JP2016150930A - ディフェンシン発現促進剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】誘導性型ディフェンシンの発現促進剤の提供。【解決手段】2−(1’H−インドール−3’−カルボニル)−チアゾール−4−カルボン酸メチル、3,3’−ジインドリルメタン、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸及びクルクミンから選ばれるAhR活性化剤を有効成分とする誘導性型ディフェンシン発現促進剤。【選択図】なし

Description

本発明は、誘導性型ディフェンシンの発現を促進する誘導性型ディフェンシン発現促進剤に関する。
ヒトを含む全ての生物は、外的環境に接して生活しており、体内と外界を分離する組織・器官として皮膚や消化管等を発展させてきた。これらの上皮細胞(組織)器官は、物理的に生体異物の侵入を防御しているのみならず、抗菌ペプチド(antimicrobial peptides)等による自然免疫機構(innate immunity)を機能させることで、病原性微生物(細菌、真菌 等)が原因となる感染からの1次防御システムを構築している。加えて、皮膚や大腸等の上皮細胞器官は常在菌と共生器官を形成しており、この関係が間接的に健康的な上皮細胞バリアの構築に役立っている。最近の研究では、常在菌に由来する細胞壁成分がタイトジャンクション(tight junction)の発現に関与していることが報告された(非特許文献1)。共生関係においては、抗菌ペプチドが常在菌による悪影響(日和見感染)を防止する等、上皮細胞器官の共生関係の維持,正常化に重要な役割をしていると理解されている。
ディフェンシン(defensin)は当該抗菌ペプチドの中の一分類であり、主に好中球等の貪食細胞に存在するα型と皮膚を含む上皮細胞を中心に存在するβ型が代表的なものである。ヒトにおいては、現在のところ6種のα−ディフェンシン(human α−defensin)、すなわち4種のヒト好中球ペプチド[human neutrophil peptide−1〜4(HNP−1〜HNP−4)]と2種のヒトディフェンシン[human defesin−5,−6(HD−5,HD−6)]、及びβ−ディフェンシンとして主要な4種[human β−defensin−1〜4(hBD−1〜hBD−4)]がよく知られている。健全な皮膚バリアの構築、維持の観点からは、皮膚は上皮細胞(組織)器官であるので、β−ディフェンシン類がより重要となる(以下、「ディフェンシン」と記述した場合は、ヒトβ−ディフェンシンのことを意味する)。
hBD−1は定常状態において、十分な発現が認められる常時発現型抗菌ペプチドであるが、他のディフェンシンは生体防御機構が傷害(物理的な上皮細胞組織の破壊や炎症性サイトカインによる刺激 等)された際に発現が高まる誘導性型抗菌ペプチドである。誘導性型の内、hBD−4の発現は、精巣や胃洞部等に限局されることから、皮膚を含む上皮細胞組織においてはhBD−2及びhBD−3がより重要な誘導性型抗菌ペプチドであると考えられている。hBD−2及びhBD−3は、常時発現型のhBD−1に比較して、抗菌活性が強く、また、抗菌スペクトルも広いので、この点からもhBD−2、hBD−3の重要度は高い。特に、hBD−3は、グラム陽性菌(例えば、黄色ブドウ球菌)、グラム陰性菌(例えば、緑濃菌)及び真菌(例えば、カンジダ菌)に対し強い抗菌活性を示し、汗等に由来する塩類によってその活性が影響されないという好まし性質も有している(非特許文献2、3)。さらに、近年、アトピー性皮膚炎において、hBD−3の発現レベルが感染を抑制する上で十分、高まっていないことが報告され、アトピー性皮膚炎の発症あるいは重症度とhBD−3発現状態の関係が示唆されている(非特許文献4)。
従って、hBD−3等、誘導性型ディフェンシンの発現・産生を促進・改善することができれば、自然免疫に基づく上皮細胞組織・器官の生体防御機構を一層強化できると共に、特に、皮膚においては、皮膚バリア機能を増進し、さらにはアトピー性皮膚炎等の皮膚傷害を予防又は改善できること等が期待される。
従来より、hBD−3等、誘導性型ディフェンシンの発現を促進する方法として、15d−プロスタグランジンJ及びプロスタグランジンDのプロスタグランジン類の作用が知られている(非特許文献5)。しかしながら、これらは炎症性メディエーターであり、ディフェンシンの発現を促進する手段として、容易かつ現実的に利用できるものではない。このような状況から、一般的な生活の場面においても(例えば、化粧料として)利用可能なhBD−3等、誘導性型ディフェンシンの発現、産生促進剤の開発が望まれていた。
AhR(arylhydrocarbon receptor、芳香族炭化水素受容体)は、bHLH/PAS(basic helix−loop−helix/Per−Arnt−Sim)ファミリーに属する転写因子であり、ダイオキシンレセプターとしても知られている。AhRはリガンド活性型転写因子であり、リガンドと結合後、細胞核内に移行し、ARNT(aryl hydrocarbon receptor nuclear translocator、芳香族炭化水素受容体核内輸送体)とヘテロダイマーを形成することで、転写因子結合領域に作用する。AhRの活性化によって、発現が制御されている遺伝子として、CYP1A1、CYP1A2等のモノオキシゲナーゼ(monooxygenase)が良く知られており、AhRは生体異物の除去、解毒に関与している(非特許文献6)。また、近年の研究において、AhRの活性化がTreg(regulatory T cells、制御性T細胞)への分化を促進することから、免疫寛容を誘導する手段としても大きな注目を集めている(非特許文献7)。
一方、最近になって、エメンタールチーズ由来のプロピオン酸菌の作用で、乳清から生成されるビタミンKの前駆体で、プレバイティクスとしても知られているDHNA(1、4−dihydroxy−2−naphthoic acid)が、AhRを介してマウス小腸に抗菌タンパク質、Reg(regenerating islet−derived protein)IIIβ及びRegIIIγを誘導することが報告された(非特許文献8)。この結果は、マウス小腸におけるAhRの活性化が、自然免疫機構に関係していることを示唆している。
しかしながら、ある抗菌ペプチド又は抗菌タンパク質活性化剤が、他の抗菌ペプチドや抗菌タンパク質の発現を促進できるとは限らない。例えば、皮膚を含む上皮細胞組織における重要な抗菌ペプチドの1つであるCAMP(human cathelicidin antimicrobial peptide)/LL−37は、TLR(toll−like receptor)2/6のリガンド、Malp−2によって誘導されないが、このリガンドはhBD−2、hBD−3の発現を有意に促進する。また、LL−37の効果的な発現促進剤である活性型ビタミンD3は、hBD−2、hBD−3の発現に対する効果がないことがわかっている(非特許文献5)。
斯様に、誘導性型ディフェンシンの発現にAhRの活性化が関与することはこれまでに全く知られていない。
Kuo IH et al. (2013) J Invest Dermatol 133: 988-998 Harder J et al. (2001) J Biol Chem 276: 5707-5713 Niyonsaba F et al. (2005) J Dermatol Sci 40: 157-168 Nomura I et al. (2003) J Immunol 171:3262-3269 Bernard JJ et al. (2010) J Immunol 185: 6535-6544 Uno S et al. (2004) Mol Pharmacol 65: 1225-1237 Singh NP et al. (2011) PLoS ONE 6: e23522 Fukumoto S et al. (2014) Immunol Cell Biol 92: 460-465
本発明は、誘導性型ディフェンシンの発現促進剤を提供することに関する。
本発明者は、ディフェンシンの発現制御について鋭意検討した結果、hBD−2やhBD−3のような誘導性型ディフェンシンの発現がAhRの活性化を介して促進されることを発見し、特定のAhR活性化剤が誘導性型ディフェンシンの発現促進剤となり得ることを見出した。
すなわち、本発明は、2−(1’H−インドール−3’−カルボニル)−チアゾール−4−カルボン酸メチル、3,3’−ジインドリルメタン、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸及びクルクミンから選ばれるAhR活性化剤を有効成分とする誘導性型ディフェンシン発現促進剤に係るものである。
本発明によれば、皮膚、消化管、呼吸器系器官等,上皮細胞器官における自然免疫機能(主に抗菌作用)を高めることができ、その結果、特に、皮膚においては、そのバリア機能の強化、或いはアトピー性皮膚炎の予防又は改善を図ることができる。
本発明において、「誘導性型ディフェンシン」とは、ヒトの場合、物理的な上皮細胞組織の破壊や炎症性サイトカインの刺激等により、皮膚等の上皮細胞(組織)器官等で発現が高まる抗菌ぺプチドのことであり、具体的にはhBD−2、hBD−3及びhBD−4を意味する。
ここで、「hBD−2」は、ヒトβ−ディフェンシン−2(human β‐defensin‐2[Gene Symbol=DEFB4])として特定されている41アミノ酸残基からなるペプチドであり、「hBD−3」は、ヒトβ−ディフェンシン−3(human β−defensin−3[Gene Symbol=DEFB103])として特定されている45アミノ酸残基からなるペプチドであり、「hBD−4」は、ヒトβ−ディフェンシン−4(human β−defensin−4[Gene Symbol=DEFB104])として特定されている37アミノ酸残基からなるペプチドである。
このうち、hBD−2及びhBD−3は上皮細胞組織を含む皮膚、消化管、気道、口腔等の上皮細胞(組織)器官等で発現している。一方、hBD−4は精巣や胃洞部等に限局して発現している。本発明においては、hBD−2及びhBD−3が好ましく、hBD−3がより好ましい。
本発明において、「誘導性型ディフェンシンの発現促進」とは、誘導性型ディフェンシンのmRNA及び/又は誘導性型ディフェンシンタンパク質の発現促進を意味する。
尚、誘導性型ディフェンシン発現促進の評価は、例えば、正常ヒト表皮角化細胞(normal human epidermal keratinocyte)などの細胞系を用い、当該細胞からmRNA又タンパク質を抽出し、誘導性型ディフェンシンをコードするmRNA量又は誘導性型ディフェンシンタンパク質量を、リアルタイムPCRやノーザンブロッティング、或いはELISAやウェスタンブロッティングをそれぞれ用いて、測定することにより行うことができる。
本発明において、AhR(Arylhydrocarbon Receptor:芳香族炭化水素受容体)とは、bHLH−PAS(Basic Helix−Loop−Helix−Per−Arnt−Sim)ファミリーに属する転写因子を意味し、AhR活性化剤は、AhRに結合して当該受容体を活性化するAhRリガンドを意味する。ここで、「活性化」とは、細胞核内において標的遺伝子の転写誘導を促進することを意味する。
本発明のAhR活性化剤は、2−(1’H−インドール−3’−カルボニル)−チアゾール−4−カルボン酸メチル(2−(1’H−indole−3’−cabonyl)−thiazole−4−carboxylic acid methyl ester;「ITE」)、3,3’−ジインドリルメタン(3,3’−diindolylmethane;「DIM」)、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸(1,4−dihydroxy−2−naphthoic acid;「DHNA」)、及びクルクミン(curcumin)から選択される1種又は2種以上である。斯かる化合物は、何れもAhRリガンドとして知られている(Nguyen LP et al. (2008) Chem Res Toxicol 21: 102-116)。
これらの化合物は、公知の化学合成法や植物から及び微生物による発酵産物からの分画・精製により取得することができる。また、市販品も存在し、それらを利用することもできる。
上記ITE、DIM、DHNA又はクルクミンを正常ヒト表皮角化細胞に添加すると、hBD−2及びhBD−3のmRNAの発現量が有意に増加する(表1及び表3)。そして、当該作用はAhRのアンタゴニストの存在により抑制される(表2及び表4)。このことは、当該化合物によるhBD−2及びhBD−3の発現促進には、AhRの活性化が関与していることを意味している。
本発明の化合物群を始めとする、AhRの活性化を介した誘導性型ディフェンシン発現促進剤は、1)被験物質と、誘導性型ディフェンシン及びAhRを発現する細胞とを接触させる、2)誘導性型ディフェンシンの発現レベルを増加させる被験物質を選択する、3)AhRの選択的アンタゴニストにより前記効果が抑制される被験物質を選択する、ことによりスクリーニングできる。
上記1)において、被験物質と接触させる細胞は、誘導性型ディフェンシン及びAhRを発現可能なものである限り、通常の細胞又はそれらを発現するように遺伝子導入された組換え細胞の何れでもよい。好適には正常ヒト表皮角化細胞等のヒト培養細胞が挙げられる。
上記2)において、誘導性型ディフェンシンの発現レベルの測定は、例えば、総RNAを抽出し、リアルタイムPCR法を用いて誘導性型ディフェンシンをコードするmRNAの発現量を測定すること、又は、総タンパク質を抽出し,ウェスタンブロットにより誘導性型ディフェンシンのタンパク質レベルでの発現量を測定すること等が挙げられる。
上記3)において、AhRの選択的アンタゴニストとしては、例えばCH223191(1−Methyl−N−[2−methyl−4−[2−(2−methylphenyl)diazenyl]phen yl−1H−pyrazole−5−carboxamide)が挙げられ、当該化合物の存在下、上記の誘導性型ディフェンシンの発現レベルが抑制されるか否かを検討することが挙げられる(Zhao B et al. (2010) Toxicol Sci 117: 393-403)。
斯くして、本発明のAhR活性剤は、hBD−2及びhBD−3の発現を促進することから、誘導性型ディフェンシン発現促進剤となり得、また、誘導性型ディフェンシン発現促進剤を製造するために使用することができる。すなわち、本発明のAhR活性化剤は、誘導性型ディフェンシン発現促進のために使用することができる。ここで、ヒトに対する使用は、治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念、より具体的には医師又は医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。
当該誘導性型ディフェンシン発現促進剤は、それ自体、誘導性型ディフェンシン発現促進のための、化粧品、医薬品部外品、医薬品であってもよく、又は当該化粧品、医薬部外品、医薬品等に配合して使用される素材又は製剤であってもよい。
本発明のAhR活性化剤を含有する化粧品、医薬部外品又は医薬品は、好適には皮膚外用剤の形態で、具体的には、軟膏、乳化化粧料、クリーム、乳液、ローション、ジェル、エアゾール等の種々の形態で用いることができる。
斯かる製剤は、それぞれ一般的な製造法により、直接又は製剤上許容し得る担体、例えば、各種油剤、界面活性剤、ゲル化剤、防腐剤、酸化防止剤、溶剤、アルコール、水、キレート剤、増粘剤、紫外線吸収剤、乳化安定剤、pH調整剤、色素、香料等とともに混合、分散した後、所望の形態に加工することによって得ることができる。また、これらの化粧品、医薬部外品又は医薬品等には、それぞれの製剤に応じて、適宜、植物抽出物、殺菌剤、保湿剤、抗炎症剤、抗菌剤、清涼剤、抗脂漏剤等を本発明の効果を妨害しない範囲で適宜配合することができる。
当該化粧品、医薬部外品又は医薬品中の本発明のAhR活性化剤の含有量は、一般的に0.00001質量%、好ましくは0.001質量%以上であり、そして10質量%以下、好ましくは1質量%以下である。また、0.00001〜10質量%とするのが好ましく、0.001〜1質量%とするのがより好ましい。
上記化粧品、医薬部外品又は医薬品の投与量は、効果が得られる量であれば特に限定されず、対象者の状態、体重、性別、年齢又はその他の要因に従って変動し得るが、成人(60kg)1人当たり1日、本発明の各AhR活性化剤として、例えば、好ましくは0.5mg以上であり、そして1000mg以下、好ましくは500mg以下である。また、0.5〜1000mgとするのが好ましく、更に0.5〜500mgとするのが好ましい。また、当該製剤は、任意の摂取・投与計画に従って摂取・投与され得るが、1日1回〜数回に分け、数週間〜数カ月間継続して投与することが好ましい。このうち、1日3回に分け、6週間以上継続して投与することがより好ましい。
また、上記化粧品、医薬部外品又は医薬品の適用対象者としては、それを必要としていれば特に限定されないが、皮膚バリアを始めとする上皮細胞器官における自然免疫機能の強化を所望するヒト、アトピー性皮膚炎の予防又は改善を所望するヒトが挙げられる。
上述した実施形態に関し、本発明においては更に以下の態様が開示される。
<1>2−(1’H−インドール−3’−カルボニル)−チアゾール−4−カルボン酸メチル、3,3’−ジインドリルメタン、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸及びクルクミンから選ばれるAhR活性化剤を有効成分とする誘導性型ディフェンシン発現促進剤。
<2>誘導性型ディフェンシンが、hBD−2又はhBD−3である<1>の誘導性型ディフェンシン発現促進剤。
<3>皮膚における誘導性型ディフェンシンの発現を促進する、<1>又は<2>の誘導性型ディフェンシン発現促進剤。
<4>誘導性型ディフェンシン発現促進剤を製造するための、2−(1’H−インドール−3’−カルボニル)−チアゾール−4−カルボン酸メチル、3,3’−ジインドリルメタン、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸及びクルクミンから選ばれるAhR活性化剤の使用。
<5>誘導性型ディフェンシンの発現を促進するための、2−(1’H−インドール−3’−カルボニル)−チアゾール−4−カルボン酸メチル、3,3’−ジインドリルメタン、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸及びクルクミンから選ばれるAhR活性化剤の使用。
<6>2−(1’H−インドール−3’−カルボニル)−チアゾール−4−カルボン酸メチル、3,3’−ジインドリルメタン、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸及びクルクミンから選ばれるAhR活性化剤を投与又は摂取する、誘導性型ディフェンシン発現促進方法。
<7><4>〜<6>において、誘導性型ディフェンシンは、hBD−2又はhBD−3である。
<8><5>において、使用は非治療的使用である。
<9><6>において、方法は非治療的方法である。
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
実施例1 hBD−3発現に対する効果(1)
1)細胞培養は、正常ヒト表皮角化細胞を購入し(Life Technologies)、HuMedia−KG増殖添加剤セット(クラボウ)を添加したEpiLife無血清細胞培養培地( Life Technologies)を用い、37℃で行った。実験には、継代数3及び4の細胞を使用した。細胞は、1×10個/wellで6well培養プレートに播種し,subuconfluent(約80%)の状態まで培養した。Subconfluentに達した状態で、細胞培養培地をHuMedia−KG増殖添加剤(5種類)からヒト組換え型上皮成長因子(hEGF)及びウシ脳下垂体抽出液(BPE)以外の添加剤セットを加えたEpiLife無血清細胞培養培地に交換し、24h培養した。
2)AhRリガンドとして知られているITE(Tocris Bioscience )をDMSOに溶解し、0,0.5,1,10μM濃度となるようにヒト組換え型上皮成長因子(hEGF)及びウシ脳下垂体抽出液(BPE)以外の増殖添加剤セットを加えたEpiLife無血清細胞培養培地に添加し、72h細胞を刺激した(n=3)。また、ヒト組換え型上皮成長因子(hEGF)及びウシ脳下垂体抽出液(BPE)以外の増殖添加剤セットを加えたEpiLife無血清細胞培養培地中のDMSO濃度(final concentration)は1%(v/v)に調整した。
3)培養細胞からRNA抽出キット[QIAshredder(キアゲン)及びRNeasy Mini Kit(キアゲン)]を用いて全RNAを抽出した。RNAからcDNAへの逆転写反応は、2000ngスケールで、High Capacity RNA−to−cDNA kit(Applied Biosystems)により行った。リアルタイムPCRは、TaqMan primer/probe assay試薬(Applied Biosystems)及びTaqMan RT−PCR Master Mix試薬(Applide Biosystems)を用い、7500 real−time PCR system(Applied Biosystems)で実施した。
hBD−3遺伝子の発現レベルは、ハウスキーピング遺伝子、Ribosomal Protein LP0(RPLP0)で標準化を行い、対照に対する相対変化量として算出した。
4)結果
ITE濃度、1,10μMにおいて、hBD−3の相対的mRNA発現量が対照に比較して有意に増加した(表1)。
実施例2 hBD−3発現に対する効果(2)
1)AhRリガンドとして、クルクミン(和光純薬工業)を用い(クルクミンの濃度;0,10,20,30μM)、実施例1と同様にして細胞を刺激し、hBD−3のmRNA発現量を測定した(n=3)。
2)結果
クルクミン濃度、30μMにおいて、hBD−3の相対的mRNA発現量が対照に比較して有意に増加した(表1)。
実施例3 hBD−3発現に対する効果(3)
1)AhRリガンドとして、DIM(東京化成工業)を用い(DIM濃度;0,1,5,10μM)、実施例1と同様にして細胞を刺激し、hBD−3のmRNA発現量を測定した(n=3)。
2)結果
DIM濃度、10μMにおいて、hBD−3の相対的mRNA発現量が対照に比較して有意に増加した(表1)。
実施例4 hBD−3発現に対する効果(4)
1)AhRリガンドとして、DHNA(東京化成工業)を用い(DHNA濃度;0,1,10μM)、実施例1と同様にして細胞を刺激し、hBD−3のmRNA発現量を測定した(n=3)。
2)結果
DIM濃度、10μMにおいて、hBD−3の相対的mRNA発現量が対照に比較して有意に増加した(表1)。
Figure 2016150930
実施例5 AhRアンタゴニスト存在下のITEのhBD−3発現に対する効果
1)AhRの特異的アンタゴニストとして知られている(Zhao B et al. CH223191 is a ligand-selective antagonist of the Ah (Dioxin) receptor. Toxicol Sci 117, 393-401 (2010))CH223191(Sigma−Aldrich)(10μM)と、ITE(10μM)を用い、実施例1と同様にして細胞を刺激し、hBD−3のmRNA発現量を測定した(n=3)。
2)CH223191は、有意に(p<0.01)ITEのhBD−3 mRNA発現促進効果を抑制した(表2)。従って,ITEのhBD−3 mRNA発現促進効果はAhRを活性化することで起こっており,AhRの活性化がhBD−3 mRNAの発現を促進できることを示している。
Figure 2016150930
実施例6 hBD−2発現に対する効果(1)
1)AhRリガンドとして、ITEを用い(ITEの濃度;0,0.5,1,10μM)、実施例1に準じて細胞を刺激し、hBD−2のmRNA発現量を測定した(n=3)。
2)結果
ITE濃度、10μMにおいて、hBD−2の相対的mRNA発現量が対照に比較して有意に増加した(表3)。
実施例7 hBD−2発現に対する効果(2)
1)AhRリガンドとして、クルクミンを用い(クルクミンの濃度;0,30μM)、実施例2に準じて細胞を刺激し、hBD−2のmRNA発現量を測定した(n=3)。
2)結果
クルクミン濃度、30μMにおいて、hBD−2の相対的mRNA発現量が対照に比較して有意に増加した(表3)。
実施例8 hBD−2発現に対する効果(3)
1)AhRリガンドとして、DIMを用い(DIM濃度;0,1,5μM)、実施例3に準じて細胞を刺激し、hBD−2のmRNA発現量を測定した(n=3)。
2)結果
DIM濃度、1及び5μMにおいて、hBD−2の相対的mRNA発現量が対照に比較して有意に増加した(表3)。
実施例9 AhRアゴニストのhBD−2発現に対する効果(4)
1)AhRリガンドとして、DHNAを用い(DHNA濃度;0,1,10μM)、実施例4に準じて細胞を刺激し、hBD−2のmRNA発現量を測定した(n=3)。
2)結果
DIM濃度、1及び10μMにおいて、hBD−2の相対的mRNA発現量が対照に比較して有意に増加した(表3)。
Figure 2016150930
実施例10 AhRアンタゴニスト存在下のITEのhBD−2発現に対する効果
1)実施例5に準じて、CH223191(Sigma−Aldrich)(10μM)と、ITE(10μM)を用い、実施例1と同様にして細胞を刺激し、hBD−2のmRNA発現量を測定した(n=3)。
2)CH223191は、有意に(p<0.001)ITEのhBD−2 mRNA発現促進効果を抑制した(表4)。従って,ITEのhBD−2 mRNA発現促進効果はAhRを活性化することで起こっており,AhRの活性化がhBD−2 mRNAの発現を促進できることを示している。
Figure 2016150930

Claims (3)

  1. 2−(1’H−インドール−3’−カルボニル)−チアゾール−4−カルボン酸メチル、3,3’−ジインドリルメタン、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸及びクルクミンから選ばれるAhR活性化剤を有効成分とする誘導性型ディフェンシン発現促進剤。
  2. 誘導性型ディフェンシンが、hBD−2又はhBD−3である請求項1記載の誘導性型ディフェンシン発現促進剤。
  3. 皮膚における誘導性型ディフェンシンの発現を促進する請求項1又は2記載の誘導性型ディフェンシン発現促進剤。
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