JP2016155171A - 金属プレート及びプレート式熱交換器 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い母材強度を有する金属プレートを提供する。金属プレートの板厚が薄くても、充分な耐圧性を有する積層プレート部品やプレート式熱交換器を提供する。
【解決手段】一方向に延びる複数の凹部及び凸部を交互に有する金属プレートであって、最小板厚tと最大板厚tとの比t/tが0.8以上であり、加工前の原板の平均板厚tが1.0mm以下である。前記最大板厚tと前記原板の平均板厚tとの比t/tが0.7以上であることが好ましい。前記凸部又は前記凹部を前記一方向と直交する方向で断面視したときの端部の半径Rが3.0mm以上であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属プレート及びプレート式熱交換器に関する。
熱交換器としては種々のタイプのものが存在するが、プレート式熱交換器は熱交換性能が極めて高いために、電気給湯機や産業用機器、或いは自動車の空調装置等に使用されている。
プレート式熱交換器は、積層したプレートにより熱交換媒体の通路、つまり高温媒体と低温媒体の通路を隣接して構成し、これら高温媒体の通路と低温媒体の通路に流す温度差を有する媒体が熱の授受により相互に熱交換作用を行うように構成されている。
例えば、特許文献1には、流路となる波形状が付与されたプレートの複数枚を積層させ、当該プレート同士を各種の接合方法(ガスケットとネジによる締結、溶接、ろう付け)で接合することにより、高温流路と低温流路が交互に存在する積層構造体を作製している。
また、熱交換器は、耐久性向上の観点から、素材の金属板として耐食性に優れたステンレス鋼板が用いられる。そして、小中型の熱交換器については、耐圧性を考慮して、ろう付けで接合されることが多い。
特開2010−85094号公報
ところで、プレート式熱交換器は、実使用環境に応じて気密性、耐圧性等の基準が設けられている。そして、耐圧性評価の際に生じる破断は、プレート同士の接合部及びプレートの母材部で発生することが知られている。プレート同士は、一般に、ガスケットとネジによる締結、溶接、ろう付け等によって接合される。ガスケットとネジによってプレート同士を締結する場合、接合部の強度は、締結力による密着強度に起因することが分かっている。また、溶接とろう付けによってプレート同士を締結する場合、接合部の強度は、熱履歴や雰囲気による溶着部の接合強度に起因することが分かっている。しかしながら、母材破断で生じる割れは、素材の引張り試験等から得られる母材強度から予測するに留まっており、現在のところ、明確な母材割れを判断する基準は存在していない。そして、同一の素材であっても、素材板厚と加工形状により所望の母材破断の圧力に到達しない場合もある。
近年、熱交換能の向上に加えて、熱交換器の軽量化やコンパクト化の要請も高まっている。そのため、金属プレートの板厚は、薄型化の傾向にあり、母材強度が低下することから、母材強度の高い金属プレートを提供することが強く求められている。
本発明は、このような問題点を解消するために案出されたものであり、高い母材強度を有する金属プレートを提供することを目的とする。また、本発明は、金属プレートの板厚が薄くても、充分な耐圧性を有する積層プレート部品やプレート式熱交換器を提供することを目的とする。
本発明者らは、表面に形成される凹凸において、特に凸部の最大板厚tと最小板厚tとの関係が母材強度に大きく影響し、最大板厚tと最小板厚tが一定の関係にある場合、金属プレートの板厚が薄くても、高い母材強度を確保することができ、充分な耐圧性を有する積層プレート部品やプレート式熱交換器を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下を提供する。
(1)本発明は、一方向に延びる複数の凹部及び凸部を交互に有する金属プレートであって、最小板厚tと最大板厚tとの比t/tが0.8以上であり、加工前の原板の平均板厚tが1.0mm以下である、金属プレートである。
(2)本発明は、前記最大板厚tと前記原板の平均板厚tとの比t/tが0.7以上である、上記(1)に記載の金属プレートである。
(3)本発明は、前記凸部又は前記凹部を前記一方向と直交する方向で断面視したときの端部の半径Rが3.0mm以上である、上記(1)又は(2)に記載の金属プレートである。
(4)本発明は、前記凸部及び前記凹部を前記一方向で断面視したときの前記凸部の底部又は前記凹部の頂部の半径Rと、前記tとの比R/tが2以上5以下であり、前記凸部及び前記凹部からなる凹凸の高さをhとし、前記凸部とそれに隣接する前記凸部との間の波幅又は前記凹部とそれに隣接する前記凹部との間の波幅をWとするとき、前記hと前記Wとの比h/Wが0.1以上0.4以下である、上記(1)から(3)いずれかに記載の金属プレートである。
(5)本発明は、鋼、チタン、アルミニウムまたはこれらの合金から選択される金属からなる、上記(1)から(4)のいずれかに記載の金属プレートである。
(6)本発明は、前記金属がフェライト系ステンレス鋼である、上記(5)に記載の金属プレートである。
(7)本発明は、プレート式熱交換器に用いられる、上記(1)から(6)のいずれかに記載の金属プレートである。
(8)本発明は、上記(1)から(7)のいずれかに記載の金属プレートが積層されてなる積層プレート部品である。
(9)本発明は、上記(8)に記載の積層プレート部品により形成されたプレート式熱交換器である。
本発明によると、金属プレートが高い母材強度を有するため、その板厚が薄くても、充分な耐圧性を有する金属プレート部品を提供できる。高い圧力下での使用に適した積層プレート部品やプレート式熱交換器を提供できる。
本発明に係る金属プレート10の凹凸形状を示す模式図である。 複数工程でプレス成形したときのプレス成形体の凹凸形状を示す模式図である。 凹凸形状の線長計算方法を示す説明図である。 凹凸形状の線長計算方法を示す説明図である。 プレスモーションを説明するための図である。 本発明に係るプレート式熱交換器1の一例を示す模式図である。 試験例に係るプレス成形体の模式図である。 図7のA−A断面図であり、凸部の頂部の半径Rを説明するための図である。 図7の領域Bの拡大図であり、凸部又は凹部を一方向に直交する方向で断面視したときの端部の半径Rを説明するための図である。 長辺部及び短辺部を目視で観察したときの評価基準を説明するための図である。 試験例1において、Rと凹凸の高さhとの関係、及び長辺部を目視で観察したときの結果を示す図である。 試験例1において、Rとhとの関係、及び短辺部を目視で観察したときの結果を示す図である。 試験例1において、凹凸の波幅Wと凹凸の高さhとの関係、及び長辺部を目視で観察したときの結果を示す図である。 試験例1において、Wとhとの関係、及び短辺部を目視で観察したときの結果を示す図である。 試験例2において、Rとhとの関係を示す図である。 試験例3において、R/t(tは原板の平均板厚)と線長増加率εとの関係を示す図である。 試験例3において、W/tと線長増加率εとの関係を示す図である。 線長増加率εを求める式(7)のパラメータを説明するための図である。 線長増加率εを求めるための検量線を示す図である。 試験例4において、Rとhとの関係、及び長辺部を目視で観察したときの結果を示す図である。 試験例に係る予備プレス成形体の模式図である。 1回目のプレス(予備プレス)及び2回目のプレス(本プレス)での凹凸の線長を説明するための図である。 各種プレスモーションの条件を説明するための図である。 試験例に係る本プレス成形体の模式図である。 試験例5において、予備プレス体の評価結果を示す図である。 試験例5において、本プレス体の評価結果を示す図である。 試験例6において、本プレス成形体の板厚減少率の測定位置を説明するための図である。 試験例6−1〜6−3に係る本プレス成形体の板厚減少率を示す図である。 試験例6−3において、予備プレス成形体の板厚減少率の測定位置を説明するための図である。 試験例6−3に係る予備プレス成形体及び本プレス成形体の板厚減少率を示す図である。
以下、本発明の実施形態を説明するが、これらが本発明を限定するものではない。
<金属プレート>
図1は、本発明に係る金属プレート10に形成された凹凸形状を示す模式図である。金属プレート10は、ほぼ平板状の原板(ブランク)をプレス加工等で成形加工することによって、成形加工前の原板位置を基準にして、その上下で波状の凹凸が一方向に連続的に延びる形状を有している。複数の凹部及び凸部の形状は、互いに同一形状とすることができる。同一形状であると、金属プレート10を均一な凹凸状で均一な強度とすることができる点、また、用途によっては熱交換性や外観の点で好ましい。本明細書では、当該凹凸について、金属プレートの断面において中心線13から下に凸の領域を「凹部」といい、上に凸の領域を「凸部」という。中心線13は、プレス成形前の原板のほぼ中央位置に相当する。図1に示すように、金属プレート10は、凹部11a,11b,・・・(以下、「凹部11」と総称する。)と凸部12a,12b,・・・(以下、「凸部12」と総称する。)が波状に交互に形成されている。
金属プレート1において、加工前の原板の平均板厚tは、1.0mm以下であり、0.7mm以下であることが好ましく、0.4mm以下であることがより好ましい。平均板厚tが厚すぎると、加工性が低下し、また、熱交換器等の製品の軽量化、コンパクト化の要請を十分に満足できない可能性があるため、好ましくない。
本明細書では、原板の平均板厚tは、マイクロメーターで任意5点を平均化して求めたものとする。
凹部11又は凸部12の最大板厚をtとし、凹部11又は凸部12の最小板厚をtとするとき、t/tが0.8以上であることが好ましく、0.85以上であることがより好ましい。t/tが0.8未満であると、プレス加工によって原板を凹凸状に成形し、波状の凹部11及び凸部12を形成する際、当該凹部11又は凸部12の一部において板厚が均等でなく、板厚減少が相対的に大きい領域が存在し、それゆえに凹部11の底部、凸部12の頂部、凹部11又は凸部の側壁等で加工割れが生じ得るため、好ましくない。
本明細書では、凹部11又は凸部12の最大板厚t及び最小板厚tは、図27に示すように、凹部11及び凸部12を複数に分割し、測定部近傍をワイヤー加工により切断し、複数に分割した各々の箇所の断面部分を撮影後、測長計で測定することによって求めたものである。また、この板厚測定は、凹部11の底部及び凸部12の頂部において各々3ヶ所ずつと、凹部11と凸部12の境目となる変曲点付近の側壁において1ヶ所を選定して行われたものとする。
また、必須の態様ではないが、凹部11又は凸部12の最小板厚tと原板の平均板厚tとの比t/tは、0.7以上であることが好ましく、0.73以上がより好ましい。t/tが小さすぎると、プレス加工によって凹部11又は凸部12を形成する際、凹部11又は凸部12の一部において、過度に板厚減少の大きい領域が存在し、それゆえに凹部11又は凸部12で加工割れが生じ得る。
また、図1に示すように、凹部11又は凸部12は、一方向に凹凸が連続した曲面を呈している。これらの凹部11又は凸部12を当該一方向と直交する方向で断面視したときは、凹部11又は凸部12の端部には、半径Rの曲線形状が形成されている。後記する実施例に記載した図7、図9に示すように、当該Rを有する端部の断面は、短辺部の断面に相当するから、当該Rを、以下、「短辺部半径」ということもある。Rが3.0mm以上であると、Rの大きさに関わらず、十分な張出し加工性を得られるため、好ましい。
また、凹部11又は凸部12を前記一方向で断面視したとき、凹部11又は凸部12における頂部すなわち波先端部には、半径Rの曲線形状が形成されている。後記する実施例に記載した図7、図8に示すように、当該Rを有する波先端部の断面は、長辺部の断面に相当するから、当該Rを、以下、「長辺部半径」ということもある。Rと平均板厚tとの比R/tは、2以上5以下であることが好ましい。より好ましくは、2.5以上であり、さらに好ましくは、3.5以上である。R/tが小さすぎると、板厚と比べて凹凸に成形する程度が大きくなり、加工割れや変形量が不均一になる恐れがある。また、R/tが大きすぎると、所定の凹凸形状及び凹凸高さを得ることができない。
本明細書では、R及びRは、接触式輪郭形状測定器(ミツトヨ社製、型番:CONTRACER CV−2000)で測定するものとする。
図1、図2に示すように、凹部11と凸部12における凹凸の高さhは、金属プレートの表面からの距離であって、凹部11(例えば、凹部11a)の底とそれに隣接する凸部12(例えば、凸部12b)の頂とを高さ方向でみた距離に相当するものである。また、凹部11(例えば、凹部11a)とそれに隣接する凹部11(例えば、凹部11b)との波幅W又は凸部12(例えば、凸部12a)とそれに隣接する凸部12(例えば、凸部12b)との波幅Wは、凹部11の底とそれに隣接する凹部11の底との距離又は凸部12の頂とそれに隣接する凸部12の頂との距離に相当するものである。凹凸の高さh及び波幅Wを上記のように定めるとき、両者の比であるh/Wは、0.1以上0.4以下であることが好ましく、0.15以上0.3以下であることがより好ましい。h/Wが小さすぎると、凹凸の高さhを十分な大きさで成形することができず、所定形状の成形加工品を作製することが困難である。また、h/Wが大きすぎると、加工による変形量が過大となり、金属プレートにネッキングや割れが生じ得る。
図1、図2に示すように、凹部11の高さh、凸部12の高さhは、凹部11の底あるいは凸部12の頂から金属プレートの中心線13までの距離に相当する。hとhは、互いに等しくh=hの関係にすることができる。また、凹部11の波幅W、凸部12の波幅Wは、凹部11と凸部12の境目となる変曲点付近から水平方向でみた距離に相当する。WとWは、互いに等しくW=Wの関係にあることができる。このような互いに等しい関係にあると、金属プレート10を均一な凹凸状で均一な強度とすることができる点、また、用途によっては熱交換性や外観の点で好ましい。
金属プレートの材質は、特に限定されるものでないが、高い母材強度を有し、金属プレートの板厚が薄くても、充分な耐圧性を有する点で、鋼、チタン、アルミニウムまたはこれらの合金から選択される金属材料が好ましい。特に、耐食性に優れるステンレス鋼が好ましい。
JIS等で規定される組成を有するステンレス鋼を使用できる。フェライト系(α系)ステンレス鋼、オーステナイト系(γ系)ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、あるいは2相系ステンレス鋼を用いることができる。例えば、金属プレートの凹凸の高さhを大きくする場合には、オーステナイト系(γ系)ステンレス鋼が好ましく、コスト的には、フェライト単相系(α系)ステンレス鋼が好ましい。
そして、本発明に係る金属プレートは、軽量化、コンパクト化、熱交換性能などに関して良好な特性を有するので、プレート式熱交換器等の熱交換器に用いることが好ましい。また、複数枚を重ねて積層プレート部品として使用することが好ましい。金属プレート同士は、溶接や拡散接合、かしめ又はボルト締結等の固定手段を用いて接合することができる。この積層プレート部品を用いてプレート式熱交換器を適用することが好ましい。
<金属プレートの製造方法>
以下、金属プレートの好適な製造方法について説明する。
必須の態様ではないが、上記の金属プレートを実現するための手法の一例として、平均板厚tが1.0mm以下である原板を複数回に分けてプレス成形して凹凸状に形成する方法が挙げられる。予備プレス及び本プレスを含む複数工程のプレス成形により、原板10’、10’’に凹部及び凸部からなる凹凸加工部が形成され、当該凹凸加工部に繰り返してプレス加工が施される。このようなプレス加工では、当該凹凸加工部を断面視したときの水平方向における全体の線長を維持しながら、凹部及び凸部の個数を増加させて成形することができる。ここで、上記の「線長」は、金属プレートの凹凸形状に沿った長さ(周長)を意味している。
例えば、図2に示すように、予備プレスと本プレスの2回に分けて、原板10’を2工程でプレス成形する場合は、本プレス成形によりプレス成形体の凹凸の個数が増加する。1回目(第1工程)の予備プレス工程で形成されるプレス成形体の第1凸部12’(12a’、12b’、・・・)及び第1凹部11’(11a’、11b’、・・・)の個数の総計をNとし、第1凸部12’及び第1凹部11’の1個当たりの長さ(線長)をLとし、2回目(第2工程)の本プレス工程で形成されるプレス成形体の第2凸部12’’(12a’’、12b’’、・・・)及び第2凹部11’’(11a’’、11b’’、・・・)の個数の総計をNとし、第2凸部12’’及び第2凹部11’’の1個あたりの長さ(線長)をLとするとき、L×N=L×Nになるようにプレス成形することが好ましい。凸部及び凹部は、ほぼ同じ形状と大きさとなるように形成すると、1個当たりの線長L、Lは、凹凸加工部の全長に亘って同じ長さになるので好ましい。
図2は、L×4=L×21となるように成形した例である。すなわち、予備プレス工程の第1凸部12a’は、本プレス工程のプレス成形により、12a’’、11a’’、12b’’の3個の凹凸となるように形成されたので、第1凸部12a’の長さLは、本プレス工程の第2凸部の3個分の長さに相当する。予備プレス工程における凸部及び凹部の個数の総計(N)が7個であり、凸部及び凹部の1個当たり長さがLである。本プレス工程における凸部及び凹部の個数の総計(N)が21個であり、1個当たり長さがLである。これらの関係は、L×7=3L×7=L×21と示される。
さらに、原板をn回に分けてプレス成形する場合は、n回目(第n工程)のプレス成形により形成されるプレス成形体の第n凸部及び第n凹部(図示は省略する)の個数の総計をNとし、第n凸部の1個あたりの長さをLとするとき、上記の2工程によるプレス成形と同様に、L×N=L×N=L×Nになるように原板をプレス成形することが好ましい。
上記のL×N=L×N=L×Nの成形条件は、プレス成形体の凹凸加工部の水平方向における全体の線長の範囲内で、複数回のプレス成形を繰り返すことにより実現できる。第1工程のプレス成形による全体の線長、第2工程のプレス成形による全体の線長、第n工程のプレス成形による全体の線長が、互いにほぼ等しい状態で、プレス成形が繰り返されて、その都度、プレス成形体における凸部及び凹部の個数が増加し、加工高さhが小さくなる。そのため、凹凸の高さhが順次小さくなるように成形すればよい。
また、プレス成形体において、第1凸部12’の頂部(または第1凹部11’の底部)の曲率半径をRL1とし、第2凸部12’’の頂部(または第2凹部11’’の底部)の曲率半径をRL2とし、第n凸部の頂部の曲率半径をRLnとするとき、RL1>RL2>RLnになるように原板をプレス成形することが好ましい。金属プレートの表面積を大きくするために凹凸部の曲率半径をできるだけ小さくすることが好ましい。しかしながら、1回目のプレス成形で目標とする曲率半径に合わせようとすると、プレス条件によっては、凸部12または凹部11の一部において板厚の減少が大きい領域が生じ得る。そのため、原板の平均板厚tが1.0mm以下と薄い場合には、凸部12または凹部11での割れを防止するため、プレス成形を複数回に分けて、凸部12または凹部11の曲率半径を段階的に縮減することが好ましい。
本発明に係るプレス成形には、複数の凸型部凹型部が所定間隔で配置された構造を有する金型を使用できる。例えば、図2に示すように、プレス成形体に形成される凹部11、凸部12の形状に合わせて、複数の凸型部が突設して並んでおり、隣接する凸型部の間には凹型部が並んでいる。このような形状の2つの金型を上型と下型として組み合わせて、両方の金型の間に原板を配置した後、プレス成形が行われる。金型の凸型部が凹型部に入り込むことで、原板が凹凸状に成形され、所定形状のプレス成形体が得られる。凸型部の高さは、プレス成形体の凹凸加工部の高さに応じて設定されるが、凹部及び凸部の高さよりも2倍以上の高さが好ましい。また、凸型部と凹型部に入り込む際に、原板の厚さ程度のクリアランスを必要とするから、凸型部の幅は、凹型部の幅よりも小さい。図2は、下型の凸型部が上型の凸型部より1個多い態様を示しているが、上型の凸型部が1個多い態様も可能である。
原板の配置は、特に限定されるものでないが、凸部12の頂部及び凹部11の底部での板厚減少量が少なくするため、凸部12及び凹部11の長手方向と原板の圧延方向とが直角になるように原板を配置することが好ましい。
図3及び図4は、凹凸形状の線長計算方法を示す説明図である。図3に示すとおり、凹凸部の線長は、凹部の1/2形状と凸部の1/2形状とを足した形状を基準として算出することができる。なお、上記図2に示す線長L、Lとは、凹凸における位置が異なっているが、実質的な長さは変わらないものである。
図3において凹凸部の線長Lは、原板の厚み方向における中心を繋ぐ中立軸であり、L、L、Lの合計として求められる。αは波角度である。また、肩半径R、Rが大きくなるとその弧の長さL、Lも長くなり、線長Lの直線部Lの長さが短くなり、直線部Lはなくなる場合がある。
、L、Lの個々の算出式は、以下の式(1)〜(3)のとおり表される。
=(R+0.5t)α 式(1)
=(R+0.5t)α 式(2)
線長Lは、L、L、Lの合計であることから、以下の式(4)で表される。
図4は、プレス工程の第1工程又は第2工程の際の、一方向に延びる複数の凹部及び凸部の線長の求め方を示す。一方向に延びる複数の凹部及び凸部の線長LT1、LT2は以下の式(5)、(6)で表される。なお、凹凸形状は対称形状である。
潤滑油の粘度は、特に限定されるものでないが、凹部11の底部及び凸部12の頂部での板厚減少量を少なくするため、潤滑油の40℃における動粘性係数は、50mm/s以上であることが好ましく、100mm/s以上であることが好ましく、500mm/s以上であることが特に好ましい。潤滑油の動粘性係数が低すぎると、プレス成形の際、凸部12の頂部及び凹部11の底部における板厚が大きく減少し、t/tの値が本発明の範囲から外れる可能性がある。
また、動粘性係数の上限は、特に限定されないが、プレス成形の作業性を考慮すると、動粘性係数は、750mm/s以下であることが好ましく、600mm/s以下であることがより好ましい。
プレスモーションは特に限定されるものでない。図5は、プレスモーションの一例を示す。プレスモーションとして、リンクモーション、ソフトタッチモーション、バンピングモーションが挙げられる。リンクモーションとは、加工開始位置から下死点までにスライド速度が1/2程度まで減速するプレス成形をいい、一般的なメカプレスのモーションよりも歪速度や慣性力が低減されることが特徴である。ソフトタッチモーションとは、加工開始位置から下死点までにスライドが等速度かつ低速であるプレス成形をいい、リンクモーションよりも歪速度や慣性力が低減されることが特徴である。バンピングモーションとは、加工開始位置からスライドが複数回の上下動しながら降下していくプレス成形をいい、潤滑油の再導入効果や歪分散効果に優れることが特徴である。本発明では、凸部の頂部及び凹部の底部での板厚減少を最小限に抑えられ得る点で、プレスモーションとしてバンピングモーションを採用することが好ましい。
バンピングモーションにおいて、加工開始位置からスライドが上方向(プレス成形体から離れる方向)に動く回数C及び下方向(プレス成形体を押圧する方向)に動く回数Cがいずれも4以上の偶数であることが好ましい。図5に示すように、バンピングモーションの上下動しながら降下する過程においても、プレス機のスライドは、上死点から動作を開始し、下死点を介して上死点に戻るというサイクル動作を続ける。C及びCの合計回数が奇数回であるときは、スライドが「下死点で止まる」または「下死点から始まる」ことを意味するから、プレス成形体の配置及び移送を行うことができない。そのため、C及びCの合計回数が偶数回であることが好ましい。また、C及びCが少なすぎると、プレス加工の工程数を十分に確保できないため、金属プレート10の凸部12の頂部及び凹部11の底部における板厚減少の程度を小さくすることができない。
<プレート式熱交換器>
図6の(a)、(b)は、本発明に係るプレート式熱交換器1の一例を示す模式図である。プレート式熱交換器1は、複数の金属プレート10が積層された構造である。金属プレート10は、固定フレーム2と可動フレーム3との間に挟まれ、ガイドバー4及び上部キャリングバー(図示省略)で支持される。そして、全体を支柱(図示省略)に取り付け、締付けボルト(図示省略)で締め付けている。
固定フレーム2には、高温側流体を循環させる配管が差し込まれる接続口8a,8b、及び低温側流体を循環させる配管が差し込まれる接続口9a,9bが形成されている。金属プレート10にも高温側流体及び低温側流体が通過する開口部が設けられている。金属プレート10には波形や半球状の凹凸が成形されており、図6(b)に示すように、重ね合わせた金属プレート10の相互間隙を一枚おきに高温側流体及び低温側流体が交互に流れるような流路が形成される。これにより、個々の金属プレート10を介して高温側流体と低温側流体との間で熱交換される。
図6では、隣り合う金属プレート10がボルト締結により接合されている場合について説明したが、接合の態様はこれに限られるものではない。例えば、隣り合う金属プレート10は、溶接、拡散接合、ろう付け、かしめ等によって接合されていてもよい。中でも、耐圧性や耐リーク性である点で、隣り合う金属プレート10は、接合部の欠陥や強度面からろう付けによって接合されることが好ましい。
また、ステンレス鋼には、耐食性及び加工性の低下原因となるフリーC、Nをトラップする目的で、Ti、Nbを添加して、耐食性及び耐食性を向上させた鋼種が使用されている。Tiは、ろう付け性の阻害要因になることから、Nbを添加したSUS430J1Lは、Ti添加やTi+Nb複合添加した他のフェライト系ステンレス鋼と比べて、ろう付け性に優れており、ろう付け接合する鋼種として好ましい。
以下、本発明を実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
<試験例1> 母材材料の比較
〔試験例1−1〕
[試験方法]
原板として、表1に示す成分組成と表2に示す機械的性質を有する各種ステンレス鋼板を使用した。3つ以上の複数サンプルについて、下記の条件で所定形状のプレス成形体となるようにプレス成形を行い、図7に示すプレス成形体を得た。なお、「凹部の底部」及び「凸部の頂部」を合わせて、以下「凹凸先端」ということもある。また、「凸部と隣接する凸部との間の波幅」及び「凹部と隣接する凹部との間の波幅」を合わせて、以下「凹凸の波幅」ということもある。
(プレス条件)
装置:80tonサーボプレス(リンクモーション)
加工速度:10(spm)
潤滑条件:プレス油MB−13NR(40℃での動粘度:1.60mm/s、アクア化学社製)
凹凸先端の半径:長辺部半径R=1.0mm,1.2mm,1.4mmの3種類、短辺部半径R=5.0mm、長辺部半径Rは、図8に示すとおりであり、短辺部半径Rは、図9に示すとおりである。
凹凸の波幅W:7.0mm
凹凸の高さh:1.5mm〜3.0mmの任意の高さ
板押え寸法:180mm×180mm(四角ビード付き)
ブランクの寸法:120mm
ブランクの方向:長辺長手方向と圧延方向とが平行
板押え力:5ton
[評価]
各々のサンプルについて、プレス成形体の凹凸の高さhを実測するとともに、長辺部及び短辺部の状態を目視で観察した。原板をプレス成形した際の張り出し加工性について、図10に示すように、ネッキングや割れが認められなかった場合を、張り出し加工性が良好であるとして「○」、ネッキングが認められたが、程度が小さかった場合を「△」、ネッキングが認められ、かつ、程度が大きかった場合を「黒塗り△」、割れが認められた場合を「×」で表示した。長辺部に関する結果を図11に示し、短辺部に関する結果を図12に示す。
図11及び図12に示すように、いずれのSUS鋼種においても、プレス成形体の凹凸先端(凹部の底部及び凸部の頂部)の長辺部半径Rが大きいほど、プレス成形体の凹凸の高さhを高くすることができた。このことから、凹凸先端の長辺部半径Rが大きいほど、原板をプレス成形する際の張出し加工性に優れていた。
原板Bは、その実測板厚が0.26mmと薄いが、図11、図12に示すように、プレス成形体の凹凸の高さhを2.5mmのように大きな形状に加工することができた。熱交換器用の金属プレートに適用すれば、熱交換能と軽量化の両方を満足させることができる。
また。原板Aの結果と原板Bの結果とを対比すると、原板A(実測板厚0.37mm)は、原板B(実測板厚0.26mm)よりも凹凸の高さhを高くすることができた。このことから、原板は、板厚が大きいほど、凹凸の高さhを高くすることができるから、プレス成形する際の張出し加工性の点で好ましい。
次に、原板A、Cの結果と原板Dの結果とを対比すると、原板A、Cのオーステナイト系(γ系)ステンレス鋼は、原板Dのフェライト系(α系)ステンレス鋼に比べて、凹凸の高さhを高くすることができた。このことから、オーステナイト系ステンレス鋼は、プレス成形する際の張出し加工性の点で好ましい。
〔試験例1−2〕
[試験方法]
凹凸先端の長辺部半径Rを1.2mmに固定し、凹凸の波幅Wを7.0mmと8.0mmの2種類にしたこと以外は、試験例1−1と同様の手法にてプレス成形体を得た。
[評価]
試験例1−1と同様に、各々のサンプルについて、凹凸の高さhを実測するとともに、長辺部及び短辺部の状態を目視で観察した。長辺部に関する結果を図13に示し、短辺部に関する結果を図14に示す。
図13及び図14に示すように、いずれのSUS鋼種においても、凹凸の波幅Wが大きくなるにつれて、凹凸の高さhを高くすることができた。このことから、凹凸の波幅Wが大きいほど、原板をプレス成形する際の張出し加工性に優れていた。
<試験例2> 短辺部半径Rと凹凸の高さhとの関係
[試験方法]
原板として上記原板Dを使用し、凹凸先端の長辺部半径Rを1.2mmに固定し、凹凸先端の短辺部半径Rを1.5mm、3.0mm、5.0mm及び20°形状の4種類にしたこと以外は、試験例1−1と同様の手法にてプレス成形体を得た。
[評価]
試験例1−1と同様に、各々のサンプルについて、凹凸の高さhを実測するとともに、長辺部の状態を目視で観察した。その結果を図15に示す。
図15に示すように、凹凸先端の短辺部半径Rが3.0mm以上であれば、凹凸先端の短辺部半径Rの大きさにかかわらず、好適な凹凸の高さhの限界が1,8mm〜2.0mmの範囲にあり、ほぼ同程度であった。
<試験例3> R/t又はW/tと線長増加率εとの関係
[評価]
図16、図17は、試験例1−1及び試験例1−2の結果から、原板として上記原板Dを使用した場合におけるR/t又はW/tと線長増加率εとの関係について図示したものである。Rは、凹凸先端の長辺部半径(本試験例では、1.0mm、1.2mm、1.4mmの3種類)であり、tは、原板Dの実測厚さ(本試験例では0.40mm)である。R/tと線長増加率εとの関係を図16に示し、W/tと線長増加率εとの関係を図17に示す。
本明細書において、線長増加率ε(単位:%)は、下記式(7)から算出した値であるものとする。
図18は、式(7)のパラメータを説明するために、凹凸部の断面形状を、中心線を含む形態で模式的に示したものである。式(1)の各パラメータは、図18に示すように、以下のとおりである。
:凸部先端の長辺部半径(本試験例では、Rをそのまま適用)
:凹部先端の長辺部半径(本試験例では、Rをそのまま適用)
t :原板Dの実測厚さ(本試験例では0.40mm)
:凹部の底部から凸部の頂部までの波幅(本試験例では、凹凸の波幅Wの1/2)
:d−R−R−t(dは、成形深さ(凹凸の高さhから上記tを減じた値)であり、R、R及びtは、上記と同じである)
:R+R+t(dは、成形深さ(凹凸の高さhから上記tを減じた値)であり、R、R及びtは、上記と同じである。)
α :下記式(8)から算出される値(X、R、Yは、上記と同じである。)
なお、線長増加率εは、図19に示す検量線を用いることで簡便に算出できる。
図16に示すように、R/tが大きいほど、線長増加率εは大きくなったが、プレス成形する際の張出し加工性は向上した。この良好な加工性は、凹凸先端の長辺部半径Rが大きくなることで、歪域が広がり、歪が分散したためであると推察される。また、図17に示すように、W/tが大きいほど、線長増加率εは小さくなり、張出し加工性が向上した。例えば、h/Wが0.25のサンプルは、R/tが増加するほど、また、W/tが大きいほど張り出し加工性が、「△」から「○」に変化している。
図16及び図17によると、R/t及びW/tは、張出し加工性を高めるために有効なパラメータであると考えられる。そこで、まずは、R/t及びW/tが比較的高い値となるように予備プレスを行い、その後、R/t及びW/tをより小さくした本プレスを行うことで、原板をプレス成形する際の張出し加工性を高めることができると考えられる。そのため、R/tに関しては、本プレス工程では予備プレス工程よりもRの小さい金型を使用し、また、W/tに関しては、本プレス工程では予備プレス工程よりも凹凸数の多い金型を使用することが考えられる。
<試験例4> 予備プレスの効果
[試験方法]
(試験例4−1) 1工程によるプレス成形
原板として上記原板Dを使用し、凹凸先端の長辺部半径Rを1.2mmにし、凹凸先端の短辺部半径Rを5.0mmにし、凹凸の波幅Wを7mmにしたこと以外は、試験例1−1と同様の手法にてプレス成形体を得た。
(試験例4−2) 2工程によるプレス成形(予備プレス→本プレス)
凹凸先端の長辺部半径Rを1.4mmにしたこと以外は、試験例4−1と同様の手法にて予備プレス成形体を得た。その後、凹凸先端の長辺部半径Rを1.2mmに変更し、他のパラメータを変えずに予備プレス成形体をプレス成形した。
[評価]
試験例1−1と同様に、各々のサンプルについて、凹凸の高さhを実測するとともに、長辺部の状態を目視で観察した。その結果を図20に示す。
図20に示すように、まずは、R/t及びW/tが比較的高い値となるように予備プレスを行い、その後、R/t及びW/tをより小さくした本プレスを行うことで、原板をプレス成形する際の張出し加工性を改善できることが明らかになった。
次に、プレスを複数工程で行うことによる張出し加工性の改善効果について、以下のように詳しく検討した。
<試験例5> 予備プレス条件の検討
〔試験方法〕
[第1工程のプレス成形(予備プレス)]
上記原板Dを原板として、下記の条件にてプレス成形を行い、図21に示す予備プレス成形体(凸部4個及び凹部3個の総計7個)を得た。ここで、凹凸の高さhは、図22に示すように、予備プレス成形体の凹凸の線長が下記本プレス成形体の凹凸の線長とほぼ同じになるように定めた。図22には、予備プレスまたは本プレスの各工程により実現される成形体の形状に応じた凹凸高さhと線長増加率εとを関係を示したものである。当該線長増加率は、原板から凹凸を形成する際に線長全体が増加する割合を意味する。この試験では、凹凸高さhが2.5mm(目標)である成形体が得られるように予備プレス成形及び本プレス成形が行われる。図22によると、本プレス工程に関する検量線において凹凸高さh2.5mmに相当する線長増加率εは、27.5%であり、その線長増加率に相当する予備プレス工程の凹凸高さhは、7.3mmとなることが分かる。
(予備プレス条件)
供試材の圧延方向:L方向、D方向、T方向の3種類
L方向:長辺長手方向と原板の圧延方向とが垂直
D方向:長辺長手方向と原板の圧延方向とが45°
T方向:長辺長手方向と原板の圧延方向とが平行
装置:80tonサーボプレス
プレスモーション:リンクモーション、ソフトタッチモーション、
バンピングモーションの3種類(各種モーションの具体的な条件は、図23のとおり。)
潤滑油:低粘度潤滑油、高粘度潤滑油の2種類
低粘度潤滑油:プレス油MB−13NR(40℃での動粘度:1.60mm/s,アクア化学社製)
高粘度潤滑油:プレス油G−755BM(40℃での動粘度:564mm/s,日本工作油社製)
凹凸先端の半径:長辺部半径R=1.2mm、短辺部半径R=5mm、長辺部半径Rは図8に示すとおりであり、短辺部半径Rは図9に示すとおりである。
凹凸の波幅W:7mm
凹凸の高さh:7.3mm(目標値)
板押え寸法:180mm×180mm(四角ビード付き)
ブランク寸法:□120mm
板押え力:6.3ton
[第2工程のプレス(本プレス)]
上記予備プレス成形体を下記の条件にてプレス成形を行い、図24に示す本プレス成形体(凸部11個及び凹部10個の総計21個)を得た。
(本プレス条件)
供試材の圧延方向:L方向
装置:80tonサーボプレス
プレスモーション:バンピングモーション(バンピングモーションの具体的な条件は、図23のとおりである。)
潤滑油:上記高粘度潤滑油
凹凸先端の半径:長辺部半径R=1.2mm
短辺部半径R=5mm
(長辺部半径Rは、図8に示すとおり、短辺部半径Rは、図9に示すとおりである。)
凹凸の波幅W:7mm
凹凸の高さh:2.5mm(目標値)
板押え寸法:180mm×180mm(四角ビード付き)
ブランク寸法:□120mm
板押え力:6.3ton
[評価 その1]予備プレス体の評価
各々の予備プレス体について、凹凸の高さhを実測するとともに、長辺の断面を目視で観察した。その結果を図25に示す。ネッキングや割れが認められなかった場合を「○」、ネッキングが認められたが、程度が小さかった場合を「△」、ネッキングが認められ、かつ、程度が大きかった場合を「黒塗り△」、割れが認められた場合を「×」で表示した。
潤滑条件に関しては、高粘度である場合は、低粘度である場合に比べて、凹凸の高さhを高くすることができた。動粘度が高い潤滑油を使用することにより、良好な張出し加工性が得られることが分かった。
プレスモーションに関しては、バンピングモーションは、他のモーションに比べて、凹凸の高さhを高くすることができた。バンピングモーションは、良好な張出し加工性が得られることが分かった。
[評価 その2]本プレス体の評価
本プレス体について、凹凸の高さhを実測するとともに、長辺の断面を目視で観察した。評価基準は上記[評価 その1]と同じである。その結果を図26に示す。なお、対照として、上記(本プレス条件)にて原板Dを直接プレスした場合の結果も図26に示す。
図26に示すように、まずは、R/t及びW/tが比較的高い値になるように予備プレスを行い、その後、R/t及びW/tをより小さくした本プレスを行うことで、プレス成形する際の張出し加工性を改善できた。
<試験例6> 板厚変化率の検証
〔試験方法〕
[試験例6−1]
上記原板Dを下記の条件にてプレス成形を行い、図24に示す本プレス成形体を得た。
(プレス条件)
供試材の圧延方向:T方向
装置:80tonサーボプレス
プレスモーション:リンクモーション(リンクモーションの条件は、図23のとおり。)
潤滑油:上記低粘度潤滑油
凹凸先端の半径:長辺部半径R=1.2mm、短辺部半径R=5mm、長辺部半径Rは図8に示すとおりであり、短辺部半径Rは図9に示すとおりである。
凹凸の波幅W:7.0mm
板押え寸法:180mm×180mm(四角ビード付き)
ブランク寸法:□120mm
板押え力:6.3ton
[試験例6−2]
供試材の圧延方向がL方向であり、潤滑油がプレス油G−755BM(40℃での動粘度:564mm/s、日本工作油社製)であり、プレスモーションがバンピングモーション(バンピングモーションの条件は、図23のとおり)であること以外は、試験例6−1と同じ手法にて本プレス成形体を得た。
[試験例6−3]
[[第1工程のプレス成形(予備プレス)]]
上記原板Dを原板として、下記の条件にてプレス成形を行い、図21に示す予備プレス成形体(凸部4個及び凹部3個の総計7個)を得た。なお、試験例5と同様に、図22に示すように、凹凸の高さhは、予備プレス成形体の凹凸の線長が下記本プレス成形体の凹凸の線長と同じになるように定めた。
(予備プレス条件)
供試材の圧延方向:L方向
装置:80tonサーボプレス
プレスモーション:バンピングモーション(バンピングモーションの条件は、図23のとおり。)
潤滑油:上記高粘度潤滑油
凹凸先端の半径:長辺部半径R=5mm、短辺部半径R=5mm、長辺部半径Rは図6に示すとおりであり、短辺部半径Rは図9に示すとおりである。
凹凸の波幅W:21.0mm
凸部及び凹部の1個当たりの線長L: 13.38mm
板押え寸法:180mm×180mm(四角ビード付き)
ブランク寸法:□120mm
板押え力:6.3ton
[[第2工程のプレス成形(本プレス)]]
上記予備プレス成形体を下記の条件にてプレス成形を行い、図24に示す本プレス成形体(凹凸の凸部:11個、凹部:10個)を得た。
(本プレス条件)
供試材の圧延方向:L方向
装置:80tonサーボプレス
プレスモーション:バンピングモーション(バンピングモーションの条件は、図23のとおり。)
潤滑油:上記高粘度潤滑油
凹凸先端の半径:長辺部半径R=1.2mm、短辺部半径R=5mm、長辺部半径Rは図8に示すとおりであり、短辺部半径Rは図9に示すとおりである。
凹凸の波幅W:7.0mm
凸部及び凹部の1個当たりの線長L: 4.46mm
板押え寸法:180mm×180mm(四角ビード付き)
ブランク寸法:□120mm
板押え力:6.3ton
〔評価〕
試験例6−1に係る本プレス成形体、試験例6−2に係る本プレス成形体、及び試験例6−3に係る本プレス成形体のそれぞれについて、図27の位置1〜17における板厚減少率を測定した。板厚減少率は、測定部近傍をワイヤー加工により切断し、断面部分を撮影後、測長計で測定した。結果を図28に示す。
図28において、凸部の最大板厚をtとし、前記凸部の最小板厚をtとするとき、試験例6−1に係る本プレス成形体のt/tは、0.65であり、試験例6−2に係る本プレス成形体のt/tは、0.69であり、試験例6−3に係る本プレス成形体のt/tは、0.85である。
また、原板の平均板厚をtとするとき、試験例6−1に係る本プレス成形体のt/tは、0.57であり、試験例6−2に係る本プレス成形体のt/tは、0.63であり、試験例6−3に係る本プレス成形体のt/tは、0.73である。
図28に示すように、プレス成形を複数工程で行い、予備プレス成形と本プレス成形とに分けることで、t/tが0.85、t/tが0.73になり、t/tが0.8以上、及びt/tが0.7以上を実現できた。
加えて、試験例6−3に係る予備プレス成形体について、図29の位置1〜17における板厚減少率を測定した。その結果を図30に示す。図30において、「黒色○」は、予備プレス成形体を示し、「○」は、本プレス成形体を示す。
図30に示すように、予備プレスと本プレスとの間で、凹凸全体の線長を揃えることにより、工程間での板厚減少の差を小さく保つことができた。第1工程のプレス成形に相当する予備プレスにおける第1凸部及び第1凹部の個数の総計Nは、4個であり、凸部及び凹部の1個当たりの線長Lは、13.38mmである。また、第2工程のプレス成形に相当する本プレスにおける第2凸部及び第2凹部の個数の総計Nは、11個であり、凸部及び凹部の1個当たりの線長Lは、4.46mmである。これらの数値によると、N<NかつL×N=L×Nの関係を満たすことが分かる。このように、本発明は、上記の関係を充足し、凹凸全体の線長が揃えられているため、加工割れの原因となる局部的な板厚減少が抑えられたと推察される。また、潤滑油として高粘性の潤滑油を採用し、長辺部半径Rを大きくした予備プレス工程を採用することにより、加工割れの原因となる局部的な板厚減少を抑えることができた。
1 プレート式熱交換器
2 固定フレーム
3 可動フレーム
4 ガイドバー
5 上部キャリングバー
6 支柱
7 締付けボルト
8a,8b 高温側流体用配管接続口
9a,9b 低温側流体用配管接続口
10 金属プレート
11 凹部
12 凸部
13 中心線

Claims (9)

  1. 一方向に延びる複数の凹部及び凸部を交互に有する金属プレートであって、
    最小板厚tと最大板厚tとの比t/tが0.8以上であり、
    加工前の原板の平均板厚tが1.0mm以下である、金属プレート。
  2. 前記最大板厚tと前記原板の平均板厚tとの比t/tが0.7以上である、請求項1に記載の金属プレート。
  3. 前記凸部又は前記凹部を前記一方向と直交する方向で断面視したときの端部の半径Rが3.0mm以上である、請求項1又は2に記載の金属プレート。
  4. 前記凸部及び前記凹部を前記一方向で断面視したときの前記凸部の底部又は前記凹部の頂部の半径Rと、前記tとの比R/tが2以上5以下であり、
    前記凸部及び前記凹部からなる凹凸の高さをhとし、前記凸部とそれに隣接する前記凸部との間の波幅又は前記凹部とそれに隣接する前記凹部との間の波幅をWとするとき、前記hと前記Wとの比h/Wが0.1以上0.4以下である、請求項1から3のいずれかに記載の金属プレート。
  5. 鋼、チタン、アルミニウムまたはこれらの合金から選択される金属からなる、請求項1から4のいずれかに記載の金属プレート。
  6. 前記金属がフェライト系ステンレス鋼である、請求項5に記載の金属プレート。
  7. プレート式熱交換器に用いられる、請求項1から6のいずれかに記載の金属プレート。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の金属プレートが積層されてなる積層プレート部品。
  9. 請求項8に記載の積層プレート部品により形成されたプレート式熱交換器。
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