JP2016206119A - 液滴駆動装置、およびそれを用いて液滴を駆動する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゲルとその周囲を覆う液体で形成された液滴を駆動する際に、ゲルの周囲に液体が一定量保持されないと、ゲルの駆動が不安定になる。また、ゲルが入った液滴を分離した際に、分離した液滴にゲルを含有するか不明である。すなわち、従来のエレクトロウェッティングデバイスの構成では、ゲルと液体の割合が不明なので、ゲルの駆動が不安定になるという課題を有していた。
【解決手段】ゲルと液体の割合を検出するセンサー機能が付いた液滴駆動装置を提供する。
【選択図】図1
【解決手段】ゲルと液体の割合を検出するセンサー機能が付いた液滴駆動装置を提供する。
【選択図】図1
Description
本発明は、試料液を分析する試料液分析チップに関するものである。とりわけ本発明は、エレクトロウェッティング方式の技術を用いた液滴操作の分野に関する。
特許文献1には、エレクトロウェッティング方式の技術を用いて小滴を操作する小滴移動装置が開示されている。基板表面上に形成され、互いに離間して配置された複数の駆動電極の中から選択された一つ又はそれ以上の駆動電極に一定電圧を印加すると、エレクトロウェッティング現象により、駆動電極上の基板表面と小滴の親和性が変化し、小滴が移動する。このプロセスを繰り返すことで、駆動電極配列に沿って小滴を搬送する。基板表面には、疎水性絶縁膜を付設している。特許文献1には、好適な疎水性絶縁膜の材料として、テフロン(登録商標)AF1600が開示されている。電圧印加による、基板表面と小滴の親和性変化は、基板表面を疎水性にすることでより大きくなるため、低電圧駆動が可能となる。
本願発明者らは、鋭意検討を行い、ゲルとその周囲を覆う液体で形成された液滴がエレクトロウェッティング方式によって移動制御できることを発見した。この移動は、基板表面とゲルの親和性変化によるものではなく、ゲル周囲を覆う液体、もしくはゲルに内包している液体の親和性変化により駆動する。ゲルを用いたエレクトロウェッティングデバイスとしては、特許文献2に開示されている。特許文献2によると、高粘度のゲルをデバイスに配置した後に、刺激を与えてゲルの低粘度化を行い、エレクトロウェッティング方式によってゲルが変形することで駆動する。もしくは、ゲルに接する液体がエレクトロウェッティング方式によって駆動することで、低粘度化されたゲルが変形する。本願発明者らの発見したゲルの移動は、ゲル自体の形状変化をほとんど伴わない点で、特許文献2と駆動原理が全く異なる。また、ゲル自体の形状が変化しない状態で、ゲルの移動制御ができることで、今までにない分析チップが実現できる。
例えば、従来、抗体は流路に固定化されているのが一般的で、試料中にある抗原の捕捉・濃縮はできても回収や培養は困難であった。非特許文献1によると、流路面に塗布したゲル中に抗体を固定化した循環腫瘍細胞分離同定システムが開示されている。このゲルは、抗原の捕捉後に流路面から剥がすことができる点で画期的だが、剥がすという工程は必須で煩雑さを伴う。しかし、液滴中のゲルに抗体を固定化することで、ゲル自体が任意に移動制御できる。例えば、抗原を含む試料の液滴とゲルを含む液滴を混合し抗原の捕捉を行ったり、洗浄と捕捉の繰り返しによる濃縮を行ったり、抗原を捕捉したゲルを移動回収することが容易で、かつそのまま適した部位に移動させて培養することも可能である。
また、試料をゲルに固定化することで、流路を試料中成分で汚染することを防止できる。一般に、基板表面の疎水化剤にはフッ素系樹脂を用いる。タンパク質はフッ素系樹脂に吸着しやすいため、液滴試料内にタンパク質を含むと、タンパク質が流路に吸着し、汚染物となって試料の移動を阻害する。従来は、基板表面をオイルで浸し、オイルによって汚染物の付着を防止、洗浄していた。すなわち、デバイスはオイル槽を設ける必要があり、デバイス構造は複雑化していた。しかし、試料をゲルに内包・固定することで、基板表面をオイルで浸すことなく、試料成分の流失や基板表面への吸着を防止する。試料成分の変化や流路の汚染がないため、液滴駆動が安定化する。
1分子解析技術を基板とした革新ナノバイオデバイスの開発研究 研究成果報告書 中心研究者 川合知二 (P.84〜P.85)
しかしながら、ゲルの周囲に液体が一定量保持されないと、ゲルの駆動は不安定になる。また、ゲルが入った液を分離した際に、分離した液滴がゲルを含有するか確かではない。すなわち、従来のエレクトロウェッティングデバイスの構成では、液滴においてゲルと液体の割合が不明なので、ゲルの駆動が不安定になるという課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、ゲルと液体の割合を検出するセンサーが付いた液滴駆動装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の液滴駆動装置は、液滴の液体と固体の割合を検知するセンサーを備える。
本構成によって、ゲルを含んだ液滴の安定した駆動ができる。
本発明の液滴駆動装置によれば、液滴の液体と固体の割合を検知することでゲルを含んだ液滴の安定した駆動ができる。
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
エレクトロウェッティング方式による液滴の変形について説明する。図12は、エレクトロウェッティング方式による水だけの液滴の変形を確認するために用いた装置の断面図である。図12において、1は基板、2は駆動電極、3は絶縁層、4は疎水性を有する誘電層である。以下、基板表面と称する面は、4の誘電層の最外表面を示す。液滴5は水10μLを基板表面に滴下して作製した。液滴5の上部には、白金製の線電極100を挿入した。線電極100に対向して位置する駆動電極2は、基板全面を覆うように付設した。駆動電極2と白金線電極100は電源8に電気的に接続した。電源8は直流電源であり、白金線電極100をGNDに接続した。液滴をオイルで浸す為に、オイル槽101を設け、シリコーンオイル102(東レ・ダウコーニング株式会社製SH200)を充填した。カメラ9によって液滴の様子を撮影した。図13には、液滴の様子を写真で示す。印加電圧0Vの時、液滴は、ほぼ球に近い形状となった。液滴がオイル中にあることと、基板表面が疎水性であるためである。液滴駆動電極2に電圧を100V印加すると、液滴5と基板表面との親和性が変化して、接触角が小さくなった。この電圧印加による接触角の変化がエレクトロウェッティング方式による液滴の駆動源となる。液滴は水に限らない。しかし、電圧印加による親和性変化を生むためには極性液体であることが好ましい。
次に、エレクトロウェッティング方式による、球状ゲルとその周囲を覆う液体で形成される液滴(以下、ゲル液滴と称す)の変形を確認した。そのための装置を図14に示す。図14において、図12と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。図14の装置はオイルを使わず大気中に液滴5を置いた。液滴5は、球状の寒天ゲル(4wt%寒天・96wt%水)・10μLに水を1μL滴下して作製した。図15には、液滴5の様子を写真で示す。ゲル液滴の上部形状は寒天ゲルの球状になった。基板表面付近には寒天ゲル周囲を覆う水が溜まって接触角を成している。駆動電極2に電圧を80V印加すると、基板表面に溜まっている寒天ゲル周囲の水は基板表面との親和性が変化して、接触角が小さくなった。この接触角の変化がゲル液滴の駆動源となると考えられる。寒天ゲル自身の形状は変化しなかった。
エレクトロウェッティング方式による液滴の駆動について説明する。
図1は、本発明の液滴駆動装置の断面図である。
図1において、図12と同じ構成要素について同じ符号を用い、説明を省略する。2の駆動電極は、互いに離間して複数配置されている。5は、液滴であり、固体を含む液体で形成されている。7は各駆動電極を制御する為の制御装置である。
図2は、液滴駆動装置を上から見た図である。図2において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
電極にA、B、C、D、E(図ではそれぞれ、丸付き数字1、丸付き数字2、丸付き数字3、丸付き数字4、丸付き数字5と記載されている)と番号を付している。電極は制御装置7によって、個々制御されている。例えば、液滴が電極A上を中心に配置され、図示した矢印の方向に駆動させる場合、電極AをOFFし、電極BをONにすることで、液滴は電極Aから電極Bへと駆動する。OFFした電極A上の基板表面と液滴との接触角と、ONした電極B上の基板表面と液滴との接触角に差が生じるためである。移動は、接触角がより小さくなっている向きに進む。
液体のみを駆動させる場合、液滴のサイズは、制御する電極によって決まる。液滴サイズが電極1個分より小さい場合、エレクトロウェッティング方式による駆動は不安定になる。それは液滴と基板表面との接触角に差が生じないためである。液滴のサイズが電極1個分よりも大きく、電極2個分より小さい場合、電極の制御は隣り合う電極をON/OFFすることで駆動する。液滴のサイズが電極2個分より大きく、電極3個分より小さい場合は、電極の制御は電極3個分で行う必要がある。具体的には、電極A、電極BをOFFして電極CをONすることで、図示した矢印の方向に駆動する。駆動方向の接触角とその反対方向の接触角に差を生じさせる為には、液滴が覆う電極全体を制御する必要がある。
ゲル液滴においても、液滴サイズが電極1個分より小さい場合は、エレクトロウェッティング方式による駆動が不安定になる。しかし、ゲル液滴のサイズが電極1個分より大きい場合、液滴が覆う電極全体を制御する必要はない。隣り合う電極を制御することで、駆動する。水だけの液滴とゲル液滴で制御方法に違いが出る理由は不明である。
図2には、球状ゲルとその周囲を覆う液体の割合を検出するセンサー10がある。検出結果は制御装置7にフィードバックする。
(実施の形態1)
図1を用いて、電気的性質を検出するモニターを備えた液滴駆動装置について説明する。
図1を用いて、電気的性質を検出するモニターを備えた液滴駆動装置について説明する。
図1の基板1はホウケイ酸ガラスを、駆動電極2としてチタンとアルミの混合物を用いた。駆動電極2は、一辺2.5mmと5mmの長方形(以下、駆動電極大と称す)と、一辺が0.5mmと1mmの長方形(以下、駆動電極小と称す)の2サイズある。一番左端に駆動電極大を配し、その隣から駆動電極小を15個一列に並べた。各電極は長辺側を隣り合わせに、50μmの間隙で一列に配置した。絶縁層3は酸化シリコンを300Nm厚みで積層し、さらに誘電層4としてフッ素系樹脂(商品名:サイトップ 旭硝子株式会社製)を厚み2μmに塗布して基板全面をカバーした。
液滴は、球状の寒天ゲル(4wt%寒天・96wt%水)を10μLに水を1μL滴下することで、寒天ゲルの周囲を水で覆ったものである。寒天のゲル液滴を、図2に図示する電極Dの位置に置いた。そのゲル液滴の周囲は大気であり、経時的に水は蒸発によって減少する。駆動電圧は印加していない。電極Dと電極Eには静電容量を測定するためのLCRメーター10を接続した。測定は1KHz周波数で行った。図3に、静電容量の経時変化を測定した結果を示す。時間が経つにつれ静電容量が減少した。この静電容量の減少は、水の減少を表している。水が乾燥することで、基板表面と液滴の接触面積が減少し静電容量が減少すると考えられる。
次に、液滴が基板表面に接触する面積と静電容量の関係を調べた。液滴を、図4に図示する駆動電極大の位置に置いた。駆動電圧は印加していない。駆動電極大と電極Aに静電容量を測定するためのLCRメーター10を接続した。静電容量の測定は1KHz周波数で行った。接触面積の測定は、基板表面の反対側である基板裏面から写真撮影し、接触面積を算出した。電極により接触面が隠れる場合は、液滴の位置を電極から外して写真を撮影した。測定は、水だけの液滴と、ゲル液滴の2種類について行った。また、接触面積を変化させるために、測定毎にサイズの異なる液滴を夫々用意した。測定結果を図5に示す。図5に図示するAは、液滴と基板表面との接触する面が駆動電極大内に収まる範囲である。この範囲ではエレクトロウェッティング方式による駆動はできない。Bは、液滴と基板表面との接触する面が駆動電極大と電極A内に収まる範囲である。A範囲内では、接触面積が増えても静電容量に変化はなかった。液滴がAの範囲以上の大きさになると、駆動電極大と電極Aの間隙に影響を与え始め、静電容量は接触面積が増えるに従って増加した。水だけの液滴とゲル液滴では静電容量の増加率が異なり、同じ接触面積であってもゲル液滴の方が水だけの液滴より静電容量が大きくなった。
また、基板表面と液滴の接触面積とタンデルの関係も調べた。測定は、静電容量の測定に合わせて行った。結果を図6に示す。水だけの液滴においてタンデルは、A範囲内ではあまり増加せず、B範囲では、接触面積が増えるに従って急激に増加した。B範囲より大きくなると、タンデルは変化しなくなった。一方、ゲル液滴は接触面積が増えてもタンデルはほぼ一定であった。
これらの電気的性質の変化を用いて、行うことができる制御方法に関して説明する。
ゲル液滴の水の減少を静電容量変化によって検出するモニターは、例えば、試料の濃縮を行う場合に好適である。図2を用いて説明する。あらかじめ駆動電極大に濃縮したい抗体を含む試料液を溜めておく。電極D上に試料液を含有するゲル液滴を置き、その静電容量を測定することで、一定量水分が減少したことを検出した後(例えば、規定値を5%減少時点と決めておく)、駆動電極大上の試料液を分離駆動させ、電極D上の液滴に追加する。試料液の分離駆動は、まず、駆動電極大と電極A、BをONにした後に、電極AをOFFすると、駆動電極小の面積およそ1.5個分の試料液が電極B上に分離する。次に、電極BをOFFにして、電極CをONにすると、電極B上にある試料液は電極Cへ、電極D上にあるゲル液滴も電極Cへ移動するため、電極C上でゲル液滴と試料液は混合される。その後、電極CをOFFして、電極DをONにすることで、電極D上に試料液が追加されたゲル液滴が戻ることになる。また、電極CをONにしたとき、ゲル液滴が電極Cに移動しない場合もある。それはゲル周囲の水分が乾燥して駆動が不安定になるためである。その場合は、試料液を電極D上へ移動させることで、試料液を液滴に追加することができる。このように水分の蒸発と試料液の追加を繰り返すことで抗体はゲル中に濃縮される。濃縮時に電極D付近を加熱するなどして、濃縮時間の短縮を行っても良い。また試料液と液滴の混合をスムーズにするため、電極Cと電極Dの間を行ったりきたりさせることで振動を加えるなどしてもよい。また分離駆動方法は、上記に限らない。
ゲル液滴の水の減少を静電容量変化によって検出するモニターを用いる他の好適な例として、ゲル液滴の水分が減少した時に水の補充を行い、ゲル液滴の安定駆動を行う。図7を用いて説明する。リレー11を介して各電極とLCRメーターを接続することで、ゲル液滴の移動に合わせて、ゲル液滴が主に存在する電極と、決められた量だけ離れた電極間の静電容量をモニターすることができる。これにより、動作中におけるゲルの周囲を覆う水の減少状態を知ることができる。駆動電極大に水を溜めておけば、あらかじめ決められた静電容量が減少した時点で、駆動電極大から水を一定量分離駆動し、ゲル液滴に追加することで、乾燥によって失われた寒天周囲の水を補い、ゲル液滴の駆動を常に安定に保つことができる。
ゲル液滴の水の減少を静電容量変化によって検出することで、ゲル液滴中で培養する場合の保湿状態をモニターすることができる。また、水の追加機能によって、保湿状態を一定に保つことができる。
水だけの液滴とゲル液滴において静電容量の違いを検出するモニターは、電極上にある液滴が水だけか、寒天が入っているかを調べることができる。図5の結果から、範囲Bよりも大きい場合、ゲル液滴の方が水だけの液滴よりも静電容量が大きくなり、区別が可能である。更に精度よく両者を区別するためには、ゲル液滴に比べて、水だけの液滴のサイズを小さくすればよい。接触面積の違いによる静電容量の差の効果を重畳できる。水だけの液滴のサイズを小さくするためには、駆動電極小のサイズをゲル液滴のサイズに比べて十分小さく設計すればよい。
図8を用いて説明する。図8は、駆動電極大に配置してある複数のゲルとそれらを含有する水から、ゲルを一つ分離して駆動する装置である。駆動電極大は一辺が10mmの正方形である。駆動電極小は、一辺が1mmの正方形である。電極は50μmの間隙をもって並んでいる。駆動電極小1個の制御で駆動できる液滴の接触面積は、およそ1.25mm2である。寒天ゲル10μLを用いて作製したゲル液滴は、基板との接触面積がおよそ9mm2となり、両者の接触面積の差は大きい。駆動電極小よりも非常に大きいゲル液滴であっても、駆動電極1個の制御で動作が可能である。静電容量を測定するのは、電極Eと電極F(図では丸付き数字6)で行う。ゲル液滴の大きさによっては、電極Eと電極G(図では丸付き数字7)で行っても良い。測定する際の電極間は、あらかじめ差が大きい距離で測定すればよい。制御の一例を説明する。ゲル液滴を複数個と水を駆動電極大上に溜めておく。そこから、ゲル液滴を分離駆動する。駆動電極大と電極Aと電極BをONにした後に、電極AをOFFすると、電極Bにゲル液滴が移動する。これを電極Eまで移動させ、静電容量を測定する。一方、同じ制御を行って、水だけが液滴として分離する場合がある。駆動電極大にある寒天ゲルが電極A付近になかった場合、水だけが分離されやすい。電極Bには基板表面との親和性が向上した時の接触面積がおよそ1.25mm2の水だけの液滴が作製される。水だけの液滴も電極Eまで移動し、静電容量を測定する。静電容量の違いから、電極E上にある液滴の寒天ゲルの有無を判別し、ゲル液滴の場合は、次の電極へと移動する(例えば、電極F)。水だけの液滴の場合、電極Dへ戻り、例えば、異なる経路を用いて駆動電極大に戻るなどできる。異なる経路を用いた場合、駆動電極大からゲル液滴を分離する駆動を平行して行うことができるという利点がある。このモニターを用いることで、安定してゲル液滴のみを利用することができる。
また、水だけの液滴とゲル液滴において静電容量の違いを検出するモニターは洗浄工程においても好適である。図9を用いて説明する。あらかじめ駆動電極大に洗浄用液体を溜めておく。電極E上には試料液を含有するゲル液滴を置く。駆動電極大から分離した洗浄用液体を電極Eに移動させ、ゲル液滴と洗浄用液体を混合する。ゲルと洗浄用液体が十分に混合された後、ゲルと液体の一部を分離する。例えば、電極D、E、FをONにした後、電極EをOFFにすると、ゲルと液体の一部が分離し、電極D上と電極F上に液滴が分かれる。電極Eと電極Fで静電容量を測定すると、電極F上の液滴がゲル液滴か液体のみの液滴か区別できる。二分した一方の液滴をモニターすることで、ゲル液滴を検出できる。電極Dと電極Fにはそれぞれ廃液溜り用電極30がつながる電極列が枝を分けて用意されている。液体のみの液滴は、廃液溜り用電極30へ移動させる。このように、洗浄用液体とゲルの混合と分離を繰り返すことで洗浄ができる。
上記2例における水だけの液滴とゲル液滴において静電容量の違いを検出するモニターは、水だけの液滴よりもゲル液滴の方が、基板との接触面積が大きくなるように駆動電極小の面積を設計してモニター精度を上げた。しかし、水だけの液滴よりもゲル液滴の方が、基板との接触面積が小さくなる場合はタンデルを検出して区別を行うほうがより良い。
しかし、水だけの液滴とゲル液滴の違いを知るためには、静電容量でモニターしてもタンデルでモニターしても区別をすることはできるので、両者のサイズによってモニター方法を限定することではない。
また、ゲルは寒天に限らない。ゲルの表面は親水性であることが好ましい。含水するハイドロゲルが好ましい。液体は水に限らない。極性をもつことが好ましい。さらに、モニターを用いた制御の好適な例を挙げたがそれに限定することではない。静電容量の測定に1KHzの周波数を用いたが、それに限定することはない。用いるゲルや液体の種類、液滴サイズによって、電気特性差が大きくなる条件(例えば周波数など)において使用することが好ましい。電気特性は、静電容量とタンデルについて説明を行ったが、それに限定されない。インピーダンスは、静電容量が変数のパラメーターであるので例えばインピーダンスを検出してもよい。また、電源と電気特性検出センサーの夫々に取り出し電極を用意したデバイスで説明を行ったが、取り出し電極は両者を兼ねて使用してもよい。液滴駆動装置は大気中で使用しても良いし、オイルなど試料と混合しない液体中で使用しても良い。
さらに、液溜りからゲル液滴を分離して駆動、洗浄、濃縮、水の追加機能、培養などの機能を複数組み合わせて一つのデバイスとしてもよい。
(実施の形態2)
光学的性質を検出するモニターを備えた液滴駆動装置について説明する。
光学的性質を検出するモニターを備えた液滴駆動装置について説明する。
寒天と水の透過率の分光分布測定を行った。寒天(4wt%寒天・96wt%水)と水はそれぞれ測定用セル(石英製)に充填し、分光光度計(日立製作所製U−4000)を用いて、240Nmから2600Nmの透過率について測定した。測定セルに空気が入った状態をベースラインとした。その結果を図10に示す。両者の透過率は測定した全波長域で異なる為、特に光の波長に制限なくその違いを検出できる。しかしその中でも400Nmから800Nmや、1400Nmから1900Nmの波長域では透過率に大きな差があった。測定は透過率で行ったが、この結果から反射率でも同様に差がでることが推測できる。
これらの光学的性質の違いを検出するモニターによって、電極上にある液滴が水だけか、寒天が入っているかを調べることができる。
図11は、図8同様、液溜りから分離した液滴にゲルが入っているかを調べ、入っていなければ液溜りにもどす装置である。図8と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。電極Eを挟むように対向して光源部40と受光部50を配置する。光源部40から出射した光は液滴を通過し、受光部50へ到る。受光部50に入射する光は、透過光である。受光部50の信号を受信し、制御装置7へ信号を送る。あらかじめ決めている規定値よりも大きいエネルギーを受光した場合は、水だけの液滴であると認識して、液溜りへもどす制御を行う。受光部50の代りにミラーをおくことで、光源部40と受光部50は対向して配置しなくてもよい。液滴を透過した光を受光することができれば、光源部と受光部の配置は限定しない。
液滴からの反射光を受光してもよい。液滴に反射した光を受光することができれば、光源部と受光部の配置は限定しない。例えば、光源部40と受光部50は、基板上に配置するだけでなく、液滴の上に配置してもよいし、基板の裏側に配置してもよい。基板の裏側に配置する場合は、基板等の光吸収特性を鑑みて使用する波長を決める方がよい。
また、水だけの液滴とゲル液滴において光学的特性の違いを検出するモニターは洗浄工程においても好適である。
ゲルは寒天に限らない。液体は水に限らない。光源および受光する光は、使用するゲルと液体において光学的性質の差が大きくなる波長を用いる方がよい。波長は単一である必要はない。また、光学的性質の違いを検出するモニターを用いた制御の好適な例を挙げたがそれに限定することではない。
本発明にかかる液滴駆動装置は、ゲルと液体の割合を検出するセンサーを有し、液滴がゲルとその周囲を覆う液体である場合に有用である。このような液滴駆動装置は、試料の捕捉・濃縮・洗浄・移動・培養などに利用される。
1 基板
2 駆動電極
3 絶縁層
4 誘電層
5 液滴
7 制御装置
8 電源
9 カメラ
10 球状ゲルとその周囲を覆う液体の割合を検出するセンサー
11 リレー
30 廃液溜り用電極
40 光源部
50 受光部
100 線電極
101 オイル槽
102 オイル
2 駆動電極
3 絶縁層
4 誘電層
5 液滴
7 制御装置
8 電源
9 カメラ
10 球状ゲルとその周囲を覆う液体の割合を検出するセンサー
11 リレー
30 廃液溜り用電極
40 光源部
50 受光部
100 線電極
101 オイル槽
102 オイル
Claims (8)
- 液滴駆動装置を用いて液滴を駆動する方法であって、以下の工程を具備する:
以下を具備する液滴駆動装置<100>を用意する工程(A)、
第1の電極層<2A>、
第2の電極層<2B>、
第3の電極層<2C>、
第4の電極層<2d>、
電源<8>、
静電容量センサ<10>、および
制御部(プロセッサ)<7>、ここで
前記第1の電極層、前記第2の電極層、前記第3の電極層および前記第4の電極層は、液滴の駆動方向に沿って配置されており、
前記第1の電極層、前記第2の電極層、前記第3の電極層および前記第4の電極層は、前記制御部を介して前記電源と電気的にそれぞれ接続されており、
前記第1の電極層上、前記第2の電極層上、前記第3の電極層上および前記第4の電極層上には、誘電体膜がそれぞれ配置されており、
前記第1の電極層上および前記第2の電極層上には、前記第1の電極層上および前記第2の電極層上に跨る液滴<5A>が配置されており、
前記静電容量センサは前記第3の電極層および前記第4の電極層の間に接続されており、
前記工程(A)の後、前記第3の電極層上および前記第4の電極層上に跨るゲルを包含する液滴<5B>を配置する工程(B)、
前記工程(B)の後、前記静電容量センサを用いて、前記第3の電極層および前記第4の電極層の間の静電容量を経時的に測定する工程(C)、
前記工程(C)の後、前記制御部は、前記静電容量が所定の閾値以下になったと検知すると、前記電源を用いて前記第2の電極層に電位差を印加して、前記第1の電極層上および前記第2の電極層上に跨る前記液滴を、前記第2の電極層上および前記第3の電極層上に跨るように駆動させる工程(d)、
前記工程(d)の後、前記制御部は、前記電源を用いて前記第3の電極層に電位差を印加して、前記第2の電極層上および前記第3の電極層上に跨る前記液滴を、前記第3の電極層上および前記第4の電極層上に跨る前記ゲルを包含する液滴と接触させるように駆動させる工程(e)。 - 前記所定の閾値とは、前記工程(C)において最初に測定された静電容量の値から5%減少した値である、
請求項1に記載の液滴を駆動する方法。 - 極性をもつ液体と固体とを含む液滴を操作するための装置であって、
基板表面を含む基板と、
基板表面上に形成され、互いに離間して配置された複数の駆動電極と、
駆動電極をカバーし疎水性を有する誘電層と、
選択された駆動電極に駆動電圧を印加する電極選択および電源部と、
前記液滴の液体と固体の割合を検知するセンサーと、
を備えることを特徴とする液滴駆動装置。 - 前記センサーは、少なくとも2つの駆動電極間の電気的性質の変化を検出することを特徴とする、
請求項3に記載の液滴駆動装置。 - 前記電気的性質の変化は、静電容量であることを特徴とする、
請求項4に記載の液滴駆動装置。 - 前記電気的性質の変化は、タンデルであることを特徴とする、
請求項4に記載の液滴駆動装置。 - 前記センサーは、光学的特性変化を検出することを特徴とする、
請求項3に記載の液滴駆動装置。 - 前記光学的特性変化は、透過光強度または反射光強度であることを特徴とする、
請求項7に記載の液滴駆動装置。
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