JP2016209197A - 樹脂インプラント材料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の課題は、骨に近い剛性を示し、且つ、酸化チタンに匹敵する骨伝導性、骨形成性を有し、頚椎症治療や歯科治療などに用いることができる骨インプラントとして好適な樹脂インプラント用材料およびその製造方法を提供することである【解決手段】 本発明は、表面に親水性官能基が形成され、アルカリ金属が導入された芳香族ポリエーテルケトンを含む、インプラント材料、ならびに、インプラント材料の製造方法であって、(1)芳香族ポリエーテルケトンの表面に親水性官能基を形成する工程、(2)前記(1)で得られた表面に親水性官能基を形成された芳香族ポリエーテルケトンに、アルカリ金属を導入する工程を含む、前記製造方法などに関する。【選択図】 図3

Description

本発明は、樹脂インプラント材料に関し、特に、オッセオインテグレーションが可能な樹脂インプラント材料およびその製造方法に関する。
頚椎症治療用または歯科用などのインプラントには、一般にチタン製器具が使用されている。チタン製器具は固定力も高く、また、骨伝導性も高く、ほぼ3か月間程度で自己骨が形成される。その一方で、剛性が高いために骨を破壊することもあり、このことから、例えば、頚椎症患者に対してチタン製器具を用いて手術する際には、術後の骨破壊に留意する必要性が指摘されている。特に、骨が弱い高齢者やリウマチ性疾患の女性患者の場合は、特に留意する必要がある。
チタン製器具に替る器具として、近年、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK;Polyether ether ketone)製の器具が使用され始めている。PEEKは結晶性の熱可塑性樹脂で、耐熱性、耐疲労性、耐衝撃性、耐クリープ性に優れ、ガス・金属イオンの溶出が少ない化学的に安定した材料として広く用いられている。このPEEK製器具の特徴として、金属と比べて剛性が骨に近く、骨破壊の可能性が低いことが挙げられる。
一方、PEEK製器具は自己骨形成が極めて遅く、自己骨形成が認められるまでには相当の期間を要し、PEEK製頸椎ケージを使用した症例において、自己骨形成が遅く、チタン製器具の平均的な期間の3か月では自己骨の形成が認められず、自己骨形成までに約2倍の期間を要するという知見もある。
これまで、PEEKを含む高分子化合物製インプラントについて骨親和性を高める方法としていくつかの試みがなされている。
例えば、表面加工の方法として、表面層にリン酸カルシウムを含有させる方法(例えば特許文献1)、基材上に金属イオンプラズマを蒸着し、これに骨芽細胞等の細胞を付着させる方法(例えば特許文献2)、ヒドロキシアパタイトを含む生物活性微粒子セラミックと混合する方法(例えば特許文献3)、高分子表面に金属酸化物接着層を形成する方法(例えば特許文献4)、などが報告されている。
また、脊椎ケージに関して、PEEK等で形成した構造部材の両側の骨接触面に貫通して延在する長軸部分に骨伝導性の部材を充填一体化させた脊椎ケージが報告されている。(例えば特許文献5)
さらに大気圧プラズマ処理によりPEEKの表面に水酸基やカルボキシル基などの親水性官能基を付与し、カルシウムイオンを含む溶液とリン酸イオンを含む溶液とに交互に一定時間ずつ浸漬し、ヒドロキシアパタイトを担持するインプラント材料とすることが報告されている(例えば特許文献6)。
しかしながら、これらの方法を用いても、チタンと代替可能な程度に十分な効果が得られていないのが実情であった。
本発明者らは、チタンに替るインプラント用素材として、骨に近い剛性を示す点で頚椎症治療用や歯科用として優れ、また歯科用の場合、色合いから審美性の観点からも優れているPEEKに着目し研究を進めてきた。しかし従来から検討されているPEEK表面に骨伝導性を示す層を蒸着または形成させる方法を用いた場合(例えば特許文献1〜4)、形成した表面層の剥離、溶解、消失などの問題が懸念された。また、PEEK等で形成した構造部材の両側の骨接触面に貫通して延在する長軸部分に骨伝導性の部材を充填一体化させた脊椎ケージを用いた場合(例えば特許文献5)、構造体の一部が剛性の低い部材に替えられているため、構造材の強度に問題があり、チタンに代替するインプラント材料としては満足できるものではなかった。さらに、大気圧プラズマ処理によりPEEKの表面に親水性官能基を付与し、ヒドロキシアパタイトを担持させる場合(例えば特許文献6)、ヒドロキシアパタイトを担持させるには、カルシウムイオンを含む溶液とリン酸イオンを含む溶液とに交互に一定時間ずつ浸漬する必要があり、繰り返される工程を含み、工数が嵩み、コスト高となり、実用化は困難であった。
すなわち、従来検討されてきたチタンに代替する樹脂インプラント材料では、全体としてチタンと同様のオッセオインテグレーションが得られないという問題に直面した。
特表2004−531305号公報 特表2009−542261号公報 特開2010−246934号公報 特表2011−500216号公報 特表2007−512874号公報 特開2011−125531号公報
本発明者らは、上記問題を解決するために、チタンと同様な骨伝導性、骨形成性を有し、且つ、骨に近い剛性を示すインプラント用材料を開発すべく、鋭意研究を重ねたところ、基材表面に骨伝導性を示す層を蒸着または形成したり、基材の一部を別の材料で置き換えたりするのではなく、樹脂基材自体の特に表面を特定の化学修飾をすることにより、チタンと同様にオッセオインテグレーションが可能な樹脂インプラント用材料とすることができることを新たに見出し、さらに検討を進め、本発明を完成するに至った。
したがって本発明の課題は、骨に近い剛性を示し、且つ、酸化チタンに匹敵する骨伝導性、骨形成性を有し、頚椎症治療や歯科治療などに用いることができる骨インプラントとして好適な樹脂インプラント用材料およびその製造方法を提供することにある。
すなわち本発明は、以下に関する。
[1]表面に親水性官能基が形成され、アルカリ金属が導入された芳香族ポリエーテルケトンを含む、インプラント材料。
[2]芳香族ポリエーテルケトンが、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)またはポリエーテルケトン(PEK)である、前記[1]に記載のインプラント材料。
[3]親水性官能基が、カルボキシル基または、カルボキシル基と、水酸基、スルホ基、アミノ基、リン酸基およびシラノール基からなる群から選択される少なくとも1種との組み合わせである、前記[1]または[2]に記載のインプラント材料。
[4]アルカリ金属が、ナトリウムである前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載のインプラント材料。
[5]インプラント材料の製造方法であって、
(1)芳香族ポリエーテルケトンの表面に親水性官能基を形成する工程、
(2)前記(1)で得られた表面に親水性官能基を形成された芳香族ポリエーテルケトンに、アルカリ金属を導入する工程
を含む、前記製造方法。
[6]親水性官能基のカルボキシル基の形成が、フッ素ガス表面処理により行われる、前記[5]に記載の製造方法。
[7]アルカリ金属の導入が、表面に親水性官能基を形成された芳香族ポリエーテルケトンを水酸化ナトリウム溶液に浸漬することにより行われるナトリウムの導入である、前記[5]または[6]に記載の製造方法。
[8]前記[5]〜[7]のいずれか一項に記載の製造方法により製造された、インプラント材料。
[9]頚椎用または歯科用である、前記[1]〜[4]および[8]のいずれか一項に記載のインプラント材料。
[10]骨芽細胞が接着してなる、前記[9]に記載のインプラント材料。
さらに、本発明は以下に関する。
[11]インプラント材料を選抜する方法であって、
カルシウム含有ハンクス液にインプラントの候補材料を浸漬する工程、
候補材料を浸漬したハンクス液中のカルシウムイオン濃度を測定する工程
を含む、前記方法。
[12]カルシウム濃度の測定が経時的に行われる、前記[11]に記載の方法。
[13]カルシウム濃度の経時的変化を指標としてインプラント材料を選抜する、前記[12]に記載の方法。
本発明は、従来のチタン製インプラントよりも骨と近い剛性を示すことから骨破壊を引き起こす可能性が低く、従来のチタン製インプラントと同様のオッセオインテグレーションが可能な樹脂インプラント用材料を提供することができる。すなわち、本発明は、患者の骨に過度の負担をかけることなく、高い骨伝導性、骨形成性を実現することができる。
さらに本発明のインプラントは樹脂製であることから、歯や骨とより近い色合いのインプラント材料とすることができ、特に歯科用インプラントにおいて、チタン製のように歯や歯茎が黒ずんでしまうといった不具合がなく、審美性の観点からも優れている。
図1は、ハンクス(Hanks)液に各インプラント材料を浸漬した場合の、液中のカルシウム(Ca)イオン濃度の変化を示す図である。 図2Aは、インプラント材料1(F2/O2NaOH面_PEEK)をハンクス液に100日間浸漬したものを実体顕微鏡で観察した結果を示す図である。図2Bは、図2AのB部の強拡大像を示す図である。 図3Aは、図2AのB部を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を示す図である。図3Bは、図3AのB部の強拡大像を示す図である。 図4は、インプラント材料1(F2/O2NaOH面_PEEK)をハンクス液に100日間浸漬したものの元素分析(EDS)の結果を示す図である。 図5は、インプラント材料3(bare_PEEK)をハンクス液に100日間浸漬したものを実体顕微鏡で観察した結果を示す図である。 図6Aは、図5の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を示す図である。図6Bは、図6Aの強拡大像を示す図である。 図7は、インプラント材料3(bare_PEEK)をハンクス液に100日間浸漬したものの元素分析(EDS)の結果を示す図である。
本発明のインプラント材料は、表面に親水性官能基が形成され、アルカリ金属が導入された芳香族ポリエーテルケトンを含む。
本発明において用い得る芳香族ポリエーテルケトンとしては、ベンゼン環がエーテルとケトンにより結合した直鎖状ポリマー構造を有していれば特に限定されない。例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)などを用いることができるが、医療用における使用実績などの観点から、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を用いることが好ましい。
本発明のインプラント材料の表面に形成される親水性官能基としては、カルボキシル基、水酸基、スルホ基、アミノ基、リン酸基、シラノール基などの中から選択される少なくとも1種が挙げられるが、カルボキシル基または、カルボキシル基と、水酸基、スルホ基、アミノ基、リン酸基およびシラノール基からなる群から選択される少なくとも1種との組み合わせであることが好ましい。
また、本発明のインプラント材料の表面に導入されるアルカリ金属としては、医療用として使用することができるものであれば、特に限定されない。例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)のうち、ナトリウムやカリウムを導入するのが好ましく、ナトリウムを導入するのが特に好ましい。
本発明のインプラント材料の製造方法は、
(1)芳香族ポリエーテルケトンの表面に親水性官能基を形成する工程、
(2)前記(1)で得られた表面に親水性官能基を形成された芳香族ポリエーテルケトンに、アルカリ金属を導入する工程
を含む。
芳香族ポリエーテルケトンの表面に親水性官能基を形成して親水化する方法は、好ましくは、フッ素ガス表面処理により行われる。フッ素ガス表面処理による親水化処理は、大気圧プラズマ処理などの他の親水化処理に比べて、カルボキシル基の生成量が多く、長期安定的な優れた親水化を実現できる。ここで、フッ素ガス表面処理による親水化処理とは、親水性官能基を形成させる基材を、フッ素ガスおよび酸素ガスを含む混合ガスに一定時間曝露することである。
フッ素ガス表面処理では、反応炉内中の基材表面積が増加すると反応消費されるフッ素ガス量が増加する為、導入するフッ素ガス濃度を高くしなければならない等の最適化がおこなわれる。また、暴露時間を長くする或いは処理温度を高くすれば、少ないフッ素ガス濃度でも十分に効果が得られるなど、フッ素ガス濃度と処理時間、基材表面積や反応炉体積に相関があり、処理する条件が限定されるものではないが、フッ素ガス濃度は0.1〜20%、酸素ガス濃度はフッ素ガス濃度の0.1倍以上の濃度、反応時間は10秒〜60分、処理温度は室温〜100℃の範囲で設定されることが一般的である。
フッ素ガス濃度が低い場合には暴露時間が増大し、生産性の良い時間で終了させることが難しくなる傾向がある。また、フッ素ガス濃度が多いと、フッ素ガスの腐食性により、設備の健全性・安全性を保つことが難しくなる傾向がある。
酸素ガス濃度がフッ素ガス濃度の0.1倍以上存在しない場合には、親水化反応よりもフッ素化反応が極めて優先となり、十分に親水性官能基を導入することが難しくなる。しかし、酸素ガス濃度がフッ素ガス濃度よりも高いことに関しては制限が存在しない。
また、反応時間も特に制限は存在しないが、反応炉内の処理の均一性を確保する為には通常10秒以上は必要であり、生産性を考慮すると60分より長時間は好ましくない。
処理温度に関しても特に制限は存在しないが、低温で処理する場合には生産性に極めて劣り、通常室温以上で実施する。また、あまりにも高温で処理を実施するとフッ素ガスの高すぎる反応性の為に制御が難しくなり、異常反応により基材が燃焼してしまうことが確認されているので、100℃以下で実施することが一般的である。
また、アルカリ金属の導入は、例えば、導入するアルカリ金属イオンを含有する溶液に、基材を浸漬することによって行うことができる。例えば、アルカリ金属としてナトリウムを導入する場合、所定濃度の水酸化ナトリウム水溶液などの溶液に基材を一定時間浸漬することで行うことができる。
本発明のインプラント材料は、頸椎用または歯科用として用いることができる。また、体内へ適用する前に、骨芽細胞を接着させておいて用いることもできる。
本発明はインプラント材料を選抜する方法に関し、
カルシウム含有ハンクス液にインプラントの候補材料を浸漬する工程、
候補材料を浸漬したハンクス液中のカルシウムイオン濃度を測定する工程
を含む。
カルシウム濃度の測定は経時的に行うことができ、このカルシウム濃度の経時的変化を指標としてインプラント材料を選抜することができる。
以下、本発明について、さらに詳細に実施例を用いて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
試験例1<浸漬溶液(Hanks液)のCaイオン濃度変化>
ポリエチレン密閉ビンを用いて、ハンクス(Hanks)液(Ca+、Mg+)20ml中に、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)材(縦10mm×横10mm×厚さ1mmの正方形で板状)またはチタン(Ti)板(参考試料)を2枚ずつ浸漬し、経時的にCaイオン濃度を計測した。計測にはカルシウムE−テストワコーキットを用いて、マイクロプレートリーダー(BIO-RAD Tokyo)による吸光度測定からカルシウムイオン濃度を算出した。なお、ハンクス液中の減少したカルシウム(Ca)は、浸漬材料の表面に吸着したものと仮定できる。
用いたPEEK材およびチタン板は次のとおりである。
材料1:F/O処理することにより表面にカルボキシル基を形成し、その後、水酸化ナトリウム溶液へ浸漬して、ナトリウムを導入したPEEK材(F2/O2NaOH面_PEEK)
材料2:アルミナブラスト加工したチタン板(アルミナブラスト面_Ti)
材料3:旋盤切断加工のみを施したPEEK材(bare_PEEK)
材料4:鏡面研磨したチタン板(鏡面研磨面_Ti)
ここでF/O処理は、フッ素4kPaと酸素86kPaの混合ガスに、室温で30分間曝露することによって行った。また水酸化ナトリウム溶液への浸漬は、0.1N水酸化ナトリウム水溶液に、室温で30分間浸漬することによって行った。
図1に示すとおり、密閉容器内のハンクス液のカルシウムイオン濃度は、浸漬した材料によって減少率に違いが認められた。特に、材料1(F2/O2 NaOH面_PEEK)では大きな濃度減少が認められた。
試験例2<基材表面のSEM観察と元素分析>
ハンクス液浸漬100日後に、浸漬液からPEEK材を取り出し、速やかにエアブローにて水分を除去後、乾燥して、実体顕微鏡、低真空分析走査電子顕微鏡(EDS, SEM)(JOEL JSM-6360LA)にて観察した。SEMの観察にはPtスパッタリング処理を施した。
表面にカルボキシル基を形成し、ナトリウムを導入したPEEK材(材料1:F2/O2 NaOH面_PEEK)の実体顕微鏡、SEMの観察結果を図2および図3に、元素分析(EDS)結果を図4に示す。また、旋盤切断加工のみを施したPEEK材(材料3:bare_PEEK)の実体顕微鏡、SEMの観察結果を図5および図6に、元素分析(EDS)結果を図7に示す。
<材料1の結果>
実体顕微鏡での観察の結果、図2Aに示すとおり、材料1をハンクス液に100日間浸漬したものには、斜光反射が白く光って見える中に、不反射部分(矢印)が多く見られた。不反射部分の強拡大像では、赤い回折反射が認められた(図2B:図2AのB部の強拡大像)。
SEMで観察すると、図3Aに示すとおり、基材のPEEK表面に結晶析出様の物質が多く認められた。強拡大像では、基材PEEK表面に花模様の析出物が見られた(図3B)。
元素分析(EDS)の結果、基材のPEEK成分であるC、Oの他にCaとPが検出された。これはリン酸カルシウムの析出があったことを意味する。なお、Alは、サンプル固定装置のAlが検出されている。
<材料3の結果>
実体顕微鏡での観察の結果、図5に示すとおり、材料3をハンクス液に100日間浸漬したものは、斜光反射が一様に白く光って見え、不反射部分は確認されなかった。
SEMで観察すると、図6Aに示すとおり、基材のPEEK表面には結晶析出様の物質(矢印)がわずかに認められた。強拡大像では、基材PEEK表面に小塊物質(矢印)がわずかに見られた(図6B)。
元素分析(EDS)の結果、基材のPEEK成分であるC、Oと固定用基板のAlが検出されたが、CaおよびPは検出限界以下であった。このことは、材料1で見られたリン酸カルシウムの析出が、材料3では見られなかったことを意味する。
試験例3<浸漬溶液(10倍希釈Hanks液)のpH変化>
ポリエチレン密閉ビンを用いて、10倍希釈したハンクス(Hanks)液(Ca+、Mg+)20ml中に、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)材(縦10mm×横10mm×厚さ1mmの正方形で板状)またはチタン(Ti)板(参考試料)を2枚ずつ浸漬し、経時的にpHを計測した。
密閉容器内のハンクス液は、時間経過とともにpHの上昇が認められた。PEEKおよびTi板の浸漬群では24時間での上昇が大きかった。しかし、時間経過とともに上昇は緩やかとなって96時間では一定のpHで安定した。
PEEK材の浸漬液pHは上昇傾向にあり、PEEK材表面はアルカリ性である可能性がある。
試験例4<培養細胞の石灰化物生成>
以下の材料を用いて、基材表面における培養細胞の石灰化物の生成を確認した。
基材:材料1(F2/O2NaOH面_PEEK)
培養細胞:ddyマウス頭蓋骨より採取した骨髄細胞
培地:αMEM培養液にアスコルビン酸、βグリセロリン酸、デキサメタゾンを加えて石灰化培地とした。
3週間培養した後、4%パラホルムアルデヒドで固定し、アリザリンレッドにて石灰化物を赤色に染色した。
染色の結果、材料1の表面上に、赤色に染色された石灰化物が確認された(図示せず)。
この結果から、材料1は、チタンと同じように表面にリン酸カルシウムを析出させて、石灰化物形成の性質を示すことが確認された。
本発明のインプラント材料は、樹脂製インプラント材料でありながら、チタン製インプラント材料と同等以上のオッセオインテグレーションが期待できるとともに、骨に近い剛性を有することから、チタン製インプラント材料に代替可能で、骨インプラントとして、より優れた特性を有している。さらに、チタン製などの金属製では問題となる色調も、樹脂製インプラント材料であって、色調の調整が可能であるため、審美性などが要求される歯科インプラント材料としても優れている。したがって、本発明のインプラント材料は、チタン製インプラントが使用可能な広範な領域において利用可能であるばかりでなく、チタン製インプラントの欠点が指摘される領域においても利用することができる。

Claims (10)

  1. 表面に親水性官能基が形成され、アルカリ金属が導入された芳香族ポリエーテルケトンを含む、インプラント材料。
  2. 芳香族ポリエーテルケトンが、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)またはポリエーテルケトン(PEK)である、請求項1に記載のインプラント材料。
  3. 親水性官能基が、カルボキシル基または、カルボキシル基と、水酸基、スルホ基、アミノ基、リン酸基およびシラノール基からなる群から選択される少なくとも1種との組み合わせである、請求項1または2に記載のインプラント材料。
  4. アルカリ金属が、ナトリウムである請求項1〜3のいずれか一項に記載のインプラント材料。
  5. インプラント材料の製造方法であって、
    (1)芳香族ポリエーテルケトンの表面に親水性官能基を形成する工程、
    (2)前記(1)で得られた表面に親水性官能基を形成された芳香族ポリエーテルケトンに、アルカリ金属を導入する工程
    を含む、前記製造方法。
  6. 親水性官能基のカルボキシル基の形成が、フッ素ガス表面処理により行われる、請求項5に記載の製造方法。
  7. アルカリ金属の導入が、表面に親水性官能基を形成された芳香族ポリエーテルケトンを水酸化ナトリウム溶液に浸漬することにより行われるナトリウムの導入である、請求項5または6に記載の製造方法。
  8. 請求項5〜7のいずれか一項に記載の製造方法により製造された、インプラント材料。
  9. 頚椎用または歯科用である、請求項1〜4および8のいずれか一項に記載のインプラント材料。
  10. 骨芽細胞が接着してなる、請求項9に記載のインプラント材料。
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