JP2016158573A - デンプン含有食品の製造方法、及びデンプン含有食品の経時的な粘度低下を抑制する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】経時的な粘度低下が抑制されたデンプン含有食品の製造方法、及びデンプン含有食品の経時的な粘度低下を抑制する方法の提供。
【解決手段】一態様において、デンプンを含む食品原料と、低粘性デンプンとを含むデンプン含有食品を製造する方法であって、該方法は、該食品原料に該低粘性デンプンを添加することを含み、該低粘性デンプンは、該食品原料の最高粘度よりも低い最高粘度を有し、該最高粘度は、pH6.0の0.1Mリン酸−クエン酸緩衝液中、デンプン濃度5質量%にて測定される、方法が提供される。別の態様において、デンプン含有食品の経時的な粘度低下を抑制する方法であって、該方法が、デンプンを含む食品原料に低粘性デンプンを添加することを含み、該低粘性デンプンは、該食品原料の最高粘度よりも低い最高粘度を有し、該最高粘度は、pH6.0の0.1Mリン酸−クエン酸緩衝液中、デンプン濃度5質量%にて測定される、方法が提供される。
【選択図】なし
【解決手段】一態様において、デンプンを含む食品原料と、低粘性デンプンとを含むデンプン含有食品を製造する方法であって、該方法は、該食品原料に該低粘性デンプンを添加することを含み、該低粘性デンプンは、該食品原料の最高粘度よりも低い最高粘度を有し、該最高粘度は、pH6.0の0.1Mリン酸−クエン酸緩衝液中、デンプン濃度5質量%にて測定される、方法が提供される。別の態様において、デンプン含有食品の経時的な粘度低下を抑制する方法であって、該方法が、デンプンを含む食品原料に低粘性デンプンを添加することを含み、該低粘性デンプンは、該食品原料の最高粘度よりも低い最高粘度を有し、該最高粘度は、pH6.0の0.1Mリン酸−クエン酸緩衝液中、デンプン濃度5質量%にて測定される、方法が提供される。
【選択図】なし
Description
本発明は、デンプン含有食品の製造方法、及びデンプン含有食品の経時的な粘度低下を抑制する方法に関する。
従来、穀物、野菜、果物等を原材料として含む、パン、フィリング、ソース、各種ペースト状食品等の多様なデンプン含有食品が製造及び販売されている。またこのようなデンプン含有食品には、粘度調整等の目的で、原材料由来ではないデンプンが更に含まれている場合もある。
特別なデンプンを用いることで質感を調整する技術として、例えば特許文献1には、安定化かつ反応抑制された非高アミロース澱粉及び酵素的に脱分岐されたもち澱粉から本質的になる混合物が記載されている。
デンプンは一般に、加熱による膨潤及びその後の粒子崩壊、酵素による粒子崩壊、及び冷却による老化等によって粘度低下を起こすという性質を有する。粘度変化は、取扱い性、食感等に影響を与えるため、デンプン含有食品においては、粘度変化の低減が求められる場合がある。
本発明者らは、デンプン含有食品を例えば常温付近で保存した際に経時的な粘度低下が生じる場合があることに特に着目した。デンプン含有食品の保存時の経時的な粘度低下は、デンプン含有食品の品質低下、ひいては消費者の不満につながる場合がある。
従って本発明は、上記の問題を解決し、保存時の経時的な粘度低下が抑制されたデンプン含有食品の製造方法、及びデンプン含有食品の経時的な粘度低下を抑制する方法の提供を目的とする。
例示の態様において、本発明は以下の構成を有する。
[1] デンプンを含む食品原料と、低粘性デンプンとを含むデンプン含有食品を製造する方法であって、
該方法は、該食品原料に該低粘性デンプンを添加することを含み、
該低粘性デンプンは、該食品原料の最高粘度よりも低い最高粘度を有し、
該最高粘度は、pH6.0の0.1Mリン酸−クエン酸緩衝液中、デンプン濃度5質量%にて測定される、方法。
[2] 該食品原料の最高粘度Aに対する該デンプン含有食品の最高粘度Bの比B/Aが、0.5以上1000以下である、上記態様1に記載の方法。
[3] 該低粘性デンプンが、酸化、エーテル化、エステル化、架橋、酸処理、漂白、及び酵素処理からなる群から選択される1つ以上の加工がされているデンプンを含む、上記態様1又は2に記載の方法。
[4] 該食品原料が、グリコシダーゼ及びホスフォリラーゼからなる群から選択される1種以上のデンプン分解酵素を含む、上記態様1〜3のいずれかに記載の方法。
[5] 該食品原料が、デンプン質作物を含む、上記態様1〜4のいずれかに記載の方法。
[6] 該食品原料に含まれる該デンプンの量が、該食品原料100質量%基準で0.1質量%以上100質量%であり、
該デンプン含有食品に含まれる該低粘性デンプンの量が、該デンプン含有食品100質量%基準で0.1質量%以上99質量%以下である、上記態様1〜5のいずれかに記載の方法。
[7] 該デンプン含有食品が、B型粘度計で20℃にて測定される粘度0.1mPa・s以上1000Pa・s以下を有する、上記態様1〜6のいずれかに記載の方法。
[8] デンプン含有食品の経時的な粘度低下を抑制する方法であって、
該方法が、デンプンを含む食品原料に低粘性デンプンを添加することを含み、
該低粘性デンプンは、該食品原料の最高粘度よりも低い最高粘度を有し、
該最高粘度は、pH6.0の0.1Mリン酸−クエン酸緩衝液中、デンプン濃度5質量%にて測定される、方法。
[1] デンプンを含む食品原料と、低粘性デンプンとを含むデンプン含有食品を製造する方法であって、
該方法は、該食品原料に該低粘性デンプンを添加することを含み、
該低粘性デンプンは、該食品原料の最高粘度よりも低い最高粘度を有し、
該最高粘度は、pH6.0の0.1Mリン酸−クエン酸緩衝液中、デンプン濃度5質量%にて測定される、方法。
[2] 該食品原料の最高粘度Aに対する該デンプン含有食品の最高粘度Bの比B/Aが、0.5以上1000以下である、上記態様1に記載の方法。
[3] 該低粘性デンプンが、酸化、エーテル化、エステル化、架橋、酸処理、漂白、及び酵素処理からなる群から選択される1つ以上の加工がされているデンプンを含む、上記態様1又は2に記載の方法。
[4] 該食品原料が、グリコシダーゼ及びホスフォリラーゼからなる群から選択される1種以上のデンプン分解酵素を含む、上記態様1〜3のいずれかに記載の方法。
[5] 該食品原料が、デンプン質作物を含む、上記態様1〜4のいずれかに記載の方法。
[6] 該食品原料に含まれる該デンプンの量が、該食品原料100質量%基準で0.1質量%以上100質量%であり、
該デンプン含有食品に含まれる該低粘性デンプンの量が、該デンプン含有食品100質量%基準で0.1質量%以上99質量%以下である、上記態様1〜5のいずれかに記載の方法。
[7] 該デンプン含有食品が、B型粘度計で20℃にて測定される粘度0.1mPa・s以上1000Pa・s以下を有する、上記態様1〜6のいずれかに記載の方法。
[8] デンプン含有食品の経時的な粘度低下を抑制する方法であって、
該方法が、デンプンを含む食品原料に低粘性デンプンを添加することを含み、
該低粘性デンプンは、該食品原料の最高粘度よりも低い最高粘度を有し、
該最高粘度は、pH6.0の0.1Mリン酸−クエン酸緩衝液中、デンプン濃度5質量%にて測定される、方法。
本発明によれば、保存時の経時的な粘度低下が抑制されたデンプン含有食品の製造方法、及びデンプン含有食品の経時的な粘度低下を抑制する方法が提供される。
以下、本発明の例示の態様について説明するが、本発明は下記の態様に限定されず、特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱しない任意の改変が本発明に包含されることが意図される。また、本開示において言及する各測定は、特記がない限り、[実施例]の項に記載される方法又はこれと同等であることが当業者に理解される方法によって行われることが意図される。
本開示で、「デンプン」とは、α−グルコースがグリコシド結合により重合して形成されているポリマーを意味する。デンプンは、典型的には、数百個から数万個のα−グルコースの重合体である。
本開示で、「天然デンプン」とは、分子構造が改質されていないデンプンを意味する。従って、例えば、デンプン質作物の粉砕物等に含まれるデンプン、デンプン質作物から精製されたデンプン等は天然デンプンに包含される。
本開示で、「加工デンプン」とは、デンプンの分子構造が改質されたデンプンを意味する。従って、例えば化学的処理、物理的処理、酵素処理等がされているデンプンは加工デンプンに包含される。
本開示で、「デキストリン」とは、α−グルコースがグリコシド結合により重合して形成されているポリマーであって、デキストロース当量(DE)が1以上40以下であるものを意味する。
本開示で、「デンプンを含む食品原料」とは、デンプンを含む任意の種類の食品原料全般を意図し、原材料及び食品添加物を包含する。該食品原料は天然物若しくは合成物又はこれらの組合せであることができる。
本開示で、「天然デンプン」とは、分子構造が改質されていないデンプンを意味する。従って、例えば、デンプン質作物の粉砕物等に含まれるデンプン、デンプン質作物から精製されたデンプン等は天然デンプンに包含される。
本開示で、「加工デンプン」とは、デンプンの分子構造が改質されたデンプンを意味する。従って、例えば化学的処理、物理的処理、酵素処理等がされているデンプンは加工デンプンに包含される。
本開示で、「デキストリン」とは、α−グルコースがグリコシド結合により重合して形成されているポリマーであって、デキストロース当量(DE)が1以上40以下であるものを意味する。
本開示で、「デンプンを含む食品原料」とは、デンプンを含む任意の種類の食品原料全般を意図し、原材料及び食品添加物を包含する。該食品原料は天然物若しくは合成物又はこれらの組合せであることができる。
本開示で、「最高粘度」とは、ブラベンダーアミログラフ測定法によるデンプン濃度5質量%での最高粘度であって、以下の測定条件下で得られる値を意味する。デンプン濃度5質量%の測定液を調製する手順は以下のとおりである。食品原料及びデンプン含有食品は、水を含んでいる場合があるため、pH6.0に調整した0.1Mリン酸−クエン酸緩衝液の添加(食品原料中又はデンプン含有食品中のデンプン濃度が5質量%を超える場合)、又は減圧乾燥等による水分除去(食品原料中又はデンプン含有食品中のデンプン濃度が5質量%未満である場合)によって、デンプン濃度5質量%のスラリーを測定液として調製する。低粘性デンプンについては、pH6.0に調整した0.1Mリン酸−クエン酸緩衝液の添加によってデンプン濃度(低粘性デンプン濃度)5質量%(固形分濃度5質量%)のスラリーを測定液として調製する。上記の手順で得た測定液について、マイクロブラベンダーを用い、50℃から毎分8℃ずつ95℃まで昇温して5分保持した後、毎分4℃ずつ35℃まで降温させたときの最高粘度(粘度の最大値)を読み取る。なお、食品原料及びデンプン含有食品については、これらが含むデンプンの量を公知の方法(例えば後述の日本農林規格(JAS)準拠の方法)で特定できるため、そのようなデンプン含有量に基づいて、デンプン濃度5質量%の測定液を調製する。
本開示で、「低粘性デンプン」とは、食品原料よりも低い最高粘度を有するデンプン全般を意図する。典型的には、低粘性デンプンは、食品原料に含まれるデンプンよりも低い最高粘度を有することができる。
本開示で、「デンプン分解酵素」とは、デンプンにおける糖同士のグリコシド結合を分解する能力を有する酵素全般を意味する。
本開示で、「デンプン質作物」とは、デンプンを含む作物全般を意図する。
本開示で、「低粘性デンプン」とは、食品原料よりも低い最高粘度を有するデンプン全般を意図する。典型的には、低粘性デンプンは、食品原料に含まれるデンプンよりも低い最高粘度を有することができる。
本開示で、「デンプン分解酵素」とは、デンプンにおける糖同士のグリコシド結合を分解する能力を有する酵素全般を意味する。
本開示で、「デンプン質作物」とは、デンプンを含む作物全般を意図する。
<デンプン含有食品の製造方法>
本開示の一態様は、
デンプンを含む食品原料と、低粘性デンプンとを含むデンプン含有食品を製造する方法であって、
該方法は、該食品原料に該低粘性デンプンを添加することを含み、
該低粘性デンプンは、該食品原料の最高粘度よりも低い最高粘度を有する、方法を提供する。
本開示の一態様は、
デンプンを含む食品原料と、低粘性デンプンとを含むデンプン含有食品を製造する方法であって、
該方法は、該食品原料に該低粘性デンプンを添加することを含み、
該低粘性デンプンは、該食品原料の最高粘度よりも低い最高粘度を有する、方法を提供する。
本発明者らは、デンプン含有食品の保存時に経時的な粘度低下が生じる原因として、デンプン含有食品中に含まれる、種々の起源のデンプン分解酵素(例えば、原材料としての野菜、果物、食用微生物等が元々含んでいるデンプン分解酵素、及び、砂糖や液糖等、食品原料の製造時に加工上の目的で使用されたデンプン分解酵素の残留する、あるいはデンプン含有食品中に場合により配合されているデンプン分解酵素等)によるデンプン含有食品中のデンプンの分解に着目した。そして、デンプン含有食品中に、本開示の低粘性デンプンとしての特定態様のデンプンを配合することによって、このようなデンプン分解酵素が存在した場合に経時的な粘度低下が抑制されたデンプン含有食品を提供できることを見出した。
理論に拘束されることを意図しないが、低粘性デンプンは、デンプン分解酵素がターゲットとするデンプンの一部となることができ、典型的には、該デンプン分解酵素によって比較的分解されやすい。従って、低粘性デンプンをデンプン含有食品中に配合することにより、デンプン含有食品中に元々含まれるデンプンの分解を低減でき、デンプン含有食品の経時的な粘度低下を抑制できると考えられる。
デンプン含有食品は、デンプンを含有する任意の食品であることができ、これらに限定されないが例えば、料理用ソース(例えば、カレー、パスタ、ピザ、サルサ、フルーツ等のソース)、ウスターソース類(ウスターソース、中濃ソース及び濃厚ソースを包含する)、ドレッシング、マーガリン、フラワーペースト、乳性飲料、ヨーグルト、デザート、ゼリー、ムース、プリン、粘性液体調味料等が例示される。
低粘性デンプンは、食品原料のものよりも低い最高粘度を有するデンプンである。本開示の最高粘度は、アミログラフ測定で得られる値であり、デンプンを膨潤させたときの崩壊(この現象は偏光顕微鏡下で偏光十字の消失として観測できる)の直前での粘度である。従って、最高粘度を与える温度はデンプンの構造に応じて異なる。例えば2種のデンプンの最高粘度を比較することは、各デンプンをそれぞれ最大限まで膨潤させた状態での該2種のデンプンの粘度を比較することを意味する。
本開示で、食品原料の最高粘度は、食品原料中のデンプンのみでなく他の含有成分の影響をも受けると考えられる。しかし本開示では便宜上、食品原料の最高粘度に着目していることに留意すべきである。本開示は、食品原料の粘度調整の少なくとも一部を食品原料中のデンプンが担っているようなデンプン含有食品、より典型的には、食品原料の粘度に最も顕著に影響する含有成分がデンプンであるようなデンプン含有食品に特に着目する。低粘性デンプンの最高粘度が、食品原料の最高粘度よりも低いことは、最大限膨潤した状態において、低粘性デンプンが食品原料と比べて相対的に低粘度であることを示す。このような低粘性デンプンがデンプン含有食品中に配合されることは、デンプン含有食品の経時的な粘度低下を低減する点で有利である。典型的には、低粘性デンプンの最高粘度は、食品原料に含まれるデンプンの最高粘度よりも低い。
好ましい態様において、食品原料の最高粘度Aに対するデンプン含有食品の最高粘度Bの比B/Aは、0.5以上1000以下である。低粘性デンプンの配合は、デンプン含有食品の通常考えられる保管温度(例えば−20℃〜60℃)での粘度に大きく影響しないことが好ましい。一方、食品原料と低粘性デンプンとを組合せてデンプン含有食品を製造する際、デンプン含有食品の常温での粘度は、食品原料と低粘性デンプンとの相互作用に起因して、これら各々の常温での粘度の単純な平均値にはならない場合がある。
比B/Aが0.5以上1000以下である場合、低粘性デンプンの配合によるデンプン含有食品の常温での粘度への影響が比較的小さく好ましい。このような観点から、比B/Aは、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下、更に好ましくは200以下である。
(食品原料)
本開示において、食品原料はデンプンを含む。食品原料は、例えば穀物、野菜、果物等から選択される1種以上の原材料を、加工なしで、又は、加熱、濃縮、抽出等の加工を経て含有できる。
本開示において、食品原料はデンプンを含む。食品原料は、例えば穀物、野菜、果物等から選択される1種以上の原材料を、加工なしで、又は、加熱、濃縮、抽出等の加工を経て含有できる。
食品原料は、原材料に代えて、又はこれに加えて、1種以上の食品添加物を更に含有してもよい。食品添加物としては、油脂、調味料、着色料、甘味料、保存料、増粘剤、乳化剤、酵素等を例示できる。
食品原料に含まれるデンプンは、該原材料中若しくは該食品添加物中、又はこれらの両者に含まれていることができる。
食品原料に含まれるデンプンは、天然デンプンであっても加工デンプンであってもよい。加工デンプンは、典型的には、食品原料中に食品添加物として含まれていることができる。加工デンプンは天然デンプンに種々の加工を行うことで得られる。この加工としては、化学的処理、物理的処理、酵素的処理等が挙げられる。化学的処理、物理的処理、及び酵素的処理の例としては、低粘性デンプンについて後述するものを例示できるためここでは列挙しない。
好ましい態様において、食品原料は、デンプン質作物を含む。デンプン質作物は原材料として食品原料中に含まれることができる。デンプン質作物としては、穀類(例えばコーン、米、麦等)、地下茎類(例えばポテト、サツマイモ、タピオカ等)、その他(サゴ、バナナ)等を例示できる。デンプン質作物は天然種でも変種(例えばワキシー種、高アミロース種等)でもよい。例えばコーンとしては、デントコーン、ワキシーコーン、及びハイアミロースコーンを例示でき、例えばポテトとしては、ポテト、ワキシーポテトを例示できる。ワキシー種は、アミロースを殆ど含まないため保存時の老化が少ない観点から好ましい。
例示の態様において、食品原料は、上記で列挙したような種々のデンプン質作物から精製された天然デンプン(すなわち、コーンスターチ、ポテトスターチ、タピオカスターチ等)を含んでもよい。
例示の態様において、食品原料は、上記で列挙したような種々のデンプン質作物から精製された天然デンプン(すなわち、コーンスターチ、ポテトスターチ、タピオカスターチ等)を含んでもよい。
典型的な態様において、食品原料はデンプン分解酵素を含む。より典型的な態様において、食品原料は、グリコシダーゼ及びホスフォリラーゼからなる群から選択される1種以上のデンプン分解酵素を含む。グリコシダーゼとしては、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ等が挙げられる。
食品原料中に含まれるデンプン分解酵素は、原材料として野菜、果物等を用いる場合のこれらに元々含まれているデンプン分解酵素、食品原料の製造時に加工上の目的で使用されたデンプン分解酵素の残留物、柔軟性付与等の目的で食品添加物として食品原料中に配合されているデンプン分解酵素、等に由来することができる。
食品原料の、B型粘度計で、固形分濃度5質量%及び20℃にて測定される粘度は、好ましくは0mPa・s(すなわち測定限界)以上、より好ましくは5mPa・s以上、更に好ましくは10mPa・s以上であることができ、好ましくは1000Pa・s以下、より好ましくは100Pa・s以下、更に好ましくは50Pa・s以下であることができる。
(低粘性デンプン)
低粘性デンプンとしては、該食品原料の最高粘度よりも低い最高粘度を有するデンプンを使用できる。
低粘性デンプンとしては、該食品原料の最高粘度よりも低い最高粘度を有するデンプンを使用できる。
典型的な態様において、低粘性デンプンは、天然デンプンに、低粘度化処理、例えば化学的処理、物理的処理、酵素処理等のうち1つ以上の処理、を施すことにより得られる。
化学的処理は、典型的には誘導体化であり、酸化(例えば次亜塩素酸ナトリウムによる酸化)、エーテル化(例えばヒドロキシプロピル化)、エステル化(例えばアセチル化、オクテニルコハク酸処理、及びリン酸化)、並びに架橋(例えばリン酸架橋、及びアジピン酸架橋)を例示できる。化学的に処理されたデンプンの具体例として、酸化デンプン、リン酸化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、アセチル化デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、リン酸架橋デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン等を例示できる。
なお低粘性デンプンは、上記化学的処理に由来する基に加えて別の置換基を有していてもよい。
物理的処理としては、焙焼、酸処理、アルカリ処理、漂白、及びα化を例示できる。例えばα化は、ドラムドライ、スプレードライ、スプレードライと造粒との組合せ、等であることができる。
酵素処理としては、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、イソアミラーゼ、プルラナーゼ、ホスフォリラーゼ等による処理が挙げられる。
低粘性デンプンは、デキストリンであってもよい。デキストリンとしては、天然デンプンから、例えば前述の物理的処理又は酵素処理によって得られるものを例示できる。
好ましい態様において、低粘性デンプンは、酸化、エーテル化、エステル化、架橋、酸処理、漂白、及び酵素処理からなる群から選択される1つ以上の加工がされているデンプンを含み、又はそのようなデンプンから実質的になる。
低粘性デンプンは、デンプン分解酵素、特にアミラーゼによる分解性が高いものであることが好ましい。この観点から好ましい低粘性デンプンの例は、酸処理デンプン、酸化デンプン、デキストリン、エステル化又はエーテル化の程度が低い低官能基付加型デンプン、及び、低架橋度の架橋デンプンである。ここで「低架橋度の架橋デンプン」とは、架橋デンプンを昇温しながら加熱した際に、100℃に達するまでに完全に膨潤する(すなわち結晶崩壊する)程度の架橋度を有する架橋デンプンを意図する。低架橋度の架橋デンプンに関し、高架橋度の架橋デンプンは一般に膨潤しにくい傾向があり、デンプン分解酵素と架橋デンプンとの反応性が低い傾向がある。従って、膨潤しやすい低架橋度の架橋デンプンが好ましい。
低粘性デンプンがデンプン含有食品中に比較的多量に含まれる場合にも食品原料の物性(例えば20℃でB型粘度計によって測定したときの粘度)を大きく変化させないという観点から好ましい低粘性デンプンとしては、Purity gum 40、Uni Pure GA、Flomax 8、Purity gum BE、Purity gum 1773、Purity gum 2000、N−Creamer 46(いずれもイングレディオン社製)等を例示できる。
好ましい低粘性デンプンの典型例は、ヒドロキシプロピル化−酸処理デンプン(すなわち天然デンプンをヒドロキシプロピル化及び酸処理して得られる加工デンプン)、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム等がある。
好ましい態様において、低粘性デンプンの最高粘度は、0BU(ブラベンダー・ユニット)以上300BU以下である。該最高粘度は、低粘性デンプンの添加がデンプン含有食品の粘度(例えば20℃でB型粘度計で測定したときの粘度)を低下させにくいという観点から、好ましくは0BU(すなわち測定限界)以上、より好ましくは1BU以上であり、一般的な食品原料の最高粘度よりも小さいという観点から、好ましくは、1000BU以下、より好ましくは800BU以下、更に好ましくは500BU以下、より好ましくは300BU以下、更に好ましくは200BU以下である。
好ましい態様において、低粘性デンプンのデキストロース当量は、低粘性デンプンの添加がデンプン含有食品の粘度(例えば20℃でB型粘度計で測定したときの粘度)を低下させにくいという観点、及び食味が損なわれないという観点から、好ましくは30以下、より好ましくは25以下、更に好ましくは1以下である。
なお、低粘性デンプンの検出は、例えば以下の手段で可能である。
酸処理デンプンは、グラフト重合を経て得られたデンプンである。従って、酸処理デンプンは、このグラフト重合に起因する、自然界には殆ど存在しない結合様式の多糖の存在によって検出できる。なおこのような結合様式の多糖の存在は当業者に公知の方法で評価できる。例えば、デンプンを分取後、プルラナーゼ及びβアミラーゼを作用させ、高速液体クロマトグラフィーによって反応液中にα1,4−及びα1,6−以外の結合を持つ糖類が存在することによって評価できる。
エーテル化及び/又はエステル化がされたデンプンの存在及びその量は、高速液体クロマトグラフィーマススペクトロメトリー(HPLC−MS)やガスクロマトグラフィーマススペクトロメトリー(GC−MS)によって評価できる。
酸処理デンプンは、グラフト重合を経て得られたデンプンである。従って、酸処理デンプンは、このグラフト重合に起因する、自然界には殆ど存在しない結合様式の多糖の存在によって検出できる。なおこのような結合様式の多糖の存在は当業者に公知の方法で評価できる。例えば、デンプンを分取後、プルラナーゼ及びβアミラーゼを作用させ、高速液体クロマトグラフィーによって反応液中にα1,4−及びα1,6−以外の結合を持つ糖類が存在することによって評価できる。
エーテル化及び/又はエステル化がされたデンプンの存在及びその量は、高速液体クロマトグラフィーマススペクトロメトリー(HPLC−MS)やガスクロマトグラフィーマススペクトロメトリー(GC−MS)によって評価できる。
好ましい態様において、食品原料に含まれるデンプンの量は、食品原料100質量%基準で0.1質量%以上100質量%である。食品原料に含まれるデンプンの量は、本開示の利点が表れやすいという観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上である。デンプンの量は100質量%であってよいが、所望のデンプン含有食品の種類に応じて適宜選択でき、例えば好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下であることができる。食品原料に含まれるデンプンの量は、日本農林規格(JAS)「プレスハムの日本農林規格」(最終改正:平成二十一年七月十三日農林水産省告示第九百二十七号)第4条の「3 でん粉含有率」の項に準拠した方法、又はこれと同等であることが当業者に理解される方法で測定できる。上記方法は以下の手順を含む。
1 試料の調製
試料を磨砕して均一とする。
2 抽出
調製した試料約5gをはかり取り、8%水酸化カリウム・95%アルコール溶液40mlを加えて湯浴中で約30分間加熱溶解し、95%アルコールを加熱溶解前の液量まで加えて冷却し、約1時間放置後、これを遠心沈でん管に移し、毎分4,000回転で5分間遠心分離する。分離した沈でん管中の沈でん物を4%水酸化カリウム・50%アルコール溶液及び50%アルコールを用いて2回ずつ洗浄した後、200mlの水を用いて糖化用フラスコに移す。
3 糖化
糖化用フラスコに移した沈でん物に25%塩酸20mlを加えて沸とう水浴中で150分間加水分解を行ない、冷却後、500mlのメスフラスコに移し、10%水酸化ナトリウム溶液で中和した後、定容とし、還元用の検液とする。
4 還元及び滴定
還元用の検液、ソモギー第1液(酒石酸ナトリウム・カリウム90gとリン酸3ナトリウム225gとを水700mlに溶解し、これに硫酸銅30gを水約100mlに溶解したものを加え、さらによう素酸カリウム3.5gを少量の水に溶解して加え、全容を1Lとしたものをいう。)及び水を10mlずつ100ml三角フラスコにとり、冷却管を付して加熱し、2分間以内に沸とうさせ、正確に3分間沸とうを持続した後、すみやかに流水中で冷却しソモギー第2液(しゅう酸カリウム90gとよう素カリウム40gとを水に溶解して1Lとしたものをいう。)10ml及び1mol/L硫酸10mlを加え、振とうしながらよく混合し、1%でん粉溶液を指示薬として0.05mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。
5 でん粉含有率の算出
でん粉含有率(%)=1.449×(空実験における0.05mol/Lチオ硫酸ナトリウムの滴定数−本実験における0.05mol/Lチオ硫酸ナトリウムの滴定数)×f×50×0.1/(はかりとった調製試料のg数)×0.9
(fは、0.05mol/Lチオ硫酸ナトリウムの係数)
1 試料の調製
試料を磨砕して均一とする。
2 抽出
調製した試料約5gをはかり取り、8%水酸化カリウム・95%アルコール溶液40mlを加えて湯浴中で約30分間加熱溶解し、95%アルコールを加熱溶解前の液量まで加えて冷却し、約1時間放置後、これを遠心沈でん管に移し、毎分4,000回転で5分間遠心分離する。分離した沈でん管中の沈でん物を4%水酸化カリウム・50%アルコール溶液及び50%アルコールを用いて2回ずつ洗浄した後、200mlの水を用いて糖化用フラスコに移す。
3 糖化
糖化用フラスコに移した沈でん物に25%塩酸20mlを加えて沸とう水浴中で150分間加水分解を行ない、冷却後、500mlのメスフラスコに移し、10%水酸化ナトリウム溶液で中和した後、定容とし、還元用の検液とする。
4 還元及び滴定
還元用の検液、ソモギー第1液(酒石酸ナトリウム・カリウム90gとリン酸3ナトリウム225gとを水700mlに溶解し、これに硫酸銅30gを水約100mlに溶解したものを加え、さらによう素酸カリウム3.5gを少量の水に溶解して加え、全容を1Lとしたものをいう。)及び水を10mlずつ100ml三角フラスコにとり、冷却管を付して加熱し、2分間以内に沸とうさせ、正確に3分間沸とうを持続した後、すみやかに流水中で冷却しソモギー第2液(しゅう酸カリウム90gとよう素カリウム40gとを水に溶解して1Lとしたものをいう。)10ml及び1mol/L硫酸10mlを加え、振とうしながらよく混合し、1%でん粉溶液を指示薬として0.05mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。
5 でん粉含有率の算出
でん粉含有率(%)=1.449×(空実験における0.05mol/Lチオ硫酸ナトリウムの滴定数−本実験における0.05mol/Lチオ硫酸ナトリウムの滴定数)×f×50×0.1/(はかりとった調製試料のg数)×0.9
(fは、0.05mol/Lチオ硫酸ナトリウムの係数)
好ましい態様において、デンプン含有食品に含まれる低粘性デンプンの量は、デンプン含有食品100質量%基準で0.1質量%以上99質量%以下である。デンプン含有食品に含まれる該低粘性デンプンの量は、経時的な粘度低下を抑制する効果を良好に得る観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、デンプン含有食品において食品原料によってもたらされる特性に大きな影響を与えないようにする観点から、好ましくは99質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。特に、低粘性デンプンの量を多くしても、低粘性デンプンの使用量の増大の度合いに対する粘度低下の抑制効果の増大の度合いが小さい場合がある。よって、デンプン含有食品に含まれる該低粘性デンプンの量は、費用対効果のバランスの観点からは、例えば好ましくは10質量%以下、より好ましくは9質量%以下、更に好ましくは8質量%以下であることができる。
好ましい態様において、デンプン含有食品は、20℃においてB型粘度計で測定される粘度0.1mPa・s以上1000Pa・s以下を有する。デンプン含有食品の粘度は広範に設計できるが、食品としての通常の好ましい粘度設計の例として、好ましくは0.1mPa・s以上、より好ましくは1mPa・s以上、更に好ましくは1.5mPa・s以上を例示できる。一方、粘度が顕著に高い食品においては、対流等の食品内での物質移動が起こらず、酵素分解の問題自体が生じにくい。従って、酵素による分解に起因する問題に対処するという本発明の利点が顕著に発現するという観点から、上記粘度は、好ましくは1000Pa・s以下、より好ましくは500Pa・s以下、更に好ましくは100Pa・s以下、特に好ましくは50Pa・s以下であることができる。
低粘性デンプンの、水中固形分濃度20質量%、20℃でB型粘度計にて測定したときの粘度は、好ましくは20Pa・s以下、より好ましくは10Pa・s以下、更に好ましくは2Pa・s以下である。上記粘度は、デンプン含有食品の粘度への影響を少なくする観点から、好ましくは0mPa・s(すなわち測定限界)以上である。
デンプン含有食品中のデンプン分解酵素の量は、例えば0.01IU/g以上10,000IU/g以下であることができる。
デンプン含有商品の製造において、食品原料に低粘性デンプンを添加する際の条件は特に限定されないが、典型的には、常温で、低粘性デンプンを粉体のまま、或いは水に溶解して食品原材料と共に鍋やニーダー等に添加し加熱撹拌する、インラインミキサーを通じて加熱する等の条件下で行うことができる。
<デンプン含有食品の粘度低下を抑制する方法>
本発明の別の態様は、デンプン含有食品の経時的な粘度低下を抑制する方法であって、
該方法が、デンプンを含む食品原料に低粘性デンプンを添加することを含み、
該低粘性デンプンは、該食品原料の最高粘度よりも低い最高粘度を有する、方法を提供する。
本発明の別の態様は、デンプン含有食品の経時的な粘度低下を抑制する方法であって、
該方法が、デンプンを含む食品原料に低粘性デンプンを添加することを含み、
該低粘性デンプンは、該食品原料の最高粘度よりも低い最高粘度を有する、方法を提供する。
本態様における食品原料及び低粘性デンプンはそれぞれ前述したものであることができる。食品原料よりも低い最高粘度を有するデンプンである低粘性デンプンを食品原料に添加することは、デンプン含有食品の経時的な粘度低下を抑制するという利点を奏し得る。
以下、実施例を挙げて本発明の例示の態様を更に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
1.材料
添加用の低粘性デンプン及び比較デンプン(以下、纏めて添加用デンプンともいう。)として、下記表1に示す各種デンプンを用いた。
1.材料
添加用の低粘性デンプン及び比較デンプン(以下、纏めて添加用デンプンともいう。)として、下記表1に示す各種デンプンを用いた。
レギュラーコーンスターチとして、pH6.0の0.1Mクエン酸−リン酸緩衝液中、デンプン濃度5質量%での最高粘度329BU、水中固形分濃度5質量%及び20℃でのB型粘度計による粘度6,100mPaのものを用いた。
酵素として、商品名Novozymes fungamyl 800L(Novozymesから市販で入手可能なα−アミラーゼ)を用いた。
2.評価手順
(1)ブラベンダーアミログラフによる最高粘度
各測定液につき、アミログラム測定装置(ブラベンダー社製、Micro−brabender)を用い、以下のプロファイルにて、最高粘度を測定した。
(a)50℃から95℃まで8℃/分で昇温
(b)次いで、95℃で5分間保持
(c)次いで、95℃から35℃まで−4℃/分で降温
各測定液につき、アミログラム測定装置(ブラベンダー社製、Micro−brabender)を用い、以下のプロファイルにて、最高粘度を測定した。
(a)50℃から95℃まで8℃/分で昇温
(b)次いで、95℃で5分間保持
(c)次いで、95℃から35℃まで−4℃/分で降温
(2)ブラベンダーアミログラフによる初期粘度及び粘度半減期の測定
各測定液につき、アミログラム測定装置(ブラベンダー社製、Micro−brabender)を用い、後述の手順で初期粘度(反応開始時の粘度)、及び粘度半減期(50%粘度低下時間)を測定した。
各測定液につき、アミログラム測定装置(ブラベンダー社製、Micro−brabender)を用い、後述の手順で初期粘度(反応開始時の粘度)、及び粘度半減期(50%粘度低下時間)を測定した。
(3)B型粘度計による粘度
各試料について、B型粘度計(東機産業株式会社社製、型番TVB−10M)を用い、20℃及び12rpmで測定した。
各試料について、B型粘度計(東機産業株式会社社製、型番TVB−10M)を用い、20℃及び12rpmで測定した。
3.実験
(1)デンプンを含有する試料液の評価
[製造例1]
試料液の調製:
200mlビーカー中で、上記レギュラーコーンスターチ5.5gを、pH6.0の0.1Mクエン酸−リン酸緩衝液に懸濁し、マグネティックスターラーで強く撹拌しながら、5.5gの添加用デンプン1を少しずつ加えて、全量が110gとなるようにし、以下の条件で糊化して、試料液を調製した。従って、試料液中、レギュラーコーンスターチ濃度は5.0質量%、添加用デンプン1濃度は5.0質量%である。
(1)デンプンを含有する試料液の評価
[製造例1]
試料液の調製:
200mlビーカー中で、上記レギュラーコーンスターチ5.5gを、pH6.0の0.1Mクエン酸−リン酸緩衝液に懸濁し、マグネティックスターラーで強く撹拌しながら、5.5gの添加用デンプン1を少しずつ加えて、全量が110gとなるようにし、以下の条件で糊化して、試料液を調製した。従って、試料液中、レギュラーコーンスターチ濃度は5.0質量%、添加用デンプン1濃度は5.0質量%である。
糊化条件:
マイクロブラベンダーを用いて材料混合物を次の条件で糊化して、試料液を得た。
(a)50℃から95℃まで8℃/分で昇温
(b)次いで、95℃で10分間保持
(c)次いで、95℃から50℃まで4℃/分で降温
(d)50℃で10分間保持
マイクロブラベンダーを用いて材料混合物を次の条件で糊化して、試料液を得た。
(a)50℃から95℃まで8℃/分で昇温
(b)次いで、95℃で10分間保持
(c)次いで、95℃から50℃まで4℃/分で降温
(d)50℃で10分間保持
酵素水溶液の調製:
100mlビーカーに99.90gのイオン交換水を入れ、上記酵素をマイクロピペットで100μl添加し、よく混和して、酵素水溶液を調製した。
100mlビーカーに99.90gのイオン交換水を入れ、上記酵素をマイクロピペットで100μl添加し、よく混和して、酵素水溶液を調製した。
酵素反応:
上記糊化後、マイクロブラベンダーの上部を引き上げるとともに、マイクロブラベンダーの運転条件を以下の計測プログラムに変更した。
(a)50℃で180分間保持
(b)次いで、50℃から95℃まで12℃/分で昇温
(c)次いで、95℃で5分間保持(酵素を失活させるため)
(d)次いで、95℃から35℃まで10℃/分で降温
(e)次いで、35℃で5分間保持
上記糊化後、マイクロブラベンダーの上部を引き上げるとともに、マイクロブラベンダーの運転条件を以下の計測プログラムに変更した。
(a)50℃で180分間保持
(b)次いで、50℃から95℃まで12℃/分で昇温
(c)次いで、95℃で5分間保持(酵素を失活させるため)
(d)次いで、95℃から35℃まで10℃/分で降温
(e)次いで、35℃で5分間保持
上記酵素水溶液をマイクロピペットで100μl採取し、試料液の上面中央から試料液中に深さ方向5mm程度までマイクロピペット先端を滲入させて、該試料液中に酵素水溶液を吐出することで、初期粘度及び粘度半減期の測定用の測定液を得た。吐出後直ちにマイクロブラベンダーの上部を押し下げて、上記計測プロファイルに従って、該測定液の粘度測定を開始した。
粘度半減期の導出:
測定開始時から、粘度が初期粘度の50%となった時点までの時間を、粘度半減期とした。粘度半減期が長いことは、経時的な粘度低下が低いことを示す。
測定開始時から、粘度が初期粘度の50%となった時点までの時間を、粘度半減期とした。粘度半減期が長いことは、経時的な粘度低下が低いことを示す。
[製造例2〜10、比較製造例1〜2]
添加用デンプンの種類及び試料液中の濃度を表2に示すように変えた他は製造例1と同様の手順で試料液の調製及び評価を行った。なお比較製造例2では、添加用デンプンとして、前述のレギュラーコーンスターチを用いた。
なお、各製造例及び各比較製造例の試料液について、ブラベンダーアミログラフによる最高粘度の測定も行った。
結果を表2に示す。
添加用デンプンの種類及び試料液中の濃度を表2に示すように変えた他は製造例1と同様の手順で試料液の調製及び評価を行った。なお比較製造例2では、添加用デンプンとして、前述のレギュラーコーンスターチを用いた。
なお、各製造例及び各比較製造例の試料液について、ブラベンダーアミログラフによる最高粘度の測定も行った。
結果を表2に示す。
低粘性デンプンを用いた各製造例はいずれも、低粘性デンプンを用いない比較製造例1と比べて良好な粘度半減期を示した。なお、試料液中の総デンプン濃度が製造例3、6、9及び10と同等である比較製造例2では試料液の粘度が過度に高く、粘度測定は不能であった。
(2)デンプン含有食品の評価
[実施例1]
デンプン含有食品の調製
低粘性デンプンとして前述の低粘性デンプン1を用い、焼き鳥のたれを調製した。
マイクロブラベンダーの測定カップに、醤油46.0g、みりん12g、砂糖23.0g及び前述のレギュラーコーンスターチ5.5gを入れて食品原料を得た。これに低粘性デンプン1 5.5gを加え、更に総量が110gとなるようにイオン交換水を加え、以下の条件で糊化して、デンプン含有食品を得た。従って、デンプン含有食品中のレギュラーコーンスターチ濃度は5質量%、低粘性デンプン1の濃度は5質量%であった。
糊化条件:
マイクロブラベンダーを用いて材料混合物を次の条件で糊化して、デンプン含有食品を得た。
(a)50℃から95℃まで8℃/分で昇温
(b)次いで、95℃で10分間保持
(c)次いで、95℃から50℃まで4℃/分で降温
(d)50℃で10分間保持
得られたデンプン含有食品をマイクロブラベンダーから取出し、20℃にてB型粘度計による粘度測定に供した。また、別途、上記手順でデンプン含有食品を調製し、これをマイクロブラベンダー内に収容したまま以下の手順による粘度半減期評価に供した。
[実施例1]
デンプン含有食品の調製
低粘性デンプンとして前述の低粘性デンプン1を用い、焼き鳥のたれを調製した。
マイクロブラベンダーの測定カップに、醤油46.0g、みりん12g、砂糖23.0g及び前述のレギュラーコーンスターチ5.5gを入れて食品原料を得た。これに低粘性デンプン1 5.5gを加え、更に総量が110gとなるようにイオン交換水を加え、以下の条件で糊化して、デンプン含有食品を得た。従って、デンプン含有食品中のレギュラーコーンスターチ濃度は5質量%、低粘性デンプン1の濃度は5質量%であった。
糊化条件:
マイクロブラベンダーを用いて材料混合物を次の条件で糊化して、デンプン含有食品を得た。
(a)50℃から95℃まで8℃/分で昇温
(b)次いで、95℃で10分間保持
(c)次いで、95℃から50℃まで4℃/分で降温
(d)50℃で10分間保持
得られたデンプン含有食品をマイクロブラベンダーから取出し、20℃にてB型粘度計による粘度測定に供した。また、別途、上記手順でデンプン含有食品を調製し、これをマイクロブラベンダー内に収容したまま以下の手順による粘度半減期評価に供した。
酵素液の調製
酵素として、商品名Novozymes fungamyl 800L(Novozymesから市販で入手可能なα−アミラーゼ)を用いた。
100mlビーカーに99.80gのイオン交換水を入れ、上記酵素をマイクロピペットで200μl添加し、よく混和して、酵素水溶液を調製した。
酵素として、商品名Novozymes fungamyl 800L(Novozymesから市販で入手可能なα−アミラーゼ)を用いた。
100mlビーカーに99.80gのイオン交換水を入れ、上記酵素をマイクロピペットで200μl添加し、よく混和して、酵素水溶液を調製した。
酵素反応:
上記糊化後、マイクロブラベンダーの上部を引き上げるとともに、マイクロブラベンダーの運転条件を以下の計測プログラムに変更した。
(a)50℃で180分間保持
(b)次いで、50℃から95℃まで12℃/分で昇温
(c)次いで、95℃で5分間保持(酵素を失活させるため)
(d)次いで、95℃から35℃まで10℃/分で降温
(e)次いで、35℃で5分間保持
上記糊化後、マイクロブラベンダーの上部を引き上げるとともに、マイクロブラベンダーの運転条件を以下の計測プログラムに変更した。
(a)50℃で180分間保持
(b)次いで、50℃から95℃まで12℃/分で昇温
(c)次いで、95℃で5分間保持(酵素を失活させるため)
(d)次いで、95℃から35℃まで10℃/分で降温
(e)次いで、35℃で5分間保持
上記酵素水溶液をマイクロピペットで100μl採取し、デンプン含有食品の上面中央からデンプン含有食品中に深さ方向5mm程度までマイクロピペット先端を滲入させて、該デンプン含有食品中に酵素水溶液を吐出することで、初期粘度及び粘度半減期の測定用の測定液を得た。吐出後直ちにマイクロブラベンダーの上部を押し下げて、上記計測プロファイルに従って粘度測定を開始した。
粘度半減期の導出:
測定開始時から、粘度が初期粘度の50%となった時点までの時間を、粘度半減期とした。
測定開始時から、粘度が初期粘度の50%となった時点までの時間を、粘度半減期とした。
[比較例1]
低粘性デンプン1を添加しない他は実施例1と同様にして、デンプン含有食品の調製及び評価を行った。
結果を表3に示す。
低粘性デンプン1を添加しない他は実施例1と同様にして、デンプン含有食品の調製及び評価を行った。
結果を表3に示す。
本発明は、経時的な粘度低下の低減が所望される種々のデンプン含有食品に対して好適に適用できる。
Claims (8)
- デンプンを含む食品原料と、低粘性デンプンとを含むデンプン含有食品を製造する方法であって、
前記方法は、前記食品原料に前記低粘性デンプンを添加することを含み、
前記低粘性デンプンは、前記食品原料の最高粘度よりも低い最高粘度を有し、
前記最高粘度は、pH6.0の0.1Mリン酸−クエン酸緩衝液中、デンプン濃度5質量%にて測定される、方法。 - 前記食品原料の最高粘度Aに対する前記デンプン含有食品の最高粘度Bの比B/Aが、0.5以上1000以下である、請求項1に記載の方法。
- 前記低粘性デンプンが、酸化、エーテル化、エステル化、架橋、酸処理、漂白、及び酵素処理からなる群から選択される1つ以上の加工がされているデンプンを含む、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記食品原料が、グリコシダーゼ及びホスフォリラーゼからなる群から選択される1種以上のデンプン分解酵素を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 前記食品原料が、デンプン質作物を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記食品原料に含まれる前記デンプンの量が、前記食品原料100質量%基準で0.1質量%以上100質量%であり、
前記デンプン含有食品に含まれる前記低粘性デンプンの量が、前記デンプン含有食品100質量%基準で0.1質量%以上99質量%以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。 - 前記デンプン含有食品が、B型粘度計で20℃にて測定される粘度0.1mPa・s以上1000Pa・s以下を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
- デンプン含有食品の経時的な粘度低下を抑制する方法であって、
前記方法が、デンプンを含む食品原料に低粘性デンプンを添加することを含み、
前記低粘性デンプンは、前記食品原料の最高粘度よりも低い最高粘度を有し、
前記最高粘度は、pH6.0の0.1Mリン酸−クエン酸緩衝液中、デンプン濃度5質量%にて測定される、方法。
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