JP2016192755A - 画像信号処理装置、画像信号処理方法、及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】少ない時間遅延でぼかし処理を施した画像信号を生成することを課題とする。【解決手段】フィルタ処理部(4)は、入力される画像信号に対して、第1のタップ数のフィルタの第1のフィルタ係数を各回で制御した複数回の第1のフィルタ処理を施して複数の中間画像を生成し、合成部(7)は、それら複数の中間画像を合成することで、第1のタップ数より多い第2のタップ数のフィルタで第2のフィルタ係数による第2のフィルタ処理を画像信号に施したのと等価なぼかし画像を生成する。簡易ぼかし部(9)は、入力される画像信号に対して、フィルタ処理部(4)によるフィルタ処理よりも簡易な簡易ぼかし処理を施して簡易ぼかし画像を生成する。【選択図】図1
Description
本発明は、画像信号等を処理する画像信号処理装置、画像信号処理方法、及びプログラムに関する。
従来より、被写界深度を浅くして撮影することで、背景だけをぼかし、被写体をより目立たせる撮影方法がある。被写界深度は、例えば、F値を小さく、焦点距離を長く、撮影距離を近くなどすることで浅くできるが、口径の大きなレンズや焦点距離の長い光学系は高価であるため、従来の安価な撮像装置では、被写界深度を浅くしにくいものが多い。
そこで、安価な撮像装置は、撮影画像から主要画像部分(例えば被写体画像部分)と背景画像部分とを分離し、フィルタ処理で背景画像部分をぼかして主要画像部分と合成することで、被写界深度を浅くした撮影と同等の効果を得る技術を採用しているものがある。このような技術は、特許文献1等に記載されている。特許文献1に記載の画像処理装置は、焦点条件の異なる2枚の同画像の画像情報を取得し、画像内の主要部(被写体)と背景のうち何れか一方(例えば背景)の画像に対してぼかし処理を施して合成することで、主要部が鮮鋭で背景がぼけた画像を形成する。
ぼかし処理を行うためのフィルタ処理回路は、少ないぼかし量でよい場合には比較的小さい回路規模で実現できるが、ぼかし量を多くする場合には回路規模が大きくなる。回路規模を大きくせずにぼかし量が多い画像を形成する技術の一つに、フィルタの畳み込み演算を時分割で行う処理(以下、分割フィルタ処理と呼ぶ。)が知られている。
しかしながら、分割フィルタ処理は、1枚の画像に対し、フィルタ係数を変えながら、複数回フィルタ処理を行い、それらの結果を加算して所望のフィルタ処理された画像を得るため、最終結果を得るまでの処理時間が長くなる。したがって、分割フィルタ処理により例えば背景部分をぼかした画像を表示するような場合、画像の撮影から表示までに時間遅延が発生してしまう。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、少ない時間遅延でぼかし処理を施した画像信号を生成可能な画像信号処理装置、画像信号処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
本発明の画像信号処理装置は、入力される画像信号に対して、第1のタップ数のフィルタの第1のフィルタ係数を各回で制御した複数回の第1のフィルタ処理を施して、複数の中間画像を生成し、前記複数の中間画像を合成することで、前記第1のタップ数より多い第2のタップ数のフィルタで第2のフィルタ係数による第2のフィルタ処理を前記画像信号に施したのと等価な、第1のぼかし画像を生成するフィルタ合成手段と、前記第1のぼかし画像を用いて生成される画像を記録媒体に記録する記録手段と、入力される画像信号に対して、前記第1のぼかし画像を生成するための処理よりも簡易な所定の簡易ぼかし処理を施して第2のぼかし画像を生成するぼかし手段と、前記第2のぼかし画像を用いて生成される画像を表示媒体に表示する表示手段とを有することを特徴とする。
本発明によれば、少ない時間遅延でぼかし処理を施した画像信号を生成可能となる。
<第1の実施形態>
図1は、画像信号処理装置の一例である第1の実施形態の撮像装置の概略構成を示す図である。図1において、システム制御部12は、本実施形態の撮像装置全体を制御する。なお、図1では図示を省略しているが、撮像装置は、シャッターボタンなどのような一般的なカメラに設けられている各種操作部も有している。
図1は、画像信号処理装置の一例である第1の実施形態の撮像装置の概略構成を示す図である。図1において、システム制御部12は、本実施形態の撮像装置全体を制御する。なお、図1では図示を省略しているが、撮像装置は、シャッターボタンなどのような一般的なカメラに設けられている各種操作部も有している。
光学系1は、ズームレンズ、フォーカスレンズ、絞り等を有して構成されており、システム制御部12からの制御信号により、絞りとレンズを駆動して、適切な明るさに設定された被写体像を撮像素子2上に結像させる。撮像素子2は、システム制御部12により制御される駆動パルスで駆動され、被写体像を光電変換により電気信号に変換して撮像信号として出力する。現像処理部3は、撮像素子2からの撮像信号を輝度と色差の信号に変換する現像処理を行い、その現像処理後の輝度と色差の画像信号を、分割フィルタ処理画像選択部13へ出力する。また、現像処理部3は、画像信号をメモリ6へも出力する。したがって、メモリ6は、後述する中間画像の信号の他、この現像処理部3からの画像信号も保持する。
分割フィルタ処理画像選択部13は、システム制御部12による制御の下、垂直同期信号の1周期内で、現像処理部3からの画像信号とメモリ6からの画像信号の何れかを選択して、フィルタ処理部4へ入力させる。
フィルタ処理部4は、フィルタ係数制御部5から供給されるフィルタ係数を用い、分割フィルタ処理画像選択部13からの画像信号に対してフィルタ処理を行う。フィルタ係数制御部5は、システム制御部12による制御の下、フィルタ処理の際に使用されるフィルタ係数をフィルタ処理部4へ出力する。
ここで、本実施形態のフィルタ処理部4は、畳み込み演算を時分割で複数回行うような分割フィルタ処理を実行可能となされている。具体的には、フィルタ処理部4は、一例として、後述するように1垂直同期期間内に1〜9回のフィルタ処理を行うような分割フィルタ処理を行う。フィルタ処理部4が1〜9回のフィルタ処理でそれぞれ生成した各画像信号(後述する各中間画像の信号)は、メモリ6に保持された後、読み出されて合成部7へ出力される。
合成部7は、システム制御部12による制御の下、メモリ6から読み出す各中間画像の画素位置を制御して、そのメモリ6からそれぞれ対応した位置の画素を読み出して加算することにより、各中間画像を合成する。この加算による合成で形成された画像信号は、フィルタ処理部4での分割フィルタ処理によるぼかし処理後の画像信号(以下、フィルタ処理ぼかし画像信号とする。)となる。
本実施形態によれば、フィルタ合成手段の一例として、分割フィルタ処理を行うフィルタ処理部4と、分割フィルタ処理による各中間画像を保持するメモリ6と、メモリ6に保持された各中間画像を合成する合成部7とを有している。そして、本実施形態では、これらの構成により、タップ数の少ない小さい回路規模のフィルタで、タップ数の多い大規模なフィルタと等価なぼかし量が多い画像を生成可能となっている。
以下、フィルタ処理部4において行われる分割フィルタ処理と合成部7による合成処理の詳細を説明する。本実施形態では、図2、図3を用い、水平方向9タップ、垂直方向9タップの空間フィルタの場合の分割フィルタ処理を例に挙げて説明する。なお、フィルタ処理部4のタップ数は一例であり、9タップに限定されるものではない。
図2は、水平方向9タップ、垂直方向9タップの空間フィルタのフィルタ係数の一例を示す図である。図2中のk0〜k8はフィルタ係数を示し、空間フィルタの水平方向と垂直方向をそれぞれ3タップずつに分離したときのそれぞれの位置のフィルタ係数を示している。図3は、画像内において(x,y)座標が(i,j)で表される、或る着目画素位置(i,j)における水平方向9タップ、垂直方向9タップの空間フィルタの参照範囲を示す図である。そして、フィルタ処理は、例えば式(1)に示すような演算式を用いて行われる。
ここで、式(1)及び後述の各式中の「x」,「y」は図3に示す画像の各画素の座標、「i」は画像内の注目画素の水平アドレス(x座標)、「j」は画像内の注目画素の垂直アドレス(y座標)、「a」はフィルタ係数、「I」は画素値を示している。そして、式(1)の「p」は、図3に示すように着目画素位置(i,j)に対してフィルタをかけた結果(中間画像)となる。
図4は、フィルタ処理部4において、畳み込み演算を水平方向3タップ、垂直方向3タップずつに分割した分割フィルタ処理が行われ、さらに合成部7により合成処理がなされるまでの基本的なフローチャートを示す。図4のフローチャートは、システム制御部12が、分割フィルタ処理画像選択部13の制御、フィルタ係数制御部5からフィルタ係数の出力制御によるフィルタ処理部4の制御、メモリ6の書き込みと読み出しの制御を行うことにより実行される。
図4において、システム制御部12は、先ずステップS100の処理として、変数nに初期値の「0」をセットする。変数nは、分割フィルタの分割数に対応しており、これは言い換えると1垂直同期期間内にフィルタ処理部4で行われるフィルタ処理の回数に対応している。本実施形態の場合、畳み込み演算を水平方向3タップ、垂直方向3タップずつに分割しており、フィルタ分割数が9分割で1〜9回のフィルタ処理が行われるため、変数nは「0」〜「8」の値となる。ステップS100の後、システム制御部12は、処理をステップS101へ進める。
ステップS101では、システム制御部12は、1回目のフィルタ処理の際には、分割フィルタ処理画像選択部13を制御して現像処理部3からの画像信号をフィルタ処理部4へ入力させる。このステップS101の後、システム制御部12は、処理をステップS102へ進める。
ステップS102では、システム制御部12は、フィルタ係数制御部5を制御してフィルタ処理部4へフィルタ係数を出力させる。このときのフィルタ処理部4は、1回目のフィルタ処理として、例えば式(2)に示すようなフィルタ演算を行って第1の中間画像p0を生成する。ここで、式(2)の演算は、画像信号の画像全体に対して行われるものであり、したがって第1の中間画像p0は、図2における左上のフィルタ係数k0を用いて画像全体にフィルタを掛けた画像信号ということになる。
ステップS102の後、システム制御部12は、処理をステップS103へ進める。ステップS103では、システム制御部12は、第1の中間画像p0の信号をメモリ6に保持させる。ステップS103の後、システム制御部12は、処理をステップS104へ進める。
ステップS104では、システム制御部12は、全分割数のフィルタ演算が完了したか否かを判断する。具体的には、本実施形態では、フィルタ処理部4で1〜9回のフィルタ処理が行われ、変数nが「0」〜「8」の値を取り得るため、システム制御部12は、変数nが「8」になっている場合に全分割数の演算が完了したと判断する。ステップS104において、システム制御部12は、全分割数のフィルタ演算が完了していないと判断した場合には処理をステップS105へ進め、一方、完了したと判断した場合には処理をステップS106へ進める。
ステップS105では、システム制御部12は、次の分割位置のフィルタ演算に移るために、変数nに「n+1」をセットする。このときの変数nはステップS100で設定された初期値の「0」であるため、ステップS105では変数nが「1」に設定されることになる。ステップS105の後、システム制御部12は、ステップS101へ処理を戻す。
ステップS101に戻ると、システム制御部12は、次は2回目のフィルタ処理が行われるため、メモリ6と分割フィルタ処理画像選択部13を制御し、メモリ6から読み出させた画像信号をフィルタ処理部4へ入力させる。次のステップS102の処理に進むと、システム制御部12は、フィルタ係数制御部5を制御してフィルタ処理部4へフィルタ係数を出力させる。このときのフィルタ処理部4は、2回目のフィルタ処理として、例えば式(3)に示すようなフィルタ演算を行って第2の中間画像p1を生成する。式(3)の演算は、画像信号の画像全体に対して行われるものであり、したがって第2の中間画像p1は、図2における中央上のフィルタ係数k1を用いて画像全体にフィルタを掛けた画像信号ということになる。
次のステップS103の処理に進むと、システム制御部12は、第2の中間画像p1の信号をメモリ6に保持させる。次のステップS104において、システム制御部12は、全分割数のフィルタ演算が完了したか否かを判断する。ステップS104において、システム制御部12は、全分割数のフィルタ演算が完了していないと判断した場合には処理をステップS105へ進め、一方、完了したと判断した場合には処理をステップS106へ進める。このときのフィルタ処理は2回目であるため、システム制御部12は、ステップS105へ処理を進め、変数nを「2」に設定して、ステップS101へ処理を戻す。
以下同様に、システム制御部12は、ステップS101からS104、さらにステップS104からステップS105を経てステップS101へ戻る処理を、ステップS104で全分割数のフィルタ演算が完了したと判断されるまで繰り返す。本実施形態では、前述のようにフィルタ分割数が9分割で1〜9回のフィルタ処理が行われるため、変数の「n」は「0」から「8」までインクリメントされていくことになる。ステップS105で変数nが「2」に設定された後、前述の処理が繰り返されて順次変数nがインクリメントされた場合、ステップS102では、式(4)〜式(10)に示す演算がフィルタ処理部4で行われることになる。これら式(4)〜式(10)に示すフィルタ演算により、フィルタ処理部4からは、第3の中間画像p2〜第9の中間画像p8の信号が出力されることになる。また、ステップS103では、それら第3の中間画像p2〜第9の中間画像p8の信号がメモリ6に保持される。
そして、ステップS104にて全分割数の演算が完了したと判断して処理をステップS106へ進めると、システム制御部12は、合成部7を制御して、ここまでで計算されてメモリ6に保持された第1の中間画像p0〜第9の中間画像p8の信号を読み出させる。このときの合成部7は、システム制御部12による制御の下、メモリ6から読み出す各中間画像の画素位置を制御して、そのメモリ6からそれぞれ対応した各画素を読み出す。ステップS106の後、システム制御部12は、処理をステップS107へ進める。
ステップS107では、システム制御部12は、合成部7を制御して、第1の中間画像p0〜第9の中間画像p8を加算して合成させる。このときの合成部7は、システム制御部12による制御の下、メモリ6から読み出された中間画像の各画素を加算により合成する。合成部7での加算による合成で形成された画像信号は、フィルタ処理部4での分割フィルタ処理によるぼかし処理後の画像信号(フィルタ処理ぼかし画像信号)となる。このフィルタ処理ぼかし画像信号は、第1の背景被写体合成部15へ送られる。
図5(a)〜図5(i)を用いて、フィルタ処理部4による分割フィルタ処理と合成部7で行われる各第1の中間画像p0〜第9の中間画像p8の合成動作について説明する。図5(a)〜図5(i)において、位置(i,j)の画素が着目画素であり、領域1000は着目画素に対して水平方向9タップで垂直方向9タップの空間フィルタが参照する範囲を示し、領域1001は着目画素に対する中間画像上の参照位置を示している。図5(a)は第1の中間画像p0が求められる際の着目画素及び空間フィルタの参照範囲と着目画素に対する中間画像上の参照位置を示した図である。以下同様に、図5(b)は第2の中間画像p1、図5(c)は第3の中間画像p2、図5(d)は第4の中間画像p3、図5(e)は第5の中間画像p4についての図である。図5(f)は第6の中間画像p5、図5(g)は第7の中間画像p6、図5(h)は第8の中間画像p7、図5(i)は第9の中間画像p8についての図である。
ここで、水平方向及び垂直方向が9タップの空間フィルタと等価な効果を得るためには、着目画素位置(i,j)に対し、第1の中間画像p0からは位置(i−3,j−3)を中心とした水平方向及び垂直方向が3タップの空間フィルタをかけた画素が必要となる。また、第2の中間画像p1からは位置(i,j−3)、第3の中間画像p2からは位置(i+3,j−3)、第4の中間画像p3からは位置(i−3,j)をそれぞれ中心とした水平方向3タップ、垂直方向3タップの空間フィルタをかけた画素が必要となる。さらに、第5の中間画像p4からは位置(i,j)、第6の中間画像p5からは位置(i+3,j)、第7の中間画像p6からは位置(i−3,j+3)をそれぞれ中心とした水平方向3タップ、垂直方向3タップの空間フィルタをかけた画素が必要となる。同様に、第8の中間画像p7からは位置(i,j+3)、第9の中間画像p8からは位置(i+3,j+3)をそれぞれ中心とした水平方向3タップ、垂直方向3タップの空間フィルタをかけた画素が必要となる。合成部7は、それら第1の中間画像p0〜第9の中間画像p8の各位置の画素値を取得して合成する。
以上のように、フィルタ処理部4は、畳み込み演算を水平方向3タップ、垂直方向3タップずつに分割して1〜9回のフィルタ処理により第1〜第9の中間画像p0〜p9を生成し、合成部7は、それら第1〜第9の中間画像p0〜p9を合成する。これにより、回路規模は小さいながらも水平方向9タップ、垂直方向9タップの空間フィルタをかけた場合と同じ画像信号が得られることになる。
図1の説明に戻り、第1の主被写体判別部14は、現像処理部3から出力されてメモリ6に保持されている画像信号より、主被写体の画像部分(以下、主被写体画像とする。)を検出する。画像信号から主被写体画像を検出する手法については種々の手法が知られており、本実施形態ではそれらの何れを用いてもよい。そして、第1の主被写体判別部14は、例えば、その画像信号における画像の中央に近く、サイズが大きい被写体画像部分を、主被写体画像と判別して、その主被写体画像のサイズと画像信号の画像内における位置情報とを第1の背景被写体合成部15へ出力する。なお、ここでは、現像処理部3から出力されてメモリ6に保持されている画像信号より主被写体画像のサイズと位置情報を求める例を挙げたが、第1の主被写体判別部14は、メモリ6に保持されている中間画像からそれらの情報を求めてもよい。
第1の背景被写体合成部15は、第1の主被写体判別部14により検出された主被写体画像のサイズと位置情報に基づき、現像処理部3から出力されてメモリ6に保持された画像信号と合成部7からのフィルタ処理ぼかし画像信号とを合成する。具体的には、第1の背景被写体合成部15は、主被写体画像のサイズと位置情報に基づいて、メモリ6から読み出された画像信号より、主被写体画像を抜き出す。そして、第1の背景被写体合成部15は、その抜き出した主被写体画像を、合成部7から供給されるフィルタ処理ぼかし画像信号の同位置、すなわち主被写体画像の位置情報に応じた位置へ、上書きにより合成する。
ここで、合成部7からのフィルタ処理ぼかし画像信号は、画像全体にぼかし処理が施された画像信号である。一方、第1の背景被写体合成部15への入力画像信号は、現像処理部3の出力画像であり、ぼかし処理されていない鮮鋭な画像の信号である。そして、第1の背景被写体合成部15は、その画像信号から被写体画像を抜き出してフィルタ処理ぼかし画像信号に合成する。これにより、第1の背景被写体合成部15から出力される画像信号は、背景がぼけている一方で被写体画像が鮮鋭で目立った画像の信号となる。
第1の背景被写体合成部15による背景と被写体画像の合成処理後の画像信号は、記録部8へ送られる。記録部8は、一例としてSDカードに代表される記録媒体等に対する信号の書き込みと読み出しを行う書き込み/読み出し部を有して構成されており、第1の背景被写体合成部15から入力された画像信号を記録媒体に記録する。
また、本実施形態の撮像装置は、フィルタ処理部4で1回目のフィルタ処理がなされたとき、そのフィルタ処理による第1の中間画像p0の信号が、メモリ6を介さず、所定のぼかし手段の一例である簡易ぼかし部9へと入力される。また、このとき、第2の背景被写体合成部17には、現像処理部3から出力されてメモリ6に保持されていた画像信号が入力される。第2の主被写体判別部16へ入力される画像信号は、フィルタ処理部4でのフィルタ処理による第1の中間画像p0の信号(メモリ6を介していない信号)である。なお、簡易ぼかし部9へ入力される信号と、第2の主被写体判定部16へ入力される信号は、現像処理部3から出力されてメモリ6に保持されていた画像信号であってもよい。
簡易ぼかし部9は、システム制御部12による制御の下、フィルタ処理部4から出力された第1の中間画像p0の画像信号に対し、例えば後述するような縮小処理と拡大処理による簡易ぼかし処理を行う。すなわち、簡易ぼかし部9は、フィルタ処理部4にて行われる複数回のフィルタ処理のうち、最初に行われる1回目のフィルタ処理による第1の中間画像p0の画像信号に対して簡易ぼかし処理を行う。言い換えると、簡易ぼかし部9は、フィルタ処理部4での複数回のフィルタ処理が完了してフィルタ処理ぼかし画像信号が得られる前、例えば垂直同期信号の略々1周期分早く、簡易ぼかし処理による画像信号を出力可能となされている。そして、簡易ぼかし部9は、その簡易ぼかし処理による画像信号(以下、簡易ぼかし画像信号とする。)を、第2の背景被写体合成部17へ出力する。縮小処理と拡大処理による簡易ぼかし処理の詳細については後述する。
第2の主被写体判別部16は、第1の中間画像p0の画像信号から、主被写体の画像部分(主被写体画像)を検出する。なお、第2の主被写体判別部16における主被写体画像の検出処理は、前述の第1の主被写体判別部14における処理と同じでよい。第2の主被写体判別部16は、画像信号の画像の中央に近く、サイズが大きい被写体画像部分を、主被写体画像と判別して、その主被写体画像のサイズと画像信号の画像内における位置情報とを第2の背景被写体合成部17へ出力する。
第2の背景被写体合成部15は、第1の主被写体判別部14により検出された主被写体画像のサイズと位置情報に基づき、現像処理部3から出力されてメモリ6に保持されている画像信号と、簡易ぼかし部9からの簡易ぼかし画像信号とを合成する。具体的には、第2の背景被写体合成部17は、画像信号より主被写体画像を抜き出す。そして、第2の背景被写体合成部17は、その抜き出した主被写体画像を、簡易ぼかし部9による簡易ぼかし画像信号の同位置、すなわち主被写体画像の位置情報に応じた位置へ、上書きにより合成する。
ここで、簡易ぼかし部9から出力された画像信号は、第1の中間画像の画像信号に対して、簡易ぼかし処理が施された信号である。一方、第2の背景被写体合成部17への入力画像信号は、現像処理部3から出力されてメモリ6に保持された画像信号であり、非常に鮮鋭な画像の信号である。そして、第2の背景被写体合成部17は、その画像信号から被写体画像を抜き出し、その主被写体画像を、簡易ぼかし画像信号に合成する。これにより、第2の背景被写体合成部17から出力される画像信号は、背景がぼけている一方で被写体画像が鮮鋭で目立った画像の信号となる。この第2の背景被写体合成部17による合成処理後の画像信号は、VRAM10へ送られる。
VRAM10は、第2の背景被写体合成部17からの画像信号を保持した後、その画像信号を表示部11へ出力する。表示部11は、表示媒体の一例であるLCD(液晶ディスプレイ)に代表される表示デバイスにより構成されており、VRAM10から供給された画像信号より画像を形成してその画像を画面上に表示する。
前述したように、本実施形態の場合、記録媒体へ記録される画像信号は、メモリ6に記憶された第1〜第9の中間画像p0〜p8を用いたフィルタ処理ぼかし画像信号に、被写体画像が合成された画像信号となされている。一方、表示部11への表示用の画像信号は、メモリ6を介さず、フィルタ処理部4が1回目のフィルタ処理を行って出力した第1の中間画像p0に簡易ぼかし処理を行った画像に被写体画像を合成した画像信号となされている。
次に、図1に示した本実施形態の撮像装置に対する比較例として、図6には、図1に示した簡易ぼかし部9と第2の主被写体判別部16と第2の背景被写体合成部17を設けず、第1の背景被写体合成部15の出力が表示部11へ送られる構成例を挙げる。なお、図6において、図1と同じ構成要素についての説明は省略する。
図6の構成で図1と異なる部分は、図1の簡易ぼかし部9と第2の主被写体判別部16と第2の背景被写体合成部17が無く、第1の背景被写体合成部15の出力画像信号が、VRAM10を介して表示部11へ送られる表示用の画像信号になっている点である。すなわち図6の構成の場合、表示部11に画面表示される画像は、第1の背景被写体合成部15の出力画像信号が、VRAM10に一旦保持された後に読み出された画像となっている。言い換えると、表示部11に入力される表示用の画像信号は、記録媒体へ入力される画像信号に対して、VRAM10を介することによる少なくとも1垂直同期期間分の遅延が発生している。これに対して、図1の構成では、以下に説明するように、記録媒体へ記録される画像信号に対する表示画像の遅延は無い。
次に、図7(a)と図7(b)を用い、図6と図1の構成における信号入出力のタイミングを説明する。図7(a)は、図6の撮像装置の撮像素子2、現像処理部3、フィルタ処理部4、合成部7、記録部8、表示部11の信号出力又は入力のタイミングチャートである。図7(b)は、図1の撮像装置の撮像素子2、現像処理部3、フィルタ処理部4、合成部7、簡易ぼかし部9、記録部8、表示部11の信号出力又は入力のタイミングチャートである。図7(a)、図7(b)中の1V,2V,・・・,7Vはそれぞれ垂直同期信号の1周期を表している。図7(a)と図7(b)の「撮像素子出力」は、撮像素子2から撮像信号が出力されるタイミングを垂直同期信号の周期に対応させて表している。同様に、図7(a)と図7(b)の「現像処理部出力」は、現像処理部3から画像信号が出力されるタイミングを表している。図7(a)の「フィルタ処理部出力」は1〜9回のフィルタ処理が完了した際のフィルタ処理部4の出力、一方、図7(b)の「フィルタ処理部出力」は1回目のフィルタ処理がなされた際のフィルタ処理部4の出力タイミングをそれぞれ示している。図7(a)と図7(b)の「合成部出力」は合成部7の出力、「記録部入力」は記録部8への画像信号の入力、「表示部入力」は表示部11への画像信号の入力のタイミングをそれぞれ表している。図7(b)の「簡易ぼかし部出力」は簡易ぼかし部9の出力タイミングを表している。そして、現像処理部出力〜表示部入力における1V〜7Vの各周期の画像信号は、撮像素子出力の1V〜7Vの各周期の画像信号にそれぞれ対応している。
先ず、図6に示した撮像装置のタイミングチャートである図7(a)について説明し、さらに図6に示した構成の問題点を図8を用いて説明した後に、図1に示した本実施形態の撮像装置の図7(b)のタイミングチャートについて説明する。
図7(a)において、現像処理部出力は、撮像素子出力に対して、現像処理部3での現像処理に要する1周期分の時間だけ遅延している。フィルタ処理部出力は、現像処理部出力に対して、フィルタ処理部4による1〜9回のフィルタ処理に要した、1周期分(垂直同期信号の1周期分)だけ遅延している。また、合成部出力は、フィルタ処理部4でのフィルタ処理による第1〜第9の中間画像p0〜p8を合成した信号であり、フィルタ処理部出力に対しては垂直同期信号単位では遅延が発生していない。そして、記録部入力は、合成部出力に主被写体画像が合成された画像信号であり、フィルタ処理部出力に対しては垂直同期信号単位では遅延が発生していない。これに対し、表示部入力は、合成部出力に主被写体画像を合成した画像信号が更にVRAM10で一旦保持された信号であるため、記録部出力に対しては垂直同期信号の1周期分だけ遅延している。
このように、表示部入力が記録部出力に対して垂直同期信号の1周期分も遅延した場合、以下の図8に示すようなことが発生する虞がある。図8の例において、1V,2V,3V,・・・,5Vはそれぞれ垂直同期信号の周期を表している。図8の例では、それら各1V,2V,3V,・・・,5Vについて、図6の現像処理部3から画像信号が出力されるタイミングを基準として説明する。図8は、被写体401が撮像装置に対して右方向に移動している際に撮影された画像例を示している。この図8の場合、画像垂直同期信号の1V目には現像処理部3の出力画像に背景402と被写体401が写っており、周期が1V→2V→3V→・・・の順に遷移するにつれて、被写体401の画像は徐々に右方向に移動している。そして、3V目以降の現像処理部3の出力画像には、背景402のみが写っている。なお、図8では、図示を簡略にするため、被写体の指示符号(401)と背景の指示符号(402)は現像処理部3の1V目の出力画像についてのみ付けている。このようなタイミングで現像処理部3から画像信号が出力される場合、記録部8へ入力されて記録媒体に記録される画像信号は、前述の図7(a)で説明したように、現像処理部3から画像信号が出力されるタイミングに対して1周期分だけ遅延している。一方、表示部11へ入力されて画面表示される画像は、前述の図7(a)で説明したように、記録部8へ画像信号が入力されるタイミングに対して1周期分だけ遅延している。
ここで、撮影ユーザが写したい画像、言い換えると記録媒体へ記録させたい画像が例えばタイミングTrの画像R1であるとする。一方、撮影ユーザは、表示部11の画面に表示されている画像を見ながら、シャッターボタンを押すタイミングを図っており、画面上に撮影ユーザが写したいと思った画像が表示されたタイミングでシャッターボタンを押すことになる。この例の場合、撮影ユーザは、表示部11の画面上に画像F1が表示されたタイミングTsでシャッターボタンを押すことになる。しかしながら、前述したように、表示部11へ入力されて画面表示される画像は、記録部8へ入力されて記録される画像に対して1周期分だけ遅延した画像となっている。したがって、表示部11の画面上に画像F1が表示されたタイミングTsで撮影ユーザがシャッターボタンを押したとき、記録部8には画像R1から1周期後の画像R2の画像信号が入力されている。このため、記録部8の記録媒体には、画像R2の画像信号が記録されてしまうことになる。
これに対し、図1に示した本実施形態の撮像装置では、図7(b)に示すタイミングで各部の入出力が行われるため、図8で説明したような記録画像と表示画像のずれが発生することはない。図7(b)のタイミングチャートにおいて、現像処理部出力は、図7(a)と同様、撮像素子出力に対して現像処理部3での現像処理に要する1周期分の時間だけ遅延している。これに対し、図7(b)に示すように、フィルタ処理部出力は、1回目のフィルタ処理がなされて第1の中間画像p0の信号が出力されるタイミングを表しているため、現像処理部出力に対しては垂直同期信号単位では遅延が発生していない。また、合成部出力は、フィルタ処理部4でのフィルタ処理による第1〜第9の中間画像p0〜p8を合成した信号であるため、フィルタ処理部出力に対しては垂直同期信号の1周期分だけ遅延している。したがって、合成部出力に被写体画像が合成された信号である記録部入力は、フィルタ処理部出力に対しては垂直同期信号の1周期分だけ遅延している。一方で、簡易ぼかし部出力は、フィルタ処理部4の1回目のフィルタ処理による第1の中間画像p0に対して簡易ぼかし処理を行った信号であるため、フィルタ処理部出力に対しては垂直同期信号単位では遅延が発生していない。そして、表示部入力は、簡易ぼかし部出力に主被写体画像が合成された画像信号であり、その画像信号がVRAM10に保持されて1周期分だけ遅延した信号であるため、合成部出力に対しては、垂直同期信号単位では遅延が発生していない。すなわち図1に示した本実施形態の撮像装置においては、表示部11に画面表示される画像信号は、記録媒体へ記録される画像信号に対して垂直同期信号単位で遅延が発生していない信号となっている。したがって本実施形態の撮像装置によれば、図8で説明したような記録画像と表示画像のずれが発生することはない。
次に、本実施形態の撮像装置の簡易ぼかし部9の詳細な構成例を図9に示す。図9において、簡易ぼかし部9は、画像を縮小処理する縮小部501と、画像を拡大処理する拡大部502と、画像の縮小率と拡大率を決定するぼかし率決定部503とを有して構成されている。
縮小部501は、前述したフィルタ処理部4から出力されてきた第1の中間画像p0の画像信号を、ぼかし率決定部503にて決定された縮小率に応じて縮小する。具体的には、縮小部501は、入力された画像に対し、縮小率に応じた間引き処理を行うことにより、画像のサイズを縮小する。縮小部501にて縮小された画像信号は、拡大部502へ出力される。
拡大部502は、縮小部501から出力されてきた画像信号を、ぼかし率決定部503にて決定された拡大率に応じて拡大する。具体的には、拡大部502は、入力された画像に対し、拡大率に応じた補間処理を行うことにより、画像のサイズを拡大する。なお、本実施形態において、拡大処理は、縮小処理により縮小された画像のサイズを元に戻すリサイズ処理となっている。拡大部502にて拡大された画像信号は、簡易ぼかし部9による簡易ぼかし画像信号として、図1の第2の背景被写体合成部17へ出力される。
ぼかし率決定部503は、システム制御部12から、フィルタ処理部4で使用されるフィルタ係数の情報と、フィルタ処理部4における空間フィルタのタップ数の情報を受け取り、それらの情報に基づいて、縮小率と拡大率を決定する。そして、ぼかし率決定部503は、縮小率の情報を縮小部501へ出力し、拡大率の情報を拡大部502へ出力する。
ぼかし率決定部503は、フィルタ係数と空間フィルタのタップ数の情報に基づく縮小率と拡大率を決定、言い換えると画像のぼかし度合いを決めるために、図10に示すようなテーブルデータを備えている。図10に示すテーブルは、フィルタ処理部4の分割フィルタにおける空間フィルタのタップ数とフィルタ係数の組み合わせと、縮小率と拡大率を対応させたデータである。ほかし率決定部503は、図10に示すテーブルを参照し、空間フィルタの各タップ数に対するフィルタ係数の組み合わせパターンから、縮小率と拡大率を決定している。
図10に示すテーブル内の「Aタップ」,「Bタップ」,・・・,「Zタップ」は、それぞれ空間フィルタのタップ数を表している。また、テーブル内の「1パターン」,「2パターン」,「3パターン」,・・・,「mパターン」は、それぞれフィルタ係数の組み合わせパターンを表している。例えば、空間フィルタのタップ数が9タップの場合のフィルタ係数がk0〜k8まで存在する場合、例えば、1パターンにはk0〜k8、2パターンにはk0〜k3,k5〜k8=1,k4=2のように、mパターンまでテーブルに用意されている。
また、テーブル内の縮小率と拡大率は、空間フィルタのタップ数とフィルタ係数の組み合わせパターンにおいて、フィルタ処理部4の分割フィルタ処理で発生するぼかし量に対して、縮小及び拡大処理で発生する背景ぼかし量が近似するような値が設定される。また本実施形態において、1パターン〜mパターンでは、フィルタ処理部4での分割フィルタ処理による画像のぼけ度合いが小さい場合には、縮小率及び拡大率については変化させていない。図10のテーブルでは、例えば、空間フィルタのタップ数がAタップでフィルタ係数の組み合わせが1パターン等である例が、分割フィルタ処理による画像のぼけ度合いが小さい場合を表しており、このときの縮小率と拡大率はそれぞれ1/1倍に設定されている。縮小率と拡大率がそれぞれ1/1倍に設定されるのは、撮像装置の表示部11の解像度が、記録媒体に記録される画像の解像度よりも粗く、ぼかし度合いが小さい場合である。このように、表示部11の解像度が粗く、ぼかし度合いが小さい場合、表示部11の画面上では、そのぼかし度合いが判り難い。すなわち、フィルタ処理部4の1回目のフィルタ処理による第1の中間画像p0に対して縮小,拡大処理を行わなくても、表示部11の画面上では差がでないと考えられるため、縮小率と拡大率をそれぞれ1/1倍に設定している。一方、縮小率及び拡大率を1/1倍とは異なる倍率に設定するのは、例えばタップ数がAタップでフィルタ係数が5パターンなどの場合であり、この例の縮小率はb15/a15倍、拡大率はa15/b15倍に設定されている。
以上のように、表示画像は、記録媒体に記録される画像に比べて解像度が粗くてもよく、その一方で、リアルタイム性が重視される場合が多いため、簡易ぼかし部9は、分割フィルタによるぼかし処理のように時間遅延が発生しない簡易的なぼかし処理を行う。したがって、本実施形態によれば、表示遅延の発生を防ぐことができ、記録画像と表示画像の時間的なズレを無くすことを可能としている。また、本実施形態によれば、フィルタ処理部4でのフィルタ処理による中間画像に対して簡易ぼかし部9による簡易ぼかし処理を行うことで、分割フィルタ処理によるぼかし度合いに近似した簡易的なぼかし画像を生成可能となっている。
次に、図11には、簡易ぼかし部9による簡易ぼかし処理のフローチャートを示す。図4のフローチャートは、システム制御部12が、簡易ぼかし部9を制御することで実行される。図11において、システム制御部12は、先ずステップS200の処理として、変数qに0をセットする。なお、変数qの値は、フィルタ処理部4で行われるフィルタ処理の回数のうち、例えば垂直同期信号の1周期に対して十分に短い時間内で実行可能なフィルタ処理の回数に対応した値に設定される。一例として3回目までのフィルタ処理に要する時間が十分に短く、簡易ぼかし部9で第3の中間画像p2に簡易ぼかし処理を行ったとしても、表示部11の表示画像に違和感が生じないような場合には、変数qの値に「3」を設定可能である。本実施形態では、前述したように、簡易ぼかし処理が1回目のフィルタ処理による第1の中間画像p0だけに施されているため、変数qの値は「1」に設定される。ステップS200の後、システム制御部12は、処理をステップS201へ進める。
ステップS201では、システム制御部12は、フィルタ処理部4における空間フィルタのタップ数及びフィルタ係数を、ぼかし率決定部503へ出力する。これにより、ぼかし率決定部503は、前述したように、それらタップ数とフィルタ係数に基づいて縮小率と拡大率を決定する。ステップS201の後、システム制御部12は、処理をステップS202へ進める。
ステップS202では、システム制御部12は、簡易ぼかし部9を制御して、フィルタ処理部4から第1の中間画像p0の信号を取得させる。これにより、簡易ぼかし部9は、第1の中間画像p0の画像出力に対して、ぼかし率決定部503で決定された縮小率による縮小処理と拡大率による拡大処理を行う。ステップS202の後、システム制御部12は、処理をステップS203へ進める。
ステップS203では、システム制御部12は、簡易ぼかし部9による簡易ぼかし処理が終了したか否か判断する。システム制御部12は、簡易ぼかし部9により第1の中間画像p0に対する簡易ぼかし処理が完了し、変数qが設定された値になっていると判断した場合、簡易ぼかし処理は終了したと判断して、図11のフローチャートの処理を終了する。なお、例えば変数qが「2」以上に設定されている場合、システム制御部12は、簡易ぼかし処理は終了していないと判断して、処理をステップS204へ進める。ステップS204では、システム制御部12は、変数qをインクリメントして、処理をステップS201へ戻す。そして、システム制御部12は、ステップS203で変数qになったと判断できるまで、ステップS201〜ステップS203、更にステップS203からステップS204を経てステップS201へ戻る処理を繰り返す。なお、この際のステップS202では、変数qの値に対応した中間画像が入力される。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態として、第1の実施形態とは異なる簡易ぼかし部の構成例について説明する。図12は、第2の実施形態の簡易ぼかし部の一構成例を示す図である。なお、図12において、図9と同じ構成要素には同一の参照番号を付し、それらの説明は省略する。
次に、第2の実施形態として、第1の実施形態とは異なる簡易ぼかし部の構成例について説明する。図12は、第2の実施形態の簡易ぼかし部の一構成例を示す図である。なお、図12において、図9と同じ構成要素には同一の参照番号を付し、それらの説明は省略する。
図12に示す第2の実施形態の簡易ぼかし部9は、縮小部501及び拡大部502と、フィルタ部701と、ぼかし率決定部702とを有して構成されている。縮小部501と拡大部502は図9で説明したものと同様である。
フィルタ部701は、縮小部501による縮小処理と拡大部502による拡大処理で発生する折り返し歪を軽減するフィルタである。ぼかし率決定部702は、図9で説明したのと同様の縮小率及び拡大率を決定する処理と、フィルタ部702のフィルタ係数を決定する処理とを行う。
フィルタ部701は、フィルタ処理部4から入力された画像信号に対して、ぼかし率決定部702にて決定されたフィルタ係数を用いたフィルタ処理を施し、そのフィルタ処理後の信号を縮小部501へ出力する。ぼかし率決定部702は、前述の図10で説明したテーブルに加えて、それぞれのパターンにおけるフィルタ部701のフィルタ係数のテーブルを備えている。各テーブルの縮小率及び拡大率に応じて、フィルタ係数のパターンが用意されている。具体的には、縮小率が大きくなるほど、画像の空間周波数の高い成分が遮断されるフィルタになるようなフィルタ係数が設定される。縮小率及び拡大率が1/1倍である場合には、フィルタ係数は全て「0」に設定されている。
第2の実施形態の簡易ぼかし部9によれば、縮小処理と拡大処理により発生する画像の折り返し歪を軽減することが可能となる。
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態の簡易ぼかし部の構成例について説明する。図13は、第3の実施形態の簡易ぼかし部の一構成例を示す図である。図13に示す第3の実施形態の簡易ぼかし部9は、ぼかしフィルタ部801とぼかし率決定部802とを有して構成されている。
次に、第3の実施形態の簡易ぼかし部の構成例について説明する。図13は、第3の実施形態の簡易ぼかし部の一構成例を示す図である。図13に示す第3の実施形態の簡易ぼかし部9は、ぼかしフィルタ部801とぼかし率決定部802とを有して構成されている。
ぼかしフィルタ部801は、フィルタ処理部4より入力された画像信号から、ぼかし率決定部802で決定されたフィルタ係数を用いたフィルタ処理を行う。すなわち、第3の実施形態の場合、図9の例のような縮小処理と拡大処理による簡易ぼかし処理に代えて、フィルタによるぼかし処理を行う。一例として、ぼかしフィルタ部801は、フィルタ処理部4の空間フィルタのタップ数(水平、垂直方向9タップ)よりも十分に少ないタップ数で回路規模が小さいフィルタとなされ、短時間で処理が終了するように例えば1回のみのフィルタ処理を行う。なお、ぼかしフィルタ部801のタップ数は、例えば水平、垂直方向でそれぞれ3タップであってもよい。
ぼかし率決定部802は、前述の図10に示すテーブルから縮小率と拡大率の各値を無くして、各パターンに対応したフィルタ処理(ぼかし処理)を行うための各フィルタ係数のテーブルを有している。すなわち、フィルタ処理部4の分割フィルタ処理で生成されるぼかし画像に近似した画像を生成できるフィルタ係数が設定されている。
第3の実施形態においても前述の第1の実施形態の場合と同様に、記録画像に比べて解像度が粗く、尚且つリアルタイム性が重視される表示画像に対し、分割フィルタによるぼかし処理のような時間遅延が発生しない簡易的なぼかし処理を実現可能である。また、第3の実施形態の場合、縮小処理の後に拡大処理を行うようなリサイズ処理のための構成が不要であるため、回路規模を削減することができる。すなわち、第3の実施形態の簡易ぼかし部9によれば、リサイズ処理のための構成を不要とすることによる回路規模の削減と、記録画像により近いぼかし処理が施された画像の表示と、表示遅延の発生を防ぐことが可能である。
<その他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
上述の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明は、その技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
1 光学系、2 撮像素子、3 現像処理部、4 フィルタ処理部、5 フィルタ係数制御部、6 メモリ、7 合成部、8 記録部、9 簡易ぼかし部、10 VRAM、11 表示部、12 システム制御部、13 分割フィルタ処理画像選択部、14 第1の主被写体判別部、15 第1の背景被写体合成部、16 第2の主被写体判別部、17 第2の背景被写体合成部、501 縮小部、502 拡大部、503,702,802 ぼかし率決定部、701 フィルタ部、801 ぼかしフィルタ部
Claims (9)
- 入力される画像信号に対して、第1のタップ数のフィルタの第1のフィルタ係数を各回で制御した複数回の第1のフィルタ処理を施して、複数の中間画像を生成し、前記複数の中間画像を合成することで、前記第1のタップ数より多い第2のタップ数のフィルタで第2のフィルタ係数による第2のフィルタ処理を前記画像信号に施したのと等価な、第1のぼかし画像を生成するフィルタ合成手段と、
前記第1のぼかし画像を用いて生成される画像を記録媒体に記録する記録手段と、
入力される画像信号に対して、前記第1のぼかし画像を生成するための処理よりも簡易な所定の簡易ぼかし処理を施して第2のぼかし画像を生成するぼかし手段と、
前記第2のぼかし画像を用いて生成される画像を表示媒体に表示する表示手段と、
を有することを特徴とする画像信号処理装置。 - 前記ぼかし手段は、入力される画像信号に前記第1のタップ数のフィルタによるフィルタ処理が施された第1の中間画像に対して、前記所定の簡易ぼかし処理を施して前記第2のぼかし画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の画像信号処理装置。
- 前記ぼかし手段は、前記第2のタップ数と第2のフィルタ係数に対応したぼかし度合いの値を示すテーブルを参照して、前記所定の簡易ぼかし処理を施す際のぼかし度合いを決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像信号処理装置。
- 前記ぼかし手段は、前記所定の簡易ぼかし処理として、前記第2のタップ数と第2のフィルタ係数に応じた縮小処理と拡大処理を行って前記第2のぼかし画像を生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像信号処理装置。
- 前記ぼかし手段は、前記縮小処理の縮小率と前記拡大処理の拡大率に応じた第3のフィルタ係数により、前記画像信号に第3のフィルタ処理を施すフィルタ手段を有することを特徴とする請求項4に記載の画像信号処理装置。
- 前記ぼかし手段は、前記第2のタップ数と第2のフィルタ係数に対応したぼかし度合いに基づく第4のフィルタ係数を用いて、少なくとも第2のタップ数より少ないタップ数による、第4のフィルタ処理を行って、前記第2のぼかし画像を生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像信号処理装置。
- 入力される画像信号から主被写体画像を抜き出して、当該入力される画像から生成された前記第1のぼかし画像と前記第2のぼかし画像にそれぞれ合成する被写体合成手段を有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像信号処理装置。
- 入力される画像信号にフィルタ処理を施してぼかし画像を生成する画像信号処理装置が実行する画像信号処理方法であって、
入力される画像信号に対して、第1のタップ数のフィルタの第1のフィルタ係数を各回で制御した複数回の第1のフィルタ処理を施して、複数の中間画像を生成し、前記複数の中間画像を合成することで、前記第1のタップ数より多い第2のタップ数のフィルタで第2のフィルタ係数による第2のフィルタ処理を前記画像信号に施したのと等価な、第1のぼかし画像を生成するフィルタ合成ステップと、
入力される画像信号に対して、前記第1のぼかし画像を生成するための処理よりも簡易な所定の簡易ぼかし処理を施して第2のぼかし画像を生成するぼかしステップと、
前記第2のぼかし画像を用いて生成される画像を表示媒体に表示する表示ステップと、
を含むことを特徴とする画像信号処理方法。 - コンピュータを、
入力される画像信号に対して、第1のタップ数のフィルタの第1のフィルタ係数を各回で制御した複数回の第1のフィルタ処理を施して、複数の中間画像を生成し、前記複数の中間画像を合成することで、前記第1のタップ数より多い第2のタップ数のフィルタで第2のフィルタ係数による第2のフィルタ処理を前記画像信号に施したのと等価な、第1のぼかし画像を生成するフィルタ合成手段と、
前記第1のぼかし画像を用いて生成される画像を記録媒体に記録する記録手段と、
入力される画像信号に対して、前記第1のぼかし画像を生成するための処理よりも簡易な所定の簡易ぼかし処理を施して第2のぼかし画像を生成するぼかし手段と、
前記第2のぼかし画像を用いて生成される画像を表示媒体に表示する表示手段と
として機能させるプログラム。
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2015
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