JP2016191608A - 貫通流量測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転体の貫通流量をPIVを用いて、効率よく、正確に測定する方法を提供する。【解決手段】流体中にトレーサ粒子を分散する粒子分散ステップと、トレーサ粒子を撮影する撮影ステップとを有しており、画像信号処理部では、PIVによって流体の速度分布を測定する流速測定ステップS10と、回転体からX軸方向に離れた複数の測定点におけるX軸方向の速度成分VXをもとにして、X軸方向の位置と速度成分VXの関係を表す近似関数を作成する近似関数作成ステップS12と、近似関数から回転体の位置における流体の速度を推定する推定ステップS13と、回転体の位置における流体の速度から貫通流量を算出する流量算出ステップS14と、を有する。【選択図】図4

Description

この発明は、粒子画像流速測定法(以下「PIV」という。PIV:Particle Image Velocity)を利用した貫通流量の測定方法に関する。
回転体にその回転体を軸方向に貫通する貫通流路が設けられており、回転中に貫通流路を流れる流体の流量(貫通流量)を測定する場合がある。例えば、円すいころ軸受を油中で使用すると、その円すいころ軸受を貫通して小径側から大径側に向けて油が流れる。貫通流量が大きいときは、円すいころ軸受が回転するときの回転トルクが増大するので、機械効率が低下するという問題がある。このため、貫通流量を低減するために、円すいころ軸受の形状を変えて、貫通流量を測定することが行われている。
特許文献1では、PIVを使用しない方法で貫通流量を推定している。この測定方法は、円すいころ軸受を組み込んだ仕切り壁の両側の圧力差を測定して、貫通流量を推定している。しかし、この方法では、円すいころ軸受を貫通して油が流れないので貫通流量を直接測定できない。
一方、特許文献2では、PIVを使用して流体中に分散させた微粒子(トレーサ粒子)の動きから流体の速度分布を測定する技術が開示されている。PIVによって流体の流速分布を測定できるので、円すいころ軸受の貫通流路に向かう流速を測定することが出来る。
特開平10−89352号公報 特開平09−152443号公報
貫通流量を測定するためには、貫通流路の近傍で、その貫通流路を通過する流速を測定する必要がある。しかし、貫通流路は円すいころ軸受の内輪と外輪とで径方向に挟まれた径方向の寸法が小さい環状空間であって、流速を測定すべき空間が小さい。また、円すいころ軸受が回転しているために、貫通流路の近傍では円すいころ軸受の回転に伴う遠心力によってトレーサ粒子が拡散する。このため、円すいころ軸受の近傍でトレーサ粒子の量が少なくなってしまう。
PIVは画像相関法によって速度分布を測定するため、トレーサ粒子の密度が小さい領域では、速度ベクトルを正しく測定できない。一方、トレーサ粒子を多量に投入したときには、画像解析に時間がかかるため測定効率が低下するという問題がある。
そこで、本発明の目的は、回転体に流路が設けられている場合に、その流路を流れる貫通流量をPIVを用いて測定するにあたって、効率よく、正確に測定することが出来る測定方法を提供することである。
本発明の一の実施形態は、流体中で、回転軸線の周りを回転する回転体が、前記回転軸線から径方向に離れた位置に、略前記回転軸線の方向に貫通する流路を有しており、前記回転体の回転中に、前記流路を流れる前記流体の流量を測定する貫通流量測定方法であって、前記流体中にトレーサ粒子を分散する粒子分散ステップと、前記粒子分散ステップで分散したトレーサ粒子の画像をカメラで撮影する撮影ステップと、前記撮影ステップで撮影した前記トレーサ粒子の画像に基づいて、粒子画像流速測定法によって、前記流体の速度を複数の位置で測定する流速測定ステップと、前記回転軸線の方向にX軸を設定し、前記流速測定ステップで測定した前記流体の速度のうち、前記回転体からX軸方向に離れた複数の測定点における前記流体の速度の前記回転軸線の方向の速度成分Vをもとにして、X軸方向の位置と前記速度成分Vの関係を表す近似関数(1)
(x)=a×ln(x)―b・・・(1)
ただし、
a,b:定数
(x):X座標がxの位置における流速の前記回転軸線の方向の速度成分
ln(x):底をeとする自然対数
を作成する近似関数作成ステップと、前記近似関数から前記回転体の位置における前記流体の速度を推定する推定ステップと、前記推定ステップで推定した前記回転体の位置における前記流体の速度から、前記流路を流れる前記流体の流量を算出する流量算出ステップと、を有する。
本発明にかかる粒子画像による貫通流量測定方法を使用することによって、回転体に設けられた流路を流れる貫通流量を、効率よく、正確に測定することが出来る。
貫通流量測定装置の構成図である。 円すいころ軸受の貫通流量測定状態を示す状態図である。 画像信号処理部のブロック図である。 画像信号処理部における処理手順を示すフローチャートである。 作動油の流速分布を測定した結果の一例を示すグラフである。
発明の一実施形態にかかる粒子画像による貫通流量測定方法(以下、「本実施形態」という)を図を用いて説明する。
まず、本実施形態の測定方法において使用する貫通流量測定装置10について説明する。図1は、貫通流量測定装置10の構成図である。本実施形態では、円すいころ軸受20に流入する流体(本実施形態では作動油を使用している)の流量を測定している。
貫通流量測定装置10は、回転体である円すいころ軸受20を回転させる回転付与部30と、作動油33の中に分散しているトレーサ粒子37の動きを解析するPIV計測部40とで構成されている。
回転付与部30は、図1に示すように、回転軸31の先端に円すいころ軸受20が取り付けられており、図示を省略したモータで回転軸31を回転させている。回転軸31の軸線m(回転軸線)は水平方向に設置されている。回転付与部30は、油槽32の中に設置されており、貫通流量を測定するときには、油槽32に作動油33を満たして、円すいころ軸受20が作動油33の中に沈んだ状態で回転軸31を回転させている。油槽32の壁面は、アクリル樹脂などの透明材料で製作されている。
(粒子分散ステップ)
作動油33の中にはトレーサ粒子37が分散していて、作動油33とともに流動している。本実施形態では、トレーサ粒子37は、気泡で形成されていて、40μm〜60μm程度の大きさの球形状である。トレーサ粒子37の材料には、気泡のほかに、樹脂や、銀のコーティングを施したガラスや、油滴等が使用される場合がある。また、粒子の大きさは、上記に限定されるものではなく、種々の大きさの粒子が使用される。また、本実施形態では、粘度が40mm/s程度の作動油33を使用している。
図2は、円すいころ軸受20の近傍の作動油33中に分散しているトレーサ粒子37の状態を示すとともに、円すいころ軸受20の貫通流量測定装置10への組付け状態を示している。
円すいころ軸受20は、内周に円すい形状の外側軌道面21を有する外輪22と、外周に円すい形状の内側軌道面23を有する内輪24を有している。内輪24と外輪22とで径方向に挟まれた環状空間25に、複数の円すいころ26と保持器27が組み込まれている。
保持器27には径方向に貫通するポケット28が、全周にわたって等しい間隔で形成されており、各ポケット28に円すいころ26が一つずつ組み込まれている。隣り合うポケット28で周方向に挟まれて軸方向に延在する部分を柱部29という。柱部29と円すいころ26の転動面26aとの間には、わずかなすきまが形成されており、円すいころ26はポケット28の中で自由に回転することが出来る。
円すいころ26の転動面26aは、外側軌道面21及び内側軌道面23と接触しており、円すいころ軸受20が回転するときには、円すいころ26は各軌道面21,23上を転動する。ポケット28と円すいころ26とが近接しているので、柱部29が円すいころ26に案内されて周方向に公転し、保持器27が全体として外輪22及び内輪24と同軸に回転する。このとき、保持器27の外周面と外輪22の外側軌道面21との間、及び、保持器27の内周面と内輪24の内側軌道面23との間には径方向にすきまが設けられているので、保持器27の外周または内周が、内輪24または外輪22と接触することがない。
円すいころ軸受20は、内輪24の内周を回転軸31の外周に圧入することによって、回転軸31の軸端に取り付けられている。内輪24は、軌道径が小さい側を小端側といい、軌道径が大きい側を大端側という。内輪24には、小端側の側面に内輪小端面24aが形成されている。円すいころ軸受20は、回転軸31の軸端面31aと内輪小端面24aとが面一になる位置に取り付けられている。
外輪22は、貫通流量測定装置10の台座に固定されたハウジング34に圧入されていて、回転することが出来ない。ハウジング34は、内周が段付きの円筒形状であって、互いに直径寸法が異なる二つの円筒面35,36が同軸に配置され、径方向に形成された端面34aでつながった形状となっている。外輪22の外周は、大径の円筒面35に嵌め合わされている。外輪22には、軌道径が小さい方の側面に外輪大端面22aが形成されている。外輪22は、外輪大端面22aが端面34aと当接する位置に組み込まれている。小径の円筒面36の直径寸法は、外輪22の大端側の内径寸法と同等である。
上記のように、円すいころ軸受20では、隣り合う一対の円すいころ26の間において、保持器27の外周面と外側軌道面21との間、および、保持器27の内周面と内側軌道面23との間に、軌道径の小径側から大径側に向かって貫通する空間(貫通流路)Mが形成されている。円すいころ軸受20が回転するときには、貫通流路Mにある作動油33が、遠心力によって径方向外方(回転軸線mから離れる向き)に変位し、外側軌道面21に沿って大径側に向かって流れる。こうして、作動油33が貫通流路Mを軌道径の小径側から大径側に向かって流れるので、図2において円すいころ軸受20より右手側(内輪小端面24aの側である)の作動油33は、円すいころ軸受20に向かって流れる。円すいころ軸受20のすべての貫通流路Mを通って小径側から大径側に流れる作動油33の総流量を貫通流量という。
(撮影ステップ)
再び図1によって、PIV計測部40について説明する。PIV計測部40は、トレーサ粒子37にレーザ光を照射するレーザ光源41と,トレーサ粒子37で反射したレーザ光を撮影するCCD高速度カメラ42と、CCD高速度カメラ42で撮影した粒子画像を解析して流速を演算する画像信号処理部43と、演算した流速を視覚的に表示する演算結果表示部44とで構成される。説明の便宜上、回転軸線mの向きをX軸とし、水平面上でX軸と直交する向きをY軸とし、X軸及びY軸と直交する向きをZ軸とする。
レーザ光源41は、回転軸31と同軸に設置され、レーザ光が、作動油33を透過して円すいころ軸受20に向けて照射される向きに設置されている。レーザ光は、回転軸線mを含むシート状である。
CCD高速度カメラ42は、回転軸線mに向けてY軸方向に設置されている。レーザ光がトレーサ粒子37によって反射されるので、CCD高速度カメラ42は、反射したレーザ光を撮影することによって、トレーサ粒子37の動きを撮影することが出来る。
CCD高速度カメラ42で受光したレーザ光は、撮像基盤45のうえで結像している。
撮像基盤45には、受光素子(図示を省略)が2次元のマトリクス状に配列されており、各受光素子は、受光したレーザ光を強度に応じた電気信号に変換して出力している。こうして、CCD高速度カメラ42で撮影したトレーサ粒子37の分布状態を表す粒子画像が、逐次、2次元の画像データとして画像信号処理部43に送信されている。
画像信号処理部43は、例えばコンピュータであり、CCD高速度カメラ42から送信される画像データをPIVを使用して解析することによって作動油33の流速分布を測定している。その後、測定した流速分布をもとにして、円すいころ軸受20を貫通して流れる貫通流量を推定している。画像信号処理部43で得られた流速分布の測定結果と貫通流量の推定値は、演算結果表示部44に送信されている。画像信号処理部43における処理内容の詳細については後述する。
演算結果表示部44は、例えば液晶ディスプレイであって、画像信号処理部43から送信された流速分布の測定結果と貫通流量の推定値が、グラフなどの視覚的に認識できる態様で表示されている。
画像信号処理部43における処理内容について説明する。
図3は、画像信号処理部43のブロック図である。画像信号処理部43は、データ処理部50と、データ記憶部60とで構成されている。データ処理部50は、CCD高速度カメラ42から送信された画像データを受信する受信部51と、受信した画像データに基づいて流速分布を演算するPIV演算部52と、その演算した流速分布に基づいて流速の変化する状態を表す近似関数を求める近似関数演算部54と、その近似関数を用いて推定した円すいころ軸受20近傍の流速から貫通流量を算出する貫通流量演算部53と、で構成されている。
図4は、画像信号処理部43において貫通流量を演算する処理手順を示すフローチャートである。データ処理部50には、図4のフローチャートに示すようなプログラムが記憶されている。
以下、図4のフローチャートに沿って、画像信号処理部43において貫通流量を推定する処理手順を具体的に説明する。
(流速測定ステップ)
ステップS10では、PIVを使用して、作動油33の流速分布を測定している。
PIVとは、流体中に分散したトレーサ粒子37にレーザ光を照射して流れを可視化したうえで、各トレーサ粒子37の運動を追跡して流速分布を求める流速測定法である。
PIVの代表的な手法として画像相関法がある。画像相関法では、時刻をずらせて、時刻tと時刻t+Δtの2時刻で粒子画像を撮影している。Δtは、この2時刻の画像データから輝度分布のずれを測定できる程度の、ごくわずかな時間である。
各粒子画像をそれぞれ検査領域と呼ばれる小さな領域に分割し、2時刻の画像間で輝度パターンが類似している検査領域を探査している。相関ピークの高い検査領域を特定することによって検査領域の移動速度を求め、流速を測定している。
本実施形態では、CCD高速度カメラ42で撮影したトレーサ粒子37の画像データは受信部51で受信されていて、その画像データのうち、時刻tにおける画像データが第1画像データ記憶部63に、時刻t+Δtにおける画像データが第2画像データ記憶部64に、それぞれ記憶されている。
PIV演算部52では、各画像データ記憶部63,64に記憶されている2時刻のデータを解析することによって、粒子画像上の各位置における検査領域の移動速度(すなわち作動油33の流速である)を測定している。こうして、PIV演算部52で測定した流速分布が、粒子画像上の位置を表す座標データとともに、流速分布記憶部61に記憶されている。
なお、粒子画像では、座標を次のように設定することとする。X座標は、円すいころ軸受20の内輪小端面24aの位置を原点とし、内輪小端面24aから離れる向きを+(正)方向とする。Y座標、及びZ座標は回転軸線m上の位置を原点とし、回転軸線mから離れる向きを+(正)方向とする。
ステップS11では、流速分布記憶部61のデータから、後述する近似関数を導くための基礎データを取得している。基礎データは、X軸方向の複数個所における流速のX軸方向成分の値で構成されている。この基礎データとなる流速を有する複数の位置を、以下「流速測定点P」という。
流速測定点Pは、軸受端面からX軸方向に1mm〜10mmの範囲で複数個所に設定する。すなわち、流速測定点PのX座標は、1mm〜10mmの範囲で設定する。内輪小端面24aからX軸方向に1mmより近い領域では、内輪24や保持器27などの回転に伴う遠心力によってトレーサ粒子37が径方向外方に移動するため、トレーサ粒子37の密度が減少し、PIVで求めた速度ベクトルの誤差が大きくなるからである。一方10mmより離れた領域では円すいころ軸受20を貫通する流れの影響が小さくなり、以下に説明する流速の近似にほとんど寄与しないからである。
図5は、本実施形態の貫通流量測定装置10を使用して、作動油33の流速を測定した結果の一例を示している。本実施形態では、内輪小端面24aからX軸方向に、4.6mmから6.6mmまで、約0.7mm間隔で4カ所の流速測定点P〜Pを設定し、各点における流速をPIVによって測定している。流速測定点P1〜P4の位置を模式的に図2に示している。なお、図5では、各流速測定点Pごとに流速を5回測定し、その5回の測定値の平均値で示している。
流速測定点P〜PのZ軸方向の位置は、回転軸31の外周と同じ位置に設定している(図2参照)。すなわち、回転軸31の直径寸法をdとしたとき、P〜Pの各流速測定点のZ座標はd/2である。各流速測定点を回転軸31の外径寸法の位置に設定することにより、円すいころ軸受20の貫通流路Mが形成されている位置より径方向の内周側で流速を測定することが出来る。このため、作動油33の流れが、貫通流路Mより外方の外輪大端面22aやハウジング34壁面に衝突することがないので、貫通流路Mを流れる流体と異なる動きをする流体の影響を考慮する必要がなくなり、貫通流路Mに向かう作動油33の流速を正確に測定できる。
なお、流速測定点Pの位置の設定は、あらかじめコンピュータ(画像信号処理部43)に初期データとして入力されていてもよいし、PIVによる流速分布測定結果に基づいて個別に設定してもよい。
流速分布記憶部61のデータから取得した基礎データは、それぞれ基礎データ記憶部62に送信されている。こうして、複数の流速測定点Pにおいて、その流速測定点Pの位置を表すX軸座標データと、流速のX軸方向成分の値(速度成分Vとする)とが、基礎データ記憶部62に記憶される。
(近似関数作成ステップ)
ステップS12では、近似関数演算部54で、基礎データ記憶部62に記憶されている各流速測定点Pのデータをもとにして、X軸方向の位置を変えたときの速度成分Vの変化を表す近似関数を求めている。
ここで作動油33の流速のX軸方向成分について近似関数を求めているのは、次の理由による。円すいころ軸受20の貫通流路Mは、回転軸線mの向き(X軸方向)に開口している。このため、貫通流路Mの近傍にある作動油33は、回転軸線mの向き(X軸方向)に流れる作動油33が貫通流路Mに流入し、回転軸線mから離れる向き(Z軸方向)に流れる作動油33は貫通流路Mに流入しない。このため、作動油33のX軸方向に流れる速度成分Vを測定することによって貫通流量を求めることが出来る。
発明者らは、近似関数を設定するにあたり、線形近似、多項式近似などを対比検討した結果、式(1)に示す形式の対数近似による近似関数が最もよく流速の変化に適合することを見出した。
(x)=a×ln(x)−b・・・式(1)
ただし、
a,b:定数
(x):X座標がxの位置における流速のX軸方向成分の値
ln(x):底をeとする自然対数
近似関数を求めるにあたっては、例えば、最小二乗法を用いることが出来る。最小二乗法は、一般によく知られた回帰分析の手法であるので、その詳細な説明を省略し、近似関数演算部54において近似関数を求める処理手順を簡単に説明すると、以下のようになる。
近似関数演算部54では、式(1)における定数aおよびbの初期値として、それぞれ任意の推定値であるaおよびbに設定している。次に、各流速測定点P(X座標をxiとする)における速度成分V(xi)を式(2)を用いて算出している。
(xi)=a×ln(xi)−b・・・式(2)
この速度成分V(xi)と、基礎データ記憶部62に記憶されているX座標がxiにおける速度成分Viとの差ΔVを、式(3)により求めている。
ΔV=V(xi)−Vi・・・式(3)
各流速測定点PにおけるΔVをそれぞれ2乗して平均値をもとめ、その平均値の値が最小になるように、定数a、bの値を修正している。この修正は、コンピュータにより所定の誤差の範囲内に収束するまで実行される。定数a、bが収束したときの値を、式(1)における定数aおよびbとして設定している。
(推定ステップ)
ステップS13では、S12で求めた近似関数を用いて、貫通流路Mに向かって流れる作動油33の、円すいころ軸受20の近傍における速度成分Vを推定している。説明の便宜のため、図2において、回転軸線mの方向で、円すいころ軸受20を境にして、軌道径の小径側で作動油が存在する領域を領域A、大径側で作動油が存在する領域を領域Bとする。
S12で求めた近似関数(1)を用いて、任意のX座標を入力することによって、そのX座標における速度成分Vを算出することができる。
円すいころ軸受20の環状空間25がX軸方向に開口している部分では、その近傍に存在する作動油33は貫通流路Mに流入している。したがって、近似関数(1)を用いて、円すいころ軸受20の近傍において算出した速度成分Vは、貫通流路Mに流入する流速を表している。
本実施形態では、トレーサ粒子37に向けて照射するレーザ光の幅は、概ね1mmである。このため、x=1mmのときの速度成分Vを円すいころ軸受20の近傍の流速として算出すればよい。具体的には、内輪小端面24aからX軸方向に1mmの位置における速度成分V(式(1)においてx=1としたときの値であって、以下「V(1)」と表現する)を算出し、貫通流路Mに流入する作動油33の流速の推定値としている。
(流量算出ステップ)
ステップS14では、貫通流路Mを通って領域Aから領域Bに向かって流れる貫通流量を算出している。
円すいころ軸受20のX軸方向近傍に存在する作動油33が、速度成分V(1)で環状空間25に流入しているので、貫通流量は、速度成分V(1)と環状空間25のX軸方向に開口する面積Sとの積で算出することが出来る。したがって、貫通流量は V(1)×S で求めることが出来る。
なお、環状空間25がX軸方向に開口している部分の面積Sは、外輪大端面22aの側の内周の直径寸法をD、内輪小端面24aの側の外周の直径寸法をDとすると、式(4)で求めることが出来る。
S=(D −D )×π/4・・・式(4)
以上説明した内容から理解できるように、本実施形態の貫通流量測定方法では、円すいころ軸受20からX軸方向に離れた領域における流速分布をもとにして、円すいころ軸受20を貫通して流れる貫通流量を測定している。
円すいころ軸受20に近接した領域では、作動油33中のトレーサ粒子37の密度が小さくなるので、PIVを使用して算出した流速は大きな誤差を含む場合がある。しかし、本実施形態では、円すいころ軸受20から離れた領域で速度分布を測定しているので、トレーサ粒子37の密度が高く、PIVを用いて流速を測定したときに正確な流速を算出することが出来る。そして、この正確に算出された流速分布をもとにして、速度成分Vの変化を表す近似関数を作成している。この近似関数を、式(1)に示した自然対数の関数であらわすことによって、速度成分VのX軸方向の変化を正確に近似することができる。こうして、円すいころ軸受20の近傍における速度成分Vを求めることによって、貫通流路Mに流入している貫通流量を正確に算出することが出来る。
本発明にかかる粒子画像による貫通流量測定方法の説明では、円すいころ軸受20を貫通して流れる作動油33の貫通流量について説明したが、測定の対象はこの実施形態に限定されるものではない。
たとえば、具体的には、円盤に軸方向に貫通する複数の孔が所定のピッチ円上に形成されている場合に、その穴を貫通して流れる流体の流量を測定する場合にも使用することができる。この場合には、円盤のX軸方向の側面からX軸方向に1mmの位置における速度成分Vを算出し、軸方向に開口する一つの孔の面積に孔の数をかけ合わせて得られる総面積を式(4)における面積Sとすることによって、貫通流量を算出することが出来る。
こうして、本実施形態の粒子画像による貫通流量測定方法を使用することによって、回転体に設けられた流路を流れる貫通流量を、効率よく、正確に測定することが出来る。
10:貫通流量測定装置、20:円すいころ軸受、21:外側軌道面、22:外輪、22a:外輪大端面、23:内側軌道面、24:内輪、24a:内輪小端面、25:環状空間、26:円すいころ、26a:転動面、27:保持器、28:ポケット、29:柱部、30:回転付与部、31:回転軸、31a:軸端面、32:油槽、33:作動油、34:ハウジング、34a:端面、37:トレーサ粒子、40:PIV計測部、41:レーザ光源、42:CCD高速度カメラ、43:画像信号処理部、44:演算結果表示部、45:撮像基盤、50:データ処理部、51:受信部、52:PIV演算部、53:貫通流量演算部、54:近似関数演算部、60:データ記憶部、61:流速分布記憶部、62:基礎データ記憶部、63:第1画像データ記憶部、64:第2画像データ記憶部

Claims (2)

  1. 流体中で、回転軸線の周りを回転する回転体が、前記回転軸線から径方向に離れた位置に、略前記回転軸線の方向に貫通する流路を有しており、
    前記回転体の回転中に、前記流路を流れる前記流体の流量を測定する貫通流量測定方法であって、
    前記流体中にトレーサ粒子を分散する粒子分散ステップと、
    前記粒子分散ステップで分散したトレーサ粒子の画像をカメラで撮影する撮影ステップと、
    前記撮影ステップで撮影した前記トレーサ粒子の画像に基づいて、粒子画像流速測定法によって、前記流体の速度を複数の位置で測定する流速測定ステップと、
    前記回転軸線の方向にX軸を設定し、前記流速測定ステップで測定した前記流体の速度のうち、前記回転体からX軸方向に離れた複数の測定点における前記流体の速度の前記回転軸線の方向の速度成分Vをもとにして、X軸方向の位置と前記速度成分Vの関係を表す近似関数(1)
    (x)=a×ln(x)―b・・・(1)
    ただし、
    a,b:定数
    (x):X座標がxの位置における流速の前記回転軸線の方向の速度成分
    ln(x):底をeとする自然対数
    を作成する近似関数作成ステップと、
    前記近似関数から前記回転体の位置における前記流体の速度を推定する推定ステップと、
    前記推定ステップで推定した前記回転体の位置における前記流体の速度から、前記流路を流れる前記流体の流量を算出する流量算出ステップと、
    を有する貫通流量測定方法。
  2. 前記流量算出ステップでは、前記流路を前記回転軸線の方向に通過する前記流体の流量Yを、式(2)
    Y=S×V(1)・・・(2)
    ただし、
    S:前記流路が前記回転軸線の方向に開口する面積
    (1):前記回転体から前記回転軸線の方向に1mmの位置における前記流体の速度、
    で算出することを特徴とする、請求項1に記載する貫通流量測定方法。
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