JP2016175164A - ホルダ及び切削工具 - Google Patents

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孝之 熊切
Takayuki Kumakiri
孝之 熊切
悠 高津
Hisashi Takatsu
悠 高津
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Abstract

【課題】振れ出し精度の向上や、締結力及び引き込み力の確保等、ハイドロチャック機構に対して要求される種々の機能に、容易に対応することが可能なホルダ及び切削工具を提供すること。【解決手段】軸線O回りに回転させられるホルダ本体2と、ホルダ本体2の軸線O方向の先端部に位置して軸線O方向に延びる筒状のチャック部7と、チャック部7の周壁の壁内に形成されて軸線O回りに延びる環状の流体室9と、流体室9に収容された流体の圧力を調整可能な調整部13と、を備え、チャック部7の周壁のうち、流体室9の径方向内側に隣接する内壁部18が、流体室9の内圧の上昇に応じて径方向内側へ向けて弾性変形可能とされており、流体室9は、チャック部7の周壁に軸線O方向に間隔をあけて複数設けられているとともに、これらの流体室9は、互いに連通することなく独立して形成されており、各流体室9に対して調整部13が設けられる。【選択図】図3

Description

本発明は、例えばリーマ、ドリル、エンドミル等の切削軸体をハイドロチャック機構により締結し保持するホルダ、及びこれを備えた切削工具に関するものである。
従来、例えば下記特許文献1に示されるように、エンドミルなどの切削軸体(転削工具)を、チャック部に設けられたハイドロチャック機構により締結し保持するホルダが知られている。
このホルダは、軸線回りに回転させられるホルダ本体と、ホルダ本体の軸線方向の先端部に位置して軸線方向に延びる筒状のチャック部と、チャック部の周壁の壁内に形成されて軸線回りに延びる環状の流体室と、流体室に収容された流体の圧力を調整可能な調整部と、を備えている。
そして、チャック部の周壁のうち、流体室の径方向内側に隣接する内壁部が、流体室の内圧の上昇に応じて径方向内側へ向けて弾性変形することで、この内壁部が、チャック部に挿入された切削軸体を押圧して、チャック部は切削軸体を締結し保持する。
この種のハイドロチャック機構を備えたホルダは、チャック部により切削軸体を保持することで、自然に切削軸体の振れ出し調整(ホルダの軸線に対して切削軸体の中心軸を芯合わせする調整)が行われるため、振れ出し調整作業を実質的になくすことができる。また切削軸体の着脱操作も容易である。
国際公開第2012/160664号
しかしながら、上記従来のホルダでは、例えば振れ出し精度を高い精度に維持したまま、切削軸体に対する締結力や引き込み力(切削軸体をホルダ内部に引き込む力)を増大させることは難しかった。
つまり、ハイドロチャック機構を備えたホルダに対しては、振れ出し精度を高めることや、締結力や引き込み力を高めることなど、種々(複数)の機能が同時に要求されるが、その対応が困難であった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、例えば振れ出し精度の向上や、締結力及び引き込み力の確保等、ハイドロチャック機構に対して要求される種々の機能に、容易に対応することが可能なホルダ、及びこれを用いた切削工具を提供することを目的としている。
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
すなわち、本発明のホルダは、軸線回りに回転させられるホルダ本体と、前記ホルダ本体の軸線方向の先端部に位置して前記軸線方向に延びる筒状のチャック部と、前記チャック部の周壁の壁内に形成されて前記軸線回りに延びる環状の流体室と、前記流体室に収容された流体の圧力を調整可能な調整部と、を備え、前記チャック部の周壁のうち、前記流体室の径方向内側に隣接する内壁部が、前記流体室の内圧の上昇に応じて径方向内側へ向けて弾性変形可能とされており、前記流体室は、前記チャック部の周壁に前記軸線方向に間隔をあけて複数設けられているとともに、これらの流体室は、互いに連通することなく独立して形成されており、各流体室に対して前記調整部が設けられることを特徴とする。
また本発明は、前述のホルダと、前記ホルダの前記チャック部に挿入される切削軸体と、を備えた切削工具であって、前記切削軸体は、切れ刃が形成された刃部と、前記チャック部に挿入されるシャンク部と、を有し、前記シャンク部のうち、前記内壁部に対向する部分には、径方向内側に弾性変形した該内壁部が係止可能な形状とされた被係止部が形成されていることを特徴とする。
本発明のホルダでは、ホルダ本体のチャック部の周壁の内部(壁内)に、軸線方向に間隔をあけて複数の流体室が設けられている。また、これらの流体室は、互いに連通することなくそれぞれ独立して形成されているとともに、各流体室に対応して調整部が設けられている。つまりこのホルダは、チャック部の周壁内に、互いに独立して内圧調整可能な複数の流体室を有している。
本発明のホルダ及びこれを用いた切削工具によれば、このような特別なハイドロチャック機構を備えたことにより、下記の顕著な作用効果を奏する。
すなわち、このホルダのチャック部に、例えばリーマ、ドリル、エンドミル等の刃部を備えた切削軸体(転削工具)を挿入し、該切削軸体のシャンク部(基端部)をチャック部により締結するにあたり、流体室の数に応じて複数の機能を付与することができる。
具体的には、複数の流体室のうち、一の流体室においては、主として切削軸体に対するチャック部の締結力や引き込み力を確保(増大)する機能を付与することができる。
詳しくは、例えば、この流体室の径方向内側の内壁部を薄肉に形成して、該内壁部の弾性変形量を大きく確保したり、流体室の内圧を高く設定したりすることにより、切削軸体を押圧する力を高めて締結力や引き込み力を十分に確保することができる。
さらに、切削軸体のシャンク部に例えばテーパ部や凹部等の被係止部を形成しておき、該被係止部に対して、弾性変形した内壁部が係止可能に構成して、締結力や引き込み力を高めることも可能である。
なお、ここでいう上記「係止可能」とは、内壁部が弾性変形してシャンク部の被係止部を径方向内側へ向けて押圧したときに、例えば単なる円柱外周面とされたシャンク部を押圧する場合に比べて、より大きな締結力が得られたり、シャンク部に対して軸線方向の基端側へ向けた力(引き込み力)を発生させることができたり、シャンク部の軸線方向や周方向への移動を規制することができることを指す。
また、本明細書でいう上記「引き込み力」とは、チャック部に対して切削軸体を抜け止めする向きの力であり、具体的には、チャック部に対して切削軸体を、ホルダ本体の軸線方向の基端側へ向けて(つまりホルダ本体の内部へ向けて)引き込む力である。
また、複数の流体室のうち、上記一の流体室とは異なる他の流体室においては、主として切削軸体の振れ出し精度を高める機能(振れ出し調整機能)を付与することができる。
詳しくは、例えば、この流体室の径方向内側の内壁部を厚肉に形成して、該内壁部の弾性変形量を小さく抑え、かつ、この弾性変形量が周方向に一定となるように構成することにより、振れ出し調整を容易にして、振れ出し精度を高めることができる。
なお、本明細書でいう「振れ出し調整」とは、ホルダの軸線に対して切削軸体の中心軸を同軸に芯合わせするための調整であり、「振れ出し精度」とは、この芯合わせの精度(同軸度の精度)である。
そして本発明では、複雑な操作を必要とすることなく、単にチャック部に切削軸体をチャック(把持し固定)する操作のみによって、この切削軸体の中心軸をホルダ本体の軸線に精度よく芯合わせすることができる。つまり、チャック部が切削軸体を保持することにより、自然に振れ出し調整が行われるため、振れ出し調整作業は実質的に不要である。
以上のように、本発明によれば、チャック部の複数の流体室に対してそれぞれ異なる機能を付与することが可能であり、これにより、ハイドロチャック機構に対して要求される種々の機能に、容易に対応することが可能である。
また、本発明のホルダにおいて、前記チャック部の周壁において、複数の前記流体室に対応して形成された複数の前記内壁部のうち、一の流体室の径方向内側に隣接配置される前記内壁部の厚さが、該一の流体室よりも前記軸線方向の先端側に位置する他の流体室の径方向内側に隣接配置される前記内壁部の厚さよりも、小さくされていることとしてもよい。
この場合、複数の流体室のうち、径方向内側に隣接する内壁部の厚さが薄く設定された一の流体室には、主として切削軸体に対するチャック部の締結力や引き込み力を高める機能を付与しやすくなる。また、複数の流体室のうち、径方向内側に位置する内壁部の厚さが厚く設定された他の流体室には、主として振れ出し精度を高める機能(振れ出し調整機能)を付与しやすくなる。
より詳しくは、一の流体室を、チャック部の周壁における軸線方向の先端部以外の部位(先端部よりも基端側に位置する領域)に配置できるため、この一の流体室の径方向内側に隣接する内壁部を、例えば軸線方向に長く形成することが可能になり、締結力や引き込み力を確実に高めることができる。
また、他の流体室を、チャック部の周壁における軸線方向の先端部に配置できるため、切削軸体の刃部に近い位置で振れ出し調整が行われて、切削軸体の振れ出し精度を確実に高めることができる。
このように、上述した本発明の優れた作用効果を、より確実で顕著なものとすることができる。
また、本発明のホルダにおいて、前記調整部の数は、前記流体室の数に対応しており、これらの調整部が、前記ホルダ本体において周方向に互いに等間隔をあけて配置されていてもよい。
上記構成によれば、複数の流体室に応じて複数の調整部が設けられているので、各流体室の内圧の調整が、精度よく簡単に行える。
そして、これらの調整部が、ホルダ本体において周方向に互いに等間隔に配置されているので、ホルダ本体の回転バランスが安定し、振れ出し精度への影響が抑えられる。
また、本発明の切削工具において、前記被係止部は、前記シャンク部において先端側へ向かうに従い漸次縮径するテーパ部であることとしてもよい。
この場合、シャンク部のテーパ部(被係止部)を、チャック部の内壁部が弾性変形し押圧することにより、ホルダ内部へ向けた切削軸体の引き込み力を確実に発生させることができる。
本発明のホルダ及びこれを備えた切削工具によれば、例えば振れ出し精度の向上や、締結力及び引き込み力の確保等、ハイドロチャック機構に対して要求される種々の機能に、容易に対応することが可能である。
本発明の一実施形態に係るハイドロチャック機構を備えたホルダ、及びこのホルダを用いた切削工具の斜視図である。 図1の切削工具を先端から基端側へ向けて見た正面図である。 図1の切削工具の側面図であり、本発明の要部を部分的に縦断面として表している。 図1の切削工具の側面図であり、図3とは周方向の反対側(軸線を挟んだ反対側)からこの切削工具を見た図である。 図3のV部を拡大して示す図である。 図1の切削工具の切削軸体(リーマ)を示す(a)側面図、(b)背面図(切削軸体を基端から先端側へ向けて見た図)である。
以下、本発明の一実施形態に係るハイドロチャック機構を備えたホルダ10、及びこのホルダ10を用いた切削工具1について、図面を参照して説明する。
〔ホルダ及び切削工具の概略構成〕
本実施形態の切削工具1は、マシニングセンタ等の工作機械の主軸に着脱可能に取り付けられて軸線O回りに回転させられるホルダ10と、ホルダ10のチャック部7に挿入されて該チャック部7に保持される切削軸体(転削工具)3と、を備えている。
本実施形態の例では、切削軸体3として、リーマが用いられている。ただしこれに限定されるものではなく、切削軸体3は、例えばドリル、エンドミル等のリーマ以外の転削工具であってもよい。
図1〜図5に示されるように、ホルダ10は、軸線O回りに回転させられるホルダ本体2と、ホルダ本体2の軸線O方向の先端部に位置して軸線O方向に延びる筒状のチャック部7と、チャック部7の周壁の壁内に形成されて軸線O回りに延びる環状の流体室9と、流体室9に収容された流体の圧力を調整可能な調整部13と、を備えている。
チャック部7の中心軸及び流体室9の中心軸は、ホルダ本体2の軸線O上に一致させられており、これらは互いに同軸に配置されている。
本実施形態のホルダ10は、チャック部7の周壁のうち、流体室9の径方向内側に隣接する内壁部(チャック部7の周壁の内壁のうち、流体室9の径方向内側に位置して流体室9の内面の一部を画成している部分)18が、流体室9の内圧の上昇に応じて径方向内側へ向けて弾性変形可能とされており、該内壁部18が切削軸体3の外周面を押圧することにより、チャック部7が切削軸体3を締結し保持するように構成された、ハイドロチャック機構を備えている。
〔本明細書で用いる向き(方向)の定義〕
本明細書においては、ホルダ本体2の軸線O方向に沿うチャック部7側(図3及び図4における下方)を先端側といい、軸線O方向に沿うチャック部7とは反対側(工作機械の主軸に取り付けられる後述の取付部8側、図3及び図4における上方)を基端側という。
また、軸線Oに直交する方向を径方向といい、径方向のうち、軸線Oに接近する向きを径方向の内側といい、軸線Oから離間する向きを径方向の外側という。
また、軸線O回りに周回する方向を周方向といい、周方向のうち、被削材を切削加工する際に工作機械の主軸によりホルダ本体2が回転させられる向きを工具回転方向Tといい、これとは反対の回転方向を、工具回転方向Tとは反対側(反工具回転方向)という。
〔ホルダ本体〕
図1〜図4において、ホルダ本体2は、鋼材等により形成されており、多段円柱状をなしている。
ホルダ本体2の基端側の端部には、このホルダ本体2を工作機械の主軸に取り付けるための取付部8が設けられている。取付部8の形状は、主軸の形状に対応しており、図示の例ではテーパ状の外周面やキー溝等が形成されている。
ホルダ10は、取付部8が工作機械の主軸に把持された状態で、工具回転方向Tに回転させられる。
ホルダ本体2のうち、取付部8の先端側に隣接する部分は、該ホルダ本体2において最も大径に形成された大径部14となっている。大径部14には、工作機械の主軸に対してホルダ本体2を着脱する際に該ホルダ本体2を把持するために用いられる係止凹部等が形成されている。
ホルダ本体2のうち、大径部14とチャック部7の間に位置する部分は、大径部14よりも小径とされ、チャック部7よりも大径に形成された中径部15となっている。本実施形態の例では、ホルダ本体2の中径部15に、流体室9の内圧を調整する調整部13が配置されている。ただしこれに限定されるものではなく、調整部13は、ホルダ本体2における中径部15以外の部分に配置されていてもよい。調整部13については、別途後述する。
また、上記チャック部7は、ホルダ本体2において最も小径に形成された小径部となっている。
なお、ホルダ本体2の内部には、例えば工作機械の主軸からホルダ10に対して供給されるクーラント(油性又は水溶性の切削液剤、或いは圧縮エア)が流通するクーラント流路が形成されていてもよい。この場合、クーラント流路は、切削軸体3の刃部5に向けて開口される。
〔チャック部〕
図3及び図5に示されるように、チャック部7の周壁は、ホルダ本体2に一体に形成された外筒16と、外筒16の径方向内側に嵌合する内筒17と、を備えている。また、内筒17の径方向内側には、切削軸体3のシャンク部6が嵌合する。
外筒16は、有頂筒状をなしており、該外筒16の天井壁(外筒16に軸線O方向に延びて形成された止め穴において先端側を向く面)には、内筒17の基端面が当接している。そして、外筒16と内筒17の間に、流体室9が液密に画成されている。
本実施形態では、外筒16が、チャック部7の周壁のうち外壁とされ、内筒17が、チャック部7の周壁のうち内壁とされている。
外筒16の外周面は、中径部15から先端側へ向かうに従い漸次縮径するテーパ状に形成されている。外筒16の内周面は、軸線O方向に沿って一定の内径とされている。
内筒17の外周面には、該外周面から径方向内側に窪むとともに周方向に沿って延びる環状溝が形成されており、この環状溝と、該環状溝の径方向外側に対向配置される外筒16の内周面部分とに囲まれて画成された室が、流体室9とされている。内筒17の内周面は、流体室9の内圧が所定値以下である場合には、軸線O方向に沿って一定の内径とされている。
内筒17のうち、流体室9の径方向内側に隣接配置された部分である内壁部18は、該内壁部18以外の部位よりも薄肉に形成されており、弾性変形可能である。内壁部18は、流体室9に充填された油等の流体の圧力が、所定値よりも高められたときに、径方向内側へ向けて弾性変形する。また、この高められた圧力が解除され、流体室9の流体の圧力が所定値以下にまで戻ると、内壁部18は径方向外側へ向けて復元変形する。
また、本実施形態の例では、内筒17の外周面に形成された環状溝における先端部(図5における環状溝の下端部)及び基端部(図5における環状溝の上端部)が、それぞれテーパ状に形成されており、これにより環状溝は、径方向外側へ向かうに従い(溝底から溝の開口部へ向かうに従い)、漸次軸線O方向の幅(溝幅)が大きくされている。
特に図示していないが、外筒16と内筒17の間には、これら筒16、17同士の間の液密性を確保する目的で、Oリング等のシール部材が設けられていてもよい。この場合、シール部材は、外筒16と内筒17の間のうち、流体室9以外の部位に配設される。なお、シール部材は、軸線O方向に間隔をあけて複数設けられていてもよい。
また、本実施形態では、チャック部7の周壁として、外筒16と内筒17が互いに別体に形成され、これらが液密に嵌合する構成を例に挙げて説明しているが、これに限定されるものではない。つまり、これら外筒16と内筒17を別体に形成せずに、一体に形成してもよい。この場合、例えば、チャック部7の周壁における外壁と内壁の間に対応する部分に、チャック部7の先端面から基端側へ向けて環状溝を形成し、該先端面に対して別の筒状部材を溶接やろう付け等により接合することにより、環状溝の先端側の開口を塞いで流体室9としてもよい。
つまり、流体室9は、チャック部7の周壁の壁内(内部)において周方向に沿って延びる環状に形成されていればよく、チャック部7の周壁を構成する単一筒(一重筒)、二重筒等の態様については、種々に選択可能である。
〔流体室〕
そして、チャック部7の周壁において流体室9は、軸線O方向に間隔をあけて複数設けられている。また、これらの流体室9は、互いに連通することなくそれぞれ独立して形成されている。
本実施形態では、複数の流体室9として、一の流体室である第1流体室11と、上記一の流体室とは軸線O方向の位置が異なって配置された(具体的には一の流体室よりも先端側に配置された)、他の流体室である第2流体室12と、が設けられている。
チャック部7の周壁において、複数の流体室9に対応して形成された複数の内壁部18のうち、第1流体室11の径方向内側に隣接配置される内壁部21の厚さ(径方向の厚さ)は、該第1流体室11よりも軸線O方向の先端側に位置する第2流体室12の径方向内側に隣接配置される内壁部22の厚さよりも、小さくされている。
本実施形態においては、内壁部21の厚さの、内壁部22の厚さに対する比が、1/2程度とされている。ただし上記比は、1/2程度に限定されるものではない。
図5に示される例では、第1流体室11の径方向内側に位置する内壁部21の軸線O方向に沿う長さが、第2流体室12の径方向内側に位置する内壁部22の軸線O方向に沿う長さよりも、大きくされている。
また、第1流体室11に収容される流体の内容量が、第2流体室12に収容される流体の内容量よりも、大きくされている。
内壁部21は、第1流体室11のうち先端部及び基端部以外の中間部(先端部と基端部の間に位置する中間領域)に対応する部分では、軸線O方向に沿って一定の厚さに形成されている。内壁部22は、第2流体室12のうち先端部及び基端部以外の中間部(同上)に対応する部分では、軸線O方向に沿って一定の厚さに形成されている。
〔調整部〕
図3に示されるように、ホルダ本体2には、各流体室9に対して調整部13が設けられている。本実施形態においては、調整部13が、複数の流体室9に対応して複数設けられている。
具体的には、これらの調整部13として、第1流体室(一の流体室)11に連通して該第1流体室11の内圧を調整可能な調整部(一の調整部)31と、第2流体室(他の流体室)12に連通して該第2流体室12の内圧を調整可能な調整部(他の調整部)32と、が設けられている。つまり、本実施形態の調整部13の数は、流体室9の数に対応して2つである。
調整部13は、ホルダ本体2の中径部15に形成された雌ネジ穴と、この雌ネジ穴に螺着するとともに、該雌ネジ穴の内部に収容される雄ネジ(圧力調整ネジ)と、を備えている。調整部13の雌ネジ穴の内部と、流体室9とは、互いに連通している。
具体的には、複数の調整部13のうち、調整部31の雌ネジ穴の内部と、第1流体室11とが、ホルダ本体2の内部に形成された連絡流路41を通して連通している。より詳しくは、図5に示されるように、チャック部7の周壁の外筒16と内筒17の間には、第1流体室11の基端側(図5における上方)に隣接する部分に僅かな隙間が設けられており、調整部31の雌ネジ穴の内部と第1流体室11とは、連絡流路41及び前記隙間を通して、互いに連通している。
また図3において、複数の調整部13のうち、調整部32の雌ネジ穴の内部と、第2流体室12とが、ホルダ本体2の内部に形成された連絡流路42を通して連通している。
なお、調整部31、32の雌ネジ穴の内部(雄ネジにより塞がれた部分)、連絡流路41、42及び前記隙間には、第1流体室11及び第2流体室12と同様に油等の流体が充填されている。
従って、調整部31の雄ネジ(一の圧力調整ネジ)を締め込むことにより、第1流体室11の内圧が所定値よりも高められる。また、調整部31の雄ネジを緩めることにより、第1流体室11の内圧が所定値以下に低下する。
また、調整部32の雄ネジ(他の圧力調整ネジ)を締め込むことにより、第2流体室12の内圧が所定値よりも高められる。また、調整部32の雄ネジを緩めることにより、第2流体室12の内圧が所定値以下に低下する。
つまり、調整部13の雌ネジ穴に対する雄ネジのねじ込み量を調整することにより、流体室9内の流体の圧力(内圧)が増大又は減少するように構成されている。
そして、これらの調整部31、32は、ホルダ本体2において周方向に互いに等間隔をあけて配置されている。具体的に、調整部31、32は、互いに軸線Oに関して回転対称に配置され、かつ、互いに同一形状に形成されている。
また、連絡流路41、42については、互いに軸線Oに関して回転対称には配置されておらず、また互いに異なる形状に形成されている。
〔切削軸体〕
図2〜図6(a)(b)に示されるように、切削軸体3は、被削材に切り込む切れ刃4が形成された刃部5と、刃部5よりも基端側に配置されてチャック部7に挿入されるシャンク部6と、を有している。
切れ刃4は、刃部5における先端側の端縁や径方向外側の端縁に配置されており、工具回転方向Tを向いている。本実施形態の例では、切削軸体3がリーマであり、切れ刃4は刃部5における少なくとも径方向外側の端縁に配置されている。
切削軸体3のシャンク部6は、チャック部7の周壁に対して、その径方向内側に取り外し可能に嵌合する。なお、チャック部7の周壁の内周面と、シャンク部6の外周面との間には、僅かな隙間(調整代)が設けられている。また、シャンク部6がチャック部7に嵌合した際、切削軸体3の刃部5は、チャック部7から先端側へ向けて突出させられる。
切削軸体3は、多段円柱状(多段軸状)をなしており、少なくともその先端部に配置される刃部5の切れ刃4が、超硬合金等の硬質材料により形成される。切削軸体3の刃部5の中心軸とシャンク部6の中心軸は、互いに同軸に配置される。
本明細書では、切削軸体3の中心軸(軸線)を、上述したホルダ本体2の軸線Oとは区別して、中心軸Oaという。つまり、切削軸体3において、中心軸Oa方向に沿ってシャンク部6から刃部5側へ向かう方向が先端側であり、刃部5からシャンク部6側へ向かう方向が基端側である。
なお、本実施形態のホルダ10が有するハイドロチャック機構は、ホルダ本体2の軸線Oに対して、切削軸体3の中心軸Oaを同軸に芯合わせする機能(振れ出し調整機能)を有している。従って、切削軸体3がチャック部7に嵌合し、ハイドロチャック機構により締結されたときに、中心軸Oaと軸線Oとは、実質的に同軸に配置されることとなる(互いに一致させられる)。
図6(a)に示される例では、シャンク部6の外径は、刃部5の外径よりも大きくなっている。具体的に、シャンク部6のうち、最も先端側に位置して刃部5の基端側に隣接配置されるシャンク先端部19は、該シャンク先端部19以外の部位(シャンク先端部19の基端側に位置する部位)よりも大径とされている。
図3〜図5に示されるように、切削軸体3がチャック部7に装着された際に、シャンク先端部19の基端面は、チャック部7の周壁の先端面に当接する。また、切削軸体3の基端面(シャンク部6の基端面)と、チャック部7の外筒16の天井壁との間には、若干の隙間が設けられる。
シャンク先端部19の基端面がチャック部7の周壁の先端面に当接することにより、チャック部7に対する切削軸体3の、それ以上の基端側へ向けた移動が規制される。
図6(a)において、シャンク部6のうち、シャンク先端部19よりも基端側に位置する部分には、チャック部7の周壁の内壁部18が係止可能な形状とされた被係止部が形成されている。
なお、ここでいう上記「係止可能」とは、内壁部18が弾性変形してシャンク部6の被係止部を径方向内側へ向けて押圧したときに、例えば単なる円柱外周面とされたシャンク部6を押圧する場合に比べて、より大きな締結力が得られたり、シャンク部6に対して基端側へ向けた力(引き込み力)を発生させることができたり、シャンク部6の中心軸Oa(軸線O)方向や周方向への移動を規制することができることを指す。
本実施形態においては、この被係止部として、中心軸Oa方向の基端から先端側へ向かうに従い漸次縮径するテーパ部20が形成されている。本実施形態の例では、テーパ部20が、シャンク部6の基端部に配置されている。
図5に示されるように、本実施形態の例では、テーパ部20が、シャンク部6のうち、チャック部7の周壁の内壁部21に対向する部分に形成されている。そして、このテーパ部20に対して、径方向内側に弾性変形した内壁部21が係止可能である。具体的には、弾性変形した内壁部21が、テーパ部20を径方向内側へ向けて押圧することにより、切削軸体3をチャック部7に対して基端側(ホルダ本体2の内部)へ向けて引き込む引き込み力が発生するようになっている。
なお、シャンク部6の被係止部として、本実施形態で説明したテーパ部20を設ける代わりに、又はこれとともに、シャンク部6の外周面から窪むディンプル状や溝状等の凹部を形成してもよい。また、シャンク部6の外周面の表面粗さを、所定値以上に粗く設定することにより摩擦抵抗を増大させて、被係止部を形成してもよい。
また、シャンク部6のうち、内壁部22に対向する部分には、被係止部は形成されておらず、この部分は単なる円柱外周面に形成されている。
〔切削軸体をチャック部に装着する手順〕
次に、本実施形態のホルダ本体2のチャック部7に、切削軸体3のシャンク部6を装着する手順について説明する。
図3及び図5において、まず、チャック部7の周壁の径方向内側に、切削軸体3のシャンク部6を挿入するとともに、該シャンク部6のシャンク先端部19における基端面を、チャック部7の周壁の先端面に当接させる。
次いで、複数の調整部13のうち、一の調整部31の雄ネジを締め込むことにより、第1流体室11の内圧を増大させる。これにより、第1流体室11に隣接する内壁部21が径方向内側に弾性変形して、シャンク部6のテーパ部20近傍に押圧される。
この内壁部21の押圧領域では、主として切削軸体3に対するチャック部7の締結力及び引き込み力が高められるようになっている。
なお、本明細書でいう上記「引き込み力」とは、チャック部7に対して切削軸体3を抜け止めする向きの力であり、具体的には、チャック部7に対して切削軸体3を、ホルダ本体2の軸線O方向の基端側へ向けて(つまりホルダ本体2の内部へ向けて)引き込む力である。
次いで、複数の調整部13のうち、他の調整部32の雄ネジを締め込むことにより、第2流体室12の内圧を増大させる。これにより、第2流体室12に隣接する内壁部22が径方向内側に弾性変形して、シャンク部6においてテーパ部20よりも先端側に位置する円柱外周面に押圧される。
なお、第2流体室12の内圧の上昇による内壁部22の径方向内側へ向けた弾性変形量は、上述した第1流体室11の内圧の上昇による内壁部21の径方向内側へ向けた弾性変形量に比べて、小さく設定される。
この内壁部22の押圧領域では、主としてホルダ本体2の軸線Oに対する切削軸体3の中心軸Oaの振れ出し精度を高める調整(振れ出し調整)が行える。
なお、本明細書でいう「振れ出し調整」とは、ホルダ10の軸線Oに対して切削軸体3の中心軸Oaを同軸に芯合わせするための調整であり、「振れ出し精度」とは、この芯合わせの精度(同軸度の精度)である。
また、切削軸体3をチャック部7から取り外す際は、調整部31、32の各雄ネジを緩めればよい。これにより、第1流体室11及び第2流体室12の内圧が低下するとともに、切削軸体3に対するチャック部7の締結が解除されて、切削軸体3を取り外すことができる。
なお、本実施形態では、上述したチャック部7に対する切削軸体3の着脱作業を、ホルダ本体2を工作機械の主軸に装着した状態のまま、行うことができるようになっている。
〔本実施形態による作用効果〕
以上説明した本実施形態のホルダ10では、ホルダ本体2のチャック部7の周壁の内部(壁内)に、軸線O方向に間隔をあけて複数の流体室9が設けられている。また、これらの流体室9は、互いに連通することなくそれぞれ独立して形成されているとともに、各流体室9に対応して調整部13が設けられている。つまりこのホルダ10は、チャック部7の周壁内に、互いに独立して内圧調整可能な複数の流体室9を有している。
本実施形態のホルダ10及びこれを用いた切削工具1によれば、このような特別なハイドロチャック機構を備えたことにより、下記の顕著な作用効果を奏する。
すなわち、このホルダ10のチャック部7に、例えば本実施形態で説明したリーマや、それ以外のドリル、エンドミル等の刃部5を備えた切削軸体(転削工具)3を挿入し、該切削軸体3のシャンク部6をチャック部7により締結するにあたり、流体室9の数に応じて複数の機能を付与することができる。
具体的には、複数の流体室9のうち、一の流体室である第1流体室11においては、主として切削軸体3に対するチャック部7の締結力や引き込み力を確保(増大)する機能を付与することができる。
詳しくは、例えば本実施形態で説明したように、第1流体室11の径方向内側の内壁部21を薄肉に形成して、該内壁部21の弾性変形量を大きく確保したり、第1流体室11の内圧を高く設定したりすることにより、切削軸体3を押圧する力を高めて締結力や引き込み力を十分に確保することができる。
なお、本実施形態では、内壁部21の軸線O方向の長さが大きくされているため、該内壁部21の径方向内側へ向けた弾性変形量をより大きく確保しやすくなって、上述の締結力や引き込み力を高める効果が格別顕著なものとなる。
さらに、切削軸体3のシャンク部6に例えばテーパ部20や凹部等の被係止部を形成しておき、該被係止部に対して、弾性変形した内壁部21が係止可能に構成して、締結力や引き込み力を高めることも可能である。
また、複数の流体室9のうち、上記一の流体室とは異なる他の流体室である第2流体室12においては、主として切削軸体3の振れ出し精度を高める機能(振れ出し調整機能)を付与することができる。
詳しくは、例えば本実施形態で説明したように、第2流体室12の径方向内側の内壁部22を厚肉に形成して、該内壁部22の弾性変形量を小さく抑え、かつ、この弾性変形量が周方向に一定となるように構成することにより、振れ出し調整を容易にして、振れ出し精度を高めることができる。
なお、本実施形態では、複雑な操作を必要とすることなく、単にチャック部7に切削軸体3をチャック(把持し固定)する操作のみによって、この切削軸体3の中心軸Oaをホルダ本体2の軸線Oに精度よく芯合わせすることができる。つまり、チャック部7が切削軸体3を保持することにより、自然に振れ出し調整が行われるため、振れ出し調整作業は実質的に不要である。
以上のように、本実施形態によれば、チャック部7の複数の流体室9に対してそれぞれ異なる機能を付与することが可能であり、これにより、ハイドロチャック機構に対して要求される種々の機能に、容易に対応することが可能である。
また、本実施形態では、チャック部7の周壁において、複数の流体室9に対応して形成された複数の内壁部18のうち、第1流体室11の径方向内側に隣接配置される内壁部21の厚さが、該第1流体室11よりも軸線O方向の先端側に位置する第2流体室12の径方向内側に隣接配置される内壁部22の厚さよりも、小さくされているので、下記の作用効果を奏する。
すなわちこの場合、複数の流体室9のうち、径方向内側に隣接する内壁部21の厚さが薄く設定された第1流体室11には、主として切削軸体3に対するチャック部7の締結力や引き込み力を高める機能を付与しやすくなる。また、複数の流体室9のうち、径方向内側に位置する内壁部22の厚さが厚く設定された第2流体室12には、主として振れ出し精度を高める機能(振れ出し調整機能)を付与しやすくなる。
より詳しくは、第1流体室11を、チャック部7の周壁における軸線O方向の先端部以外の部位(先端部よりも基端側に位置する領域)に配置できるため、この第1流体室11の径方向内側に隣接する内壁部21を、例えば軸線O方向に長く形成することが可能になり、締結力や引き込み力を確実に高めることができる。
また、第2流体室12を、チャック部7の周壁における軸線O方向の先端部に配置できるため、切削軸体3の刃部5に近い位置で振れ出し調整が行われて、切削軸体3の振れ出し精度を確実に高めることができる。
このように、上述した本実施形態の優れた作用効果を、より確実で顕著なものとすることができる。
また、本実施形態では、調整部13の数が、流体室9の数に対応しており、これらの調整部13が、ホルダ本体2において周方向に互いに等間隔をあけて配置されているので、下記の作用効果を奏する。
すなわち上記構成によれば、複数の流体室9に応じて複数の調整部13が設けられているので、各流体室9の内圧の調整が、精度よく簡単に行える。
そして、これらの調整部13が、ホルダ本体2において周方向に互いに等間隔に配置されているので、ホルダ本体2の回転バランスが安定し、振れ出し精度への影響が抑えられる。
また、本実施形態では、切削軸体3のシャンク部6に設けられた被係止部が、このシャンク部6において基端から先端側へ向かうに従い漸次縮径するテーパ部20であるので、該テーパ部20を、チャック部7の内壁部21が弾性変形し押圧することにより、ホルダ10内部へ向けた切削軸体3の引き込み力を確実に発生させることができる。
また、チャック部7の周壁が、ホルダ本体2に一体に形成された外筒(外壁)16と、外筒16の径方向内側に液密に嵌合される内筒(内壁)17と、を備えており、複数の流体室9が、これら外筒16と内筒17との間に形成されていることから、チャック部7の周壁を簡単な構成としつつ、流体室9を所望形状に精度よく形成できる。
〔本発明に含まれるその他の構成〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前述の実施形態では、複数の流体室9に対応して形成された複数の内壁部18のうち、軸線O方向の基端側に位置する内壁部21の厚さが、先端側に位置する内壁部22の厚さよりも小さくされているとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、内壁部21の厚さは、内壁部22の厚さと同等であってもよいし、内壁部22の厚さよりも大きくてもよい。
詳しくは、前述の実施形態では、切削軸体3がリーマであり、これに応じて、チャック部7の周壁において基端側に位置する第1流体室11に対しては、主として締結力や引き込み力を高める機能を付与し、先端側に位置する第2流体室12に対しては、主として振れ出し調整機能を付与することとした。しかしながら、各流体室9に要求される機能は、切削軸体3の種類や態様によって種々様々であり一様ではないため、それぞれの流体室9に対して付与する機能についても、切削軸体3に応じて種々様々に選択してよい。
また、前述の実施形態では、流体室9の数が2つ(第1流体室11及び第2流体室12)とされているが、流体室9の数は2つに限定されるものではない。すなわち、流体室9は、チャック部7の周壁において軸線O方向に間隔をあけて、3つ以上設けられていてもよい。この場合も、流体室9同士は互いに連通することなく、それぞれ独立して形成され、各流体室9に対して、調整部13が設けられる。
また、前述の実施形態では、複数の調整部31、32が、ホルダ本体2において周方向に等間隔をあけて配置されているとしたが、これに限定されるものではなく、不等間隔をあけて配置してもよい。また、これらの調整部31、32同士が、互いに異なる構成(形状や大きさ等)とされていてもよい。なお、この場合、複数の調整部31、32及び複数の連絡流路41、42を含めた総合的なホルダ本体2の回転バランスを考慮して、ホルダ本体2に複数の調整部31、32及び複数の連絡流路41、42を配置することが好ましい。
また、前述の実施形態では、切削軸体3のシャンク部6に、チャック部7の周壁の内壁部21が係止可能な被係止部が形成されているとしたが、被係止部は設けられていなくてもよい。つまり本発明は、チャック部7の周壁において軸線O方向に間隔をあけて、複数の流体室9が互いに連通することなく独立して設けられるという特別な構成により、上述したように、従来では得られなかった顕著な作用効果を奏するものであり、切削軸体3の被係止部は必須の構成ではない。
また、前述の実施形態では、流体室9、調整部13及びこれらを接続する流路(連絡流路41、42等)に油等の流体が充填されているとしたが、この流体の種類については、流体室9の内圧が高められたときに内壁部18を径方向内側に向けて弾性変形させることが可能なものであればよいことから、油等に限定されるものではない。
また、本発明の切削工具は、例えばバルブフィニッシャーであってもよい。この場合、チャック部7の外周面、又はチャック部7の径方向外側に嵌合する筒状のヘッド部材の外周面に、被削材の下穴(ステムガイド穴)の開口部をバルブシートに加工するための切れ刃が設けられる。そして、バルブフィニッシャーは、リーマからなる切削軸体3により被削材の下穴の切削加工(仕上げ加工)を行いつつ、前記切れ刃によりこの下穴の開口部をテーパ状に切削加工する。
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例及びなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
1 切削工具
2 ホルダ本体
3 切削軸体(転削工具)
4 切れ刃
5 刃部
6 シャンク部
7 チャック部
9 流体室
10 ホルダ
11 第1流体室(一の流体室)
12 第2流体室(他の流体室)
13 調整部
18 内壁部
20 テーパ部(被係止部)
21 第1流体室の径方向内側に隣接配置される内壁部
22 第2流体室の径方向内側に隣接配置される内壁部
31 第1流体室の調整部(一の調整部)
32 第2流体室の調整部(他の調整部)
O 軸線

Claims (5)

  1. 軸線回りに回転させられるホルダ本体と、
    前記ホルダ本体の軸線方向の先端部に位置して前記軸線方向に延びる筒状のチャック部と、
    前記チャック部の周壁の壁内に形成されて前記軸線回りに延びる環状の流体室と、
    前記流体室に収容された流体の圧力を調整可能な調整部と、を備え、
    前記チャック部の周壁のうち、前記流体室の径方向内側に隣接する内壁部が、前記流体室の内圧の上昇に応じて径方向内側へ向けて弾性変形可能とされており、
    前記流体室は、前記チャック部の周壁に前記軸線方向に間隔をあけて複数設けられているとともに、これらの流体室は、互いに連通することなく独立して形成されており、各流体室に対して前記調整部が設けられることを特徴とするホルダ。
  2. 請求項1に記載のホルダであって、
    前記チャック部の周壁において、複数の前記流体室に対応して形成された複数の前記内壁部のうち、一の流体室の径方向内側に隣接配置される前記内壁部の厚さが、該一の流体室よりも前記軸線方向の先端側に位置する他の流体室の径方向内側に隣接配置される前記内壁部の厚さよりも、小さくされていることを特徴とするホルダ。
  3. 請求項1又は2に記載のホルダであって、
    前記調整部の数は、前記流体室の数に対応しており、
    これらの調整部が、前記ホルダ本体において周方向に互いに等間隔をあけて配置されていることを特徴とするホルダ。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のホルダと、
    前記ホルダの前記チャック部に挿入される切削軸体と、を備えた切削工具であって、
    前記切削軸体は、
    切れ刃が形成された刃部と、
    前記チャック部に挿入されるシャンク部と、を有し、
    前記シャンク部のうち、前記内壁部に対向する部分には、径方向内側に弾性変形した該内壁部が係止可能な形状とされた被係止部が形成されていることを特徴とする切削工具。
  5. 請求項4に記載の切削工具であって、
    前記被係止部は、前記シャンク部において先端側へ向かうに従い漸次縮径するテーパ部であることを特徴とする切削工具。
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