JP2016206760A - 色判別方法及び色判別装置、並びに印刷機色調制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】色の再現性等の点で精密さや厳密さが求められる印刷物や立体塗装品に対して、迅速で正確な色判別を行うことができる色判別方法及び色判別装置、並びに印刷機色調制御方法を提供する。【解決手段】本発明の色判別方法は、印刷物の色を数値化して面で判別するため、印刷物の色を平面で読み取る工程と、該平面で読み取った画像のピクセル位置に相当する領域に保存されるバイナリデータから赤、緑、青の各値を取得する工程と、前記各値の差の大小によって無彩色及び有彩色を分ける工程と、有彩色に対応した個別の色を指定色とし、有彩色のピクセルごとに取得した赤、緑、青の各値をグレースケール輝度値に変換し、指定色の標準輝度値が含まれるように設定した輝度範囲内で平均化する工程と、平均化した輝度値が設定した輝度値の許容範囲内に含まれるか否かによって所望の色であるか否かを判定する工程とを有する。【選択図】図1
Description
本発明は、一般の印刷物だけでなく、医療機器や自動車部品等の分野で使用する工業用のシール・ラベル等の2次元印刷物又は立体物塗装品等の3次元印刷物の色を平面で読み取ることによって一括して短時間に色を判別するとともに、基材や色の種別又は照明等の外的環境によって起こりやすい色ブレの影響を低減することができる色判別方法及び色判別装置、並びに前記色判別方法を利用して印刷機の色調制御を行う印刷機色調制御方法に関する。
工業用のシールやラベル等の印刷物や塗装された自動車等の立体物は大量生産されており、それらの色を製品ごとに一括して短時間に、且つ、高精度で判別することができれば、色の管理が容易になる。それによって、検査工程の効率化及び製品管理への迅速なフィードバックを図ることができる。製品ごとに色の管理を行う場合には、局所的な狭小領域の色のばらつきによって起きやすい色判別のブレを低減することが求められる。狭小領域の色は基材や色の種別又は照明等の外的環境によって変動しやすく、2次元印刷物や立体物等の3次元印刷物の表面に形成された色を平面で一括して判別するときに正確な判別が難しいためである。例えば、平面で読み取る色が実質的に製品規格内の合格品であるのに対して、測定上では規格外の色が存在するという判別エラーが発生するという問題が起きる。
また、シールやラベルを医療機器や自動車部品等の分野に使用する場合は、単なる表示の目的だけでなく、取扱い方法や危険を知らせるために混色で使用される場合が多い。例えば、黄色やオレンジ等に黒色が混色されていると、黄色やオレンジが黒色によって影響を受け、実際の色よりも濃い色として判別されるようになり、不良品としてみなされる場合がある。したがって、工業用のシールやラベル等の印刷物は、一般的な印刷物に比べて、色の再現性等の点で精密さや厳密さが求められる。
色の評価法としては、例えば、印刷物の微小な部分(ピンポイント)を反射率等で測定する方法が知られており、ピンポイント計測のために使用する分光光度計又は分光測色計等が市販されている。しかしながら、これらの方法や装置は、シールやラベル等又は塗装品のように一定面積を有する面全体で色の評価する場合、測定及びデータ処理等が非常に煩雑で複雑となり、実用に適さない。
印刷物や立体物の色は、これまで見本色との照合を目視観測で行う方法が中心であるが、目視観測は十分な経験が必要とされるため、検査結果にバラツキが生じて正確性に問題が生じるだけでなく、検査工程の省力化に対して大きな制約がある。印刷物の色を、例えば、一定面積での平均値として数値等に置き換えて定量化すれば誰もが迅速で正確に色判別できるようになる。この方法は、検査工程の自動化による大幅な省力化を図ることができることから期待が大きく、実現化が強く望まれている。
色の判別方法としては、上記の反射率測定以外にも従来から様々な方法が提案されている。例えば、特許文献1には、サンプリング手段で抽出された画素が有彩色か無彩色かを判別し、有彩色と判別された画素について、色成分判別部によって当該画素の色を判別する方法が開示されている。ここで、色判別は、入力した画素データの輝度と彩度が、あらかじめ記憶している上限値と下限値に入っているか否かで判定して行われる。
また、特許文献2には、基準画像と被検画像について、輝度成分と色成分を分離して、色成分のみの全体積分処理、ブロック積分値及びブロック微分処理をそれぞれ比較することによって、基準画像と比較画像が一致しているか否かを判定する画像識別方法が開示されている。
一方、特許文献3には、赤色、青色等で着色された用紙に黒色で文字が印刷された文書、パンフレット等の画像処理装置が開示されており、文字を見易くするために、黒色で印刷された文字と着色部(背景)とのコントラストを高くする方法が提案されている。
しかしながら、前記の特許文献1及び2に記載の色判別方法は、それぞれ2色カラーコピーで使用する色を自動的に選択する方法、及びオリジナルの印刷物とは異なる印刷形態で作成された複製物を検出する方法としてサンプリング手段で抽出された画素について色の判別を行う方法であり、狭小領域の色バラツキによる影響を排除しながら、色を平面で読み取って一括処理で色判別を行う方法とは異なる。したがって、工業用のシールやラベル等の印刷物や塗装された自動車等の立体物の色を製品ごとに短時間に、且つ、高精度で判別する用途には適さない。
また、特許文献3に記載の画像処理装置は、有彩色の画素を白色の画素に置き換える変換手段と変換された無彩色画像に対して諧調手段を施す手段とを有するものであるが、着色された有彩色部分の色判別方法については記載も示唆もされていない。したがって、工業用のシールやラベル等の印刷物や塗装された自動車等の立体物の色として一般的に使用される有彩色の色判別用として、その技術をそのまま適用を図ることは困難である。
本発明は、係る問題を解決するためになされたものであり、一般的な印刷物に比べて色の再現性等の点で精密さや厳密さが求められる工業用のシールやラベル等の2次元印刷物又は立体物塗装品等の3次元印刷物に対して、迅速で正確な色判別を行うことができる印刷物の色判別方法及び色判別装置、並びに前記色判別方法を利用して印刷機の色調制御を行う印刷機色調制御方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために、印刷物の色の判別を面全体で行うときに基材や色の種別又は照明等の外的環境による影響を低減して本質的な色判別を行なう方法として、印刷物の色を面で読み取ったバイナリーデータから赤、緑、青の各値をピクセルごとに取得し、該赤、緑、青の各値に基づいて無彩色と区別して分離した有彩色を有するピクセルについて平均輝度値を求め、あらかじめ設定した指定色の輝度値の範囲に含まれるか否かを判定することによって、迅速で正確な色判別を行うことができることを見出し発明に到った。
すなわち、本発明の構成は以下の通りである。
[1]本発明は、平面又は立体の印刷物又は塗装品の色を数値化して面で判別する方法であって、前記の印刷物又は立体物の色を平面で読み取る工程と、該平面で読み取った画像のピクセル位置に相当する領域に保存されるバイナリデータから赤、緑、青の各値を取得する工程と、該赤、緑、青の各値の差が大きいピクセル及び小さいピクセルを、それぞれ有彩色及び無彩色として判定する工程と、前記有彩色の個別の色を指定色とし、前記有彩色として判定されたピクセルごとの前記赤、緑、青の各値をグレースケール輝度値に変換する工程と、前記グレースケール輝度値を前記指定色の標準輝度値が含まれるようにあらかじめ設定した輝度値の範囲内で平均化する工程(仮平均化工程)と、該平均化した輝度値が、あらかじめ設定した指定色の輝度値の許容範囲内に含まれるか否かによって、前記指定色が所望の色であるか否かを判定する工程とを有することを特徴とする色判別方法を提供する。
[2]本発明は、前記仮平均化工程において、前記あらかじめ設定した輝度値の範囲が、前記指定色の標準輝度に応じて勾配をつけて設定されており、前記指定色の標準輝度が0から255と大きくなるに伴って小さくなるように設定されることを特徴とする前記[1]に記載の色判別方法を提供する。
[3]本発明は、前記仮平均化工程に続いて、前記仮平均化工程で採用した前記輝度値の範囲内よりも狭い範囲内に属する前記有彩色のピクセルごとのグレースケール輝度値について、さらに平均化を行う工程(修正平均化工程)を有することを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の色判別方法を提供する。
[4]本発明は、前記ピクセルごとに有彩色及び無彩色として判定する工程に続いて、前記無彩色と判定されたすべての輝度値を、臨界輝度値に基づいて白色及び黒色の輝度値である255及び0のどちらか近い方の値に振り分けることによって、前記無彩色と判定されたピクセルを色判別対象から除外する工程を有することを特徴とする前記[1]〜[3]の何れかに記載の色判別方法を提供する。
[5]本発明は、前記[1]〜[4]の何れかに記載の色判別方法が、前記輝度値に加えて、さらに、前記平面上に読み取った画像のピクセル位置に相当する領域に保存されるバイナリデータから取得した前記赤、緑、青の各値をHLS色空間の色相及び彩度の少なくとも一つに変換する工程と、前記有彩色と判定されたピクセルごとの色相値及び彩度値の少なくとも一つを、前記指定色の標準色相値が含まれるようにあらかじめ設定した色相値の範囲内又は前記指定色の標準彩度値が含まれるようにあらかじめ設定した彩度値の範囲内で平均化する工程(仮平均化工程)と、前記仮平均化工程で算出された平均色相値及び平均彩度値の少なくとも一つが、あらかじめ設定した色相値及び彩度値の少なくとも一つにおいてそれぞれの許容範囲内に含まれるか否かによって、前記指定色が所望の色であるか否かを判定する工程とを有する色判別方法を提供する。
[6]本発明は、前記の印刷物の色を平面で読み取る工程が、印刷物をスキャナー、固体撮像素子、カメラ及び面受光用バンドル光ファイバーの少なくとも何れかの手段によって画像化して行われることを特徴とする前記[1]〜[5]の何れかに記載の色判別方法を提供する。
[7]本発明は、前記無彩色が白及び黒若しくは灰色であって、前記無彩色の輝度値の測定毎のバラツキを小さくするために、前記印刷物が有する無彩色部分の輝度測定値を、あらかじめ基準輝度値が設定された無彩色と対比することによって、前記輝度測定値の較正を行うことを特徴とする前記[1]〜[6]の何れかに記載の色判別方法を提供する。
[8]本発明は、平面又は立体の印刷物又は塗装物の色を数値化して面で判別する装置であって、前記の印刷物又は立体物の色を平面で読み取る手段と、該平面で読み取った画像のピクセル位置に相当する領域に保存されるバイナリデータから赤、緑、青の各値を取得するステップ、前記赤、緑、青の各値の差が小さいピクセル及び大きいピクセルを、それぞれ有彩色及び無彩色として判定するステップ、該有彩色の個別の色を指定色とし、前記有彩色として判定されたピクセルごとの前記赤、緑、青の各値をグレースケール輝度値に変換するステップ、前記グレースケール輝度値を指定色の標準輝度が含まれるようにあらかじめ設定した輝度値の範囲内で仮平均化するステップ、及び該仮平均化した輝度値が、あらかじめ設定した輝度値の許容範囲内に含まれるか否かによって、前記指定色が所望の色であるか否かを判定するステップを有する計算手段と、該計算手段によって判定された結果を表示する表示手段とを備える色判別装置を提供する。
[9]本発明は、前記仮平均化のステップにおいて、前記あらかじめ設定した輝度値の範囲が、前記指定色の標準輝度に応じて勾配をつけて設定されており、前記指定色の標準輝度が0から255と大きくなるに伴って小さくなるように設定されることを特徴とする前記[8]に記載の色判別装置を提供する。
[10]本発明は、前記の計算手段が、前記仮平均化のステップに続いて、前記仮平均化のステップで採用した輝度範囲内よりも狭い範囲内に属する前記有彩色のピクセルごとのグレースケール輝度値について、さらに平均化を行うステップ(修正平均化のステップ)を有することを特徴とする前記[8]又は[9]に記載の色判別装置を提供する。
[11]本発明は、前記計算手段が、前記ピクセルごとに有彩色及び無彩色として判定するステップに続いて、前記無彩色と判定されたすべての輝度値を、臨界輝度値に基づいて白色及び黒色の輝度値である255及び0のどちらか近い方の値に振り分けることによって、前記無彩色と判定されたピクセルを色判別対象から除外するステップを有することを特徴とする前記[8]〜[10]の何れかに記載の色判別装置を提供する。
[12]本発明は、前記[8]〜[11]の何れかに記載の色判別装置が、前記輝度値を測定する手段に加えて、さらに、前記平面上に読み取った画像のピクセル位置に相当する領域に保存されるバイナリデータから取得した前記赤、緑、青の各値をHLS色空間の色相及び彩度の少なくとも一つに変換するステップ、前記有彩色と判断されたピクセルごとの色相値及び彩度値の少なくとも一つを前記指定色の標準色相値が含まれるようにあらかじめ設定した色相値の範囲内又は前記指定色の標準彩度値が含まれるようにあらかじめ設定した彩度値の範囲内で仮平均化するステップ、及び該仮平均化によって算出された前記指定色が有する平均色相値及び平均彩度値の少なくとも一つが、あらかじめ設定した色相値及び彩度値の少なくとも一つにおいてそれぞれの許容範囲内に含まれるか否かによって、前記指定色が所望の色であるか否かを判定するステップを有する計算手段を備える色判別装置を提供する。
[13]本発明は、前記の印刷物の色を平面で読み取る手段が、スキャナー、固体撮像素子、カメラ及び面受光用バンドル光ファイバーの少なくとも何れかであることを特徴とする前記[8]〜[12]の何れかに記載の色判別装置を提供する。
[14]本発明は、前記無彩色が白及び黒若しくは灰色であって、前記印刷物が有する無彩色部分の輝度測定値の較正を行うことによって前記無彩色の輝度値の測定毎のバラツキを小さくするために、あらかじめ基準輝度値が設定された無彩色印刷物を内部に有することを特徴とする前記[8]〜[13]の何れかに記載の色判別装置を提供する。
[15]本発明は、サンプリングした印刷物と校了紙又は基準画像を有する紙との比較を行い、両者の色調が一致するように印刷物の色調を制御すること、又は別の色調を改めて設定することによって、各色印刷ユニットのインキキーを操作してインキ供給量を調整する方法において、前記サンプリングした印刷物及び前記校了紙又は基準画像を有する紙の少なくとも何れかの色調を判別する方法として、前記[1]〜[7]の何れかに記載の色判別方法を用いることを特徴とする印刷機色調制御方法を提供する。
[1]本発明は、平面又は立体の印刷物又は塗装品の色を数値化して面で判別する方法であって、前記の印刷物又は立体物の色を平面で読み取る工程と、該平面で読み取った画像のピクセル位置に相当する領域に保存されるバイナリデータから赤、緑、青の各値を取得する工程と、該赤、緑、青の各値の差が大きいピクセル及び小さいピクセルを、それぞれ有彩色及び無彩色として判定する工程と、前記有彩色の個別の色を指定色とし、前記有彩色として判定されたピクセルごとの前記赤、緑、青の各値をグレースケール輝度値に変換する工程と、前記グレースケール輝度値を前記指定色の標準輝度値が含まれるようにあらかじめ設定した輝度値の範囲内で平均化する工程(仮平均化工程)と、該平均化した輝度値が、あらかじめ設定した指定色の輝度値の許容範囲内に含まれるか否かによって、前記指定色が所望の色であるか否かを判定する工程とを有することを特徴とする色判別方法を提供する。
[2]本発明は、前記仮平均化工程において、前記あらかじめ設定した輝度値の範囲が、前記指定色の標準輝度に応じて勾配をつけて設定されており、前記指定色の標準輝度が0から255と大きくなるに伴って小さくなるように設定されることを特徴とする前記[1]に記載の色判別方法を提供する。
[3]本発明は、前記仮平均化工程に続いて、前記仮平均化工程で採用した前記輝度値の範囲内よりも狭い範囲内に属する前記有彩色のピクセルごとのグレースケール輝度値について、さらに平均化を行う工程(修正平均化工程)を有することを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の色判別方法を提供する。
[4]本発明は、前記ピクセルごとに有彩色及び無彩色として判定する工程に続いて、前記無彩色と判定されたすべての輝度値を、臨界輝度値に基づいて白色及び黒色の輝度値である255及び0のどちらか近い方の値に振り分けることによって、前記無彩色と判定されたピクセルを色判別対象から除外する工程を有することを特徴とする前記[1]〜[3]の何れかに記載の色判別方法を提供する。
[5]本発明は、前記[1]〜[4]の何れかに記載の色判別方法が、前記輝度値に加えて、さらに、前記平面上に読み取った画像のピクセル位置に相当する領域に保存されるバイナリデータから取得した前記赤、緑、青の各値をHLS色空間の色相及び彩度の少なくとも一つに変換する工程と、前記有彩色と判定されたピクセルごとの色相値及び彩度値の少なくとも一つを、前記指定色の標準色相値が含まれるようにあらかじめ設定した色相値の範囲内又は前記指定色の標準彩度値が含まれるようにあらかじめ設定した彩度値の範囲内で平均化する工程(仮平均化工程)と、前記仮平均化工程で算出された平均色相値及び平均彩度値の少なくとも一つが、あらかじめ設定した色相値及び彩度値の少なくとも一つにおいてそれぞれの許容範囲内に含まれるか否かによって、前記指定色が所望の色であるか否かを判定する工程とを有する色判別方法を提供する。
[6]本発明は、前記の印刷物の色を平面で読み取る工程が、印刷物をスキャナー、固体撮像素子、カメラ及び面受光用バンドル光ファイバーの少なくとも何れかの手段によって画像化して行われることを特徴とする前記[1]〜[5]の何れかに記載の色判別方法を提供する。
[7]本発明は、前記無彩色が白及び黒若しくは灰色であって、前記無彩色の輝度値の測定毎のバラツキを小さくするために、前記印刷物が有する無彩色部分の輝度測定値を、あらかじめ基準輝度値が設定された無彩色と対比することによって、前記輝度測定値の較正を行うことを特徴とする前記[1]〜[6]の何れかに記載の色判別方法を提供する。
[8]本発明は、平面又は立体の印刷物又は塗装物の色を数値化して面で判別する装置であって、前記の印刷物又は立体物の色を平面で読み取る手段と、該平面で読み取った画像のピクセル位置に相当する領域に保存されるバイナリデータから赤、緑、青の各値を取得するステップ、前記赤、緑、青の各値の差が小さいピクセル及び大きいピクセルを、それぞれ有彩色及び無彩色として判定するステップ、該有彩色の個別の色を指定色とし、前記有彩色として判定されたピクセルごとの前記赤、緑、青の各値をグレースケール輝度値に変換するステップ、前記グレースケール輝度値を指定色の標準輝度が含まれるようにあらかじめ設定した輝度値の範囲内で仮平均化するステップ、及び該仮平均化した輝度値が、あらかじめ設定した輝度値の許容範囲内に含まれるか否かによって、前記指定色が所望の色であるか否かを判定するステップを有する計算手段と、該計算手段によって判定された結果を表示する表示手段とを備える色判別装置を提供する。
[9]本発明は、前記仮平均化のステップにおいて、前記あらかじめ設定した輝度値の範囲が、前記指定色の標準輝度に応じて勾配をつけて設定されており、前記指定色の標準輝度が0から255と大きくなるに伴って小さくなるように設定されることを特徴とする前記[8]に記載の色判別装置を提供する。
[10]本発明は、前記の計算手段が、前記仮平均化のステップに続いて、前記仮平均化のステップで採用した輝度範囲内よりも狭い範囲内に属する前記有彩色のピクセルごとのグレースケール輝度値について、さらに平均化を行うステップ(修正平均化のステップ)を有することを特徴とする前記[8]又は[9]に記載の色判別装置を提供する。
[11]本発明は、前記計算手段が、前記ピクセルごとに有彩色及び無彩色として判定するステップに続いて、前記無彩色と判定されたすべての輝度値を、臨界輝度値に基づいて白色及び黒色の輝度値である255及び0のどちらか近い方の値に振り分けることによって、前記無彩色と判定されたピクセルを色判別対象から除外するステップを有することを特徴とする前記[8]〜[10]の何れかに記載の色判別装置を提供する。
[12]本発明は、前記[8]〜[11]の何れかに記載の色判別装置が、前記輝度値を測定する手段に加えて、さらに、前記平面上に読み取った画像のピクセル位置に相当する領域に保存されるバイナリデータから取得した前記赤、緑、青の各値をHLS色空間の色相及び彩度の少なくとも一つに変換するステップ、前記有彩色と判断されたピクセルごとの色相値及び彩度値の少なくとも一つを前記指定色の標準色相値が含まれるようにあらかじめ設定した色相値の範囲内又は前記指定色の標準彩度値が含まれるようにあらかじめ設定した彩度値の範囲内で仮平均化するステップ、及び該仮平均化によって算出された前記指定色が有する平均色相値及び平均彩度値の少なくとも一つが、あらかじめ設定した色相値及び彩度値の少なくとも一つにおいてそれぞれの許容範囲内に含まれるか否かによって、前記指定色が所望の色であるか否かを判定するステップを有する計算手段を備える色判別装置を提供する。
[13]本発明は、前記の印刷物の色を平面で読み取る手段が、スキャナー、固体撮像素子、カメラ及び面受光用バンドル光ファイバーの少なくとも何れかであることを特徴とする前記[8]〜[12]の何れかに記載の色判別装置を提供する。
[14]本発明は、前記無彩色が白及び黒若しくは灰色であって、前記印刷物が有する無彩色部分の輝度測定値の較正を行うことによって前記無彩色の輝度値の測定毎のバラツキを小さくするために、あらかじめ基準輝度値が設定された無彩色印刷物を内部に有することを特徴とする前記[8]〜[13]の何れかに記載の色判別装置を提供する。
[15]本発明は、サンプリングした印刷物と校了紙又は基準画像を有する紙との比較を行い、両者の色調が一致するように印刷物の色調を制御すること、又は別の色調を改めて設定することによって、各色印刷ユニットのインキキーを操作してインキ供給量を調整する方法において、前記サンプリングした印刷物及び前記校了紙又は基準画像を有する紙の少なくとも何れかの色調を判別する方法として、前記[1]〜[7]の何れかに記載の色判別方法を用いることを特徴とする印刷機色調制御方法を提供する。
本発明による印刷物の色判別方法によれば、一般的な印刷物だけでなく、医療機器や自動車部品等の分野で使用する工業用シール・ラベル等の2次元印刷物や立体塗装品等の3次元印刷物に着色されている有彩色の色の判別を、精密さと正確さを保持しながら、迅速に、且つ簡便に行うことができる。また、印刷物の図案、模様及び文字や照明等の外的環境が変化しても、それらの因子による影響を受けない正確な色判別を行うことができる。それによって、色判別検査の自動化による大幅な省力化を図ることができる。
本発明による印刷物の色判別装置は、印刷物を読み取って画像化する手段と、読み取った画像データから輝度、さらに色彩と彩度の少なくとも何れかの値に変換する手段と、これらの光学物性値を解析して色判別を行うコンピュータ等の計算手段と、色判別結果を表示する手段とからなる単純な構成であるため、機能的には高い色判別性能を有しながら、汎用性に富む安価な装置を提供することができる。
また、本発明による印刷機色調制御方法は、上記の色判別方法を利用して正確で迅速な色判別によって高精度の色調制御ができるだけでなく、印刷物の品質面での大幅な向上を図ることができる。
図1は本発明による印刷物又は塗装品の色判別方法の工程を示す図であり、色判別は印刷物又は塗装品の輝度値を用いて行われる。図1に示すように、本発明による印刷物の色判別方法はS1〜S17の各工程を有する。
まず、平面又は立体の印刷物又は塗装品を設置し(S1)、それらの色を平面で画像として読み取り(S2)、該平面で読み取った画像データからビットマップ画像を形成して(S3)、該ビットマップ画像のピクセル位置に保存されるバイナリ―データをピクセルごとに光の三原色である赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれの値を取得する(S4)。次いで、取得した赤(R)、緑(G)、青(B)の各値の差が予め設定した許容値と対比して(S5)、該許容値よりも大きい部分及び小さい部分を、それぞれ有彩色及び無彩色として判定する(S6及びS7)。ここで、無彩色として判定された場合は色識別対象から除外する処理を行い(S8)、有彩色として判定された場合は前記有彩色の輝度値に対応した個別の色を、所定の標準輝度値を有する指定色として選定する(S9)。なお、指定色は前記印刷物又は塗装品の配色に応じて決っており、それ以外の色を考慮する必要がないことから、従来から蓄積してある指定色の輝度値データから標準輝度値をあらかじめ設定することができる。
次いで、前記有彩色のR、G、Bの各輝度値をグレースケール輝度値へ変換する(S10)。S10の工程で変換したグレースケール輝度値を、前記標準輝度値が含まれる所定の輝度値の範囲内(指定色の標準輝度値±α)で平均化する(S11:仮平均化工程)。そして、S11の仮平均化工程で平均化した輝度値(仮平均値)は、あらかじめ設定した輝度値の許容範囲内(標準輝度値±R)に含まれるか否かを判定する(S12)。
その後、ルートA又はルートBの2つに分けて判別を行う。ルートAにおいて、前記グレースケール輝度値が許容範囲の(±α)内に含まれる場合は規格内品(合格品)として選別し(S13)、一方で、含まれない場合は規格外品(不合格品)としてそれぞれ選別する(S14)。このルートAは、S11及びS12の仮平均化工程において1回の判定だけで色選別を行うものである。他方、ルートBは、より正確な選別を行うために色判別の精度を向上させる目的を以て、さらに、修正平均化工程(S15)及び修正平均値の判定を行う工程(S16)を追加した色判別方法である。ここで、S15の修正平均化工程は、前記指定色の標準輝度値が含まれる輝度範囲として、S11の工程で示すαよりも小さな範囲(±β)を設定する。S12の工程において測定輝度値の中から(標準輝度値±α)の範囲内に含まれる測定輝度を抽出してそれらの平均値を求めて仮平均値とし、さらに、S16の工程において、(標準輝度値±β)の輝度範囲内に含まれるR、G、Bの各値だけを抽出してそれらの平均化を行って修正平均値とする。このようにして求めた修正平均値が輝度値の許容範囲内(基準輝度値±R)に含まれる場合を規格内品(合格品)として選別し(S13)、一方、含まれない場合は規格外品(不合格品)として選別して除外する(S14)。
図1に示すS8〜S16の工程は、印刷又は塗装が行われている全有彩色の色判別が完了するまで繰り返して行う。最後に、S17の工程で色判別を完了し、全工程を終了する。
図1に示すS4〜S7の工程で行う有彩色及び無彩色の判定方法を、図2の模式図を用いて説明する。図2には、例として、印刷物1の多分割されたピクセル中から選択した任意の一つピクセル2を抜き出して取得した、光の三原色である赤(R)、緑(G)及び青(B)のそれぞれの値を示す。
図2に示すように、S4の工程でピクセル2について測定したR、G、Bの各値の差が小さい場合は、所定の許容値内に含まれる。その結果、S5の工程によって「NO」と判断され、S7の工程で無彩色として判定されて色判別を行うための解析用データから除外される。仮に、RGBの各値の差が許容値を超える場合は「YES」と判断され、S6の工程でピクセル2の部分は有彩色として判定されることによって解析用データとして使用される。ここで、輝度値の差の許容値は、従来の測定データの解析に基づいて30以内とするのが実用的である。
本発明の無彩色の判定方法において、黒画像又は白画像の場合にはR、G、Bの各値は差がほとんどみられない。また、無彩色がグレー画像である場合には、R、G、Bの各値が小さくなる。例えば、グレー画像は、バイナリ―データからのR、G、Bの各値がそれぞれR=115、G=121及びB=119となる。
それに対して、有彩色である場合、例えば有彩色が青であるカラー画像のときは、R=77、G=109及びB=243となり、各値の差が大きくなる。この特徴を利用して、印刷物又は塗装品等のすべてのピクセルを前記の許容値に基づいて有彩色又は無彩色に分離することができる。
図2に示す方法によって無彩色と判定されたピクセル画像は、グレースケール輝度値として変換後の輝度値が0である黒色、若しくは輝度値が255である白色のどちらか近い方の両端に振り分けられる。ここで、無彩色と判定されたピクセル画像のすべてについて、変換後の輝度値は臨界輝度値に基づいて255若しくは0のどちらかの輝度値に振り分ける。この臨界輝度値は無彩色の測定輝度値を振り分けるときの基準となり、0〜255の輝度値の中間領域である120〜130の範囲の何れかの値、一般的には0〜255の中間値である127に設定する。
S6の工程において有彩色と判定されたピクセル画像、例えば、有彩色が青であるカラー画像の場合は、前記で述べたようにR=77、G=109及びB=243となり、最も高い値を有する色である青(B)が指定色となる。なお、この指定色は印刷物又は塗装品に配色される色として事前に決められており、指定色に固有の輝度値が標準輝度値としてあらかじめ設定される(S9の工程)。
次に、S10の工程で行うグレースケール輝度値への変換方法について説明する。本発明は、RGB色空間やHSV色空間等いくつかの色空間の中で、HLS色空間を使用する。HLS色空間において、Hは色の色相を表す色相、Lは明るさを表す輝度、Sは色の鮮やかさを表す彩度である。この中で、輝度値Lは、平面で読み取った様々な色を一括でデータ処理できるだけでなく、色判別を精度良く、且つ簡便に行なうことができるため、本発明において好適なパラメータである。HLS空間における輝度値Lは、各画像ピクセルのR、G、Bの各値から下記の一般式(1)によって求める。
ここで、LはHLS色空間における輝度を示し、R、G及びBは、それぞれRGB色空間における赤、緑及び青の値である。図3は、S6の工程によって有彩色と判定された画像ピクセルで取得したR、G、Bの各値を、上記の一般式(1)によってグレースケール輝度値へ変換した例である。
ここで、LはHLS色空間における輝度を示し、R、G及びBは、それぞれRGB色空間における赤、緑及び青の値である。図3は、S6の工程によって有彩色と判定された画像ピクセルで取得したR、G、Bの各値を、上記の一般式(1)によってグレースケール輝度値へ変換した例である。
本発明の色判別方法で適用する解析方法及びその特徴について図4を用いて説明する。図4は、全体の約3/4及び約1/4がそれぞれ白色及び黄色で配色された領域に文字が黒色で印字された印刷物について、本発明の色判別方法の各工程で行った解析手順を模式的に示す図である。なお、解析方法の詳細については後述の実施例1で説明する。
図4の(a)には、印刷物のそれぞれの画像ピクセルのバイナリ−データから取得したR、G、Bの各値を上記の一般式(1)によってグレースケール輝度値に変化したときの輝度値の分布を示す。黒色及び白色又はそれらの色に近い色を有するピクセルは輝度値が0及び255の近い部分にそれぞれ分けて分布し、有彩色として黄色を有するピクセルはあらかじめ設定した黄色に固有の標準輝度値の周辺に分布している。ここで、黄色の輝度値の許容範囲、すなわち上記の2Rに相当する範囲は斜線部分で示している。図4の(a)から、白色、黒色及び黄色を含めたすべての累積ピクセルについてグレースケール輝度値の平均化を行っても、平均輝度値が黄色の許容範囲内に含まれないことが予想できる。そこで、S5〜S8の工程において、無彩色ピクセルを色判別対象から除外し、有彩色である黄色を有するピクセルだけを選別する処理を行う。
図4の(b)に、黄色を有するピクセルだけを選別したときのグレースケール輝度値の分布を示す。黄色及びそれに近い色を有するピクセルだけでグレーススケール輝度値の平均化を行えば、平均輝度値が輝度値の許容範囲に含まれる可能性は図4の(a)の場合よりも非常に高くなる。しかしながら、黄色及びそれに近い色を有するピクセルの分布は、必ずしも2項分布のような対称形状を有するとは限らない。例えば、黒色の周りに配色された黄色は、黒色によって影響を受け、実際の色よりも濃い色として判別されるようになり、図4の(b)の点線で囲んだ拡大図に示すように、輝度値の小さい方へ偏った分布形状を有する。この非対称な分布形状を有する輝度値について平均化を行った場合、平均輝度値が黄色の許容範囲内に含まれなくなり、本来は規格品として選別されるべきところを不合格の規格品外として扱われる場合が生じる。この問題は、印刷物又は塗装品に配色された様々な色を一括で判別するときに顕著になる。したがって、本発明においては、S11及びS12の工程によって輝度値の範囲を狭めて、グレースケール輝度値の仮平均化を行う。
仮平均化工程(S11)の解析方法を、図4の(c)に示す。図4の(c)に示すように、輝度値の範囲を狭く設定し、輝度値が低い方に分布するピクセルを除外することによって、実際の色よりも濃い色として判別されやすい黄色の領域(より小さい輝度値を有する領域)を色判別対象から外す処理を行う。ここで、仮平均化工程で設定する輝度値の範囲は2αと規定する。それによって輝度値の範囲内に属するピクセルだけで平均輝度値を求めることができるため、平均輝度値が標準輝度値の範囲内に含まれるようになり、色判別のエラー発生という問題を大幅に低減することができる。
図4の(d)は、輝度値の範囲を(c)の場合よりもさらに狭くしてグレースケール輝度値の平均化を行う修正平均化工程(S15)の処理方法を示す図である。図1に示す工程においてルートBを経るときの解析方法であり、修正平均化工程で設定する輝度値の範囲は2βと規定する。輝度値の範囲をさらに狭めることによって、修正平均輝度値を標準輝度値に近づけることができるため、色判別の精度の一層の向上が図れる。
以上のように、図4に示す解析方法によって本発明の効果を十分に奏することができるが、本発明においては、前記のα、β及びRの範囲が重要な意味を持ってくる。そこで、前記のα、β及びRの設定方法について、以下に説明する。
本発明の工程において適用する前記のα、β及びRは、図5の模式図に示す方法に従って設定する。図5の縦軸及び横軸はそれぞれ輝度値及び輝度値の範囲を表しており、図中には、例として黄色、オレンジ及び青の3色について、それぞれの色の標準輝度値を208、125及び80に設定している。これらの値は、色判別において見本色が示す値を参考にして設定した値である。図5の実線で示す仮平均時の輝度範囲(α)は、それぞれの色の標準輝度値を中心にして分布している画素数データ(ピクセルデータ)のグレースケール輝度値を広範囲で平均化するように、任意の値で広く設定する。例えば、黄色、オレンジ及び青のαは、それぞれ絶対値で40、60及び80である。また、図5の点線で示す修正平均時の輝度範囲(β)は、αよりも小さな範囲を設定する。具体的には±βの範囲に含まれる輝度値を有するピクセル数の比率が、仮工程平均の±αの範囲に含まれるピクセル数に対して80〜95%となるような範囲を選ぶ。±βに含まれるピクセル数の比率が±αの場合に対して80%未満の範囲であると、ピクセルデータの中で修正平均において計算時に除かれるデータ量が多くなり、より正確な色判別を行うことが難しくなる。また、この比率が95%を超える場合は、逆に、標準輝度値から遠く離れたデータまで含めて修正平均を計算することとなり、色判別の精度向上という目的を達成できなくなる。
以上のようにして求めた仮平均値又は修正平均値が、前記のα及びβよりもさらに範囲を狭くした許容範囲内(基準輝度値±R:図5において一点鎖線で囲まれる斜線部分)に含まれるか否かを、それぞれ図1に示すS12又はS16の工程で判定する。ここで、許容範囲を規定する許容値Rは、すべての有彩色について、経験上、絶対値で2〜15の範囲に設定する。さらに、多色が混在する印刷物又は塗装品の色判別を行なう場合には、厳密な判定を行うために許容範囲を絶対値で2〜10の何れかの値に設定することが好ましい。
本発明の色判別方法においては、前記のα、β及びRを図5に示す数値範囲に限定する必要は必ずしもなく、ある程度の幅、具体的には図5に示す数値の60〜100%の範囲内で設定することができる。しかしながら、正確で迅速な色判別を行うという本発明の効果を奏するには、α及びRを図5に示す数値範囲で設定し、βはαの80〜95%の範囲内に規定して設定することが好ましい。また、図5には、具体的な色として黄色、オレンジ及び青についてそれぞれα、β及びRを示しているが、それら以外の色については図5に示す各数値範囲内でそれぞれのα、β及びRを設定することができる。
図5に示すように、本発明の特徴は、S11の仮平均化工程及びS15の修正平均化工程で設定する輝度範囲(α及びβ)を標準輝度のすべての値について一定の値に固定するのではなく、S6の工程で判定した指定色の標準輝度に応じて勾配をつけて、標準輝度が0に近づくときに広く設定し、255に近づくときに狭くなるような設定を行うことにある。そもそも人間は白色(輝度値が255に近い色)に対しては感度が高く、黒色(輝度値が0に近い色)では感動が低い。したがって、輝度範囲を指定色の標準輝度値に応じて勾配をつけて設定する方が、人間の目の働きに近い機能を有するようになり、色判別を実情に即して、且つ、効率的に高精度で行うことができるためである。
図1に示すルートBは、S10の工程で変換した輝度値が仮平均化工程及び修正平均化工程の2つの工程によって判定されるため、色判別の精度を大幅に向上させることができる。本発明において、図1に示すルートA及びルートBは、色判別を行う平面又は立体の印刷物又は塗装物の色の種類や内容に応じて選ぶことができる。色判別を高速で行う場合は、通常ルートAだけで処理を行い、複雑な印刷物又は塗装物について正確な色判別が求められる場合はルートBの工程を経て色判別を行う。ただし、ルートBであってもコンピュータ等による処理手段の高速化が急速に進歩しており、色判別に要する時間の短縮化は可能である。そのため、仮に、ルートAを経た後に規格品として選別したものに色判別の誤認が発生する場合は、S12の工程の後、ルートBを経て修正平均化工程を追加することが好ましい。
本発明は、無彩色と判定されたピクセル画像を、グレースケール輝度値として変換後の輝度値が0である黒色、若しくは輝度値が255である白色のどちらか近い方の両端に振り分けるときに設定する前記臨界輝度値を、前記指定色の標準輝度値に応じて、通常使用する中間値(127)から変えることが好ましい。具体的には前記指定色の標準輝度値が80〜210の範囲にあるときに、前記臨界輝度値を前記中間値(127)よりも小さく設定する。この処理操作は、中間的な輝度値を有する指定色とともに配色された無彩色(淡いグレー色)を人間が視覚する場合、この淡いグレー色は白に偏って覚知されやすいという知見に基づいて、本発明の色判別方法をできるだけ人間の視覚に近づけるために行うものである。中間的な輝度値として厳密な範囲を規定することは難しいが、経験的に前記の80〜210が好適な範囲である。他方、輝度値が80未満の黒に近い指定色と混在する無彩色、及び輝度値が220を超える白に近い指定色と混在する無彩色は、前記臨界輝度値を127に設定しても、人間が視覚する場合と同じように、それぞれ黒(輝度値が0)及び白(輝度値が255)に振り分けることができる。それに対して、前記標準輝度値が80〜210の範囲にある有彩色と混在する淡いグレー色を、黒(輝度値が0)又は白(輝度値が255)に振り分けるときには、前記臨界輝度値を127よりもやや小さく設定して白に振り分ける範囲を広く設定することによって、人間の視覚機能に近い状態で無彩色を振り分けることができるようになる。ここで、前記臨界輝度値の範囲は、経験的に127未満で100以上、より好ましくは127未満で110以上が実用的である。
本発明の色判別方法では白及び黒若しくは灰色の無彩色は画像データとして直接利用されないが、測定毎の外的要因の変動又は測定機器の経年変化等に起因する輝度値のバラツキを小さくするために、印刷物又は塗装品が有する無彩色部分のグレースケール輝度を、あらかじめ輝度値が設定された基準の無彩色と対比することによって、前記輝度値の適用の可否判断及びその較正を行うために利用することができる。図1のS4の工程において画像データをピクセルごとにR、G、Bの各値として取得するときに、これらの各値は、外的要因、設置場所及び測定機種によって測定ごとに変動することがある。そのような場合は様々な環境下で色判別測定を安定して高精度に行うことが難しくなる。前記輝度値の較正は、その影響を低減するために有効な方法である。特に、無彩色は、有彩色と異なり、輝度値と明確な相関関係を得ることができるため、輝度測定値の較正を行う目的には好適である。
輝度測定値の較正は、例えば、図6に示す方法によって行うことができる。図6において、輝度測定値が基準の無彩色輝度値よりも小さくなる場合の補正方法が(a)であり、基準の無彩色輝度値よりも大きくなる場合の補正方法が(b)である。
図6の(a)において、輝度値範囲の最も高い値である255を有する白色について測定輝度値を基準輝度値と対比することによって、仮に、白色の測定輝度値[MAX]が基準輝度値255よりも小さくなる場合は、測定輝度値の範囲を基準値255まで広げるような処理を行う。すなわち、測定したグレースケール輝度値が例えばa1である場合は、下記の(2)式によって較正を行い、較正後のグレースケール輝度値b1として取り扱う。
逆に、図6の(b)に示すように、白色の測定輝度値が基準輝度値255よりも大きくなる場合は、基準輝度値として240〜255の範囲をそれぞれ有するものを複数枚用意する。それら基準輝度値の何れかが、被測定対象物を測定したときの最も高い輝度値である255と一致するとき、その一致する基準の輝度値を[Limit]とする。そして、測定したグレースケール輝度値が例えばa2である場合は、下記の(3)式によって較正を行い、較正後のグレースケール輝度値b2として取り扱う。
図6の(b)に示す方法では、基準輝度値として240〜255の範囲を選ぶのが実用的である。通常は被測定対象物と見本品との輝度値の差が小さく、仮に、両者の差が大きい場合は目視でも両者に違いを容易に判別することができる。そのため、あえて基準輝度値が240未満である無彩色を有する見本品との対比を行う場合はほとんどなく、基準輝度値が240〜255の範囲であれば高精度の色判別を行うという本発明の目的を十分に達成することができる。また、基準輝度値として240〜255の範囲を有する複数枚の見本は、それぞれの輝度値の変化を1とし、15枚程度を用意すれば高精度の較正を行うことができる。一方、測定時間の短縮化に重点を置く場合は見本の数を減らすことも可能であるが、測定精度を考慮すると、それぞれの輝度値の変化を5とし、少なくとも3枚以上を使用することが好ましい。
輝度測定値の較正と行うための見本となる基準輝度値を有する無彩色は、被測定対象物である印刷物又は塗装品の内部又は周辺に測定画像とは別の箇所に形成することができる。また、前記の印刷物又は塗装品に付属させないで、それらと分離して形成し、色判別測定のときに見本用の印刷物又は塗装品として別体で設けても良い。前記輝度測定値の較正は、見本となる無彩色との対比結果を後述する計算手段によってS4又はS10の工程に反映させれば、R、G、Bの各値又は輝度値のバラツキを低減することができる。
以上のようにして、所定の標準輝度値に対応した色を指定色としたときに、前記標準輝度値から大きく離れた輝度値、すなわち照明等の外的環境や微小境域の色ブレによって影響を受けて大きく変動した輝度値を除外するとともに、各ピクセルごとのグレースケール輝度値を仮平均輝度値、必要であれば修正平均値として一つの輝度値で一括して取り扱うことができる。したがって、印刷物や塗装物の色判別を効率的に短時間で行うことができるだけでなく、外的環境や別の因子による色ブレの影響を排除し、色判別の測定精度を高めることができる。
図1に示す色判別方法は測定パラメータとして輝度値を使用するが、輝度値だけでは測定対象物である印刷物又は塗装物の色判別を高精度、且つ正確に行えない場合がある。例えば、違う色であるのに、輝度値が同じか、又は非常に近い色同士が混色として存在する場合である。シール等では、判別する色の数が一般的に1〜3種類とそれほど多くないため輝度値だけでも正確な色判別が行うことも可能である。しかしながら、4以上の多色や複雑な形状に配色される場合は、輝度値の近い色同士を同時に配色することが多く、近年そのような配色を施した印刷物や塗装物のニーズが益々増えている。その場合は、前記平面上に読み取った画像のピクセル位置に相当する領域に保存されるバイナリデータから取得した前記赤、緑、青の各値をHLS色空間の色相及び彩度の少なくとも一つに変換し、図1に示す輝度値による色判別方法と同じ考え方で、標準色相値又は標準彩度値が含まれるようにあらかじめ設定した色相値又は彩度値の範囲内で色相又は彩度の平均値を計算することによって、輝度の平均値のデータと合わせて色判別を行う方法を採用することが好ましい。
図7は、輝度値及び色相又は彩度を用いて行う本発明による印刷物の色判別方法の工程を示す図である。図7に示す方法は、図1に示す方法と基本的に同じであるが、HLS色空間の色相又は彩度の変換と、色相値又は彩度値の平均化処理を追加することによって、様々な色が混色として存在する印刷物又は塗装物であっても、高精度で正確な色判別を行うことができる。そのため、本発明の適用範囲を拡大する上で好適である。
図7において、S18〜S21が、図1に示す工程に追加される工程である。輝度値の差から指定色として認定した色について該指定色の標準色相値又は標準彩度値を設定し(S18)、画像データのR、G、Bの各値を色相値又は彩度値に変換する(S19)。次いで、S19の工程で変換した色相値又は彩度値をそれぞれ前記の標準色相値又は標準彩度値が含まれるようにあらかじめ設定した範囲内(指定色の標準色相値±γ又は標準彩度値±Δ)で平均化する(S20:仮平均化工程)。S20の仮平均化工程で平均化した色相値又は彩度値は、既に求めた平均輝度値と合わせて、あらかじめ設定した標準色相値又は標準彩度値の許容範囲内に含まれるか否かを判定する(S21)。ここで、標準色相値又は標準彩度値の許容範囲は、それぞれ標準色相値±HH又は標準彩度値±SSで定義する。
前記S19の工程において、画像データのR、G、Bの各値は、以下の一般式(4)、(5)及び(6)によってHLS色空間における色相又は彩度のそれぞれの値に変換を行う。
本発明の色判別方法における色相値及び彩度値の設定範囲及び許容範囲を図8に示す模式図によって説明する。図8に示すように、例えば、赤、黄、緑及び青は、標準色相値として、それぞれ0°、60°、120°及び240°を基準にする。また、標準彩度値(H)は0〜1.0の間で決められ、白に近いものほど0に近い彩度値(S)を有する。色相及び彩度の各標準値は、図8に示す見本となる有彩色が有する値からそれぞれ設定することができる。
図7に示すS20の仮平均化工程において、あらかじめ設定する色相値又は彩度値のそれぞれの範囲(γ又はΔ)は、前記の標準色相値又は標準明度値が含まれるように設定する。例えば、図8に示すオレンジ(図中において☆で示す色)の場合、標準色相値又は標準彩度値として、それぞれ5°又は0.65を選び、それらの値を基準にして、γ及びΔとしてそれぞれ±35°以内及び±0.12以内の範囲を設定する。本発明においては、γ又はΔは、それぞれ±35°又は±0.12に限定されず、経験上、絶対値としてγ=20°〜40°の範囲、また、Δ=0.1〜0.25の範囲の何れかの値で設定するのが実用的である。オレンジ以外の色についても、γ又はΔとしては同じ範囲を設定する。色相値又は彩度値は、輝度値と比べて人間による感度の違いをそれほど気にする必要がなく、その影響が小さいため、すべての有彩色について色相値及び彩度値の範囲を一定の値に設定して仮平均値を算出することができる。
図7に示すS21の工程で使用する色相又は彩度の許容値(HH又はSS)としては、経験上、それぞれ絶対値としてHH=15°又はSS=0.08に設定するのが実用的である。しかしながら、本発明においては、色判別の精度に応じて、前記のHH又はSSとしてHH=3°〜20°又はSS=0.02〜0.1の範囲の何れかの値で選ぶことができる。
図7に示す本発明の色判別方法において、S19の工程で変換される色相値及び彩度値は、それぞれS20の工程において仮平均化を行うが、一方で、輝度値による色判別方法とは異なり、修正平均化工程を格別に設ける必要はない。輝度値が同じか、又は非常に近い色同士のそれぞれは、S21の工程で明確に選別されており、その以後の修正平均化工程では修正平均工程による輝度値の絞り込みだけで判別精度を十分に確保できるためである。
次に、本発明の色判別方法を実施するために色判別装置について図9及び図10を用いて説明する。
図9は、輝度値を用いて行う本発明による色判別装置の構成を示す図であり、図1に示す色判別方法を実施するために使用するものである。図9に示す色識別装置100は、基本的に光源110から印刷物又は塗装物に向けて照明光を当て、前記印刷物又は塗装物の色を平面的に読み取ってピクセルごとの画像データとする色の読取り装置120、読み取った画像データをピクセルごとに光の三原色である赤、緑、青の値を取得するR、G、Bの各値の取得手段130、有彩色及び無彩色の判定を行い、有彩色が有するR、G、Bの各値をグレースケール輝度値に変換し、その輝度値について仮平均値又は修正平均値を計算し、色の合否判定による被測定物の選別を行うための計算手段140、及び計算結果及び選別結果等を表示するための表示手段150から構成される。輝度値の測定手段130、計算手段140及び表示手段150は、これらすべての機能を1台のコンピュータに内蔵させることができる。
前記の計算手段140においては、コンピュータ等に具備される計算手段のアルゴリズムに従って、有彩色及び無彩色の判定を行うステップ141、指定色の判別ステップ142、有彩色が有するR、G、Bの各値をグレースケール輝度値に変換する変換ステップ143及び仮平均化のステップ144によって計算された輝度の仮平均値を基に、合否判定による選別ステップ145を経て、被測定物の色判別を行う。仮平均化のステップ144では、指定色に特有の標準輝度値とともに、仮平均値を計算するときに用いる画像データの輝度値の範囲(α)を予め設定する。図5に示すように、標準輝度値は指定色に応じて決まるものであり、また、輝度値の範囲(α)は指定色の標準輝度値に応じた勾配に基づいて設定される。例えば、黄色の場合は、標準輝度値及び輝度値の範囲(α)が、それぞれ208及び絶対値で±40以内である。なお、標準輝度値及び輝度値の範囲(α)については、図5に示す値及び範囲に固定されるものではなく、測定及び色判別の結果に応じて、測定ごとに100〜60%の範囲内で変えることができる。ここで、標準輝度値及び輝度値の範囲(α)は、コンピュータのソフト内で予め設定しても良いし、測定ごとのデータとして表示手段150の画面上で測定者が入力して設定しても良い。
また、前記の仮平均化のステップ144だけでは高精度の色判別が困難であると判明したときは、次の修正平均化のステップ146を経由した後、合否判定による選別ステップ145によって、計算した修正平均値から輝度値の許容範囲に含まれるか否かの判定を行う。修正平均化のステップ146で設定する輝度値の範囲(β)は、前記で述べたように、αの場合に対して80〜95%の範囲内で有彩色ピクセルが含まれるように規定し、有彩色として選ばれた測定輝度値の中からその範囲に含まれる測定輝度値を選択して平均値を算出する。
図9に示す光源110としては、蛍光灯、白熱灯又は白色LECの少なくとも何れかを用いる。また、色の読取り手段120としては、スキャナー、固体撮像素子(CCD又はMOS)、カメラ及び面受光用バンンドルファイバーの少なくとも何れかが使用される。被測定対象物が印刷物の場合は色を平面で画像データとして一括して読み取ることが容易である。他方、3次元の塗装品の場合は色の読取り手段120としてスキャナーを使用することはできず、例えば、固体撮像素子(CCD又はMOS)、カメラ及び面受光用バンンドルファイバーを用いて塗装品の表面又は曲面に沿って移動するか、又は読取り手段120を固定して被測定物である塗装品を移動することによって色を移動距離の関数として読み取りながら画像データとして収集する。
有彩色及び無彩色の判定ステップ141においては、無彩色を前記臨界輝度値に基づいて輝度値0の黒色及び輝度値255の白色のどちらか近い方に振り分ける。そのとき、判定ステップ141には、前記臨界輝度値を前記有彩色の標準輝度値に応じて調整するステップが含まれることが好ましい。、前記臨界輝度値の調整は、該有彩色の標準輝度値が80〜210の範囲にあるときに相対的に小さくなるように設定する。それによって、被測定物である印刷物又は塗装品に存在する画像の形状や輪郭を正しく反映した高精度の色判別を行うことができる。
また、本発明の色判別装置は、輝度値の較正を行うために、印刷物又は塗装品が有する無彩色部分のグレースケール輝度値と対比することが好ましい。対比は、例えば、図6に示す方法に従って、装置100の内部にあらかじめ基準輝度値が設定された無彩色を有する印刷物又は塗装品を内部に有することによって行うことができる。この基準輝度値を有する無彩色の印刷物又は塗装品が、輝度値較正のときに利用する見本の役目を果たす。図9に示すステップ141において無彩色と判定されたピクセルについてR、B、Gの各値から求めたグレースケール輝度値を、前記見本の無彩色が有するグレースケール基準輝度値と対比することによって、取得手段130で取得するR、B、Gの各値についてバラツキの有無を把握することができる。仮に、外的要因、設置場所及び測定機種や測定機器の経年変化等によってR、B、Gの各値が変動する場合は、R、B、Gの各値の較正や平面画像取込みの再測定等を行うことによって、色判別測定を安定して高精度に行うことができるようになる。
本発明においては、輝度測定値の較正と行うための見本となる無彩色部分を、被測定対象物である印刷物又は塗装品の内部又は周辺に測定画像とは別の箇所に形成しても良いし、また、別体の印刷物又は塗装品として設けてもよい。その中で、見本となる無彩色を前者の被測定物である印刷物又は塗装品の内部又は周辺に設けることが、測定のバラツキを抑え、色判別の精度を高める効果が得られることから好ましい。
図10は、輝度値及び色相値又は彩度値を用いて行う本発明による色判別装置の構成を示す図であり、図7に示す色判別方法を実施するために使用するものである。図10に示す色識別装置200は、基本的に光源210から印刷物又は塗装物に向けて照明光を当て、前記印刷物又は塗装物の色を平面的に読み取ってピクセルごとの画像データとする色の読取り装置220、読み取った画像データをピクセルごとに光の三原色である赤、緑、青の値を取得するR、G、Bの各値の取得手段230、有彩色及び無彩色の判定を行い、有彩色が有するR、G、Bの各値をグレースケール輝度値及び色相値(又は彩度値)に変換し、その輝度値及び色相値(又は彩度値)について仮平均値又は修正平均値を計算し、色の合否判定による被測定物の選別を行うための計算手段240、及び計算結果及び選別結果等を表示するための表示手段250から構成される。このように、色相値又は彩度値への変換ステップの追加によって、図7に示す色判別方法を実施することができる。R、G、Bの各値の取得手段230、計算手段240及び表示手段250は、これらすべての機能を1台のコンピュータに内蔵させることができる。
前記の計算手段240においては、コンピュータ等に具備される計算手段のアルゴリズムに従って、有彩色及び無彩色の判定を行うステップ241、指定色の判別ステップ242、有彩色が有するR、G、Bの各値をグレースケール輝度値に変換する変換ステップ243と色相値又は彩度値に変換する変換ステップ244及び仮平均化のステップ245によって計算されたグレースケール輝度値の仮平均値及び色相値(又は彩度値)の仮平均値の両者の値を用いて、合否判定による選別ステップ246を経て、被測定物の色判別を行う。仮平均計算ステップでは、指定色に特有の標準輝度値及び輝度値の範囲(α)とともに、標準色相値及び色相値の範囲(γ)又は標準彩度値及び彩度値の範囲(Δ)を予め設定する。標準色相値又は標準彩度値は指定色に応じて決まるものであるが、前記のγ又はΔは、前記のαと異なり、全ての有彩色において一定の範囲が設定される。例えば、γ及びΔは、前記で述べたように、それぞれγ=20〜40の範囲、また、Δ=0.1〜0.25の範囲の何れかの値である。なお、標準色相値又は標準彩度値は、見本となる有彩色の色相値又は彩度値を基準にして設定するが、色相値の範囲又は彩度値の範囲については、色判別の測定結果に応じて、測定ごとに前記の絶対値の範囲内で変えて調整する。標準色相値及び色相値の範囲(γ)又は標準彩度値及び彩度値の範囲(Δ)は、標準輝度値及び輝度値の範囲(α)と同様に、コンピュータのソフト内で予め設定しても良いし、測定ごとのデータとして表示手段250の画面上で測定者が入力して設定しても良い。
また、前記の仮平均化のステップ245だけでは高精度の色判別が困難であると判明したときは、図9に示す色判別装置と同様に、次の輝度値を用いた修正平均化のステップ247を経由した後、合否判定による選別ステップ246によって、計算した輝度値の修正平均値が許容範囲に含まれるか否かの判定を行う。修正平均化のステップ247で設定する輝度値の範囲(β)は、前記で述べたように、αの場合に対して80〜95%の範囲内で有彩色ピクセルが含まれるようにに規定し、有彩色として選ばれた測定輝度値の中からその範囲に含まれる測定輝度値を選択して平均値を算出する。
図10において、光源210及び計算手段240の修正平均値計算ステップは、図9に示す装置と同じものを使用することができる。また、有彩色及び無彩色の判定ステップ241は、図9に示す装置と同じように、無彩色を輝度値0の黒色及び輝度値225の白色のどちらかに振り分けるときに、前記有彩色の標準輝度値に応じて、前記の臨界輝度値を調整するステップを有する。さらに、図10に示す装置は、あらかじめ輝度値が設定された基準の無彩色を有する印刷物又は塗装品を内部に有し、被測定物である印刷物又は塗装品が有する無彩色部分の輝度測定値との対比を行うことによって、輝度測定値の補正機能を有することができる。
本発明の色判別方法は、主に、印刷物又は塗装品の品質を管理するために検査用として使用するものであるが、印刷中に状態変化、温度変化、温度変化等による印刷機の特性変化、又はインキ等の材料物性の変化等によって起こる色調変動を修正するために実施する印刷機色調制御方法の色調監視用として適用することもできる。
印刷工程は各色のインキを用紙に重ね合わせながら塗布して絵柄を連続的に再現することによって行われており、印刷機に所定の箇所に配置された多数のインキキーと呼ばれるインク量を調整する機能によって所望の色再現を行っているのが一般的である。印刷工程においてインクキーの状態が一定に維持されていれば、安定した色調を得ることができるが、印刷機の状態変化、温度、湿度等の環境変化により、印刷物の色調が徐々に変化する場合がある。従来技術の色調監視は、印刷物の絵柄の余白部に色調監視用のカラーパッチを印刷しておいて、濃度計や分光測色等のセンサを用いて走行中の印刷物のカラーパッチを測定し、オンラインで色調の変動を測定・制御することによって行われている。
それ以外にも、前記カラーパッチを使用しないで、所望絵柄領域に対応する分割区間内で測定された分光反射強度の算出、インキのべた濃度偏差の算出、又は特定絵柄の絵柄面積率と検査対象印刷物を印刷する印刷版の絵柄面積率との比率等の様々な方法によってインキ量の補正を行うことが提案されている。しかしながら、従来の印刷機色調制御方法は、精密さや厳密さが求められる印刷物を一括で処理し、迅速で正確な色判別を行うという技術課題はほとんど認識されておらず、そのような用途に対して十分に機能するものではなかった。
それに対して、本発明の色判別方法は、色監視を行うときに前記カラーパッチを使用する必要がなく、印刷物に対して平均化を行った輝度値、さらに必要に応じて平均化した色相値又は彩度値を用いて色判別を迅速で正確に行うことができるという特徴を有する。したがって、サンプリングした印刷物と校了紙又は基準画像を有する紙との比較を行い、両者の色調が一致するように印刷物の色調を制御することによって、各色印刷ユニットのインキキーを操作してインキ供給量を調整する方法において、前記サンプリングした印刷物及び前記校了紙又は基準画像を有する紙の少なくとも何れかの色調を判別する方法として、本発明の色判別方法を用いることができる。それによって、従来にない高性能及び高機能の印刷機色調制御方法を提供することができる。
図11は、本発明の色判別方法を用いた印刷機色調制御方法を実施するための装置構成の一例を示す概要図である。図11において、300はロールに巻き取られた巻取紙、301は給紙ユニット、302は印刷ユニット、303は乾燥ユニット、304は排紙ユニット、305は排紙された紙を折り畳むための折ユニット、及び306は本発明の色分別装置である。印刷ユニット302は、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の各インキを順に紙に重ね合せながら印刷するため、それぞれの独立したユニット単位で構成される。また、本発明の色判別装置306は、印刷物の色を平面で読み取る手段として、例えば、CCDやMOS等の固体撮像素子を使用するカメラ307、照明用光源308及び照明用光源308の光量を調節するための光量調節手段309を備える。照明用光源308としては、白熱灯、蛍光灯及びLEDの何れかを使用する。排紙ユニット304を通過する印刷物の画像は、カメラ307によって画像が読み取られた後、ピクセルごとにビットマップ画像のバイナリーデータからR、G、Bの各値を取得する手段(画像処理部)と、R、G、Bの各値からグレースケール輝度値(必要に応じて色相値又は彩度値)に変換するステップ及びその輝度値(必要に応じて色相値又は彩度値)の平均化等のステップを有する計算手段(演算処理部)とを有する装置310によって色判別が行われる。画像処理部で換算された輝度値(必要に応じて色相値又は彩度値)及び演算処理部で計算された結果は、色判別の合否結果とともにモニター311に表示する。画像処理部及び演算処理部を有する装置310及びモニター311は本発明の色判別装置306を構成するものであり、両者を一体にしてコンピュータ内に内蔵しても良い。
図11に示す色判別装置306によって、仮に、測定した印刷物が色判別において不合格と判定される場合は、印刷機との通信手段312によって印刷機へフィードバックをかけ、各色印刷ユニットのインキキーを操作してインキ供給量を調整し、印刷物の色調を制御する。インキ供給量の調整は、校了紙又は基準画像を有する紙の輝度値(必要に応じて測定色相値又は測定彩度値)との比較を行い、それらの値と一致するようにインキ調整を制御するアルゴリズムに従って行う。このアルゴリズムは、画像処理部及び演算処理部を有する装置310に備える。
他方で、不合格品である印刷物は、切替え用の下段ローラ313を上に押しあげて切替え用の上段ローラ314と接触させることによって排紙の方向を変え、切替え用の下段ローラ313及び上段ローラ314の間を通して取り除く。印刷物が合格品と判定される場合は、切替え用の下段ローラ313を上方向へ可動させないで、そのまま折工程に移行ささせる。ここで、切替え用の下段ローラ313及び上段ローラ314の操作は、通信手段312によって行う。
本発明の色判別方法は迅速な処理が可能であることから、一般的な印刷速度に十分に対応できる処理速度を有する。しかしながら、複雑で多色の画像色調監視を行う場合は通信手段312からの制御信号が確実に切替え用の下段ローラ313へと到達するまでの時間がやや長くなり、場合によっては印刷速度に対応し切れないことがある。そこで、色判別装置306による色判別及び印刷物の色調制御が完了するまでは、例えば、ベルト搬送の速度をやや遅くしたり、又は間欠的な印刷物の搬送を行う方法等を採用しても良い。
図11には、本発明の印刷機色調制御方法を実施する装置の一例として、カメラ307及び照明用光源308を排紙ユニット304の内部に備える装置を示しているが、本発明においては、カメラ307及び照明用光源308を排紙ユニット304の外部に備え、切替え用の下段ローラ313及び上段ローラ314の間を通した後の印刷物を用いて、オンラインから分離した形で色判別を行なっても良い。この方法は、印刷の初期において印刷機の調整及び印刷の条件出しに使用することができる。印刷物の色調の調整が完了した後は、切替え用の下段ローラ313を下げて元の位置に戻し、合格品と判定された印刷物の連続的な印刷を行うことができる。
このようにして、本発明の色判別方法を、印刷中に状態変化、温度変化、温度変化等による印刷機の特性変化、又はインキ等の材料物性の変化等によって起こる色調変動を修正するために実施する印刷機色調制御方法の色調監視用として用いることができる。
さらに、本発明の色判別方法を同色系統2色(例えば、赤及びオレンジ)の色判別に適用するとき、目視判定において2色として明確に区別して観測される場合、それぞれの輝度値の中間値をデータとしてインプットすれば、同色系統2色の中間の色を図11に示す装置によって単色で再印刷することが可能となる。このように、本発明の色判別方法は、印刷物の色を輝度値の変更だけで自由に、且つ、容易に変えて印刷することができるため、印刷機色調制御装置としての機能アップに大きく寄与する。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
図12に、本実施例で使用する画像取り込み部の概略図を示す。図12において、画像取り込み部3は、CCD又はMOS等の撮像デバイス4及び光源5から構成されており、本発明の色判別装置における色の読み取り手段120又は220の一例である。印刷物等の測定ターゲット6は撮像デバイス4の先端から距離Lの位置に配置されており、本実施例においては距離Lを60〜70cmとしている。また、撮像デバイス4としては、解像度が5(Mpx)、撮像速度が7(fps)、視野が120×100(mm)のCCDを使用する。また、光源5は、60W相当の白色LED照明を入射角〜40°で設置する。
図12に、本実施例で使用する画像取り込み部の概略図を示す。図12において、画像取り込み部3は、CCD又はMOS等の撮像デバイス4及び光源5から構成されており、本発明の色判別装置における色の読み取り手段120又は220の一例である。印刷物等の測定ターゲット6は撮像デバイス4の先端から距離Lの位置に配置されており、本実施例においては距離Lを60〜70cmとしている。また、撮像デバイス4としては、解像度が5(Mpx)、撮像速度が7(fps)、視野が120×100(mm)のCCDを使用する。また、光源5は、60W相当の白色LED照明を入射角〜40°で設置する。
図13に、本実施例の色判別方法による黄色の画像解析手順とその解析結果を示す。画像解析は、計算手段と表示手段とを具備し、図12の画像取り込み部3の撮像デバイス4を接続させたパーソナルコンピュータを用いて行った。図13の(a)は測定ターゲット6の例として使用した印刷物であり、この印刷物には全体の約3/4及び約1/4がそれぞれ白色及び黄色で配色された領域に黒色で「警告」と印字されている。図13の(b)、(c)及び(d)は、各解析手順に従ってピクセルごとに変換したクレースケール輝度値を図示したものであり、図4に示す(a)、(b)及び(c)に示す解析手順にそれぞれ対応するものである。
図13の(a)に示す印刷物を用いて,図12に示す画像取り込み部3によって測定を行い、印刷物の色を平面で読み取った後、該平面で読み取った画像のピクセル位置に相当する領域に保存されるバイナリデータから赤、緑、青の各輝度値を取得する。この手順を理解しやすいように、有彩色(黄色)だけでなく、無彩色(白及び黒)を含めて変換後のグレースケール輝度値をピクセルごとに図示したものが図13の(b)である。
次いで、該赤、緑、青の各値の差が大きいピクセル及び小さいピクセルを、それぞれ有彩色(黄色)及び無彩色(白及び黒)として判定する。そして、黄色を指定色とし、黄色として判定されたピクセルごとの赤、緑、青の各値をグレースケール輝度値に変換し、他方で、無彩色と判定されたすべての輝度値を、臨界輝度値(127)に基づいて白色及び黒色の輝度値である255及び0のどちらか近い方の値に振り分ける(図13の(c))。
次いで、黄色として判定されたすべてのピクセルについて、変換されたグレースケール輝度値を前記指定色の標準輝度値が含まれるように、あらかじめ設定した輝度値の範囲内(±α)で平均化を行い平均輝度値を求める(図13の(d))。ここで、黄色の標準輝度値としては208の値を、また、輝度値の範囲内であるαとしては40の絶対値を設定する。
このようにして仮平均化工程で求めた平均輝度値は207となった。平均輝度値は、あらかじめ設定した黄色輝度値の許容範囲内(R=8)である200〜216の範囲内であり、合格と判定される。したがって、図13の(a)に示す印刷物は規格品内として選別されることが分かった。以上の分析結果をまとめると次のようになる。
[第1目的色(黄)]
標準輝度値(合格基準値)=208
仮平均工程で設定する輝度値の範囲(208±α)=168〜248
許容範囲(208±R)=200〜216
当印刷物の平均輝度値(判定値)=207
[判定] 合格
[第1目的色(黄)]
標準輝度値(合格基準値)=208
仮平均工程で設定する輝度値の範囲(208±α)=168〜248
許容範囲(208±R)=200〜216
当印刷物の平均輝度値(判定値)=207
[判定] 合格
本実施例においては、色の読み取り手段120又は220の一例として図12に示す画像読み取り部3を使用したが、それ以外にも、印刷物をスキャナーによって読取り、画像化してビットマップ画像を形成することもできる。スキャナーで読み取る方法は、本発明の色判別装置を検査又は製造のオンラインで使用する場合には、処理速度や処理時間等の点で図12に示す画像読み取り部3よりもやや劣るが、装置構成が簡単であり、読取りのための光原の設置や調整等が不要であることから、簡便な色の読み取り手段120又は22として好適である
<実施例2>
図14に、本発明の色判別方法によるオレンジ色の画像解析手順とその解析結果を示す。図14(a)は本実施例で測定した印刷物の例であり、黄色の配色部分がオレンジ色に代わっているだけで、図案そのものは図13の(a)と同じである。また、図14において、(b)、(c)及び(d)は、それぞれ各解析手順に従ってピクセルごとに変換したクレースケール輝度値を図示したものである。
図14に、本発明の色判別方法によるオレンジ色の画像解析手順とその解析結果を示す。図14(a)は本実施例で測定した印刷物の例であり、黄色の配色部分がオレンジ色に代わっているだけで、図案そのものは図13の(a)と同じである。また、図14において、(b)、(c)及び(d)は、それぞれ各解析手順に従ってピクセルごとに変換したクレースケール輝度値を図示したものである。
図14の(a)に示す印刷物についても、前記実施例1の場合と同じ画像取り込み部3を用い、同様の画像解析方法によって、オレンジ色を指定色にして色判別の分析を行った。オレンジ色は、視覚的にやや色のバラツキを感じるため、状況に応じて、標準輝度値として120〜145の範囲内にある値を採用する必要がある。本実施例においては、オレンジ色の標準輝度値として図5に示す125よりやや小さい122の値を、また、輝度値の範囲内であるαとしては60の絶対値を設定した。分析の結果、図14の(a)に示す印刷物は、仮平均輝度値が121と算出され、あらかじめ設定したオレンジ色の輝度値の許容範囲内(R=6)である116〜128の範囲内にあるため、合格と判定される。したがって、規格品内として選別されることが分かった。
本実施例の分析結果をまとめると次のようになる。
[第1目的色(オレンジ)]
標準輝度値(合格基準値)=122
仮平均工程で設定する輝度値の範囲(122±α)=62〜182
許容範囲(122を中心値として±R)=116〜128
仮平均輝度値(判定値)=121
[判定] 合格
[第1目的色(オレンジ)]
標準輝度値(合格基準値)=122
仮平均工程で設定する輝度値の範囲(122±α)=62〜182
許容範囲(122を中心値として±R)=116〜128
仮平均輝度値(判定値)=121
[判定] 合格
<実施例3>
図15に、本発明の色判別方法による青色の画像解析手順とその解析結果を示す。図15の(a)は本実施例で測定した印刷物の例である。この例は、淡いレモン色の台紙の上に、全体の約2/3及び約1/3がそれぞれ白色及び青色で配色された領域に、それぞれ黒色又は白色で図案又は文字が印字されている印刷物が貼付けられたものである。また、図15において、(b)、(c)及び(d)は、それぞれ各解析手順に従ってピクセルごとに変換したクレースケール輝度値を図示したものである。
図15に、本発明の色判別方法による青色の画像解析手順とその解析結果を示す。図15の(a)は本実施例で測定した印刷物の例である。この例は、淡いレモン色の台紙の上に、全体の約2/3及び約1/3がそれぞれ白色及び青色で配色された領域に、それぞれ黒色又は白色で図案又は文字が印字されている印刷物が貼付けられたものである。また、図15において、(b)、(c)及び(d)は、それぞれ各解析手順に従ってピクセルごとに変換したクレースケール輝度値を図示したものである。
図15の(a)に示す印刷物についても、前記実施例1の場合と同じ画像取り込み部3を用い、同様の画像解析方法によって、青色を指定色にして色判別の分析を行った。ここで、青色の標準輝度値としては80の値を、また、輝度値の範囲内であるαとしては80の絶対値を設定した。
図15の(a)に示す淡いレモン色はRGBの各値の差が小さいため、有彩色及び無彩色として判定する次の工程において、図15の(b)に示すように無彩色として判定され、輝度値255に振り分けられる。分析の結果、図15の(a)に示す印刷物は、仮平均輝度値が81と算出され、あらかじめ設定した青色の輝度値の許容範囲内(R=10)である70〜90の範囲内にあるため、合格と判定される。したがって、規格品内として選別されることが分かった。
本実施例の分析結果をまとめると次のようになる。
[第1目的色(青)]
標準輝度値(合格基準値)=80
仮平均工程で設定する輝度値の範囲(80±α)=0〜160
許容範囲(80を中心値として±R)=70〜90
仮平均輝度値(判定値)=81
[判定] 合格
[第1目的色(青)]
標準輝度値(合格基準値)=80
仮平均工程で設定する輝度値の範囲(80±α)=0〜160
許容範囲(80を中心値として±R)=70〜90
仮平均輝度値(判定値)=81
[判定] 合格
<実施例4>
図16に、本発明の色判別方法による青色の画像解析手順とその解析結果を示す。図16の(a)は本実施例で測定した印刷物の例であり、この例は、淡いレモン色の台紙の上に、全体が青色で配色された領域に白色で文字が印字された印刷物が貼付けられたものである。また、図16において、(b)、(c)及び(d)は、それぞれ各解析手順に従ってピクセルごとに変換したクレースケール輝度値を図示したものである。
図16に、本発明の色判別方法による青色の画像解析手順とその解析結果を示す。図16の(a)は本実施例で測定した印刷物の例であり、この例は、淡いレモン色の台紙の上に、全体が青色で配色された領域に白色で文字が印字された印刷物が貼付けられたものである。また、図16において、(b)、(c)及び(d)は、それぞれ各解析手順に従ってピクセルごとに変換したクレースケール輝度値を図示したものである。
図16の(a)に示す印刷物についても、前記実施例1の場合と同じ画像取り込み部3を用い、同様の画像解析方法によって、青色を指定色にして色判別の分析を行った。ここで、青色の標準輝度値としては80の値を、また、輝度値の範囲内であるαとしては80の絶対値を設定した。
図16の(b)には、淡いレモン色及び青色に加えて、薄い青色が示されていることが分かる。この薄い青色は、青色の領域に印字された白色の文字部分であり、周りの青色によって大きな影響を受ける。この薄い青色はRGBの各値の差が小さいため、有彩色及び無彩色として判定する次の工程において、無彩色として判定され、輝度値255に振り分けられる(図16の(c))。分析の結果、図16の(a)に示す印刷物は、仮平均輝度値が95と算出され、あらかじめ設定した黄色輝度値の許容範囲内(R=10)である70〜90の範囲外であるため、不合格と判定される。したがって、規格品外として選別されることが分かった。
本実施例の分析結果をまとめると次のようになる。
[第1目的色(青)]
標準輝度値(合格基準値)=80
仮平均工程で設定する輝度値の範囲(80±α)=0〜160
許容範囲(80を中心値として±R)=70〜90
仮平均輝度値(判定値)=95
[判定] 不合格
[第1目的色(青)]
標準輝度値(合格基準値)=80
仮平均工程で設定する輝度値の範囲(80±α)=0〜160
許容範囲(80を中心値として±R)=70〜90
仮平均輝度値(判定値)=95
[判定] 不合格
本実施例においては、さらに、修正平均化工程を行うことによって、仮平均化工程による色判別結果の妥当性を調べた。修正平均化工程において輝度値の範囲内であるβとしては30の値を設定した。分析の結果、修正平均輝度値は仮平均輝度値と同じ95となり、仮平均化工程による色判別結果の妥当性が確認された。
<実施例5>
図17に、本発明の色判別方法による混色の画像解析手順とその解析結果を示す。図17(a)は本実施例で測定した印刷物の例であり、白地に黄色、オレンジ色及び黒色が図柄又は文字として印刷されており、オレンジ色と黄色の2つの有彩色が混在するものである。また、図17において、(b)、(c)、(d)及び(e)は、それぞれ各解析手順に従ってピクセルごとに変換したクレースケール輝度値を図示したものである。ここで、図17の(d)及び(e)は、オレンジ色と黄色の仮平均化工程を別々に行った後の結果であり、それぞれオレンジ色の仮平均輝度値及び黄色の仮平均輝度値を示している。
図17に、本発明の色判別方法による混色の画像解析手順とその解析結果を示す。図17(a)は本実施例で測定した印刷物の例であり、白地に黄色、オレンジ色及び黒色が図柄又は文字として印刷されており、オレンジ色と黄色の2つの有彩色が混在するものである。また、図17において、(b)、(c)、(d)及び(e)は、それぞれ各解析手順に従ってピクセルごとに変換したクレースケール輝度値を図示したものである。ここで、図17の(d)及び(e)は、オレンジ色と黄色の仮平均化工程を別々に行った後の結果であり、それぞれオレンジ色の仮平均輝度値及び黄色の仮平均輝度値を示している。
図17の(a)に示す印刷物についても、前記実施例1の場合と同じ画像取り込み部3を用い、同様の画像解析方法によって、オレンジ色及び黄色を指定色にして色判別の分析を行った。ここで、オレンジ色の標準輝度値としては122の値を、また、輝度値の範囲内であるαとしては60の絶対値を設定した。黄色は、標準輝度値として208の値を、また、輝度値の範囲内であるαとして40の値を設定した。分析の結果、図17の(a)に示す印刷物は、オレンジ色及び黄色の仮平均輝度値がそれぞれ130及び205と算出され、あらかじめ設定したオレンジ色及び黄色の輝度値の許容範囲内(R=9及び8)である113〜131及び200〜216の範囲内にあるため、両者の色は合格と判定される。したがって、規格品内として選別されることが分かった。
本実施例の分析結果をまとめると次のようになる。
[第1目的色(オレンジ)]
標準輝度値(合格基準値)=122
仮平均工程で設定する輝度値の範囲(122±α)=62〜182
許容範囲(122±R)=113〜131
仮平均輝度値(判定値)=130
[判定] 合格
[第2目的色(黄)]
標準輝度値(合格基準値)=208
仮平均工程で設定する輝度値の範囲(208±α)=168〜248
許容範囲(208±R)=200〜216
仮平均輝度値(判定値)=205 (許容範囲内)
[判定] 合格
[第1目的色(オレンジ)]
標準輝度値(合格基準値)=122
仮平均工程で設定する輝度値の範囲(122±α)=62〜182
許容範囲(122±R)=113〜131
仮平均輝度値(判定値)=130
[判定] 合格
[第2目的色(黄)]
標準輝度値(合格基準値)=208
仮平均工程で設定する輝度値の範囲(208±α)=168〜248
許容範囲(208±R)=200〜216
仮平均輝度値(判定値)=205 (許容範囲内)
[判定] 合格
<実施例6>
本実施例は、図14の(a)に示すものと同じ図案を有する印刷物について、オレンジ色に代えて、やや白みがかったオレンジ色(標準輝度値=143)を印刷したものの画像分析を行った。画像解析は、仮平均化工程による平均輝度値の算出だけでなく、修正平均化工程による平均輝度を算出することによって行った。
本実施例は、図14の(a)に示すものと同じ図案を有する印刷物について、オレンジ色に代えて、やや白みがかったオレンジ色(標準輝度値=143)を印刷したものの画像分析を行った。画像解析は、仮平均化工程による平均輝度値の算出だけでなく、修正平均化工程による平均輝度を算出することによって行った。
仮平均化工程において、輝度値の範囲内であるαは図5の示す値より狭い35の絶対値を設定する。また、あらかじめ設定した輝度値の許容範囲はR=6と規定し、137〜149の範囲に規定する。修正平均化工程において、輝度値の範囲内である±βは、その範囲に含まれるピクセル数の比率が、前記±αの範囲(108〜178)に含まれる輝度値を有するピクセル数に対して86.4%となるような値、すなわちβ=10に設定した。分析結果をまとめると次のようになる。
[第1目的色(白みがかったオレンジ)]
標準輝度値(合格基準値)=143
{仮平均工程}
輝度値の範囲(143±α)=108〜178
許容範囲(143±R)=137〜149
仮平均輝度値(判定値)=143
[判定] 合格
{修正平均工程}
輝度値の範囲(143±β)=133〜153
許容範囲(143±R)=137〜149
仮平均輝度値(判定値)=143
[判定] 合格
[第1目的色(白みがかったオレンジ)]
標準輝度値(合格基準値)=143
{仮平均工程}
輝度値の範囲(143±α)=108〜178
許容範囲(143±R)=137〜149
仮平均輝度値(判定値)=143
[判定] 合格
{修正平均工程}
輝度値の範囲(143±β)=133〜153
許容範囲(143±R)=137〜149
仮平均輝度値(判定値)=143
[判定] 合格
分析の結果、本実施例の印刷物は仮平均工程及び修正平均工程の両方で合格となり、規格品内として選別できることが分かった。このように、本実施例においては、仮平均輝度値及び修正平均輝度値の両者が許容範囲内にあり、あえて修正平均化工程を行う必要は無い。しかしながら、今後大きな需要が期待される複雑な印刷物又は塗装物について正確な色判別が求められる場合は、本実施例と同じ解析方法によって、仮平均値だけでなく修正平均値を算出することによって色判別を行うことが好ましい。
<実施例7>
前記の実施例5で使用したものと同じ図案(図17の(a)に示す図案)の5枚を、淡いレモン色の台紙の上に貼付けた印刷物について、前記実施例1の場合と同じ画像取り込み部3を用い、同様の画像解析方法によって、オレンジ色及び黄色を指定色にして色判別の分析を行った。ここで、オレンジ色の標準輝度値としては130の値を、また、輝度値の範囲内であるαとしては40の絶対値を設定した。黄色は、標準輝度値として208の値を、また、輝度値の範囲内であるαとして30の絶対値を設定した。
前記の実施例5で使用したものと同じ図案(図17の(a)に示す図案)の5枚を、淡いレモン色の台紙の上に貼付けた印刷物について、前記実施例1の場合と同じ画像取り込み部3を用い、同様の画像解析方法によって、オレンジ色及び黄色を指定色にして色判別の分析を行った。ここで、オレンジ色の標準輝度値としては130の値を、また、輝度値の範囲内であるαとしては40の絶対値を設定した。黄色は、標準輝度値として208の値を、また、輝度値の範囲内であるαとして30の絶対値を設定した。
本実施例において、オレンジ色については視覚的にバラツキがあるため、輝度値に加えて、色相及び彩度についても図8に示す方法に従って、平均色相値及び平均彩度値を求めて色判別の分析を行った。ここで、オレンジ色の標準色相値としては5°の値を、また、輝度値の範囲内であるγとしては35°の絶対値を設定した。オレンジ色の標準彩度値としては0.65の値を、また、輝度値の範囲内であるΔとしては0.12の絶対値を設定した。
分析の結果、オレンジ色及び黄色の仮平均輝度値はそれぞれ129及び206と算出され、あらかじめ設定したオレンジ色及び黄色の輝度値の許容範囲内(R=5及び2)である125〜135及び206〜210の範囲内にあるため、両者の色は輝度による解析において合格と判定される。さらに、オレンジ色の仮平均色相値及び仮平均彩度値については、それぞれ19.7°及び0.632と算出され、あらかじめ設定したオレンジ色及び黄色の輝度値の許容範囲内(HH=±15°及びSS=±0.08)である350°〜20°及び0.57〜0.73の範囲内であるため、合格と判定される。したがって、規格品内として選別できることが分かった。
本実施例の分析結果をまとめると次のようになる。
[第1目的色(オレンジ)]
(1)標準輝度値(合格基準値)=130
仮平均工程で設定する輝度値の範囲(130±α)=90〜170
許容範囲(130±R)=125〜135
仮平均輝度値(判定値)=129
[判定] 合格
(2)標準色相値(合格基準値)=5°
仮平均工程で設定する色相値の範囲(5°±γ)=330°〜40°
許容範囲(5±HH)=350°〜20°
仮平均輝度値(判定値)=19.7°
[判定] 合格
(3)標準彩度値(合格基準値)=0.65
仮平均工程で設定する彩度値の範囲(0.65±Δ)=0.53〜0.77
許容範囲(0.65±SS)=0.57〜0.73
仮平均彩度値(判定値)=0.632
[判定] 合格
[第2目的色(黄)]
標準輝度値(合格基準値)=208
仮平均工程で設定する輝度値の範囲(208±α)=178〜238
許容範囲(208±R)=206〜210
仮平均輝度値(判定値)=206 (許容範囲内)
[判定] 合格
[第1目的色(オレンジ)]
(1)標準輝度値(合格基準値)=130
仮平均工程で設定する輝度値の範囲(130±α)=90〜170
許容範囲(130±R)=125〜135
仮平均輝度値(判定値)=129
[判定] 合格
(2)標準色相値(合格基準値)=5°
仮平均工程で設定する色相値の範囲(5°±γ)=330°〜40°
許容範囲(5±HH)=350°〜20°
仮平均輝度値(判定値)=19.7°
[判定] 合格
(3)標準彩度値(合格基準値)=0.65
仮平均工程で設定する彩度値の範囲(0.65±Δ)=0.53〜0.77
許容範囲(0.65±SS)=0.57〜0.73
仮平均彩度値(判定値)=0.632
[判定] 合格
[第2目的色(黄)]
標準輝度値(合格基準値)=208
仮平均工程で設定する輝度値の範囲(208±α)=178〜238
許容範囲(208±R)=206〜210
仮平均輝度値(判定値)=206 (許容範囲内)
[判定] 合格
このように、本実施例においては、仮平均輝度値、仮平均色相値及び仮平均彩度値のすべてが許容範囲内にあり、結果的には色相又は彩度の仮平均化工程を行う必要は無いことが分かった。しかしながら、多色や複雑な形状に配色される印刷物又は塗装品は、輝度値の近い色同士を同時に配色することが多く、近年そのような配色を施した印刷物や塗装物のニーズが益々増えている。このようなニーズに答える場合は、正確な色判別を行なうために、本実施例と同じ解析方法によって、平均輝度値だけでなく、仮平均色相値又は仮平均彩度値を算出することによって色判別を行うことが好ましい。
以上のように、本発明による印刷物の色判別方法によれば、一般的な印刷物だけでなく、医療機器や自動車部品等の分野で使用する工業用シール・ラベル等の2次元印刷物や立体塗装品等の3次元印刷物に着色されている有彩色の色の判別を、精密さと正確さを保持しながら、迅速に、且つ簡便に行うことができる。また、印刷物の図案、模様及び文字や照明等の外的環境が変化しても、それらの因子による影響を受けない正確な色判別を行うことができるため、色判別検査の自動化による大幅な省力化を図ることができる。さらに、本発明による印刷物の色判別装置は、比較的簡単な構成であるにも関わらず、機能的には高い色判別性能を有するため、汎用性に富む安価な装置を提供することができる。したがって、本発明の色判別方法は、印刷物や塗装品等の色判別を行なう目的だけでなく、印刷機色調制御方法等の様々な分野への利用も可能であるため、その有用性は極めて高い。
1・・・印刷物、2・・・ピクセル、3・・・画像取り込み部、4・・・・撮像デバイス、5・・・光源、6・・・測定ターゲット、100・・・色判別装置、110・・・光原、120・・・色の読取り装置、130・・・R、G、Bの各値の取得手段、140・・・計算手段、150・・・表示手段、200・・・色識別装置、210・・・光源、220・・・色の読取り装置、230・・・R、G、Bの各値の取得手段、240・・・計算手段、250・・・表示手段、300・・・巻取紙、301・・・給紙ユニット、302・・・印刷ユニット、303・・・乾燥ユニット、304・・・排紙ユニット、305・・・折ユニット、306・・・色分別装置、307・・・カメラ、308・・・光源、309・・・光量調節手段、310・・・画像処理部と演算処理部とを有する装置、311・・・モニター、312・・・通信手段、313・・・切替え用の下段ローラ、314・・・切替え用の上段ローラ。
Claims (15)
- 平面又は立体の印刷物又は塗装品の色を数値化して面で判別する方法であって、前記の印刷物又は立体物の色を平面で読み取る工程と、該平面で読み取った画像のピクセル位置に相当する領域に保存されるバイナリデータから赤、緑、青の各値を取得する工程と、該赤、緑、青の各値の差が大きいピクセル及び小さいピクセルを、それぞれ有彩色及び無彩色として判定する工程と、前記有彩色の個別の色を指定色とし、前記有彩色として判定されたピクセルごとの前記赤、緑、青の各値をグレースケール輝度値に変換する工程と、前記グレースケール輝度値を前記指定色の標準輝度値が含まれるようにあらかじめ設定した輝度値の範囲内で平均化する工程(仮平均化工程)と、該平均化した輝度値が、あらかじめ設定した指定色の輝度値の許容範囲内に含まれるか否かによって、前記指定色が所望の色であるか否かを判定する工程とを有することを特徴とする色判別方法。
- 前記仮平均化工程において、前記あらかじめ設定した輝度値の範囲が、前記指定色の標準輝度に応じて勾配をつけて設定されており、前記指定色の標準輝度が0から255と大きくなるに伴って小さくなるように設定されることを特徴とする請求項1に記載の色判別方法。
- 前記仮平均化工程に続いて、前記仮平均化工程で採用した前記輝度値の範囲内よりも狭い範囲内に属する前記有彩色のピクセルごとのグレースケール輝度値について、さらに平均化を行う工程(修正平均化工程)を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の色判別方法。
- 前記ピクセルごとに有彩色及び無彩色として判定する工程に続いて、前記無彩色と判定されたすべての輝度値を、臨界輝度値に基づいて白色及び黒色の輝度値である255及び0のどちらか近い方の値に振り分けることによって、前記無彩色と判定されたピクセルを色判別対象から除外する工程を有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の色判別方法。
- 請求項1〜4の何れかに記載の色判別方法が、前記輝度値に加えて、さらに、前記平面上に読み取った画像のピクセル位置に相当する領域に保存されるバイナリデータから取得した前記赤、緑、青の各値をHLS色空間の色相及び彩度の少なくとも一つに変換する工程と、前記有彩色と判定されたピクセルごとの色相値及び彩度値の少なくとも一つを、前記指定色の標準色相値が含まれるようにあらかじめ設定した色相値の範囲内又は前記指定色の標準彩度値が含まれるようにあらかじめ設定した彩度値の範囲内で平均化する工程(仮平均化工程)と、前記仮平均化工程で算出された平均色相値及び平均彩度値の少なくとも一つが、あらかじめ設定した色相値及び彩度値の少なくとも一つにおいてそれぞれの許容範囲内に含まれるか否かによって、前記指定色が所望の色であるか否かを判定する工程とを有する色判別方法。
- 前記の印刷物の色を平面で読み取る工程が、印刷物をスキャナー、固体撮像素子、カメラ及び面受光用バンドル光ファイバーの少なくとも何れかの手段によって画像化して行われることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の色判別方法。
- 前記無彩色が白及び黒若しくは灰色であって、前記無彩色の輝度値の測定毎のバラツキを小さくするために、前記印刷物が有する無彩色部分の輝度測定値を、あらかじめ基準輝度値が設定された無彩色と対比することによって、前記輝度測定値の較正を行うことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の色判別方法。
- 平面又は立体の印刷物又は塗装物の色を数値化して面で判別する装置であって、前記の 印刷物又は立体物の色を平面で読み取る手段と、該平面で読み取った画像のピクセル位置に相当する領域に保存されるバイナリデータから赤、緑、青の各値を取得するステップ、前記赤、緑、青の各値の差が小さいピクセル及び大きいピクセルを、それぞれ有彩色及び無彩色として判定するステップ、該有彩色の個別の色を指定色とし、前記有彩色として判定されたピクセルごとの前記赤、緑、青の各値をグレースケール輝度値に変換するステップ、前記グレースケール輝度値を指定色の標準輝度が含まれるようにあらかじめ設定した輝度値の範囲内で仮平均化するステップ、及び該仮平均化した輝度値が、あらかじめ設定した輝度値の許容範囲内に含まれるか否かによって、前記指定色が所望の色であるか否かを判定するステップを有する計算手段と、該計算手段によって判定された結果を表示する表示手段とを備える色判別装置。
- 前記仮平均化のステップにおいて、前記あらかじめ設定した輝度値の範囲が、前記指定色の標準輝度に応じて勾配をつけて設定されており、前記指定色の標準輝度が0から255と大きくなるに伴って小さくなるように設定されることを特徴とする請求項8に記載の色判別装置。
- 前記の計算手段が、前記仮平均化のステップに続いて、前記仮平均化のステップで採用した輝度範囲内よりも狭い範囲内に属する前記有彩色のピクセルごとのグレースケール輝度値について、さらに平均化を行うステップ(修正平均化のステップ)を有することを特徴とする請求項8又は9に記載の色判別装置。
- 前記計算手段が、前記ピクセルごとに有彩色及び無彩色として判定するステップに続いて、前記無彩色と判定されたすべての輝度値を、臨界輝度値に基づいて白色及び黒色の輝度値である255及び0のどちらか近い方の値に振り分けることによって、前記無彩色と判定されたピクセルを色判別対象から除外するステップを有することを特徴とする請求項9〜11の何れかに記載の色判別装置。
- 請求項8〜11の何れかに記載の色判別装置が、前記輝度値を測定する手段に加えて、さらに、前記平面上に読み取った画像のピクセル位置に相当する領域に保存されるバイナリデータから取得した前記赤、緑、青の各値をHLS色空間の色相及び彩度の少なくとも一つに変換するステップ、前記有彩色と判断されたピクセルごとの色相値及び彩度値の少なくとも一つを前記指定色の標準色相値が含まれるようにあらかじめ設定した色相値の範囲内又は前記指定色の標準彩度値が含まれるようにあらかじめ設定した彩度値の範囲内で仮平均化するステップ、及び該仮平均化によって算出された前記指定色が有する平均色相値及び平均彩度値の少なくとも一つが、あらかじめ設定した色相値及び彩度値の少なくとも一つにおいてそれぞれの許容範囲内に含まれるか否かによって、前記指定色が所望の色であるか否かを判定するステップを有する計算手段を備える色判別装置。
- 前記の印刷物の色を平面で読み取る手段が、スキャナー、固体撮像素子、カメラ及び面受光用バンドル光ファイバーの少なくとも何れかであることを特徴とする請求項8〜12の何れかに記載の色判別装置。
- 前記無彩色が白及び黒若しくは灰色であって、前記印刷物が有する無彩色部分の輝度測定値の較正を行うことによって前記無彩色の輝度値の測定毎のバラツキを小さくするために、あらかじめ基準輝度値が設定された無彩色印刷物を内部に有することを特徴とする請求項8〜13の何れかに記載の色判別装置。
- サンプリングした印刷物と校了紙又は基準画像を有する紙との比較を行い、両者の色調が一致するように印刷物の色調を制御すること又は別の色調を改めて設定することによって、各色印刷ユニットのインキキーを操作してインキ供給量を調整する方法において、前記サンプリングした印刷物及び前記校了紙又は基準画像を有する紙の少なくとも何れかの色調を判別する方法として、請求項1〜7の何れかに記載の色判別方法を用いることを特徴とする印刷機色調制御方法。
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