JP2016184319A - 故障診断システム - Google Patents

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Abstract

【課題】専門的な知識を必要とせずに、発電システムの故障部位を診断及び特定でき、故障時の誤診断を抑えられる故障診断システムを提供する。
【解決手段】過去に発生した故障時における状態識別情報h及び検出信号履歴Lを含む過去故障時データDpと、故障診断結果O及び故障対応記録Cと、を対応付けて記録したデータベースDBを備え、発電システムGSが故障した時に、故障状態識別情報h及び検出信号履歴Lを含む故障時データDを生成し、故障時データDと故障状態識別情報hが一致する過去故障時データDpをデータベースDBから抽出し、抽出された過去故障時データDpと故障時データDとの相関関係を求め、相関関係が求められた過去故障時データDpのうち、相関関係が強い過去故障時データDpを選択し、選択した過去故障時データDpに対応付けて記録されている故障診断結果O及び故障対応記録Cを出力する。
【選択図】図1

Description

本発明は、発電装置の各部位に設けられた複数の検出手段それぞれからの検出信号を取得し、前記検出手段ごとの検出信号履歴として取得可能に構成された発電装置制御手段を備える発電システムの故障診断を行う故障診断システムに関する。
特許文献1に示すように、一般的に燃料電池システムは、各部位に設けられたセンサによって計測された流量、圧力、温度、及び電圧等の機器状態値と、実行中の制御工程、制御設定値、及び制御出力値等の制御状態値とを常時計測している。システムに何らかの異常が発生し、機器状態値及び制御状態値があらかじめ定められた閾値を超えた場合には、制御部が故障と判断する。制御部が故障と判断した際には、機器状態値や制御状態値などを一定周期で記録するように構成される。従来は、記録された値を確認することで、専門家が事後的にシステムの故障の原因を診断及び特定していた。
この他、システムの故障診断方法については、燃料電池システムに限らず、内燃機関や各種発電装置、センサに関する故障診断方法などが多数知られている。例えば、特許文献2には、太陽電池の故障診断装置が開示されている。この故障診断装置では、太陽電池モジュールの設置場所や設置条件などの情報を事前に必要とせずに、自動的に太陽電池モジュールの異常を検出することができる。
特開2006−032098号公報 特開2014−56859号公報
しかしながら、特許文献2などに開示の公知の故障診断方法は、システム全体の故障状態を良否判定するものや、ある特定の部品単体での健全性を診断(判定)するものであり、システムの故障の原因を診断及び特定するものではないため、システムに故障が起きた原因については分からない。このため、システムの故障の原因を診断するためには、改めて専門家が必要となる。
また、一般に、発電システムは多数の部品から構成される。例えば、特許文献1に示す燃料電池システムでは、燃料電池本体の他に、ポンプ、ブロア、及び電磁弁等の補器系、流量、圧力、温度、及び電圧等を測定するセンサ系、ならびにインバータ及び制御基板等の制御系といった部品で構成される。このためシステムが故障した場合は、膨大な計測データの中から故障部位を特定しなければならない。そのため、故障の原因を診断するには高い専門性が求められる。
加えて、構成部品が複雑に絡み合っているため、1つの故障に対して関連する部品が多く、誤診断が起こり得、不必要な部品交換がなされる可能性がある。具体的には、閾値を超えた状態値に対応する部位が実際には物理的に損傷しておらず、他の部位の損傷の影響で、制御部によって故障と判断されている場合がある。このため、故障に関連する部位の状態を可能な限り多く調査する必要があり、また、記録された値から故障診断するには専門的な知識も必要になり、故障の原因となった部位を正しく特定するのは困難なものであるという問題がある。
そこで、本発明の目的は、構成部品が複雑に絡み合った発電システムにおいて、簡便に、専門的な知識を必要とせずに、発電システムの故障部位を診断及び特定でき、故障時の誤診断を抑えられる故障診断システムを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る故障診断システムの特徴構成は、発電装置の各部位に設けられた複数の検出手段それぞれからの検出信号を取得し、前記検出手段ごとの検出信号履歴として取得可能に構成された発電装置制御手段を備える発電システムの故障診断を行う故障診断システムであって、
前記発電システムにおいて過去に発生した故障時における前記発電システムの動作状態を示す故障状態識別情報及び前記検出手段ごとの前記検出信号履歴を含む過去故障時データと、当該故障時における故障診断結果及び故障対応記録と、を対応付けて記録したデータベースを備え、
前記発電システムが故障した時に、前記故障状態識別情報及び前記検出手段ごとの前記検出信号履歴を含む故障時データを生成するデータ生成部と、
前記故障時データに含まれる前記故障状態識別情報と一致する前記故障状態識別情報を含む前記過去故障時データを前記データベースから抽出するデータ抽出部と、
前記データ抽出部により抽出された前記過去故障時データと前記故障時データとの相関関係を求める相関算出部と、
前記相関算出部により相関関係が求められた前記過去故障時データのうち、相関関係が強い前記過去故障時データを相関故障時データとして選択する相関データ選択部と、
前記相関故障時データに対応付けて記録されている前記故障診断結果及び前記故障対応記録を出力する診断結果出力部と、を備える点にある。
上記特徴構成によれば、発電システムが故障した時に、データ生成部により、各検出手段の検出信号履歴を含む故障データが生成され、データ抽出部、相関算出部、及び相関データ選択部により、データベースに記録された過去故障時データの中から、相関関係が強い相関故障時データが選択される。さらに、診断結果出力部により、選択された関連故障時データに対応付けられた故障診断結果及び故障対応記録が出力される。
ここで、故障時データと相関関係が強い過去故障時データは、同様の故障原因によって発電システムが故障した際のものである可能性が高いと考えられる。このため、診断結果出力部により出力される、関連故障時データに対応付けられた故障診断結果及び故障対応記録は、実際の発電システムの故障に対応したものである可能性が高い。このため、本故障診断システムの利用者は、出力された故障診断結果及び故障対応記録に基づいて、発電システムの故障に対応することができる。
すなわち、構成部品が複雑に絡み合った発電システムにおいて、利用者に特段の操作を必要とせず簡便に、専門的な知識を必要とせずに、発電システムの故障部位を診断及び特定でき、故障時の誤診断を抑えられる故障診断システムを提供できる。
さらなる特徴構成は、前記相関算出部が、前記検出手段ごとの前記検出信号履歴の相関係数を求め、
前記相関データ選択部が、前記相関算出部が求めた前記相関係数に基づいて、前記相関故障時データを選択する点にある。
上記特徴構成によれば、故障時データと過去故障時データとについて、検出手段ごとの検出信号履歴を比較し相関係数を求め、当該相関係数に基づいて相関故障時データが選択される。ここで、発電システムの故障時には、各検出手段からの出力の時系列変化に特徴が表れると考えられる。よって、検出手段ごとの検出信号履歴を比較し相関係数を求めることで、他の要素を用いて相関関係を求める場合に比べ、高精度に相関故障時データを選択することができる。すなわち、より高精度に発電システムの故障部位を診断及び特定でき、故障時の誤診断を抑えられる故障診断システムを提供できる。
また、別の特徴構成は、 前記相関算出部が、前記故障時データに含まれる前記故障状態識別情報と、前記故障状態識別情報ごとに前記相関算出部により前記相関係数を求める前記検出手段の種別を定めた対応表と、を参照して前記相関係数を求める点にある。
上記特徴構成によれば、対応表により相関算出部により相関係数を求める検出手段の種別が定められる。よって、相関算出部が相関係数を求めるにあたり、必要となる演算量を、全検出手段に対して相関係数を求める場合に比べて抑えられる。すなわち、相関算出部に必要とされる演算能力を抑えることができる。よって、発電システムの故障部位を診断及び特定でき、故障時の誤診断を抑えられる故障診断システムをより安価に提供することが可能となる。
さらに、別の特徴構成は、前記相関データ選択部が、
所定の相関閾値以上となる前記相関係数が規定数以上含まれる前記過去故障時データを前記相関故障時データとして選択するように構成され、
前記相関閾値以上となる前記相関係数が前記規定数以上含まれる前記過去故障時データが存在しなかった場合には、前記診断結果出力部があらかじめ設定された前記故障診断結果及び前記故障対応記録である規定故障診断結果及び規定故障対応記録を出力する点にある。
上記特徴構成によれば、データベースに所定の相関閾値以上となる相関係数が規定数以上含まれる過去故障時データが存在しない場合には、診断結果出力部は規定故障診断結果及び規定故障対応記録を出力する。よって、規定故障診断結果及び規定故障対応記録に、例えば、発生する可能性の高い故障に対応した診断結果と対応記憶を設定することで、相関関係のある過去故障時データが存在しなかった場合であっても、作業者に故障診断結果及び故障対応記録を提示し、発電システムの故障への対応を促すことができる。すなわち、発電システムの故障部位を診断及び特定でき、故障時の誤診断を抑えられる故障診断システムの利便性を高めることができる。
また、別の特徴構成は、前記データベース、前記データ抽出部、前記相関算出部、及び前記相関データ選択部を備えた故障時診断サーバを備え、
前記発電システムの前記発電装置制御手段が、
前記データ生成部及び前記診断結果出力部を備え、
前記発電システムが
前記データ生成部によって生成した前記故障時データを、前記故障時診断サーバに送信し、
前記故障時診断サーバが、
前記発電システムから受信した前記故障時データを、前記データ抽出部、前記相関算出部、及び前記相関データ選択部によって処理し、前記相関故障時データに対応付けて記録されている前記故障診断結果及び前記故障対応記録を前記発電システムに送信し、
前記発電システムが、
前記診断結果出力部によって、前記故障時診断サーバから受信した前記故障診断結果及び前記故障対応記録を出力する点にある。
上記特徴構成によれば、発電システムには、データ生成部及び診断結果出力部を備えたものとし、故障時診断サーバに過去故障時データを蓄積し、過去故障時データの抽出、相関関係の算出、及び相関故障時データの選択といった処理を実行する。このように、演算負荷の大きな処理を故障時診断サーバにまとめることで、発電システム側には大きく手を加える必要がなくなる。また、いわゆるサーバ・クライアント構成となるため、故障時診断サーバを1つ用意すれば、複数の発電システムから利用できる。すなわち、故障診断システムの構築に係るコストを抑えることができる。
また、このような構成においては、故障時診断サーバには複数の発電システムから故障データを集め蓄積することが可能となる。よって、より大規模に故障時データを蓄積でき、発電システムが故障した際の特徴をよりよく示す故障時データをデータベースに記録することが可能となる。よって、データベースに記録された過去故障時データから高精度に故障の原因を診断することが可能となる。以上のように、発電システムの故障部位を診断及び特定でき、故障時の誤診断を抑えられる故障診断システムを、より安価で、より高精度な診断ができるように構築することが可能となる。
故障診断システムの概略構成図 故障時データを示す図 検出信号履歴を示す図 過去故障時データを示す図 故障診断システムの動作を示すフローチャート 実施例1における相関係数の算出例を示す図 実施例2における相関係数の算出例を示す図 実施例2における相関係数の算出例を示す図 実施例2における相関係数の算出例を示す図 実施例3における相関係数の算出例を示す図
以下では本発明に係る故障診断システムSを、図1を用いて説明する。故障診断システムSは、一般家庭などの施設(不図示)内に電力を供給する発電システムGSと、発電システムGSの故障診断を行い、故障の原因を特定するための故障時診断サーバDSとを備える。
発電システムGSは、発電装置1を備え、発電装置1が発電する電力を家屋などの施設(不図示)内に供給するように構成される。発電装置1は、燃料電池やエンジンとそのエンジンによって駆動される発電機などの種々の装置である。本実施形態においては、発電装置1としての燃料電池を備える。すなわち、発電システムGSとして燃料電池システムを用いる。発電装置1は、発電装置制御手段2によりその動作が制御される。
また、発電システムGSは、発電装置1など発電システムGS内の各部位に検出手段3が設けられ、検出手段3が検出した出力は発電装置制御手段2に入力される。検出手段3は、流量センサや圧力センサ、温度センサ、電圧センサなどであり、検出(計測)された流量、圧力、温度、及び電圧等の機器状態値を検出信号として出力する。検出信号としては、具体的には、発電装置1に燃料ガスを供給する際の原燃料供給計測値や原燃料ガスブロア出力値、各検出手段3からの出力に基づいて発電装置制御手段2が決定する燃料供給目標値などが相当する。
〔故障診断システムの構成〕
発電システムGS
発電システムGSには、発電装置1及び発電装置制御手段2に加えて、発電装置側通信手段4及び表示手段5が備えられる。発電装置側通信手段4は、故障時診断サーバDSと通信を行うための手段であり、無線通信手段または有線通信手段が用いられる。表示手段5は、発電装置制御手段2からの出力を表示するための装置である。本実施形態においては、発電装置1の動作状態の表示、及び発電装置1への動作を指示するためのリモコンの表示部を用いる。
本実施形態において、発電装置制御手段2にはデータ生成部21及び診断結果出力部22が備えられる。
データ生成部
データ生成部21は、発電装置1が故障したときに、故障状態識別情報h及び検出手段3ごとの検出信号履歴Lを含む故障時データDを生成する。より詳しくは、データ生成部21は、発電システムGSに故障が発生したときに、発電システムGSの各部位に設けられた複数の検出手段3それぞれからの検出信号を取得し、検出手段3ごとの検出信号履歴Lとして取得可能に構成される。
ここで「発電システムGSに故障が発生したとき」とは、発電システムGS内において機械的故障などの問題が発生し、検出手段3からの検出信号が、あらかじめ定められた故障判定閾値を越えたことにより、発電装置制御手段2が、発電システムGSに故障が発生したと判定したときを意味する。
より具体的には、データ生成部21は、発電システムGSに故障が発生したときに、あらかじめ定められた所定期間の間、検出手段3からの検出信号を取得し、図3のグラフに占めすように、検出手段3(検出信号)ごとに、各時点における検出信号の値をひとまとめにした検出信号履歴Lを生成する。なお、図3においては、説明の都合上、検出信号履歴Lをグラフの形で可視化したが、本実施形態においては、検出信号履歴Lは各時刻における検出信号の値をまとめたデータである。
さらに、データ生成部21は、発電システムGSに故障が発生したときに、図2に示すように、その時点における発電システムGSの動作状態を示す故障状態識別情報hなどの情報を生成する。具体的には、故障状態識別情報hとして、発電装置制御手段2がどの検出手段3からの検出信号に基づいて故障と判定したかを示す故障コードや、発電システムGSの制御行程(システム状態)を示す識別番号など、発電システムGSの動作状態を示すいわゆる制御状態値を生成する。
以上のように、データ生成部21は、検出手段3ごとの検出信号履歴L及び故障状態識別情報hを生成し、さらに本実施形態においては、故障が発生したときの発電システムGSの制御行程を示す識別番号Idを加えて、故障時データDとして生成する。データ生成部21で生成された故障時データDは、発電装置側通信手段4を介して故障時診断サーバDSに送信される。
診断結果出力部
診断結果出力部22は、詳しくは後述するが、故障時診断サーバDSから受信した故障診断結果O及び故障対応記録Cを表示手段5に出力する。具体的には、例えば、故障診断結果Oとして「燃料ガス系統異常」、故障対応記録Cとして「燃料ガス系統配管交換」を故障時診断サーバDSから受信した場合には、診断結果出力部22は表示手段5に
「故障診断結果: 燃料ガス系統異常
対処方法 : 燃料ガス系統配管交換」
といったように、故障時診断サーバDSの利用者に対して発電システムGSの修復作業を促す形態で故障診断結果O及び故障対応記録Cを出力する。
故障時診断サーバDS
故障時診断サーバDSには、過去の故障時データDである過去故障時データDpを蓄積したデータベースDB、データベースDBに過去故障時データDpを入力するための入力手段9、発電システムGSと通信を行うためのサーバ側通信手段7、各種の値を記憶するための記憶手段8、及びこれら各手段の動作を制御するためのサーバ制御手段6が備えられる。
データベース
データベースDBは、発電システムGSにおいて過去に発生した故障時における故障状態識別情報h及び検出手段3ごとの検出信号履歴Lを含む過去故障時データDpと、当該故障時における故障診断結果O及び故障対応記録Cと、を対応付けたものが1つのレコードRとして記録される。具体的には、過去故障時データDp(レコードR)は、故障時データDと同様に、図4に示すように、発電システムGSに故障が発生した時点における発電システムGSの動作状態を示す故障状態識別情報hなどの情報とともに、各検出手段3の検出信号履歴L、及び発電システムGSの識別番号Idが含まれる。
より具体的には、データベースDBには、入力手段9を介して、過去に起きた発電システムGSの故障時における過去故障時データDpと、当該故障時に専門家などにより発電システムGSの故障の原因が特定された際の故障診断結果O及び故障対応記録CとがレコードRとして記録される。
サーバ制御手段
サーバ制御手段6には、データ抽出部61、相関算出部62、及び相関データ選択部63が備えられる。さらに、本実施形態においては、代表データ作成部64が備えられる。
代表データ作成部
本実施形態においては、データベースDBには、過去故障時データDpが「代表データ」の形態にされ記録される。代表データは、レコードRとして記録される過去故障時データDpを、故障状態識別情報hごとにまとめられたものである。以下では、代表データ作成部64による、代表データの作成方法を具体的に説明する。
代表データ作成部64は、入力手段9を介して過去故障時データDpがデータベースDBに入力される際に、入力される過去故障時データDpの故障状態識別情報h(ここではhxと呼ぶ)と一致するレコードRがデータベースDB内に既に存在しないかを判定する。
ここで、データベースDB内に既に故障状態識別情報h(hx)が一致するレコードRが存在する場合には、入力される過去故障時データDpと、一致したレコードRの過去故障時データDpとに含まれる各検出手段3の検出信号履歴Lの各時点における平均値を求め、当該平均値からなる検出信号履歴Lを、故障状態識別情報hと合わせて新たな過去故障時データDpとし、故障診断結果O及び故障対応記録Cとともに、当該故障状態識別情報hの代表データとして、既に存在するレコードRに上書きする形態で記録する。
入力される過去故障時データDpの故障状態識別情報h(ここではhxと呼ぶ)と一致するレコードRがデータベースDB内に存在しない場合には、入力される過去故障時データDpを含むレコードRは、そのままデータベースDB内に新規のレコードRとして記録される。
すなわち、データベースDBには、故障状態識別情報hごとに1つの過去故障時データDp(平均値からなる検出信号履歴Lを含む過去故障時データDp)が記録される。
また、代表データ作成部64は、故障時診断サーバDSが発電システムGSから故障時データDを受信した際に、当該故障時データDと相関関係にある過去故障時データDpがデータベースDB内に存在した際にも、受信した故障時データDと過去故障時データDpとの検出信号履歴Lの平均値を求め、当該平均値からなる検出信号履歴Lを、故障状態識別情報hと合わせて過去故障時データDpとし、故障診断結果O及び故障対応記録Cとともに、当該故障状態識別情報hの代表データとして、既に存在するレコードRに上書きする形態で記録する。
なお、本実施形態においては、代表データ作成部64は、故障状態識別情報hに加え、発電システムGSの識別番号Idが一致するかを判定し、故障状態識別情報h及び発電システムGSの識別番号Idの組み合わせごとに、1つの過去故障時データDp(平均値からなる検出信号履歴Lを含む過去故障時データDp)が記録される。
データ抽出部
データ抽出部61は、故障時診断サーバDSがサーバ側通信手段7を介して、発電システムGSから故障時データDを受信したときに、当該故障時データDに含まれる故障状態識別情報hと一致する故障状態識別情報hを含む過去故障時データDpをデータベースDBから抽出する。すなわち、受信した故障時データDと故障状態識別情報hが一致する、代表データを抽出する。本実施形態においては、データ抽出部61は、故障状態識別情報hが一致し、発電システムGSの識別番号Idが異なる過去故障時データDpが複数存在する場合、それら複数の過去故障時データDpを全て抽出する。
相関算出部
相関算出部62は、データ抽出部61により抽出された過去故障時データDpのそれぞれと故障時データDとの相関関係を求める。具体的には、相関算出部62は、故障時データDと過去故障時データDpとについて、検出手段3ごとの検出信号履歴Lの相関係数を求める。ここで、相関係数が大きいことは、相関関係が高いことに対応する。具体的には、図6〜図10に示すように、故障時データDにおける一の検出手段3の検出信号履歴L(例えば図中L1)と、過去故障時データDpにおける同一の検出手段3の検出信号履歴L(例えば図中L1)と、を比較し相関係数を求める。
本実施形態においては相関係数として、例えば、以下の式により求まるピアソンの積率相関係数を用いる。
Figure 2016184319
ここで、Xi、Yi…2つの変量(図6〜図10における各列の各データ)
X(オーバーバー)、Y(オーバーバー)…変量の平均値(図6〜図10における各列におけるデータの平均値)
n…それぞれの変量の個数(図6〜図10の各列におけるデータ数)
このように同一の検出手段3の検出信号履歴Lの比較を、故障時データDに含まれる検出手段3ごとに行う。
本実施形態においては、故障状態識別情報hごとに相関算出部62により相関係数を求める検出手段3の種別を定めた対応表tblを記憶手段8に備える。ここで、対応表tblに定められる「相関係数を求める検出手段3の種別」として、故障状態識別情報hにより推定される故障の内容を診断するにあたり、相関関係を有する可能性が高い検出信号履歴Lに対応した検出手段3が設定される。また、各故障状態識別情報hについて相関係数を求める検出手段3の数は、発電システムGSに備えられた検出手段3の総数よりも小さくなるように設定される。
具体的には、対応表tblには、『故障状態識別情報hが600012のとき、相関係数を求める項目は「原燃料供給目標値」、「原燃料供給計測値」、「原燃料ガスブロア出力値」の3項目』といった情報が記憶される。
相関算出部62は、故障時データDに含まれる故障状態識別情報hと対応表tblとを参照して相関係数を求める。このような構成とすることで、少ない演算量で高精度に、故障時データDと過去故障時データDpとの相関関係を調べることができる。
相関データ選択部
相関データ選択部63は、相関算出部62により相関関係が求められた過去故障時データDpのうち、相関関係が強い過去故障時データDpを相関故障時データDrとして選択する。より詳しくは、相関データ選択部63は、過去故障時データDpに含まれる相関係数に基づいて、相関故障時データDrを選択する。
具体的には、相関データ選択部63は、所定の相関閾値th以上となる相関係数が規定数x以上含まれる過去故障時データDpを相関故障時データDrとして選択する。ここで、相関閾値th及び規定数xの値は記憶手段8に記憶され、適宜調整可能である。
より具体的には、例えば「所定の相関閾値」を0.7とし、所定の閾値以上であれば、その検出信号履歴Lについては「相関関係がある」とみなしている。相関データ選択部63は、故障時データDと過去故障時データDpとを比較して、規定数x以上の検出信号履歴Lおいて「相関関係がある」とみなされた場合に、当該故障時データDと過去故障時データDpとは相関関係が強いと判断し、当該過去故障時データDpを相関故障時データDrとして選択する。
なお、相関データ選択部63による相関故障時データDrの選択方法としては、このような方法に限定されない。具体的には、例えば、1の過去故障時データDpについて算出した複数の相関係数のうち最も値が小さいものを比較指標値とし、複数の過去故障時データDpの中で比較指標値が最も大きなものを相関故障時データDrとしても構わない。
以上のようにして、相関データ選択部63は相関故障時データDrを選択し、サーバ制御手段6は、サーバ側通信手段7を介して相関故障時データDrに対応付けてデータベースDBに記録されている故障診断結果O及び故障対応記録Cを発電システムGSに送信する。
なお、本実施形態においては、記憶手段8に、あらかじめ規定故障診断結果Od及び規定故障対応記録Cdが記憶される。規定故障診断結果Od及び規定故障対応記録Cdには、発電システムGSにおいて一般に発生する可能性の高い故障に対応した故障診断結果Oと故障対応記録Cが設定される。
相関データ選択部63は、相関閾値th以上となる相関係数が規定数x以上含まれる過去故障時データDpが存在しなかった場合には、データベースDBの中から過去故障時データDpを相関故障時データDrとして選択しない。この場合、サーバ制御手段6は、記憶手段8に記憶された規定故障診断結果Od及び規定故障対応記録Cdを、サーバ側通信手段7を介して発電システムGSに送信する。このような構成により、発電システムGSの診断結果出力部22は、受信した規定故障対応記録Cd及び規定故障診断結果Odを出力する。
〔故障診断システムの動作〕
故障時診断サーバDSの動作を、図1及び図5を用いて説明する。発電システムGSに故障が発生したとき、発電システムGSの発電装置制御手段2のデータ生成部21が、故障時データDを生成し(図5の#1。以下同じ)、故障時診断サーバDSに送信する。
故障時診断サーバDSは、受信した故障時データDのサーバ制御手段6のデータ抽出部61が、故障状態識別情報hを確認する(#2)。続いて、確認した故障状態識別情報hと一致する過去故障時データDpをデータベースDBから抽出する(#3)。
サーバ制御手段6は、故障状態識別情報hが一致する過去故障時データDpが存在するかを調べ、存在する場合(#4:Yes)には、相関算出部62が抽出した過去故障時データDpそれぞれについて、受信した故障時データDとの相関関係を算出する(#5)。
さらに、相関データ選択部63が、相関関係を算出した過去故障時データDpの中でも相関関係が強いものがあるかを調べ、相関関係が強い過去故障時データDpが存在する場合(#6:Yes)には、当該過去故障時データDpを相関故障時データDrとして選択する。
サーバ制御手段6は、選択された相関故障時データDrに対応する故障診断結果O及び故障対応記録Cをサーバ側通信手段7を介して、発電システムGSに送信し、発電システムGSの診断結果出力部22は、受信した故障診断結果O及び故障対応記録Cを表示手段5に出力する(#7)。本実施形態においては、代表データ作成部64により、故障時診断サーバDSにおいて、受信した故障時データDと相関故障時データDrとの各検出信号履歴Lの平均値を求め、当該平均値を用いてデータベースDBの相関故障時データDrのレコードRを更新する。
なお、上記#4及び#6の条件でNoと判定された場合には、サーバ制御手段6が記憶手段8に記憶された規定故障診断結果Od及び規定故障対応記録Cdを発電システムGSに送信し、発電システムGSの診断結果出力部22は、受信した規定故障診断結果Od及び規定故障対応記録Cdを表示手段5に出力する(#8)。
また、受信した故障時データDは、サーバ制御手段6によって、データベースDBに新規のレコードRとして追加される。当該レコードRについては、後日、発電システムGSの故障の原因が特定された後に、入力手段9を介して故障診断結果Oと故障対応記録Cを入力すると良い。
以上のようにして、故障時診断サーバDSは、発電システムGSに故障が発生したとき、利用者に特段の操作を必要とせず簡便に、専門的な知識を必要とせずに、発電システムGSの故障部位を診断及び特定することが可能となる。
〔実施例1〕
図6を用いて、故障時診断サーバDSを用いた発電システムGSの故障部位の診断例を示す。図6に示す各表の左列には発電システムGSのデータ生成部21により生成された故障時データDに含まれる検出信号履歴L(図中、検出手段3ごとにL1、L2、L3と記載)を、右列に、データ抽出部61によって抽出された過去故障時データDp(故障時データDの故障状態識別情報hと一致する故障状態識別情報hを含む過去故障時データDp)を示す。
本例では、図中3つの検出信号履歴L(L1、L2、L3)が、対応表tblにおいて故障時データDの故障状態識別情報hについて定められた検出信号履歴Lの種別となる。具体的には、左から順に「原燃料供給目標値」、「原燃料供給計測値」、「原燃料ガスブロア出力値」の3項目となる。相関閾値thは0.7で、規定数xは3に設定される。相関算出部62により各検出信号履歴L(L1、L2、L3)についてピアソンの積率相関係数を算出した結果を、各表の下部に示す。
本例では、上記3項目ともに相関係数が相関閾値th以上となり、高い相関が認められる。よって、故障時データDと過去故障時データDpとの相関関係は強いと判定され、過去故障時データDp(相関故障時データDr)に対応する故障診断結果O及び故障対応記録Cが発電システムGSに送信される。
本例では、例えば以下のように、発電システムGSでは受信した故障診断結果O及び故障対応記録Cが出力される。
「故障診断結果:燃料ガス系統異常
対処方法 :燃料ガス系統配管交換」
〔実施例2〕
図7及び図8を用いて、故障時診断サーバDSを用いた発電システムGSの故障部位の別の診断例を示す。上記実施例と同様に、図7及び図8に示す各表の左列には故障時データDに含まれる検出信号履歴Lを、右列に、データ抽出部61によって抽出された過去故障時データDpを示す。
本例では、故障状態識別情報hが一致する過去故障時データDpが2つ存在する場合を説明する。具体的には、故障時データDと比較し相関関係を算出する過去故障時データDpが、図7に示すように発電システムGSの識別番号IdがBのものと、図8に示すように識別番号IdがDのものとの2つが存在する。
上記実施例と同様に、故障時データDの各検出信号履歴Lと、図7の過去故障時データDpの各検出信号履歴Lとの相関係数を算出する。図7の例では、上記3項目ともに相関係数が相関閾値th未満となり、故障時データDと過去故障時データDpとの間に相関が認められない。
このため、続いて図8の過去故障時データDpの各検出信号履歴Lとの相関係数を算出する。図8の例では、上記3項目ともに相関係数が相関閾値th以上となり、高い相関が認められる。よって、故障時データDと過去故障時データDpとの相関関係は強いと判定され、過去故障時データDp(相関故障時データDr)に対応する故障診断結果O及び故障対応記録Cが発電システムGSに送信される。
本例では、例えば以下のように、発電システムGSでは受信した故障診断結果O及び故障対応記録Cが出力される。
「故障診断結果: 逆止弁作動不良
対処方法 : 逆止弁交換」
〔実施例3〕
図9及び図10を用いて、故障時診断サーバDSを用いた発電システムGSの故障部位の別の診断例を示す。上記実施例と同様に、図9及び図10に示す各表の左列には故障時データDに含まれる検出信号履歴Lを、右列に、データ抽出部61によって抽出された過去故障時データDpを示す。
本例では、実施例2と同様に、故障状態識別情報hが一致する過去故障時データDpが2つ存在する場合を説明する。ただし、上記実施例と同様に、故障時データDの各検出信号履歴Lと、図9及び図10の過去故障時データDpの各検出信号履歴Lとの相関係数を算出したときに、いずれの過去故障時データDpも、各相関係数が相関閾値th未満となり、故障時データDと過去故障時データDpとの間に相関が認められない。
本例では、これ以上データベースDB内に故障状態識別情報hが一致する過去故障時データDpが無いため、記憶手段8に記憶された規定故障診断結果Od及び規定故障対応記録Cdが発電システムGSに送信される。
本例では、例えば以下のように、発電システムGSでは受信した規定故障診断結果Od及び規定故障対応記録Cdが出力される。この例では、規定故障診断結果Od及び規定故障対応記録Cdの組み合わせが2つ設定されている場合を示す。
「1.想定される故障部位:原燃料流量計
対処方法 :電圧・抵抗値測定、配線確認・・・異常があれば交換
2.想定される故障部位:原燃料ガスブロア
対処方法 :電圧・抵抗値測定、単体動作確認・・・異常があれば交換」
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態においては、相関関係を求めるに当たり、故障時データD及び過去故障時データDpの各検出信号履歴Lについて求めたピアソンの積率相関係数を用いる場合の一例を示したが、他の方法も用いても構わない。例えば、相関関係を求めるにあたり、他の情報を相関係数を求める際の変数として用いても構わないし、他の相関係数を用いても構わない。
(2)上記実施形態においては、対応表tblを用いて、相関係数を求める検出信号履歴Lの種別を限定する場合の一例を示したが、対応表tblを備えない構成としても構わない。この場合、相関算出部62は、全ての検出信号履歴Lを比較し、相関係数を求めると良い。
(3)上記実施形態においては、記憶手段8が規定故障診断結果Od及び規定故障対応記録Cdを備える場合の一例を示したが、規定故障診断結果Od及び規定故障対応記録Cdを備えない構成としても構わない。この場合、診断結果出力部22は、例えば、専門家による診断が必要な旨を出力すると良い。
(4)上記実施形態においては、故障診断システムSを、発電システムGSと故障時診断サーバDSとからなるサーバ・クライアント構成とする場合の一例を示したが、故障診断システムSとして、発電システムGS内に故障時診断サーバDSの各部61〜63、データベースDB及び記憶手段8を有する構成としても構わない。
1 :発電装置
2 :発電装置制御手段
3 :検出手段
21 :データ生成部
22 :診断結果出力部
61 :データ抽出部
62 :相関算出部
63 :相関データ選択部
C :故障対応記録
Cd :規定故障対応記録
D :故障時データ
DS :故障時診断サーバ
Dp :過去故障時データ
Dr :相関故障時データ
GS :発電システム
L :検出信号履歴
O :故障診断結果
Od :規定故障診断結果
S :故障診断システム
h :故障状態識別情報
tbl :対応表
th :相関閾値
x :規定数

Claims (5)

  1. 発電装置の各部位に設けられた複数の検出手段それぞれからの検出信号を取得し、前記検出手段ごとの検出信号履歴として取得可能に構成された発電装置制御手段を備える発電システムの故障診断を行う故障診断システムであって、
    前記発電システムにおいて過去に発生した故障時における前記発電システムの動作状態を示す故障状態識別情報及び前記検出手段ごとの前記検出信号履歴を含む過去故障時データと、当該故障時における故障診断結果及び故障対応記録と、を対応付けて記録したデータベースを備え、
    前記発電システムが故障した時に、前記故障状態識別情報及び前記検出手段ごとの前記検出信号履歴を含む故障時データを生成するデータ生成部と、
    前記故障時データに含まれる前記故障状態識別情報と一致する前記故障状態識別情報を含む前記過去故障時データを前記データベースから抽出するデータ抽出部と、
    前記データ抽出部により抽出された前記過去故障時データと前記故障時データとの相関関係を求める相関算出部と、
    前記相関算出部により相関関係が求められた前記過去故障時データのうち、相関関係が強い前記過去故障時データを相関故障時データとして選択する相関データ選択部と、
    前記相関故障時データに対応付けて記録されている前記故障診断結果及び前記故障対応記録を出力する診断結果出力部と、を備える故障診断システム。
  2. 前記相関算出部が、前記検出手段ごとの前記検出信号履歴の相関係数を求め、
    前記相関データ選択部が、前記相関算出部が求めた前記相関係数に基づいて、前記相関故障時データを選択する請求項1に記載の故障診断システム。
  3. 前記相関算出部が、前記故障時データに含まれる前記故障状態識別情報と、前記故障状態識別情報ごとに前記相関算出部により前記相関係数を求める前記検出手段の種別を定めた対応表と、を参照して前記相関係数を求める請求項2に記載の故障診断システム。
  4. 前記相関データ選択部が、
    所定の相関閾値以上となる前記相関係数が規定数以上含まれる前記過去故障時データを前記相関故障時データとして選択するように構成され、
    前記相関閾値以上となる前記相関係数が前記規定数以上含まれる前記過去故障時データが存在しなかった場合には、前記診断結果出力部があらかじめ設定された前記故障診断結果及び前記故障対応記録である規定故障診断結果及び規定故障対応記録を出力する請求項2又は3に記載の故障診断システム。
  5. 前記データベース、前記データ抽出部、前記相関算出部、及び前記相関データ選択部を備えた故障時診断サーバを備え、
    前記発電システムの前記発電装置制御手段が、
    前記データ生成部及び前記診断結果出力部を備え、
    前記発電システムが
    前記データ生成部によって生成した前記故障時データを、前記故障時診断サーバに送信し、
    前記故障時診断サーバが、
    前記発電システムから受信した前記故障時データを、前記データ抽出部、前記相関算出部、及び前記相関データ選択部によって処理し、前記相関故障時データに対応付けて記録されている前記故障診断結果及び前記故障対応記録を前記発電システムに送信し、
    前記発電システムが、
    前記診断結果出力部によって、前記故障時診断サーバから受信した前記故障診断結果及び前記故障対応記録を出力する請求項1〜4のいずれか一項に記載の故障診断システム。
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