JP2016179536A - 電動工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】ステータコイルの線径が限られた中でもブラシレスモータの高性能化を実現可能な電動工具を提供する。
【解決手段】ブラシレスモータ9を備える電動工具であって、ブラシレスモータ9は、Δ結線された複数の相を有し、かつ各相に並列接続された複数のステータコイル9fを含み、ブラシレスモータ9の軸方向に関するステータコア9dの長さをL(mm)、ブラシレスモータ9の無負荷回転数をR(/min)、ブラシレスモータ9の駆動電圧の実効値をV(V)としたとき、Lmin<L<Lmax、かつ
Lmin=(−0.0008×R+46.7)×V÷20、
Lmax=(−0.0017×R+93.4)×V÷20、である。
【選択図】図6

Description

本発明は、ブラシレスモータを駆動源とする電動工具に関する。
近年、ドリルやドライバ等の先端工具をモータによって回転駆動して所要の作業を行う電動工具において、ブラシレスモータの採用が進んでいる。ブラシレスモータは、通常、Y結線(スター結線)又はΔ結線(デルタ結線)された三相巻線をステータ(固定子)に有する。三相巻線への通電はインバータにより行う。インバータは、各相の巻線(ステータコイル)のプラス側及びマイナス側にそれぞれ1つずつ、合計6個のスイッチング素子を有し、所定のステータコイルに順次通電する。ステータコイルの発生する磁界により、マグネットを有するロータ(回転子)が回転駆動される。インバータを構成する各スイッチング素子は、ブラシレスモータ近傍のスイッチング基板上に配置される。
特開2013−831号公報 特開2014−18870号公報
ブラシレスモータは、ステータコイルの線径が太いほど、効率向上など性能面で有利となる。しかし、例えばコードレス電動工具用のブラシレスモータは、外径が小さい関係で巻線時に使用する巻線機のサイズが限定されることから、ステータコイルの線径を太くするにも限界があった。そこでステータコイルの結線方式を検討すると、ステータコイルがΔ結線直列巻のブラシレスモータは、ステータコイルの線径が比較的細くても、ステータコイルがY結線で線径が比較的太いブラシレスモータと同等の性能を発揮することができる。さらに別方式として、ステータコイルをY結線並列巻とすれば、Δ結線直列巻より細い線径でもブラシレスモータを高性能化できる。しかし、更なる高性能化のためには、Y結線並列巻でも対応が困難となってきている。
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、ステータコイルの線径が限られた中でもブラシレスモータの高性能化を実現可能な電動工具を提供することにある。
本発明のある態様は、ブラシレスモータを備える電動工具であって、
前記ブラシレスモータは、Δ結線された複数の相を有し、かつ各相に並列接続された複数のステータコイルを含み、
前記ブラシレスモータの軸方向に関する前記ブラシレスモータのステータコアの長さをL(mm)、前記ブラシレスモータの無負荷回転数をR(/min)、前記ブラシレスモータの駆動電圧の実効値をV(V)としたとき、
Lmin<L、かつ
Lmin=(−0.0008×R+46.7)×V÷20
である。
L<Lmax、かつ
Lmax=(−0.0017×R+93.4)×V÷20
であってもよい。
電池パックを着脱可能に装着し、前記電池パックから前記ブラシレスモータに駆動電力を供給してもよい。
前記ステータコアの外径が、44mm〜50mmであってもよい。
前記ステータコアの内径が、21mm〜25mmであってもよい。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、ステータコイルの線径が限られた中でもブラシレスモータの高性能化を実現可能な電動工具を提供することができる。
本発明の実施の形態に係るコードレス丸鋸の平面図。 同側面図。 同背面図。 同正面図。 前記コードレス丸鋸の、一部を断面とした第1の平面図。 同第2の平面図。 前記コードレス丸鋸のブラシレスモータ9のステータを軸方向から見た図。 ブラシレスモータ9のロータを軸方向から見た図。 前記コードレス丸鋸の制御ブロック図。 ブラシレスモータ9の各相のステータコイル9fの結線説明図。 ブラシレスモータ9の駆動電圧の実効値を20Vとし、ブラシレスモータ9の無負荷回転数が32,000/minとなるように各ステータコイル9fの巻数及び線径を設定した場合における、ブラシレスモータ9の軸方向に関するステータコア9dの長さ(積厚)に対するステータコイル9fの二相間抵抗の特性を、Y結線直列巻(比較例)、Y結線並列巻(比較例)、及びΔ結線並列巻(実施の形態)の各々について示した特性グラフ。 図11と比較してブラシレスモータ9の無負荷回転数を26,000/minに変更し、その他は共通としたステータコイル9fの二相間抵抗の特性グラフ。 図11と比較してブラシレスモータ9の無負荷回転数を20,000/minに変更し、その他は共通としたステータコイル9fの二相間抵抗の特性グラフ。 ブラシレスモータ9の駆動電圧の実効値を20Vとした場合における、ブラシレスモータ9の無負荷回転数と、ステータコア9dの有効長(有効積厚)の最小値との関係を示すグラフ。 ブラシレスモータ9の駆動電圧の実効値を20Vとした場合における、ブラシレスモータ9の無負荷回転数と、ステータコア9dの有効長(有効積厚)の最大値との関係を示すグラフ。 ブラシレスモータ9の駆動電圧の実効値を16Vとし、ブラシレスモータ9の無負荷回転数が32,000/minとなるように各ステータコイル9fの巻数及び線径を設定した場合における、ブラシレスモータ9の軸方向に関するステータコア9dの長さ(積厚)に対するステータコイル9fの二相間抵抗の特性を、Y結線直列巻(比較例)、Y結線並列巻(比較例)、及びΔ結線並列巻(実施の形態)の各々について示した特性グラフ。 図16と比較してブラシレスモータ9の無負荷回転数を26,000/minに変更し、その他は共通としたステータコイル9fの二相間抵抗の特性グラフ。 図16と比較してブラシレスモータ9の無負荷回転数を20,000/minに変更し、その他は共通としたステータコイル9fの二相間抵抗の特性グラフ。 ブラシレスモータ9の駆動電圧の実効値を20Vとした場合の、ブラシレスモータ9の無負荷回転数と、ステータコア9dの有効長(有効積厚)の最小値、最大値の関係を示す表。 ブラシレスモータ9の駆動電圧の実効値を16Vとした場合の、ブラシレスモータ9の無負荷回転数と、ステータコア9dの有効長(有効積厚)の最小値、最大値の関係を示す表。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
図1は、本発明の実施の形態に係る電動工具としてのコードレス丸鋸の平面図である。図2は同側面図、図3は同背面図、図4は同正面図である。図5は、前記コードレス丸鋸の、一部を断面とした第1の平面図である。図6は、同第2の平面図である。図7は、前記コードレス丸鋸のブラシレスモータ9のステータを軸方向から見た図である。図8は、ブラシレスモータ9のロータを軸方向から見た図である。
本実施の形態のコードレス丸鋸は、ベース1と、本体2とを備える。ベース1は、例えばアルミ等の金属製の略長方形の板材である。ベース1の長手方向は、切断方向と一致する。ベース1の底面は、被削材との摺動面である。本体2は、後述のようにベース1に前後2箇所で連結され、ベース1に対して回動可能かつ左右に傾動可能である。本体2は、モータハウジング3と、ハンドル部4と、ギヤカバー5と、ソーカバー6と、保護カバー7と、回転具としての丸鋸刃8とを含む。モータハウジング3は、例えば樹脂製であり、ブラシレスモータ9(図5及び図6)を内蔵する。ブラシレスモータ9は、丸鋸刃8を回転駆動する。ハンドル部4は、モータハウジング3と同材質かつ一体であり、モータハウジング3の上方において前後方向に延びる。ハンドル部4には、使用者がブラシレスモータ9の駆動を制御するためのスイッチ(トリガスイッチ)18が設けられる。ハンドル部4は図2に示すようにモータハウジング3と一体的に設けられた左側部品と、モータハウジング3とギヤカバー5との間に挟持される右側部品とによって構成され、この左側部品と右側部品との組合せで後述する電池パック取付部4aが構成されると共に、丸鋸刃8側に位置するハンドル部4の右側部品に後述する制御回路基板収納部4bが設けられている。なお、ハンドル部4の左側部品と右側部品との境界は、図1、図3、図4などでハンドル部4の中央に表れているラインである。
ハンドル部4の後端下部には、電池パック取付部4a(電池取付部)と、制御回路基板収納部4bが一体に設けられる。電池パック取付部4aには、電池パック20(蓄電池)が、後方からスライドさせることで着脱自在に装着される。電池パック取付部4aの上面にはタクトスイッチ16が設けられる。電池パック20は、ブラシレスモータ9に駆動電力を供給する。図1に示すように、電池パック取付部4aに装着された電池パック20の左側面と、モータハウジング3の左側面は、略同一平面上に存在する。これは、丸鋸刃8からモータハウジング3の左側面の距離と、丸鋸刃8から電池パック20の左側面の距離が略同じであり、電池パック20の左側面とモータハウジング3の左側面を下にしてコードレス丸鋸を載置することができ、丸鋸刃8の交換作業を容易に行うことができる。制御回路基板収納部4bは、電池パック20の右側に設けられる。制御回路基板収納部4bには、制御回路基板21が収納保持される。制御回路基板21は、ブラシレスモータ9の動作を制御する制御部(図9の制御部50)を搭載している。制御回路基板21は、ブラシレスモータ9の回転軸(丸鋸刃8の回転軸)と略垂直である。制御回路基板21の左側、すなわち制御回路基板21と電池パック20との間は、例えば樹脂製のコントローラカバー22によって仕切られる。
ギヤカバー5は、ハンドル部4の右側に設けられる。ギヤカバー5は、例えば金属製であり、ブラシレスモータ9と丸鋸刃8との間の回転伝達機構を内蔵する。回転伝達機構は周知の減速機構等からなる。ソーカバー6は、ギヤカバー5に取り付けられ、ギヤカバー5と共に丸鋸刃8の上半分を覆う。ソーカバー6はギヤカバー5と同材質かつ一体に形成されても良い。ギヤカバー5及びソーカバー6の前端部は、回動支持部14によって回転自在に連結される。保護カバー7は、例えば樹脂製であり、ギヤカバー5の後方側に、ギヤカバー5及びソーカバー6の外縁に沿って回動可能に設けられる。ギヤカバー5と保護カバー7との間には図示しないバネが介在する。このバネは、ギヤカバー5に対して保護カバー7を、ギヤカバー5及びソーカバー6の円周方向であって丸鋸刃8の下半分を覆う方向(図2中、反時計回り)に付勢する。よって、切断作業を行っていない状態では、保護カバー7は、丸鋸刃8の下半分(ベース1の底面から下方に突出した部分)を、前方の一部を除いて覆う。
ベース1の前方には、ベベルプレート12が立設される。ベベルプレート12は、切断方向と略直交する短手方向に直立する。ベベルプレート12には長孔13が設けられる。長孔13は、切断方向に延びる第1傾動軸部15aを中心とし、かつ第1傾動軸部15aと直交する円弧状である。回動支持部14は、第1傾動軸部15aを中心としてベース1に対して左右に傾動可能に支持される。回動支持部14の傾動位置は、傾斜角度調整レバー11を緩めた状態で調整し、傾斜角度調整レバー11を締め付けることで固定する。回動支持部14は、ブラシレスモータ9の回転軸(丸鋸刃8の回転軸)と平行な軸でソーカバー6の前端部を回動可能に支持する。ソーカバー6の回動位置の調整及び固定については後述する。
ベース1の後方には、リンク10が、第1傾動軸部15aと同軸の傾動軸部15bを中心に回動可能に設けられ、ギヤカバー5の左側面に沿う。リンク10は、例えばアルミ等の金属製である。切込み深さ調整レバー19を緩めた状態では、リンク10とギヤカバー5とは相互にスライド可能であり、ベース1に対するソーカバー6の回動位置、すなわち切込み深さを調整することができる。そして、切込み深さ調整レバー19を締め付けることで、ギヤカバー5の回動位置を固定できる。
図6に示すように、ブラシレスモータ9は、出力軸9aの周囲にロータコア9bを有する。出力軸9aは丸鋸刃8の回転軸と平行である。ロータコア9bは出力軸9aと一体に回転する。ロータコア9bにはロータマグネット9cが挿入支持される。ステータコア9dは、ロータコア9bの外周面を囲むように設けられる。ステータコア9dには、一対のインシュレータ9eを挟んでステータコイル9fが設けられる。ステータコア9dに取り付けられた一方のインシュレータ9eの端面には、スイッチング基板23が固定される。スイッチング基板23は出力軸9aと略垂直である。スイッチング基板23には、6つのスイッチング素子23a(FETやIGBT等)が、本体部を倒した状態で搭載される。スイッチング素子23aは、電池パック20からの供給電圧をスイッチングする。図5に示すように、電池パック20の端子部20aとスイッチング基板23は、配線24によって相互に電気的に接続されている。配線25は、電池パック20の端子部20aと制御回路基板21とを相互に電気的に接続する。配線26は、制御回路基板21とスイッチング基板23とを相互に電気的に接続する。制御回路基板21のコントローラからの制御信号が配線26によりスイッチング基板23上のスイッチング素子23aの制御端子(ゲート)に印加され、スイッチング素子23aのオンオフが制御される。ブラシレスモータ9の出力軸9aには冷却ファン33が取り付けられて出力軸9aと共に回転する。冷却ファン33の発生する気流によって、ブラシレスモータ9及びスイッチング素子23aが冷却される。
図7に示すように、ブラシレスモータ9のステータは6極構成であり、ステータコア9dは、ステータコイル9fを巻き付けるスロットを6つ有する。6つのステータコイル9fは、後述の図10に示すように、Δ結線並列巻にて相互に接続される。ステータコア9dの外径Doutは、好ましくは44mm〜50mmである。なお、外径Doutは、磁路として意味を成す外径であり、回り止め用の突起等は除いた長さとして定義される。ステータコア9dの内径Dinは、好ましくは21mm〜25mmである。図8に示すように、ブラシレスモータ9のロータは4極構成であり、ロータコア9bにはロータマグネット9cが4つ挿入支持される。
図9は、本実施の形態のコードレス丸鋸の制御ブロック図である。図10は、ブラシレスモータ9の各相のステータコイル9fの結線説明図(図9のステータコイル9fの拡大図)である。図9に示す制御部50は、図6に示される制御回路基板21に搭載される。インバータ回路43は、例えばMOSFETからなるスイッチング素子Tr1〜Tr6を三相ブリッジ接続したものであり、ブラシレスモータ9に駆動電流を供給する。なお、スイッチング素子Tr1〜Tr6はIGBTであってもよく、スイッチング動作に適したパワーデバイスであればよい。スイッチング素子Tr1〜Tr6は、図5及び図6に示されるスイッチング素子23aに対応する。インバータ回路43(スイッチング素子Tr1〜Tr6)はスイッチング基板23に搭載される。検出抵抗Rsは、ブラシレスモータ9(インバータ回路43)に流れる電流を電圧に変換する。
コントローラ54は、スイッチ18がオンになったことを検出すると、ブラシレスモータ9の駆動制御を開始する。モータ電流検出回路56は、検出抵抗Rsの端子電圧に基づいてブラシレスモータ9に流れる電流を特定し、モータ電流検出信号をコントローラ54に送信する。制御信号出力回路(ゲートドライバIC)57は、コントローラ54の制御に従い、インバータ回路43を構成する各スイッチング素子のゲートにPWM信号等の駆動信号を印加する。
ロータ位置検出回路58は、ホールIC45の出力信号に基づいてブラシレスモータ9のロータの回転位置を検出し、ロータ位置検出信号をコントローラ54及びモータ回転数検出回路59に送信する。モータ回転数検出回路59は、ロータ位置検出回路58からのロータ位置検出信号に基づいてブラシレスモータ9の回転数を検出し、モータ回転数検出信号をコントローラ54に送信する。コントローラ54は、モータ電流検出信号、ロータ位置検出信号、及びモータ回転数検出信号に応じて制御信号出力回路57を制御し、インバータ回路43を構成する各スイッチング素子を駆動し、ブラシレスモータ9を回転駆動する。
図11は、ブラシレスモータ9の駆動電圧の実効値を20Vとし、ブラシレスモータ9の無負荷回転数が32,000/minとなるように各ステータコイル9fの巻数及び線径を設定した場合における、ブラシレスモータ9の軸方向に関するステータコア9dの長さ(積厚)に対するステータコイル9fの二相間抵抗の特性を、Y結線直列巻(比較例)、Y結線並列巻(比較例)、及びΔ結線並列巻(実施の形態)の各々について示した特性グラフである。図12は、図11と比較してブラシレスモータ9の無負荷回転数を26,000/minに変更し、その他は共通としたステータコイル9fの二相間抵抗の特性グラフである。図13は、図11と比較してブラシレスモータ9の無負荷回転数を20,000/minに変更し、その他は共通としたステータコイル9fの二相間抵抗の特性グラフである。なお、本実施の形態では、ステータコア9dが電磁鋼板等の磁性板をブラシレスモータ9の軸方向に積層した構造である関係で、ステータコア9dの軸方向に関する長さをステータコア9dの「積厚」とも表記する。ここで、「直列巻」とはステータコイル9fの各相において複数(上記比較例では2つ)のコイルを直列に接続したもの、「並列巻」とはステータコイル9fの各相において複数(上記比較例及び本実施の形態では2つ)のコイルを並列に接続したものをいう。
図11〜図13に示す各巻線形態において、ステータコア9dの積厚を大きくするにつれて二相間抵抗が小さくなっている第1の範囲(図11のΔ結線並列巻を例にすれば横軸40mm以下の範囲)は、ステータコア9dの積厚を大きくしたことでステータコイル9fの線径を大きくすることができ、その結果として二相間抵抗が小さくなっている範囲(ステータコア9dの各巻線スロットを余すことなく使い切っている範囲)である。また、ステータコア9dの積厚を大きくしても二相間抵抗が小さくなっていない第2の範囲(図11のΔ結線並列巻を例にすれば横軸40mm以上の範囲)は、ステータコイル9fの線径が巻線機で巻ける最大の線径になり、これ以上の低抵抗化ができなくなっている範囲(ステータコア9dの各巻線スロットが一部余っている範囲)である。
なお、巻線形態によって前記第1の範囲の最大値が異なるのは、同じ無負荷回転数を実現するために必要な巻数が巻線形態によって異なることに起因する。すなわち、Δ結線並列巻は、Y結線並列巻と比較して、同じ無負荷回転数を実現するために必要な巻数が多く、ステータコア9dの積厚がより大きくなってからステータコイル9fの線径が巻線機で巻ける最大の線径になるため、ステータコア9dの積厚を大きくするにつれて二相間抵抗が小さくなる範囲の最大値がY結線並列巻より大きくなる。同様に、Y結線並列巻は、ステータコア9dの積厚を大きくするにつれて二相間抵抗が小さくなる範囲の最大値がY結線直列巻より大きくなる。
図14は、ブラシレスモータ9の駆動電圧の実効値を20Vとした場合における、ブラシレスモータ9の無負荷回転数と、ステータコア9dの有効長(有効積厚)の最小値との関係を示すグラフである。図15は、ブラシレスモータ9の駆動電圧の実効値を20Vとした場合における、ブラシレスモータ9の無負荷回転数と、ステータコア9dの有効長(有効積厚)の最大値との関係を示すグラフである。なお、本実施の形態において、ステータコア9dの有効長(有効積厚)は、Δ結線並列巻の二相間抵抗がY結線並列巻の二相間抵抗より低く、かつステータコア9dの積厚を増すほどΔ結線並列巻の二相間抵抗が低下している範囲と定義される。
図14に示すステータコア9dの有効積厚の最小値は、図11〜図13においてΔ結線並列巻の二相間抵抗がY結線並列巻の二相間抵抗より小さくなり始めるステータコア9dの積厚を無負荷回転数ごとにプロットしたものである。図15に示すステータコア9dの有効積厚の最大値は、図11〜図13においてそれ以上ステータコア9dの積厚を増してもΔ結線並列巻の二相間抵抗が低下しなくなる直前のステータコア9dの積厚を無負荷回転数ごとにプロットしたものである。
図14より、Δ結線並列巻が有効なステータコア9dの最小積厚をLmin_a、ブラシレスモータ9の無負荷回転数をR(/min)とすると、
Lmin_a=−0.0008×R+46.7
となる。また、図15より、Δ結線並列巻が有効なステータコア9dの最大積厚をLmax_aとすると、
Lmax_a=−0.0017×R+93.4
となる。上記より、モータ入力電圧実効値20V時におけるΔ結線並列巻が有効なステータコア積厚Lの範囲は
Lmin_a < L < Lmax_a
Lmin_a=−0.0008×R+46.7
Lmax_a=−0.0017×R+93.4
となる。
図16は、ブラシレスモータ9の駆動電圧の実効値を16Vとし、ブラシレスモータ9の無負荷回転数が32,000/minとなるように各ステータコイル9fの巻数及び線径を設定した場合における、ブラシレスモータ9の軸方向に関するステータコア9dの長さ(積厚)に対するステータコイル9fの二相間抵抗の特性を、Y結線直列巻(比較例)、Y結線並列巻(比較例)、及びΔ結線並列巻(実施の形態)の各々について示した特性グラフである。図17は、図16と比較してブラシレスモータ9の無負荷回転数を26,000/minに変更し、その他は共通としたステータコイル9fの二相間抵抗の特性グラフである。図18は、図16と比較してブラシレスモータ9の無負荷回転数を20,000/minに変更し、その他は共通としたステータコイル9fの二相間抵抗の特性グラフである。
図16〜図18は、ブラシレスモータ9の駆動電圧の実効値を16Vにして図11〜図13と同じ測定を行ったものであり、ブラシレスモータ9の駆動電圧の実効値が20Vである図11〜図13と比較して全体的にステータコイル9fの二相間抵抗が低下しているが、二相間抵抗の変化の傾向は図11〜図13と同様となっている。以下、ブラシレスモータ9の駆動電圧の実効値が20Vの場合と16Vの場合について比較する。
図19は、ブラシレスモータ9の駆動電圧の実効値を20Vとした場合の、ブラシレスモータ9の無負荷回転数と、ステータコア9dの有効長(有効積厚)の最小値、最大値の関係を示す表である。図20は、ブラシレスモータ9の駆動電圧の実効値を16Vとした場合の、ブラシレスモータ9の無負荷回転数と、ステータコア9dの有効長(有効積厚)の最小値、最大値の関係を示す表である。
図19と図20の比較より、ブラシレスモータ9の駆動電圧の実効値が20Vから16Vに低下すると、Δ結線並列巻の有効ステータコア積厚範囲は、「ブラシレスモータ9の駆動電圧の実効値/20」の比で低下する傾向が明らかとなった。よって、ブラシレスモータ9の駆動電圧の実効値まで考慮した、Δ結線並列巻におけるステータコア9dの有効積厚は、ステータコア9dの積厚をL(mm)は、ブラシレスモータ9の無負荷回転数をR(/min)、ブラシレスモータ9の駆動電圧の実効値をV(V)とすると、
Lmin < L < Lmax
Lmin=(−0.0008×R+46.7)×V÷20 …式1
Lmax=(−0.0017×R+93.4)×V÷20
と表すことができ、本実施の形態では上記式1を満たすようにステータコア9dの積厚Lを定める。
本実施の形態によれば、ブラシレスモータ9のステータコイル9fをΔ結線並列巻として、上記式1を満たすようにステータコア9dの積厚を定めているため、Y結線並列巻と比較して更にステータコイル9fの二相間抵抗を低下させることができ、効率向上など性能面で有利となる。そのため、電動工具に内蔵する関係でステータコア9dの外径が小さくステータコイル9fの線径が限られた中であっても、またY結線並列巻でも対応が困難な場合であっても、ブラシレスモータ9の高性能化を実現できる。
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
実施の形態では、上記式1を満たすようにステータコア9dの積厚を定めているが、ステータコア9dの積厚はLmax以上であってもよい。Lmaxは、ステータコア9dの積厚をLmaxより大きくしてもΔ結線並列巻の二相間抵抗が低くならない(低抵抗化の点では意味が無い)という観点から導かれたものであり、ステータコア9dの積厚がLmaxより大きい場合もY結線並列巻の二相間抵抗より低抵抗であるという効果は存在する。
実施の形態では、ブラシレスモータ9のロータが4極でステータが6極である場合を例に説明したが、ブラシレスモータ9の極数はそれに限定されず、例えばロータが6極でステータが9極であってもよい。本発明を適用する電動工具は、実施の形態で例示したコードレス丸鋸に限定されず、ドリルやドライバ等の先端工具を取り付ける電動工具(ドリルドライバ等)や、先端工具のない電動工具(集塵機や空気圧縮機)等の他の種類の手持ち電動工具であってもよい。
1 ベース、2 本体、3 モータハウジング、4 ハンドル部、4a 電池パック取付部、4b 制御回路基板収納部、5 ギヤカバー、6 ソーカバー、7 保護カバー、8 丸鋸刃(回転具)、9 ブラシレスモータ、9a 出力軸、9b ロータコア、9c ロータマグネット、9d ステータコア、9e インシュレータ、9f ステータコイル、10 リンク、11 傾斜角度調整レバー、12 ベベルプレート、13 長孔、14 回動支持部、15a 傾動軸部、15b 傾動軸部、16 タクトスイッチ、18 スイッチ(トリガスイッチ)、19 切込み深さ調整レバー、20 電池パック、20a 端子部、21 制御回路基板、22 コントローラカバー、23 スイッチング基板、23a スイッチング素子、24〜26 配線、33 冷却ファン、50 制御部、54 コントローラ、56 モータ電流検出回路、57 制御信号出力回路(ゲートドライバIC)、58 ロータ位置検出回路、59 モータ回転数検出回路

Claims (5)

  1. ブラシレスモータを備える電動工具であって、
    前記ブラシレスモータは、Δ結線された複数の相を有し、かつ各相に並列接続された複数のステータコイルを含み、
    前記ブラシレスモータの軸方向に関する前記ブラシレスモータのステータコアの長さをL(mm)、前記ブラシレスモータの無負荷回転数をR(/min)、前記ブラシレスモータの駆動電圧の実効値をV(V)としたとき、
    Lmin<L、かつ
    Lmin=(−0.0008×R+46.7)×V÷20
    である、電動工具。
  2. L<Lmax、かつ
    Lmax=(−0.0017×R+93.4)×V÷20
    である、請求項1に記載の電動工具。
  3. 電池パックを着脱可能に装着し、前記電池パックから前記ブラシレスモータに駆動電力を供給する、請求項1又は2に記載の電動工具。
  4. 前記ステータコアの外径が、44mm〜50mmである、請求項1から3のいずれか一項に記載の電動工具。
  5. 前記ステータコアの内径が、21mm〜25mmである、請求項1から4のいずれか一項に記載の電動工具。
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