JP2016171688A - 電力充電供給システム - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の発電設備からの電力を利用して充電及び放電を柔軟に行い、使用方法に高い自由度を持たせ、安定した電力を供給する電力充電供給システムを提供する。
【解決手段】複数の発電設備10、電力消費施設に電力を供給する電力供給ユニット及び電力を電力供給ユニットに充電するための充電設備20を備え、充電設備20は、発電設備の各々に対応して設けられ、電力を極液のイオン変換の形で蓄電する複数のイオン変換ユニット30と、イオン変換ユニット30との間で極液を循環させて、イオン変換ユニット30からの極液を混合して貯留する共通極液タンク40と、共通極液タンク40との間で極液が循環され、極液にイオン変換の形で蓄電された電力を取り出す少なくとも1つのイオン電力化ユニット50と、を備え、イオン電力化ユニット50を電力供給ユニットとして用いるか、イオン電力化ユニット50に電力供給ユニットを電気的に接続する。
【選択図】図2

Description

本発明は、電力充電供給システムに関し、さらに詳しくは、極液のイオン変換を利用して充電する電力充電供給システムに関する。
事業所等の大規模な施設やオフィスビル等の重要な建物では、災害時にそなえて、非常用電源が用意されていることが多い。ディーゼル発電機や鉛蓄電池を用いた蓄電設備は、こうした非常用電源として利用されている。
近年、太陽光発電や風力発電は、蓄電池への充電を行う技術として注目されている。施設や建物では、平常時に、一般的な送電網から電力の供給を受けると共に、太陽光発電等を利用して蓄電池を充電することが行われる。充電した電力は、災害時に非常時の電源として主に利用されている。ただし、充電した電力は、非常時の電源として利用する他に、上記の施設や建物で、例えば、夜間に消費することや、売電することにも利用されている。
上記のように、太陽光発電と蓄電池をと組み合わせた技術は、これまでに、いくつか提案されている。
例えば、特許文献1により提案されている電力管理システムは、複数の住戸が集まって構成された集合住宅の電力を管理するシステムである。この電力管理システムは、集合住宅に設置された共用太陽光パネルと、共用太陽光パネルと商用電源とに接続された複数の共用蓄電池と、動作用蓄電池を有し、動作用蓄電池に蓄電された電力を用いて、集合住宅の外部で動作する外部動作機械と、共用太陽光パネル、商用電源、複数の共用蓄電池のいずれかから、動作用蓄電池に蓄電するよう構成された蓄放電機器と、を備えている。
蓄放電機器は、共用太陽光パネル又は商用電源から複数の共用蓄電池における各共用蓄電池へ別々に蓄電可能である。さらに、蓄放電機器は、複数の共用蓄電池のうち少なくともいずれかの共用蓄電池から動作用蓄電池へ放電可能である。また、蓄放電機器は、いずれかの共用蓄電池から動作用蓄電池へ放電を行う放電モードと、いずれかの共用蓄電池に対して共用太陽光パネル又は上記商用電源から蓄電を行うとともに、他の共用蓄電池から動作用蓄電池へ放電を行う蓄放電モードと、共用太陽光パネル又は商用電源から動作用蓄電池へ直接蓄電を行う直接蓄電モードと、いずれかの共用蓄電池に対して共用太陽光パネル又は商用電源から蓄電を行う蓄電モードと、に切換可能に構成されている。
なお、この特許文献1の電力管理システムでは、動作用蓄電池等への蓄電は電気的に接続することによって行われている。
その一方で、特許文献2により提案されている充電装置は、蓄電池の種類に対応した複数の充電パターンを記憶した充電パターン記憶部を有し、充電パターン記憶部から、充電のために接続された蓄電池の種類に対応した充電パターンを選択して充電を行うようにしている。蓄電池は、具体的に、自動車用鉛蓄電池、アルカリ蓄電池、ベント式蓄電池、密閉式据置型鉛蓄電池、ニッカド蓄電池、及びリチウムイオン蓄電池である。
特開2014−187830号公報 特開2013−255404号公報
しかしながら、上述したディーゼル発電機は、排気ガスの排出、及び騒音や振動の発生といった環境の面で問題がある。また、ディーゼル発電機は、燃料の確保、保管、及び補給等の問題もある。
一方、特許文献1により提案されている電力管理システム及び特許文献2により提案されている充電装置を利用して、太陽光発電や風力発電等の複数の発電設備から供給される電力を充電する場合、原則的に1つの発電設備に対し、それぞれの電圧や電力に対応させた充電設備を別々に設けることが必要になる。これらの電力管理システムや充電装置を利用して複数の発電設備から供給される電力を1つの充電設備で蓄電池に充電することは可能であるが、その場合、複雑な制御回路を設けて充電を制御することが必要になる。発電設備毎に充電設備を設けたり、複雑な制御回路を設けたりした場合、充電設備の設置に大きな費用がかかる。
また、特許文献1により提案されている電力管理システムで使用される蓄電池は、鉛蓄電池等を用いたものである。鉛蓄電池は、供給される電圧が時間と共に変化し、不安定な電力しか供給できない発電設備で発電された電力を効率的に蓄電することには、本来不向きである。すなわち、風力発電による発電は、風の強さに影響されるため、一定に発電を行うことができない。また、太陽光発電は、夜間に発電することができない。また、太陽光発電による発電量は天候に左右される。そのため、特許文献1により提案されている電力管理システムは、風力発電や太陽光発電といった発電設備から供給される電力を充電することに利用するには、本来不向きである。
同様に、特許文献2により提案されている充電装置も、電圧が不安定な発電設備から供給された電力を充電するには、本来不向きである。
また、特許文献1により提案されている電力管理システムで充電される電池や特許文献2によって提案されている充電装置で充電される電池は、電極の化学変化を利用して充電するものである。そのため、電池を充電している間、電池から放電することができない。すなわち、特許文献1により提案されている電力管理システムで充電される電池及び特許文献2によって提案されている充電装置で充電される電池は、充電と放電とを同時に行うことができない。
また、特許文献1により提案されている電力管理システムで使用される蓄電池及び特許文献2により提案されている充電装置で充電される蓄電池は、一定の場所に固定して用いることが想定されているので、ある敷地内や一定範囲の地域内等で自由に搬送して用いたい場合には不向きである。
このように、特許文献1や特許文献2によって提案されている技術は、複数の発電設備から電力を同時に供給される場合、発電設備の発電圧が不安定である場合、並びに充電と放電とを同時に行う場合等に利用することには、電池本来の特性が不向きであるという不都合な点や、充電された蓄電池の使用方法に制約があり、蓄電池の使用方法の自由度が低いという不都合な点が存在する。
また、上記の電力管理システムや充電装置に用いられる電池は、1箇所の施設で複数の電池を充電することは想定されていない。そのため、上記の電力管理システムや充電装置が適用される施設等において、何らかのトラブルによって電池が使用できない状況が生じた場合、電力の供給ができなくなる場合がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、(1)電力の供給が不安定な複数の発電設備からの電力を利用して充電及び放電を柔軟に行うことができ、(2)充電された蓄電池の使用方法に高い自由度を持たせることでき、(3)蓄電池にトラブルが生じた場合でも電力の供給を停止することなく安定した電力を供給することができる電力充電供給システムを提供することにある。
上記課題を解決するための本発明に係る電力充電供給システムは、時間の経過に伴って発電力が変化する複数の発電設備と、電力を消費する所定の施設に電力を供給する電力供給ユニットと、複数の前記発電設備から供給される電力を利用し、前記電力供給ユニットを充電するための充電設備と、を備え、前記充電設備は、複数の前記発電設備の各々に対応して設けられ、前記発電設備から供給された電力を、極液のイオン変換の形で蓄電する複数のイオン変換ユニットと、複数の前記イオン変換ユニットとの間で前記極液を循環させて、複数の前記イオン変換ユニットから送られた前記極液を混合して貯留する共通極液タンクと、前記共通極液タンクとの間で前記極液が循環されると共に、前記極液にイオン変換の形で蓄電された電力を取り出すことができる、少なくとも1つのイオン電力化ユニットと、を備え、前記イオン電力化ユニットを電力供給ユニットとして用いることを特徴とする。
この発明によれば、充電設備が上記のように、複数のイオン変換ユニット、共通極液タンク及び少なくとも1つのイオン電力化ユニットを備えているので、複数の発電設備から電力を充電設備に供給した場合、各イオン変換ユニットは、印加された電圧に応じて極液のイオン変換をそれぞれ行うことで、極液を充電状態にすることができる。各イオン変換ユニットは印加された電圧に応じて極液のイオン変換を行うので、各発電設備同士の間に発電力の相違がある場合や、発電力が時間の経過に伴い変化する場合でも、同時に複数の発電設備から電力の供給を受け、それぞれの電圧で極液を充電状態に変換することができる。そして、イオン変換された極液を共通極液タンクで混合することで充電状態に変換された極液を貯留し、共通極液タンク内の極液をイオン電力化ユニットに循環させることによって、イオン電力化ユニットで電力として利用することが可能になる。さらに、極液のイオン変換を利用して充電するので、イオン電力化ユニットの充電とイオン電力化ユニットからの放電とを同時に行うことができる。
その結果、この発明によれば、電力の供給が不安定な複数の発電設備からの電力を利用して充電及び放電を柔軟に行うことができる。
上記課題を解決するための本発明に係る電力充電供給システムは、時間の経過に伴って発電力が変化する複数の発電設備と、電力を消費する所定の施設に電力を供給する電力供給ユニットと、複数の前記発電設備から供給される電力を利用し、前記電力供給ユニットを充電するための充電設備と、を備え、前記充電設備は、複数の前記発電設備の各々に対応して設けられ、前記発電設備から供給された電力を、極液のイオン変換の形で蓄電する複数のイオン変換ユニットと、複数の前記イオン変換ユニットとの間で前記極液を循環させて、複数の前記イオン変換ユニットから送られた前記極液を混合して貯留する共通極液タンクと、前記共通極液タンクとの間で前記極液が循環されると共に、前記極液にイオン変換の形で蓄電された電力を取り出す、少なくとも1つのイオン電力化ユニットと、を備え、前記電力供給ユニットと前記イオン電力化ユニットとが電気的に接続されていることを特徴とする。
この発明によれば、充電設備が上記のように、複数のイオン変換ユニット、共通極液タンク及び少なくとも1つのイオン電力化ユニットを備えているので、各イオン変換ユニットは、複数の発電設備から印加された電圧に応じて極液のイオン変換を行うので、各発電設備同士の間に発電力の相違がある場合や、発電力が時間の経過に伴い変化する場合でも、同時に複数の発電設備から電力の供給を受け、それぞれの電圧で極液を充電状態に変換することができる。そして、イオン変換された極液を共通極液タンクで混合することで充電状態に変換された極液を貯留し、共通極液タンク内の極液をイオン電力化ユニットに循環させて、イオン電力化ユニットで電力として利用することが可能になる。さらに、この発明では、前記電力供給ユニットと前記イオン電力化ユニットとが電気的に接続されているので、イオン電力化ユニットから電力を受けて電力供給ユニットを充電することができる。なお、この発明では、前記電力供給ユニットと前記イオン電力化ユニットとが電気的に接続されているので、電力供給ユニットとして、全バナジウムレドックスフロー電池の他に、鉛蓄電池等、一般的に使用されている蓄電池を用いることができる。
その結果、この発明においても、電力の供給が不安定な複数の発電設備からの電力を利用して充電及び放電を柔軟に行うことができる。
本発明に係る電力充電供給システムにおいて、前記電力供給ユニットは、前記充電設備から切り離されて、搬送可能に構成されていることを特徴とする。
この発明によれば、電力供給ユニットが充電設備から切り離されて、搬送可能に構成されているので、電力供給ユニットを充電設備とは別の場所に搬送し、搬送先で電力供給ユニットを電源として利用したり、又は、搬送先で電力供給ユニットに充電したりすることができる。その結果、本発明によれば、充電された蓄電池の使用方法に高い自由度を持たせることできる。
本発明に係る電力充電供給システムにおいて、前記イオン変換ユニットと前記イオン電力化ユニットとが共通化され、相互に交換可能に構成されていることを特徴とする。
この発明によれば、イオン変換ユニットとイオン電力化ユニットとが共通化され、相互に交換可能に構成されているので、イオン電力化ユニットに代えてイオン変換ユニットを電力供給ユニットとして利用し、イオン電力化ユニットが故障したような場合でも、イオン変換ユニットを用いて電力を供給することができる。そのため、電力を消費する施設に電力の供給を停止することなく、安定的に電力を供給することができる。
本発明に係る電力充電供給システムにおいて、前記発電設備と前記充電設備との間には、全バナジウムレドックスフロー電池及びキャパシタユニットの一方又は両方が設けられていることを特徴とする。
この発明によれば、発電設備と充電設備との間に、全バナジウムレドックスフロー電池及びキャパシタユニットの一方又は両方が設けられているので、発電設備から不安定な電力が供給されても、全バナジウムレドックスフロー電池やキャパシタユニットが安定的な電力をイオン変換ユニットに供給することができる。
本発明に係る電力充電供給システムにおいて、前記全バナジウムレドックスフロー電池及び前記キャパシタユニットの一方又は両方は、前記イオン電力化ユニットと共通化され、交換可能に構成されていることを特徴とする。
この発明によれば、全バナジウムレドックスフロー電池及びキャパシタユニットの一方又は両方は、イオン電力化ユニットと共通化され、交換可能に構成されているので、イオン電力化ユニットに代えて全バナジウムレドックスフロー電池及びキャパシタユニットの一方又は両方を電力供給ユニットとして利用し、イオン電力化ユニットが故障したような場合でも、全バナジウムレドックスフロー電池及びキャパシタユニットの一方又は両方を用いて電力を供給することができる。そのため、電力を消費する施設に電力の供給を停止することなく、安定的に電力を供給することができる。
本発明に係る電力充電供給システムにおいて、前記充電設備は、前記電力供給ユニットとは別に、該充電設備で充電される第2電力供給ユニットを有し、前記電力供給ユニットと前記第2電力供給ユニットとが、相互に交換可能に構成されていることを特徴とする。
この発明によれば、充電設備が上記のように第2電力供給ユニットを有し、電力供給ユニットと第2電力供給ユニットとが相互に交換可能に構成されているので、電力供給ユニットが故障等により電力を供給できないときでも、第2電力供給ユニットを用いて電力の供給を行うことが可能である。すなわち、この発明は、電力の供給を停止することなく安定的に供給することができるというフェールセーフを実現することができる。
本発明によれば、(1)電力の供給が不安定な複数の発電設備からの電力を利用して充電及び放電を柔軟に行うことができ、(2)充電された蓄電池の使用方法に高い自由度を持たせることでき、(3)蓄電池にトラブルが生じた場合でも電力の供給を停止することなく安定した電力を供給することができる。
本発明に係る電力充電供給システムを事業所で利用した場合の概略を示す概略図である。 本発明に係る電力充電供給システムの第1実施形態の第1タイプの構成の概略を示す構成図である。 全バナジウムレドックスフロー電池の構成を示す構成図である。 第1実施形態の第1タイプの電力充電供給システムの作用を説明するための説明図である。 本発明に係る電力充電供給システムの第1実施形態の第2タイプの構成の概略を示す構成図である。 本発明に係る電力充電供給システムの第1実施形態の第3タイプの構成の概略を示す構成図である。 本発明に係る電力充電供給システムの第1実施形態の第4タイプの構成の概略を示す構成図である。 本発明に係る電力充電供給システムの第2実施形態の構成の概略を示す構成図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。本発明の技術的範囲は、以下の記載や図面にのみ限定されるものではない。なお、本明細書において、バナジウム電解液を極液と単に記載することがある。
[全体構成]
本発明に係る電力充電供給システムは、図1に示すように、例えば、複数の生産用建物B,Cが敷地内に存在する事業所Aに適用される。この電力充電供給システムは、時間の経過に伴って発電力が変化する複数の発電設備10と、電力を消費する所定の施設に電力を供給する電力供給ユニット50,90と、複数の発電設備10から供給される電力を電力供給ユニット50,90に充電するための充電設備20と、を備えている。
充電設備20は、イオン変換ユニット30、共通極液タンク40及びイオン電力化ユニット50を備えている。これらのイオン変換ユニット30、共通極液タンク40及びイオン電力化ユニット50は、それぞれ1ずつ設けてもよいし、それぞれ複数設けてもよい。
イオン変換ユニット30は、複数設けられており、複数の発電設備10の各々に対応して設けられている。このイオン変換ユニット30は、発電設備10から供給された電力をバナジウム電解液である極液のイオン変換の形で蓄電する。共通極液タンク40は、複数のイオン変換ユニット30との間で極液を循環させて、複数のイオン変換ユニット30から送られた極液を混合して貯留する。イオン電力化ユニット50は、共通極液タンク40との間で極液が循環されると共に、極液にイオン変換の形で蓄電された電力を取り出すことができる。
なお、図1では、1つの発電設備10に対し、イオン変換ユニット30を1つだけ設けた場合を例として示している。ただし、イオン変換ユニット30は、1つの発電設備10に対し、複数設けてもよい。
本発明の電力充電供給システムは、イオン変換ユニット30及びイオン電力化ユニット50の正極用極液及び負極用極液のイオン変換を利用して充電するシステムである。この電力充電供給システムは、イオン電力化ユニット50自体を上述の電力供給ユニットとして用いる第1実施形態と、電力供給ユニット90とイオン電力化ユニット50とを電気的に接続している第2実施形態とに大別することができる。ただし、電力充電供給システムは、イオン電力化ユニット50自体を電力供給ユニットとして用いる形態と、電力供給ユニット90とイオン電力化ユニット50とを電気的に接続する形態とを混合して構成することもできる。
第1実施形態の電力充電供給システムでは、電力供給ユニットとして用いるイオン電力化ユニット50が充電設備20から切り離されて、搬送可能に構成されている。一方、第2実施形態の電力充電供給システムでは、イオン電力化ユニット50に電気的に接続されている電力供給ユニット90が充電設備20から切り離されて、搬送可能に構成されている。第1実施形態及び第2実施形態の両方の実施形態において、充電設備20から切り離れた電力供給ユニット50,90は、生産用建物Bや生産用建物C等の施設にトラックTやフォークリフトF等の搬送手段によって搬送され、生産用建物Bや生産用建物C等の施設にて、放電と充電との一方又は両方を行うことができるように構成されている。
なお、図1は、事業所Aの敷地内部で電力供給ユニット50,90を搬送する場合を一例と示した図である。本発明に係る電力充電供給システムは、電力供給ユニット50,90を事業所Aの敷地内部だけでなく、事業所Aの敷地の外に搬送し、敷地外で用いる場合も含んでいる。
この電力充電供給システムでは、平常時は、一般的な送電網15から電力が供給されている。一方、災害等により送電網15からの送電が停止された場合に、発電設備10から電力が供給される。ただし、電力充電供給システムは、平常時においても、発電設備10からの電力を利用することが可能である。
この電力充電供給システムによれば、(1)電力の供給が不安定な複数の発電設備10からの電力を利用して充電及び放電を柔軟に行うことができ、(2)充電された蓄電池の使用方法に高い自由度を持たせることでき、(3)蓄電池にトラブルが生じた場合でも電力の供給を停止することなく安定した電力を供給することができるという特有の効果を奏する。
なお、図1は、電力充電供給システムを事業所Aに適用した場合を一例として示している。ただし、この電力充電供給システムは、次のように、電力の充電と電力の供給とを行う種々の場合に適用することが可能である。
本発明の電力充電供給システムは、例えば、発電設備から送電線をひくことが困難な地域に、発電設備が設置された場所で充電された電力供給ユニット50,90を搬送するシステムに適用することができる。上記の送電線をひくことが困難な地域とは、例えば、砂漠地帯や、複数の島からなる諸島等である。砂漠地帯等に電力供給ユニット50,90を搬送する場合、搬送手段としては、例えば、鉄道、トラック、トレーラ等が用いることができる。諸島等に電力供給ユニット50,90を搬送する場合、搬送手段としては船を用いることができる。
また、本発明の電力充電供給システムは、複数の住宅が集合した一定の地域にも適用することができる。
また、本発明の電力充電供給システムは、公共性の高い電力供給設備に適用することができる。公共性の高い電力供給設備としては、例えば、水道、ガス、石油のパイプライン等における電力供給設備にも適用することができる。さらに、携帯電話の電波基準局用電源、交通信号用電源、電気自動車の充電ステーション、電力の送電網15への売電等にも適用することができる。
さらに、本発明の電力充電供給システムは、オフィスビル、マンション、病院、学校及び庁舎等の建物に適用することができる。
なお、上述したそれぞれの適用例において、充電された状態の極液を目的地に搬送する手法は、電力供給ユニット50,90を搬送することには限定されない。充電された状態の極液を目的地に搬送する手法は、所定の貯留タンクに極液を貯留し、この貯留タンクを目的地に搬送し、搬送先で使用されている電力供給ユニット50,90の極液を入れ替えるようにしてもよい。
また、本発明の電力充電供給システムにおいて、上記の電力供給ユニットに電力を供給して充電すること以外にも、例えば、電気自動車、電動スクーター及び電動車いす等の電動式移動手段、電動フォークリフトや電動クレーン等の電動式荷役装置を充電設備に直接充電することもできる。
以下、電力充電供給システムの具体的な構成について、図面を適宜に参照して説明する。なお、以下では、電力供給ユニット50,90を搬送する場合を代表例として説明する。
[第1実施形態]
第1実施形態の電力充電供給システムは、イオン電力化ユニット50それ自体を電力供給ユニットとして用いる形態である。第1実施形態の電力充電供給システムは、さらに、いくつかのタイプに分けることができる。以下、第1実施形態における電力充電供給システムをタイプ毎に説明する。なお、第1実施形態の電力充電供給システムにおいて、以下に説明する形態は、電力充電供給システムの適用例の1つであり、第1実施形態の電力充電供給システムは、上述した種々のものに対して適用することができる。また、電力供給ユニット50以外にも、上述した電動式移動手段や電動式荷役装置等を充電設備に直接して充電することもできる。
〔第1タイプ〕
第1タイプの電力充電供給システムは、図2に示すように、発電設備10及び充電設備20を備えている。充電設備20は、イオン変換ユニット30と、共通極液タンク40と、イオン電力化ユニット50とを備えている。電力充電供給システムの具体的な構成について、以下説明する。
〈発電設備〉
発電設備10は、風力発電設備11、太陽光発電設備12等が利用される。発電設備10は、その他の発電設備13として、例えば、バイオマス燃料を用いた発電設備等を挙げることができる。発電設備10は、風力発電設備11や太陽光発電設備12等をそれぞれ1機ずつ設けたり、風力発電設備11や太陽光発電設備12等を複数設けたり、風力発電設備11や太陽光発電設備12等を組み合わせて設けたりすることができる。
この電力充電供給システムにおいて、この電力供給システムが適用される事業所A等では、平常時には、一般的な送電網15から電力が供給されている。発電設備10は、災害等によって、送電網15からの電力の供給が停止された場合に電力を供給している。ただし、この電力充電供給システムでは、平常時においても、発電設備10から電力の供給を受け、イオン電力化ユニット50に充電を行ってもよい。
風力発電設備11や太陽光発電設備12等は、発電力が時間の経過に伴って変化する。例えば、風力発電設備11では、風力発電設備11が設置された場所の風力が時間の経過に伴って変化するので、風力発電設備11の発電力が風力の変化と共に変化する。また、太陽光発電設備12では、昼間は発電するが夜間は発電しない。このように、電力充電供給システムに用いられる発電設備10は、発電力が時間の経過に伴って変化する。なお、複数の発電設備10において、各発電設備の発電圧の最高値は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
〈充電設備〉
充電設備20は、図2に示すように、イオン変換ユニット30と、共通極液タンク40と、イオン電力化ユニット50とを備えている。また、充電設備20は、イオン変換ユニット30を介して正極用極液及び負極用極液を充電状態にする際に、イオン変換ユニット30の動作を制御するための充電制御部60を備えている。なお、充電設備20には、送電網15から供給される交流を直流に変換するためのAC/DCコンバータ65が必要に応じて設けられる。
(イオン変換ユニット)
イオン変換ユニット30は、発電設備10から供給された電力を、正極用極液及び負極用極液のイオン変換の形で蓄電する装置である。このイオン変換ユニット30は、供給された電力を正極用極液及び負極用極液のイオン変換の形で蓄電することができる装置であれば、特に限定されない。図2は、イオン変換ユニット30の一例として全バナジウムレドックス電池を用いた場合を示している。
このイオン変換ユニット30は、発電設備10の数に対応して複数設けられている。図2に示す例では、風力発電設備11、太陽光発電設備12及び送電網15に対応するイオン変換ユニット30がそれぞれ1スタックずつ設けられている。各イオン変換ユニット30は、電線100で各発電設備11,12,15にそれぞれ接続されている。なお、上述したように、イオン変換ユニット30は、1つの発電設備10に対し、1つだけ設けることには限定されず、複数設けてもよい。
図3は、イオン変換ユニット30としての全バナジウムレドックスフロー電池の構造を模式的に示した図である。イオン変換ユニットは、図3に示すように、正極用ハーフセル31、負極用ハーフセル32、及び正極用ハーフセル31と負極用ハーフセル32との間に配置されている隔膜33を有している。正極用ハーフセル31は、正極用極液を酸化電解又は還元電解するための正極38を備えている。負極用ハーフセル32は、負極用極液を還元電解又は酸化電解するための負極29を備えている。
また、イオン変換ユニット30は、正極用極液タンク34、正極用ハーフセル31と正極用極液タンク34との間で正極用極液を循環させるためのポンプ35を備えている。正極用極液タンク34及びポンプ35は、配管130によって正極用ハーフセル31に接続されている。また、イオン変換ユニット30は、負極用極液タンク36、負極用ハーフセル32と負極用極液タンク36との間で負極用極液を循環させるためのポンプ37を備えている。負極用極液タンク36及びポンプ37は、配管130によって負極用ハーフセル32に接続されている。
イオン変換ユニット30は、正極用ハーフセル31及び負極用ハーフセル32を1つずつ設けた単セルとして構成してもよいし、正極用ハーフセル31及び負極用ハーフセル32をそれぞれ複数設けた複数セルスタックとして構成してもよい。
また、各イオン変換ユニット30は、バッテリマネジメントシステム63(以下、「BMS63」という。)を備えている。このBMS63は、総電圧、残容量、入出力電流、及び各セルの電圧や温度などをモニタし、イオン変換ユニット30を管理している。
(共通極液タンク)
共通極液タンク40は、正極用共通極液タンク41と負極用共通極液タンク42とを備えている。正極用共通極液タンク41は、複数のイオン変換ユニット30の正極ハーフセル31に配管110等によって接続されている。正極用共通極液タンク41は、複数のイオン変換ユニット30の正極ハーフセル31から送られた正極用極液を、混合させて貯留している。また、負極用共通極液タンク42は、複数のイオン変換ユニット30の負極ハーフセル32に配管110等によって接続されており、複数のイオン変換ユニット30の負極ハーフセル32から送られた負極用極液を、混合させて貯留させている。
また、正極用共通極液タンク41とイオン電力化ユニット50の正極ハーフセルとは、配管110等によって接続され、負極用共通極液タンク42とイオン電力化ユニット50の負極ハーフセルとは、配管110等によって接続されている。正極用共通極液タンク41とイオン電力化ユニット50の正極用ハーフセルとを接続している配管110等、及び負極用共通極液タンク42とイオン電力化ユニット50の負極用ハーフセル32とを接続している配管110等は、イオン電力化ユニット50を充電設備20から切り離したり、つないだりすることができる着脱機構120を備えている。着脱機構120としては、例えば、セルフシールカップリング等が用いられている。
(イオン電力化ユニット)
イオン電力化ユニット50は、正極用極液及び負極用極液のイオンの価数の変換を電力に変換するための装置である。なお、図2は、電力充電供給システムの説明を容易にするために、イオン電力化ユニット50を2つ設けた場合を例として示している。しかし、イオン電力化ユニット50は、1つだけ設けてもよく、また、3つ以上設けてもよい。
第1実施形態における電力充電供給システムでは、このイオン電力化ユニット50を充電し、かつ、イオン電力化ユニット50を電力供給ユニットとして利用している。なお、イオン電力化ユニット50は、正極用極液及び負極用極液のイオン変換の形で蓄電された電力を取り出すことができる装置であれば、特に限定されない。図2は、イオン電力化ユニット50の一例として全バナジウムレドックス電池を用いた場合を示している。
イオン電力化ユニット50として全バナジウムレドックス電池を用いた場合、イオン電力化ユニット50の構成は、図3に示したイオン変換ユニット30の構成と同様である。すなわち、イオン電力化ユニット50は、正極用ハーフセル31、負極用ハーフセル32、隔膜33、正極38、負極39を備えている。また、イオン電力化ユニット50は、正極用極液タンク34、負極用極液タンク36、ポンプ35,36を備えている。さらに、イオン電力化ユニット50は、BMS63を備えている。
このイオン電力化ユニット50は、1スタックを、正極用ハーフセル31と負極用ハーフセル32とを1つずつ組み合わせて単セルとして構成することもできるし、正極用ハーフセル31と負極用ハーフセル32とを複数組み合わせて複数セルとして構成することもできる。セルの数は、搬送先で必要な放電圧に応じて設定すればよい。
イオン電力化ユニット50が備えるBMS63は、イオン変換ユニット30が備えるBMS63と同様に、総電圧、残容量、入出力電流、及び各セルの電圧や温度などをモニタし、イオン電力化ユニット50を管理している。なお、BMS63は、イオン電力化ユニット50から分離することによって、充電設備20自体に設けたり、イオン電力化ユニット50が搬送される先の使用場所における放電用回路に設けたりしてもよい。BMS63をイオン電力化ユニット50から分離して構成した場合、コストダウン、軽量化、及びメンテナンスの容易化を図ることができる。
このイオン電力化ユニット50は、着脱機構120によって充電設備20から切り離されて、自由に搬送することができるように構成されている。このイオン電力化ユニット50は、充電設備20から切り離されて、事業所Aの敷地内に存在する生産用建物Bや生産用建物Cにそれぞれ運搬される。生産用建物Bや生産用建物Cには、例えば、生産設備、作業設備、照明設備、空調設備等の電力を消費する設備がそれぞれ設けられている。イオン電力化ユニット50は、運搬された生産用建物Bや生産用建物Cで、電力供給ユニットとして利用され、生産設備等の電力を消費する設備に電力を供給する。
なお、生産用建物Bや生産用建物C等の搬送先でイオン電力化ユニット50を利用する場合、イオン電力化ユニット50は、1スタックだけで用いることには限定されない。イオン電力化ユニット50は、複数のスタックを組み合わせることによって、必要な電圧や容量に設定することができる。
(充電制御部)
充電制御部60は、発電設備10から供給された電力でイオン変換ユニット30を介して正極用極液及び負極用極液を充電状態にする際に、イオン変換ユニット30の動作を制御している。この電力充電供給システムでは、充電設備20がイオン変換ユニット30、共通極液タンク40及びイオン電力化ユニット50によって構成され、極液のイオン変換を利用することによって充電を行っており、鉛蓄電池等のように電極の化学反応を利用して充電及び放電を行う蓄電池とは、充電のメカニズムが全く異なっている。そのため、この充電制御部60を構成する回路は、鉛蓄電池等を同時に複数充電するために用いる充電制御部60とは異なり、簡素化されている。その結果、低廉なコストで充電制御部60を構成することが可能である。
〈電力充電供給システムの具体的な作用及び機能〉
以上の構成を有する電力充電供給システムの具体的な作用について説明する。この電力充電供給システムにおいて、共通極液タンク40を循環する正極用極液及び負極用極液の充電状態への変換及び放電状態への変換は、次の(1)式及び(2)式に示したイオン変換の化学反応により行われる。
Figure 2016171688
正極用ハーフセル31では、(1)式の左辺から右辺の化学反応により充電が行われ、(1)式の右辺から左辺の化学反応により放電が行われる。また、負極用ハーフセル32では、(2)式の左辺から右辺の化学反応により充電が行われ、(2)式の右辺から左辺の化学反応により放電が行われる。
正極用極液は、イオン変換ユニット30の正極用ハーフセル31と正極用共通極液タンク41との間を循環すると共に、正極用共通極液タンク41とイオン電力化ユニット50の正極用ハーフセル31との間を循環する。正極用極液がこのように循環することによって、イオン変換ユニット30で生成された5価のVO イオンを含む正極用極液が、まず、イオン変換ユニット30から正極用共通極液タンク41に送られ、次いで正極用共通極液タンク41からイオン電力化ユニット50に送られる。一方、イオン電力化ユニット50の正極用ハーフセルに貯められていた4価のVO イオンを含む正極用極液は、まず、イオン電力化ユニット50から正極用共通極液タンク41に送られ、次いで正極用共通極液タンク41からイオン変換ユニット30に送られる。正極用極液の4価のVO イオンは、イオン変換ユニット30にて、上述した(1)式の化学反応により再び5価のVO イオンに変化される。
同様に、負極用極液は、イオン変換ユニット30の負極用ハーフセル32と負極用共通極液タンク42との間を循環すると共に、負極用共通極液タンク42とイオン電力化ユニット50の負極用ハーフセル32との間を循環する。負極用極液がこのように循環することによって、イオン変換ユニット30で生成された2価のV2+イオンを含む負極用極液が、まず、イオン変換ユニット30から負極用共通極液タンク42に送られ、次いで負極用共通極液タンク42からイオン電力化ユニット50に送られる。一方、イオン電力化ユニット50の負極用ハーフセル32に貯められていた3価のV3+イオンを含む負極用極液は、まず、イオン電力化ユニット50から負極用共通極液タンク42に送られ、次いで負極用共通極液タンク42からイオン変換ユニット30に送られる。負極用極液の3価のV3+イオンは、イオン変換ユニット30にて、上述した(2)式の化学反応により再び2価のV2+イオンに変化される。
この電力充電供給システムでは、正極用極液及び負極用極液のイオン変換によって、正極用極液及び負極用極液を充電状態に変換している。この充電状態の正極用極液及び負極用極液を共通極液タンク40からそれぞれ循環させてイオン電力化ユニット50で電力を供給する原理であるため、イオン電力化ユニット50において電極38,39の化学変化は生じない。こうした充電の原理は、鉛蓄電池やリチウムイオン電池の充電と全く異なる。
次に、この電力充電供給システムでは、正極用極液及び負極用極液におけるイオン変換によって、極液を充電状態に変換しているので、鉛蓄電池等を利用した場合とは異なり、この電力充電供給システムに特有の機能がある。この機能について、図4を参照しながら説明する。
(整流機能)
この電力充電供給システムは、整流機能を有している。充電設備20が風力発電設備11、太陽光発電設備12、及びその他の発電設備13から電力を供給され、かつ、風力発電設備11、太陽光発電設備12、及びその他の発電設備13の発電圧がそれぞれ異なる場合でも、この電力充電供給システムは、各発電設備10から同時に供給された電力をイオン電力化ユニット50の充電に利用することができる。すなわち、この電力充電供給システムでは、電極の化学変化ではなく極液のイオン変換を利用して極液を充電状態に変換するので、この電力充電供給システムは、各発電設備10から異なる大きさの電圧が同時に印加された場合でも、極液のイオン変換を行うことが可能である。その際、電圧に変動がある場合でも、この電力充電供給システムは、連続的に極液のイオン変換を行って、極液を充電状態にすることができる。
電力充電供給システムは、図4に示すように、風力発電設備11、太陽光発電設備12及び一般の送電網15から電力の供給を受けるとする。その場合、例えば、風力発電設備11は最大でDC20Vを発電し、太陽光発電設備12は、最大でDC30Vを発電すると仮定する。また、一般の送電網15の電圧が約AC100V又はAC200Vであるとする。
風力発電設備11は、風力発電設備11が設置された場所の風速によって発電時の電圧が決定されてしまう。そのため、図4に示すように風力発電設備11による発電は不安定である。また、太陽光発電設備12は、昼間しか発電することができない。太陽光発電設備12による昼間の発電時における電圧は、天候の影響をうける。そのため、太陽光発電設備12による発電も、図4に示すように、不安定である。
この電力充電供給システムに利用されているイオン変換ユニット30は、電力充電供給システムに印加される電圧が相互に異なり、且つ電圧が不安定であっても、印加される電圧に応じた量のイオン変換を極液に対して行うため、複数の発電設備10から電力を取り込んで極液を充電状態に変換し、その極液をイオン電力化ユニット50に循環させてイオン電力化ユニット50で安定した電圧の電力として利用することが可能になる。このようにこの電力充電供給システムは、整流機能を有している。
(変圧機能)
この電力充電供給システムは、変圧機能を有している。例えば、図4に示すように、3つのイオン変換ユニット30が、13個のセル、20個のセル、及び15個のセルでそれぞれ構成されていたとする。なお、各イオン変換ユニット30のセルの数は、電力を供給する発電設備10から印加される電圧に対する耐電圧で決まる。
一方、イオン電力化ユニット50が10個のセル及び30個のセルでそれぞれ構成されていたとする。イオン電力化ユニット50のセルの数は、搬送先で用いる放電するときの電圧により設定すればよい。すなわち、イオン電力化ユニット50は、セルの数を変更することによって、放電する電圧を変化させることが可能である。
こうした電力充電供給システムでは、イオン変換された正極用極液及び負極用極液が循環されることによって行われるので、セルの数にかかわらずに充電を行うことができる。そのため、イオン電力化ユニット50内のセルの数をイオン変換ユニット30内のセルの数と異なるように構成することによって、イオン変換ユニット30に印加された電圧と異なる電圧にイオン電力化ユニット50を設定することができる。
(充電と放電の同時進行)
この電力充電供給システムでは、正極用極液及び負極用極液を充電状態に変換するためのイオン変換ユニット30、及び正極用極液及び負極用極液を放電状態に変換するためのイオン電力化ユニット50の両方を設けることによって、正極用極液及び負極用極液を充電状態に変換することと、正極用極液及び負極用極液を放電状態に変換することとを同時に行うことが可能である。
この電力充電供給システムでは、電極の化学変化ではなく、正極用極液及び負極用極液のイオン変換によって充電を行う。そのため、イオン電力化ユニット50において、極液を循環させることによってイオン変換させて充電を行うことと、イオン電力化ユニット50の電極38,39から放電を行うこととを同時に行うことができる。
なお、電力充電供給システムは、風力発電設備11や太陽光発電設備12等の発電時の電圧が不安定な発電設備10から電力の供給を受ける。その場合でも、電力充電供給システムでは、正極用極液及び負極用極液を循環させることにより、イオン変換を利用して正極用極液及び負極用極液を充電状態に変換するので、イオン電力化ユニット50を充電設備20につないだ状態で放電した場合でも、放電用回路により放電圧を一定にすることができる。このように、当該電力充電供給システムでは、複雑な回路やプログラムを用いないで、イオン電力化ユニット50に必要な電圧に相当する数のセルを設けることによって、整流すると共に放電圧を一定にすることが可能である。
この電力充電供給システムでは、上述した、整流機能、変圧機能及び充電と放電の同時進行の機能といった特徴的な機能に加えて、次の機能を有している。
(電源の可搬化機能)
この電力充電供給システムは、可搬化機能を有している。
上述したように、イオン電力化ユニット50は、着脱機構120を介して充電設備に接続されているため、着脱機構120で充電設備20から切り離すことができるように構成されている。そのため、充電設備20にて正極用極液及び負極用極液が充電状態にされたイオン電力化ユニット50は、充電設備20から生産用建物Bや生産用建物Cに搬送し、生産用建物Bや生産用Cで電力を供給するための電力供給ユニットとして用いることができる。また、生産用建物Bや生産用建物Cが充電設備20を有している場合、イオン電力化ユニット50は、生産用建物Bや生産用建物Cで充電されるために利用することもできる。
(フェールセーフ)
この電力充電供給システムは、電力充電供給システムが利用されている事業所A等の施設に電力を安定的に供給することができるというフェールセーフを実現することができる。
フェールセーフを実現するための1つの手法として、イオン変換ユニット30とイオン電力化ユニット50とを同様の構成にすることによって、イオン変換ユニット30とイオン電力化ユニット50とを相互に交換可能にする。例えば、イオン変換ユニット30及びイオン電力化ユニット50が、正極用ハーフセル31、負極用ハーフセル32、隔膜33、正極用極液タンク34、負極用極液タンク36及びポンプ35,37を有するように、両者を同様の構成にする。イオン変換ユニット30とイオン電力化ユニット50とが同様の構成である場合、イオン電力化ユニット50の代わりに、イオン変換ユニット30を生産用建物Bや生産用建物Cに搬送して利用することができる。
例えば、充電済みのイオン電力化ユニット50が急に必要になったとする。しかしながら、充電済みのイオン電力化ユニット50が充電設備20には存在しないと仮定する。その場合、応急的な措置として、イオン電力化ユニット50の代わりにイオン変換ユニット30を必要な生産用建物B,Cに搬送し、イオン変換ユニット30を生産用建物B,Cで用いることができる。
〔第2タイプ〕
次に、図5を参照して、第2タイプの電力充電供給システムについて説明する。なお、図5は、第2タイプの電力充電供給システムの構成を簡略して示している。
第2タイプの電力充電供給システムは、第1タイプの電力充電供給システムが備える構成の他に、発電設備10と充電設備20との間に全バナジウムレドックスフロー電池70を備えている。なお、第2タイプの電力充電供給システムにおいて、全バナジウムレドックスフロー電池70以外の構成は、第1タイプの電力充電供給システムが備える構成と同様である。そのため、第2タイプの電力充電供給システムにおいて第1タイプの電力充電供給システムの構成と同じ構成については、図5に第1タイプの電力充電供給システムの構成と同じ符号を付して、簡単に説明する。
第2タイプの電力充電供給システムは、第1タイプの電力充電供給システムと同様に、発電設備10及び充電設備20を備えている。充電設備20は、イオン変換ユニット30と、共通極液タンク40と、イオン電力化ユニット50とを備えている。また、充電設備20は、充電制御部60を備えている。そして、第2タイプの電力充電供給システムは、図5に示すように、発電設備10と充電設備20との間に、単数又は複数の全バナジウムレドックスフロー電池70を備えている。なお、図5は、電力充電供給システムが複数の全バナジウムレドックスフロー電池70を備えた例を示している。
全バナジウムレドックスフロー電池70は、図3に示すように、正極用ハーフセル31、負極用ハーフセル32、及び隔膜33を有している。正極用ハーフセル31は、正極38を備えている。また、正極用ハーフセル31は、正極用極液を貯めるための正極用極液タンク34、及び正極用極液を循環させるためのポンプ35が配管130によって接続されている。負極用ハーフセル32についても、負極39が設けられていると共に、配管130によって負極用極液タンク36及びポンプ37が接続されている。また、全バナジウムレドックスフロー電池70は、BMS63を備えている。
こうした全バナジウムレドックスフロー電池70は、電力を安定した状態で充電設備20に供給する。上述したように、風力発電設備11や太陽光発電設備12の発電は不安定である。この全バナジウムレドックスフロー電池70は、風力発電設備11や太陽光発電設備12から供給された電力を蓄電し、蓄電した電力を充電制御部60の管理の下にイオン変換ユニット30を介して正極用極液及び負極用極液を充電状態に変換させている。
この第2タイプの電力充電供給システムにおいて、イオン電力化ユニット50と全バナジウムレドックスフロー電池70とを同一の構造にする等して共通化することにより、両者を交換可能に構成することもできる。イオン電力化ユニット50と全バナジウムレドックスフロー電池70とを交換可能とした場合、イオン電力化ユニット50に代えて、全バナジウムレドックスフロー電池70を電力供給ユニットとして利用することができる。そのため、イオン電力化ユニットが故障したような場合でも、全バナジウムレドックスフロー電池70を用いて電力を供給することができ、電力を消費する施設に電力の供給を停止することなく、安定的に電力を供給することができるというフェールセーフを実現することができる。
イオン電力化ユニット50と全バナジウムレドックスフロー電池70との共通化は、両者を共通の構造にすることである。構造の共通化は、例えば、イオン電力化ユニット50を構成している筐体と全バナジウムレドックスフロー電池70を構成している筐体の形状及び大きさを同一に形成することや、電力を取り出すための端子の位置や形状等を同一に形成することにより実現することができる。
なお、図5に示す例では、全バナジウムレドックスフロー電池70は複数設けられている。全バナジウムレドックスフロー電池70を複数設ける場合、全バナジウムレドックスフロー電池70を電気的に並列に接続するとよい。ただし、複数の全バナジウムレドックスフロー電池70を直列に接続することを除外しない。
以上の第2タイプの電力充電供給システムは、第1タイプの電力充電供給システムと同様に、イオン変換ユニット30、共通極液タンク40及びイオン電力化ユニット50を利用し、極液のイオン変換により充電を行っている。そのため、この第2タイプの電力充電供給システムは、第1タイプの電力充電供給システムと同様に、正極用極液及び負極用極液のイオン変換を利用して正極用極液及び負極用極液を充電状態に変換するので、整流機能、変圧機能、及び充電と放電の同時進行の機能を有している。また、第2タイプの電力充電供給システムは、イオン電力化ユニット50の可搬化機能、及びフェールセーフの機能を有している。
〔第3タイプ〕
次に、図6を参照して、第3タイプの電力充電供給システムについて説明する。なお、図6は、第3タイプの電力充電供給システムの構成を簡略して示している。
第3タイプの電力充電供給システムは、上述した第2タイプの電力充電供給システムにおける全バナジウムレドックスフロー電池70をキャパシタユニット75に置き換えた形態であり、キャパシタユニット75以外の構成は、第2タイプの電力充電供給システムの構成と同様である。そのため、キャパシタユニット75以外の構成は、第2タイプの電力充電供給システムの構成と同じ符号を図6に付し、詳細な説明は省略する。
第3タイプの電力充電供給システムは、発電設備10及び充電設備20を備えている。充電設備20は、イオン変換ユニット30、共通極液タンク40、イオン電力化ユニット50及び充電制御部60を備えている。そして、第3タイプの電力充電供給システムは、図6に示すように、発電設備10と充電設備20との間に、単数又は複数のキャパシタユニット75を備えている。なお、図6に示した例では、キャパシタユニット75は、複数設けられており、キャパシタユニット75同士が並列に接続されている。
キャパシタユニット75は、キャパシタ本体部とキャパシタ本体部の充電及び放電を制御するためのBMSとから構成されている。
キャパシタ本体部は、その構成に特に限定はないが、例えば、電気二重層キャパシタが用いられる。なお、電気二重層キャパシタとは、電気二重層という物理現象を利用することで蓄電するキャパシタである。電気二重層は、荷電粒子が比較的自由に動ける系を有しており、その系に電位が与えられたとき、電場にしたがって荷電粒子が移動し、界面に正負の荷電粒子が対を形成して層状に並んだものである。なお、キャパシタ本体部は、発電設備10から印加される電圧に耐えることができる耐電圧のものが用いられる。
こうしたキャパシタユニット75は、蓄電を相対的に短時間で行うことができる。この第3タイプの電力充電供給システムでは、キャパシタユニット75の蓄電を相対的に短時間で行うことができるという特性を利用し、風力発電設備11や太陽光発電設備12から供給される電力を短時間で蓄電する。そのため、蓄電した電力を安定した状態で、充電制御部60の管理の下にイオン変換ユニット30を介して正極用極液及び負極用極液を充電状態に変換させている。
なお、この第3タイプの電力充電供給システムにおいて、イオン電力化ユニット50とキャパシタユニット75とを同一の構造とする等して共通化することにより、両者を交換可能に構成することもできる。イオン電力化ユニット50とキャパシタユニット75とを交換可能とした場合、イオン電力化ユニット50に代えて、キャパシタユニット75を電力供給ユニットとして利用することで、安定的に電力を供給するというフェールセーフを実現することができる。
この場合においても、イオン電力化ユニット50とキャパシタユニット75との共通化は、両者を共通の構造にすることである。構造の共通化は、例えば、イオン電力化ユニット50を構成している筐体とキャパシタユニット75を構成している筐体の形状及び大きさを同一に形成することや、電力を取り出すための端子の位置や形状等を同一に形成することにより実現することができる。
以上の第3タイプの電力充電供給システムは、イオン変換ユニット30、共通極液タンク40及びイオン電力化ユニット50を利用し、極液のイオン変換により充電を行っている。そのため、この第3タイプの電力充電供給システムは、整流機能、変圧機能、充電と放電の同時進行の機能、イオン電力化ユニット50の可搬化機能、及びフェールセーフの機能を有している。
なお、第2タイプの電力充電供給システムでは、図5に示すように、全バナジウムレドックスフロー電池70のみを発電設備10と充電設備20との間に設ける一方で、第3タイプの電力充電供給システムでは、図6に示すように、キャパシタユニット75のみを発電設備10と充電設備20との間に設けている。しかしながら、電力充電供給システムは、全バナジウムレドックスフロー電池70とキャパシタユニット75の両方を発電設備10と充電設備20との間に設けて構成することもできる。
全バナジウムレドックスフロー電池70とキャパシタユニット75の両方を設けた場合においても、全バナジウムレドックスフロー電池70及びキャパシタユニット75の一方又は両方を、イオン電力化ユニット50と共通化することによって、交換可能に構成することができる。その場合、イオン電力化ユニット50に代えて全バナジウムレドックスフロー電池70及びキャパシタユニット75の一方又は両方を電力供給ユニットとして利用し、イオン電力化ユニット50が故障したような場合でも、全バナジウムレドックスフロー電池70及びキャパシタユニット75の一方又は両方を用いて電力を供給することができる。そのため、電力を消費する施設に電力の供給を停止することなく、安定的に電力を供給することができる。
この場合においても、共通化は、イオン電力化ユニット50の構造と、全バナジウムレドックスフロー電池70の構造及びキャパシタユニット75の構造とを同一に形成することによって実現する。すなわち、構造の共通化は、イオン電力化ユニット50の筐体と、全バナジウムレドックスフロー電池70の筐体及びキャパシタユニット75の筐体の形状及び大きさを同一に形成することや、電力を取り出すための端子の位置や形状等を同一に形成することにより実現することができる。
〔第4タイプ〕
次に、図7を参照して、第4タイプの電力充電供給システムについて説明する。なお、図7は、第4タイプの電力充電供給システムの構成を簡略して示している。
第4タイプの電力充電供給システムは、図7に示すように、充電設備20に電力供給ユニットであるイオン電力化ユニット50とは別に、充電設備20で充電される第2電力供給ユニット80を備えた形態である。電力供給ユニットと第2電力供給ユニット80とは、相互に交換可能に構成されている。
この第4タイプの電力充電供給システムは、例えば、電力供給ユニットに不具合が生じた場合でも、電力充電供給システムが利用されている事業所Aの生産用建物Bや生産用建物Cに電力を確実に供給することができるというフェールセーフを実現するための形態である。
第4タイプの電力充電供給システムは、発電設備10及び充電設備20を備えている。充電設備20は、複数のイオン変換ユニット30と、共通極液タンク40と、イオン電力化ユニット50とを備えている。また、充電設備20は、充電制御部60を備えている。さらに、充電設備20は、第2電力供給ユニット80を備えている。
第4タイプの電力充電供給システムにおいて、発電設備10は、第1タイプから第3タイプの発電設備10と同様である。そのため、発電設備10については、図7に図1、図2、図4、図5及び図6と同様の符号を付して詳細な説明を省略する。また、第4タイプの電力充電供給システムにおいて、充電設備20を構成するイオン変換ユニット30、共通極液タンク40及びイオン電力化ユニット50の基本的な構成は同様である。そのため、イオン変換ユニット30、共通極液タンク40及びイオン電力化ユニット50についても、図7に図1、図2、図4、図5及び図6と同様の符号を付してその詳細な説明を省略する。
発電設備10と充電設備20とは、電線100で接続されており、発電設備50の電力が電線100により充電設備20に供給される。充電設備20において、複数のイオン変換ユニット30と共通極液タンク40とは配管110等で接続されており、極液が両者の間で循環されている。また、共通極液タンク40と、イオン電力化ユニット50とは、配管110等で接続されており、極液が両者の間で循環されている。そして、充電設備20は、イオン変換を利用して正極用極液及び負極用極液を充電状態に変換している。
(第2電力供給ユニット)
第2電力供給ユニット80は、発電設備10とイオン変換ユニット30との間で、充電制御部60を介して電線100で充電設備20に接続されている。なお、図7は、複数の第2電力供給ユニット80が並列に接続された形態を例として示している。第2電力供給ユニットは、例えば、全バナジウムレドックスフロー電池やキャパシタユニット等が用いられる。
(充電制御部)
充電制御部60は、イオン変換ユニット30及び第2電力供給ユニット80の充電の状態を制御している。なお、この電力充電供給システムでは、図7の矢印I及び矢印IIに示すように、まず、第2電力供給ユニット80に電流を流し、その後にイオン変換ユニット30に電流を流すように、充電制御部60が充電の制御を行っている。ただし、すべての第2電力供給ユニット80の充電が終了した後においては、矢印IIIに示すように、充電制御部60は、イオン変換ユニット30に直接電流を流すように充電の制御を行っている。
(イオン電力化ユニットと第2電力供給ユニット)
この電力充電供給システムは、イオン電力化ユニット50と第2電力供給ユニット80とが同様の構造に形成されており、相互に交換可能に構成されている。例えば、イオン電力化ユニット50と第2電力供給ユニット80との両方が、全バナジウムレドックスフロー電池70で構成されている。この電力充電供給システムでは、通常、イオン電力化ユニット50を、充電設備20から切り離し、必要な場所に搬送して、搬送先の電源等として用い、第2電力供給ユニット80は、例えば、非常時のために充電設備20に置いたままの状態にしている。
この電力充電供給システムでは、例えば、イオン電力化ユニット50に何らかのトラブルが発生した場合、第2電力供給ユニット80をイオン電力化ユニット50の代わりに利用することができる。そのため、この電力充電供給システムでは、イオン電力化ユニット50と第2電力供給ユニット80のどちらかを、搬送先の電源等として利用することができ、電力供給が中断されることがないフェールセーフを実現している。
なお、イオン電力化ユニット50と第2電力供給ユニット80とを相互に交換可能に構成する場合、次の2通りの態様に構成することができる。
第1の態様は、イオン電力化ユニット50と第2電力供給ユニット80との構造のみを同一の構造に構成し、容量等の規格を異なる構成する態様である。ただし、第2電力供給ユニット80は、イオン電力化ユニット50よりも長時間利用することができるように、容量が大きく形成されている。また、第2電力供給ユニット80は、例えば、イオン電力化ユニット50が故障した場合に、イオン電力化ユニット50の代わりに利用することもできる。なお、イオン電力化ユニット50と第2電力供給ユニット80とは、構造が同一に構成されているので、相互に交換することが可能である。
第2の態様は、イオン電力化ユニット50と第2電力供給ユニット80との構造及び容量等の規格を同じに構成する態様である。その場合、複数の第2電力供給ユニット80をそれぞれ単独で充電設備20に設置する態様と、複数のイオン電力化ユニット50を組み合わせて1つの組を構成して第2電力供給ユニット80を構成し、その第2電力供給ユニット80を複数充電設備20に設置する態様とがある。
複数のイオン電力化ユニット50を組み合わせて第2電力供給ユニット80を構成した場合、第2電力供給ユニット80の容量を第1電力供給ユニットの容量よりも大きくすることができるだけでなく、1種類の電力供給ユニットを複数用意するだけで電力充電供給システムを運用することができる。そのため、コストを抑えることができる。
なお、第4タイプの電力充電供給システムは、フェールセーフの機能の他に、整流機能、変圧機能、充電と放電の同時進行の機能、イオン電力化ユニット50の可搬化機能を有している。
[第2実施形態]
次に、図8を参照して、第2実施形態の電力充電供給システムについて説明する。なお、第2実施形態の電力充電供給システムにおいて、以下に説明する形態は、電力充電供給システムの適用例の1つであり、第2実施形態の電力充電供給システムは、上述した種々のものに対して適用することができる。また、電力供給ユニット50以外にも、上述した電動式移動手段や電動式荷役装置等を充電設備に直接して充電することもできる。
第2実施形態の電力充電供給システムは、時間の経過に伴って発電力が変化する複数の発電設備10と、電力を消費する所定の施設に電力を供給する電力供給ユニット90と、複数の発電設備10から供給される電力を、電力供給ユニット90に充電するための充電設備20と、を備えている。
充電設備20は、イオン変換ユニット30、共通極液タンク40及びイオン電力化ユニット50を有している。イオン変換ユニット30は、複数の発電設備10の各々に対応して設けられ、発電設備10から供給された電力を極液のイオン変換の形で蓄電する。共通極液タンク40は、複数のイオン変換ユニット30との間で極液を循環させて、複数のイオン変換ユニット30から送られた極液を混合して貯留している。イオン電力化ユニット50は、共通極液タンク40との間で極液が循環されると共に、極液にイオン変換の形で蓄電された電力を取り出す。なお、イオン電力化ユニット50は、1つ又は複数設けられる。
そして、第2実施形態の電力充電供給システムでは、充電設備20において、電力供給ユニット90とイオン電力化ユニット50とが電線100等によって電気的に接続されている。
なお、第2実施形態の電力充電供給システムにおいて、発電設備10の構成は、第1実施形態の電力充電供給システムに用いられている発電設備10の構成と同様である。また、第2実施形態の電力充電供給システムにおいて、充電設備20を構成するイオン変換ユニット30、共通極液タンク40、イオン電力化ユニット50及び充電制御部60の構成は、第1実施形態の電力充電供給システムのものと同様である。そのため、第2実施形態の電力充電供給システムにおいて、第1実施形態の電力充電供給システムと同様の構成については、図8に図2と同一の符号を付して簡単に説明し、異なる構成についてだけ詳細に説明する。
〈発電設備〉
発電設備10は、風力発電設備11、太陽光発電設備12、その他の発電設備13(例えば、バイオマス燃料を用いた発電設備等)が用いられる。発電設備10は、風力発電設備11や太陽光発電設備12等を1つずつ設けたり、風力発電設備11や太陽光発電設備12等を複数設けたり、風力発電設備11や太陽光発電設備12等を組み合わせて設けたりすることができる。
なお、発電設備10の利用方法や特徴等は、第1実施形態の電力充電供給システムに用いられる発電設備10と同様である。
〈充電設備〉
充電設備20は、図8に示すように、充電設備20は、イオン変換ユニット30、共通極液タンク40及びイオン電力化ユニット50を備えている。また、充電設備20は、イオン変換ユニット30の充電状態等を管理するための充電制御部60を備えている。なお、充電設備20は、送電網15から供給される交流を直流に変換するためのAC/DCコンバータ65が必要に応じて設けられる。こうした第2実施形態の電力充電供給システムにおいて、充電設備20を構成するイオン変換ユニット30、共通極液タンク40、イオン電力化ユニット50及び充電制御部60の構成及び作用は、第1実施形態の電力充電供給システムのものと同様である。
(イオン変換ユニット)
イオン変換ユニット30は発電設備10の数と同数設けられており、各発電設備10に1つずつ電線100等により接続されている。なお、上述したように、イオン変換ユニット30は、1つの発電設備10に対し、1つだけ設けることには限定されず、複数設けてもよい。イオン変換ユニット30は、発電設備10から供給された電力を、正極用極液及び負極用極液のイオン変換の形で蓄電する。イオン変換ユニット30は、例えば、全バナジウムレドックスフロー電池が用いられる。
(共通極液タンク)
共通極液タンク40は、正極用共通極液タンク41と負極用共通極液タンク42とを備えている。正極用共通極液タンク41は、複数のイオン変換ユニット30の正極ハーフセル31に配管110等によって接続されている。この正極用共通極液タンク41は、複数のイオン変換ユニット30の正極ハーフセル31から送られた正極用極液を、混合させて貯留している。また、正極用共通極液タンク41は、イオン電力化ユニット50の正極ハーフセル31に配管110等で接続されている。負極用共通極液タンク42は、複数のイオン変換ユニット30の負極ハーフセル32に配管110等によって接続されており、複数のイオン変換ユニット30の負極ハーフセル32から送られた負極用極液を、混合させて貯留させている。また、負極用共通極液タンク42は、イオン電力化ユニット50の負極ハーフセル32に配管110等で接続されている。
(イオン電力化ユニット)
イオン電力化ユニットは、正極用極液及び負極用極液のイオンの価数の変換を電力に変換する。イオン電力化ユニット50としては、例えば、全バナジウムレドックスフロー電池が用いられる。このイオン電力化ユニット50は、1スタックを、正極用ハーフセル31と負極用ハーフセル32とを1つずつ組み合わせて単セルとして構成することもできるし、正極用ハーフセルと負極用ハーフセルとを複数組み合わせて複数セルとして構成することもできる。セルの数は、放電圧に応じて設定される。
(充電制御部)
充電制御部60は、第1実施形態の電力充電供給システムの充電制御部60と同様に、発電設備10から供給された電力でイオン変換ユニット30を介して正極用極液及び負極用極液を充電状態にする際に、イオン変換ユニット30の動作を制御している。
(電力供給ユニット)
電力供給ユニット90は、複数設けられていて、電線100等によってイオン電力化ユニット50に電気的にそれぞれ接続されている。この電力供給ユニット90は、イオン電力化ユニット50から電力が供給されることによって充電される。
また、電力供給ユニット90とイオン電力化ユニット50との間には、第2充電制御部61が設けられている。第2充電制御部61は、イオン電力化ユニット50から供給された電力で複数の電力供給ユニット90を充電する際に、電力供給ユニット90の充電の状態を制御している。
電力供給ユニット90としては、例えば、全バナジウムレドックスフロー電池91が用いられる。ただし、第2実施形態の電力充電供給システムでは、イオン電力化ユニット50と電力供給ユニット90とを電線100等により電気的に接続することにより、電力供給ユニット90を充電する。そのため、電力供給ユニット90としては、全バナジウムレドックスフロー電池91の他に、例えば、鉛蓄電池、アルカリ蓄電池、ベント式蓄電池、ニッカド蓄電池、及びリチウムイオン蓄電池等の蓄電池92やキャパシタユニットを用いることもできる。
こうした電力供給ユニット90は、充電設備20から切り離されて、自由に搬送することができるように構成されている。この電力供給ユニット90は、充電設備20から切り離されて、事業所Aの敷地内に存在する生産用建物Bや生産用建物Cにそれぞれ運搬される。そして、生産用建物Bや生産用建物Cにおいて、例えば、生産設備、作業設備、照明設備、空調設備等の電力を消費する設備に電力を供給する。なお、電力供給ユニット90の搬送先は、事業所Aの敷地内だけではなく、事業所Aの敷地の外であってもよい。
なお、図8は、電力供給ユニット90として、全バナジウムレドックスフロー電池91と一般的な蓄電池92とを1つずつ設けた場合を例に示している。しかしながら、電力供給ユニット90は、全バナジウムレドックスフロー電池91だけを1つ又は複数設けること、若しくは蓄電池92だけを1つ又は複数設けることによって構成することができる。また、電力供給ユニット90は、全バナジウムレドックスフロー電池91及び蓄電池92を複数設けることによって構成することもできる。
生産用建物Bや生産用建物C等の搬送先で電力供給ユニット90を利用する場合、電力供給ユニット90は、1スタックだけで用いることには限定されない。電力供給ユニット90は、複数のスタックを組み合わせることによって、必要な電圧や容量に設定して利用してもよい。
この第2実施形態の電力充電供給システムについても、充電設備20は、イオン変換ユニット30、共通極液タンク40及びイオン電力化ユニット50を有しており、正極用極液及び負極用極液のイオン変換によって、正極用極液及び負極用極液を充電状態に変換することができる。そのため、第1実施形態における第1タイプの電力充電供給システムのところで説明したように、整流機能、変圧機能、充電と放電の同時進行の機能を有している。また、電力供給ユニット90をイオン変換ユニット30やイオン電力化ユニット50と同じ構成にした場合、電力供給ユニット90とイオン変換ユニット30とを交換したり、電力供給ユニット90とイオン電力化ユニット50とを交換したりすることができる。
また、第2実施形態の電力充電供給システムは、図5に示した第1実施形態の第2タイプの電力充電供給システムと同様に、全バナジウムレドックスフロー電池70を発電設備10と充電設備20との間に設けたり、図6に示した第1実施形態の第3タイプの電力充電供給システムと同様に、キャパシタユニット75を発電設備10と充電設備20との間に設けたりして構成することができる。また、第2実施形態の電力充電供給システムは、発電設備10と充電設備20との間に全バナジウムレドックスフロー電池70とキャパシタユニット75の両方を設けて構成することもできる。
さらに、第2実施形態の電力充電供給システムは、図7に示した第1実施形態の第4タイプの電力充電供給システムと同様に、充電設備20に、電力供給ユニット90とは別に、充電設備20で充電される第2電力供給ユニット80を設け、電力供給ユニット90と第2電力供給ユニット80とを相互に交換可能に構成することもできる。
10 発電設備
11 風力発電設備
12 太陽光発電設備
13 その他の発電設備
15 送電網
20 充電設備
30 イオン変換ユニット
31 正極ハーフセル
32 負極ハーフセル
33 隔膜
34 正極用極液タンク
35 ポンプ
36 負極用極液タンク
37 ポンプ
38 正極
39 負極
40 共通極液タンク
41 正極用共通極液タンク
42 負極用共通極液タンク
50 イオン電力化ユニット(電力供給ユニット)
60 充電制御部
61 第2充電制御部
63 バッテリマネジメントシステム(BMS)
65 AC/DCコンバータ
70 全バナジウムレドックスフロー電池
75 キャパシタユニット
80 第2電力供給ユニット
90 電力供給ユニット
91 全バナジウムレドックスフロー電池(電力供給ユニット)
92 蓄電池(電力供給ユニット)
100 電線
110 配管
120 着脱機構
130 配管
A 事業所
B,C 生産用建物
F フォークリフト
T トラック

Claims (7)

  1. 時間の経過に伴って発電力が変化する複数の発電設備と、
    電力を消費する所定の施設に電力を供給する電力供給ユニットと、
    複数の前記発電設備から供給される電力を利用し、前記電力供給ユニットを充電するための充電設備と、を備え、
    前記充電設備は、
    複数の前記発電設備の各々に対応して設けられ、前記発電設備から供給された電力を、極液のイオン変換の形で蓄電する複数のイオン変換ユニットと、
    複数の前記イオン変換ユニットとの間で前記極液を循環させて、複数の前記イオン変換ユニットから送られた前記極液を混合して貯留する共通極液タンクと、
    前記共通極液タンクとの間で前記極液が循環されると共に、前記極液にイオン変換の形で蓄電された電力を取り出すことができる、少なくとも1つのイオン電力化ユニットと、を備え、
    前記イオン電力化ユニットを前記電力供給ユニットとして用いることを特徴とする電力充電供給システム。
  2. 時間の経過に伴って発電力が変化する複数の発電設備と、
    電力を消費する所定の施設に電力を供給する電力供給ユニットと、
    複数の前記発電設備から供給される電力を利用し、前記電力供給ユニットを充電するための充電設備と、を備え、
    前記充電設備は、
    複数の前記発電設備の各々に対応して設けられ、前記発電設備から供給された電力を、極液のイオン変換の形で蓄電する複数のイオン変換ユニットと、
    複数の前記イオン変換ユニットとの間で前記極液を循環させて、複数の前記イオン変換ユニットから送られた前記極液を混合して貯留する共通極液タンクと、
    前記共通極液タンクとの間で前記極液が循環されると共に、前記極液にイオン変換の形で蓄電された電力を取り出す、少なくとも1つのイオン電力化ユニットと、を備え、
    前記電力供給ユニットと前記イオン電力化ユニットとが電気的に接続されていることを特徴とする電力充電供給システム。
  3. 前記電力供給ユニットは、前記充電設備から切り離されて、搬送可能に構成されている、請求項1又は2に記載の電力充電供給システム。
  4. 前記イオン変換ユニットと前記イオン電力化ユニットとが共通化され、相互に交換可能に構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力充電供給システム。
  5. 前記発電設備と前記充電設備との間には、全バナジウムレドックスフロー電池及びキャパシタユニットの一方又は両方が設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電力充電供給システム。
  6. 前記全バナジウムレドックスフロー電池及び前記キャパシタユニットの一方又は両方は、前記イオン電力化ユニットと共通化され、交換可能に構成されている、請求項5に記載の電力充電供給システム。
  7. 前記充電設備は、前記電力供給ユニットとは別に、該充電設備で充電される第2電力供給ユニットを有し、
    前記電力供給ユニットと前記第2電力供給ユニットとが、相互に交換可能に構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電力充電供給システム。
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