JP2016172695A - トリテルペンを有効成分として含有する変形性関節症の予防又は治療の為の組成物 - Google Patents

トリテルペンを有効成分として含有する変形性関節症の予防又は治療の為の組成物 Download PDF

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【課題】変形性関節症の予防又は治療の為の組成物を提供する。軟骨コラーゲン新陳代謝を促進する為の組成物を提供する。【解決手段】本発明の組成物はトリテルペン類を有効成分として含有することにより、軟骨コラーゲン新陳代謝を促進する効果、炎症抑制効果、痛み軽減作用を有し、変形性関節症の予防又は治療に有効である。【選択図】なし

Description

本発明はトリテルペンを有効成分として含有する変形性関節症等の軟骨の異常に関連する疾患の予防又は治療の為の組成物に関する。また、本発明はトリテルペンを有効成分として含有する軟骨コラーゲン新陳代謝を促進する為の組成物に関する。
人を含む脊椎動物は、加齢や生活習慣により運動器症候群(別称:ロコモティブシンドローム)を発症するリスクを抱える。運動器症候群とは、日本臨床整形外科学会により「運動器の衰え・障害によって要介護になるリスクが高まる状態のこと」と定義された。脊椎動物のほぼ全ての関節は、軟骨を有し、軟骨は関節の柔軟性、圧縮性など関節内の運動の平滑さを与えるために重要であり、軟骨が異常をきたすことにより関節の柔軟性、圧縮性の減少、関節や関節を取巻く組織の炎症、疼痛などを含む多くの症状が引き起こされる。そのような症状の例として、変形性関節症、関節リウマチ、変形性脊椎症などが挙げられる。また、ケガなどの外傷的要因による運動障害も運動器症候群に含まれる。
変形性関節症は、膝や股、足関節のような体重負荷のかかる関節で発症しやすい。外傷的な関節の損傷が原因になることがあるが、大半は加齢に伴う軟骨の磨耗と変性及び老化に起因している。
軟骨は、軟骨細胞と基質からなる支持器官である。基質の主要構成成分はII型コラーゲンとプロテオグリカンであり、II型コラーゲンはプロテオグリカンと複合化して繊維ネットワークを構成する。軟骨の磨耗とは運動などの物理的な刺激により軟骨が徐々にすり減っていくことであり、軟骨の変性とは物理的な刺激によって基質成分が破断などの損傷を受けることである。軟骨の老化とは、軟骨細胞による基質生産能の低下と基質の分子レベルでの変化の蓄積といわれている。分子レベルでの変化には、II型コラーゲンへのAGE(最終糖化反応物)の付加とプロテオグリカンの主要構成成分であるアグリカンの低分子量化が含まれる。II型コラーゲンへのAGE付加において、コラーゲンを構成するアミノ酸のリジン及びアルギニン残基をペントースが架橋するペントシジンと呼ばれるAGEが蓄積すると、組織を硬く脆くするため軟骨基質の弾性低下が生じる。軟骨コラーゲンの半減期は100年以上と推定されており、AGEの蓄積は変形性関節症にとって大きな問題である。
軟骨細胞において、II型コラーゲンはN末端及びC末端に各々PIINP及びPIICPというプロペプチドを含むプロコラーゲンとして合成される。プロコラーゲンは特異的酵素によって消化されて成熟II型コラーゲンとなり軟骨基質を構成し、PIINP及びPIICPは血中に放出される。II型コラーゲンには選択的スプライシングによりIIA型とIIB型があり、IIB型のN末端プロコラーゲンはPIINPであるが、IIA型ではPIINPに69アミノ酸からなるシステインリッチ球状ドメインが含まれるPIIANPである。変形性関節症罹患者の血清ではPIIANPレベルが低下しており(非特許文献1)、PIIANPはいわゆる「軟骨合成マーカー」として変形性関節症の有用なマーカーとされている。
また変形性関節症では、軟骨基質分解酵素であるMMP−1、MMP−8、MMP−13がその軟骨の表層で発現が亢進していることが知られている(非特許文献2)。C2Cは、II型コラーゲンが酵素的切断を受けて血液中に放出されたII型コラーゲンのネオエピトープであり、C2Cは、いわゆる「軟骨分解マーカー」として、変形性関節症やリウマチ等の関節症の有用なマーカーとされている(特許文献1)。
現在、変形性関節症等の軟骨の異常に関連する疾患の薬物治療は炎症による痛みや腫れをやわらげるもの、関節の機能が悪くなることを防ぐための対症療法に留まっており、より有効な治療薬が望まれている。
トリテルペンは広く植物界に分布する化合物群であり、オレアナン型テルペンとウルサン型トリテルペンに分類される化合物群である。オレアナン型トリテルペンにはマスリン酸、オレアノール酸等が、ウルサン型トリテルペンにはウルソール酸、コロソリン酸、トルメンチック酸等が含まれる。
植物由来のトリテルペンは生理活性を有する機能性成分として近年注目されており、マスリン酸について大腸癌抑制作用(非特許文献1)、皮膚の美白(特許文献2)、破骨細胞の分化抑制及び骨吸収活性効果(特許文献3)、肥満予防効果(特許文献4)、難消化性デキストリン、コロソリン酸、マスリン酸およびトルメンチック酸を有効成分として含有する組成物について血糖値上昇抑制(特許文献5)、オレアノール酸について抗う蝕(虫歯予防)(特許文献6)、抗ガン作用(特許文献7)、ウルソール酸についてプロトンポンプ阻害作用(特許文献8)等が報告されている。
しかしながら、トリテルペンを用いて、変形性関節症等の軟骨の異常に関連する疾患の予防又は治療に関する試みや示唆はない。
特表2006−501479 国際公開2002/043736 特開2014−141444 国際公開2003/011267 特開2006−347967 特開平1−290619 特開平8−119866 特開2012−25719
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本発明は、変形性関節症等の軟骨の異常に関連する疾患の予防又は治療の為の組成物を提供することを課題とする。また本発明は軟骨コラーゲン新陳代謝を促進する為の組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、植物由来のトリテルペンを服用すると軟骨合成マーカー及び軟骨分解マーカーが共に上昇し、且つ炎症性マーカーが低下することから軟骨コラーゲンの新陳代謝が促進されていることを見いだした。軟骨コラーゲンの新陳代謝を促進することで軟骨の異常に関連する疾患の症状の進行を遅滞させ、症状を緩和させることができる。さらに変形性関節症を罹患した患者において痛みが緩和され、患者のQOLが向上されることを見出し、変形性関節症の予防又は治療の為の組成物として用いうることができることを見出した。
すなわち本発明は以下の通りである。
[1]トリテルペン又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する変形性関節症の予防又は治療の為の組成物。
[2]トリテルペン又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、軟骨コラーゲン新陳代謝を促進する為の組成物。
[3]トリテルペンがオレアナン型又はウルサン型トリテルペンである、前記[1]又は[2]に記載の組成物。
[4]トリテルペンが、マスリン酸及びオレアノール酸から選択されるオレアナン型トリテルペンである前記[3]に記載の組成物。
[5]トリテルペンが、ウルソール酸及びコロソリン酸から選択されるウルサン型トリテルペンである前記[3]に記載の組成物。
本発明のトリテルペンを有効成分として含有する組成物は、軟骨細胞によるII型コラーゲンの合成と変性及び/又は老化した軟骨表層のII型コラーゲンの分解を誘導して軟骨の新陳代謝を促進し、同時に炎症及び痛みを緩和することが出来、患者の身体的QOLを向上させることが出来ることから、変形性関節症などの軟骨の異常に関連する疾患の予防又は治療に有効である。
オリーブ果実から得たトリテルペン類含有液のHPLC分析チャートである。Aのピークはマスリン酸、Bのピークはオレアノール酸である。
本発明において、トリテルペンは炭素数30を基本骨格とする化合物であり、その代表例として五環性トリテルペンが挙げられる。ここで、五環性トリテルペンとは、トリテルペン類の1種であり、イソプレン単位6個から成る五環性の化合物で、炭素数は30個を基本とするが、生合成過程で転位、酸化、脱離あるいはアルキル化され炭素数が前後するものも含まれる。
これらは、天然の植物から得ることも、人工的に得ることもできる。また、市販品も好適に利用することができる。五環性トリテルペンは、一般に、その骨格により分類されている。例えば、オレアナン型トリテルペン、ウルサン型トリテルペン、ルパン型トリテルペン、ホパン型トリテルペン、セラタン型トリテルペン、フリーデラン型トリテルペン、タラキセラン型トリテルペン、タラキサスタン型トリテルペン、マルチフロラン型トリテルペン、ジャーマニカン型トリテルペン等が挙げられる。
五環性トリテルペン類のうち、例えばオレアナン型トリテルペン類の代表例としてはマスリン酸、オレアノール酸、ウルサン型トリテルペン類の代表例としてはウルソール酸、コロソリン酸、トルメンチック酸等が挙げられる。
マスリン酸は、オリーブ、ナツメ、アーモンド、バナバ葉、セージ、アーモンド、リンゴ、クランベリー、カリン、バナバ葉、クランベリー等に含まれる。オレアノール酸は、オリーブ、ブドウ、ビート、ナツメ、アーモンド、バナバ葉、オリーブ葉、セージ、サンザシ、ラズベリー、カリン、ローズマリー葉、グァバ、シソ葉、ブルーベリー、プルーン、ビワ、ザクロ、レモンバーム、バジル、ローズヒップ、カキ、センブリ等に含まれる。ウルソール酸は、オリーブ(葉)、アーモンド、リンゴ、クランベリー、サンザシ、ラズベリー、カリン、ローズマリー葉、グァバ、シソ葉、ブルーベリー、プルーン、ビワ、ザクロ、レモンバーム、バジル、ローズヒップ、カキ、センブリ、クマコケモモに含まれる。コロソリン酸は、カリン、アーモンド、バナバ葉、クランベリー、ビワの葉、シソの葉等に含まれる。トルメンチック酸はノウゼンカズラ、イチゴ等に含まれる。
本発明において、トリテルペンは好ましくはオレアナン型トリテルペン及びウルサン型トリテルペンから選択され、さらに好ましくはマスリン酸、オレアノール酸、ウルソール酸及びコロソリン酸から選択され、最も好ましくはマスリン酸及び/又はオレアノール酸である。
これらトリテルペンは前記植物から公知の方法で抽出、精製して得ることができるほか、化学合成によって得ることもできる。トリテルペンは単独の成分または数種類の成分の混合物であっても良い。また、薬理学的に許容される塩及び/又は誘導体の形態で使用することもできる。
例えば乾燥、半乾燥又は未乾燥のオリーブ果実、搾油工程で生産されるオリーブオイル搾油粕を出発原料とし、マスリン酸等のトリテルペンが抽出可能な低級アルコール(エタノール、メタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールなど)、又はその含水アルコールでトリテルペンを抽出し、必要であれば、ケン化処理、中和を行い、吸着剤としてオクタデシルシリカ(ODS)、シリカゲル、合成吸着剤などを使用して、分画、精製してマスリン酸及びオレアノール酸を主成分として含むトリテルペンの混合物を得ることが出来る。
他の植物を出発原料とする場合には、原料として使用する植物に適した方法でトリテルペンを得ることができる。また、得られるトリテルペンの成分の種類及びその構成比は原料として使用する植物に依存する。
本発明の組成物の投与量は、投与される患者の年齢、性別、症状の程度、投与形態によって異なるが、成人では1日あたり、トリテルペンの量として好ましくは0.1mg/kg以上である。また特に投与量の上限はないが、50mg/kgを超えると製品コストの観点から好ましくない。
本発明の組成物は、助剤とともに任意の形態に製剤化して、経口投与または非経口投与が可能な医薬品とすることができる。例えば、経口用の剤形としては、錠剤、口腔内速崩壊錠、カプセル、顆粒、細粒などの固形投薬形態、シロップ及び懸濁液のような液体投薬形態とすることができる。非経口の剤形としては、注射剤、点眼剤、点鼻剤、貼付剤、坐剤、皮膚外用剤の形態で投与される。なお、医薬品には医薬部外品も含まれる。
固形投薬形態とする場合、一般製剤の製造に用いられる種々の添加剤を適当量含んでいてもよい。このような添加剤として、例えば賦形剤、結合剤、酸味料、発泡剤、人工甘味料、香料、滑沢剤、着色剤、安定化剤、pH調整剤、界面活性剤などが挙げられる。
液体投薬形態とする場合、本発明の組成物は必要に応じてpH調製剤、緩衝剤、溶解剤、懸濁剤等、張化剤、安定化剤、防腐剤などの存在下、常法により製剤化することができる。
皮膚外用剤の形態としては、特に限定されず、例えば、乳液、クリーム、化粧水、パック、分散液、洗浄料、メーキャップ化粧料、頭皮・毛髪用品等の化粧品や、軟膏剤、クリーム剤、外用液剤等の医薬品などとすることができる。上記成分以外に、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、美白剤、保湿剤、各種皮膚栄養成分、紫外線吸収剤、酸化防止剤、油性成分、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、色剤、水、防腐剤、香料等を必要に応じて適宜配合することができる。
本発明の組成物は、機能性食品、健康食品、特定保健用食品、栄養機能食品等の保健機能食品、特別用途食品(例えば、病者用食品)、健康補助食品、サプリメント等として調製されてもよい。サプリメントとして、例えば、一般的なサプリメントの製造に用いられる種々の添加剤とともに錠剤、丸状、カプセル(ハードカプセル、ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)状、粉末状、顆粒状、細粒状、トローチ状、液状(シロップ状、乳状、懸濁状を含む)等の形状とすることができる。
本発明の組成物は、食品に配合することができる。配合可能な食品に特に限定はないが、例えば、飴、グミ、チューインガム等の菓子類;クッキー、クラッカー、ビスケット、チョコレート、プリン、ゼリー、スナック菓子、米菓、饅頭、羊羹などの菓子類;アイスクリーム、アイスキャンディー、シャーベット、ジェラート等の冷菓;ドーナツ、ケーキ、食パン、フランスパン、クロワッサン等のベーカリー食品;うどん、そば、中華めん、きしめん等の麺類;白飯、赤飯、ピラフ等の米飯類;カレー、シチュー、ドレッシング等のソース類;ハム、ソーセージ、かまぼこ、ちくわ、魚肉ソーセージ等の練り製品;天ぷら、コロッケ、ハンバーグなどの各種惣菜類;ジュース、お茶等の飲料等が挙げられる。
以下本発明を具体的に説明する為に実施例を示すが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
試験例1[オリーブ果実由来オレアナン型トリテルペンの製造方法]
圧搾等の公知の搾油法によりオリーブオイルを除去したオリーブ果実搾油粕を得た。このオリーブ果実搾油粕100gに90%含水エタノール(v/v)を250g加えて70℃で攪拌しながら2時間加熱した後、固液分離により得られた液体部分をエバポレーター等で減圧留去して濃縮液を得た。この濃縮液を水に分散させ、合成吸着樹脂アンバーライトXAD4(オルガノ社製)を担体としたカラムクロマトグラフィーに供し、50%含水エタノールから100%エタノールに至る10%刻みのステップワイズ溶出によりトリテルペン高含有画分を得、減圧留去して液体状のオリーブ果実由来オレアナン型トリテルペンを得た。このトリテルペン含有液にはマスリン酸とオレアノール酸が10:4の割合で含まれていた(図1)。ピークの同定は、標準品とのリテンションタイムの比較及びLC/MS解析により行った。定量値は、標準品のピーク面積を基準に算出した。
マスリン酸含有量が10重量%になるようにγ−シクロデキストリンを添加して混合し、水に分散した後、スプレードライして粉末のオリーブ果実由来オレアナン型トリテルペン剤とした。
試験例2[トリテルペン含有サプリメントの作製]
表1で示した配合で原料を混合し、混合物の内容量が250mgになるようにゼラチンハードカプセルに充填した。本試験例で得られる1カプセルあたりのマスリン酸含有量は17mg、オレアノール酸含有量は6.8mgである。
試験例3[軽度変形性膝関節症患者における評価]
(1)臨床試験の方法と効果の判断基準・被験者の選択
問診で軽度変形性膝関節症と診断され、且つ、治療を必要としない20名の患者を被験者とした。平均年齢は58.1歳で、男性1名、女性19名である。
(2)トリテルペン含有サプリメントの服用方法
無作為に12名を選抜し、試験例2で得たトリテルペン含有サプリメントを1日1回朝食前に3カプセル(マスリン酸として51mg/日)を12週間、毎日服用させた。残りの8名には比較例のカプセルを同様に服用させた。
(3)臨床マーカー試験
カプセルの服用開始前及び服用終了後に採血し、軟骨合成マーカー(PIIANP)、軟骨分解マーカー(C2C)及び炎症マーカー(hsCRP)を測定した。結果をそれぞれ下記表2、表3及び表4に示す。
軟骨合成マーカーは、PIIANP ELISA kit (ミリポア社製)を用いて測定した。軟骨分解マーカーは、Collagen Type II Cleavage ELISA(IBEX社製)を用いて測定した。炎症マーカーは、N-ラテックス CRPII(シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス社製)を用いて測定した。
*:±は標準誤差である。
実施例では服用により血中PIIANPが上昇したが、比較例では若干減少した(表2)。このことから、オリーブ果実由来トリテルペンには軟骨合成を促進する効果が認められた。
*:±は標準誤差である。
実施例では服用により血中C2Cが上昇したが、比較例では若干の増加にとどまった(表3)。このことから、オリーブ果実由来トリテルペンには軟骨表層の分解を促進する効果が認められた。
*:±は標準誤差である。
実施例では服用により血中hsCRPが低下したが、比較例では増加した(表4)。このことから、オリーブ果実由来トリテルペンには炎症を抑制する効果が認められた。
以上表2〜表4の結果をまとめると、オリーブ果実由来トリテルペンには、軟骨合成と軟骨表層の分解を促進する効果があることが認められ、軟骨部分で新陳代謝が行われていると結論づけることが出来ることにより軟骨コラーゲンの新陳代謝を促進する効果があることが示された。
(4)VASの評価
VAS(Visual Analog Scale)とは診療現場で広く使われている痛みの評価方法で、10cmの直線状の両端を「痛みはない」と「これまで経験した一番強い痛み」とし、現在の痛みが10cm上のどの位置にあるのかを示す方法である。服用開始前及び服用終了後に実施した。結果を下記表5に示す。
*:±は標準誤差である。
比較例でプラセボ効果が生じたが、実施例においてより顕著にVASの改善効果が認められた。
(5)QOL(Quality of Life)の評価
QOLの評価は、NPO法人健康医療評価研究機構が発行する「SF−8TM日本語版マニュアル」に従い、服用開始前及び服用終了後に実施した。結果を下記表6に示す。
*:±は標準誤差である。
比較例でプラセボ効果が生じたが、実施例においてより顕著にQOLの改善効果が認められた。
以上の結果から、オリーブ果実由来オレアナン型トリテルペンには軟骨合成と軟骨分解を促進して軟骨の新陳代謝を促進する効果が認められた。また炎症抑制効果、痛み軽減作用を有し、被験者のVAS及びQOLが改善される傾向にあった。
また、その他安全性について、血液検査、尿検査、身体測定及び内科的検査の結果、オリーブ果実由来のオレアナン型トリテルペンの摂取による医学的に問題のある変動は認められなかった。

Claims (5)

  1. トリテルペン又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する変形性関節症の予防又は治療の為の組成物。
  2. トリテルペン又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、軟骨コラーゲン新陳代謝を促進する為の組成物。
  3. トリテルペンがオレアナン型又はウルサン型トリテルペンである、請求項1又は請求項2に記載の組成物。
  4. トリテルペンが、マスリン酸及びオレアノール酸から選択されるオレアナン型トリテルペンである請求項3に記載の組成物。
  5. トリテルペンが、ウルソール酸及びコロソリン酸から選択されるウルサン型トリテルペンである請求項3に記載の組成物。
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