ガスタービンプラントでは、このガスタービンプラントから発生する熱を有効利用し、よりプラントの熱効率を高めることが求められている。
そこで、本発明は、ガスタービンの圧縮機から抽気した圧縮空気を冷却しつつも、この圧縮空気の冷却で得られた熱を有効利用することができる技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための発明に係る一態様としての熱交換装置は、
空気を送風するファンと、前記ファンからの空気とガスタービンの圧縮機から抽気した圧縮空気とを熱交換させて、前記圧縮空気を冷却して冷却空気として前記ガスタービン中で燃焼ガスに接する高温部に送る第一熱交換器と、前記ファンからの空気であって前記第一熱交換器を通過した空気と燃料とを熱交換させて、前記燃料を加熱して予熱燃料として前記ガスタービンの燃焼器に送る第二熱交換器と、前記ファンからの空気であって少なくとも前記第一熱交換器を通過した空気と媒体とを熱交換させて、前記媒体を加熱する第三熱交換器と、を備える。
当該熱交換装置では、第一熱交換器で、ファンからの空気と圧縮空気とが熱交換される。この結果、圧縮空気は冷却される一方で、ファンからの空気は加熱される。当該熱交換装置では、第二熱交換器で、ファンからの空気であって第一熱交換器を通過して加熱された空気と燃料とが熱交換される。この結果、燃料は加熱される一方で、空気は冷却される。さらに、当該熱交換装置では、第三熱交換器で、ファンからの空気であって少なくとも第一熱交換器を通過して加熱された空気と媒体とが熱交換される。この結果、媒体は加熱される一方で、空気は冷却される。
ここで、前記熱交換装置において、前記ファンに対して、前記ファンの送風方向の下流側に配置され、前記ファンからの空気を前記送風方向に流す流路を画定する枠を備え、前記第一熱交換器は、前記枠内に配置され、前記圧縮空気が内部を流れる複数の圧縮空気管を有し、前記第二熱交換器は、前記枠内であって前記複数の圧縮空気管よりも前記下流側に配置され、前記燃料が内部を流れる複数の燃料管を有し、前記第三熱交換器は、前記枠内であって少なくとも前記複数の圧縮空気管よりも前記下流側に配置され、前記媒体が内部を流れる複数の媒体管を有する。
当該熱交換装置では、枠を備えるので、ファンからの空気を、第一熱交換器の複数の圧縮空気管間、第二熱交換器の複数の燃料管間、及び第三熱交換器の複数の媒体管間に、ファンからの空気を効果的に通過させることができる。
また、前記枠を備える前記熱交換装置において、前記第三熱交換器の前記複数の媒体管の全ては、前記枠内であって、前記複数の燃料管の前記下流側に配置されていてもよい。
当該熱交換装置では、圧縮空気の冷却で得られた空気中の熱で燃料を予熱した後、さらにこの空気の熱で媒体を加熱するので、圧縮空気の冷却で得られた空気中の熱をより有効利用することができる。
また、前記複数の媒体管の全てが前記複数の燃料管の前記下流側に配置されている前記熱交換装置において、前記第一熱交換器は、前記圧縮空気が流入して前記圧縮空気を前記複数の圧縮空気管に送る第一入口ヘッダと、前記複数の圧縮空気管を通った前記圧縮空気が流入する第一出口ヘッダと、を有し、前記第二熱交換器は、前記燃料が流入して前記燃料を前記複数の燃料管に送る第二入口ヘッダと、前記複数の燃料管を通った前記燃料が流入する第二出口ヘッダと、を有し、前記第三熱交換器は、前記媒体が流入して前記媒体を前記複数の媒体管に送る第三入口ヘッダと、前記複数の媒体管を通った前記媒体が流入する第三出口ヘッダと、を有し、前記第一入口ヘッダは、前記枠を基準にして、前記送風方向と交差する交差方向の第一の側に配置され、前記第一出口ヘッダは、前記枠を基準にして、前記交差方向における第一の側とは反対の第二の側に配置され、前記第二入口ヘッダ及び第三入口ヘッダは、前記枠を基準にして、前記第二の側に配置され、前記第二出口ヘッダ及び第三出口ヘッダは、前記枠を基準にして、前記第一の側に配置されていてもよい。
当該熱交換装置では、高温の圧縮空気が、複数の圧縮空気管内を第一の側から第二の側に向かって流れる。このため、この圧縮空気と熱交換した空気は、枠内における第一の側の方が第二の側よりも高温になる。燃料は、複数の燃料管内を第二の側から第一の側に向かって流れる。すなわち、燃料が燃料管内を流れる方向は、圧縮空気が圧縮空気管内を流れる方向とは逆向きである。言い換えると、燃料管内の燃料の流れが、この上流側に配置される圧縮空気管内の圧縮空気の流れに対する対向流になる。このため、燃料は、枠内における第二の側を通る空気で加熱された後、枠内における第一の側を通る空気で加熱される。圧縮空気と熱交換した空気は、前述したように、枠内における第一の側の方が第二の側よりも高温である。このため、燃料は、第二の側である程度加熱された後、より高い温度の空気が流れる第一の側でさらに加熱される。よって、燃料は、効果的に加熱される。一方、燃料と熱交換した空気は、第二の側で低い温度の燃料と熱交換するため、第二の側の方が第一の側よりも冷却される。よって、燃料と熱交換した空気は、枠内における第一の側の方が第二の側よりも高温になる。
媒体は、複数の媒体管内を第二の側から第一の側に向かって流れる。すなわち、媒体が媒体管内を流れる方向は、燃料が燃料管内を流れる方向と同じ向きである。このため、媒体は、枠内における第二の側を通る空気で加熱された後、枠内における第一の側を通る空気で加熱される。燃料と熱交換した空気は、前述したように、枠内における第一の側の方が第二の側よりも高温である。このため、媒体は、第二の側である程度加熱された後、より高い温度の空気が流れる第一の側でさらに加熱される。よって、低沸点媒体は、効果的に加熱される。
また、前記枠を備える前記熱交換装置において、前記第二熱交換器の前記複数の燃料管の全ては、前記枠内で且つ前記複数の圧縮空気管の一部の下流側に配置され、前記第三熱交換器の前記複数の媒体管の全ては、前記枠内で且つ前記複数の圧縮空気管の他の一部の下流側であって、前記送風方向に対して垂直な横方向で前記複数の燃料管と異なる位置に配置されていてもよい。
当該熱交換装置では、媒体が複数の媒体管を通る過程で、ファンから送られてくる空気であって、複数の圧縮空気管の間を通って加熱され、複数の燃料管の間を通っていない空気と熱交換されて加熱される。よって、当該熱交換装置では、複数の媒体管の全てが、複数の燃料管の下流側に配置されているものよりも、媒体を高温に加熱することができる。
前記複数の媒体管の全てが横方向で複数の燃料管と異なる位置に配置されている前記熱交換装置において、前記第一熱交換器は、前記圧縮空気が流入して前記圧縮空気を前記複数の圧縮空気管に送る第一入口ヘッダと、前記複数の圧縮空気管を通った前記圧縮空気が流入する第一出口ヘッダと、を有し、前記第二熱交換器は、前記燃料が流入して前記燃料を前記複数の燃料管に送る第二入口ヘッダと、前記複数の燃料管を通った前記燃料が流入する第二出口ヘッダと、を有し、前記第三熱交換器は、前記媒体が流入して前記媒体を前記複数の媒体管に送る第三入口ヘッダと、前記複数の媒体管を通った前記媒体が流入する第三出口ヘッダと、を有し、前記第一入口ヘッダは、前記枠を基準にして、前記送風方向及び前記横方向と交差する交差方向の第一の側に配置され、前記第一出口ヘッダは、前記枠を基準にして、前記交差方向における第一の側とは反対の第二の側に配置され、前記第二入口ヘッダ及び前記第三入口ヘッダは、前記枠を基準にして、前記第二の側に配置され、前記第二出口ヘッダ及び第三出口ヘッダは、前記枠を基準にして、前記第一の側に配置されていてもよい。
当該熱交換装置では、燃料管内の燃料の流れが、この上流側に配置される圧縮空気管内の圧縮空気の流れに対する対向流になるので、燃料を効率的に加熱することができる。また、当該熱交換装置では、媒体管内の媒体の流れが、この上流側に配置される圧縮空気管内の圧縮空気の流れに対する対向流になるので、媒体を効率的に加熱することができる。
また、前記枠を備える前記熱交換装置において、前記第三熱交換器の前記複数の媒体管のうち、一部の媒体管は、前記媒体が流入する一次媒体管であり、残りの媒体管は、前記一次媒体管を通過した前記媒体が流入する二次媒体管であり、前記第二熱交換器の前記複数の燃料管の全ては、前記枠内で且つ前記複数の圧縮空気管の一部の下流側に配置され、前記一次媒体管の全ては、前記枠内で且つ前記複数の燃料管の下流側に配置され、前記二次媒体管の全ては、前記枠内で且つ前記複数の圧縮空気管の他の下流側であって、前記送風方向に対して垂直な横方向で前記複数の燃料管と異なる位置に配置されていてもよい。
当該熱交換装置では、媒体が、一次媒体管を通る過程で、ファンから送られてくる空気であって、複数の圧縮空気管の間を通って加熱された後、複数の燃料管の間を通って冷却された空気と熱交換されて加熱される。当該熱交換装置では、さらに、一次媒体管を通って加熱された媒体が、二次媒体管を通る過程で、ファンから送られてくる空気であって、複数の圧縮空気管の間を通って加熱され、複数の燃料管の間を通っていない空気と熱交換されてさらに加熱される。よって、当該熱交換装置では、複数の媒体管の全てが、複数の燃料管の下流側に配置されているものよりも、媒体を高温に加熱することができる。
前記一次媒体管及び前記二次媒体管を有する前記熱交換装置において、前記第一熱交換器は、前記圧縮空気が流入して前記圧縮空気を前記複数の圧縮空気管に送る第一入口ヘッダと、前記複数の圧縮空気管を通った前記圧縮空気が流入する第一出口ヘッダと、を有し、前記第二熱交換器は、前記燃料が流入して前記燃料を前記複数の燃料管に送る第二入口ヘッダと、前記複数の燃料管を通った前記燃料が流入する第二出口ヘッダと、を有し、前記第三熱交換器は、前記媒体が流入して前記媒体を前記一次媒体管に送る第三入口ヘッダと、前記一次媒体管を通った前記媒体が流入して前記二次媒体管に前記媒体を送る第三中間ヘッダと、前記二次媒体管を通った前記媒体が流入する第三出口ヘッダと、を有し、前記第一入口ヘッダは、前記枠を基準にして、前記送風方向及び前記横方向と交差する交差方向の第一の側に配置され、前記第一出口ヘッダは、前記枠を基準にして、前記交差方向における前記第一の側とは反対の第二の側に配置され、前記第二入口ヘッダは、前記枠を基準にして、前記第二の側に配置され、前記第二出口ヘッダは、前記枠を基準にして、前記第一の側に配置され、前記第三入口ヘッダは、前記枠を基準にして、前記第一の側に配置され、前記第三中間ヘッダは、前記枠を基準にして、前記第二の側に配置され、前記第三出口ヘッダは、前記枠を基準にして、前記第一の側に配置されていてもよい。
当該熱交換装置では、燃料管内の燃料の流れが、この上流側に配置される圧縮空気管内の圧縮空気の流れに対する対向流になるので、燃料を効率的に加熱することができる。また、当該熱交換装置では、二次媒体管内の媒体の流れが、この上流側に配置されている圧縮空気管内の圧縮空気の流れに対する対向流になるので、二次媒体管内の媒体も効率的に加熱することができる。
前記枠を備える、以上のいずれかの前記熱交換装置において、前記複数の圧縮空気管、前記複数の燃料管、及び前記複数の媒体管は、いずれも、前記送風方向と交差する交差方向に延びていてもよい。
当該熱交換装置では、複数の圧縮空気管、複数の燃料管、及び複数の媒体管を枠内に効率的に配置できるので、熱交換装置の小型化を図ることができる。
以上のいずれかの前記熱交換装置において、前記送風方向は、鉛直方向であり、前記下流側は鉛直上側であってもよい。
当該熱交換装置では、ファンの送風方向の下流側が鉛直上側である。このため、当該熱交換装置では、圧縮空気との熱交換で加熱された空気が軽くなって上昇しようとする方向が送風方向の下流側になるので、送風方向の空気の流速を高めることができる。よって、当該熱交換装置では、燃料管及び媒体管での空気の熱交換の効率を高めることができる。
上記目的を達成するための発明に係る一態様としてのガスタービンの高温部冷却系統は、
以上のいずれかの前記熱交換装置と、前記ガスタービンの前記圧縮機からの圧縮空気を前記第一熱交換器に導く抽気ラインと、前記第一熱交換器からの前記冷却空気を前記ガスタービン中で燃焼ガスに接する高温部に導く冷却空気ラインと、前記燃料を前記第二熱交換器に導く燃料ラインと、前記第二熱交換器からの予熱燃料を前記燃焼器に導く予熱燃料ラインと、を備える。
上記目的を達成するための発明に係る一態様としてのプラントは、
以上のいずれかの前記熱交換装置と、水よりも沸点の低い低沸点媒体が循環する低沸点媒体ランキンサイクルと、を備え、前記低沸点媒体ランキンサイクルは、前記低沸点媒体を加熱して蒸発させる蒸発装置と、前記蒸発装置で蒸発した前記低沸点媒体で駆動する低沸点媒体タービンと、前記低沸点媒体タービンから流出した前記低沸点媒体を凝縮して前記蒸発装置に戻す凝縮器と、を有し、前記蒸発装置は、前記熱交換装置の前記第三熱交換器を含み、前記第一熱交換器を通過した前記空気の熱を利用して、前記低沸点媒体を加熱する。
当該プラントでは、圧縮空気の冷却で得られた熱で、低沸点媒体タービンを駆動させることができる。
ここで、前記低沸点媒体ランキンサイクルを備える前記プラントにおいて、前記蒸発装置に含まれる前記第三熱交換器は、前記第一熱交換器を通過した前記空気と前記低沸点媒体とを熱交換させて、前記低沸点媒体を加熱して蒸発させる蒸発器であってもよい。
また、前記低沸点媒体ランキンサイクルを備える前記プラントにおいて、前記蒸発装置は、前記低沸点媒体と中間媒体とを熱交換させて、前記低沸点媒体を加熱して蒸発させる蒸発器を含み、前記蒸発装置に含まれる前記第三熱交換器は、前記第一熱交換器を通過した前記空気と前記中間媒体とを熱交換させて、前記中間媒体を加熱する中間熱交換器であってもよい。
前記低沸点媒体ランキンサイクルを備える、以上のいずれかの前記プラントにおいて、
前記低沸点媒体タービンの駆動で駆動する回転機械を備えてもよい。
前記回転機械を備える前記プラントにおいて、前記回転機械の駆動を補助する補助電動機と、前記低沸点媒体タービンの駆動力を前記回転機械に伝えると共に、前記補助電動機の駆動力を前記回転機械に伝える伝達機構と、を備えてもよい。
また、前記回転機械を備える、以上のいずれかの前記プラントにおいて、前記回転機械は、媒体タービン発電機であってもよい。
また、前記回転機械を備える、以上のいずれかの前記プラントにおいて、前記回転機械は、圧縮機であってもよい。
前記回転機械が前記圧縮機である前記プラントにおいて、前記低沸点媒体タービンの駆動で駆動する前記圧縮機は、空気を圧縮して圧縮空気として前記ガスタービンの前記燃焼器に送る前記ガスタービンにおける補助圧縮機であってもよい。
また、前記回転機械が前記圧縮機である前記プラントにおいて、前記ガスタービンの前記圧縮機が吸い込む空気である吸気を冷却する吸気冷却系統を備え、前記吸気冷却系統は、前記吸気と冷却媒体とを熱交換させて、前記吸気を冷却する吸気冷却器と、前記冷却媒体を冷却する冷却サイクルと、を備え、前記冷却サイクルは、前記冷却媒体と冷却中間媒体とを熱交換させて、前記冷却媒体を冷却する一方で前記冷却中間媒体を蒸発させる中間媒体蒸発器と、前記中間媒体蒸発器で蒸発した前記冷却中間媒体を圧縮する中間媒体圧縮機と、前記中間媒体圧縮機で圧縮された前記冷却中間媒体を凝縮させる中間媒体凝縮器と、凝縮した前記冷却中間媒体を減圧して前記中間媒体蒸発器に送る中間媒体膨張弁と、を備え、前記低沸点媒体タービンの駆動で駆動する前記圧縮機は、前記中間媒体圧縮機であってもよい。
前記回転機械を備える、以上のいずれかの前記プラントにおいて、前記回転機械は、ポンプであってもよい。
上記目的を達成するための発明に係る他の態様としてのプラントは、
以上のいずれかの前記熱交換装置と、ボイラーに水を送る給水ラインに接続され、前記給水ラインを流れる水の少なくとも一部を前記媒体として前記第三熱交換器に送る送りラインと、前記第三熱交換器で加熱された前記水を前記給水ラインに戻す戻りラインと、を備え、前記第三熱交換器は、前記水を加熱する給水予熱器であってもよい。
前記第三熱交換器が前記給水予熱器である前記プラントにおいて、前記ボイラーを備え、前記ボイラーは、前記ガスタービンからの排気ガスの熱で水を蒸発させる排熱回収ボイラーであってもよい。
また、以上のいずれかの前記プラントにおいて、前記ガスタービン中で燃焼ガスに接する高温部を冷却する高温部冷却系統を備え、前記高温部冷却系統は、前記ガスタービンの前記圧縮機からの圧縮空気を前記第一熱交換器に導く抽気ラインと、前記第一熱交換器からの前記冷却空気を前記ガスタービン中で燃焼ガスに接する高温部に導く冷却空気ラインと、前記燃料を前記第二熱交換器に導く燃料ラインと、前記第二熱交換器からの予熱燃料を前記燃焼器に導く予熱燃料ラインと、を有してもよい。
また、以上のいずれかの前記プラントにおいて、前記ガスタービンを備えてもよい。
上記目的を達成するための発明に係る一態様としての圧縮空気の熱交換方法は、
空気をファンで送風する送風工程と、前記ファンからの空気とガスタービンの圧縮機から抽気した圧縮空気とを熱交換させて、圧縮空気を冷却して冷却空気として前記ガスタービン中で燃焼ガスに接する高温部に送る第一熱交換工程と、前記ファンからの空気であって、前記圧縮空気と熱交換した前記空気と燃料とを熱交換させて、前記燃料を加熱して予熱燃料として前記ガスタービンの燃焼器に送る第二熱交換工程と、前記ファンからの空気であって、少なくとも前記圧縮空気と熱交換した前記空気と媒体とを熱交換させて、前記媒体を加熱する第三熱交換工程と、を実行する。
本発明の一態様によれば、ガスタービンの圧縮機から抽気した圧縮空気を冷却しつつも、この圧縮空気の冷却で得られた熱を有効利用することができる。
以下、本発明に係る熱交換装置、この熱交換装置を備えるプラントの実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
「プラントの第一実施形態」
本発明に係るプラントの第一実施形態について、図1及び図2を用いて説明する。
本実施形態のプラントは、図1に示すように、ガスタービン10と、ガスタービン10から排気された排気ガスEXの熱を回収する排熱回収装置30と、ガスタービン10中の高温部を冷却する高温部冷却系統40と、を備えている。
ガスタービン10は、大気Aを圧縮して圧縮空気Caを生成するガスタービン圧縮機12と、大気Aをガスタービン圧縮機12に導く吸気ダクト11と、燃料Fを圧縮空気Ca中で燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器21と、高温高圧の燃焼ガスにより駆動するタービン22と、を備えている。
ガスタービン圧縮機12は、軸線Arを中心として回転する圧縮機ロータ13と、圧縮機ロータ13を覆う圧縮機車室16と、を有する。なお、以下では、軸線Arが延びる方向を軸方向、軸線Arに対する周方向を単に周方向とする。また、軸方向で一方側を軸方向上流側、他方側の軸方向下流側とする。圧縮機ロータ13は、軸線Arを中心として軸方向に延びるロータ軸部14と、軸方向に並ぶ複数の動翼列15と、を有する。各動翼列15は、いずれも、周方向に並んでロータ軸部14の外周に固定されている複数の動翼15aを有する。ガスタービン圧縮機12は、さらに、各動翼列15の軸方向下流側に配置されている静翼列19を有する。各静翼列19は、いずれも、周方向に並んで圧縮機車室16の内周に固定されている複数の静翼19aを有する。圧縮機車室16は、圧縮機ロータ13で複数の動翼列15及び複数の静翼列19が存在する領域を覆う車室本体17と、圧縮機ロータ13で軸方向最下流の静翼列19よりも軸方向下流側の領域を覆う吐出車室18と、を有する。車室本体17内では、圧縮機ロータ13の回転で大気Aが圧縮されて圧縮空気Caが生成される。吐出車室18には、車室本体17からの圧縮空気Caが流入する。この吐出車室18には、燃焼器21が収納されている。このように、吐出車室18には、燃焼器21が収納されることから、この吐出車室18を燃焼器車室ということもある。
タービン22は、軸線Arを中心として回転するタービンロータ23と、タービンロータ23を覆うタービン車室26とを有する。タービンロータ23は、軸線Arを中心として軸方向に延びるロータ軸部24と、軸方向に並ぶ複数の動翼列25と、を有する。各動翼列25は、いずれも、周方向に並んでロータ軸部24の外周に固定されている複数の動翼25aを有する。タービン22は、さらに、各動翼列25の軸方向上流側に配置されている静翼列29を有する。各静翼列29は、いずれも、周方向に並んでタービン車室26の内周に固定されている複数の静翼29aを有する。ロータ軸部24の内部及び動翼25aの内部には、動翼25aを冷却するための冷却空気が通る冷却空気流路25bが形成されている。
圧縮機ロータ13及びタービンロータ23は、同一の軸線Arを中心として回転するもので、相互に連結され、ガスタービンロータ3を成している。ガスタービンロータ3には、例えば、このガスタービンロータ3の回転で発電するガスタービン発電機9が接続されている。圧縮機車室16及びタービン車室26は、相互に連結されてガスタービンケーシング6を成している。
排熱回収装置30は、タービン22の排気口に接続されている煙道31と、煙道31を通る排気ガスEXと水とを熱交換させて蒸気を発生させる排熱回収ボイラー32と、排熱回収ボイラー32で発生した蒸気で駆動する蒸気タービン33と、蒸気タービン33を駆動させた蒸気を水に戻す復水器34と、復水器34中の水を排熱回収ボイラー32に戻す給水ポンプ35と、を備えている。給水ポンプ35と排熱回収ボイラー32とは給水ライン36で接続されている。蒸気タービン33のタービンロータには、例えば、このタービンロータの回転で発電する蒸気タービン発電機39が接続されている。
高温部冷却系統40は、ガスタービン圧縮機12から抽気された圧縮空気Caを大気Aと熱交換させて圧縮空気Caを冷却する熱交換装置100と、ガスタービン圧縮機12から抽気した圧縮空気Caを熱交換装置100に導く抽気ライン41と、熱交換装置100で冷却された圧縮空気Caである冷却空気Cacをガスタービン10の高温部である動翼25aに導く冷却空気ライン42と、を備える。
熱交換装置100は、大気Aを送風するファン101と、ファン101からの空気Aと圧縮空気Caとを熱交換させて圧縮空気Caを冷却する圧縮空気冷却器(第一熱交換器)110と、ファン101からの空気Aであって圧縮空気冷却器110を通過した空気Aと燃料Fとを熱交換させて燃料Fを加熱する燃料予熱器(第二熱交換器)120と、ファン101からの空気Aであって圧縮空気冷却器110を通過した空気Aと水よりも沸点の低い低沸点媒体LMとを熱交換させて低沸点媒体LMを蒸発させる蒸発器(第三熱交換器)130と、を備える。
抽気ライン41は、一方の端部がガスタービン10の吐出車室18に接続され、他方の端部が圧縮空気冷却器110に接続されている。また、冷却空気ライン42は、一方の端部が圧縮空気冷却器110に接続され、他方の端部がタービンロータ23のロータ軸部24に接続されている。冷却空気Cacは、冷却空気ライン42からロータ軸部24及び動翼25aの冷却空気流路25bを経て、動翼25aに導かれる。動翼25aは、この冷却空気Cacにより冷却される。
燃料予熱器120には、燃料供給源からの燃料Fを燃料予熱器120に送る燃料ライン43と、燃料予熱器120で加熱された燃料Fである予熱燃料Fhを燃焼器21に送る予熱燃料ライン44とが接続されている。
本実施形態のプラントは、さらに、低沸点媒体タービン51を有し前述の低沸点媒体LMが循環する低沸点媒体ランキンサイクル50と、ガスタービン圧縮機12が吸い込む大気Aを冷却する吸気冷却系統60と、大気Aを圧縮して圧縮空気Caを生成する補助圧縮機71と、低沸点媒体タービン51の駆動力で発電する媒体タービン発電機73と、各種回転機械74と、補助圧縮機71や各種回転機械74等の駆動を補助する補助電動機75と、低沸点媒体タービン51の駆動力及び補助電動機75の駆動力を各種回転機械74等に伝える伝達機構76と、を備える。
ランキンサイクルは、一般的に、蒸気で蒸気タービンを駆動するサイクルである。一方、低沸点媒体ランキンサイクル50は、水よりも沸点の低い低沸点媒体LMを用いて低沸点媒体タービン51を駆動するサイクルである。この低沸点媒体ランキンサイクル(以下、単にランキンサイクルという)50は、凝縮している低沸点媒体LMcを加熱して蒸発させる蒸発装置である蒸発器130と、蒸発した低沸点媒体LMvで駆動する低沸点媒体タービン51と、低沸点媒体タービン51を駆動させた低沸点媒体LMvを冷却して凝縮させる凝縮器52と、凝縮した低沸点媒体LMcを蒸発器130に戻す低沸点媒体ポンプ53と、これらを接続する低沸点媒体ライン55と、を備える。凝縮器52は、熱交換器の一種で、低沸点媒体LMと水等の冷却媒体とを熱交換させる。低沸点媒体ライン55は、凝縮器52で凝縮した低沸点媒体LMcが流れる液−低沸点媒体ライン55aと、蒸発器130で蒸発した低沸点媒体LMvが流れる気−低沸点媒体ライン55bと、を有する。液−低沸点媒体ライン55aは、凝縮器52と蒸発器130とを接続する。低沸点媒体ポンプ53は、この液−低沸点媒体ライン55a中に設けられている。気−低沸点媒体ライン55bは、蒸発器130と低沸点媒体タービン51の吸込口とを接続する。このランキンサイクル50の蒸発器130は、熱交換装置100の蒸発器130でもある。よって、ランキンサイクル50と熱交換装置100とは、蒸発器130を共有している。
ランキンサイクル50中を循環する低沸点媒体LMとしては、例えば、ペンタン、ベンゼン、トルエン等の有機媒体の他、アンモニアやシリコンオイル等が用いられる。
吸気冷却系統60は、ガスタービン10が吸い込む大気Aである吸気と冷却媒体CMとを熱交換させて吸気を冷却する吸気冷却器61と、冷却媒体CMを吸気冷却器61に送る冷却媒体ポンプ62と、冷却媒体CMを冷却する冷却サイクル64と、を備える。
冷却サイクル64は、冷却媒体CMと冷却中間媒体CMMとを熱交換させて、冷却媒体CMを冷却する一方で冷却中間媒体CMMを蒸発させる中間媒体蒸発器65と、中間媒体蒸発器65で蒸発した冷却中間媒体CMMを圧縮する中間媒体圧縮機66と、中間媒体圧縮機66で圧縮された冷却中間媒体CMMを凝縮させる中間媒体凝縮器67と、凝縮した冷却中間媒体CMMを減圧して中間媒体蒸発器65に送る中間媒体膨張弁68と、これらを接続する冷却中間媒体ライン69と、を備える。
吸気冷却器61は、吸気ダクト11に設けられ、この吸気ダクト11を通る大気Aを冷却する。この吸気冷却器61は、冷却サイクル64の中間媒体蒸発器65と冷却媒体ライン63で接続されている。この冷却媒体ライン63には、前述の冷却媒体ポンプ62が設けられている。この冷却媒体ライン63を流れる冷却媒体CMは、例えば、水である。
補助圧縮機71の吐出口には、圧縮空気ライン72が接続されている。この圧縮空気ライン72は、ガスタービン10の吐出車室18に接続されている。よって、この補助圧縮機71が圧縮した空気である圧縮空気Caは、燃焼器21での燃焼用空気として利用される。
各種回転機械74としては、例えば、排熱回収装置30の給水ポンプ35、ランキンサイクル50の低沸点媒体ポンプ53、吸気冷却系統60の冷却媒体ポンプ62、当該プラントの各種制御弁を駆動するために使用する制御用空気を生成する制御用空気圧縮機等がある。
伝達機構76は、複数の入力軸77a,77bと、複数の出力軸78a〜78dと、各入力軸77a,77bの回転で各出力軸78a〜78dを回転させる複数のギヤと、複数のクラッチと、を有する。クラッチは、複数の入力軸77a,77bのいずれか一の入力軸の回転力を一の出力軸にのみに伝え、他の出力軸には伝えない。伝達機構76の複数の入力軸77a,77bのうち、一の入力軸77aには、低沸点媒体タービン51のロータが接続され、他の入力軸77bには、補助電動機75のロータが接続されている。また、この伝達機構76の複数の出力軸78a〜78dのうち、一の出力軸78aには媒体タービン発電機73のロータが接続され、他の一の出力軸78bには補助圧縮機71のロータが接続され、さらに他の一の出力軸78cには中間媒体圧縮機66のロータが接続されている。さらに、残りの出力軸78dには、各種回転機械74のロータが接続されている。なお、出力軸78a〜78dに接続されている機器73,71,66,74も、回転機械である。
伝達機構76は、クラッチを備えているため、例えば、低沸点媒体タービン51の回転駆動力及び補助電動機75の回転駆動力を、複数の出力軸78a〜78dのうち一の出力軸78aに接続されている媒体タービン発電機73のみに伝えることが可能である。同様に、伝達機構76は、低沸点媒体タービン51の回転駆動力及び補助電動機75の回転駆動力を、複数の出力軸78a〜78dのそれぞれに接続されている機器のうち、一の機器のみに伝えることが可能である。また、この伝達機構76は、低沸点媒体タービン51の回転駆動力及び補助電動機75の回転駆動力を、複数の出力軸78a〜78dのそれぞれに接続されている機器のうち、複数の機器に伝えることも可能である。さらに、この伝達機構76は、低沸点媒体タービン51の回転駆動力と補助電動機75の回転駆動力とのうち、一方の回転駆動力のみを、複数の出力軸78a〜78dのそれぞれに接続されている機器のうち、1以上の機器に伝えることも可能である。
熱交換装置100は、図2に示すように、ファン101からの空気Aをこのファン101の送風方向Dbに流す流路を画定する枠105を備えている。この枠105は、鉛直方向に延びる角筒状を成し、上端及び下端が開口している。ファン101は、鉛直上向きが送風方向Dbの上流側になるよう、この枠105の下方に配置されている。よって、枠105は、ファン101に対して送風方向Dbの下流側に配置されている。
熱交換装置100の圧縮空気冷却器(第一熱交換器)110は、圧縮空気Caが内部を通る複数の圧縮空気管111と、抽気ライン41からの圧縮空気Caを複数の圧縮空気管111に送る圧縮空気入口ヘッダ(第一入口ヘッダ)115と、複数の圧縮空気管111を通った圧縮空気Caを冷却空気Cacとして冷却空気ライン42に送る圧縮空気出口ヘッダ(第一出口ヘッダ)116と、を有する。
熱交換装置100の燃料予熱器(第二熱交換器)120は、燃料Fが内部を通る複数の燃料管121と、燃料ライン43からの燃料Fを複数の燃料管121に送る燃料入口ヘッダ(第二入口ヘッダ)125と、複数の燃料管121を通った燃料Fを予熱燃料Fhとして予熱燃料ライン44に送る燃料出口ヘッダ(第二出口ヘッダ)126と、を有する。
熱交換装置100の蒸発器(第三熱交換器)130は、低沸点媒体LMが内部を通る複数の媒体管131と、液−低沸点媒体ライン55aからの低沸点媒体LMcを複数の媒体管131に送る媒体入口ヘッダ(第三入口ヘッダ)135と、複数の媒体管131を通った低沸点媒体LMを気−低沸点媒体ライン55bに送る媒体出口ヘッダ(第三出口ヘッダ)136と、を有する。
圧縮空気冷却器110の複数の圧縮空気管111、燃料予熱器120の複数の燃料管121、蒸発器130の複数の媒体管131は、いずれも、送風方向Dbと交差する交差方向Dcに延びている。この交差方向Dcは、本実施形態では水平方向である。また、圧縮空気冷却器110の複数の圧縮空気管111、燃料予熱器120の複数の燃料管121、蒸発器130の複数の媒体管131は、いずれも、枠105内に配置されて、枠105に固定されている。
圧縮空気冷却器110の複数の圧縮空気管111は、枠105の上流側の部分、言い換えると枠105の下部に配置されている。圧縮空気入口ヘッダ115は、枠105の外面であって、交差方向Dcの第一の側Dc1の外面に固定されている。また、圧縮空気出口ヘッダ116は、枠105の外面であって、交差方向Dcの第二の側Dc2の外面に固定されている。
燃料予熱器120の複数の燃料管121は、枠105内であって複数の圧縮空気管111の下流側の部分、言い換えると複数の圧縮空気管111の上側に配置されている。燃料入口ヘッダ125は、枠105の外面であって、交差方向Dcの第二の側Dc2の外面に固定されている。また、燃料出口ヘッダ126は、枠105の外面であって、交差方向Dcの第一の側Dc1の外面に固定されている。よって、燃料入口ヘッダ125は、枠105を基準にして圧縮空気入口ヘッダ115と反対側に設けられている。同様に、燃料出口ヘッダ126は、枠105を基準にして圧縮空気出口ヘッダ116と反対側に設けられている。
蒸発器130の複数の媒体管131は、枠105の最も下流側の部分、言い換えると枠105の上部に固定されている。媒体入口ヘッダ135は、枠105の外面であって、交差方向Dcの第二の側Dc2の外面に固定されている。また、媒体出口ヘッダ136は、枠105の外面であって、交差方向Dcの第一の側Dc1の外面に固定されている。よって、媒体入口ヘッダ135は、枠105を基準にして燃料入口ヘッダ125と同じ側に設けられている。同様に、媒体出口ヘッダ136は、枠105を基準にして燃料出口ヘッダ126とは同じ側に設けられている。
次に、以上で説明したプラントの動作について説明する。
ガスタービン圧縮機12は、大気Aを圧縮し、例えば、400℃程度の圧縮空気Caを生成する。この圧縮空気Caは、車室本体17から吐出車室18を経て、そのほとんどが燃焼器21に送られる。また、燃焼器21には、予熱燃料ライン44から予熱燃料Fhが供給される。燃焼器21内では、圧縮空気Ca中で予熱燃料Fhが燃焼して、高温高圧の燃焼ガスが生成される。この燃焼ガスは、タービン22に送られ、このタービンロータ23を回転させる。このタービンロータ23の回転で、ガスタービン発電機9は発電する。
タービンロータ23を回転させた燃焼ガスは、排気ガスEXとしてガスタービン10から排気され、煙道31を通って大気中に放出される。排熱回収ボイラー32は、煙道31を通る排気ガスEXと水とを熱交換させて、水を蒸気にする。この蒸気は、蒸気タービン33に供給され、蒸気タービン33を駆動する。蒸気タービン33を通過した蒸気は、復水器34で水に戻される。この水は、給水ポンプ35により排熱回収ボイラー32に供給され、再び、蒸気になる。
ガスタービン圧縮機12で生成された圧縮空気Caの一部は、吐出車室18から抽気されて、抽気ライン41を介して、熱交換装置100の圧縮空気冷却器110に送られる。熱交換装置100の圧縮空気冷却器110、燃料予熱器120及び蒸発器130には、ファン101からの空気Aが送風される(送風工程)。圧縮空気Caは、圧縮空気冷却器110の圧縮空気入口ヘッダ115を経て、複数の圧縮空気管111内に流入する。圧縮空気Caは、複数の圧縮空気管111内を通る過程で、ファン101から送られてくる空気Aと熱交換される(第一熱交換工程)。この結果、400℃程度の圧縮空気Caは、二百数十℃程度にまで冷却される一方で、ファン101からの空気Aは二百数十℃程度にまで加熱される。
複数の圧縮空気管111を通る過程で冷却された圧縮空気Caは、冷却空気Cacとして、圧縮空気出口ヘッダ116を経て、冷却空気ライン42に流入する。圧縮空気Caは、この冷却空気ライン42、さらに、タービン22のロータ軸部24及び動翼25aの冷却空気流路25bを経て、動翼25aに導かれる。動翼25aは、この冷却空気Cacにより冷却される。
熱交換装置100の燃料予熱器120には、燃料ライン43からの常温の燃料Fが送られる。燃料Fは、燃料予熱器120の燃料入口ヘッダ125を経て、複数の燃料管121内に流入する。燃料Fは、複数の燃料管121を通る過程で、ファン101から送られてくる空気Aであって、複数の圧縮空気管111の間を通って二百数十℃程度にまで加熱された空気Aと熱交換される(第二熱交換工程)。この結果、常温の燃料Fは200〜150℃程度まで加熱される一方で、空気Aは200〜150℃程度まで冷却される。
複数の燃料管121を通る過程で加熱された燃料Fは、予熱燃料Fhとして、燃料出口ヘッダ126を経て予熱燃料ライン44に流入する。予熱燃料Fhは、この予熱燃料ライン44を経て、燃焼器21に導かれる。この予熱燃料Fhは、前述したように、圧縮空気Ca中で燃焼する。このように本実施形態では、圧縮空気Caの冷却で得られた熱で、燃料Fを予熱するので、ガスタービン10の効率が高まり、この熱を有効利用することができる。
熱交換装置100の蒸発器130には、液−低沸点媒体ライン55aからの液体の低沸点媒体LMcが送られる。低沸点媒体LMcは、蒸発器130の媒体入口ヘッダ135を経て、複数の媒体管131内に流入する。低沸点媒体LMcは、複数の媒体管131を通る過程で、ファン101から送られてくる空気Aであって、複数の圧縮空気管111の間及び複数の燃料管121を通って200〜150℃程度になった空気Aと熱交換される(第三熱交換工程)。この結果、低沸点媒体LMcは、加熱されて蒸発する一方で、空気Aはさらに冷却される。
低沸点媒体LMcとの熱交換で冷却された空気Aは、枠105の上端開口から大気中に排気される。一方、複数の媒体管131を通る過程で加熱され、蒸発した低沸点媒体LMvは、蒸発器130の媒体出口ヘッダ136を経て、気−低沸点媒体ライン55bに流入する。この低沸点媒体LMvは、気−低沸点媒体ライン55bを経て、低沸点媒体タービン51に流入する。この結果、低沸点媒体タービン51が駆動する。低沸点媒体タービン51を駆動させた低沸点媒体LMvは、凝縮器52で凝縮された後、低沸点媒体ポンプ53で蒸発器130に送られる。
このように、本実施形態では、圧縮空気Caの冷却で得られた空気A中の熱で燃料Fを予熱した後、さらにこの空気Aの熱でランキンサイクル50の低沸点媒体LMcを加熱及び蒸発させ、蒸発した低沸点媒体LMvにより低沸点媒体タービン51を駆動させているので、圧縮空気Caの冷却で得られた空気A中の熱をより有効利用することができる。
ここで、高温の圧縮空気Caは、複数の圧縮空気管111内を第一の側Dc1から第二の側Dc2に向かって流れる。このため、この圧縮空気Caと熱交換した空気Aは、枠105内における第一の側Dc1の方が第二の側Dc2よりも加熱される。よって、この圧縮空気Caと熱交換した空気Aは、枠105内における第一の側Dc1の方が第二の側Dc2よりも高温になる。
常温の燃料Fは、複数の燃料管121内を第二の側Dc2から第一の側Dc1に向かって流れる。すなわち、燃料Fが燃料管121内を流れる方向は、圧縮空気Caが圧縮空気管111内を流れる方向とは逆向きである。このため、燃料Fは、枠105内における第二の側Dc2を通る空気Aで加熱された後、枠105内における第一の側Dc1を通る空気Aで加熱される。圧縮空気Caと熱交換した空気Aは、前述したように、枠105内における第一の側Dc1の方が第二の側Dc2よりも高温である。このため、燃料Fは、第二の側Dc2である程度加熱された後、より高い温度の空気Aが流れる第一の側Dc2でさらに加熱される。よって、燃料Fは、効果的に加熱される。一方、燃料Fと熱交換した空気Aは、第二の側Dc2で低い温度の燃料Fと熱交換するため、第二の側Dc2の方が第一の側Dc1よりも冷却される。よって、燃料Fと熱交換した空気Aは、枠105内における第一の側Dc1の方が第二の側Dc2よりも高温になる。
低沸点媒体LMは、複数の媒体管131内を第二の側Dc2から第一の側Dc1に向かって流れる。すなわち、低沸点媒体LMが媒体管131内を流れる方向は、燃料Fが燃料管121内を流れる方向と同じ向きである。このため、低沸点媒体LMは、枠105内における第二の側Dc2を通る空気Aで加熱された後、枠105内における第一の側Dc1を通る空気Aで加熱される。燃料Fと熱交換した空気Aは、前述したように、枠105内における第一の側Dc1の方が第二の側Dc2よりも高温である。このため、低沸点媒体LMは、第二の側Dc2である程度加熱された後、より高い温度の空気Aが流れる第一の側Dc2でさらに加熱される。よって、低沸点媒体LMは、効果的に加熱される。
このように、本実施形態では、燃料F及び低沸点媒体LMを効率的に加熱することができる。
また、本実施形態では、複数の圧縮空気管111、複数の燃料管121、及び複数の媒体管131が、いずれも送風方向Dbに垂直な交差方向Dcに延びているので、これらの管を枠105内に効率的に配置できる。よって、本実施形態では、熱交換装置100の小型化を図ることができる。
また、本実施形態では、ファン101による空気Aの送風方向Dbの下流側が鉛直上側である。このため、本実施形態では、圧縮空気Caとの熱交換で加熱された空気Aが軽くなって上昇しようとする方向が送風方向Dbの下流側になるので、送風方向Dbの空気Aの流速を高めることができる。よって、本実施形態では、燃料管121及び媒体管131での空気Aの熱交換の効率を高めることができる。
低沸点媒体タービン51と媒体タービン発電機73とが伝達機構76により機械的に接続されている場合、低沸点媒体タービン51のロータの回転で、媒体タービン発電機73のロータが回転し、この媒体タービン発電機73は発電する。このため、本実施形態では、ガスタービン発電機9による発電の他に、媒体タービン発電機73による発電を行うことができ、プラントからの発電出力を高めることができる。
また、低沸点媒体タービン51と吸気冷却系統60の中間媒体圧縮機66とが伝達機構76により機械的に接続されている場合、冷却中間媒体ライン69を流れる冷却中間媒体CMMが中間媒体圧縮機66で圧縮される。圧縮された冷却中間媒体CMMは、中間媒体凝縮器67で凝縮され、中間媒体膨張弁68で減圧された後、中間媒体蒸発器65に送られる。冷却中間媒体CMMは、この中間媒体蒸発器65で、冷却媒体CMと熱交換される。この結果、冷却中間媒体CMMは、加熱されて蒸発する一方で、冷却媒体CMは冷却される。蒸発した冷却中間媒体CMMは、中間媒体圧縮機66に送られ、ここで再び圧縮される。一方、冷却された冷却媒体CMは、冷却媒体ポンプ62により吸気冷却器61に送られる。この冷却媒体CMは、吸気ダクト11を通る大気Aと熱交換される。この結果、大気Aは冷却される一方で、冷却媒体CMは加熱される。加熱された冷却媒体CMは、再び中間媒体蒸発器65に送られ冷却される。一方、冷却された大気Aは、ガスタービン圧縮機12に吸い込まれる。
ガスタービン圧縮機12に吸い込まれる空気Aの質量流量は、この空気Aの温度が低いほど多くなる。よって、ガスタービン圧縮機12が吸い込む空気Aの温度が低いほど、タービン22を通過するガスの質量流量が多くなり、ガスタービン10の出力、すなわち、ガスタービン発電機9の発電出力を高めることができる。
ところで、大気Aの温度が高まる夏場では、前述の理由によりガスタービン発電機9の発電出力が低下する。一方で、夏場は、冬場に比べて一般的に電力需要が高まる。このため、大気Aの温度が高まる夏場に、低沸点媒体タービン51と吸気冷却系統60の中間媒体圧縮機66とを伝達機構76により機械的に接続して、ガスタービン圧縮機12が吸い込む大気Aを冷却することが好ましい。
低沸点媒体タービン51と補助圧縮機71とが伝達機構76により機械的に接続されている場合、低沸点媒体タービン51のロータの回転で、補助圧縮機71は、大気Aを吸い込んで、これを圧縮する。圧縮された大気Aは、圧縮空気Caとして、圧縮空気ライン72を介して、ガスタービン10の吐出車室18に送られる。この圧縮空気Caは、ガスタービン圧縮機12が生成した圧縮空気Caと共に燃焼器21に送られ、ここで燃焼用空気として利用される。よって、本実施形態では、タービン22を通過するガスの質量流量が多くなり、ガスタービン10の出力、すなわち、ガスタービン発電機9の発電出力を高めることができる。
各種回転機械74のうち、いずれかの回転機械74と低沸点媒体タービン51とが伝達機構76により機械的に接続されている場合、低沸点媒体タービン51のロータの回転で、この回転機械74が駆動する。回転機械74が、例えば、排熱回収装置30の給水ポンプ35である場合、この給水ポンプ35が駆動して、復水器34からの水を排熱回収ボイラー32に送ることができる。また、回転機械74が、例えば、ランキンサイクル50の低沸点媒体ポンプ53である場合、この低沸点媒体ポンプ53が駆動して、低沸点媒体ライン55内で低沸点媒体LMを循環させることができる。また、回転機械74が、例えば、吸気冷却系統60の冷却媒体ポンプ62である場合、この冷却媒体ポンプ62が駆動して、冷却中間媒体ライン69内で冷却中間媒体CMMを循環させることができる。また、当該プラントの各種制御弁を駆動するために使用する制御用空気を生成する制御用空気圧縮機である場合、この制御用空気圧縮機が駆動して、制御用空気が生成される。
本実施形態における各種回転機械74は、いずれも、安定駆動することが望まれる。一方、低沸点媒体タービン51の駆動は、各種回転機械74に求められる駆動安定性に比べて不安定である。これは、抽気ライン41から圧縮空気冷却器110に送られる圧縮空気Caの流量変動、燃料ライン43から燃料予熱器120に送られる燃料Fの流量変動、燃料Fの温度変動、ファン101から圧縮空気冷却器110に送られる空気Aの温度変動等に起因して、蒸発器130において低沸点媒体LMと空気Aと熱交換量が変化するためである。そこで、各種回転機械74を駆動させる場合には、補助電動機75を駆動させて、各種回転機械74を安定駆動させることが好ましい。なお、媒体タービン発電機73や、吸気冷却系統60の中間媒体圧縮機66や、補助圧縮機71を駆動させる場合にも、これらを安定駆動させるために、補助電動機75を駆動させてもよい。
「プラントの第二実施形態」
本発明に係るプラントの第二実施形態について、図3を用いて説明する。
本実施形態のプラントも、第一実施形態のプラントと同様、ガスタービン10と、排熱回収装置30と、高温部冷却系統40aと、吸気冷却系統60と、低沸点媒体ランキンサイクル50aと、補助圧縮機71と、媒体タービン発電機73と、各種回転機械74と、補助電動機75と、伝達機構76と、を備える。但し、本実施形態の高温部冷却系統40aにおける熱交換装置100a、及び低沸点媒体ランキンサイクル50aの構成が第一実施形態と異なる。
本実施形態の低沸点媒体ランキンサイクル50aは、凝縮している低沸点媒体LMcを加熱して蒸発させる蒸発装置56と、蒸発した低沸点媒体LMvで駆動する低沸点媒体タービン51と、低沸点媒体タービン51を駆動させた低沸点媒体LMvを冷却して凝縮させる凝縮器52と、凝縮した低沸点媒体LMcを蒸発装置56に戻す低沸点媒体ポンプ53と、これら接続する低沸点媒体ライン55と、を備える。蒸発装置56は低沸点媒体LMcと中間媒体MMとを熱交換させて、低沸点媒体LMcを加熱して蒸発させる蒸発器57と、中間媒体MMを加熱する中間熱交換器130aと、蒸発器57と中間熱交換器130aとを接続する中間媒体ライン58と、中間媒体ライン58内で中間媒体MMを循環させる中間媒体ポンプ59と、を有する。
本実施形態の熱交換装置100aは、大気Aを送風するファン101と、ファン101からの空気Aと圧縮空気Caとを熱交換させて圧縮空気Caを冷却する圧縮空気冷却器(第一熱交換器)110と、ファン101からの空気Aであって圧縮空気冷却器110を通過した空気Aと燃料Fとを熱交換させて燃料Fを加熱する燃料予熱器(第二熱交換器)120と、ファン101からの空気Aであって圧縮空気冷却器110を通過した空気Aと中間媒体MMとを熱交換させて中間媒体MMを加熱する中間熱交換器(第三熱交換器)130aと、を備える。この熱交換装置100aは、さらに、図2を用いて説明した第一実施形態の熱交換装置100と同様、枠105を備えている。すなわち、本実施形態の熱交換装置100aは、第一実施形態の熱交換装置100における蒸発器130の替りに、中間熱交換器130aを備える。この中間熱交換器130aは、第一実施形態の蒸発器130と同様に、中間媒体MMが内部を通る複数の媒体管と、中間媒体MMを複数の媒体管に送る媒体入口ヘッダ(第三入口ヘッダ)と、複数の媒体管を通った中間媒体MMが流入する媒体出口ヘッダ(第三出口ヘッダ)と、を有する。この中間熱交換器130aの媒体入口ヘッダは、第一実施形態の蒸発器130の媒体入口ヘッダ135と同様に、枠105を基準にして、第二の側Dc2に配置されている。
本実施形態の熱交換装置100aにおける中間熱交換器130aでは、熱交換装置100aのファン101から送られてくる空気Aであって、複数の圧縮空気管111の間及び複数の燃料管121(図2参照)の間を通ってきた空気Aと中間媒体MMとを熱交換させる。この結果、中間媒体MMは、加熱される一方で、空気Aは冷却される。よって、本実施形態の中間熱交換器130aでは、第一実施形態の熱交換装置100における蒸発器130で低沸点媒体LMが加熱されるのと同様に、中間媒体MMが加熱される。この中間熱交換器130aで加熱された中間媒体MMは、蒸発器57で低沸点媒体LMcと熱交換される。この結果、低沸点媒体LMcは、前述したように加熱されて蒸発する一方で、中間媒体MMは、冷却される。
すなわち、本実施形態では、ファン101からの空気Aと低沸点媒体LMとを、中間媒体MMを介して、間接的に熱交換させる。これにより、例えば、媒体管から媒体流体が漏れた場合でも、媒体流体がガスタービンの内部に流れ込むことを防止することができる。このため、媒体流体にペンタン等の可燃性流体を用いた場合でも、プラントの安全性を確保できる。
「プラントの第三実施形態」
本発明に係るプラントの第三実施形態について、図4を用いて説明する。
本実施形態のプラントは、第一実施形態のプラントと同様、ガスタービン10と、排熱回収装置30と、高温部冷却系統40bと、を備える。但し、本実施形態のプラントは、以上の各実施形態のプラントにおける、低沸点媒体ランキンサイクル50,50a、吸気冷却系統60、補助圧縮機71、媒体タービン発電機73、各種回転機械74等を備えていない。
本実施形態の高温部冷却系統40bも、以上の各実施形態における高温部冷却系統40,40aと同様に、熱交換装置100bを備える。
本実施形態の熱交換装置100bは、大気Aを送風するファン101と、ファン101からの空気Aと圧縮空気Caとを熱交換させて圧縮空気Caを冷却する圧縮空気冷却器(第一熱交換器)110と、ファン101からの空気Aであって圧縮空気冷却器110を通過した空気Aと燃料Fとを熱交換させて燃料Fを加熱する燃料予熱器(第二熱交換器)120と、ファン101からの空気Aであって圧縮空気冷却器110を通過した空気Aと水と熱交換させて水を加熱する給水予熱器(第三熱交換器)130bと、を備える。この熱交換装置100bは、さらに、図2を用いて説明した第一実施形態の熱交換装置100と同様、枠105を備えている。すなわち、本実施形態の熱交換装置100bは、第一実施形態の熱交換装置100における蒸発器130の替りに、給水予熱器130bを備える。この給水予熱器130bは、第一実施形態の蒸発器130と同様に、水が内部を通る複数の水管と、水を複数の水管に送る水入口ヘッダ(第三入口ヘッダ)と、複数の水管を通った水が流入する水出口ヘッダ(第三出口ヘッダ)と、を有する。この給水予熱器130bの媒体入口ヘッダは、第一実施形態の蒸発器130の媒体入口ヘッダ135と同様に、枠105を基準にして、第二の側Dc2に配置されている。
本実施形態のプラントは、さらに、排熱回収装置30の給水ライン36を流れる水の少なくも一部を給水予熱器130bに送る送りライン37と、給水予熱器130bで加熱された水を給水ライン36に戻す戻りライン38と、送りライン37を流れる水の流量を調節する調節弁37aと、戻りライン38を流れる水を給水ライン36に戻すためにこの水を圧送する予熱水圧送ポンプ38aと、を備える。
本実施形態の熱交換装置100bにおける給水予熱器130bでは、熱交換装置100bのファン101からの送られてくる空気Aであって、複数の圧縮空気管111の間及び複数の燃料管121を通ってきた空気Aと、送りライン37からの水とを熱交換させる。この結果、水は、加熱される一方で、空気Aは冷却される。よって、本実施形態の給水予熱器130bでは、第一実施形態の熱交換装置100における蒸発器130で低沸点媒体LMが加熱されるのと同様に、水が加熱される。この給水予熱器130bで加熱された水は、戻りライン38を介して給水ライン36に戻される。よって、排熱回収装置30の水循環ラインに対して加えられる熱量が増加する。従って、本実施形態では、排熱回収ボイラー32の蒸気タービン33の出力、つまり蒸気タービン発電機39の発電出力を高めることができる。
このように、本実施形態では、圧縮空気Caの冷却で得られた空気A中の熱で燃料Fを予熱した後、さらにこの空気Aの熱で、給水ライン36を流れる水の少なくとも一部を加熱させるので、圧縮空気Caの冷却で得られた空気A中の熱をより有効利用することができる。
以上のように、圧縮空気Caの冷却で得られた空気A中の熱で燃料Fを予熱した後、さらにこの空気Aの熱で第一実施形態及び第二実施形態のように、低沸点媒体LMを加熱してもよいが、プラント内外で利用する何らかの媒体を加熱してもよい。
また、以上の各実施形態では、ガスタービン10におけるタービン22の動翼25aを高温部とし、これを冷却空気Cacで冷却する。しかしながら、ガスタービン10中で燃焼ガスに接する高温部であれば、如何なる部分でもよい。例えば、ガスタービン10におけるタービン22の静翼29aを高温部とし、ここに冷却空気ライン42を接続して、これを冷却してもよい。また、ガスタービン10の燃焼器21を構成する部材の一部を高温部として、これを冷却してもよい。
「熱交換装置の第一変形例」
以上で説明した各実施形態における熱交換装置の第一変形例について、図5を用いて説明する。
本変形例の熱交換装置100cは、第一実施形態における熱交換装置100と同様に、ファン101と、枠105と、圧縮空気冷却器(第一熱交換器)110と、燃料予熱器(第二熱交換器)120cと、蒸発器(第三熱交換器)130cと、を備える。但し、本変形例の熱交換装置100cは、燃料予熱器120cを構成する複数の燃料管121c、燃料入口ヘッダ125c、燃料出口ヘッダ126cの配置が第一実施形態と異なる。さらに、本変形例の熱交換装置100cは、蒸発器130cを構成する複数の媒体管131c、媒体入口ヘッダ135c、媒体出口ヘッダ136cの配置が第一実施形態と異なる。
燃料予熱器120cの複数の燃料管121c、及び、蒸発器130cの複数の媒体管131cは、いずれも、第一実施形態と同様に、交差方向Dcに延びている。燃料予熱器120cの複数の燃料管121cと蒸発器130cの複数の媒体管131cは、枠105内において、水平方向であって交差方向Dcと垂直な横方向Ddに互いに並び、いずれも、複数の圧縮空気管111の下流側の部分に配置されている。言い換えると、複数の燃料管121cの全ては、枠105内で且つ複数の圧縮空気管111の一部の下流側に配置され、複数の媒体管131cの全ては、枠105内で且つ複数の圧縮空気管111の他の一部の下流側であって、横方向Ddで複数の燃料管121cと異なる位置に配置されている。よって、本変形例では、複数の圧縮空気管111の下流側には、複数の媒体管131cが介在することなく複数の燃料管121cが配置され、複数の燃料管121cが介在することなく複数の媒体管131cが配置されている。
また、本変形例では、燃料予熱器120cの燃料入口ヘッダ125c及び蒸発器130cの媒体入口ヘッダ135cが、いずれも、枠105の外面であって、交差方向Dcの第二の側Dc2の外面に固定されている。よって、燃料入口ヘッダ125c及び媒体入口ヘッダ135cは、いずれも、枠105を基準にして、圧縮空気入口ヘッダ115と反対側に設けられている。また、燃料予熱器120cの燃料出口ヘッダ126c及び蒸発器130cの媒体出口ヘッダ136cが、いずれも、枠105の外面であって、交差方向Dcの第一の側Dc1の外面に固定されている。よって、燃料出口ヘッダ126c及び媒体出口ヘッダ136cは、いずれも、枠105を基準にして、圧縮空気出口ヘッダ116と反対側に設けられている。
燃料Fは、複数の燃料管121cを通る過程で、ファン101から送られてくる空気Aであって、複数の圧縮空気管111の間を通って加熱され、複数の媒体管131cの間を通っていない空気Aと熱交換される。また、低沸点媒体LMは、複数の圧縮空気管111の間を通って加熱され、複数の燃料管121cの間を通っていない空気Aと熱交換される。この結果、燃料F及び低沸点媒体LMは加熱される一方で、複数の燃料管121cの間及び複数の媒体管131cの間を通った空気Aは冷却される。
本変形例でも、燃料管121c内の燃料Fの流れが、この上流側に配置される圧縮空気管111内の圧縮空気Caの流れに対する対向流になるので、燃料Fを効率的に加熱することができる。また、本変形例では、媒体管131c内の低沸点媒体LMの流れが、この上流側に配置される圧縮空気管111内の圧縮空気Caの流れに対する対向流になるので、低沸点媒体LMを効率的に加熱することができる。
本変形例では、前述したように、上記第一実施形態と異なり、低沸点媒体LMが複数の媒体管131cを通る過程で、ファン101から送られてくる空気Aであって、複数の圧縮空気管111の間を通って加熱され、複数の燃料管121cの間を通っていない空気Aと熱交換されて加熱される。このため、本変形例では、上記第一実施形態よりも、低沸点媒体LMを高温に加熱することができる。一方、本変形例では、枠105内の送風方向Dcに対して垂直な仮想断面中で、複数の燃料管121cが占める面積が上記第一実施形態よりも少なくなる。よって、本変形例では、ファン101から送られてくる空気Aと複数の燃料管121cを通る燃料Fとの熱交換量が、上記第一実施形態よりも少なくなる。このため、本変形例では、上記第一実施形態よりも、燃料Fの加熱温度が低くなる。
よって、本変形例の熱交換装置100cは、第一実施形態よりも燃料Fを低い温度にまでしか加熱しなくてもよい場合で、第一実施形態よりも低沸点媒体LMを高温に加熱したい場合に、適用することが好ましい。
なお、本変形例は、第一実施形態の熱交換装置100を変形したものであるが、第二実施形態及び第三実施形態の熱交換装置100a,100bに本変形例の構成を適用してもよい。すなわち、第二実施形態の熱交換装置100aにおける中間熱交換器130aや、第三実施形態の熱交換装置100bにおける給水予熱器130bを、本変形例の蒸発器130cのように配置してもよい。
「熱交換装置の第二変形例」
以上で説明した各実施形態における熱交換装置の第二変形例について、図6を用いて説明する。
本変形例の熱交換装置100dは、第一実施形態における熱交換装置100と同様に、ファン101と、枠105と、圧縮空気冷却器(第一熱交換器)110と、燃料予熱器(第二熱交換器)120dと、蒸発器(第三熱交換器)130dと、を備える。但し、本変形例の熱交換装置100dも、第一変形例の熱交換装置100cと同様、燃料予熱器120dを構成する複数の燃料管121d、燃料入口ヘッダ125d、燃料出口ヘッダ126dの配置が第一実施形態と異なる。さらに、本変形例の熱交換装置100dは、蒸発器130dを構成する複数の媒体管131d、媒体入口ヘッダ135d、媒体出口ヘッダ136dの配置が第一実施形態と異なる。
燃料予熱器120dの複数の燃料管121dは、第一実施形態と同様に、交差方向Dcに延びている。複数の燃料管121dの全ては、枠105内で且つ複数の圧縮空気管111の一部の下流側であって、水平方向で交差方向Dcと垂直な横方向Ddの一部の領域内に配置されている。この燃料予熱器120dの燃料入口ヘッダ125dは、第一実施形態及び第一変形例と同様に、枠105の外面であって、交差方向Dcの第二の側Dc2の外面に固定されている。よって、燃料入口ヘッダ125dは、枠105を基準にして、圧縮空気入口ヘッダ115と反対側に設けられている。また、この燃料予熱器120dの燃料出口ヘッダ126dは、第一実施形態及び第一変形例と同様に、枠105の外面であって、交差方向Dcの第一の側Dc1の外面に固定されている。よって、燃料出口ヘッダ126dは、枠105を基準にして、圧縮空気出口ヘッダ116と反対側に設けられている。
蒸発器130dの複数の媒体管131dのうち、一部の媒体管131dは、低沸点媒体LMが流入する一次媒体管131d1であり、残りの媒体管131dは、一次媒体管131d1を通過した低沸点媒体LMが流入する二次媒体管131d2である。一次媒体管131d1及び二次媒体管131d2は、いずれも、交差方向Dcに延びている。複数の一次媒体管131d1の全ては、枠105内で且つ複数の燃料管121dの下流側に配置されている。また、二次媒体管131d2の全ては、枠105内で且つ複数の圧縮空気管111の下流側であって、横方向Ddで複数の燃料管121dと異なる位置に配置されている。
蒸発器130dは、前述の複数の媒体管131dの他、低沸点媒体LMが流入して低沸点媒体LMを一次媒体管131d1に送る媒体入口ヘッダ(第三入口ヘッダ)135dと、一次媒体管131d1を通った低沸点媒体LMが流入して二次媒体管131d2に低沸点媒体LMを送る媒体中間ヘッダ(第三中間ヘッダ)137と、二次媒体管131d2を通った低沸点媒体LMが流入する媒体出口ヘッダ(第三出口ヘッダ)136dと、を有する。媒体入口ヘッダ135dは、枠105を基準にして、交差方向Dcの第一の側Dc1に配置されている。媒体中間ヘッダ137は、枠105を基準にして、第二の側Dc2に配置されている。媒体出口ヘッダ136dは、枠105を基準にして、第一の側Dc1に配置されている。よって、媒体入口ヘッダ135dは、枠105を基準にして、圧縮空気入口ヘッダ115と同じ側に設けられている。また、媒体出口ヘッダ136dは、枠105を基準にして、圧縮空気出口ヘッダ116と反対側に設けられている。
燃料Fは、複数の燃料管121dを通る過程で、ファン101から送られてくる空気Aであって、複数の圧縮空気管111の間を通って加熱された空気Aと熱交換される。この結果、燃料Fは加熱される一方で空気Aは冷却される。一次媒体管131d1を通る低沸点媒体LMは、複数の圧縮空気管111の間を通って加熱された後、複数の燃料管121dの間を通って冷却された空気Aと熱交換される。この結果、一次媒体管131d1を通った低沸点媒体LMは加熱される一方で、空気Aはさらに冷却される。また、一次媒体管131d1を通って加熱された低沸点媒体LMは、複数の圧縮空気管111の間を通って加熱され、複数の燃料管121dの間を通っていない空気Aと熱交換される。この結果、二次媒体管131d2を通った低沸点媒体LMはさらに加熱される一方で、空気Aは冷却される。
本変形例でも、燃料管121d内の燃料Fの流れが、この上流側に配置される圧縮空気管111内の圧縮空気Caの流れに対する対向流になるので、燃料Fを効率的に加熱することができる。また、本変形例では、二次媒体管131d2内の低沸点媒体LMの流れも、この上流側に配置されている圧縮空気管111内の圧縮空気Caの流れに対する対向流になるので、二次媒体管131d2内の低沸点媒体LMも効率的に加熱することができる。
本変形例では、前述したように、上記第一実施形態と異なり、低沸点媒体LMが一次媒体管131d1を通る過程で、ファン101からの送られてくる空気Aであって、複数の圧縮空気管111の間を通って加熱された後、複数の燃料管121dを通って冷却された空気Aで、加熱される。さらに、本変形例では、一次媒体管131d1を通って加熱された低沸点媒体LMが、二次媒体管131d2を通る過程で、ファン101から送られてくる空気Aであって、複数の圧縮空気管111の間を通って加熱され、複数の燃料管121dの間を通っていない空気Aと熱交換されて、さらに加熱される。このため、本変形例では、上記第一実施形態よりも、低沸点媒体LMを高温に加熱することができる。一方、本変形例では、枠105内の送風方向Dbに対して垂直な仮想断面中で、複数の燃料管121dが占める面積が上記第一実施形態よりも少なくなる。よって、本変形例では、第一変形例と同様、ファン101から送られてくる空気Aと複数の燃料管121dを通る燃料Fとの熱交換量が、上記第一実施形態よりも少なくなる。このため、本変形例では、上記第一実施形態よりも、燃料Fの加熱温度が低くなる。但し、本変形例では、枠105内の送風方向Dbに対して垂直な仮想断面中で、複数の燃料管121dが占める面積を第一変形例よりも多くすることが可能である。
よって、本変形例の熱交換装置100dは、第一実施形態よりも燃料Fを低い温度にまでしか加熱しなくてもよいが、第一変形例よりも燃料Fを高い温度にまで加熱したい場合で、第一実施形態よりも低沸点媒体LMを高温に加熱したい場合に、適用することが好ましい。
なお、本変形例は、第一実施形態の熱交換装置100を変形したものであるが、第二実施形態及び第三実施形態の熱交換装置100a,100bに適用してもよい。すなわち、第二実施形態の熱交換装置100aにおける中間熱交換器130aや、第三実施形態の熱交換装置100bにおける給水予熱器130bを、本変形例の蒸発器130dのように配置してもよい。また、以上の各実施形態及び変形例において、第三熱交換器である蒸発器、中間熱交換器又は給水予熱器の位置と、第二熱交換器である燃料予熱の位置とを入れ替えてもよい。