JP2016212039A - 状態データ更新装置と方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の対象物体を含むシステムの状態データを求める場合に、状態データの推定精度を向上させることができるとともに、計算負荷が1箇所に集中することを避けることができるようにする。
【解決手段】複数の対象物体3にそれぞれ複数の演算通信装置5を設ける。演算通信装置5は、自身の対象物体の内部状態と外部状態の一方または両方を観測する観測部7と、観測時点におけるシステムの状態データと、この状態データの誤差を表わす誤差データを推定する状態推定部9と、推定された状態データと観測値とに基づいて、システムの状態データとその誤差データを更新する状態更新部13と、更新に関する更新データを別の対象物体に送信し、別の対象物体から更新データを受ける通信部15と、自身で更新した状態データと、通信部15が受けた更新データとを統合する状態統合部17とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、複数の対象物体(例えば、移動ロボット)を含むシステムの状態を求める状態データ更新装置と方法に関する。
従来において、対象物体の位置や姿勢や速度などの状態データを取得するために、対象物体に設けたセンサ、または、既知の位置に設けたセンサにより、対象物体を観測し、得られた観測値に基づいて、対象物体の状態を表わす状態データを推定している。対象物体は、例えば、移動ロボットまたは物品などである。このような技術は、下記の特許文献1、非特許文献1、非特許文献2などに記載されている。
特許文献1では、移動する複数の物品を対象として、次のように、複数の物品に関する状態データ(位置)を取得している。複数の物品を撮影できるように配置されたカメラにより、複数の物品の位置を観測し、得られた観測値に基づいて、複数の物品の位置を示す状態データを推定して更新している。
非特許文献1では、単体の移動ロボットを対象として、次のように、移動ロボットに関する状態データ(位置や姿勢)を取得している。移動ロボットから、周囲の環境中のランドマーク(例えば目印となる人工物)の位置を観測し、得られた観測値に基づいて、移動ロボットの位置や姿勢を示す状態データを推定して更新している。この時、移動ロボットの位置推定と、移動ロボット近傍の地図の作成とが同時に行われている。位置推定と地図作成を同時に行うことを、SLAM(simultaneous localization and mapping)という。なお、得られた状態データと地図のデータは、単体の移動ロボットの動作の制御に用いられる。
非特許文献2では、複数の移動ロボットを対象として、次のように、複数の移動ロボットに関する状態データ(位置や姿勢)を取得している。各移動ロボットから、周囲の環境中のランドマーク(例えば目印となる人工物)の位置と、他の移動ロボットの位置を観測し、これらの観測値は、1つの中央演算装置に集約される。集約された観測値に基づいて、1つの中央演算装置が、各移動ロボットの位置や姿勢を示す状態データを推定して更新している。この時、上述したSLAMが行われている。
なお、下記の非特許文献3には、後述する本発明の実施形態に関連する先行技術(情報ベクトルと情報行列)が記載されている。
特許第4875228号公報
A. Costa, G. Kantor, H. Choset, "Bearing−only Landmark Initialization with Unknown Data Association", in 2004 IEEE Intl. Conf. on Robotics and Automation,2004年4月、pp.1764−1770 大谷、滑川、"マルチロボットの協調自己位置推定と環境認識問題とその収束性解析"、第54回自動制御連合講演会、2011年11月19日、20日 スランら著、「確率ロボティクス」、毎日コミュニケーションズ、2007
しかし、特許文献1や非特許文献1では、単体のカメラや移動ロボットから周囲の環境を観測しているので、算出される状態データの精度には限界がある。
また、非特許文献2では、1つの中央演算装置が集約された観測値を処理するので、対象物体(移動ロボット)の数が多いと、中央演算装置の計算負荷が過大になる。
そこで、本発明の目的は、複数の対象物体を含むシステムの状態データを求める場合に、状態データの推定精度を向上させることができるとともに、計算負荷が1箇所に集中することを避けることができる装置と方法を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明によると、複数の対象物体を含むシステムの状態を求める状態データ更新装置であって、
前記対象物体は、地上に静止している静止体であるか、または、地上に対して移動する移動体であり、
前記複数の対象物体にそれぞれ設けられる複数の演算通信装置を備え、
各演算通信装置は、
該演算通信装置が設けられた対象物体の内部状態と該対象物体に対する外部状態の一方または両方を観測することにより、該一方または両方の観測値を取得する観測部と、
過去の時点における前記システムの状態データを新たな時点の状態データへ遷移させる推定式に従って、前記観測値を取得した観測時点における前記システムの状態データと、この状態データの誤差を表わす誤差データを推定する状態推定部と、
該状態推定部により推定された前記状態データと前記観測値とに基づいて、前記システムの状態データを更新するとともに、誤差データを更新する状態更新部と、
該状態更新部による更新に関する更新データを、該演算通信装置が設けられた対象物体とは別の対象物体に送信し、該演算通信装置が設けられた対象物体とは別の対象物体から更新データを受ける通信部と、
前記状態更新部により更新した最新の状態データと、前記通信部が受けた更新データとを統合することにより、新たな最新の状態データを求める状態統合部と、を備える、ことを特徴とする状態データ更新装置が提供される。
本発明の状態データ更新装置は、例えば、以下のように構成される。
カルマンフィルタを用いる場合には、前記状態データは、前記システムの状態を直接的に表す状態ベクトルであり、前記誤差データは、前記状態ベクトルの誤差共分散行列であり、各演算通信装置は、カルマンフィルタを用いて状態ベクトルと誤差共分散行列を更新するように構成されており、
各演算通信装置の状態推定部は、前記推定式に従って、前記観測値を取得した観測時点における状態ベクトルとその誤差共分散行列を推定し、
各演算通信装置の前記状態更新部は、カルマンフィルタを用いて、前記システムの状態ベクトルとその誤差共分散行列を更新し、
各演算通信装置の前記通信部は、前記状態更新部により更新された状態ベクトルを、前記更新データとして、該演算通信装置が設けられた対象物体とは別の対象物体に送信し、
各演算通信装置の前記状態統合部は、該演算通信装置により更新した状態ベクトルと、前記通信部が受けた状態ベクトルとにそれぞれ、予め定めた重み係数を乗じて得たベクトル同士を足し合わせることにより、統合した新たな最新の状態ベクトルを求める。
カルマンフィルタを用いる場合には、重み係数を予め定め、これらの重み係数を、それぞれ、更新した状態ベクトルと、通信部が受けた状態ベクトルに乗算し、これにより得たベクトル同士を足し合わせることにより、更新した状態ベクトルと通信部が受けた状態ベクトルとを統合できる。
情報フィルタを用いる場合には、前記状態データは、前記システムの状態を直接的に表す状態ベクトルから変換された情報ベクトルであり、前記誤差データは、前記状態ベクトルの誤差共分散行列から変換された情報行列であり、
各演算通信装置の状態推定部は、前記推定式に従って、前記観測値を取得した観測時点における情報ベクトルと情報行列を推定し、
各演算通信装置の状態更新部は、状態推定部により推定された情報ベクトルと情報行列とに基づいて、情報フィルタを用いて、情報ベクトルと情報行列を更新するとともに、更新された情報ベクトルと推定された情報ベクトルとの差に関する情報ベクトル差分量を求め、更新された情報行列と推定された情報行列との差に関する情報行列差分量を求め、
各演算通信装置の通信部は、該演算通信装置の状態更新部が求めた情報ベクトル差分量と情報行列差分量を、該演算通信装置が設けられた対象物体とは別の対象物体に送信し、
各演算通信装置の前記状態統合部は、
該演算通信装置により更新した情報ベクトルと、前記通信部が受けた情報ベクトル差分量とを足し合わせることにより、統合した新たな最新の情報ベクトルを求めるとともに、
該演算通信装置により更新した情報行列と、前記通信部が受けた情報行列差分量とを足し合わせることにより、統合した新たな最新の情報行列を求める。
情報フィルタを用いる場合には、他の対象物体において更新時に求められた情報行列差分量を受け、この情報行列差分量を、自身の対象物体において更新された情報行列に加算するという簡単な処理により、他の対象物体からの情報行列差分量と、自身の対象物体において更新された情報行列とを統合できる。情報ベクトルについても同様である。
各演算通信装置は、
(A)前記観測部により前記観測値を取得し、
(B)前記状態推定部により、該観測値が取得された観測時点における情報ベクトルと情報行列を推定し、
(C)前記状態更新部により、情報ベクトルと情報行列を更新するとともに、情報ベクトル差分量と情報行列差分量を求め、
前記(A)〜(C)を繰り返し行い、
前記(C)を行った時に、該(C)を今回の更新処理とし、該今回に対する前回の前記(C)を前回の更新処理として、前回の更新処理が行われた時点から今回の更新処理が行われた時点までの期間において、該演算通信装置の通信部が別の演算通信装置から受けたすべての複数の情報ベクトル差分量と今回の更新処理で更新された情報ベクトルとを足し合わせることにより、更新された新たな最新の情報ベクトルを求めるとともに、該期間において、該演算通信装置の通信部が別の演算通信装置から受けたすべての複数の情報行列差分量と今回の更新処理で更新された情報行列とを足し合わせることにより、更新された新たな最新の情報行列を求める。
このように、演算通信装置は、前回の更新処理が行われた時点から今回の更新処理が行われた時点までの期間において、別の演算通信装置から受けたすべての情報ベクトル差分量と今回の更新処理で求めた情報ベクトルとを足し合わる1回の処理で、別の演算通信装置から受けた複数の情報ベクトル差分量を自身で更新した情報ベクトルに統合させることができる。
情報行列についても同様に、1回の処理で、別の演算通信装置から受けた複数の情報行列差分量を自身で更新した情報行列に統合させることができる。
前記演算通信装置は、自身の前記状態更新部による更新に関する前記更新データを送信する送信タイミングを指定し、または、該更新データの送信先とする別の対象物体を選択する。
複数の演算通信装置は、少なくとも、第1、第2、および第3の演算通信装置を含み、
第1の演算通信装置の通信部と第2の演算通信装置の通信部とが、互いに直接通信できない場合に、
第1の演算通信装置の通信部は、第1の演算通信装置の状態更新部による更新に関する更新データを、第3の演算通信装置の通信部を介して、第2の演算通信装置の通信部へ送信可能である。
このように、第1の演算通信装置の通信部と第2の演算通信装置の通信部とは、互いに直接通信できなくても、第3の演算通信装置の通信部を介して、第1の演算通信装置から第2の演算通信装置へ更新データを伝えることができる。
よって、複数の演算通信装置の各々が、全ての他の演算通信装置と通信できなくても、各演算通信装置が求めた更新データを、他の全ての演算通信装置における状態データの統合に用いることが可能となる。
また、上述の目的を達成するため、本発明によると、複数の対象物体を含むシステムの状態を求める状態データ更新方法であって、
前記対象物体は、地上に静止している静止体であるか、または、地上に対して移動する移動体であり、
前記複数の対象物体にそれぞれ複数の演算通信装置を設け、
各演算通信装置において、
(A)観測部により、該演算通信装置が設けられた対象物体の内部状態と該対象物体に対する外部状態の一方または両方を観測して、該一方または両方の観測値を取得し、
(B)状態推定部により、過去の時点における前記システムの状態データを新たな時点の状態データへ遷移させる推定式に従って、前記観測値を取得した観測時点における前記システムの状態データと、この状態データの誤差を表わす誤差データを推定し、
(C)状態更新部により、前記(B)で推定された前記状態データと前記観測値とに基づいて、前記システムの状態データを更新するとともに、誤差データを更新し、
(D)通信部により、前記状態更新部による更新に関する更新データを、該演算通信装置が設けられた対象物体とは別の対象物体に送信し、
(E)該演算通信装置が設けられた対象物体とは別の対象物体から更新データを前記通信部により受けた場合に、状態統合部により、前記(D)で更新された最新の状態データと、前記通信部により受けた更新データとを統合することにより、新たな最新の状態データを求める、ことを特徴とする状態データ更新方法が提供される。
上述した本発明によると、複数の演算通信装置が、互いに別々の静止体または移動体にそれぞれ設けられ、各演算通信装置が、内部状態と外部状態の一方または両方を観測して観測値を取得し、この観測値に基づいて、複数の対象物体を含むシステムの状態を表わす状態データを更新する場合において、各演算通信装置は、更新に関する更新データを他の演算通信装置へ送信し、自身が更新した状態データと、他の演算通信装置から受けた更新データとを統合して新たな状態データを求める。
このように、各演算通信装置は、自身で更新した状態データと、他の演算通信装置から受けた更新データとを統合して新たな状態データを求める。この新たな状態データには、複数の対象物体の視点で得た観測値が反映されているので、統合された新たな状態データの精度が向上している。よって、複数の対象物体を含むシステムの状態を、より高精度に求めることができる。
統合された新たな状態データを求めるデータ処理を、各演算通信装置が行うので、データ処理が、1箇所の装置に集中することが回避される。すなわち、複数の対象物体を含むシステムの状態データを高精度に算出するための計算負荷を、複数の演算通信装置の間で分散できる。
本発明の対象となるシステムを示す。 複数の演算通信装置から構成される、本発明の実施形態による状態データ更新装置を示す。 カルマンフィルタを用いた場合の状態データ更新方法のフローチャートである。 情報フィルタを用いた場合の状態データ更新方法のフローチャートである。 観測値統合部を設けた場合の状態データ更新装置を示す。
本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図1は、本発明の対象となるシステム20を示す。システム20は、複数の対象物体3を含む。なお、図1は、鉛直方向に上方から複数の対象物体3を見た図である。また、図1の例では、3つの対象物体3が存在する場合を示しているが、本発明によると、システム20を構成する対象物体3の数は、2つであっても、4つ以上であってもよい。
各対象物体3は、地上に静止している静止体であるか、または、地上に対して移動する移動体である。複数の対象物体3に、静止体と移動体の両方が含まれていてもよい。この例では、各対象物体3は、地上面に対して移動する移動ロボットである。各移動ロボット3は、車輪を有し、この車輪が地面に接触しながら回転駆動されることにより地上面を走行してよい。代わりに、各移動ロボット3は、歩行脚を有し、この歩行脚の動作により地上面に対して移動してもよい。
図2は、複数の演算通信装置5から構成される、本発明の実施形態による状態データ更新装置10を示す。
状態データ更新装置10は、複数の対象物体3を含むシステム20の状態を求める装置群である。装置群は、複数の対象物体3にそれぞれ設けられる複数の演算通信装置5である。すなわち、状態データ更新装置10は、装置群として、複数の演算通信装置5を備える。この装置群により、システム20の状態を求める。
図2に基づいて、1つの対象物体3に設けられた演算通信装置5について説明するが、他の各対象物体3に設けられた演算通信装置5についても、以下で説明する構成と同じ構成を有し、以下で説明する処理と同じ処理を行う。なお、以下において、自身の対象物体3とは、以下で説明している演算通信装置5が設けられた対象物体3を意味し、別の対象物体3とは、以下で説明している演算通信装置5が設けられた対象物体3とは別の対象物体3を意味する。
演算通信装置5は、観測部7、状態推定部9、記憶部11、状態更新部13、通信部15、および状態統合部17を備える。
観測部7は、自身の対象物体3の内部状態と、自身の対象物体3に対する外部状態との一方または両方を観測する。これにより、観測部7は、自身の対象物体3の内部状態と自身の対象物体3に対する外部状態との一方または両方の観測値を取得する。観測部7は、このような観測値を、一定のサイクル時間毎に取得する。
観測部7が、後述の外界センサ7bとしてカメラを含む場合には、上述のサイクル時間は、一例では、1ms(ミリ秒)以上であって300ms以下の値、別の例では、10ms以上であって200ms以下の値であり、さらに別の例では、50ms以上であって200ms以下の値(例えば、100ms)である。
観測部7が、後述の外界センサ7bとしてレーザセンサを含む場合には、上述のサイクル時間は、一例では、1ms以上であって100ms以下の値、別の例では、5ms以上であって100ms以下の値であり、さらに別の例では、10ms以上であって50ms以下の値(例えば、20ms)である。
内部状態は、自身の対象物体3に直接関係する状態を示す値である。本実施形態では、内部状態は、地上に対する自身の対象物体3(例えば移動ロボット)の位置、速度、加速度、および姿勢を含む。ただし、内部状態は、これらの位置、速度、加速度、および姿勢のいずれか(例えば、位置)であってもよいし、これらの位置、速度、加速度、および姿勢から選択された任意の組み合わせ(例えば、位置と速度と姿勢)であってもよい。また、本発明によると、内部状態は、他の値であってもよい。
演算通信装置5が、自身の対象物体3の観測部7により外部状態(例えば、別の対象物体3の状態)を観測する場合に、この外部状態は、別の対象物体3の外部からの観測により計測される、当該別の対象物体3の状態を示す値になる。この外部状態は、例えば、この観測部7が設けられた自身の対象物体3または地上に対する別の対象物体3(例えば移動ロボット)の位置と速度の一方(例えば位置)または両方を含む。ただし、本発明によると、演算通信装置5が自身の対象物体3の観測部7により観測する外部状態は、自身の対象物体3の外部の状態を示す他の値であってもよい。
観測部7は、内部状態を観測する内界センサ7aと、外部状態を観測する外界センサ7bとを含む。本実施形態では、内界センサ7aは、地上に対する自身の対象物体3(移動ロボット)の位置、速度、加速度、および姿勢をそれぞれ観測値として計測する位置計測部、加速度計測部、および姿勢計測部を含む。本実施形態では、外界センサ7bは、他の移動ロボット3の位置と速度を観測値として計測する。一例では、外界センサ7bは、周囲の形状を計測するレーザセンサ(例えば、LRF)と、レーザセンサにより得た計測データを処理して別の対象物体3の位置と速度の一方(例えば位置)または両方を求めるデータ処理部とを含む。別の例では、外界センサ7bは、周囲の画像を取得するカメラと、カメラにより得た画像データを処理して別の対象物体3の位置と速度の一方(例えば位置)または両方を求めるデータ処理部とを含む。
観測部7は、時間間隔をおいて繰り返し観測を行い、観測を行う度に、上述した内部状態の観測値と上述した外部状態の観測値を取得する。
状態推定部9は、観測部7が観測を行う度に、当該観測時点におけるシステム20の状態を表わす状態データと、状態データの誤差を表わす誤差データとを推定する。この推定は、推定式に従って行われる。推定式は、過去の観測時点におけるシステム20の状態データを新たな観測時点の状態データへ遷移させるための計算式である。推定式については、後で詳しく述べる。観測部7が観測を行う度に、状態推定部9は、推定式と、記憶部11に記憶された最新の状態データと最新の誤差データとに従って、当該観測時点における状態データとその誤差データを推定する。
記憶部11は、状態推定部9により推定された状態データを記憶する。本実施形態では、記憶部11は、推定された状態データとは別に、後述するように状態更新部13により更新された最新の状態データを記憶する。初期時点においては、記憶部11には、予め分かっている最新の状態データが記憶されていてよい。また、本実施形態では、記憶部11は、状態データの誤差を表わす誤差データも記憶している。初期時点においては、記憶部11には、予め分かっている最新の状態データの誤差データが最新の誤差データとして記憶されていてよい。
状態更新部13は、観測部7が観測を行う度に、状態推定部9により推定された状態データと観測部7が得た観測値とに基づいて、システム20の状態データを更新するとともに、この状態データの誤差データを更新する。これにより、更新された状態データと誤差データは、最新の状態データと誤差データとして記憶部11に記憶される。すなわち、記憶部11において、これらの最新の状態データと誤差データが、新たな最新の状態データと誤差データとなる。この時、以前に記憶された最新の状態データと誤差データは、記憶部11から削除されてよい。
通信部15は、状態更新部13による更新に関する更新データ(後で詳しく述べる)を、別の対象物体3の演算通信装置5が有する通信部15に送信し、別の対象物体3の演算通信装置5が有する通信部15から更新データを受ける。
状態統合部17は、自身の対象物体3における状態更新部13により更新された最新の状態データと、別の対象物体3の通信部15からの更新データとを統合することにより、新たな最新の状態データを求める。この新たな最新の状態データは、記憶部11に記憶される。すなわち、記憶部11において、この最新の状態データが、新たな最新の状態データとなる。この時、以前に記憶された最新の状態データは、記憶部11から削除されてよい。状態統合部17による統合方法については、後で詳しく説明する。
本実施形態によると、次のように、更新データを転送することもできる。状態データ更新装置10を構成する複数の演算通信装置5は、この例では、少なくとも、第1、第2および第3の演算通信装置5を含む。第1の演算通信装置5の通信部15と第2の演算通信装置5の通信部15とが、障害物や他の要因により、互いに直接通信できない場合に、第1の演算通信装置5の通信部15は、第1の演算通信装置5の状態更新部13による更新に関する更新データを、第3の演算通信装置5の通信部15を介して、第2の演算通信装置5の通信部15へ送信可能である、この場合、第2の演算通信装置5の状態統合部17は、第1の演算通信装置5からの更新データと、自身の対象物体3における状態更新部13により更新された最新の状態データとを統合することにより、新たな最新の状態データを求める。
また、本実施形態によると、次のように、更新データを送信することもできる。状態データ更新装置10を構成する複数の演算通信装置5は、この例では、少なくとも、第1、第2および第3の演算通信装置5を含む。第1の演算通信装置5の観測部7(外界センサ7b)が、第2の演算通信装置5が設けられた対象物体3を観測して、この対象物体3の観測値を得た場合を想定する。この場合、この観測値(および観測部7が得た他の観測値)に基づいて、第1の演算通信装置5の状態更新部13が上述のように状態データと誤差データを更新する。次いで、この更新に関する更新データを、第1の演算通信装置5の通信部15が、第1および第2の演算通信装置5とは別の第3の演算通信装置5の通信部15へ送信する。この場合、第3の演算通信装置5の状態統合部17は、第1の演算通信装置5からの更新データと、自身の対象物体3における状態更新部13により更新された最新の状態データとを統合することにより、新たな最新の状態データを求める。
上述した演算通信装置5は、カルマンフィルタを用いるように構成されてもよいし、情報フィルタを用いるように構成されてもよい。上述の各内容は、カルマンフィルタを用いる場合にも、情報フィルタを用いる場合にも適用される。
(カルマンフィルタを用いる演算通信装置)
演算通信装置5がカルマンフィルタを用いる場合について説明する。
この場合、上述の状態データは、システム20の状態を直接的に表す状態ベクトルである。状態ベクトルは、システム20を構成する複数の対象物体3のそれぞれの状態を示す複数の要素からなる。状態ベクトルuは、次の式(1)で表される。
Figure 2016212039
式(1)において、記号Tは、uが列ベクトルであることを示し(以下、ベクトルに付された他のTも同様)、状態ベクトルuの添え字1,2,・・・Nは、対象物体3を互いに識別するための連続する識別番号(正の整数)である。Nは、システム20に存在する対象物体の数に等しい(以下、同様)。
また、本実施形態では、各対象物体3の状態ベクトルu(iは、1〜Nまでの整数)は、次の式(2)で表わされる。なお、以下において、各記号や符号の添え字iは、対象物体3を識別するための上述の識別番号を意味する。例えば、対象物体3iは、iにより識別される対象物体を示す。
Figure 2016212039
式(2)において、各記号は、次の通りである。
,y,zは、それぞれ、対象物体3iの位置を示す。すなわち、x,y,zは、それぞれ、対象物体3iのx座標、y座標、z座標である。なお、x座標、y座標、z座標は、それぞれ、地上に固定された静止座標系の互いに直交するx座標軸、y座標軸、z座標軸における座標である。
θ,φ,αは、それぞれ、上述の静止座標系に対する対象物体3iの姿勢を表わす角度である。
,y,z,θ,φ,αの上部に付された1つの黒丸(ドット・)は、時間の1回微分(すなわち、それぞれ速度と角速度)を意味し、x,y,zの上部に付された2つの黒丸(ドットドット・・)は、時間の2回微分(すなわち、加速度)を意味する。
また、上述の誤差データは、上述の状態ベクトルuの誤差共分散行列Pである。この誤差共分散行列Pは、次の式(3)で表わされる。
Figure 2016212039
式(3)において、P(iは、1〜Nまでの整数)は、対象物体3iの状態ベクトルuの誤差共分散行列である。また、Pi,jは、対象物体3iと対象物体3j(jは、1〜Nまでの整数のうちiを除くもの)の間における部分共分散行列である。
以下、カルマンフィルタを用いる場合において、1つの対象物体3に設けられた演算通信装置5について説明するが、他の各対象物体3に設けられた演算通信装置5についても、以下で説明する構成と同じ構成を有し、以下で説明する処理と同じ処理を行う。
状態推定部9は、観測部7が観測を行う度に、当該観測時点kにおけるシステム20の状態を表わす状態ベクトルuと、当該観測時点kにおける状態ベクトルuの誤差共分散行列Pを推定する。状態ベクトルuの推定は、次の式(4)で表わされる推定式に従って行われる。誤差共分散行列Pの推定は、次の式(5)で表わされる推定式に従って行われる。

’=f(uk−1,β) ・・・(4)

’=F +Q ・・・(5)
この式(4)において、各記号の添え字k、(k−1)は、自然数であり時点を示す(以下、同様)。
k−1は、記憶部11に記憶されている最新の状態ベクトルuであり、uの添え字(k−1)は、過去の時点(k−1)において取得された観測値に基づいて、更新された状態ベクトルuであることを示す。
また、βは、時点kで得られた入力値であり、上述の内部状態である。例えば、βは、対象物体3の速度と加速度であり、この対象物体3の加速度計測部と速度計測部により計測される。ただし、βは、他の値であってもよい。
式(5)において、Qは、プロセスノイズの誤差共分散行列であり、Fは、次の式(6)で表わされる係数行列である。
Figure 2016212039
さらに、状態推定部9は、上述のように推定した状態ベクトルu’と、観測部7が取得した観測値zとのマッチングを行う。例えば、観測部7が取得した観測値zに、別の対象物体3iの位置x,y,zが含まれている場合に、これらの位置x,y,zが、状態ベクトルu’におけるどの値に対応するのかを特定する。このようなマッチングは、カイ二乗検定や他の方法により行うことができる。
その後、状態更新部13は、状態推定部9により推定された状態ベクトルu’および誤差共分散行列P’と、観測値(上述のマッチングによりu’に含まれる値に対応づけられた観測値を含む)とに基づいて、状態ベクトルuと誤差共分散行列Pを更新する。この更新は、次の式(7)(8)により行われる。

=u’+K(z−H’) ・・・(7)

=(I−K)P’ ・・・(8)
この式(7)において、uは、更新された、時点k(観測時点k)の状態ベクトルuである。式(8)において、Pは、更新された、時点kの誤差共分散行列Pである。
また、式(7)(8)において、Hは、次の式(9)で表わされる係数行列である。
Figure 2016212039
式(9)において、hは、次の式(10)で表わされる観測方程式である。

=h(u) ・・・(10)

この式(10)において、hは、システム20の状態ベクトルuの関数であり、zは、観測時点kにおいて観測部7が得た観測値であり、自身の対象物体3に設けた観測部7が観測した上述の外部状態である。
式(7)(8)において、Kは、カルマンゲインであり、次の式(11)で表わされる。

=P’H −1 ・・・(11)
また、式(11)において、Sは、次の式(12)で表わされる。

=H−1 ・・・(12)
上述のように更新された観測時点kの状態ベクトルuと誤差共分散行列Pは、それぞれ、新たな最新の状態ベクトルuと誤差共分散行列Pとして記憶部11に記憶される。
また、演算通信装置5は、自身の状態更新部13により更新した観測時点kの状態ベクトルuを、または、この状態ベクトルuおよびその誤差共分散行列Pを、上述の更新データとして、自身の通信部15により、別の対象物体3の通信部15へ送信する。
一方、演算通信装置5が、別の対象物体3の通信部15から、更新された状態ベクトルuを、自身の通信部15により受信した場合には、次のように、この状態ベクトルuと、自身の記憶部11に記憶されている最新の状態ベクトルuとを統合する。
これについて、本実施形態によると、演算通信装置5iの状態統合部17i(ここで、iは、演算通信装置5が設けられた対象物体3の識別番号である。以下、同様)は、この演算通信装置5iが求めた最新の状態ベクトルu(すなわち、記憶部11iに記憶されている最新の状態ベクトルu)と、別の対象物体3j(ここで、i≠j)の通信部15jから受信した状態ベクトルuとにそれぞれ、予め定めた重み係数を乗じたベクトル同士を足し合わせることにより、統合した新たな最新の状態ベクトルuを求める。すなわち、状態統合部17iは、次の式(13a)に従って、統合した新たな最新の状態ベクトルuを求める。

= w×u+w×u ・・・(13a)

この式(13a)において、uは、統合された新たな最新の状態ベクトルuであり、uは、演算通信装置5iにより求められ記憶部11iに記憶されている最新の状態ベクトルuであり、uは、演算通信装置5iが別の対象物体3jの通信部15から受けた状態ベクトルuである。また、wとwは、重み係数であり、w+w=1である。wとwは、予め設定されていてよく、例えば、それぞれ、1/2である。または、wは、wよりも大きく、かつ、1よりも小さくてもよい。
上述のように統合された最新の状態ベクトルuは、記憶部11iに、新たな最新の状態ベクトルuとして記憶される。
演算通信装置5の状態統合部17は、状態ベクトルの統合に加えて、誤差共分散行列の統合をさらに行ってもよい。すなわち、演算通信装置5iの状態統合部17iは、この演算通信装置5iが求めた最新の誤差共分散行列P(すなわち、記憶部11iに記憶されている最新の誤差共分散行列P)と、別の対象物体3j(ここで、i≠j)の通信部15jから受信した誤差共分散行列Pとにそれぞれ、予め定めた重み係数を乗じた誤差共分散行列同士を足し合わせることにより、統合した新たな最新の誤差共分散行列Pを求める。すなわち、状態統合部17iは、次の式(13b)に従って、統合した新たな最新の誤差共分散行列Pを求める。

= W×P+W×P ・・・(13b)

この式(13b)において、Pは、統合された新たな誤差共分散行列Pであり、Pは、演算通信装置5iにより求められ記憶部11iに記憶されている最新の誤差共分散行列Pであり、Pは、演算通信装置5iが別の対象物体3jの通信部15から受けた誤差共分散行列Pである。また、WとWは、重み係数であり、W+W=1である。WとWは、予め設定されていてよく、例えば、それぞれ、1/2である。または、Wは、Wよりも大きく、かつ、1よりも小さくてもよい。
上述のように統合された最新の誤差共分散行列Pは、記憶部11iに、新たな最新の誤差共分散行列Pとして記憶される。
図3は、本発明の実施形態による状態データ更新方法のフローチャートである。図3は、カルマンフィルタを用いた場合を示す。この状態データ更新方法は、上述した演算通信装置5により行われる。
ステップS1において、観測部7により上述の観測値を取得する。
ステップS2において、状態推定部9により、ステップS1で観測値を取得した観測時点kにおけるシステム20の状態を表わす状態ベクトルuと、当該観測時点kにおける状態ベクトルuの誤差共分散行列Pを推定する。これにより、推定された状態ベクトルu’と、推定された誤差共分散行列P’を得る。
ステップS3において、ステップS2で得た状態ベクトルu’と、ステップS1で得た観測値zとの上記マッチングを行う。これにより、観測値zが、状態ベクトルu’におけるどの値に対応するのかを特定する。
ステップS4において、状態更新部13により、ステップS2で推定された状態ベクトルu’および誤差共分散行列P’と、ステップS1で得た観測値zとに基づいて、上述のように、状態ベクトルuと誤差共分散行列Pを更新する。更新された状態ベクトルuと誤差共分散行列Pは、最新の状態ベクトルuと誤差共分散行列Pとして記憶部11に記憶される。
ステップS5において、演算通信装置5は、自身の状態更新部13により更新した観測時点kの状態ベクトルuを、自身の通信部15により、別の対象物体3の通信部15へ送信する。
ステップS6において、演算通信装置5は、別の対象物体3の通信部15から、更新された状態ベクトルuを、自身の対象物体3の通信部15により、現時点までに受信したかどうかを判断する。この判断の結果が肯定である場合には、ステップS7へ進み、そうでない場合には、一定時間後に再びステップS6を行うか、または、ステップS1へ戻る。
ステップS7において、状態統合部17により、受信された状態ベクトルuと、自身の記憶部11に記憶されている最新の状態ベクトルuとを上述のように統合する。統合された状態ベクトルuは、記憶部11に、新たな最新の状態ベクトルuとして記憶される。ステップS7の後、ステップS1へ戻り、上述の処理を繰り返す。
なお、上述の処理を繰り返している時に、状態データ更新装置10の動作を停止させる場合には、図3のフローを終了する。
(情報フィルタを用いる演算通信装置)
演算通信装置5が情報フィルタを用いる場合について説明する。なお、以下で述べない点は、上述のカルマンフィルタを用いた場合と同じである。特に、上述と同じ各記号は、上述と同じものを示す。
この場合、上述の状態データは、上述の式(1)で表わされる状態ベクトルuから変換された情報ベクトルζである。また、誤差データは、状態ベクトルuの誤差共分散行列Pから変換された情報行列Λである。
具体的には、情報行列Λと情報ベクトルζは、それぞれ、次の式(14)(15)で表わされる。

Λ = P−1 ・・・(14)

ζ = Λu ・・・(15)

以下、情報フィルタを用いる場合において、1つの対象物体3に設けられた演算通信装置5について説明するが、他の各対象物体3に設けられた演算通信装置5についても、以下で説明する構成と同じ構成を有し、以下で説明する処理と同じ処理を行う。
状態推定部9は、推定式に従って、観測部7が観測値を取得した観測時点kにおける情報行列Λ’と情報ベクトルζ’を推定する。推定式は、次の式(16)(17)で表わされる。

Λ’=(FΛk−1 −1 +Q−1 ・・・(16)

ζ’=Λ’u’ ・・・(17)
この式(16)において、u’は、上述した式(4)により推定された状態ベクトルuである。また、Λk−1は、記憶部11に記憶されている最新の情報行列である。Λ’とζ’は、それぞれ、推定された観測時点kの情報行列と情報ベクトルである。他の記号は、カルマンフィルタの場合で説明した同じ記号と同じものを示す。
さらに、状態推定部9は、上述のように推定した情報ベクトルζ’(状態ベクトルu’に対応)と、観測部7が取得した観測値とのマッチングを行う。例えば、観測部7が取得した観測値に、別の対象物体3iの位置x,y,zが含まれている場合に、これらの位置x,y,zが、情報ベクトルζ’(状態ベクトルu’に対応)におけるどの値に対応するのかを特定する。このようなマッチングは、カイ二乗検定や他の方法により行うことができる。
例えば、カイ二乗検定により、マッチングを以下のように行うことができる。
状態推定部9は、外界センサ7bの観測により得た、別の対象物体3の観測値z(例えば、対象物体3iの位置や速度)が、既知の別の対象物体3jに関する値に対応するかどうか(i=jであるか)を判断する。なお、既知の別の対象物体3jに関する値は、記憶部11に記憶されている最新の情報ベクトルζに対応する最新の状態ベクトルuに含まれている値(u)である。最新の状態ベクトルuも、記憶部11に記憶されている。
状態推定部9は、観測値zが既知の別の対象物体3jに関する値に対応するかどうか(i=jであるか)を判断するために、次の不等式(18)が満たされるかどうかを判断する。状態推定部9は、不等式(18)が満たされると判断した場合には、観測値zが既知の別の対象物体3jに関する値に対応すると判断する。すなわち、状態推定部9は、観測値zが既知の別の対象物体3jの値であると判断する。

≧μji −1μji ・・・(18)
この式(18)において、Aは、予め設定された値(カイ値)である。μjiは、次の式(19)で表わされる。

μji=p−z ・・・(19)

ここで、pは、既知の別の対象物体3jの位置を示すベクトル(x,y,zであり、zは、今回の観測時点kで得られた観測値z(対象物体3iの位置)を示すベクトルである。
マッチングの後、状態更新部13は、状態推定部9により推定された情報行列Λ’および情報ベクトルζ’と、観測値(上述のマッチングによりu’に含まれる値に対応づけられた観測値を含む)とに基づいて、情報行列Λと情報ベクトルζを更新する。この更新は、次の式(20)(21)により行われる。

Λ=Λ’+gΛk,d ・・・(20)

ζ=ζ’+gζk,d ・・・(21)
この式(20)において、Λk,dは、更新された情報行列Λと推定された情報行列Λ’との差に関する情報行列差分量である。式(21)において、ζk,dは、更新された情報ベクトルζと推定された情報ベクトルζ’との差に関する情報ベクトル差分量である。Λk,dとζk,dは、それぞれ、次の式(22)(23)で表わされる。

Λk,d=H −1 ・・・(22)

ζk,d=H −1(z−h(u’)+H’)・・・(23)

式(22)(23)において、Rは、観測部7に関する観測ノイズの誤差共分散行列である。
状態更新部13は、情報行列Λと情報ベクトルζを更新する時に、上述の情報行列差分量Λk,dと情報ベクトル差分量ζk,dも求める。
上述のように更新された観測時点kの情報行列Λと情報ベクトルζは、それぞれ、新たな最新の情報行列Λと情報ベクトルζとして記憶部11に記憶される。
また、演算通信装置5は、自身の状態更新部13により求めた情報行列差分量Λk,dと情報ベクトル差分量ζk,dを、上述の更新データとして、自身の通信部15により、別の対象物体3の通信部15へ送信する。
一方、演算通信装置5が、別の対象物体3の通信部15から、情報行列差分量Λk,dと情報ベクトル差分量ζk,dを、自身の通信部15により受信した場合には、統合処理を行う。すなわち、演算通信装置5の状態統合部17は、受信した情報行列差分量Λk,dと、自身の記憶部11に記憶されている最新の情報行列Λとを足し合わせることにより、統合した最新の情報行列Λを求めるとともに、受信した情報ベクトル差分量ζk,dと、自身の記憶部11に記憶されている最新の情報ベクトルζとを足し合わせることにより、統合した最新の情報ベクトルζを求める。
すなわち、状態統合部17は、次の式(24)(25)に従って、統合した新たな最新の情報行列Λと情報ベクトルζを求める。

Λ=Λ+Λk,d ・・・(24)

ζ=ζ+ζk,d ・・・(25)

この式(24)において、Λは、統合された新たな最新の情報行列であり、Λは、演算通信装置5により求められ記憶部11に記憶されている最新の情報行列である。式(25)において、ζは、統合された新たな最新の情報ベクトルであり、ζは、演算通信装置5により求められ記憶部11に記憶されている最新の情報ベクトルである。
図4は、本発明の実施形態による状態データ更新方法のフローチャートである。図4は、情報フィルタを用いた場合を示す。この状態データ更新方法は、上述した演算通信装置5により行われる。
ステップS11において、観測部7により上述の観測値を取得する。
ステップS12において、状態推定部9により、ステップS11で観測値を取得した観測時点kにおける情報行列Λと情報ベクトルζを推定する。これにより、推定された情報行列Λ’と、推定された情報ベクトルζ’を得る。
ステップS13において、ステップS12で得た情報ベクトルζ’に対応する状態ベクトルu’と、ステップS1で得た観測値zとのマッチングを行う。これにより、観測値zが、状態ベクトルu’(すなわち、情報ベクトルζ’)におけるどの値に対応するのかを特定する。
ステップS14において、状態更新部13により、ステップS3で推定された情報行列Λ’および情報ベクトルζ’と、ステップS11で得た観測値zとに基づいて、上述のように、情報行列Λと情報ベクトルζを更新する。更新された情報行列Λと情報ベクトルζは、最新の情報行列Λと情報ベクトルζとして記憶部11に記憶される。
また、ステップS14では、状態更新部13により、上述の情報行列差分量Λk,dと情報ベクトル差分量ζk,dも求める。
ステップS15において、演算通信装置5は、自身の状態更新部13により求めた情報行列差分量Λk,dと情報ベクトル差分量ζk,dを、自身の通信部15により、別の対象物体3の通信部15へ送信する。
ステップS16において、演算通信装置5は、別の対象物体3の通信部15から、情報行列差分量Λと情報ベクトル差分量ζを、自身の対象物体3の通信部15により、現時点までに受信したかどうかを判断する。この判断の結果が肯定である場合には、ステップS17へ進み、そうでない場合には、一定時間後に再びステップS16を行うか、または、ステップS11へ戻る。
ステップS17において、状態統合部17により、受信された情報行列差分量Λと、自身の記憶部11に記憶されている最新の情報行列Λとを上述のように統合する。また、ステップS17において、状態統合部17により、受信された情報ベクトル差分量ζと、自身の記憶部11に記憶されている最新の情報ベクトルζとを上述のように統合する。統合により得た情報行列Λと情報ベクトルζは、新たな最新の情報行列Λと情報ベクトルζとして記憶される。ステップS17の後、ステップS11へ戻り、上述の処理を繰り返す。
なお、上述の処理を繰り返している時に、状態データ更新装置10の動作を停止させる場合には、図4のフローを終了する。
上述の統合をまとめて行う場合を説明する。ここで、ステップS14を行った時に、このステップS14を今回の更新処理とし、今回に対する前回のステップS14を前回の更新処理とする。今回のステップS14を行った時に、複数回、演算通信装置5の通信部15が他の演算通信装置5から情報行列差分量Λと情報ベクトル差分量ζを受けた場合には、今回のステップS14の直後のステップS17において、状態統合部17は、次のようにまとめて統合を行う。
状態統合部17は、前回の更新処理(ステップS14)が行われた時点から今回の更新処理(ステップS14)が行われた時点までの期間Dにおいて、演算通信装置5の通信部15が他の演算通信装置5から受けたすべての情報行列差分量Λと今回の更新処理で求めた新たな最新の情報行列Λとを、次式(26)に従って足し合わせることにより、統合された新たな最新の情報行列Λを求める。また、状態統合部17は、この期間Dにおいて、演算通信装置5の通信部15が他の演算通信装置5から受けたすべての情報ベクトル差分量ζと今回の更新処理で求めた新たな最新の情報ベクトルζとを、次式(27)に従って足し合わせることにより、統合された新たな最新の情報ベクトルζを求める。

Λ=Λ+Λd1+Λd2+・・・+Λdm ・・・(26)

ζ=ζ+ζd1+ζd2+・・・+ζdm ・・・(27)
式(26)において、Λd1,Λd2,・・・Λdmは、それぞれ、前回のステップS14の後、1回目に受信した情報行列差分量Λ、2回目に受信した情報行列差分量Λ、・・・m回目(mは、2以上の整数である)に受信した情報行列差分量Λである。ただし、m=2の場合には、式(26)は、Λ=Λ+Λd1+Λd2となる。
同様に、式(27)において、ζd1,ζd2,・・・ζdmは、それぞれ、前回のステップS14の後、1回目に受信した情報ベクトル差分量ζ、2回目に受信した情報ベクトル差分量ζ、・・・m回目(mは、2以上の整数である)に受信した情報ベクトル差分量ζである。ただし、m=2の場合には、式(27)は、ζ=ζ+ζd1+ζd2となる。
上述した本発明の実施形態によると、複数の演算通信装置5が、互いに別々の静止体または移動体にそれぞれ設けられ、各演算通信装置5が、内部状態と外部状態の一方または両方を観測して観測値を取得し、この観測値に基づいて、複数の対象物体3を含むシステム20の状態を表わす状態データを更新する場合において、各演算通信装置5は、更新に関する更新データを他の演算通信装置5へ送信し、自身が更新した状態データと、他の演算通信装置5から受けた更新データとを統合して新たな状態データを求める。
このように、各演算通信装置5は、自身で更新した状態データと、他の演算通信装置5から受けた更新データとを統合して新たな状態データを求める。この新たな状態データには、複数の対象物体3の視点で得た観測値が反映されているので、統合された新たな状態データの精度が向上している。よって、複数の対象物体3を含むシステム20の状態を、より高精度に求めることができる。
統合された新たな状態データを求めるデータ処理を、各演算通信装置5が行うので、データ処理が、1箇所の装置に集中することが回避される。すなわち、複数の対象物体3を含むシステム20の状態データを高精度に算出するための計算負荷を、複数の演算通信装置5の間で分散できる。したがって、各演算通信装置5において、最新の状態データ(および誤差データ)を短時間で算出できる。
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、以下の他の実施形態1〜3のいずれかを採用してもよいし、他の実施形態1〜3の複数を任意に組み合わせて採用してもよい。この場合、以下で説明しない点は上述と同じである。
(他の実施形態1)
上述では、各演算通信装置5は、自身の状態更新部13がシステム20の状態データを更新する度に、この更新データを、この演算通信装置5が設けられた対象物体3とは別の対象物体3へ送信していた。しかし、本発明によると、各演算通信装置5は、自身の状態更新部13による更新に関する更新データを送信する送信タイミングを指定してもよい。すなわち、各演算通信装置5は、自身の状態更新部13により更新した更新データを、この演算通信装置5が設けられた対象物体3とは別の対象物体3へ送信する送信タイミングを指定してもよい。この場合、各演算通信装置5は、指定した送信タイミングで、自身の状態更新部13により更新した更新データ(最新の更新データ)を、この演算通信装置5が設けられた対象物体3とは別の対象物体3へ送信する。
例えば、各演算通信装置5は、この演算通信装置5が設けられた対象物体3の観測部7が観測した別の対象物体3の位置または速度(外部状態)に基づいて、この別の対象物体3が静止しているかどうかを判断する。ここで、この演算通信装置5は、別の対象物体3が静止していると判断したら、自身の状態更新部13がシステム20の状態データを更新するサイクルの時間(すなわち、観測部7が観測を行う上述のサイクル時間と同じ時間)よりも長い時間を送信サイクル(送信タイミング)として指定する。このように、別の対象物体3が静止している場合には、別の対象物体3の位置または速度を高精度に計測する必要性が低下するので、該別の対象物体3の位置または速度の観測値を、自身の対象物体3から該別の対象物体3または他の別の対象物体3へ送信する頻度を下げる。
(他の実施形態2)
各演算通信装置5は、自身の状態更新部13による更新に関する更新データの送信先とする別の対象物体3を選択してもよい。例えば、各演算通信装置5は、この演算通信装置5が設けられた自身の対象物体3から設定距離以内に位置する別の対象物体3を送信先として選択してもよい。この場合、次いで、この演算通信装置5は、送信先として選択した1つ又は複数の別の対象物体3に更新データを送信する。
各演算通信装置5がカルマンフィルタを用いる場合には、上述のステップS5において、演算通信装置5は、この演算通信装置5が設けられた自身の対象物体3から設定距離以内に位置する別の対象物体3を送信先として選択する。次いで、上述のステップS5において、この演算通信装置5は、自身の状態更新部13により更新した観測時点kの状態ベクトルu(すなわち、更新データ)を、送信先として選択した別の対象物体3の通信部15へ自身の通信部15により送信する。
なお、演算通信装置5は、自身の対象物体3の記憶部11に記憶された最新の状態データ(別の対象物体2の位置を含むデータ)に基づいて、自身の対象物体3から設定距離以内に位置する別の対象物体3を送信先として選択してよい。この点は、後述のように情報フィルタを用いる場合も同様である。
各演算通信装置5が情報フィルタを用いる場合には、上述のステップS15において、演算通信装置5は、この演算通信装置5が設けられた自身の対象物体3から設定距離以内に位置する別の対象物を送信先として選択する。次いで、上述のステップS15において、この演算通信装置5は、自身の状態更新部13により求めた情報行列差分量Λk,dと情報ベクトル差分量ζk,d(すなわち、更新データ)を、送信先として選択した別の対象物体3の通信部15へ自身の通信部15により送信する。
このように、各演算通信装置5は、この演算通信装置5が設けられた対象物体3から設定距離以内に位置する別の対象物体3を送信先として選択する。一方、各演算通信装置5は、この演算通信装置5が設けられた対象物体3から設定距離より離れて位置する別の対象物体3を送信先として選択しないようにすることができる。これにより、各演算通信装置5は、この演算通信装置5が設けられた対象物体3から直接観測できる別の対象物体3を送信先とし、この演算通信装置5が設けられた対象物体3から直接観測できない遠方の別の対象物体3へは更新データを送信先としない。これにより、更新データの送信先を減らして、更新データを、システム20の最新の状態データに効率よく反映させることができる。
(他の実施形態3)
例えば、図5に示すように、各演算通信装置5が、さらに観測値統合部19を有していてもよい。
以下において、1つの対象物体3に設けられた演算通信装置5について説明するが、他の各対象物体3に設けられた演算通信装置5についても、以下で説明する構成と同じ構成を有し、以下で説明する処理と同じ処理を行う。なお、以下において、自身の対象物体3とは、以下で説明している演算通信装置5が設けられた対象物体3を意味し、別の対象物体3とは、以下で説明している演算通信装置5が設けられた対象物体3とは別の対象物体3を意味する。
通信部15は、観測部7が取得した外部状態(ここでは、自身の対象物体3または地上に対する別の対象物体3の位置と速度の一方または両方)の観測値を取得した時に、この観測値を、この別の対象物体3の演算通信装置5に設けられた通信部15に送信する。
さらに、自身の対象物体3の位置と速度の一方または両方の観測値が、別の対象物体3における観測部7により外部状態の観測値として取得された場合には、自身の対象物体3の通信部15は、この別の対象物体3における通信部15から、この外部状態の観測値を受け、この観測値が記憶部11に記憶される。その後、自身の対象物体3における観測部7が、内部状態(自身の対象物体3の位置と速度の一方または両方)の観測値を取得した時に、観測値統合部19は、この観測値と、別の対象物体3における通信部15から送信され記憶部11に記憶されている観測値(自身の対象物体3の位置と速度の一方または両方)とを統合する。この統合は、例えば、次のように行われてよい。
演算通信装置5iの観測値統合部19i(ここで、iは、演算通信装置5が設けられた対象物体3の識別番号である。以下、同様)は、この演算通信装置5iの観測部7iが取得した観測値zと、別の対象物体3j(ここで、i≠j)の通信部15jから受信し記憶部11iに記憶されている観測値zとに,それぞれ、予め定めた重み係数を乗じた値同士を足し合わせることにより、統合した新たな観測値zを求める。すなわち、観測値統合部19iは、次の式(28)に従って、統合した観測値zを求める。

= M×z+M×z ・・・(28)

この式(28)において、zは、統合された観測値zであり、zは、観測部7iが取得した観測値zであり、zは、別の対象物体3j(ここで、i≠j)の観測部7jにより取得され通信部15jから送信されて記憶部11iに記憶されている観測値zである。また、MとMは、重み係数であり、M+M=1である。MとMは、予め設定されていてよく、例えば、それぞれ、1/2である。または、Mは、Mよりも大きく、かつ、1よりも小さくてもよい。
なお、上述の統合は、対象物体3iの位置同士と速度同士の一方または両方について行われる。また、この統合のために、zとzは、同じ座標系の座標値で表わされている。例えば、zは、地上に固定された静止座標系の座標値で表わされ、zも、この静止座標系の座標値で表わされた状態で、通信部15jから通信部15iへ送信される。
このように観測値が統合された場合、状態更新部13は、状態推定部9により推定された状態データと統合された観測値とに基づいて、システム20の状態データを更新するとともに、この状態データの誤差データを更新する。すなわち、上述において、「観測部7が得た観測値」や他の同様の記載は、「統合された観測値」に読み替えられる。
3 対象物体(移動ロボット)、5 演算通信装置、7 観測部、7a 内界センサ、7b 外界センサ、9 状態推定部、10 状態データ更新装置、11 記憶部、13 状態更新部、15 通信部、17 状態統合部、19 観測値統合部、20 システム

Claims (7)

  1. 複数の対象物体を含むシステムの状態を求める状態データ更新装置であって、
    前記対象物体は、地上に静止している静止体であるか、または、地上に対して移動する移動体であり、
    前記複数の対象物体にそれぞれ設けられる複数の演算通信装置を備え、
    各演算通信装置は、
    該演算通信装置が設けられた対象物体の内部状態と該対象物体に対する外部状態の一方または両方を観測することにより、該一方または両方の観測値を取得する観測部と、
    過去の時点における前記システムの状態データを新たな時点の状態データへ遷移させる推定式に従って、前記観測値を取得した観測時点における前記システムの状態データと、この状態データの誤差を表わす誤差データを推定する状態推定部と、
    該状態推定部により推定された前記状態データと前記観測値とに基づいて、前記システムの状態データを更新するとともに、誤差データを更新する状態更新部と、
    該状態更新部による更新に関する更新データを、該演算通信装置が設けられた対象物体とは別の対象物体に送信し、該演算通信装置が設けられた対象物体とは別の対象物体から更新データを受ける通信部と、
    前記状態更新部により更新した最新の状態データと、前記通信部が受けた更新データとを統合することにより、新たな最新の状態データを求める状態統合部と、を備える、ことを特徴とする状態データ更新装置。
  2. 前記状態データは、前記システムの状態を直接的に表す状態ベクトルであり、前記誤差データは、前記状態ベクトルの誤差共分散行列であり、各演算通信装置は、カルマンフィルタを用いて状態ベクトルと誤差共分散行列を更新するように構成されており、
    各演算通信装置の状態推定部は、前記推定式に従って、前記観測値を取得した観測時点における状態ベクトルとその誤差共分散行列を推定し、
    各演算通信装置の前記状態更新部は、カルマンフィルタを用いて、前記システムの状態ベクトルとその誤差共分散行列を更新し、
    各演算通信装置の前記通信部は、前記状態更新部により更新された状態ベクトルを、前記更新データとして、該演算通信装置が設けられた対象物体とは別の対象物体に送信し、
    各演算通信装置の前記状態統合部は、該演算通信装置により更新した状態ベクトルと、前記通信部が受けた状態ベクトルとにそれぞれ、予め定めた重み係数を乗じて得たベクトル同士を足し合わせることにより、統合した新たな最新の状態ベクトルを求める、ことを特徴とする請求項1に記載の状態データ更新装置。
  3. 前記状態データは、前記システムの状態を直接的に表す状態ベクトルから変換された情報ベクトルであり、前記誤差データは、前記状態ベクトルの誤差共分散行列から変換された情報行列であり、
    各演算通信装置の状態推定部は、前記推定式に従って、前記観測値を取得した観測時点における情報ベクトルと情報行列を推定し、
    各演算通信装置の状態更新部は、状態推定部により推定された情報ベクトルと情報行列とに基づいて、情報フィルタを用いて、情報ベクトルと情報行列を更新するとともに、更新された情報ベクトルと推定された情報ベクトルとの差に関する情報ベクトル差分量を求め、更新された情報行列と推定された情報行列との差に関する情報行列差分量を求め、
    各演算通信装置の通信部は、該演算通信装置の状態更新部が求めた情報ベクトル差分量と情報行列差分量を、前記更新データとして、該演算通信装置が設けられた対象物体とは別の対象物体に送信し、
    各演算通信装置の前記状態統合部は、
    該演算通信装置により更新した情報ベクトルと、前記通信部が受けた情報ベクトル差分量とを足し合わせることにより、統合した新たな最新の情報ベクトルを求めるとともに、
    該演算通信装置により更新した情報行列と、前記通信部が受けた情報行列差分量とを足し合わせることにより、統合した新たな最新の情報行列を求める、ことを特徴とする請求項1に記載の状態データ更新装置。
  4. 各演算通信装置は、
    (A)前記観測部により前記観測値を取得し、
    (B)前記状態推定部により、該観測値が取得された観測時点における情報ベクトルと情報行列を推定し、
    (C)前記状態更新部により、情報ベクトルと情報行列を更新するとともに、情報ベクトル差分量と情報行列差分量を求め、
    前記(A)〜(C)を繰り返し行い、
    前記(C)を行った時に、該(C)を今回の更新処理とし、該今回に対する前回の前記(C)を前回の更新処理として、前回の更新処理が行われた時点から今回の更新処理が行われた時点までの期間において、該演算通信装置の通信部が別の演算通信装置から受けたすべての複数の情報ベクトル差分量と今回の更新処理で更新された情報ベクトルとを足し合わせることにより、更新された新たな最新の情報ベクトルを求めるとともに、該期間において、該演算通信装置の通信部が別の演算通信装置から受けたすべての複数の情報行列差分量と今回の更新処理で更新された情報行列とを足し合わせることにより、更新された新たな最新の情報行列を求める、ことを特徴とする請求項3に記載の状態データ更新装置。
  5. 前記演算通信装置は、自身の前記状態更新部による更新に関する前記更新データを送信する送信タイミングを指定し、または、該更新データの送信先とする別の対象物体を選択する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の状態データ更新装置。
  6. 複数の演算通信装置は、少なくとも、第1、第2および第3の演算通信装置を含み、
    第1の演算通信装置の通信部と第2の演算通信装置の通信部とが、互いに直接通信できない場合に、
    第1の演算通信装置の通信部は、第1の演算通信装置の状態更新部による更新に関する更新データを、第3の演算通信装置の通信部を介して、第2の演算通信装置の通信部へ送信可能である、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の状態データ更新装置。
  7. 複数の対象物体を含むシステムの状態を求める状態データ更新方法であって、
    前記対象物体は、地上に静止している静止体であるか、または、地上に対して移動する移動体であり、
    前記複数の対象物体にそれぞれ複数の演算通信装置を設け、
    各演算通信装置において、
    (A)観測部により、該演算通信装置が設けられた対象物体の内部状態と該対象物体に対する外部状態の一方または両方を観測して、該一方または両方の観測値を取得し、
    (B)状態推定部により、過去の時点における前記システムの状態データを新たな時点の状態データへ遷移させる推定式に従って、前記観測値を取得した観測時点における前記システムの状態データと、この状態データの誤差を表わす誤差データを推定し、
    (C)状態更新部により、前記(B)で推定された前記状態データと前記観測値とに基づいて、前記システムの状態データを更新するとともに、誤差データを更新し、
    (D)通信部により、前記状態更新部による更新に関する更新データを、該演算通信装置が設けられた対象物体とは別の対象物体に送信し、
    (E)該演算通信装置が設けられた対象物体とは別の対象物体から更新データを前記通信部により受けた場合に、状態統合部により、前記(D)で更新された最新の状態データと、前記通信部により受けた更新データとを統合することにより、新たな最新の状態データを求める、ことを特徴とする状態データ更新方法。
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