JP2016153366A - ペンタシル型ゼオライト及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、炭化水素合成反応において従来よりも高い触媒活性を有するペンタシル型ゼオライト、及び安価なSDAを使用する当該ゼオライトの製造方法、及び、当該ゼオライトを含む炭化水素合成用触媒を提供することを目的とする。【解決手段】一次粒子の短径長さの平均が7nm以上、20nm以下、且つ短径長さの標準偏差が3以下であり、なおかつ、BET比表面積が430m2/g以上であるペンタシル型ゼオライト。当該ゼオライトは、ケイ素源、アルミニウム源、テトラブチルアンモニウムカチオンを含み、なおかつ、SiO2/Al2O3モル比が80未満である混合物を150℃以下で結晶化する結晶化工程を有する製造方法により得ることができる。【選択図】図4

Description

本発明は、ペンタシル型ゼオライトに関する。より詳しくは、触媒活性の高いペンタシル型ゼオライトに関する。
ゼオライトは高い比表面積、吸着特性、固体酸性を有することから、低級炭化水素合成反応や流動接触分解のような石油精製プロセスにおいて触媒として使用されている。特にペンタシル型ゼオライトは、前述の触媒として高活性、高収率、及び高寿命であり、さらなる性能向上が検討されている。
特許文献1では、小さい一次粒子のペンタシル型ゼオライトであるZSM−5が開示されている。具体的に、SiO/Alモル比(以下、「SiO/Al」とする。)が15、結晶サイズが0.05μm以下であり、なおかつ、BET比表面積が415m/gであるペンタシル型ゼオライトが開示されている。
非特許文献1では、有機構造指向剤(以下、「SDA」とする。)として2個のアンモニウム官能基を有する有機界面活性剤を用いて合成されたペンタシル型ゼオライトが開示されている。当該ゼオライトの一次粒子は薄層の形状を有し、SiO/Alが98以上であり、500m/gという高いBET比表面積を有することが開示されている。
非特許文献2では、SDAとしてリンを含有するテトラブチルホスホニウムヒドロキシドを用い、SiO/Alが150以上である出発混合物から合成されたペンタシル型ゼオライトが開示されている。当該ゼオライトの一次粒子は、その厚さが2nmの薄層の形状を有することが開示されている。
特許文献2では、超微粒のZSM−5が開示されている。当該ゼオライトはそのサイズ計測の結果、結晶厚みが5〜7nm程度のZSM−5を開示している。
特表2002−535222号公報 国際公開2014−099262号公報
Journal of American Chemical Society,Vol,132,p.4169(2010) Science,Vol.336,p.1684(2012)
特許文献1のペンタシル型ゼオライトは、BET比表面積を高くするために一次粒子を小さくしていたが、BET比表面積420m/g以上のペンタシル型ゼオライトを得ることはできなかった。
特許文献2の超微粒ZSM−5は高価なSDAを使用して合成され、また、非特許文献1の薄層状のペンタシル型ゼオライトは、非常に高価な有機界面活性剤を使用して合成されるため、工業的な使用には適さないものであった。
これらの課題に鑑み、本発明は、炭化水素合成反応において従来よりも高い触媒活性を有するペンタシル型ゼオライト、及び安価なSDAを用いた当該ゼオライトの製造方法を提供することを目的とする。
発明者らは、上記の課題に対し鋭意検討した。その結果、特定の一次粒子の形状を有し、なおかつ、BET比表面積が430m/g以上であるペンタシル型ゼオライトが、炭化水素合成反応において高い触媒活性を有することを見出した。更には、SDAとして、安価なテトラブチルアンモニウムカチオン(以下、「TBA」とする。)を含む化合物を用いることで当該ゼオライトを合成できることを見出した。これにより本発明を完成させるに至った。
以下、本発明のペンタシル型ゼオライトについて説明する。
本発明はペンタシル型ゼオライトに係る。ペンタシル型ゼオライトとは、酸素5員環の組合せを含むゼオライトである。ペンタシル型ゼオライトとして、国際ゼオライト学会(以下、「IZA」とする。)が規定する構造コードでMFI、MEL及びこれらの連晶体からなる群の少なくとも1種を挙げることができる。MFIとして、ZSM−5、又はシリカライト−1、MELとしてZSM−11、又はシリカライト−2を挙げることができる。
ペンタシル型ゼオライトの結晶相は、Collection of simulated XRD powder patterns for zeolites,Fifth revised edition,p.483(2007)に記載の粉末X線回折(以下、「XRD」とする。)パターン、又はIZAの構造委員会のホームページ(http://www.iza−struture.org/databases/)のDisorder in Zeolite FrameworksのThe Pentasil Familyに記載のXRDパターンの少なくともいずれかと比較することで、これを同定することができる。
本発明のペンタシル型ゼオライトは、その一次粒子の短径長さの平均(以下、「平均短径長」とする。)が7nm以上、20nm以下、短径長さの標準偏差(以下、「短径長偏差」とする。)が3以下であり、なおかつ、430m/g以上のBET比表面積を有する。
本発明のペンタシル型ゼオライトは、その一次粒子の平均短径長が7nm以上20nm以下、好ましくは7〜12nm、短径長偏差が3以下である。このような平均短径長、及び短径長偏差を有することで、本発明のペンタシル型ゼオライトはその一次粒子が、一方向に長く伸びた形状を有し、なおかつ、炭化水素合成触媒として使用すると高い触媒活性示す。触媒活性が向上するため、平均短径長は好ましくは7nm以上、更に好ましくは8nm以上である。一方で平均短径長は、好ましくは15nm以下、更に好ましくは12nm以下、また更に好ましくは10nm以下である。これにより、本発明のペンタシル型ゼオライトはより耐久性に優れる。平均短径長は7〜10nmであることが好ましい。
本発明における一次粒子とは、単結晶が集合して形成された多結晶体の結晶粒子である。本発明のペンタシル型ゼオライトにおいては、電子顕微鏡を使用した観察において、独立した粒子として観察される最小単位が一次粒子である。
本発明のペンタシル型ゼオライトの一次粒子の短径は、文献「粒子径計測技術,粉体工学会編(以下、「参照文献1」とする。)、5項3行目から6項2行目の記載の定義に基づいて計測された値である。以下、短径の計測方法を示した模式図(図1)により説明する。平面上に静置された1個の一次粒子(1)を平面に垂直な方向から観察する。一次粒子(1)の投影像の輪郭(2)に対して、これに接する2本の平行線(3)の間の長さをX(4)とする。当該一次粒子において、複数のX(4)を求め、最小となる長さのXを短径長さ(5)とする。計測する一次粒子は無作為に抽出し、30個以上計測する。得られた短径長さの平均値を平均短径長とし、得られた短径長さの標準偏差を短径長偏差とする。
本発明のペンタシル型ゼオライトの一次粒子の短径の計測は、電子顕微鏡を用いて行う。電子顕微鏡は、計測に必要な粒子像が得られるものあればよい。走差型電子顕微鏡(以下、「SEM」とする。)又は透過型電子顕微鏡(以下、「TEM」とする。)の少なくともいずれかが挙げられる。
本発明のペンタシル型ゼオライトのBET比表面積は430m/g以上である。BET比表面積が430m/g以上であることで、本発明のペンタシル型ゼオライトを炭化水素合成反応に触媒として使用した際に、高い触媒活性、高い選択性を有する。単位重量当たり、単位堆積当たりの触媒活性がより向上するため、本発明のペンタシル型ゼオライトのBET比表面積は高いほど好ましく、520m/g以上であることが好ましく、更には540m/g以上であることがより好ましい。通常、本発明のペンタシル型ゼオライトのBET比表面積は800m/g以下、更には700m/g以下、また更には600m/g以下である。
本発明において、BET比表面積はJIS8830(ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法)に準じた測定方法によって測定できる。当該測定は吸着ガスとして窒素を使用し、相対圧p/p(以下、「p/p」とする。)=0.30での1点法でBET比表面積を求められる。
本発明のペンタシル型ゼオライトの外部比表面積は、200m/g以上であることが好ましい。これにより、ゼオライト内部への物質拡散がより容易になる。外部比表面積は、好ましくは250m/g以上、280m/g以上である。
外部比表面積は、液体窒素温度における一般的な窒素吸着法を用い、t−plot法から求めることができる。例えば、tを吸着層の厚みとし、tについての測定点を直線近似し、得られた回帰直線の傾きから外部比表面積を求める方法である。
本発明のペンタシル型ゼオライトの一次粒子の形状は、柱状であることが好ましい。
本発明のペンタシル型ゼオライトは、ケイ素及びアルミニウムの総量に対するリンのモル比(以下、「P/(Si+Al)」とする。)が0.0005未満であることが好ましい。P/(Si+Al)が0.0005未満であることで、本発明のペンタシル型ゼオライトを炭化水素の合成反応に触媒として使用した際に、反応物質の転化率がより高くなる。反応物質の転化率がより高くなることから、P/(Si+Al)は0.0003以下が好ましく、更にはPを実質的に含まないこと、すなわち、P/(Si+Al)=0であることが好ましい。通常の組成分析により得られる測定値の測定限界はP/(Si+A)は0.0001程度である。そのため、本発明においては、0.0001未満であれば、リンは本発明のペンタシル型ゼオライトの触媒特性に影響しないため、リンを実質的に含まないといえる。
本発明のペンタシル型ゼオライトは、2.9〜8.8nmの格子面間隔(以下、単に「d」とする。)を有さないことが好ましい。一次粒子が規則的に凝集すると、このような範囲のdを有する二次粒子が形成される。すなわち、本発明のペンタシル型ゼオライトは、一次粒子が規則性を持たずに凝集して二次粒子を形成していることが好ましい。規則性を持たずに一次粒子が凝集することにより、一次粒子の間に規則的ではない細孔が形成される。当該細孔の存在により、本発明のペンタシル型ゼオライトを炭化水素合成反応に触媒として使用した際に、反応物質が触媒内部へより拡散しやすくなり、触媒活性が向上する。
一次粒子が規則性を持たずに凝集していることは、XRD測定によって確認することができる。一次粒子が規則的に凝集していると、そのXRDパターンにおいて、dに対応する回折ピークが確認できる。2.9〜8.8nmのdは、CuKα線(λ=1.5405Å)を線源とするXRDパターンの回折角2θ=1.0°〜3.0°に相当する。そのため、本発明のペンタシル型ゼオライトは、そのXRD測定において、d=2.9〜8.8nmに相当する回折ピークを有さないことが好ましい。
なお、メソポーラスシリカなど、シリカが規則的に配置されたシリカ源からなる混合物を結晶化して得られたペンタシル型ゼオライトや、SDAとして複数個のアンモニウム官能基を有する有機界面活性剤を含む混合物を結晶化して得られたペンタシル型ゼオライトは、一次粒子が規則的に配列しやすい。このようなペンタシル型ゼオライトは、そのXRD測定においてd=2.9〜8.8nmに相当する回折ピークを有する。
本発明のペンタシル型ゼオライトは、SiO/Alが78未満であることが好ましい。SiO/Alが低い程ゼオライトの酸点がより多くなるため、本発明のペンタシル型ゼオライトを炭化水素合成反応に触媒として使用した際に、触媒活性が向上する。より好ましい範囲として、SiO/Alが70以下、さらには55以下を挙げることができる。また、ゼオライトの耐熱性が向上することから、SiO/Alは10以上が好ましく、更には15以上、また更には20以上が好ましい。
本発明のペンタシル型ゼオライトは、細孔容積が0.60mL/g以下、更には0.50mL/g以下、また更には0.40mL/g以下であることが好ましい。細孔容積がこの範囲であることで、本発明のペンタシル型ゼオライトをカラム等に充填して使用する際に充填性が高くなりやすい。これに加え、本発明のペンタシル型ゼオライトの粉末や、これを成型した成形体の強度が高くなるなど、操作性(ハンドリング)が容易になりやすい。さらに、細孔容積は0.30mL/g以上が好ましい。これにより、反応物質がゼオライト内部へより拡散しやすくなり、触媒活性が向上する。
ここで細孔容積とは、前記ガス吸着法において、77Kの温度下で窒素の相対圧p/p(以下、「p/p」とする。)を0.96まで上昇させた際の試料への窒素の吸着量を測定し、当該吸着量に換算係数(0.00156)を乗算した値である。
本発明のペンタシル型ゼオライトは、メソ孔を有することが好ましい。メソ孔を有することで細孔内への物質拡散が有利となり、高い触媒反応を示す。
ここでメソ孔とは、JIS8831−3において2〜50nmの間の細孔径をもつ細孔と定義される細孔である。ここで細孔径とは、JIS8831(ガス吸着によるメソ細孔及びマクロ細孔の測定方法)のBJH法に準じて細孔構造を円柱状に仮定して計算される細孔半径の2倍の値である。
本発明のペンタシル型ゼオライトは、特に細孔径10nm以下のメソ孔を有することが好ましい。
ここで、細孔径10nm以下のメソ孔を有することは、細孔径2〜50nmの範囲での細孔容積に対する、細孔径2〜10nmの範囲での細孔容積の比率で表すことができる。具体的に、当該細孔容積の比率は0.30以上、更には0.40以上であることが好ましく、また更には0.50以上であることが好ましい。このような細孔径10nm以下のメソ孔を有することにより、特に細孔内へより速く物質が拡散するため、本発明のペンタシル型ゼオライトを炭化水素合成反応に触媒として使用した際に高い触媒活性を有する。
ここで細孔径2〜10nmの範囲での細孔容積とは、前記ガス吸着法において、77Kの温度下でp/p=0.38〜0.81における試料への窒素の吸着量を測定し、当該吸着量に換算係数(0.00156)を乗算した値である。これと同様に、細孔径2〜50nmの範囲での細孔容積とは、p/p=0.38〜0.96における試料への窒素の吸着量を測定し、当該吸着量に換算係数(0.00156)を乗算した値である。
本発明のペンタシル型ゼオライトは、その二次粒子の粒子径が0.3〜50μmであることが好ましい。二次粒子径がこの範囲だと、粉末のハンドリングがよくなる。
本発明のペンタシル型ゼオライトは、アンモニア−TPD法による酸量(以下、単に「酸量」とする。)が0.44mmol/g以上であることが好ましく、更には0.55mmol/g以上であることが好ましい。酸量が高いほど、本発明のペンタシル型ゼオライトがより高い触媒活性を有する。本発明のペンタシル型ゼオライトの酸量は1.00mmol/g以下、更には0.60mmol/g以下であることが例示できる。
本発明において、酸量は「アンモニア昇温脱離法による固体酸性質測定,触媒, vol.42,p.218(2000)」に準じたアンモニア−TPD法により測定される値である。すなわち、本発明における酸量は、アンモニアを室温で飽和吸着させたペンタシル型ゼオライトから100〜700℃で脱離するアンモニア量を測定することにより得られる値であることが好ましい。具体的には、室温で試料にアンモニアを飽和吸着させ、100℃に加熱して測定雰囲気中に残存するアンモニアの除去を行った後、昇温速度10℃/分で700℃までの昇温過程で測定されるアンモニア量をもって固体酸量とする。アンモニア量の測定はTCD検出器を使用すればよい。
また、本発明のペンタシル型ゼオライトはアルカリ金属を含有してもよい。アルカリ金属を含有する場合、本発明のペンタシル型ゼオライトのアルミニウムに対するアルカリ金属のモル比(以下、「M/Al」とする。)は0.6以下、更には0.5以下、また更には0.3以下、また更には0.1以下、また更に0.05以上を挙げることができる。アルカリ金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、及びセシウムからなる群の少なくとも1種が例示できる。アルカリ金属はナトリウム又はカリウムの少なくともいずれかであることが好ましい。
本発明のペンタシル型ゼオライトは、少なくとも表1に示す2θ、及び、XRDピーク強度比を有することが好ましい。このような2θ、及び、XRDピーク強度比を有することにより、本発明のペンタシル型ゼオライトの耐久性がより高くなる。
Figure 2016153366
なお、表1におけるXRDピーク強度比とは、2θ=23.0±0.4のピーク強度を100とした場合、当該XRDピーク強度に対する各2θにおけるXRDピークの強度の相対値である。
本発明のペンタシル型ゼオライトは、少なくとも2θ=23.0±0.4、及び2θ=23.8±0.4にX線回折ピークを有し、2θ=23.0〜23.8の間にX線回折強度の極小点を有し、2θ=23.8±0.4における回折ピークのX線回折強度に対する当該極小点のX線回折強度の比が0.85以下であることが好ましい。このように、2θ=23.0±0.4、及び2θ=23.8±0.4の二つのピークが明瞭に確認できることにより、本発明のペンタシル型ゼオライトは結晶性が高く、触媒反応に用いた際の耐久性がより高くなる傾向にある。当該強度比は、好ましくは80以下、更に好ましくは78以下である。ここで、2θ=23.8±0.4におけるX線回折強度、及び、極小点のX線回折強度は、XRDパターンにおけるバックグランド補正処理を行った後の強度を用いることが例示できる。具体的には、当該強度比の計測方法を示した模式図(図2)により説明する。XRDパターンにおいてベースライン(6)を引く。そして、2θ=23.8±0.4における回折ピークのX線回折強度から、同2θにおけるベースラインの強度を減算し、これを当該2θにおけるX線回折強度とする(7)。同様に、2θ=23.0〜23.8における極小点の(6)からのXRD回折強度から、同2θにおけるベースラインの強度を減算し、これを当該2θにおけるX線回折強度とする(8)。こうして得られた、(7)、(8)の数値から、強度比を算出する。
本発明のペンタシル型ゼオライトは、少なくとも表2に示す2θ、及び、XRDピーク強度比を有することが好ましい。このような2θ、及び、XRDピーク強度比を有することにより、本発明のペンタシル型ゼオライトの耐久性がより高くなる。
Figure 2016153366
本発明のペンタシル型ゼオライトは、炭化水素合成反応の触媒として使用することができる。ここで炭化水素合成反応とは、触媒による、原料化合物の脱水または脱水素反応による炭素数2から4のアルケンの合成反応、もしくは接触分解反応による芳香族炭化水素の合成反応を挙げることができる。ここで、更に、芳香族炭化水素の合成反応とは、軽油又は分解ガソリンの接触分解による低級炭化水素化反応、又は、低級アルケンの縮合反応を挙げることができる。
本発明のペンタシル型ゼオライトは、特に単環芳香族炭化水素の合成触媒として使用することが好ましい。単環芳香族炭化水素とは、縮合ベンゼン環以外のベンゼン環を含む炭化水素である。好ましい単環芳香族炭化水素として、ベンゼン又はアルキルベンゼンの少なくともいずれかからなる芳香族炭化水素、更にはベンゼン又はアルキルベンゼンの少なくともいずれかからなる芳香族炭化水素であって、炭素数が6から9であるもの挙げることができる。なお、アルキルベンゼンとは、アルキル基又はシクロアルキル基の少なくともいずれかを有するベンゼン環からなる炭化水素である。より好ましい単環芳香族炭化水素として、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、及びインダンの群から選ばれる少なくとも1種以上を挙げることができる。
本発明のペンタシル型ゼオライトを触媒として使用する場合、これと原料化合物とを任意の方法によって接触させればよい。
本発明のペンタシル型ゼオライトを芳香族炭化水素の合成触媒として使用する場合、原料化合物としてアルカン、アルケン、アルコール、軽油及び分解ガソリンの群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。アルカンとしてメタン、エタン、プロパン、ブタン、及びペンタンの群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。アルケンとしてエチレン、プロピレン、ブテン、及びペンテンの群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。アルコールとしてメタノール、又はエタノールの少なくともいずれかを挙げることができる。軽油として、分解軽油(Light cycle oil)、粗軽油、軽質軽油、及び水素化分解軽油からなる群の少なくとも1種を挙げることができる。分解軽油、粗軽油、軽質軽油、及び水素化分解軽油はテトラリンを含んでいてもよい。
本発明のペンタシル型ゼオライトを含む触媒を用いた芳香族炭化水素の製造方法では、前記原料化合物を当該触媒に接触させる工程を含む。当該工程では、原料化合物と触媒の酸点とを接触させることにより分解、脱水素、環化、水素移行等の様々な反応を起こさせ、芳香族炭化水素に転換する方法である。
触媒と接触する際の原料化合物は、好ましくは液相又は気相の少なくともいずれか、更に好ましくは気相である。これにより、原料化合物と触媒上の酸点とが効率よく接触し、触媒反応転化率がより向上する。また、原料化合物が気相の場合、原料化合物を必要に応じてガスで希釈してもよい。また、未反応原料が生じた場合は、必要に応じてリサイクルしてもよい。 原料化合物を触媒と接触、反応させる際の反応温度は、特に制限されるものではないが、好ましくは300℃以上700℃以下である。300℃以上、好ましくは400℃以上であることにより、十分な反応活性が得られる。また、700℃以下、好ましくは650℃以下であることにより、容易に触媒を再生することができる。
本発明の芳香族炭化水素製造方法として、例えば、原料化合物をガス状の分解軽油とし、本発明のペンタシル型ゼオライトに、接触させる方法が例示できる。これにより、芳香族炭化水素を得ることができる。当該製造方法の条件として、温度=300〜600℃、圧力=0.1〜10MPa、及び、重量毎時空間速度(WHSV)=0.001〜0.1/時が例示できる。
例えば、分解軽油を原料化合物として芳香族炭化水の合成を行う場合、本発明のペンタシル型ゼオライトに、気化させた分解軽油を接触させることで触媒反応が生じる。これにより、芳香族炭化水素を得ることができる。触媒反応の条件として、温度=300〜600℃、圧力=0.1〜10MPa、及び、重量毎時空間速度(WHSV)=0.001〜0.1/時が例示できる。
次に、本発明のペンタシル型ゼオライトの製造方法について説明する。
本発明のペンタシル型ゼオライトは、ケイ素源、アルミニウム源、TBA、及びアルカリ金属源を含み、なおかつ、SiO/Alが80未満である混合物を150℃以下で結晶化する結晶化工程を有する製造方法により製造することができる。
混合物は、少なくともケイ素源、アルミニウム源、TBA、アルカリ金属源を含み、なおかつ、SiO/Alは80未満である。
ケイ素源はケイ素(Si)を含む化合物であり、テトラエトキシシラン、シリカゾル、ヒュームドシリカ、沈降法シリカ、ケイ酸ソーダ、無定形ケイ酸、及び無定形アルミノケイ酸塩からなる群の少なくとも1種を挙げることができる。工業的な製造に適しているため、ケイ素源はシリカゾル、ヒュームドシリカ、沈降法シリカ、ケイ酸ソーダ、無定形ケイ酸、及び無定形アルミノケイ酸塩からなる群の少なくとも1種であることが好ましい。さらに、ケイ素源は、メソポーラスシリカ以外のシリカであることが好ましい。メソポーラスシリカとして、例えば、MCM−41、MCM−48、FSM−16及びSBA−15の群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
アルミニウム源はアルミニウム(Al)を含む化合物であり、アルミニウムイソプロポキシド、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、擬ベーマイト、アルミナゾル、アルミン酸ソーダ、及び無定形アルミノケイ酸塩からなる群の少なくとも1種が例示できる。工業的な製造に適しているため、アルミニウム源は硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、擬ベーマイト、アルミナゾル、アルミン酸ソーダ、及び無定形アルミノケイ酸塩からなる群の少なくとも1種であることが好ましい。
TBAはSDAとして機能する。TBAを含有する混合物を結晶化することで、一次粒子の形状が制御され、なおかつ、大きいBET比表面積を有するペンタシル型ゼオライトを得ることができる。
TBAは、TBAを含む化合物として混合物に含まれる。TBAを含む化合物として、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(以下、「TBAOH」とする。)、テトラブチルアンモニウムクロリド(以下、「TBACl」とする。)、及びテトラブチルアンモニウムブロミド(以下、「TBABr」とする。)からなる群の少なくとも1つを挙げることができ、さらに好ましくはTBAOHを挙げることができる。
SDAとしての効果を十分に得るために、混合物中のシリカに対するTBAのモル比(以下、「TBA/SiO」とする。)が0.04以上、0.3以下、更には0.1以上、0.25以下であることが好ましい。
さらに、TBAは燃焼熱が小さい。そのため、結晶化工程で得られたペンタシル型ゼオライトからTBAを焼成により除去する場合であっても、ゼオライト骨格への熱的負荷、特にTBA燃焼に伴う4配位Alから6配位Alへの変化、いわゆる脱アルミニウム(de−alumination)が生じにくい。これにより、本発明の製造方法により得られるペンタシル型ゼオライトの酸量がより高くなりやすい。更にTBAには、複数個のアンモニウム官能基を有する有機界面活性剤のように細孔を大きくする作用がないため、細孔容積が大きくなり過ぎない。適度な細孔容積を有するペンタシル型ゼオライトを得るための構造指向剤としても、TBAは好ましい。
アルカリ金属源は、アルカリ金属(以下、「M」とする。)としてナトリウム又はカリウムを含む化合物であり、アルカリ金属を含む水酸化物、塩化物、臭化物、硫化物、及び珪酸塩からなる群の少なくとも1種、更にはアルカリ金属を含む水酸化物を例示することができる。特に、水酸化カリウムのみであってもよい。さらに、アルカリ金属がナトリウムである場合、ナトリウム源はナトリウム(Na)を含む化合物であり、当該ナトリウム(Na)を含む化合物は、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、硫酸ナトリウム、ケイ酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、及び、他の成分のカウンターカチオンとして含まれるナトリウムからなる群の少なくとも1種が例示できる。アルカリ金属がカリウムである場合、カリウム源はカリウム(K)を含む化合物であり、当該カリウム(K)を含む化合物は、水酸化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、硫酸カリウム、ケイ酸カリウム、アルミン酸カリウム、及び、他の成分のカウンターカチオンとして含まれるカリウムからなる群の少なくとも1種が例示できる。
混合物におけるSiO/Alは80未満である。生成するゼオライトの活性点が増え、触媒反応の効率が良くなるため、SiO/Alは低い程好ましい。好ましいSiO/Alは、70以下、更には60以下であることが好ましい。また、得られるゼオライトの耐熱性が向上することから、SiO/Alは10以上であることが好ましく、更には20以上、また更には40以上であることが好ましい。
混合物の組成が、少なくとも以下のモル組成を有することが好ましい。
TBA/SiO 0.04以上、0.3以下
OH/SiO 0.05以上、0.35以下
なお、上記組成における各割合はモル(mol)割合である。更に好ましい組成として、
TBA/SiO 0.04以上、0.3以下
OH/SiO 0.05以上、0.35以下
K/SiO 0.05を超え、0.1未満
なお、上記組成における各割合はモル(mol)割合である。また、更に好ましい組成として、
SiO/Al 30以上、80未満
TBA/SiO 0.04以上、0.3以下
OH/SiO 0.05以上、0.35以下
M/SiO 0.05を超え、0.1未満
SO/SiO 0以上、0.1以下
O/SiO 5以上、40以下
(ここで、Mはアルカリ金属の総量を表す)
を挙げることができ、更には、
SiO/Al 50以上、80未満、更には55以上、70以下
TBA/SiO 0.1以上、0.2以下
OH/SiO 0.15以上、0.2以下
M/SiO 0.05を超え、0.1未満、更には0.06以上、0.08以下
SO/SiO 0以上、0.05以下
O/SiO 5以上、15以下
を挙げることができる。
結晶化工程は、結晶化を150℃以下で行う。結晶化を150℃以下で行うことにより、従来知られているペンタシル型ゼオライトであるZSM−11とは異なる一次粒子の形状を有するゼオライトを得ることができる。結晶化温度は130℃以下、更には120℃以下、また更には110℃以下であることが好ましい。より低温で処理することで得られるペンタシル型ゼオライトのBET比表面積が大きくなる。
結晶化時間は結晶化に十分な時間であることが好ましく、25時間以上、更には50時間以上、更には96時間以上が好ましい。結晶化時間は500時間以下、更には300時間以下、また更には200時間以下であれば、BET比表面積が430m/g以上のペンタシル型ゼオライトが得られる。
結晶化方法は水熱合成処理が挙げられる。
本発明の製造方法では、結晶化工程の後、洗浄工程、乾燥工程、又はSDA除去工程のいずれかを有していてもよい。
洗浄工程において、結晶化工程で得られたペンタシル型ゼオライトを固液分離し、これを固相として得る。洗浄方法は任意であり、結晶化物を純水で洗浄すればよい。
乾燥工程では、ペンタシル型ゼオライトを乾燥する。乾燥方法は、大気中、100〜200℃で処理することが挙げられる。
SDA除去工程では、SDAを除去する。結晶化工程では、ペンタシル型ゼオライトは、SDAを含有した状態で得られる。このようなSDAを含有したペンタシル型ゼオライトから、適宜、SDAを除去することができる。SDAの除去方法は、焼成、又は分解が例示できる。焼成によりSDAを除去する場合、含酸素ガス流通下で、400〜800℃、更には500〜700℃、0.5〜12時間処理することが挙げられる。
SDA除去工程においては、焼成又は分解によるSDA除去後のペンタシル型ゼオライトを再洗浄してもよい。これにより、残存したNaやKの低減若しくは除去ができる。再洗浄の方法として、水、塩化アンモニウム水溶液、希塩酸、希硫酸、及び希硝酸の群から選ばれる少なくとも1種と、SDA除去後のペンタシル型ゼオライトを混合することが挙げられる。混合後のペンタシル型ゼオライトは、例えば、純水による洗浄等、任意の方法で洗浄すればよい
本発明により、430m/g以上のBET比表面積を有し、なおかつ、炭化水素合成反応において高い触媒活性を有するペンタシル型ゼオライトを提供できる。また、安価なSDAであるTBAを含む化合物を用いた当該ゼオライトの製造方法を提供できる。
短径の計測方法を示した模式図 2θ=23.8±0.4の回折ピークのX線回折強度に対する2θ=23.0〜23.8の間にX線回折強度の極小点のX線回折強度の比の計測方法を示した模式図 実施例1のペンタシル型ゼオライトのXRDパターン 実施例1のペンタシル型ゼオライトの一次粒子のTEM観察像 (図中スケールは100nm) 実施例1のペンタシル型ゼオライトの二次粒子のSEM観察像 (図中スケールは1μm) 実施例1のペンタシル型ゼオライトの細孔径分布図 実施例2〜6のペンタシル型ゼオライトのXRDパターン
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。しかし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例、比較例における各測定方法は、以下の通りである。
(一次粒子の短径計測)
一次粒子の観察は、一般的なTEM装置(商品名:JEM−2100F、日本電子製)を用いて行った。粉末試料を試料瓶にとり、アセトンを加え10分間超音波分散を行った。その後、マイクログリッド支持銅メッシュにアセトン分散液を滴下し、溶媒を蒸発させてTEM観察試料とした。当該TEM観察試料を観察し、TEM観察像を得た。得られた観察像の一次粒子に関して短径測定を行った。
一次粒子の短径測定は、参照文献1の定義に基づいて行った。TEM観察像により確認された一次粒子に接線を引きその長さ(X)を測定した。この操作を繰り返しXの最小値をもって、当該一次粒子の短径長さとした。TEM観察像から無作為に選んだ30個の一次粒子の短径長さを求め、その平均値及び偏差を求めて、平均短径長及び短径長偏差とした。
(結晶相の同定)
一般的なXRD装置(商品名:MXP−3、マックサイエンス社製)を使用し、試料のXRD測定を行った。測定条件は以下のとおりとした。
線源 : CuKα線(λ=1.5405Å)
測定モード : ステップスキャン
スキャン条件: 毎秒0.02°
発散スリット: 1.0deg
散乱スリット: 1.0deg
受光スリット: 0.3mm
計測時間 : 1秒
測定範囲 : 2θ=5°〜48°
得られたXRDパターンと、Collection of simulated XRD powder patterns for zeolites,Fifth revised edition,p.483(2007)に記載のXRDパターンとを比較することで、試料を同定した。
(一次粒子の凝集の規則性)
一般的なXRD装置(商品名:MXP−3、マックサイエンス社製)を使用し、試料の粉末XRD測定を行った。測定条件は以下のとおりとした。
線源 : CuKα線(λ=1.5405Å)
測定モード : ステップスキャン
スキャン条件: 毎秒0.02°
発散スリット: 0.5deg
散乱スリット: 0.5deg
受光スリット: 0.15mm
計測時間 : 5.0秒
測定範囲 : 2θ=1°〜3
得られたXRDパターンにおいて、d=2.9〜8.8nmに相当する回折ピークの有無から一次粒子の凝集の規則性を確認した。
(二次粒子の観察)
一般的な電解放出形走査型電子顕微鏡(商品名:S−4500、日立製作所製)を用いて試料の二次粒子を観察した。
(組成分析)
組成分析は誘導結合プラズマ発光分析法(ICP法)により行った。試料をフッ酸と硝酸の混合溶液に溶解させ、測定溶液を調製した。一般的な誘導結合プラズマ発光分析装置(商品名:OPTIMA3000DV、PERKIN ELMER製)を用いて、得られた測定溶液を測定して試料の組成を分析した。
(BET比表面積)
JIS 8830に準じた測定により、試料のBET比表面積を求めた。測定には、一般的な比表面積測定装置(商品名:フローソーブIII、島津製作所製)を用いた。前処理として試料を300℃で2時間保持した。前処理後の試料についてBET比表面積を測定した。測定条件は以下のとおりである。
処理ガス :窒素を30体積%、ヘリウムを70体積%含む混合ガス
(相対圧p/p0=0.3に相当)
測定方法 :1点法
(メソ孔の存在、細孔容積及び外部比表面積)
メソ孔の存在及び細孔容積の測定は窒素吸着等温線測定により行った。測定には、一般的な吸着量測定装置(商品名:ベルソープ28SA、日本ベル製)を用いた。試料を前処理として試料を350℃で2時間保持した。前処理後の試料について、各相対圧における窒素吸着量を測定し、吸着等温線を得た。吸着等温線から、BJH法により細孔径と細孔容積をプロットした図である細孔径分布図を得た。測定条件は以下のとおりである。
処理ガス :窒素ガス
処理温度 :液体窒素温度(77K)
測定圧力 :10−4kPa〜100kPa
(p/p=10−6〜1.0)
得られた吸着等温線における、p/p=0.96における窒素吸着容量から試料の細孔容積(cm/g)を求めた。また、p/p=0.38〜0.81における窒素吸着容量から試料の細孔径2〜10nmの細孔容積(cm/g)を求め、また、p/p=0.38〜0.96における窒素吸着容量から試料の細孔径2〜50nmの細孔容積(cm/g)を求めた。得られた細孔径分布図からメソ孔の存在を確認した。外部比表面積は、t−plot法により、吸着層の厚みを直線近似して求めた。
(固体酸量の測定)
アンモニア−TPD法により、試料の固体酸量の測定を行った。
試料0.1gを500℃のヘリウム流通下に静置してこれを前処理とした。1時間の前処理後の試料について、室温で、10体積%のアンモニア及び90体積%のヘリウムを含む混合ガスを流通させて、試料にアンモニアを飽和吸着させた。混合ガスを1時間流通した後、混合ガスに代え、ヘリウムガスを流通しながら試料を100℃まで昇温した。昇温後、100℃、1時間、ヘリウムガスを流通させることで雰囲気中に残存するアンモニアを除去した。
残存アンモニアの除去後、流速50mL/分のヘリウム流通下、昇温速度10℃/分で700℃まで昇温し、TCD検出器を使用して、当該昇温過程で測定されたアンモニア量をもって、試料に吸着されたアンモニア量とした。試料の単位質量あたりの吸着アンモニア量を固体酸量(mmol/g)とした。
実施例1
ケイ酸ソーダ水溶液、及び、硫酸を混合し粒状無定形ケイ酸を得た。得られた粒状無定形ケイ酸、硫酸アルミニウム、40%TBAOH水溶液(東京化成)、水酸化ナトリウム、及び純水を混合し、以下のモル組成からなる混合物を得た。
SiO/Al = 70
TBA/SiO = 0.2
OH/SiO = 0.166
Na/SiO = 0.05
K/SiO = 0.019
SO/SiO = 0.042
O/SiO = 10
混合物中のカリウム(K)は、40%TBAOH水溶液に含まれていたものに由来する。
得られた混合物をステンレス製の反応容器に充填し、これを密閉した。その後、当該反応容器を55回転/分で公転させながら130℃まで加熱した。加熱後、反応容器を公転しながら130℃で96時間保持することで混合物を結晶化させ、結晶化スラリーを得た。
結晶化スラリーを冷却、ろ過、洗浄、及び110℃で乾燥して生成物を得た。
生成物のXRDパターンはMEL構造のXRDパターンに一致し、ペンタシル型ゼオライトであること、表3に示すX線回折角、及び回折ピーク強度比を有することを確認した。更に、d=2.9〜8.8nmに相当する回折ピークを有さないことを確認した。また更に、2θ=23.5にX線回折強度の極小点を有し、2θ=23.8におけるX線回折強度に対する当該極小点のX線回折強度の比は0.79であった。XRDパターンを図3に示す。
Figure 2016153366
生成物のTEM観察像を図4に示す。生成物の一次粒子は不規則に凝集し、二次粒子を形成していることが確認された。更に、TEM観察像を拡大し、短径測定を行った一次粒子の短径長さは5〜15nmであった。平均短径長は9.3nmであり、短径長偏差は2.3であった。更に、SEM観察を行い、当該二次粒子の粒子径は0.3〜50μmであることを確認した。SEM観察像を図5に示す。
得られたペンタシル型ゼオライトを、空気中、550℃で焼成し、10%NHCl水溶液に添加、混合、純水で洗浄することで、ペンタシル型ゼオライト中のナトリウム、カリウムをアンモニウムにイオン交換した。当該ペンタシル型ゼオライトを空気中、500℃で焼成し、本実施例のペンタシル型ゼオライトとした。本実施例のペンタシル型ゼオライトは酸量が0.44mmol/g、細孔容積が0.44mL/gであった。また、窒素による吸着等温線測定により、メソ孔の存在を確認した。得られた細孔径分布図を図6に示す。細孔径2〜50nmの範囲での細孔容積に対する、細孔径2〜10nmの範囲での細孔容積の比率は0.63だった。BET比表面積は547m/g、外部比表面積は320m/gであった。評価結果を表9に示す。
実施例2
結晶化時間を144時間としたこと以外は実施例1と同じ組成の混合物を、実施例1と同様な方法で結晶化、冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥することで生成物を得た。
生成物のXRDパターンはMEL構造のXRDパターンに一致し、ペンタシル型ゼオライトであること、表4に示すX線回折角、及び回折ピーク強度比を有することを確認した。更に、d=2.9〜8.8nmの間に相当する回折ピークを有さないことを確認した。また更に、2θ=23.4にX線回折強度の極小点を有し、2θ=23.7におけるX線回折強度に対する当該極小点のX線回折強度の比は0.72であった。XRDパターンを図7に示す。
Figure 2016153366
実施例1と同様な方法で、TEM観察を行った。生成物の一次粒子は不規則に凝集し、二次粒子を形成していることを確認した。短径測定の結果、一次粒子の短径長さは6〜15nmであり、平均短径長は9.3nmであり、短径長偏差は1.7であった。
得られたペンタシル型ゼオライトを、実施例1と同様な方法で、焼成した。焼成後のペンタシル型ゼオライトは細孔容積が0.44mL/gであった。細孔径2〜50nmの範囲での細孔容積に対する、細孔径2〜10nmの範囲での細孔容積の比率は0.64であった。BET比表面積は472m/g、外部比表面積は239m/gであった。評価結果を表9に示す。
実施例3
SiO/Al=57となるようにケイ酸ソーダ水溶液と、硫酸アルミニウム水溶液とを混合し、得られた混合物を脱水、及び洗浄して粒状無定形アルミノケイ酸塩を得た。当該粒状無定形アルミノケイ酸塩を10%KCl水溶液に添加、混合、純水で洗浄することで、粒状無定形アルミノケイ酸塩中のナトリウムをカリウムにイオン交換した。イオン交換後の粒状無定形アルミノケイ酸塩、40%TBAOH水溶液(東京化成)、水酸化カリウム、及び純水を混合し、以下のモル組成からなる混合物を得た。
SiO/Al = 57
TBA/SiO = 0.12
OH/SiO = 0.18
K/SiO = 0.071
O/SiO = 10
当該混合物を用いたこと、結晶化温度を110℃としたこと、及び、結晶化時間を191時間としたこと以外は実施例1と同様な方法で結晶化、冷却、ろ過、洗浄、乾燥することで生成物を得た。
生成物のXRDパターンはMEL構造のXRDパターンに一致し、ペンタシル型ゼオライトであること、表5に示すX線回折角、及び回折ピーク強度比を有することを確認した。更に、d=2.9〜8.8nmの間に相当する回折ピークを有さないことを確認した。また更に、2θ=23.5にX線回折強度の極小点を有し、2θ=23.8におけるX線回折強度に対する当該極小点のX線回折強度の比は0.78であった。XRDパターンを図7に示す。
Figure 2016153366
実施例1と同様な方法で、TEM観察を行った。生成物の一次粒子は不規則に凝集し、二次粒子を形成していることを確認した。短径測定の結果、一次粒子の短径長さは6〜15nmであり、平均短径長は10.2nmであり、短径長偏差は1.8であった。
得られたペンタシル型ゼオライトを、実施例1と同様な方法で、焼成、イオン交換を行った後再焼成した。再焼成後のペンタシル型ゼオライトは酸量が0.55mmol/g、細孔容積が0.36mL/gであった。細孔径2〜50nmの範囲での細孔容積に対する、細孔径2〜10nmの範囲での細孔容積の比率は0.69であった。BET比表面積は528m/g、外部比表面積は260m/gであった。評価結果を表9に示す。
実施例4
実施例3と同様な方法により粒状無定形アルミノケイ酸塩を得た後、さらにカリウムイオン交換した。イオン交換後の粒状無定形アルミノケイ酸塩、40%TBAOH水溶液(東京化成)、水酸化カリウム、及び純水を混合し、以下のモル組成からなる混合物を得た。
SiO/Al = 57
TBA/SiO = 0.14
OH/SiO = 0.2
K/SiO = 0.073
O/SiO = 10
当該混合物を用いたこと、結晶化温度を120℃としたこと、及び、結晶化時間を112時間としたこと以外は実施例1と同様な方法で結晶化、冷却、ろ過、洗浄、乾燥することで生成物を得た。
生成物のXRDパターンはMEL構造のXRDパターンに一致し、ペンタシル型ゼオライトであること、表6に示すX線回折角、及び回折ピーク強度比を有することを確認した。更に、d=2.9〜8.8nmの間に相当する回折ピークを有さないことを確認した。また更に、2θ=23.5にX線回折強度の極小点を有し、2θ=23.8におけるX線回折強度に対する当該極小点のX線回折強度の比は0.65であった。XRDパターンを図7に示す。
Figure 2016153366
更に、実施例1と同様な方法で、TEM観察を行った。生成物の一次粒子は不規則に凝集し、二次粒子を形成していることを確認した。短径測定を行った結果、一次粒子の短径長さは6〜17nmであった。平均短径長は10.2nmであり、短径長偏差は2.2であった。
得られたペンタシル型ゼオライトを、実施例1と同様な方法で、焼成、イオン交換を行った後再焼成した。再焼成後のペンタシル型ゼオライトは酸量が0.55mmol/g、細孔容積が0.33mL/gであった。細孔径2〜50nmの範囲での細孔容積に対する、細孔径2〜10nmの範囲での細孔容積の比率は0.57であった。BET比表面積は489m/g、外部比表面積は213m/gであった。評価結果を表9に示す。
実施例5
結晶化時間を288時間としたこと以外は実施例3と同じ組成の混合物を、実施例3と同様な方法で結晶化、冷却、ろ過、洗浄、及び乾燥することで生成物を得た。
生成物のXRDパターンはMEL構造のXRDパターンに一致し、ペンタシル型ゼオライトであること、表7に示すX線回折角、及び回折ピーク強度比を有することを確認した。更に、d=2.9〜8.8nmの間に相当する回折ピークを有さないことを確認した。また更に、2θ=23.5にX線回折強度の極小点を有し、2θ=23.8におけるX線回折強度に対する当該極小点のX線回折強度の比は0.73であった。XRDパターンを図7に示す。
Figure 2016153366
更に、実施例1と同様な方法で、TEM観察を行った。生成物の一次粒子は不規則に凝集し、二次粒子を形成していることを確認した。短径測定を行った結果、一次粒子の短径長さは7〜16nmであった。平均短径長は9.9nmであり、短径長偏差は2.3であった。
得られたペンタシル型ゼオライトを、実施例1と同様な方法で、焼成、イオン交換を行った後再焼成した。再焼成後のペンタシル型ゼオライトは酸量が0.55mmol/g、細孔容積が0.43mL/gであった。細孔径2〜50nmの範囲での細孔容積に対する、細孔径2〜10nmの範囲での細孔容積の比率は0.52であった。BET比表面積は501m/g、外部比表面積は307m/gであった。評価結果を表9に示す。
実施例6
SiO/Al=40となるようにケイ酸ソーダ水溶液と、硫酸アルミニウム水溶液とを混合し、得られた混合物を脱水、及び洗浄して粒状無定形アルミノケイ酸塩を得た。当該粒状無定形アルミノケイ酸塩を10%NHCl水溶液に添加、混合、純水で洗浄することで、粒状無定形アルミノケイ酸塩中のナトリウムをアンモニウムにイオン交換した。イオン交換後の粒状無定形アルミノケイ酸塩、40%TBAOH水溶液(東京化成)、水酸化カリウム、及び純水を混合し、以下のモル組成からなる混合物を得た。
SiO/Al = 40
TBA/SiO = 0.12
OH/SiO = 0.19
K/SiO = 0.07
O/SiO = 10
当該混合物を用いたこと、結晶化温度を110℃としたこと、及び、結晶化時間を379時間としたこと以外は実施例1と同様な方法で結晶化、冷却、ろ過、洗浄、乾燥することで生成物を得た。
生成物のXRDパターンはMEL構造のXRDパターンに一致し、ペンタシル型ゼオライトであること、表8に示すX線回折角、及び回折ピーク強度比を有することを確認した。更に、d=2.9〜8.8nmの間に相当する回折ピークを有さないことを確認した。また更に、2θ=23.5にX線回折強度の極小点を有し、2θ=23.8におけるX線回折強度に対する当該極小点のX線回折強度の比は0.70であった。XRDパターンを図7に示す。
Figure 2016153366
実施例1と同様な方法で、TEM観察を行った。生成物の一次粒子は不規則に凝集し、二次粒子を形成していることを確認した。短径測定の結果、一次粒子の短径長さは7〜17nmであり、平均短径長は11.7nmであり、短径長偏差は2.1であった。
得られたペンタシル型ゼオライトを、実施例1と同様な方法で、焼成した。焼成後のペンタシル型ゼオライトは細孔容積が0.34mL/gであった。細孔径2〜50nmの範囲での細孔容積に対する、細孔径2〜10nmの範囲での細孔容積の比率は0.39であった。BET比表面積は437m/g、外部比表面積は205m/gであった。評価結果を表9に示す。
比較例1
SiO/Al=48となるようにケイ酸ソーダ水溶液と、硫酸アルミニウム水溶液とを混合し、得られた混合物を脱水、及び洗浄して粒状無定形アルミノケイ酸塩を得た。得られた粒状無定形アルミノケイ酸塩、40%TBAOH水溶液、水酸化ナトリウム、及び純水を混合し、以下のモル組成からなる混合物を得た。
SiO/Al = 48
TBA/SiO = 0.2
OH/SiO = 0.45
Na/SiO = 0.25
O/SiO = 30
当該混合物を用いたこと、結晶化温度を160℃としたこと、及び、結晶化時間を84時間としたこと以外は実施例1と同様な方法で結晶化、冷却、ろ過、洗浄することで生成物を得た。
生成物のXRDパターンはMEL構造のXRDパターンに一致し、ペンタシル型ゼオライトであることを確認した。
更に、SEM観察を行った。生成物の一次粒子は、その直径が500nm以上の球形の形状を示した。
得られたペンタシル型ゼオライトを、実施例1と同様な方法で焼成した。BET比表面積は330m/gであった。評価結果を表9に示す。
比較例2
比較例1と同様な方法により粒状無定形アルミノケイ酸塩を得た。得られた粒状無定形アルミノケイ酸塩、種晶、硫酸アルミニウム、50%テトラプロピルアンモニウムブロミド水溶液、水酸化ナトリウム、及び純水を混合し、以下のモル組成からなる混合物を得た。種晶にはSiO/Al=48のZSM−5を用いた。
SiO/Al = 48
TPA/SiO = 0.05
OH/SiO = 0.17
Na/SiO = 0.17
O/SiO = 10
(ここで、TPAはテトラプロピルアンモニウムカチオンを示す)
当該混合物を用いたこと、結晶化温度を120℃としたこと、及び、結晶化時間を90時間としたこと以外は実施例1と同様な方法で結晶化、冷却、ろ過、洗浄、乾燥することで生成物を得た。
生成物のXRDパターンはMFI構造の回折パターンに一致し、ペンタシル型ゼオライトであることを確認した。
更に、実施例1と同様な方法で、TEM観察を行った。生成物の一次粒子は、その直径が40nmの球状の形状を示した。
得られたペンタシル型ゼオライトを、実施例1と同様な方法で焼成、イオン交換を行った後再焼成した。再焼成後のペンタシル型ゼオライトは細孔容積が0.49mL/gであった。細孔径2〜50nmの範囲での細孔容積に対する、細孔径2〜10nmの範囲での細孔容積の比率は0.18であった。BET比表面積は397m/g、外部比表面積は111m/gであった。評価結果を表9に示す。
比較例3
SiO/Al=45となるようにケイ酸ソーダ水溶液と、硫酸アルミニウム水溶液とを混合し、得られた混合物を脱水、及び洗浄して粒状無定形アルミノケイ酸塩得た。得られた粒状無定形アルミノケイ酸塩、水酸化ナトリウム、及び純水を混合し、以下のモル組成からなる混合物を得た。
SiO/Al = 45
OH/SiO = 0.164
Na/SiO = 0.164
O/SiO = 12
当該混合物を用いたこと、結晶化温度を180℃としたこと、及び、結晶化時間を23時間としたこと以外は実施例1と同様な方法で結晶化、冷却、ろ過、洗浄、乾燥することで生成物を得た。
生成物のXRDパターンはMFI構造の回折パターンに一致し、ペンタシル型ゼオライトであることを確認した。
更に、SEM観察を行った。生成物の一次粒子は、六角板状の形状を示し、その直径は2μm以上であった。
得られたペンタシル型ゼオライトを、実施例1と同様な方法で焼成、イオン交換を行った後再焼成した。BET比表面積は330m/gであった。評価結果を表9に示す。
比較例4
実施例1と同様な方法で粒状無定形ケイ酸を得た。得られた粒状無定形ケイ酸、硫酸アルミニウム、40%テトラブチルホスホニウムヒドロキシド水溶液、水酸化ナトリウム、及び純水を混合し、以下のモル組成からなる混合物を得た。
SiO/Al = 80
TBP/SiO = 0.2
OH/SiO = 0.18
Na/SiO = 0.05
SO/SiO = 0.04
O/SiO = 10
(ここで、TBPはテトラブチルホスホニウムカチオンを示す)
当該混合物を用いたこと、結晶化時間を72時間としたこと以外は実施例1と同様な方法で結晶化、冷却、ろ過、洗浄、乾燥することで生成物を得た。
XRDパターンはMEL構造に一致し、ペンタシル型ゼオライトであることを確認した。
更に、実施例1と同様な方法で、TEM観察を行った。一次粒子は、薄層の形状であった。生成物の一次粒子は不規則に凝集し、二次粒子を形成していることを確認した。短径測定の結果、一次粒子の短径長さは2〜17nmであり、平均短径長は7.1nmであり、短径長偏差は4.2であった。短径長偏差が大きいものであった。
得られたペンタシル型ゼオライトを、実施例1と同様な方法で焼成した。BET比表面積は523m/gであった。評価結果を表9に示す。
比較例5
非特許文献1に準じて、ペンタシル型ゼオライトを合成した。まず、有機界面活性剤[C2245−N(CH−C12−N(CH−C13]Br(以下、C22−6−6とする。)を非特許文献1と同じ方法で合成した。そして、テトラエトキシシラン、硫酸アルミニウム、C22−6−6、水酸化ナトリウム、硫酸及び純水を混合し、以下のモル組成から成る混合物を得た。
SiO/Al = 100
C22−6−6/SiO = 0.1
OH/SiO = 0.42
Na/SiO = 0.6
SO/SiO = 0.18
O/SiO = 40
当該混合物を用いたこと、結晶化温度を150℃、結晶化時間を120時間としたこと以外は実施例1と同様な方法で結晶化、冷却、ろ過、洗浄、乾燥することで生成物を得た。
XRDパターンはMFI構造に一致し、ペンタシル型ゼオライトであることを確認した。
更に、実施例1と同様な方法で、TEM観察を行った。一次粒子は、薄層の形状であった。短径測定の結果、一次粒子の短径長さは2〜94nmであり、平均短径長は22.1nmであり、短径長偏差は26.6であった。短径長偏差が大きいものであった。
得られたペンタシル型ゼオライトを、実施例1と同様な方法で焼成した。BET比表面積は581m/gであった。評価結果を表9に示す。
比較例6
非特許文献2に準じて、ペンタシル型ゼオライトを合成した。すなわち、テトラエトキシシラン、硫酸アルミニウム、40%テトラブチルホスホニウムヒドロキシド水溶液、水酸化ナトリウム、及び純水を混合し、以下のモル組成からなる混合物を得た。
SiO/Al = 200
TBP/SiO = 0.3
OH/SiO = 0.28
Na/SiO = 0.01
SO/SiO = 0.015
O/SiO = 10
OH/SiO = 4
ここで、COHはエタノールとする。
当該混合物を用いたこと、結晶化温度を115℃にしたこと、結晶化時間を72時間としたこと以外は実施例1と同様な方法で結晶化、冷却、ろ過、洗浄、乾燥することで生成物を得た。
XRD測定により、ペンタシル型ゼオライトであることを確認した。
更に、実施例1と同様な方法で、TEM観察を行った。一次粒子は、薄層の形状であった。短径測定の結果、一次粒子の短径長さ2〜20nmであり、平均短径長は6.7nmであり、短径長偏差は4.4であった。
得られたペンタシル型ゼオライトを、実施例1と同様な方法で焼成した。BET比表面積は560m/gであった。評価結果を表9に示す。
Figure 2016153366
(テトラリンからの芳香族炭化水素合成反応評価)
実施例5、比較例2、3及び5のペンタシル型ゼオライトを用い、テトラリンからの芳香族炭化水素合成反応の触媒として評価した。結果を表10に示した。
前処理として、粉末状のゼオライトを内径4cm、厚さ7mmの塩ビ製リングに入れて、塩ビ製リングごと400kgf/cmで1分間加圧して成形体とした。得られた成形体を乳鉢で粉砕して、さらにふるいに通すことで直径1mmにサイズが整ったペレットとし、これを評価触媒とした。当該ペレットをガラス製のカラムに充填し、触媒充填層とした。
当該触媒充填層にテトラリンを含有するガスを流通させ、芳香族炭化水素の合成反応を行った。この際、触媒充填層に流通させるテトラリンの流量は一定とした。触媒充填層を通過させたガス中の炭素数6から9の単環芳香族炭化水素(以下、「C6−9」とする。)の留分として、回収した液成分を調査し、芳香族合成反応における触媒性能の指標とした。ここで、回収した液成分とは、採取時間をT(分)とした場合、T−20分〜T分の間触媒充填層通過後のガス成分をトラップして回収した液の成分を表す。
評価条件を以下に示す。
原料ガス :テトラリン
キャリアガス :窒素
評価触媒の重量 :1.0g
原料ガス流量 :テトラリン重量/触媒重量=0.0354/時
触媒反応温度 :450℃
圧力 :0.1MPa
原料ガス及び触媒充填層流通後のガス(以下、「反応ガス」とする。)を、水素炎検出器(FID)を備えたガスクロマトグラフィー(装置名:GC−14A、島津製作所製)で分析した。得られた分析結果より、以下の式(1)からテトラリンの転化率を求め、また、以下の式(2)から単環芳香族炭化水素の収率を求めた。
TC={1−(ET/IT)}×100 (1)
式(1)において、TCはテトラリンの転化率(%)、ITは原料ガス中のテトラリン炭素数(mol/分)、及び、ETは反応ガス中のテトラリン炭素数(mol/分)である。
CA=EA/IT×100 (2)
式(2)において、CAは炭素数6から9の単環芳香族炭化水素(以下、「C6−9」とする。)の収率、EAは反応ガス中のC6−9の炭素数(mol/分)、及び、ITは原料ガス中のテトラリン炭素数(mol/分)である。
Figure 2016153366
実施例のペンタシル型ゼオライトは、テトラリンの転化率が、比較例2、3及び5よりも高く、本発明のペンタシル型ゼオライトは、より効率よくテトラリンをC6−9に転化することが確認できた。さらに、実施例のペンタシル型ゼオライトは、比較例に比べC6−9の収率も60%以上向上し、目的とする芳香族炭化水素がより効率よく得られることが確認できた。また更には、実施例のペンタシル型ゼオライトは、転化率が約20%となる時間は比較例の3〜12倍であり、触媒の長寿命化が確認できた。
(エチレンからの芳香族炭化水素合成反応評価)
実施例5、比較例5、6のペンタシル型ゼオライトを用い、エチレンからの芳香族炭化水素合成反応の触媒として評価した。結果を表11に示した。評価条件を以下のようにしたこと以外は、テトラリン分解反応と同様にしてエチレンからの芳香族合成の評価を行った。評価条件を以下に示す。
原料ガス :エチレン
キャリアガス :窒素
評価触媒の重量 :0.9g
原料ガス流量 :(エチレン流量+窒素流量)/触媒体積=2000/時
触媒反応温度 :600℃
圧力 :0.1MPa
原料ガス及び触媒充填層流通後のガス(以下、「反応ガス」とする。)を、水素炎検出器(FID)を備えたガスクロマトグラフィー(装置名:GC−14A、島津製作所製)で分析した。得られた分析結果より、以下の式(3)からエチレンの転化率を求め、また、以下の式(4)から単環芳香族炭化水素の収率を求めた。
EC={1−(EE/IE)}×100 (3)
式(3)において、ECはエチレンの転化率(%)、IEは原料ガス中のエチレン炭素数(mol/分)、及び、EEは反応ガス中のエチレン炭素数(mol/分)である。
CA=EA/IE×100 (4)
式(2)において、CAは炭素数6から9の単環芳香族炭化水素(以下、「C6−9」とする。)の収率、EAは反応ガス中のC6−9の炭素数(mol/分)、及び、IEは原料ガス中のエチレン炭素数(mol/分)である。
Figure 2016153366
実施例5のペンタシル型ゼオライトは、比較例5、6と比較すると、エチレン流通時間20分の時点での転化率、収率が共に高く、比較例5に対し1.9倍、比較例6に対し1.5倍であることを確認した。
また、比較例5は流通時間140分の時点で収率が10%以下に低下し、比較例6も320分の時点で収率が8%に低下した。一方、実施例5は流通時間320分の時点で収率38%を維持していた。これは、実施例5のペンタシル型ゼオライトが、触媒として用いた際に耐久性が高く転化率の低下が抑制されることによるものと考えられる。
本発明のペンタシル型ゼオライトは、炭化水素合成反応、特に芳香族炭化水素の合成反応の触媒として使用できる。特に芳香族炭化水素の合成反応において、軽油又は分解ガソリンの接触分解による低級炭化水素化反応、又は、低級アルケンの縮合反応の触媒として適している。
(1)・・・平面上に静置された1個の一次粒子
(2)・・・平面に垂直な方向から観察した際の(1)の投影像の輪郭
(3)・・・(2)に接する2本の平行線
(4)・・・(3)ではさんだときの平行線の長さX
(5)・・・(4)が最小となる長さ(短径長さ)
(6)・・・XRDパターンにおけるベースライン
(7)・・・XRDパターンの2θ=23.8±0.4における回折ピークの(6)からのX線回折強度
(8)・・・XRDパターンの2θ=23.0〜23.8における極小点の(6)からのXRD回折強度

Claims (12)

  1. 一次粒子の短径長さの平均が7nm以上、20nm以下、短径長さの標準偏差が3以下であり、なおかつ、BET比表面積が430m/g以上であるペンタシル型ゼオライト。
  2. 外部比表面積が200m/g以上である請求項1に記載のペンタシル型ゼオライト。
  3. ケイ素及びアルミニウムの総量に対するリンのモル比が0.0005未満である請求項1又は2に記載のペンタシル型ゼオライト。
  4. 2.9〜8.8nmの格子面間隔を有さない請求項1乃至3に記載のペンタシル型ゼオライト。
  5. SiO/Alモル比が78未満である請求項1乃至4いずれか一項に記載のペンタシル型ゼオライト。
  6. 細孔径2〜50nmの範囲での細孔容積に対する、細孔径2〜10nmの範囲での細孔容積の比率が0.30以上である請求項1乃至5いずれか一項に記載のペンタシル型ゼオライト。
  7. 少なくとも以下の表1に示す2θ、及び、XRDピーク強度比を有する請求項1乃至6いずれか一項に記載のペンタシル型ゼオライト。
    Figure 2016153366
  8. 少なくとも2θ=23.0±0.4、及び2θ=23.8±0.4にX線回折ピークを有し、2θ=23.0〜23.8の間にX線回折強度の極小点を有し、なおかつ、2θ=23.8±0.4における回折ピークのX線回折強度に対する当該極小点のX線回折強度の比が0.85以下である請求項1乃至7いずれか一項に記載のペンタシル型ゼオライト。
  9. ケイ素源、アルミニウム源、テトラブチルアンモニウムカチオン、及びアルカリ金属源を含み、なおかつ、SiO/Alモル比が80未満である混合物を150℃以下で結晶化する結晶化工程を有する請求項1乃至8いずれか一項に記載のペンタシル型ゼオライトの製造方法。
  10. 前記混合物の組成が、少なくとも以下のモル組成を有する請求項9に記載のペンタシル型ゼオライトの製造方法。
    テトラブチルアンモニウムカチオン/SiO 0.04以上、0.3以下
    OH/SiO 0.05以上、0.35以下
  11. 前記混合物の組成が、少なくとも以下のモル組成を有する請求項9又は10に記載のペンタシル型ゼオライトの製造方法。
    テトラブチルアンモニウムカチオン/SiO 0.04以上、0.3以下
    OH/SiO 0.05以上、0.35以下
    K/SiO 0.05を超え、0.1未満
  12. 請求項1乃至8いずれか一項に記載のペンタシル型ゼオライトを含む炭化水素合成用触媒。
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