JP2016161519A - 原子炉監視システム及び原子力プラント並びに原子炉監視方法 - Google Patents

原子炉監視システム及び原子力プラント並びに原子炉監視方法 Download PDF

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Abstract

【課題】原子炉内の冷却材に気泡が混入した場合であっても原子炉の状態を的確に監視可能な原子炉監視システムを提供する。
【解決手段】
原子炉監視システムは、原子炉容器内に設けられる少なくとも一つの熱音響センサと、前記少なくとも一つの熱音響センサが発する音を検出する第1音検出器と、原子炉の状態監視を行うための状態監視ユニットと、を備え、前記状態監視ユニットは、前記第1音検出器の検出結果から前記音の周波数を算出するための周波数算出部と、前記原子炉容器又は該原子炉容器に連通する配管内における冷却材のボイド率を示す指標に基づいて、前記周波数算出部によって算出した前記周波数を補正するための周波数補正部と、前記周波数補正部によって補正された前記周波数に基づいて、原子炉の状態監視を行うための監視部と、を含む。
【選択図】 図1

Description

本開示は原子炉監視システム及び原子力プラント並びに原子炉監視方法に関する。
熱を音波に変換し、又は音波を熱に変換する熱音響デバイスが知られている。
例えば、特許文献1には、レゾネータ(共鳴装置)として機能するチャンバを画定するハウジングと、チャンバの中に配置されるスタックとを備える熱音響センサ(熱音響デバイス)が開示されている。この熱音響センサでは、スタックがハウジング内部又は外部の熱源からの熱を受けてスタックの両端部にある程度の温度差が生じると、ハウジングの周囲の温度に応じた周波数の音波が生成されるようになっている。したがって、レゾネータで共鳴する音波の周波数を計測することで、ハウジング周囲の温度を知ることができる。
また、特許文献1には、原子炉の圧力容器内の燃料棒に上述の熱音響センサを組み込んで、燃料棒の周囲を流れる冷却材の温度監視に利用することが記載されている。この熱音響センサでは、燃料棒の被覆管をハウジングとして用い、燃料棒内部の燃料ペレットを熱源としてスタックの両端に温度差を生じさせるようになっている。
米国特許出願公開第2014/0050293号明細書
ところで、水中での音速は、水中における気泡混入率(ボイド率)の影響を受けることが知られている。よって、例えばシビアアクシデント等により気泡が原子炉内の冷却材に混入した場合、冷却材への気泡の混入により冷却材中における音速及び音の周波数が変化する。このため、上述した熱音響センサを用いた場合、熱音響センサが発する音の周波数の変化に基づく原子炉の状態監視を的確に行うことができない可能性がある。
そこで、原子炉内の冷却材に気泡が混入した場合であっても原子炉の状態を的確に監視できることが望まれる。
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、原子炉内の冷却材に気泡が混入した場合であっても原子炉の状態を的確に監視可能な原子炉監視システムを提供することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る原子炉監視システムは、
原子炉容器内に設けられる少なくとも一つの熱音響センサと、
前記少なくとも一つの熱音響センサが発する音を検出する第1音検出器と、
原子炉の状態監視を行うための状態監視ユニットと、を備え、
前記状態監視ユニットは、
前記第1音検出器の検出結果から前記音の周波数を算出するための周波数算出部と、
前記原子炉容器又は該原子炉容器に連通する配管内における冷却材のボイド率を示す指標に基づいて、前記周波数算出部によって算出した前記周波数を補正するための周波数補正部と、
前記周波数補正部によって補正された前記周波数に基づいて、原子炉の状態監視を行うための監視部と、を含む。
熱音響センサが発する音の周波数は、熱音響センサの周囲の原子炉の状態(例えば、原子炉容器内の冷却材の温度等)を示す。よって、上記(1)の構成によれば、熱音響センサから発せられて第1音検出器で検出された音から算出された音の周波数に基づいて、原子炉の状態を監視することができる。また、熱音響センサが発した音が第1音検出器まで伝播する過程において冷却材のボイド率が周波数変化に与える影響を考慮し、冷却材のボイド率を示す指標に基づいて周波数を補正するようにしたので、原子炉の状態監視をより的確に行うことができる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記原子炉容器又は前記配管内に設けられ、前記原子炉容器又は前記配管内に圧力波を発生させる励振源の励振周波数にチューニングされた共鳴音響場と、
前記共鳴音響場における共鳴音を検出する第2音検出器と、をさらに備え、
前記周波数補正部は、前記第2音検出器で検出された前記共鳴音の周波数の前記励振周波数に対する変化に基づいて、前記周波数を補正するように構成される。
励振源の励振周波数にチューニングされた共鳴音響場で発生した共鳴音は、第2音検出器によって検出されるまでの間に、共鳴音響場中の気泡の存在の影響を受けて、励振周波数から変化する。この周波数変化は、共鳴音響場中の気泡混入率(≒冷却材のボイド率)に依存する。よって、共鳴音響場での共鳴音の周波数の励振周波数に対する変化は、冷却材のボイド率を示す指標となり得る。
上記(2)の構成では、冷却材のボイド率を示す共鳴音響場での共鳴音の周波数の励振周波数に対する変化に基づいて、冷却材に混入した気泡により変化した音の周波数を補正するので、原子炉の状態監視を的確に行うことができる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、前記周波数補正部は、前記共鳴音の前記周波数の前記励振周波数に対する前記変化から求めた前記ボイド率に基づいて、前記周波数を補正するように構成される。
上記(3)の構成によれば、周波数補正部は、冷却材中の気泡の存在に起因した周波数変化の影響を定量的に評価可能な冷却材のボイド率を周波数補正のために用いるようにしたので、冷却材中の気泡の存在に起因した周波数変化の影響を排除した真の周波数変化に基づく原子炉の状態監視が可能になる。よって、原子炉の状態監視をより的確に行うことができる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(2)又は(3)の構成において、前記励振源は、前記原子炉容器に前記冷却材を供給するための冷却材ポンプの脈動である。
上記(4)の構成によれば、冷却材ポンプの脈動の周波数(励振周波数)にチューニングされた共鳴音響場を用いて共鳴音響場における共鳴音を発生させることができる。これにより、新たな励振源の追加を要しない簡素な構成により、上記(2)又は(3)の構成を実現することができる。
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)の構成において、前記励振周波数fS0は、前記冷却材ポンプの回転数をNとし、前記冷却材ポンプの羽根枚数をZとしたとき、fS0=k×NZ(但し、kは1以上の整数)の関係を満たす。
上記(5)の構成では、回転数Nと羽根枚数Zとの積NZの整数倍である冷却材ポンプの脈動周波数(励振周波数)にチューニングされた共鳴音響場を用いて共鳴音響場における共鳴音を発生させることができる。
(6)幾つかの実施形態では、上記(2)又は(3)の構成において、
前記共鳴音響場は、前記原子炉容器又は前記配管内において前記冷却材の流れ方向に対して側方に向かって設けられた凹部であり、
前記励振源は、前記流れ方向の上流側における前記凹部の縁で生じる前記冷却材の流れの剥離に起因して生じる渦である。
上記(6)の構成によれば、凹部の縁で生じる冷却材の流れの剥離に起因して生じる渦の生成周期にチューニングされた共鳴音響場を用いて共鳴音響場における共鳴音を発生させることができる。よって、新たな励振源の追加を要しない簡素な構成により、上記(2)又は(3)の構成を実現することができる。
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(6)の何れかの構成において、前記少なくとも一つの熱音響センサは、前記原子炉容器内の炉心に設けられる燃料棒の内部に設けられている。
上記(7)の構成では、燃料棒の内部に設けられた熱音響センサによって、原子炉容器内の炉心における状態を監視することができる。
(8)本発明の少なくとも一実施形態に係る原子力プラントは、
原子炉と、
前記原子炉で発生した熱によって生成された蒸気により駆動されるように構成された蒸気タービンと、
前記原子炉の状態監視を行うための上記(1)〜(7)の何れの構成を有する原子炉監視システムと、
を備える。
熱音響センサが発する音の周波数は、熱音響センサの周囲の原子炉の状態(例えば、原子炉容器内の冷却材の温度等)を示す。よって、上記(8)の構成によれば、熱音響センサから発せられて第1音検出器で検出された音から算出された音の周波数に基づいて、原子炉の状態を監視することができる。また、熱音響センサが発した音が第1音検出器まで伝播する過程において冷却材のボイド率が周波数変化に与える影響を考慮し、冷却材のボイド率を示す指標に基づいて周波数を補正するようにしたので、原子炉の状態監視をより的確に行うことができる。
(9)本発明の少なくとも一実施形態に係る原子炉監視方法は、
原子炉容器内に設けられた少なくとも一つの熱音響センサが発する音を第1音検出器で検出する第1検出ステップと、
前記第1音検出器の検出結果に基づいて、前記音の周波数を算出する周波数算出ステップと、
前記原子炉容器又は該原子炉容器に連通する配管内における冷却材のボイド率を示す指標に基づいて、前記周波数算出ステップで算出した前記周波数を補正する周波数補正ステップと、
前記周波数補正ステップで補正された前記周波数に基づいて、原子炉の状態監視を行うための状態監視ステップと、を備える。
熱音響センサが発する音の周波数は、熱音響センサの周囲の原子炉の状態(例えば、原子炉容器内の冷却材の温度等)を示す。よって、上記(9)の方法によれば、熱音響センサから発せられて第1音検出器で検出された音から算出された音の周波数に基づいて、原子炉の状態を監視することができる。また、熱音響センサが発した音が第1音検出器まで伝播する過程において冷却材のボイド率が周波数変化に与える影響を考慮し、冷却材のボイド率を示す指標に基づいて周波数を補正するようにしたので、原子炉の状態監視をより的確に行うことができる。
(10)幾つかの実施形態では、上記(9)の方法において、
前記原子炉容器又は前記配管内に設けられるとともに、前記原子炉容器又は前記配管内に圧力波を発生させる励振源の励振周波数にチューニングされた共鳴音響場における共鳴音を第2音検出器で検出する第2検出ステップをさらに備え、
前記周波数補正ステップでは、前記第2音検出器で検出された前記共鳴音の周波数の前記励振周波数に対する変化に基づいて、前記周波数を補正する。
励振源の励振周波数にチューニングされた共鳴音響場で発生した共鳴音は、第2音検出器によって検出されるまでの間に、共鳴音響場中の気泡の存在の影響を受けて、励振周波数から変化する。この周波数変化は、共鳴音響場中の気泡混入率(≒冷却材のボイド率)に依存する。よって、共鳴音響場での共鳴音の周波数の励振周波数に対する変化は、冷却材のボイド率を示す指標となり得る。
上記(10)の方法では、冷却材のボイド率を示す共鳴音響場での共鳴音の周波数の励振周波数に対する変化に基づいて、冷却材に混入した気泡により変化した音の周波数を補正するので、原子炉の状態監視を的確に行うことができる。
(11)幾つかの実施形態では、上記(10)の方法において、
前記周波数補正ステップは、
前記共鳴音の前記周波数の前記励振周波数に対する前記変化から前記ボイド率を求めること、および、
前記ボイド率に基づいて、前記周波数を補正すること
を含む。
上記(11)の方法によれば、周波数補正部は、冷却材中の気泡の存在に起因した周波数変化の影響を定量的に評価可能な冷却材のボイド率を周波数補正のために用いるようにしたので、冷却材中の気泡の存在に起因した周波数変化の影響を排除した真の周波数変化に基づく原子炉の状態監視が可能になる。よって、原子炉の状態監視をより的確に行うことができる。
(12)幾つかの実施形態では、上記(10)又は(11)の方法において、前記励振源は、前記原子炉容器に前記冷却材を供給するための冷却材ポンプの脈動である。
上記(12)の方法によれば、冷却材ポンプの脈動の周波数(励振周波数)にチューニングされた共鳴音響場を用いて共鳴音響場における共鳴音を発生させることができる。これにより、新たな励振源の追加を要しない簡素な構成により、上記(10)又は(11)の方法を実現することができる。
(13)幾つかの実施形態では、上記(12)の方法において、前記励振周波数fは、前記冷却材ポンプの回転数をNとし、前記冷却材ポンプの羽根枚数をZとしたとき、f=k×NZ(但し、kは1以上の整数)の関係を満たす。
上記(13)の方法では、回転数Nと羽根枚数Zとの積NZの整数倍である冷却材ポンプの脈動周波数(励振周波数)にチューニングされた共鳴音響場を用いて共鳴音響場における共鳴音を発生させることができる。
(14)幾つかの実施形態では、上記(10)又は(11)の方法において、前記共鳴音響場は、前記原子炉容器又は前記配管内において前記冷却材の流れ方向に対して側方に向かって設けられた凹部であり、
前記励振源は、前記流れ方向の上流側における前記凹部の縁で前記冷却材の流れの剥離に起因して生じる渦である。
上記(14)の方法によれば、凹部の縁で生じる冷却材の流れの剥離に起因して生じる渦の生成周期にチューニングされた共鳴音響場を用いて共鳴音響場における共鳴音を発生させることができる。よって、新たな励振源の追加を要しない簡素な構成により、上記(10)又は(11)の方法を実現することができる。
(15)幾つかの実施形態では、上記(9)〜(14)の何れかの方法において、前記少なくとも一つの熱音響センサは、前記原子炉容器内の炉心に設けられる燃料棒の内部に設けられている。
上記(15)の方法では、燃料棒の内部に設けられた熱音響センサによって、原子炉容器内の炉心における状態を監視することができる。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、原子炉内の冷却材に気泡が混入した場合であっても原子炉の状態を的確に監視可能な原子炉監視システムが提供される。
一実施形態に係る原子力プラントの概略構成図である。 一実施形態に係る燃料棒を含む燃料集合体の一例を示す図である。 一実施形態に係る燃料棒の概略構成図である。 一実施形態に係る熱音響センサが組み込まれた燃料棒の概略構成図である。 一実施形態に係る状態監視ユニットの構成を示す図である。 一実施形態に係る共鳴音響場を示す図である。 一実施形態に係る原子炉監視方法のフローチャートである。 水中での音速と、水中への気泡混入率(ボイド率)との関係を示すグラフである。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図1は、一実施形態に係る原子力プラントの概略構成図である。図1に示すように、原子力プラント1は、核分裂反応で発生する熱エネルギーにより蒸気を生成するための原子炉2と、原子炉2で生成された蒸気により駆動される蒸気タービン4と、蒸気タービン4の回転軸の回転により駆動される発電機6を備える。なお、図1に示す原子炉2は、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。他の実施形態では、原子炉2は沸騰水型原子炉(BWR:Boiling Water Reactor)であってもよく、あるいは、加圧水型原子炉及び沸騰水型原子炉を含む軽水炉とは異なり、減速材又は冷却材として軽水以外の物質を用いるタイプの原子炉であってもよい。
原子炉2は、一次冷却水(一次冷却材)が流れる一次冷却ループ10と、一次冷却ループ10に設けられる原子炉容器(圧力容器)11、加圧器14、蒸気発生器16及び一次冷却材ポンプ(冷却材ポンプ)18と、を含む。一次冷却材ポンプ18は、一次冷却ループ10において一次冷却水を循環させるように構成される。また、加圧器14は、一次冷却ループ10において、一次冷却水が沸騰しないように、一次冷却水を加圧するように構成される。なお、原子炉2を構成する原子炉容器11、加圧器14、蒸気発生器16及び一次冷却材ポンプ18は、原子炉格納容器19に格納される。
原子炉容器11にはペレット状の核燃料(例えばウラン燃料やMOX燃料等)を含む燃料棒12が収容されており、この燃料の核分裂反応で発生する熱エネルギーにより、原子炉容器11の中の一次冷却水が加熱される。原子炉容器11には、原子炉出力を制御するために、核燃料を含む炉心で生成される中性子数を吸収して調整するための制御棒13が設けられている。なお、原子炉容器11内で加熱された一次冷却水は蒸気発生器16に送られ、熱交換により二次冷却ループ20を流れる二次冷却水(二次冷却材)を加熱して蒸気を発生させる。
蒸気発生器16において生成された蒸気は、高圧タービン21及び低圧タービン22を含む蒸気タービン4に送られて、蒸気タービン4を回転駆動させる。また、蒸気タービン4は回転軸を介して発電機6と連結されており、発電機6は該回転軸の回転により駆動されて、電気エネルギーを生成する。なお、高圧タービン21と低圧タービン22との間には湿分分離加熱器23が設けられており、高圧タービン21で仕事をした後の蒸気を再度加熱してから低圧タービン22に送るようになっている。
二次冷却ループ20には、復水器24、低圧給水加熱器26、脱気器27及び高圧給水加熱器29が設けられており、低圧タービン22で仕事をした後の蒸気がこれらの機器を通る過程で凝縮されるとともに加熱され、蒸気発生器16に戻るようになっている。二次冷却ループ20には、復水ポンプ25及び給水ポンプ28が設けられており、これらのポンプにより二次冷却ループ20において二次冷却水が循環するようになっている。また、復水器24には、低圧タービン22からの蒸気を熱交換により冷却するための冷却水(例えば海水)がポンプ15を介して供給されるようになっている。
図2は、一実施形態に係る燃料棒を含む燃料集合体の一例を示す図である。原子炉容器11に収容される燃料棒12は、複数の燃料棒12の集合体である燃料集合体50を構成してもよい。
図2に示す燃料集合体50は、燃料集合体50の両端部に配置されて冷却材の流路を確保するための上部ノズル56及び下部ノズル58と、上部ノズル56と下部ノズル58との間に設けられる燃料棒12、炉内計装用案内シンブル(不図示)及び複数の制御棒案内シンブル(不図示)と、燃料棒12を格子配列に維持するための支持格子54と、を含む。炉内計装用案内シンブル及び制御棒案内シンブルは、燃料棒12と略平行に設けられ、燃料棒12とともに格子配列を形成するように配置される。
上部ノズル56及び下部ノズル58の各々と、炉内計装用案内シンブル及び制御棒案内シンブルの各々とは、溶接により互いに接合されており、燃料集合体50の支持骨格を形成している。
なお、燃料集合体50に含まれる複数の燃料棒12における核分裂反応は、複数の制御棒13を備える制御棒クラスタ51により制御されるようになっている。制御棒クラスタ51は駆動装置(図示しない)により駆動されて、制御棒クラスタ51の備える複数の制御棒13が制御棒案内シンブルの中を上下に移動するようになっている。
図3は、一実施形態に係る燃料棒の概略構成図である。図3に示すように、燃料棒12は、被覆管30と、被覆管30の内部に収容された燃料ペレット32と、被覆管30の両端を封止するための端栓(34,36)と、を含む。なお、端栓34は、燃料棒12が原子炉容器11に装着された際に鉛直方向上側に位置する端栓であり、端栓36は、燃料棒12が原子炉容器11に装着された際に鉛直方向下側に位置する端栓である。また、被覆管30の内部には、例えばヘリウムが加圧封入されていてもよい。
被覆管30の内部において、燃料ペレット32は、端栓34により一端の位置が定まる付勢部材37(図3においてはコイルばね)によって付勢されて、付勢部材37と端栓36との間に固定される。また、付勢部材37で燃料ペレット32を付勢することにより、被覆管30の内部において、燃料ペレット32の上端面33と端栓34の下端面35との間にはプレナム31が形成されており、燃料ペレット32の核分裂により生成されるガスがプレナム31の中に閉じ込められるようになっている。
被覆管30及び端栓(34,36)は、例えばジルカロイ−4を材料として作製され、被覆管30と端栓34及び被覆管30と端栓36は、それぞれ溶接により接合されて密封構造とされる。
燃料ペレット32は、ウラン燃料やMOX燃料の材料を成形して焼結したものであり、通常は円柱状の形状を有する。
なお、複数の燃料棒12のうちいくつかは、以下に説明するように熱音響センサ40が組み込まれていてもよい。
次に、図1、図4〜図6を用いて、一実施形態に係る原子炉監視システムについて説明する。一実施形態に係る原子炉監視システム120は、原子炉容器11内に設けられる少なくとも一つの熱音響センサ40と、熱音響センサ40が発する音を検出する第1音検出器48と、原子炉2の状態監視を行うための状態監視ユニット100と、を備える。
図4は、一実施形態に係る熱音響センサが組み込まれた燃料棒の概略構成図である。
図4に示す実施形態に係る熱音響センサ40は、燃料棒12に組み込まれている。なお、図4に示す燃料棒12は、端栓34と燃料ペレット32との間に固定リング38が設けられており、燃料ペレット32を付勢する付勢部材37の一端の位置は固定リング38により定まるようになっている点、及び、以下に説明する熱音響センサ40が組み込まれている点を除いて、図3に示す燃料棒12と同様の構成を有する。
図4に示すように、熱音響センサ40は、レゾネータとして機能するチャンバ42を画定するハウジング41と、チャンバ42の中に配置されるスタック44とを備える。ここでは、燃料棒12の被覆管30がハウジング41の機能を有する。図4に示す例では、ハウジング41の内壁面と、端栓34の下端面35と、燃料ペレット32の上端面33とにより、長さがLのチャンバ42が画定される。
スタック44は、その両端、すなわち熱源に近い側の高温側端45と、熱源からより遠い側の低温側端46との間にある程度の温度差が生じると、チャンバ42の中で音波を生成する熱音響素子である。燃料ペレット32は、スタック44に熱を与える熱源としての役割を有し、燃料ペレット32からの熱により、スタック44において高温側端45と低温側端46との間に温度差が生じる。また、燃料ペレット32からの熱に加えて、燃料ペレット32の核分裂反応によって発生する電磁波により、スタック44の高温側端45がさらに加熱されると、スタック44において高温側端45と低温側端46との間でさらに温度差が生じる。この温度差が所定値以上になると、スタック44を流れる熱流束の一部が、チャンバ42内部の温度に応じた周波数をもつ音波に変換される。
スタック44と燃料ペレット32とは、チャンバ(レゾネータ)42の中で音の定在波が生成するような位置関係になっている。
スタック44は、チャンバ42の長さ方向に沿って平行に配列された複数の微細な孔(チャネル)を有するセラミック素子である。
他の実施形態では、スタック44は、例えば、金属スパイラル、金属フォーム、金属フェルト、セラミックフォーム又はカーボンフォームから構成されていてもよく、ハニカム構造を有していてもよい。
また図4に示すスタック44の断面形状は、円筒状のハウジング41の断面形状に合わせた円形状であるが、四角形等別の形状を有していてもよい。
上述のように熱音響センサ40にて生成される音の定在波の周波数は、チャンバ42内部の温度に依存し、該周波数はチャンバ42内の有効温度とともに増加する。なお、チャンバ42内の有効温度とは、チャンバ42内部の温度が一様であると仮定される場合に、同一の周波数の定在波を生成する時の温度である。このような有効温度として、例えば、チャンバ42内の温度の積分平均又は重みづけ平均を用いることができる。
また、チャンバ42内の温度は、スタック44からの放射熱や、ハウジング41(被覆管30)の周囲に存在する一次冷却材(以降において単に「冷却材」とも称する)の温度に依存して決まる。
したがって、熱音響センサ40にて生成される音の定在波の周波数を計測すれば、ハウジング41の周囲の冷却材の温度を知ることができる。
ここで、熱音響センサ40で発せられる音(共鳴音)の周波数と、熱音響センサ40のレゾネータ(チャンバ42)内部の温度との相関関係は、以下のように説明できる。
レゾネータ(チャンバ42)の長さがLであるとき、レゾネータの両端が固定端である場合の音の定在波の基本振動における波長は2Lであるので、熱音響センサ40で発せられる音(共鳴音)の周波数fとレゾネータ内部の気体の温度Tとの関係は、下記式(1)で表すことができる。
Figure 2016161519
ただし、式(1)において、cは音速であり、κはレゾネータ内部の気体の比熱比であり、Tはレゾネータ内部の気体の温度であり、Rは気体定数である。式(1)により示されるように、共鳴音の周波数fは、熱音響センサ40のレゾネータ(チャンバ42)内部の温度Tに依存する。
また、上述の式(1)を変形して得られる下記式(2)により、熱音響センサ40で発せられた音(共鳴音)の周波数fに対応するレゾネータ内部の気体の温度Tを算出することができる。
Figure 2016161519
また、熱音響センサ40の周囲の冷却材の温度と、レゾネータ(チャンバ42)内部の温度Tとは、相関性を有する。よって、熱音響センサ40共鳴音の周波数は、熱音響センサ40の周囲の冷却材の温度に依存する。したがって、熱音響センサ40により発せられる共鳴音の周波数と、熱音響センサ40の周囲の冷却材の温度とは互いに相関関係を有する。
このことから、原子炉容器11内の冷却材の正常な温度範囲の上限値及び下限値をそれぞれ示す冷却材温度の閾値TcTh_H及びTcTh_Lを予め定めておき、上記式(2)により得られる冷却材温度が閾値の範囲外であれば、原子炉2の状態が異常であると判断することができる。
なお、原子炉容器11内の冷却材の正常な温度範囲の上限値及び下限値をそれぞれ示す冷却材温度の閾値TcTh_H及びTcTh_Lは、データ蓄積装置より採取された健全時の運転データに基づいて決定されもよい。
また、熱音響センサ40にて生成される音の定在波の周波数は、チャンバ42内に存在する混合ガスの平均分子量にも依存し、該周波数は、混合ガスの比熱比κと平均分子量Mとの比(κ/M)と相関性を有する。よって、熱音響センサ40にて生成される音の定在波の周波数によって、混合ガスに関する情報が提供される。
なお、燃料棒12に組み込まれた熱音響センサ40では、燃料ペレット32において経年変化によるクラックが発生した場合に、以下のような現象が発生する。まず、クラックはハウジング41の内部においてガスの体積を増やすので、レゾネータ(チャンバ42)の有効長さが長くなり、共鳴周波数が減少する。また、クラックにより燃料ペレット32の表面積が増えるので、音波の振幅が減少する。
よって、燃料棒12組み込まれたレゾネータにより発せられる音について共鳴振動数や振幅の変化を観測することで、燃料ペレット32の経年劣化を監視することができる。
このように、熱音響センサ40にて生成される音の定在波の周波数や振幅を計測することにより、燃料棒12の周囲の冷却材の温度に関する情報を得ることができる。
熱音響センサ40にて生成される音波は、ハウジング41(燃料棒12の被覆管30)及びハウジング41の周囲に存在する冷却材を介して伝達される。このように伝達される音波は、遠隔地においてマイクロフォンやハイドロフォンで受け取ることができる。
熱音響センサ40は、原子炉容器11内において互いに異なる位置に複数設置してもよい。これにより、異なる複数の位置における燃料棒12の内部及び燃料棒12の周囲の冷却水に関する情報を得ることができる。
この場合、各熱音響センサ40からの音を区別できるようにするために、複数の熱音響センサが生成する定在波の波長を、互いに異ならせてもよい。各熱音響センサ40のレゾネータ(チャンバ42)の長さLは、例えば、各熱音響センサ40において生成させる定在波の波長の1/2程度としてもよい。
また、原子炉容器11内に複数の熱音響センサ40を設ける場合、熱音響センサ40の各々が異なる方向に指向性を持つようにして(即ち、生成される音波がそれぞれ異なる特定の方向に伝播するようにして)、複数の熱音響センサ40によって生成される音波が混在しないようにしてもよい。
以上においては、スタック44の両端に温度差を生じさせるための熱源として燃料棒12内部の燃料ペレット32を用いる実施形態について説明したが、他の実施形態では、このような熱源として、ガンマ線吸収材等の高エネルギー放射線吸収体を用いてもよい。
例えば、燃料棒12の内部の一端側において、熱源である燃料ペレット32から封止された領域を形成し、熱音響センサ40は、熱源としての高エネルギー放射線吸収体とともにこの領域に設けられてもよい。
あるいは、熱源として高エネルギー放射線吸収体を用いた熱音響センサ40は、燃料棒12とは別個のハウジング41により構成されてもよい。
このように熱源として高エネルギー放射線吸収体を用いる場合、熱音響センサ40は、原子炉容器11の内部において、高エネルギー放射線に曝されるように核燃料に十分近いところに配置される。
また、この場合、熱音響センサ40の内部には核燃料が存在せず、核分裂によるガスの生成は起こらないため、チャンバ42内の混合ガスの平均分子量は変化しない。このため、熱音響センサ40で生じる音の定在波の周波数は、温度に依存して変化するが、混合ガスの分子量や核燃料の状態(クラックの生成等)に依っては変化しない。
第1音検出器48は、熱音響センサ40が発する音(レゾネータによる共鳴音)を検出するように構成される。
一実施形態では、第1音検出器48は、熱音響センサ40から発せられて、冷却材の中を伝播して原子炉容器11に到達した音を受け取るように、原子炉容器11の外表面に設置される(図1を参照)。また、一実施形態では、第1音検出器48は、受け取った音を電気信号に変換するように構成される。
第1音検出器48としては、例えばマイクロフォンやハイドロフォン等を用いることができる。
一実施形態において、第1音検出器48での検出結果(例えば検出音から変換された電気信号)は、状態監視ユニット100に送られる。図5は、一実施形態に係る状態監視ユニットの構成を示す図である。図5に示すように、状態監視ユニット100は、第1音検出器48の検出結果から、熱音響センサ40が発した音の周波数を算出するための周波数算出部108と、該周波数を補正するための周波数補正部110と、補正された周波数に基づき原子炉2を監視するための監視部106と、を含む。
周波数算出部108は、第1音検出器48の検出結果から、熱音響センサ40が発する音(レゾネータによる共鳴音)の周波数を算出するように構成される。
一実施形態では、周波数算出部108は、第1音検出器48(例えばマイクロフォン)にて熱音響センサ40からの音から変換された電気信号の示す音圧データに対してFFT解析を行い、FFT解析の結果得られた音圧ピークの周波数(音圧ピークが現れる周波数)を算出するように構成される。
熱音響センサ40が発する音の周波数は、熱音響センサ40の周囲の原子炉2の状態(例えば、原子炉容器11内の冷却材の温度等)を示す。したがって、周波数算出部108で算出した熱音響センサ40が発する音の周波数に基づいて、原子炉2の状態を監視することができる。
ここで、周波数算出部108で算出される周波数fは、熱音響センサ40から発せられて第1音検出器48に到達した音の周波数である。
周波数補正部110は、原子炉容器11又は原子炉容器11に連通する配管内における冷却材のボイド率を示す指標に基づいて、周波数算出部108によって算出された周波数fを補正するように構成される。
気泡が原子炉2内の冷却材に混入した場合、冷却材への気泡の混入により冷却材における音速及び音の周波数が変化する。図8は、冷却材中(水中)での音速と、冷却材(水)への気泡の混入率(ボイド率)との関係を示すグラフである。図8からわかるように、水中におけるボイド率と冷却材中での音速とは相関があり、水中でのボイド率が高くなるにつれて冷却材中での音速は減少する。また、周波数は音速に比例するので、水中におけるボイド率が高くなるにつれて、音の周波数は減少する。
このため、原子炉容器11内において熱音響センサ40から発せられた音の周波数は、冷却材の中を伝播して原子炉容器11の内壁に到達するまでの間に、原子炉容器11内の冷却材中のボイド率に応じて変化する可能性がある。すなわち、周波数算出部108で算出される周波数f(熱音響センサ40から発せられて第1音検出器48に到達した音の周波数f)は、冷却材中の気泡(ボイド)の影響を受けて、熱音響センサ40が発した音の周波数fからずれている可能性がある。
そこで、原子炉容器11又は原子炉容器11に連通する配管内における冷却材のボイド率を示す指標に基づいて、周波数算出部108によって算出された周波数fを補正する。冷却材のボイド率を示す指標に基づいて補正された周波数は、周波数算出部108によって算出された周波数fよりも、熱音響センサ40のレゾネータで生成された共鳴音の周波数fに近いものとなる。よって、周波数補正部110により補正された周波数を用いて、原子炉2の状態監視をより的確に行うことができる。
なお、本明細書において、冷却材のボイド率(空気混入率)とは、冷却材の体積に対する該冷却材の中に混入した気泡の総体積の割合(気泡総体積/冷却材体積)をいう。
原子炉容器11内に設けられた熱音響センサ40により発せられた音は、原子炉容器11内の冷却材中を伝播して原子炉容器11の外表面に設けられた第1音検出器48に到達するので、第1音検出器48で検出される音は、直接的には原子炉容器11内における冷却材のボイド率の影響を受ける。
ただし、原子炉容器11内における冷却材のボイド率と、配管(例えば以下に説明する共鳴音響場60が設けられる配管62)内における冷却材のボイド率とは、必ずしも一致しない場合もあるが、互いに相関性を有する。
そこで、周波数補正部110は、原子炉容器11内における冷却材のボイド率を示す指標に基づいて、周波数算出部108によって算出した周波数を補正するように構成されてもよいし、あるいは、原子炉容器11に連通する配管内における冷却材のボイド率を示す指標に基づいて、周波数算出部108によって算出した周波数を補正するように構成されてもよい。
本明細書においては、原子炉内における冷却材のボイド率と、配管内における冷却材のボイド率とを含む概念を、「冷却材のボイド率」と総称することがある。
図6は、一実施形態に係る共鳴音響場を示す図である。一実施形態では、原子炉監視システム120は、図1及び図6に示すように、原子炉容器11と冷却材ポンプ(一次冷却材ポンプ)18との間において原子炉容器11に連通する配管62内に設けられた共鳴音響場60と、共鳴音響場60における共鳴音を検出する第2音検出器64を備える。なお、冷却材ポンプ18は、原子炉容器11に冷却材を供給するためのポンプである。また、第2音検出器64は、例えばマイクロフォンであり、共鳴音響場60の共鳴音を検出するように、凹部66の外表面に設けられる。
図6に示すように、共鳴音響場60は、配管62において、冷却材の流れ方向に対して側方に向かった凹みを有する凹部66である。共鳴音響場60は、配管62内に圧力波を発生させる励振源の励振周波数にチューニングされる。励振源としては、例えば冷却材ポンプ18の脈動、または冷却材の流れ方向の上流側における凹部66の縁で冷却材の流れの剥離に起因して生じる渦Uを利用することができる。
共鳴音響場60では、励振源によって生じる周波数fS0(励振周波数)の圧力波による圧力加振により、周波数fS0(励振周波数)の振動が励起されて周波数fS0の共鳴音が発生する。このように励振源の励振周波数fS0にチューニングされた共鳴音響場60で発生した共鳴音の周波数は、第2音検出器64によって検出されるまでの間に、共鳴音響場60中の気泡の存在の影響を受けて、励振周波数fS0からfに変化する。この周波数fの励振周波数fS0に対する変化(例えばf/fS0で表される)は、共鳴音響場60中の冷却材のボイド率に依存する。よって、共鳴音響場60での共鳴音の周波数fの励振周波数fS0に対する変化(例えばf/fS0)は、冷却材のボイド率を示す指標となる。
一実施形態では、このようにして得られた冷却材のボイド率を示す指標を用いて、周波数算出部108によって算出された周波数fを補正することができる。すなわち、周波数補正部110は、第2音検出器64で検出された共鳴音の周波数fの励振周波数fS0に対する変化(例えばf/fS0)に基づいて、第1音検出器48で検出された音の周波数fを補正するように構成される。
なお、凹部66は配管62と連通して設けられているので、配管62内の冷却材が自由に出入りできるようになっている。このため、共鳴音響場60における冷却材を伝播する音は、配管62内のボイド率の影響を受ける。
一実施形態では、共鳴音響場60は、原子炉容器11内に設けられ、原子炉容器11内に圧力波を発生させる励振源の励振周波数にチューニングされていてもよい。そして、周波数補正部110は、原子炉容器11内に設けられた共鳴音響場60での共鳴音に基づいて得られる、原子炉容器11内のボイド率を示す指標に基づいて、第1音検出器48により検出された音の周波数を補正するように構成されてもよい。
また、冷却材のボイド率と、第2音検出器64で検出された共鳴音の周波数fの励振周波数fS0に対する変化(例えばf/fS0)とは相関性を有することから、該共鳴音をモニタリングすることで、ボイド率を算出することができる。
そこで、一実施形態では、周波数補正部110は、第2音検出器64で検出された共鳴音の周波数fの励振周波数fS0に対する変化(例えばf/fS0)に基づいて冷却材のボイド率を算出し、このように算出したボイド率に基づいて第1音検出器48により検出された音の周波数を補正するように構成されてもよい。
幾つかの実施形態では、原子炉容器11内又は配管62内に圧力波を発生させる励振源は、冷却材ポンプ18の脈動(波の粗密で伝わる圧力波)である。この場合、共鳴音響場60の励振周波数fS0は、冷却材ポンプ18の脈動の周波数である。幾つかの実施形態では、励振周波数は、fS0=k×NZ(但し、kは1以上の整数であり、Nは冷却材ポンプ18の回転数であり、Zは、冷却材ポンプ18の羽根枚数である。)の関係を満たすfS0であってもよい。
幾つかの実施形態では、原子炉容器11内又は配管62内に圧力波を発生させる励振源は、原子炉容器11又は配管62内において冷却材の流れ方向の上流側における凹部66の縁で生じる冷却材の流れの剥離に起因して生じる渦Uである。渦Uは、上述した脈動とは別個の現象であり、凹部66(共鳴音響場60)の上流側の角で流れが剥離することで生じる。この場合、共鳴音響場60の励振周波数fS0は、凹部66の縁で生じる冷却材の流れの剥離に起因して生じる渦Uの生成周期である。
監視部106は、以上に説明したように周波数補正部110によって補正された熱音響センサ40が発した音の周波数fに基づいて、原子炉2の状態監視を行うように構成される。
また、監視部106は、周波数補正部110により補正された周波数fが規定範囲を逸脱したときに、原子炉2の状態が異常であると判断するように構成されてもよい。
例えば、監視部106は、原子炉容器11内の冷却材の正常な温度範囲の上限値及び下限値をそれぞれ示す周波数の閾値fTh_H及びfTh_Lが予め記憶された記憶装置(不図示)を備える。そして、周波数補正部110により補正された周波数fが、fTh_L以上fTh_H以下の範囲外であれば、原子炉2の状態が異常であると判断するように構成されてもよい。
図7は、一実施形態に係る原子炉監視方法のフローチャートである。この原子炉監視方法は、例えば、以上に説明した原子炉監視システムを用いて実行することができる。
図7に示す原子炉監視方法では、まず、原子炉容器11内に設けられた少なくとも一つの熱音響センサ40が発する音を第1音検出器48で検出し(S2)、S2にて第1音検出器48で検出された音の周波数fを算出する(S4)。
また、原子炉容器11又は配管62内に設けられるとともに、原子炉容器11又は配管62内に圧力波を発生させる励振源の励振周波数fS0にチューニングされた共鳴音響場60における共鳴音を第2音検出器64で検出する(S6)。
次に、S6で第2音検出器64により検出された共鳴音の周波数fの励振周波数fS0に対する変化(例えばf/fS0)から冷却材のボイド率を求め(S8)、このようにして求めたボイド率に基づいてS4にて算出された周波数fを補正する(S10)。
そして、S10で補正された周波数に基づいて、原子炉2の状態監視を行う(S12)。
一実施形態では、S6における共鳴音響場60は、原子炉容器11と冷却材ポンプ(一次冷却材ポンプ)18との間において原子炉容器11に連通する配管62において、冷却材の流れ方向に対して側方に向かった凹みを有する凹部66である。
一実施形態では、S6における励振源は、原子炉容器11内又は配管62内に圧力波を発生させる励振源は、原子炉容器11に冷却材を供給するための冷却材ポンプ18の脈動(波の粗密で伝わる圧力波)である。
この場合、励振周波数fは、冷却材ポンプ18の回転数をNとし、冷却材ポンプ18の羽根枚数をZとしたとき、f=k×NZ(但し、kは1以上の整数)の関係を満たしていてもよい。
このように、熱音響センサ40が発した音が第1音検出器48まで伝播する過程において冷却材のボイド率が周波数変化に与える影響を考慮し、冷却材のボイド率を示す指標に基づいて周波数を補正することで、原子炉2の状態監視をより的確に行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
また、本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
1 :原子力プラント
2 :原子炉
4 :蒸気タービン
6 :発電機
10 :一次冷却ループ
11 :原子炉容器
12 :燃料棒
13 :制御棒
14 :加圧器
15 :ポンプ
16 :蒸気発生器
18 :冷却材ポンプ
19 :原子炉格納容器
20 :二次冷却ループ
21 :高圧タービン
22 :低圧タービン
23 :湿分分離加熱器
24 :復水器
25 :復水ポンプ
26 :低圧給水加熱器
27 :脱気器
28 :給水ポンプ
29 :高圧給水加熱器
30 :被覆管
31 :プレナム
32 :燃料ペレット
33 :上端面
34 :端栓
35 :下端面
36 :端栓
37 :付勢部材
38 :固定リング
40 :熱音響センサ
41 :ハウジング
42 :チャンバ
44 :スタック
45 :高温側端
46 :低温側端
48 :第1音検出器
50 :燃料集合体
51 :制御棒クラスタ
54 :支持格子
56 :上部ノズル
58 :下部ノズル
60 :共鳴音響場
62 :配管
64 :第2音検出器
66 :凹部
100 :状態監視ユニット
106 :監視部
108 :周波数算出部
110 :周波数補正部
120 :原子炉監視システム

Claims (15)

  1. 原子炉容器内に設けられる少なくとも一つの熱音響センサと、
    前記少なくとも一つの熱音響センサが発する音を検出する第1音検出器と、
    原子炉の状態監視を行うための状態監視ユニットと、を備え、
    前記状態監視ユニットは、
    前記第1音検出器の検出結果から前記音の周波数を算出するための周波数算出部と、
    前記原子炉容器又は該原子炉容器に連通する配管内における冷却材のボイド率を示す指標に基づいて、前記周波数算出部によって算出した前記周波数を補正するための周波数補正部と、
    前記周波数補正部によって補正された前記周波数に基づいて、原子炉の状態監視を行うための監視部と、を含むことを特徴とする原子炉監視システム。
  2. 前記原子炉容器又は前記配管内に設けられ、前記原子炉容器又は前記配管内に圧力波を発生させる励振源の励振周波数にチューニングされた共鳴音響場と、
    前記共鳴音響場における共鳴音を検出する第2音検出器と、をさらに備え、
    前記周波数補正部は、前記第2音検出器で検出された前記共鳴音の周波数の前記励振周波数に対する変化に基づいて、前記周波数を補正するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の原子炉監視システム。
  3. 前記周波数補正部は、前記共鳴音の前記周波数の前記励振周波数に対する前記変化から求めた前記ボイド率に基づいて、前記周波数を補正するように構成されたことを特徴とする請求項2に記載の原子炉監視システム。
  4. 前記励振源は、前記原子炉容器に前記冷却材を供給するための冷却材ポンプの脈動であることを特徴とする請求項2又は3に記載の原子炉監視システム。
  5. 前記励振周波数fは、前記冷却材ポンプの回転数をNとし、前記冷却材ポンプの羽根枚数をZとしたとき、f=k×NZ(但し、kは1以上の整数)の関係を満たすことを特徴とする請求項4に記載の原子炉監視システム。
  6. 前記共鳴音響場は、前記原子炉容器又は前記配管内において前記冷却材の流れ方向に対して側方に向かって設けられた凹部であり、
    前記励振源は、前記流れ方向の上流側における前記凹部の縁で生じる前記冷却材の流れの剥離に起因して生じる渦であることを特徴とする請求項2又は3に記載の原子炉監視システム。
  7. 前記少なくとも一つの熱音響センサは、前記原子炉容器内の炉心に設けられる燃料棒の内部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の原子炉監視システム。
  8. 原子炉と、
    前記原子炉で発生した熱によって生成された蒸気により駆動されるように構成された蒸気タービンと、
    前記原子炉の状態監視を行うための請求項1乃至7の何れか一項に記載の原子炉監視システムと、
    を備えることを特徴とする原子力プラント。
  9. 原子炉容器内に設けられた少なくとも一つの熱音響センサが発する音を第1音検出器で検出する第1検出ステップと、
    前記第1音検出器の検出結果に基づいて、前記音の周波数を算出する周波数算出ステップと、
    前記原子炉容器又は該原子炉容器に連通する配管内における冷却材のボイド率を示す指標に基づいて、前記周波数算出ステップで算出した前記周波数を補正する周波数補正ステップと、
    前記周波数補正ステップで補正された前記周波数に基づいて、原子炉の状態監視を行うための状態監視ステップと、を備えることを特徴とする原子炉監視方法。
  10. 前記原子炉容器又は前記配管内に設けられるとともに、前記原子炉容器又は前記配管内に圧力波を発生させる励振源の励振周波数にチューニングされた共鳴音響場における共鳴音を第2音検出器で検出する第2検出ステップをさらに備え、
    前記周波数補正ステップでは、前記第2音検出器で検出された前記共鳴音の周波数の前記励振周波数に対する変化に基づいて、前記周波数を補正することを特徴とする請求項9に記載の原子炉監視方法。
  11. 前記周波数補正ステップは、
    前記共鳴音の前記周波数の前記励振周波数に対する前記変化から前記ボイド率を求めること、および、
    前記ボイド率に基づいて、前記周波数を補正すること
    を含むことを特徴とする請求項10に記載の原子炉監視方法。
  12. 前記励振源は、前記原子炉容器に前記冷却材を供給するための冷却材ポンプの脈動であることを特徴とする請求項10又は11に記載の原子炉監視方法。
  13. 前記励振周波数fは、前記冷却材ポンプの回転数をNとし、前記冷却材ポンプの羽根枚数をZとしたとき、f=k×NZ(但し、kは1以上の整数)の関係を満たすことを特徴とする請求項12に記載の原子炉監視方法。
  14. 前記共鳴音響場は、前記原子炉容器又は前記配管内において前記冷却材の流れ方向に対して側方に向かって設けられた凹部であり、
    前記励振源は、前記流れ方向の上流側における前記凹部の縁で前記冷却材の流れの剥離に起因して生じる渦であることを特徴とする請求項10又は11に記載の原子炉監視方法。
  15. 前記少なくとも一つの熱音響センサは、前記原子炉容器内の炉心に設けられる燃料棒の内部に設けられていることを特徴とする請求項9乃至14の何れか一項に記載の原子炉監視方法。
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