JP2016183111A - Nrf2活性化剤 - Google Patents

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康佑 末吉
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美希 山田
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亜紀 山野
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Abstract

【課題】Nrf2の新規活性化剤の提供。【解決手段】セプトリンもしくはその薬学上許容される塩またはその薬学上許容される溶媒和物を有効成分として含有する、Nrf2活性化剤。【選択図】なし

Description

本発明は、転写因子Nrf2の活性化剤、ならびにそのNrf2活性化剤を配合した医薬組成物に関する。
近年、核内転写因子Nrf2(NF-E2 related factor 2)が抗酸化システムなどの生体防御機構において重要な役割を果たしていることが報告されている。Nrf2は、非ストレス条件下ではKeap1(Kelch-like ECH-associated protein 1)と複合体を形成し、非活性化状態で主に細胞質内に存在する。細胞内に活性化因子として親電子性物質、活性酸素、重金属などが存在すると、複合体を形成していたNrf2が解離し、核内へ移行した後、小Maf(small Maf)とヘテロ二量体を形成する。Nrf2と小Mafのヘテロ二量体は、DNA上の抗酸化剤応答配列(Antioxidant Response Element:ARE)または親電子性物質応答配列(electrophile-responsive element:EpRE)に特異的に結合することによって転写を促進し、一連の抗酸化酵素や異物代謝系第二相解毒酵素などの遺伝子群の発現を誘導する(非特許文献1および2)。
生体内で発生するフリーラジカルや活性酸素は、生体構成成分である脂質、タンパク質、DNAなどと容易に反応するため、高血圧症、癌、炎症、動脈硬化、自己免疫疾患、糖尿病性合併症、神経障害性疾患、肝機能障害、虚血再潅流障害、加齢に伴う慢性疾患などの種々の疾病を誘起・進展させる。Nrf2は、活性酸素に応答して転写が促進される抗酸化酵素の遺伝子発現を制御することが知られている。また、Nrf2の活性は、加齢と共に低下することが知られている。従って、抗酸化酵素群および抗酸化酵素群の遺伝子発現を制御するNrf2は、生体の防御機能および老化防止機能として有用である(非特許文献1、2および3)。
生体の酸化ストレスに対する防御能の低下は、血中においてスーパーオキシドのような活性酸素分子種を増加させ、その結果として、血管平滑筋を弛緩させる作用をもつ一酸化窒素(NO)を低下させることにより、高血圧を引き起こす。脳卒中易発性高血圧自然発症ラット(SHRSP)において、Nrf2の活性化剤として報告されているスルフォラファンの代謝前駆体であるグルコラファニンを多量に含むブロッコリースプラウトを投与することにより、血圧上昇の抑制効果と血管内皮機能の改善効果が得られることが報告されている。よって、Nrf2の活性化によるグルタチオン量の増加および第二相解毒酵素の誘導は高血圧の改善に有効である(特許文献1および非特許文献1)。
ブロッコリーを代表とするアブラナ科の野菜を摂取することにより、第二相解毒酵素であるキノンレダクターゼ(QR)やグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)の活性が増強される。ブロッコリー由来のQR誘導物質として、Nrf2活性化剤であるスルフォラファンが同定されている。スルフォラファンは、9,10−ジメチル−1,2−ベンゾアントラセン(DMBA)誘発ラット乳癌モデルやアゾキシメタン(AOM)誘発ラット大腸癌モデルにおいて、強い発癌抑制効果を示す。スルフォラファンによって誘導される第二相解毒酵素やグルタチオン量の増大によって、発癌物質の効果的な解毒や酸化ストレスの抑制がもたらされる(非特許文献1)。よって、Nrf2の活性化作用をもつ物質は、癌の予防に有用であると考えられる。
Nrf2遺伝子欠損マウスのマクロファージでは、炎症反応が活性化されており、泡沫化が起こっている(非特許文献3)。Nrf2の活性化による細胞内の抗酸化能の促進やヘムオキシゲナーゼ−1(HO−1)などの第二相解毒酵素の誘導は、動脈硬化につながるマクロファージの機能を抑制する(非特許文献1)。このような単球系の細胞の血管壁への接着および浸潤は動脈硬化の早期過程でも起きる現象であり、マクロファージの泡沫化へと繋がることから、Nrf2活性化による動脈硬化の予防が期待されている。
高血糖による酸化ストレス発生は、糖尿病性腎症の発症と進展に大きくかかわっている。Nrf2活性化物質であるバルドキソロンメチルは、臨床試験において慢性腎不全患者の腎機能低下を有意に低減するという結果を示した(非特許文献3)。しかしながら、第3相試験では、一部の患者層で心疾患が増加するリスクが発見され、より副作用の低減された薬剤開発が期待されている。
Nrf2の活性化剤であるスルフォラファンは、LPS存在下マウス腹腔マクロファージのTNF、IL−1、iNOS(inducible NO synthase)などの発現誘導をNrf2依存的に抑制することが報告されている。Nrf2遺伝子欠損マウスは、喘息などのアレルギー疾患に対しても高感受性である。Nrf2遺伝子欠損マウス由来の樹状細胞では、活性酸素が細胞内に蓄積することにより、Th2優位のT細胞分化が促進され、アレルギー反応が増大している。よって、Nrf2活性化により、アレルギー疾患の改善が期待される(非特許文献1)。
Nrf2遺伝子欠損マウスは、タバコ誘発性の肺気腫、抗酸化剤であるブチル化ヒドロキシトルエン、高酸素またはカラゲニンによる急性肺障害およびカラゲニンによる胸膜炎など、様々な炎症性肺疾患に高感受性であることが報告されており、Nrf2が炎症性疾患の生体防御因子として重要な働きをすることが明らかになっている(非特許文献1)。
粒子状汚染物質であるディーゼル排気微粒子(DEP)は、呼吸器で酸化ストレスを発生させ、喘息などの症状を引き起こす。Nrf2活性化によって誘導されるキノンオキシドレダクターゼ(NQO1)、HO1、GSTは、DEPによる酸化ストレスや、DEP構成成分であるキノン化合物の毒性に対する防御を担っており、Nrf2欠損マウスは、DEPによる肺の酸化ストレスを強く受け、DNA損傷を起こす。これらのことから、環境汚染物質などによって引き起こされる喘息の予防および改善に、Nrf2活性化物質の利用が期待される(非特許文献1)。
Nrf2活性化物質であるジメチルフマル酸(DMF)は、中枢性自己免疫疾患である多発性硬化症の治療薬として開発され、臨床で用いられている。ジメチルフマル酸によるNrf2活性化は、神経細胞の脱ミエリン化を引き起こす原因となる活性酸素を抑制するほか、自己抗原に対する過剰な免疫反応を引き起こすシグナルである転写因子NF−κBの活性化を抑制するなど、免疫反応を制御している(非特許文献3)。
以上のように、Nrf2は、免疫炎症反応に対する活性酸素の作用を制御することにより、あるいは、炎症性反応を制御することにより、炎症免疫関連の疾患の防御因子として働いている。
さらに、脳の酸化ストレスに対する防御能は、中枢性自己免疫疾患以外にも、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側策硬化症などの神経変性疾患の発症と深く関連し、この防御にNrf2が関与しているとの報告がある(非特許文献5)。よって、Nrf2活性化物質が脳神経変性疾患の予防および改善に有効であると考えられる。また、Nrf2活性化作用を有するジメチルフマル酸やtert-ブチルヒドロキノンが、β−アミロイドによる細胞死や、ドーパミンや過酸化水素(H)による細胞死を抑制することも報告されている(非特許文献5)。よって、Nrf2活性化物質は、抗酸化遺伝子の発現や、細胞死に関わる防衛システムに必要な分子を増加させるとともに、細胞障害につながる過剰なサイトカインシグナルを抑制して、多くの細胞と組織を保護するものと考えられる(非特許文献1〜5)。
酸化ストレスの関連する眼疾患としては、加齢性黄斑変性症、白内障、光網膜症、未熟児網膜症などがある。例えば、加齢性黄斑変性症の原因として網膜色素上皮細胞に対する光酸化ストレスが重要とされているが、Nrf2活性化能を有するスルフォラファンはこの光酸化ストレスを抑制することが明らかとなっている。また、Nrf2活性化能を有するクルクミンは、酸化ストレスを抑制することにより、ガラクトース誘発白内障を軽減することが報告されている(非特許文献6)。
酸化ストレスの関連する肝疾患としては、ウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、薬剤性肝炎などがある。バルドキソロンメチルなどによるNrf2活性化によって、アルコール性肝炎およびNASHにおける脂肪肝の進展や薬剤性肝炎における肝細胞死が抑制されるほか、ウイルス性肝炎における肝細胞死につながるシグナルが抑制されることが明らかとなっている(非特許文献7)。また、肝障害後の肝細胞の再生能にNrf2の活性化が重要な役割を果たすことも報告されている(非特許文献4)。
Nrf2の活性化は、生体の抗酸化防御および解毒能力を高め、酸化ストレスが関与する種々の疾患の予防または改善に有効であると考えられており、近年、Nrf2の活性化物質の探索が進められている。例えば、スルフォラファン、クルクミン以外にも、レスベラトロール、カテキン、エピガロカテキンガレートなどにNrf2の活性化作用があることが報告されている(非特許文献8)。また、Nrf2活性化作用を有する合成化合物としてバルドキソロンメチルなどが創出されている。しかし、Nrf2活性化作用を示す医薬品としてはジメチルフマル酸があるのみで、新たな医薬品の開発が求められている(非特許文献2、3および4)。
一方で、セプトリンは、1981年に海綿(Agelas sceptrum)から単離された化合物であり、以下の構造:
Figure 2016183111
を有している。セプトリンは、抗菌作用および癌細胞の細胞運動抑制作用を有することが報告されている(非特許文献9)。しかしながら、セプトリンがNrf2活性化能を有することは報告されていない。
国際公開第2006/043671号
伊東健、生化学、日本生化学会、第81巻、第6号、第447−455頁(2009) Suzuki, T. et al., Trends Pharm. Sci., Vol. 34, pp. 340-346, 2013 Gao, B. et al., Clinical Pharm.: Advances and Applications, Vol. 6, pp. 19-34, 2014 Jung, K-A. et al., Molecules, Vol. 15, pp. 7266-91, 2010 Sandberg, M. et al., Neurophrmacology, Vol. 79, pp. 298-306, 2014 Cano, M. et al., Vision Res., Vol. 50, pp. 652-64, 2010 Tang, W. et al., World J. Gastroenterilogy, Vol. 20, pp. 13079-87, 2014 Wu, K. C. et al., Planta Med., Vol. 80, pp. 97-104, 2014 Cipres, A. et al., ACS Chem. Biol., Vol. 5, pp. 195-202, 2010
本発明は、Nrf2の活性化剤、およびこのNrf2活性化剤を含む医薬組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、式(1)で示されるセプトリンに優れたNrf2活性化作用を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
[1]セプトリンもしくはその薬学上許容される塩またはその薬学上許容される溶媒和物を有効成分として含有する、Nrf2活性化剤。
[2]Nrf2の活性化に用いるための、セプトリンもしくはその薬学上許容される塩またはその薬学上許容される溶媒和物。
[3]Nrf2の活性化における、セプトリンもしくはその薬学上許容される塩またはその薬学上許容される溶媒和物の使用。
[4]Nrf2活性化剤の製造における、セプトリンもしくはその薬学上許容される塩またはその薬学上許容される溶媒和物の使用。
[5]セプトリンもしくはその薬学上許容される塩またはその薬学上許容される溶媒和物を被験体に投与することを含んでなる、Nrf2を活性化する方法。
[6]セプトリンもしくはその薬学上許容される塩またはその薬学上許容される溶媒和物を有効成分として含有する、Nrf2の活性化が治療に有効な疾患の予防または治療剤。
[7]セプトリンもしくはその薬学上許容される塩またはその薬学上許容される溶媒和物を有効成分として含有する、Nrf2の活性化が治療に有効な疾患を予防または治療するための医薬組成物。
[8]Nrf2の活性化が治療に有効な疾患の予防または治療に用いるための、セプトリンもしくはその薬学上許容される塩またはその薬学上許容される溶媒和物。
[9]Nrf2の活性化が治療に有効な疾患の予防または治療における、セプトリンもしくはその薬学上許容される塩またはその薬学上許容される溶媒和物の使用。
[10]Nrf2の活性化が治療に有効な疾患を予防または治療するための薬剤の製造における、セプトリンもしくはその薬学上許容される塩またはその薬学上許容される溶媒和物の使用。
[11]セプトリンもしくはその薬学上許容される塩またはその薬学上許容される溶媒和物を被験体に投与することを含んでなる、Nrf2の活性化が治療に有効な疾患を予防または治療する方法。
[12]前記疾患が、酸化ストレス、自己免疫反応または炎症反応により引き起こされる疾患である、[6]〜[11]のいずれかに記載の予防もしくは治療剤、医薬組成物、セプトリンもしくはその薬学上許容される塩もしくはその薬学上許容される溶媒和物、使用または方法。
[13]前記疾患が、高血圧症、動脈硬化、虚血性心疾患、虚血再灌流障害、腎不全、多発性硬化症、視神経脊髄炎、自己免疫疾患、網膜症、黄斑変性症、白内障、アルツハイマー病、パーキンソン病、神経変性疾患、炎症性疾患、癌、肝炎、肝機能障害、皮膚障害、糖尿病性腎不全、糖尿病性神経障害、糖尿病、喘息、肺繊維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、慢性肺疾患、および加齢に伴う慢性疾患からなる群から選択されるものである、[6]〜[11]のいずれかに記載の予防もしくは治療剤、医薬組成物、セプトリンもしくはその薬学上許容される塩もしくはその薬学上許容される溶媒和物、使用または方法。
本発明のNrf2活性化剤によれば、転写因子Nrf2の活性化を介して、生体の抗酸化防御、解毒、代謝、異物排泄、ストレス応答能力の向上による生体防御および生体でおこる過剰な炎症・免疫反応の抑制が可能となる。例えば、本発明のNrf2活性化剤は、酸化ストレス、自己免疫反応または炎症反応により引き起こされる疾患の予防または治療に有用である。
Nrf2依存的転写促進配列を有するレポーター細胞におけるNrf2依存的なレポーター遺伝子の発現に対するセプトリンの影響を示すグラフである。 Nrf2依存的転写促進配列を有するレポーター細胞におけるNrf2依存的なレポーター遺伝子の発現に対するジメチルフマル酸の影響を示すグラフである。 セプトリンの細胞障害性における濃度依存性を示すグラフである。 ジメチルフマル酸の細胞障害性における濃度依存性を示すグラフである。 による神経細胞死に対するセプトリンの影響を示すグラフである。 による神経細胞死に対するジメチルフマル酸の影響を示すグラフである。
本発明においてNrf2の活性化に用いられる化合物は、セプトリンもしくはその薬学上許容される塩またはその薬学上許容される溶媒和物(以下、まとめて「本発明の有効成分」ともいう)である。セプトリンは、その製造方法とともにWalker, RT et al., J. Am. Chem. Soc.,Vol 103, pp. 6772-3, 1981に開示されており、その構造式は以下の式(1)に示すとおりである。
Figure 2016183111
本明細書において、Nrf2の「活性化」とは、Nrf2の転写促進によりNrf2の発現を促進すること、Nrf2の翻訳を促進すること、Nrf2のmRNAやタンパク質の分解を抑制すること、Nrf2とKeap1との結合を阻害すること、Nrf2のKeap1からの解離を促進すること、Nrf2の核移行を促進すること、Nrf2の標的DNA配列への結合を促進することなどにより、Nrf2によって発現が制御される遺伝子の発現を促進することを意味する。
薬学上許容される塩は、ヒトを含む哺乳動物に投与したときに毒性をほとんど示さない塩であればよく、当業者であれば適切なものを選択し、使用することができる。このような塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩;フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩等のハロゲン化水素酸塩;硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;メタンスルホン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩;およびグルタミン酸塩、アスパラギン酸塩等のアミノ酸塩等が挙げられる。また、塩は含水塩と無水塩に分けることができ、本発明においても、「塩」には塩水和物と塩無水物の両方が含まれる。
本明細書において、「溶媒和物」とは、化合物と1以上の溶媒分子との物理的会合を意味し、この物理的会合には、様々な程度のイオン結合および共有結合(水素結合を含む)が含まれる。薬学上許容される溶媒和物としては、例えば、化合物と、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸またはエタノールアミン等との組合せが挙げられる。
本発明の有効成分は、Nrf2の活性化に用いることができ、また、Nrf2活性化剤の製造に用いることができる。このNrf2活性化剤は、実験用試薬、医薬、食品添加物等として利用することができる。医薬としての使用は、例えば、本発明の有効成分を被験体に投与することによって行うことができる。有効成分の被験体への投与については後述する。
さらに、本発明の有効成分は、Nrf2の活性化が治療に有効な疾患の予防または治療に用いることができ、また、Nrf2の活性化が治療に有効な疾患を予防または治療するための薬剤(予防剤または治療剤)の製造に用いることができる。
Nrf2の活性化が治療に有効な疾患は、当業者であれば適宜選択することができる。このような疾患としては、例えば、酸化ストレスにより引き起こされる疾患、自己免疫反応により引き起こされる疾患、炎症反応により引き起こされる疾患などが挙げられ、さらに具体的には、高血圧症、動脈硬化、虚血性心疾患、虚血再灌流障害、腎不全、多発性硬化症、視神経脊髄炎、自己免疫疾患、網膜症、黄斑変性症、白内障、アルツハイマー病、パーキンソン病、神経変性疾患、炎症性疾患、癌、肝炎、肝機能障害、皮膚障害、糖尿病性腎不全、糖尿病性神経障害、糖尿病、喘息、肺繊維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、慢性肺疾患、加齢に伴う慢性疾患が挙げられる。一つの実施態様では、治療または予防の対象となる疾患は、高血圧症、動脈硬化、虚血再灌流傷害、糖尿病およびその合併症、炎症性疾患、自己免疫疾患、癌、肝炎、肝機能障害、皮膚障害、網膜症、黄斑変性症、白内障、神経変性疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、肺繊維症を含む慢性肺疾患、または加齢に伴う慢性疾患とされる。また、他の一つの実施態様では、治療または予防の対象となる疾患は、酸化ストレスによる障害とされる。
本明細書において、「予防」とは、動物(例えばヒトなどの哺乳動物)における、Nrf2の活性化が治療に有効な疾患またはその症状の発症を完全または部分的に防止することを意味し、例えば、以前罹患して治療された個体において疾患の再発を予防もしくは阻止すること等をも包含する。また、「治療」とは、動物(例えばヒトなどの哺乳動物)における、Nrf2の活性化が治療に有効な疾患またはその症状、さらにはそれらに起因する悪影響を、部分的または完全に治癒することを意味する。例えば、「治療」には、疾病症状を阻害すること、即ち、その進行を阻止または遅延することや、疾病症状を緩和すること、即ち、疾病または症状の後退、または症状の進行の逆転を引き起こすことが包含される。
上記疾患の予防または治療は、例えば、本発明の有効成分を被験体に投与することにより行うことができる。
本明細書において「被験体」とは、Nrf2による遺伝子発現制御機構を有するいかなる動物をも意味し、特に制限されるものではないが、好ましくは哺乳動物とされ、さらに好ましくはヒトとされる。
本発明の有効成分の投与量は、目的とするNrf2の活性化が治療に有効な疾患の予防または治療における予防上または治療上の有効量とされる。ここで、「予防上または治療上の有効量」とは、目的とするNrf2の活性化が治療に有効な疾患の予防または治療の効果が被験体において奏されるために必要な量を意味し、通常、被験体の年齢、体重、性別、疾患の種類、症状の程度などを考慮して、当業者により適宜決定される。本発明の有効成分の投与計画および投与経路もまた、当業者により適宜決定される。
本発明の有効成分は、各種投与経路に適した医薬組成物の形態で被験体に投与することが望ましい。従って、本発明の他の態様によれば、セプトリンもしくはその薬学上許容される塩またはその薬学上許容される溶媒和物を有効成分として含有する、Nrf2の活性化が治療に有効な疾患を予防または治療するための医薬組成物が提供される。
本発明の医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、細粒剤、トローチ剤、シロップ剤、乳濁剤などの経口剤;静注および筋注などの注射剤;直腸投与剤、油脂性座剤、水溶性座剤、軟膏のような塗布剤などのいずれかの形態に調製することができる。これらの各種製剤は、通常用いられている薬学的に許容されうる担体、例えば、賦形剤、希釈剤、増量剤、結合剤、湿潤化剤、崩壊剤、表面活性剤、潤滑剤、分散剤、緩衝剤、pH調整剤、保存剤、キレート剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味矯臭剤、無痛化剤、安定化剤などを用いて、定法により製造することができる。薬学的に許容されうる担体としては、例えば、乳糖、果糖、ブドウ糖、でん粉、ゼラチン、炭酸マグネシウム、合成ケイ酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその塩、アラビアゴム、オリーブ油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、シロップ、ワセリン、グリセリン、エタノール、クエン酸、塩化ナトリウム、亜硫酸ソーダ、リン酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、酒石酸塩緩衝剤、酢酸塩緩衝剤、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、塩酸、酢酸、リン酸、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、パラオキシ安息香酸メチルまたはパラオキシ安息香酸エチルなどのパラオキシ安息香酸エステル類、などが挙げられる。
製剤化に当たっては、本発明の有効成分以外の1種以上の有効成分を更に配合してもよい。また、本発明の有効成分の投与に当たっては、本発明の有効成分以外の1種またはそれ以上の治療上有効な有効成分を組み合わせて投与してもよい。
実施例1:化合物によるNrf2活性化試験
(1)レポーター細胞の作製
Nrf2の転写活性に対する化合物の影響を調べるため、Nrf2依存的転写配列を有するレポーター細胞を作製した。まず、抗酸化剤応答配列(Antioxidant Responsive Element;ARE:コンセンサス配列,GCnnnG/CTCA)をpGL4.17(プロメガ製)に挿入することにより、レポータープラスミドを作製した。次いで、このレポータープラスミドをフュージーン(FuGENE)HD(ロシュ製)を用いてヒト胎児腎細胞由来HEK293細胞にトランスフェクションした。培養培地としては、10%非働化牛胎児血清を含むダルベッコ改変イーグル培地(D−MEM:ライフテクノロジーズ製)を用いた。24時間後に、200μg/mlのハイグロマイシン(ライフテクノロジーズ製)を添加し、さらにハイグロマイシンを含む培養培地で継続的に培養し、得られた細胞コロニーをクローン化して、安定発現株を取得した。このレポーター細胞内でNrf2が活性化されると、ARE依存的にルシフェラーゼ遺伝子の転写が促進することにより、ルシフェラーゼが発現し、光を発する。
(2)化合物の存在下におけるNrf2活性の測定
レポーター細胞を、化合物の存在下、1%非働化牛胎児血清を含むD−MEM培地で5時間培養した。このレポーター細胞を用いて、Nrf2の転写活性をルシフェラーゼの酵素活性として評価した。化合物としては、セプトリンだけでなく、Nrf2活性化剤として知られているジメチルフマル酸(DMF)をポジティブコントロールとして用いた。上記細胞におけるルシフェラーゼ活性は、ルシフェラーゼ定量システムであるステディーグロルシフェラーゼアッセイシステム(Steady-Glo Luciferase Assay System:プロメガ製)、および化学発光測定装置(2104 EnVisionマルチラベルカウンター:パーキンエルマー製)を用いて、発光強度として測定した。その結果、図1および図2に示すように、セプトリン(EC50値0.9μM)は、DMF(EC50値2.1μM)と同等の優れたNrf2活性化作用を有していた。
実施例2:化合物による細胞障害性の評価
化合物の存在下でHEK293細胞を培養し、生細胞数を測定することにより、化合物の細胞障害性を評価した。まず、HEK293細胞を培養培地中で予備培養した後、化合物を添加して72時間培養した。次に、発色試薬WST−8(同仁化学)を説明書に従って添加し、2時間培養した。培養後、405nmの吸光度を吸光度測定装置(2104 EnVisionマルチラベルカウンター:パーキンエルマー製)を用いて測定した。その結果、図3および図4に示すように、セプトリンはDMFより高い濃度でも細胞障害性を示さず、安全な化合物であることが示された。
実施例3:化合物添加条件下過酸化水素(H )による神経細胞死評価
化合物の存在下、1%非働化牛胎児血清を含むD−MEM培地でヒト神経芽腫由来細胞株SH−SY5Y細胞を6時間培養した後、終濃度0.5mMのHを添加して18時間培養した。次に、発色試薬WST−8(同仁化学)を説明書に従って添加し、2時間培養した。培養後、405nmの吸光度を吸光度測定装置(2104 EnVisionマルチラベルカウンター:パーキンエルマー製)を用いて測定した。その結果、図5および図6に示すように、セプトリンはDMFよりすぐれた神経細胞死保護効果を示し、過酸化水素によるダメージに起因する神経変性疾患や自己免疫疾患など、多数の疾患の予防および治療に有効であることが示された。
セプトリンは、転写因子Nrf2依存遺伝子の転写活性を促進するとともに、Nrf2依存的に生体の抗酸化防御、解毒、代謝、異物排泄、ストレス応答能力の向上による生体防御能を高めること、および生体でおこる過剰な炎症・免疫反応を抑制することから、医薬品として利用することができる。

Claims (7)

  1. セプトリンもしくはその薬学上許容される塩またはその薬学上許容される溶媒和物を有効成分として含有する、Nrf2活性化剤。
  2. セプトリンもしくはその薬学上許容される塩またはその薬学上許容される溶媒和物を有効成分として含有する、Nrf2の活性化が治療に有効な疾患の予防または治療剤。
  3. 前記疾患が、酸化ストレス、自己免疫反応または炎症反応により引き起こされる疾患である、請求項2に記載の予防または治療剤。
  4. 前記疾患が、高血圧症、動脈硬化、虚血性心疾患、虚血再灌流障害、腎不全、多発性硬化症、視神経脊髄炎、自己免疫疾患、網膜症、黄斑変性症、白内障、アルツハイマー病、パーキンソン病、神経変性疾患、炎症性疾患、癌、肝炎、肝機能障害、皮膚障害、糖尿病性腎不全、糖尿病性神経障害、糖尿病、喘息、肺繊維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、慢性肺疾患、および加齢に伴う慢性疾患からなる群から選択されるものである、請求項2に記載の予防または治療剤。
  5. セプトリンもしくはその薬学上許容される塩またはその薬学上許容される溶媒和物を有効成分として含有する、Nrf2の活性化が治療に有効な疾患を予防または治療するための医薬組成物。
  6. 前記疾患が、酸化ストレス、自己免疫反応または炎症反応により引き起こされる疾患である、請求項5に記載の医薬組成物。
  7. 前記疾患が、高血圧症、動脈硬化、虚血性心疾患、虚血再灌流障害、腎不全、多発性硬化症、視神経脊髄炎、自己免疫疾患、網膜症、黄斑変性症、白内障、アルツハイマー病、パーキンソン病、神経変性疾患、炎症性疾患、癌、肝炎、肝機能障害、皮膚障害、糖尿病性腎不全、糖尿病性神経障害、糖尿病、喘息、肺繊維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、慢性肺疾患、および加齢に伴う慢性疾患からなる群から選択されるものである、請求項5に記載の医薬組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114773447A (zh) * 2022-04-06 2022-07-22 华中科技大学同济医学院附属协和医院 一种etge多肽在制备治疗多器官缺血再灌注损伤药物中的应用

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