以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
[レーダ装置の構成]
図1は、本実施の形態に係るレーダ装置100の構成を示すブロック図である。レーダ装置100は車両に搭載される車載用無線レーダ装置である。
図1に示すレーダ装置100は、カメラ101、ライト検出部102、タイミング制御部103、ライト制御部104、ライト105、レーダ制御部106、レーダ送受信部107及びレーダ信号処理部108を含む構成を採る。
カメラ101は、少なくともレーダ装置100が電波を送信する方向を含む領域を撮影する。例えば、カメラ101は、自車の前方方向又は後方方向の画像を取得してもよい。カメラ101は、撮影した画像をライト検出部102へ出力する。
ライト検出部102は、カメラ101で撮影された画像に含まれる、他車(例えば、対向車、前方車又は後方車)のライトの点灯状態(点灯又は消灯)を検出する。ライト検出部102は、ライト検出結果をタイミング制御部103へ出力する。
タイミング制御部103は、ライト検出部102から入力されるライト検出結果(他車のライトの点灯状態)に基づいて、自車のライト105の点灯タイミング、及び、自車から送信されるレーダ信号の送信タイミングを設定する。そして、タイミング制御部103は、設定した点灯タイミングに基づいて、ライト点灯の信号又はライト消灯の信号をライト制御部104へ出力し、設定した送信タイミングに基づいてレーダ信号の送信指示信号をレーダ制御部106へ出力する。
ここで、自車及び他車の各々において、レーダ信号の送信パターン(送信区間及び送信停止区間を含む)と、ライト105の点滅パターン(点灯区間及び消灯区間を含む)とは同期している。そこで、タイミング制御部103は、他車のライトの点滅パターンに基づいて、当該点滅パターンと同期している他車から送信されるレーダ信号の送信パターンを特定し、他車におけるレーダ信号の送信停止区間を、自車のレーダ装置100におけるレーダ信号の送信区間に設定する。つまり、自車のレーダ信号の送信区間と、他車のレーダ信号の送信区間とは互いに異なる。
また、タイミング制御部103は、自車のレーダ信号の送信パターンと同期するように、自車のライト105の点滅パターンを設定する。これにより、他車において、自車のライト105の点滅パターンに基づいて、自車のレーダ信号の送信パターンを特定することが可能となる。
ライト制御部104は、タイミング制御部103からの指示に従って、ライト105の点灯を制御する。例えば、ライト制御部104は、タイミング制御部103からライト点灯の信号が入力されると、ライトを点灯させるための信号をライト105へ出力し、タイミング制御部103からライト消灯の信号が入力されると、ライトを消灯させるための信号をライト105へ出力する。
ライト105は、ライト制御部104からの制御信号に基づいて点灯する。ライト105は、例えば、車両のヘッドライト、テールライト等の車両に搭載されたライトであって、人間が感知できない速度で点滅可能である。例えば、ライト105は、LEDでもよく、LED以外の発光素子によって構成されてもよい。
レーダ制御部106は、タイミング制御部103から入力されるレーダ信号の送信指示信号に従って、レーダ信号の送受信を制御する制御信号をレーダ送受信部107及びレーダ信号処理部108へ出力する。
レーダ送受信部107は、レーダ制御部106から入力される制御信号に基づいてレーダ信号を生成し、生成したレーダ信号を送信する。例えば、レーダ送受信部107は、パルス系列から構成されるパルス圧縮方式のレーダ信号を送信する。ただし、レーダ信号はこれに限るものではい。また、レーダ送受信部107は、レーダ信号がターゲット(物体)に反射された信号(反射波信号)を受信し、受信した反射波信号に対して周波数変換して得られる信号をレーダ信号処理部108へ出力する。
レーダ信号処理部108は、レーダ制御部106から入力される制御信号、及び、レーダ送受信部107から入力される受信信号を用いて、例えば、物体検出処理を施し、レーダ信号処理結果(例えば、物体検出結果)を出力する。
なお、レーダ信号処理結果に示される物体検出結果は、例えば、表示部(図示せず)で表示されてもよい。または、物体検出結果は、ECU(Electronic Control Unit。図示せず)のような処理装置に出力されてもよい。
また、タイミング制御部103はECU(図示せず)のようなレーダ装置100全体を制御する処理装置に接続されていてもよい。この場合、レーダ装置100の動作開始、動作終了をECUから指示することもできる。
また、レーダ信号処理部108の処理はECUのような処理装置内で実施されてもよい。
[レーダ装置100の動作]
次に、上述した構成を有するレーダ装置100の動作について詳細に説明する。
なお、ここでは、レーダ装置100が搭載された全ての車両において、ライト105の点灯タイミングと、レーダ送受信部107でのレーダ信号の送信タイミングとが同期されているものとする。換言すると、ライト105の消灯タイミングと、レーダ送受信部107でのレーダ信号の送信停止タイミングとが同期されている。
つまり、各車両では、ライト105の点灯区間と同一タイミングがレーダ信号の送信区間に設定され、ライト105の消灯区間と同一タイミングがレーダ信号の送信停止区間に設定される。
図2は、レーダ装置100のタイミング制御部103で制御されるレーダ装置100の動作を示すフローチャートである。
ステップ(以下、「ST」と表す)200で動作を開始すると、ST201では、タイミング制御部103は、ライト検出部102から入力されるライト検出結果に基づいて、他車のライトが点灯しているか否かを判定する(他車ライト判定)。他車のライト点灯を検出した場合(ST201:点灯検出)、タイミング制御部103は、ST201の他車ライト判定を繰り返す。
一方、他車のライト点灯を検出しない場合(ST201:点灯未検出)、タイミング制御部103は、ST202において自車のライト105を点灯させ、ST203においてレーダ送受信部107に対してレーダ信号を送信させる。
ST203におけるレーダ送信動作を例えば所定時間継続した後、タイミング制御部103は、ST204において、レーダ信号の送信を停止させ、ST205において自車のライト105を消灯させる。
ST206では、タイミング制御部103は、レーダ機能の動作継続又は動作停止を判定する。動作継続の場合、タイミング制御部103は、ST201の処理(他車ライト判定)へ戻り、上記動作を繰り返す。一方、動作停止の場合、タイミング制御部103は、ST207でレーダ装置100の動作を停止させる。
このようにして、タイミング制御部103は、他車のライト105の点灯区間を、当該他車におけるレーダ信号の送信区間であると判定し、自車からのレーダ信号の送信を停止させる。また、タイミング制御部103は、他車のライト105の消灯区間を、当該他車におけるレーダ信号の送信停止区間であると判定し、自車からのレーダ信号の送信を開始させる。このように、レーダ装置100は、他車のライトの点滅パターンに基づいて、他車との間でレーダ信号の送信区間を異ならせることにより、他車との間のレーダ信号の干渉を回避して、自車からレーダ信号を送信することができる。
また、タイミング制御部103は、ライト105の点灯(ST202)とレーダ送信(ST203)とを同期させ、ライト105の消灯(ST205)とレーダ停止(ST204)とを同期させる。これにより、レーダ装置100は、他車に搭載された他のレーダ装置100に対して、自車のライト105の点灯タイミングを検出させることにより、自車から送信されるレーダ信号の送信タイミングを通知することができる。
次に、レーダ装置100の動作の具体例について説明する。図3は、本実施の形態において想定される状況の一例を示す図である。図3は、車両301及び車両302が同一方向(図中上向き)に走行している様子を示す。なお、車両301及び車両302は、何れもレーダ装置100を搭載している。
図4は、車両301及び車両302におけるライト105及びレーダの動作状態のタイミングを示す図である。
図4に示す送信区間401において、車両301に搭載されたレーダ装置100は、レーダ信号を送信する前に、カメラ101を用いて他車のライト点灯状態を検出する。送信区間401では、他車(車両302を含む)のライトが検出されないので(他車ライト検出:「無」)、車両301のレーダ装置100は、自車がレーダ信号を送信する方向において他車がレーダ信号を送信していないと判断し、車両301のライト105を点灯し(ライト:ON)、レーダ信号を送信する。
また、図4に示す送信区間402において、車両302に搭載されたレーダ装置100は、レーダ信号を送信する前に、カメラ101を用いて他車のライト点灯状態を検出する。送信区間402では、他車(車両301を含む)のライトが検出されないので(他車ライト検出:「無」)、車両302のレーダ装置100は、自車がレーダ信号を送信する方向において他車がレーダ信号を送信していないと判断し、車両302のライト105を点灯し(ライト:ON)、レーダ信号を送信する。
また、送信区間403において、車両301に搭載されたレーダ装置100は、レーダ信号を送信する前に、カメラ101を用いて他車のライト点灯状態を確認する。送信区間403では、車両302がライトを点灯していることが検出される。このため、車両301のレーダ装置100は、車両302のライトの消灯(OFF)を検出するまでレーダ信号の送信を待機する。そして、車両301のレーダ装置100は、車両302のライトが消灯されたことを確認し、自車301のライト105を点灯し、レーダ信号を送信する。
なお、図4では、車両301及び車両302のレーダ装置100の各々は、レーダ信号の送信を開始した場合、レーダ送信の1周期が完了した後に、ライト105を消灯し(ライト:OFF)、レーダ信号の送信を停止する。
また、レーダ装置100は、必ずしも他車のライトが点灯から消灯に切替わる瞬間を検出しなくてもよく、点灯から消灯に切替わって所定時間遅延したタイミングで消灯していることが検出されればよい。すなわち、レーダ装置100では他車のライトの点灯又は消灯の検出を間欠的に実施することが可能である。
このように、本実施の形態では、各車両に搭載されるレーダ装置100において、レーダ信号の送信タイミングと、ライト105の点灯タイミングとが同期される。そして、レーダ装置100は、他車のライトの点灯タイミングに基づいて、他車からのレーダ信号の送信タイミングを特定し、特定した送信タイミングと異なるタイミングを自車からのレーダ信号の送信タイミングとして設定する。
すなわち、レーダ装置100は、他車のライト105の点灯が検出されない場合に自車のレーダ信号を送信する。一方、レーダ装置100は、他車のライト105の点灯が検出される場合には、他車のライト105の点灯が検出されなくなるまで待機し、他車のライトの消灯が確認できた場合(ライトの点灯が検出されない場合)、自車のライト105を点灯させ、レーダ信号を送信する。
こうすることで、本実施の形態では、レーダ装置100は、他車のライトの点灯状態を検出するのみで、他車との干渉を回避して、レーダ信号を送信することができる。例えば、レーダ装置100は、他車のライトの点灯状態が検出可能であれば、屋内駐車場などのように位置情報の取得が困難である場所でも他車のレーダ送信タイミングを特定し、干渉を回避することができる。また、本実施の形態によれば、他車のライトの点灯状態を検出することで他車のレーダ送信タイミングを特定するので、位置情報又は使用無線周波数等の情報を伝送するための構成が不要となり、コストの増加を抑えることができる。
また、本実施の形態によれば、レーダ装置100は、他車から送信されるレーダ信号の送信タイミングを特定し、他車のレーダ信号の送信停止区間、つまり、干渉が生じない区間で車からのレーダ信号の送信を開始させる。こうすることで、特許文献2のように干渉が検知された後に干渉回避処理を開始する場合のように一時的に干渉が発生する状況を回避することができる。
また、本実施の形態では、各車両のレーダ装置100は、ライト105の点灯区間のみでレーダ信号を送信する。これにより、他車のレーダ装置100は、車両のライト105の点滅状態を検出することで、他車との間で干渉が発生するか否かを検知できるので、高度な干渉検知性能は不要となる。
また、本実施の形態によれば、各車両のレーダ装置100は、他車のライトの点滅状態を検出することにより、ライトの点灯タイミングと同期するレーダ信号の送信タイミングを判定し、自車からのレーダ信号の送信を自律的に制御する。こうすることで、或る車両においてレーダ信号による干渉を回避するために、他車においてレーダ信号の送信を停止する必要が無いので、有限な資源である無線周波数の利用効率を低下させることを防ぐことができる。
よって、本実施の形態によれば、位置情報等の制御信号の交換を行うことなく、無線周波数資源の有効利用を図りながら、他局とのレーダ信号の電波干渉の発生を抑制することができる。
[変形例1]
図5は、変形例1に係るレーダ装置100のタイミング制御部103で制御されるレーダ装置100の動作を示すフローチャートである。
実施の形態1の変形例では、レーダ装置100が搭載された全ての車両において、ライト105の消灯タイミングと、レーダ送受信部107でのレーダ信号の送信タイミングとが同期されているものとする。換言すると、ライト105の点灯タイミングと、レーダ送受信部107でのレーダ信号の送信停止タイミングとが同期されている。
つまり、各車両では、ライト105の消灯区間と同一タイミングがレーダ信号の送信区間に設定され、ライト105の点灯区間と同一タイミングがレーダ信号の送信停止区間に設定される。
すなわち、図5に示すフローチャートにおいて、図2に示すフローチャートとの差異は、各車両においてライト105が消灯している時にレーダ信号が送信される点である。
以下、変形例1に係るレーダ装置100の詳細な動作について説明する。
ST500で動作を開始すると、ST501では、タイミング制御部103は、ライト検出部102から入力されるライト検出結果に基づいて、他車のライトが点灯しているか否かを判定する(他車ライト判定)。他車のライト点灯を検出しない場合(ST501:点灯未検出)、タイミング制御部103は、ST501の他車ライト判定を繰り返す。
一方、他車のライト点灯を検出した場合(ST501:点灯検出)、タイミング制御部103は、ST502において自車のライト105を消灯させ、ST503においてレーダ送受信部107に対してレーダ信号を送信させる。
ST503におけるレーダ送信動作を例えば所定時間継続した後、タイミング制御部103は、ST504において、レーダ信号の送信を停止させ、ST505において自車のライト105を点灯させる。
ST506では、タイミング制御部103は、レーダ機能の動作継続又は動作停止を判定する。動作継続の場合、タイミング制御部103は、ST501の処理(他車ライト判定)へ戻り、上記動作を繰り返す。一方、動作停止の場合、タイミング制御部103は、ST507でレーダ装置100の動作を停止させる。
次に、変形例1に係るレーダ装置100の動作の具体例について説明する。図6は、図3に示す車両301及び車両302におけるライト105及びレーダの動作状態のタイミングを示す図である。
図6において、図4との差異は、各車両のレーダ装置100がレーダ信号を送信している時にライト105を消灯(OFF)している点である。
具体的には、図6に示す送信区間601では、車両301のレーダ装置100は、車両302のライトが検出されるので、自車がレーダ信号を送信する方向において他車がレーダ信号を送信していないと判断し、車両301のライト105を消灯し(ライト:OFF)、レーダ信号を送信する。
また、図6に示す送信区間602では、車両302のレーダ装置100は、車両301のライトが検出されるので、自車がレーダ信号を送信する方向において他車がレーダ信号を送信していないと判断し、車両302のライト105を消灯し(ライト:OFF)、レーダ信号を送信する。
また、送信区間603では、車両301に搭載されたレーダ装置100は、レーダ信号を送信する前に、車両302がライトを消灯していることを検出する(他車ライト検出:「無」)。このため、車両301のレーダ装置100は、車両302のライトの点灯(ON)を検出するまでレーダ信号の送信を待機する。そして、車両301のレーダ装置100は、車両302のライトの点灯を検出した時点で、自車301のライト105を消灯し、レーダ信号を送信する。
なお、図6では、車両301及び車両302のレーダ装置100の各々は、レーダ信号の送信を開始した場合、レーダ送信の1周期が完了した後に、ライト105を点灯し(ライト:ON)、レーダ信号の送信を停止する。
このように、ライト105の消灯タイミングと、レーダ信号の送信タイミングとが同期されている場合でも、上記実施の形態と同様、位置情報等の情報交換を行うことなく、無線周波数資源の有効利用を図りながら、他局とのレーダ信号の電波干渉の発生を抑制することができる。
[変形例2]
変形例2では、複数の車両において、ライト105の点灯タイミングとレーダ信号の送信タイミングとが同期されている場合と、ライト105の消灯タイミングとレーダ信号の送信タイミングとが同期されている場合と、が混在する場合について説明する。
すなわち、各車両のレーダ装置は、他車のライトの点灯とレーダ信号の送信との同期が何れのタイプであるかを判定する必要がある。
図7は、変形例2に係るレーダ装置200の構成を示すブロック図である。なお、図7において、図1に示すレーダ装置100と同一構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
具体的には、図7では、レーダ信号検出部201、動作状態判定部202が追加されている点、及び、タイミング制御部203の動作が図1の構成と異なる。
レーダ信号検出部201は、レーダ信号処理部108から入力される受信信号(ベースバンド信号。つまり、反射波信号)を用いて、自車以外の他車から送信されるレーダ信号が存在するか否かを判断する。すなわち、レーダ信号検出部201は、受信した反射波信号を用いて、他車から送信されるレーダ信号の送信タイミングを検出する。レーダ信号の検出方法として、レーダ信号検出部201は、例えば、入力される受信信号の電力を求め、所定の電力(例えば、自車からのレーダ信号のみを想定した場合の反射波信号の受信電力)を超えた場合に自車以外の他車から送信されたレーダ信号が存在すると判定する。レーダ信号検出部201は、検出結果を動作状態判定部202へ出力する。
動作状態判定部202には、ライト検出部102からのライト検出結果(他車のライトの点灯状態)、及び、レーダ信号検出部201の検出結果(他車のレーダ信号の送信タイミング)とが入力される。動作状態判定部202は、同一タイミングにおけるレーダ信号検出結果及びライト検出結果を用いて、他車がライトを点灯(又は消灯)しているときのレーダ送信状態(送信又は停止)を判定する。すなわち、動作状態判定部202は、他車のライトの点灯状態、及び、他車からのレーダ信号の送信タイミングに基づいて、他車から送信されるレーダ信号の送信区間及び送信停止区間と、他車のライトの点灯区間及び消灯区間との組合せ(すなわち、同期タイプ)を判定する。
具体的には、動作状態判定部202は、同一タイミングにおいて、他車のライト点灯を検出し、レーダ信号の存在を検出した場合には、当該他車において、ライト点灯タイミングとレーダ送信タイミングとが同期されていると判定する。一方、動作状態判定部202は、同一タイミングにおいて、他車のライト点灯を検出せずに、レーダ信号の存在を検出した場合には、当該他車において、ライト消灯タイミングとレーダ送信タイミングとが同期されていると判定する。
タイミング制御部203は、図1に示すタイミング制御部103の動作に加え、動作状態判定部202で判定された他車のライト点灯及びレーダ送信の動作状態(同期タイプ)に応じて、自車のレーダ送信タイミング及びライト105の点灯タイミングを設定する。
具体的には、タイミング制御部203は、他車においてライト点灯タイミングにレーダ送信タイミングが同期されている場合には上記実施の形態1(図2に示すフローチャート)に従って動作する。一方、タイミング制御部203は、他車においてライト消灯タイミングにレーダ送信タイミングが同期されている場合には上記変形例1(図5に示すフローチャート)で動作する。
図8は、変形例2に係るレーダ装置200の動作を示すフローチャートである。なお、図8において、図2及び図5に示す動作と同様の動作については同一符号を付し、その説明を省略する。
図8において、ST800で動作を開始すると、ST801では、ライト検出部102は、カメラ101が撮影した画像を用いて他車のライトの点灯状態を検出し、ST802では、レーダ信号検出部201は、他車からのレーダ信号の存在(レーダ送信タイミング)を検出する。なお、ST801のライト検出及びST802のレーダ信号検出の処理順序はこれに限定されず、ST802のレーダ信号検出処理が先に実施され、その後にST801のライト検出処理が実施されてもよく、同時に実施されてもよい。
ST803では、動作状態判定部202は、ST801でのライト検出結果及びST802でのレーダ信号検出結果に基づいて、他車におけるライト点灯状態(点灯、消灯)とレーダ送信状態(送信、送信停止)との組合せ(同期のタイプ)を判定する。すなわち、動作状態判定部202は、ライトの点灯時にレーダ信号が送信されている場合(「ライト点灯送信」)、又は、ライト消灯時にレーダ信号が送信されている場合(「ライト消灯送信」)の何れであるかを判定する。
タイミング制御部203は、ライト点灯送信の場合ST201〜ST205の処理(図2と同様の処理)を行い、ライト消灯送信の場合にはST501〜ST505の処理(図5と同様の処理)を行う。
ST804では、タイミング制御部203は、レーダ機能の動作継続又は動作停止を判定する。動作継続の場合、タイミング制御部203は、ST801の処理へ戻り、上記動作を繰り返す。一方、動作停止の場合、タイミング制御部203は、ST805でレーダ装置100の動作を停止させる。
次に、変形例2に係るレーダ装置200の動作の具体例について説明する。図9は、図3に示す、車両301(動作状態判定部202)における動作状態判定、及び、車両301及び車両302におけるライト105及びレーダの動作状態のタイミングを示す図である。
なお、図9では、車両301における動作状態判定は、未判定の状態で開始されるものとする。また、車両301には、ライト点灯時にレーダ信号を送信する「ライト点灯送信」が設定されている。
図9に示す区間900において、車両301のレーダ装置200は、車両302のライトが点灯状態であることを検出し、同一タイミングで車両302からのレーダ信号が存在することを検出する。よって、車両301のレーダ装置200は、車両302がライト点灯時にレーダ信号を送信する「ライト点灯送信」であると判定する。
次いで、図9に示す区間901では、車両301のレーダ装置200は、他車のライトが検出されないので(他車ライト検出:「無」)、自車がレーダ信号を送信する方向において他車がレーダ信号を送信していないと判断し、車両301のライト105を点灯し(ライト:ON)、レーダ信号を送信する。
なお、図9では、車両302が「ライト点灯送信」である場合について示したが、車両302が「ライト消灯送信」である場合には、車両301のレーダ装置200は、他車のライトが検出された場合に、車両301のライト105を点灯し(ライト:ON)、レーダ信号を送信すればよい(図示せず)。また、図9では、車両301のレーダ装置200が、ライト点灯時にレーダ信号を送信する「ライト点灯送信」が設定されている場合について示したが、車両301のレーダ装置200には、ライト消灯時にレーダ信号を送信する「ライト消灯送信」が設定されてもよい。
このように、複数の車両において、ライト点灯状態とレーダ信号の送信状態との同期の方法が複数存在する場合でも、レーダ装置200は、他車の同期の方法を判定して、自車のレーダ送信タイミングを設定する。こうすることで、上記実施の形態と同様、位置情報等の制御信号の交換を行うことなく、無線周波数資源の有効利用を図りながら、他局とのレーダ信号の電波干渉の発生を抑制することができる。
[変形例3]
上述した図2、図5又は図8に示すフローチャートに基づく方法の場合、ライト105の点滅周期が動的に大きく変動する状況にも対応可能である。しかし、後述するように電波干渉が発生する環境下の車両の台数が3台以上の場合には、周期性を利用した時分割共用制御を行わないと、これらの車両から同一タイミングでレーダ送信されてしまうことも懸念される。
そこで、変形例3では、ライト105の点滅周期が動的に大きく変動しない場合(点灯周期が略一定)を想定した構成について説明する。
図10は、変形例3に係るタイミング制御部103の内部構成の一例を示すブロック図である。
図10に示すタイミング制御部103は、点滅周期検出部131、クロック発生部132、デジタルPLL(Phase Locked Loop)133を含む構成を採る。
図10に示すタイミング制御部103において、ライト検出部102からのライト検出結果が点滅周期検出部131及びDPLL133に入力される。
点滅周期検出部131は、他車のライトの点灯状態を示すライト検出結果(デジタル信号)から、他車のライトの点滅周期を検出する。例えば、点滅周期検出部131は、ライトの想定される点滅周期よりも十分に短い周期のクロックを用いて、他車のライトが点灯から消灯に切り替わるタイミング間(点灯区間及び消灯区間)のクロック数をカウントすることにより、ライトの点滅周期を検出する。点滅周期検出部131は、検出された点滅周期に対応した周波数のM倍の周波数が出力されるように、クロック発生部132に対して点滅周期を出力する。
クロック発生部132は、点滅周期検出部131から入力される点滅周期に基づいて、検出された点滅周期に対応した周波数のM倍の周波数に対応するクロックを発生させる。クロック発生方法としては、例えば、設定される周波数に対応した電圧を発生させ、当該電圧をVCO(Voltage Controlled Oscillator)に入力することで、所望のクロック周波数を得る方法、又は、NCO(Numerically Controlled Oscillator)を構成する方法等が挙げられる。
DPLL133は、クロック発生部132から入力される、ライト点滅周波数のM倍となる周波数のクロックを、概ね1/Mに分周する。そして、DPLL133は、分周後の信号と、ライト検出部102からの信号とを比較し、双方の位相が一致するように分周比を制御する。これにより、DPLL133からの出力信号は、ライト検出部102で得られたライト点滅信号と同期した信号となる。
以上の構成により、車両台数が3台以上の場合(詳細は後述する)に必要となる、ライト点滅の周期性の利用が容易となる。
なお、ライトの点滅周期が動的に大きく変動される場合には、図10に示すタイミング制御部103において、点滅周期検出部131で当該変動が検出され、クロック発生部132から出力されるクロックの周波数を再設定することにより、変動後のライトの点滅周期に同期した信号が得られる。
このようにしてライト点滅周期が安定していることを前提とした場合、例えば、図2に示すフローチャートの他車ライト判定処理(ST201)は、実質的にはDPLL133の出力信号が0であるか1であるかを判定することに帰着する。
図11は、3台の車両1〜3のライト105及びレーダ信号の送信タイミングを示す。
図11において、繰り返し周期1001は、1台の車両がライト105の点灯及びレーダ信号の送信を繰り返す周期(点灯周期、送信周期)を表す。繰り返し周期1001の期間をT1とする。
区間1002は、車両1がライト105を点灯し、レーダ信号を送信する区間である。区間1003は、車両2がライト105を点灯し、レーダ信号を送信する区間である。区間1004は、車両3がライト105を点灯し、レーダ信号を送信する区間である。
図11に示すように、各車両に搭載されたレーダ装置100は、繰り返し周期T1を、電波干渉が発生する環境下の車両の台数で分割し、分割された区間の何れか1区間をライト105の点灯区間及びレーダ信号の送信区間に設定する。図11に示す一例では、各車両において、ライト105が点灯し、レーダ信号が送信される時間と、ライト105が消灯し、レーダ信号の送信が停止される時間との比が1:2と一定になるように区間が分けられている。
なお、図11では、レーダ送信とレーダ停止との時間の比を1:2としたが、これに限定されず、電波干渉が発生する環境下の車両の台数の増減に応じてレーダ送信とレーダ停止との時間の比の値も変化する。例えば、レーダ送信とレーダ停止との時間の比は、車両台数4台の場合には1:3に設定され、5台の場合には1:4に設定されてもよい。
このように、変形例3では、ライト105の点灯及びレーダ信号の周期Tを特定のエリア(例えば、電波干渉が発生する環境下)に存在する車両の台数で分割して得られる複数の区間のうち何れか1区間を各車両のレーダ信号の送信区間に設定する。こうすることで、特定エリアに存在する車両に対してレーダ信号を送信する期間を最適に分配することができる。
なお、例えば、図11に示すように、レーダ送信区間とレーダ停止区間との比が1:2の場合、図7に示すレーダ装置200の構成によって、自車以外の2台の車両が3つの区間1002,1003,1004のうちのどの区間でレーダ送信を行っているかをそれぞれ判定してもよい。
具体的には、動作状態判定部202は、同一タイミングのレーダ信号検出結果とライト検出結果を用いて、3つの区間1002,1003,1004のうちのどの区間で他車からレーダ送信されているのかを判定する。そして、タイミング制御部203は、他車からレーダ送信されていない区間を特定し、当該区間を自車がレーダ送信する区間に設定すればよい。
より詳細には、動作状態判定部202は、ライト検出部102で検出される他車のライト105の点灯区間と消灯区間との比率から、レーダ送信が共有される区間数Nを求める。そして、動作状態判定部202は、N区間において、他車のライト105の点灯が検知されるM個の区間と、他車のライト105が点灯していない(N−M)個の区間とを判定する。自車のレーダ送信は、他車の何れのライト105も点灯していない(N−M)個の区間の何れかのタイミングで実施されるように制御される。
また、他車のライト105の点灯が検出されるM個の区間の判定について、他車のライト105の点灯結果のみでなく、他車から送信されるレーダ信号の存在の検出結果と合わせて実施してもよい。例えば、動作状態判定部202は、他車のレーダ送信が検出されるM個の区間と、他車のレーダ送信が検出されない(N−M)個の区間とを判定してもよい。また、動作状態判定部202は、他車のライト105の点灯及びレーダ送信の両方が検出されるM個の区間と、それ以外の(N−M)個の区間とを判定してもよい。
また、図11では、一例として、レーダ送信区間を車両1、車両2、車両3と順に変化させる場合について示しているが、これに限定されず、レーダ信号を送信する車両の順番を周期T毎に変更してもよい。このとき、レーダ信号を送信する車両の順番をランダムに入れ替えてもよい。さらに、各車両のライト105の点灯時間を長くするためには、特定のパターンでレーダ信号を送信する車両の順番が巡回シフトするようなパターンを予め設定し、各車両では、設定されたパターンに従って各周期でのレーダ信号を送信する時間をシフトしてもよい。この場合、レーダ信号を送信する車両の順番をランダムに変化させる場合と比較して周期T内でのレーダ送信時間を効率良く確保することができる。
また、車両のライト105の点灯は夜間に限られたものではなく、昼間でもよい。昼間では、他車のライト105の点灯状態をレーダ装置におちえ検出できればよいので、人間の目で感知できないような高速な点滅又は短い点灯でもよい。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で説明したレーダ装置(図1に示すレーダ装置100又は図7に示すレーダ装置200)におけるレーダ送受信部107及びレーダ信号処理部108の動作について詳細に説明する。
図12は、本実施の形態に係るレーダ装置100又はレーダ装置200におけるレーダ送受信部107及びレーダ信号処理部108の内部構成を示すブロック図である。
レーダ送受信部107は、波形生成部171、無線送信部172、送信アレーアンテナ173、受信アレーアンテナ174及び無線受信部175を含む構成を採る。また、レーダ信号処理部108は、積分部181、到来方向推定部182及び検出部183を含む構成を採る。
なお、ここでは、他車に搭載されたレーダ装置がライト105の点灯タイミングでレーダ信号を送信すること(ライト点灯送信)を前提とする。
また、送信アレーアンテナ173の各アンテナ素子(アレーブランチ)は、所定の間隔でアレー状に構成され、レーダ信号を空中に輻射する。送信アレーアンテナ173は、各アンテナ素子の位相を適切に制御することで、送信ビームの中心角度を変化させたビームパターンを形成することができる。例えば、この中心角度を変化させるタイミング(ビーム切替タイミング)は、タイミング制御部103によって実施される。
また、受信アレーアンテナ173の各アンテナ素子は、所定の間隔でアレー状に構成される。
レーダ送受信部107において、波形生成部171は、レーダ制御部106からの指示に従って、送信アレーアンテナ173におけるビーム切替タイミングよりも短い周期の波形を生成する。
無線送信部172は、波形生成部171から入力される波形を例えばミリ波帯の搬送波周波数と混合して得られるレーダ信号を、送信アレーアンテナ173の各アンテナ素子に出力する。また、無線送信部172は、例えば、タイミング制御部103からの指示に従って、送信アレーアンテナ173のアンテナ毎の搬送波周波数の位相を制御する。これにより、所望の送信ビームパターンが形成され、レーダ信号が送信される。
受信アレーアンテナ174は、送信アレーアンテナ173から送信されたレーダ信号がターゲットに反射した反射波信号を受信する。
無線受信部175は、受信アレーアンテナ174で受信された信号に対して、アンテナ素子毎に増幅、ダウンコンバートを施し、ベースバンド信号に変換する。
レーダ信号処理部108において、積分部181は、受信アレーアンテナ174の各アンテナ素子に対応して備えられる。積分部181は、無線受信部175から入力されるベースバンド信号に対して積分処理を施す。これにより、信号対雑音比(Signal to noise power ratio:SNR)が高められる。一般には、積分部181では、ターゲットの移動によるドップラ周波数変動を踏まえた、ドップラ積分が行われる。積分部181は、積分結果を到来方向推定部182に出力する。
到来方向推定部182は、積分部181から入力される積分結果に対して送信ビームの中心角度に対応したアレーベクトルを乗じることにより、アレー利得を得つつ、到来方向を推定(Direction of Arrival Estimation:DOA)する。到来方向推定部182は、到来方向推定結果を検出部183に出力する。
検出部183は、レーダ信号の受信レベル(図示せず)、到来方向推定部182から入力される到来方向推定結果(推定角度)又は推定角度の変動軌跡などの特徴に基づいて、ターゲットの検出処理を行う。検出部183の検出結果の活用例(出力先の一例)として、例えば、モニタへの表示、又は、ブレーキ制御などを司る制御部への入力場合などが想定される。
図13Aは、本実施の形態に係る送信アレーアンテナ173のビームパターンの一例を示し、図13Bは、本実施の形態に係る送信ビーム切替とライト点滅タイミングとの関係を示す。
図13Aでは、送信アレーアンテナ173のビームパターンは、中心角度(1)〜(8)の8方向に形成される。
また、図13Bに示すように、送信ビームの中心角度の切り替えを(1)、(2)、(3)、…、(7)、(8)、(1)、(2)、(3)、…のように繰り返すことを想定する。
ここで、ライト105の点滅タイミングと送信ビームスキャンのタイミングとを同期させると、検出エリアの全角度に渡って他車からのレーダ信号との干渉が生じないこととなる。すなわち、図13Bの例では、送信ビーム切替(1)〜(8)を送信ビームスキャン1回とすると、2回分の送信ビームスキャンの間、ライト105は点灯し、その後の所定時間は消灯する。そして、図13Bの例では、他車との干渉の生じない次のタイミングにおいて、再び送信ビームスキャン2回分の間、ライト105が点灯する。
このように、送信ビームスキャンの周期の倍数(図13Bでは2倍)と、ライト105の点灯周期とを一致させることで、実施の形態1で説明したように電波干渉による性能劣化を防ぐことができる。
図14は、パルス圧縮方式の場合及びFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式の場合のタイミングチャートの概念図を比較して示す。
パルス圧縮方式では、送信ビームの中心角度を一定にしている時間内に、波形生成部171からは波形が複数回送出される。パルス圧縮方式では、例えば、波形として一定符号長のパルス列とし、受信側において、送信側と同一の符号パターンで相関をとる構成とすることで符号化利得が得られ、遠方又は反射率の小さいターゲットの検出が可能となる。
また、パルス圧縮方式では、一定符号長のパルス列を複数回送信し、パルス列の相関結果をドップラ積分することで、信号対雑音比を更に向上させることができ、同時に、ターゲットの移動に伴うドップラ周波数変動量も得られる。これにより、レーダ装置100では、相対速度が異なるターゲットの抽出が容易となる。また、パルス列として、相関処理後のピークレベルに対して、その周辺(サイドローブ)のレベルを十分に抑圧することが期待される相補符号を用いることで、互いの距離が近く、反射率が大きく異なる複数のターゲットの分離が容易となる。例えば、レーダ装置100は、相補符号を用いることにより、反射率が高い車両の近傍に存在する、反射率の低い人を検出することが容易となる。
また、相補符号の中でも、Spano符号を用いると、相対速度が速い場合でも、サイドローブの抑圧比を大きく保つことができる。例えば、ドップラ変動に伴う位相回転で生じるサイドローブの残留成分を打消すために、Spano符号を8回の単位で送信してもよい。例えば、図14に示すように、受信側において、8×N(N:自然数)回までは、単純な加算(コヒーレント加算)を行い、その結果をドップラ積分すると、演算量を低減しつつ、サイドローブ抑圧の効果が得られる。例えば、図14に示すように、512回のドップラ積分する場合には、各ビーム方向(1)〜(8)において、8×N×512回のパルス列を送信するような構成となる。なお、ドップラ積分の演算方法として、積分数を2のべき乗に限定し、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)を用いると演算量を少なくすることができる。
また、本実施の形態では、レーダ方式として上記のパルス圧縮方式の代わりに、FMCW方式も適用可能である。FMCW方式では、搬送波周波数を直線的に一定速度で所定の周波数範囲で掃引することを周期的に繰返す。原理的には、搬送波を出力するVCO(Voltage Controlled Oscillator)に三角波を与えればよい。
図14では、FMCW方式として、複数ターゲットの分離検出が容易な、所謂高速チャープ方式の場合を示す。図14に示すように、FMCW方式では、VCOの電圧として入力する信号として、直線的に一定速度でレベルが大きくなり、これが周期的に繰り返される。高速チャープ方式における受信側での処理に関しては、距離抽出のためのFFT処理を行った後に、ドップラ変動抽出のためのFFT処理を行うことが想定される。例えば、受信側では、距離抽出のためのFFT処理を掃引周期で行った後に、例えば512回の積分区間でドップラ変動抽出のためのFFT処理を行う。
また、本実施の形態では、例えば、90度以上のように広角な領域を検知するレーダ装置として、図15Aに示すように、複数のセクタ(図15Aでは2セクタ)を構成してもよい。
例えば、レーダ装置100は、上述したレーダ送受信部107を複数個備え、マルチセクタ化させる。例えば、図15Aでは、ビームパターン(1)〜(8)を実現するレーダ送受信部107と、ビームパターン(a)〜(h)を実現するレーダ送受信部107を構成する。また、図15Bに示すように、レーダ装置100は、各セクタの複数の方向に同時にレーダ信号を送信する。図15Bでは、(1)及び(a)のビームパターンを同時に形成してレーダ送信を行った後に、(2)及び(b)のビームパターンを同時に形成してレーダ送信を行う。その他のビームパターン(3)〜(8)、(c)〜(h)についても同様である。
ここで、例えば、セクタ間で異なる周波数チャネルが使用されれば、互いに電波干渉することは無いものの、周波数利用効率の観点からは望ましくない。そこで、セクタ間で同一周波数チャネルを使用する場合には、セクタ間の電波干渉の影響を極力小さくするために、例えば、ローカル信号をセクタ間で共通化させる。更に、ビームスキャン単位程度のタイミング同期を確立し、セクタ間で符号直交化させるべく、異なる直交符号を重畳するなどの構成を採ることが可能である。しかしながら、一般に、高周波のローカル信号の共通化のためには、分岐線のインピーダンス整合等を考慮した装置構成が必要であり、実装上の制約も大きい。そこで、ローカル信号を共通化せずとも、PLLなどへの源振入力信号のみを共通化し、セクタ間でローカル信号を同期させる構成を採ってもよい。ただし、同期精度によっては符号直交化の効果が劣化し、電波干渉の影響が大きくなることも懸念される。
セクタ間でローカル信号の同期を行わない場合の構成として、パルス繰り返し周期をセクタ間で僅かにずらす方式が考えられる。これにより、セクタ間で積分区間が異なるため、各セクタでは、他セクタからの信号が白色雑音的な振舞いとなり、積分後には特定の距離等に干渉が発生せず、単なる信号対雑音比の劣化となり、検出性能への影響を抑えることができる。ここで、パルス繰り返し周期は、検出対象の距離に相当する反射波の往復時間以上に設定する必要がある。ただし、パルス繰り返し周期を不用意に大きくすると、レーダの検出周期が遅くなってしまうため、パルス繰り返し周期は適切に設定される必要がある。例えば、セクタ間でパルス繰り返し周期を大きくは変えず、例えば、1%程度の差に留めるとよい。
また、セクタ間でパルス繰り返し周期が異なる場合に何ら対策をしないとセクタ間で異なるビームスキャン周期となり、検出タイミングが一致しなくなり、後段の処理が複雑化することが考えられる。そこで、セクタ間において、パルス繰り返し周期が遅いセクタに合わせるべく、待ち時間を設定し、パルス繰り返し周波数が早いセクタでは、パルス繰り返し周期が遅いセクタにおけるビームスキャンが完了するまで、次のビームスキャンを実施しないようにしてもよい。ライト105の点滅のタイミングも同様に、パルス繰り返し周期が遅いセクタにおいてビームスキャンが完了するまでは、次の点灯を行わないようにしてもよい。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1のように車両のライトの点灯タイミングに同期してレーダ信号の送信タイミングを制御する方式において、最初、干渉が発生する領域に車両が2台のみ存在していることを想定する。そして、2台の車両で周波数資源を時分割して完全に共有し、空き時間が存在しない状況下で、3台目の車両が新たにレーダ送信を開始する場合について説明する。
ここで、先にレーダ送信を行っている車両2台によって占有されている周波数チャネル以外に空きチャネルがある場合には、3台目の車両はその空きチャネルでレーダ送信を開始することができる。しかし、空きチャネルが無い場合には、3台目の車両は、先にレーダ送信を行っている2台の車両と時分割によって共有してレーダ送信しない状態でレーダ送信を開始すると、干渉が発生してしまう。
そこで、3台目の車両が干渉することなくレーダ送信を開始するためには、先にレーダ送信を行っている車両2台が1/2ずつ使用していた時間の割合を、1/3ずつの時間の割合に変更する必要がある。
本実施の形態では、新たにレーダ送信を開始しようとする3台目の車両は、先にレーダ送信している2台の車両に対して、使用する時間の割合を変更するように要望する方法について説明する。
具体的には、時間割合の変更を要望する車両は、自車のライトの点滅タイミングを変調させることで要望情報(つまり、電波干渉を防ぐための情報)を報知する。こうすることで、要望を報知するための新たな通信用のデバイス等を構成する必要が無く、低コストでの実現が可能となる。
すなわち、本実施の形態は、ライトの点滅タイミングを変調させることにより、周囲の他車に対して、干渉が発生しないタイミングでのレーダ送信を促し、複数の車両で同一周波数チャネルを共有し、周波数の有効利用を図る。
図16は、本実施の形態に係るレーダ装置300の構成を示すブロック図である。なお、図16において、実施の形態1(図1又は図7)と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図16に示レーダ装置300は、カメラ101、ライト検出部301、タイミング制御部302、ライト制御部104、ライト105、レーダ制御部106、レーダ送受信部303を含む構成を採る。なお、図16は、図1に示すレーダ信号処理部108を含む構成でもよい。
カメラ101は、レンズ111及びイメージセンサ112を含む構成を採る。イメージセンサ112は、レンズ111を介して画像を取得する。
ライト検出部301は、読取部311及び抽出部312を含む構成を採る。
読取部311は、イメージセンサ112から入力される画像から、情報を読み取る。例えば、情報伝送方式として、LED等の光源から発信される情報を、イメージセンサで取得した画像をブロック単位に分けて読み取ることで、カメラの動画撮影速度(フレームレート)を超える速さで情報を読み取る方式が提案されている(例えば、非特許文献1)。この方式を用いる場合、他車のレーダ装置300においてカメラ101の動画撮影速度(フレームレート)を超える速度で変調された信号(例えばLED信号)がライト105の点滅によって送信される。そして、読取部311は、1フレームの画像をブロック単位で読み取り、読み取った画像を抽出部312へ出力する。こうすることで、レーダ装置300では、フレームレートよりも高速に変調された情報の抽出が可能となり、複数の車両間でレーダ送信を切替えるまでの待ち時間を短縮することができるため、レーダの検知周期の低下を防ぐことができる。
抽出部312は、読取部311から入力される画像から、他車のライト105に相当する領域における明暗差(つまり、ライト105の点滅パターン)に基づいて、他車から通知される情報を抽出する。この情報には、周波数チャネルを使用する時間の割合を変更することを要求する要望情報が含まれる。
タイミング制御部302は、状態管理部321及びタイマ322を含む構成を採る。
状態管理部321は、抽出部312から入力される情報(つまり、他車のライト検出結果)、及び、レーダ送受信部303から入力される情報(つまり、他車のレーダ検出結果)に基づいて、ライト105の点滅タイミング、及び、レーダ信号の送信タイミングを制御する。
例えば、状態管理部321は、複数の他車が共有する周波数チャネルに自車が同期することを要求する場合、ライト制御部104に対して、要望情報に相当する点滅パターンを指示する。また、この際、状態管理部321は、レーダ送信を一定期間停止することを決定してもよい。例えば、状態管理部321は、タイマ322に対して上記一定期間の計時を指示し、一定期間が満了するまでレーダ送信を停止するように制御する。また、状態管理部321は、レーダ送信を一定期間停止することを周囲の車両に報知すべく、ライト制御部104に、レーダ送信停止を通知するための報知情報に相当する点滅パターンを指示してもよい。
また、状態管理部321は、後述するレーダ受信部334から入力される受信レベルを用いて、周波数チャネルの占有状況をモニタリングすることにより、周波数チャネルを共用している複数の他車が実際にレーダ信号を送信しているか否かを判断する。例えば、状態管理部321は、モニタリング結果において、或る他車がレーダ信号を送信していないと判断した場合、当該他車が自車から離れた位置(干渉が及ばない位置)に移動したと判定する。この場合、状態管理部321は、周波数チャネルを共用する車両として、当該他車を除外して、周波数チャネルを共用する各車両の時間割合を変更する。
タイマ322は、状態管理部321の指示に従って計時を開始し、一定期間が満了すると満了したことを状態管理部321へ通知する。
レーダ送受信部303は、レーダ送信部331、送信アンテナ332、受信アンテナ333及びレーダ受信部334を含む構成を採る。
レーダ送信部331は、レーダ制御部106の指示に従って、レーダ信号を生成し、送信アンテナ332を介してレーダ信号を送信する。
レーダ受信部334は、受信アンテナ333を介して受信した、レーダ信号がターゲットに反射した反射波信号を受信し、受信処理を施す。また、レーダ受信部334は、受信した反射波信号の受信レベルを状態管理部321へ出力する。
次に、本実施の形態に係るレーダ装置300の動作について詳細に説明する。以下では、上述した車両A,B,Cにおいて想定されるケース1〜3について説明する。なお、車両A,B,Cは、レーダ装置300をそれぞれ搭載しているものとする。
[ケース1]
図17は、先に2台の車両A,Bが存在していて、1/2の時間割合でレーダ送信している状況下において、3台目の車両Cが新たにレーダ送信を開始する際に、3台の車両で時分割送信する様子を示す。
すなわち、車両A,Bは、車両Cがレーダ送信のための要望情報を報知するまではチャネルを車両A,Bで時分割多重して占有している。車両A,Bでチャネルを時分割している区間では、車両A,Bの各々におけるレーダ送信時間とレーダ停止時間との比率は1:1である。
車両Cは、レーダ送信開始の前に、レーダ信号を既に送信している車両A,Bに対して、時間割合を変更するように要望情報を報知する。要望情報は、図17に示すように、車両Cのライト105の点滅パターンによって報知される。例えば、車両Cは、エンジンを起動する際に要望情報を報知する。
車両A,Bは、車両Cのライト105の点滅を検出し、要望情報を読み取ると、チャネルを車両A,B,Cで時分割して使用するように、ライト105の点滅タイミング及びレーダ信号の送信タイミングを制御する。すなわち、車両A,Bは、周波数チャネルの使用周期において、自車のレーダ信号の送信時間を1/2から1/3に短縮し、自車のレーダ信号の停止時間を1/2から2/3に拡大する。
そして、車両Cは、変更された時間割合に応じて、車両A,Bがレーダ送信を停止している区間(タイムスロット)でレーダ送信を開始する。車両Cが何れの区間でレーダ送信を開始するかは、例えば、実施の形態1の変形例2、3で説明した動作に従って決定してもよい。
これにより、車両A,B、Cでチャネルを時分割している区間では、車両A,B,Cの各々におけるレーダ送信時間とレーダ停止時間との比率は1:2となる。つまり、ライト105の点灯及びレーダ信号の周期Tを電波干渉が発生する環境下に存在する車両の台数で分割して得られる複数の区間のうち何れか1区間が各車両のレーダ信号の送信区間に設定される。
[ケース2]
図18は、車両Cと車両A,Bとが離れて位置し、互いに電波干渉の発生しない場所に存在し、車両A,Bのみでなく、車両Cも既にレーダ送信を行っている状況から、車両Cが車両A,Bの存在する領域に近づく様子を示す。
この場合、図18に示すように、最初、車両Cは、車両A,Bのレーダ送信タイミングと非同期にレーダ送信を行っている。
車両Cは、車両A又は車両Bに近づくと、車両A又は車両Bのライト105の点滅状況をカメラ101で撮影することにより、車両Cのレーダ送信タイミングと車両A,Bのレーダ送信タイミングとが非同期であることを検知する。
なお、車両Cが車両A,Bに近づいた場合、車両A,Bも、車両Cのライト105の点滅状況をカメラ101で撮影することにより、車両Cのレーダ送信タイミングと車両A,Bのレーダ送信タイミングとが非同期であることを検知する。ここで、車両A,B,Cでは、1周期における車両Cの点灯時間の割合よりも、1周期における車両A,Bの各自の点灯時間の割合の方が短く、かつ、車両A,Bでは既にチャネルの共用が行われていることが判断される。そこで、この場合、点灯時間の割合がより長く、チャネルの共用が行われていない車両Cが、車両A,Bに対して同期するように動作する。
すなわち、車両Cは、車両A、Bと同期すべく、車両A,Bに対して、時間割合を変更するように要望情報を報知する。要望情報は、図18に示すように、車両Cのライト105の点滅パターンによって報知される。
車両A,Bは、車両Cのライト105の点滅を検出し、要望情報を読み取ると、チャネルを車両A,B,Cで時分割して使用するように、ライト105の点滅タイミング及びレーダ信号の送信タイミングを制御する。すなわち、車両A,Bは、チャネルの使用周期において、自車のレーダ信号の送信時間を1/2から1/3に短縮し、自車のレーダ信号の停止時間を1/2から2/3に拡大する。
そして、車両Cは、変更された時間割合に応じて、車両A,Bがレーダ送信を停止している区間(タイムスロット)でレーダ送信を開始する。車両Cが何れの区間でレーダ送信を開始するかは、例えば、実施の形態1の変形例2、3で説明した動作に従って決定してもよい。
これにより、車両A,B、Cでチャネルを時分割している区間では、車両A,B,Cの各々におけるレーダ送信時間とレーダ停止時間との比率は1:2である。
[ケース3]
ケース3では、車両Cが車両A,Bの存在する領域から離れる場合について説明する。すなわち、ケース1(図17)、ケース2(図18)のように車両A,B,Cがチャネルを時分割(3分割)して共用している状態から、車両Cが離れる場合について説明する。
車両A及び車両Bにおいて車両Cのライト105の点滅が認識されない場合、車両A及び車両Bは1/2の時間割合(つまり、車両A,Bで時分割)でレーダ送信するように制御しても電波干渉は発生しない。
ただし、車両Aと車両Bとの間で車両Cが離れる状況を共有できなければ、車両Cのライト105の点滅を両車がともに認識できない状況であるのか、一方のみが認識出来ない状況であるのかを判断できない。
そこで、車両Cが離れる際、車両A及び車両Bの双方から距離が離れる方向であり、カメラの画像解析の結果、車両A,Bの大きさが一定以下であると判断された場合、車両Cは、同期離脱要望情報をライト105の点滅パターンによって報知する。車両A及び車両Bは、この同期離脱要望情報を抽出すると、周波数チャネルを車両A,Bで時分割するように制御する。これにより、チャネルを時分割している区間では、車両A,Bの各々におけるレーダ送信時間とレーダ停止時間との比率は1:1となる。
なお、車両Cからの同期離脱要望情報が報知されるタイミングは、車両A,Bと車両Cとの間の距離が十分開いた状況となる。このため、車両A,Bでは、車両Cのライト105の点滅を認識できない可能性も考えられる。そこで、例えば、各車両のレーダ装置300(図16)は、自車のレーダ送信タイミング以外の他車のレーダ送信区間においてもレーダ受信処理を実施し、全ての区間で周波数チャネルが使用されているか否かをモニタリングしてもよい。
具体的には、図16に示すレーダ装置300において、レーダ受信部334は、対象とする周波数チャネルのレーダ受信を実施し、状態管理部321は、自車がレーダ送信を行っていないタイミングにおける受信レベルをモニタリングする。例えば、車両A及び車両Bの各状態管理部321は、車両Cのレーダ送信タイミングにおける受信レベルが所定の閾値未満であれば、車両Cが車両A及び車両Bから十分遠方にあり、電波干渉が生じないと判定する。この場合、車両A及び車両Bの各状態管理部321は、ライト105の点灯区間及びレーダ信号の送信区間を長くし、車両Aと車両Bのみで周波数チャネルを占有するように制御する。
このようにして、本実施の形態によれば、電波干渉が生じる環境下における車両の台数が変更する場合でも、周波数チャネルを共用する複数の車両に対する時間割当を適切に行うことができる。
[変形例]
図19は、本実施の形態の変形例に係るレーダ装置300aの構成を示すブロック図である。なお、図19において、図16と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
具体的には、図19に示すレーダ装置300aのライト検出部301において画像解析部350が新たに設けられている。
画像解析部350は、イメージセンサ112で撮影された画像のうち、他車のライト105が存在する領域を割り出し、割り出した領域の画像を読取部311に出力する。
つまり、レーダ装置300aの読取部311は、他車のライト105を含む領域周辺に限定して、ブロック単位で画像を読み取り、抽出部312は情報を抽出する。
こうすることで、例えば、自車から遠方に存在する他車が画像の一部分のみに現れるために当該他車のライト105の点滅状況を把握するのが困難な場合でも、当該他車のライト105のみに対して情報を抽出することで、ライト105の点滅状況を精度良く特定することができる。
ここでは、同一車両に搭載された複数のライト105(例えば、LED)に対しては、点滅パターンを同期させることを想定している。よって、画像内に複数のライトが存在する場合、画像解析部350は、点滅パターンに基づいて、これらが同一車両のものであるか否かを判別し、同一車両のものであれば、同一情報が報知されているものとして処理を実施すればよい。例えば、読取部311において各ライトの領域の画像を個別に読み取った後に、タイミングを保ったまま同意一車両の複数のライト間の画像に対して平均化処理等を行うことで、抽出する情報の確度を高めることもできる。また、レーダ装置300aでは、画像内の複数のライトが同一車両のものでない場合には、車両毎の情報を抽出し、予干渉を引起さないように、レーダ送信の停止期間が最も長いものに合わせてレーダ送信を制御すればよい。
(実施の形態4)
本実施の形態では、複数の車両が駐車場のように密集しているシーンについて説明する。
なお、本実施の形態に係るレーダ装置は、実施の形態3に係るレーダ装置300と基本構成が共通するので、図16を援用して説明する。
図20は、本実施の形態において想定されるシーンの一例として、10台の車両A〜Jが密集している様子を示す。
例えば、図20において、両端に位置している車両Aと車両Jとは距離が離れていて、同一周波数チャネルを同一タイミングで使用したとしても、電波干渉が十分に小さいと仮定する。
実施の形態3で説明した方法によれば、電波干渉が発生するか否かに関わらず、各々の車両に搭載されたカメラ101及びライト105によって、複数の車両間で同期が順次確立していくことになる。仮に、車両Aと車両Jとが、ライト105の点滅を互いに自車のカメラ101で直接認識できない位置関係にあったとしても、車両Aと車両Jとの中間に存在する車両C又は車両H等からは、車両A及び車両Jを直接認識できる。このため、車両C又は車両H等が媒介となって車両Aと車両Jとの間でも同期が確立していく。その結果、車両A〜車両Jの各々が1/10の時間割合で互いに干渉することが無いタイミングでレーダ送信を行うことになる。
このように、車両Aと車両Jとは互いに電波干渉が発生しない位置関係であるにも関わらず、車両A及び車両Jを含めて周波数チャネルを共用するため、周波数利用効率が低下してしまう。
例えば、1000台程度の車両が存在しているような大規模な駐車場では、各々の車両がレーダ送信できる時間が1/1000になってしまい、レーダの検知周期が遅くなり、十分な性能が得られなくなってしまう。これは、十分遠方に存在し、電波干渉が発生しない距離にある車両同士までもが同期し、割当てられたタイミング以外はレーダ送信を控えるためである。
また、実施の形態3(ケース3)で説明したように、各車両が、他車の周波数チャネルの占有状態をモニタリングし、周波数チャネルが不使用のタイミングが存在すると判定した場合に、当該タイミングに対応する車両の時間割当を除外し、その他の車両のライト点灯区間(レーダ送信区間)を長くするように制御することも可能である。しかし、この場合、時間割当を除外された車両は、再び、時間割合を変更するように要望情報を報知することとなり、レーダ送信状態が常に不安定となってしまう。
そこで、本実施の形態では、レーダ装置300は、周囲の車両と完全に同期させるのではなく、レーダ送信時に周囲の車両がレーダ送信を行っている時間タイミングであるか否かを論理的に確認し、周囲の車両がレーダ送信を行っていない時間タイミングでのみ、自車からレーダ信号を送信するように制御する。換言すると、無線通信分野で多用されているキャリアセンスのような制御を、車両のライトの点滅とカメラを用いることで実現する。
以下、本実施の形態における具体的な制御方法(方法1〜3)についてそれぞれ説明する。
[方法1]
図21は、方法1に係る各車両のライト105の点滅状態と、レーダ送信タイミングとの関係を示す図である。
例えば、図20において、車両Aがレーダを送信する際、図21に示すように、車両A(レーダ装置300)は、レーダ信号の送信区間において既知信号(既知の点滅パターン)を報知するように、ライト105の点灯タイミングを制御する。
このとき、図21では、周囲の車両B,C,D,F,G,H,Iは、車両Aの既知信号(複数の車両に既知である点滅パターン)をカメラで直接撮影することができる位置にあり、既知信号を認識する。この場合、車両B、C、D、F、G、H、Iは、車両Aから既知信号が報知されている間(つまり、車両Aのレーダ送信区間)、自車からのレーダ送信を禁止する。
なお、図21では、車両Aのレーダ送信区間のみを示しているが、他の車両のレーダ送信区間についても同様である。
一方、車両Jは、車両Aの既知信号(既知の点滅パターン)をカメラで直接撮影することができない位置にいるものとする。この場合、図21に示すように、車両Jは、車両Aとは独立してレーダ送信を行う。なお、車両Jは、レーダ信号の送信区間では、車両Aと同様、既知信号(既知の点滅パターン)を報知するように、ライト105の点灯タイミングを制御する。
このように、方法1では、各車両(レーダ装置300)は、自車のレーダ送信区間において、複数の車両に既知である固有の点滅パターンを用いてライト105を点滅させる。そして、当該点滅パターンを確認できる他車のみ、当該レーダ送信区間においてレーダ送信を禁止する。
こうすることで、或る車両のレーダ送信区間であっても、当該車両のレーダ信号によって電波干渉の影響を受けない車両では、当該レーダ送信区間において、レーダ送信を行うことが可能となる。
また、方法1では、レーダ送信に使用する周波数チャネルを共用する車両を、各車両がレーダ送信区間において報知する既知信号を確認できる車両に限定する。例えば、図21では、車両A,B,C,D,F,G,H,Iが周波数チャネルを共用(つまり、時分割)し、車両Jは独立して周波数チャネルを使用する。これにより、周波数チャネルを共用する車両の数を必要最低限に抑えることができ、各々の車両がレーダ送信できる時間を最大限確保することができる。よって、レーダの検知周期を早くし、十分な性能を得ることが可能となる。
[方法2]
方法2では、図20において、車両Dが、車両Aと電波干渉が発生する位置関係にあるにもかかわらず、車両Aのライト105の点滅パターンを認識できない状況を仮定する。
この場合、方法1によれば、車両Dは車両Aとは独立してレーダ送信を行うことが可能となるので、電波干渉が発生し、検出性能の劣化につながってしまう。
そこで、方法2では、図22に示すように、車両A(レーダ装置300)は、レーダ送信の前に、レーダ信号の送信要望信号(送信要望を表す点滅パターン)を報知するように、ライト105の点滅を制御する。
このとき、図22では、周囲の車両B,C,F,G,H,Iは、車両Aの送信要望信号(点滅パターン)をカメラで直接撮影することができ、点滅パターンが送信要望信号に対応すると認識する。この場合、車両B,C,F,G,H,Iは、レーダ信号の送信許可信号(送信許可を表す点滅パターン)を報知するように、ライト105の点滅を制御する。
また、この際、車両B,C,F,G,H,Iは、車両Aのライト105の点滅パターンが送信要望を表す点滅パターンである場合に、車両Aがレーダ信号の送信を要望する送信区間について、他の車両からの送信要望を表す点滅パターンを検出していない場合に、車両Aに対して送信許可を表す点滅パターンでライト105を点灯させればよい。これにより、車両Aよりも早いタイミングにおいて送信許可された車両(図示せず)と、車両Aとが同時にレーダ送信を行うことを防ぐことができる。
また、車両B、C、F、G、H,Iは、送信許可信号を報知する場合、車両Aのレーダ送信区間に相当する一定時間経過するまで、自車からのレーダ送信を禁止する。
そして、車両Aは、周囲の車両からの送信許可信号を確認すると、レーダ送信を開始する。つまり、車両に搭載されたレーダ装置300(タイミング制御部302)は、レーダ信号の送信要望を表す点滅パターンでライト105を点灯させた後に、他車のライトの点滅パターンがレーダ信号の送信許可を表す点滅パターンである場合にレーダ信号の送信を開始する。
一方、図22では、車両Dは、車両Aの送信要望信号(ライト105の点滅パターン)をカメラで直接撮影することができない位置にいる。この場合、図22に示すように、車両Dは、送信許可信号を報知しない(送信許可を表す点滅パターンでライト105を点滅させない)。ただし、車両Dは、周囲の車両B,C,F,G,H又はIの送信許可信号をカメラで直接撮影することができ、点滅パターンが送信許可信号に対応すると認識する。この場合、車両Dは、他車がレーダ信号の送信を要望し、その要望が許可されていると判断し、レーダ送信区間に相当する一定時間経過するまで、自車からのレーダ送信を禁止する。
すなわち、送信要望信号又は送信許可信号の何れか一方でも認識した車両は、レーダ送信を一定時間控えるように動作する。例えば、図22では、車両Dは、車両Aからの送信要望信号を認識できないものの、周囲の車両からの送信許可信号を認識できるので、自車のレーダ送信を控えることにより、車両Aとの電波干渉は発生しない。
一方、図22において、車両Jは、車両Aの送信要望信号及び車両B,C,F,G,H,Iの送信許可信号の何れもカメラで直接撮影することができない位置にいるものとする。この場合、図22に示すように、車両Jは、車両Aとは独立してレーダ送信を行う。なお、車両Jは、車両Aと同様、レーダ信号を送信する前に、レーダ信号の送信要望信号を報知するように、ライト105の点滅を制御する。
このように、方法2では、各車両(レーダ装置300)は、自車のレーダ送信を行う前に、送信要望信号に相当する点滅パターンを用いてライト105を点滅させる。そして、送信要望信号を確認できる車両は、送信許可信号に相当する点滅パターンを用いてライト105を点滅させるとともに、他車のレーダ送信区間においてレーダ送信を禁止する。更に、送信許可信号を確認できる車両も、他車のレーダ送信区間においてレーダ送信を禁止する。
こうすることで、電波干渉が生じる環境下においてレーダ送信を行う車両からの送信要望信号を確認できない車両においても、レーダ送信を控えることにより、電波干渉の発生を防ぐことができる。
[方法3]
方法2において、送信要望信号の報知タイミング(点滅タイミング)が複数の車両で一致することも想定される。例えば、図20において、車両Bと車両Gの送信要望信号の報知タイミングが一致した場合、車両B及び車両Gの送信要望信号に対応する点滅パターンを認識できる周囲の車両は、送信許可信号(点滅パターン)を報知する。これにより、車両B及び車両Gの双方がレーダ送信を開始してしまい、電波干渉が発生してしまう。
そこで、方法3では、複数の車両の送信要望信号の報知タイミングが一致した場合でも電波干渉を発生させることなく、レーダ送信を行う方法について説明する。
具体的には、レーダ送信を行う車両(レーダ装置300)は、送信要望信号に、車両固有のID(識別番号)を含める。すなわち、送信要望を表す点滅パターンには、レーダ信号の送信を要望する車両のIDに対応する点滅パターンが含まれる。
また、他車(レーダ装置300)は、送信要望信号を確認すると、送信要望信号に含まれるIDを、送信許可信号に含める。すなわち、送信許可を表す点滅パターンには、レーダ信号の送信が許可される車両のIDに対応する点滅パターンが含まれる。これにより、送信許可信号は、当該送信許可信号に含まれるIDに対応する車両を対象としたものになる。
レーダ送信を行う車両は、周囲の車両からそれぞれ報知される送信許可信号を確認し、これらの送信許可信号に含まれるIDが全て自車に対応するか否かを判定する。レーダ送信を行う車両は、送信許可信号に含まれるIDが全て自車に対応する場合には、レーダ送信を開始し、送信許可信号に含まれるIDの少なくとも1つが自車に対応しない場合にはレーダ送信を開始しない。
すなわち、レーダ送信を開始する車両は、全ての送信許可信号に含まれるIDが自車に対応する場合のみ、レーダ送信が許可されたものと判断する。
また、全ての車両(レーダ装置300)は、一定時間のレーダ送信が完了したタイミング、又は、レーダ送信が許可されなかったタイミングにおいて、直後に送信要望信号(ライト105の点滅パターン)を報知するのではなく、所定時間を上限とするランダム時間だけ待機して、送信要望信号を再度送信する。こうすることで、複数の車両からの送信要望信号の報知タイミングが他車と一致してしまう確率を低減することができる。すなわち、各車両は、レーダ送信を行う必要がある場合には、上記タイミングからランダム時間経過後に送信要望信号(点滅パターン)を報知する。
例えば、図23では、車両B及び車両Gが同時に送信要望信号を報知している。この場合、車両Bは、車両BのIDを含む送信要望信号を報知し、車両Gは、車両GのIDを含む送信要望信号を報知している。
次いで、図23では、車両Aは、車両Gから報知された送信要望信号を認識し、車両GのIDを含む送信許可信号を報知する。一方、車両Fは、車両Bから報知された送信要望信号を認識し、車両BのIDを含む送信許可信号を報知する。つまり、車両Aと車両Fとでは、送信許可信号に含まれる車両のIDが一致しない。
また、例えば、同一タイミングの車両B及び車両Gの双方の送信要望信号を認識した車両(図示せず)は、送信許可信号を報知しない。又は、当該車両は、送信禁止信号を報知してもよい。
次いで、図23では、車両B及び車両Gは、車両A及び車両Fからの送信許可信号を認識する。このとき、車両B及び車両Gは、一方の送信許可信号が自車宛てであるのに対して、他方の送信許可信号が他車宛てであるので、自車に対してレーダ送信が許可されないと判定し、レーダ送信を行わない。
また、例えば、車両B及び車両Gは、自車宛ての送信許可信号を認識できない場合、又は、送信禁止信号を認識した場合にも、自車のレーダ送信を控える。
そして、図23では、車両Bは、レーダ送信が許可されないことを判定してからランダム時間経過後に送信要望信号を再度報知する。この際、車両Bと車両Gとでランダム時間が再度一致する確率は非常に低く、何れか一方(図23では車両B)のみの送信要望信号が先に周囲の車両に認識される可能性が高くなる。
図23では、車両Aは、車両Bから報知された送信要望信号を認識し、車両BのIDを含む送信許可信号を報知する。また、車両Fは、車両Bから報知された送信要望信号を認識し、車両BのIDを含む送信許可信号を報知する。つまり、車両Aと車両Fとでは、送信許可信号に含まれる車両のIDが一致する。
よって、車両Bは、車両A及び車両Fからの送信許可信号に含まれるIDが全て自車のIDであるので、自車に対してレーダ送信が許可されたと判定し、レーダ送信を開始する。また、送信許可信号を送信した車両A及び車両F、及び、送信許可信号を確認した他車(図示せず)は、車両Bのレーダ送信区間に相当する一定時間において、自車からのレーダ送信を禁止する。
なお、レーダ送信を控え、ランダム時間経過後に送信要望信号を再度報知するという一連の処理を所定回数繰返しても、レーダ送信が許可されない場合も想定される。この場合、レーダ装置300は、所定回数に達した後には、本来であればレーダ送信を控えるべき状況であっても、レーダ送信を実施してもよい。こうすることで、干渉が生じることを前提としてレーダ検知を行い、走行の安全性を優先的に確保することができる。
以上、方法1〜方法3について説明した。
このようにして、本実施の形態によれば、電波干渉が生じない位置にある複数の車両が同時に同じ周波数チャネルを使用することができるため、レーダの検知周期が遅くなることを防ぐことができる。
(実施の形態5)
本実施の形態に係るレーダ装置は、実施の形態3に係るレーダ装置300と基本構成が共通するので、図16を援用して説明する。
本実施の形態では、レーダ送信継続時間として、所定の上限値以下の任意の値が設定される。レーダ送信継続時間は、周囲環境に応じて設定されることで、レーダ装置300は、ターゲットをより効率的に検知することが可能となる。例えば、検知範囲を限定しても良い周囲環境であると判断された場合には、レーダ装置300はレーダ送信継続時間を通常よりも短く設定することにより、レーダ検知処理を通常よりも短時間で終了させてもよい。
具体的には、レーダ装置300は、実施の形態4で説明した送信要望信号及び送信許可信号に、車両のIDに加え、レーダ送信継続時間も含める。すなわち、信要望を表す点滅パターン及び送信許可を表す点滅パターンには、レーダ送信継続時間に対応する点滅パターンが含まれる。
これにより、送信要望信号又は送信許可信号を認識した車両(レーダ装置300)は、送信要望信号又は送信許可信号に含まれる送信継続時間が経過するまで自車のレーダ信号の送信を禁止する。この送信継続時間は、例えば、図16に示すタイマ322に設定され、状態管理部321において、送信継続時間が満了するまでの間、送信禁止となるように制御される。
また、或る車両において、ほぼ同時のタイミングで複数の車両から送信要望信号が報知されたことを認識した場合、複数の車両からの送信要望信号にそれぞれ含まれる送信継続時間のうち最も長い送信継続時間、及び、その車両IDを送信許可信号に含めてもよい。こうすることで、レーダ送信継続時間が短い方の車両のみでなく、レーダ送信継続時間が長い方の車両に対しても電波干渉を防ぐことができる。
また、送信要望信号、送信許可信号、及び、送信禁止信号等の制御信号には、上記情報以外にも、制御信号の対象となる車両が使用している周波数チャネルを示す情報を含めてもよい。こうすることで、例えば、複数の周波数チャネルを用いて運用されているシステムでは、各車両は、報知された送信要望信号、送信許可信号又は送信禁止信号に示される周波数チャネルと、自身が使用している周波数チャネルとが同一であるか否かを判断することができる。他車と別の周波数チャネルでレーダ送信を行う車両は、他車と同時刻にレーダ送信することができる。このため、送信要望信号が同時刻に重複したとしても、送信許可を与えることが可能となる。よって、レーダ信号の送信タイミング制御では、使用する周波数チャネルも考慮した制御が望ましい。
図24は、使用する周波数チャネルを考慮した制御を行うレーダ装置400の構成を示すブロック図である。なお、図24において、図16と同一構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
具体的には、図24において、周波数チャネルテーブル401が追加された点、及び、状態管理部402の動作が図16の構成と異なる。
レーダ装置400は、レーダ受信部334で受信された反射波信号を用いて、他車のレーダ送信タイミングにおける受信信号レベルを測定する。例えば、レーダ装置400は、自車のレーダ送信が抑制(禁止)されているタイミングでは、他車のレーダ送信タイミングにおける受信信号レベルを測定することが可能である。レーダ装置400は、自車が使用している周波数チャネルと異なる周波数チャネルについても受信信号レベルを測定する。そして、レーダ装置400は、測定された周波数チャネルでの受信信号レベルを用いて、他車が使用している周波数チャネルを特定する。
周波数チャネルテーブル401は、複数の周波数チャネルと、各周波数チャネルをレーダ信号の送信に使用する車両の車両IDとの対応付けを記憶する。
状態管理部402は、送信要望信号を受信した場合、周波数チャネルテーブル401の対応付けを参照して、当該送信要望信号に含まれる車両IDに対応付けられた使用周波数チャネルを特定する。そして、状態管理部402は、例えば、同一タイミングで複数の送信要望信号が報知された場合、これらの送信要望信号の各々に含まれる車両IDにそれぞれ対応する周波数チャネルが互いに異なる場合、これらの送信要望信号の各々に対して送信許可を与える。
また、状態管理部402は、送信要望信号、送信許可信号又は送信禁止信号に含まれる車両IDから特定される他車の使用周波数チャネルに基づいて、自車の使用周波数チャネルを制御してもよい。例えば、状態管理部402は、他車の使用周波数チャネルを参照して、自車が使用する周波数チャネルを、使用している車両の数がより少ない周波数チャネルへ変更してもよい。
また、状態管理部402は、送信許可信号を送信する場合には、送信許可信号に対応する他車の車両IDを当該送信許可信号に含める。こうすることで、送信許可信号を受け取る他の車両(送信要望信号を報知した車両以外の車両)が、レーダ送信を行う車両が使用する周波数チャネルを特定することができる。
このようにして、周波数チャネルテーブルを設けることで、送信要望信号等に使用周波数チャネル情報を含めずに、使用周波数チャネルを考慮した制御が可能となる。また、送信要望信号等に使用周波数チャネル情報を含めないことで、制御信号報知に要する時間が限定されることとなり、レーダ送信までの待ち時間が短縮される。
(実施の形態6)
図25は、本実施の形態に係るレーダ装置500の構成を示すブロック図である。なお、図25において、図16と同一構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
具体的には、図25において、干渉量テーブル501が追加された点、及び、状態管理部502の動作が図16の構成と異なる。
レーダ装置500は、レーダ受信部334で受信された反射波信号を用いて、他車のレーダ送信タイミングにおける受信信号レベルを測定する。そして、レーダ装置500は、測定された受信信号レベルを用いて、他車と自車との間の干渉量を車両毎に測定する。
干渉量テーブル501は、複数の他車と自車との間の干渉量(受信信号レベル)と、車両の車両IDとの対応付けを記憶する。
状態管理部502は、他車から送信要望信号が報知された場合、干渉量テーブル501を参照して、当該送信要望信号に含まれる車両IDに対応付けられた干渉量(つまり、過去のレーダ信号の受信信号レベル)を特定する。そして、状態管理部502は、特定した干渉量が所定の閾値以上である場合、送信許可信号(送信許可を表す点滅パターン)を報知し、干渉量が所定の閾値未満である場合には、送信許可信号を報知しないように制御する。なお、所定の閾値としては、自車のレーダ信号の送信に対する干渉が十分に小さいレベルが設定されればよい。
このように、レーダ装置500は、干渉量が所定の閾値未満である場合に送信許可信号を報知しないことで、送信要望信号を報知する車両からの信号を認識できない車両に対して、送信許可信号を報知することなく、レーダ送信の機会を与えることができる。すなわち、レーダ送信が抑制される車両を低減することができる。
例えば、図20に示す一例において、車両D及び車両Iが車両Aから報知される送信要望信号を認識した場合について説明する。ここで、車両D及び車両Iが、干渉量テーブル501を参照して、過去の車両Aからのレーダ信号レベル(干渉量)を特定した結果、十分に小さい電波干渉量(閾値未満)であると判断した場合には、車両Aに対する送信許可信号を報知しない。これにより、図20において車両Aからの信号を認識できない車両E又は車両Jは、送信許可信号を認識しないため、車両Aがレーダ送信するタイミングにおいても同一周波数チャネルを使用してレーダ送信を独立して行うことができる。
なお、車両D及び車両Iは車両Aからの送信要望信号に対して送信許可信号を報知しないものの、車両Aからの干渉量が閾値以上となる車両(例えば、車両B,車両F等)からは送信許可信号が報知されるので、車両Aは、レーダ信号の送信を開始することができる。
また、図20において、車両Aと車両Jとから同時に送信要望信号が報知され、車両D及び車両Iにおいて双方の送信要望信号を認識できる状況においては、車両A及び車両Jと自車との相対的な位置関係に応じてレーダ送信を制御してもよい。例えば、車両D及び車両Iは、車両A及び車両Jと自車との相対的な位置関係を画像解析によって把握してもよい。
図26A及び図26Bは、車両D又は車両Iにおける、車両A、車両Jとの相対的な位置関係を表す。図26Aは、車両D又は車両Iにおいて、車両Jが自車よりも車両Aから離れている位置関係を表し、図26Bは、車両D又は車両Iにおいて、車両Jが自車よりも車両Aに近い位置関係を表す。
例えば、図26Aに示すように、車両Jが自車よりも車両Aから遠方にある場合には、車両J及び車両Aが同時にレーダ送信しても電波干渉が小さいと判断し、車両A及び車両Jの送信要望信号に対する送信許可信号を報知しないように制御してもよい。すなわち、この場合、車両A及び車両Jの双方の信号を認識できる車両D及び車両Iは、車両A及び車両Jが同時にレーダ送信することを抑制しないように動作する。こうすることで、車両A及び車両Jは、互いの車両に対する送信許可信号(自車と異なる車両IDを含む送信許可信号)を認識することなく、自車に対する送信許可信号(自車の車両IDを含む送信許可信号)のみを認識するので、レーダ送信を開始することが可能となる。
一方、図26Bに示すように、車両Jが自車よりも車両Aから近い場合には、車両Jが車両Aと同時にレーダ送信すると電波干渉が大きいと判断し、車両Aの送信要望信号に対する送信許可信号を報知するように制御してもよい。これにより、車両Jは、車両Aに対する送信許可信号を認識するので、レーダ送信を開始できなくなる。すなわち、この場合、車両D及び車両Iは、車両A及び車両Jが同時にレーダ送信することを抑制するように動作する。
また、車両の移動に伴い、車両同士の位置関係が変わることも想定される。画像解析によって個々の車両の位置を把握しておき、これらも干渉量テーブルに対応づけておくことで、車両同士の位置関係が変わった場合には、対象の車両の干渉量の値を一旦リセットさせるなどの処理が可能となる。これにより、常に信頼度の高い干渉量テーブルを参照できる。
このように、本実施の形態によれば、カメラ101で撮影された他車のライト105の点滅のみでなく、実際に測定された干渉量に応じて、レーダ送信をより精度良く制御することができ、無線周波数の利用効率向上に寄与できる。
(実施の形態7)
上述したようにレーダ送信制御のために車両のライトを点滅させることによって、本来の車両周辺を照射するための所望の輝度よりも高くなること、逆に低くなってしまうことが懸念される。
そこで、本実施の形態では、ライトの輝度の変化が一定程度に収まるように、ライトを点滅させる場合について説明する。
本実施の形態に係るレーダ装置は、実施の形態3に係るレーダ装置300と基本構成が共通するので、図16を援用して説明する。
本実施の形態に係るレーダ装置300のタイミング制御部302は、図27に示すように、ライト105の輝度を保つための基本点滅区間と、レーダ送信に関する制御信号を報知するための情報信号点滅区間とを設ける。そして、各車両のレーダ装置300は、情報信号基本点滅区間のみで、レーダ送信のための制御信号を報知する。
例えば、図27では、レーダ装置300は、情報信号点滅区間において、レーダ開始の制御信号(ライト105の点滅パターン)を報知する。そして、レーダ装置300は、基本点滅区間においてレーダ送信を実施する。すなわち、図27では、レーダ装置300は、情報信号点滅区間におけるライト105の点灯パターンと、基本点滅区間におけるレーダ信号の送信パターンとを同期させる。
ただし、図27では、レーダ信号の送信タイミングが基本点滅区間と一致する場合について示しているが、レーダ信号の送信タイミングは、これに限定されず、他のタイミング(区間)であってもよい。
実施の形態3で説明したように、周波数チャネルを時分割して共有する車両の台数に応じて、ライト105の点灯割合を変化させる場合、台数の増大に伴って、各車両のライト105の点灯割合が減少し、輝度が低下することとなってしまう。これに対して、本実施の形態では、共有する車両の台数に応じたライト105の点灯割合の変化が、情報信号点滅区間のみに適用される。すなわち、基本信号点滅区間での点灯割合は一定となる。
こうすることで、ライト105の輝度の変化を一定程度に収め、所望の輝度を維持することができる。
[変形例]
図28は、本実施の形態の変形例に係るレーダ装置600の構成を示すブロック図である。なお、図28において、図16と同一の構成には同一符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態の変形例では、レーダ装置600は、基本点滅区間では所定の色でライト105を発光させ、情報信号点滅区間では、レーダ装置600が使用する周波数チャネルに応じてライト105の発光色を変化させる。すなわち、複数の周波数チャネルとライト105の発光色とが予め対応付けられている。
色抽出部601は、イメージセンサ112から入力される画像信号から、他車が情報信号点滅区間において発光しているライト(例えば、LED)の色を抽出する。
周波数チャネル判定部602は、レーダ送信に使用可能な周波数チャネルと、各周波数チャネルに対応する発光色との対応付けを予め保持する。周波数チャネル判定部602は、色抽出部601が抽出した色に対応する周波数チャネルを判定する。
選択部603は、自車が使用している周波数チャネルと、周波数チャネル判定部602から入力される、他車が使用している周波数チャネルとが異なる場合、抽出部312から入力される信号(ライト検出結果)を無効にする。すなわち、選択部603は、自車が使用している周波数チャネルと、他車が使用している周波数チャネルとが同一である場合のみ、抽出部312から入力される信号をタイミング制御部302へ出力する。
状態管理部604は、選択部603から他車のライトの点灯状態(ライト検出結果)が入力される場合(つまり、自車が使用する周波数チャネルと他車が使用する周波数チャネルとが同一の場合)、当該点灯状態に基づいて、レーダ信号の送信タイミング及び自車のライト105の点灯タイミングを設定する。一方、状態管理部604は、選択部603から他車のライトの点灯状態が入力されない場合(つまり、自車が使用する周波数チャネルと他車が使用する周波数チャネルとが異なる場合)、レーダ信号の送信タイミング及び自車のライト105の点灯タイミングを他車と独立して設定する。
また、状態管理部604は、設定した自車が使用する周波数チャネル、及び、周波数チャネル判定部602で判定された他車が使用する周波数チャネルを管理する。
周波数チャネル設定部605は、状態管理部604が管理する周波数チャネルの状況に応じて自車に使用する周波数チャネルを設定する。例えば、周波数チャネル設定部605は、自車及び他車が使用する周波数チャネルに応じて、自車の使用周波数チャネルを比較的空いている周波数チャネルに変更する。周波数チャネル設定部605は、設定した周波数チャネルをレーダ送信部331及びレーダ無線受信部334に出力し、設定した周波数チャネルに対応する発光色の情報をライト105に出力する。
これにより、レーダ送受信部303は、設定された周波数チャネルを用いてレーダの送受信を行い、ライト105は、設定された周波数チャネルに対応する発光色で点灯する。
このように、レーダ装置600では、情報信号点滅区間において点灯しているライト105の発光色を識別することで、使用されている周波数チャネルを容易に検出できる。そして、レーダ装置600は、検出結果に基づき、比較的空いている周波数チャネルを使用する制御も可能となる。
電波干渉が生じる領域に多数の車両が存在する場合、電波干渉を防ぐために周波数チャネルを時分割して多数の車両で共用する場合、車両一台あたりが使用できる時間の割合が少なくなってしまい、結果としてレーダの検出周期が遅くなる。一方、上述したように、レーダ送信に使用できる周波数チャネルが複数ある場合には、異なる周波数チャネル間では電波干渉が生じないため、使用されている周波数チャネル毎に独立したレーダ送信制御が可能となる。
また、使用周波数チャネル情報の報知をライト105の点滅の変調によって行う場合には、情報の報知に要する時間が別途必要となるのに対し、本実施の形態の変形例のように、使用周波数チャネルをライト105の発光色によって区別することで、報知に要する追加の時間が不要となる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、車両が存在する場面によって異なる電波干渉の影響の度合いを考慮してレーダ送信制御を行う場合について説明する。
駐車場での適用場面のように、一般に低速で走行している車両又は停車している車両が多数存在する場面と、一般道又は高速道路などにおいて中高速で走行している車両が存在する場面とでは、電波干渉の発生頻度及び影響度合いが異なると想定される。
具体的には、駐車場のような場面では、多数の車両から長時間に渡り、電波干渉が継続的に発生する可能性がある。一方、自車及び他車の双方の走行速度が低速であるため、中高速で走行している条件よりも衝突等の事故が発生するまでの時間が長く、レーダで物体等を検出する検出周期が長くても許容される。
逆に中高速で走行している場面では、例えば、図29に示すように、車両Xと車両Yとが同じ方向に走行していて、車両Yが後方に向けてレーダ送信している場合には、車両Xと車両Yとの間で電波干渉が継続的に発生する。ただし、電波干渉を引起す可能性のある車両の台数は、駐車場などの場合と比較して限定されるものと想定される。
そこで、本実施の形態では、レーダ装置は、車両の走行速度(車速)の情報及び画像解析結果に基づいて車両が存在する場面を判断し、場面に応じたレーダ送信制御を行う。
図30は、本実施の形態に係るレーダ装置700の構成を示すブロック図である。なお、図30において、図16及び図19と同一構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
具体的には、図30では、図19と比較して、車速検出部701、場面判断部702が新たに設けられ、状態管理部703の動作が異なる。
車速検出部701は、自車の走行速度(車速)を測定する。
場面判断部702は、車速検出部701から入力される自車の車速、及び、画像解析部350から入力される情報(画像解析結果)に基づいて、自車の存在する場面が、駐車場のような低速走行している場面であるか、中高速走行している場面であるかを判断する。
タイミング制御部302の状態管理部703は、自車が低速走行時には実施の形態4で説明したように、レーダ信号の送信前に送信要望信号に基づいてライト105の点滅を制御し、所定時間経過後にレーダ送信を実施するモードを選択する。一方、状態管理部703は、自車が中高速走行時には実施の形態1又は3で説明したように、周囲の他車のライト105の点滅パターンと同期する他車のレーダ送信パターンを特定して、他車がレーダ送信を実施していない区間(タイムスロット)でレーダ送信を行うとともに、ライト105を点灯させるモードを選択する。
このようにして、本実施の形態では、自車が置かれている場面に応じてレーダ送信制御のモードを切り替える。例えば、レーダ装置700は、電波干渉を引起す可能性のある車両台数が多い場面ではレーダの検出周期を遅くして干渉発生頻度を下げ、電波干渉を引起す可能性のある車両台数が少ない場面ではレーダの検出周期を早くしたままにする。このように自車が置かれている場面に応じてレーダ送信制御を適応的に切り替えることで、場面に応じた安全性を確保することができる。
(実施の形態9)
本実施の形態では、レーダ信号として、電波の代わりに超音波を利用したレーダ装置について説明する。
なお、本実施の形態に係るレーダ装置は、実施の形態1に係るレーダ装置100と基本構成が共通するので、図1を援用して説明する。
図31は、駐車場などにおいて、各々にレーダ装置100が搭載された車両Xと車両Yとが正対して存在する様子を示す。
車両X及び車両Yには、複数の超音波センサが搭載されている。例えば、図31に示す車両Xには、複数の超音波センサ(1)〜(4)が車両Xの各ライト105の設置箇所に対応して搭載される。同様に、図31に示す車両Yには、複数の超音波センサ(a)〜(d)が車両Yの各ライト105の設置箇所に対応してそれぞれ搭載される。
ここで、複数の超音波センサを同一領域で用いる場合、電波の場合と同様に干渉が課題となる(例えば、非特許文献2を参照)。
そこで、本実施の形態では、車両X及び車両Yの各々に搭載されたレーダ装置100のタイミング制御部103は、カメラ101で撮影された画像に含まれる他の車両のライト105の点灯状態に基づいて超音波センサの切り替えタイミングを設定する。超音波センサの切り替えタイミングは、各車両に搭載された複数の超音波センサのうち、超音波を送信する超音波センサを順次切り替えるタイミングを示す。
そして、レーダ送受信部107は、レーダ制御部106からの制御信号(超音波センサの切り替えタイミングを含む)に従って、複数の超音波センサのうち超音波(つまり、レーダ信号)を送信する超音波センサを順次切り替える。
例えば、車両Xのレーダ送受信部107は、(1)→(2)→(3)→(4)の順番で時分割的に超音波センサを切り替えて超音波を送信する。また、車両Xのレーダ送受信部107は、レーダ信号として送信された超音波がターゲット(車両Y)に反射された超音波を超音波センサで受信(検知)し、レーダ信号処理部108へ出力する。同様に、車両Yのレーダ送受信部107は、(a)→(b)→(c)→(d)の順番で時分割的に超音波センサを切り替えて超音波を送信する。また、車両Yのレーダ送受信部107は、レーダ信号として送信された超音波がターゲット(車両X)に反射された超音波を複数の超音波センサで受信(検知)し、レーダ信号処理部108へ出力する。
また、車両Xと車両Yとの間で同一領域において干渉が発生しないように、複数の超音波センサの各々が使用される区間を示す超音波センサの切り替えパターンは車両間で同期している。
図32は、車両X及び車両Yの超音波センサの切替えパターンを示す。図32では、車両Xの超音波センサの切り替えパターン:(1)→(2)→(3)→(4)と、車両Yの超音波センサの切り替えパターン:(c)→(d)→(a)→(b)とが同期する。
すなわち、車両Xの前方(車両Yが位置する方向)に搭載された超音波センサ(1)、(2)が超音波を検知する際は、車両Yの後方(車両Xと反対方向)の超音波センサ(c)、(d)が超音波を検知する。同様に、車両Xの後方(車両Yと反対方向)に搭載された超音波センサ(3)、(4)が超音波を検知する際は、車両Yの前方(車両Xが位置する方向)の超音波センサ(a)、(b)が超音波を検知する。つまり、車両Xと車両Yとでは、超音波センサの検知領域が車両間で同一にならないように超音波センサの切り替えタイミングが設定される。
車両Xと車両Yとが正対して存在する場合に、車両Xと車両Yとが非同期に独立して超音波の検知を行うと干渉によって誤検知が生じるおそれがある。これに対して、本実施の形態では、車両Xと車両Yとが正対して存在する場合でも、双方の車両が同期して超音波の検知を行うことにより、干渉による誤検知を防止することができる。
また、本実施の形態では、各車両において、超音波センサの切り替えパターンと、ライト105の点滅パターンとが同期している。例えば、タイミング制御部103は、図33に示すように、自車の超音波センサの切り替えタイミングと同期するようにライト105の点灯タイミングを設定する。例えば、図33に示す車両Xでは、車両Xの前方(車両Yが位置する方向)に搭載された超音波センサ(1)の切り替えタイミングとライト105の点灯区間とが同期する。また、図33に示す車両Yでは、車両Yの前方(車両Xが位置する方向)に搭載された超音波センサ(a)の切り替えタイミングとライト105の点灯区間とが同期する。
ここで、図31に示すように車両X及び車両Yが正対した場合、超音波センサ(1)と超音波センサ(a)とが同一タイミングで使用されると互いに干渉を与える関係になる。これに対して、図33では、各車両のタイミング制御部103は、車両X及び車両Yが正対した場合、各車両のライト105の点灯タイミングに対応付けられた超音波センサが互いに干渉しない関係になるように、超音波センサの切り替えタイミングを設定する。
具体的には、各車両のタイミング制御部103は、他車のライトの点滅パターンに基づいて、当該点滅パターンと同期している他車から送信される超音波センサの切り替えパターンを特定する。そして、タイミング制御部103は、他車の超音波センサと自車の超音波センサとによって干渉が発生しないように、自車の超音波センサの切り替えタイミングを設定する。
例えば、車両Xが車両Yよりも先に超音波センサによる検知を行っていることを仮定する。この場合、車両Yのタイミング制御部103は、車両Xのライト105の点灯区間から車両Xの超音波センサ(1)〜(4)の切り替えパターンを特定し、車両Yの超音波センサと干渉する恐れがある超音波センサ(1)、(2)の切り替えタイミング以外の切り替えタイミングを、超音波センサ(a)、(b)の切り替えタイミングに設定する。
換言すると、車両Yのタイミング制御部103は、車両Xのライト105の点灯区間と異なるタイミングを車両Yのライト105の点灯タイミングに設定する。つまり、図33に示すように、車両Xのライト105の点灯区間と、車両Yのライト105の点灯区間とが互いに異なる。これにより、タイミング制御部103は、各車両のライト105の点灯区間に対応付けられた超音波センサの切り替えタイミングは互いに異なるタイミングとなるので、車両Xと車両Yとの間で干渉を回避した超音波センサの切り替えタイミングを設定することができる。
このように、本実施の形態によれば、各車両に搭載されたレーダ装置100は、ライト検出部102により他車のライト105の点灯が検出されない場合に、自車の複数の超音波センサのうち、当該他車の方向を検知するための超音波センサから超音波を送信する。そのため、レーダ制御部103は、他車のライト105の点灯状態を検出するのみで、他車との干渉を回避して、超音波を送信することができる。例えば、各車両における超音波センサの切り替えパターンとライト105の点灯パターンとの関係が同一である場合、各車両に搭載されたレーダ装置100は、自車のライト105の点灯タイミングと他車のライト105の点灯タイミングとが異なる場合に、自車の超音波センサによって他車の方向の検知を行うことで、干渉による誤検知を防止することができる。
なお、本実施の形態では、レーダ装置100が他車のライト105の点灯状態に基づいて超音波センサの切り替えタイミングとライト105の点灯タイミングとの関係を特定する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、レーダ装置100は、他車からの超音波の受信状態を用いて、超音波センサの切り替えタイミングとライト105の点灯タイミングとの関係を特定してもよい。
例えば、車両Xが車両Yよりも先に超音波センサによる検知を行っていることを仮定する。この場合、車両Yのレーダ装置100は、超音波の送信を行う前に、受信単独モードを実行し、ライト検出部102から得られる車両Xのライト点灯タイミングと超音波の受信状態との関係を把握する。例えば、車両Yのレーダ装置100が、受信単独モードにおいて、図34に示すような受信レベルの信号を観測したとする。図34に示す、受信レベルは、受信レベルが大きい区間Aと、受信レベルが小さい区間Bとに分けられる。そして、車両Yのレーダ装置100は、ライト検出部102から得られる車両Xのライト点灯タイミングと受信レベル(区間A)とが同期していることを特定する。そこで、車両Yのレーダ装置100は、区間Bでは、車両Yの前方(車両Xが位置する方向)に搭載された超音波センサを用いた超音波の送信を実施し、区間Aでは、車両Yの後方(車両Xと反対方向)に搭載された超音波センサを用いた超音波の送信を実施するように制御する。
以上、本開示の各実施の形態について説明した。
なお、上記実施の形態では、カメラを用いて他車のライトの点灯状態を検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、単純な受光回路を用いて他車のライトの点灯状態を検出してもよい。
また、上記実施の形態では、本開示の一態様をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本開示はハードウェアとの連携においてソフトウェアで実現することも可能である。
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。集積回路は、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックを制御し、入力と出力を備えてもよい。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
本開示のレーダ装置は、車両に搭載されるレーダ装置であって、レーダ信号を送信し、レーダ信号がターゲットに反射した反射波信号を受信するレーダ送受信部と、レーダ信号を送信する方向を含む領域を撮影するカメラと、カメラで撮影された画像に含まれる他の車両のライトの点灯状態に基づいて、自車から送信されるレーダ信号の送信タイミング、及び、自車のライトの点灯タイミングを設定する制御部と、を具備し、自車及び他の車両の各々において、レーダ信号の送信区間及び送信停止区間を含む送信パターンと、ライトの点灯区間及び消灯区間を含む点滅パターンとが同期していて、自車の送信区間と他の車両の送信区間とが互いに異なる。
本開示のレーダ装置において、制御部は、点灯区間と同一タイミングを送信区間に設定し、消灯区間と同一タイミングを送信停止区間に設定する。
本開示のレーダ装置において、制御部は、消灯区間と同一タイミングを送信区間に設定し、点灯区間と同一タイミングを送信停止区間に設定する。
本開示のレーダ装置において、受信された反射波信号を用いて、他の車両から送信されるレーダ信号の有無を検出する検出部、を更に具備し、他の車両のライトの点灯状態、及び、検出される他の車両からのレーダ信号の有無に基づいて、他の車両から送信されるレーダ信号の送信区間及び送信停止区間と、他の車両のライトの点灯区間及び消灯区間との組合せを判定する判定部、を更に具備し、制御部は、他の車両の組合せに応じて、自車のレーダ信号の送信タイミング及びライトの点灯タイミングを設定する。
本開示のレーダ装置において、制御部は、ライトの点灯周期を、自車と他の車両の合計台数で分割して得られる複数の区間のうち何れか1区間を自車の送信区間に設定する。
本開示のレーダ装置において、制御部は、送信区間において、複数の車両に既知である点滅パターンでライトを点灯させ、他の車両のライトの点滅パターンが既知の点滅パターンである間、レーダ信号の送信を禁止する。
本開示のレーダ装置において、制御部は、レーダ信号の送信要望を表す点滅パターンでライトを点灯させた後に、他の車両のライトの点滅パターンがレーダ信号の送信許可を表す点滅パターンである場合にレーダ信号の送信を開始する。
本開示のレーダ装置において、制御部は、他の車両のライトの点滅パターンが送信要望を表す点滅パターンである場合、送信許可を表す点滅パターンでライトを点灯させ、自車のレーダ信号の送信を所定時間経過するまで禁止する。
本開示のレーダ装置において、制御部は、第1の車両のライトの点滅パターンが送信要望を表す点滅パターンである場合に、第1の車両がレーダ信号の送信を要望する送信区間について、第1の車両以外の他の車両からの送信要望を表す点滅パターンを検出していない場合、送信許可を表す点滅パターンでライトを点灯させる。
本開示のレーダ装置において、制御部は、送信要望を表す点滅パターンでライトを点灯させていない状態において、他の車両のライトの点滅パターンが送信許可を表す点滅パターンである場合、自車のレーダ信号の送信を所定時間経過するまで禁止する。
本開示のレーダ装置において、送信要望を表す点滅パターンには、レーダ信号の送信を要望する車両の識別番号に対応する点滅パターンが含まれ、送信許可を表す点滅パターンには、レーダ信号の送信が許可される車両の識別番号に対応する点滅パターンが含まれ、制御部は、送信要望を表す点滅パターンでライトを点灯させた場合に、複数の他の車両のライトの点滅パターンにおいて、送信許可を表す点滅パターンに含まれる識別番号が全て自車の識別番号である場合にレーダ信号の送信を開始する。
本開示のレーダ装置において、制御部は、送信要望を表す点滅パターンでライトを点灯させた場合に、送信許可を表す点滅パターンに含まれる識別番号の少なくとも1つが自車の識別番号ではない場合、ランダム時間経過後に送信要望を表す点滅パターンでライトを再点灯させる。
本開示のレーダ装置において、送信要望を表す点滅パターン及び送信許可を表す点滅パターンには、レーダ信号の送信継続時間に対応する点滅パターンが含まれ、制御部は、他の車両の点滅パターンが、送信要望を表す点滅パターン又は送信許可を表す点滅パターンである場合、当該点滅パターンに含まれる送信継続時間が経過するまで自車のレーダ信号の送信を禁止する。
本開示のレーダ装置において、制御部は、複数の他の車両のライトの点滅パターンの各々に含まれる複数の送信継続時間のうち、最も長い送信継続時間に対応する点滅パターンを含む送信許可を表す点滅パターンでライトを点灯する。
本開示のレーダ装置において、複数の周波数チャネルと、各周波数チャネルをレーダ信号の送信に使用する車両の識別番号とが対応付けられ、制御部は、複数の他の車両のライトの点滅パターンが送信要望を表す点滅パターンであり、送信要望を表す点滅パターンの各々に含まれる識別番号にそれぞれ対応付けられた周波数チャネルが互いに異なる場合、複数の他の車両の各々に対する送信許可を表す点滅パターンでライトを点灯する。
本開示のレーダ装置において、複数の他の車両と自車との間の干渉量と、他の車両の識別番号とが対応付けられ、制御部は、他の車両のライトの点滅パターンが送信要望を表す点滅パターンであり、送信要望を表す点滅パターンに含まれる識別番号に対応付けられた干渉量が所定の閾値以上である場合、当該他の車両に対する送信許可を表す点滅パターンでライトを点灯し、干渉量が所定の閾値未満である場合、当該他の車両に対して、送信許可を表す点滅パターンでライトを点灯しない。
本開示のレーダ装置において、ライトの点滅周期は、ライトの輝度を保つための第1の区間と、レーダ信号の送信制御に関する信号に対応する点滅を行うための第2の区間と、で構成される。
本開示のレーダ装置において、他の車両のライトの発光色を抽出する抽出部と、複数の周波数チャネルのうち、抽出された発光色に対応付けられた周波数チャネルを判定する判定部と、を更に具備し、制御部は、自車が使用する周波数チャネルが判定された周波数チャネルと同一の場合、他の車両のライトの点灯状態に基づいて、レーダ信号の送信タイミング及び自車のライトの点灯タイミングを設定し、自車が使用する周波数チャネルが判定された周波数チャネルと異なる場合、レーダ信号の送信タイミング及び自車のライトの点灯タイミングを他の車両と独立して設定する。
本開示のレーダ装置において、カメラで撮影された画像の解析結果、及び、自車の車速に基づいて、自車が低速走行しているか、中高速走行しているかを判断する判断部、を更に具備し、制御部は、自車が低速走行していると判断された場合には、送信要望を表す点滅パターンでライトを点灯させ、他の車両のライトの点滅パターンが送信許可に対応する点滅パターンである場合にレーダ信号を送信し、自車が中高速走行していると判断された場合には、他の車両のライトの点滅パターンと同期する他の車両のレーダ信号の送信タイミングと異なるタイミングで、レーダ信号を送信する。
本開示のレーダ装置は、車両に搭載されるレーダ装置であって、前記車両に搭載された複数の超音波センサからレーダ信号として超音波を送信し、前記レーダ信号がターゲットに反射された超音波を前記複数の超音波センサで受信するレーダ送受信部と、前記レーダ信号を送信する方向を含む領域を撮影するカメラと、前記カメラで撮影された画像に含まれる他の車両のライトの点灯状態に基づいて、自車の前記複数の超音波センサのうち超音波を送信する超音波センサを順次切り替える超音波センサの切り替えタイミング、及び、自車のライトの点灯タイミングを設定する制御部と、を具備し、自車及び前記他の車両の各々において、前記超音波センサの切り替えパターンと、前記ライトの点灯区間及び消灯区間を含む点滅パターンとが同期していて、自車の前記点灯区間と前記他の車両の前記点灯区間とが互いに異なる。
本開示の干渉防止方法は、車両に搭載され、レーダ信号を送信し、レーダ信号がターゲットに反射した反射波信号を受信するレーダ装置における干渉防止方法であって、レーダ信号を送信する方向を含む領域を撮影し、撮影された画像に含まれる他の車両のライトの点灯状態に基づいて、自車から送信されるレーダ信号の送信タイミング、及び、自車のライトの点灯タイミングを設定し、自車及び他の車両の各々において、レーダ信号の送信区間及び送信停止区間を含む送信パターンと、ライトの点灯区間及び消灯区間を含む点滅パターンとが同期していて、自車の送信区間と他の車両の送信区間とが互いに異なる。