目する物質の50%以上、着目する物質の60%以上、着目する物質の75%以上、着目する物質の90%以上、着目する物質の95%以上であって、着目する物質の99%以上を含む。あらゆる便利なプロトコルが、着目する多糖、ポリヌクレオチド及びポリペプチドを精製するために使用されてもよく、密度に応じて限外濾過、選択的沈殿、結晶化、イオン交換クロマトグラフィ、アフィニティークロマトグラフィ及び堆積作用を含むがこれらに限定されない。
「単離された」という用語は、多糖又はポリペプチドを参照するとき、示された分子が、該分子が自然界で共に見つけられる生物全体から分離して別々であるか、又は、同一のタイプの他の生物学的な高分子が実質的には存在しない状態で存在することを意味する。
「相同性」という用語は、2つのポリペプチド部分間の同一性%を意味する。本明細書に言及されているように、2つのポリペプチド配列が約50%以上の配列同一性、60%以上の配列同一性、75%以上の配列同一性、85%以上の配列同一性、90%以上の配列同一性、95%以上の配列同一性であって、99%以上の配列同一性を含む配列同一性を示すとき、2つのポリペプチド配列は互いに「略相同である」。ある実施形態では、略相同であるポリペプチドは、特定の配列に対して完全な同一性を有する配列を含んでいる。
「同一性」という用語は、2つのポリマー配列のサブユニット同士の正確な一致を意味する。例えば、同一のポリペプチドは、別のポリペプチドに対してアミノ酸同士の正確な一致を有するポリペプチドであるか、又は、同一のポリヌクレオチドは、別のポリヌクレオチドに対してヌクレオチド同士の正確な一致を有するポリヌクレオチドである。同一性%は、2つの分子間の配列情報(参照配列及び参照配列に対して未知の同一性%を有する配列)を直接比較することによって、具体的には配列を並べて、 並べられた2つの配列間で一致する正確な数を数えて、 参照配列の長さで割ってその結果に100 を掛けることによって決定され得る。あらゆる便利なプロトコルが2つのポリマー配列間の同一性%を決定するために使用されてもよい。例えば、ペプチド分析に関するALIGN, Dayhoff, M.O. in Atlas of Protein Sequence and Structure M.O. Dayhoff ed., 5 Suppl. 3:353-358, National biomedical Research Foundation, Washington, DC, which adapts the local homology algorithm of Smith and Waterman Advances in Appl.Math.2:482-489, 1981年参照。
「対象」という用語は、チンパンジー、他の類人猿種及びサル種のようなヒト以外の霊長類を含むヒト及び他の霊長類と、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ及びウマのような家畜と、イヌ及びネコのような飼いならされた哺乳類と、マウス、ラット及びモルモットのようなげっ歯動物類を含む実験動物と、ニワトリ、シチメンチョウ及び他のキジ類のトリ、アヒル、ガチョウなどのような飼いならされたトリ、野生のトリ及び狩猟用のトリを含む鳥類とを含むがこれらに限定されない脊索動物類亜類のあらゆるメンバーを意味する。用語は特定の年齢を示さない。従って、成人の個人及び新生児の個人の両方が対象である。
「患者」という用語は、本発明の低分子ヘパリンの投与によって予防され得るか又は治療され得る疾患を患うか又はこの疾患になり易い生体に言及すべく従来の意味で使用され、ヒト及びヒト以外の動物の両方を含む。
「生体試料」という用語は、例えば血液、血漿、血清、糞便、尿、骨髄、胆汁、髄液、リンパ液、皮の試料、皮の外分泌、呼吸、腸管、尿生殖路、涙、唾液、ミルク、血液細胞、器官、生検を含むがこれらに限定されない、対象から単離された組織又は流体の試料と、培地における細胞及び組織の成長に起因する調整培地、例えば組み換え細胞及び細胞成分を含むが、これらに限定されないインビトロ細胞培養成分の試料とを意味する。
「治療上有効な用量又は有効な量」という用語は、本明細書に記載されているように投与されるとき、例えば抗血栓作用又は凝固時間の増加のような所望の治療反応を引き起こす量を意味する。
「血栓塞栓症」という用語は、血管内の血塊の形成に起因するあらゆる障害を意味し、この障害は、組織への血液供給を妨げ、循環系の問題、例えば深部静脈血栓症、肺塞栓症、心臓発作又は卒中を引き起こし得る。以下に説明するように、血栓塞栓症は、心筋梗塞、外科手術後の深部静脈血栓症、一過性脳虚血発作、冠動脈バイパス移植、末梢血管疾患、卒中経皮経管冠動脈形成、急性前骨髄球性白血病、糖尿病、多発性骨髄腫、敗血症性ショック、電撃性紫斑病、成人呼吸窮迫症候群、狭心症、大動脈弁又は人工血管の挿入及び存在、心臓カテーテル、経管内部形成、心臓弁置換に関連した血栓塞栓症を含んでもよいが、これらに限定されない。
本発明の態様は、対象における血栓塞栓症を治療するための方法を含んでいる。ある実施形態に係る方法を実行する際に、ある量の低分子ヘパリン(LMWH)及び2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせを、対象の血栓塞栓症を治療するのに十分なように対象に経口で投与する。本発明の方法を実行するための組成物及びキットを更に記載する。
本発明を更に詳細に記載する前に、本発明は、本明細書に記載された特定の実施形態が変わり得るように、このような実施形態に限定されないことを理解すべきである。更に、本明細書に使用されている用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられており、限定することを意図していないことを更に理解すべきである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。特に定義されていない限り、本明細書に使用されている全ての技術的用語及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されているものと同じ意味を有する。ある範囲の値が与えられる場合、その範囲の上限及び下限の間の、文脈が別段に明示しない限りは下限の単位の10分の1までの各介在値と、その記載された範囲内のあらゆる他の記載された値又は介在する値とが本発明の範囲内に包含されることを理解すべきである。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、より小さい範囲内に独立して含まれてもよく、記載された範囲内の任意の具体的に除外された限度を条件として本発明内に更に包含される。記載された範囲が限度の内の一方又は両方を含む場合、これらの含まれた限度の一方又は両方を除外した範囲も本発明に包含される。ある範囲は、本明細書では用語「約」から始まる数値と共に示されている。用語「約」は、本明細書では「約」から始まる正確な数、及び「約」から始まる数に近い数又は「約」から始まる数に近似した数のための文字通りのサポートを提供するために用いられている。数が具体的に述べられた数に近いか又は近似しているか否かを判断する際に、述べられていない近い数又は近似した数は、その数が示されている文脈では、具体的に述べられた数に略相当する数であってもよい。本明細書に引用されている全ての刊行物、特許及び特許出願は、個々の刊行物、特許又は特許出願が、具体的に且つ個別に参照によって組み込まれると示されているかのように参照によって同程度まで本明細書に組み込まれる。更に、引用されている夫々の刊行物、特許又は特許出願は、刊行物の引用に関連する主題を開示して記載すべく、参照によって本明細書に組み込まれる。任意の刊行物の引用は、出願日前のその開示に関するものであって、先行発明を理由として、本発明がそのような刊行物に先行する権限がないことを認めるものであるとみなされるべきではない。更に、提供される刊行物の日付は、実際の公開日とは異なる場合があり、個別に確認する必要があるかもしれない。
特許請求の範囲がいかなる選択的な要素も除外して記載されていることに留意すべきである。従って、この記述は、請求項の要素の記載に関する「唯一の(solely)」、「のみの(only)」等の排他的用語の使用、又は「否定的な(negative)」限定の使用のための先行記載として機能すべく意図される。当業者が本開示を読むと明らかであるように、本明細書に説明され例示された個々の実施形態は夫々、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の複数の実施形態のいずれかの特徴から容易に分離されてもよく、又はいずれかの特徴と容易に組み合わされてもよい別々の構成要素及び特徴を有している。全ての記載された方法は、記載された事象の順序で、又は論理的に可能な任意の他の順序で実行され得る。本明細書に記載された方法及び材料と同様であるか又は等価であるあらゆる方法及び材料が本発明の実施又は試験に使用されてもよいが、以下に代表的な例示の方法及び材料を説明する。
本発明を更に説明する際に、低分子ヘパリンと2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせとを経口で投与することにより、血栓塞栓症を治療するための方法を、まず更に詳細に説明する。次に、本発明の方法を実行するための組成物及びキットを更に説明する。
対象の血栓塞栓症を治療するための方法
上記に要約したように、本発明の態様は、ある量の低分子ヘパリンと2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせとを、対象の血栓塞栓症を治療するのに十分なように対象に経口で投与することを含んでいる。「血栓塞栓症を治療する」という用語は、血液凝固の開始を抑える(つまり、血栓症が始まるまでの時間を長くする)、及び対象の血液凝固の全体割合を抑える(つまり、血液凝固が完了するまでの時間を長くする)などして、対象の望まない血栓症を軽減させるか除去することに言及するために従来の意味で使用される。ある実施形態では、本方法は、血液凝固の開始を抑える。例えば、本発明の方法は、血液が凝固し始めるのに必要な時間を、適切な対照と比較して10%以上、25%以上、50%以上、75%以上、90%以上、95%以上のような5%以上長くしてもよく、場合によっては、100 %以下のような200 %以下長くする。他の実施形態では、本発明の方法は、血液凝固の割合を減らす。例えば本発明の方法は、血液凝固の割合を、適切な対照と比較して2%以上、例えば5%以上、10%以上、25%以上、50%以上、75%以上、100 %以上、200 %以上、500 %以上減らしてもよく、場合によっては、750 %以下のような1000%以下減らす。
本発明の実施形態では、ある量の低分子ヘパリンが、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせと共に対象に経口で投与される。対象の生理機能に応じて、本明細書で使用されている「胃腸上皮」という用語は、胃及び腸管(例えば十二指腸、空腸、回腸)のような消化管の上皮組織に言及しており、食道の下方部分、直腸及び肛門を含む身体の胃腸機能に関与する他の構造を更に含んでもよい。胃腸透過エンハンサという用語は、経口で投与されると胃腸系によって吸収される低分子ヘパリンの量を増加させる化合物を意味する。更に、胃腸透過エンハンサは、胃腸上皮を介して低分子ヘパリンの吸収の開始を速めてもよく(つまり、吸収が始まるまでの時間を短くしてもよく)、対象の胃腸上皮を横切って低分子ヘパリンが送達される全体速度を速めてもよい(つまり、胃腸系による低分子ヘパリンの吸収が完了する時間を短くしてもよい)。
2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせが、胃腸系によって吸収される低分子ヘパリンの量を増加させるために使用される。例えば、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせが、胃腸系によって吸収される低分子ヘパリンの量を、適切な対照と比較して10%以上、25%以上、50%以上、75%以上、90%以上、95%以上のような5%以上増加させてもよく、場合によっては100 %以下増加させる。他の実施形態では、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせが、胃腸上皮を介する低分子ヘパリンの吸収の開始を速める。例えば、胃腸上皮バリア透過エンハンサは、低分子ヘパリンの吸収を開始させるのに必要な時間を、適切な対照と比較して10%以上、25%以上、50%以上、75%以上、90%以上、95%以上のような5%以上短くしてもよく、場合によっては100 %以下短くする。更なる他の実施形態では、本発明の2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせが、胃腸系による低分子ヘパリンの吸収速度を増加させる。例えば、胃腸上皮バリア透過エンハンサが、低分子ヘパリンの吸収速度を、適切な対照と比較して2%以上、例えば5%以上、10%以上、25%以上、50%以上、75%以上、100 %以上、200 %以上、500 %以上増加させてもよく、場合によっては、1000%以下増加させる。場合によっては、本発明の2以上の胃腸上皮透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせが、以下に更に詳細に記載されるように、Caco-2細胞モデルによって決定されるような低分子ヘパリンの吸収を高める。例えば、本発明の胃腸上皮バリア透過エンハンサは、Caco-2細胞モデルによって決定されるような低分子ヘパリンの吸収を、適切な対照と比較して2%以上、例えば5%以上、10%以上、25%以上、50%以上、75%以上、100 %以上、200 %以上、500 %以上高めてもよく、場合によっては、1000%以下高める。
胃腸上皮バリア透過エンハンサは、特定の血液凝固障害、対象の生理機能及び胃腸系による吸収の所望の向上に応じて異なってもよい。ある実施形態では、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせとして、一又は複数の密着結合調整因子が含まれている。「密着結合」という用語は、隣り合う細胞の膜が共に結合される密接に関連した細胞領域に言及するために従来の意味で使用される。そのため、ある実施形態では、本発明の方法は、胃腸上皮の密着結合によって低分子ヘパリンの透過を調整する2以上の化合物の相乗的に有効な組み合わせと共にある量の低分子ヘパリンを有する組成物を経口で投与することを有する。「調整する」という用語は、胃腸上皮の密着結合によって低分子ヘパリンの透過を調整するか増加させることを意味する。そのため、密着結合調整因子は、胃腸系によって低分子ヘパリンの吸収を調整するか増加させる。本発明の実施形態では、密着結合調整因子は、酵素、胆汁酸、多糖、脂肪酸及びその塩、並びにこれらのあらゆる組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。
場合によっては、密着結合調整因子は多糖である。例えば、多糖密着結合調整因子はキトサンであってもよい。本明細書で使用されているキトサンは、2-アセトアミド-2- デオキシ- β-D- グルコピラノース及びキチンのN-脱アセチル化によって生成される2-アミノ- β-D- グルコピラノースの線状コポリマーに言及している。多糖密着結合調整因子は、N-アルキルキトサン、アシル化キトサン、カルボキシメチルキトサン、リン酸化キトサン、N-(アミノアルキル)キトサン、スクシニルキトサン及びオクタノイルキトサンのようなキトサンの誘導体を更に含んでもよい。ある実施形態では、多糖密着結合調整因子は未修飾キトサンである。上記に記載したように、「未修飾キトサン」という用語は、化学的構造を向上させるか他の場合には変更するために何らかの方法で化学的に誘導されていない又は修飾されていないキトサンに言及すべく、従来の意味で使用されている。そのため、未修飾キトサンは、例えば硫酸化、アセチル化、グリコシル化、リン酸化、(例えばポリエチレングリコールとの)ポリマー結合によって任意の他の外来部分を含めるべく修飾されていないキトサンである。例えば、未修飾キトサンは、スルフヒドリル基を与えるべくチオール化されたキトサン(例えばキトサン−チオ−ブチルアミジン)又は多糖構造の表面に固定されたメチル基を与えるべくメチル化されたキトサン(例えばN-トリメチル−キトサン)を除外する。同様に未修飾キトサンは、特にはN-アルキルキトサン、アシル化キトサン、リン酸化キトサン、N-(アミノアルキル)キトサン、スクシニルキトサン及びオクタノイルキトサンのようなキトサンの誘導体、並びにポリペプチド、他の多糖、シクロデキストリン、クラウンエーテル及びガラスビーズ又はナノ粒子で修飾されたキトサンの誘導体を除外する。
他の例では、密着結合調整因子は胆汁酸である。「胆汁酸」という用語は、哺乳類の胆汁で一般に見出されるステロイド酸及びその塩に言及すべく、従来の意味で使用される。適切な胆汁酸は、特にコール酸(コール酸塩)、デオキシコール酸(デオキシコール酸塩)、ケノデオキシコール酸(ケノデオキシコール酸塩)、ウルソデオキシコール酸(ウルソデオキシコール酸塩)、グリココール酸(グリココール酸塩)、タウロコール酸(タウロコール酸塩)及びリトコール酸(リトコール酸塩)を含んでもよいが、これらに限定されない。ある実施形態では、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせとしてデオキシコール酸塩が含まれている。
他の例では、密着結合調整因子は酵素である。例えば、酵素密着結合調整因子は、ブロメライン、トリプシン、パパイン又はその酵素断片のようなプロテアーゼであってもよい。ある実施形態では、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせとしてブロメラインが含まれている。本明細書で使用されているブロメラインは、パイナップルの実、茎及び葉に一般に由来する酵素群に言及しており、システインプロテアーゼ、アミラーゼ、酸性ホスファターゼ、ペルオキシダーゼ及びセルラーゼのような要素を更に含んでもよい。
更なる他の例では、密着結合調整因子は脂肪酸及びその脂肪酸塩である。本発明の脂肪酸密着結合調整因子は異なってもよく、例えばC8(カプリル酸塩)脂肪酸、C10 (カプリン酸)脂肪酸及びC12 (ラウリン酸)脂肪酸並びにこれらの脂肪酸塩のような中鎖脂肪酸のいずれか1つ又は組み合わせを含んでもよい。ある例では、例えば、2以上の胃腸上皮バリアエンハンサの組み合わせとしてカプリン酸ナトリウムが含まれている。
本発明の実施形態では、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせである。「相乗的に有効な」という用語は、胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせが、個々の胃腸上皮バリア透過エンハンサの演算合計によって達成される効果より大きい(つまり、胃腸上皮バリア透過を高める)効果をもたらすことを意味する。例えば、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせは、個々の胃腸上皮バリア透過エンハンサの演算合計によって達成される効果より1.5倍以上大きい効果をもたらし、例えば個々の胃腸上皮バリア透過エンハンサの演算合計によって達成される効果より2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、25倍以上を含む10倍以上(場合によっては50倍以下のような100 倍以下)大きい効果をもたらす。そのため、2つの胃腸上皮バリア透過エンハンサが組み合わせられる場合、本発明によって提供されるような相乗的に有効な組み合わせは、2つの個々の胃腸上皮バリア透過エンハンサの合計によって達成される効果より2倍以上、5倍以上、25倍以上を含む10倍以上のような1.5倍以上大きい効果をもたらす。同様に、3つの胃腸上皮バリア透過エンハンサが組み合わせられる場合、本発明の相乗的に有効な組み合わせは、3つの個々の胃腸上皮バリア透過エンハンサの合計によって達成される効果より2倍以上、5倍以上、25倍以上を含む10倍以上大きい効果をもたらす。場合によっては、500 倍以下を含む750 倍以下のような1000倍以下、例えば100 倍以下を含む250 倍以下大きい効果をもたらす。
例えば、酵素密着結合調整因子(例えばブロメライン)及び多糖密着結合調整因子(例えば未修飾キトサン)が本発明の方法で共に使用される場合、組み合わせによって、酵素密着結合調整因子(例えばブロメライン)単独と多糖密着結合調整因子(例えば未修飾キトサン)単独との演算合計によって達成される効果より大きい(つまり、低分子ヘパリンの胃腸上皮バリア透過を高める)効果がもたらされる。これらの実施形態では、酵素密着結合調整因子と多糖密着結合調整因子との相乗的に有効な組み合わせが、酵素密着結合調整因子単独と多糖密着結合調整因子単独との演算合計によって達成される効果より5倍以上、25倍以上を含む10倍以上のような2倍以上大きい効果をもたらす。
同様に、胆汁酸密着結合調整因子(例えばデオキシコール酸塩)及び脂肪酸密着結合調整因子(例えばカプリン酸ナトリウム)が本発明の方法で共に使用される場合、組み合わせによって、低分子へパリンの胃腸上皮バリア透過が、胆汁酸密着結合調整因子単独と脂肪酸密着結合調整因子単独との演算合計によって達成されるより大きく高められる。これらの実施形態では、胆汁酸密着結合調整因子と脂肪酸密着結合調整因子との相乗的に有効な組み合わせが、胆汁酸密着結合調整因子単独と脂肪酸密着結合調整因子単独との演算合計によって達成される効果より5倍以上、25倍以上を含む10倍以上のような2倍以上大きい効果をもたらす。
相乗的に有効な組み合わせ内における各胃腸上皮バリア透過エンハンサの濃度は、所望の効果と組み合わせられる胃腸上皮バリア透過エンハンサのタイプとに応じて異なってもよい。相乗的に有効な組み合わせ内における各胃腸上皮バリア透過エンハンサの濃度は、組成物の全質量の0.1 %以上、1%以上、2%以上、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、50%以上を含む25%以上のような組成物の全質量の0.01%以上であってもよい。他の実施形態では、組み合わせ内における各胃腸上皮バリア透過エンハンサの濃度は、0.05mg/mL 以上、0.1mg/mL以上、5mg/mL以上を含む1mg/mL以上のような0.01mg/mL 以上である。更なる他の実施形態では、組み合わせ内における各胃腸上皮バリア透過エンハンサの濃度は、0.5 mM以上、1mM以上、5mM以上、10mM以上、50mM以上を含む25mM以上のような0.1 mM以上である。
2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせ内における各胃腸上皮バリア透過エンハンサの質量パーセントは、組成物の全質量の2%以上、5%以上、10%以上、50%以上を含む25%以上のような、組成物の全質量の1%以上の範囲内で異なってもよい。例えば、胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせが2つの胃腸上皮バリア透過エンハンサを含んでいる場合、第1の胃腸上皮バリア透過エンハンサと第2の胃腸上皮バリア透過エンハンサとの質量比は、1:1 及び1:2.5 間の範囲、1:2.5 及び1:5 間の範囲、1:5 及び1:10間の範囲、1:10及び1:25間の範囲、1:25及び1:50間の範囲、1:50及び1:100 間の範囲、1:100 及び1:150 間の範囲、1:150 及び1:200 間の範囲、1:200 及び1:250 間の範囲、1:250 及び1:500 間の範囲、1:500 及び1:1000間の範囲、又はこれらの範囲内で異なってもよい。例えば、第1の胃腸上皮バリア透過エンハンサと第2の胃腸上皮バリア透過エンハンサとの質量比は、1:1 及び1:10間の範囲、1:5 及び1:25間の範囲、1:10及び1:50間の範囲、1:25及び1:100 間の範囲、1:50及び1:500 間の範囲、又は1:100 及び1:1000間の範囲内であってもよい。ある実施形態では、第2の胃腸上皮バリア透過エンハンサと第1の胃腸上皮バリア透過エンハンサとの質量比は、1:1 及び1:2.5 間の範囲、1:2.5 及び1:5 間の範囲、1:5 及び1:10間の範囲、1:10及び1:25間の範囲、1:25及び1:50間の範囲、1:50及び1:100 間の範囲、1:100 及び1:150 間の範囲、1:150 及び1:200 間の範囲、1:200 及び1:250 間の範囲、1:250 及び1:500 間の範囲、1:500 及び1:1000間の範囲、又はこれらの範囲内である。例えば、第2の胃腸上皮バリア透過エンハンサと第1の胃腸上皮バリア透過エンハンサとの質量比は、1:1 及び1:10間の範囲、1:5 及び1:25間の範囲、1:10及び1:50間の範囲、1:25及び1:100 間の範囲、1:50及び1:500 間の範囲、又は1:100 及び1:1000間の範囲内であってもよい。
ある実施形態では、本発明の相乗的に有効な組み合わせは、キトサン及びブロメラインの組み合わせを含んでいる。場合によっては、キトサンは未修飾キトサンである。キトサンの濃度は、約3%w/v を含む約0.15%w/v 〜約4.5 %w/v 、約0.2 %w/v 〜約4%w/v 、約0.25%w/v 〜約3.5 %w/v 、約0.3 %w/v 〜約3%w/v 、約0.5 %w/v 〜約2.5 %w/v 、約0.5 %w/v 〜約1.5 %w/v のような約0.1 %w/v 〜約5%w/v の範囲内で異なってもよい。同様に、ブロメラインの濃度は、約0.2mg/mL〜約0.9mg/mL、約0.25mg/mL 〜約0.75mg/mL 、約0.4mg/mL〜約0.5mg/mLを含む約0.3mg/mL〜約0.6mg/mLのような約0.01mg/mL 〜約1.0mg/mLの範囲内で異なってもよい。そのため、本発明の組成物中のブロメラインの重量パーセントは、約0.2 %w/v 〜約0.9 %w/v 、約0.25%w/v 〜約0.75%w/v 、約0.4 %w/v 〜約0.5 %w/v を含む約0.3 %w/v 〜約0.6 %w/v のような約0.01%w/v 〜約1%w/v の範囲内であってもよい。場合によっては、ブロメライン及びキトサンの相乗的に有効な組み合わせは、0.5mg/mLのブロメライン及び3%w/v のキトサンの組み合わせ、0.25mg/mL のブロメライン及び1.5 %w/v のキトサンの組み合わせ、又は0.12mg/mL のブロメライン及び0.75%w/v のキトサンの組み合わせを含んでいる。そのため、キトサンとブロメラインとの質量比は、1:1 及び1:2.5 間の範囲、1:2.5 及び1:5 間の範囲、1:5 及び1:10間の範囲、1:10及び1:25間の範囲、1:25及び1:50間の範囲、1:50及び1:100 間の範囲、1:100 及び1:150 間の範囲、1:150 及び1:200 間の範囲、1:200 及び1:250 間の範囲、1:250 及び1:500 間の範囲、1:500 及び1:1000間の範囲、又はこれらの範囲内で異なってもよい。例えば、キトサンとブロメラインとの質量比は、1:1 及び1:10間の範囲、1:5 及び1:25間の範囲、1:10及び1:50間の範囲、1:25及び1:100 間の範囲、1:50及び1:500 間の範囲、又は1:100 及び1:1000間の範囲内であってもよい。ある実施形態では、ブロメラインとキトサンとの質量比は、1:1 及び1:2.5 間の範囲、1:2.5 及び1:5 間の範囲、1:5 及び1:10間の範囲、1:10及び1:25間の範囲、1:25及び1:50間の範囲、1:50及び1:100 間の範囲、1:100 及び1:150 間の範囲、1:150 及び1:200 間の範囲、1:200 及び1:250 間の範囲、1:250 及び1:500 間の範囲、1:500 及び1:1000間の範囲、又はこれらの範囲内である。例えば、ブロメラインとキトサンとの質量比は、1:1 及び1:10間の範囲、1:5 及び1:25間の範囲、1:10及び1:50間の範囲、1:25及び1:100 間の範囲、1:50及び1:500 間の範囲、又は1:100 及び1:1000間の範囲内であってもよい。これらの実施形態では、キトサン及びブロメラインの相乗的に有効な組み合わせは、胃腸上皮バリアを介した透過の向上に関して、個々のキトサン及びブロメラインの演算合計によって達成される効果より大きな効果をもたらす。例えば、場合によっては、キトサン及びブロメラインの組み合わせは、胃腸上皮バリアを介した透過を、個々のキトサン及びブロメラインの演算合計によって達成される効果より5倍以上、25倍以上を含む10倍以上のような2倍以上高める。そのため、これらの実施形態では、本方法は、キトサン及びブロメラインの相乗的に有効な組み合わせと共に低分子ヘパリンを投与することを有する。例えば、本方法は、キトサン及びブロメラインの相乗的に有効な組み合わせと共に、アルデパリン、ベミパリン、バイオペリン、セルトパリン、ダルテパリン、エノキサパリン、ミニパリン、ナドロパリン、パルナパリン、レビパリン、サンドパリン及びチンザパリン並びにこれらの組み合わせのような低分子へパリンを投与することを有してもよい。
ある実施形態では、胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせが、低分子ヘパリンと組み合わせた各胃腸上皮バリア透過エンハンサの特定の量によりもたらされる。言い換えれば、相乗的な透過向上効果が、組み合わせ内における各胃腸上皮バリア透過エンハンサの特定の量によってこれらの実施形態でもたらされる。例えば、胃腸上皮バリア透過エンハンサがブロメライン及び未修飾キトサンである場合、ブロメラインの量が約0.15mg/mL 〜約0.4mg/mLのような、約0.5mg/mLを含む約0.1mg/mL〜約0.5mg/mLの範囲内であり、未修飾キトサンの量が約1.25%w/v 〜約4.5 %w/v 、約1.5 %w/v 〜約4%w/v 、約1.75%w/v 〜約3.5 %w/v 、約3%w/v を含む約2%w/v 〜約3.25%w/v のような約1%w/v 〜約5%w/v の範囲内である状態で、相乗的な透過向上効果がもたらされる。場合によっては、ブロメラインの量が0.5mg/mLであり、未修飾キトサンの量が3%w/v である状態で、相乗的な透過向上効果がもたらされる。他の例では、ブロメラインの量が0.25mg/mL であり、未修飾キトサンの量が1.5 %w/v である状態で、相乗的な透過向上効果がもたらされる。更なる他の実施形態では、ブロメラインの量が0.12mg/mL であり、未修飾キトサンの量が0.75%w/v である状態で、相乗的な透過向上効果がもたらされる。
他の実施形態では、複数の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせが、低分子ヘパリンと組み合わせた胃腸上皮バリア透過エンハンサの特定の割合によりもたらされる。言い換えれば、相乗的な透過向上効果は、組み合わせ内における胃腸上皮バリア透過エンハンサの特定の割合によってこれらの実施形態でもたらされる。例えば、胃腸上皮バリア透過エンハンサがブロメライン及び未修飾キトサンである場合、ブロメライン及び未修飾キトサンの相乗的に有効な組み合わせでは、未修飾キトサンとブロメラインとの割合が、1:1 及び1:2.5 間の範囲、1:2.5 及び1:5 間の範囲、1:5 及び1:10間の範囲、1:10及び1:25間の範囲、1:25及び1:50間の範囲、1:50及び1:100 間の範囲、1:100 及び1:150 間の範囲、1:150 及び1:200 間の範囲、1:200 及び1:250 間の範囲、1:250 及び1:500 間の範囲、1:500 及び1:1000間の範囲、又はこれらの範囲内であってもよい。
胃腸上皮バリア透過エンハンサ、対象の生理機能及び投与される低分子ヘパリンのタイプに応じて、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせ内における各胃腸上皮バリア透過エンハンサが、同時に又は異なる時間に(つまり、いずれかの順序で順次)投与されてもよい。言い換えれば、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの内の1つの胃腸上皮バリア透過エンハンサとその後の別の胃腸上皮バリア透過エンハンサとが同時に投与されるように、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせが投与されてもよい。例えば、4以上の密着結合調整因子を含む3以上の密着結合調整因子のような2以上の密着結合調整因子が低分子ヘパリンと組み合わせて使用されてもよい。例えば、複数ある組み合わせの内、多糖及びプロテアーゼと、脂肪酸及び多糖と、多糖及び胆汁酸と、多糖、脂肪酸及び胆汁酸と、2つの異なる多糖と、又は2つの異なる胆汁酸とのような、密着結合調整因子のあらゆる組み合わせが使用されてもよい。
上記に記載したように、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせと共に低分子ヘパリンを対象に経口で投与することにより、血栓塞栓症を治療するか又は予防するための方法を提供する。「対象」という用語は、血栓塞栓症の治療を受ける人又は生体を意味する。そのため、本発明の対象は、チンパンジー、他の類人猿種及びサル種のようなヒト及び他の霊長類と、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ及びウマのような家畜と、イヌ及びネコのような飼いならされた哺乳類と、マウス、ラット及びモルモットのようなげっ歯動物類を含む実験動物と、ニワトリ、シチメンチョウ及び他のキジ類のトリ、アヒル、ガチョウなどのような飼いならされたトリ、野生のトリ及び狩猟用のトリを含む鳥類とを含むがこれらに限定されない。
ある実施形態では、対象はヒトである。例えば、本方法はヒトの血栓塞栓症を治療するか又は予防するために使用されてもよく、例えば、血栓塞栓症は、心筋梗塞、外科手術後の深部静脈血栓症、一過性脳虚血発作、冠動脈バイパス移植、末梢血管疾患、卒中経皮経管冠動脈形成、急性前骨髄球性白血病、糖尿病、多発性骨髄腫、敗血症性ショック、電撃性紫斑病、成人呼吸窮迫症候群、狭心症、大動脈弁又は人工血管の挿入及び存在、心臓カテーテル、経管内部形成、心臓弁置換に関連している。
本発明の態様は、血栓塞栓症を治療するか又は予防するために、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせと共にある量の低分子ヘパリンを有する組成物を対象に経口で投与することを含んでいる。上記に記載したように、「低分子ヘパリン」という用語は、分画されていない天然に存在する高分子へパリンの分別又は解重合によって得られる、平均分子量が2kDa〜12kDa の範囲内である短鎖硫酸化グリコサミノグリカンの抗凝固性化合物の種類に言及すべく、従来の意味で使用される。ある実施形態では、低分子ヘパリンは生物源から得られたヘパリン由来であってもよい。「生物源」という用語は、天然に存在する生物体又は生物体の一部を意味する。例えば、着目する低分子ヘパリンは、ブタ腸又はウシ肺のような屠殺された食肉用動物の粘膜組織から抽出された未分画ヘパリンから分別されてもよく又は解重合されてもよい。あらゆる便利なプロトコルが、生物源から低分子ヘパリンを抽出するために使用され得る。例えば、低分子ヘパリンは、複数ある処置の内、酸−塩基の抽出、酵素分解、選択的沈殿、濾過によって生物源から抽出され得る。場合によっては、低分子ヘパリンは、酵素的解重合又は化学的解重合によって形成される未分画高分子へパリンの低分子断片であってもよい。
他の実施形態では、低分子ヘパリンは合成の低分子ヘパリンである。「合成」という用語は、低分子ヘパリンが人為的な方法(例えば化学合成)によって部分的又は全体的に生成されることを意味する。例えば、合成の低分子ヘパリンは硫酸化オリゴ糖のような硫酸化オリゴマーであってもよい。
例えば、低分子ヘパリンは、アルデパリン、ベミパリン、バイオペリン、セルトパリン、ダルテパリン、エノキサパリン、ミニパリン、ナドロパリン、パルナパリン、レビパリン、サンドパリン及びチンザパリン並びにこれらの組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。
低分子ヘパリンの所望の効果及び効能に応じて、一又は複数の低分子ヘパリンが共に使用されてもよい。例えば、4以上の低分子ヘパリンを含む3以上の低分子ヘパリンのような2以上の低分子ヘパリンが共に使用されてもよい。2以上の低分子ヘパリンが使用される場合、低分子ヘパリンの全てが、天然の低分子ヘパリン、合成の低分子ヘパリン又はそれらのあらゆる組み合わせであってもよい。2以上の低分子ヘパリンが使用される場合、組成物中の各低分子ヘパリンの質量パーセントが、組成物の全質量の2%以上、5%以上、10%以上、50%以上を含む25%以上のような、組成物の全質量の1%以上の範囲内で異なってもよい。
低分子ヘパリンと、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせとの質量比は、1:1 及び1:2.5 間の範囲、1:2.5 及び1:5 間の範囲、1:5 及び1:10間の範囲、1:10及び1:25間の範囲、1:25及び1:50間の範囲、1:50及び1:100 間の範囲、1:100 及び1:150 間の範囲、1:150 及び1:200 間の範囲、1:200 及び1:250 間の範囲、1:250 及び1:500 間の範囲、1:500 及び1:1000間の範囲、又はこれらの範囲内で異なってもよい。例えば、低分子ヘパリンと2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせとの質量比が、1:1 及び1:10間の範囲、1:5 及び1:25間の範囲、1:10及び1:50間の範囲、1:25及び1:100 間の範囲、1:50及び1:500 間の範囲、又は1:100 及び1:1000間の範囲内であってもよい。ある実施形態では、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせと低分子ヘパリンとの質量比が、1:1 及び1:2.5 間の範囲、1:2.5 及び1:5 間の範囲、1:5 及び1:10間の範囲、1:10及び1:25間の範囲、1:25及び1:50間の範囲、1:50及び1:100 間の範囲、1:100 及び1:150 間の範囲、1:150 及び1:200 間の範囲、1:200 及び1:250 間の範囲、1:250 及び1:500 間の範囲、1:500 及び1:1000間の範囲、又はこれらの範囲内である。例えば、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせと低分子ヘパリンとの質量比が、1:1 及び1:10間の範囲、1:5 及び1:25間の範囲、1:10及び1:50間の範囲、1:25及び1:100 間の範囲、1:50及び1:500 間の範囲、又は1:100 及び1:1000間の範囲内であってもよい。
低分子ヘパリンと2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせとが、対象に任意の順で投与されてもよい。場合によっては、低分子ヘパリンは、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせを経口で投与する前に経口で投与される。他の例では、低分子ヘパリンは、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせを経口で投与した後に経口で投与される。更なる他の例では、低分子ヘパリンは、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせを経口で投与すると共に(つまり同時に)経口で投与される。低分子ヘパリン及び2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせの両方が同時に投与される場合、各々は同一の組成物又は異なる組成物で投与され得る。低分子ヘパリン及び2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせが同時に投与される場合、低分子ヘパリンは、組成物を対象に投与する前に2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせと混合されてもよい。乾燥振盪、溶液又は懸濁液の混合、工業用の混合プロトコルなどのあらゆる便利な混合プロトコルが使用されてもよい。従って、低分子ヘパリン及び2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせが、併用療法によって個人に与えられ得る。「併用療法」という用語は、低分子ヘパリン及び胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせの治療効果が治療を受ける対象にもたらされるような対象への投与を意図している。同様に、一又は複数の低分子ヘパリン及び2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサは、少なくとも1つの治療用量で経口で投与され得る。
上記に記載したように、胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせが相乗的な透過向上効果をもたらす限り、低分子ヘパリン及び2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサのあらゆる適切な組み合わせが投与されてもよい。ある実施形態では、本方法は、カプリン酸ナトリウム、デオキシコール酸塩、ブロメライン及びキトサンの内の2以上の相乗的に有効な組み合わせと共に低分子ヘパリンを投与することを有する。例えば、本方法は、ブロメライン及びキトサンの相乗的に有効な組み合わせと共に低分子ヘパリンを投与することを有してもよい。例えば、アルデパリン、ベミパリン、バイオペリン、セルトパリン、ダルテパリン、エノキサパリン、ミニパリン、ナドロパリン、パルナパリン、レビパリン、サンドパリン及びチンザパリンの内の1又は複数が、ブロメライン及びキトサンの相乗的に有効な組み合わせと共に投与されてもよい。
本明細書に開示されているような2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせとの低分子ヘパリンが、単独で(つまり単一の薬剤として)又は他の血液凝固を阻止する薬剤若しくは抗血栓症の薬剤のような他の治療薬と組み合わせて投与され得る。必要に応じて、胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせとのある量の低分子ヘパリンが、血栓塞栓症であると診断された対象の治療に使用されてもよく、例えば、心筋梗塞、外科手術後の深部静脈血栓症、一過性脳虚血発作、冠動脈バイパス移植、末梢血管疾患、卒中経皮経管冠動脈形成、急性前骨髄球性白血病、糖尿病、多発性骨髄腫、敗血症性ショック、電撃性紫斑病、成人呼吸窮迫症候群、狭心症、大動脈弁又は人工血管の挿入及び存在、心臓カテーテル、経管内部形成、心臓弁置換に関連した血栓塞栓症であると診断された対象の治療に使用されてもよい。
本発明の方法を実行する際に、対象の血栓塞栓症を治療するか又は予防するためのプロトコルが、例えば年齢と、体重と、血液凝固異常の重症度と、対象の健康状態と、投与される低分子ヘパリン及び胃腸上皮バリア透過エンハンサの特定の組成物及び濃度とによって異なってもよい。経口投与及び胃腸系による吸収の後の対象で達成される低分子ヘパリンの濃度は、場合によっては0.01nM〜500 nMの範囲内で異なってもよい。着目する低分子ヘパリンはその最適濃度で抗血栓症であり抗凝固性である。「最適濃度」という用語は、低分子ヘパリンが最大の抗凝固活性を示す濃度を意味する。そのため、低分子ヘパリンの効能及び所望の効果に応じて、本発明の方法によって提供される低分子ヘパリンの最適濃度は、0.1 nM〜250 nM、0.1 nM〜100 nM、0.1 nM〜75nM、0.1 nM〜50nM、0.1 nM〜25nM、0.1 nM〜1nMを含む0.1 nM〜10nMのような0.01nM〜500 nMの範囲内であってもよい。同様に、経口投与及び胃腸系による吸収の後の対象で達成される胃腸上皮バリア透過エンハンサの濃度は、場合によっては0.01nM〜500 nMの範囲内で異なってもよい。例えば、低分子ヘパリンの固有の吸収率及び所望の効果に応じて、本発明の方法によって提供される胃腸上皮バリア透過エンハンサの濃度は、0.1 nM〜250 nM、0.1 nM〜100 nM、0.1 nM〜75nM、0.1 nM〜50nM、0.1 nM〜25nM、0.1 nM〜1nMを含む0.1 nM〜10nMのような0.01nM〜500 nMの範囲内であってもよい。
従って、着目する2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせと共に低分子ヘパリンを含む組成物の経口投与量は、1日当たり0.01mg/kg 〜400mg/kg、1日当たり0.01mg/kg 〜200mg/kg、1日当たり0.1mg/kg〜100mg/kg、1日当たり0.01mg/kg 〜10mg/kg 、1日当たり0.02mg/kg 〜2mg/kg を含む1日当たり0.01mg/kg 〜2mg/kg のような1日当たり約0.01mg/kg 〜500mg/kgの範囲内で異なってもよい。他の実施形態では、経口投与量は、1日4回(QID )0.01〜50mg/kg 、QID 0.01mg/kg 〜10mg/kg 、QID 0.01mg/kg 〜2mg/kg 、QID 0.01〜0.2mg/kgのようなQID 0.01〜100mg/kgの範囲内であってもよい。他の実施形態では、経口投与量は、1日3回(TID )0.01mg/kg 〜10mg/kg 、TID 0.01mg/kg 〜0.2mg/kgを含むTID 0.01mg/kg 〜2mg/kg のようなTID 0.01mg/kg 〜50mg/kg の範囲内であってもよい。更なる他の実施形態では、経口投与量は、1日2回(BID )0.01mg/kg 〜10mg/kg 、BID 0.01mg/kg 〜0.2mg/kgを含むBID 0.01mg/kg 〜2mg/kg のようなBID 0.01mg/kg 〜100 mg/kg の範囲内であってもよい。投与される化合物の量は、特定の低分子ヘパリンの効能及び濃度、所望の抗血栓効果の大きさ、低分子ヘパリンの固有の吸収率、及び胃腸の吸収の所望の向上に応じて決められる。
上記に説明するように、ある量の低分子ヘパリン及び2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせを含む組成物が、他の低分子ヘパリン、胃腸上皮バリア透過エンハンサ、又は臨床医の判断及び対象の必要性による投与スケジュールに応じた他の抗血栓剤、血液因子若しくは他の薬剤のような他の治療薬と組み合わせて経口で投与されてもよい。そのため、投与スケジュールは、1日5回、1日4回、1日3回、1日2回、1日1回、1週間3回、1週間2回、1週間1回、1ヶ月2回、1ヶ月1回及びこれらのあらゆる組み合わせの投与を含んでもよいが、これらに限定されない。
ある実施形態では、血栓塞栓症は、本方法及び組成物を長期間に亘って複数回の投与で必要とする慢性的な症状であってもよい。或いは、本発明の方法及び組成物は、急性の疾患(例えば外科手術、心臓発作、卒中、肺塞栓症などによって引き起こされる血栓症)を治療するために、相対的に短い期間、例えば1〜2週間で1回又は複数回の投与で行われてもよい。本発明の実施形態を実施する際に、治療の一又は複数の治療上有効なサイクルが対象に行われる。「治療の治療上有効なサイクル」という用語は、行われると、治療に対して所望の治療反応をもたらす治療のサイクルを意味する。例えば、治療の一又は複数の治療上有効なサイクルは、血液凝固検査法(例えば以下に詳細に記載されているようなCAT 、aPTT)によって決定されるような血栓症の開始又は割合を5%以上、10%以上、15%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、75%以上、90%以上、95%以上のような1%以上、下げてもよく、血栓症の開始又は割合を99%以上、下げてもよい。他の例では、治療の一又は複数の治療上有効なサイクルが、2倍以上、5倍以上、10倍以上、50倍以上のような1.5 倍以上、血栓症の開始又は割合を下げてもよく、血栓症の開始又は割合を100 倍以上、下げてもよい。
ある実施形態では、本発明の方法によって治療される対象は陽性の治療反応を示す。「陽性の治療反応」という用語は、対象が血栓塞栓症の一又は複数の症状における改善を示すことを意味する。例えば、本発明によって提供される方法に陽性の治療反応を示す対象は、血塊の形成回数の低下、凝固時間の増加又はこれらの組み合わせのような反応を含むが、これに限定されない。ある実施形態では、治療の2以上の治療上有効なサイクルが行われる。
組成物が胃腸上皮を介して吸収される限り、投与のあらゆる便利なモードが使用されてもよい。そのため、投与のモードは、経口投与(つまり口を通した投与)又は経鼻胃管(例えば栄養管若しくはNG管)による投与を含んでもよい。以下により詳細に説明するように、本発明の医薬組成物は、液状溶液若しくは懸濁液、シロップ、タブレット、カプセル、粉末、ゲル又はこれらのあらゆる組み合わせの形態であってもよい。ある量の低分子ヘパリン及び2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせを有する組成物が対象に経口で投与される場合、上記に詳細に説明されているように、低分子ヘパリンの投与モードは、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせの投与モードと同一であってもよく又は異なってもよい。例えば、場合によっては、低分子ヘパリンは経口で投与されるが、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは経鼻胃管によって投与される。他の例では、低分子ヘパリン及び2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせの両方が経口で投与される。
ある実施形態では、本発明の方法は、ある量の低分子ヘパリン及び胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせを有する組成物を予防的に経口で投与することを、例えば計画された手術の前、又は偶発的な血栓症の潜在的なリスクを減らすことを望む度に有する。必要に応じて、計画された処置前の1週間を含む計画された処置前の1時間以上、計画された処置前の10時間、計画された処置前の24時間のように、組成物は予防的に投与されてもよい。場合によっては、計画された処置前又は計画された処置中に投与される組成物は、徐放性製剤(例えば徐放性カプレット又はタブレット)であってもよい。
ある実施形態では、本発明の組成物は、関連する疾患又は無関係な疾患を治療するための他の薬剤の前、該他の薬剤と同時又は該他の薬剤の後に経口で投与され得る。他の薬剤と同時に投与される場合、本発明の組成物は同一の組成又は異なる組成で投与され得る。従って、低分子ヘパリン、着目する2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせ、及び他の薬剤が、併用療法で経口投与の形態で個人に与えられ得る。例えば、併用療法は、特定の経口投与計画に応じて治療上有効な用量を組み合わせで有する本発明の組成物と、抗血栓剤、抗炎症薬、成長因子調節剤、血行動態調整因子又は化学療法薬のような少なくとも1つの他の薬剤を有する医薬組成物とを投与することにより達成されてもよい。同様に、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせ及び治療薬との一又は複数の低分子ヘパリンは、少なくとも1つの治療用量で投与され得る。個別の医薬組成物は、これらの物質の組み合わせの治療効果が治療を受ける対象にもたらされる限り、同時に又は異なる時間で(つまり、順次、いずれかの順番で、同一の日に又は異なる日に)投与され得る。
組成物
本発明の態様は、対象の血栓塞栓症を治療するか又は予防するための経口投与組成物を更に含んでいる。本発明の実施形態では、組成物は、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせと共にある量の低分子ヘパリンを有している。上記に詳細に記載されているように、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせは、経口で投与されると、個々の胃腸上皮バリア透過エンハンサの演算合計によって達成される量より多いように、胃腸系によって吸収される低分子ヘパリンの量を増加させる組み合わせである。更に、2以上の胃腸透過エンハンサの組み合わせは、胃腸上皮を介して低分子ヘパリンの吸収の開始を速め(つまり、吸収が始まるまでの時間を短くし)、且つ対象の胃腸上皮を横切って低分子ヘパリンが送達される全体速度を速める(つまり、胃腸系による低分子ヘパリンの吸収が完了するまでの時間を短くする)。
上記の通り、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせは、胃腸系によって吸収される低分子ヘパリンの量を増加させてもよい。例えば、胃腸上皮バリア透過エンハンサの本組み合わせは、胃腸系によって吸収される低分子ヘパリンの量を、適切な対照と比較して10%以上、25%以上、50%以上、75%以上、90%以上、95%以上のような5%以上増加させてもよい。他の実施形態では、本発明の経口組成物中の2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせは、胃腸上皮を介した低分子ヘパリンの吸収の開始を速める。例えば、本組み合わせは、低分子ヘパリンの吸収を開始するのに必要な時間を、適切な対照と比較して10%以上、25%以上、50%以上、75%以上、90%以上、95%以上のような5%以上短くしてもよい。更なる他の実施形態では、本発明の経口組成物中の2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせは、低分子ヘパリンの吸収率を増加させる。例えば、本組み合わせは、低分子ヘパリンの吸収率を、適切な対照と比較して5%以上、10%以上、25%以上、50%以上、75%以上、100 %以上、500 %以上を含む200 %以上のような2%以上増加させてもよい。
場合によっては、着目する経口組成物中の2以上の胃腸上皮透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせは、Caco-2細胞モデルによって決定されるような低分子ヘパリンの吸収率を増加させてもよい。例えば、胃腸上皮バリア透過エンハンサの本組み合わせは、Caco-2細胞モデルによって決定されるような吸収率を、適切な対照と比較して5%以上、10%以上、25%以上、50%以上、75%以上、100 %以上、500 %以上を含む200 %以上のような2%以上増加させてもよい。
上記に詳細に説明されているように、本発明の経口投与組成物は、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせと共に一又は複数の低分子ヘパリンを有している。着目する組成物中の2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせは、特定の血液凝固障害、対象の生理機能及び胃腸系による吸収の所望の向上に応じて異なってもよい。ある実施形態では、胃腸上皮バリア透過エンハンサは密着結合調整因子である。例えば、本発明の経口投与組成物中の密着結合調整因子は、酵素、胆汁酸、多糖、脂肪酸及びその塩、並びにこれらのあらゆる組み合わせを含むが、これらに限定されない。
場合によっては、密着結合調整因子は多糖である。例えば多糖密着結合調整因子は、場合によってはキトサンであってもよい。キトサンは、上記に説明されているように、2-アセトアミド-2- デオキシ- β-D- グルコピラノース及びキチンのN-脱アセチル化によって生成される2-アミノ- β-D- グルコピラノースの線状コポリマーに言及している。多糖密着結合調整因子は、特にN-アルキルキトサン、アシル化キトサン、カルボキシメチルキトサン、チオール化キトサン、リン酸化キトサン、キトサンシクロデキストリン、N-(アミノアルキル)キトサン、スクシニルキトサン及びオクタノイルキトサンのようなキトサンの誘導体を更に含んでもよい。ある実施形態では、多糖密着結合調整因子は未修飾キトサンである。上記に記載されているように、「未修飾キトサン」という用語は、化学的構造又は化学的性質を向上させるか他の場合には変更するために何らかの方法で化学的に誘導されていない又は修飾されていないキトサンに言及すべく、従来の意味で使用されている。そのため、未修飾キトサンは、例えば硫酸化、アセチル化、グリコシル化、リン酸化、(例えばポリエチレングリコールとの)ポリマー結合によって任意の他の外来部分で修飾されていないキトサンである。例えば、未修飾キトサンは、スルフヒドリル基を与えるべくチオール化されたキトサン(例えばキトサン−チオ−ブチルアミジン)又は多糖構造の表面に固定されたメチル基を与えるべくメチル化されたキトサン(例えばN-トリメチル−キトサン)を除外する。同様に、未修飾キトサンは特には、N-アルキルキトサン、アシル化キトサン、リン酸化キトサン、N-(アミノアルキル)キトサン、スクシニルキトサン及びオクタノイルキトサンのようなキトサンの誘導体、及び、ポリペプチド、他の多糖、シクロデキストリン、クラウンエーテル及びガラスビーズ又はナノ粒子で修飾されたキトサンの誘導体を除外する。
他の例では、密着結合調整因子は胆汁酸である。適切な胆汁酸密着結合調整因子は、特にはコール酸(コール酸塩)、デオキシコール酸(デオキシコール酸塩)、ケノデオキシコール酸(ケノデオキシコール酸塩)、ウルソデオキシコール酸(ウルソデオキシコール酸塩)、グリココール酸(グリココール酸塩)、タウロコール酸(タウロコール酸塩)及びリトコール酸(リトコール酸塩)を含んでもよいが、これらに限定されない。
他の例では、密着結合修飾因子は酵素である。例えば、本発明のある組成物では、酵素密着結合調整因子は、ブロメラインのようなプロテアーゼである。
更なる他の例では、密着結合調整因子は脂肪酸及びその脂肪酸塩である。本発明の組成物中の脂肪酸密着結合修飾因子は異なってもよく、例えばC8(カプリル酸塩)脂肪酸、C10 (カプリン酸)脂肪酸及びC12 (ラウリン酸)脂肪酸並びにこれらの脂肪酸塩のような中鎖脂肪酸のいずれか1つ又は組み合わせを含んでもよい。ある例では、例えば、脂肪酸密着結合調整因子はカプリン酸ナトリウムである。
本発明の実施形態では、経口投与組成物は、2以上の相乗的に有効な胃腸上皮バリア透過エンハンサを有している。例えば、組成物は、4以上の密着結合調整因子を含む3以上の密着結合調整因子のような2以上の密着結合調整因子を含んでもよい。上記に記載されているように、胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせが相乗的な透過向上効果をもたらす限り、組成物は、密着結合調整因子のあらゆる組み合わせを含んでもよく、複数ある組み合わせの内、例えば多糖及びプロテアーゼと、脂肪酸及び多糖と、多糖及び胆汁酸と、多糖、脂肪酸及び胆汁酸と、2つの異なる多糖と、又は2つの異なる胆汁酸とを含んでもよい。
組み合わせ内における各胃腸上皮バリア透過エンハンサの濃度は異なってもよい。胃腸上皮バリア透過エンハンサに応じて、組み合わせ内における各胃腸上皮バリア透過エンハンサの濃度は、0.05mg/mL 以上、0.1mg/mL以上、5mg/mL以上を含む1mg/mL以上のような0.01mg/mL 以上である。更なる他の実施形態では、組み合わせ内における各胃腸上皮バリア透過エンハンサの濃度は、0.5 mM以上、1mM以上、5mM以上、10mM以上、50mM以上を含む25mM以上のような0.1 mM以上である。
2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせ内における各胃腸上皮バリア透過エンハンサの質量パーセントは、組成物の全質量の2%以上、5%以上、10%以上、50%以上を含む25%以上のような、組成物の全質量の1%以上の範囲内で異なってもよい。例えば、胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせが2つの胃腸上皮バリア透過エンハンサを含んでいる場合、第1の胃腸上皮バリア透過エンハンサと第2の胃腸上皮バリア透過エンハンサとの質量比は、1:1 及び1:2.5 間の範囲、1:2.5 及び1:5 間の範囲、1:5 及び1:10間の範囲、1:10及び1:25間の範囲、1:25及び1:50間の範囲、1:50及び1:100 間の範囲、1:100 及び1:150 間の範囲、1:150 及び1:200 間の範囲、1:200 及び1:250 間の範囲、1:250 及び1:500 間の範囲、1:500 及び1:1000間の範囲、又はこれらの範囲内で異なってもよい。例えば、第1の胃腸上皮バリア透過エンハンサと第2の胃腸上皮バリア透過エンハンサとの質量比は、1:1 及び1:10間の範囲、1:5 及び1:25間の範囲、1:10及び1:50間の範囲、1:25及び1:100 間の範囲、1:50及び1:500 間の範囲、又は1:100 及び1:1000間の範囲内であってもよい。ある実施形態では、第2の胃腸上皮バリア透過エンハンサと第1の胃腸上皮バリア透過エンハンサとの質量比は、1:1 及び1:2.5 間の範囲、1:2.5 及び1:5 間の範囲、1:5 及び1:10間の範囲、1:10及び1:25間の範囲、1:25及び1:50間の範囲、1:50及び1:100 間の範囲、1:100 及び1:150 間の範囲、1:150 及び1:200 間の範囲、1:200 及び1:250 間の範囲、1:250 及び1:500 間の範囲、1:500 及び1:1000間の範囲、又はこれらの範囲内である。例えば、第2の胃腸上皮バリア透過エンハンサと第1の胃腸上皮バリア透過エンハンサとの質量比は、1:1 及び1:10間の範囲、1:5 及び1:25間の範囲、1:10及び1:50間の範囲、1:25及び1:100 間の範囲、1:50及び1:500 間の範囲、又は1:100 及び1:1000間の範囲内であってもよい。
場合によっては、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、キトサン及びブロメラインを含んでいる。ある例では、キトサンは未修飾キトサンである。キトサン及びブロメラインが使用される場合、キトサンとブロメラインとの質量比は、1:1 及び1:2.5 間の範囲、1:2.5 及び1:5 間の範囲、1:5 及び1:10間の範囲、1:10及び1:25間の範囲、1:25及び1:50間の範囲、1:50及び1:100 間の範囲、1:100 及び1:150 間の範囲、1:150 及び1:200 間の範囲、1:200 及び1:250 間の範囲、1:250 及び1:500 間の範囲、1:500 及び1:1000間の範囲、又はこれらの範囲内で異なってもよい。例えば、キトサンとブロメラインとの質量比は、1:1 及び1:10間の範囲、1:5 及び1:25間の範囲、1:10及び1:50間の範囲、1:25及び1:100 間の範囲、1:50及び1:500 間の範囲、又は1:100 及び1:1000間の範囲内であってもよい。ある実施形態では、ブロメラインとキトサンとの質量比は、1:1 及び1:2.5 間の範囲、1:2.5 及び1:5 間の範囲、1:5 及び1:10間の範囲、1:10及び1:25間の範囲、1:25及び1:50間の範囲、1:50及び1:100 間の範囲、1:100 及び1:150 間の範囲、1:150 及び1:200 間の範囲、1:200 及び1:250 間の範囲、1:250 及び1:500 間の範囲、1:500 及び1:1000間の範囲、又はこれらの範囲内である。例えば、ブロメラインとキトサンとの質量比は、1:1 及び1:10間の範囲、1:5 及び1:25間の範囲、1:10及び1:50間の範囲、1:25及び1:100 間の範囲、1:50及び1:500 間の範囲、又は1:100 及び1:1000間の範囲内であってもよい。
本発明の組成物がキトサン及びブロメラインの組み合わせを含んでいる場合、キトサンの濃度は、約0.15%w/v 〜約4.5 %w/v 、約0.2 %w/v 〜約4%w/v 、約0.25%w/v 〜約3.5 %w/v 、約0.3 %w/v 〜約3%w/v 、約0.5 %w/v 〜約1.5 %w/v を含む約0.5 %w/v 〜約2.5 %w/v のような約0.1 %w/v 〜約5%w/v の範囲内で異なってもよい。同様に、ブロメラインの濃度は、約0.2mg/mL〜約0.9mg/mL、約0.25mg/mL 〜約0.75mg/mL 、約0.4mg/mL〜約0.5mg/mLを含む約0.3mg/mL〜約0.6mg/mLのような約0.01mg/mL 〜約1.0mg/mLの範囲内で異なってもよい。そのため、本発明の組成物中のブロメラインの重量パーセントは、約0.2 %w/v 〜約0.9 %w/v 、約0.25%w/v 〜約0.75%w/v 、約0.4 %w/v 〜約0.5 %w/v を含む約0.3 %w/v 〜約0.6 %w/v のような約0.01%w/v 〜約1%w/v の範囲内であってもよい。場合によっては、キトサンの濃度は約3%であり、ブロメラインの濃度は約0.5mg/mLである。
ある実施形態では、着目する組成物は、組み合わせ内における各胃腸上皮バリア透過エンハンサの特定の量の結果として相乗的な透過向上効果をもたらす胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせを含んでいる。例えば、胃腸上皮バリア透過エンハンサがブロメライン及び未修飾キトサンである場合、ブロメライン及び未修飾キトサンの相乗的に有効な組み合わせは、量が約0.15mg/mL 〜約0.4mg/mLのような0.5mg/mLを含む約0.1mg/mL〜約0.5mg/mLの範囲内であるブロメラインと、量が約1.25%〜約4.5 %、約1.5 %〜約4%、約1.75%〜約3.5 %、約2%〜約3.25%のような約3%を含む約1%〜約5%の範囲内である未修飾キトサンとを含んでもよい。場合によっては、ブロメライン及び未修飾キトサンの相乗的に有効な組み合わせは、0.5mg/mLのブロメライン及び3%w/v の未修飾キトサンの組み合わせを含んでいる。他の例では、ブロメライン及び未修飾キトサンの相乗的に有効な組み合わせは0.25mg/mL のブロメライン及び1.5 %w/v の未修飾キトサンを含んでいる。更なる他の実施形態では、ブロメライン及びキトサンの相乗的に有効な組み合わせは、0.12mg/mL のブロメライン及び0.75%w/v の未修飾キトサンを含んでいる。
他の実施形態では、着目する組成物は、組み合わせ中の胃腸上皮バリア透過エンハンサの特定の割合の結果として相乗的な透過向上効果をもたらす胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせを含んでいる。例えば、胃腸上皮バリア透過エンハンサがブロメライン及び未修飾キトサンである場合、ブロメライン及び未修飾キトサンの相乗的に有効な組み合わせでは、未修飾キトサンとブロメラインとの割合が、1:1 及び1:2.5 間の範囲、1:2.5 及び1:5 間の範囲、1:5 及び1:10間の範囲、1:10及び1:25間の範囲、1:25及び1:50間の範囲、1:50及び1:100 間の範囲、1:100 及び1:150 間の範囲、1:150 及び1:200 間の範囲、1:200 及び1:250 間の範囲、1:250 及び1:500 間の範囲、1:500 及び1:1000間の範囲、又はこれらの範囲内であってもよい。
上記に記載されているように、本発明の経口投与組成物中の低分子ヘパリンは、分画されていない天然に存在する高分子へパリンの分別又は解重合によって得られる、平均分子量が2kDa〜12kDa の範囲内である短鎖硫酸化グリコサミノグリカンの抗凝固性化合物の種類に言及している。低分子ヘパリンの抗血栓症の特性は、較正自動トロンボグラフィ(CAT )凝固検査法、希釈プロトロンビン時間(dPT )凝固検査法又は活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)凝固検査法を含む凝固検査法を用いて決定されてもよい。抗血栓作用の一基準は、問題の低分子ヘパリンを既知の抗凝固性ヘパリンと比較することである。
低分子ヘパリンは生物源から得られたヘパリン由来であってもよい。例えば、着目する低分子ヘパリンは、ブタ腸又はウシ肺のような屠殺された食肉用動物の粘膜組織から抽出された未分画ヘパリンから分別されてもよく又は解重合されてもよい。あらゆる便利なプロトコルが、生物源から低分子ヘパリンを抽出するために使用され得る。例えば、低分子ヘパリンは、複数ある処置の内、酸−塩基の抽出、酵素分解、選択的沈殿、濾過によって生物源から抽出され得る。場合によっては、低分子ヘパリンは、酵素的解重合又は化学的解重合によって形成される未分画高分子へパリンの低分子断片であってもよい。
他の実施形態では、組成物は合成の低分子ヘパリンを含んでいる。「合成」という用語は、低分子ヘパリンが人為的な方法(例えば化学合成)によって部分的又は全体的に生成されることを意味する。例えば、合成の低分子ヘパリンは硫酸化オリゴ糖のような硫酸化オリゴマーであってもよい。
例えば、低分子ヘパリンは、アルデパリン、ベミパリン、バイオペリン、セルトパリン、ダルテパリン、エノキサパリン、ミニパリン、ナドロパリン、パルナパリン、レビパリン、サンドパリン及びチンザパリンを含んでもよいが、これらに限定されない。
着目する低分子ヘパリンの平均分子量の範囲は、約2000ダルトン〜約12,000ダルトン、例えば約2500ダルトン〜約10,000ダルトン、約3000ダルトン〜約9500ダルトン、約4000ダルトン〜約8500ダルトンを含む約3500ダルトン〜約9000ダルトンのような約10ダルトン〜約500,000 ダルトンであってもよい。低分子ヘパリンの分子量は、特には、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィ、高速サイズ排除クロマトグラフィ(HPSEC )、キャピラリー電気泳動、PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)、アガロースゲル電気泳動のようなあらゆる便利なプロトコルによって決定され得る。
ある実施形態では、着目する低分子ヘパリンは、様々な分子量を有する短鎖ヘパリン分子の不均質な混合物であってもよい。例えば、場合によっては、低分子ヘパリン組成物の5%以上の分子量は10〜4000ダルトンの範囲内であり、例えば、低分子ヘパリン組成物の10%以上、25%以上、50%以上、75%以上、95%以上を含む90%以上の分子量は10〜4000ダルトンの範囲内である。他の実施形態では、低分子ヘパリン組成物の5%以上の分子量は4000ダルトン〜8000ダルトンの範囲内であり、例えば、低分子ヘパリン組成物の10%以上、25%以上、50%以上、75%以上、95%以上を含む90%以上の分子量は、4000〜8000ダルトンの範囲内である。更なる他の実施形態では、低分子ヘパリン組成物の5%以上の分子量は8000ダルトンより大きく、例えば、低分子ヘパリン組成物の10%以上、25%以上、50%以上、75%以上、95%以上を含む90%以上の分子量は、8000ダルトンより多い。
ある実施形態では、低分子ヘパリン組成物は、生物源から抽出された低分子ヘパリンを含んでおり、所望の短鎖ヘパリン分子を単離するために分別されている(例えば、低分子ヘパリンを含む画分の分子量は4000〜8000ダルトンの範囲内である)。あらゆる便利なプロトコルが、着目する低分子ヘパリンを分別するために使用されてもよく、特にサイズ排除クロマトグラフィ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ、キャピラリー電気泳動を含むが、これらに限定されない。
場合によっては、未分画高分子へパリン試料を分別することにより得られる低分子ヘパリンは、本発明の方法及び組成物によってもたらされるように血栓塞栓症を治療するために使用されてもよい。例えば、低分子ヘパリンは、分子量が、2000〜10,000ダルトン、3000〜9000ダルトン、4000〜8000ダルトンを含む3500〜8500ダルトンのような2000〜12,000ダルトンの範囲内である短鎖ヘパリン分子を単離するために生物源から抽出される。ある実施形態では、これらの画分の内の一又は複数が、上記の方法などによって対象の血栓塞栓症を治療するために2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせと共に経口で投与されてもよい。
ある実施形態では、低分子ヘパリンは、未分画高分子へパリンの酵素的解重合、酸加水分解解重合又はラジカル解重合によって調製されてもよい。生じた生成物の分子量の範囲は、使用される加水分解又は解重合の条件の厳密さに基づいて調整されてもよい。その後、画分は、イオン交換クロマトグラフィを使用して更に精製されてもよい。加水分解反応の時間は典型的には15分〜数時間の範囲内である。その後、加水分解された反応混合物は塩基(例えば水酸化ナトリウム)の付加によって中和される。塩はその後、例えば電気透析によって除去され、加水分解生成物は、炭水化物分析のための従来の分析技術を使用して重量平均分子量、糖類含有量及び硫黄含有量を決定するために分析される。或いは、例えばグリコシダーゼを使用して未分画高分子へパリンを分解するために酵素法が使用されてもよい。本発明で使用するための低分子ヘパリンは、使用される分解度に応じて不均質であっても均質であってもよい。
必要に応じて、本発明の経口投与組成物は、一又は複数の低分子ヘパリンを有してもよい。例えば、4以上の低分子ヘパリンを含む3以上の低分子ヘパリンのような2以上の低分子ヘパリンが組み合わせられてもよい。2以上の低分子ヘパリンが共に組み合わせられる場合、低分子ヘパリンの全てが、天然の低分子ヘパリン、合成の低分子ヘパリン又はそれらのあらゆる組み合わせであってもよい。経口組成物が2以上の低分子ヘパリンを含んでいる場合、組成物中の各低分子ヘパリンの質量パーセントが、組成物の全質量の2%以上、5%以上、10%以上、50%以上を含む25%以上のような、組成物の全質量の1%以上の範囲内で異なってもよい。
着目する経口投与組成物中の低分子ヘパリン及び2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせの各々の量(つまり質量)は、0.01mg〜500 mg、0.1 mg〜250 mg、0.5 mg〜100 mg、1 mg〜10mgを含む1 mg〜50mgのような0.001 mg〜1000mgの範囲内で異なってもよい。そのため、本経口投与組成物中の一又は複数の低分子ヘパリンと2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせとの質量比は、1:1 及び1:2.5 間の範囲、1:2.5 及び1:5 間の範囲、1:5 及び1:10間の範囲、1:10及び1:25間の範囲、1:25及び1:50間の範囲、1:50及び1:100 間の範囲、1:100 及び1:150 間の範囲、1:150 及び1:200 間の範囲、1:200 及び1:250 間の範囲、1:250 及び1:500 間の範囲、1:500 及び1:1000間の範囲、又はこれらの範囲内で異なってもよい。例えば、低分子ヘパリンと2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせとの質量比は、1:1 及び1:10間の範囲、1:5 及び1:25間の範囲、1:10及び1:50間の範囲、1:25及び1:100 間の範囲、1:50及び1:500 間の範囲、又は1:100 及び1:1000間の範囲内であってもよい。ある実施形態では、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせと低分子ヘパリンとの質量比は、1:1 及び1:2.5 間の範囲、1:2.5 及び1:5 間の範囲、1:5 及び1:10間の範囲、1:10及び1:25間の範囲、1:25及び1:50間の範囲、1:50及び1:100 間の範囲、1:100 及び1:150 間の範囲、1:150 及び1:200 間の範囲、1:200 及び1:250 間の範囲、1:250 及び1:500 間の範囲、1:500 及び1:1000間の範囲、又はこれらの範囲内である。例えば、2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせと低分子ヘパリンとの質量比は、1:1 及び1:10間の範囲、1:5 及び1:25間の範囲、1:10及び1:50間の範囲、1:25及び1:100 間の範囲、1:50及び1:500 間の範囲、又は1:100 及び1:1000間の範囲内であってもよい。
単一のタイプの低分子ヘパリン及び2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの単一の相乗的に有効な組み合わせのみを含む経口投与組成物は均質であってもよい。他の実施形態では、着目する組成物は、2以上の低分子ヘパリン又は胃腸上皮バリア透過エンハンサの2以上の相乗的に有効な組み合わせの不均質な混合物である。例えば、不均質な混合物は、2以上の異なる低分子ヘパリン及び胃腸上皮バリア透過エンハンサの2以上の異なる組み合わせを含んでもよい。他の例では、不均質な混合物は、1つの低分子ヘパリン及び胃腸上皮バリア透過エンハンサの2以上の組み合わせを含んでもよい。更なる他の例では、不均質な混合物は、2以上の低分子ヘパリン及び2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの単一の相乗的に有効な組み合わせを含んでもよい。
ある実施形態では、本発明の経口投与組成物は、医薬組成物の一部として一又は複数の薬学的に許容可能な賦形剤又は経口投与送達媒体を更に含んでもよい。賦形剤は、炭水化物、無機塩類、抗菌剤、酸化防止剤、界面活性剤、水、アルコール、ポリオール、グリセリン、植物油、リン脂質、緩衝剤、酸、塩基及びこれらのあらゆる組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。糖のような炭水化物、アルジトール、アルドン酸、エステル化された糖のような誘導化された糖、及び/又は糖高分子が更に使用されてもよい。着目するある炭水化物賦形剤は、例えば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボースなどの単糖類と、ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオースなどの二糖類と、ラフィノース、メレチトース、マルトデキストリン、デキストラン、澱粉などの多糖類と、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール(グルシトール)、ピラノシルソルビトール、ミオイノシトールなどのアルジトールとを含んでいる。無機塩類は、クエン酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム及びこれらのあらゆる組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。
ある実施形態では、本発明の経口投与組成物は、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、チメロサール及びこれらのあらゆる組み合わせのような、微生物増殖の予防又は阻止のための抗菌剤を更に含んでもよい。
一又は複数の酸化防止剤が更に使用されてもよい。組成物の酸化ひいては劣化を軽減させるか又は予防することができる酸化防止剤は、例えば、アスコルビン酸パルミテート、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、亜硫酸水素ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム及びこれらのあらゆる組み合わせを含んでもよい。
一又は複数の界面活性剤が本発明の組成物に更に含まれてもよい。例えば、適切な界面活性剤は、「Tween 20」、「Tween 80」のようなポリソルベート及びF68 、F88 (BASF,Mount Olive,New Jersey)のようなプルロニックと、ソルビタンエステルと、レシチン、他のホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン(好ましくはリポソームの形態ではないが)などのリン脂質、脂肪酸及び脂肪酸エステルのような脂質と、コレステロールのようなステロイドと、EDTAのようなキレート剤と、亜鉛及び他の陽イオンとを含んでもよいが、これらに限定されない。
酸又は塩基が、本発明の経口投与組成物中に更に存在してもよい。例えば、酸は、塩酸、酢酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、硫酸、フマル酸及びこれらのあらゆる組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。塩基の例として、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、フマル酸カリウム、及びこれらのあらゆる組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
経口投与組成物中のあらゆる個々の賦形剤の量は、賦形剤の性質及び機能、経口投与送達媒体、並びに組成物の特定の必要性に応じて異なってもよい。場合によっては、あらゆる個々の賦形剤の最適な量が、日常的な実験によって、つまり(最低値から最高値の範囲内の)様々な量の賦形剤を含む組成物を調製して、安定性及び他のパラメータを検査して、その後、著しい悪影響なく最適性能に達する範囲を決定することによって決定される。しかしながら一般に、一又は複数の賦形剤は、賦形剤の約5重量%〜約98重量%、約30重量%未満を含む約15重量%〜約95重量%のような約1重量%〜約99重量%の量で経口投与組成物中に存在する。着目する組成物で使用されてもよい他の賦形剤と共に医薬品賦形剤は、"Remington: The Science & Practice of Pharmacy", 19th ed., Williams & Williams, 1995年、the "Physician's Desk Reference", 52nd ed., Medical Economics, Montvale, NJ 1998年、及びKibbe, A.H., Handbook of Pharmaceutical Excipients, 3rd Edition, American Pharmaceutical Association, Washington, D.C., 2000年に記載されており、この開示内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
上記に記載されているように、組成物が胃腸上皮を介して(例えば経口で又は経鼻胃管によって)吸収される限り、本発明の組成物はあらゆる便利な投与モードによって投与されてもよい。そのため、製剤は異なってもよい。例えば、本発明の組成物は、使用前に溶剤で再構成され得る粉末又は凍結乾燥物、使用前に媒体と組み合わせるための乾燥した不溶性組成物、及び投与前の希釈のための乳剤及び液状の濃縮物であってもよい。固形組成物を再構成するための希釈剤は、注射用静菌水、水中での5%のブドウ糖、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、生理食塩水、滅菌水、脱イオン水及びこれらのあらゆる組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、摂取又は経鼻胃管による用途のために、液状溶液若しくは懸濁液、シロップ、タブレット、カプセル、粉末、ゲル又はこれらのあらゆる組み合わせの形態であってもよい。例えば、本発明の経口投与組成物は、用途に応じてタブレット、カプセル、カプレットデバイスなどに予め加えられてもよい。ある実施形態では、組成物は単位投与形態であり、例えば、ある量の組成物が単一の経口量、予め測定された形態又は予め包装された形態で準備される。
有用性
本方法及び組成物は、対象の血栓症を治療するか又は血液凝固を軽減することが望ましい状態、胃腸系による低分子ヘパリンの吸収を高めることが望ましい状態、及び対象が低分子ヘパリン及び胃腸上皮バリア透過エンハンサでの治療に反応する状態などのあらゆる状態で使用される。ある実施形態では、本方法及び組成物は、対象の血栓塞栓症を治療するか又は予防するために使用されてもよく、例えば、血栓塞栓症は、心筋梗塞、外科手術後の深部静脈血栓症、一過性脳虚血発作、冠動脈バイパス移植、末梢血管疾患、卒中経皮経管冠動脈形成、急性前骨髄球性白血病、糖尿病、多発性骨髄腫、敗血症性ショック、電撃性紫斑病、成人呼吸窮迫症候群、狭心症、大動脈弁又は人工血管の挿入及び存在、心臓カテーテル、経管内部形成、心臓弁置換に関連している。
本方法及び組成物は、外科的処置又は侵襲的処置を受ける対象の予防処置として、血栓症を軽減するか予防する又は血液凝固を軽減する際にも使用される。特に本発明は、低分子ヘパリン及び本明細書に詳述されている2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせを有する、治療上有効な量の組成物を対象に経口で投与することによって、血栓症の軽減又は除去が望ましい外科的処置又は侵襲的処置を受ける対象を治療する方法を提供する。
ある実施形態では、低分子ヘパリン及び胃腸上皮バリア透過エンハンサの本組み合わせは、外科的処置又は侵襲的処置を受ける対象に、一又は複数の異なる低分子ヘパリン及び2以上の異なる胃腸上皮バリア透過エンハンサ及び/又は一又は複数の他の治療薬と共に同時投与され得る。外科的処置又は侵襲的処置を受ける対象を治療するために使用される治療薬は、低分子ヘパリン及び2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせの投与と同時、投与の前又は投与の後に、同一の組成物又は異なる組成物で投与され得る。
キット
本方法を実行する際に使用するためのキットを更に提供し、該キットは、上記の組成物の内の一又は複数を含んでもよく、例えば、上記に記載されているような低分子ヘパリン組成物、及び2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせを含んでもよい。キットは、本方法を実行する際に使用されてもよい他の要素、例えば投与デバイス、流体源などを更に含んでもよい。様々な要素は、必要に応じて、例えば共に又は別々に包装されてもよい。本キットの要素は別々の容器に存在してもよく、或いは、複数の要素が単一の容器に存在してもよく、必要に応じて、キットの容器及び/又は包装体(若しくはその一部)が殺菌してあってもよい。
上記の要素に加えて、本キットは、本方法を実行するためにキットの要素を使用するための説明書を更に含んでもよい。本方法を実行するための説明書は、適切な記録媒体に一般に記録されている。例えば、説明書は紙又はプラスチックなどに印刷されてもよい。そのため、説明書は、キット内に添付文書として存在してもよく、キット又はその要素の容器のラベルなどに(つまり包装体又は補助包装体に付随して)存在してもよい。他の実施形態では、説明書は、例えば携帯式フラッシュドライブ、CD-ROM、ディスケットなどの適切なコンピュータ可読記憶媒体に存在する電子保存データファイルとして存在する。更なる他の実施形態では、実際の説明書がキット内に存在しないが、リモートソースから、例えばインターネット経由で説明書を得る手段が設けられている。本実施形態の一例は、説明書を閲覧及び/又はダウンロードできるウェブアドレスを含むキットである。説明書と同様に、説明書を得るこの手段が適切な基材に記録されている。
実験
以下の例は例示のためだけに提供されており、本発明の範囲を何らかの点で限定することを意図していない。
使用される数(例えば量、温度など)に関して正確さを保証する努力がなされているが、言うまでもなく、ある程度の実験誤差及びずれは考慮されるべきである。
胃腸上皮バリア透過エンハンサと組み合わせた低分子ヘパリンのバイオアベイラビリティ及び吸収の研究
着目する胃腸上皮バリア透過エンハンサと組み合わせた低分子ヘパリンのバイオアベイラビリティを、CaCo-2細胞モデルスクリーニングを使用して研究した。この方法には、その細胞膜上で広範囲の輸送タンパク質を発現させるヒト結腸癌細胞株が利用されている。細胞層は、2つの区画(24- ウェルプレート)を分離する膜表面で成長する。このような実験のための実験装置の一例が図1に示されている。選択された低分子ヘパリン及び胃腸上皮バリア透過エンハンサの試料が、1mg/mL の濃度でRPMI細胞媒体に溶かされ、頂部側の区画の細胞に加えられた。細胞は5%のCO2 で37℃で培養された。媒体試料は、異なる時点で頂部側の区画及び基底側の区画から除かれた。細胞層の状態が、経上皮電気抵抗(TEER)の測定によってモニタされた。試料は、トロンビン生成検査法(CAT )によって分析された。低分子ヘパリンの濃度がCAT 検査法から作用に基づいて計算された。
全ての低分子ヘパリン及び胃腸上皮バリア透過エンハンサの試料は、試料の濃度が増大する抗凝固活性の範囲内にあるように希釈された。開始負荷濃度値に基づいて、頂部側の濃度及び基底側の濃度が、2時間(例えば2時間、4時間、6時間、8時間、24時間)毎に決定された。決定した基底側の濃度に基づいて、パーセント吸収が化合物(つまり低分子ヘパリン及び胃腸上皮バリア透過エンハンサ)の組み合わせ毎に決定された。
実施例1
本明細書に記載されている吸収研究の一例が、Caco-2細胞モデルで胃腸上皮バリア透過エンハンサのデオキシコール酸(0.06%)と組み合わせた低分子ヘパリンの頂部側の濃度及び基底側の濃度を要約した表1〜3に示されている。表1は、デオキシコール酸と組み合わせた低分子ヘパリンの頂部側の開始濃度が夫々約970 μg/mL(試験1)及び約1210μg/mL(試験2)である2つの試験を示す。8時間後、低分子ヘパリンの頂部側の濃度は約25%下がって平均約733 μg/mL(試験1)及び平均約900 μg/mL(試験2)になった。
表2は、様々な時点での上記の試験1及び試験2のデオキシコール酸(0.08%)と組み合わせた低分子ヘパリンの基底側の濃度を示す。図2は、Caco-2システムにおけるデオキシコール酸(0.06%)の存在下での低分子ヘパリンの基底側の濃度を示す。図3は、対応する経上皮電気抵抗曲線によって測定された細胞層の状態を示す。
表3は、様々な時点でのデオキシコール酸(0.08%)の存在下での低分子ヘパリンのパーセント(%)吸収を示す。
実施例2
本明細書に記載されている吸収研究の別の一例が、Caco-2細胞モデルで胃腸上皮バリア透過エンハンサのデオキシコール酸(0.08%)と組み合わせた低分子ヘパリンの頂部側の濃度及び基底側の濃度を要約した表4〜6に示されている。表4は、デオキシコール酸と組み合わせた低分子ヘパリンの頂部側の開始濃度が夫々約930 μg/mL(試験1)及び約1360μg/mL(試験2)である2つの試験を示す。8時間後、低分子ヘパリンの頂部側の濃度は約45%下がって平均約560 μg/mL(試験1)及び平均約683 μg/mL(試験2)になった。
表5は、様々な時点での上記の試験1及び試験2のデオキシコール酸(0.08%)と組み合わせた低分子ヘパリンの基底側の濃度を示す。図4は、Caco-2システムにおけるデオキシコール酸(0.08%)の存在下での低分子ヘパリンの基底側の濃度を示す。図5は、対応する経上皮電気抵抗曲線によって測定された細胞層の状態を示す。
表6は、様々な時点でのデオキシコール酸(0.08%)の存在下での低分子ヘパリンのパーセント(%)吸収を示す。
実施例3
本明細書に記載されている吸収研究の別の一例が、Caco-2細胞モデルで胃腸上皮バリア透過エンハンサのキトサン(3%w/v )と組み合わせた低分子ヘパリンの頂部側の濃度及び基底側の濃度を要約した表7〜9に示されている。表7は、キトサンと組み合わせた低分子ヘパリンの頂部側の開始濃度が夫々約910 μg/mL(試験1)及び約1390μg/mL(試験2)である2つの試験を示す。8時間後、低分子ヘパリンの頂部側の濃度は約35%下がって平均約663 μg/mL(試験1)及び平均約886 μg/mL(試験2)になった。
表8は、様々な時点での上記の試験1及び試験2のキトサンと組み合わせた低分子ヘパリンの基底側の濃度を示す。図6は、Caco-2システムにおけるキトサン(3%w/v )の存在下での低分子ヘパリンの基底側の濃度を示す。図7は、対応する経上皮電気抵抗曲線によって測定された細胞層の状態を示す。
表9は、様々な時点でのキトサン(3%w/v )の存在下での低分子ヘパリンのパーセント(%)吸収を示す。
実施例4
本明細書に記載されている吸収研究の別の一例が、Caco-2細胞モデルで胃腸上皮バリア透過エンハンサのブロメライン(0.5mg/mL)と組み合わせた低分子ヘパリンの頂部側の濃度及び基底側の濃度を要約した表10〜12に示されている。表10は、ブロメラインと組み合わせた低分子ヘパリンの頂部側の開始濃度が夫々約1060μg/mL(試験1)及び約1230μg/mL(試験2)である2つの試験を示す。8時間後、低分子ヘパリンの頂部側の濃度は約25%下がって平均約870 μg/mL(試験1)及び平均約890 μg/mL(試験2)になった。
表11は、様々な時点での上記の試験1及び試験2のブロメラインと組み合わせた低分子ヘパリンの基底側の濃度を示す。図8は、Caco-2システムにおけるブロメラインの存在下での低分子ヘパリンの基底側の濃度を示す。図9は、対応する経上皮電気抵抗曲線によって測定された細胞層の状態を示す。
表12は、様々な時点でのブロメライン(0.5mg/mL)の存在下での低分子ヘパリンのパーセント(%)吸収を示す。
実施例5
本明細書に記載されている吸収研究の別の一例が、Caco-2細胞モデルで胃腸上皮バリア透過エンハンサのカプリン酸ナトリウム(12mM)と組み合わせた低分子ヘパリンの頂部側の濃度及び基底側の濃度を要約した表13〜15に示されている。表13は、カプリン酸ナトリウムと組み合わせた低分子ヘパリンの頂部側の開始濃度が夫々約920 μg/mL(試験1)及び約1150μg/mL(試験2)である2つの試験を示す。8時間後、低分子ヘパリンの頂部側の濃度は約20%下がって平均約803 μg/mL(試験1)及び平均約840 μg/mL(試験2)になった。
表14は、様々な時点での上記の試験1及び試験2のカプリン酸ナトリウムと組み合わせた低分子ヘパリンの基底側の濃度を示す。図10は、Caco-2システムにおけるカプリン酸ナトリウムの存在下での低分子ヘパリンの基底側の濃度を示す。図11は、対応する経上皮電気抵抗曲線によって測定された細胞層の状態を示す。
表15は、様々な時点でのカプリン酸ナトリウム(12mM)の存在下での低分子ヘパリンのパーセント(%)吸収を示す。
実施例6
本明細書に記載されている吸収研究の別の一例が、Caco-2細胞モデルで胃腸上皮バリア透過エンハンサのキトサン(3%w/v )及びブロメライン(0.5mg/mL)の相乗的に有効な組み合わせとの低分子ヘパリンの頂部側の濃度及び基底側の濃度を要約した表16〜18に示されている。表16は、キトサン(3%w/v )及びブロメライン(0.5mg/mL)の相乗的に有効な組み合わせとの低分子ヘパリンの頂部側の開始濃度が夫々約920 μg/mL(試験1)及び約1250μg/mL(試験2)である2つの試験を示す。8時間後、低分子ヘパリンの頂部側の濃度は約55%下がって平均約493 μg/mL(試験1)及び平均約560 μg/mL(試験2)になった。
表17は、様々な時点での上記の試験1及び試験2の未修飾キトサン及びブロメラインの相乗的に有効な組み合わせ及び低分子ヘパリンの基底側の濃度を示す。図12は、Caco-2システムにおけるキトサン及びブロメラインの相乗的に有効な組み合わせの存在下での低分子ヘパリンの基底側の濃度を示す。図13は、対応する経上皮電気抵抗曲線によって測定された細胞層の状態を示す。
表18は、様々な時点での未修飾キトサン及びブロメラインの相乗的に有効な組み合わせの存在下での低分子ヘパリンのパーセント(%)吸収を示す。
表19は、様々な濃度での複数の胃腸上皮透過エンハンサの存在下でのCaco-2細胞モデルにおける低分子ヘパリンのパーセント吸収の要約である。表19に示されているように、キトサン(3%w/v )及びブロメライン(0.5mg/mL)の相乗的に有効な組み合わせは、キトサン(3%w/v )単独とブロメライン(0.5mg/mL)単独との加算合計より低分子ヘパリンのより大きな吸収を実証した。
図14は、1)任意の胃腸上皮バリア透過エンハンサがない場合、2)異なる個々の胃腸上皮バリア透過エンハンサ(例えばカプリン酸ナトリウム、デオキシコール酸、ブロメライン、キトサン)が存在する場合、及び3)異なる時間(つまり2時間、4時間、6時間及び8時間)でのブロメライン及びキトサンの相乗的に有効な組み合わせが存在する場合のCaco-2細胞モデルにおける低分子ヘパリンの吸収を示す。図14に示されているように、キトサン(3%w/v )及びブロメライン(0.5mg/mL)の相乗的に有効な組み合わせは、キトサン(3%w/v )単独とブロメライン(0.5mg/mL)単独との加算合計より低分子ヘパリンのより大きな吸収を実証した。
添付の特許請求の範囲に関わらず、本開示は下記の付記により更に定義される。
付記1.低分子ヘパリンと、
2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせと、
経口投与送達媒体と
を有していることを特徴とする経口投与組成物。
付記2.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、前記低分子ヘパリンの胃腸上皮バリア透過を、各胃腸上皮バリア透過エンハンサの加算合計によって達成されるより3倍以上高めることを特徴とする付記1に記載の経口投与組成物。
付記3.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは2以上の密着結合調整因子を有していることを特徴とする付記1又は2に記載の経口投与組成物。
付記4.前記密着結合調整因子は、プロテアーゼ、胆汁酸、多糖、脂肪酸及びその塩、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択されていることを特徴とする付記3に記載の経口投与組成物。
付記5.前記密着結合調整因子はプロテアーゼを有していることを特徴とする付記4に記載の経口投与組成物。
付記6.前記密着結合調整因子はブロメライン又はその酵素成分であることを特徴とする付記5に記載の経口投与組成物。
付記7.前記密着結合調整因子は多糖であることを特徴とする付記4に記載の経口投与組成物。
付記8.前記多糖はキトサンであることを特徴とする付記7に記載の経口投与組成物。
付記9.前記多糖はカルボキシメチルキトサンであることを特徴とする付記8に記載の経口投与組成物。
付記10.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、カルボキシメチルキトサン及びブロメラインを有していることを特徴とする付記9に記載の経口投与組成物。
付記11.カルボキシメチルキトサン及びブロメラインは、胃腸上皮バリア透過をカルボキシメチルキトサン及びブロメラインの加算合計によって達成されるより3倍以上高めるのに十分な割合で存在することを特徴とする付記10に記載の経口投与組成物。
付記12.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、約0.75%w/v 〜約3%w/v のカルボキシメチルキトサン及び約0.125mg/mL〜約0.5mg/mLのブロメラインを有していることを特徴とする付記10に記載の経口投与組成物。
付記13.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、約1.5 %w/v のカルボキシメチルキトサン及び約0.25mg/mL のブロメラインを有していることを特徴とする付記10に記載の経口投与組成物。
付記14.前記多糖は未修飾キトサンであることを特徴とする付記8に記載の経口投与組成物。
付記15.前記多糖はチオール化されていないキトサンであることを特徴とする付記14に記載の経口投与組成物。
付記16.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、未修飾キトサン及びブロメラインを有していることを特徴とする付記14に記載の経口投与組成物。
付記17.未修飾キトサン及びブロメラインは、胃腸上皮バリア透過を未修飾キトサン及びブロメラインの加算合計によって達成されるより3倍以上高めるのに十分な割合で存在することを特徴とする付記16に記載の経口投与組成物。
付記18.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、約0.75%w/v 〜約3%w/v の未修飾キトサン及び約0.125mg/mL〜約0.5mg/mLのブロメラインを有していることを特徴とする付記16に記載の経口投与組成物。
付記19.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、約1.5 %w/v の未修飾キトサン及び約0.25mg/mL のブロメラインを有していることを特徴とする付記16に記載の経口投与組成物。
付記20.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、約3%w/v の未修飾キトサン及び約0.5mg/mLのブロメラインを有していることを特徴とする付記16に記載の経口投与組成物。
付記21.前記低分子ヘパリンの分子量は、2kDa 〜10kDa の範囲内であることを特徴とする付記1乃至20のいずれか1つに記載の経口投与組成物。
付記22.前記低分子ヘパリンは未分画ヘパリンの解重合によって生成されていることを特徴とする付記1乃至21のいずれか1つに記載の経口投与組成物。
付記23.前記低分子ヘパリンは、ベミパリン、セルトパリン、ダルテパリン、エノキサパリン、ナドロパリン、パルナパリン、レビパリン及びチンザパリンからなる群から選択されていることを特徴とする付記1乃至22のいずれか1つに記載の経口投与組成物。
付記24.単位投与形態であることを特徴とする付記1乃至23のいずれか1つに記載の経口投与組成物。
付記25.約0.01mg/kg 〜約100mg/kgの範囲内の投与量を有していることを特徴とする付記24に記載の経口投与組成物。
付記26.液体であることを特徴とする付記1乃至25のいずれか1つに記載の経口投与組成物。
付記27.固体であることを特徴とする付記1乃至26のいずれか1つに記載の経口投与組成物。
付記28.前記固体は胃腸耐分解性層を有していることを特徴とする付記27に記載の経口投与組成物。
付記29.低分子ヘパリンと、
胃腸上皮バリア透過を未修飾キトサン及びブロメラインの個々の加算合計によって達成されるより大きく高めるのに十分な量の未修飾キトサン及びブロメラインの相乗的に有効な組み合わせと、
経口投与送達媒体と
を有していることを特徴とする経口投与組成物。
付記30.前記未修飾キトサンはチオール化されていないキトサンであることを特徴とする付記29に記載の経口投与組成物。
付記31.前記未修飾キトサン及びブロメラインの相乗的に有効な組み合わせは、胃腸上皮バリア透過を前記未修飾キトサン及びブロメラインの加算合計によって達成されるより3倍以上高めるのに十分な量で存在していることを特徴とする付記29又は30に記載の経口投与組成物。
付記32.約0.75%w/v 〜約3%w/v の未修飾キトサン及び約0.125mg/mL〜約0.5mg/mLのブロメラインを有していることを特徴とする付記29乃至31のいずれか1つに記載の経口投与組成物。
付記33.約1.5 %w/v の未修飾キトサン及び約0.25mg/mL のブロメラインを有していることを特徴とする付記29乃至31のいずれか1つに記載の経口投与組成物。
付記34.約3%w/v の未修飾キトサン及び約0.5mg/mLのブロメラインを有していることを特徴とする付記29乃至31のいずれか1つに記載の経口投与組成物。
付記35.未修飾キトサン及びブロメラインは、胃腸上皮バリア透過を未修飾キトサン及びブロメラインの加算合計によって達成されるより4倍以上高めるのに十分な割合で存在していることを特徴とする付記29乃至34のいずれか1つに記載の経口投与組成物。
付記36.前記低分子ヘパリンの分子量は、2kDa 〜10kDa の範囲内であることを特徴とする付記29乃至35のいずれか1つに記載の経口投与組成物。
付記37.前記低分子ヘパリンは未分画ヘパリンの解重合によって生成されていることを特徴とする付記29乃至36のいずれか1つに記載の経口投与組成物。
付記38.前記低分子ヘパリンは、ベミパリン、セルトパリン、ダルテパリン、エノキサパリン、ナドロパリン、パルナパリン、レビパリン及びチンザパリンからなる群から選択されていることを特徴とする付記29乃至37のいずれか1つに記載の経口投与組成物。
付記39.単位投与形態であることを特徴とする付記29乃至38のいずれか1つに記載の経口投与組成物。
付記40.約0.01mg/kg 〜約100mg/kgの範囲内の投与量を有していることを特徴とする付記39に記載の経口投与組成物。
付記41.液体であることを特徴とする付記29乃至40のいずれか1つに記載の経口投与組成物。
付記42.固体であることを特徴とする付記29乃至40のいずれか1つに記載の経口投与組成物。
付記43.前記固体は胃腸耐分解性層を有していることを特徴とする付記42に記載の経口投与組成物。
付記44.低分子ヘパリンと、
2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせと、
経口投与送達媒体と
を有している経口投与組成物を対象に経口で投与することを特徴とする方法。
付記45.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、前記低分子ヘパリンの胃腸上皮バリア透過を各胃腸上皮バリア透過エンハンサの加算合計によって達成されるより3倍以上高めることを特徴とする付記44に記載の方法。
付記46.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは2以上の密着結合調整因子を有していることを特徴とする付記45に記載の方法。
付記47.前記密着結合調整因子は、プロテアーゼ、胆汁酸、多糖、脂肪酸及びその塩、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択されていることを特徴とする付記46に記載の方法。
付記48.前記密着結合調整因子はプロテアーゼを有していることを特徴とする付記47に記載の方法。
付記49.前記密着結合調整因子はブロメライン又はその酵素成分であることを特徴とする付記48に記載の方法。
付記50.前記密着結合修飾因子は多糖であることを特徴とする付記48に記載の方法。
付記51.前記多糖はキトサンであることを特徴とする付記50に記載の方法。
付記52.前記キトサンはカルボキシメチルキトサンであることを特徴とする付記51に記載の方法。
付記53.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、カルボキシメチルキトサン及びブロメラインを有していることを特徴とする付記52に記載の方法。
付記54.カルボキシメチルキトサン及びブロメラインは、胃腸上皮バリア透過を未修飾キトサン及びブロメラインの加算合計によって達成されるより3倍以上高めるのに十分な割合で存在することを特徴とする付記53に記載の方法。
付記55.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、約0.75%w/v 〜約3%w/v のカルボキシメチルキトサン及び約0.125mg/mL〜約0.5mg/mLのブロメラインを有していることを特徴とする付記54に記載の方法。
付記56.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、約1.5 %w/v のカルボキシメチルキトサン及び約0.25mg/mL のブロメラインを有していることを特徴とする付記54に記載の方法。
付記57.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、約3%w/v のカルボキシメチルキトサン及び約0.5mg/mLのブロメラインを有していることを特徴とする付記54に記載の方法。
付記58.前記キトサンは未修飾キトサンであることを特徴とする付記51に記載の方法。
付記59.前記キトサンはチオール化されていないキトサンであることを特徴とする付記58に記載の方法。
付記60.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、未修飾キトサン及びブロメラインを有していることを特徴とする付記58又は59に記載の方法。
付記61.未修飾キトサン及びブロメラインは、胃腸上皮バリア透過を未修飾キトサン及びブロメラインの加算合計によって達成されるより3倍以上高めるのに十分な割合で存在することを特徴とする付記60に記載の方法。
付記62.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、約0.75%w/v 〜約3%w/v の未修飾キトサン及び約0.125mg/mL〜約0.5mg/mLのブロメラインを有していることを特徴とする付記60に記載の方法。
付記63.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、約1.5 %w/v の未修飾キトサン及び約0.25mg/mL のブロメラインを有していることを特徴とする付記62に記載の方法。
付記64.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、約3%w/v の未修飾キトサン及び約0.5mg/mLのブロメラインを有していることを特徴とする付記62に記載の方法。
付記65.前記低分子ヘパリンの分子量は、2kDa 〜10kDa の範囲内であることを特徴とする付記44乃至64のいずれか1つに記載の方法。
付記66.前記低分子ヘパリンは未分画ヘパリンの解重合によって生成されることを特徴とする付記44乃至65のいずれか1つに記載の方法。
付記67.前記低分子ヘパリンは、ベミパリン、セルトパリン、ダルテパリン、エノキサパリン、ナドロパリン、パルナパリン、レビパリン及びチンザパリンからなる群から選択されることを特徴とする付記44乃至66のいずれか1つに記載の方法。
付記68.前記経口投与組成物は単位投与形態であることを特徴とする付記44乃至67のいずれか1つに記載の方法。
付記69.前記経口投与組成物は約0.01mg/kg 〜約100mg/kgの範囲内の投与量を有していることを特徴とする付記44乃至68のいずれか1つに記載の方法。
付記70.前記経口投与組成物を液体として投与することを特徴とする付記44乃至69のいずれか1つに記載の方法。
付記71.前記経口投与組成物を固体として投与することを特徴とする付記44乃至69のいずれか1つに記載の方法。
付記72.前記固体は胃腸耐分解性層を有していることを特徴とする付記71に記載の方法。
付記73.前記対象は、血栓塞栓症であると診断された対象であることを特徴とする付記44乃至72のいずれか1つに記載の方法。
付記74.前記血栓塞栓症は、心筋梗塞、外科手術後の深部静脈血栓症、一過性脳虚血発作、冠動脈バイパス移植、経皮経管冠動脈形成、急性前骨髄球性白血病、糖尿病、多発性骨髄腫、敗血症性ショック、電撃性紫斑病、成人呼吸窮迫症候群、狭心症、又は大動脈弁若しくは人工血管に関連していることを特徴とする付記73に記載の方法。
付記75.前記対象を血栓塞栓症であると判断することを特徴とする付記44乃至74のいずれか1つに記載の方法。
付記76.低分子ヘパリンと、胃腸上皮バリア透過を未修飾キトサン及びブロメラインの個々の加算合計によって達成されるより大きく高めるのに十分な量の未修飾キトサン及びブロメラインの相乗的に有効な組み合わせと、経口投与送達媒体とを有している経口投与組成物を対象に経口で投与することを特徴とする方法。
付記77.前記未修飾キトサン及びブロメラインの相乗的に有効な組み合わせは、前記低分子ヘパリンの胃腸上皮バリア透過を個々の未修飾キトサン及びブロメラインの加算合計によって達成されるより3倍以上高めることを特徴とする付記76に記載の方法。
付記78.前記未修飾キトサンはチオール化されていないキトサンであることを特徴とする付記76又は77に記載の方法。
付記79.未修飾キトサン及びブロメラインは、胃腸上皮バリア透過を個々の未修飾キトサン及びブロメラインの加算合計によって達成されるより4倍以上高めるのに十分な割合で存在することを特徴とする付記78に記載の方法。
付記80.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、約0.75%w/v 〜約3%w/v の未修飾キトサン及び約0.125mg/mL〜約0.5mg/mLのブロメラインを有していることを特徴とする付記76乃至79のいずれか1つに記載の方法。
付記81.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、約1.5 %w/v の未修飾キトサン及び約0.25mg/mL のブロメラインを有していることを特徴とする付記76乃至79のいずれか1つに記載の方法。
付記82.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、約3%w/v の未修飾キトサン及び約0.5mg/mLのブロメラインを有していることを特徴とする付記76乃至79のいずれか1つに記載の方法。
付記83.前記低分子ヘパリンの分子量は、2kDa 〜10kDa の範囲内であることを特徴とする付記76乃至82のいずれか1つに記載の方法。
付記84.前記低分子ヘパリンは未分画ヘパリンの解重合によって生成されることを特徴とする付記76乃至83のいずれか1つに記載の方法。
付記85.前記低分子ヘパリンは、ベミパリン、セルトパリン、ダルテパリン、エノキサパリン、ナドロパリン、パルナパリン、レビパリン及びチンザパリンからなる群から選択されることを特徴とする付記76乃至84のいずれか1つに記載の方法。
付記86.前記経口投与組成物は単位投与形態であることを特徴とする付記76乃至79のいずれか1つに記載の方法。
付記87.前記経口投与組成物は約0.01mg/kg 〜約100mg/kgの範囲内の投与量を有していることを特徴とする付記86に記載の方法。
付記88.前記経口投与組成物を液体として投与することを特徴とする付記76乃至87のいずれか1つに記載の方法。
付記89.前記経口投与組成物を固体として投与することを特徴とする付記76乃至87のいずれか1つに記載の方法。
付記90.前記固体は胃腸耐分解性層を有していることを特徴とする付記89に記載の方法。
付記91.前記対象は、血栓塞栓症であると判断された対象であることを特徴とする付記76乃至90のいずれか1つに記載の方法。
付記92.前記血栓塞栓症は、心筋梗塞、外科手術後の深部静脈血栓症、一過性脳虚血発作、冠動脈バイパス移植、経皮経管冠動脈形成、急性前骨髄球性白血病、糖尿病、多発性骨髄腫、敗血症性ショック、電撃性紫斑病、成人呼吸窮迫症候群、狭心症、又は大動脈弁若しくは人工血管に関連していることを特徴とする付記91に記載の方法。
付記93.前記対象を血栓塞栓症であると判断することを特徴とする付記76乃至92のいずれか1つに記載の方法。
付記94.一又は複数の低分子ヘパリンと、
2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの相乗的に有効な組み合わせと、
経口投与送達媒体と
を備えていることを特徴とするキット。
付記95.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、未修飾キトサン及びブロメラインを有していることを特徴とする付記94に記載のキット。
付記96.未修飾キトサン及びブロメラインは、胃腸上皮バリア透過を未修飾キトサン及びブロメラインの加算合計によって達成されるより3倍以上高めるのに十分な割合で存在していることを特徴とする付記95に記載のキット。
付記97.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、約0.75%w/v 〜約3%w/v の未修飾キトサン及び約0.125mg/mL〜約0.5mg/mLのブロメラインを有していることを特徴とする付記95に記載のキット。
付記98.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、約3%w/v の未修飾キトサン及び約0.5mg/mLのブロメラインを有していることを特徴とする付記95に記載のキット。
付記99.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、カルボキシメチルキトサン及びブロメラインを有していることを特徴とする付記94に記載のキット。
付記100.カルボキシメチルキトサン及びブロメラインは、胃腸上皮バリア透過をカルボキシメチルキトサン及びブロメラインの加算合計によって達成されるより3倍以上高めるのに十分な割合で存在していることを特徴とする付記99に記載のキット。
付記101.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、約0.75%w/v 〜約3%w/v のカルボキシメチルキトサン及び約0.125mg/mL〜約0.5mg/mLのブロメラインを有していることを特徴とする付記99に記載のキット。
付記102.前記2以上の胃腸上皮バリア透過エンハンサの組み合わせは、約3%w/v のカルボキシメチルキトサン及び約0.5mg/mLのブロメラインを有していることを特徴とする付記99に記載のキット。
付記103.前記低分子ヘパリンの分子量は、2kDa 〜10kDa の範囲内であることを特徴とする付記99に記載のキット。
上記の発明は、理解の明瞭化のために、図示及び例示によりある程度詳しく説明されているが、ある変更及び調整が、添付の特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく本発明になされてもよいことが、本発明の教示を考慮すると当業者に容易に明らかとなる。
従って、上記の記載は本発明の原理を単に説明しているだけである。本明細書に明示的に説明されていないか又は示されていないが、本発明の原理を具体化して本発明の趣旨及び範囲に含まれる様々な構成を当業者が考案することが可能であることが明らかである。更に、本明細書に述べられている全ての例及び条件的な用語は、本発明の原理と、本技術分野を進展させるために本発明者らによりもたらされた概念とを理解する際に読者を支援することを本質的に意図するものであり、このように具体的に述べられた例及び条件に限定するものではないと解釈されるべきである。更に、本発明の原理、態様及び実施形態だけでなく、本発明の具体的な例を述べている本明細書における全ての記載は、本発明の構造的且つ機能的な等価物の両方を含むことを意図するものである。加えて、このような均等物は、現時点で既知の均等物及び今後展開される均等物の両方、すなわち構造に関わらず同一の機能を有する開発された全ての要素を含むことを意図するものである。従って、本発明の範囲は、本明細書に示され説明された実施形態に限定されることを意図するものではない。むしろ、本発明の範囲及び趣旨は添付の特許請求の範囲により具体化される。
本願は、2013年3月12日に出願された米国仮特許出願第61/778,113号明細書の出願日の利益を主張しており、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。