JP2016220262A - 無線lanシステムにおいてバックオフを行う方法及び装置 - Google Patents

無線lanシステムにおいてバックオフを行う方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】無線LANシステムにおいてバックオフを行う方法及び装置を提供する。【解決手段】本発明の一実施例に係る、無線LANシステムにおいてステーション(STA)がバックオフを行う方法は、第1チャネル幅の大きさを有するデータユニットの送信のための場合に、第1チャネル幅の大きさを有する第1プライマリチャネル上で第1バックオフ過程を行い、第2チャネル幅以上の大きさを有するデータユニットの送信のための場合には、第2チャネル幅の大きさを有する第2プライマリチャネル上で第2バックオフ過程を行うステップと、第1バックオフ過程の結果として送信機会(TXOP)が許容される場合、第1チャネル幅の大きさを有するデータユニットを送信するステップと、第2バックオフ過程の結果としてTXOPが許容される場合、第2チャネル幅以上の大きさを有するデータユニットを送信するステップと、を有することができる。【選択図】図22

Description

以下の説明は、無線通信システムに関し、特に、無線LANシステムにおいてバックオフを行う方法及び装置に関する。
近年、情報通信技術の発展に伴って様々な無線通信技術が開発されている。その中でも無線LAN(WLAN)は、無線周波数技術に基づいて個人携帯用情報端末機(Personal Digital Assistant;PDA)、ラップトップコンピュータ、携帯用マルチメディアプレーヤー(Portable Multimedia Player;PMP)などのような携帯用端末機を用いて家庭、企業又は特定サービス提供地域において無線でインターネットにアクセスできるようにする技術である。
無線LANで脆弱点とされてきた通信速度の限界を克服するために、最近の技術標準では、ネットワークの速度と信頼性を増大させるとともに無線ネットワークの運営距離を拡張したシステムを導入している。例えば、IEEE 802.11nでは、データ処理速度が最大540Mbps以上である高処理率(High Throughput;HT)を支援し、送信エラーを最小化し、データ速度を最適化するために送信端及び受信端の両方に多重アンテナを使用するMIMO(Multiple Inputs and Multiple Outputs)技術の適用を導入している。
次世代通信技術としてM2M(Machine−to−Machine)通信技術が議論されている。IEEE 802.11 WLANシステムでもM2M通信を支援するための技術標準がIEEE 802.11ahとして開発されている。M2M通信では、数多くの機器が存在する環境でたまに少量のデータを低速で通信するシナリオを考慮することができる。
本発明では、複数個のプライマリチャネル(primary channel)が存在する無線LANシステムで適用される新しいバックオフ方案を提案することを目的とする。
本発明で遂げようとする技術的課題は以上に言及した技術的課題に制限されず、言及していない他の技術的課題は、以下の記載から、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者には明確に理解されるであろう。
上記の技術的課題を解決するために、本発明の一実施例に係る、無線LANシステムにおいてステーション(STA)がバックオフを行う方法は、第1チャネル幅の大きさを有するデータユニットの送信のための場合に、前記第1チャネル幅の大きさを有する第1プライマリチャネル上で第1バックオフ過程を行い、第2チャネル幅以上の大きさを有するデータユニットの送信のための場合には、前記第2チャネル幅の大きさを有する第2プライマリチャネル上で第2バックオフ過程を行うステップと、前記第1バックオフ過程の結果として送信機会(TXOP)が許容される場合、前記第1チャネル幅の大きさを有するデータユニットを送信するステップと、前記第2バックオフ過程の結果としてTXOPが許容される場合、前記第2チャネル幅以上の大きさを有するデータユニットを送信するステップとを有することができる。
上記の技術的課題を解決するために、本発明の他の実施例に係る、無線LANシステムにおいてバックオフを行うステーション(STA)装置は、送受信器と、プロセッサとを備えることができる。前記プロセッサは、第1チャネル幅の大きさを有するデータユニットの送信のための場合に、第1プライマリチャネル上で第1バックオフ過程を行い、第2チャネル幅の大きさを有するデータユニットの送信のための場合には、第2プライマリチャネル上で第2バックオフ過程を行い、前記第1バックオフ過程の結果として送信機会(TXOP)が許容される場合、前記第1チャネル幅の大きさを有するデータユニットを、前記送受信器を用いて送信し、前記第2バックオフ過程の結果としてTXOPが許容される場合、前記第2チャネル幅以上の大きさを有するデータユニットを、前記送受信器を用いて送信するように設定されてもよい。
上記の本発明に係る実施例において以下の事項を共通に適用することができる。
前記第1バックオフ過程の結果としてTXOPが許容される場合、前記第1チャネル幅の大きさを有するデータユニットの送信のみが行われてもよい。
前記第1バックオフ過程の結果としてTXOPが許容される場合、前記第1チャネル幅よりも大きい大きさを有するデータユニットの送信は行われない。
前記第1チャネル幅は、1MHzであってもよい。
前記第1バックオフ過程の結果としてTXOPが許容される場合、1MHzの大きさを有するデータユニットは、前記1MHzの大きさを有する前記第1プライマリチャネル上で送信されてもよい。
前記第2バックオフ過程の結果としてTXOPが許容される場合、一つ以上のセカンダリチャネルの遊休状態によって、前記第2チャネル幅以上の大きさを有するデータユニットの送信が行われてもよい。
前記第2チャネル幅は、2MHzであってもよい。
前記第2バックオフ過程の結果としてTXOPが許容される場合、2MHzの大きさを有するデータユニットは、前記2MHzの大きさを有する前記第2プライマリチャネル上で送信されてもよい。
前記第2バックオフ過程の結果としてTXOPが許容され、前記TXOPの開始直前のPIFS(point coordination function(PCF)interframe space)インターバルの間に、2MHzの大きさを有するセカンダリチャネルが遊休状態である場合、4MHzの大きさを有するデータユニットは、前記2MHzの大きさを有する前記第2プライマリチャネル及び2MHzの大きさを有するセカンダリチャネル上で送信されてもよい。
前記第2バックオフ過程の結果としてTXOPが許容され、前記TXOPの開始直前のPIFSインターバルの間に、2MHzの大きさを有するセカンダリチャネル及び4MHzの大きさを有するセカンダリチャネルがいずれも遊休状態である場合、8MHzの大きさを有するデータユニットは、前記2MHzの大きさを有する前記第2プライマリチャネル、前記2MHzの大きさを有するセカンダリチャネル及び前記4MHzの大きさを有するセカンダリチャネル上で送信されてもよい。
前記第1バックオフ過程の結果としてTXOPが許容されることは、前記第1バックオフ過程のバックオフタイマーの値が0に到達することを含むことができる。
前記第2バックオフ過程の結果としてTXOPが許容されることは、前記第2バックオフ過程のバックオフタイマーの値が0に到達することを含むことができる。
前記STAは、S1G(Sub 1GHz)STAであってもよい。
前記データユニットは、PPDU(Physical Layer Convergence Protocol(PLCP) Packet Data Unit)であってもよい。
本発明について前述した一般的な説明と後述する詳細な説明は、例示的なものであり、請求項に記載の発明に関する更なる説明のためのものである。
本発明によれば、複数個のプライマリチャネル(primary channel)が存在する無線LANシステムで適用される効率的なバックオフ方法及び装置を提供することができる。
本発明で得られる効果は以上に言及した効果に制限されず、言及していない他の効果は、以下の記載から、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に明らかになるであろう。
本明細書に添付される図面は、本発明に関する理解を提供するためのもので、本発明の様々な実施の形態を示し、明細書の記載と共に本発明の原理を説明するためのものである。
本発明を適用できるIEEE 802.11システムの例示的な構造を示す図である。 本発明を適用できるIEEE 802.11システムの他の例示的な構造を示す図である。 本発明を適用できるIEEE 802.11システムの更に他の例示的な構造を示す図である。 無線LANシステムの例示的な構造を示す図である。 無線LANシステムにおけるリンクセットアップ過程を説明するための図である。 バックオフ過程を説明するための図である。 隠されたノード及び露出されたノードを説明するための図である。 RTSとCTSを説明するための図である。 電力管理動作を説明するための図である。 TIMを受信したSTAの動作を詳しく説明するための図である。 TIMを受信したSTAの動作を詳しく説明するための図である。 TIMを受信したSTAの動作を詳しく説明するための図である。 グループベースAIDについて説明するための図である。 IEEE 802.11システムで用いられるフレーム構造の一例を説明するための図である。 S1G 1MHzフォーマットの一例を示す図である。 S1G 2MHz以上短いフォーマットの一例を示す図である。 S1G 2MHz以上長いフォーマットの一例を示す図である。 S1G動作要素(operation element)の例示的なフォーマットを示す図である。 プライマリチャネルとセカンダリチャネルとの関係を説明するための図である。 STAのバックオフ過程の例示を説明するための図である。 本発明の提案によるSTAのバックオフ過程の一例を説明するための図である。 本発明の一例によるバックオフ方法を説明するための図である。 本発明の一実施例に係る無線装置の構成を示すブロック図である。
以下、本発明に係る好適な実施の形態を添付の図面を参照して詳しく説明する。添付の図面と共に以下に開示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施の形態を説明するためのもので、本発明の唯一の実施の形態を示すためのものではない。以下の詳細な説明は本発明の完全な理解を提供するために具体的な細部事項を含む。しかし、このような具体的な細部事項無しで本発明が実施されてもよいことが当業者には理解される。
以下の実施例は、本発明の構成要素と特徴を所定の形態で結合したものである。各構成要素又は特徴は、特別の言及がない限り、選択的なものと考慮することができる。各構成要素又は特徴は、他の構成要素や特徴と結合していない形態で実施されてもよく、一部の構成要素及び/又は特徴を結合して本発明の実施例を構成してもよい。本発明の実施例で説明される動作の順序は変更されてもよい。ある実施例の一部の構成や特徴は、他の実施例に含まれてもよく、他の実施例の対応する構成又は特徴に取り替えられてもよい。
以下の説明で使われる特定用語は、本発明の理解を助けるために提供されるものであり、このような特定用語の使用は、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で他の形態に変更してもよい。
場合によって、本発明の概念が曖昧になることを避けるために、公知の構造及び装置を省略したり、各構造及び装置の核心機能を中心にしたブロック図の形式で図示することもできる。また、本明細書全体を通じて同一の構成要素には同一の図面符号を付して説明する。
本発明の実施例は、無線アクセスシステムであるIEEE 802システム、3GPPシステム、3GPP LTE及びLTE−A(LTE−Advanced)システム、並びに3GPP2システムの少なくとも一つに開示された標準文書によって裏付けることができる。すなわち、本発明の実施例において、本発明の技術的思想を明確にするために説明を省いた段階又は部分は、上記の文書によって裏付けることができる。また、本文書で開示している用語はいずれも上記の標準文書によって説明することができる。
以下の技術は、CDMA(Code Division Multiple Access)、FDMA(Frequency Division Multiple Access)、TDMA(Time Division Multiple Access)、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)、SC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)などのような様々な無線アクセスシステムに用いることができる。CDMAは、UTRA(Universal Terrestrial Radio Access)やCDMA2000のような無線技術(radio technology)によって具現することができる。TDMAは、GSM(Global System for Mobile communications)/GPRS(General Packet Radio Service)/EDGE(Enhanced Data Rates for GSM Evolution)のような無線技術によって具現することができる。OFDMAは、IEEE 802.11(Wi−Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802−20、E−UTRA(Evolved UTRA)などのような無線技術によって具現することができる。明確性のために、以下では3GPP LTE及び3GPP LTE−Aシステムを中心に説明するが、本発明の技術的思想がこれに制限されるものではない。
WLANシステムの構造
図1は、本発明を適用できるIEEE 802.11システムの例示的な構造を示す図である。
IEEE 802.11構造は複数個の構成要素を含むことができ、それら構成要素の相互作用によって上位層に対してトランスペアレントなSTA移動性を支援するWLANを提供することができる。基本サービスセット(Basic Service Set;BSS)はIEEE 802.11 LANにおける基本的な構成ブロックに該当し得る。図1では、2個のBSS(BSS1及びBSS2)が存在し、それぞれのBSSのメンバーとして2個のSTAが含まれる(STA1及びSTA2はBSS1に含まれ、STA3及びSTA4はBSS2に含まれる)ことを例示的に示している。図1で、BSSを表す楕円は、当該BSSに含まれたSTAが通信を維持するカバレッジ領域を表すものと理解してもよい。この領域をBSA(Basic Service Area)と称することができる。STAがBSAの外へ移動すると、当該BSA内の他のSTAと直接通信できなくなる。
IEEE 802.11 LANにおいて最も基本的なタイプのBSSは、独立したBSS(Independent BSS;IBSS)である。例えば、IBSSは、2個のSTAだけで構成された最小の形態を有することができる。また、最も単純な形態であるとともに他の構成要素が省略されている図1のBSS(BSS1又はBSS2)がIBSSの代表的な例示に該当する。このような構成は、STA同士が直接通信できる場合に可能である。また、このような形態のLANは、あらかじめ計画して構成されるものではなく、必要な場合に構成され、これをアド−ホック(ad−hoc)ネットワークと呼ぶこともできる。
STAがついたり消えたりすること、STAがBSS領域に/から入ったり出たりすることなどによって、BSSにおいてSTAのメンバーシップが動的に変更してもよい。BSSのメンバーになるためには、STAは同期化過程によってBSSにジョインすることができる。BSSベース構造の全サービスにアクセスするためには、STAがBSSに連携されなければならない。このような連携(association)は、動的に設定され、分配システムサービス(Distribution System Service;DSS)の利用を含むことができる。
図2は、本発明を適用できるIEEE 802.11システムの他の例示的な構造を示す図である。図2は、図1の構造において、分配システム(Distribution System;DS)、分配システム媒体(Distribution System Medium;DSM)、アクセスポイント(Access Point;AP)などの構成要素が追加された形態である。
LANにおいて直接的なステーション−対−ステーションの距離はPHYの性能によって制限されることがある。このような距離の限界が充分な場合もあれば、より遠い距離のステーション間の通信が必要な場合もある。拡張されたカバレッジを支援するために分配システム(DS)を構成することができる。
DSは、BSS同士が相互接続される構造を意味する。具体的に、BSSは、図1のように独立して存在してもよいが、複数個のBSSで構成されたネットワークの拡張された形態の構成要素として存在してもよい。
DSは論理的な概念であり、分配システム媒体(DSM)の特性によって特定することができる。これと関連して、IEEE 802.11標準では無線媒体(Wireless Medium;WM)と分配システム媒体(DSM)とを論理的に区別している。それぞれの論理的媒体は互いに異なる目的のために使用され、互いに異なる構成要素によって使用される。IEEE 802.11標準の定義では、このような媒体を互いに同一なものとも、互いに異なるものとも制限しない。このように複数個の媒体が論理的に互いに異なるという点で、IEEE 802.11 LAN構造(DS構造又は他のネットワーク構造)の柔軟性を説明することができる。すなわち、IEEE 802.11 LAN構造は様々に具現することができ、それぞれの具現例の物理的な特性によって独立して当該LAN構造を特定することができる。
DSは、複数個のBSSのシームレス(seamless)な統合を提供し、あて先へのアドレスを扱う上で必要な論理的サービスを提供することによって移動機器を支援することができる。
APとは、連携されているSTAに対してWMを介してDSへのアクセスを可能にし、且つSTA機能性を有するエンティティ(entity)を意味する。APを介してBSS及びDS間のデータ移動を行うことができる。例えば、図2に示すSTA2及びSTA3は、STAの機能性を有するとともに、連携されているSTA(STA1及びSTA4)をDSにアクセスさせる機能を持つ。また、いかなるAPも基本的にSTAに該当するため、APはいずれもアドレス可能なエンティティである。WM上での通信のためにAPによって用いられるアドレスとDSM上での通信のためにAPによって用いられるアドレスは必ずしも同一である必要はない。
APに連携されているSTAのいずれか一つから当該APのSTAアドレスに送信されるデータは、常に非制御ポート(uncontrolled port)に受信され、IEEE 802.1Xポートアクセスエンティティで処理することができる。また、制御ポート(controlled port)が認証されると、送信データ(又は、フレーム)はDSに伝達されてもよい。
図3は、本発明を適用できるIEEE 802.11システムのさらに他の例示的な構造を示す図である。図3では、図2の構造にさらに広いカバレッジを提供するための拡張されたサービスセット(Extended Service Set;ESS)を概念的に示す。
任意の(arbitrary)大きさ及び複雑度を有する無線ネットワークをDS及びBSSで構成することができる。IEEE 802.11システムではこのような方式のネットワークをESSネットワークと称する。ESSは、一つのDSに接続されたBSSの集合といえる。しかし、ESSはDSを含まない。ESSネットワークはLLC(Logical Link Control)層でIBSSネットワークとして見える点が特徴である。ESSに含まれるSTAは互いに通信することができ、移動STAはLLCにトランスペアレントに一つのBSSから他のBSSに(同一ESS内で)移動することができる。
IEEE 802.11では、図3におけるBSSの相対的な物理的位置について何ら仮定しておらず、次のようないずれの形態も可能である。BSSは部分的に重なってもよく、これは、連続したカバレッジを提供するために一般に利用される形態である。また、BSSは物理的に接続していなくてもよく、論理的にはBSS同士間の距離に制限はない。また、BSS同士は物理的に同一位置に位置してもよく、これはリダンダンシーを提供するために用いることができる。また、一つ(又は、一つ以上の)IBSS又はESSネットワークが一つ(又は一つ以上の)ESSネットワークとして同一空間に物理的に存在してもよい。これは、ESSネットワークが存在する位置にアド−ホックネットワークが動作する場合、互いに異なる機関(organizations)によって物理的に重なるIEEE 802.11ネットワークが構成される場合、又は、同一位置で2つ以上の互いに異なるアクセス及び保安政策が必要な場合などにおける、ESSネットワーク形態であるといえる。
図4は、無線LANシステムの例示的な構造を示す図である。図4では、DSを含む基盤構造BSSの一例を示している。
図4の例示で、BSS1及びBSS2がESSを構成する。無線LANシステムにおいてSTAはIEEE 802.11のMAC/PHY規定に従って動作する機器である。STAはAP STA及び非−AP(non−AP)STAを含む。Non−AP STAは、ラップトップコンピュータ、移動電話機のように、一般にユーザが直接扱う機器に該当する。図4の例示で、STA1、STA3、STA4はnon−AP STAに該当し、STA2及びSTA5はAP STAに該当する。
以下の説明で、non−AP STAは、端末(terminal)、無線送受信ユニット(Wireless Transmit/Receive Unit;WTRU)、ユーザ装置(User Equipment;UE)、移動局(Mobile Station;MS)、移動端末(Mobile Terminal)、移動加入者局(Mobile Subscriber Station;MSS)などと呼ぶことができる。また、APは、他の無線通信分野における基地局(Base Station;BS)、ノード−B(Node−B)、発展したノード−B(evolved Node−B;eNB)、基底送受信システム(Base Transceiver System;BTS)、フェムト基地局(Femto BS)などに対応する概念である。
リンクセットアップ過程
図5は、一般のリンクセットアップ(link setup)過程を説明するための図である。
STAがネットワークに対してリンクをセットアップし、データを送受信するためには、まず、ネットワークを発見(discovery)し、認証(authentication)を行い、連携(association)を確立(establish)し、保安(security)のための認証手順などを行わなければならない。リンクセットアップ過程をセッション開始過程、セッションセットアップ過程と呼ぶこともできる。また、リンクセットアップ過程における発見、認証、連携、保安設定の過程を総称して連携過程と呼ぶこともできる。
図5を参照して例示的なリンクセットアップ過程について説明する。
段階S510で、STAはネットワーク発見動作を行うことができる。ネットワーク発見動作はSTAのスキャニング(scanning)動作を含むことができる。すなわち、STAがネットワークにアクセスするためには、参加可能なネットワークを見つけなければならない。STAは無線ネットワークに参加する前に互換可能なネットワークを識別しなければならないが、特定領域に存在するネットワーク識別過程をスキャニングという。
スキャニング方式には、能動的スキャニング(active scanning)と受動的スキャニング(passive scanning)がある。
図5では例示として能動的スキャニング過程を含むネットワーク発見動作を示す。能動的スキャニングにおいて、スキャニングを行うSTAはチャネルを移りながら周辺にどのAPが存在するかを探索するためにプローブ要請フレーム(probe request frame)を送信し、それに対する応答を待つ。応答者(responder)は、プローブ要請フレームを送信したSTAに、プローブ要請フレームに対する応答としてプローブ応答フレーム(probe response frame)を送信する。ここで、応答者は、スキャニングされているチャネルのBSSで最後にビーコンフレーム(beacon frame)を送信したSTAであってもよい。BSSでは、APがビーコンフレームを送信することから、APが応答者となり、IBSSでは、IBSS内のSTAが交互にビーコンフレームを送信することから、応答者が一定でない。例えば、1番チャネルでプローブ要請フレームを送信し、1番チャネルでプローブ応答フレームを受信したSTAは、受信したプローブ応答フレームに含まれたBSS関連情報を保存し、次のチャネル(例えば、2番チャネル)に移動して同一の方法でスキャニング(すなわち、2番チャネル上でプローブ要請/応答の送受信)を行うことができる。
図5には示していないが、スキャニング動作は受動的スキャニング方式で行われてもよい。受動的スキャニングにおいて、スキャニングを行うSTAはチャネルを移りながらビーコンフレームを待つ。ビーコンフレームは、IEEE 802.11において管理フレーム(management frame)の一つであり、無線ネットワークの存在を知らせ、スキャニングを行うSTAが無線ネットワークを見つけて無線ネットワークに参加できるように、周期的に送信される。BSSでAPがビーコンフレームを周期的に送信する役割を担い、IBSSではIBSS内のSTAが交互にビーコンフレームを送信する。スキャニングを行うSTAは、ビーコンフレームを受信すると、ビーコンフレームに含まれたBSSに関する情報を保存し、他のチャネルに移動しながら各チャネルでビーコンフレーム情報を記録する。ビーコンフレームを受信したSTAは、受信したビーコンフレームに含まれたBSS関連情報を保存し、次のチャネルに移動して同一の方法で次のチャネルでスキャニングを行うことができる。
能動的スキャニングと受動的スキャニングとを比較すれば、能動的スキャニングが受動的スキャニングに比べてディレー(delay)及び電力消耗が小さいという利点がある。
STAがネットワークを発見した後に、段階S520で認証過程を行うことができる。このような認証過程は、後述する段階S540の保安セットアップ動作と明確に区別するために、第1の認証(first authentication)過程と呼ぶことができる。
認証過程は、STAが認証要請フレーム(authentication request frame)をAPに送信し、これに応答してAPが認証応答フレーム(authentication response frame)をSTAに送信する過程を含む。認証要請/応答に用いられる認証フレーム(authentication frame)は管理フレームに該当する。
認証フレームは、認証アルゴリズム番号(authentication algorithm number)、認証トランザクションシーケンス番号(authentication transaction sequence number)、状態コード(status code)、検問テキスト(challenge text)、RSN(Robust Security Network)、有限循環グループ(Finite Cyclic Group)などに関する情報を含むことができる。これは、認証要請/応答フレームに含み得る情報の一例示に過ぎず、他の情報に取り替えたり、追加の情報をさらに含めたりしてもよい。
STAは、認証要請フレームをAPに送信することができる。APは、受信された認証要請フレームに含まれた情報に基づいて、当該STAに対する認証を許容するか否かを決定することができる。APは認証処理の結果を認証応答フレームを用いてSTAに提供することができる。
STAが成功的に認証された後に、段階S530で連携過程を行うことができる。連携過程は、STAが連携要請フレーム(association request frame)をAPに送信し、それに応答してAPが連携応答フレーム(association response frame)をSTAに送信する過程を含む。
例えば、連携要請フレームは、様々な能力(capability)に関する情報、ビーコン聴取間隔(listen interval)、SSID(service set identifier)、支援レート(supported rates)、支援チャネル(supported channels)、RSN、移動性ドメイン、支援オペレーティングクラス(supported operating classes)、TIM放送要請(Traffic Indication Map Broadcast request)、相互動作(interworking)サービス能力などに関する情報を含むことができる。
例えば、連携応答フレームは、様々な能力に関する情報、状態コード、AID(Association ID)、支援レート、EDCA(Enhanced Distributed Channel Access)パラメータセット、RCPI(Received Channel Power Indicator)、RSNI(Received Signal to Noise Indicator)、移動性ドメイン、タイムアウト間隔(連携カムバック時間(association comeback time))、重畳(overlapping)BSSスキャンパラメータ、TIM放送応答、QoSマップなどの情報を含むことができる。
これは、連携要請/応答フレームに含み得る情報の一例に過ぎず、他の情報に取り替えたり、追加の情報をさらに含めたりしてもよい。
STAがネットワークに成功的に連携された後に、段階S540で保安セットアップ過程を行うことができる。段階S540の保安セットアップ過程は、RSNA(Robust Security Network Association)要請/応答を用いた認証過程ということもでき、上記の段階S520の認証過程を第1の認証(first authentication)過程とし、段階S540の保安セットアップ過程を単純に認証過程と呼ぶこともできる。
段階S540の保安セットアップ過程は、例えば、EAPOL(Extensible Authentication Protocol over LAN)フレームを用いた4−ウェイ(way)ハンドシェーキングによってプライベートキーセットアップ(private key setup)をする過程を含むことができる。また、保安セットアップ過程は、IEEE 802.11標準で定義していない保安方式によって行うこともできる。
WLANの進化
無線LANにおいて通信速度の限界を克服するために比較的最近に制定された技術標準としてIEEE 802.11nがある。IEEE 802.11nは、ネットワークの速度と信頼性を増大させ、且つ無線ネットワークの運営距離を拡張することに目的がある。より具体的に、IEEE 802.11nは、データ処理速度が最大540Mbps以上である高処理率(High Throughput;HT)を支援するとともに、送信エラーを最小化し、データ速度を最適化するために送信端と受信端の両方とも多重アンテナを使用するMIMO(Multiple Inputs and Multiple Outputs)技術に基づいている。
無線LANの普及が活性化し、さらにそれを用いたアプリケーションが多様化するに伴って、最近ではIEEE 802.11nが支援するデータ処理速度よりも高い処理率を支援するための新しい無線LANシステムの必要性が台頭している。超高処理率(Very High Throughput;VHT)を支援する次世代無線LANシステムは、IEEE 802.11n無線LANシステムの次のバージョン(例えば、IEEE 802.11ac)であり、MACサービスアクセスポイント(Service Access Point;SAP)で1Gbps以上のデータ処理速度を支援するために近年新しく提案されたIEEE 802.11無線LANシステムの一つである。
次世代無線LANシステムは、無線チャネルを效率的に利用するために複数のSTAが同時にチャネルにアクセスするMU−MIMO(Multi User Multiple Input Multiple Output)方式の送信を支援する。MU−MIMO送信方式によれば、APが、MIMOペアリング(pairing)された一つ以上のSTAに同時にパケットを送信することができる。
また、ホワイトスペース(white space)で無線LANシステム動作を支援することが議論されている。例えば、アナログTVのデジタル化による遊休状態の周波数帯域(例えば、54〜698MHz帯域)のようなTVホワイトスペース(TVWS)での無線LANシステムの導入は、IEEE 802.11af標準として議論されている。しかし、これは例示に過ぎず、ホワイトスペースは、許可されたユーザ(licensed user)が優先して使用できる許可された帯域といえる。許可されたユーザは、許可された帯域の使用が許可されたユーザのことを意味し、許可された装置(licensed device)、プライマリユーザ(primary user)、優先的ユーザ(incumbent user)などと呼ぶこともできる。
例えば、WSで動作するAP及び/又はSTAは、許可されたユーザに対する保護(protection)機能を提供しなければならない。例えば、WS帯域で特定帯域幅を有するように規約(regulation)で分割されている周波数帯域である特定WSチャネルを、マイクロホン(microphone)のような許可されたユーザが既に使用している場合、許可されたユーザを保護するために、AP及び/又はSTAは、当該WSチャネルに該当する周波数帯域を使用することができない。また、AP及び/又はSTAは、現在フレーム送信及び/又は受信のために使用している周波数帯域を許可されたユーザが使用するようになると、当該周波数帯域の使用を中止しなければならない。
このため、AP及び/又はSTAは、WS帯域中の特定周波数帯域の使用が可能か否か、すなわち、当該周波数帯域に許可されたユーザが存在するか否かを把握する手順を先行しなければならない。許可されたユーザが特定周波数帯域に存在するか否かを把握することをスペクトルセンシング(spectrum sensing)という。スペクトルセンシングメカニズムとして、エネルギー探知(energy detection)方式、信号探知(signature detection)方式などが活用される。受信信号の強度が一定値以上であれば、許可されたユーザが使用中であると判断したり、DTVプリアンブル(preamble)が検出されると、許可されたユーザが使用中であると判断することができる。
また、次世代通信技術としてM2M(Machine−to−Machine)通信技術が議論されている。IEEE 802.11無線LANシステムでもM2M通信を支援するための技術標準がIEEE 802.11ahとして開発されている。M2M通信は、一つ以上のマシン(Machine)が含まれる通信方式を意味し、MTC(Machine Type Communication)又は事物通信とも呼ばれる。ここで、マシンとは、人間の直接的な操作や介入を必要としないエンティティ(entity)を意味する。例えば、無線通信モジュール搭載の検針機(meter)や自動販売機のような装置を含め、ユーザの操作/介入無しで自動でネットワークに接続して通信を行うことができるスマートフォンのようなユーザ機器もマシンの一例である。M2M通信は、デバイス間の通信(例えば、D2D(Device−to−Device)通信)、デバイスとサーバー(application server)間の通信などを含むことができる。デバイスとサーバー間の通信の例示としては、自動販売機とサーバー、POS(Point of Sale)装置とサーバー、電気、ガス又は水道検針機とサーバー間の通信が挙げられる。その他にも、M2M通信ベースのアプリケーション(application)には、保安(security)、運送(transportation)、ヘルスケア(health care)などがある。このような適用例の特性を考慮すると、一般に、M2M通信は、数多くの機器が存在する環境でたまに少量のデータを低速で送受信することを支援しなければならない。
具体的に、M2M通信は多数のSTAを支援可能でなければならない。現在定義されている無線LANシステムでは、一つのAPに最大2007個のSTAが連携される場合を仮定するが、M2M通信ではそれよりも多い個数(約6000個)のSTAが一つのAPに連携される場合を支援する方案が議論されている。また、M2M通信では低い送信速度を支援/要求するアプリケーションが多いと予想される。これを円滑に支援するために、例えば、無線LANシステムでは、TIM(Traffic Indication Map)要素から、STAが自身に送信されるデータの有無を認知することができるが、TIMのビットマップサイズを減らす方案が議論されている。また、M2M通信では送信/受信間隔が非常に長いトラフィックが多いと予想される。例えば、電気/ガス/水道の使用量の場合には、長い周期で(例えば、1ケ月ごとに)大変少量のデータをやり取りすることが要求される。そのため、無線LANシステムでは、一つのAPと連携し得るSTAの個数は非常に多くても、1ビーコン周期の間にAPからのデータフレームを受信するSTAの個数が非常に少ない場合を效率的に支援する方案が議論されている。
このように無線LAN技術は急速に進化しつつあり、前述の例示に加えて、直接リンクセットアップ、メディアストリーミング性能の改善、高速及び/又は大規模の初期セッションセットアップの支援、拡張された帯域幅及び動作周波数の支援などのための技術が開発されている。
媒体アクセスメカニズム
IEEE 802.11に基づく無線LANシステムにおいて、MAC(Medium Access Control)の基本アクセスメカニズムは、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)メカニズムである。CSMA/CAメカニズムは、IEEE 802.11 MACの分配調整機能(Distributed Coordination Function、DCF)とも呼ばれるが、基本的に「listen before talk」アクセスメカニズムを採用している。このような類型のアクセスメカニズムによれば、AP及び/又はSTAは送信を開始するに先立ち、所定の時間区間(例えば、DIFS(DCF Inter−Frame Space)の間に無線チャネル又は媒体(medium)をセンシング(sensing)するCCA(Clear Channel Assessment)を行うことができる。センシングの結果、媒体が遊休状態(idle status)と判断されると、当該媒体を介してフレーム送信を始める。一方、媒体が占有状態(occupied status)と感知されると、当該AP及び/又はSTAは自分の送信を開始せず、媒体アクセスのための遅延期間(例えば、任意バックオフ周期(random backoff period))を設定して待った後、フレーム送信を試みることができる。任意バックオフ周期の適用によって、複数のSTAはそれぞれ異なった時間待った後にフレーム送信を試みると期待され、よって、衝突(collision)を最小化することができる。
また、IEEE 802.11 MACプロトコルはHCF(Hybrid Coordination Function)を提供する。HCFはDCFとPCF(Point Coordination Function)に基づく。PCFは、ポーリング(polling)ベースの同期式アクセス方式で、全ての受信AP及び/又はSTAがデータフレームを受信できるように周期的にポーリングする方式のことをいう。また、HCFは、EDCA(Enhanced Distributed Channel Access)とHCCA(HCF Controlled Channel Access)を有する。EDCAは、提供者が複数のユーザにデータフレームを提供するためのアクセス方式を競合ベースとするものであり、HCCAは、ポーリングメカニズムを用いた非競合ベースのチャネルアクセス方式を用いるものである。また、HCFは、WLANのQoS(Quality of Service)を向上させるための媒体アクセスメカニズムを含み、競合周期(Contention Period;CP)、非競合周期(Contention Free Period;CFP)のいずれにおいてもQoSデータを送信することができる。
図6は、バックオフ過程を説明するための図である。
図6を参照して任意バックオフ周期に基づく動作について説明する。占有(occupy又はbusy)状態だった媒体が遊休(idle)状態に変更されると、複数のSTAはデータ(又はフレーム)送信を試みることができる。この時、衝突を最小化するための方案として、STAはそれぞれ任意バックオフカウントを選択し、それに該当するバックオフスロット時間だけ待機した後、送信を試みることができる。任意バックオフカウントは、擬似−任意整数(pseudo−random integer)値を有し、0乃至CW範囲の値のいずれか一つとして決定することができる。ここで、CWは、競合ウィンドウ(Contention Window)パラメータ値である。CWパラメータは初期値としてCWminが与えられるが、送信失敗の場合(例えば、送信されたフレームに対するACKを受信できなかった場合)に2倍の値を取ることができる。CWパラメータ値がCWmaxになると、データ送信に成功するまでCWmax値を維持しながらデータ送信を試みることができ、データ送信に成功するとCWmin値にリセットされる。CW、CWmin及びCWmax値は2n−1(n=0,1,2,…)に設定することが好ましい。
任意バックオフ過程が始まると、STAは、決定されたバックオフカウント値によってバックオフスロットをカウントダウンする間に媒体をモニタし続ける。媒体が占有状態とモニタされるとカウントダウンを止めて待機し、媒体が遊休状態になると残りのカウントダウンを再開する。
図6の例示で、STA3のMACに、送信するパケットが到達した場合、STA3は、DIFSだけ媒体が遊休状態であることを確認し、直ちにフレームを送信することができる。一方、残りのSTAは、媒体が占有(busy)状態であることをモニタして待機する。その間にSTA1、STA2及びSTA5のそれぞれでも送信するデータが発生することがあり、それぞれのSTAは、媒体が遊休状態とモニタされると、DIFSだけ待機した後に、それぞれ選択した任意バックオフカウント値によってバックオフスロットのカウントダウンを行うことができる。図6の例示では、STA2が最も小さいバックオフカウント値を選択し、STA1が最も大きいバックオフカウント値を選択した場合を示す。すなわち、STA2がバックオフカウントを終えてフレーム送信を始める時点でSTA5の残余バックオフ時間はSTA1の残余バックオフ時間よりも短い場合を例示する。STA1及びSTA5は、STA2が媒体を占有する間に暫くカウントダウンを止めて待機する。STA2の占有が終了して媒体が再び遊休状態になると、STA1及びSTA5はDIFSだけ待機した後に、中止したバックオフカウントを再開する。すなわち、残余バックオフ時間分の残ったバックオフスロットをカウントダウンした後、フレーム送信を始めることができる。STA5の残余バックオフ時間がSTA1よりも短いため、STA5がフレーム送信を始めるようになる。一方、STA2が媒体を占有する間にSTA4でも送信するデータが発生することがある。このとき、STA4の立場では、媒体が遊休状態になるとDIFSだけ待機した後、自身が選択した任意バックオフカウント値によるカウントダウンを行ってフレーム送信を始めることができる。図6の例示では、STA5の残余バックオフ時間がSTA4の任意バックオフカウント値と偶然に一致する場合を示し、この場合、STA4とSTA5間に衝突が発生することがある。衝突が発生する場合はSTA4、STA5両方ともACKを受けることができず、データ送信に失敗することになる。この場合、STA4とSTA5はCW値を2倍に増やした後に任意バックオフカウント値を選択してカウントダウンを行うことができる。一方、STA1は、STA4とSTA5の送信によって媒体が占有状態である間に待機しているが、媒体が遊休状態になると、DIFSだけ待機した後、残余バックオフ時間が経過するとフレーム送信を開始することができる。
STAのセンシング動作
前述したように、CSMA/CAメカニズムは、AP及び/又はSTAが媒体を直接センシングする物理的キャリアセンシング(physical carrier sensing)の他、仮想キャリアセンシング(virtual carrier sensing)も含む。仮想キャリアセンシングは、隠されたノード問題(hidden node problem)などのように媒体アクセスで発生し得る問題を補完するために用いられる。仮想キャリアセンシングのために、無線LANシステムのMACはネットワーク割当てベクトル(Network Allocation Vector;NAV)を用いることができる。NAVは、現在媒体を利用していたり又は利用する権限のあるAP及び/又はSTAが、媒体を使用できる状態になるまで残っている時間を、他のAP及び/又はSTAに知らせる(indicate)値である。したがって、NAVに設定された値は、当該フレームを送信するAP及び/又はSTAによって媒体の利用が予定されている期間に該当し、NAV値を受信するSTAは、当該期間において媒体アクセスが禁止される。NAVは、例えば、フレームのMACヘッダー(header)の「duration」フィールドの値によって設定することができる。
また、衝突可能性を低減するために堅牢な衝突検出(robust collision detect)メカニズムが導入されている。これについて図7及び図8を参照して説明する。実際にキャリアセンシング範囲と送信範囲は同一でないこともあるが、説明の便宜のために両者は同一であると仮定する。
図7は、隠されたノード及び露出されたノードを説明するための図である。
図7(a)は、隠されたノードに対する例示であり、STA AとSTA Bとが通信中にあり、STA Cが送信する情報を持っている場合である。具体的に、STA AがSTA Bに情報を送信している状況であるにもかかわらず、STA CがSTA Bにデータを送る前にキャリアセンシングを行う際、媒体が遊休状態にあると判断することがある。これは、STA Aの送信(すなわち、媒体占有)をSTA Cの位置ではセンシングできないことがあるためである。このような場合、STA BはSTA AとSTA Cの情報を同時に受け、衝突が発生する。このとき、STA AをSTA Cの隠されたノードということができる。
図7(b)は、露出されたノード(exposed node)に対する例示であり、STA BがSTA Aにデータを送信している状況で、STA CがSTA Dに送信する情報を持っている場合である。この場合、STA Cがキャリアセンシングを行うと、STA Bの送信によって媒体が占有された状態であると判断することができる。そのため、STA CがSTA Dに送信する情報を持っていても、媒体占有状態とセンシングされたため、媒体が遊休状態になるまで待たなければならない。しかし、実際にはSTA AはSTA Cの送信範囲外にあり、STA Cからの送信とSTA Bからの送信とがSTA Aの立場では衝突しないこともあるため、STA CはSTA Bが送信を止めるまで余計に待機したことになる。このとき、STA CをSTA Bの露出されたノードということができる。
図8は、RTSとCTSを説明するための図である。
図7のような例示的な状況で衝突回避(collision voidance)メカニズムを效率的に利用するために、RTS(request to send)とCTS(clear to send)などの短いシグナリングパケット(short signaling packet)を利用することができる。両STA間のRTS/CTSは周囲のSTAがオーバーヒヤリング(overhearing)できるようにし、この周囲のSTAが上記両STA間の情報送信の有無を考慮するようにすることができる。例えば、データを送信しようとするSTAがデータを受けるSTAにRTSフレームを送信すると、データを受けるSTAはCTSフレームを周囲のSTAに送信することによって、自身がデータを受けることを知らせることができる。
図8(a)は、隠されたノード問題を解決する方法に関する例示であり、STA AとSTA CがいずれもSTA Bにデータを送信しようとする場合を仮定する。STA AがRTSをSTA Bに送ると、STA BはCTSを自身の周囲にあるSTA A及びSTA Cの両方に送信する。その結果、STA CはSTA AとSTA Bのデータ送信が終わるまで待機し、衝突を避けることができる。
図8(b)は、露出されたノード問題を解決する方法に関する例示であり、STA AとSTA B間のRTS/CTS送信をSTA Cがオーバーヒヤリングすることによって、STA Cは自身が他のSTA(例えば、STA D)にデータを送信しても衝突が発生しないと判断することができる。すなわち、STA Bは周囲の全STAにRTSを送信し、実際に送るデータを持っているSTA AのみがCTSを送信するようになる。STA Cは、RTSのみを受信し、STA AのCTSは受信できなかったため、STA AがSTA Cのキャリアセンシング外にあるということがわかる。
電力管理
前述したように、無線LANシステムではSTAが送受信を行う前にチャネルセンシングを行わなければならないが、チャネルを常にセンシングすることはSTAの持続的な電力消耗を引き起こす。受信状態での電力消耗は送信状態での電力消耗と大差がないため、受信状態を持続することも、電力の制限された(すなわち、バッテリーによって動作する)STAには大きな負担となる。このため、STAが持続的にチャネルをセンシングするために受信待機状態を維持すると、無線LAN処理率の側面で特別な利点もなく電力を非効率的に消耗することになる。このような問題点を解決するために、無線LANシステムではSTAの電力管理(power management;PM)モードを支援する。
STAの電力管理モードはアクティブ(active)モード及び節電(power save;PS)モードに区別される。STAは基本的にアクティブモードで動作する。アクティブモードで動作するSTAは、アウェイク状態(awake state)を維持する。アウェイク状態は、フレーム送受信やチャネルスキャニングなどの正常動作が可能な状態である。一方、PSモードで動作するSTAは、スリープ状態(sleep state)(又は、ドーズ(doze)状態)とアウェイク状態(awake state)を切り替えながら動作する。スリープ状態で動作するSTAは、最小限の電力で動作し、フレーム送受信もチャネルスキャニングも行わない。
STAがスリープ状態で長く動作するほど電力消耗が減るため、STAの動作期間が増加する。しかし、スリープ状態ではフレーム送受信が不可能なため、無条件に長く動作するわけにはいかない。スリープ状態で動作するSTAがAPに送信するフレームを有すると、アウェイク状態に切り替わってフレームを送信することができる。一方、APがSTAに送信するフレームがある場合、スリープ状態のSTAはそれを受信できないことはもとより、受信するフレームが存在するということも把握できない。したがって、STAは自身に送信されるフレームが存在するか否かを確認するために(また、存在するならそれを受信するために)、特定周期に従ってアウェイク状態に切り替わる動作が必要であろう。
図9は、電力管理動作を説明するための図である。
図9を参照すると、AP 210は、一定の周期でビーコンフレーム(beacon frame)をBSS内のSTAに送信する(S211、S212、S213、S214、S215、S216)。ビーコンフレームには、TIM(Traffic Indication Map)情報要素(Information Element)が含まれる。TIM情報要素は、AP 210が自身と連携されているSTAに対するバッファされたトラフィックが存在し、フレームを送信することを知らせる情報を含む。TIM要素には、ユニキャスト(unicast)フレームを知らせるために用いられるTIMと、マルチキャスト(multicast)又はブロードキャスト(broadcast)フレームを知らせるために用いられるDTIM(delivery traffic indication map)がある。
AP 210は、3回のビーコンフレームを送信する度に1回ずつDTIMを送信することができる。STA1 220及びSTA2 230はPSモードで動作するSTAである。STA1 220及びSTA2 230は、所定の周期のウェイクアップインターバル(wakeup interval)ごとにスリープ状態からアウェイク状態に切り替わり、AP 210によって送信されたTIM要素を受信できるように設定されてもよい。それぞれのSTAは、自身のローカルクロック(local clock)に基づいてアウェイク状態に切り替わる時点を計算することができ、図9の例示ではSTAのクロックがAPのクロックと一致すると仮定する。
例えば、所定のウェイクアップインターバルは、STA1 220がビーコンインターバルごとにアウェイク状態に切り替わってTIM要素を受信できるように設定することができる。このため、STA1 220は、AP 210が最初にビーコンフレームを送信する時(S211)にアウェイク状態に切り替わり得る(S221)。STA1 220は、ビーコンフレームを受信してTIM要素を取得することができる。取得されたTIM要素が、STA1 220に送信されるフレームがあることを示すと、STA1 220は、AP 210にフレーム送信を要請するPS−Poll(Power Save−Poll)フレームをAP 210に送信することができる(S221a)。AP 210は、PS−Pollフレームに対応してフレームをSTA1 220に送信することができる(S231)。フレーム受信を完了したSTA1 220は再びスリープ状態に切り替わって動作する。
AP 210が二番目にビーコンフレームを送信するにあたり、他の装置が媒体にアクセスするなどして媒体が占有された(busy medium)状態であるから、AP 210は、正確なビーコンインターバルに合わせてビーコンフレームを送信できず、遅延された時点に送信してもよい(S212)。この場合、STA1 220はビーコンインターバルに合わせて動作モードをアウェイク状態に切り替えるが、遅延送信されるビーコンフレームを受信できず、再びスリープ状態に切り替わる(S222)。
AP 210が三番目にビーコンフレームを送信する時、当該ビーコンフレームはDTIMと設定されたTIM要素を含むことができる。ただし、媒体が占有された(busy medium)状態であるから、AP 210はビーコンフレームを遅延して送信する(S213)。STA1 220は、ビーコンインターバルに合わせてアウェイク状態に切り替わって動作し、AP 210によって送信されるビーコンフレームからDTIMを取得することができる。STA1 220が取得したDTIMは、STA1 220に送信されるフレームはなく、他のSTAのためのフレームが存在することを示す場合を仮定する。この場合、STA1 220は、自身が受信するフレームがないことを確認し、再びスリープ状態に切り替わって動作することができる。AP 210はビーコンフレーム送信後にフレームを該当のSTAに送信する(S232)。
AP 210は、四番目にビーコンフレームを送信する(S214)。ただし、STA1 220は、その以前の2回にわたるTIM要素の受信から、自身に対するバッファされたトラフィックが存在するという情報が取得できなかったため、TIM要素受信のためのウェイクアップインターバルを調整してもよい。又は、AP 210によって送信されるビーコンフレームにSTA1 220のウェイクアップインターバル値を調整するためのシグナリング情報が含まれた場合、STA1 220のウェイクアップインターバル値が調整されてもよい。本例示で、STA1 220はビーコンインターバルごとにTIM要素受信のために運営状態を切り替えたが、3回のビーコンインターバルごとに1回起床するように運営状態を切り替えるように設定してもよい。したがって、STA1 220は、AP 210が四番目のビーコンフレームを送信し(S214)、五番目のビーコンフレームを送信する時点に(S215)スリープ状態を維持するため、TIM要素を取得することができない。
AP 210が六番目にビーコンフレームを送信する時(S216)、STA1 220はアウェイク状態に切り替わって動作し、ビーコンフレームに含まれたTIM要素を取得することができる(S224)。TIM要素は、ブロードキャストフレームが存在することを示すDTIMであるから、STA1 220はPS−PollフレームをAP 210に送信することなく、AP 210によって送信されるブロードキャストフレームを受信することができる(S234)。一方、STA2 230に設定されたウェイクアップインターバルはSTA1 220に比べて長い周期に設定されてもよい。そのため、STA2 230は、AP 210が五番目にビーコンフレームを送信する時点(S215)にアウェイク状態に切り替わってTIM要素を受信することができる(S241)。STA2 230は、TIM要素から、自身に送信されるフレームが存在することがわかり、フレーム送信を要請するためにAP 210にPS−Pollフレームを送信することができる(S241a)。AP 210は、PS−Pollフレームに対応してSTA2 230にフレームを送信することができる(S233)。
図9のような節電モードの運営のためにTIM要素には、STAに送信されるフレームが存在するか否かを示すTIM、又はブロードキャスト/マルチキャストフレームが存在するか否かを示すDTIMが含まれる。DTIMは、TIM要素のフィールド設定によって具現することができる。
図10乃至図12は、TIMを受信したSTAの動作を詳しく説明するための図である。
図10を参照すると、STAは、APからTIMを含むビーコンフレームを受信するためにスリープ状態からアウェイク状態に切り替わり、受信したTIM要素を解釈して、自身に送信されるバッファされたトラフィックがあることを確認できる。STAは、PS−Pollフレームの送信のための媒体アクセスのために他のSTAと競合(contending)を行った後に、APにデータフレーム送信を要請するためにPS−Pollフレームを送信することができる。STAによって送信されたPS−Pollフレームを受信したAPは、STAにフレームを送信することができる。STAはデータフレームを受信し、それに対する確認応答(ACK)フレームをAPに送信することができる。その後、STAは再びスリープ状態に切り替わってもよい。
図10のように、APは、STAからPS−Pollフレームを受信した後、所定の時間(例えば、SIFS(Short Inter−Frame Space))後にデータフレームを送信する即時応答(immediate response)方式によって動作することができる。一方、APがPS−Pollフレームを受信した後に、STAに送信するデータフレームをSIFS時間の間に準備していない場合には、遅延された応答(deferred response)方式によって動作してもよく、それについて図11を参照して説明する。
図11の例示で、STAがスリープ状態からアウェイク状態に切り替わってAPからTIMを受信し、競合を経てPS−PollフレームをAPに送信する動作は、図10の例示と同一である。APがPS−Pollフレームを受信したが、SIFSの間にデータフレームを準備していない場合、データフレームを送信する代わりにACKフレームをSTAに送信してもよい。APは、ACKフレーム送信後にデータフレームを準備すると、競合を行った後、データフレームをSTAに送信することができる。STAはデータフレームを成功的に受信したことを示すACKフレームをAPに送信する。その後、STAは再びスリープ状態に切り替わってもよい。
図12は、APがDTIMを送信する例示に関するものである。STAはAPからDTIM要素を含むビーコンフレームを受信するためにスリープ状態からアウェイク状態に切り替わってもよい。これらのSTAは、受信したDTIMから、マルチキャスト/ブロードキャストフレームが送信されることがわかる。APは、DTIMを含むビーコンフレームを送信後に、PS−Pollフレームの送受信動作無しで直ちにデータ(すなわち、マルチキャスト/ブロードキャストフレーム)を送信することができる。これらのSTAは、DTIMを含むビーコンフレームを受信してから引き続きアウェイク状態を維持しながらデータを受信し、データ受信が完了した後、再びスリープ状態に切り替わってもよい。
TIM構造
図9乃至図12を参照して上述したTIM(又は、DTIM)プロトコルに基づく節電モード運営方法において、STAは、TIM要素に含まれたSTA識別情報から、自身のために送信されるデータフレームが存在するか否かを確認することができる。STA識別情報は、STAとAPとの連携(association)時にSTAに割り当てられた識別子であるAID(Association Identifier)に関する情報であってよい。
AIDは一つのBSS内ではそれぞれのSTAに対する固有の(unique)識別子として使われる。一例として、現在無線LANシステムにおいてAIDとしては1から2007までのいずれか一つの値を割り当てることができる。現在定義されている無線LANシステムでは、AP及び/又はSTAが送信するフレームにはAIDのために14ビットを割り当てることができ、AID値は16383まで割り当てることができるが、2008〜16383は予備(reserved)値として設定されている。
既存の定義によるTIM要素は、一つのAPに多数(例えば、2007個を超える)のSTAが連携されるM2Mアプリケーションの適用には適していない。既存のTIM構造をそのまま拡張するとTIMビットマップのサイズが過大となるため、既存のフレームフォーマットでは支援することができず、また、低い伝送レートのアプリケーションを考慮するM2M通信に適していない。また、M2M通信では、一つのビーコン周期の間に受信データフレームが存在するSTAの個数は大変少ないと予想される。したがって、このようなM2M通信の適用例を考慮すると、TIMビットマップのサイズは大きくなるが、大部分のビットが0値を有する場合が多く発生すると予想され、よって、ビットマップを效率的に圧縮する技術が要求される。
既存のビットマップ圧縮技術として、ビットマップの先頭部分に連続する0を省略し、オフセット(offset)(又は、開始点)値で定義する方案がある。しかし、バッファされたフレームが存在するSTAの個数は少ないが、それぞれのSTAのAID値の差が大きい場合には圧縮効率が高くない。例えば、AIDが10と2000の値であるただ2つのSTAに送信するフレームのみがバッファされている場合、圧縮されたビットマップの長さは1990であるが、両端を除いてはいずれも0の値を有することになる。一つのAPに連携可能なSTAの個数が少ない場合にはビットマップ圧縮の非効率性があまり問題にならないが、STAの個数が増加すると、このような非効率性が全体システム性能を阻害する要素になりうる。
これを解決するための方案として、AIDを複数のグループに分けてより効果的なデータ送信を行うことを考慮することができる。各グループには、指定されたグループID(GID)が割り当てられる。このようなグループベースで割り当てられるAIDについて図13を参照して説明する。
図13(a)は、グループベースで割り当てられたAIDの一例を示す図である。図13(a)の例示では、AIDビットマップの先頭部におけるいくつかのビットを、GIDを示すために用いることができる。例えば、AIDビットマップにおける先頭の2ビットを用いて4個のGIDを示すことができる。AIDビットマップの全体長がNビットである場合、先頭の2ビット(B1及びB2)の値は当該AIDのGIDを示す。
図13(b)は、グループベースで割り当てられたAIDの他の例を示す図である。図13(b)の例示では、AIDの位置によってGIDを割り当てることができる。このとき、同一のGIDを使用するAIDはオフセット(offset)及び長さ(length)の値で表現することができる。例えば、GID 1がオフセットA及び長さBで表現されると、ビットマップ上でA乃至A+B−1のAIDがGID 1を有するということを意味する。例えば、図13(b)の例示で、全体1乃至N4のAIDが4個のグループに分割されると仮定する。この場合、GID 1に属するAIDは1乃至N1であり、このグループに属するAIDはオフセット1及び長さN1で表現することができる。次に、GID 2に属するAIDをオフセットN1+1及び長さN2−N1+1で表現することができ、GID 3に属するAIDをオフセットN2+1及び長さN3−N2+1で表現することができ、GID 4に属するAIDをオフセットN3+1及び長さN4−N3+1で表現することができる。
このようなグループベースで割り当てられるAIDが導入されると、GIDによって異なる時間区間にチャネルアクセスを許容できるようにすることによって、多数のSTAに対するTIM要素不足の問題を解決すると同時に、効率的なデータの送受信を行うことができる。例えば、特定時間区間では特定グループに該当するSTAにのみチャネルアクセスが許容され、残り他のSTAにはチャネルアクセスが制限(restrict)されてもよい。このように特定STAにのみアクセスが許容される所定の時間区間を、制限されたアクセスウィンドウ(Restricted Access Window;RAW)と呼ぶこともできる。
GIDによるチャネルアクセスについて図13(c)を参照して説明する。図13(c)では、AIDが3個のグループに分けられている場合、ビーコンインターバルによるチャネルアクセスメカニズムを例示的に示す。一番目のビーコンインターバル(又は、一番目のRAW)は、GID 1に属するAIDに該当するSTAのチャネルアクセスが許容される区間であり、他のGIDに属するSTAのチャネルアクセスは許容されない。これを具現するために、一番目のビーコンにはGID 1に該当するAIDのみのためのTIM要素が含まれる。二番目のビーコンフレームにはGID 2を有するAIDのみのためのTIM要素が含まれ、これによって二番目のビーコンインターバル(又は、二番目のRAW)の間には、GID 2に属するAIDに該当するSTAのチャネルアクセスのみが許容される。三番目のビーコンフレームには、GID 3を有するAIDのみのためのTIM要素が含まれ、これによって三番目のビーコンインターバル(又は、三番目のRAW)の間には、GID 3に属するAIDに該当するSTAのチャネルアクセスのみが許容される。四番目のビーコンフレームには再びGID 1を有するAIDのみのためのTIM要素が含まれ、これによって四番目のビーコンインターバル(又は、四番目のRAW)の間には、GID 1に属するAIDに該当するSTAのチャネルアクセスのみが許容される。続いて、五番目以降のビーコンインターバル(又は、五番目以降のRAW)のそれぞれにおいても、当該ビーコンフレームに含まれたTIMで示す特定グループに属したSTAのチャネルアクセスのみが許容されてもよい。
図13(c)では、ビーコンインターバルによって許容されるGIDの順序が循環的又は周期的である例示を示しているが、これに制限されることはない。すなわち、TIM要素に特定GIDに属するAIDのみを含めることによって、特定時間区間(例えば、特定RAW)の間に、これら特定AIDに該当するSTAのみのチャネルアクセスを許容し、残りのSTAのチャネルアクセスは許容しない方式で動作してもよい。
前述したようなグループベースAID割当て方式は、TIMの階層的(hierarchical)構造と呼ぶこともできる。すなわち、全体AID空間を複数個のブロックに分割し、0以外の値を持つ特定ブロックに該当するSTA(すなわち、特定グループのSTA)のチャネルアクセスのみが許容されるようにすることができる。これによって、大きいサイズのTIMを小さいブロック/グループに分割して、STAがTIM情報を維持しやすくし、STAのクラス、サービス品質(QoS)、又は用途によってブロック/グループが管理しやすくなる。図13の例示では2−レベルの階層を示しているが、2つ以上のレベルの形態で階層的構造のTIMが構成されてもよい。例えば、全体AID空間を複数個のページ(page)グループに分割し、それぞれのページグループを複数個のブロックに区別し、それぞれのブロックを複数個のサブ−ブロックに分割することができる。このような場合、図13(a)の例示の拡張として、AIDビットマップにおいて先頭のN1個のビットはページID(すなわち、PID)を示し、その次のN2個のビットはブロックIDを示し、その次のN3個のビットはサブ−ブロックIDを示し、残りのビットがサブ−ブロック内のSTAビット位置を示す方式で構成されてもよい。
以下に説明する本発明の例示において、STA(又は、それぞれのSTAに割り当てられたAID)を所定の階層的なグループ単位に分割して管理する様々な方式が適用されてもよく、グループベースAID割当て方式が上記の例示に制限されるものではない。
フレーム構造
図14は、IEEE 802.11システムで用いられるフレーム構造の一例を説明するための図である。
PPDU(Physical Layer Convergence Protocol(PLCP)Packet Data Unit)フレームフォーマットは、STF(Short Training Field)、LTF(Long Training Field)、SIG(SIGNAL)フィールド、及びデータ(Data)フィールドで構成することができる。最も基本的な(例えば、non−HT(High Throughput))PPDUフレームフォーマットは、L−STF(Legacy−STF)、L−LTF(Legacy−LTF)、SIGフィールド及びデータフィールドのみで構成することができる。また、PPDUフレームフォーマットの種類(例えば、HT−mixedフォーマットPPDU、HT−greenfieldフォーマットPPDU、VHT(Very High Throughput)PPDUなど)によって、SIGフィールドとデータフィールドとの間に追加の(又は、他の種類の)STF、LTF、SIGフィールドを含めることもできる。
STFは、信号検出、AGC(Automatic Gain Control)、ダイバーシティ選択、精密な時間同期などのための信号であり、LTFは、チャネル推定、周波数誤差推定などのための信号である。STFとLTFを合わせてPCLPプリアンブル(preamble)と称することができ、PLCPプリアンブルは、OFDM物理層の同期化及びチャネル推定のための信号ということができる。
SIGフィールドは、RATEフィールド及びLENGTHフィールドなどを含むことができる。RATEフィールドは、データの変調及びコーディングレートに関する情報を含むことができる。LENGTHフィールドは、データの長さに関する情報を含むことができる。さらに、SIGフィールドは、パリティ(parity)ビット、SIG TAILビットなどを含むことができる。
データフィールドは、SERVICEフィールド、PSDU(PLCP Service Data Unit)、PPDU TAILビットを含むことができ、必要時には埋め草ビット(padding bit)も含むことができる。SERVICEフィールドの一部ビットは、受信端らおけるデスクランブラの同期化のために用いることができる。PSDUは、MAC層で定義されるMAC PDU(Protocol Data Unit)に対応し、上位層で生成/利用されるデータを含むことができる。PPDU TAILビットは、エンコーダを0状態にリターンするために用いることができる。埋め草ビットは、データフィールドの長さを所定の単位に合わせるために用いることができる。
MACヘッダーは、フレーム制御(Frame Control)フィールド、期間(Duration)/IDフィールド、アドレス(Address)フィールドなどを含む。フレーム制御フィールドは、フレーム送信/受信に必要な制御情報を含むことができる。期間/IDフィールドは、当該フレームなどを送信するための時間に設定することができる。MACヘッダーのSequence Control、QoS Control、HT Controlサブフィールドの具体的な内容は、IEEE 802.11−2012標準文書を参照すればよい。
MACヘッダーのフレーム制御フィールドは、Protocol Version、Type、Subtype、To DS、From DS、More Fragment、Retry、Power Management、More Data、Protected Frame、Orderサブフィールドを含むことができる。フレーム制御フィールドのそれぞれのサブフィールドの内容は、IEEE 802.11−2012標準文書を参照すればよい。
一方、ヌル−データパケット(NDP)フレームフォーマットは、データパケットを含まない形態のフレームフォーマットを意味する。すなわち、NDPフレームは、一般的なPPDUフォーマットにおいてPLCPヘッダー部分(すなわち、STF、LTF及びSIGフィールド)のみを含み、残り部分(すなわち、データフィールド)は含まないフレームフォーマットを意味する。NDPフレームは、短い(short)フレームフォーマットと呼ぶこともできる。
S1Gフレームフォーマット
M2M、IoT(Internet of Things)、スマートグリッドなどのアプリケーションを支援するためには長距離(long range)、低電力(low power)通信が要求される。そのために、1GHz以下(Sub 1GHz;S1G)周波数帯域(例えば、902−928MHz)で1MHz/2MHz/4MHz/8MHz/16MHzチャネル帯域幅(channel bandwidth)を用いる通信プロトコルを使用することが議論されている。
S1G PPDUフォーマットとして、3種類のフォーマットが定義される。S1G 2MHz以上の帯域幅で使われる短いフォーマット、S1G 2MHz以上の帯域幅で使われる長いフォーマット、及びS1G 1MHz帯域幅で使われるフォーマットがある。
図15は、S1G 1MHzフォーマットの一例を示す図である。
S1G 1MHzフォーマットは、1MHz PPDU SU(Single User)送信のために用いることができる。
図15のS1G 1MHzフォーマットは、IEEE 802.11nで定義されるGreen−fieldフォーマットと同様に、STF、LTF1、SIG、LTF2−LTFN、Dataフィールドで構成され、但し、Green−fieldフォーマットに比べて、プリアンブル部分の送信時間が反復によって2倍以上増加した形態と理解すればよい。
図15のSTFフィールドは、2MHz以上の帯域幅に対するPPDUにおけるSTF(2シンボル長)と同一の周期(same periodicity)を有するが、時間上で2回反復(rep2)技法が適用されて4シンボル長(例えば、160μs)を有する。また、このSTFフィールドには3dB電力ブースティングを適用することができる。
図15のLTF1フィールドは、2MHz以上の帯域幅に対するPPDUにおけるLTF1フィールド(2シンボル長)と周波数ドメインで直交するよう設計され、時間上で2回反復されて4シンボル長を有することができる。LTF1フィールドは、DGI(Double Guard Interval)、LTS(Long Training Sequence)、LTS、GI(Guard Interval)、LTS、GI、LTSを含むことができる。
図15のSIGフィールドは、反復コーディングすることができ、最も低いMCS(Modulation and Coding Scheme)(すなわち、BPSK(Binary Phase Shift Keying))と反復コーディング(rep2)が適用され、レートが1/2となるように構成し、6シンボル長と定義することができる。
図15のLTF2フィールド〜LTFNLTFフィールドは、MIMOの場合に含めることができ、それぞれのLTFフィールドが1シンボル長を有することができる。
図16は、S1G 2MHz以上短いフォーマットの一例を示す図である。
S1G 2MHz以上短いフォーマット(S1G greater than or equal to 2MHz short format)は、2MHz、4MHz、8MHz及び16MHz PPDUを使うSU送信のために用いることができる。
図16のSTFフィールドは、2シンボル長を有することができる。
図16のLTF1フィールドは、2シンボル長を有することができ、DGI、LTS、LTSを含むことができる。
図16のSIGフィールドは、MCSとしてQPSK(Quadrature PSK)、BPSKなどを適用することができ、2シンボルの長さを有することができる。
図16のLTF2フィールド〜LTFNLTFフィールドは、それぞれ、1シンボル長を有することができる。
図17は、S1G 2MHz以上長いフォーマットの一例を示す図である。
S1G 2MHz以上長いフォーマット(S1G greater than or equal to 2MHz long format)は、2MHz、4MHz、8MHz及び16MHzのPPDUを使うMU送信及びSUビームフォーミングされた(beamformed)送信のために用いることができる。S1G 2MHz以上長いフォーマットは、全方向に送信されるオムニ部分(omni portion)とビームフォーミング(beamforming)が適用されるデータ部分とを含むことができる。
図17のSTFフィールドは、2シンボル長を有することができる。
図17のLTF1フィールドは、2シンボル長を有することができ、DGI、LTS、LTSを含むことができる。
図17のSIG−A(SIGNAL−A)フィールドは、MCSとしてQPSK、BPSKなどを適用することができ、2シンボル長を有することができる。
図17のD−STF(Short Training field for Data)フィールドは、1シンボル長を有することができる。
図17のD−LTF(Long Training field for Data)フィールド、すなわち、D−LTF1フィールド乃至D−LTFNLTFフィールドは、それぞれ、1シンボル長を有することができる。
図17のSIG−B(SIGNAL−B)フィールドは、1シンボル長を有することができる。
1MHzチャネル帯域幅及び2MHz以上チャネル帯域幅を支援するBSSにおけるチャネルアクセスメカニズム
本発明では、1MHzチャネル帯域幅及び2MHz以上チャネル帯域幅を支援するBSSにおけるチャネルアクセスメカニズム、特に、バックオフメカニズムについて提案する。
BSSに属したSTAは、プライマリチャネル(primary channel)を用いてバックオフメカニズムを行う。すなわち、プライマリチャネル上でCCAなどを行って、該当のチャネル(又は、媒体)が遊休状態であるか否かを判断することができる。プライマリチャネルは、BSSの構成員であるSTAの全てに対する共通チャネルと定義されるものであり、ビーコンなどの基本的な信号送信のために用いることができる。また、プライマリチャネルは、データユニット(例えば、PPDU)の送信のために基本的に用いられるチャネルと表現することもできる。一方、STAがデータ送信のために用いるチャネル幅がプライマリチャネルの大きさよりも大きい場合、当該チャネル内でプライマリチャネル以外のチャネルをセカンダリチャネル(secondary channel)と呼ぶ。
従来の無線LANシステムではプライマリチャネルの帯域幅の大きさが一つしか存在しないが、発展した無線LANシステムでは、プライマリチャネルが、STAのケーパビリティ(capability)によって2種類の異なったチャネル帯域幅を有することができる。本発明では、このような多重チャネル環境におけるバックオフメカニズムについて提案する。
例えば、センサー(sensor)タイプSTAの場合は、具現の複雑度を減らすために1MHz又は2MHzチャネル帯域幅(のみ)を支援することができる。しかし、IoT、M2MタイプのSTAの場合は、より高い処理率(throughput)が要求され、これを支援するために2MHz、4MH,8MHz又は16MHzチャネル帯域幅(のみ)を支援することができる。
本発明では、1MHz又は2MHzチャネル帯域幅を支援するSTAを低いレート(Low Rate;LR)STAと称し、2MHz、4MHz、8MHz又は16MHzチャネル帯域幅を支援するSTAを、高いレート(High Rate;HR)STAと称する。また、LR STAのプライマリチャネルは1MHzチャネル帯域幅を有し、HR STAのプライマリチャネルは2MHzチャネル帯域幅を有すると仮定する。
以下、このようにプライマリチャネルがSTAのケーパビリティによって2種類のチャネル帯域幅を有する多重チャネル環境で、本発明で提案するSTAのバックオフメカニズムについて詳しく説明する。
APは、ビーコンフレームなどを用いてLR STAが用いるプライマリチャネルを指定することができ、これを本発明では第1プライマリチャネルと称する。また、APは、HR STAが用いるプライマリチャネルを指定することができ、これを本発明では第2プライマリチャネルと称する。例えば、第1プライマリチャネルは、1MHz帯域幅を有するプライマリチャネルに該当し、第2プライマリチャネルは、2MHz帯域幅を有するプライマリチャネルに該当する。
図18は、S1G動作要素(operation element)の例示的なフォーマットを示す図である。
図18のS1G動作要素は、ビーコンフレーム又はプローブ応答フレームなどを用いて、BSSに属したSTAに伝達することができる。これによって、S1G BSSのチャネルセットを設定することができる。
S1G動作要素フォーマットは、要素ID(element ID)フィールド、長さ(length)フィールド、S1G動作情報(Operation Information)フィールド、及び基本S1G−MCS及びNSSセット(Basic S1G−MCS and NSS(Number of Spatial Stream)set)フィールドを含むことができる。
S1G動作要素の要素IDフィールドは、当該情報要素がS1G動作要素であることを示す値に設定することができる。
S1G動作要素の長さフィールドは、続くフィールドの長さを示す値に設定することができる。
S1G動作要素のS1G動作情報フィールドは、チャネル幅(Channel Width)フィールド及びプライマリチャネル番号(Primary Channel Number)フィールドを含むことができる。
例えば、チャネル幅フィールドのビット0乃至ビット5(B0−B5)は、1、2、4、8又は16MHzのいずれか一つを示す値に設定することができる。次に、チャネル幅フィールドのビット6及びビット7(B6−B7)は、第1プライマリチャネルの位置(location)を示す値に設定することができる。例えば、00は、第1プライマリチャネルがないこと(no first primary channel)を示すことができる。01は、第2プライマリチャネル上の低い側(lower side)を、10は、第2プライマリチャネル上の高い側(upper side)を示すことができる。11は、留保(reserved)を示すことができる。
又は、チャネル幅フィールドのB0−B5を次のように構成することもできる。B0は、S1G BSSが1MHz PPDU送信を許容する場合に1に設定することができる。B1は、S1G BSSが2MHz PPDU送信を許容する場合に1に設定することができる。B2は、S1G BSSが4MHz PPDU送信を許容する場合に1に設定することができる。B3は、S1G BSSが8MHz PPDU送信を許容する場合に1に設定することができる。B4は、S1G BSSが16MHz PPDU送信を許容する場合に1に設定することができる。B5は、1MHzプライマリチャネルの位置を示すことができる(例えば、B5が0に設定されると、2MHzプライマリチャネル上の低い側を示し、B5が1に設定されると、2MHzプライマリチャネル上の高い側を示す)。
ここで、第1プライマリチャネルは第2プライマリチャネルの一部に該当する。すなわち、第1プライマリチャネルは第2プライマリチャネル上に存在する。また、第1プライマリチャネルのチャネル帯域幅は、第2プライマリチャネルのチャネル帯域幅よりも小さい。例えば、第2プライマリチャネル(又は、プライマリ2MHzチャネル)は第1プライマリチャネル(又は、プライマリ1MHzチャネル)を含み、第1プライマリチャネルは、第2プライマリチャネルの2MHz帯域幅のうち、高い周波数側の1MHz又は低い周波数側の1MHzのいずれかに位置することができる。
プライマリチャネル番号フィールドは、第2プライマリチャネルのチャネル番号を示す値に設定することができる。
このように、S1G動作情報フィールド内のチャネル幅フィールド及びプライマリチャネル番号フィールドによって、第2プライマリチャネル及び第1プライマリチャネル(存在する場合)の周波数上における位置を特定することができる。
S1G動作要素の基本S1G−MCS及びNSSセットは、1個のSS(Spatial Stream)に対する最大S1G−MCS(Max S1G−MCS for 1SS)フィールド、2個のSSに対する最大S1G−MCS(Max S1G−MCS for 2SS)フィールド、3個のSSに対する最大S1G−MCS(Max S1G−MCS for 3SS)フィールド、及び4個のSSに対する最大S1G−MCS(Max S1G−MCS for 4SS)フィールドを含むことができる。N(N=1、2、3、又は4)個のSSに対する最大S1G−MCSフィールドは、N個の空間ストリーム(SS)に対して最大限に支援されるMCSのインデックスを示す値に設定することができる。
図18を参照して説明したS1G動作要素を用いて、APは、次の3つの形態のBSSを支援することができる。
第一に、LR STAのみで構成されるBSSを支援することができる。この場合、図18のS1G動作要素において、チャネル幅フィールドのB6−B7ビットを01又は10のいずれかに制限することができる。すなわち、LR STAが使用する第1プライマリチャネルの位置を第2プライマリチャネル上の低い側又は高い側のいずれか一側に設定することによって第1プライマリチャネルの位置を特定することができる。
第二に、HR STAのみで構成されるBSSを支援することができる。この場合、図18のS1G動作要素において、チャネル幅フィールドのB6−B7ビットを00に制限することができる。すなわち、LR STAのための第1プライマリチャネルは設定されず(又は、存在せず)、1MHz PPDU送信が当該BSSでは支援されないことを意味することができる。
第三に、LR STAとHR STAが共存するBSSを支援することができる。この場合、図18のS1G動作要素においてチャネル幅フィールドのB6−B7ビットを00、01又は11に設定することができる。
前述したように、あるBSSにおいてプライマリチャネルの帯域幅が1MHz及び/又は2MHzに設定される場合、当該BSSに属したSTAのバックオフ過程について以下に説明する。
基本的に、STAは、プライマリチャネル上でバックオフ過程を行ってバックオフカウント値(又は、バックオフタイマー)が0に到達すると、当該時点を基準にセカンダリチャネルの遊休/占有(idle/busy)状態を確認し、送信帯域幅を決定することができる。
例えば、HR STAのみで構成されるBSSのように第1プライマリチャネルが設定されない場合、STAは、第2プライマリチャネル(又は、プライマリ2MHzチャネル)上でバックオフ過程を作動(invoke)させることができる。バックオフスロットの間に第2プライマリチャネル上でチャネルが遊休状態であると、STAはバックオフタイマーを1ずつ減少させ、バックオフタイマーが0に到達すると、セカンダリチャネルが遊休状態であるか否かを確認することができる。すなわち、バックオフタイマーが0に到達すると、STAはセカンダリ2MHzチャネル、セカンダリ4MHzチャネル又はセカンダリ8MHzチャネルに対するCCAを行うことができる。セカンダリチャネルに対するCCA結果に基づき、STAは、遊休状態であるセカンダリチャネルを含めてPPDU(例えば、2、4、8、又は16MHz PPDU)送信を行うことができる。
例えば、LR STAのみで構成されるBSSのように第1プライマリチャネルが設定された場合、STAは、第1プライマリチャネル(又は、プライマリ1MHzチャネル)上でバックオフ過程を作動させることができる。バックオフスロットの間に第1プライマリチャネル上でチャネルが遊休状態であると、STAはバックオフタイマーを1ずつ減少させ、バックオフタイマーが0に到達すると、セカンダリチャネルが遊休状態であるか否かを確認することができる。すなわち、バックオフタイマーが0に到達すると、STAは、セカンダリ1MHzチャネル、セカンダリ2MHzチャネル、セカンダリ4MHzチャネル又はセカンダリ8MHzチャネルに対するCCAなどを行うことができる。セカンダリチャネルに対するCCA結果に基づき、STAは、遊休状態であるセカンダリチャネルを含めてPPDU(例えば、1、2、4、8、又は16MHz PPDU)送信を行うことができる。
以下、セカンダリチャネルについてより詳しく説明する。
APは、ビーコンフレームなどを用いて、LR STAが使用するセカンダリチャネルを指定することができる。これを本発明では第1セカンダリチャネルと称する。また、APは、HR STAが使用するセカンダリチャネルを指定することができる。これを本発明では第2セカンダリチャネルと称する。
第1セカンダリチャネルは第2プライマリチャネルの一部に該当する。第2セカンダリチャネルは複数個であってもよく、それぞれ異なるチャネル帯域幅を有することができる。
図19は、プライマリチャネルとセカンダリチャネルとの関係を説明するための図である。
第1プライマリチャネル及び第1セカンダリチャネルは、第2プライマリチャネルの一部に該当する。第2セカンダリチャネルは一つのみ設定されてもよく、複数個が設定されてもよい。複数個の第2セカンダリチャネルが設定される場合、第2セカンダリチャネルは、それぞれ異なったチャネル帯域幅(例えば、ChannelBandwidth1及びChannelBandwidth2)を有することができる。
第1プライマリチャネル及び第1セカンダリチャネルを結合(bonding)したチャネルが第2プライマリチャネルと同一になる場合には、APは、第1プライマリチャネル番号、第2プライマリチャネル番号、第2セカンダリチャネル番号のみをSTAに知らせ、第1セカンダリチャネル番号は省略してもよい。
図19のようにプライマリチャネル及びセカンダリチャネルが設定される場合におけるバックオフ過程について例示的に説明する。
LR STAは、第1プライマリチャネル上でチャネルアクセスを行うことができる。例えば、LR STAは第1プライマリチャネル上でチャネルの遊休/占有状態を判断し、それに基づいてバックオフメカニズムを作動させることができる。バックオフスロットの間に第1プライマリチャネルが遊休状態である場合には、STAはバックオフタイマーを1だけ減少させ、そうでない場合にはバックオフタイマーを止める(freeze)(すなわち、減少させず、以前のバックオフカウント値を維持する)。
HR STAは、第2プライマリチャネル上でチャネルアクセスを行うことができる。例えば、HR STAは、第2プライマリチャネル上でチャネルの遊休/占有状態を判断し、それに基づいてバックオフメカニズムを作動させることができる。バックオフスロットの間に第2プライマリチャネルが遊休状態である場合には、STAはバックオフタイマーを1たけ減少させ、そうでない場合にはバックオフタイマーを止める(すなわち、減少させず、以前のバックオフカウント値を維持する)。
ここで、STAが第2プライマリチャネル上でチャネルセンシングを行う場合、第2プライマリチャネルに属する第1プライマリチャネル又は第1セカンダリチャネルのいずれか一方でも他のSTAのチャネル使用がセンシングされると、第2プライマリチャネル自体が占有中(busy)であると判断しなければならない。
図20は、STAのバックオフ過程の例示を説明するための図である。
図20(a)はLR STAのバックオフ過程を、図20(b)はHR STAのバックオフ過程を例示する。図20(a)及び図20(b)の例示で、LR STAとHR STAが同一の時点にバックオフを始め、バックオフタイマー値はそれぞれ7及び5を選択したと仮定する。
図20(a)のLR STAの場合、第1プライマリチャネル上でのみチャネルセンシングを行い、その結果に基づいてバックオフ過程を行ってバックオフタイマーを7,6,5,4,3,2,1へと減少させて行く。第1セカンダリチャネルが他のBSSの通信によって占有中(Busy)の状態であったが、LR STAが第1プライマリチャネル上でチャネルセンシングを行うことから、第1セカンダリチャネルの使用に関係なくバックオフタイマーは0に到達する。これによって、STAは、送信機会(transmission opportunity;TXOP)を開始(begin)することが許容され、データフレームの送信を行うことができる。ただし、バックオフタイマーが0に到達した時点で第1セカンダリチャネルの状態が占有中であるから、LR STAは第1セカンダリチャネルをデータフレーム送信のために用いることができず、第1プライマリチャネルのみを用いてデータフレーム(すなわち、1MHzチャネル帯域幅を使用するPPDUフレーム)の送信を行うことができる。その後、LR STAはAPからACKフレームを受信することができる。
LR STAは追加のデータを送るためにバックオフ過程をさらに行うことができる。任意バックオフタイマー値として5を選択したLR STAは、第1プライマリチャネル上でチャネルが遊休状態である間にバックオフタイマーを5,4,3へと減少させる。この時点で、HR STAのデータフレーム送信によって第1プライマリチャネルの状態が占有中となる。このため、LR STAはバックオフタイマーのカウントダウンを止める。その後、HR STAのデータフレーム送信及びACKフレーム受信が完了すると、LR STAは、第1プライマリチャネルが遊休中である間にバックオフ過程を再開してバックオフタイマー値を2,1へと減少させ、これでバックオフタイマー値が0に到達する。STAは、バックオフタイマー値が0になると、送信機会(TXOP)の開始が許容されたと判断し、データフレームを送信することができる。バックオフタイマーが0に到達した時点で第1セカンダリチャネルの状態が遊休状態であるから、LR STAは第1プライマリチャネル及び第2セカンダリチャネルの両方を用いてデータフレーム(すなわち、2MHzチャネル帯域幅を使用するPPDUフレーム)を送信することができる。
図20(b)のHR STAの場合、第2プライマリチャネル上でチャネルセンシングを行い、その結果に基づいてバックオフ過程を行ってバックオフタイマーを5,4へと減少させて行く。この時点で第2プライマリチャネルの一部分(すなわち、第1セカンダリチャネルに該当する部分)が他のLR STAによって使用されてチャネル状態が占有中になると、HR STAはバックオフタイマーのカウントダウンを止める。第2プライマリチャネルの一部分(すなわち、第1セカンダリチャネルに該当する部分)のチャネル状態が遊休状態になっても、第2プライマリチャネルの他の部分(すなわち、第1プライマリチャネルに該当する部分)が占有中であれば、第2プライマリチャネル自体が占有中であると判断される。このため、第2プライマリチャネルのいずれの部分でもチャネルが占有中でない状態になると(すなわち、第2プライマリチャネルの全体が遊休状態になると)、HR STAはバックオフタイマーのカウントダウンを再開してその値を3,2,1に減少させて行く。バックオフタイマーが0に到達すると、送信機会(TXOP)の開始が許容されたと判断し、HR STAはデータフレームを送信することができる。ここで、第2セカンダリチャネルが遊休状態であるから、HR STAは、第2プライマリチャネル及び第2セカンダリチャネルの両方を用いてデータフレーム(すなわち、4MHz PPDUフレーム)を送信することができる。
図20の例示から、LR STAがHR STAに比べて送信機会(TXOP)を得る確率が高いということがわかる。すなわち、LR STAとHR STAがそれぞれ第1プライマリチャネルと第2プライマリチャネルを用いてバックオフ過程を行うが、一般に、第2プライマリチャネル全体が遊休状態である確率が第1プライマリチャネルが遊休状態である確率よりも低いため、HR STAはLR STAに比べてバックオフカウントを減少させる動作を行う機会が少なくなり、結果としてHR STAはLR STAに比べて送信機会(TXOP)を得る確率も低くなる。すなわち、LR STAとHR STAのチャネルアクセスにおける公平性(fairness)が崩れるという問題が発生する。
このような問題を解決するために、LR STAもHR STAも第1プライマリチャネル上でのみバックオフを行うようにすることを考慮することができる。例えば、LR STA及びHR STAの両方が第1プライマリチャネルに対する受信ケーパビリティのみを支援するようにし、LR STA及びHR STAのバックオフメカニズムも、第1プライマリチャネルでのみ行うように制限することができる。
例えば、1MHz、2MHz、4MHz、8MHz、16MHzチャネル帯域幅を支援するBSSにおいて、LR STA及びHR STAが共通に1MHz伝送に対する受信ケーパビリティを支援し、1MHzチャネルでバックオフメカニズムを共通に行う。1MHzチャネル上でのみチャネルセンシングを行い、これによってバックオフ過程を行ってバックオフタイマーが0に到達すると、該当のSTA(すなわち、LR STAかHR STAかにかかわらず)は、送信機会(TXOP)の開始が許容されたと判断し、データを送信することができる。ここで、バックオフカウントダウン中にセカンダリチャネルの状態が遊休/占有中であるかにかかわらず、該当のSTAのバックオフタイマーが0に到達した後のセカンダリチャネルの遊休/占有状態によって、1MHz、2MHz、4MHz、8MHz又は16MHz PPDUフレームの送信を決定することができる。また、STAの送信ケーパビリティによって、バックオフタイマーが0に到達した後に送信されるデータフレームの帯域幅を制限することもできる。
すなわち、LR STA及びHR STAの両方とも第1プライマリチャネルを用いてバックオフメカニズムを行い、バックオフタイマーが0に到達したSTAの送信ケーパビリティと、第1セカンダリチャネル、第2セカンダリチャネルの遊休/占有状態によって、データ送信の送信帯域幅が決定される。
ただし、このような動作方式によれば、第1プライマリチャネル(すなわち、プライマリ1MHzチャネル)のみを用いたデータ送信が支援されないHR STAの場合には(HR STAは、データ送信のために少なくとも第2プライマリチャネル(すなわち、プライマリ2MHzチャネル)を使用しなければならないことから)、送信機会(TXOP)の開始が許容されても(又は、バックオフタイマーが0に到達しても)、仮に全てのセカンダリチャネルが占有中であり、第1プライマリチャネルのみが遊休状態であると、データ送信を行うことができない状況が発生する。
この場合、HR STAがバックオフ過程を再び行うようにすることができる。ここで、再び行われるバックオフ過程は、衝突によって新しいバックオフ過程が作動される場合とは違い、競合ウィンドウ値を2倍に増加させないで以前の値をそのまま維持し、再送信カウントも変更しない状態で行われるようにすることができる。
しかし、このような方式によれば、LR STAとHR STAのチャネルアクセスの公平性を提供することはできるとしても、HR STAがバックオフカウントダウンを成功的に完了した場合にもチャネルアクセスを行うことができない非効率性の問題が依然として発生しうる。
一方、図20の上記の例示のように、LR STAとHR STAのチャネルアクセスにおける公平性が崩れる問題を解決するための他の方案として、LR STA及びHR STAが両方とも共通に第2プライマリチャネルに対する受信ケーパビリティを支援するようにし、LR STA及びHR STAのバックオフメカニズムも第2プライマリチャネルでのみ進行するように制限することもできる。
例えば、1MHz、2MHz、4MHz、8MHz、16MHzチャネル帯域幅を支援するBSSにおいて、LR STA及びHR STAの両方とも共通に2MHz伝送に対する受信ケーパビリティを支援し、2MHzチャネルでバックオフメカニズムを共通に行う。2MHzチャネル上でのみチャネルセンシングを行い、それによってバックオフ過程を行って送信機会(TXOP)の開始が許容されると(又は、バックオフタイマーが0に到達すると)、該当のSTA(すなわち、LR STAかHR STAかにかかわらず)はデータを送信することができる。ここで、バックオフタイマーが0に到達した場合には、第1プライマリチャネル、第1セカンダリチャネル、第2プライマリチャネルの遊休/占有状態によって、1MHz又は2MHz PPDUフレームの送信を行うことができる。また、バックオフカウントダウン中に第2セカンダリチャネルの状態が遊休/占有中であるかにかかわらず、該当のSTAのバックオフタイマーが0に到達した後の第2セカンダリチャネルの遊休/占有状態によって、4MHz、8MHz又は16MHz PPDUフレームの送信を決定することができる。また、STAの送信ケーパビリティによって、バックオフタイマーが0に到達した後に送信されるデータフレームの帯域幅を制限することもできる。
すなわち、LR STA及びHR STAの両方とも第2プライマリチャネルを用いてバックオフメカニズムを行い、送信機会(TXOP)の開始が許容される(又は、バックオフタイマーが0に到達した)STAの送信ケーパビリティと、第1プライマリチャネル、第1セカンダリチャネル、第2セカンダリチャネルの遊休/占有状態によって、データ送信の送信帯域幅が決定される。
このような方式によれば、LR STAとHR STAのチャネルアクセスの公平性を提供することはできる。しかし、仮に第1プライマリチャネルは遊休状態であり、第1セカンダリチャネルが占有状態である場合には、1MHz PPDUフレームを送信しようとするLR STAまで、第2プライマリチャネルが占有中であるという理由で、バックオフカウントダウンを続けることができない。結局、このような場合には、遊休状態の第1プライマリチャネルの活用を防ぐ結果となり、全体システム観点で帯域幅活用の効率性が低下する問題が発生しうる。
前述した問題を解決するために、本発明では、LR STAが第1プライマリチャネルを用いてバックオフ過程を行い、その結果として送信機会(TXOP)の開始が許容される場合に(又は、バックオフタイマーが0に到達した後に)、第2セカンダリチャネルが遊休状態である場合にも、第2セカンダリチャネルを使用することを許容せず、第1プライマリチャネルのみを用いてデータ送信を行うように制限することを提案する。
言い換えると、第1プライマリチャネルと第1セカンダリチャネルを結合(bonding)したチャネルが第2プライマリチャネルと同一である場合において、第1プライマリチャネル上でバックオフ過程を行い、その結果として送信機会(TXOP)の開始が許容されるとき(又は、バックオフタイマーが0に到達した後に)、第2プライマリチャネル上でデータを送信することは禁止し、第1プライマリチャネル上でのデータ送信は許容する。これは、HR STAが第2プライマリチャネル上でデータを送信するために第2プライマリチャネルでバックオフ過程を行う場合と比較して、LR STAとHR STA間の公平性の問題を解決するための最小限の措置であるといえる。
これは、LR STAが第1プライマリチャネル及び第1セカンダリチャネルの両方を用いて(すなわち、第2プライマリチャネル上で)データを送信しようとする場合には、第1プライマリチャネル上でのみバックオフ過程を行うのではなく、初めから第2プライマリチャネル上でバックオフ過程を行わなければならないことと理解することもできる。
図21は、本発明の提案によるSTAのバックオフ過程の一例を説明するための図である。
図21の例示のように、LR STAが第1プライマリチャネル及び第1セカンダリチャネルの両方を用いてデータ(又は、2MHz以上のチャネル帯域幅を使用するPPDU)を送信しようとする場合には、第1プライマリチャネル及び第2セカンダリチャネルの両方とも遊休状態である場合にのみバックオフタイマー値を1ずつ減少させて行くことができる。
仮に、あるSTAがLR STA及びHR STAのケーパビリティを全て有する(例えば、1MHz、2MHz、4MHz、8MHz、又は16MHzチャネル帯域幅上での送信を全て支援する)とすれば、このようなSTAが1MHzチャネル上でバックオフ過程を行い、その結果として送信機会(TXOP)の開始が許容されても(又は、バックオフタイマーが0に到達しても)、2MHz、4MHz、8MHz、16MHzチャネル上でデータ送信を行うことはできない。すなわち、第1プライマリチャネルでバックオフメカニズムを行った後、第2プライマリチャネル、第2セカンダリチャネルを用いてデータを送信することは禁止される。
要するに、STAが第1プライマリチャネル上でバックオフ過程を行った場合には、第1プライマリチャネルのみを用いてデータ(又は、1MHzチャネル帯域幅を使用するPPDU)を送信する動作のみが定義される。仮に、STAが第1プライマリチャネル及び第1セカンダリチャネル(すなわち、第2プライマリチャネル)上でバックオフ過程を行った場合には、送信機会(TXOP)の開始が許容されると(又は、バックオフタイマーが0に到達した後に)、第2セカンダリチャネルのチャネル状態によって、第2プライマリチャネルのみを用いてデータフレームを送信したり(又は、2MHzチャネル帯域幅を使用するPPDUフレーム送信を行ったり)、又は第2プライマリチャネルと第2セカンダリチャネルの両方を用いてデータフレームを送信する(又は、4MHzチャネル帯域幅を使用するPPDUフレーム送信を行う)ことができる。
また、図20及び図21の例示では、STAが最大4MHz帯域幅のデータユニット(又は、PPDU)を送信する場合を示しているが、これに制限されず、図19のように最大8MHz帯域幅のPPDU又はそれ以上のチャネル帯域幅を有するPPDUを送信する場合にも、本発明の原理をそのまま適用することができる。例えば、第1プライマリチャネル(又は、1MHzプライマリチャネル)上で第1バックオフ過程を行い、その結果として送信機会(TXOP)の開始が許容される場合には、1MHz PPDUの送信のみが許容される(すなわち、2MHz以上のPPDUの送信は行われない)。また、第2プライマリチャネル(又は、2MHzプライマリチャネル)上で第2バックオフ過程を行い、その結果として送信機会(TXOP)の開始が許容される場合には、TXOPの開始直前のPIFS(point coordination function(PCF)interframe space)インターバルにおける第2セカンダリチャネル(2MHz、4MHz、8MHzを有する第2セカンダリチャネル)の遊休状態によって、2MHz PPDU(2MHz第2プライマリチャネルのみが遊休状態である場合)、4MHz PPDU(2MHz第2プライマリチャネル及び2MHz第2セカンダリチャネルが遊休状態である場合)、8MHz PPDU(2MHz第2プライマリチャネル、2MHz第2セカンダリチャネル、及び4MHz第2セカンダリチャネルが遊休状態である場合)、又は16MHz PPDU(2MHz第2プライマリチャネル、2MHz第2セカンダリチャネル、4MHz第2セカンダリチャネル、及び8MHz第2セカンダリチャネルが遊休状態である場合)の送信が行われてもよい。
CCA臨界値
本発明で、STAが第1プライマリチャネル、第2プライマリチャネルに対してバックオフ過程を行うとき、チャネルの遊休/占有(idle/busy)を判断するCCA動作は、主に、CCA臨界値(threshold)(又は、CCA電力臨界値)によって決定される。例えば、あるチャネルから検出される受信信号の強度がCCA臨界値以上であると、当該チャネルは占有状態であると判断することができる。CCA臨界値が高く設定されるほど、他の信号を保護する度合は低い(すなわち、他の機器が送信する信号と衝突する確率が高い)といえ、CCA臨界値が低く設定されるほど、他の信号を保護する度合は高い(すなわち、他の機器が送信する信号と衝突する確率が低い)といえる。
一方、LR STAとHR STAは互いに異なる使用シナリオ(usage scenario)を有する。LR STAは低電力でより遠い距離をサービスすることを希望し、HR STAは電力消耗よりは、高い処理率(throughput)を得ることを希望する。このように相反する目的を指向しているため、LR STAとHR STAでチャネル(又は、媒体)の遊休/占有を判断する基準となるCCA臨界値は、使用される環境によって異なってくる必要がある。
そこで、本発明では、2つ以上のCCA臨界値を定義することを提案する。例えば、LR CCA臨界値及びHR CCA臨界値を個別に定義し、HR CCA臨界値をLR CCA臨界値よりも高く設定することができる。例えば、HR CCA臨界値よりは小さくLR CCA臨界値よりは大きい信号が検出される場合、HR CCA臨界値を使用するSTAは、この信号が検出されてもチャネルが占有状態でないと(すなわち、遊休状態であると)判断し、LR CCA臨界値を使用するSTAは、この信号が検出されるとチャネルが占有状態であると判断する。HR CCA臨界値を使用するSTAは、LR CCA臨界値を使用するSTAに比べて、他の機器が送信する信号を保護する度合が低いといえる。このため、HR CCA臨界値を使用するSTAは、LR CCA臨界値を使用するSTAに比べてサービス範囲をより狭く設定しなければならない。
本発明では、STAがCCA臨界値として基本的には(又は、デフォルトに設定された値として)HR CCA臨界値を使用すると仮定する。STAが干渉信号によってサービスに支障を受ける場合には、HR CCA禁止(Prohibit)を要請する管理フレーム(management frame)をAPに送信することができる。HR CCA Prohibitを要請する管理フレームを受信したAPは、HR CCA Prohibitを命令する管理フレームを、S1G BSSに属した全端末にブロードキャストすることができる。そして、HR CCA Prohibitを命令する管理フレームをAPから受信したSTAは、CCA臨界値をHR CCA臨界値からLR CCA臨界値に変更する。
互いに異なるBSSのBSAの一部又は全部が重なり、互いに同一のチャネル上で動作する場合、これらのBSSを互いにOBSSと称する。OBSSが存在する環境で、隣接BSSのAPからHR CCA Prohibitを命令する管理フレームを受信するSTAは、CCA臨界値をLR CCA臨界値に変更する。このようにSTAはLR CCA臨界値に変更されたCCA臨界値を使用することができるが、これは持続して適用されるものではない。HR CCA Prohibit管理フレームを送った隣接BSSのAPがそれ以上サービスをしない場合、LR CCA臨界値を使用する必要がないためである。
このため、HR CCA Prohibitを命令する管理フレームを受信したSTAは、一定時間(例えば、HR CCA Prohibit timeout))の間に、CCA臨界値をHR CCA臨界値からLR CCA臨界値に変更して適用することができる。HR CCA Prohibit timeoutが過ぎた後、CCA臨界値は再びHR CCA臨界値に変更される。したがって、CCA臨界値を持続してLR CCA臨界値に変更することを希望する場合には、HR CCA Prohibitを命令する管理フレームを、HR CCA Prohibit timeoutよりも小さい周期で送信し続けなければならない。
HR CCA Prohibitを要請する管理フレームには、HR CCA Prohibitが適用される時間を指定する情報(例えば、HR CCA Prohibit start time、HR CCA Prohibit timeoutなど)を含めることができる。すなわち、あるSTAが干渉信号によってサービスに支障を受ける場合、当該の干渉信号が発生する時間区間に対するHR CCA Prohibitを要請するために、該当の時間区間を示すHR CCA Prohibit start time、HR CCA Prohibit timeoutに関する情報を、HR CCA Prohibitを要請する管理フレームに含めることができる。
また、APがHR CCA Prohibitを命令する管理フレームを送信する場合にも、特定時間区間に対するHR CCA Prohibitを命令するために、該当の時間区間を示すHR CCA Prohibit start time、HR CCA Prohibit timeoutなどの情報を、HR CCA Prohibitを命令する管理フレームに含めることができる。
HR CCA Prohibit start time、HR CCA Prohibit timeoutが含まれたHR CCA Prohibit管理フレームを受信したSTAは、HR CCA Prohibit start time、HR CCA Prohibit timeoutによって特定される時間区間に対してのみ、CCA臨界値をHR CCA臨界値からLR CCA臨界値に変更して適用することができる。そして、指定されていない時間区間に対しては、元来のHR CCA臨界値を引き続き使用することができる。
HR CCA Prohibitに対する管理フレームを受信したAP又はSTAが他のチャネルに移動すると、移動したチャネルでHR CCA Prohibitは適用されない。これは、HR CCA Prohibitに対するシグナリングがチャネルごとに(per channel)なされることを意味する。HR CCA Prohibit管理フレームを受信したAPがチャネルスイッチングを行う場合、HR CCA Prohibit管理フレームを受信した端末が他のチャネルでスキャニングをする場合、以前に受信したHR CCA Prohibitに対するシグナリングは無視し、HR CCA臨界値を用いてチャネルアクセスを行うことができる。
図22は、本発明の一例によるバックオフ方法を説明するための図である。
段階S2210で、STAは、第1チャネル幅(例えば、1MHz)の大きさを有するデータユニット(例えば、1MHz PPDU)の送信のための場合には、第1チャネル幅の大きさを有する第1プライマリチャネル上で第1バックオフ過程を行うことができる。
一方、段階S2220で、STAは、第2チャネル幅(例えば、2MHz)以上の大きさを有するデータユニット(例えば、2MHz、4MHz、8MHz、16MHz PPDU)の送信のための場合には、第2チャネル幅の大きさを有する第2プライマリチャネル上で第2バックオフ過程を行うことができる。
段階S2230では、段階S2210の結果として上記STAに送信機会(TXOP)が許容される場合、上記第1チャネル幅を有するデータユニット(例えば、1MHz PPDU)を送信することができる。ここで、段階S2210の結果として上記STAに送信機会(TXOP)が許容される場合には、(上記TXOP開始直前のPIFSインターバルで第1セカンダリチャネルが遊休状態か否かにかかわらず)上記第1チャネル幅を有するデータユニット(例えば、1MHz PPDU)の送信のみが許容され、上記第1チャネル幅よりも大きいチャネル幅を有するデータユニット(例えば、2MHz PPDU)の送信は許容されない。
段階S2240では、段階S2220の結果として上記STAに送信機会(TXOP)が許容される場合、上記第2チャネル幅(例えば、2MHz)以上の大きさを有するデータユニット(例えば、2MHz、4MHz、8MHz、16MHz PPDU)の送信が可能である。例えば、上記TXOP開始直前のPIFSインターバルで2MHz第2セカンダリチャネル、4MHz第2セカンダリチャネル及び8MHz第2セカンダリチャネルが遊休状態であると、16MHz PPDUを送信することができる。上記TXOP開始直前のPIFSインターバルで2MHz第2セカンダリチャネル及び4MHz第2セカンダリチャネルが遊休状態であると、8MHz PPDUを送信することができる。上記TXOP開始直前のPIFSインターバルで2MHz第2セカンダリチャネルが遊休状態であると、4MHz PPDUを送信することができる。その他の場合には2MHz PPDUを送信することができる。
図22で説明する例示的な方法は、説明の簡明化のために動作のシリーズで表現したが、これは、段階が行われる順序を制限するためのものではなく、必要に応じて、それぞれの段階を同時に又は異なる順序で行ってもよい。また、本発明で提案する方法を具現する上で、図22で例示する段階を全て必要とするわけではない。
また、図22で例示する本発明の方法において、前述した本発明の様々な実施例で説明した事項が独立して適用されたり、又は2つ以上の実施例が同時に適用されるように具現することができる。
図23は、本発明の一実施例に係る無線装置の構成を示すブロック図である。
STA 10は、プロセッサ11、メモリ12、送受信器13を備えることができる。送受信器13は、無線信号を送信/受信することができ、例えば、IEEE 802システムに基づく物理層を具現することができる。プロセッサ11は、送受信器13と接続してIEEE 802システムに基づく物理層及び/又はMAC層を具現することができる。プロセッサ11は、前述した本発明の様々な実施例に係る動作を行うように構成されてもよい。また、前述した本発明の様々な実施例に係る動作を具現するモジュールをメモリ12に記憶させ、プロセッサ11によって実行されるようにすることができる。メモリ12は、プロセッサ11の内部に設けられたり又はプロセッサ11の外部に設けられ、プロセッサ11と公知の手段によって接続されるようにすることができる。
図23のSTA 10は、2以上のプライマリチャネルが設定される環境でバックオフを行うように設定することができる。プロセッサ11は、第1チャネル幅(例えば、1MHz)の大きさを有するデータユニット(例えば、1MHz PPDU)の送信のための場合に、第1プライマリチャネル上で第1バックオフ過程を行うように設定することができる。また、プロセッサ11は、第2チャネル幅(例えば、2MHz)以上の大きさを有するデータユニット(例えば、2MHz、4MHz、8MHz、16MHz PPDU)の送信のための場合には、第2プライマリチャネル上で第2バックオフ過程を行うように設定することができる。また、プロセッサ11は、第1バックオフ過程の結果として送信機会(TXOP)が許容される場合、第1チャネル幅の大きさを有するデータユニットを送受信器13を用いて送信するように設定することができる。また、プロセッサ11は、第2バックオフ過程の結果としてTXOPが許容される場合、第2チャネル幅以上の大きさを有するデータユニットを送受信器13を用いて送信するように設定することができる。
上記のような装置の具体的な構成は、前述した本発明の様々な実施例で説明した事項が独立して適用されたり又は2つ以上の実施例が同時に適用されるように具現することができ、重複する内容は明確性のために説明を省略する。
上述した本発明の実施例は、様々な手段を用いて具現することができる。例えば、本発明の実施例は、ハードウェア、ファームウェア(firmware)、ソフトウェア又はそれらの結合などによって具現することができる。
ハードウェアによる具現の場合、本発明の実施例に係る方法は、一つ又はそれ以上のASICs(Application Specific Integrated Circuits)、DSPs(Digital Signal Processors)、DSPDs(Digital Signal Processing Devices)、PLDs(Programmable Logic Devices)、FPGAs(Field Programmable Gate Arrays)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどによって具現することができる。
ファームウェアやソフトウェアによる具現の場合、本発明の実施例に係る方法は、以上で説明した機能又は動作を実行するモジュール、手順又は関数などの形態として具現することができる。ソフトウェアコードは、メモリユニットに記憶してプロセッサによって駆動することができる。メモリユニットは、プロセッサの内部又は外部に設けられ、既に公知の様々な手段によってプロセッサとデータを授受することができる。
以上、開示された本発明の好適な実施の形態に関する詳細な説明は、当業者が本発明を具現し実施できるように提供された。上記では、本発明の好適な実施の形態を参照して説明したが、当該技術の分野における熟練した当業者にとっては、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明を様々に修正及び変更させることができるということは明らかである。したがって、本発明は、ここに開示された実施の形態に制限されるものではなく、ここに開示された原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えるためのものである。
上述したような本発明の様々な実施の形態は、IEEE802.11システムを中心に説明したが、様々な移動通信システムに同様の方式で適用可能である。

Claims (15)

  1. 無線LANシステムにおいてステーション(STA)がバックオフを行う方法であって、
    第1チャネル幅の大きさを有するデータユニットの送信のための場合に、前記第1チャネル幅の大きさを有する第1プライマリチャネル上で第1バックオフ過程を行い、第2チャネル幅以上の大きさを有するデータユニットの送信のための場合には、前記第2チャネル幅の大きさを有する第2プライマリチャネル上で第2バックオフ過程を行うステップと、
    前記第1バックオフ過程の結果として送信機会(TXOP)が許容される場合、前記第1チャネル幅の大きさを有するデータユニットを送信するステップと、
    前記第2バックオフ過程の結果としてTXOPが許容される場合、前記第2チャネル幅以上の大きさを有するデータユニットを送信するステップと、
    を有する、バックオフ実行方法。
  2. 前記第1バックオフ過程の結果としてTXOPが許容される場合、前記第1チャネル幅の大きさを有するデータユニットの送信のみが行われる、請求項1に記載のバックオフ実行方法。
  3. 前記第1バックオフ過程の結果としてTXOPが許容される場合、前記第1チャネル幅よりも大きい大きさを有するデータユニットの送信は行われない、請求項1に記載のバックオフ実行方法。
  4. 前記第1チャネル幅は、1MHzである、請求項1に記載のバックオフ実行方法。
  5. 前記第1バックオフ過程の結果としてTXOPが許容される場合、1MHzの大きさを有するデータユニットは、前記1MHzの大きさを有する前記第1プライマリチャネル上で送信される、請求項4に記載のバックオフ実行方法。
  6. 前記第2バックオフ過程の結果としてTXOPが許容される場合、一つ以上のセカンダリチャネルの遊休状態によって、前記第2チャネル幅以上の大きさを有するデータユニットの送信が行われる、請求項1に記載のバックオフ実行方法。
  7. 前記第2チャネル幅は、2MHzである、請求項6に記載のバックオフ実行方法。
  8. 前記第2バックオフ過程の結果としてTXOPが許容される場合、2MHzの大きさを有するデータユニットは、前記2MHzの大きさを有する前記第2プライマリチャネル上で送信される、請求項7に記載のバックオフ実行方法。
  9. 前記第2バックオフ過程の結果としてTXOPが許容され、前記TXOPの開始直前のPIFSインターバルの間に、2MHzの大きさを有するセカンダリチャネルが遊休状態である場合、
    4MHzの大きさを有するデータユニットは、前記2MHzの大きさを有する前記第2プライマリチャネル及び2MHzの大きさを有するセカンダリチャネル上で送信される、請求項7に記載のバックオフ実行方法。
  10. 前記第2バックオフ過程の結果としてTXOPが許容され、前記TXOPの開始直前のPIFSインターバルの間に、2MHzの大きさを有するセカンダリチャネル及び4MHzの大きさを有するセカンダリチャネルがいずれも遊休状態である場合、
    8MHzの大きさを有するデータユニットは、前記2MHzの大きさを有する前記第2プライマリチャネル、前記2MHzの大きさを有するセカンダリチャネル、及び前記4MHzの大きさを有するセカンダリチャネル上で送信される、請求項7に記載のバックオフ実行方法。
  11. 前記第1バックオフ過程の結果としてTXOPが許容されることは、前記第1バックオフ過程のバックオフタイマーの値が0に到達することを含む、請求項1に記載のバックオフ実行方法。
  12. 前記第2バックオフ過程の結果としてTXOPが許容されることは、前記第2バックオフ過程のバックオフタイマーの値が0に到達することを含む、請求項1に記載のバックオフ実行方法。
  13. 前記STAは、S1G STAである、請求項1に記載のバックオフ実行方法。
  14. 前記データユニットは、PPDUである、請求項1に記載のバックオフ実行方法。
  15. 無線LANシステムにおいてバックオフを行うステーション(STA)装置であって、
    送受信器と、
    プロセッサと、
    を備え、
    前記プロセッサは、第1チャネル幅の大きさを有するデータユニットの送信のための場合に、第1プライマリチャネル上で第1バックオフ過程を行い、第2チャネル幅以上の大きさを有するデータユニットの送信のための場合には、第2プライマリチャネル上で第2バックオフ過程を行い、前記第1バックオフ過程の結果として送信機会(TXOP)が許容される場合、前記第1チャネル幅の大きさを有するデータユニットを、前記送受信器を用いて送信し、前記第2バックオフ過程の結果としてTXOPが許容される場合、前記第2チャネル幅以上の大きさを有するデータユニットを、前記送受信器を用いて送信するように設定される、ステーション(STA)装置。
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