JP2016155663A - 合成繊維用巻き取り装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】パッケージ中央部の巻き溜まり、およびパッケージ端部の耳立ちが共になく、良好なパッケージフォームを有し、解舒安定性と品質に優れたパッケージを巻き取ることのできる合成繊維用巻き取り装置を提供する。【解決手段】糸条1を巻き取りボビン2の軸方向に往復案内させるトラバースガイド8を備えた合成繊維用巻き取り装置において、前記トラバースガイド8が糸条支持箇所を介して巻き取ることを特徴とする合成繊維用巻き取り装置によって達成される。【選択図】図1
Description
本発明は、合成繊維の巻き取り装置に関する。更に詳しくは合成繊維用巻き取り装置のトラバース装置に関するものである。
そして本願発明は、パッケージ中央部の巻き溜まりとパッケージ端面の耳立ちが共になく良好なパッケージフォームを有し、解舒安定性と品質に優れたパッケージが得られる合成繊維用巻き取り装置のトラバース装置に関するものである。
糸を巻き取る装置、方法に関しては様々な検討がなされてきている。例えば、特許文献1には、カム式のトラバース装置において、パッケージを形成するに際してカムローラと係合されたトラバースガイドに連結されたヤーンガイドの往復案内により糸条をトラバースさせるトラバース装置が開示されている。
また、特許文献2には、羽根トラバース装置において、トラバース軌跡の左右の折り返し点において、各トラバース羽根間で糸の受け渡しを行うことにより、糸条をトラバースさせるトラバース装置が開示されている。
特許文献3には、硬質粒子を含有する繊維を案内する繊維ガイドの耐摩耗性を改善し、その適用寿命を延ばす技術が開示されている。これは、繊維ガイドの寿命延長に関する技術であるので、繊維の毛羽改善には有効であるがパッケージフォームの改善に関与するものではない。
特許文献4には、モノフィラメントをクロス巻きで巻き取ってテーパエンドパッケージを形成できる技術が開示されている。この技術はテーパエンドパッケージの改善に関するものであり、パッケージ中央部の糸条の巻き溜まり、およびパッケージの耳立ち等のパッケージ不良に伴う、解舒時の糸切れの防止、および局所的な品質低下の改良に関する技術は何ら開示も記載もされていない。
上記の特許文献1〜4の技術では良好なパッケージフォームを維持しつつ、解舒性と品質に優れたパッケージを得ることができず、その技術の開発が待ち望まれていた。
本発明の目的は、上記の如く従来の問題を解決し、パッケージ中央部の巻き溜まりとパッケージ端面の耳立ちが共になく良好なパッケージフォームを有し、解舒安定性と品質に優れたパッケージが得られる合成繊維用巻き取り装置を提供することである。
本発明は、上記目的を達成せんとするものであって、本発明の合成繊維用巻き取り装置は以下の発明によって達成できる。
(1)糸条を巻き取りボビンの軸方向に往復案内させるトラバースガイドを備えた合成繊維用巻き取り装置において、前記トラバースガイドが糸条支持箇所を介して巻き取ることを特徴とする合成繊維用巻き取り装置。
(2)糸条支持箇所が2箇所以上であることを特徴とする(1)記載の合成繊維用巻き取り装置。
(3)糸条支持箇所が糸条走行方向に対して対称に配置されたものであることを特徴とする(2)記載の合成繊維用巻き取り装置。
(4)糸条支持箇所が、糸条走行方向から見てV字形状に配置されたガイド表面であることを特徴とする(1)〜(3)記載の少なくとも1項である合成繊維用巻き取り装置。
本発明の合成繊維用巻き取り装置はパッケージ中央部の巻き溜まりとパッケージ端面の耳立ちが共になく良好なパッケージフォームを有し、解舒安定性と品質に優れたパッケージが得られる。特に、細繊度で高強度、高モジュラス、低摩擦のマルチフィラメントおよびモノフィラメントに好適に採用できる。
一般的な糸条巻取方法としては、スピンドルを静置し、糸条をトラバースガイドで案内して往復トラバースさせるガイドトラバース方式、糸条の給糸位置を固定し、スピンドルを往復トラバースさせるボビントラバース方式がある。
本発明は、ガイドトラバース方式を採用しているが、糸条を案内するトラバースガイドが糸条支持箇所を介して巻き取ることを特徴としている。ここで述べる糸条支持箇所とは、糸条を特定位置に常時把持する箇所のことである。これは、トラバースの速度が低速、高速に関わらず、トラバースガイド内で糸条が移動することなく、特定の位置に支持し続けることで、パッケージ中央部においては巻き溜まりがなく、かつパッケージ端面では耳立ちのない理想的なパッケージフォームを形成することを可能とした合成繊維の巻き取り装置である。
以下、図を参照しつつ、本発明の一実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る合成繊維用巻き取り装置の概略図である。図1に示すように糸条1を巻き取る巻き取りボビン2と糸条1を綾振り支点ガイド4から巻き取るボビンの軸方向に糸条を往復案内させるトラバースガイド部3を備えている。図1において口金から合成繊維は紡糸され、冷却固化し、油剤を付与された後(図示せず)、適宜延伸された糸条1は綾振り支点ガイド4を通りトラバースガイド部3に導かれる。この綾振り支点ガイド4はトラバースガイド部3の上流側に位置しており、固定されていても、上下方向に移動してもかまわない。このトラバースガイド部3はトラバース駆動部5により往復案内することで糸条1を綾振り、スピンドルに装着された巻き取りボビン2に糸条1を巻き取り、パッケージ7を形成させるものである。なお、6はコンタクトロールであるが無くてもかまわない。ここで、トラバースガイド部3は図2、あるいは図3のような一対のトラバースガイド8を用いることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る合成繊維用巻き取り装置の概略図である。図1に示すように糸条1を巻き取る巻き取りボビン2と糸条1を綾振り支点ガイド4から巻き取るボビンの軸方向に糸条を往復案内させるトラバースガイド部3を備えている。図1において口金から合成繊維は紡糸され、冷却固化し、油剤を付与された後(図示せず)、適宜延伸された糸条1は綾振り支点ガイド4を通りトラバースガイド部3に導かれる。この綾振り支点ガイド4はトラバースガイド部3の上流側に位置しており、固定されていても、上下方向に移動してもかまわない。このトラバースガイド部3はトラバース駆動部5により往復案内することで糸条1を綾振り、スピンドルに装着された巻き取りボビン2に糸条1を巻き取り、パッケージ7を形成させるものである。なお、6はコンタクトロールであるが無くてもかまわない。ここで、トラバースガイド部3は図2、あるいは図3のような一対のトラバースガイド8を用いることができる。
図2は一対の断面形状が円状のガイドで構成されたトラバースガイド8であり、(a)は正面図である。また、図2(b)はトラバースガイド8の上面図である。図からも明らかなように糸条1はトラバースガイド部が備える前記一対のトラバースガイド8の各糸支持部9に導かれる。ここで述べる糸支持部9とは、糸条が走行する際に、糸条が接触するトラバースガイド表面部分のことである。そして、少なくとも2箇所の糸支持部9は糸条走行方向10に対して対称の関係で配置され、常時糸条に接触していることを特徴としている。これにより糸条1はトラバース速度が低速、高速に関わらず、また走行糸条の張力が低くとも、常に糸条1を巻き取りボビン2の軸方向に対して糸道を規制している。糸条1は巻き取りボビン2の軸方向に往復案内されるが糸条1は常にトラバースガイド表面9の両側面で規制されているので、パッケージ中央部およびパッケージ端面において、常にトラバースガイド8の動きに併せて移動するので巻き溜まり、かつ耳立ちを共に起こすことがなく、良好なパッケージフォームとして巻き続けることが可能となる。
図3(a)は一対の断面形状が円状のガイドの軸をV字としたトラバースガイド8の正面図である。図3(b)は同トラバースガイド8の上面図である。図3からも明らかなように、走行糸条はトラバースガイド表面がなすV字の最奥部に形成された各ガイドの表面に当接しているのである。そのため、糸条はトラバース速度が低速、高速に関わらず、常に糸条を支持し続けるので、巻き溜まり、および耳立ちを共に起こすことなく、良好なパッケージフォームで巻き続けることが可能となる。なお、図2、3は、断面形状が円状のガイドを示したが、糸に擦過を与えない範囲で、任意の断面形状としてもよい。
これらの理由を従来の巻き取り機である図4、図5、および図6を用いて詳細に説明する。
図4は従来のトラバースガイドの一例を示す。特許文献3の図2(C)、もしくは特許文献4の図3に示す如くのトラバースガイドはセラミック等の糸に擦過を与えず、摩耗の少ない材質に糸条が通るU溝を設けており一般的に糸条の太さよりも溝幅が大きいものである。図4(b)の11はU溝を示す。
トラバースガイド12のトラバース速度が十分に速い場合は、図5に示すように、糸条1が張力によって綾振支点ガイド4の直下、すなわち巻幅の中央に向かう速度よりもトラバースガイド12の速度が速いため、糸条1がトラバース端面からもう一方の端面に移動するにあたり、糸条はトラバースガイド12のA部に常時支持されながら移動する(図5の(a)および(b))。すなわち、U溝内で糸条の移動がないため、パッケージ中央部における巻き溜まりは発生しない。しかし、パッケージ端面すなわちトラバースの折り返し点においては、U溝内で糸条1がトラバースガイド12のA部からB部に移動するため、この瞬間は実質的にトラバースガイド12の動きに追従せず、パッケージ端面に糸条が多く巻かれることになる(図5の(c))。近年の合成繊維の巻き取り装置は、非常に高速で巻き取るため、極めてわずかな時間でも、パッケージ端面に多く巻き取られることによりパッケージ端面が局部的に膨らむ、すなわち耳立ちとなり、解舒時の糸切れを誘発し、更には局所的な品質異常となるのである。
図4は従来のトラバースガイドの一例を示す。特許文献3の図2(C)、もしくは特許文献4の図3に示す如くのトラバースガイドはセラミック等の糸に擦過を与えず、摩耗の少ない材質に糸条が通るU溝を設けており一般的に糸条の太さよりも溝幅が大きいものである。図4(b)の11はU溝を示す。
トラバースガイド12のトラバース速度が十分に速い場合は、図5に示すように、糸条1が張力によって綾振支点ガイド4の直下、すなわち巻幅の中央に向かう速度よりもトラバースガイド12の速度が速いため、糸条1がトラバース端面からもう一方の端面に移動するにあたり、糸条はトラバースガイド12のA部に常時支持されながら移動する(図5の(a)および(b))。すなわち、U溝内で糸条の移動がないため、パッケージ中央部における巻き溜まりは発生しない。しかし、パッケージ端面すなわちトラバースの折り返し点においては、U溝内で糸条1がトラバースガイド12のA部からB部に移動するため、この瞬間は実質的にトラバースガイド12の動きに追従せず、パッケージ端面に糸条が多く巻かれることになる(図5の(c))。近年の合成繊維の巻き取り装置は、非常に高速で巻き取るため、極めてわずかな時間でも、パッケージ端面に多く巻き取られることによりパッケージ端面が局部的に膨らむ、すなわち耳立ちとなり、解舒時の糸切れを誘発し、更には局所的な品質異常となるのである。
また、トラバースガイド12の速度が十分に遅い場合は、図6に示すように、糸条1が張力によって綾振支点ガイド4の直下、すなわち巻幅の中央に向かう速度よりもトラバースガイド12の速度が遅いため、糸条1がトラバース端面からもう一方の端面に移動するにあたり、パッケージ中央部で、糸条1はU溝内でB部からA部に移動する(図6の(a)および(b))。この瞬間は、糸条は実質的にトラバースガイド12の動きに追従しないため、パッケージ中央部に巻き溜まりが発生する。この巻き溜まりは耳立ちと同様に解舒時の糸切れを誘発し、更には局所的な品質異常となる。パッケージ端面すなわちトラバースの折り返し点においては、U溝内で糸条が、トラバースガイド12のA部から移動しないため、実質的にパッケージ端面に糸条が多く巻かれることは極めて少ない(図6の(c))。つまりは、前記二つの例で示すとおり、パッケージ中央部の巻き溜まりとパッケージ端面の耳立ちを同時に解消することが極めて困難なのである。
一方、本願発明の巻き取り装置は、トラバース全幅においてトラバースガイドの特定位置に常時糸条が支持されているので、U溝でみられたU溝内での糸条の移動がなくなり、パッケージ中央部での巻き溜まりとパッケージ端面の耳立ちを同時に解消することができるのである。
U溝のトラバースガイドが用いられている比較的高伸度かつ低強度のマルチフィラメントの巻き取り装置では、トラバースガイドの速度は、糸条が張力によって綾振支点ガイドの直下すなわち巻幅の中央に向かう速度よりも十分に速い速度で巻き取られるため、耳立ちが少なからず発生するが、実質的に解舒性と品質に悪影響を及ぼす程のものではない。しかし、例えば細繊度、高強度、高モジュラスかつ低摩擦のマルチフィラメントおよびモノフィラメントは、局部的なわずかな巻き溜まり、耳立ちにより、解舒性に悪影響を与える。また、巻き溜まりおよび耳立ちが発生している箇所はパッケージ外径が局部的に大きくなることにより、パッケージの表面速度が上がり、巻き取り張力が瞬間的に上がるため、糸条の収縮応力が局部的に上がるなど、品質にも大きな影響を与えるのである。
本発明の合成繊維用巻き取り装置は、トラバースガイドの速度に影響されることなく、パッケージ中央部の巻き溜まりとパッケージ端面の耳立ちが共になくパッケージフォームに優れ、解舒安定性と品質に優れたパッケージが得られる。なお本発明は、一般の合成繊維に広く適用が可能であり、糸条の形態も特定のモノフィラメント、マルチフィラメントに限定されるものではない。
1.糸条
2.巻き取りボビン
3.トラバースガイド部
4.綾振り支点ガイド
5.トラバース駆動部
6.コンタクトロール
7.パッケージ
8.トラバースガイド
9.糸支持部
10.糸条走行方向
11.U溝
12.トラバースガイド
A部.U溝の糸支持部
B部.U溝の糸支持部
2.巻き取りボビン
3.トラバースガイド部
4.綾振り支点ガイド
5.トラバース駆動部
6.コンタクトロール
7.パッケージ
8.トラバースガイド
9.糸支持部
10.糸条走行方向
11.U溝
12.トラバースガイド
A部.U溝の糸支持部
B部.U溝の糸支持部
Claims (4)
- 糸条を巻き取りボビンの軸方向に往復案内させるトラバースガイドを備えた合成繊維用巻き取り装置において、前記トラバースガイドが糸条支持箇所を介して巻き取ることを特徴とする合成繊維用巻き取り装置。
- 糸条支持箇所が2箇所以上であることを特徴とする請求項1記載の合成繊維用巻き取り装置。
- 糸条支持箇所が糸条走行方向に対して対称に配置されたものであることを特徴とする請求項2記載の合成繊維用巻き取り装置
- 糸条支持箇所が、糸条走行方向から見てV字形状に配置されたガイド表面であることを特徴とする請求項1から3記載の少なくとも1項である合成繊維用巻き取り装置。
Priority Applications (1)
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JP2015035244A JP2016155663A (ja) | 2015-02-25 | 2015-02-25 | 合成繊維用巻き取り装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2015035244A Pending JP2016155663A (ja) | 2015-02-25 | 2015-02-25 | 合成繊維用巻き取り装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106743996A (zh) * | 2017-03-22 | 2017-05-31 | 响水县晨丰纺织有限公司 | 一种棉纱绕线装置 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0728151U (ja) * | 1993-11-02 | 1995-05-23 | 村田機械株式会社 | トラバース装置 |
JP2011057426A (ja) * | 2009-09-14 | 2011-03-24 | Naoetsu Electronics Co Ltd | トラバース装置 |
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2015
- 2015-02-25 JP JP2015035244A patent/JP2016155663A/ja active Pending
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JPH0728151U (ja) * | 1993-11-02 | 1995-05-23 | 村田機械株式会社 | トラバース装置 |
JP2011057426A (ja) * | 2009-09-14 | 2011-03-24 | Naoetsu Electronics Co Ltd | トラバース装置 |
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