JP2016217200A - アクチュエータ - Google Patents

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Atsushi Sakuma
淳 佐久間
裕哉 鈴木
Yuya Suzuki
裕哉 鈴木
太一 野澤
Taichi Nozawa
太一 野澤
駿 相澤
Shun AIZAWA
駿 相澤
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Abstract

【課題】超弾性金属の特性は非線形なので、PID制御では所望の制御ができない。【解決手段】アクチュエータであって、超弾性合金製の線状部材と、線状部材に連結され、線状部材の伸縮に応じて可動する可動部と、線状部材を加熱する加熱部と、加熱部による加熱量を制御する制御部とを備え、線状部材は、応力ひずみ線図において相変態によるヒステリシス曲線を有するとともに、ヒステリシス曲線が加熱により上方にシフトし、ヒステリシス曲線のシフトに基づいて駆動力を発生し、制御部は、応力およびひずみの一方の目標値と、線状部材の相の体積分率とを取得し、体積分率に基づいて、目標値に到達する加熱量を算出する。【選択図】図1

Description

本発明は、アクチュエータに関する。
超弾性合金を加熱することでアクチュエータとして用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 国際公開番号WO2011/145457号
アクチュエータへの入力は加熱であり、出力はひずみである。そこで、加熱に対するひずみの応答をPID制御することが考えられる。しかしながら、超弾性金属のように相変態する金属材料は、温度・相・ひずみ(または応力)の三者が熱・力学的に相互作用し、その振る舞いは非線形である。したがって、加熱に対するひずみの応答をフィードバックするPID制御では、アクチュエータを制御することはできない。
本発明の第1の態様においては、アクチュエータであって、超弾性合金製の線状部材と、線状部材に連結され、線状部材の伸縮に応じて可動する可動部と、線状部材を加熱する加熱部と、加熱部による加熱量を制御する制御部とを備え、線状部材は、応力ひずみ線図において相変態によるヒステリシス曲線を有するとともに、ヒステリシス曲線が加熱により上方にシフトし、ヒステリシス曲線のシフトに基づいて駆動力を発生し、制御部は、応力およびひずみの一方の目標値と、線状部材の相の体積分率とを取得し、体積分率に基づいて、目標値に到達する加熱量を算出する。
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
アクチュエータ10の動作原理を説明するための概念図である。 アクチュエータ10の動作を説明するための概念図である。 アクチュエータ10の動作を説明するための概念図である。 図1のアクチュエータ10に用いられる、制御に関わる構成を示すブロック図である。 アクチュエータ10の制御フローである。 相の変態と、温度と、電気抵抗率との関係を示す。 実施例1の応力ひずみ線図の履歴である。 実施例1の実験結果およびシミュレーション結果である。 実施例2の応力ひずみ線図の履歴である。 実施例2の実験結果およびシミュレーション結果である。 図10の制御開始部分を拡大した図である。 横軸にξ、縦軸にξ をとった理論値である。 図12を実験結果に従うように計算したものである。 図13に、計算結果を重ねて示した。 他のアクチュエータ20の概略図を示す。 Nと、Rと、εの積分値であるεとの関係を示した。 実験結果と、数12および13による計算結果とを示す。 加熱本数R=1の場合における設置本数Nと発生力Fの関係を示す。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、アクチュエータ10の動作原理を説明するための概念図である。アクチュエータ10は、ベース112と、ベース112上に設けられた支持部110と、支持部110に回動可能に支持されたプーリ122とを有する。プーリ122には駆動力の出力を取り出す突起部124が設けられている。プーリ122と突起部124とで可動部120が形成される。
アクチュエータ10はさらにプーリ122の回転軸を挟んで平行に配された一対の線状部材100、102を有する。線状部材100の一端はプーリ122に固定され、他方はベース112に設けられた張力付与部130に取り付けられる。同様に、線状部材102の一端はプーリ122に固定され、他方はベース112に設けられた張力付与部132に取り付けられる。
線状部材100、102はそれぞれ超弾性合金で形成される。超弾性合金として、Ti−Ni合金、Cu−Zn−Al合金、Fe−Mn−Si合金、Fe−Ni−Co等を用いることができる。本実施形態では特に断らない限りTi−Ni合金を用いた例を説明する。
張力付与部130、132は、線状部材100、102を引っ張って保持することにより、当該線状部材100、102に予応力を与える。図1の状態において、張力付与部130、132は同一材料および形状の線状部材100、102のそれぞれに同一の予応力を与えている。
図2および図3は、アクチュエータ10の動作を説明するための概念図である。図2および図3の(b)は図1のアクチュエータ10の一部分を図示し、(a)は線状部材100の応力ひずみ線図、(c)は線状部材102の応力ひずみ線図を示す。
図2は、図1の状態から加熱をしていない室温の状態を示す。この場合に、図2の(a)に示されるように、線状部材100の応力ひずみ線図は相変態によるヒステリシスループを有する。
まず、線状部材100に負荷をかけ始めるとオーステナイト弾性域(A)で応力に比例したひずみが発生する。さらに負荷をかけるとある点でひずみ量が増えるプラトー領域(B)に入る。この領域は、オーステナイト相からマルテンサイト相への変態が行われている、二つの相が混合した領域である。さらに負荷をかけると、マルテンサイト弾性域(C)に入って、応力に比例したひずみが発生する。
上記マルテンサイト弾性域(C)から除荷すると、負荷をかけているときの領域(B)から領域(C)への変化点よりも小さな応力およびひずみまでマルテンサイト弾性域(D)が継続する。さらに除荷すると、プラトー領域(E)に入る。この領域は、マルテンサイト相からオーステナイト相への変態が行われている、二つの相が混合した領域である。さらに除荷すると、オーステナイト弾性域に戻る。
図2の(a)および(c)に示すように、線状部材100、102にそれぞれσの予応力をかけているとする。当該予圧力はプラトー領域(B)上にあり、εのひずみが生じている。なお、線状部材102は線状部材100と同一材料および同一形状であって、温度も室温であるから、線状部材102の応力ひずみ線図は線状部材100のものと同一である。
図3は、線状部材102が加熱され、線状部材100は加熱されない状態を示す。線状部材102が加熱されると、応力ひずみ線図のヒステリシスループは加熱により上方にシフトする。これにより、線状部材102のひずみはεに減少して、線状部材102が伸縮する。これに伴い、線状部材100は力の釣り合いを保つべく、そのひずみがεに増加する。以上により、線状部材100、102の伸縮に基づいてプーリ122が回転し、プーリ122に設けられた突起部124に連結された対象物を移動させる。
図2に示すプラトー応力の傾きの場合、線状部材102が線状部材100と拮抗しているので、線状部材100を冷却しても回動した位置を保つ。戻すには線状部材100側を加熱する。
すなわち、線状部材100等を加熱・冷却することによって、ヒステリシス曲線のシフトに基づいて駆動力を発生させて、アクチュエータとして機能させることができる。
ここで、アクチュエータ10への入力は加熱であり、出力はひずみである。そこで、加熱に対するひずみの応答をPID制御することが考えられる。しかしながら、上記の通り応力とひずみとは非線形な関係を有する。特に、超弾性金属のように相変態する金属材料は、温度・相・ひずみ(または応力)の三者が熱・力学的に相互作用する。したがって、加熱に対するひずみの応答をフィードバックするPID制御では、アクチュエータ10を制御することはできない。
そこで、本実施形態では相の状態を考慮してアクチュエータ10を制御する。特に、相の状態を示す、各線状部材100、102における各相の体積分率を考慮して加熱量を算出する。
図4は、図1のアクチュエータ10に用いられる、制御に関わる構成を示すブロック図である。アクチュエータ10は、図1の機械的な構成に加えて、抵抗測定器170、温度センサ172、ポテンショメータ174、加熱部140、142、制御部150および格納部160を有する。
抵抗測定器170は、線状部材100、102のそれぞれの抵抗を測定する。抵抗測定器170によって既知の径の線状部材100等の既知の長さの両端の抵抗を測定することにより、線状部材100の電気抵抗率を同定することができる。
温度センサ172は、線状部材100、102のそれぞれの温度を測定する。温度センサ172の一例は線状部材100、102に取り付けられた熱電対である。
ポテンショメータ174は、プーリ122の回転量を測定する。これにより線状部材100等のひずみ量を同定することができる。
加熱部140は線状部材100を加熱し、加熱部142は線状部材102を加熱する。線状部材100等が導体である場合には、加熱部140、142は線状部材100等に電流を流して加熱するジュール熱による加熱が簡便である。この場合に加熱量は電圧をPWM制御で印加することによって制御される。また、この時の電圧と電流との関係から上記抵抗測定器170による抵抗を測定することができる。
制御部150は、抵抗測定器170、温度センサ172およびポテンショメータ174からの入力に基づいて、加熱部140、142の加熱量を制御する。格納部160は、後述する変態関数および算出式を含め、制御部150が参照する各種のデータが格納されたメモリである。制御部150と格納部160とはマイコン152内に形成されていることが好ましい。さらに、制御部150に対してテンキー、ディスプレイなどの入出力デバイスが接続されてもよい。
図5は、アクチュエータ10の制御フローである。まず、アクチュエータ10で発生させるべき応力(または、ひずみ、トルク等。まとめて「応力等」という)の目標値が、テンキーなどを用いて制御部150に入力される(S100)。
制御部150は、線状部材100、102の現在の状態量を取得する(S102)。例えば、制御部150は、抵抗測定器170から線状部材100、102の抵抗値をそれぞれ取得する。さらに、制御部150は、温度センサ172から線状部材100、102の温度をそれぞれ取得する。制御部150は、ポテンショメータ174からひずみ量を取得する。
制御部150は、線状部材100等の相の状態を特定する(S104)。この場合に、線状部材100の抵抗率から線状部材100のそれぞれの相の体積分率が算出される。
制御部150は、後述する変態関数に体積分率、温度、応力等を代入して、変態の進行の状態を特定する。制御部150はさらに、特定された状態に対応する温度、体積分率、ひずみ等の関係式を格納部160に格納された関係式のなかから特定する(S106)。制御部150は、上記ステップS106で特定された関係式を用いて、応力等の目標値と、現在の応力等の測定値との差分から、加熱部140等での加熱量を算出する(S110)。
応力等が目標値に到達するまで、S102からS110の制御を繰り返す(S112)。以上により、制御部150は、応力等の目標値と、線状部材100等の相の体積分率に基づいて、目標値に到達する加熱部140等の加熱量を算出することで、アクチュエータ10を制御することができる。
図6は、相の変態と、温度と、電気抵抗率との関係を示す。図6に示す通り、超弾性合金において、オーステナイト相とマルテンサイト相は電気抵抗率が異なり、相の変態の過程でその値が変化する。したがって、線状部材100等の電気抵抗率を測定することにより、その時点での各相の体積分率を同定することができる。
図5のステップS106で用いられる変態関数を説明する。変態関数は、線状部材100等において変態が進行する条件を表す関数である。変態関数は相の体積分率を変数の一つとしており、例えば、以下の数式1で定義される。
ここで、σはひずみ、Tは絶対温度、cは比熱、ξはマルテンサイト相の体積分率、Eはヤング率、ρは密度である。φおよびψは、以下においても、添え字の如何にかかわらず物性から求まる係数である。gA0はオーステナイト変態過程での初期エネルギー密度、gM0はマルテンサイト変態過程での初期エネルギー密度、gIs0は各変態過程での初期エネルギー密度である。
当該変態関数fがf≠0であるときには変態が進行しておらず、f=0であるときに変態が進行または中立の状態にある。それらは微分値を用いてさらに場合分けすることができる。
マルテンサイト変態が進行している状態の場合には数式2の通りに場合分けされる。ξの添え字IはAまたはMであって、ξはマルテンサイト相の体積分率、ξはオーステナイト相の体積分率を示す。
オーステナイト変態が進行している状態の場合には数式3の通りに場合分けされる。
[実施例1]
格納部160に格納される、相の状態に対応した算出式の一例を数式4に示す。数式4は、線状部材100が単独に存在する場合の長さ方向のみに変形するひずみ量に基づいて、解析的に算出される。βは変態終了までに生じるひずみを示す。bは添え字の如何に関わらず物性を示す係数である。また、文字の上部のドットは速度であることを示し、文中では上付きのドットで代用する。
実施例1として上記数式4を制御式としてアクチュエータ10を制御した。ここで、実験条件の簡略化のため、拮抗させた二本の線状部材100、102のうち一方の線状部材100だけを加熱制御し、線状部材100、102の応力ひずみ線図は図7に示すような履歴を辿るようにした。加熱しない方の線状部材102は常にフック則に従うマルテンサイト相の弾性域にいるため、ひずみに対して純粋にばねのような応力の振る舞いをみせる。
また、実験の各条件は下記の通りである。
図8に、実験結果と、上記数式4を用いて計算されたシミュレーション結果を示す。図8に示されるように、実験結果、シミュレーション結果ともに1秒ほどの応答速度を有し、目標ひずみに達した後は定常状態を維持していることが分かる。以上の結果から、温度、相、ひずみ/応力の関係を表した算出式を用いて、アクチュエータ10が制御できていることが確認できた。
[実施例2]
格納部160に格納される、相の状態に対応した算出式の他の例を数式5および数式6に示す。数式5および数式6は、線状部材100と線状部材102とが拮抗していることを考慮し、長さ方向のみに変形するひずみ量に基づいて解析的に算出される。ここで、上付きの添え字「g」は線状部材100の側の量であることを示し、上付きの添え字「n」は線状部材102の側の量であることを示す。また、数式5および数式6の添え字「n」と「g」とを入れ替えると、ε・nおよびσ・gが得られる。
実施例2として上記数5および6を制御式としてアクチュエータ10を制御した。線状部材100、102の応力ひずみ線図は図9に示すような履歴を辿るようにした。
また、実験の各条件は下記の通りである。予応力は図9に示す履歴を辿るように、プラトー領域の中間地点である450MPaにした。
図10に、実験結果と、上記数5および6を用いて計算されたシミュレーション結果を示す。実験結果、シミュレーション結果ともに、目標ひずみに達した後は定常状態を維持していることが分かる。以上の結果から、実施例2においてもアクチュエータ10が制御できていることが確認できた。
図11は、図10の制御開始部分を拡大した図である。この領域は、数式1の線状部材100側の変態関数fによって計算された、変態開始温度まで加熱されている領域であり、変態が生じていないため能動的な変態ひずみは生じていない。しかしながら、実験結果を見るとどの目標値においても加熱制御開始直後のある点から緩やかにひずみが生じ始めており、理論と実現象との乖離が見受けられる。
図11の結果から、実際のヒステリシスループは変態開始点が一意に決まっているような形状をしておらず、穏やかに変態状態へと移行していくことがわかった。そこで、変態関数によって一意に変態が開始するか、しないかの分岐をさせるのではなく、変態の進行度合いがどれほど穏やか・急であるかという勾配を適宜表すことが好ましい。
その勾配を表す式を見つけるべく、横軸にξ、縦軸にξ をとったグラフを先行研究によって行われた引張試験マルテンサイト変態過程における結果を基に作成した。実験結果の応力速度を基に計算された理論値を図12に、実際の実験結果における応力ひずみ関係に従うように計算されたものを図13に示す。
図13は、対数正規分布における確率密度関数の勾配の推移と似通っている。ここで、超弾性合金内にあるオーステナイト相とマルテンサイト相の結晶粒について考えると、超弾性体が変態する場合にそれぞれの結晶粒が一気に変態を開始するとは考えにくく、結晶粒ごとに迎える変態開始点は異なることが考えられる。よって、結晶粒の分布を表すものとして対数正規分布を用いることを考えたとき、その対数正規分布が再現された式が、結晶粒の分布を考慮した数式モデルであることがわかる。
さらに、その数式モデルとして、対数正規分布そのものではなく、反比例の式と比例の式とを組み合わせて近似するシンプルな関係式を検討した。その一例を数式7に示す。
数式7を図13に示された結果を用いて、最小二乗法によりa,b,cを同定した。当該同定した各パラメータを用いた計算結果を、図13の結果に重ねたものを図14に示す。図14に示されているように、図13の示された傾向が数6によって再現されている。よって、数7の導入により、変態の進行度合いの勾配が表されることがわかる。
上記数式7を考慮して、温度、相、ひずみ/応力の関係式として数式8を得る。数式8を用いてアクチュエータ10を制御してもよい。
図15は、他のアクチュエータ20の概略図を示す。図15において図1と同一の構成には同一の参照番号を付して説明を省略する。
図15のアクチュエータ20においては、片側N本ずつの線状部材100、102が可動部120および張力付与部130、132に連結されている。加熱部140はN本の中から独立して任意のR本の線状部材100を加熱する。同様に、加熱部142はN本の中から独立して任意のR本の線状部材102を加熱する。
線状部材100側のR本を加熱する場合の発生力FNRを考える。力の釣り合いから、数式9が得られる。
ここで、線状部材100側の応力を添え字gで表し、線状部材102側の応力を添え字nで表すとともに、それぞれの線状部材の番号を2つ目の添え字で表している。また、rはプーリ122の半径であり、Aは線状部材100等の断面積である。
上記数式9の時間微分により数式10を得る。
ここで、加熱された線状部材100は常にオーステナイト変態をしているものとし、線状部材102側は常にマルテンサイトであると仮定する。一方、非加熱の線状部材100は、上記図2で説明した領域(A)から(E)のいずれかの状態である。そこで、非加熱の線状部材100について数式11および数式12で変態関数を定義する。
これらの変態関数を用いて、N本のうちのR本を加熱した場合のひずみの式として数式13を得る。数式13を表現するのに数式14で記号の置き換えをした。
図16に、Nと、Rと、εの積分値であるεとの関係を示した。上記数式13および数式14を格納部160に格納しておき、制御部150が図5のステップS106において数式13から現在の相の状態に適した算出式を特定することで、N本のうちから何本の線状部材100を加熱すればひずみの目標値に到達するかを特定する。すなわち、制御部は、ひずみ等の目標値、体積分率および線状部材の総本数に基づいて、加熱する本数および前記加熱量を算出する。
[実施例3]
線状部材100を2本、線状部材102を二本として、数13および数14を制御式としてアクチュエータ20を制御した。加熱部140による加熱は8秒間行い、定常となった値を計測した。その他の各条件は下記の通りである。
図17に、実験結果と、数式13および数式14による計算結果とを示す。また、図18に、加熱本数R=1の場合における設置本数Nと発生力Fの関係を示す。
図17から、計測された値は理論式による計算値に比べ、N=Rの場合は29.3.%、N=2,R=1の場合は45.0%となっている。また、線状部材100等の設置本数および加熱本数がともに増加する場合におけるひずみの不変性が実験値と理論値で共にみられる。さらに、図18から、線状部材100等の設置本数のみが増加して加熱本数が不変の場合におけるひずみ変化の割合は、実験値の方が理論値に比べて小さいことがわかる。
第三実施例においても、数値自体には差異がみられるものの、本数とひずみとの関係性が数式13および数式14と実験結果とで等しい傾向が得られた。よって、数式13および数式14を用いて、第三実施例のアクチュエータ20を定性的に制御することができる。
以上、いずれの実施形態においても算出式自体を用いたが、これに代えて、格納部160に、相の状態に対応して算出式と同等の数値テーブルが格納されていてもよい。この場合に制御部150は計算をせずに値を得ることができる。
また、アクチュエータの形は図1、図15に示したものに限られない。さらに、上記実施形態においては等張性収縮についての算出式を導出したが、等尺性収縮についての算出式を導出して、アクチュエータを等尺性収縮させる場合に用いてもよい。
なお、線状部材100等の温度、相およびひずみ/応力に対する振る舞いを有限要素法で求めることができる。しかしながら、有限要素法はより正確な振る舞いを知るには要素の数をより多くしなければならず、例えば要素の数を10万個とすれば当該10万個の連立方程式を解くことになり、計算負荷が大きい。これに比べて本実施形態の方法によれば、温度、相およびひずみ/応力に対する振る舞いを簡便に計算することができ、マイコン上で計算することも容易である。これにより、人間支援ロボットなどのソフトアクチュエータとしての用途が期待できる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
10、20 アクチュエータ、100、102 線状部材、110 支持部、112 ベース、120 可動部、122 プーリ、124 突起部、130、132 張力付与部、140、142 加熱部、150 制御部、152 マイコン、160 格納部、170 抵抗測定器、172 温度センサ、174 ポテンショメータ

Claims (6)

  1. 超弾性合金製の線状部材と、
    前記線状部材に連結され、前記線状部材の伸縮に応じて可動する可動部と、
    前記線状部材を加熱する加熱部と、
    前記加熱部による加熱量を制御する制御部と
    を備え、
    前記線状部材は、応力ひずみ線図において相変態によるヒステリシス曲線を有するとともに、前記ヒステリシス曲線が加熱により上方にシフトし、前記ヒステリシス曲線のシフトに基づいて駆動力を発生し、
    前記制御部は、応力およびひずみの一方の目標値と、前記線状部材の相の体積分率とを取得し、前記体積分率に基づいて、前記目標値に到達する前記加熱量を算出するアクチュエータ。
  2. 相の状態に応じて前記加熱量の算出方法を複数格納する格納部をさらに備え、
    前記制御部は、前記格納部を参照して、前記体積分率を変数の一つとする変態関数で決定される相の状態に対応付けられた算出方法により、前記目標値に到達する前記加熱量を算出する請求項1に記載のアクチュエータ。
  3. 前記制御部は、前記線状部材の電気抵抗率を取得し、前記電気抵抗率に基づいて前記体積分率を算出する請求項1または2に記載のアクチュエータ。
  4. 前記制御部は、前記線状部材の温度およびひずみを取得し、前記温度および前記ひずみにさらに基づいて、前記目標値に到達する前記加熱量を算出する請求項3に記載のアクチュエータ。
  5. 前記線状部材が平行に前記可動部に複数本連結され、
    前記加熱部は、前記制御部の制御に基づいて、前記複数の線状部材を個別に加熱し、
    前記制御部は、前記目標値、前記体積分率および前記線状部材の総本数に基づいて、加熱する本数および前記加熱量を算出する請求項1から4のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
  6. 前記目標値、前記体積分率および前記加熱量が少なくとも対応付けられたテーブルを格納する格納部をさらに備え、
    前記制御部は、前記テーブルを参照することにより前記加熱量を算出する請求項1から4のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
JP2015100528A 2015-05-15 2015-05-15 アクチュエータ Pending JP2016217200A (ja)

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