JP2016190209A - 金属製品、および金属製品のコーティング方法 - Google Patents

金属製品、および金属製品のコーティング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】多数の金属製品に一括してコーティングを施す場合でも、処理時間をかけず、処理コストを抑え、かつ製品同士のブロッキングを軽減し、しかも安定した皮膜を形成することのできる金属製品のコーティング方法を提供する。【解決手段】金属製品20の表面に樹脂の皮膜を形成する樹脂コーティング工程と、樹脂の皮膜の上にワックスの皮膜を形成するワックスコーティング工程と、を有する金属製品のコーティング方法を提供する。樹脂コーティング工程では、複数の金属製品20を、樹脂の固化温度以上で前記樹脂に接触させることにより、金属製品20の表面に軟化した前記樹脂の皮膜を形成する。ワックスコーティング工程では、金属製品20を所定温度になるまで冷却させた段階で、金属製品20を、前記樹脂の軟化温度よりも低い軟化温度を有し常温で固化するワックスとともに撹拌することにより、前記樹脂の皮膜の上に前記ワックスの皮膜を形成する。【選択図】図5

Description

本発明は、金属製品の表面にコーティングを施す金属製品のコーティング方法、およびこの方法によってコーティングされた金属製品に関する。
コンクリート躯体等に施工されるアンカーとしては、いわゆる、あと施工アンカーがある。あと施工アンカーとしては、芯棒打込み式、スリーブ打込み式、内部コーン打込み式、本体打込み式などの打込み式アンカー(打込み式拡開アンカーともいう)がある。
打込み式アンカーは、コンクリート躯体等の母材に下穴を明け、その下穴に挿入したアンカーの先端部(拡張部)を孔内で拡張させることにより、母材に固着される。
例えば、芯棒打込み式アンカーは、中空軸状のアンカー本体(拡張部)と、アンカー本体に挿入される芯棒(拡張子)とを有する。
芯棒打込み式アンカーを施工する場合は、母材に形成した下穴に、アンカー本体の先端部(拡開部)を挿入するとともに、アンカー本体の内部に挿入された芯棒の、アンカー本体の上端から突き出ている基端部をハンマー等で叩打してアンカー本体の拡開部を拡開させ、拡開部をコンクリートの孔壁に喰込ませる。それにより、打込み式アンカーを母材に固着させる。
打込み式アンカーの構成部品の素材には、耐食性の高いオーステナイト系のSUS304、SUS316、SUSXM7等のステンレス鋼が広く用いられている。ステンレス鋼製のアンカーは、雨水や水の当たる屋内外、湿度の高いところ、塩害を受ける場所、排気ガスあるいは雰囲気の悪い環境などの、耐食性が要求される場所に広く使用することができるという利点がある。
ところで、オーステナイト系ステンレス鋼を使用した打込み式アンカーでは、打込みによる強い圧力で、摺動部分にカジリが生じやすいという課題がある。カジリとは、強い圧力での摺動の際に金属製品同士が固着する現象のことである。
例えば、打込み式アンカーの拡張子や拡張部を叩打して施工する際に、拡張子と拡張部が摺動する部分でカジリが発生しやすく、場合によっては、拡張子または拡張部を所定の位置まで打ち込めなくなることもある。
カジリ対策としては、例えば、打込み時に摺動する製品表面に樹脂のコーティングを施す技術がある(例えば、特許文献1参照)。
ところが、前述した芯棒(拡張子)のような小さい金属製品を樹脂でコーティングする場合、一つ一つの製品に個別に樹脂をコーティングすると、効率が悪くコストが高くなる。そこで、多数の製品をバルクの状態(バラの状態の製品の集合体)で処理する方法が用いられる。
その方法としては、例えば、コーティング液(樹脂の溶液または樹脂が分散した液)に金属製品を浸漬した後、液から引き上げ、表面に付着した液の溶媒または分散媒を蒸発させることで、金属製品の表面に樹脂の皮膜を形成する方法がある。
しかし、この方法では、コーティング液が毛細管現象で製品同士の接触箇所に溜まるため、コーティング液を乾燥させる過程で、樹脂が粘着性の高いゲル状域を経る際に、製品同士が付着した状態となる。そのまま乾燥固化させると、製品同士が接着する、いわゆるブロッキング(製品同士がくっついた状態になる現象)が起こり、この接着した製品を引き離す際に、樹脂皮膜が損傷したり、樹脂皮膜が剥がれたりするという問題がある。
そこで、その対策として、一回にコーティングする樹脂被膜を薄くし、製品の接触箇所の樹脂量を減らすことでブロッキングを軽減させ、その処理を何回か繰り返すことで、目標とする皮膜厚を得る方法がある。しかしこの方法は、何度も塗布と乾燥を繰り返すために、工数が多くなり、併せて多くの処理時間が必要となり、生産効率が悪く、コストが高くなる問題がある。
物品に樹脂をコーティングする方法としては、例えば、錠剤などの粒状物を回転ドラム内で撹拌しつつコーティング液を霧状にして吹付け、撹拌しながら溶媒や分散液を乾燥させるパンコーティング法がある。
この方法によれば、コーティング液を霧状にして吹付けることで、コーティング液が錠剤表面に接したらほぼ瞬時に溶媒や分散媒を揮発させることができる。そのため、瞬時に非粘着性の薄い固化皮膜を形成することができ、その結果、他の錠剤と接触しても、皮膜の損傷や錠剤同士のブロッキングは起こりにくくなる。
しかし、この方法は、噴霧機等の特殊な設備を準備する必要があるだけでなく、錠剤表面でごく薄い膜を塗付乾燥しながら積み重ねていくため、やはり処理に時間がかかる。
処理速度を高くしようとして噴霧量を多くすると、乾燥固化が遅れ、錠剤表面の未乾燥の粘着性皮膜同士が接触することになるため、錠剤間の皮膜同士が付着し、皮膜が破れたり、錠剤同士がブロッキングするという問題がある。
また、回転ドラム内にコーティング液を噴霧するため、被覆する必要のないドラム内壁にもコーティング液が付着して皮膜が形成されてしまう。そのため、コーティング液の利用効率が悪く、また回転ドラムの掃除も頻繁に行う必要があり、生産性が低く処理コストが嵩むという問題が生じている。
そこで、コーティング液の利用効率やドラムの汚れを改善する方法として、錠剤に荷電することで、霧状のコーティング液を錠剤に引き付ける静電塗装法も行われている。しかしこの方法は、コーティング液の利用効率は改善されるものの、やはりコーティング液の使用量が多い場合に乾燥過程で生じる皮膜の損傷やブロッキングを防ぐことはできないため、処理時間の短縮は難しい。
それらの問題点を改善するために、ドラム温度、湿度、スプレー時間、乾燥時間、コーティング液濃度、コーティング液温度など細部にわたる条件をコントロールして最適な処理が行われるようにしているが、前記条件をコントロールするための周辺設備に要する費用が大きくなってしまうため、コーティング処理のコストの低減は難しい。
このコーティング液を噴霧するパンコーティング方法におけるブロッキングヘの対策についても幾つかの技術が紹介されている。
例えば、特許文献2には、粒状肥料に樹脂溶液を噴霧し被覆した場合、溶剤の蒸発とともに肥料粒子が粘着しあって大きな塊となってしまうために、熱可塑性または熱硬化性樹脂の粉末を加え、これを粒状肥料の表面に付着させることにより粒状肥料の塊化を回避する方法が示されている。しかしこの方法は、製品表面に粉状物が付着して残るため、表面に粉状物が付着したままでは好ましくない製品には適さない。
特許文献3には、粒状体にコーティング液を振りかけるパンコーティング方式で形成された皮膜の粘着性により粒状体同士が付着しあわないようにするために、粒状体を落下させる間に皮膜を乾燥させる方法が示されている。
特許文献4には、コーティング肥料等の粒状物をドラム内で撹拌中にコーティング液を噴霧する場合、コーティング液が乾燥する前に粒状物同士が固着して団塊状とならないように、ドラム内で粒状物を上方に掻き上げ、粒状物の落下経路に乾燥用気体を供給する方法が示されている。
しかし、これらの方法は、金属製品を対象とする場合、金属製品の重量が大きく落下速度が速くなることから、十分な強度を有する大がかりな設備が必要となってしまい、コスト低減は難しくなる。
特許文献5には、錠剤に噴霧したコーティング液が乾燥しないうちに次の被覆液のスプレーを開始した場合に錠剤が相互に付着してしまうことへの対策として、そのコーティング液の乾燥具合を音で感知してスプレーのタイミングを計る方法が示されている。
しかし、この方法は、ブロッキングを軽減するには有効であるが、パンコーティング法が有する処理速度の問題を解決できる方法ではない。
特許文献6には、粒子が小粒径である場合に、コーティング液へ浸漬後の乾燥工程で粒子同士が付着・凝集を起し、最終的には団塊状態となることに対して、撹拌槽内を減圧状態としてコート・撹拌・乾燥を行なう方法が示されている。
この方法は、撹拌槽内を減圧とすることで乾燥速度を速め、表面が未乾燥の状態の粒子同士が接触し付着し合わないようにする方法であるが、撹拌槽を減圧状態とするための特殊な装置が必要となってしまい、コストの高い処理法になってしまう。
特許文献7には、固形薬剤に被覆した可塑剤またはワックス類により起きる、被覆後の顆粒同士の付着を防ぐために、過剰な可塑剤またはワックス類を顆粒に吸着させ、その表層に付着防止層を形成させる方法が示されている。
しかし、この方法は、被覆過程ではブロッキングが生じない被膜材が、コーティング後に顆粒を保管する間にブロッキングしてしまうのを防ぐための方法であり、コーティング工程中に粘着性が発現して被処理物同士がブロッキングしてしまうことを防ぐ技術ではない。
なお、上記方法はいずれも、錠剤や顆粒等の軽量物品についての技術である。重量が大きい金属製の製品の場合、バルクを構成する製品同士の接触箇所では大きな荷重が作用するため、ブロッキングはより激しくなる。そのため、軽量物を対象とする上記方法では、金属製品へのコーティング処理中に起こるブロッキングを防止するのは難しい。
特許文献8には、パンコーティング方式で金属製品に樹脂をコーティングする方法として、コーティング液(樹脂の溶液または樹脂が分散した液)の代りに樹脂を溶射する方法が紹介されている。
この方法でブロッキングの軽減が得られるのは、パンコーティング法でコーティング液を霧状で吹付けるのと同じで、加熱溶解した材料を微粒子化して製品に溶射噴霧して薄い皮膜をほぼ瞬間的に固化させながら積み重ねていくことによる。
しかし、この方法は、特殊な溶射装置を準備しなければならない上に、コーティング液を噴霧するパンコーティング法と同様、処理に時間がかかるという問題が解決されていない。
その他、特許文献9に記載されているように、金属に樹脂皮膜をコーティングする方法として、流動浸漬法、静電乾式吹付け法、および散布法等の粉末塗装が知られている。
流動浸漬法は、被覆する合成樹脂粉末の融点以上の温度に金属製品を加熱して、加熱した金属製品を合成樹脂粉末の流動床中に浸漬し、金属製品の表面に合成樹脂粉末を融着させる方法である。
静電乾式吹付け法は、金属製品の表面に合成樹脂粉末を付着させ、引き続き加熱炉中で熱処理することにより粉末を表面に融着させる塗装法である。
粉末塗装法は、樹脂の融点以上の温度に加熱した金属製品に、合成樹脂粉末をまぶすだけで表面を被覆する方法である。
粉末塗装法は、バルクを構成する物品にも適用することができる。例えば、特許文献10には、被覆しようとする粉末、顆粒剤、錠剤などをコーティングパンに仕込み、コーティングパンを回転させながら脂蝋状物質または熱可塑性物質の粉末を均等に撒布する方法が示されている。加熱による脂蝋状物質または熱可塑性物質の溶融もしくは塑性変化によって、均等な皮膜が形成される。
しかし、この方法では、特許文献10に記載されているように、熱可塑性樹脂粉末を用いる場合、樹脂が溶融し、物品の表面で皮膜を形成した後、冷却固化する過程で、この皮膜が粘着性となる。そのため、先に示したコーティング液を乾燥させる工程と同様に、物品同士が接触する箇所で製品同士が付着してブロッキングを起こしてしまう。特許文献10には、これに対する解決策についてなんら言及されていない。
特開昭51−26906号公報 特公昭42−13681号公報 特公昭43−4482号公報 特開平07−31914号公報 特開昭54−47912号公報 特開平08−294621号公報 特開平09−32523号公報 特開2002−226962号公報 特開昭56−51774号公報 特公昭40−3789号公報
上述のように、コーティング液を塗付し乾燥させる方法も、樹脂粉末を製品表面で溶融固化させる方法も、乾燥または冷却の過程で、樹脂皮膜が粘着性の高い状態を経るために、バルクを形成する製品同士が接触した箇所の樹脂皮膜が傷ついてしまったり、製品同士が粘着してブロツキングを起こしてしまうという問題がある。
これを軽減するためには、特殊な噴霧設備を導入した上、厳密な条件管理の下で処理を行う必要があり、しかもこのような措置を施したとしても、目的とする皮膜の厚さを得るためには処理に長時間が必要となる。
さらに、金属製品のように重量の大きい製品では、バルクを構成する製品の接触箇所では大きな荷重が作用するため、ブロツキングはより激しくなり、従来の錠剤や顆粒といった軽量物を処理する方法では、金属製品へのコーティング処理中に起こるブロツキングを防止するのは難しい。
そのため、オーステナイト系ステンレス製の打込み式アンカーにおいても、拡張子または拡張部を叩打して施工する際のカジリを防ぐために、生産性が低くコストの高い方法で拡張子などに樹脂をコーティングせざるを得ず、オーステナイト系ステンレス製が環境適性に優れているにもかかわらず、その使用が制限されてしまっている。
本発明は、上記事情を考慮し、多数の金属製品に一括してコーティングを施す場合でも、処理時間をかけず、処理コストを抑え、かつ製品同士のブロッキングを軽減し、しかも安定した皮膜を形成することのできる金属製品、および金属製品のコーティング方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、複数の金属製品を、樹脂の固化温度以上に加熱して、前記樹脂に接触させることにより、前記金属製品の表面に軟化した前記樹脂の皮膜を形成する樹脂コーティング工程と、前記樹脂コーティング工程の後、前記金属製品を所定温度になるまで冷却させた段階で、前記金属製品を、前記樹脂の軟化温度よりも低い軟化温度を有し常温で固化するワックスとともに撹拌することにより、前記樹脂の皮膜の上に前記ワックスの皮膜を形成するワックスコーティング工程と、を有する金属製品のコーティング方法を提供する。
前記樹脂コーティング工程では、前記樹脂の固化温度以上に加熱した前記金属製品と、前記樹脂とを撹拌装置で撹拌することで、前記金属製品の表面に前記樹脂の皮膜を形成することが好ましい。
前記金属製品が、オーステナイト系ステンレス製の打込み式アンカーの構成部品である場合には、前記樹脂コーティング工程における前記樹脂の供給量は、前記金属製品の被コーティング面積1mに対して1cm以上、50cm以下であることが好ましい。
前記供給量は、特に、金属製品のコーティングが、前記アンカーの打込み時のカジリの軽減を目的とする場合に好適である。
前記樹脂コーティング工程では、前記樹脂を粉末状またはフィルム状として前記金属製品に供給することができる。
前記樹脂コーティング工程では、前記樹脂を溶融した状態で前記金属製品に供給してもよい。
本発明は、他の金属製品に摺動する用途で使用可能な金属製品であって、表面に、樹脂の皮膜と、前記樹脂の皮膜の上に形成されたワックスの皮膜と、を有し、前記ワックスは、前記樹脂の軟化温度よりも低い軟化点を有し常温で固化する金属製品を提供する。
本発明によれば、表面に樹脂の皮膜を形成した金属製品を所定温度まで冷却した段階で、樹脂の皮膜の上にワックスの皮膜を形成する。そのため、ワックスの皮膜により、樹脂皮膜の粘着性による金属製品同士のブロッキングを有効に防止することができる。
したがって、無駄な薬剤コストや設備コストを低減しつつ、短い処理時間で、安定した皮膜を有する金属製品を得ることができる。また、金属製品を処理液に浸漬させない方法であるため、良好な作業性を確保することができる。
本発明の実施形態のコーティング方法の対象となる芯棒打込み式アンカーの構成を示す側面図である。 (a)図1に示す芯棒打込み式アンカーの芯棒を示す側面図である。(b)図1に示す芯棒打込み式アンカーのアンカー本体を示す断面図である。 (a)図1に示す芯棒打込み式アンカーの芯棒打込み前の状態を示す断面図である。(b)図1に示す芯棒打込み式アンカーの芯棒打込み後の状態を示す断面図である。 芯棒打込み式アンカーの施工手順の説明図である。 撹拌装置の構成を示す模式図である。 本実施形態のコーティング方法によってコーティングが施された、芯棒打込み式アンカーの芯棒の一例を示す断面図である。
本発明のコーティング方法は、金属製品の表面に樹脂(以下、被覆樹脂ということがある)の皮膜を形成する樹脂コーティング工程と、樹脂の皮膜の上にワックスの皮膜を形成するワックスコーティング工程と、を有する。
樹脂コーティング工程では、複数の金属製品を、樹脂の固化温度以上で前記樹脂に接触させることにより、前記金属製品の表面に軟化した前記樹脂の皮膜を形成する。
複数の金属製品はバルクの状態(複数の金属製品を集合させた状態)とすることができる。
具体例としては、前記樹脂の固化温度以上に加熱した前記金属製品と、前記樹脂とを撹拌装置で撹拌することで、前記金属製品の表面に前記樹脂の皮膜を形成する方法を挙げることができる。
ワックスコーティング工程では、前記金属製品を所定温度になるまで冷却させた段階で、前記金属製品を、前記樹脂の軟化温度よりも低い軟化温度を有し常温で固化するワックスとともに撹拌することにより、前記樹脂の皮膜の上に前記ワックスの皮膜を形成する。
以下、金属製品のコーティング方法の実施形態について詳しく説明する。
<金属製品について>
金属製品としては、特に限定されないが、例えば、あと施工アンカーの構成部品を挙げることができる。あと施工アンカーとしては、芯棒打込み式、スリーブ打込み式、内部コーン打込み式、本体打込み式などの打込み式アンカーがある。
本発明の対象となる金属製品としては、芯棒打込み式アンカーの芯棒、スリーブ打込み式アンカーのコーン、内部コーン打込み式アンカーのコーン、本体打込み式アンカーのコーン、などを挙げることができる。
これらは、他の金属製品に対して摺動する用途で使用される金属製品である。例えば、芯棒打込み式アンカーの芯棒は、使用時にアンカー本体に対して摺動する金属製品である。
本発明の適用先は、あと施工アンカーに限定されない。例えば、ボルトとナットとからなる締結具において、ボルトに本発明を適用してもよい。
なお、金属製品の用途は、他の金属製品に対して摺動する用途でなくてもよい。例えば、釘、ネジ式固定具などに本発明を適用してもよい。
他の金属製品に対して摺動する用途で使用される金属製品では、カジリが生じる場合がある。カジリとは、強い圧力での摺動の際に金属製品同士が固着する現象のことである。
なお、以下、金属製品を単に「製品」ということがある。
金属製品を構成する金属材料の例としては、例えば、鋼材(鉄鋼、ステンレス鋼、クロム鋼、モリブデン鋼、チタン鋼など)、非鉄金属材(アルミ材、チタン材、銅材など)を挙げることができる。
金属製品と樹脂との密着性を高めるために、予め金属製品の表面に、サンドブラスト、ショツトブラスト等のブラスト処理;リン酸塩やクロム酸塩等を用いた化学的処理;シランカップリング剤処理;プライマー処理などの下地処理をしておくこともできる。
金属製品の形状は、特に限定されない。例えば、円柱、円錐、角柱、角錐、球、方体、それらを組み合わせた形状などを例として挙げることができる。金属製品は、被コート面同士が転動により接触する形状であることが、樹脂膜厚の均一化の点で好ましい。
<被覆樹脂について>
被覆樹脂は、熱可塑性樹脂であれば特に限定されない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体などのオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などの塩化ビニル系樹脂;ナイロン6、ナイロン10などのホモポリアミド、これらが共重合したコポリアミドなどのアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレートなどの飽和ポリエステル系樹脂;スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴムなどの合成ゴム系樹脂を使用できる。
被覆樹脂としては、金属製品との粘着性を高めるために、これらの樹脂に、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂等を配合したホットメルト樹脂も好適に用いることができる。
被覆樹脂の種類は限定されないが、打込み式アンカーのステンレス製の構成部品、例えば、芯棒打込み式アンカーの芯棒に適用する場合は、金属製品との密着性、皮膜の強靭性、及びコストの面で、EVA系、合成ゴム系の樹脂が好適に使用できる。
被覆樹脂には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑材、可塑剤、揮発性可塑剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤;タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の充填剤などを、目的に応じて単独、又は併用して添加することができる。
金属製品に対して樹脂を供給する際の形態としては、加熱された金属製品と接触して速やかに融解する形状が好ましく、粉体、破砕した形態、またはフィルム状が好ましい。また、予め加熱溶融した樹脂をバルクに供給することもできる。
<ワックスについて>
本発明で用いるワックスとは、常温で固体であり、被覆樹脂の融点(または軟化点)よりも低い融点を有するものであれば、特に限定されない。
そのようなワックスとして、カルナバ蝋などの植物系蝋;蜜蝋などの動物系蝋;パラフィンワックスなどの石油系ワックス;ポリエチレンワックス、ステアリン酸アミド、硬化ひまし油などの合成ワックス、などを例示することができる。
ワックスを投入する際の形態は、特に限定されず、固形塊状、フレーク状、または粉末等とすることができる。また、ワックスは、あらかじめ加熱し溶融した液状物として投入(散布等)することもできる。
ワックスの融点が規定しにくい場合には、融点に代えて軟化点を使用することができる。軟化点の測定方法は、例えばJIS K2207−1996に記載の方法を採用することができる。融点または軟化点を「軟化温度」という。
<撹拌装置について>
撹拌装置としては、被覆樹脂を金属製品の表面で流動させ膜厚を均一化する機能を有するものが好ましい。詳しくは、撹拌により金属製品が転動しつつ互いにぶつかり合うことにより、溶融状態のコーティング樹脂が金属製品の表面で流動し膜厚が均一化されることが好ましい。
撹拌装置は、金属製品を転動させ易い容器回転式が好ましく、特に、バルクの金属製品に樹脂やワックスを投入(散布、注入等)し易い開放式のコーティングパン式のものが好適である。
図5は、撹拌装置の一例を示す図であって、ここに示す撹拌装置31は、内面に撹拌羽根33の付いたドラム32を有するドラム式ミキサーである。ドラム32は、回転軸C1の軸回り方向に回転可能であり、ドラム32を回転させることによって、ドラム32の金属製品を、撹拌羽根33でかき上げつつ撹拌することができる。
<被覆条件について>
樹脂コーティング工程において、被覆する樹脂の固化温度以上に加熱した金属製品に対して樹脂を被覆する方法としては、例えば次の方法がある。
(1)加熱した金属製品のバルクをドラムに投入し、次いで、金属製品の上から粉末状またはフィルム状の樹脂を投入し、さらに撹拌を行うことによって、バルク全体の金属製品の表面に樹脂を被覆する。
(2)加熱した金属製品のバルクをドラムに投入し、次いで、金属製品の上から溶融した状態の樹脂を注入し、さらに撹拌を行うことによって、バルク全体の金属製品の表面に樹脂を被覆する。
(3)樹脂粉末からなる流動層内に、加熱した金属製品を浸漬し、表面に樹脂粉末を付着させた後、金属製品を加熱して樹脂を溶融させる。
(4)樹脂粉末からなる流動層内に、加熱した金属製品を浸漬し、表面に樹脂粉末を付着させた後、金属製品を流動層から取り出す。金属製品を加熱して樹脂を溶融させる。溶融樹脂が付着した状態の金属製品を撹拌装置に入れて、撹拌し転動させながら加熱する。
本実施形態の金属製品のコーティング方法では、これらの方法のうちいずれを採用してもよい。
条件(1)に示すように、粉末状またはフィルム状の樹脂を用いる場合は、樹脂投入の際の樹脂の取り扱いが容易となる。また、粉末状またはフィルム状の樹脂を用いることによって、樹脂が溶融するまでの時間を短くすることができるため、他の形態の固体樹脂を用いる場合に比べ、生産効率を高めることができる。
条件(2)に示すように、溶融した樹脂を用いる場合には、樹脂の溶融に時間がかかることがないため、生産効率の点で有利である。
固化温度とは、溶融している物質が流動性を失い、固化し始める温度であり、非結晶性物質ではガラス転移温度であり、結晶性物質では結晶化温度である。固化温度は、例えば、軟化温度と同じであってよい。
なお、樹脂をコーティングする方法はこれらに限定されない。また、撹拌とは、必ずしも連続的に撹拌をすることを意味しない。例えば、撹拌と停止を繰り返す動作も含まれる。
<金属製品の加熱温度について>
金属製品の加熱温度は、金属製品が撹拌により転動され、金属製品が接触し合うことによって、樹脂が金属製品の表面に広がり、皮膜の均厚化がなされる温度が好ましい。具体的には、その樹脂の融点以上、融点プラス100℃以下の範囲とするのが好ましい。
樹脂の融点が規定しにくい場合には、融点に代えて軟化点を使用することができる。すなわち、金属製品を加熱する温度は、その樹脂の軟化点以上、軟化点プラス100℃以下の範囲としてもよい。
なお、軟化点の測定方法は、例えばJIS K6863−1994に記載の方法を採用することができる。融点または軟化点を「軟化温度」という。
<ワックスの投入タイミングについて>
金属製品の表面で樹脂の皮膜が所定の状態まで均厚化された後、金属製品を冷却させ、樹脂の皮膜の温度が所定の温度範囲になったら撹拌装置にワックスを投入し、金属製品とともに撹拌する。
ワックスを投入する際に使用する撹拌装置は、樹脂コーティング工程で使用した撹拌装置と同じものであってもよいが、樹脂コーティング工程で用いた撹拌装置とは異なることが好ましい。
樹脂の皮膜の温度が所定の温度範囲の上限値(T)よりも高い時(すなわち、温度が高すぎるとき)にワックスを投入すると、十分にブロッキング防止効果が得られなくなるだけでなく、樹脂と金属製品表面との密着性が低下してしまう。
また、樹脂皮膜の温度が所定の温度範囲の下限値(T)未満のとき(すなわち、温度が低すぎるとき)、撹拌による転動によって製品同士がぶつかり合った際に皮膜が損傷を受け、その皮膜の損傷はワックスを投入しても製品に残ってしまう。
にワックスを投入すると、撹拌転動で製品同士がぶつかり合った際に、皮膜が損傷を受け、その皮膜の損傷は回復できない。
よって、ワックスを投入するべき温度は、ワックスの存在下で撹拌し転動させると樹脂皮膜と金属製品表面との密着性が低下する温度以下、かつ、前記撹拌による転動によって樹脂皮膜が損傷を受ける温度以上である。
ワックスの投入に適した温度範囲の上限値(T)及び下限値(T)は、使用する樹脂の種類、加熱時の流動性などによって変わるが、上限値(T)及び下限値は、当業者であれば数回の試験で把握することができる。
例えば、ワックス投入時の温度が異なる複数のコーティング試験で得られた金属製品を調べ、ブロッキングの有無、皮膜の状態、皮膜の密着性などを確認する。これによって、ワックス投入時の温度が、ブロッキングの有無、皮膜の状態、皮膜の密着性などに及ぼす影響を把握することができる。
このような条件で表面にコーティングがなされた金属製品では、ブロッキングが大幅に軽減される。
ワックス投入温度は、例えば70〜110℃とすることができる。
上限値(T)より高い温度でワックスを投入することにより樹脂と金属製品表面との密着性が低下するのは、樹脂が低粘度となってワックスと混ざり合うか、またはワックスが樹脂と金属製品表面との間に入り込むことが原因であると考えられる。この現象には、温度だけでなく、金属部品どうしがぶつかり合う際の衝突のエネルギー、金属製品のバルク全体の重量、ミキサーの構造、金属製品の形状などが影響する。このように、多様な要素が関係するため、上限値(T)を特定するのは容易ではない。そのため、上述のように、ワックス投入の際の温度範囲は試験によって定めるのが好ましい。
次に、金属製品の一例を構成部品として有する芯棒打込み式アンカーについて説明する。
図1は、芯棒打込み式アンカーの構成を示す側面図である。図2(a)は、芯棒打込み式アンカーの芯棒を示す側面図である。図2(b)は、芯棒打込み式アンカーのアンカー本体を示す断面図である。図3(a)及び図3(b)は、前記アンカーの芯棒打込み前の状態と打込み後の状態をそれぞれ示す断面図である。図4(a)〜図4(c)は、前記アンカーの施工手順の説明図である。
図1に示すように、芯棒打込み式アンカー1は、貫通孔14を有する円筒状(中空軸状)のアンカー本体10と、貫通孔14に挿入される芯棒20(金属製品)と、アンカー本体10の基端側のねじ軸部11に螺合されるナット15と、ワッシャ16とを備えている。
アンカー本体10の先端部には、アンカー本体10の軸方向に沿う複数のスリット13が形成されており、これらスリット13によって、アンカー本体10の先端部は複数の突片状の拡張部12に分割されている。
図2(b)に示すように、アンカー本体10の貫通孔14の内面には、太径部14aと細径部14bとの内径の違いにより段部17が形成されている。
図2(a)に示すように、芯棒20は、フランジ状の頭部20aと、頭部20aから延出する棒状の本体部20bとを有する。本体部20bの先端部20cは、先細り形状とされている。
図3(a)に示すように、芯棒20の打込み前の状態では、芯棒20の基端部はアンカー本体10の上に突き出ている。芯棒20の基端部(頭部20a)をハンマー等で打って芯棒20をアンカー本体10に挿入する。
図3(b)に示すように、これによって、芯棒20の先端部20cは、アンカー本体10の拡張部12の内面の段部17に摺動しながら、段部17に拡径方向の力を加え、拡開部12を拡開させる。
芯棒打込み式アンカー1の施工は次のように行う。
図4(a)及び図4(b)に示すように、コンクリート躯体よりなる母材60に、一定径の下穴61(ストレート形状)を形成し、これに芯棒打込み式アンカー1を挿入する。
その状態で、図4(c)に示すように、芯棒20の打ち込みによって拡張部12を拡張させると、拡開部12が下穴61の内壁に食い込む。
次いで、ナット15をねじ軸部11に締め付けることによって、取付物70を母材60に押さえ付けて固定する。
この施工過程において、芯棒20を打込む際には、芯棒20の先端部がアンカー本体10の内面(段部17)に当接し摺動する。この際、その摺動接触部分にカジリが発生するおそれがある。
以下、芯棒20を対象とするコーティング方法の一例を説明する。
<樹脂コーティング工程>
図5に示すように、樹脂の軟化温度以上に加熱した多数の芯棒20と、樹脂とをドラム32に投入する。
ドラム32を回転させて、芯棒20を樹脂に接触させつつ芯棒20と樹脂とを撹拌する。これによって、多数の芯棒20の表面に、軟化した樹脂の皮膜が一括して形成される。
樹脂の皮膜の厚さは特に限定されないが、オーステナイト系ステンレスからなる打込み式アンカーのカジリ防止として芯棒20に形成される皮膜の厚さは、1μm〜50μm、好ましくは5μm〜10μmとすることができる。
皮膜の厚さが1μm未満では、芯棒20を打ち込む際の打込み抵抗の軽減効果が少なくなる。皮膜の厚さが50μmを越えると、アンカー本体10に対して芯棒20を挿入しにくくなる。
これに対し、皮膜の厚さを1μm〜50μmとすることによって、芯棒20がアンカー本体10に挿入しにくくならず、かつ、打込み抵抗を軽減し、カジリを防ぐことができる。
ドラム32への樹脂の投入量は、芯棒20の被コーティング面積1mに対して1cm以上、50cm以下が好ましい。これによって、上述の好適な皮膜厚さを実現しやすくなる。
<ワックスコーティング工程>
次いで、芯棒20を冷却し、ドラム32内の温度が前述の温度範囲の上限値(T)以下になったらドラム32にワックスを投入し、金属製品とともに撹拌する。これによって、樹脂の皮膜の上にワックスの皮膜を形成する。
図6は、本実施形態のコーティング方法によってコーティングが施された、芯棒打込み式アンカーの芯棒20の一例を示す断面図である。
この芯棒20は、表面に、樹脂の皮膜21と、樹脂の皮膜21の上に形成されたワックスの皮膜22と、を有する。
本実施形態の金属製品のコーティング方法によれば、表面に樹脂の皮膜を形成した金属製品を所定温度まで冷却した段階で、樹脂の皮膜の上にワックスの皮膜を形成する。そのため、ワックスの皮膜により、樹脂皮膜の粘着性による金属製品同士のブロッキングを有効に防止することができる。
したがって、無駄な薬剤コストや設備コストを低減しつつ、短い処理時間で、安定した皮膜を有する金属製品を得ることができる。また、金属製品を処理液に浸漬させない方法であるため、良好な作業性を確保することができる。
(実施例1)
図1等に示す芯棒打込み式アンカー用の芯棒20(拡張子)を金属製品として用意した。
芯棒20はSUS304からなり、直径4.8mmの頭部20aを有する。芯棒20の全長は78mmである。芯棒20の表面積は12cmである。
樹脂としては、EVA系、軟化点83℃のホットメルト用樹脂(3MTMScotch−WeldTM3776LMQ)を使用した。
ワックスとしては、パラフィンワックス、融点135°F=57℃(粉末)を使用した。
撹拌装置31としては、容量60Lのドラム32を有するドラム式ミキサーを使用した(図5参照)。
芯棒20の数は1バッチあたり1000本とした。1バッチあたり樹脂6g、ワックス0.6gを使用した。
皮膜の密着性の評価は、次の手法により行った。
カッターナイフで芯棒20の側面に、互いに平行な2つの直線状の縦切り込みと、互いに平行な6つの直線状の横切り込みを形成した。2つの縦切り込みは直線状であり、芯棒20の周方向に間隔をおいて形成した。6つの横切り込みは、芯棒20の長手方向に5mmの間隔をおいて形成した。
芯棒20の側面に透明感圧付着テープ(セロハンテープ)を貼り付けた後、一気に引き剥がし、縦切り込みと横切り込みによって区画された5つの矩形領域の皮膜のうち、芯棒20に残っている皮膜の数を数えた。
ミキサー内のバルクの温度は、赤外線温度計で測定した。
コーティングの手順を以下に示す。
(工程1)1000本の金属製品(芯棒20)を熱風循環式オーブン中で150℃に加熱した。
(工程2)加熱した金属製品(芯棒20)を一括して、撹拌羽根33のついたドラム式ミキサー(撹拌装置31)に投入した。
(工程3)金属製品(芯棒20)のバルクの温度が140℃になるのを確認して、バルクの上から融点83℃の樹脂粉末を振りかけた。
(工程4)ドラム式ミキサーを回転させ、金属製品(芯棒20)のバルクを転動させつつ撹拌した。
(工程5)金属製品(芯棒20)の温度がT1(℃)まで低下したところで、融点57℃のパラフィンワックス粉体0.6gを、撹拌転動している金属製品(芯棒20)のバルクに振りかけた。
(工程6)金属製品(芯棒20)バルクの温度がT2(℃)まで低下したところで、ドラム式ミキサーを反転させて金属製品を(芯棒20)取り出した。
(工程7)金属製品(芯棒20)バルクを放冷した。
(工程8)室温まで冷却後、金属製品(芯棒20)の状態を観察した。
(比較例1)
ワックスを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様の試験を行った。
(比較例2)
ワックスを添加する際の温度を表1に示す温度としたこと以外は実施例1と同様の試験を行った。
(比較例3)
樹脂及びワックスを添加する際の温度を表1に示す温度としたこと、及び、処理時間を短くしたこと以外は実施例1と同様の試験を行った。
(比較例4)
ワックスを添加する際の温度を表1に示す温度としたこと以外は実施例1と同様の試験を行った。
実施例1および比較例1〜4の試験結果を表1に示す。
ブロッキングの有無については、ブロッキングが生じなかった場合を「○」とし、ブロッキングが生じた場合を「×」とした。
皮膜の状態については、皮膜に損傷が見られない場合を「○」とし、皮膜に損傷があった場合を「×」とした。
皮膜の密着性については、皮膜が残っている部分の数が5以上の場合(すべての皮膜が残っている場合)を「○」とし、皮膜が残っている部分の数が4以下の場合(1以上の皮膜が剥がれた場合)を「×」とした。
Figure 2016190209
実施例1では、ブロッキングは発生せず、樹脂皮膜と金属製品との密着性も良好であった。
比較例1ではワックスを使用しなかった。比較例1では、ブロッキングが激しく、皮膜の損傷なしに金属製品同士を引き剥がすことはできなかった。また、金属製品同士が接着していなかった部分でも、撹拌転動中に起きた皮膜のむしれ跡が残っていた。
比較例2では、ワックス投入時の温度を比較的低温(60℃)とした。比較例2では、金属製品表面の樹脂皮膜には、撹拌中に起きたむしれ跡が残っていた。
比較例3では、生産効率を高めるため、全体の処理時間を短くするとともに、ワックス投入時の温度を高温(120℃)とし、金属製品取り出し時の温度も高温(70℃)とした。比較例3では、皮膜の密着性は良好とはいえなかった。また、軽度のブロッキングが見られた。
比較例4では、比較例3で起きた密着性の劣化を検証するため、ワックス投入時の温度を比較例3と同じく高温(120℃)とし、金属製品取り出し時の温度は実施例1と同じ温度(40℃)とした。比較例4では、皮膜の密着性は改善されず、しかも軽度のブロッキングも見られた。
(比較例5)
コーティングを行わないこと以外は実施例1と同様の金属製品を用意した。
(打ち込み試験)
実施例1で得られた芯棒をアンカー本体に挿入し、芯棒を打ち込む試験を行った。サンプル数は5とした。比較例5の芯棒についても同様の打ち込み試験を行った。
コーティングのない比較例5の金属製品は、5本中3本にカジリが発生し、最後まで打込むことができなかった。これに対し、実施例1では、5本すべて最後まで打込むことができ、打込み抵抗も小さかった。
1 芯棒打込み式アンカー
20 芯棒(金属製品)
21 樹脂の皮膜
22 ワックスの皮膜
31 撹拌装置

Claims (6)

  1. 複数の金属製品を、樹脂の固化温度以上に加熱して、前記樹脂に接触させることにより、前記金属製品の表面に軟化した前記樹脂の皮膜を形成する樹脂コーティング工程と、
    前記樹脂コーティング工程の後、前記金属製品を所定温度になるまで冷却させた段階で、前記金属製品を、前記樹脂の軟化温度よりも低い軟化温度を有し常温で固化するワックスとともに撹拌することにより、前記樹脂の皮膜の上に前記ワックスの皮膜を形成するワックスコーティング工程と、
    を有することを特徴とする金属製品のコーティング方法。
  2. 前記樹脂コーティング工程では、前記樹脂の固化温度以上に加熱した前記金属製品と、前記樹脂とを撹拌装置で撹拌することで、前記金属製品の表面に前記樹脂の皮膜を形成する請求項1に記載の金属製品のコーティング方法。
  3. 前記金属製品が、オーステナイト系ステンレス製の打込み式アンカーの構成部品であり、
    前記樹脂コーティング工程における前記樹脂の供給量は、前記金属製品の被コーティング面積1mに対して1cm以上、50cm以下である請求項1または2に記載の金属製品のコーティング方法。
  4. 前記樹脂コーティング工程では、前記樹脂を粉末状またはフィルム状として前記金属製品に供給する請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の金属製品のコーティング方法。
  5. 前記樹脂コーティング工程では、前記樹脂を溶融した状態で前記金属製品に供給する請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の金属製品のコーティング方法。
  6. 他の金属製品に摺動する用途で使用可能な金属製品であって、
    表面に、樹脂の皮膜と、前記樹脂の皮膜の上に形成されたワックスの皮膜と、を有し、
    前記ワックスは、前記樹脂の軟化温度よりも低い軟化点を有し常温で固化することを特徴とする金属製品。
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