JP2016152509A - 音響信号処理装置および音響信号処理プログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ヒストグラム生成部20は、音響信号SIのレベルのヒストグラムを生成する。確率密度関数フィッティング部30は、ヒストグラムに確率密度関数をフィッティングする。パラメータ調整部40は、確率密度関数のパラメータを調整する。調整規則算出部50は、パラメータの調整前の確率密度関数とパラメータの調整後の確率密度関数とに基づいて調整規則を算出する。レベル調整部60は、音響信号SIのレベルを調整規則に基づいて調整し、調整後の音響信号を音響信号SOとして出力する。
【選択図】図1
Description
図1は本発明の一実施の形態に係る音響信号処理装置の機能的な構成を示すブロック図である。図1の音響信号処理装置1は、音響信号SIの振幅を調整する効果音付与装置(エフェクタ)として機能する。音響信号SIは、音声または楽音等の音響の時間波形を示すサンプル系列である。以下の説明では、音響信号SIの信号成分のうち正側に振れる信号成分の振幅を正のレベルで表し、負側に振れる信号成分の振幅を負のレベルで表す。音響信号処理装置1は、エンベロープ算出部10、ヒストグラム生成部20、確率密度関数フィッティング部30、パラメータ調整部40、調整規則算出部50およびレベル調整部60を含む。
上式(1)において、xは音響信号のレベルであり、Aは係数である。確率密度関数f(x)はレベルxの度数を表す。また、μは確率密度関数により表される度数分布の平均を表し、σ2は確率密度関数により表される度数分布の分散を表す。平均μおよび分散σ2は確率密度関数f(x)のパラメータである。図3(b)には、ヒストグラムがドットで示され、ヒストグラムにフィッティングされた確率密度関数f(x)が実線で示される。以下、確率密度関数により表される度数分布の平均を確率密度関数の平均と略記し、確率密度関数により表される度数分布の分散を確率密度関数の分散と略記する。
調整後の分散をσ2 2とすると、上式(1)より調整後の確率密度関数f2(x)は次式で表される。
調整規則算出部50は、調整前の確率密度関数f1(x)と調整後の確率密度関数f2(x)とに基づいて調整規則gを算出する。調整前のレベルをx1とし、調整後のレベルをx2とする。f1(x1)=f2(x2)が成立するため、上式(2),(3)より次式が成立する。
上式(4)より次式が導かれる。
本例では、調整前のレベルx1および調整後のレベルx2は正である。ここで、調整前のレベルx1はレベル調整部60に与えられる音響信号SIのレベルに相当し、調整前のレベルx2はレベル調整部60から出力される音響信号SOのレベルに相当する。本例では、調整規則gは、音響信号SIのレベルと音響信号SOのレベルとの関係を示す関数である。調整規則算出部50は、上式(5)に基づいて次式の関数g(x)をレベル調整部60に調整規則gとして与える。
上式(5a)において、xの値は図1の音響信号SIのレベルに相当し、g(x)の値は音響信号SOのレベルに相当する。レベル調整部60は、調整規則gに基づいて音響信号SIのレベルを調整し、調整後の音響信号を音響信号SOとして出力する。この場合、レベル調整部60は、音響信号SIのレベルを上式(5a)のxに代入することによりg(x)の値を音響信号SOのレベルとして算出する。図4(a)の例では、確率密度関数の分散σ2を調整することにより、音響信号のレベルの調整度合いを全体的に変更することができる。
上式(5b)において、AおよびBは係数である。調整規則算出部50は上式(5)の係数の値(σ2/σ1)および係数の値{−(σ2/σ1)・μ}をレベル調整部60に調整規則gとして与える。レベル調整部60は、調整規則算出部50から与えられた係数の値(σ2/σ1)および係数の値{−(σ2/σ1)・μ}を上式(5b)の係数Aおよび係数Bにそれぞれ代入するとともに音響信号SIのレベルを上式(5b)のxに代入することによりg(x)の値を音響信号SOのレベルとして算出する。
調整後の平均をμ2とすると、上式(1)より調整後の確率密度関数f2(x)は次式で表される。
f1(x1)=f2(x2)が成立するため、上式(6),(7)より次式が成立する。
上式(8)より次式が導かれる。
本例では、調整規則gは、音響信号SIのレベルと音響信号SOのレベルとの関係を示す関数である。調整規則算出部50は、上式(9)に基づいて次式の関数g(x)を調整規則gとしてレベル調整部60に与える。
上式(9a)において、xの値は図1の音響信号SIのレベルに相当し、g(x)の値は音響信号SOのレベルに相当する。レベル調整部60は、調整規則gに基づいて音響信号SIのレベルを調整し、調整後の音響信号を音響信号SOとして出力する。この場合、レベル調整部60は、音響信号SIのレベルを上式(9a)のxに代入することによりg(x)の値を音響信号SOのレベルとして算出する。図4(b)の例では、確率密度関数の平均μを調整することにより、音響信号のレベルを全体的に高くまたは低くすることができる。
上式(9b)において、CおよびDは係数である。調整規則算出部50は上式(9)の係数の値1および係数の値(−μ1+μ2)をレベル調整部60に調整規則gとして与える。レベル調整部60は、調整規則算出部50から与えられた係数の値1および係数の値(−μ1+μ2)を上式(9b)の係数Cおよび係数Dにそれぞれ代入するとともに音響信号SIのレベルを上式(9b)のxに代入することによりg(x)の値を音響信号SOのレベルとして算出する。
…(10)
f2b(x)=A・exp{−(x−μ)2/2σb 2} (μ<x)
…(11)
ここで、図2(c)に示すエンベロープにおいて、リリース成分RLのサンプルは主として平均μ以下のレベルを有する。また、リリース成分RLのサンプル数はアタック成分ATのサンプル数に比べて多い。そのため、平均μ以下のレベルのサンプルは主としてリリース成分RLに関連する。一方、平均μよりも高いレベルのサンプルは主としてアタック成分ATに関連する。したがって、図4(c)の例において、確率密度関数の平均μ以下のレベルの範囲における分散の調整により主としてリリース成分RLに関連する信号成分のレベルを調整することができる。また、確率密度関数の平均μよりも高いレベルの範囲における分散の調整により主としてアタック成分ATに関連する信号成分のレベルを調整することができる。
確率密度関数フィッティング部30がパラメータとして歪度および尖度のうち少なくとも一方を有する確率密度関数を用いてもよい。この場合、パラメータ調整部40において、歪度および尖度のうち少なくとも一方を調整することができる。
図6は音響信号処理装置1のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。音響信号処理装置1は、例えばパーソナルコンピュータ、スマートデバイスまたはタブレット端末等により構成される。図6の音響信号処理装置1は、CPU(中央演算処理装置)110、ROM(リードオンリメモリ)120、RAM(ランダムアクセスメモリ)130、記憶装置140、表示装置150、入力装置160および出力装置170を含む。
図7は図6の音響信号処理装置1により行われる音響信号処理を示すフローチャートである。図7の音響信号処理は、図6のCPU110がROM120または記憶装置140に記憶された音響信号処理プログラムを実行することにより行われる。
本実施の形態に係る音響信号処理装置1および音響信号処理プログラムによれば、音響信号のレベルのヒストグラムに確率密度関数がフィッティングされ、その確率密度関数の曲線が表示される。使用者は確率密度関数に変形操作を行うことにより確率密度関数のパラメータを調整することができる。パラメータの調整前および調整後の確率密度関数に基づいて調整規則が算出される。この場合、ヒストグラムは音響信号の信号成分のレベルの全体的な傾向を示している。したがって、確率密度関数のパラメータの調整により得られる調整規則を用いて音響信号のレベルを調整することにより曲の一部または全体のバランスを考慮した音響信号のレベルの調整が可能となる。
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
(7−1)上記実施の形態において、音響信号処理装置1がエンベロープ算出部10を含まなくてもよい。この場合、確率密度関数はレベル0を中心として正側および負側に形成される。例えば、確率密度関数がガウス分布の場合には、レベルの平均μが0となる。したがって、確率密度関数は次式で表される。
ここで、確率密度関数の分散σ2が調整される。この場合、調整前の分散σ2をσ1 2とすると、上式(13)より調整前の確率密度関数f1(x)は次式で表される。
調整後の分散σ2をσ2 2とすると、上式(13)より調整後の確率密度関数f2(x)は次式で表される。
調整前のレベルをx1とし、調整後のレベルをx2とすると、f1(x1)=f2(x2)が成立するため、上式(14),(15)より次式が成立する。
上式(16)より次式が導かれる。
本例では、上式(17)の係数√(σ2 2/σ1 2)が調整規則gである。この場合、調整規則算出部50はレベル調整部60に調整規則gとして係数√(σ2 2/σ1 2)を与える。レベル調整部60は、音響信号SIに係数√(σ2 2/σ1 2)を乗算し、乗算結果を音響信号SOとして出力する。
上式(17a)において、xの値は図1の音響信号SIのレベルに相当し、g(x)の値は音響信号SOのレベルに相当する。レベル調整部60は、音響信号SIのレベルを上式(17a)のxに代入することによりg(x)の値を音響信号SOのレベルとして算出する。また、調整規則gが音響信号SIのレベルと音響信号SOのレベルとの関係を示すテーブルであってもよい。
Claims (4)
- 音響信号のレベルのヒストグラムを生成する生成手段と、
前記ヒストグラムを確率密度関数で近似する近似手段と、
前記確率密度関数のパラメータを調整するための調整手段と、
パラメータの調整前の確率密度関数およびパラメータの調整後の確率密度関数に基づいて、前記音響信号のレベルを調整するための調整規則を算出する算出手段とを備える、音響信号処理装置。 - 前記パラメータは、前記確率密度関数により表される度数分布の平均および分散の少なくとも一方を含み、
前記調整手段は、前記分散および前記平均の前記少なくとも一方を調整可能に構成される、請求項1記載の音響信号処理装置。 - 前記調整手段は、前記確率密度関数により表される度数分布の平均以下のレベルの範囲における分散および前記度数分布の前記平均よりも高いレベルの範囲における分散のうち少なくとも一方を調整可能に構成される、請求項2記載の音響信号処理装置。
- 音響信号のレベルのヒストグラムを生成する生成ステップと、
前記ヒストグラムを確率密度関数で近似する近似ステップと、
前記確率密度関数のパラメータを調整するための調整ステップと、
パラメータの調整前の確率密度関数およびパラメータの調整後の確率密度関数に基づいて、前記音響信号のレベルを調整するための調整規則を算出する算出ステップとを、コンピュータに実行させる、音響信号処理プログラム。
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