JP2016191327A - 風力発電装置またはウィンドファーム - Google Patents

風力発電装置またはウィンドファーム Download PDF

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Abstract

【課題】信頼性を向上した風力発電装置、または信頼性向上と出力向上を実現するウィンドファームを提供する。【解決手段】風力発電装置として、風を受けて回転するブレード101を備え、ブレード101の回転に伴って発電する風力発電装置100であって、風力発電装置100の自動再起動回数またはシャットダウン回数に応じて、運転制御されることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、風力を電力エネルギーに変換可能な風力発電装置またはウィンドファームに関するものである。
従来、風力発電装置(以下、風車とも記す)は、外部環境の変化など種々の要因により、所定の条件を満しながら運転することが困難となった場合、装置保護や安全性の観点から発電運転を停止する。
例えば、風速、温度、湿度、系統の周波数変動などが、所定の条件以上となった際や、これらの外部環境の変化に伴って、風車の出力電力や、ブレード又は発電機の回転速度などが所定の条件から逸脱した際に、シャットダウンを開始する。
例えばシャットダウンが開始されると、風車が発電運転を停止する。このシャットダウンは、例えばセンサ等により監視している物理量が所定の条件から逸脱した際に制御システムが発する警報に応答して開始される。
風車がシャットダウンを開始した後に、シャットダウンを引き起こした要因(すなわち上記の風速等が所定の条件を逸脱したこと)が解消され、すべて警告が解除されている場合、風車は起動を開始し、再起動することができる。さらに再起動前のシャットダウンの要因によっては、風車の制御システムは人間の介在無しに、自動的に再起動(自動再起動)を行うことができる。
一方、風車のシャットダウンと起動の際の動作は、大きな荷重変動や出力変動を伴う。したがってこのような動作が頻繁に生じることは、疲労荷重増大や電力系統への影響の観点から、好ましくない。特に自動再起動では、風車の制御システムが予め決定された条件に従って再起動を行うため、風車の設置場所や風況によっては、シャットダウンと起動を所定時間内に頻繁に行う可能性があった。
非特許文献1には、このような課題に対して、シャットダウンを引き起した要因が同じ場合の自動再起動について、24時間以内の自動再起動の回数を3回以内とするガイドラインが示されている。
Guideline for the Certification of Wind Turbines Edition 2010、 Germanischer Lloyd、2010.
自動再起動回数やシャットダウン回数が多い状況とは、即ち風車機器にとって過酷な環境であることになる。よって、その様な過酷な環境下では、更なるシャットダウンが生じない様に制御することで、風車機器を保護することが好ましい。本発明は信頼性を向上した風力発電装置を提供することを目的とする。また、信頼性向上と出力向上を実現するウィンドファームを提供することも目的とする。
上記課題を解決するために、本発明にかかる風力発電装置は、風を受けて回転するブレードを備え、前記ブレードの回転に伴って発電する風力発電装置であって、前記風力発電装置の自動再起動回数またはシャットダウン回数に応じて、運転制御されることを特徴とする。
また上記課題を解決するために、本発明にかかるウィンドファームは、上記風力発電装置を複数備えるウィンドファームであって、少なくともいずれか1つの前記風力発電装置における出力電力が自動再起動回数またはシャットダウン回数に応じて減少される場合、他の前記風力発電装置であって所定期間内における自動再起動が可能である風力発電装置における出力電力が高くなるように制御されることを特徴とする
本発明によれば、信頼性を向上した風力発電装置を提供することが可能になる。また、信頼性向上と出力向上を実現するウィンドファームを提供することが可能になる。
本発明の一実施形態に係る風力発電装置の概略構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る風力発電装置のコントローラの概略構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る風力発電装置の自動再起動の流れを示したフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る風力発電装置の自動再起動の回数に応じて、運転モード選択するための構成を示すブロック線図である。 本発明の一実施形態に係る風力発電装置の自動再起動の回数に応じて運転モードを選択する流れを示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る風力発電装置の風速に対する回転速度目標値を示す図である。 本発明の一実施形態に係る風力発電装置において、本発明適用の有無の違いを示す図である。 本発明の一実施形態に係る風力発電装置の風速に対する出力指令値を示す図である。 本発明の一実施形態に係るウィンドファームの概略構成を示す図である。
以下、本発明を実施する上で好適な実施例について説明する。
(実施例1の構成概略)
まず、図1を用いて、本願に係る風力発電装置の第1の実施形態について説明する。
(全体構成)
図1は、第1の実施形態の風車100の概略構成を示す。本実施形態の風車100は、ロータ103、ナセル105、タワー108を主に備える。タワー108はナセル105を回転可能に支持し、ナセル105とロータ103の荷重を支持する。ロータ103は、ブレード101とブレードを接続支持するハブ102から構成される。ロータ103は主軸104を介して、ナセル105の内部に設置された発電機106に接続される。ブレード101が風を受けることにより、ロータ103が回転し、主軸104により接続された発電機106を回転させることにより、風エネルギーから電力を生成することができる。発電機106の発電電力は、発電機106と電気的に接続された電力変換器112によって制御することができる。
ブレード101の各々にはブレード101とハブ102の位置関係、すなわちピッチ角と呼ぶブレードの角度を変更可能なピッチアクチュエータ107を備えている。ピッチアクチュエータ107を用いてブレード101のピッチ角度を変更することにより、風から取得するエネルギー量を変更できる。これにより、広い風速領域においてロータ103の回転速度を制御しながら、風車100の発電電力を制御することができる。
ナセル105は、タワー108により所定の高さに支持されており、タワー108は基部109に設置される。基部109は、地上や洋上の所定位置に設置される。なお、図1ではロータ103と発電機106が主軸104により直接接続されているが、ロータの回転速度を増速して発電機へ入力する増速装置を設けても良い。
また風車100は、風速計110を備えている。風速計110は風速検出手段であり、検出毎の風速から、所定時間内の平均風速を算出し出力している。風速検出の仕方としては風速計等による実測に限らず、予測や他の測定値等を用いて算出した場合も含まれる。以下、風速計110が検出した風速を風速Vと記載するが、本実施例でこれは上述の所定時間内の平均風速を例にして説明している。但し、発明の実施においては制御に用いる風速が所定時間内における平均風速でなければならないものではない。なお、本実施例では風速検出手段として風速計を用いる場合について説明しているが、風速計に関らず風速が検出できる手段であれば良い。また本実施例では、風速計110はナセル105上に設置されているが、タワー108やロータ103に設置しても良い。また上述の風速検出手段を複数備えていても良い。
(コントローラ)
さらに風車100は、コントローラ111を備えている。図2に示すように、コントローラ111には、ピッチ角制御手段1111、電力変換器制御手段1112、異常検出手段1113、自動再起動手段1114、運転モード選択手段1115が、プログラムの形態で実装されている。図1ではコントローラ111はナセル105またはタワー108の外部に設置される形態にて図示されているが、これだけに限ったものではなく、ナセル106またはタワー108の内部またはそれ以外の所定位置、例えば風車100の外部に設置される形態であっても良い。
ピッチ角制御手段1111と電力変換器制御手段1112は、風速計110によって検出された風速Vと、ロータ103(または発電機106)の回転速度N、発電機106の発電出力Pに基づき、風車100が所定の回転速度目標値N*を出力するように、ピッチ角目標値θ*と、出力指令値P*を算出する。ピッチ角制御手段1111と電力変換器制御手段1112は、これらのピッチ角目標値θ*と出力指令値P*に従って、それぞれピッチアクチュエータ107と電力変換器112を制御する。ピッチアクチュエータ107によりブレードのピッチ角を変化させると、風力をロータ103によりトルクに変換する際の変換効率を変化させることができる。この風力からトルクへの変換効率が最も高いピッチ角を、ファインと呼び、最も変換効率の低いピッチ角をフェザーと呼んでいる。このピッチ角の変化によって風力から得られるエネルギー量を制御し、また出力指令値を変化させることにより、系統へ出力するエネルギー量を制御し、ロータ103(及び発電機106)の回転速度Nおよび発電出力Pを制御することができる。
ここで、所定の回転速度目標値N*は、風速計110により得られた風速Vに対して例えばテーブル等を参照して決定する。また、発電出力Pや回転速度Nは、それぞれを検出するセンサ(図示せず)をナセル内105等に設けており、これらセンサの出力が各制御手段に入力される。
異常検出手段1113は、風速、温度、湿度、系統の周波数変動などが所定の条件以上となった際や、これらの外部環境の変化に伴って、風車の出力電力や、ブレード又は発電機の回転速度などの物理量が所定の条件から逸脱した際、これを異常として検出する。これらの物理量は、それぞれの物理量に対するセンサにより(図示しない)計測がなされており、そのセンサ出力と、予め定められた所定の条件を比較することにより、逸脱の有無を確認することができる。また、異常検出手段1113は、所定の条件から逸脱した物理量より区別される異常の種類(シャットダウン要因)を記憶する。
(自動再起動の動作)
次に図3に示すフローチャートを用いて、自動再起動手段1114を説明する。自動再起動手段1114は、図3のフローチャートに従って、風車100のシャットダウン、起動、停止の動作を行う。異常検出手段1113が異常を検出すると、風車100はシャットダウンを開始する。
シャットダウンが起きると、風車100の発電運転が停止される。シャットダウンの動作は、具体的には、ブレード101のピッチ角をフェザーの角度へ変化させる(フェザリングと記す)。フェザリングによって、ロータ103(又は発電機106)の回転速度が低下する。また主軸104にブレーキ(図示しない)等の制動装置を設けており、これを作動させることによってもロータ103(又は発電機106)の回転速度が低下する。回転速度が所定の値を下回ると、発電機106は、発電出力していた電力系統から解列し、シャットダウンが完了する。シャットダウン完了後、ピッチ角はフェザーの角度で保持され、ブレーキによりロータ103の回転に制動を与えた状態を、停止又は発電停止の状態と呼ぶ。
シャットダウン開始後、異常検出手段1113が記憶しているシャットダウン開始の要因と、所定の時間(所定の時間をTiと記す)内の自動再起動の回数制限(Tiにおける自動再起動可能な回数をNRと記す)から、自動再起動可能かを判断する。自動再起動可能なシャットダウン要因は予め定められており、これと異常検出手段1113によって記憶されたシャットダウン要因とを比較することにより、自動再起動の可否を判断する。当該シャットダウン要因は後述の実施例で例示している。また、現在の自動再起動回数NRと、所定の時間Ti間の自動再起動の回数制限NRとを比較し、自動再起動の可否を判断する。NR<NRのときは自動再起動可能であり、NR=NRのときは、NRがリセットされるまで自動再起動不可である。自動再起動が不可の場合は、風車はシャットダウンを完了し、発電を停止する。自動再起動が可能な場合、風車は異常検出手段が検出した異常が復旧していることを確認する。異常が復旧しておれば、風車は人間の介在無しに自動再起動することができる。この時、自動再起動を開始する時刻TRと、予め定められた所定の時間内の自動再起動の回数NRを記憶する。特に所定の時間Tiにおける、ある要因によるシャットダウン開始に対して、初めて自動再起動を行う場合(NRが0の状態で、シャットダウンを開始し、かつ自動再起動が可能な場合)、自動再起動を開始する時刻(NRが0から1となる時間)をTR1として別途記憶する。そして現在時刻Tが、T>TR1+Tiを満たしたとき、NRはリセットされる(NR=0となる)。
(本実施例の制御)
図4は、本実施形態における特徴的な部分を示すものであり、風車100に実装されるコントローラ111の一部を説明するブロック線図である。本実施例のコントローラ111には、ピッチ角制御手段1111と、電力変換器制御手段1112をそれぞれ二つずつ備えている。以下では、ピッチ角制御手段Aと電力変換器制御手段Aを選択して、風車100の運転を行うモードを運転モードA、ピッチ角制御手段Bと電力変換器制御手段Bを選択し、風車100の運転を行うモードを運転モードBと記載する。ここで、ピッチ角制御手段と電力変換器制御手段をまとめて運転モードと呼んでいるが、このほかの制御手段を含めて運転モードとしても良い。また、複数の制御手段に対する組み合わせを運転モードとしても良い(例えば、上記のピッチ角制御手段Aと電力変換器制御手段Bを組み合わせたものを一つの運転モードとしても良い)。また運転モードはA、Bの2つのみを記しているが、2つ以上有していても良い。更に、必ずしも明確に運転モードとして存在していることは必須でなく、例えば自動再起動や自動シャットダウンが生じにくい様に運転制御されれば良い。
運転モード選択手段1115は、異常検出手段1113による異常有無およびシャットダウン要因と、自動再起動手段1114による自動再起動回数NR及び自動再起動時間TR1に応じて、上記運転モードAまたはBを選択する。
このとき、シャットダウン要因を用いて運転モードを選択するため、異なる物理量が所定の範囲を逸脱したことに起因するシャットダウンに対して、それぞれ個別に運転モードを選択することができ、効果的にシャットダウンを抑制することができる。また、同じシャットダウン要因に対する自動再起動回数に応じて、運転モードを選択するため、特定のシャットダウン要因に対するシャットダウンの頻発を効果的に抑制することができる。
図5に示すフローチャートを用いて、運転モード選択手段1115を説明する。運転モード選択手段1115は、図5のフローチャートに従って、運転モードAまたは運転モードBを選択する。
風車100は運転モードAで運転を開始し、異常検出手段1113が異常を検出するまでは、風車100は運転モードAで運転される。異常が検出された際、現在の自動再起動回数NRと、Tiにおける自動再起動可能な回数NRとを比較し、NR<NRのときは運転モードAが選択される。NR=NRのときは、運転モードBが選択される。現在時刻Tが、T>TR1+Tiを満たしたとき、NRはリセットされ、運転モードAを選択する。
このように本実施例の構成では、自動再起動の回数が制限回数になると、運転モードを変更するため、自動再起動回数の制限回数到達を引き起こしたシャットダウン要因に対して、シャットダウン開始を抑制する運転モードを選択することができる。これにより、自動再起動の回数が制限回数に到達した際には、シャットダウンを抑制し、風車の稼働率低下を抑制することができる。 本実施例では、風車機器を保護する上で自動再起動回数やシャットダウン回数に着目している。これは、自動再起動回数やシャットダウン回数が多い環境は、即ち風車機器にとって過酷な環境であると考えられることに基づく。そこで、そうした環境下では風車機器を保護出来るように、更なるシャットダウンが生じにくい様に運転制御される。シャットダウンが生じにくいことには、例えば定格出力より落とす様にピッチ角をフェザー側へ制御することが含まれる。シャットダウンが生じにくい様なモードに移行することで、風車機器を保護することが可能になる。自動再起動回数やシャットダウン回数が多いかどうかは、例えば所定の時間間隔を定めて、その時間間隔内での回数を数える、或いは閾値と比較する等により決定することが可能である。
実施例2は、実施例1の構成にて、風車100のロータ103(または発電機106)の回転速度Nが、所定の条件から逸脱し、シャットダウンと自動再起動を頻発する場合における、シャットダウンを抑制する運転モードA、運転モードBの具体例を示す。ここで回転速度Nが所定の条件から逸脱することは、自動再起動可能なシャットダウン要因である。
図6は、風車100の風速Vに対する回転速度目標値N*を示している。風車100は、回転速度N1で発電運転を開始し、定格風速VRの時に、定格回転速度N2に達する。定格風速以上の風速(VR≦V≦Vout)では、ピッチ角制御手段1111と電力変換器制御手段1112により、定格回転速度N2に制御される。さらに回転速度の上限値としてNLが定められており、回転速度NがNL以上となると、異常検出手段1113により異常と判断され、風車100はシャットダウンを開始する。
回転速度Nが上限値NLを超過する例としては、一時的に風速が高まった際に、風車のピッチ角の変化速度(ピッチアクチュエータ107の動作速度)の制限から、ピッチ角をフェザーの角度に動作させるまでの間に、必要以上に風エネルギーを捕獲することによりロータ103(及び、それに接続された主軸104、発電機106などのドライブトレイン)が加速されることにより生じる場合がある。このロータ103の回転速度の加速をより確実に防止するには、予め風から取得するエネルギー量を制限し、ロータ103を加速するトルクを制限することが考えられる。
そこで本実施例では、運転モードAのピッチ角制御手段Aにて稼働させるピッチ角のファインの角度(ファインA)に対して、運転モードBのピッチ角制御手段Bにて稼働させるピッチ角のファインの角度(ファインB)をフェザーの角度から見て小さく制限する。これにより、ロータ103のトルク変換効率が低下するため、同じ風速が入力された場合のトルクがファインAより小さく制限することができる。この方法は、ピッチ角制御手段Bのファインの角度のみを変更することで足り、故に回転速度Nが上限値NLを超過することによるシャットダウン抑制を容易に実現することができる。
図7に、ピッチ角のファインの角度をファインBに制限した場合の、風車100の ピッチ角、回転速度の変化を示す。図7中の太破線で本発明を適用した場合、太線で本実施例適用無の場合を示す。図7では、所定の時間Tiにおける自動再起動の回数制限NRを3回とした場合を示している。図7中のTS3は、回転速度NがNLを超過したことによる3回目のシャットダウン動作を開始した時刻を示し、TS4は同じく4回目のシャットダウン動作を開始した時刻を示す。
時刻TS3に、回転速度Nが回転速度の上限値NLを超過し、3回目のシャットダウンが開始されている。この時、自動再起動回数NRは2であるため、異常が解消されていれば、自動再起動を行うことができる。
図7では、時刻TS3直後の、時刻TR3に自動再起動を行い、自動再起動回数NRが、制限値の3回に達している。本発明適用無しの場合は、ここで運転モードは変化せず、運転モードAのままである。運転モードAでは、回転速度の上昇率が変化しないため、3回目のシャットダウンを引き起こした風速変動と同様の風速変動にて、同じく回転速度Nが回転速度の上限値NLを超過し、TS4で4回目のシャットダウンに至る。4回目のシャットダウンに対する自動再起動は、回数制限により、実行することができない。したがって、本実施例の適用が無い場合は、時刻がTR1+Tiとなるまで発電運転を停止しなければならない。
一方、本実施例を適用した場合は、既に図4、5を用いて説明している。具体的には、運転モード選択手段1115により、NR=NRとなった時に運転モードが運転モードAから運転モードBへ切り替わる。運転モードBに切り替わることにより、ピッチ角のファインの角度がファインBに制限される。これにより、ロータ103を加速するトルクが運転モードAより小さくなるため、回転速度の上昇率が小さくなる。これにより、3回目のシャットダウンを引き起こした風速変動と同様の風速変動がロータ103入力された際にも、回転速度Nは、回転速度の上限値NLを超過しない。そのため4回目のシャットダウンを抑制し、風車機器を保護した状態で発電運転を継続することができる。
実施例3は、実施例1の構成において、風車100(または発電機106)の出力電力Pが、所定の条件から逸脱し、シャットダウンと自動再起動を頻発する場合において、シャットダウンを抑制する運転モードA、運転モードBの具体例である。ここで出力電力Pが所定の条件から逸脱することは、自動再起動可能なシャットダウン要因である。
図8は、風車100の風速Vに対する出力指令値P*を示している。風車100は、カットイン風速Vinで発電運転を開始し、定格風速VRの時に、出力指令値P*を定格出力PRに設定する。定格風速以上の風速(VR≦V≦Vout)では、ピッチ角制御手段1111と電力変換器制御手段1112により、出力指令値P*に従って定格出力PRに制御される。さらに出力電力Pの上限値としてPLが定められており、出力電力PがPL以上となると、異常検出手段1113により異常と判断され、風車100はシャットダウンを開始する。
風速Vの急変や、ピッチアクチュエータ107の機械的な応答速度の制限から、出力電力Pが出力指令値P*へ制御されるプロセスで、上限値PLを超過する場合がある。そこで、運転モードAの電力変換器制御手段Aの出力指令値の上限値Aに対して、運転モードBの電力変換器制御手段Bの出力指令値P*の上限値Bを小さく制限する。図8のように、運転モードBの時の出力指令値P*の上限値PBを定めることにより、出力電力の上限値PL異常となるシャットダウンを抑制する。
ここでPBは、出力電力上限値PLと、定格出力PR(出力指令値P*の上限値A)との差分を、定格出力PRから減少させた値とする。本実施例の場合、運転モードBが選択されるとき、既に3回PLを超過しシャットダウン動作の開始に至っている。すなわち出力指令値P*を、定格出力PRとした場合、制御プロセス中の出力電力変動幅が、少なくともPLとPRの差分の幅を有する変動が、所定時間内(Ti内)に起こったことになる。
よって同様の出力変動幅が生じる可能性を考慮すると、PLとPRの差分だけ、出力指令値の上限値を減少させることが有効と考える。これにより運転モードBによる発電出力の減少を最小限に抑えながら、シャットダウン発生の可能性を低減することができる。
実施例4について図9を用いて説明する。上記各実施例では、単一の風力発電装置100を例にして説明したが、本実施例では複数の風力発電装置が配置されるウィンドファームを対象に説明する。
該図に示すように、本実施例では三台の風力発電装置200、300、400が配置されており、一台のコントローラ211によって各風力発電装置が制御される。単一の風力発電装置(例えば200)のみに着目した場合、当該風力発電装置を保護するために、出力電力が意図的に減らされる場合がある。しかし、ウィンドファーム全体で見ると、他の風力発電装置(例えば300や400)は、所定期間内における自動再起動が可能な場合もある。その場合には、所定期間内における自動再起動が可能である風力発電装置における出力電力が高くなるように制御しても良い。この様に制御することで、ウィンドファーム全体としては出力電力を減少させずに維持することも可能である。即ち、保護すべき風車の保護と出力電力の維持という両目的を同時に達成することが可能になる。
尚、図9では一台のコントローラで各風力発電装置を制御する集中処理方式を示しているが、複数のコントローラを有して連携する様に分散処理方式を用いることも可能である。
100、200、300、400:風力発電装置、101:ブレード、102:ハブ、103:ロータ、104:主軸、105:ナセル、106:発電機、107:ピッチアクチュエータ、108:タワー、109:基礎、110:風速計、111、211:コントローラ、112:電力変換器、1111:ピッチ角制御手段、1112:電力変換器制御手段、1113:異常検出手段、1114:自動再起動手段、1115:運転モード選択手段、

Claims (12)

  1. 風を受けて回転するブレードを備え、
    前記ブレードの回転に伴って発電する風力発電装置であって、
    前記風力発電装置の自動再起動回数またはシャットダウン回数に応じて、運転制御されることを特徴とする風力発電装置。
  2. 請求項1に記載の風力発電装置であって、
    所定時間内における前記風力発電装置の自動再起動回数またはシャットダウン回数に応じて、運転制御されることを特徴とする風力発電装置。
  3. 請求項1または2に記載の風力発電装置であって、
    前記風力発電装置の自動再起動回数またはシャットダウン回数を考慮して、
    シャットダウンが生じにくい様に運転制御されることを特徴とする風力発電装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の風力発電装置であって、
    所定の時間内におけるシャットダウンの開始要因と、前記シャットダウン開始後に行われる前記自動再起動回数に応じて、運転制御されることを特徴とする風力発電装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の風力発電装置であって、
    更に前記ブレードを回転可能に支持するハブと、
    前記ハブに対する前記ブレードのピッチ角を調節する複数のピッチ角制御手段を備えることを特徴とする風力発電装置。
  6. 請求項5に記載の風力発電装置であって、
    少なくとも第1のピッチ角制御手段と第2のピッチ角制御手段を備えており、
    前記第2のピッチ角制御手段におけるファイン側最大角は、前記第1のピッチ角制御手段におけるファイン側最大角よりも、フェザー側であることを特徴とする風力発電装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の風力発電装置であって、
    更に前記ブレードの回転に伴って発電する発電機と、
    前記発電機から出力された電力を制御する電力変換器と、
    前記電力変換器を制御する複数の電力変換器制御手段を備えることを特徴とする風力発電装置。
  8. 請求項7に記載の風力発電装置であって、
    少なくとも第1の電力変換器制御手段と第2の電力変換器制御手段2を備えており、
    前記第2の電力変換器制御手段における出力指令値の最大値は、前記第1の電力変換器制御手段における出力指令値の最大値よりも小さいことを特徴とする風力発電装置。
  9. 請求項8に記載の風力発電装置であって、
    前記第2の電力変換器制御手段における出力指令値の最大値は、前記第1の電力変換器制御手段における出力指令値の最大値よりも、予め定められた発電出力上限値と定格発電出力の差分小さいことを特徴とする風力発電装置。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の風力発電装置であって、
    少なくとも2つの異なる運転モードを備え、
    前記風力発電装置の自動再起動回数またはシャットダウン回数に応じて、いずれかの前記運転モードが選択されることを特徴とする風力発電装置。
  11. 請求項10に記載の風力発電装置であって、
    所定時間内における自動再起動またはシャットダウン回数の制限回数が予め定められており、
    前記自動再起動の回数が、前記制限回数と等しくなった場合、または前記制限回数を超えた場合、前記運転モードが変更されることを特徴とする風力発電装置。
  12. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の風力発電装置を複数備えるウィンドファームであって、
    少なくともいずれか1つの前記風力発電装置における出力電力が自動再起動回数またはシャットダウン回数に応じて減少される場合、他の前記風力発電装置であって所定期間内における自動再起動が可能である風力発電装置における出力電力が高くなるように制御されることを特徴とするウィンドファーム。
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