JP2016225230A - 電気コネクタ及び電気コネクタ装置 - Google Patents

Abstract

【課題】簡易な構成によってシールド機能を向上させることを可能とする。
【解決手段】相手コネクタ１の導電性シェル部材１４に設けたグランド接続部１４ｄが電気的に接続されるグランドコンタクト部材２３に、相手コネクタ１のグランド接続部１４ｄに弾性的な変位を伴って接触する弾性接触部２３ｄを設けたことにより、相手コネクタ１のグランド接続部１４ｄがグランドコンタクト部材２３の基板接続部２３ｃを覆う構造とした場合にあっても、グランドコンタクト部材２３の弾性接触部２３ｄの弾性変位によって良好な接触状態とすることを可能としたものであり、相手コネクタ１の導電性シェル部材１４がグランドコンタクト部材２３の基板接続部２３ｃを覆うことで良好な電磁遮蔽を行いつつ、良好な電気的接続関係を維持するように構成したものである。
【選択図】図５

Description

本発明は、第１及び第２のコネクタ同士を嵌合させることにより信号伝送媒体を印刷配線基板に接続する構成になされた電気コネクタ及び電気コネクタ装置に関する。

一般に、種々の電気機器において、電気コネクタ装置を嵌合状態にすることにより信号伝送媒体の信号線及びシールド線を印刷配線基板に接続させることが広く行われている。例えば、下記の特許文献１においては、信号伝送媒体を構成している同軸ケーブルの信号線（中心導体）及びシールド線（外部導体）が、プラグコネクタ等からなる第１のコネクタ側に接続されているとともに、印刷配線基板上にリセプタクルコネクタ等からなる第２のコネクタが実装されており、上述した第１のコネクタ（プラグコネクタ）が第２のコネクタ（リセプタクルコネクタ）に対して上方側から嵌合されることによって、同軸ケーブルの信号線及びシールド線が、印刷配線基板上の導電路に対して電気的に接続されるようになっている。

このようにして用いられる電気コネクタ装置では、電磁波障害（ＥＭＩ）や静電気（ＥＳＤ）に対するシールド機能を確保するためのグランド回路を形成することが通常行われている。すなわち、信号伝送媒体を構成している同軸ケーブルのシールド線（外部導体）には、適宜のグランド部材（グランドプレート）が半田接合され、そのグランド部材の表面に、第１のコネクタ（プラグコネクタ）を覆う導電性シェルが接続される。さらに、その第１のコネクタ（プラグコネクタ）を覆う導電性シェルの一部（グランド接続部）は、第２のコネクタ（リセプタクルコネクタ）に設けられたグランドコンタクト部材の一部に接触され、かつ当該第２のコネクタに設けられたグランドコンタクト部材の基板接続部が、印刷配線基板上に形成されたグランド導電路（グランドパターン）に半田接合されることによってグランド回路が構成されている。

しかしながら、このような構造を備えた従来の電気コネクタ装置においては、第１コネクタの導電性シェル部材（グランド接続部）の接触相手である第２コネクタのグランドコンタクト部材が、固定的な状態で取り付けられており、接触時における弾性変位が小さいものとなっている。そのため、第１コネクタの導電性シェル部材と第２コネクタのグランドコンタクト部材との間における電気的な接続関係が、各部品の変形や誤差等によって良好に得られなくなるおそれがあり、十分なグランドシールド特性が得られないことも考えておく必要がある。

また、第１コネクタの導電性シェル部材は、固定状態にある第２コネクタのグランドコンタクト部材に対して、接触可能な位置関係となる形状及び構造に限定されることから、当該第１コネクタの導電性シェル部材が第２コネクタの基板接続部を覆う構造とすることが難しくなっている。そのため、第２コネクタの基板接続部分に対する電磁遮蔽を十分に行うことができない場合もある。特に、コネクタ全体の低背化及び小型化が急速に進められること等によってグランド回路の抵抗値が増大しつつある現状においては、電磁波障害（ＥＭＩ）や静電気（ＥＳＤ）に対するシールド機能をさらに向上させることが要請されている。

特開２００４−２５９６７２号公報 特開２００８−１４７０２０号公報

そこで本発明は、簡易な構成で、シールド機能を向上させることができるようにした電気コネクタ及び電気コネクタ装置を提供することを目的とする。

上記目的を達成するため本発明は、信号伝送媒体が接続される第１コネクタが、配線基板上に実装される第２コネクタに嵌合又は抜去される構成になされたものであって、前記両電気コネクタの嵌合が行われる際に、前記第１コネクタの導電性シェル部材に設けられたグランド接続部が、前記第２コネクタに設けられたグランドコンタクト部材に電気的に接続される電気コネクタ装置において、前記第２コネクタに設けられた前記グランドコンタクト部材は、前記両電気コネクタの嵌合が行われる際に、前記第１コネクタの前記グランド接続部に対して弾性的な変位を伴って接触する弾性接触部を備えた構成になされている。

このような構成を有する本発明によれば、第１コネクタの導電性シェル部材に設けられたグランド接続部と、第２コネクタのグランドコンタクト部材との位置関係に関する自由度が、グランドコンタクト部材の弾性接触部に生じる弾性変位分だけ高められることとなり、第１コネクタのグランド接続部が第２コネクタのグランドコンタクト部材を覆う構造を採用した場合においても、第１コネクタのグランド接続部と第２コネクタのグランドコンタクト部材とを良好に接触させることが可能となり、第１コネクタの導電性シェル部材が第２コネクタのグランドコンタクト部材を覆うことによって良好な電磁遮蔽が行われると同時に、電気的な接続関係も良好に維持されることから、シールド特性の向上が図られるようになっている。

また、本発明では、配線基板上に実装された状態で、信号伝送媒体が接続される他のコネクタが嵌合又は抜去される構成になされたものであって、前記他のコネクタの導電性シェル部材に設けられたグランド接続部が、前記嵌合とともに電気的に接続されるグランドコンタクト部材を備えた電気コネクタにおいて、前記グランドコンタクト部材は、前記他のコネクタの前記グランド接続部に対して前記嵌合時に弾性的な変位を伴って接触する弾性接触部を備えた構成になされている。

このような構成を有する本発明によれば、他のコネクタの導電性シェル部材に設けられたグランド接続部とグランドコンタクト部材との位置関係に関する自由度が、グランドコンタクト部材の弾性接触部に生じる弾性変位分だけ高められることとなり、他のコネクタのグランド接続部がグランドコンタクト部材を覆う構造とした場合においても、他のコネクタのグランド接続部とグランドコンタクト部材とを良好に接触させることが可能となり、他のコネクタの導電性シェル部材がグランドコンタクト部材を覆うことによって良好な電磁遮蔽が行われると同時に、電気的な接続関係も良好に維持されることから、シールド特性の向上が図られる。

さらに、本発明における前記グランドコンタクト部材は、絶縁ハウジングに対して固定された固定支持部と、前記配線基板側に接合される基板接続部と、前記弾性接触部と、を一体に備えた構造とすることが可能である。

さらにまた、本発明における前記絶縁ハウジングには、前記グランドコンタクト部材の前記弾性接触部を、前記嵌合又は抜去の方向と直交する方向の両側から挟むように配置された変位案内部が形成され、当該変位案内部によって前記弾性接触部の弾性的変位が、予め定められた平面内で行われるように規制されていることが望ましい。

このような構成を有する本発明によれば、グランドコンタクト部材の弾性接触部が、絶縁ハウジングの変位案内部の規制作用によって予定外の方向に弾性変位されることがなくなり、電気的な短絡等の事態が回避される。

さらにまた、本発明における前記グランドコンタクト部材の前記弾性接触部は、前記基板接続部から前記嵌合又は抜去の方向に折れ曲がって延出するように形成された構成とすることが可能である。

また、本発明においては、前記グランド接続部が、平板状部材から形成された構成とすることが可能である。

さらに、本発明における前記嵌合時における前記グランド接続部は、前記グランドコンタクト部材が前記配線基板に接続されている部分を覆うとともに、当該グランド接続部の一端縁部が、前記配線基板の表面に当接又は近接するように配置される構成になされていることが望ましい。

このような構成を有する本発明によれば、グランドコンタクト部材の基板接続部分が、グランド接続部によって確実に覆われることから、グランドコンタクト部材の基板接続部分に対する電磁遮蔽が、一層確実かつ容易に行われる。

以上述べたように本発明は、相手コネクタの導電性シェル部材に設けたグランド接続部が電気的に接続されるグランドコンタクト部材に、相手コネクタのグランド接続部に弾性的な変位を伴って接触する弾性接触部を設けたことにより、相手コネクタのグランド接続部がグランドコンタクト部材の基板接続部を覆う構造とした場合にあっても、グランドコンタクト部材の弾性接触部の弾性変位によって良好な接触状態とすることを可能としたものであり、相手コネクタの導電性シェル部材がグランドコンタクト部材の基板接続部を覆うことで良好な電磁遮蔽を行いつつ良好な電気的接続関係を維持するように構成したものであるから、簡易な構成によってシールド機能を向上させることができ、電気コネクタの信頼性を低廉かつ大幅に高めることができる。

本実施形態の一実施形態にかかるプラグコネクタとリセプタクルコネクタとを嵌合した電気コネクタ装置を前方側の上方から表した外観斜視説明図である。 図１に示された電気コネクタ装置を後方側の上方から表した外観斜視説明図である。 図１及び図２に示された電気コネクタ装置の平面説明図である。 図１及び図２に示された電気コネクタ装置の底面説明図である。 図３中のＶ-Ｖ線に沿った横断面説明図である。 図３中のＶＩ-ＶＩ線に沿った横断面説明図である。 図１及び図２に示された電気コネクタ装置のうちのリセプタクルコネクタを前方側の上方から表した外観斜視説明図である。 図７に示されたリセプタクルコネクタの平面説明図である。 図７及び図８に示されたリセプタクルコネクタの正面説明図である。 図７及び図８に示されたリセプタクルコネクタの側面説明図である。 図７及び図８に示されたリセプタクルコネクタに用いられているグランドコンタクト部材を正面側の上方から表した外観斜視説明図である。 図１１に示されたグランドコンタクト部材の側面説明図である。 図１１に示されたグランドコンタクト部材の底面説明図である。 図１及び図２に示された電気コネクタ装置のうちのプラグコネクタの底面を上方に向けた状態における外観斜視説明図である。 図１４に示された底面を上方に向けた状態のプラグコネクタの平面説明図である。 図１４に示されたプラグコネクタに用いられている導電性シェル部材を前方側の上方から見たときの外観斜視説明図である。 図１６に示された導電性シェル部材を後方側から見たときの背面説明図である。 図１４に示されたプラグコネクタに用いられている絶縁ハウジングを前方側の上方から見たときの外観斜視説明図である。

以下、信号伝送媒体としての複数本の同軸ケーブルを印刷配線基板側に接続する電気コネクタ装置に本発明を適用した場合の実施形態に関する説明を図面に基づいて詳細に行う。

[電気コネクタ装置の全体構造]
まず、図１〜図６に示された本発明の一実施形態にかかる電気コネクタ装置は、同軸ケーブルＳＣの端末部分が連結された相手コネクタとしてのプラグコネクタ（第１のコネクタ）１と、印刷配線基板（図示省略）上に実装されたリセプタクルコネクタ（第２のコネクタ）２とからなる垂直嵌合型コネクタを構成するものであって、リセプタクルコネクタ２の直上に配置されたプラグコネクタ１が、印刷配線基板と略直交する図１及び図２の下方側に下降されることによって、前記リセプタクルコネクタ２の嵌合凹部に対してプラグコネクタ１の嵌合凸部が差し込まれ、それらの両コネクタ１，２どうしの嵌合が行われるようになっている。なお、以下において、プラグコネクタ１を差し込む方向を「下方向」とし、それとは反対の抜き出す方向を「上方向」とする。

上述したプラグコネクタ（第１のコネクタ）１の長手側両端縁部の一方側（図１の奥側）には、多極状に並列するように配列された複数本の同軸ケーブルＳＣの端末部分が連結されている。以下においては、当該同軸ケーブルＳＣの端末部分が連結される側の端縁部を「後端縁部」と呼び、それとは反対側の他端縁部を「前端縁部」と呼ぶこととする。さらに、それらプラグコネクタ１の「後端縁部」及び「前端縁部」に対応するリセプタクルコネクタ（第２のコネクタ）２の各端縁部についても同様に「後端縁部」及び「前端縁部」と呼ぶこととし、また、それらの「後端縁部」及び「前端縁部」に各々向かう方向を「後方」及び「前方」とする。さらに、プラグコネクタ１及びリセプタクルコネクタ２の長手方向を、単に「長手方向」又は「多極配列方向」と呼ぶ。

[同軸ケーブル]
上述した同軸ケーブルＳＣの端末部分においては、特に図６に示されているように、被覆材が皮剥きされることによってケーブル中心導体（信号線）ＳＣａ及びケーブル外部導体（シールド線）ＳＣｂが同軸状をなすように露出されており、当該同軸ケーブルＳＣの中心軸線に沿うようにして配置されたケーブル中心導体ＳＣａが、後述するプラグコネクタ１の各信号コンタクト部材（シグナルコンタクト）のそれぞれに接続されることによって信号回路が構成されるようになっている。

また、上記ケーブル中心導体ＳＣａと絶縁された状態で、その外周側を取り囲むように配置されたケーブル外部導体ＳＣｂは、グランド部材を構成している上部グランドバーＧＵと下部グランドバーＧＤとの間において上下に挟持されるように配置されている。それらの上部グランドバーＧＵ及び下部グランドバーＧＤは、多極配列方向に沿って長尺状に延在する細長の帯板状部材から形成されており、半田付けやカシメや圧接等によりケーブル外部導体ＳＣｂに接続されることによりグランド回路が構成されるようになっている。

[絶縁ハウジング及びコンタクト部材]
一方、上述したプラグコネクタ（第１のコネクタ）１及びリセプタクルコネクタ（第２のコネクタ）２は、細長板状をなす絶縁ハウジング１１，２１をそれぞれ備えており、それらの絶縁ハウジング１１，２１の内部には、長手方向に沿って多数の信号コンタクト部材（シグナルコンタクト）１２，２２が適宜のピッチ間隔で多極状をなすように配列されている。また、それら多数の信号コンタクト部材１２，２２の多極配列方向における途中位置には、複数のグランドコンタクト部材（シールドコンタクト）１３及び２３が、互いに所定の間隔をなして点在するように配置されている。

これら複数体の信号コンタクト部材１２，２２及びグランドコンタクト部材１３，２３は、それぞれ信号回路及びグランド回路を構成するものであるが、絶縁ハウジング１１，２１に対して、例えばインサート成形によって埋設された状態にて配置されている。このとき、特に図５及び図６に示されているように、プラグコネクタ（第１のコネクタ）１に取り付けられた信号コンタクト部材１２及びグランドコンタクト部材１３は、略同一の形状をなすように形成されている一方、リセプタクルコネクタ（第２のコネクタ）２に取り付けられた信号コンタクト部材２２及びグランドコンタクト部材２３は、互いに異なる形状をなすように形成されている。

すなわち、まずプラグコネクタ（第１のコネクタ）１側の信号コンタクト部材（シグナルコンタクト）１２及びグランドコンタクト部材１３は、絶縁ハウジング１１の前端縁部分に延在する前方平坦部１２ａ，１３ａを備えているとともに、その前方平坦部１２ａ，１３ａから後方側の下方（嵌合方向）に向かって略Ｕ字状をなして突出する後方折曲部１２ｂ，１３ｂが設けられている。

このうち、信号コンタクト部材（シグナルコンタクト）１２の前方平坦部１２ａに対しては、上述した同軸ケーブルＳＣのケーブル中心導体ＳＣａが上方側から当接されて半田接合されている。それら複数体の各ケーブル中心導体ＳＣａと信号コンタクト部材１２の半田接合は一括的に行われる。また、この信号コンタクト部材（シグナルコンタクト）１２における後方折曲部１２ｂの下方突出面には信号接点が設けられており、プラグコネクタ１がリセプタクルコネクタ２に嵌合されたときに、当該信号接点に対して、後述するリセプタクルコネクタ２の信号コンタクト部材２２に設けられた信号接点凸部２２ｃが接触し、それによって信号回路が構成されるようになっている。

さらに、当該プラグコネクタ（第１のコネクタ）１の長手方向において適宜の間隔をなすように配置されたグランドコンタクト部材（グランドコンタクト）１３は、上述した信号コンタクト部材（シグナルコンタクト）１２と同様に、前記絶縁ハウジング１１の前端縁部から後方側に向かって延在するように形成された前方平坦部１３ａを備えているとともに、その前方平坦部１３ａから後方側の下方（嵌合方向）に向かって略Ｕ字状をなして突出する後方折曲部１３ｂが設けられている。

このようなプラグコネクタ（第１のコネクタ）１に対して、リセプタクルコネクタ（第２のコネクタ）２に配置された信号コンタクト部材（シグナルコンタクト）２２は、絶縁ハウジング２１の前端縁部から後方側に向かって略Ｓ状をなすように折り曲げ形成されており、その最前端部分には前方半田接合部２２ａが平坦状をなして延在するように設けられている。この前方半田接合部２２ａは、印刷配線基板上の信号導電路（図示省略）に対して半田接合にて電気的な接続が行われ、それによって信号回路が構成されるようになっている。

また、この信号コンタクト部材（シグナルコンタクト）２２は、上述した前方半田接合部２２ａから略Ｓ字状をなして後方側に連続する後方折曲部２２ｂが設けられている。この後方折曲部２２ｂは、上方に向かって立ち上げられた後に一旦下降されて再び立ち上げられた形状になされており、その後端側における立ち上がり部分の上方位置に、後方側に向かって略「く」の字状をなすように突出する信号接点凸部２２ｃが設けられている。この信号コンタクト部材２２に設けられた信号接点凸部２２ｃは、プラグコネクタ１がリセプタクルコネクタ２に嵌合されたときに、前述したプラグコネクタ１側の信号接点部に対してバネ弾性的に圧接された状態で接続され、それにより信号回路が構成されるようになっている。

[リセプタクルコネクタのグランドコンタクト部材]
さらに、このリセプタクルコネクタ（第２のコネクタ）２の長手方向（多極配列方向）に適宜の間隔をなして配置された各グランドコンタクト部材２３は、図１１〜図１３にも示されているように、当該グランドコンタクト部材２３の後方側部分に後方平坦部２３ａが略水平に延在しているとともに、その後方平坦部２３ａの下面から固定支持部２３ｂが下方に突出するように設けられており、当該固定支持部２３ｂが、絶縁ハウジング１１に対して上方側から圧入されることでグランドコンタクト部材２３の全体が固定状態に維持されている。

また、上述した後方平坦部２３ａの前端からは、基板接続部２３ｃが前方側に向かって片持ち状をなすようにして延出している。この基板接続部２３ｃは、後方平坦部２３ａの前端から下方に折れ曲がってリセプタクルコネクタ（第２のコネクタ）２の底面位置まで延出した後に、再び折れ曲がって前方側に向かって略水平に延出し、リセプタクルコネクタ２の外方側（前方側）に向かって突出する構造になされている。この基板接続部２３ｃが略水平に平坦状をなして延在している部位のうち、リセプタクルコネクタ２の外方に突出している前端部分は、印刷配線基板に対する半田接合部になされており、その前方半田接合部が、印刷配線基板上の信号導電路（図示省略）に対して半田接合されることで電気的な接続が行われ、それによってグランド回路が構成されるようになっている。

さらに、このような基板接続部２３ｃは、上述したように略水平に延在している半田接合部の前端から、さらに上方に向かって折れ曲がるようにして立ち上げられており、その立ち上がり部分が、プラグコネクタ（第１のコネクタ）１に対する弾性接触部２３ｄになされている。

このグランドコンタクト部材（グランドコンタクト）２３の前端側の立ち上がり部分に設けられた弾性接触部２３ｄは、前方側に向かって略「く」の字状をなし突出するように折曲げ形成されており、その折曲げ形成部分の頂点部にグランド接点凸部２３ｅが設けられている。このグランドコンタクト部材２３に設けられたグランド接点凸部２３ｅは、プラグコネクタ１がリセプタクルコネクタ２に嵌合されたときに、後述するプラグコネクタ１側の導電性シェル部材１４の一部に対してバネ弾性的に圧接された状態で接続され、それによりグランド回路が構成されるようになっている。

このようなグランドコンタクト部材２３の弾性接触部２３ｄに対応して、前述した絶縁ハウジング２１には変位案内部２１ａが、当該絶縁ハウジング２１の前端壁部から前方側に向かって突出するように形成されている。この変位案内部２１ａは、グランドコンタクト部材２３の弾性接触部２３ｄを、嵌合又は抜去の方向である「上下方向」と直交する長手方向（多極配列方向）の両側から挟むように配置されており、一対の変位案内部２１ａ，２１ａが、一体の弾性接触部２３ｄの両側に近接配置されていることによって、当該弾性接触部２３ｄの弾性的変位が、予め定められた平面内で行われるように規制される構成になされている。

[導電性シェル部材]
一方、プラグコネクタ（第１のコネクタ）１に設けられた導電性シェル部材１４は、前述した絶縁ハウジング１１の外表面のうちの上面部分から前方側部分にかけての領域を覆う金属板状部材から形成されている。このプラグコネクタ１の導電性シェル部材１４は、グランド回路の一部を構成するものである。具体的には、前述した両グランドバー（グランド部材）ＧＵ，ＧＤを半田接合された同軸ケーブルＳＣが、絶縁ハウジング１１の上面に載置された状態で、上方側から導電性シェル部材１４を被せるようにして装着が行われている。これによって、絶縁ハウジング１１における上面から前端面にかけての部位が、導電性シェル部材１４により覆われた状態になされる。

このとき、上述した導電性シェル部材１４には、長手方向（多極配列方向）における両端側の後端縁部分に、一対の固定片１４ｅ，１４ｅが下方に突出するように折り曲げ形成されており、それらの固定片１４ｅ，１４ｅが、絶縁ハウジング１１の長手方向における両側部分に設けられた係止凹部１１ａに圧入されることによって、導電性シェル１４の全体が固定状態に維持されている。

このようにしてプラグコネクタ１に装着された導電性シェル部材１４は、絶縁ハウジング１１の上方側を覆う平面シェル板１４ａと、その平面シェル板１４ａの前端縁から下方に向かって略直角に折れ曲がって延出する前面シェル板１４ｂとを有している。そのうちの平面シェル板１４ａには、多極配列方向である長手方向に沿って複数体のグランド接続舌片１４ｃが所定の間隔なして切欠き形成されている。それらの各グランド接続舌片１４ｃは、片持ちの板バネ状をなすように下方側に向かって切り起こされており、それらの各グランド接続舌片１４ｃが、上述したようにして導電性シェル１４の装着が行われたときに、上部グランドバーＧＵの上面に圧接される構成になされている。

さらに、上述した導電性シェル部材１４の前面シェル板１４ｂには、長手方向（多極配列方向）における両側部分を除く部位に、前方側に向かって階段状に張り出すグランド接続部１４ｄが設けられている。このグランド接続部１４ｄは、前面シェル板１４ｂの下方側部分を、長手方向の所定長にわたって前方側に切り起こすように形成された平板状部材からなり、当該前面シェル板１４ｂに対する前方張出し位置において下方に向かって垂下するように延在している。

このように前面シェル板１４ｂに設けられたグランド接続部１４ｄは、前述したリセプタクルコネクタ２に設けられたグランドコンタクト部材２３の基板接続部２３ｃ及び弾性接触部２３ｄに対応した位置に配置されている。すなわち、上述したプラグコネクタ（第１のコネクタ）１のグランド接続部１４ｄは、当該プラグコネクタ１がリセプタクルコネクタ（第２のコネクタ）２に嵌合された際に、グランドコンタクト部材２３の基板接続部２３ｃ及び弾性接触部２３ｄを外方側から覆う位置関係となるように配置されており、当該グランド接続部１４ｄが有するシールド機能によって、グランドコンタクト部材２３の基板接続部２３ｃに対して電磁遮蔽が行われるようになっている。

一方、リセプタクルコネクタ（第２のコネクタ）２におけるグランドコンタクト部材２３の先端側部分に設けられた弾性接触部２３ｄに対して、プラグコネクタ（第１のコネクタ）１のグランド接続部１４ｄは、外方側（前方側）から接触する配置関係になされている。すなわち、プラグコネクタ１がリセプタクルコネクタ２に嵌合された際に、プラグコネクタ１のグランド接続部１４ｄの内壁面が、リセプタクルコネクタ２の弾性接触部２３ｄの頂部に設けられたグランド接点凸部２３ｅに対して、外方側（前方側）からバネ弾性的に圧接された状態で接続され、それによってグランド回路が構成されるようになっている。

ここで、上述したように導電性シェル部材１４の前面シェル板１４ｂに設けられたグランド接続部１４ｄは、プラグコネクタ１がリセプタクルコネクタ２に嵌合された際に、当該グランド接続部１４ｄの下端縁部が、印刷配線基板（図示省略）の表面に対して当接又は近接する配置関係になされている。このような構成としておけば、グランドコンタクト部材２３の基板接続部２３ｃがグランド接続部１４ｄによって確実に覆われることとなって、グランドコンタクト部材２３の基板接続部２３ｃに対する当該グランド接続部１４ｄの電磁遮蔽作用が確実かつ容易に行われる。

また、そのプラグコネクタ（第１のコネクタ）１の導電性シェル部材１４には、長手方向（多極配列方向）の両端縁部分に、一対のホルダ接続片１４ｆ，１４ｆが下方に突出するように折り曲げ形成されている。これらのホルダ接続片１４ｆ，１４ｆは、プラグコネクタ１がリセプタクルコネクタ２に嵌合されたときに、後述するリセプタクルコネクタ２の固定金具（ホールドダウン）２４，２４に係合されるように構成されており、それによって両プラグコネクタ１，２どうしが嵌合された状態に維持されるとともにグランド回路が構成されるようになっている。

すなわち、特に図７に示されているように、上述した第２のコネクタとしてのリセプタクルコネクタ２の長手方向（多極配列方向）両端部分には、同方向の外方側に向かって突出するように折り曲げ形成された固定金具（ホールドダウン）２４，２４が、絶縁ハウジング１１の両端部分にそれぞれ取り付けられている。それらの各固定金具２４は、絶縁ハウジング１１の上面から下方に向かって垂下するように延出した後に、リセプタクルコネクタ２の底面に相当する位置において長手方向の外方側に向かって略水平に延出するように形成されている。そして、それらの各固定金具２４が、印刷配線基板上のグランド導電路（図示省略）に半田接合されることで、グランド回路の電気的な接続が行われるとともに、リセプタクルコネクタ２の全体が強固に固定されるようになっている。

このような構成を有する本実施形態によれば、相手コネクタであるプラグコネクタ（第１のコネクタ）１の導電性シェル部材１４に設けられたグランド接続部１４ｄと、リセプタクルコネクタ（第２のコネクタ）２のグランドコンタクト部材２３との位置関係に関する自由度が、グランドコンタクト部材２３の弾性接触部２３ｄに生じる弾性変位分だけ高められている。すなわち、本実施形態のように、プラグコネクタ１の導電性シェル部材１４に設けられたグランド接続部１４ｄが、リセプタクルコネクタ２のグランドコンタクト部材２３を覆う構造を採用した場合においても、プラグコネクタ１のグランド接続部１４ｄと、リセプタクルコネクタ２のグランドコンタクト部材２３とを良好な接触状態とすることが可能となっており、プラグコネクタ１の導電性シェル部材１４ｄが、リセプタクルコネクタ２のグランドコンタクト部材２３の基板接続部２３ｃを覆うことで良好な電磁遮蔽が行われると同時に、電気的な接続関係も良好に維持されることから、シールド特性の向上が図られる。

以上、本実施形態者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。

例えば、上述した実施形態では、垂直嵌合型の電気コネクタに本実施形態を適用したものであるが、水平嵌合型の電気コネクタに対しても同様に適用することができる。

さらにまた本実施形態は、上述した各実施形態のような同軸ケーブル用コネクタに限定されることはなく、同軸ケーブルと絶縁ケーブルとが複数混合したタイプの電気コネクタや、フレキシブル配線基板等が連結される電気コネクタ等についても同様に適用することが可能である。

以上のように本実施形態は、各種電気機器に使用される多種多様な電気コネクタに対して広く適用することが可能である。

１ プラグコネクタ（第１のコネクタ）
２ リセプタクルコネクタ（第２のコネクタ）
ＳＣ 同軸ケーブル
ＳＣａ ケーブル中心導体（ケーブル中心導体ＳＣａ）
ＳＣｂ ケーブル外部導体（シールド線）
ＧＵ 上部グランドバー（グランド部材）
ＧＤ 下部グランドバー（グランド部材）
１１ 絶縁ハウジング
１１ａ 係止凹部
１２ 信号コンタクト部材（シグナルコンタクト）
１２ａ 前方平坦部
１２ｂ 後方折曲部
１３ グランドコンタクト部材（グランドコンタクト）
１３ａ 前方平坦部
１３ｂ 後方折曲部
１４ 導電性シェル部材
１４ａ 平面シェル板
１４ｂ 前面シェル板
１４ｃ グランド接続舌片
１４ｄ グランド接続部
１４ｅ 固定片
１４ｆ ホルダ接続片
２１ 絶縁ハウジング
２１ａ 変位案内部
２２ 信号コンタクト部材（シグナルコンタクト）
２２ａ 前方半田接合部
２２ｂ 後方折曲部
２２ｃ 信号接点凸部
２３ グランドコンタクト部材（グランドコンタクト）
２３ａ 後方平坦部
２３ｂ 固定支持部
２３ｃ 基板接続部
２３ｄ 弾性接触部
２３ｅ グランド接点凸部
２４ 固定金具（ホールドダウン）

Claims (7)

1. 信号伝送媒体が接続される第１コネクタが、配線基板上に実装される第２コネクタに嵌合又は抜去される構成になされたものであって、
   前記両電気コネクタの嵌合が行われる際に、前記第１コネクタの導電性シェル部材に設けられたグランド接続部が、前記第２コネクタに設けられたグランドコンタクト部材に電気的に接続される電気コネクタ装置において、
   前記第２コネクタに設けられた前記グランドコンタクト部材は、前記両電気コネクタの嵌合が行われる際に、前記第１コネクタの前記グランド接続部に対して弾性的な変位を伴って接触する弾性接触部を備えていることを特徴とする電気コネクタ装置。
2. 配線基板上に実装された状態で、信号伝送媒体が接続される他のコネクタが嵌合又は抜去される構成になされたものであって、
   前記他のコネクタの導電性シェル部材に設けられたグランド接続部が、前記嵌合とともに電気的に接続されるグランドコンタクト部材を備えた電気コネクタにおいて、
   前記グランドコンタクト部材は、前記他のコネクタに設けられた前記グランド接続部に対して前記嵌合時に弾性的な変位を伴って接触する弾性接触部を備えていることを特徴とする電気コネクタ。
3. 前記グランドコンタクト部材は、絶縁ハウジングに対して固定された固定支持部と、前記配線基板側に接合される基板接続部と、前記弾性接触部と、を一体に備えていることを特徴とする請求項１記載の電気コネクタ装置又は請求項２記載の電気コネクタ。
4. 前記絶縁ハウジングには、前記グランドコンタクト部材の前記弾性接触部を、前記嵌合又は抜去の方向と直交する方向の両側から挟むように配置された変位案内部が形成され、当該変位案内部によって前記弾性接触部の弾性的変位が、予め定められた平面内で行われるように規制されていることを特徴とする請求項２記載の電気コネクタ装置又は電気コネクタ。
5. 前記グランドコンタクト部材の前記弾性接触部は、前記基板接続部から前記嵌合又は抜去の方向に折れ曲がって延出するように形成されていることを特徴とする請求項１記載の電気コネクタ装置又は請求項２記載の電気コネクタ。
6. 前記グランド接続部が、平板状部材から形成されていることを特徴とする請求項１記載の電気コネクタ装置又は請求項２記載の電気コネクタ。
7. 前記嵌合時における前記グランド接続部は、前記グランドコンタクト部材が前記配線基板に接続されている部分を覆うとともに、
   当該グランド接続部の一端縁部が、前記配線基板の表面に当接又は近接するように配置される構成になされていることを特徴とする請求項１記載の電気コネクタ装置又は請求項２記載の電気コネクタ。

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