JP2016160405A - 新規ポルフィラジン色素、インク、インクセット及び着色体 - Google Patents

新規ポルフィラジン色素、インク、インクセット及び着色体 Download PDF

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Yasuaki Ishiguro
靖章 石黒
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Junya Sakuki
順哉 柵木
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Abstract

【課題】高濃度の状態で長期間保存した場合でも安定であり、印字された画像の色相、及び発色性に非常に優れ、また印字された画像の各種堅牢性、特に耐オゾンガス性及び耐光性に優れたポルフィラジン色素、その塩、又はこれを含有するインク組成物の提供。
【解決手段】式(1)で表されるポルフィラジン色素、及びその塩。
Figure 2016160405

(R及びRは其々独立にH又はスルホ(C1〜C12)アルキル基を有するエステル、チオエステル或いはアミド基;R及びRが同時にHであることはない;Mは金属原子;bは平均値で0〜3.90未満;cは平均値で0.10〜4.00未満;dは平均値で0.10〜4.00未満;0.10<b+c≦4.00)
【選択図】なし

Description

本発明は、新規ポルフィラジン色素、インク、インクセット、このインク、又はインクセットを用いたインクジェット記録方法、及び着色体に関する。
各種のカラー記録方法の中でも代表的方法の一つであるインクジェットプリンタによる記録方法は、インクの小滴を発生させこれを種々の被記録材料(紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を行うものである。この方法は、記録ヘッドと被記録材料とが直接接触しないため音の発生が少なく静かであり、また小型化、高速化が容易という特長の為近年急速に普及しつつあり、今後とも大きな伸長が期待されている。
従来、万年筆、フェルトペン等用のインク及びインクジェットプリント用インクとしては、水溶性色素を水性媒体中に溶解した水性インクが使用されている。これらの水性インクにおいてはペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく、一般に水溶性有機溶剤が添加されている。そしてこれらのインクにおいては、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性がよいこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等が要求される。また使用される水溶性色素には、特に水への溶解度が高いこと、インクに添加される水溶性有機溶剤への溶解度が高いことが要求される。更に、形成される画像には耐水性、耐光性等の画像堅牢性、色再現性、演色性が求められており、また単に画像堅牢性が高いだけでなくそれぞれの色のバランスが重要となる。
近年のインクジェット技術の発達により、インクジェット印刷における印刷スピードの向上がめざましい。このため、商業印刷やオフィス環境での主用途である普通紙へのドキュメントの印刷に、電子トナーを用いたレーザープリンタと同じ様に、インクジェットプリンタを用いる動きがある。インクジェットプリンタは記録紙の種類を選ばない、機械の価格が比較的安いという利点があり、特にSOHO等の小〜中規模オフィス環境での普及が進んでいる。このように普通紙への印刷を用途としてインクジェットプリンタを使用する場合、印刷物に求められる品質の中でも発色性や耐水性がより重視される傾向がある。これらの性能を満たす為には顔料インクを用いるという方法が提案されている。しかしながら、顔料インクは溶液ではなく固体の顔料を分散させた分散液であるために、顔料インクを用いるとそのインクの保存安定性が不良であるという問題や、プリンターヘッドのノズルが詰まるという問題などが染料インクと比較して起こりやすい。また、顔料インクを使用した場合、印刷画像の耐擦性が低いことも問題とされることが多い。染料インクの場合、色素成分である染料はインク中に溶解しているため、このような顔料インクであるがゆえに生じる問題は比較的起こりにくいとされる。しかし、染料インクは特に発色性、耐光性、耐水性において顔料インクと比較して一般に著しく劣るため、その改良が強く望まれている。
ところで、コンピューターのカラーディスプレイ上の画像又は文字情報をインクジェットプリンタによりカラーで記録するには、一般にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクによる減法混色が用いられ、これにより記録画像がカラーで表現される。CRT(ブラウン管)ディスプレイ等におけるレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)による加法混色画像を、減法混色画像でできるだけ忠実に再現するために、インクに使用される各色素、中でもY、M、Cのそれぞれが、標準色に近い色相を有し、且つ鮮明であることが望まれる。ここで言う鮮明さとは、一般的に高い彩度を持つことを意味する。彩度が低いY、M、Cの3原色を用いた場合、単色又は混色で表現できる色領域が狭くなり、表現したい色領域の範囲としては不十分となる場合がある。このため、高彩度な色素と、それを含有するインクの開発が望まれている。
また、インクの性能としては、長期の保存に対して安定であり、記録画像の濃度が高く、しかもその画像が耐水性、耐湿性、耐光性、耐ガス性等の堅牢性に優れることが求められる。
ここで、耐湿性とは記録後の画像を形成する色素が、主に大気中に含まれる周囲環境中の過剰な水分により変色したり、画像外部に滲みだしたりする現象に対する耐性である。近年、様々な環境に展示されるインクジェット記録物においては、重要な課題とされているが市場の要求を十分に満たすインクは、未だ開発されていない。
また、耐ガス性とは、空気中に存在する酸化作用を持つガス(酸化性ガスとも呼ばれる)が、被記録材上又は被記録材中で、記録画像の色素(染料)と反応し、記録画像を変退色させるという現象に対する耐性のことである。酸化性ガスの中でも特にオゾンガスは、インクジェット記録画像の変退色現象を促進させる主要な原因物質とされている。この変退色現象はインクジェット記録画像に特徴的なものであるため、耐オゾンガス性の向上はこの分野における重要な技術的課題である。
写真画質のインクジェット記録画像を得る方法の1つとして、被記録材の表面にインク受容層を設ける方法がある。このような目的で設けられるインク受容層は、インクの乾燥を早め、また高画質での色素の滲みを少なくするために、多孔性白色無機物を含むことが多い。しかしながら、特にこのような被記録材において、上記オゾンガスによる変退色が顕著に見られる。最近のデジタルカメラ及びカラープリンタの普及と共に、家庭でもデジタルカメラ等で得られた画像を写真画質として印刷する機会が増しているため、上記の酸化性ガスによる記録画像の変退色が問題視される。
インク組成物の中で、特に、黒色インクはモノカラー及びフルカラー画像の両方に使用される重要なインクである。しかし、濃色域と淡色域とがニュートラルな色相で、且つ印字濃度が高く、さらに色相の光源依存性が小さい良好な黒色を呈する色素の開発は技術的に困難な点が多く、多大な研究開発が行われているが、未だ十分な性能を有するものが少ない。そのため、一般には複数の多様な色素を配合して黒色インクを調製することが行われている。しかし、複数の色素を混合してインクを調製すると、単一の色素でインクを調製した場合に比べて、1)メディア(被記録材)によって色相が異なる、2)光やオゾンガスによる色素の分解によって特に変色が大きくなる、等の問題がある。
印刷物の各種耐久性が良好なインクジェット用黒色インク組成物としては、例えば特許文献1のもの等が提案されている。また、特許文献3には本発明と同様のポルフィラジン色素についても提案されている。これらのインク組成物は、色相が黒色として非常に良好であり、印刷物の画像堅牢性についても大きく改良がなされたインク組成物であるが、特に耐オゾン性についてさらなる改善が要望されており、未だ市場の要求を十分に満足する製品を提供するに至っていない。
特開平11−70729号公報 特許第3346755号公報 特開2002−275383号公報
本発明は、長期間保存した場合でも安定であり、濃色及び淡色印刷時のいずれにおいても、彩度が低く色味のないニュートラルな黒〜グレー色を呈し、印字された画像の濃度が高く、メディア毎の色相に変化がなく、記録画像の耐オゾンガス性及び耐光性に非常に優れた黒色の記録画像を与える水性黒色インク組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は上記課題を解決すべく、鋭意検討の結果、特定の構造を有するポルフィラジン色素、若しくは特定の製造方法で得られるポルフィラジン色素、またはこれらを含有するインク組成物が上記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、
1)
下記式(1)で表されるポルフィラジン色素、又はその塩、
Figure 2016160405
[式(1)中、
及びRは、それぞれ独立に、水素原子;又は、下記式(2)で表される基;であり、且つR及びRがともに水素原子であることはなく、
Mは金属原子であり、
bは平均値で0以上3.90未満であり、
cは平均値で0.10以上4.00未満であり、
dは平均値で0.10以上4.00未満であり、
b及びcの和は平均値で0.10以上4.00未満である。]、
Figure 2016160405
[式(2)中、
Xは(C1〜C12)アルキル基を表し、
Yは酸素原子;硫黄原子;又は−NH−を表し、
Zはスルホ(C1〜C12)アルキル基を表し、
*は窒素原子との置換位置を表す。]。
2)
上記式(1)において、
Mが銅、又は亜鉛である、請求項1に記載のポルフィラジン色素、又はその塩、
3)
上記式(1)において、
Mが銅、又は亜鉛であり、
上記式(2)において、
Xは(C1〜C4)アルキル基を表し、
Yは酸素原子、又は窒素原子を表し、
Zはスルホ(C1〜C6)アルキル基を表す、
上記1)又は2)に記載のポルフィラジン色素、又はその塩、
4)
下記式(3)で表されるポルフィラジン化合物と下記式(4)で表される化合物とを反応させることにより得られるポルフィラジン色素、又はその塩、
Figure 2016160405
[式(2)中、
Mは金属原子であり、
eは平均値で0.10以上4.00以下であり、
fは平均値で0.10以上4.00未満である。]、
Figure 2016160405
[上記式(4)において、
Aは、ハロゲン原子;又はビニル基;を、
Bは、上記式(2)で表される基を表す。]
5)
下記式(5)で表されるポルフィラジン化合物と上記式(4)で表される化合物とを反応させることにより得られる化合物をスルホン化することにより得られるポルフィラジン色素、又はその塩、
Figure 2016160405
[式(5)中、
Mは金属原子であり、
gは平均値で0.10以上4.00以下である。]。
6)
上記1)乃至5)のいずれか一項に記載のポルフィラジン色素、又はその塩を少なくとも1種類含有するインク組成物、
7)
更に水溶性有機溶剤を含有する上記6)に記載のインク組成物、
8)
上記水溶性有機溶剤が、2−ピロリドン、グリセリン系溶剤及びグリコール系溶剤からなる群から選択される1又は2以上の水溶性有機溶剤である上記7)に記載のインク組成物、
9)
インクジェット記録用である上記6)乃至8)のいずれか一項に記載のインク組成物、
10)
上記6)乃至9)のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させ、記録を行うインクジェット記録方法、
11)
上記被記録材が情報伝達用シートである上記10)に記載のインクジェット記録方法、
12)
上記情報伝達用シートが普通紙又は多孔性白色無機物を含むインク受容層を有するシ−トである上記11)に記載のインクジェット記録方法、
13)
上記10)乃至12)のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法により着色された着色体、
14)
上記6)乃至9)のいずれか一項に記載のインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ、
に関する。
本発明のポルフィラジン色素、及びその塩は長期間保存後の結晶析出、物性変化、色変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。また、本発明のポルフィラジン色素、及びその塩を用いたインク組成物は、インクジェット記録用、筆記用具用などに用いられ、普通紙及びインクジェット専用紙に記録した場合の記録画像の色相がニュートラルで、色素濃度の薄いインクを調製した場合でも黒色の色相の印字物が得られる。また印字濃度が高く、さらに耐湿性、耐オゾンガス性、耐光性、耐水性、近赤外光領域のセンサー対応に優れている。
さらにマゼンタ、シアン及びイエロー染料と共に用いることで高発色、耐オゾンガス性、耐湿性、耐光性、及び耐水性に優れたフルカラーのインクジェット記録が可能である。このように本発明のインク組成物はインクジェット記録用ブラックインクとして極めて有用である。
本発明のポルフィラジン色素、及びその塩、及びこれを含有するインク組成物は、インクジェット記録用のインクとして好適に用いられ、さらにインクジェット専用紙に記録した場合、特に耐オゾンガス性に優れ、且つ彩度が低く、高品位な黒色の色相を有し、耐光性、耐湿性、耐ブロンズ性にも優れるため、本発明のポルフィラジン色素、及びその塩は、インクジェット記録用黒色インクとして使用した際に極めて有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
便宜上、本明細書においては、「本発明のポルフィラジン色素、及びその塩」の全てを含めて「本発明のポルフィラジン色素」と以下、簡略して記載する。
上記式(1)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子;又は、上記式(2)で表される基;である。
上記式(1)中、R及びRの少なくとも一つは上記式(2)の化合物であり、R及びRがともに水素原子であることはなく、R及びRのうち1つが上記式(2)の化合物、もう1つが水素原子であるものが好ましい。
上記式(1)において、Mは金属原子を表す。具体例としては、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、鉄、又はコバルト等が挙げられ、銅又は亜鉛が好ましく、銅が特に好ましい。
上記式(1)において、b乃至dは平均値を表す。
bは平均値で0以上3.90未満であり、cは平均値で0.10以上4.00未満であり、dは平均値で0.10以上4.00未満であり、b及びcの和は平均値で0.10以上4.00未満である。
bの平均値が大きくなると耐オゾン性は低下する傾向にあるが、彩度が低下する傾向にあり、耐オゾン性と彩度を考慮しながら、b、cの数を適宜調節し、バランスの良い比率を選択すれば良い。通常、bが0.10〜1.00、cが0.50〜3.90、b+cが0.60〜4.00の範囲が好ましく、bが0.10〜0.50、cが1.50〜3.90、b+cが2.00〜4.00の範囲がより好ましい。また、dの平均値が小さくなると水への溶解性が低下する傾向にあるため、cの平均値に応じて適宜調節するとよい。通常、dが0.50〜2.50の範囲が好ましく、1.00〜2.00の範囲がより好ましい。
上記式(2)において、Xは(C1〜C12)アルキル基を表す。
上記式(2)中、Xにおける(C1〜C12)アルキル基としては、直鎖又は分岐鎖のものが挙げられ、置換基を有しても良い。その具体例としては例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基といった直鎖のもの;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基といった分岐鎖のもの;等が挙げられ、エチル基、プロピル基が好ましい。
上記式(2)中、Xにおけるカルボニル基は、(C1〜C12)アルキル基の炭素原子上に置換し、いずれの位置も好ましい。
上記式(2)において、Yは酸素原子;硫黄原子;又は−NH−を表す。
上記式(2)中、Yとしては酸素原子、−NH−が好ましい。
上記式(2)において、Zはスルホ(C1〜C12)アルキル基を表す。
上記式(2)中、Zにおけるスルホ(C1〜C12)アルキル基としては、上記(C1〜C12)アルキル基のいずれかの炭素原子にスルホ基が置換したものが挙げられる。スルホ基の置換位置は特に制限されないが、アルキル基の末端に置換するのが好ましく、置換数は1又は2、好ましくは1である。上記(C1〜C12)アルキル基においては、上記Xにおける(C1〜C12)アルキル基と具体例、好ましいものを含め同様のものが挙げられる。スルホ(C1〜C12)アルキル基の具体例としては、スルホメチル基、2−スルホエチル基、3−スルホ−n−プロピル基、4−スルホ−n−ブチル基、スルホイソプロピル基、スルホ−tert−ブチル基、スルホ−tert−アミル基等が挙げられる。
上記式(3)で表されるポルフィラジン化合物と上記式(4)で表される化合物とを反応させて得られるポルフィラジン色素又はその塩は、上記式(1)で表されるポルフィラジン色素と同様、長期間保存後の結晶析出、物性変化、色変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。また、本発明のポルフィラジン色素、及びその塩を用いたインク組成物は、インクジェット記録用、筆記用具用などに用いられ、普通紙及びインクジェット専用紙に記録した場合の記録画像の色相がニュートラルで、色素濃度の薄いインクを調製した場合でも黒色の色相の印字物が得られる。また印字濃度が高く、さらに耐湿性、耐オゾンガス性、耐光性、耐水性、近赤外光領域のセンサー対応に優れている。
さらにマゼンタ、シアン及びイエロー染料と共に用いることで高発色、耐オゾンガス性、耐湿性、耐光性、及び耐水性に優れたフルカラーのインクジェット記録が可能である。このように本発明のインク組成物はインクジェット記録用ブラックインクとして極めて有用である。
上記式(3)で表されるポルフィラジン化合物と上記式(4)で表される化合物との反応は、例えば無溶媒、若しくはN−メチルピロリドン等の溶媒中、上記式(3)の化合物、上記式(4)の化合物を添加し、60〜150℃での加熱撹拌により行われる。
上記式(3)において、e及びfは平均値を表す。
eは平均値で0.10以上4.00以下であり、fの平均値は0.10以上4.00未満である。
eの平均値が大きくなると水への溶解性が低下し、fの平均値が増加すると水への溶解性が向上する傾向にあり、水への溶解性を考慮しながら、e、fの数を適宜調節し、バランスの良い比率を選択すればよい。通常、eが0.60〜4.00、fが0.50〜2.50の範囲が好ましく、eが2.00〜4.00、fが1.00〜2.00の範囲がより好ましい。
上記式(4)において、Aはハロゲン原子、又はビニル基を表す。
上記式(4)中、Aにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、塩素原子、臭素原子が好ましい。
上記式(4)において、Bは上記式(2)で表される基を表す。
上記式(4)中、Bにおける上記式(2)として、X、Y、及びZは、上記式(2)におけるX、Y、及びZと具体例、好ましいものを含め同様のものが挙げられる。
上記式(4)で表されるポルフィラジン化合物と上記式(3)で表される化合物とを反応させて得られる化合物をスルホン化して得られるポルフィラジン色素又はその塩は、上記式(1)で表されるポルフィラジン色素と同様、長期間保存後の結晶析出、物性変化、色変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。また、本発明のポルフィラジン色素、及びその塩を用いたインク組成物は、インクジェット記録用、筆記用具用などに用いられ、普通紙及びインクジェット専用紙に記録した場合の記録画像の色相がニュートラルで、色素濃度の薄いインクを調製した場合でも黒色の色相の印字物が得られる。また印字濃度が高く、さらに耐湿性、耐オゾンガス性、耐光性、耐水性、近赤外光領域のセンサー対応に優れている。
さらにマゼンタ、シアン及びイエロー染料と共に用いることで高発色、耐オゾンガス性、耐湿性、耐光性、及び耐水性に優れたフルカラーのインクジェット記録が可能である。このように本発明のインク組成物はインクジェット記録用ブラックインクとして極めて有用である。
上記式(5)で表されるポルフィラジン化合物と上記式(3)で表される化合物との反応は、例えば無溶媒、若しくはN−メチルピロリドン等の溶媒中、上記式(3)の化合物、上記式(4)の化合物を添加し、60〜150℃での加熱撹拌により行われる。またスルホン化は、例えば、発煙硫酸中、0〜150℃での加熱撹拌により行われる。
上記式(5)において、gは平均値を表す。
gは平均値で0.10以上4.00以下である。
通常、gが0.60〜4.00の範囲が好ましく、eが2.00〜4.00の範囲がより好ましい。
上記式(1)の化合物は分子内に有するスルホ基、カルボキシ基およびリン酸基などを利用して塩を形成することも可能である。式(1)の化合物が塩を形成している場合、その塩は、無機金属、アンモニウム又は有機塩基の各カチオンと塩を形成するのが好ましい。無機金属としてはアルカリ金属やアルカリ土類金属が挙げられる。アルカリ金属の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、例えばカルシウム、マグネシウム等があげられる。有機塩基としては、特に有機アミンが挙げられ、例えばメチルアミン、エチルアミン等の炭素数1から3の低級アルキルアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のモノ、ジまたはトリ(炭素数1から4の低級アルカノール)アミン類があげられる。これらの中でも特に好ましい塩としてはナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のモノ、ジまたはトリ( 炭素数1から4の低級アルカノール)アミンのオニウム塩、及びアンモニウム塩があげられる。
本発明の上記式(1)で表されるポルフィラジン色素における、E、F、X及びYの具体例、及びa乃至eの数を表1乃至4に示す。下記の例は、本発明の色素を具体的に説明するために代表的な化合物を示すもので、下記の例に限定されるものではない。また、これらは通常混合物のまま使用するが、異性体の混合物であっても本発明において特に問題は生じないためここではこれら異性体を区別することなく、構造式での表示は前記のように便宜的に一つの構造式で記載する。
Figure 2016160405
Figure 2016160405
Figure 2016160405
Figure 2016160405
このうち化合物番号9乃至11、32、41乃至44の色素が、より好ましいものである。
上記式(3)で表されるポルフィラジン化合物と、上記式(4)で表される化合物とを、前記の方法により反応させて得られる色素、又は上記式(5)で表されるポルフィラジン化合物と、上記式(4)で表されるは、インクジェット記録用のインクとして好適に用いられ、さらにインクジェット専用紙に記録した場合、特に耐オゾンガス性に優れ、且つ彩度が低く、高品位な黒色の色相を有し、耐光性、耐湿性、耐ブロンズ性にも優れる。
上記式(1)で表される色素は遊離酸、あるいはその塩として用いることもできる。上記式(1)で表される色素の塩としては、無機又は有機陽イオンとの塩が挙げられる。無機陽イオンの塩の具体例としてはアルカリ金属塩、例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等の塩;及びアンモニウム塩(NH4 +)が挙げられる。また、有機陽イオンとしては、たとえば下記式(6)で表される4級アンモニウムが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
Figure 2016160405
上記式(6)中、Z1〜Z4はそれぞれ独立に水素原子、(C1〜C4)アルキル基、ヒドロキシ(C1〜C4)アルキル基、又はヒドロキシ(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルキル基を表し、Z1〜Z4の少なくとも1つは水素原子以外の基である。
ここで、Z1〜Z4における上記(C1〜C4)アルキル基の例としてはメチル基、エチル基等が挙げられる。同様に、上記ヒドロキシ(C1〜C4)アルキル基の例としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。同様に、上記ヒドロキシ(C1〜C4)アルコキシ(C1〜C4)アルキル基の例としては、ヒドロキシエトキシメチル基、2−ヒドロキシエトキシエチル基、3−(ヒドロキシエトキシ)プロピル基、3−(ヒドロキシエトキシ)ブチル、2−(ヒドロキシエトキシ)ブチル基等が挙げられる。
上記塩のうち好ましいものは、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンの塩等の有機4級アンモニウム塩;アンモニウム塩;等が挙げられる。これらのうち、より好ましくは、リチウム塩、ナトリウム塩、及びアンモニウム塩である。
当業者においては明らかなように、上記式(1)で表される化合物の塩又は遊離酸は、以下の方法等により容易に得ることができる。
例えば、式(1)の化合物の合成反応における、最終工程終了後の反応液、あるいは式(1)の化合物の塩を含む水溶液等に、例えばアセトンや(C1〜C4)アルコール等の水溶性有機溶剤を加える方法;塩化ナトリウムを加えて塩析する方法;等の方法によって析出した固体を濾過分離することにより、上記式(1)の化合物のナトリウム塩等をウェットケーキとして得ることができる。
また、得られたナトリウム塩のウェットケーキを水に溶解後、塩酸等の酸を加えてそのpHを適宜調整し、析出した固体を濾過分離することにより、上記式(1)の化合物の遊離酸を、あるいは式(1)の化合物の一部がナトリウム塩である遊離酸とナトリウム塩の混合物を得ることもできる。
また、得られたナトリウム塩のウェットケーキ又はその乾燥固体を水に溶解後、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩を添加し、塩酸等の酸を加えてそのpHを適宜、例えばpH1〜3に調整し、析出した固体を濾過分離することにより、上記式(1)の化合物のアンモニウム塩を得ることができる。添加する塩化アンモニウムの量又は/及びpHを適宜調整することにより、式(1)の化合物のアンモニウム塩と式(1)の化合物のナトリウム塩との混合物;又は式(1)の化合物の遊離酸とアンモニウム塩との混合物;等を得ることもできる。
また、後記するように上記反応終了後の反応液に、鉱酸(例えば塩酸、硫酸等)を加えて直接遊離酸の固体を得ることもできる。この場合には、式(1)の化合物の遊離酸のウェットケーキを水に加えて撹拌し、例えば、水酸化カリウム;水酸化リチウム;アンモニア水;又は式(6)の有機4級アンモニウムの水酸化物;等を添加して造塩することにより、各々添加した化合物に応じたカリウム塩;リチウム塩;アンモニウム塩;又は4級アンモニウム塩;等を得ることもできる。遊離酸のモル数に対して、加える上記の水酸化物等のモル数を制限することにより、例えばリチウム塩とナトリウム塩との混塩等;さらにはリチウム塩、ナトリウム塩、及びアンモニウム塩の混塩等;も調製することが可能である。上記式(1)の化合物の塩は、その塩の種類により溶解性等の物理的な性質、あるいはインクとして用いた場合のインクの性能が変化する場合もある。このため目的とするインク性能等に応じて塩の種類を選択することも好ましく行われる。
上記式(1)で表される化合物は、反応終了後、塩酸等の鉱酸の添加により固体の遊離酸として単離することができ、得られた遊離酸の固体を水又は例えば塩酸水等の酸性水で洗浄すること等により、不純物として含有する無機塩(無機不純物)、例えば塩化ナトリウムや硫酸ナトリウム等を除去することができる。上記のようにして得られる本発明の化合物の遊離酸は、上記の通り、得られたウェットケーキやその乾燥固体を、水中で所望の無機又は有機塩基と処理することにより、対応する化合物の塩の溶液を得ることができる。無機塩基としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;及び水酸化アンモニウム(アンモニア水);等が挙げられる。有機塩基の例としては、例えば上記式(6)で表される4級アンモニウムに対応する有機アミン、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明のインク組成物は、その総量中、上記式(1)で表されるアゾ化合物を、通常0.5〜15質量%、好ましくは1〜6質量%含有する。
また、本発明のインク組成物は、黒色の微妙な色合いを調整する目的等により、本発明のアゾ化合物以外に、他の調色用の色素等を適宜含有してもよい。このような場合であっても、本発明のインク組成物に含有する色素の総質量は、インク組成物の総質量に対して上記の範囲でよい。
調色用色素としては、イエロー(例えばC.I.ダイレクトイエロー34、C.I.ダイレクトイエロー58、C.I.ダイレクトイエロー86、C.I.ダイレクトイエロー132、C.I.ダイレクトイエロー161等)、オレンジ(例えばC.I.ダイレクトオレンジ17、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトオレンジ29、C.I.ダイレクトオレンジ39、C.I.ダイレクトオレンジ49等)、ブラウン、スカーレット(例えばC.I.ダイレクトレッド89等)、レッド(例えばC.I.ダイレクトレッド62、C.I.ダイレクトレッド75、C.I.ダイレクトレッド79、C.I.ダイレクトレッド80、C.I.ダイレクトレッド84、C.I.ダイレクトレッド225、C.I.ダイレクトレッド226等)、マゼンタ(例えばC.I.ダイレクトレッド227等)、バイオレット、ブルー、ネイビー、シアン(例えばC.I.ダイレクトブルー199、C.I.アシッドブルー249等)、グリーン(例えばアシッドグリーン1)、ブラック(例えばC.I.アシッドブラック2)等種々の色相を有する他の色素が挙げられる。
本発明のインク組成物は水を媒体として調製され、本発明の効果を害しない範囲内において、水溶性有機溶剤(水と混和可能な有機溶剤)を含有しても良い。この水溶性有機溶剤は、染料の溶解;組成物の乾燥の防止(湿潤状態の保持);組成物の粘度の調整;色素の被記録材への浸透の促進;組成物の表面張力の調整;組成物の消泡;等の効果を期待でき、本発明のインク組成物には含有する方が好ましい。
上記水性インク組成物の調整において用いられる水溶性有機溶剤としては、特に限定されるものではなく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等の(C1〜C4)アルカノール、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリジン−2−オン等のラクタム、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オンまたは1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の環式尿素類、アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトンまたはケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、1,2−へキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール等の(C2〜C6)アルキレン単位を有するモノマー、オリゴマーまたはポリアルキレングリコールまたはチオグリコール、グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール)、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)又はトリエチレングリコールモノメチルエーテル又はトリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの(C1〜C4)アルキルエーテル、γーブチロラクトンまたはジメチルスルホキシド等を用いることができる。
この水溶性有機溶剤としては、2−ピロリドン、グリセリン系溶剤、グリコール系溶剤からなる群から選択される1又は2以上の水溶性有機溶剤である場合が好ましい。
グリセリン系溶剤とは、脂肪族炭化水素、又はエーテルの3つの炭素原子にヒドロキシ基が置換したものであって、上記例のうち、グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール)等がこれに該当する。
グリコール系溶剤とは、脂肪族炭化水素、又はエーテルの2つの炭素原子にヒドロキシ基が置換したものであって、上記例のうち、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、1,2−へキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール等の(C2〜C6)アルキレン単位を有するモノマー、オリゴマーまたはポリアルキレングリコールまたはチオグリコール、グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール)、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)又はトリエチレングリコールモノメチルエーテル又はトリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの(C1〜C4)アルキルエーテル等がこれに該当する。
これらのうち、より好ましくは2−ピロリドン、グリセリン、エチレングリコール、ペンタメチレングリコール、1,2−へキシレングリコールである。これらの有機溶剤は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
なお、上記の水溶性有機溶剤には、例えばトリメチロールプロパン等のように、常温で固体の物質も含まれている。しかし、該物質等は固体であっても水溶性を示し、さらに該物質等を含有する水溶液は水溶性有機溶剤と同様の性質を示し、同じ効果を期待して使用することができる。このため本明細書においては、便宜上、このような固体の物質であっても上記と同じ効果を期待して使用できる限り、水溶性有機溶剤の範疇に含むこととする。
本発明のインク組成物の総量に対し、水溶性溶剤の好ましい含有率は、0〜50質量%、更に好ましくは、25〜50質量%である。
本発明のインク組成物は、インク組成物の保存安定性向上等を目的として、更にインク調整剤を含有しても良い。このインク調整剤としては、例えば防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、染料溶解剤、酸化防止剤、界面活性剤、消泡剤などがあげられる。
防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。これらは着色組成物中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
防腐剤としては、例えば有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオシキド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。有機ハロゲン系化合物としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、ピリジンオシキド系化合物としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられ、無機塩系化合物としては、例えば無水酢酸ソーダが挙げられ、イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他の防腐防黴剤として、ソルビン酸ソーダ、安息香酸ナトリウム等があげられる。
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずに、インクのpHを例えば5〜11の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。その例として、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミンなどのアルカノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム(アンモニア)、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩、酢酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム等の無機塩基などが挙げられる。
キレート試薬としては、例えばエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウムなどがあげられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグルコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライトなどがあげられる。
水溶性紫外線吸収剤としては、例えばスルホン化したベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ−ル系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物が挙げられる。
水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等があげられる。
染料溶解剤としては、例えばε−カプロラクタム、エチレンカーボネート、尿素などが挙げられる。特に尿素を含有する場合は、本発明の好ましい態様の一つである。
酸化防止剤としては、例えば、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、複素環類、等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えばアニオン系、カチオン系、ノニオン系などの公知の界面活性剤が挙げられる。アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホン酸塩、アルキルカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸およびその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリルスルホン塩酸、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸、ジオクチルスルホ琥珀酸塩などが挙げられる。カチオン界面活性剤としては2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体などがある。両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体などがある。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアリルキルアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オールなどのアセチレングリコール系(例えば、日信化学社製サーフィノールRTM104、105、82、420、440、465、オルフィンRTMSTGなど)、などが挙げられる。このうち、サーフィノールRTM420、440、465は好ましく用いられ、サーフィノールRTM440は特に好ましく用いられる。なお、本明細書中において、上付きの「RTM」は登録商標を意味する。
消泡剤としては、高酸化油系、グリセリン脂肪酸エステル系、フッ素系、シリコーン系化合物等が挙げられる。
これらのインク調製剤は、単独又は混合して用いられる。なお、本発明のインク組成物の表面張力は通常25〜70mN/m、好ましくは25〜60mN/mであり、粘度は30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下に調整することがより好ましい。
本発明の水性インク組成物の製造において、添加剤等の各薬剤を溶解させる順序には特に制限はない。インク組成物の調製に用いる水は、イオン交換水、蒸留水等の不純物が少ないものが好ましい。また、必要に応じインク組成物の調製後に、メンブランフィルター等を用いて精密濾過を行って、インク組成物中の夾雑物を除いても良い。特に、本発明のインク組成物をインクジェット記録用のインクとして使用する場合には、精密濾過を行うことが好ましい。精密濾過に使用するフィルターの孔径は通常1〜0.1μm、好ましくは0.8〜0.1μmである。
本発明の化合物を含有するインク組成物は、印捺、複写、マーキング、筆記、製図、スタンピング、又は記録(印刷)、特にインクジェット記録における使用に適する。また、本発明のインク組成物は、インクジェットプリンタの記録ヘッドのノズル付近における乾燥に対しても固体の析出は起こりにくく、この理由により該記録ヘッドの閉塞もまた起こしにくい。
次に、本発明のインクジェット記録方法について説明する。本発明のインクジェット記録方法は、本発明の水性インク組成物をインクジェット用インクとして記録を行うことを特徴とする。本発明のインクジェット記録方法においては、本発明の水性インク組成物を用いて受像材料に記録を行うが、その際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の方法、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等を用いることができる。なお、前記インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
本発明の着色体は前記の本発明の水性インク組成物で着色されたものであり、より好ましくは本発明の水性インク組成物を用いてインクジェットプリンタによって着色されたものである。着色されうるものとしては、例えば紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられる。情報伝達用シートとしては、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク受容層には、例えば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工することにより、また多孔質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックスなどのインク中の色素を吸収し得る多孔性白色無機物をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に上記基材表面に塗工することにより設けられる。このようなインク受容層を設けたものは通常インクジェット専用紙(フィルム)、光沢紙(フィルム)等と呼ばれ、例えば代表的な市販品としてはピクトリコ(旭硝子(株)製)、プロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパー、マットフォトペーパー、光沢ゴールド、プラチナグレード(いずれもキヤノン(株)製)、写真用紙(光沢)、フォトマット紙、写真用紙クリスピア(高光沢)(いずれもセイコーエプソン(株)製)、プレミアムプラスフォト用紙、プレミアム光沢フィルム、フォト用紙、アドバンストフォトペーパー(いずれも日本ヒューレット・パッカード(株)製)、フォトライクQP(コニカ(株)製)、画彩写真仕上げPro(富士フィルム(株)製)等がある。なお、普通紙、上質紙、コート紙も当然に使用できる。
これらのうち、特に多孔性白色無機物を表面に塗工した被記録材に記録した画像がオゾンガスによって変退色が大きくなることが知られているが、本発明の水性インク組成物は耐オゾンガス性も優れているため、このような被記録材への記録の際にも効果を発揮する。
本発明のインクジェット記録方法で、被記録材に記録するには、例えば上記のインク組成物を含有する容器をインクジェットプリンタの所定位置にセットし、通常の方法で、被記録材に記録すればよい。本発明のインクジェット記録方法では、黒色の本発明のインク組成物、公知公用のマゼンタインク組成物、シアンインク組成物、イエローインク組成物、必要に応じて、グリーンインク組成物、ブルー(又はバイオレット)インク組成物及びレッド(又はオレンジ)インク組成物と併用される。各色のインク組成物は、それぞれの容器に注入され、その容器を、本発明のインクジェット記録用水性インク組成物を含有する容器と同様に、インクジェットプリンタの所定位置に装填されて使用される。インクジェットプリンタとしては、例えば機械的振動を利用したピエゾ方式のプリンタや加熱により生ずる泡を利用したバブルジェット(登録商標)方式のプリンタ等があげられる。
本発明の水性インク組成物は、普通紙及びインク受容層を有する情報伝達用シートといった被記録材上で非常に鮮明で、印字濃度が高く、彩度の低い理想的な色相の黒色の記録画像を与える。このため、写真調のカラー画像を紙の上に忠実に再現させることも可能である。また、本発明の水性インク組成物は長期間保存後の固体析出、物性変化、色相変化等もなく、貯蔵安定性が極めて良好である。
本発明の水性インク組成物はインクジェット記録用、筆記具用として用いられ、特にインクジェットインクとして使用しても、ノズル付近におけるインク組成物の乾燥による固体析出は非常に起こりにくく、噴射器(記録ヘッド)を閉塞することもない。また、本発明の水性インク組成物は連続式インクジェットプリンタを用い、比較的長い時間間隔においてインクを再循環させて使用する場合においても、又はオンデマンド式インクジェットプリンタによる断続的な使用においても、物理的性質の変化を起こさない。
さらに、本発明の水性インク組成物により、インク受容層を有する情報伝達用シートに記録された画像は、耐水性、耐湿性、耐オゾンガス性、耐擦性、耐光性等の各種堅牢性、特に耐オゾンガス性、耐光性が良好であり、この理由から、写真調の画像の長期保存安定性にも優れている。また、従来のインクと比較して、普通紙上での彩度、明度、及び印字濃度等の発色性、演色性、特に近赤外光領域のセンサー対応特性および発色性の高さにも優れている。
このように、本発明の水性インク組成物は、各種の記録インク用途、特にインクジェット記録用のインク用途に極めて有用である。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。
下記の各式において、スルホ及びカルボキシ等の酸性官能基は、遊離酸の形で表記した。
なお、以下の実施例で合成した本発明のポルフィラジン化合物は、水に対していずれも40g/リットル以上の溶解性を示した。
[実施例1]
(工程1)
30%発煙硫酸400部中、特開2002−275383号公報実施例1に記載の方法により得られたジニトロ銅フタロシアニン相当の化合物40.0部を添加し、100℃で5時間反応した。この反応液を氷水1200部に注ぎ、析出した結晶を濾過分取、水900.0部中に添加し、25%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH8に調整した。この液に、70%水流化ナトリウム15.6部を添加し、60℃で5時間反応した。この反応液に塩化ナトリウム70部を添加し、析出した結晶を濾過分取、乾燥することにより、ジアミノ銅フタロシアニンスルホン酸を含む黒色固体44.9部を得た。
(工程2)
N−メチルピロリドン80.0部中、上記実施例1工程1で得られたジアミノ銅フタロシアニンスルホン酸を含む黒色固体6.1部、ヒドロキノン0.1部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸91.2部を添加し90℃で5時間反応した。この反応液を氷水100.0部に注ぎ、25%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7に調整、塩化ナトリウム40.0部を添加し、析出した結晶を濾過分取した。再度、水150.0部に溶解し、メタノール600.0部に添加し析出した結晶を濾過分取、乾燥することにより、下記式(7)で表される化合物2.6部を黒色固体として得た。ここで、b+cは平均値で2である。
Figure 2016160405
[実施例2]
N−メチルピロリドン20.0部中、上記実施例1工程1で得られたジアミノ銅フタロシアニンスルホン酸を含む黒色固体4.6部、ヒドロキノン0.1部、2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸13.0部を添加し90℃で5時間反応した。この反応液に水80.0部に注ぎ、塩化ナトリウム13.0部を添加し、析出した結晶を濾過分取した。再度、水150.0部に溶解し、メタノール300.0部に添加し析出した結晶を濾過分取、乾燥することにより、下記式(8)で表される化合物2.7部を黒色固体として得た。ここで、b+cは平均値で2である。
Figure 2016160405
[(A)インクの調製]
[実施例3]
上記実施例1で得られた本発明の化合物[式(7)のナトリウム塩]を色素として用い、下記表5に示した組成を混合して溶液とすることにより、本発明のインク組成物を得た。得られたインク組成物を0.45μmのメンブランフィルターで濾過して夾雑物を除き、試験用のインクを調製した。なお、この試験用インクのpHは8.0〜9.5の範囲であった。また、下記表5中、「界面活性剤」は、日信化学株式会社製の商品名サーフィノールRTM104PG50を使用した。実施例1で得た化合物を使用して調製したインクを実施例3とする。
Figure 2016160405
[実施例4]
実施例1で得た本発明の化合物のかわりに、実施例2で得た本発明の化合物を用いる以外は、実施例3と同様にしてインクを調製した。このインクを実施例4とする。
[比較例1]
実施例1で得た本発明の化合物のかわりに、特開2002−275383号公報実施例3に記載の色素を用いる以外は、実施例3と同様にして比較用のインクを調製した。このインクを比較例1とする。
[(B)インクジェット記録]
上記実施例3、4及び比較例1で調製した各インクを、インクジェットプリンタ(キヤノン株式会社製、商品名:PIXUSRTM ip7230)を用いて、下記3種類の光沢紙にそれぞれインクジェット記録を行った。記録の際は、100%、85%、70%、55%、40%、25%濃度の6段階の階調が得られるように画像パターンを作り、ハーフトーンの記録物を得た。得られた記録物を試験片として用い、下記する試験を行った。
光沢紙:富士フィルム社製、商品名 画彩写真仕上げPro
[(C)記録画像の測色]
各種の試験及びその評価は、X−rite社製の測色機、商品名SpectroEyeを用いて試験片を測色することにより行った。測色は、濃度基準にANSI T、視野角2°、光源Aの条件で行なった。
ANSI AはISO規格 ステータスAに該当する濃度基準となる。
[(D)耐オゾン性試験]
各試験片を、オゾンウェザーメーター(スガ試験機社製 型式OMS−H)を用い、オゾン濃度10ppm、槽内温度23℃、湿度50%RHで16時間放置した。試験後に前記測色システムを用いて、試験前後での印字濃度(Dk)を測色し色素残存率を求めた。色素残存率は、より大きい数値のものが、より優れる。結果を下記表6に示す。色素残存率は以下の式により算出した。耐オゾン性試験の際には、試験前の記録物の印字濃度(Dk)を測定し、40%の階調部での色素残存率を求めた。

色素残存率=(試験後印字濃度/試験前印字濃度)×100(%)
Figure 2016160405
○:残存率70%以上
△:残存率65%以上、70%未満
×:残存率65%未満
表6の結果のとおり、印字物の耐オゾン性試験において、光沢紙において実施例3及び4は比較例1より優れる結果を示した。
したがって、本発明の水溶性アゾ化合物、及び該化合物を含有する本発明のインク組成物は、従来の色素と比較して、印字物の耐オゾン性が高いことがわかる。
本発明のポルフィラジン色素、及びその塩、及びこれを含有するインク組成物は、印字濃度が非常に高く、且つ彩度が低く、高品位な黒色の色相を有し、特に発色性、耐オゾンガス性、耐光性に優れるため、筆記用具等の各種記録用、特にインクジェット記録用の黒色インクに好適に用いられる。

Claims (14)

  1. 下記式(1)で表されるポルフィラジン色素、又はその塩。
    Figure 2016160405
    [式(1)中、
    及びRは、それぞれ独立に、水素原子;又は、下記式(2)で表される基;であり、且つR及びRがともに水素原子であることはなく、
    Mは金属原子であり、
    bは平均値で0以上3.90未満であり、
    cは平均値で0.10以上4.00未満であり、
    dは平均値で0.10以上4.00未満であり、
    b及びcの和は平均値で0.10以上4.00未満である。]、
    Figure 2016160405
    [式(2)中、
    Xは(C1〜C12)アルキル基を表し、
    Yは酸素原子;硫黄原子;又は−NH−を表し、
    Zはスルホ(C1〜C12)アルキル基を表し、
    *は窒素原子との置換位置を表す。]。
  2. 上記式(1)において、
    Mが銅、又は亜鉛である、請求項1に記載のポルフィラジン色素、又はその塩。
  3. 上記式(1)において、
    Mが銅、又は亜鉛であり、
    上記式(2)において、
    Xは(C1〜C4)アルキル基を表し、
    Yは酸素原子、又は窒素原子を表し、
    Zはスルホ(C1〜C6)アルキル基を表す、
    請求項1又は2に記載のポルフィラジン色素、又はその塩。
  4. 下記式(3)で表されるポルフィラジン化合物と下記式(4)で表される化合物とを反応させることにより得られるポルフィラジン色素、又はその塩。
    Figure 2016160405
    [式(2)中、
    Mは金属原子であり、
    eは平均値で0.10以上4.00以下であり、
    fは平均値で0.10以上4.00未満である。]、
    Figure 2016160405
    [前記式(4)において、
    Aは、ハロゲン原子;又はビニル基;を、
    Bは、上記式(2)で表される基を表す。]
  5. 下記式(5)で表されるポルフィラジン化合物と上記式(4)で表される化合物とを反応させることにより得られる化合物をスルホン化することにより得られるポルフィラジン色素、又はその塩。
    Figure 2016160405
    [式(5)中、
    Mは金属原子であり、
    gは平均値で0.10以上4.00以下である。]。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポルフィラジン色素、又はその塩を少なくとも1種類含有するインク組成物。
  7. 更に水溶性有機溶剤を含有する請求項6に記載のインク組成物。
  8. 前記水溶性有機溶剤が、2−ピロリドン、グリセリン系溶剤及びグリコール系溶剤からなる群から選択される1又は2以上の水溶性有機溶剤である請求項7に記載のインク組成物。
  9. インクジェット記録用である請求項6乃至8のいずれか一項に記載のインク組成物。
  10. 請求項6乃至9のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させ、記録を行うインクジェット記録方法。
  11. 前記被記録材が情報伝達用シートである請求項10に記載のインクジェット記録方法。
  12. 前記情報伝達用シートが普通紙又は多孔性白色無機物を含むインク受容層を有するシ−トである請求項11に記載のインクジェット記録方法。
  13. 請求項10乃至12のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法により着色された着色体。
  14. 請求項6乃至9のいずれか一項に記載のインク組成物を含む容器が装填されたインクジェットプリンタ。
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