以下、実施形態の超音波診断装置について図面を参照して説明する。
〈第1の実施形態〉
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の機能構成を示すブロック図である。第1の実施形態に係る超音波診断装置は、被検体の超音波画像データを生成することが可能に構成される。この超音波診断装置は、超音波プローブ1と、送受信部2と、信号処理部3と、画像生成部4と、表示制御部5と、表示部6と、操作部7と、システム制御部8とを有する。
超音波プローブ1は、被検体へ超音波を送信して、該被検体からの反射波を受信する。超音波プローブ1は、受信された反射波を表すエコー信号を受信部22へ出力する。超音波プローブ1は、複数の超音波振動子を備える。超音波プローブ1としては、複数の超音波振動子が走査方向に1列に配置された1次元アレイプローブ、又は、複数の超音波振動子が2次元的に配置された2次元アレイプローブが用いられる。
送受信部2は、送信部21と受信部22とを有する。送信部21は、超音波プローブ1へパルス信号を出力して、超音波を送信させる。送信部21は、各超音波振動子に対応した経路(チャンネル)ごとのパルサを備え、チャンネルごとに個別に遅延時間が付与されたタイミングでパルス信号を出力することによって、所定の焦点にビームフォームされた(送信ビームフォームされた)超音波を送信させる。
受信部22は、超音波プローブ1の各超音波振動子からのエコー信号を受ける。受信部22は、一般的なプリアンプ回路、A/D変換回路及び受信整相遅延加算回路(受信ビームフォーマー)を含んで構成される。プリアンプ回路は、超音波プローブ1からのエコー信号をチャンネルごとに増幅し、A/D変換回路へ出力する。A/D変換回路は、プリアンプ回路により増幅されたエコー信号をチャンネルごとにデジタル信号(受信信号)に変換し、受信整相遅延加算回路へ出力する。受信整相遅延加算回路は、受信信号に整相遅延処理及び加算処理(受信ビームフォーミング)を施した受信ビーム信号を求める。
信号処理部3は、受信部22からの受信ビーム信号の振幅情報を求める。例えば、信号処理部3は、受信ビーム信号にバンドパスフィルタ処理を施し、そしてバンドパスフィルタ処理後の受信信号の包絡線を検波する。信号処理部3は、検波されたデータに対して対数変換フィルタ処理を施して、被検体の断層像を表す超音波ラスタデータを生成する。信号処理部3は、生成された超音波ラスタデータを画像生成部4へ出力する。
なお、信号処理部3は、被検体の血流情報を表すデータを生成してもよい。例えば、信号処理部3は、受信ビーム信号を位相検波することにより、ドプラ偏移周波数成分を求め、FFT(Fast Fourier Transform)処理を施すことによって、血流速度を表すドプラ周波数分布データを生成してもよい。また、信号処理部3は、血流の速度、分布、又はパワーを表すCFM(Color Flow Mapping)データを生成してもよい。
画像生成部4は、信号処理部3からの超音波ラスタデータに基づいて、超音波画像データを生成する。例えば、画像生成部4は、DSC(Digital Scan Converter)を含んで構成される。画像生成部4は、超音波ラスタデータにおいて走査線の信号列で表されるデータを、表示用の座標系で表される超音波画像データに走査変換する。画像生成部4は、被検体の断層像を表す超音波画像データ(Bモード画像データ)を生成し、生成された超音波画像データを表示制御部5へ出力する。
なお、画像生成部4は、信号処理部3からのドプラ周波数分布データが表示用のグラフ形式で表される超音波画像データ(ドプラ画像データ)を生成してもよい。また、画像生成部4は、信号処理部3からのCFMデータが表示用の座標系で表される超音波画像データ(CFM画像データ)を生成してもよい。
表示制御部5は、画像生成部4からの超音波画像データに基づく超音波画像を表示部6に表示させる。また、表示制御部5は、表示される超音波画像の色調や表示部6のバックライトのオンオフ及び明度を制御する。
表示部6は、超音波画像を表示する。表示部6は、例えば、LCDや有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイなどの表示デバイスで構成される。図2は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の外観を概略的に示す模式図である。例えば、ポータブルタイプの超音波診断装置には、いわゆるノート型パーソナルコンピュータのように、表示デバイスDPが本体の筐体CSに対して矢印AR方向に回動可能に設けられているものがある。ここでは、操作者が表示デバイスDPの表示画面DSが筐体CSに接近するように表示デバイスDPを回動させる(閉じる)操作を閉操作と称し、操作者が表示デバイスDPの表示画面DSが筐体CSから遠離するように回動させる(開く)操作を開操作と称する。本実施形態に係る超音波診断装置は、閉操作によって予め定められた角度以内に表示デバイスDPの表示画面DSが接近したときに、処理停止機能がオンとなる(処理停止制御部81の説明とともに後述する)。
操作部7は、医師や技師等の操作者による操作を受けて、この操作の内容に応じた信号や情報を装置各部に入力する。例えば、操作部7は、各種ボタンスイッチBS、タッチコマンドスクリーン(Touch Command Screen)TCS、STC(Sensitivity Time Control)スライドボリュームSVなどによって構成される。各種ボタンスイッチBSには、超音波診断装置の電源をオンオフさせるパワーボタンスイッチPSが含まれる。
システム制御部8は、超音波診断装置の各部の機能を実行するためのコンピュータプログラムを予め記憶し、これらコンピュータプログラムを実行することで、各部の機能を実現する。例えば、システム制御部8は、ROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disc Drive)などの記憶装置、及び、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphic Processing Unit)などの処理装置によって構成される。システム制御部8は、処理停止制御部81と、状態判定部82と、機能禁止制御部83とを有する。
処理停止制御部81は、予め定められた操作(処理停止操作)を受けて、超音波診断装置の処理のうち少なくとも一部を停止することが可能に構成される。処理停止操作の例としては、上述した閉操作が挙げられる。例えば、処理停止制御部81は、表示デバイスDPと本体の筐体CSとの接近及び遠離を検知する磁気センサを含んで構成される。閉操作がなされたとき、該磁気センサは表示デバイスDPと本体の筐体CSとの接近を検知する。処理停止制御部81は、この接近が検知されたとき、超音波診断装置の処理のうち少なくとも一部を停止する。超音波診断装置の処理とは、送受信部2、信号処理部3、画像生成部4、及び、表示制御部5によって行われる各種処理である。超音波診断装置の処理のうち少なくとも一部が停止されることを処理停止機能がオンされると称する。処理停止操作がなされたときに処理停止制御部81が停止する処理の内容は、医師や技師等の操作者によって予め設定されている。但し、処理停止制御部81は、処理停止操作を受けても、処理停止機能をオンにしない場合がある(機能禁止制御部83の説明とともに後述する)。また、ここでは、磁気センサが閉操作を検知する例を説明したが、他の一般的な開閉センサによって閉操作が検知されてもよい。
なお、閉操作を処理停止操作の例として説明したが、処理停止制御部81は、他の処理停止操作を受けて、超音波診断装置の処理のうち少なくとも一部を停止してもよい。他の処理停止操作としては、例えば、操作部7のボタンスイッチBSやタッチコマンドスクリーンTCSを介する操作が予め定められる。このように、処理停止機能がオンとなるための操作(処理停止操作)は、超音波装置ごとに予め適宜設定可能なものである。
また、処理停止制御部81は、予め定められた処理復帰操作を受けて、停止させた処理を復帰させる。処理復帰操作の例としては、上述した開操作が挙げられる。開操作がなされたとき、磁気センサは表示デバイスDPと本体の筐体CSとの遠離を検知する。処理停止制御部81は、この遠離が検知されたとき、停止させた処理を復帰させる(処理停止機能をオフにする)。ここでは、磁気センサが開操作を検知する例を説明したが、他の一般的な開閉センサによって開操作が検知されてもよい。
なお、開操作を復帰操作の例として説明したが、処理停止制御部81は、他の処理復帰操作を受けて、停止させた処理を復帰させてもよい。他の処理復帰操作としては、例えば、操作部7のボタンスイッチBSやタッチコマンドスクリーンTCSを介する操作が予め定められる。このように、処理停止機能がオンとなった後に処理停止機能がオフとなるための操作(処理復帰操作)は、超音波装置ごとに予め適宜設定可能なものである。
状態判定部82は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作するか否かを判定する。例えば、状態判定部82は、超音波診断装置の位置を検知し、検知された位置が予め定められた空間領域に含まれたとき、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作すると判定する。状態判定部82は、位置検知部821と、判定条件記憶部822と、判定実行部823とを有する。
位置検知部821は、超音波診断装置の位置を検知する。例えば、位置検知部821は、GPS(Global Positioning System)などの測位システムによって構成される。位置検知部821は、予め定められた時間間隔ごとに超音波診断装置の位置(座標)を検知する。位置検知部821は、検知された位置を表す位置情報(座標情報)を判定実行部823へ出力する。
判定条件記憶部822は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作するか否か判定されるための判定条件を表す判定条件情報を予め記憶する。例えば、判定条件記憶部822は、予め定められた空間領域を表す空間領域情報を判定条件情報として記憶する。空間領域情報は、医師や技師等の操作者によって予め入力される。例えば、医療機関の手術室、検査室、救急救命処置室などの、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作することが想定される1つ以上の診療スペース(診療室)の空間領域(座標範囲)を表す情報が空間領域情報として予め入力される。
判定実行部823は、位置検知部821から位置情報を受け、空間領域情報を判定条件記憶部822から読み出す。判定実行部823は、位置情報と空間領域情報とを照合して、位置情報に表される位置(座標)と空間領域情報に表される空間領域(座標範囲)との位置関係を求める。この位置関係において、位置情報に表される位置(座標)が空間領域情報に表される空間領域(座標範囲)に含まれたとき、判定実行部823は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作すると判定する。位置情報に表される位置(座標)が空間領域情報に表される空間領域(座標範囲)に含まれないとき、判定実行部823は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作しないと判定する。判定実行部823は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作すると判定したとき、この判定内容を表す状態判定情報(処理停止禁止)を機能禁止制御部83及び表示制御部5へ出力する。判定実行部823は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作しないと判定したとき、この判定内容を表す状態判定情報(処理停止許可)を機能禁止制御部83及び表示制御部5へ出力する、又は待機する。
なお、ここでは位置検知部821が測位システムによって構成される例について説明したが、位置検知部821が、EAS(Electronic Article Surveillance)などの通過監視システムによって構成されてもよい。この場合、位置検知部821の機能は、ハードタグ、通過検知ゲート、及び該通過検知ゲートとの通信装置との組み合わせによるハードウェア構成によって実現される。ハードタグ、通過検知ゲート、及び該通過検知ゲートとの通信装置は、公知の技術のよって設計されればよい。ハードタグ及び通信装置は、超音波診断装置の筐体CSの内部又は表面部に設けられる。通過検知ゲートは、医療機関の手術室、処置室、救急救命室などの、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作することが想定される診療スペースの出入り口に設けられる。通過検知ゲートと通信装置とは、無線LAN(Local Area Network)などの通信システムによって、通信可能に接続される。通過検知ゲートは、これら診療スペースの外から中へ超音波診断装置が通過したことを検知したとき、検知信号を通信装置へ出力する。通信装置が該検知信号を受けたとき、状態判定部82は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作すると判定する。
機能禁止制御部83は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作すると判定されたとき、処理停止制御部81が超音波診断装置の処理を停止することを禁止する。機能禁止制御部83は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作するという判定内容を表す状態判定情報を判定実行部823から受けて、超音波診断装置の処理を停止することを禁止する機能禁止信号を処理停止制御部81へ出力する。
機能禁止制御部83が機能禁止信号を処理停止制御部81へ出力したとき、すなわち、処理停止制御部81が機能禁止信号を受けたとき、処理停止制御部81は、処理停止操作を受けた場合であっても処理停止機能をオンにしない。処理停止制御部81が機能禁止信号を受けた状態は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作する状態に相当する。処理停止制御部81が機能禁止信号を受けた状態であれば、被検体への施術中に処理停止操作がなされても、処理停止制御部81は、処理停止機能をオンにしない。それにより、超音波診断装置は、誤操作による処理停止操作がなされた場合であっても、超音波画像を生成及び表示し続ける。したがって、操作者は、施術中に超音波診断装置への誤操作をしてしまった場合でも、超音波画像を確認しながら施術を続けることができる。このように、誤操作によって施術が中断されることが防止される。
また、表示制御部5は、状態判定部82により超音波診断装置が被検体への施術とともに動作する(処理停止禁止)と判定されたとき、該判定の内容を表す状態判定情報を表示部6に表示させる。図3は、表示制御部5が、判定実行部823から受けた状態判定情報を表示部6に表示させる様子を示す模式図である。例えば表示制御部5は、状態判定情報を表すテキストTXを表示部6に表示させる。図3の例では、「施術モード状態」という内容のテキストTXが表示されている例を示している。テキストTXの内容は、他の内容に適宜設定されてもよい。また、表示制御部5は、状態判定情報を表す画像を表示部6に表示させてもよい。このときの画像は予め適宜設定される。表示制御部5が状態判定情報を表示部6に表示させることによって、操作者は、判定内容を把握しながら施術を行うことができる。
図4は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の動作を示すフローチャートである。
ステップS101:操作者によるパワーボタンスイッチPSへの操作を受けて、超音波診断装置が起動される。このとき、処理停止制御部81は、機能禁止制御部83からの機能禁止信号を受けていない状態である。
ステップS102:位置検知部821は、超音波診断装置の位置を検知する。位置検知部821は、検知された位置を表す位置情報を判定実行部823へ出力する。
ステップS103:判定実行部823は、位置検知部821から位置情報を受け、空間領域情報を判定条件記憶部822から読み出す。判定実行部823は、位置情報と空間領域情報とを照合して、位置情報に表される位置と空間領域情報に表される空間領域との位置関係を求める。
ステップS104:求められた位置関係において、位置情報に表される位置が空間領域情報に表される空間領域に含まれたとき(ステップS104;YES)、判定実行部823は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作すると判定する。このとき、判定実行部823は、この判定内容を表す状態判定情報を機能禁止制御部83及び表示制御部5へ出力する。位置情報に表される位置が空間領域情報に表される空間領域に含まれないとき(ステップS104;NO)、判定実行部823は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作しないと判定する。
ステップS105:機能禁止制御部83は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作するという判定内容を表す状態判定情報を判定実行部823から受けて、超音波診断装置の処理を停止することを禁止する機能禁止信号を処理停止制御部81へ出力する。
ステップS106:表示制御部5は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作するという判定内容を表す状態判定情報を表示部6に表示させる。
ステップS107:超音波診断装置は被検体の超音波画像を生成及び表示する。このとき、送信部21は、超音波プローブ1へパルス信号を出力して、超音波を送信させる。受信部22は、超音波プローブ1の各超音波振動子からのエコー信号を受け、受信ビーム信号に変換し、信号処理部3へ出力する。信号処理部3は、受信部22からの受信ビーム信号に信号処理を施して、超音波ラスタデータを生成し、画像生成部4へ出力する。画像生成部4は、信号処理部3からの超音波ラスタデータに基づいて、超音波画像データを生成し、表示制御部5へ出力する。表示制御部5は、画像生成部4からの超音波画像データに基づく超音波画像を表示部6に表示させる。
ステップS108:超音波画像の生成及び表示が続行されるとき(ステップS108;YES)、この動作はステップS102へ戻る。超音波画像の生成及び表示が続行されないとき(ステップS108;NO)、この動作は終了する。
第1の実施形態に係る超音波診断装置によれば、超音波診断装置の位置に基づいて、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作するか否かが判定される。超音波診断装置が被検体への施術とともに動作すると判定され、処理停止制御部81が機能禁止信号を受けた状態であるとき、被検体への施術中に処理停止操作がなされても、処理停止制御部81は、処理停止機能をオンにしない。それにより、超音波診断装置は、誤操作による処理停止操作がなされた場合であっても、超音波画像を生成及び表示し続ける。したがって、操作者は、施術中に超音波診断装置への誤操作をしてしまった場合でも、超音波画像を確認しながら施術を続けることができる。このように、誤操作によって施術が中断されることを防止することができる超音波診断装置を提供することができる。
〈第2の実施形態〉
図5は、第2の実施形態に係る超音波診断装置の機能構成を示すブロック図である。第2の実施形態に係る超音波診断装置は、処理停止機能が禁止される処理を空間領域ごとに設定可能に構成される。以下、第1の実施形態と異なる内容について主に説明する。第1の実施形態と同様の内容については説明を省略する場合がある。
判定実行部823は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作すると判定したとき、位置情報に表される位置を含んだ空間領域を表す空間領域情報を状態判定情報とともに機能禁止制御部83へ出力する。
機能禁止制御部83は、領域関連情報記憶部831を含む。領域関連情報記憶部831は、空間領域と超音波診断装置の処理とが関連付けられた領域関連情報を予め記憶する。図6は、領域関連情報の概略を示す模式図である。領域関連情報において、空間領域(A1,A2,・・・,An;nは自然数)のそれぞれと、超音波診断装置の処理を表す処理内容(B1,B2,・・・,Bn;nは自然数)とが関連付けられる。これら処理内容には、超音波診断装置に係る各部の処理の組み合わせが含まれる。処理内容の例としては、「超音波走査を停止し、超音波走査を停止したときの直前の超音波画像を表示する機能(フリーズ機能)が処理停止操作を受けたときに有効にされる」「フリーズ機能が処理停止操作を受けたときに無効にされる」「無線LAN機能が処理停止操作を受けたときに有効にされる」「無線LAN機能が処理停止操作を受けたときに無効にされる」などの動作条件を表す処理内容が挙げられる。通常、超音波診断装置の動作条件を表す処理内容は、超音波診断装置の各部の処理の組み合わせによって実現される。したがって、処理内容が特定されれば、各部の処理が特定される。領域関連情報は、医師や技師等の操作者によって予め入力される。
機能禁止制御部83は、判定実行部823から状態判定情報及び空間領域情報を受け、該空間領域情報に表される空間領域を特定する。機能禁止制御部83は、領域関連情報記憶部831に記憶された領域関連情報を参照して、特定された空間領域に関連付けられた処理を特定する。機能禁止制御部83は、特定された処理を表す処理情報を含んだ機能禁止信号を処理停止制御部81へ出力する。
処理停止制御部81は、機能禁止制御部83から受けた機能禁止信号に含まれた処理情報に表される処理について、処理停止操作を受けた場合であっても処理停止機能をオンにしない。このように、機能禁止制御部83は、当該空間領域に関連付けられた処理の処理停止機能がオンされることを禁止する。それにより、超音波診断装置が位置した空間領域ごとに、処理停止機能がオンされることが禁止される処理を異ならせることができる。
通常、医療機関の手術室、検査室、救急救命処置室などの、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作することが想定される診療スペースのそれぞれは、超音波診断装置が用いられやすい使用目的が異なる場合がある。また、通常、超音波診断装置は使用目的に応じて動作条件が異なる。第2の実施形態に係る超音波診断装置によれば、診療スペースごとに想定される動作条件に応じて、処理停止機能がオンされることが禁止される処理を異ならせながら、誤操作によって施術が中断されることを防止することができる。
また、これら診療スペースのそれぞれは、超音波診断装置への電力供給や通信に係る動作環境が異なる場合がある。動作環境の例としては、電源ケーブルを接続可能なコンセントの数及び位置、並びに、無線LAN通信環境の有無及び通信速度などが挙げられる。第2の実施形態に係る超音波診断装置によれば、診療スペースごとの動作環境に応じて、処理停止機能がオンされることが禁止される処理を異ならせながら、誤操作によって施術が中断されること防止することができる。
図7は、第2の実施形態に係る超音波診断装置の動作を示すフローチャートである。
ステップS201〜ステップS203における動作は、図4の例のステップS101〜ステップS103における動作と同様である。
ステップS204:求められた位置関係において、位置情報に表される位置が空間領域情報に表される空間領域に含まれたとき(ステップS204;YES)、判定実行部823は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作すると判定する。このとき、判定実行部823は、位置情報に表される位置を含んだ空間領域を表す空間領域情報をこの判定内容を表す状態判定情報とともに機能禁止制御部83へ出力する。また、判定実行部823は、状態判定情報を表示制御部5へ出力する。位置情報に表される位置が空間領域情報に表される空間領域に含まれないとき(ステップS204;NO)、判定実行部823は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作しないと判定する。
ステップS205:機能禁止制御部83は、判定実行部823から状態判定情報及び空間領域情報を受け、該空間領域情報に表される空間領域を特定する。機能禁止制御部83は、領域関連情報記憶部831に記憶された領域関連情報を参照して、特定された空間領域に関連付けられた処理を特定する。
ステップS206:機能禁止制御部83は、特定された処理を表す処理情報を含んだ機能禁止信号を処理停止制御部81へ出力する。
ステップS207〜ステップS209における動作は、図4の例のステップS106〜ステップS108における動作と同様である。
第2の実施形態に係る超音波診断装置によれば、処理停止機能が禁止される処理を超音波診断装置の位置が含まれた空間領域ごとに設定する。このことは、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作するとき、超音波診断装置が位置した診療スペースに応じながら超音波診断装置の動作条件が設定されることに相当する。したがって、超音波診断装置が動作することが想定される各診療スペースに応じて動作条件を設定しながら、誤操作によって施術が中断されることを防止することができる超音波診断装置を提供することができる。
〈第3の実施形態〉
図8は、第3の実施形態に係る超音波診断装置の機能構成を表すブロック図である。第3の実施形態に係る超音波診断装置は、操作者による指定操作を受けて、処理停止機能を禁止することが可能に構成される。以下、第1の実施形態と異なる内容について主に説明する。第1の実施形態と同様の内容については説明を省略する場合がある。
判定条件記憶部822は、指定操作の操作信号を表す指定操作情報を判定条件情報として記憶する。例えば、指定操作として、特定のボタンスイッチBSへの操作やタッチコマンドスクリーンTCSに表示された特定のソフトキーへの操作など予め適宜設定される。指定操作には、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作することを直接的に表す操作が含まれてもよく、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作することを間接的に表す操作が含まれてもよい。該操作の例として、指定操作には、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作するための動作条件を設定する設定操作が含まれる。
通常、超音波診断装置には、被検体への施術とともに動作する場合の動作条件を設定するための公知のアプリケーションソフトが備えられている。被検体への施術を行う場合、操作者は、当該施術に対応したアプリケーションソフトを起動させる。そして、操作者は、起動されたアプリケーションソフトを介して施術に対応した動作条件を設定する。動作条件の例としては、超音波診断装置の各部の信号処理条件が含まれる。これら信号処理条件のうち施術に対応する1つ以上の信号処理条件がアプリケーションソフトにおいて予め定められている。
例えば、施術が穿刺針の刺入である場合、操作者は、穿刺針を刺入させる刺入経路を表すマーカ(穿刺ガイド)を表示部6に表示させたい場合がある。このマーカの表示条件も動作条件に含まれる。例えば、操作者は、被検体へ穿刺針を刺入するとき、「穿刺ガイド設定ソフト」などのアプリケーションソフトを起動するための操作を行う。該操作が設定操作の一例に相当する。また、他の施術に対応したアプリケーションソフトを起動する操作も設定操作の一例に相当する。
操作部7は、操作者から受けた操作を表す操作信号を判定実行部823へ出力する。通常、超音波診断装置は、操作部7を介して、超音波走査の開始操作及び終了操作、診断部位の設定操作などの操作を受ける。このような各種操作を受ける際に操作部7が指定操作を受けた場合、操作部7から出力される操作信号は指定操作を表す。
判定実行部823は、操作部7から操作信号を受け、指定操作情報を判定条件記憶部822から読み出す。判定実行部823は、操作信号と指定操作情報と照合して、操作信号に表される操作と指定操作情報に表される指定操作との相当関係を求める。この相当関係において、操作信号に表される操作が指定操作情報に表される指定操作に相当したとき、判定実行部823は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作すると判定する。操作信号に表される操作が指定操作情報に表される指定操作に相当しないとき、判定実行部823は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作しないと判定する。判定実行部823は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作すると判定したとき、この判定内容を表す状態判定情報を機能禁止制御部83及び表示制御部5へ出力する。判定実行部823は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作しないと判定したとき、待機する。
図9は、第3の実施形態に係る超音波診断装置の動作を示すフローチャートである。
ステップS301における動作は、図4の例のステップS101における動作と同様である。
ステップS302:操作部7は、操作者から受けた操作を表す操作信号を判定実行部823へ出力する。
ステップS303:判定実行部823は、操作部7から操作信号を受け、指定操作情報を判定条件記憶部822から読み出す。判定実行部823は、操作信号と指定操作情報とを照合して、操作信号に表される操作と指定操作情報に表される指定操作との相当関係を求める。
ステップS304:求められた相当関係において、操作信号に表される操作が指定操作情報に表される指定操作に相当したとき(ステップS304;YES)、判定実行部823は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作すると判定する。このとき、判定実行部823は、この判定内容を表す状態判定情報を機能禁止制御部83及び表示制御部5へ出力する。操作信号に表される操作が指定操作情報に表される指定操作に相当しないとき(ステップS304;NO)、判定実行部823は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作しないと判定する。
ステップS305〜ステップS308における動作は、図4の例のステップS105〜ステップS108における動作と同様である。
第3の実施形態に係る超音波診断装置によれば、操作者から受けた操作に基づいて、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作するか否かが判定される。指定操作には、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作することを直接的に表す操作が含まれる。例えば、操作者は、処理停止機能を禁止するための操作を直接的に行うことができる。それにより、誤操作によって施術が中断されることが防止される。
また、指定操作には、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作することを間接的に表す操作が含まれてもよい。例えば、操作者が、被検体への施術とともに動作するための動作条件を設定するために、当該施術に対応したアプリケーションソフトを起動する操作を行う場合がある。第3の実施形態に係る超音波診断装置によれば、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作することを間接的に表す操作に連動して、処理停止機能を禁止することができる。それにより、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作することを間接的に表す操作に連動して、誤操作によって施術が中断されることが防止される。
〈第4の実施形態〉
図10は、第4の実施形態に係る超音波診断装置の機能構成を表すブロック図である。第4の実施形態に係る超音波診断装置は、処理停止機能が禁止される処理を設定操作ごとに設定可能に構成される。以下、第3の実施形態と異なる内容について主に説明する。第3の実施形態と同様の内容については説明を省略する場合がある。
判定実行部823は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作すると判定したとき、指定操作を表す操作信号を状態判定情報とともに機能禁止制御部83へ出力する。
機能禁止制御部83は、操作関連情報記憶部832を含む。操作関連情報記憶部832は、指定操作と超音波診断装置の処理とが関連付けられた操作関連情報を予め記憶する。図11は、操作関連情報の概略を示す模式図である。操作関連情報において、指定操作(C1,C2,・・・,Cn;nは自然数)のそれぞれと、超音波診断装置の処理を表す処理内容(B1,B2,・・・,Bn;nは自然数)とが関連付けられる。これら処理内容には、超音波診断装置に係る各部の処理の組み合わせが含まれる。処理内容の例としては、「超音波走査を停止し、超音波走査を停止したときの直前の超音波画像を表示する機能(フリーズ機能)が処理停止操作を受けたときに有効にされる」「フリーズ機能が処理停止操作を受けたときに無効にされる」「無線LAN機能が処理停止操作を受けたときに有効にされる」「無線LAN機能が処理停止操作を受けたときに無効にされる」などの動作条件を表す処理内容が挙げられる。通常、超音波診断装置の動作条件を表す処理内容は、超音波診断装置の各部の処理の組み合わせによって実現される。したがって、処理内容が特定されれば、各部の処理が特定される。操作関連情報は、医師や技師等の操作者によって予め入力される。
機能禁止制御部83は、判定実行部823から状態判定情報及び操作信号を受け、該操作信号に表される指定操作を特定する。機能禁止制御部83は、操作関連情報記憶部832に記憶された操作関連情報を参照して、特定された指定操作に関連付けられた処理を特定する。機能禁止制御部83は、特定された処理を表す処理情報を含んだ禁止信号を処理停止制御部81へ出力する。
処理停止制御部81は、機能禁止制御部83から受けた機能禁止信号に含まれた処理情報に表される処理について、処理停止操作を受けた場合であっても処理停止機能をオンにしない。このように、機能禁止制御部83は、当該指定操作に関連付けられた処理の処理停止機能がオンされることを禁止する。それにより、超音波診断装置が受けた指定操作ごとに、処理停止機能がオンされることが禁止される処理を異ならせることができる。
また、通常、超音波診断装置は、施術に応じて動作条件が異なる。第4の実施形態に係る超音波診断装置によれば、指定操作が、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作するための動作条件を設定する設定操作である場合、当該施術に対応した設定操作に連動して、処理停止機能がオンされることが禁止される処理を異ならせることができる。したがって、第4の実施形態に係る超音波診断装置によれば、被検体への施術に応じて、処理停止機能がオンされることが禁止される処理を異ならせながら、誤操作によって施術が中断されること防止することができる。
図12は、第4の実施形態に係る超音波診断装置の動作を示すフローチャートである。
ステップS401〜ステップS403における動作は、図9の例のステップS301〜ステップS303における動作と同様である。
ステップS404:求められた相当関係において、操作信号に表される操作が指定操作情報に表される指定操作に相当したとき(ステップS404;YES)、判定実行部823は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作すると判定する。このとき、判定実行部823は、指定操作を表す操作信号をこの判定内容を表す状態判定情報とともに機能禁止制御部83へ出力する。また、判定実行部823は、状態判定情報を表示制御部5へ出力する。操作信号に表される操作が指定操作情報に表される指定操作に相当しないとき(ステップS404;NO)、判定実行部823は、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作しないと判定する。
ステップS405:機能禁止制御部83は、判定実行部823から状態判定情報及び操作信号を受け、該操作信号に表される指定操作を特定する。機能禁止制御部83は、操作関連情報記憶部832に記憶された操作関連情報を参照して、特定された指定操作に関連付けられた処理を特定する。
ステップS406:機能禁止制御部83は、特定された処理を表す処理情報を含んだ機能禁止信号を処理停止制御部81へ出力する。
ステップS407〜ステップS409における動作は、図9の例のステップS306〜ステップS308における動作と同様である。
第4の実施形態に係る超音波診断装置によれば、処理停止機能が禁止される処理を超音波診断装置が受ける指定操作ごとに設定する。それにより、操作者が指定操作を行うことで所望の処理の処理停止機能が禁止される処理として設定しながら、誤操作によって施術が中断されることを防止することができる超音波診断装置を提供することができる。
また、指定操作が設定操作であるとき、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作することを間接的に表す操作に連動して、処理停止機能が禁止される処理が設定される。それにより、被検体への施術に対応した処理を処理停止機能が禁止される処理として設定しながら、誤操作によって施術が中断されることを防止することができる超音波診断装置を提供することができる。
以上述べた少なくともひとつの実施形態の超音波診断装置によれば、超音波診断装置が被検体への施術とともに動作すると判定されたとき、処理停止操作を受けた場合でも処理停止機能がオンとならないように処理停止機能を禁止する。それにより、誤操作によって施術が中断されることを防止することができる超音波診断装置を提供することができる。
なお、本明細書では、被検体への施術の例として、穿刺針刺入を挙げて説明したが、造影剤の投与などの他の施術が被検体へ行われる場合に、以上述べた少なくともひとつの実施形態が適用されてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。