JP2016213927A - 電力送受信用アレイアンテナ - Google Patents

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Abstract

【課題】 送信アンテナ素子と受信アンテナ素子とを組み合わせることにより、無線電力の双方向送受信を可能とした電力送受信用アレイアンテナを提供する。【解決手段】 電力送信アンテナ素子101と、電力受信アンテナ素子102とを基板100に備え、前述した両アンテナ素子をアレイ状に配置した構成で、前記電力受信アンテナ素子を前記基板の中央部91に配置し、前記電力送信アンテナ素子を前記基板の前記中央部の周りの周辺部92に配置する。【選択図】図1A

Description

本発明は、マイクロ波などの電波を用いた電力伝送技術に関する電力送受信用アレイアンテナに関するものである。
近年、電磁波により電力を伝送し、ワイヤレスで給電する技術の開発が進んでいる。電磁波によるワイヤレス給電技術の一例としては、数100kHzから数MHzの周波数帯の電磁波を用い、電磁誘導又は磁気共鳴といった数m以下の近距離で磁界の結合又は共鳴を用いる方法がある。
また、送電装置から受電装置までの距離が遠方な場合のワイヤレス電力伝送方法として、マイクロ波を用いたシステムがある。数百MHzから数GHzのマイクロ波ビームを用いることで、電力を遠方の受電装置まで伝送することが可能となる。このようなワイヤレス電力伝送システムの一例として、太陽光パネルを搭載した人工衛星を赤道上空へ打ち上げ、太陽光によって発電した電力を地上の受電装置へ送電する宇宙太陽光発電システム又は遠方の離島へ配置された受電装置へ送電するシステム等がある。
前記のようなマイクロ波による電力伝送方法は、他方式に比べて、送電距離の自由度が高く、電気自動車又はロボットといった移動する物体へ給電するシステムが提案されている。
従来の電力送受信用アレイアンテナとしては、受信アンテナと電力変換用整流器を組み合わせ、アレイ状に配置されているものがある(例えば、特許文献1参照)。図11は、特許文献1に記載された従来の電力受信用アレイレクテナを示す図である。ここで、レクテナとは、アンテナと整流器を組み合わせたものを示している。
図11において、アンテナ素子1101は無線電力を受信し、整流器1102は、アンテナ素子1101と同じ表面上にアンテナ素子1101に隣接して配置されて、アンテナ素子1101で受信した無線電力を直流電力に変換する。これらのアンテナ素子1101及び整流器1102を複数個配置して、アレイレクテナ1100を構成している。
特表2009−513098号公報
しかしながら、前記従来の構成では、電力の送受信には、電力の受信側アレイレクテナと送信側用アレイアンテナとが独立してそれぞれ別個に必要であるため、電力の双方向送受信を行う場合には、送信用アレイアンテナと受信用アレイレクテナとを同時に配置し、これらを対にして、合計2対のアレイアンテナを配置する必要があるという課題を有している。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、送信アンテナ素子と受信アンテナ素子とを組み合わせて一枚のアレイアンテナを構成することにより、無線電力の双方向送受信を可能とした電力送受信用アレイアンテナを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の1つの態様にかかる電力送受信用アレイアンテナは、
電力送信アンテナ素子と、
電力受信アンテナ素子とを基板に備え、
前述した両アンテナ素子をアレイ状に配置した構成で、前記電力受信アンテナ素子を前記基板の中央部に配置し、前記電力送信アンテナ素子を前記基板の前記中央部の周りの周辺部に配置する。
以上のように、本発明の前記態様にかかる電力送受信用アレイアンテナによれば、電力の高い中央部に電力受信アンテナ素子を配置し、その周辺部に電力送信アンテナ素子を配置することで、電力受信アンテナ素子よりも多くの電力送信アンテナ素子が配置できるため、無線の送信電力が向上し、送受信アンテナ素子との高い分離度を確保、すなわち、送受信アンテナ素子の結合を小さくした上で、無線電力の双方向の送受信が可能となる。
本発明の第1実施形態における電力送受信用アレイアンテナの表面の構成を示す正面図 本発明の第1実施形態における電力送受信用アレイアンテナの図1Aの1B−1B線断面側面図 本発明の第1実施形態における無線電力送受信の様子を示す斜視図 本発明の第1実施形態における受信面の電力分布を示す図 本発明の第1実施形態における整流器の入出力特性を示す図 本発明の第1実施形態における整流器の入出力特性を示す図 本発明の第1実施形態における直交偏波パッチアンテナの例を示す説明図 本発明の第1実施形態における円偏波パッチアンテナの実施例を示す説明図 本発明の第1実施形態における円偏波の伝搬と送受信の様子を示す説明図 本発明の第2実施形態における電力送受信用アレイアンテナの構成例1の表面を示す正面図 本発明の第2実施形態における電力送受信用アレイアンテナの構成例1の図8Aの8B−8B線断面側面図 本発明の第2実施形態における電力送受信用アレイアンテナの構成例1の送信アンテナ用グランドプレートと受信アンテナ用グランドプレートとを示す正面図(アンテナ素子の配置位置を仮想的に点線で示す。) 本発明の第2実施形態における電力送受信用アレイアンテナの表面の構成例2を示す正面図 本発明の第2実施形態における電力送受信用アレイアンテナの構成例2の図9Aの9B−9B線断面側面図 本発明の第2実施形態における電力送受信用アレイアンテナの表面の構成例3を示す正面図 本発明の第2実施形態における電力送受信用アレイアンテナの構成例3の図10Aの10B−10B線断面側面図 特許文献1に記載された従来の電力受信用アレイレクテナを示す図
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1A及び図1Bは、本発明の第1実施形態における電力送受信用アレイアンテナ103の構成を示す正面図である。図1Aに示すように、電力送受信用アレイアンテナ103は、基板100に、パッチアンテナなどのアンテナ素子が複数個並んだアレイ状の構造を成している。より詳しくは、電力送受信用アレイアンテナ103は、接地された誘電体で構成される基板100の表面の中央部91に、多数の電力の受信アンテナ素子102を配置している。また、多数の電力の送信アンテナ素子101を、基板100の表面の電力送受信用アレイアンテナ103の周辺部92、すなわち、中央部91の受信アンテナ素子102の周辺部92に枠状に配置している。
具体的な一例としては、送受信用アレイアンテナ103は、図1Aでは、8×8=64個のパッチアンテナを等間隔にアレイ状に配置した例を示している。すなわち、パッチアンテナとしては、4×4=16個の電力の受信アンテナ素子102を基板100の中央部91に等間隔に配置し、残りの2×24=48個の電力の送信アンテナ素子101を基板100の周辺部92に四角枠状に等間隔に配置している。送信アンテナ素子101及び受信アンテナ素子102は、一例として、同じ大きさでかつ同じ正方形で構成されている。
図1Bは、図1Aの送受信用アレイアンテナ103の図1Aの1B−1B線断面側面図を示している。図1Bに示すように、基板100を介して各送信アンテナ素子101の裏側には、高周波無線の発振器又は増幅器で構成された無線送信器111が配置されている。又は、基板100を介して各送信アンテナ素子101の裏側には、無線送信器111の代わりに、市販の発振器と増幅器とを同軸ケーブルなどにより入力された無線送信器111を配置している。基板100を介して各受信アンテナ素子102の裏側には、ショットキーダイオード及びフィルターなどで構成された整流器112が配置されている。各アンテナ素子101,102の一例としては、銅箔パターンで形成することができる。無線送信器111と整流器112とは、それぞれ、一例として、半導体素子(トランジスタ、ダイオードなど)と導体パターンとで構成することができる。
図2は、本発明の第1実施形態における無線電力送受信の様子を示す斜視図である。図2は、図示を簡単にするため、アンテナ素子のみを図示して、整流器等の図示を省略している。図2において、電力送受信システムとして、第1の電力送受信用アレイアンテナ203と第2の電力送送受信用アレイアンテナ223とを対向させて配置している。第1の送受信用アレイアンテナ203と第2の送受信用アレイアンテナ223とのそれぞれは、図1A及び図1Bの送受信用アレイアンテナ103と同じ構成である。よって、第1の送受信用アレイアンテナ203は、中央部91に第1の受信アンテナ素子202が配置され、周辺部92に第1の送信アンテナ素子201が配置されている。第2の送受信用アレイアンテナ223は、中央部91に第2の受信アンテナ素子222が配置され、周辺部92に第2の送信アンテナ素子221が配置されている。
このとき、第2の送信アンテナ素子221からの無線電力は、第1の受信アンテナ素子202で受信され、第1の送信アンテナ素子201からの無線電力は、第2の受信アンテナ素子222により受信される。
第2の送受信用アレイアンテナ223の第2の送信アンテナ素子221から無線電力を第1の送受信用アレイアンテナ203に送信した場合、受信面となる第1の送受信用アレイアンテナ203上におけるX軸及びY軸上の電力分布を図3に示す。図1A及び図1Bに示すように、等間隔にパッチアンテナがアレイ状に配置された場合には、図2におけるX軸上の電力分布とY軸上の電力分布とは、同じになる。
受信面の電力分布は、図3に示すように山形分布を示し、送受信用アレイアンテナ103の中央O付近では電力が高く、その周辺部では電力が低くなる。
図4A及び図4Bは、本発明の第1実施形態における整流器112の入出力特性の例を示している。整流器112は、アンテナで受信した無線電力を、前述したようにショットキーダイオード及びフィルターにより、高周波の無線電力から直流電力に変換する。この整流器112の入出力特性は、図4Aに示すように、入力する無線電力が一定値の場合、整流器112の出力側となる直流電力の出力負荷抵抗[Ω]により、電力変換効率[%]が変化する。また、図4Bに示すように、整流器112の直流出力側の出力負荷抵抗[Ω]を一定にした場合、無線入力電力[W]に対する電力変換効率[%]が変化する。すなわち、無線入力電力が変化すると、最大効率が得られる直流電力側の出力負荷抵抗[Ω]も変化する。
このように、整流器112から直流電力を効率良く得るためには、無線の入力電力に応じた最適な直流電力の出力負荷抵抗と最適な無線入力電力との組み合わせにする必要がある。このため、無線及び直流の電力変換効率が最大となる直流側負荷抵抗を決めた場合でも、無線入力電力が変化した場合には、最大の効率が得られない。例えば、無線電力2Wの入力時に最大効率が得られる出力負荷が200Ωであった場合、無線電力2Wの入力時には70%程度の無線及び直流の電力変換効率が得られていたとしても、無線電力を小さくした0.2Wの入力時には、出力負荷抵抗が200Ωのままである。このために、無線及び直流の電力変換効率は40%程度となり、非常に変換効率が悪くなる。この変換されない電力の殆どは、ショットキーダイオードの損失、すなわち、熱となり、整流器112の故障の一因となる。
図2において、受信面となる第1の送受信用アレイアンテナ203上での電力分布が図3に示すようになるため、中央部の受信電力値で最適化された整流器112を用アレイアンテナの周辺部92に配置しても、受信電力が低く、十分な電力変換効率が出ないため、整流器112の故障を引き起こす。そこで、図1Aに示すように、受信アンテナ素子102を送受信用アレイアンテナ103の電力の大きい中央部91に配置し、送信アンテナ素子101を受信用アレイアンテナ103の電力の小さな周辺部92に配置する。このように構成すれば、電力変換効率が悪くかつ故障となりかねない受信アンテナ部分を削除し、効率良く電力を変換する構成とすることができる。また、送信アンテナ素子101を受信アンテナ素子102の周辺部92に配置することにより、送信アンテナ素子101と受信アンテナ素子102とを対称構造に同数個配置する構成よりも、送信アンテナ素子101を多く配置でき、より多くの電力を送信することが可能となる。
前述したように送信アンテナ素子101と受信アンテナ素子102とをアレイ状に配置する場合、送信アンテナ素子101と受信アンテナ素子102との結合が問題となる。結合量が大きい場合、送信アンテナ素子101に隣接する受信アンテナ素子102に電力が吸収され、全体の送信電力が低下する。また、双方のアンテナ素子101,102が近い場所は、大きな電力が受信アンテナ素子102へ流れ込み、整流器112を故障させることにもなる。
そこで、送信アンテナ素子101と受信アンテナ素子102との結合量を小さくするために、送信アンテナ素子101と受信アンテナ素子102との偏波を変えることで、双方の結合量を低減させる構成について説明する。
図5は、第1実施形態における直交偏波パッチアンテナの例を示す。図5に示すように、方形パッチアンテナは、無線電力の給電点501の位置を変えることにより、偏波を変えることができる。偏波とは、地平面に対する電界の振幅方向を表している。直交偏波(直交系の異なる偏波)の場合、地平面と平行な偏波を水平偏波と言い、地平面と垂直な偏波を直交偏波と言う。
図5のX軸方向を水平面とし、Y軸を水平面に垂直な垂直面とすると、図5の一点鎖線のように方形パッチアンテナの中心線に対して、図5の左図(a)のようにYマイナス方向に無線電力の給電点501を設けた場合には、垂直偏波となる。また、図5の右図(b)のようにXマイナス方向に無線電力の給電点501を設けた場合には、水平偏波となる。
ここで、垂直偏波の電波は、垂直偏波アンテナで受信しなければ、殆ど受信できない。同様に、水平偏波の電波は、水平偏波アンテナで受信しなければ、殆ど受信できない。このように効率良く電波を受信するためには、送信アンテナと受信アンテナとの偏波を一致させる必要がある。言い換えれば、偏波の異なるアンテナの組み合わせでは、効率良く受信できない。これは、アンテナを対向させたときだけではなく、アンテナを隣接させた場合にも言える。
図2において、第1の送受信用アレイアンテナ203の中央部91にある第1の受信アンテナ素子202を垂直偏波にて構成するとともに、周辺部92の第1の送信アンテナ素子201を水平偏波にて構成する。一方、対となる第2の送受信用アレイアンテナ223の中央部91にある第2の受信アンテナ素子222を水平偏波にて構成するとともに、周辺部92の第2の送信アンテナ素子221を垂直偏波にて構成する。このように構成した場合、図3の電力分布と同様に前述したように、第1の送信アンテナ素子201からの水平偏波の無線電力は、水平偏波の第2の受信アンテナ素子222にて効率良く受信され、第2の送信アンテナ素子221からの垂直偏波の無線電力は、垂直偏波の第1の受信アンテナ素子202にて効率良く受信される。
以上のように、垂直と水平との偏波の異なるパッチアンテナを、受信アンテナと送信アンテナとして組み合わせることで、送信アンテナと受信アンテナとの混在するアレイ状に配置においても、送信アンテナと受信アンテナとの結合量を小さくし、かつ、効率良く無線電力を送受信できる。
なお、受信アンテナと送信アンテナとの偏波の組み合わせを入れ替えても良い。
ちなみに、FDTD法(Finite−Difference Time−Domain method:時間領域差分法)による解析の結果、垂直偏波と垂直偏波とのように偏波が同じになる構造のアレイ状に配置にし、λを真空中における波長とした場合、3/4λ間隔に配置した方形パッチアンテナの結合量は、−15.8dB(デシベル)であった。これは、一方のアンテナから隣り合う他方のアンテナへの電力流入比が約38分の1程度であることを示している。一方、垂直偏波と水平偏波とのように偏波の異なる構造のアレイ状に配置にした場合、3/4λ間隔に配置した方形パッチアンテナの結合量は、電力比で−22.9dBであった。これは、一方のアンテナから隣り合う他方のアンテナへの電力流入比が約195分の1程度であることを示しており、非常に小さいことがわかる。
図2を用いて、前述したように、無線電力の送受信は、第1の送受信用アレイアンテナ203と第2の送受信用アレイアンテナ223とのように1対の送受信用アレイアンテナにより行われる。このとき、図5に示すような水平偏波と垂直偏波との直交偏波の組み合わせを用いて、送信アンテナ素子と受信アンテナ素子との結合を小さくする場合、図2で説明したように、第1の送受信用アレイアンテナ203における第1の送信アンテナ素子201と第2の送受信用アレイアンテナ223における第2の送信アンテナ素子221との偏波が異なり、第1の送受信用アレイアンテナ203と第2の送受信用アレイアンテナ223とは、アンテナ素子の構成が異なるものとなる。すなわち、直交偏波の組み合わせにより、送信と受信とのアンテナ素子の結合量を小さくする工夫を施した場合には、電力の送受信を行う対となる送受信用アレイアンテナの組み合わせが異なることになり、送受信用アレイアンテナの組み合わせには注意が必要である。
そこで、図6に示すような円偏波パッチアンテナを用いることで、同一の用アレイアンテナ構成で電力の送受信を行うことができる実施例を説明する。
図6は、円偏波を実現する代表的なパッチアンテナの例である。図5に示した直交偏波パッチアンテナにおいて、四角の対角にあるコーナー(図6では、左下のコーナーと右上のコーナー)を一定量、切り取ることによって円偏波を実現する。偏波の切り替えは、図5と同様、無線電力の給電点の位置を変えることにより行われ、図6の一点鎖線で示すパッチアンテナの中心線に対して、図6の左図(a)のようにYマイナス方向に無線電力の給電点501を設けた場合には左旋偏波となる。また、図6の右図(b)のようにXマイナス方向に無線電力の給電点501を設けた場合には右旋偏波となる。
図7は、円偏波の伝搬と送受信の様子を示したものである。図7において、Z軸プラス方向を電波の進行方向とした場合、円偏波は電波の進行方向であるZ軸と垂直な電界ベクトル704がZ軸を中心に回転しながら伝搬していく。
ここで、図7の中央の図(b)のように電界ベクトル704がZ軸を中心として、Y軸からX軸方向に回転しながら伝搬していくとする。この場合、XY平面上での電界ベクトルの軌跡をZプラス方向から見た場合、図7左図(a)のように左回りとなる。一方、電波の進行方向になるZプラス方向において、原点方向から見た電界ベクトル704の軌跡は、図7右図(c)のように右回りとなる。
すなわち、XY平面に送信アンテナ素子を配置した場合の偏波は、図7左図(a)の左旋偏波702となり、電波の進行方向に配置した受信アンテナ素子の偏波は、図7右図(c)の右旋偏波703となる。このように円偏波の場合には、送信アンテナ素子の偏波と受信アンテナ素子の偏波とは逆となる。
例えば、左旋偏波パッチアンテナから送信された電波を、効率良く受信するためには、偏波が逆の右旋偏波パッチアンテナで受信しなければならない。このように、円偏波を用いた場合、送信アンテナ素子と受信アンテナ素子との偏波を左旋及び右旋にそれぞれ切り替えて、組み合わせる必要がある。
図2において、円偏波を用いた場合のアンテナ構成を説明する。
第1の送受信用アレイアンテナ203の第1の送信アンテナ素子201を右旋偏波とした場合、第2の送受信用アレイアンテ223の第2の受信アンテナ素子222は左旋偏波としなければならない。一方、第2の送受信用アレイアンテナ223において、第2の受信アンテナ素子222を左旋偏波とした場合、第2の送信アンテナ素子221は、第2の受信アンテナ素子222との結合を最小にするために、左旋偏波とは逆の右旋偏波としなければならない。すなわち、第1の送受信用アレイアンテナ203の第1の送信アンテナ素子201は右旋偏波となり、第1の受信アンテナ素子202は左旋偏波となり、第2の送受信用アレイアンテナ223の第2の送信アンテナ素子221は右旋偏波となり、第2の受信アンテナ素子222は左旋偏波となり、第1の送受信用アレイアンテナ203と第2の送受信用アレイアンテナ223との円偏波アンテナの構成が同じものとなる。
ちなみに、FDTD法による解析の結果、円偏波が同じになる構造のアレイ状に配置にした場合、3/4λ間隔に配置した円偏波パッチアンテナの結合量は、−17.6dBであった。これは、一方のアンテナから隣接する他方のアンテナへの電力流入比が約57分の1程度であることを示している。一方、偏波の異なる構造のアレイ状に配置にした場合、3/4λ間隔に配置した方形パッチアンテナの結合量は、電力比で−26.8dBであった。これは、一方のアンテナから隣接する他方のアンテナへの電力流入比が約478分の1程度であり、非常に小さく、図5のような直交偏波アンテナの組み合わせよりも、結合量は小さくなる。
図5のような直交偏波パッチアンテナを用いた場合は、1対の送受信用アレイアンテナのアンテナ素子構成が異なることになるが、図6のような円偏波パッチアンテナを用いた場合には、1対の送受信用アレイアンテナは2つのアンテナ素子構成が同じもので良い。このことは、開発工数又は期間の短縮に加え、生産性の向上及びコストの削減に貢献する。
以上の本発明の第1実施形態のように、無線の電力送受信用アレイアンテナにおいて、基板100の中央部91に電力受信アンテナ素子102を配置し、その周辺部92に電力送信アンテナ素子101を配置し、その送信アンテナ素子101と受信アンテナ素子102とが偏波の異なるアンテナ素子、例えば、水平偏波と垂直偏波、又は、左旋偏波と右旋偏波のような円偏波により、電力送受信用アレイアンテナ103を構成する。
かかる構成によれば、送信アンテナ素子101と受信アンテナ素子102とがお互いの結合を抑えた状態で1つの送受信用アレイアンテナ103に構成でき、中央部91に受信アンテナ素子102を配置し、その周辺部92に送信アンテナ素子101を配置するように構成している。このように構成することにより、電力受信アンテナ素子102よりも多くの電力送信アンテナ素子101が配置できるため、無線の送信電力が向上し、送受信アンテナ素子同士の高い分離度を確保、すなわち、送受信アンテナ素子の結合を小さくした上で、より多くの無線電力の双方向の送受信が効率良く可能となる。よって、本構成によって、無線の送信電力を向上した上で、1つの電力送受信用アレイアンテナによって、無線電力の双方向の送受信が可能となる。
(第2実施形態)
(構成例1)
図8A〜図8Cは、本発明の第2実施形態の電力送受信用アレイアンテナ103Bの構成例1を示している。図1Aないし図7と同じ構成要素については、同じ符号を用い、説明を省略する。
図8A〜図8Cでは、送受信用アレイアンテナ103Bは、図1A及び図1Bの送受信用アレイアンテナ103を2枚重ねるとともに、その間に、薄い送信アンテナ用グランドプレート801と受信アンテナ用グランドプレート802とが挟み込まれている。断面の構造は、図8Bに、図8Aの8B−8B線の断面図として示しているとおりである。
図1A及び図1Bとの違いは、銅などの導体で構成されて接地される送信アンテナ用グランドプレート801と受信アンテナ用グランドプレート802とが2枚の送受信用アレイアンテナ103間に介在されるように、送信と受信とで、物理的にグランドプレート801,802とを、互いに切り離している、言い換えれば、互いに接触しないように分離していることである。アンテナ用グランドプレート801,802はアンテナ地板と呼ばれ、アンテナの特性を左右する。送信アンテナ用グランドプレート801は、中央に、受信アンテナ用グランドプレート802がはまり込むような正方形の穴801aを有する四角枠状の形状となっている。受信アンテナ用グランドプレート802は正方形状となっている。
この送信用グランドプレート801と受信用グランドプレート802とを切り離す又は分離するように構成することは、隣り合う送信アンテナ素子101と受信アンテナ素子102との結合量を抑える効果がある。これは、グランドプレート801,802を介して流れる高周波電流が遮断できるためである。
本発明の第1実施形態でも説明したように、隣り合う送信アンテナ素子101と受信アンテナ素子102との結合量が大きいと、送信電力の低下又は隣り合う受信アンテナ素子102の裏面に配置した整流器112への過大電力による故障などを引き起こすからである。
図8A〜図8Cのように、送信アンテナ用グランドプレート801と受信アンテナ用グランドプレート802を切り離し(分離し)、互いに接触しないように四角枠状の隙間90をあけて独立させる構成により、第1実施形態での効果に加えて、隣り合う送信アンテナ素子101と受信アンテナ素子102との結合量を抑える事ができる。
(構成例2)
また、図9A及び図9Bの本発明の第2実施形態の電力送受信用アレイアンテナ103Cの構成例2に示すように、2枚の電力送受信用アレイアンテナ103の間に介在された送信アンテナ用グランドプレート801と受信アンテナ用グランドプレート802とを切り離すことに加え、さらに電波の回り込みを防ぐために、図9Bの図9Aの9B−9B線の断面図において、表面層と内部の受信アンテナ用グランドプレート802を接続するビアホール901を送信アンテナ用グランドプレート801と受信アンテナ用グランドプレート802との境界部分に設けている。ビアホール901は、電界の漏れを防ぐために形成している。ビアホール901は、電界の漏れを防ぐことができれば、中空でも、内部が詰まったものでもよい。具体的には、ビアホール901は、内面が金属等の導体で覆われて、受信アンテナ用グランドプレート802に電気的に接続されており、導体壁として機能することができる。
ビアホール901は、送信アンテナ用グランドプレート801と受信アンテナ用グランドプレート802との境界部分、例えば、受信アンテナ用グランドプレート802の全周縁部に対応する基板100の位置に、細長い溝を形成するかのように複数個、所定間隔(例えば等間隔)で配置されている。よって、中央部91にある受信アンテナ素子102を取り囲むように配置する。
このように構成することで、第1実施形態での効果に加えて、送信アンテナ素子101と受信アンテナ素子102との結合量を抑える事ができる。ビアホール901は、図9Bに示すように、互いに連続して細長い溝として形成してもよいし、間欠的に間隔をあけて、多数の穴を並べて構成するようにしてもよい。
なお、送信アンテナ素子101と隣接する受信アンテナ素子102との距離(隙間90の幅)を物理的に大きくすることでも、送信アンテナ用グランドプレート801と受信アンテナ用グランドプレート802とを切り離すことと同様の効果が得られる。
(構成例3)
さらに、図10及び図10Bの本発明の第2実施形態の電力送受信用アレイアンテナの構成例3に示すように、送受信用アレイアンテナ103Dは、層間のビアホール901の配置に加え、ビアホール901の位置又はその付近に、アンテナ表面に対して直交するように起立した金属などの導体壁の一例としてのグランド壁1001を設けることで、第1実施形態での効果に加えて、送信アンテナ素子101と受信アンテナ素子102の結合量を抑えることができる。このような効果をそうするためには、グランド壁1001は、少なくとも送信アンテナ素子101と受信アンテナ素子102の厚みよりも高い高さを有している。
以上の本発明の第2実施形態の構成例1〜3のように、無線の電力送受信用アレイアンテナ103Dにおいて、基板100の中央部91に受信アンテナ素子102を配置し、その周辺部92に送信アンテナ素子101を配置し、その送信アンテナ素子101と受信アンテナ素子102とのグランドプレート801,802を互いに分離させる構成を採っている。このように構成において、さらに、送信アンテナ素子101と受信アンテナ素子102との結合量を抑えるため、すなわち、物理的な分離のために、層間の導体壁としてのビアホール901又はグランド壁1001などの導体部を送信アンテナ素子101と受信アンテナ素子102との間に設け、電力送受信用アレイアンテナ103Cを構成する。
かかる構成によれば、送信アンテナと受信アンテナとがお互いの結合を抑えた状態で1つ用のアレイアンテナに構成でき、より多くの無線電力を効率良く送信及び受信できる。
なお、前記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせ又は実施例同士の組み合わせ又は実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態又は実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。
本発明の電力送受信用アレイアンテナは、電力送信アンテナ素子と電力受信アンテナ素子とを1つの用アレイアンテナに構成し、送信と受信とのアンテナ素子において偏波を変え、受信アンテナ素子を基板の中央部に配置し、送信アンテナ素子をその周辺部に配置することにより、より多くの無線電力を効率良く送受信することができ、マイクロ波などを用いた無線電力伝送の電力送受信アンテナ及びレクテナの用途に適用できる。
90 隙間
91 基板の中央部
92 基板の周辺部
100 基板
101 送信アンテナ素子
102 受信アンテナ素子
103,103B,103C,103D 送受信用アレイアンテナ
111 無線送信器
112 整流器
201 第1の送信アンテナ素子
202 第1の受信アンテナ素子
203 第1の送受信用アレイアンテナ
221 第2の送信アンテナ素子
222 第2の受信アンテナ素子
223 第2の送受信用アレイアンテナ
501 無線電力の給電点
702 左旋偏波
703 右旋偏波
704 電界ベクトル
801 送信アンテナ用グランドプレート
802 受信アンテナ用グランドプレート
901 ビアホール
1001 グランド壁
1100 アレイレクテナ
1101 アンテナ素子
1102 整流器

Claims (5)

  1. 電力送信アンテナ素子と、
    電力受信アンテナ素子とを基板に備え、
    前述した両アンテナ素子をアレイ状に配置した構成で、前記電力受信アンテナ素子を前記基板の中央部に配置し、前記電力送信アンテナ素子を前記基板の前記中央部の周りの周辺部に配置する、電力送受信用アレイアンテナ。
  2. 前記電力送信アンテナ素子と前記電力受信アンテナ素子との偏波を、直交系の異なる偏波を用いる請求項1に記載の電力送受信用アレイアンテナ。
  3. 前記電力送信アンテナ素子と前記電力受信アンテナ素子との偏波を、円偏波の左旋偏波と右旋偏波との異なる偏波を用いる請求項1に記載の電力送受信用アレイアンテナ。
  4. 前記電力送信アンテナ素子と前記電力送信アンテナ素子とのグランドプレートである地板を切り離し、分離している請求項1〜3のいずれか1つに記載の電力送受信用アレイアンテナ。
  5. 前記電力送信アンテナ素子と前記電力送信アンテナ素子との境界に導体壁を用いている請求項1〜4のいずれか1つに記載の電力送受信用アレイアンテナ。
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