JP2016165670A - 地中浄化壁 - Google Patents

地中浄化壁 Download PDF

Info

Publication number
JP2016165670A
JP2016165670A JP2015045897A JP2015045897A JP2016165670A JP 2016165670 A JP2016165670 A JP 2016165670A JP 2015045897 A JP2015045897 A JP 2015045897A JP 2015045897 A JP2015045897 A JP 2015045897A JP 2016165670 A JP2016165670 A JP 2016165670A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
underground purification
casing
water
purification wall
underground
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015045897A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6402656B2 (ja
Inventor
漆原 知則
Tomonori Urushibara
知則 漆原
顕 加藤
Akira Kato
顕 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Obayashi Corp
Original Assignee
Obayashi Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Obayashi Corp filed Critical Obayashi Corp
Priority to JP2015045897A priority Critical patent/JP6402656B2/ja
Publication of JP2016165670A publication Critical patent/JP2016165670A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6402656B2 publication Critical patent/JP6402656B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Investigation Of Foundation Soil And Reinforcement Of Foundation Soil By Compacting Or Drainage (AREA)
  • Water Treatment By Sorption (AREA)

Abstract

【課題】安価で地下水の浄化効率がよく、また浄化機能の低下時に容易に更生することの可能な地中浄化壁を提供する。【解決手段】地盤中に貫入したケーシング内に形状保持枠を挿入し、形状保持枠の内側に汚染物質吸着材、外側にドレーン材を充填してケーシングを撤去した後、ケーシングを外周面が前記形状保持枠に近接するように位置決めし、地盤中に再度貫入するとともにその内部に新たな形状保持枠を挿入し、該形状保持枠の内側に汚染物質吸着材、外側にドレーン材を充填し、ケーシングを撤去する工程を繰り返す。【選択図】図2

Description

本発明は、汚染土壌により汚染された地下水を原位置にて浄化するための地中浄化壁に関する。
従来より、重金属や有機塩素化合物等の汚染物質により汚染された地盤を有する敷地において、汚染物質が地下水を介して敷地外に流出することを防止するべく、敷地内に揚水井戸を設置して地下水を揚水し、揚水した地下水を水処理設備にて浄化する方法が知られている。しかし、この方法は、揚水井戸においては揚水機能を維持するために定期的なメンテナンスが必要である。また、水処理施設においては、設置場所の確保が必要であるとともに、薬品類や設備等の維持管理だけでなく処理水の水質管理が必要となる。したがって、維持管理に要する手間が煩雑であるとともにランニングコストが膨大となりやすい。
一方で、揚水井戸及び水処理設備を不要とする手段として、敷地内における地下水の下流側に地下水を浄化するための浄化地中壁を設置し、当該浄化地中壁に地下水をを透過させることで地下水中の汚染物質を除去する方法が知られている。
このような浄化地中壁の構築方法として、例えば特許文献1には、地中にトレンチを形成する、もしくは複数の柱状孔を一部分が重なるようにして掘削し柱状列孔を形成するなどして地中に壁状掘削孔を形成し、その内部に汚染物質除去成分を充填する方法が開示されている。
また、特許文献2には、汚染した地下水中の汚染物質を吸着するパーミュライトを袋に封入したユニット体を、地中に形成した壁状掘削孔に積層する方法が開示されている。
特開平2004−283760号公報 特開平2003−300064号公報
しかし、特許文献1に記載の方法では、壁状掘削孔に汚染物質除去成分を直接充填するため、地下水の流速が早い地域では経年使用により、粒径の小さい汚染物質除去成分が壁状掘削孔周囲の土壌中に流亡しやすく、所定の壁厚を維持できない場合が生じる。また、汚染物質除去成分の経年使用により地下水の浄化機能が低下した際には、壁状掘削孔の孔壁を保護しつつ汚染物質除去成分を交換する作業が煩雑である。このため、交換作業を行わずにそのまま埋め殺して新たに浄化地中壁を増設することも多く、不経済であるだけでなく、新たに設置する浄化地中壁を構築するための敷地を確保する必要が生じる。
さらに、地中の壁状掘削孔を柱状列孔にて形成する場合には、隣り合う柱状孔の重なり部分に形成される弦長が、浄化地中壁として必要な壁厚を満足するよう柱状列孔を形成する。こうすると、柱状列孔自体の壁厚は、浄化地中壁として必要な壁厚より大きくなるため、柱状列孔の内方全体に汚染物質除去成分を充填すると、汚染物質除去成分の無駄が生じる。
また、特許文献2に記載の方法では、パーミュライトを袋に封入してユニット体を形成するため、地下水の浄化機能が低下した際の交換作業が容易であるとともに、壁状掘削孔周囲の土壌中への流亡も生じにくい。しかし、地中の壁状掘削孔中にユニット体を積層する方法は、孔壁とユニット体との間及びユニット体どうしの間にすき間が生じやすいため、壁状掘削孔中にパーミュライトが存在しない空洞部が形成されることとなり、地中壁を通過する地下水を十分に浄化できない場合が生じる。
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、安価で地下水の浄化効率がよく、また浄化機能の低下時に容易に更生することの可能な地中浄化壁を提供することである。
かかる目的を達成するため本発明の地中浄化壁は、汚染地下水を浄化するための地中浄化壁であって、該地中浄化壁が、汚染物質吸着材及び通水性の形状保持枠よりなる地中浄化壁本体と、該地中浄化壁本体を覆うドレーン材とにより構成され、地盤中にケーシングを貫入するとともにその内部を排土し、平面視断面が前記ケーシングと内接する大きさであって少なくとも1辺を開口部とする矩形形状に形成された前記形状保持枠をケーシング内に挿入した後、該形状保持枠の内側に前記汚染物質吸着材を、外側に前記ドレーン材をそれぞれ充填して、前記ケーシングを撤去する第1の工程と、前記ケーシングを外周面が前記形状保持枠の開口部に近接するように位置決めし、地盤中に貫入するとともにその内部を排土した後、該ケーシングに新たな前記形状保持枠を挿入し、該形状保持枠の内側に前記汚染物質吸着材を、外側に前記ドレーン材をそれぞれ充填して前記ケーシングを撤去する第2の工程と、により形成されてなることを特徴とする。
また、本発明の地中浄化壁は、第2の工程を複数回繰り返すことを特徴とする。
上記の地中浄化壁によれば、形状保持枠及び汚染物質吸着材よりなる地中浄化壁本体と、これを覆うドレーン材のみの簡略な構成よりなるから、汚染した地下水を揚水設備にて揚水し水処理設備にて浄化する方法と比較して、水処理施設を設置するための敷地確保が不要となるとともに、維持管理が不要であり、費用及び管理の負担を大幅に軽減することが可能となる。
また、汚染物質吸着材を形状保持枠の内部に充填することから、地中浄化壁の経年使用によって汚染物質吸着材が周囲の土壌中に流亡することがないだけでなく、地中浄化壁本体をドレーン材にて覆うことから、地下水の集水効率が向上するため、長期にわたり効率よく地下水を浄化することが可能となる。
さらに、形状保持枠の平面視断面が、前記ケーシングに内接する大きさであって少なくとも1辺を開口部とする矩形形状に形成されてなり、形状保持枠を地盤中に設置する際には、先行して設置された形状保持枠の開口部に近接してケーシングを貫入し、該ケーシングの中に新たな形状保持枠を挿入する。
これにより、ケーシングを引き抜くと、後行して設置した新たな形状保持枠は、先行して設置した形状保持枠の開口部位置にて連接し、第1の工程で形成された柱状孔と第2の工程で形成された柱状孔との重なり部分に形成される弦長と等しい長さの壁厚を有する直線状の壁体を形成する。
したがって、地中浄化壁本体はその外形が、複数の柱状孔を連続させて構築した柱状列孔の中央部分のみを占有する直線状の壁体となるから、従来のような柱状列孔の全体に汚染物質吸着材を充填する場合と比較して、汚染物質吸着材に無駄が生じることがない。
本発明の地中浄化壁は、前記形状保持枠が、通水性の帯状材よりなり、間隔を有して平行に向かい合う一対の通水性面部材と、該通水性面部材の配置間隔を保持するように設置される連結部材とを備え、前記一対の通水性面部材の短辺が水平方向、長辺が鉛直方向となるよう、前記ケーシング内に挿入されてなることを特徴とする。
上記の地中浄化壁によれば、前記形状保持枠は連結部材によりその形状が保持されることから、汚染物質吸着材における地下水の浄化機能が低下した際には、前記形状保持枠により孔壁を保護して周囲の土砂を巻き込むことなく、容易に汚染物質吸着材の除去・交換作業を行うことができる。これにより、地下水の浄化領域となる地中浄化壁本体を容易に更生することができるため、該地中浄化壁本体を備える地中浄化壁を長期にわたり継続的に使用することが可能となる。
本発明の地中浄化壁は、前記連結部材が、棒状部材よりなり、前記通水性面部材における短辺の略中央部であって、長辺に対して平行となるように複数が間隔を有して配置されることを特徴とする。
上記の地中浄化壁によれば、隣り合う前記形状保持枠の内部空間が連通するため、地下水の浄化機能が低下した汚染物質吸着材を除去する際に、例えば隣り合う形状保持枠のうちいずれか一か所にて汚染物質吸着材を吸引することで、地中浄化壁本体内のすべての汚染物質吸着材を一度に吸引除去することできる。これにより、汚染物質吸着材の除去・交換作業をより迅速に行うことが可能となる。
本発明の地中浄化壁は、前記連結部材が、通水性の帯状材よりなり、前記一対の通水性面部材における向かい合う長辺同士を連結するように配置されることを特徴とする。
上記の地中浄化壁によれば、前記地中浄化壁本体の内部が、連結部材により隣り合う前記形状保持枠ごとで区割りされるため、例えば地中浄化壁本体における水平方向の一部分において局所的に汚染物質吸着材における地下水の浄化機能に低下が認められた際には、当該地下水の浄化機能に低下が認められた区画内の汚染物質吸着材のみを除去・交換することができる。これにより、他の区画に位置する健全な汚染物質吸着材を残置することができるため、より経済的に除去・交換作業を行うことが可能となる。
本発明によれば、地中浄化壁が、汚染物質吸着材及び形状保持枠よりなる地中浄化壁本体と、該地中浄化壁本体を覆うドレーン材とにより構成されることから、ドレーン材により地下水の集水効果が得られるだけでなく、形状保持枠により孔壁を保護しつつ容易に汚染物質吸着材を除去・交換できるため、安価で地下水の浄化効率がよく、また地下水の浄化機能が低下した際に、汚染物質吸着材を備える地中浄化壁本体を容易に更生することが可能となる。
地中浄化壁の設置状況を示す図である。 地中浄化壁の平面を示す図である。 地中浄化壁本体を構成する形状保持枠を示す図である。 地中浄化壁における延在方向の断面を示す図である。 地中浄化壁の構築方法を示す図である。 形状保持枠とケーシングの関係を示す図である。 地中浄化壁における壁厚方向の断面を示す図である。
以下に、本発明の一実施形態である地中浄化壁1を、図1から図7を用いて詳述する。
本発明の地中浄化壁1は、汚染物質吸着材4を備えた地中浄化壁本体2を内蔵する地下水透過型の地中壁であり、重金属や有機塩素化合物等の汚染物質にて汚染された汚染地盤11の近傍であって地下水12の下流側に設置される。汚染地盤11を流下することで汚染した地下水12は、地中浄化壁1内を自然通過することにより浄化されるため、地下水12を介して汚染物質11が地中浄化壁1より下流側に流出することを防止することができるものである。
本実施の形態では、図1に示すように、汚染地盤11を有する工場等の敷地から汚染物質が地下水12を介して敷地外に流出することを防止するべく、地下水12の下流側に位置する敷地境界L近傍に本発明の地中浄化壁1を構築する場合を例にとり、詳述する。
地中浄化壁1は、図1及び図2に示すように、地表近傍から汚染地盤11を有する透水層の下方に位置する不透水層13に至る深さに形成される柱状孔151を、地下水12の流下方向と直交する方向に複数連続させて構築した柱状列孔15内に構築されるものであり、ドレーン材2と地中浄化壁本体3とを備えている。
ドレーン材2は、柱状列孔15の孔壁と地中浄化壁本体3との間に充填されるものであり、柱状列孔15の孔壁を保持するとともに、地下水を地中浄化壁本体3に導くために設けられる。本実施の形態ではドレーン材2に砕石を採用しているが、必ずしも砕石に限定されるものではなく、地中浄化壁本体3と孔壁との間に充填された際に、汚染地盤11を有する透水層より透水係数が大きいものであれば、砂や砂利等いずれの材料を用いてもよい。
これらドレーン材2にて周囲を覆われる地中浄化壁本体3は、汚染した地下水12を浄化するための浄化領域となるものであり、図2に示すように、汚染物質吸着材4とこれが充填される形状保持枠5とにより構成される。なお、後述するが、図2(a)と図2(b)は、地中浄化壁本体3にそれぞれ形状の異なる形状保持枠5を採用した地中浄化壁1である。
汚染物質吸着材4は、例えば「地下水の水質汚濁に係る環境基準」」(平成9年3月13日 環境庁告示第10号)に掲げられている項目に該当する汚染物質を除去可能な材料の中から、除去したい汚染物質に応じて最適な材料を適宜選択し、これを粒状体もしくは粉状体に加工したものである。その粒度は、地中浄化壁本体3に必要な透水性能を確保しつつ、地下水12に含有された汚染物質を除去する性能を損なわない比表面積を有する大きさに調整されている。
汚染物質吸着材4に用いる具体的な材料としては、例えばフッ素等を除去したい場合には、汚染物質吸着材4に活性アルミナを採用する。また、六価クロムや1,4−ジオキサンを除去したい場合には、汚染した地下水12の汚染濃度に応じて汚染物質吸着材4に活性炭等の最適なものを採用する。
なお、汚染物質吸着材4は、単一の材料から構成されるものでもよいし、汚染した地下水12から複数種類の汚染物質を除去したい場合には、除去したい汚染物質に対応する材料よりなる粒状体もしくは粉状体を複数混在させてもよい。
これら汚染物質吸着材4が充填される形状保持枠5は、図3で示すように、一対の通水性面部材51と、これらの配置間隔を保持する連結部材52とを備える長尺部材に構成されている。
通水性面部材51は、図3(a)及び(b)で示すように、透水性の帯状材により形成されており、汚染物質吸着材4の通過を阻止し、また、ドレーン材2を介して柱状列孔15の孔壁より側圧が作用した際にも損傷することのない強度を有するものであれば、いずれの材料を採用してもよい。本実施の形態では、図3(c)に示すように、不織布511の両面に一対のラス網512を配置し、これらを矩形フレーム513にて一体に形成した帯状材を用いている。これら帯状材よりなる通水性面部材51は、図3(a)及び(b)で示すように、間隔を有して向かい合うように一対配置され、連結部材52にて連結される。
連結部材52は、ドレーン材2を介して柱状列孔15の孔壁より側圧が作用した際にも、通水性面部材51の配置間隔を保持できる強度を有する部材であれば、いずれの形状のものを採用してもよい。また、その配置位置も、一対の通水面部材51において向かい合う長辺間に形成される2つの開口のうち、少なくともいずれか一方を形状保持枠5の開口部wとして確保できれば、いずれの位置に配置してもよい。
例えば、図3(a)に示す連結部材52は、先に述べた通水性面部材51と同様の通水性を有する帯状材を採用したものであり、これを一対の通水性面部材51における向かい合う長辺間に配置している。これにより形状保持枠5は、コの字状断面、つまり1辺を開口部wとする矩形形状断面に形成された長尺部材となる。
このように形成された形状保持枠5は、通水性面部材51の短辺が水平方向を、長辺が鉛直方向を向くようにして柱状列孔15内に設置される。そして、図2(a)の平面図で示すように、複数が通水性面部材51どうしを柱状列孔15の延在方向に隣り合わせて、開口部wの位置で連接される。
これにより、対をなす通水性面部材51の一方は、地中浄化壁本体3における地下水流入面31、他方は地下水流入面31と平行な地下水流出面32を形成する。また、連結部材52の長さは、地中浄化壁本体3の壁厚となる。
したがって、連結部材52の長さは、地下水12の汚染物質濃度や地下水12の流速、及び地中浄化壁本体3に求められる耐久年数等に応じて算定される地中浄化壁本体3に必要な壁厚と同じ長さに作成すればよい。
ところで、図2(a)に示すように、地中浄化壁本体3に対して、図3(a)に示すような通水性の帯状材を連結部材52に採用した形状保持枠5を採用すると、地中浄化壁本体3内に充填される汚染物質吸着材4は、地中浄化壁本体3の延在方向に見かけ上連続して充填されるものの、図4(a)の延在方向の断面図で示すように連結部材52にて複数に区割りされることとなる。
したがって、地中浄化壁1の経年使用により汚染物質吸着材4における地下水12の浄化機能が低下した場合には、機能低下の度合いに応じて区画ごとで汚染物質吸着材4の除去・交換作業を行うことができる。これにより、汚染物質吸着材4の機能低下が局所的である場合には、その他の区画に位置する健全な汚染物質吸着材4を残置することができるため、より経済的に除去・交換作業を行うことが可能となる。
また、連結部材52の他の事例として、図3(b)に示す連結部材52は、棒状部材を採用したものであり、これを通水性面部材51の短辺における中央部であって、長辺に対して平行となるように間隔を有して複数配置している。これにより形状保持枠5は、H形状断面、つまり2辺を開口部wとする矩形形状断面に形成された長尺部材となる。
そして、図2(b)に示すように、地中浄化壁本体3に対して図3(b)に示すような棒状部材を連結部材52に採用した形状保持枠5を採用すると、図4(b)の延在方向の断面図で示すように、地中浄化壁本体3内に充填される汚染物質吸着材4は、地中浄化壁本体3の延在方向に連続して一様に充填されることとなる。
これにより、地中浄化壁1の経年使用により汚染物質吸着材4の浄化機能が低下した場合に、地中浄化壁本体3内の任意の一カ所にて吸引作業を行うことにより、充填された汚染物質吸着材4を一度に排出することができる。同様に、地中浄化壁本体3内の任意の一カ所より充填作業を行うことにより、汚染物質吸着材4を一度に交換することができ、地中浄化壁本体3の更生作業を効率よく迅速に実施することが可能となる。
なお、いずれの連結部材52を採用した形状保持枠5においても、地中浄化壁本体3の両端部に位置する形状保持枠5には、汚染物質吸着材4が漏れ出ないよう、図3(a)で示すような連結部材52に通水性の帯状体を用いたものを採用するとよい。
このように地中浄化壁1は、汚染物質吸着材4を形状保持枠5の内部に充填することから、地中浄化壁1の経年使用によって汚染物質吸着材4が周囲の土壌中に流亡することがない。また、地中浄化壁本体3をドレーン材2にて覆うことから、地下水12の集水効率が向上する。
また、形状保持枠5は連結部材52によりその形状が保持されることから、形状保持枠5により柱状壁孔15の孔壁を保護して周囲の土砂を巻き込むことなく、容易に汚染物質吸着材4の除去・交換作業を行うことができる。これにより、地下水12の浄化領域となる地中浄化壁本体3を容易に更生することができるものである。
上述する構成の地中浄化壁1の構築方法を、図5及び図6を参照しながら以下に示す。なお、本実施の形態では、図3(a)で示した通水性の帯状材を連結部材52に用いた断面コの字形の形状保持枠5を採用した場合を事例としている。
<第1の工程>
まず、地中浄化壁1の構築予定位置にケーシング14を位置決めし、図5(a)に示すように、これを地盤中に貫入するとともにその内方を排土する。ケーシング14の貫入方法は、例えば、ケーシング14の内方にアースオーガー等を挿通させ、アースオーガーにて地盤を掘削・排土しつつケーシング14を貫入する中堀工法や、ケーシング14を圧入した後、その内方をバケット等にて排土する方法等いずれの手段を用いてもよい。
ケーシング14の先端が不透水層13に達したところで、貫入及び排土作業を終了し、図5(b)に示すように、断面がケーシング14に内接する大きさの矩形形状を有する形状保持枠5をケーシング14内に挿入し、図5(c)に示すように、形状保持枠5の内側に汚染物質吸着材4を、外側にドレーン材2を充填する。このとき、形状保持枠5は、開口部wが地中浄化壁本体3の延在方向を向くようにケーシング14内で位置決めしておく。
<第2の工程>
次に、地盤中よりケーシング14を引き抜いた後、図5(d)に示すように、先行して設置した形状保持枠5の開口部wに外周面が接するようケーシング14を位置決めし、先の要領でケーシング14を地盤中に再度貫入するとともにその内方を排土する。このように、先行して設置した形状保持枠5の開口部wは、これと隣接してケーシング14を貫入する際のガイドとしても機能することとなる。
この後、図5(e)に示すように、ケーシング14の内方に新たな形状保持枠5を挿入するとともに、図5(f)に示すように、形状保持枠5の内側および形状保持枠5の連結部材52とケーシング14とにより囲まれた空間に汚染物質吸着材4を、形状保持枠5の通水性面部材51とケーシング14とにより囲まれた空間にドレーン材2をそれぞれ充填したうえで、ケーシング14を引き抜く。このときにも、形状保持枠5は、開口部wが地中浄化壁本体3の延在方向を向くようにケーシング14内で位置決めしておく。
このような第2の工程を、地中浄化壁1が所望の壁体長になるまで繰り返す。
上述する方法によると、後行して設置した形状保持枠5は、図5(g)で示すように、先行して設置した形状保持枠5の開口部w位置にて連接し、第1の工程で形成された柱状孔151と第2の工程で形成された柱状孔151との重なり部分に形成される弦長と等しい長さの壁厚を有する直線状の壁体を形成する。
したがって、地中浄化壁本体3は、その外形が複数の柱状孔151を連続させて構築した柱状列孔15の中央部分のみを占有する直線状の壁体となるから、従来のような柱状列孔15の全体に汚染物質吸着材4を充填する場合と比較して、汚染物質吸着材4に無駄が生じることがない。
なお、上記の方法において、先行して設置した形状保持枠5の開口部wとこれと隣り合う形状保持枠5との間に、ケーシング14の部材厚分の隙間が生じる。この隙間より汚染物質吸着材4が流出する恐れがある場合には、図3(d)に示すように、ケーシング14の内周面に沿って変形可能で、かつケーシング14を引き抜いた際に復元して汚染物質吸着材4の流出を防止するブラシや板ゴム等の弾性部材53を、予め形状保持枠5の開口部を形成する側の長辺に設けておくとよい。
また、先にも述べたように、地中浄化壁本体3の壁厚は、連結部材52の長さにて自在に調整可能である。したがって、壁厚を大きく確保したい場合には、図6(a)に示すように、通水性面部材51の短辺より連結部材52が長い形状の形状保持枠5を採用すればよい。一方、地中浄化壁本体3の壁厚を小さくしたい場合には、図6(b)に示すように、通水性面部材51の短辺より連結部材52を短い形状の形状保持枠5を採用すればよい。
このように、ケーシング14に内接する大きさの断面を確保しつつ、連結部材52の長さを調整した形状保持枠5を用いることにより、所望の壁厚に形成された地中浄化壁本体3を内蔵する地中浄化壁1を構築することが可能となる。
ところで、本実施の形態では、汚染物質吸着材4を交換するにあたり、地下水12の浄化機能が低下した度合を把握するべく、地中浄化壁本体3内に採水管6を設置している。
具体的には、図2に示すように、地中浄化壁本体3の地下水流出面32付近において、通水性面部材51に沿うように間隔を有して、複数の採水管6を設置する。採水口61の高さ位置はいずれも、汚染地盤11を有する透水層と同等の高さ範囲内に設置されており、採水管6を介して地中浄化壁本体3中の地下水12を採取する。
そして、採水管6より定期的に地下水12を採水して地下水12中の汚染物質濃度をモニタリングする。汚染物質濃度が上昇し、浄化目標値を満たさなくなった時点もしくはその直前で、汚染物質吸着材4の機能低下が地中浄化壁本体3の地下水流出面32側にまで進行しているものと判断し、汚染物質吸着材4の交換を行う。
このように、採水管6を地中浄化壁本体3内における地下水流出面32付近に設置し、地中浄化壁本体3中の地下水12を汚染物質濃度にて定期的にモニタリングすることにより、汚染物質吸着材4の健全性を評価し、最適な交換時期を客観的に判断することが可能となる
なお、複数の採水管6はいずれの配置間隔で設置してもよいが、例えば、図4(a)の延在方向の断面図に示すように、地中浄化壁本体3に、連結部材52として通水性の帯状材を採用した形状保持枠5を用いた場合には、連結部材52にて区割りされた領域内各々に採水管6を配置するとよい。これにより、区画ごとで汚染物質吸着材4の健全性を評価できるため、汚染物質吸着材4を交換するタイミングを区画ごとで把握することができ、地中浄化壁本体3のメンテナンス作業を経済的に実施することが可能となる。
また、複数の採水管6は、図4(b)の延在方向の断面図に示すように、採水口61の高さ位置を、汚染地盤11を有する透水層と同等の高さ範囲内で異ならせて設置してもよい。こうすると、地中浄化壁本体3中の深さ方向ごとで汚染物質吸着材4の健全性を評価することが可能となる。
さらに、採水管6の配置方法は上述する方法に限定されるものではなく、図7(a)及び(b)の壁厚方向の断面図に示すように、採水管6を地中浄化壁本体3の壁厚方向に間隔を有して複数配置してもよい。
当然ながら、地中浄化壁本体3中の汚染物質吸着材4は、図7(a)に示すように、稼働開始後に地下水流入面31付近が先行して機能低下し、経年使用により機能低下は図7(b)に示すように、地下水流出面32に向けて徐々に進行する。
したがって、壁厚方向に間隔を有して配置した複数の採水管6各々より定期的に地下水12を採取して汚染物質濃度を計測し、汚染物質濃度が浄化目標値を満たさなくなるまでの年数、つまり採水管6各々が位置する付近の汚染物質吸着材4が、機能低下するまでに要した時間を計測する。
これにより、地下水流入面31から採水管6各々の配置位置までの距離と、排水管6付近に位置する汚染物質吸着材4の機能低下に要した時間との関係から、地下浄化壁1の稼働開始後、汚染物質吸着材4の機能低下が地下水流出面32側に達するまでに要する期間、つまり地下浄化壁1の寿命を予測することができる。これにより、汚染物質吸着材4の交換時期を事前に把握し、計画的に地中浄化壁本体3の更生作業を実施することが可能となる。
なお、本実施の形態では、地中浄化壁本体3の壁厚方向に配置する採水管6の本数を3本としたが、本数は必ずしもこれに限定するものではない。採水管6の本数は、地中浄化壁本体3の壁厚や寿命予測に求められる精度等に応じて、適宜調節すればよい。
本発明の地中浄化壁1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
例えば、本実施の形態では、形状保持枠5を、1体にて地表近傍から不透水層13に達する程度の長尺部材に形成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、複数を直列に連結することで地表近傍から不透水層13に達する長さとなるよう形成してもよい。
1 地中浄化壁
2 ドレーン材
3 地中浄化壁本体
31 地下水流入面
32 地下水流出面
4 汚染物質吸着材
5 形状保持枠
51 通水性面部材
511 不織布
512 金網
513 矩形フレーム
52 連結部材
53 弾性部材
6 採水管
61 採水口
11 汚染地盤
12 地下水
13 不透水層
14 ケーシング
15 削孔
L 敷地境界

Claims (5)

  1. 汚染地下水を浄化するための地中浄化壁であって、
    該地中浄化壁が、汚染物質吸着材及び通水性の形状保持枠よりなる地中浄化壁本体と、該地中浄化壁本体を覆うドレーン材とにより構成され、
    地盤中にケーシングを貫入するとともにその内部を排土し、平面視断面が前記ケーシングと内接する大きさであって少なくとも1辺を開口部とする矩形形状に形成された前記形状保持枠をケーシング内に挿入した後、該形状保持枠の内側に前記汚染物質吸着材を、外側に前記ドレーン材をそれぞれ充填して、前記ケーシングを撤去する第1の工程と、
    前記ケーシングを外周面が前記形状保持枠の開口部に近接するように位置決めし、地盤中に貫入するとともにその内部を排土した後、該ケーシングに新たな前記形状保持枠を挿入し、該形状保持枠の内側に前記汚染物質吸着材を、外側に前記ドレーン材をそれぞれ充填して前記ケーシングを撤去する第2の工程と、により形成されてなることを特徴とする地中浄化壁。
  2. 請求項1に記載の地中浄化壁において、
    第2の工程を複数回繰り返してなることを特徴とする地中浄化壁。
  3. 請求項1または2に記載の地中浄化壁において、
    前記形状保持枠が、通水性の帯状材よりなり、間隔を有して平行に向かい合う一対の通水性面部材と、該通水性面部材の配置間隔を保持するように設置される連結部材とを備え、
    前記一対の通水性面部材の短辺が水平方向、長辺が鉛直方向となるよう、前記ケーシング内に挿入されてなることを特徴とする地中浄化壁。
  4. 請求項3に記載の地中浄化壁において、
    前記連結部材が、棒状部材よりなり、
    前記通水性面部材における短辺の略中央部であって、長辺に対して平行となるように複数が間隔を有して配置されることを特徴とする地中浄化壁。
  5. 請求項3に記載の地中浄化壁において、
    前記連結部材が、通水性の帯状材よりなり、
    前記一対の通水性面部材における向かい合う長辺同士を連結するように配置されることを特徴とする地中浄化壁。
JP2015045897A 2015-03-09 2015-03-09 地中浄化壁 Active JP6402656B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015045897A JP6402656B2 (ja) 2015-03-09 2015-03-09 地中浄化壁

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015045897A JP6402656B2 (ja) 2015-03-09 2015-03-09 地中浄化壁

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016165670A true JP2016165670A (ja) 2016-09-15
JP6402656B2 JP6402656B2 (ja) 2018-10-10

Family

ID=56897999

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015045897A Active JP6402656B2 (ja) 2015-03-09 2015-03-09 地中浄化壁

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6402656B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109592736A (zh) * 2019-01-25 2019-04-09 中国地质大学(武汉) 一种增加污染水体在活性材料停滞时间的装置及除污方法

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5487622A (en) * 1992-04-23 1996-01-30 University Of Waterloo System for treating polluted groundwater
JP2002079233A (ja) * 2000-09-11 2002-03-19 Kawasaki Steel Corp 浄化用地下壁
JP2005185979A (ja) * 2003-12-26 2005-07-14 Taisei Corp 浄化杭の構築方法
JP2005296824A (ja) * 2004-04-13 2005-10-27 Taisei Corp 透過性地下水浄化壁
JP2005296762A (ja) * 2004-04-08 2005-10-27 Kankyo Eng Co Ltd 浄化機能付き鋼矢板および汚染土壌の浄化方法。
JP2006043602A (ja) * 2004-08-05 2006-02-16 Ohbayashi Corp 汚染土壌の処理システム
JP2011161368A (ja) * 2010-02-09 2011-08-25 Dowa Eco-System Co Ltd 透過反応壁構築工法およびそれに使用されるガイド部材
JP2014054610A (ja) * 2012-09-13 2014-03-27 Ohbayashi Corp 地下水の浄化装置及び浄化方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5487622A (en) * 1992-04-23 1996-01-30 University Of Waterloo System for treating polluted groundwater
JP2002079233A (ja) * 2000-09-11 2002-03-19 Kawasaki Steel Corp 浄化用地下壁
JP2005185979A (ja) * 2003-12-26 2005-07-14 Taisei Corp 浄化杭の構築方法
JP2005296762A (ja) * 2004-04-08 2005-10-27 Kankyo Eng Co Ltd 浄化機能付き鋼矢板および汚染土壌の浄化方法。
JP2005296824A (ja) * 2004-04-13 2005-10-27 Taisei Corp 透過性地下水浄化壁
JP2006043602A (ja) * 2004-08-05 2006-02-16 Ohbayashi Corp 汚染土壌の処理システム
JP2011161368A (ja) * 2010-02-09 2011-08-25 Dowa Eco-System Co Ltd 透過反応壁構築工法およびそれに使用されるガイド部材
JP2014054610A (ja) * 2012-09-13 2014-03-27 Ohbayashi Corp 地下水の浄化装置及び浄化方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109592736A (zh) * 2019-01-25 2019-04-09 中国地质大学(武汉) 一种增加污染水体在活性材料停滞时间的装置及除污方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6402656B2 (ja) 2018-10-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN104261505A (zh) 一种地下水污染修复系统及其施工方法
JP5012405B2 (ja) 地中浄化構造物およびその工法
JP4726635B2 (ja) スパージング井戸および土壌浄化システム
CN114716066A (zh) 一种可渗透反应墙耦合循环井系统及修复地下水的方法
JP6402656B2 (ja) 地中浄化壁
KR101209157B1 (ko) 지하수 오염 방지용 그라우팅 차폐장치
JP5070694B2 (ja) 汚染土壌・地下水の封じ込め工法
KR100741883B1 (ko) 발포우레탄 패커를 이용한 지하수 폐공 처리장치 및 방법
JP2014074309A (ja) 地中構造体の施工方法
KR100741884B1 (ko) 발포우레탄 패커를 이용한 지하수 폐공 처리장치 및 방법
KR101122265B1 (ko) 관정형 반응벽체 및 이의 생성 방법
KR100862166B1 (ko) 개착식 하상여과공법을 이용한 집수시스템
JP6138024B2 (ja) 汚染水ブロックエリア生成方法及び装置
KR100689114B1 (ko) 집수정의 수평집수관 청소장치 및 청소방법
JP6441692B2 (ja) 治水機能を備えた地下構造物並びにその施工方法
KR102120402B1 (ko) 배출도랑과 지하 다중벽체 구조물을 이용한 오염지하수의 확산방지 및 정화 시스템 및 방법
CN209940624U (zh) 一种循环井
JP4572761B2 (ja) 原位置封じ込め工法及び原位置封じ込め装置
KR101275298B1 (ko) 비점오염원 침투 도랑형 정화장치
KR101271648B1 (ko) 터널형의 스크린부로 구성되는 초기우수처리장치 및 이의 시공방법
JP4721569B2 (ja) 汚染土壌拡散防止方法
KR20120139874A (ko) 통수 개수로와 투수성 배수재를 이용한 연약지반 집배수 시스템
JP4105680B2 (ja) 水質浄化装置
JP2000308878A (ja) 汚染土壌の改良装置と改良工法
JP3453681B2 (ja) 地下水浄化構造及び地下水浄化方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180220

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180718

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180814

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180827

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6402656

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150