以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
図1は、本実施の形態に従う電子機器であるスマートフォン1の正面図である。図1を参照して、スマートフォン1は本体部の長手方向の上部にスピーカ70と、本体部の長手方向の下部にマイク60と、中央部に表示部20と入力部50とを備える。表示部20にはウェブブラウザ100が表示されている。
図2は、図1のスマートフォン1の機能を説明するための機能ブロック図である。図2を参照して、スマートフォン1は、制御部10と、表示部20と、記憶部30と、通信部40と、入力部50と、マイク60と、スピーカ70とを備える。
制御部10は、スマートフォン1を統合的に制御することができる。制御部10は、図示はしないがCPU(Central Processing Unit)および記憶素子を含む。記憶素子は、たとえばSRAM(Static Random Access Memory)またはDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
表示部20は、制御部10から受信した信号に基づいて表示を行なうことができる。表示部20は、たとえば液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、または有機ELディスプレイから構成されてもよい。
記憶部30は、制御部10に読み出されて実行されるOS(Operating System)、各種アプリケーション(たとえばウェブブラウザ)のプログラム、および当該プログラムによって使用される各種データ(たとえば閲覧履歴およびブックマーク)を保存することができる。記憶部30は、たとえば、不揮発性の半導体メモリであるフラッシュメモリ、または記憶装置であるHDD(Hard Disk Drive)を含んでもよい。
通信部40は、いずれも図示しないが、アンテナスイッチ、デュプレクサ、電力増幅器、低雑音増幅器、および帯域通過フィルタを含む。通信部40は、LTE(Long Term Evolution)またはCDMA(Code Division Multiple Access)の方式に従い、通信事業者の通信網において通信を行なうことができる。通信部40は、アンテナで受信した信号を処理して、当該信号を制御部10に出力することができる。制御部10は、通信部40へ信号を出力することができる。通信部40は、制御部10から出力された信号を送信することができる。通信部40は、いずれも図示しないが無線LAN回路および無線LANアンテナを含み、WiFi(登録商標)に基づいて、たとえばWiFiアクセスポイントのようなWiFi対応機器と通信を行なうことができる。
入力部50は、ユーザからの入力を受け付け、制御部10にその入力に基づく信号を送信することができる。入力部50は、たとえばボタンおよびタッチパネルの少なくとも1つから構成されてもよい。ユーザは入力部50からアプリケーションに入力を行なうことができる。たとえば、ユーザは入力部50から入力を行なうことにより、ウェブブラウザ100が含む各GUIを操作することができる。
再び図1を参照して、ウェブブラウザ100はGUI(Graphical User Interface)として、戻るボタン101と、進むボタン102と、URL(Uniform Resource Locator)表示欄103と、ブックマークボタン104と、タブ111とを含む。タブ111にはウェブページ121が表示されている。ウェブページ121はリンクL1〜L5を含む。
戻るボタン101が押下されると、ウェブページ121の直前に表示されていたウェブページが表示される。進むボタン102が押下されると、ウェブページ121の次に表示されていたウェブページが表示される。
URL表示欄103には表示されているウェブページのURLが表示される。URL表示欄103には、タブ111に表示されているウェブページ121のURL「http://www.news.zzz」が表示されている。
ブックマークボタン104が押下されると、現在表示しているウェブページのURLがブックマークに登録される。図3は、ブックマークの内容を簡略的に示す図である。図3を参照して、ブックマークには、ウェブページのタイトルおよびURLが記録される。
ウェブブラウザ100は、ウェブページのURLと当該ウェブページを表示した時刻とを関連付けて閲覧履歴に記録する。図4は、閲覧履歴の内容を簡略的に示した図である。図4を参照して、ウェブブラウザ100は、表示したウェブページのURLと、当該ウェブページを表示した時刻とを組みにして閲覧履歴に記録する。たとえば、「http://www.news.zzz/new7」で指定されるウェブページは、2015年4月24日12時43分27秒に表示されたことがわかる。
ウェブページのURLおよび当該ウェブページを表示した時刻以外の情報が閲覧履歴に記録されても構わない。たとえば、ウェブブラウザ100は、ウェブサーバとの通信に実際に要した時間を閲覧履歴に記録するようにしてもよい。
閲覧履歴に記録する時刻は、ウェブページを表示部20に表示した時刻に限られない。閲覧履歴に記録する時刻は、表示部20への当該ウェブページの表示に関連する処理を行なった時刻であればどのような時刻であってもよい。たとえば、当該ウェブページをウェブサーバから取得した時刻、あるいは当該ウェブページを取得するために当該ウェブサーバと接続を確立した時刻であってもよい。
図5は、リンクL1が選択されて、リンクL1が指定するウェブページ122が新たなタブ112に表示されている様子を示す図である。新たにタブ112が作成されるとき、計算資源(たとえばメモリ)が使用される。
スマートフォン1のように小型の電子機器においては計算資源が限られている。このスマートフォン1で動作するウェブブラウザ100においては、計算資源の使用を抑制するため、同時に保持できるタブの数が制限されている場合がある。
計算資源を豊富に備える電子機器であっても、ウェブブラウザよる計算資源の使用を抑制しなければならない場合がある。たとえば、ウェブブラウザ以外の、大量の計算資源を必要とするアプリケーションが主に動作するような電子機器である。
リンクが選択される度にウェブブラウザ100によってタブが作成される場合、リンクL1を含むウェブページ121はタブ111に保持されている。ウェブブラウザ100はウェブページ121をウェブサーバから再度取得する必要がない。ユーザはタブ111を選択することにより待ち時間なく効率的にウェブページ121を再閲覧することができる。しかし、全てのウェブページが再閲覧されるとは限らない。そのような場合にまで、タブを作成していては、計算資源が無駄に使用されてしまう。
リンクが選択される度にタブを作成することにより、ウェブページの効率的な閲覧は可能になる一方で、計算資源の使用を抑制することはできない。
本実施の形態におけるウェブブラウザは、ユーザによるリンクの選択によって、当該リンクに対応したウェブページを表示する場合、現在表示中のウェブページが再閲覧される可能性が高いときには、新たなタブを作成してリンク先のウェブページを表示する。ウェブブラウザは、現在のウェブページが再閲覧される可能性が高くない場合には、現在のウェブページを表示しているタブを更新してリンク先のウェブページを表示する。
再閲覧される可能性が高いか否かは、「所定の条件」が満たされるか否かで判定する。本実施の形態において「所定の条件」とは、たとえば、閲覧履歴における過去3ヶ月間のリンク元のドメインの出現頻度が30回以上、またはブックマークに登録されているURLにリンク元のドメインが含まれている、という条件である。
閲覧履歴における所定の期間内のドメインの出現頻度は、当該ドメインを含むURLによって指定されるウェブページに対するユーザの関心の高さを表している。ユーザの関心が高い場合、当該ウェブページは再閲覧される可能性が高い。したがって、閲覧履歴における所定の期間内のドメインの出現頻度により、当該ウェブページが再閲覧される可能性が高いか否かを判定することができる。
本実施の形態においては「所定の期間」が3ヶ月間の場合を例として説明する。所定の期間は3ヶ月に限定されるものではない。「所定の期間」は、たとえば実機実験の結果、シミュレーション結果、あるいはユーザからの情報に基づき適宜決定することができる。
スマートフォン1が未使用で閲覧履歴に含まれる情報がない、あるいはスマートフォン1の使用期間が短く閲覧履歴に含まれる情報が少ない場合がある。このような場合、閲覧履歴を用いてウェブページが再閲覧される可能性が高いか否かを判定することは困難となり得る。
このような場合であってもウェブページが再閲覧される可能性が高いか否かを判定することができるように、本実施の形態においては、「所定の条件」として、ブックマークに登録されているURLにリンク元のドメインが含まれている、という条件を「所定の条件」に含ませている。
ブックマークは、ユーザが再度閲覧したいURLを登録しておくものである。したがって、ブックマークに登録されているいずれかのURLにリンク元のドメインが含まれている場合、リンク元のウェブページは再閲覧される可能性が高い。
ブックマークは、SDカードのような可搬記憶媒体を介して、或るスマートフォンから他のスマートフォンへコピーすることが可能である。ユーザが以前に使用していた他のスマートフォンのブックマークをスマートフォン1にコピーすることにより、上記のような場合であってもウェブページが再閲覧される可能性が高いか否かを判定することが可能になる。
図6は、第1のタブ111に表示されているウェブページ121が含むリンクL1が選択されて、リンクL1が指定するウェブページ122を表示する場合に図2の制御部10において行なわれる処理の流れを説明するためのフローチャートである。図6を参照して、ユーザによりリンクL1が選択されると、制御部10は、ステップS10において、リンク元のウェブページ121を指定するURLに含まれるドメイン「www.news.zzz」を用いて、「所定の条件」が満たされる否かを判定する。
制御部10は、「所定の条件」が満たされる場合(ステップS10においてYES)、図5に示されるようにステップS11において第2のタブ112を新たに作成してウェブページ122を表示する。
制御部10は、「所定の条件」が満たされない場合(ステップS10においてNO)、図8に示されるようにステップS12において、新規にタブを作成することなく、ウェブページ121を表示している第1のタブ111を更新してウェブページ122を表示する(図8参照)。
図7は、図6におけるステップS10の具体的な処理を示すフローチャートの一例である。図6と図7とを参照して、制御部10は、ステップS101において、閲覧履歴における過去3ヶ月間のリンク元のドメインの出現頻度が30回以上であるか否かを判定する。出現頻度が30回以上である場合(S101においてYES)、制御部10は、ウェブページ121が再閲覧される可能性は高く、「所定の条件」は満たされる(図6のS10においてYES)と判定して、図6のS11へ処理を進める。出現頻度が30回未満である場合(S101においてNO)、制御部10は、処理をステップS102に進める。
制御部10は、ステップS102において、ブックマークに登録されているURLにリンク元のドメインが含まれているか否かを判定する。ブックマークに登録されているURLにリンク元のドメインが含まれている場合(S102においてYES)、制御部10は、ウェブページ121が再閲覧される可能性は高く、「所定の条件」は満たされた(図6のS10においてYES)と判定して、S11へ処理を進める。ブックマークに登録されているURLにドメインが含まれていない場合(S102においてNO)、制御部10は、ウェブページ121が再閲覧される可能性は低く、「所定の条件」は満たされない(図6のS10においてNO)と判定して、図6のS12へ処理を進める。
ユーザがURLを登録することができるのはブックマークに限られず、たとえば所定のファイルにURLを登録してもよい。制御部10は、当該ファイルに登録されているURLにリンク元のドメインが含まれているか否かを判定してもよい。
本実施の形態における「所定に条件」は、閲覧履歴における過去3ヶ月間のドメインの出現頻度が30回以上(図7のS101)、またはブックマークに登録されているURLにドメインが含まれている(図7のS102)、という条件である。「所定の条件」は、本実施の形態で用いたものに限られない。「所定の条件」は、閲覧履歴における過去3ヶ月間のドメインの出現頻度が30回以上という条件のみ(図10(a)参照)でもよい。「所定の条件」は、ブックマークに登録されているURLにドメインが含まれているという条件のみでもよい(図10(b)参照)。
「所定の条件」は、図7のS101およびS102以外の条件を含んでいてもよい。たとえば、リンク元のウェブページのドメインからウェブサーバとの通信に要する時間を予想して、当該通信時間が所定の時間以上となるという条件を含んでもよい。このような条件を「所定の条件」に含ませることにより、取得に時間のかかるウェブページをタブに保持しておくことができる。通信時間はドメインから予想するのではなく、実際に要した通信時間であってもよい。たとえば、閲覧履歴にウェブサーバとの実際の通信時間が記録されている場合、「所定の条件」は、当該通信時間が所定の時間以上となるという条件を含んでもよい。
計算資源の使用の抑制という観点からは、リンク先のウェブページを表示する場合に新たにタブを作成するか否かだけではなく、リンク先のウェブページからリンク元のウェブページに戻るときにも、リンク先のウェブページを表示するタブを残すか否かを考慮する必要である。
図9は、リンク選択時の処理(図6参照)が行なわれた後に、ユーザにより戻るボタン101が押下された場合に図2の制御部10において行なわれる処理の流れを説明するためのフローチャートである。すなわち、図9で示される処理は表示されているウェブページをウェブページ122からウェブページ121へ戻す場合に行なわれる。
図9を参照して、制御部10は、ステップS20において、リンク選択時の処理において「所定の条件」が満たされていたか否かを判定する。「所定の条件」が満たされていた場合(S20においてYES)、制御部10は、ステップS21において第2のタブ112を破棄する。制御部10は、第2のタブ112を破棄することにより、第1のタブ111が最前面となりウェブページ121が表示される。
制御部10は、ユーザのリンク選択時に新たに作成されたタブ112を破棄することにより、ウェブページ121を効率的に再閲覧可能とするとともに計算資源の使用を抑制することができる。
制御部10は、「所定の条件」が満たされていない場合(S20においてNO)、ステップS22において第1のタブ111を更新してウェブページ121を表示する。
入力部50が戻るボタン101と同様の機能を有する物理的なボタンを含む場合には、当該ボタンが押下されたときに図9に示す処理が行われてもよい。
以上のような処理を行なうことにより、スマートフォン1は再閲覧される可能性の高いウェブページが含むリンクが選択された場合にタブを新たに作成する。このことにより、本実施の形態に従うスマートフォン1によれば、ウェブページの閲覧を効率的に行ないながら計算資源の使用を抑制することができる。
本開示の実施の形態において、制御部10は、ユーザにより戻るボタン101が押下されて、リンク先のウェブページからリンク元のウェブページに戻る場合、リンク選択時の処理において所定の条件が満たされていたときにリンク先のウェブページを表示するタブ(第2のタブ)を破棄する。第2のタブが破棄されるタイミングはリンク元のウェブページに戻るときに限られない。
たとえば、制御部10は、ユーザが戻るボタン101を押下した場合、リンク元のウェブページを表示するタブ(第1のタブ)をアクティブなタブ(最前面のタブ)としてもよい。制御部10は、ユーザがリンク元のウェブページに含まれる新たなリンクを選択した場合、先のリンク選択時の処理において所定の条件が満たされていたときに当該リンク選択時に作成されたタブ(第2のタブ)を破棄してもよい。
たとえば、制御部10は、ユーザによる入力部50への所定の入力によってリンク元のウェブページを表示するタブ(第1のタブ)が破棄される場合、または他のタブがアクティブなタブとなってリンク元のウェブページが表示されなくなる場合、リンク選択時の処理において所定の条件が満たされていたときにリンク先のウェブページを表示するタブ(第2のタブ)を破棄してもよい。
たとえば、制御部10は、同時に保持できるタブの数を所定の制限数に制限してもよい。制御部10は、保持するタブの数が当該所定の制限数に達している状態で新たなリンクが選択された場合、当該リンク選択時の処理において所定の条件が満たされたとき、最初または直近に作成したタブ等、リンク先のウェブページを表示するために作成した特定のタブ(第2のタブ)を破棄して新たなタブを作成してもよい。
「所定の条件」が満たされるか否かを判定するときに用いた文字列はドメインに限られない。ドメインが含まれていればどのような文字列であってもよい。たとえば、当該文字列は、URLの全部あるいは一部であってもよい。
スマートフォン1は図6に示す処理を実行するモードと当該処理を実行しないモードのいずれでも動作可能であり、ユーザによる入力部50への所定の入力によっていずれか一つのモードが選択されるようにしてもよい。
リンク選択時にユーザによる入力部50への所定の入力によりタブを作成して、ユーザがリンク先のウェブページを当該タブに表示させた場合、当該所定の入力が行なわれた以降にリンク元のウェブページに含まれる新たなリンクが選択されたときには、新たなタブを作成してリンク先のウェブページを表示するようにしてもよい。
リンク選択時の処理において所定の条件が満たされていた場合、リンク元のウェブページを表示するタブに所定のマークが表示されるようにしてもよい。表示部20に複数のタブが表示されている状態において、ユーザは当該所定のマークを目印としてリンク元のウェブページを表示するタブがどのタブなのかを知ることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。