JP2016150891A - 炭素ナノ粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】グラフェンシートの積層数を制御した中空構造を有する炭素ナノ粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】炭素質材料にパルスレーザーを照射することを特徴とする炭素ナノ粒子の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、炭素ナノ粒子の製造方法に関する。
不活性雰囲気中での黒鉛電極のアーク放電によって炭素を気化させ、徐冷し、凝集させることにより得られる煤には、ナノメートルスケールの微細構造を有する炭素物質であるフラーレンが含まれている。フラーレンの形態としては、C60に代表される単層球形、内部に小さな空隙を有する多層球形(カーボンナノ粒子)、アーク放電において黒鉛に金属触媒を混合して気化する際に煤の中に含まれるグラフェンシートが一層からなる単層チューブ形(単層カーボンナノチューブ)、積層グラフェンである多層チューブ形(多層カーボンナノチューブ)などが知られている。また、グラフェンシートの積層数によって電気的性質が大きく左右されるため、炭素ナノ粒子の積層数を制御する技術は世代のスピントロニクスやエレクトロニクス分野の基盤材料等に適用できる可能性がある。
グラフェンシートの製造技術として、炭化水素、芳香族油など炭素含有化合物を不完全燃焼または熱分解して得られる煤状炭素、例えばカーボンブラックに電子線、ガンマ線、X線などの高エネルギービームを照射してナノサイズの真球状黒鉛を得る方法(特許文献1)、固体状炭素単体物質、例えば焼結炭素に、不活性ガス雰囲気中で、レーザー光を照射して炭素を蒸発させ、得られた煤状物質を溶媒に懸濁して分散させ、さらに単一または複数個が集合した球状粒子を回収することにより単層カーボンナノホーン構造体を得る方法(特許文献2)が提案されている。また、5〜10気圧の不活性ガス雰囲気中で、炭素に炭酸ガスレーザーを照射することにより1000℃以上に加熱されたクラスター状の炭素を発生させてナノグラファイト球状体を得る方法(特許文献3)なども提案されている。
特開2001-48508号公報 特開2001-64004号公報 特開2003-206120号公報 特開2000-344506号公報 特開2003-81619号公報 特開2005-281065号公報
Chem. Phys. Lett. 204,227 (1993)
しかし、上記の方法で得られるものは、いずれも中実構造のものであり、かつグラフェンシートの積層数の制御ができていない。大きな内部空間を有するナノサイズの中空炭素構造体を得ることができれば、外殻部を構成するグラファイト構造と内部の中空構造を備えた構造を特長とし、さらに多くの製品分野、例えば、光吸収材、超硬度材料、水素貯蔵体、メタンガス貯蔵体、ガス改質材、研磨材、潤滑材、その他の新規機能材への応用が可能となる。
中空構造をそなえたナノサイズの炭素構造体を得る方法として、二酸化炭素および水素を含む混合ガスを450〜750℃の反応温度で、金属微粒子を含む遷移金属触媒に接触させ、二酸化炭素を接触水素還元することにより、金属微粒子を内包するカーボンナノカプセルを製造する方法(特許文献4)、マイクロ波によって発生されるグロー放電プラズマに、炭素を含む原料ガスを供給して分解し、外径100 nm以上のカーボンナノカプセルを製造する方法(特許文献5)等が提案されているが、いずれも金属触媒が必要となる。
また、アーク放電法により、稀に数層から数十層のグラファイトが、入れ子構造状に積み重なる多面体構造を持つカーボンポリヘドロンが得られるが(非特許文献1)、カーボンポリヘドロンは内部が中空でないものもある。さらに、アーク放電による発生した煤を不活性ガス雰囲気中で高温加熱することで、中空構造を有するカーボンが得られるが(特許文献6)、二段階の反応となり、設備と操作が複雑でエネルギー効率が低く、グラフェンシートの積層数の制御もできない。
従って、グラフェンシートの積層数を制御し、中空構造を備えるナノサイズの炭素粒子を効率的、かつ安定的に得る手法の開発が望まれている。
本発明者らは、上記の問題点を解決するために鋭意研究を行ったところ、炭素質材料にレーザーを照射することによって、グラフェンシートの積層数を制御した中空構造を備えるナノサイズの炭素粒子を効率的、かつ安定的に得られることを見出した。この知見に基づいてさらに研究した結果、本発明を完成した。すなわち、本発明は、下記の炭素ナノ粒子の製造方法を提供する。
項1.炭素質材料にパルスレーザーを照射することを特徴とする炭素ナノ粒子の製造方法。
項2.溶媒に添加した前記炭素質材料にパルスレーザーを照射する項1に記載の製造方法。
項3.前記炭素質材料に、レーザー光が透過可能な材料を介してパルスレーザーを照射する項1に記載の製造方法。
項4.前記炭素質材料を設置する面と、前記レーザー光が透過可能な材料との間に前記炭素質材料を介在させ、前記レーザー光が透過可能な材料を介してパルスレーザーを照射する項3に記載の製造方法。
項5.前記レーザー光が透過可能な材料が石英ガラスである項3又は4に記載の製造方法。
項6.前記レーザー光が透過可能な材料により前記炭素質材料を挟み、前記レーザー光が透過可能な材料を介してパルスレーザーを照射する項3〜5のいずれかに記載の製造方法。
項7.前記炭素質材料へのレーザー照射を不活性ガス雰囲気、酸素雰囲気又は空気中で行う項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
項8.前記溶媒中に、前記炭素質材料を分散させて攪拌し、前記炭素質材料にパルスレーザーを照射する項2に記載の製造方法。
項9.前記溶媒が、水とエタノールを含む混合溶媒である項2又は8に記載の製造方法。
項10.前記混合溶媒中の水とエタノールの混合比が5:1〜5:3である項9に記載の製造方法。
項11.前記炭素質材料が、石炭ピッチ、石油ピッチ、熱硬化性樹脂及びその炭化物、熱可塑性樹脂及びその炭化物からなる群から選ばれる少なくとも1種である項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
項12.前記パルスレーザーのパルス幅は10-15〜10-3秒である、項1〜11のいずれかに記載の製造方法。
項13.前記パルスレーザーの照射により形成されるグラフェンシートの積層数が1〜50層であることを特徴する項1〜12のいずれかに記載の製造方法。
項14.炭素質材料に、パルスレーザーを照射することによって、一次粒子径が5nm以上であり、グラフェンシートの積層構造を有し、全体として曲面を形成するよう配置された中空構造を有することを特徴とする炭素ナノ粒子の製造方法。
本発明によれば、グラフェンシートの積層数を制御した中空構造を有する炭素ナノ粒子の製造方法が提供される。
第1のレーザー照射法により作製した炭素ナノ粒子のFE-TEM画像である。グラフェンシートからなる外郭部(3層〜5層)が形成され、内部が中空である。 第2のレーザー照射法により作製したパルスレーザー照射前の石炭ピッチのFE-SEM画像である。 第2のレーザー照射法により作製した炭素ナノ粒子のFE-SEM画像である。 第2のレーザー照射法により作製した炭素ナノ粒子のFE-TEM画像である。グラフェンシートからなる外郭部(20層〜40層)が形成され、内部が中空である。 炭素ナノ粒子のラマン分光測定による結晶特性分析の結果である。
本発明の実施形態によって製造された炭素ナノ粒子は、内部が中空構造であるため嵩密度が低く、断熱性に優れている。また、外殻部がグラファイト構造であるため、潤滑性に優れ、耐熱性が高く、化学的に安定で、耐薬品性に優れる。特に、本発明の実施形態によれば、グラフェンシートの積層数を制御することが可能であり、これにより電気的性質を大きく変化させ、電気伝導性を調節することができる。
従って、本発明の実施形態により製造された炭素ナノ粒子は、一次電池、二次電池、燃料電池などの電池電極材料、電子放出素子、ガス貯蔵装置、ガス・液体浄化装置、ガス・液体改質装置、ゴム、樹脂(プラスチック)、ウレタン、エラストマー添加剤、潤滑剤、研磨剤、切削剤、光吸収材、ペースト、化粧品、薬剤などのカプセルなどとして好適に用いることができる。以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の炭素ナノ粒子の製造方法は、炭素質材料にレーザーを照射する。
<炭素質材料>
本発明の炭素ナノ粒子の製造方法の原料となる炭素質材料としては、特に限定されないが、石炭ピッチ、石油ピッチ、熱硬化性樹脂及びその炭化物、熱可塑性樹脂等を使用することができる。このうち、グラフェンシートの生成しやすさの観点から例えば石炭ピッチ、石油ピッチ等のような芳香族を含有する有機物質及びその炭化物、好ましくは石炭ピッチであってもよい。
<レーザーの照射>
前記炭素質材料にレーザーを照射する際の雰囲気としては、特に限定されないが、例えば、空気雰囲気中、または酸素雰囲気中、窒素雰囲気中、アルゴン雰囲気中等の不活性ガス雰囲気中が好ましい。
窒素雰囲気中またはアルゴン雰囲気中等の不活性ガス雰囲気中においてレーザーを照射すると、前記炭素質材料におけるレーザーの照射部からの熱拡散速度が、空気雰囲気中で照射する場合と異なるため、生成する炭素ナノ粒子の微細結晶構造も異なる。従って、レーザーを照射する雰囲気に基づいて、生成する炭素ナノ粒子の微結晶構造を選択的に制御することができる。
照射するレーザーとしては、例えばパルスレーザーが好ましい。パルスレーザーの照射スポット径は特に制限されず、レンズの大きさや開口数又は倍率などに応じて適宜選択することができ、例えば、1000μm以下の範囲から選択することができる。パルスレーザーの照射スポット径としては、0.1〜800μmが好ましく、さらに好ましくは1.6〜500μmであってもよい。
パルスレーザーのパルス幅は、例えば10-15〜10-3秒程度が好ましい。パルス幅は一パルスレーザー光の照射時間であって、例えば10-12〜10-6秒、好ましくは10-9〜10-7秒であってもよい。前記パルスレーザーのパルス幅を上記の範囲とすることにより、中空構造を備えるナノサイズの炭素粒子をより効率的に生成することができる。
パルスレーザーは、例えば、チタン・サファイア結晶を媒質とするレーザー、エルビウムドープ石英のファイバーレーザーや色素レーザー等を再生又は増幅して得ることができる。パルスレーザーの波長は、例えば、100〜2000 nmから適宜選択することができる。また、パルスレーザーの繰り返し数は、例えば、1 Hz〜80 MHzの範囲から選択することができ、好ましくは10 Hz〜500 kHz程度であってもよい。
分子のエネルギーポテンシャルとレーザー光を相互作用させるために、炭素質材料に照射されるパルスレーザー光エネルギー強度は1mJ/cm2以上とすることが好ましい。従って、パルスレーザーの照射部は、集光レンズを有する光学系を備えていることが好ましく、さらに好ましくはレーザー発生部から照射されたレーザーを光学系で集光して芳香族を含有する有機物質に照射してもよい。
(第1のレーザー照射方法)
本発明の実施形態においては、レーザー光が透過可能な材料を介して、パルスレーザーを照射することができる。
また、前記炭素質材料を設置する面と、前記レーザー光が透過可能な材料との間に、前記炭素質材料を介在させ、前記レーザー光が透過可能な材料を介して前記炭素質材料にパルスレーザーを照射することができる。
さらに、前記炭素質材料を乳鉢で粉砕した後、プレスにより板状にし、パルスレーザーを照射する対象とすることができる。板状にした炭素質材料を用いる場合は、該、板状にした炭素質材料の任意の一面の上に、レーザー光が透過可能な材料を設け、前記レーザー光が透過可能な材料を介してレーザー光を照射することができる。このとき、前記板状にした炭素質材料を前記レーザー光が透過可能な材料で挟んでもよい。
前記レーザー光が透過可能な材料としては、特に限定されないが、例えば石英ガラス、スライドガラス、ポリスチレン、メチルメタクリレート等を用いることができ、耐熱性と光の透過性の観点から、好ましくは石英ガラスを用いてもよい。
また、本実施形態における炭素質材料としては、特に限定されないが、例えば石炭ピッチ、石油ピッチ等のような芳香族を含有する有機物質及びその炭化物、好ましくは石炭ピッチであってもよい。
(第2のレーザー照射方法)
本発明の実施形態においては、前記炭素質材料を溶媒に添加して炭素質材料添加液(以下、「添加液」と記載する)を調製し、これにレーザーを照射することができる。この時、前記炭素質材料は、前記溶媒中に分散させることが好ましい。
前記溶媒としては、特に限定されないが、例えばシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、塩化メチレンなどが好ましい。また、極性プロトン性溶媒を好適に用いることができ、好ましくは、酢酸、1-ブタノール、2-プロパノール、1-プロパノール、エタノール、メタノール、ギ酸、水、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミドなどを用いてもよい。
これらの溶媒は単独で用いてもよいが、2種以上の溶媒を混合した混合溶媒を用いることが好ましい。前記混合溶媒としては、水、エタノール、シクロヘキサン及び1-プロパノールからなる群から選択される少なくとも2種以上の溶媒を混合した混合溶媒が好ましく、さらに好ましくは、水とエタノールの混合溶媒であってもよい。前記混合溶媒を用いることにより、前記炭素質材料を均一に分散させた添加液を調製することができる。
また、前記水とエタノールの混合溶媒においては、水とエタノールの混合比が10:1〜1:10であることが好ましく、さらに好ましくは5:1〜5:3であってもよいあることがより好ましい。なお、前記混合比は、体積比を意味する。
本実施形態における炭素質材料としては、特に限定されないが、例えば石炭ピッチ、石油ピッチ等のような芳香族を含有する有機物質及びその炭化物、好ましくは石炭ピッチであってもよい。
本発明によれば、グラフェンシートの積層構造を制御した中空構造を有する炭素ナノ粒子の製造方法が提供される。また、原料は固体及び液体であり、触媒を必要とせず、常温で行うことができるため、操作が簡単でエネルギー効率が高い。さらに、高温高圧環境や高電圧を必要としないため、安全性に優れている。
また、一次粒子が5 nm以上であり、グラフェンシートの積層構造を有し、該グラフェンシートが全体として曲面を形成するよう配置された中空構造を有することを特徴とする炭素ナノ粒子を得ることができる。前記一次粒子とは、炭素ナノ粒子を構成する数nmの大きさの単結晶、又はそれに近い結晶子のことであり、この一次粒子の大きさや形は、該一次粒子の化学組成、構造、生産条件等によって決まると考えられる。
以下、実施例を挙げてより詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
前記第1のレーザー照射方法を用いて、本発明の製造方法を実施した。炭素質材料である石炭ピッチを乳鉢で粉砕し、手動プレスで板状にした。作製した板状の石炭ピッチを二枚のスライドガラスで挟んだ。集光レンズで集光されたレーザースポットが板状にした石炭ピッチとガラスの界面に位置するようにレーザー照射部の位置を調整し、前記炭素質材料にパルスレーザーを照射した。生成した炭素ナノ粒子の微細結晶構造を、電界放射型透過電子顕微鏡(FE-TEM)を用いて観察した。FE-TEMによる画像を図1に示す。
また、集光レンズで集光されたレーザースポットの光電場強度を測定した。パルスレーザーの照射条件は、波長780 nm、パルス幅200 fs、繰り返し周波数1 kHz、パルスエネルギー0.5 mJ、複合レンズ(集光径1.6μm)で、1時間照射した。
実施例2
前記第2のレーザー照射方法を用いて、本発明の製造方法を実施した。炭素質材料である、石炭ピッチ20 mgを、エタノールと水の混合溶液100 mlに添加し、超音波を用いて分散させて0.2 wt%の添加液を調製した。集光レンズで集光されたレーザースポットが、前記添加液を含む容器の内部中央付近に位置するようにレーザー照射部の位置を調整し、マグネチックスターラーで添加液を撹拌しながら、パルスレーザーを照射した。
また、集光レンズで集光されたレーザースポットの光電場強度を測定した。パルスレーザーの照射条件は、波長350 nm、パルス幅50 ns、繰り返し周波数100 kHz、パルスエネルギー1.7×10-5 J、複合レンズ(集光径500μm)で、2時間照射した。
パルスレーザーを照射する前の石炭ピッチ及び精製した炭素ナノ粒子の形状を、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて観察した。FE-SEMによる画像をそれぞれ図2及び図3に示す。また、生成した炭素ナノ粒子の微細結晶構造を、FE-TEMを用いて観察した。FE-TEMによる画像を図4に示す。
実施例3
レーザーの照射時間を4時間とした他は、実施例2と同様に行った。結果を、表1に示す。
なお、実施例において得られた炭素ナノ粒子の物性および評価は、以下の方法を用いて行った。
(1)結晶特性
ラマン分光装置を用いて結晶特性を評価した。
測定装置:Nanofinder 30(東京インスツルメンツ社製)
レーザー波長:532 nm
レーザー出力:2 mW
ラマン分光測定の結果を図5に示す。図5のスペクトルにおいて、下から順に、第2のレーザー照射法においてパルスレーザーを照射する前の添加液、実施例2により作製した炭素ナノ粒子、実施例3により作製した炭素ナノ粒子の結果をそれぞれ示す。パルスレーザーを照射する前の添加液は1460 cm-1の位置にピークがある。これは、添加液中に溶ける有機物質、例えば、石炭ピッチの軽質成分等に由来すると考えられる。
添加液にパルスレーザーを2時間照射すると、1600 cm-1の位置付近に新たなピークが現れた。この新たなピークは、上記のFE-TEM観察結果から、生成した炭素ナノ粒子が有するグラフェンシート積層構造によるものと考えられる。また、2時間以上照射すると、1460 cm-1の位置にピークが減少し、1600 cm-1の位置にピークが増加した。4時間照射した実施例3は石炭ピッチ由来の1460 cm-1の位置にピークが消失し、1600 cm-1の位置にピークが大きく増加した。これはパルスレーザーの照射によって、石炭ピッチが黒鉛化されて、グラフェンシートの積層構造が生成することにより、Gバンドが生じたものと考えられる。
このことから、積層構造が発達するにつれて、Gバンドが大きくなると考えられる。ただし、通常の黒鉛ではGバンドが1580 cm-1の位置に認められるのに対して、本発明の実施形態においてはGバンドの位置は短波長側にシフトし、1600 cm-1の位置に認められた。これは、通常の黒鉛においてはグラフェンシートが平面状に積層しているのに対し、本発明の実施形態における炭素ナノ粒子においてはグラフェンシートが湾曲して積層した、いわゆるオニオン構造を有するため、平面状に積層したグラフェンシート層に比べて大きな応力が掛かることによって、Gバンドの位置がシフトしたと考えられる。また、本発明の実施形態において認められたGバンドはブロードであるため、微結晶の状態で存在していると考えられる。

Claims (14)

  1. 炭素質材料にパルスレーザーを照射することを特徴とする炭素ナノ粒子の製造方法。
  2. 溶媒に添加した前記炭素質材料にパルスレーザーを照射する請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記炭素質材料に、レーザー光が透過可能な材料を介してパルスレーザーを照射する請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記炭素質材料を設置する面と、前記レーザー光が透過可能な材料との間に前記炭素質材料を介在させ、前記レーザー光が透過可能な材料を介してパルスレーザーを照射する請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記レーザー光が透過可能な材料が石英ガラスである請求項3又は4に記載の製造方法。
  6. 前記レーザー光が透過可能な材料により前記炭素質材料を挟み、前記レーザー光が透過可能な材料を介してパルスレーザーを照射する請求項3〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記炭素質材料へのレーザー照射を不活性ガス雰囲気、酸素雰囲気又は空気中で行う請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記溶媒中に、前記炭素質材料を分散させて攪拌すし、前記炭素質材料にパルスレーザーを照射する請求項2に記載の製造方法。
  9. 前記溶媒が、水とエタノールを含む混合溶媒である請求項2又は8に記載の製造方法。
  10. 前記混合溶媒中の水とエタノールの混合比が5:1〜5:3である請求項9に記載の製造方法。
  11. 前記炭素質材料が、石炭ピッチ、石油ピッチ、熱硬化性樹脂及びその炭化物、熱可塑性樹脂及びその炭化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
  12. 前記パルスレーザーのパルス幅は10-15〜10-3秒以下である請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 前記パルスレーザーの照射により形成されるグラフェンシートの積層数が1〜50層であることを特徴する請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法。
  14. 炭素質材料に、パルスレーザーを照射することによって、一次粒子が5nm以上であり、グラフェンシートの積層構造を有し、全体として曲面を形成するよう配置された中空構造を有することを特徴とする炭素ナノ粒子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114644332A (zh) * 2022-03-01 2022-06-21 郑州大学 一种提纯导电碳黑中类球形碳的方法

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