JP2016146813A - 温水防除装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱手段の発停回数を抑えることで、出湯温度を設定温度に安定化させて、温水の過剰な熱や湿度などに伴う農作物のストレスを軽減させつつ、病虫害の防除効果が有利に発揮される新規な構造の温水防除装置を提供する。【解決手段】温水防除装置10には、温水を貯留する温水貯留領域34と水を貯留する水貯留領域36とを備え、温水貯留領域34と水貯留領域36とは温水および水が相互に越流可能に配置されている貯留手段20や、設定温度と温水の温度との差に基づいて、貯留手段20において温水貯留領域34にだけ温水を貯留させたり、温水貯留領域34に温水を貯留させると共に水貯留領域36に水を貯留させたり、あるいは温水貯留領域34にある温水と水貯留領域36にある水との一方を他方に越流させたりすることで、温水貯留領域34の温水貯留量と水貯留領域36の水貯留量を制御する制御手段22が設けられている。【選択図】図1
Description
本発明は、堆肥による土作りを行った圃場で農作物を育成する際に、圃場や農作物に温水を散布することによって病虫害を防除する温水防除装置に関する。
従来から、農作物の育成において、例えば、アザミウマ(スリップス)やカイガラムシ、ダニ、アブラムシ、ウドンコ病、ベト病、菌核病などの病虫害の発生を抑えるために、温水を圃場や農作物に散布することがある。
このような温水を散布する温水防除装置は、例えば、特許文献1(特表2014−500016号公報)や特許文献2(特公平7−63280号公報)、特許文献3(特許第3646254号公報)、特許文献4(特開2005−179369号公報)に示されるように、水を加熱して温水を生成する業務用ボイラまたは家庭用給湯器などの加熱手段や加熱手段に水を供給する給水ポンプなどの給水手段、温水を貯留するタンクなどの貯留手段、温水を外部に吐出する動力噴霧器や吐出ノズルなどの吐出手段を備えている。
ところで、特許文献1〜4に示される従来構造の温水防除装置では、吐出手段によって外部に吐出される温水の出湯温度が目的とする設定温度になるために、水を加熱する加熱手段の運転を制御している。かかる運転制御としては、一般に、出湯温度が設定温度を下回った場合に加熱手段の運転をオンし、かつ出湯温度が設定温度を上回った場合に加熱手段の運転をオフするオンオフ制御や、設定温度を中心とした所定の比例帯を設定して、加熱手段において水を加熱する出力を出湯温度と設定温度との偏差に比例させる比例制御などが知られている。
しかしながら、オンオフ制御では、加熱手段の発停を頻繁に繰り返すことによって、加熱手段などの耐久性が低下したり、出湯温度が設定温度に安定し難かったりする問題があった。
また、比例制御においては、オンオフ制御に比べて加熱手段の発停が抑えられるものの、出湯温度と設定温度との偏差を確実に得るまで、結局は、加熱手段の発停を繰り返すこととなる。特に温水防除装置のように屋外で使用する装置に比例制御が適用される場合には、外気温や湿度、風などの外乱要素が多くて、比例制御に必要なフィードバック要素が多くなるため、結果として、加熱手段の発停回数が多くなる。
このため、従来構造の温水防除装置では、目的とする温度の温水が安定して得られ難いことに起因して、病虫害の防除効果が十分に発揮されなかったり、あるいは農作物に対して温水の熱または湿度によるストレスを過度に与えることによって、農作物の育成に障害を生じさせたりする問題を内在していたのである。
本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その目的とするところは、加熱手段の発停回数を抑えることで、出湯温度を設定温度に安定化させて、温水の過剰な熱や湿度などに伴う農作物のストレスを軽減させつつ、病虫害の防除効果が有利に発揮される新規な構造の温水防除装置を提供することにある。
上述の課題を解決するために為された本発明に関する請求項1に記載の温水防除装置では、堆肥による土作りを行った圃場で農作物を育成する際に、該圃場と該農作物の少なくとも一方に温水を散布することによって病虫害を防除する温水防除装置であって、(a)水を加熱することで前記温水を生成する加熱手段と、(b)前記水を前記加熱手段に供給する給水手段と、(c)前記加熱手段で生成された前記温水を貯留する温水貯留領域と前記給水手段における前記水を貯留する水貯留領域とを備え、該温水貯留領域と該水貯留領域とは該温水および該水が相互に越流可能に配置されている貯留手段と、(d)前記貯留手段の前記温水貯留領域から前記温水を外部に吐出させる吐出手段と、(e)前記温水の温度を検知する温度検知手段と、(f)前記温水を目的とする温度に設定する温度設定手段と、(g)前記温度設定手段によって設定された設定温度と前記温度検知手段により検知された前記温水の温度との差に基づいて、前記貯留手段において前記温水貯留領域にだけ前記温水を貯留させたり、該温水貯留領域に該温水を貯留させると共に前記水貯留領域に前記水を貯留させたり、あるいは該温水貯留領域にある該温水と該水貯留領域にある該水との一方を他方に越流させたりすることで、該温水貯留領域における該温水の貯留量と該水貯留領域における該水の貯留量を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
本発明の温水防除装置では、温度設定手段による設定温度と温度検知手段により検知された温水の温度との差に基づいて、温水貯留領域にだけ温水が貯留される態様や、温水貯留領域に温水が貯留されると共に水貯留領域に水が貯留される態様、温水貯留領域にある温水と水貯留領域にある水との一方が他方に越流される態様がとられる。
すなわち、本発明の温水防除装置によれば、制御手段が、温水の温度と設定温度との差に応じて、加熱手段に供給する水または温水の温度における急激な変動を抑える方向に上述の態様をとることが可能となる。これにより、例えば、温水散布の使い方によって温水の吐出量または加熱手段への水の供給量が急激に変動したり、温水防除装置を屋外に設置することで外気温や湿度、風などの温水の温度制御の外乱要素が多くなったりするような場合にも、温度が急激に変動した水または温水が加熱手段に供給されることが抑えられて、加熱手段の発停回数が抑えられることから、出湯温度を設定温度に安定化させることができる。それ故、温水の過剰な熱や湿度などに伴う農作物のストレスを軽減させつつ、病虫害の防除効果が有利に発揮されるのである。
また、本発明の温水防除装置では、例えば請求項2に記載されているように、前記温度設定手段は、前記温水を前記農作物の葉面に散布するのに適した温度に設定する葉面散布モードと、該葉面散布モードよりも高温で該温水を前記圃場の土壌に散布して消毒するのに適した温度に設定する土壌消毒モードとの二つの設定モードを備えており、該温度設定手段が該葉面散布モードである場合に、前記制御手段は、前記貯留手段において前記温水貯留領域にだけ前記温水を貯留する制御を行う一方、該温度設定手段が該土壌消毒モードである場合に、該制御手段は、該温水貯留領域に該温水を貯留すると共に前記水貯留領域に前記水を貯留する制御と、該温水貯留領域にある該温水と該水貯留領域にある該水との一方を他方に越流させる制御とを行う構成が採用されても良い。
このような温水防除装置では、農作物の温水防除において使うケースが多い葉面散布モードと土壌消毒モードを用意することにより、温度の設定が簡便化されて、ひいては温度設定の人為的なミスに起因する防除効果の低下や農作物の過剰ストレスが有利に抑制される。
特に、葉面散布モードでは、農作物の高温または過湿障害を防止する観点から温水の温度を高温にし過ぎないように設定する必要があり、このため、設定温度がそれ程高くない温度(例えば50〜65℃)に設定されることから、上述のように制御手段が温水を温水貯留領域に貯留する制御を行うだけでも、温度が急激に変動した水または温水が加熱手段に供給されることが抑えられる。その結果、制御手段の複雑な制御が回避されて、温水の温度の変動に伴う制御手段の応答性が向上され、出湯温度を設定温度にすることの更なる安定化が図られる。
一方、土壌消毒モードでは、土壌表面または土中に生息する農作物の育成に有害な菌や害虫を効果的に防除するために、設定温度が比較的に高い温度(例えば70〜95℃)に設定されることから、水温との差が小さい葉面散布モードと比べて、温水の温度の変動量が大きくなり易い。そこにおいて、本発明では、上述のように制御手段が、温水貯留領域に温水を貯留すると共に水貯留領域に水を貯留する制御を行ったり、温水貯留領域にある温水と水貯留領域にある水との一方を他方に越流させる制御を行ったりすることによって、加熱手段に供給する水または温水の温度における急激な変動を抑えることができる。
要するに、本発明の温水防除装置によれば、設定温度の領域が比較的に低い領域から高い領域まで広い場合においても、一つの貯留手段で実現されることから、部品点数の削減化に基づいて、装置の低コスト化や装置の軽量化による農作業の労力軽減などが有利に図られる。しかも、装置のコンパクト化も図られることによって、例えば、装置を圃場の任意の場所に移動させることも容易に実現でき、優れた温水防除作業が実現される。
また、本発明の温水防除装置では、例えば請求項3に記載されているように、前記制御手段は、前記温度検知手段によって検知された前記温水の温度に基づいて、該温水の温度を前記温度設定手段による前記設定温度に近づける方向に前記温水貯留領域における前記温水の貯留量と前記水貯留領域における前記水の貯留量をフィードバック制御すると共に、該制御手段は、かかるフィードバック制御によって該温水の温度が該設定温度に最も近づいた時の最適データをサンプリングして、該最適データを実現するように該温水の貯留量と該水の貯留量を学習制御する構成が採用されても良い。
このような温水防除装置では、制御手段の方式に学習制御を用いることによって、加熱手段に供給される水または温水の温度における急激な変動が有利に抑えられて、出湯温度を設定温度にすることがより安定する。
また、本発明の温水防除装置では、例えば請求項4に記載されているように、前記温水貯留領域の前記温水と前記水貯留領域の前記水を混合して、該混合水を前記加熱手段に供給する混合手段を備えており、前記制御手段は、前記フィードバック制御によって該温水の温度が前記温度設定手段による前記設定温度に最も近づいた時の最適データをサンプリングして、該最適データを実現するように該混合手段における該温水と該水の混合比を学習制御する構成が採用されても良い。
このような温水防除装置では、水と温水を混合する混合手段が設けられ、この混合比の制御方式に、上述の請求項3に記載の温水防除装置と同様な学習制御が用いられる。それ故、加熱手段に供給される水または温水の温度における急激な変動が一層有利に抑えられて、出湯温度を設定温度にすることの更なる安定化が図られる。
また、本発明の温水防除装置では、例えば請求項5に記載されているように、前記吐出手段から外部に吐出される前記温水の積算流量を測定する積算流量測定手段と、前記温水を吐出できる流量の制限値を設けて、前記積算流量が該制限値に達したら、その制限値に達したことを報知して、吐出手段の作動を停止する流量制限手段とを備える構成が採用されても良い。
このような温水防除装置では、温水の散布流量が制限されることによって、温水を圃場または農作物に過剰に散布することが防止され、農作物の高温または過湿障害がより効果的に抑えられる。また、温水を散布する作業者が、散布の途中で流量制限手段により急に散布が止まったとしても、流量が制限値に達したことが報知されることによって、流量制限手段が機能したことをすぐに作業者に認識させることができる。それ故、作業者に対して、装置が故障したかもしれないとの不安を速やかに解消させることができる。
また、本発明の温水防除装置では、例えば請求項6に記載されているように、前記温水貯留領域の前記温水を外部に排出する排水手段を備えており、前記温度検知手段により検知された該温水の温度が前記温度設定手段による前記設定温度に比して高くなり過ぎた場合に、前記制御手段は、該排水手段を作動して該温水貯留領域の該温水を外部に排出させると共に、前記給水手段又は前記水貯留領域における前記水を該温水貯留領域に供給させる制御を行う構成が採用されても良い。
このような温水防除装置では、特に大きな外乱要素などによって、温水の温度が高くなり過ぎた場合に、かかる高温水を排水手段で外部に排出すると共に、給水手段又は水貯留領域における水を温水貯留領域に供給することによって、温水の温度を速やかに下げることができる。その結果、加熱手段の発停回数が抑えられて、出湯温度を設定温度に安定化させることができる。
また、本発明の温水防除装置では、例えば請求項7に記載されているように、前記温度検知手段の少なくとも一部が、前記温水貯留領域から前記吐出手段に至る前記温水の経路上で、該温水貯留領域よりも該吐出手段に近い側に設けられており、該温度検知手段によって検知された該温水の温度データが、無線通信手段を介して前記制御手段に送られる構成が採用されても良い。
このような温水防除装置では、温水の温度データが吐出手段に近いところで取得されることから、吐出手段から外部に吐出される温水の出湯温度のデータをより確実に得ることができ、ひいては出湯温度を設定温度に一層精度良く合わせることができる。また、特に温水の温度データを制御手段に送る媒体が無線通信手段とされることから、吐出手段が制御手段から離れた位置でも容易にデータを送信することができ、それによって、圃場における吐出手段の配置の自由度が広がって、目的とする温水防除作業が一層有利に実現される。
また、本発明の温水防除装置では、例えば請求項8に記載されているように、前記温水貯留領域から前記吐出手段に至る前記温水の経路上において、該温水貯留領域よりも該吐出手段に近い側には、該温水を補助的に加熱する補助加熱手段が設けられており、前記温度検知手段により検知された該温水の温度が前記温度設定手段により設定された前記設定温度よりも低い場合に、前記制御手段が該補助加熱手段を作動させて、該温水が該補助加熱手段によって加熱される構成が採用されても良い。
このような温水防除装置では、加熱手段で加熱された温水が温水貯留領域から吐出手段に至る経路上で放熱することに起因して、温水の温度が低下することとなっても、温水が吐出手段から吐出する前に補助加熱手段によって加熱されることから、温水の温度低下が抑えられて、目的とする設定温度の温水をより安定して得ることができる。特に補助加熱手段が温水貯留領域よりも吐出手段に近い側に設けられていることによって、温水が吐出される前の放熱が一層有利に抑えられることとなり、ひいては加熱手段の発停回数もより効果的に抑制される。しかも、温水防除装置の稼働コストにおいて、補助加熱手段の稼働コストを計上したとしても、前述のような加熱手段の発停回数減少に基づく高運転効率の実現によって、加熱手段の稼働コストが大幅に抑えられることから、温水防除装置全体の稼働コストの更なる低減化が図られるのである。
また、本発明の温水防除装置では、例えば請求項9に記載されているように、前記加熱手段、前記給水手段、前記貯留手段、前記吐出手段、前記温度検知手段、前記温度設定手段、前記制御手段、前記混合手段、前記積算流量測定手段、前記流量制限手段、前記排水手段、前記無線通信手段および前記補助加熱手段の少なくとも一つを前記圃場の任意の場所へ移動させる移動手段を備える構成が採用されても良い。
このような温水防除装置では、装置が移動手段で移動可能とされることによって、広い圃場の温水防除を出来るだけ少ない数の温水防除装置で賄うことができ、経済性に優れる。しかも、本発明の温水防除装置においては、設定温度の領域が比較的に低い領域から高い領域まで広い場合においても、一つの貯留手段で実現されることから、部品点数の削減化に基づいて、装置のコンパクト化もしくは小型化が有利に図られる。その結果、移動手段の大型化が抑えられることとなり、圃場における装置の移動経路の自由度が広がって、目的とする温水防除作業が一層有利に実現される。
また、本発明の温水防除装置では、例えば請求項10に記載されているように、前記貯留手段は、前記水や前記温水を入れることが可能な容器により構成され、該容器の内部に仕切部材を設けて複数の領域を区画形成することによって、これら複数の領域の一部または全部により前記温水貯留領域や前記水貯留領域が構成されるものが採用されても良い。
このような温水防除装置では、温水貯留領域や水貯留領域が簡単な構造で実現されることとなり、装置の低コスト化などが有利に図られる。
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明の内容を分かりやすく説明するため、本発明と関連性の低い部材および部位などについては、必要に応じて図示や説明を省略する。
図1には、本発明の一実施形態としての温水防除装置10の全体構成が示されている。温水防除装置10は、筐体構造の装置本体12やゴムホースなどからなる温水ホース14、給水タンク16を含んで構成されている。
装置本体12は、図示しない移動手段としての自走式の車(例えば、内燃機関や車輪を備えた車)の上に設置されており、圃場の任意の場所に移動できるようになっている。装置本体12の内部には、加熱手段としてのボイラ18や貯留手段としての貯留缶20、制御手段としてのコントロールユニット22などが収容されている。
ボイラ18には、灯油やガスなどの燃料を燃やすことにより得られる熱源に水をさらすことで、水を温水に換える公知のボイラ(給湯器)が採用可能である。また、ボイラ18には、熱源の回りに水を配置するための図示しないタンクまたは配管を内蔵していると共に、タンクまたは配管内の水または温水を、必要に応じて外部に排出する手動ボール弁24を備えたドレン管26が設けられている。
貯留缶20は、図2,3にも示されるように、有底円筒形状の缶本体28と、缶本体28の開口部分を覆蓋する円板形状の蓋体30(図3の一点鎖線を参照)を含んで構成されている。
そこにおいて、貯留缶20の内部には、仕切部材としての平板状の仕切板32が設けられ、二つの領域を区画形成している。本実施形態では、この二つの領域のうち大きい方の領域が温水貯留領域34とされていると共に、小さい方の領域が水貯留領域36とされている。これら温水貯留領域34と水貯留領域36には、それぞれ、水位を測定するための電極式の水位センサ38,40が設けられている。これら水位センサ38,40は、それぞれ蓋体30または缶本体28設けられた固定部材(図示せず)などを介して缶本体28に固定されており、蓋体30が缶本体28の開口部分を覆蓋した際に、各水位センサ38,40の電極が各領域34,36に差し入れられた状態で保持されるようになっている。
また、温水貯留領域34には、温水流出管路42が設けられていると共に、水貯留領域36には、水流出管路44が設けられており、これら温水流出管路42と水流出管路44が、電動三方ボール弁46を介してボイラ18の給湯入側に配された入側管路48に接続されている。
さらに、ボイラ18の給湯出側には、出側管路50が配されており、この出側管路50が、電動混合三方ボール弁52を介して第一給湯管路54と混合用給水管路56に接続されている。第一給湯管路54は、貯留缶20の温水貯留領域34に接続されている。また、混合用給水管路56は、入側管路48に接続されている。この入側管路48において混合用給水管路56と電動三方ボール弁46との間には、管内の水または温水を循環させるための循環ポンプ58が設けられている。
特に本実施形態では、出側管路50においてボイラ18と電動混合三方ボール弁52との間には、第二給湯管路60が設けられて、貯留缶20の温水貯留領域34に接続されている。第二給湯管路60には、電動ボール弁62が設けられている。また、温水貯留領域34には、内部の温水を、必要に応じて外部に排出する手動ボール弁64および電動ボール弁66を備えたドレン管68が設けられている。更に、ボイラ18には、ボイラ18の内部圧力が異常に上昇した際に自動的に圧力を放出させ内部圧力の降下とともに自動的に閉じる安全弁(圧力逃し弁)70を備えた圧力管路72が設けられており、この圧力管路72が貯留缶20の温水貯留領域34に開放している。
また、温水貯留領域34は、吐出管路74を介して、所定の長さの温水ホース14に接続されている。この吐出管路74には、温水を吐出する方向に圧力をかける動噴ポンプ76が設けられていると共に、吐出管路74を流れ、ひいては外部に吐出される温水の流量を測定するための電磁式の流量センサ78が設けられている。また、温水ホース14の先端には、吐出ノズル80および手動ボール弁82を備えたシャワーヘッド84が設けられている。
また、給水タンク16は、貯留缶20やボイラ18内のタンクまたは配管よりも水位が低くなる位置に設置されている。給水タンク16には、給水管路86が設けられている。給水管路86は、電動三方ボール弁88を介して2つに分岐して(86a,86b)、温水貯留領域34と水貯留領域36にそれぞれ接続されている。また、給水管路86には、給水タンク内の水を吸い上げて温水貯留領域34または水貯留領域36に水を供給するための水中ポンプ90や、水の不純物を除くストレーナ92や、給水管路86を流れ、ひいては温水貯留領域34または水貯留領域36に供給される水の流量を測定するための電磁式の流量センサ94が設けられている。また、給水管路86には、温水貯留領域34の大気に開放するサイホンブレーカ96が設けられており、このサイホンブレーカ96によるサイホン現象によって、水中ポンプ90が停止した時の給水管路86内における揚水の逆流を防止するようになっている。
また、本実施形態では、温度検知手段としてのサーミスタの複数が設けられている。具体的に、第一サーミスタ98が、吐出ノズル80付近のシャワーヘッド84に設けられている。また、第二サーミスタ100が貯留缶20の温水貯留領域34に設けられている。更に、第三および第四サーミスタ102,104が、ボイラ18の入側管路48付近と出側管路50付近にそれぞれ設けられている。更にまた、第五サーミスタ106が、給水管路86の給水タンク16付近に設けられている。また、温水貯留領域34の水位センサ38の低水位電極(一番長い電極)は、ボイラ18が空焚きにならない温水貯留領域34の水位で、温水貯留領域34の第二サーミスタ100よりも上に配置されている。
特に、第一サーミスタ98の付近には、無線通信手段としての無線LAN機器等からなる無線通信ユニット108が設けられている。この無線通信ユニット108は、シャワーヘッド84などに固定されたり、あるいはシャワーヘッド84の付近に配置されたりするようになっており、第一サーミスタ98と有線または無線で接続されている。そして、第一サーミスタ98で検知されたシャワーヘッド84内の温水の温度データを無線でコントロールユニット22に送信するようになっている。
一方、コントロールユニット22は、CPUやROM、RAM、無線LANの通信部等を含むマイクロコンピュータを備えていると共に、操作パネルを備えている。操作パネルは、図面に明示されていないが、温水防除装置10を運転/停止するスイッチや温水の温度や流量を表示する表示部、温水を目的とする温度に設定する、温度設定手段としての設定スイッチが設けられている。特に本実施形態では、かかる設定スイッチにおいて、設定温度が温水を農作物の葉面に散布するのに適した温度(例えば50〜65℃)に自動的に設定される葉面散布モードのスイッチと、設定温度が温水を土壌に散布することで土壌表面または土中に生息する農作物の育成に有害な菌や害虫を有効に防除するのに適した温度(例えば70〜95℃)に自動的に設定される土壌消毒モードのスイッチが備わっている。
このようなコントロールユニット22は、前述のボイラ18の運転制御部や水位センサ38,40、電動三方ボール弁46,88、電動混合三方ボール弁52、循環ポンプ58、電動ボール弁62,66、動噴ポンプ76、流量センサ78,94、第二乃至は第五サーミスタ100,102,104,106と電気的に接続されている。
上述の如き構造とされた温水防除装置10においては、例えば、農作物としてのキュウリを育成する圃場としてのビニルハウスに設置されて、川または井戸の水を給水タンク16内に入れて、該水を加熱することにより温水を生成して、温水をキュウリの葉面に散布したり、温水を土壌に散布して土壌消毒したりする温水防除作業を行うことができる。
以下に、温水防除装置10における葉面散布時の動作状態と土壌消毒時の動作状態について説明するが、本発明は、これら動作状態に限定されるものでない。
[葉面散布時]
先ず、作業者が温水防除装置10の電源をオンして、コントロールユニット22の操作パネルにおいて、葉面散布モードの温度設定スイッチを押し、温水防除装置10の運転をオンする。すると、コントロールユニット22が、第二給湯管路60の電動ボール弁62や出側管路50の電動混合三方ボール弁52の混合用給水管路56側、電動三方ボール弁46の水流出管路44側、ドレン管44の電動ボール弁66を閉状態にする共に、給水管路86の電動三方ボール弁88の温水貯留領域34側を開状態にし、かつ水貯留領域36側を閉状態にする。また、給水タンク16に川または井戸の水を入れて、水中ポンプ90を駆動する。これにより、給水タンク16の水が給水管路86aを通じて貯留缶20の温水貯留領域34に貯められる。なお、上述の説明からも明らかなように、本発明の給水手段が、給水タンク16や水中ポンプ90、給水管路86、電動三方ボール弁88を含んで構成されている。
先ず、作業者が温水防除装置10の電源をオンして、コントロールユニット22の操作パネルにおいて、葉面散布モードの温度設定スイッチを押し、温水防除装置10の運転をオンする。すると、コントロールユニット22が、第二給湯管路60の電動ボール弁62や出側管路50の電動混合三方ボール弁52の混合用給水管路56側、電動三方ボール弁46の水流出管路44側、ドレン管44の電動ボール弁66を閉状態にする共に、給水管路86の電動三方ボール弁88の温水貯留領域34側を開状態にし、かつ水貯留領域36側を閉状態にする。また、給水タンク16に川または井戸の水を入れて、水中ポンプ90を駆動する。これにより、給水タンク16の水が給水管路86aを通じて貯留缶20の温水貯留領域34に貯められる。なお、上述の説明からも明らかなように、本発明の給水手段が、給水タンク16や水中ポンプ90、給水管路86、電動三方ボール弁88を含んで構成されている。
そして、水位センサ38が温水貯留領域34において水が給水停止レベルに達したことを検知すると、コントロールユニット22が、給水管路86の電動三方ボール弁88の温水貯留領域34側を閉状態にして、温水貯留領域34への給水を停止させると共に、循環ポンプ58に起動信号を出力して、循環ポンプ58を駆動させる。これにより、温水貯留領域34の水が、温水流出管路42、入側管路48を通ってボイラ18に流入し、出側管路50、第一給湯管路54を通って再び温水貯留領域34に流入し、この水流を繰り返す循環を行う。
また、上述の循環を所定時間経た後に、コントロールユニット22がボイラ18に起動信号を出力して、ボイラ18を駆動させる。これにより、温水貯留領域34の水が加熱される。また、コントロールユニット22は、葉面散布モードの設定温度を中心とした比例帯を設定して、ボイラ18において水を加熱する出力を、第二乃至は第四サーミスタ100,102,104により検知された温水の各温度と設定温度との偏差に比例させる比例制御を行っている。また、コントロールユニット22は、ボイラ18において水を加熱する出力を、ボイラの出側温度(第四サーミスタ104で検知)に基づいて、H(ハイ)、M(ミドル)、L(ロー)の3位置制御で行っており、それによって、ボイラ18の発停回数を抑えている。
そして、第二サーミスタ100により検知された温水の温度が葉面散布の設定温度に入って、所定時間経過すると、コントロールユニット22が、温度範囲OK信号をラッチすると共に、コントロールユニット22に設けた警報ブザーを所定時間鳴らして、動噴ポンプ76に起動信号を出力して、動噴ポンプ76を駆動させる。これにより、作業者がシャワーヘッド84の手動ボール弁82を開状態にすると、キュウリの葉面散布に適した温度の温水をシャワーヘッド84の吐出ノズル80から外部に吐出させることができる。因みに、上述の説明からも明らかなように、本発明の吐出手段が、吐出管路74や動噴ポンプ76、温水ホース14、手動ボール弁82、シャワーヘッド84、吐出ノズル80を含んで構成されている。
かかる動作状態において、温水散布により温水貯留領域34の水位が給水レベルに達すると、コントロールユニット22が、給水管路86の電動三方ボール弁88の温水貯留領域34側を開状態にして、水を給水タンク16から給水管路86aを通じて温水貯留領域34に流入させる。あるいは、給水管路86の電動三方ボール弁88の水貯留領域36側を開状態にして、水を給水タンク16から給水管路86bを通じて水貯留領域36に流入させ、水貯留領域36において水を満杯にした後に、水貯留領域36から水をオーバーフローで温水貯留領域34に流入させることによって、温水貯留領域34に給水することも可能である。また、コントロールユニット22は、ボイラ18の発停を葉面散布の出湯温度で行う。
また、特に、第一サーミスタ98により検知される出湯温度が設定温度の比例帯を超えた高温水領域に達した場合には、その状態が所定時間経過すると、コントロールユニット22が、警報ブザーを鳴らして、動噴ポンプ76の駆動を停止させることにより、吐出ノズル80からの高温水の吐出を強制的に停止させる。また、コントロールユニット22が、ドレン管66の電動ボール弁66を開状態にして(なお、ドレン管66の手動ボール弁64は作業者によって予め開状態にされている)、温水貯留領域34の温水をドレン管66を通じて外部に排出する。これにより、温水貯留領域34において高温水が減った分だけ給水タンク16から水を温水貯留領域34に入れることができることから、温水貯留領域34における温水の高温状態を速やかに解消することができる。
特に本動作状態では、出湯温度が設定温度の比例帯を超えた高温水領域に達した場合に、上述のように温水貯留領域34の高温水をドレン管66から排水することに加えてあるいは代えて、コントロールユニット22が、電動混合三方ボール弁46の混合用給水管路56側を開状態にし、かつ第二給湯管路60の電動ボール弁62を閉状態にする。また、コントロールユニット22が、給水管路86の電動三方ボール弁88の温水貯留領域34側を開状態にして、水を温水貯留領域34に積極的に取り入れる。更に、コントロールユニット22が、電動三方ボール弁46の温水流出管路42側を開状態にし、かつ水流出管路44側を閉状態にする。そして、コントロールユニット22が循環ポンプ58を駆動する。これにより、温水貯留領域34において比較的低い温度にされた温水または水が、温水流出管路42、入側管路48および混合用給水管路56を通じて電動混合三方ボール弁52に流入する一方、ボイラ18内の高温水が出側管路50を通じて電動混合三方ボール弁52に流入することで、比較的低い温度にされた温水または水と高温水とが電動混合三方ボール弁52において混合される。そして、この混合水が電動混合三方ボール弁52から第一給湯管路54を通じて温水貯留領域34に流入する。従って、かかる混合水によって温水貯留領域34の温水の温度が設定温度の高温領域または低温領域を大きく逸脱されることを抑えて、ボイラ18の発停回数が軽減されると共に、農作物の高温または過湿障害が軽減される。このことからも明らかなように、本発明の混合手段が、電動混合三方ボール弁52や混合用給水管路56、第一および第二給湯管路54,60、温水流出管路42、入側管路48、電動三方ボール弁46、電動ボール弁62、循環ポンプ58を含んで構成されている。
さらに、コントロールユニット22は、第一乃至第四サーミスタ98,100,102,104によって検知された温水の温度または第五サーミスタ106によって検知された水温に基づいて、温水の温度を葉面散布の設定温度に近づける方向に温水貯留領域34における温水の貯留量をフィードバック制御する。さらに、コントロールユニット22は、かかるフィードバック制御によって温水の温度が葉面散布の設定温度に最も近づいた時の最適データをサンプリングして、この最適データを実現するように温水の貯留量を学習制御したり、ボイラ18の出側管路50の高温水と混合用給水管路56の低温水または水とを電動混合三方ボール弁52において混合させる混合比を学習制御したりする。
更にまた、コントロールユニット22は、給水管路86の流量センサ94に検知された給水流量と吐出管路74の流量センサ78に検知された温水の吐出流量との差に基づいて、吐出ノズル80から外部に吐出される温水の積算流量を測定する。また、コントロールユニット22は、温水を吐出できる流量の制限値を設けており、積算流量が制限値に達したら、警報ブザーを鳴らして、動噴ポンプ76の駆動を停止させることにより、吐出ノズル80からの温水の吐出を強制的に停止させる。この説明からも明らかなように、本発明の積算流量測定手段や流量制限手段は、コントロールユニット22によって構成されている。
[土壌消毒時]
先ず、作業者が温水防除装置10の電源をオンして、コントロールユニット22の操作パネルにおいて、土壌消毒モードの温度設定スイッチを押し、温水防除装置10の運転をオンする。すると、コントロールユニット22が、第二給湯管路60の電動ボール弁62や出側管路50の電動混合三方ボール弁52の混合用給水管路56側、電動三方ボール弁46の水流出管路44側、ドレン管44の電動ボール弁66を閉状態にする共に、給水管路86の電動三方ボール弁88の温水貯留領域34側を閉状態にし、かつ水貯留領域36側を開状態にする。また、給水タンク16に川または井戸の水を入れて、水中ポンプ90を駆動する。これにより、給水タンク16の水が給水管路86bを通じて貯留缶20の水貯留領域36に貯められる。
先ず、作業者が温水防除装置10の電源をオンして、コントロールユニット22の操作パネルにおいて、土壌消毒モードの温度設定スイッチを押し、温水防除装置10の運転をオンする。すると、コントロールユニット22が、第二給湯管路60の電動ボール弁62や出側管路50の電動混合三方ボール弁52の混合用給水管路56側、電動三方ボール弁46の水流出管路44側、ドレン管44の電動ボール弁66を閉状態にする共に、給水管路86の電動三方ボール弁88の温水貯留領域34側を閉状態にし、かつ水貯留領域36側を開状態にする。また、給水タンク16に川または井戸の水を入れて、水中ポンプ90を駆動する。これにより、給水タンク16の水が給水管路86bを通じて貯留缶20の水貯留領域36に貯められる。
そして、水貯留領域36の水を一杯に満たした後に、水貯留領域36から水をオーバーフローさせて、温水貯留領域34に注入する。水位センサ38が温水貯留領域34において水が給水停止レベルに達したことを検知すると、コントロールユニット22が、給水管路86の電動三方ボール弁88の水貯留領域36側を閉状態にして、温水貯留領域34および水貯留領域36への給水を停止させると共に、循環ポンプ58に起動信号を出力して、循環ポンプ58を駆動させる。これにより、温水貯留領域34の水が、温水流出管路42、入側管路48を通ってボイラ18に流入し、出側管路50、第一給湯管路54を通って再び温水貯留領域34に流入し、この水流を繰り返す循環を行う。このとき、水貯留領域36の水は一杯に貯められている状態を維持している。
また、上述の循環を所定時間経た後に、コントロールユニット22がボイラ18に起動信号を出力して、ボイラ18を駆動させる。これにより、温水貯留領域34の水が加熱される。また、コントロールユニット22は、土壌消毒モードの設定温度を中心とした比例帯を設定して、ボイラ18において水を加熱する出力を、第二乃至は第四サーミスタ100,102,104により検知された温水の各温度と設定温度との偏差に比例させる比例制御を行っている。また、コントロールユニット22は、ボイラ18において水を加熱する出力を、ボイラの出側温度(第四サーミスタ104で検知)に基づいて、H(ハイ)、M(ミドル)、L(ロー)の3位置制御で行っており、それによって、ボイラ18の発停回数を抑えている。
そして、第二サーミスタ100により検知された温水の温度が土壌消毒の設定温度に入って、所定時間経過すると、コントロールユニット22が、温度範囲OK信号をラッチすると共に、コントロールユニット22に設けた警報ブザーを所定時間鳴らして、動噴ポンプ76に起動信号を出力して、動噴ポンプ76を駆動させる。これにより、作業者がシャワーヘッド84の手動ボール弁82を開状態にすると、土壌消毒に適した温度の温水をシャワーヘッド84の吐出ノズル80から外部に吐出させることができる。
かかる動作状態において、温水散布により温水貯留領域34の水位が給水レベルに達すると、コントロールユニット22が、給水管路86の電動三方ボール弁88の温水貯留領域34側を開状態にし、かつ水貯留領域36側を閉状態にして、水を給水タンク16から給水管路86aを通じて温水貯留領域34に流入させて、温水貯留領域34の水または温水を一杯に満たした後に、温水貯留領域34から水をオーバーフローさせて、水貯留領域36に注入する。そして、水位センサ40が水貯留領域36において水が給水停止レベルに達したことを検知すると、コントロールユニット22が、給水管路86の電動三方ボール弁88の温水貯留領域34側を閉状態にして、温水貯留領域34および水貯留領域36への給水を停止させると共に、給水管路86の電動三方ボール弁42の水流出管路44側を開状態にし、かつ温水流出管路42側を閉状態にし、更に電動混合三方ボール弁52の第一給湯管路54側と第二給湯管路60の電動ボール弁62との少なくとも一方を開状態にして、循環ポンプ58に起動信号を出力し循環ポンプ58を駆動させる。これにより、水貯留領域34にある水または低温水を、水流出管路44、入側管路48を通じてボイラ18に供給して加熱させつつ、出側管路50、第一給湯管路54または第二給湯管路60を通じて温水貯留領域34に注入する。特に本実施形態では、このように温水貯留領域34の温水がオーバーフローして水貯留領域36に注入されることで、温水の急激な温度上昇が抑えられることとなり、それによって、急激な温度上昇に起因するボイラ18の発停も抑えられることから、土壌消毒のように比較的に高温度の温水が必要になる場合にも、温水を目的とする高温度まで速やかに加熱することが可能となる。なお、本実施形態では、温水貯留領域34の給水に際して、例えば、コントロールユニット22が、給水管路86の電動三方ボール弁88の水貯留領域36側を開状態にして、水を給水タンク16から給水管路86bを通じて水貯留領域36に流入させ、水貯留領域36において水を満杯にした後に、水貯留領域36から水をオーバーフローで温水貯留領域34に流入させることによって、温水貯留領域34に給水することも可能である。また、コントロールユニット22は、ボイラ18の発停を土壌消毒の出湯温度で行う。
また、第一サーミスタ98により検知される出湯温度が設定温度の比例帯を超えた低温水領域に達した場合には、その状態が所定時間経過すると、コントロールユニット22が、警報ブザーを鳴らして、動噴ポンプ76の駆動を停止させることにより、吐出ノズル80からの低温水の吐出を強制的に停止させる。これにより、土壌消毒に効果のない低温水が、無駄に土壌に散布されることが防止される。
特に本動作状態では、水貯留領域36に水が貯められていることから、例えば土壌消毒において第一給湯管路54から温水貯留領域34への温水の供給だけでは吐出流量が確保され難い場合に、前述のようにコントロールユニット22が、給水管路86の電動三方ボール弁42の水流出管路44側を開状態にし、かつ温水流出管路42側を閉状態にすると共に、電動混合三方ボール弁52の第一給湯管路54側と第二給湯管路60の電動ボール弁62を何れも開状態にして、温水を第一給湯管路54だけでなく、第二給湯管路60をも通じて温水貯留領域34に入れることで、吐出流量を増大させることも可能となる。
さらに、コントロールユニット22は、第一乃至第四サーミスタ98,100,102,104によって検知された温水の温度または第五サーミスタ106によって検知された水温に基づいて、温水の温度を土壌消毒の設定温度に近づける方向に温水貯留領域34における温水の貯留量と水貯留領域36における水の貯留量をフィードバック制御する。さらに、コントロールユニット22は、かかるフィードバック制御によって温水の温度が土壌消毒の設定温度に最も近づいた時の最適データをサンプリングして、この最適データを実現するように温水の貯留量と水の貯留量を学習制御する。
更にまた、コントロールユニット22は、前述の葉面散布時と同様に、給水管路86の流量センサ94に検知された給水流量と吐出管路74の流量センサ78に検知された温水の吐出流量との差に基づいて、吐出ノズル80から外部に吐出される温水の積算流量を測定する。また、コントロールユニット22は、温水を吐出できる流量の制限値を設けており、積算流量が制限値に達したら、警報ブザーを鳴らして、動噴ポンプ76の駆動を停止させることにより、吐出ノズル80からの温水の吐出を強制的に停止させる。
本実施形態に従う構造とされた温水防除装置10によれば、設定温度の領域が葉面散布時のように比較的に低い領域から土壌消毒のように高い領域まである場合に、特別に各温度領域に対応した缶体を複数用意したり、大型の缶体を用いて温水の温度容量を確保したりしなくても、一つの仕切板32を缶本体28の内部に設けただけの簡単な構造の貯留缶20で広い温度領域に対応される。それ故、部品点数の削減化に基づいて、装置10の低コスト化や装置10の軽量化による農作業の労力軽減などが有利に図られる。しかも、装置10のコンパクト化が図られることによって、装置をビニルハウスの任意の場所に容易に移動させることができ、優れた温水防除作業が実現される。
特に、上述の葉面散布時に、吐出温水の温度が下がると温度を上げる方向にフィードバック制御することとなるが、フィードバック制御だけでは温水の温度が設定温度になるまでに時間がかかってしまい、農作物に対して温水による高温または過湿障害が生じるおそれがある。そこにおいて、本実施形態では、フィードバック制御に加え、かかるフィードバック制御を利用して温水の温度が設定温度に最も近づいた時の最適データをサンプリングして、最適データを実現するように温水の貯留量や水の貯留量を制御したり、温水貯留領域34の温水と水貯留領域36の水の混合比を制御したりする学習制御が用いられていることから、ボイラ18に供給される水または温水の温度における急激な変動が有利に抑えられて、出湯温度を設定温度にすることが安定する。それ故、農作物に対する温水のダメージを有利に軽減させつつ、目的とする温水防除効果が十分に得られるのである。
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものでなく、実施態様が本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能である。
例えば、前記実施形態では、貯留缶20の缶本体28の内部に仕切板32が設けられて、温水貯留領域34と水貯留領域36の2槽に分けられていたが、図4に示すように、缶本体28よりも一回り小さな有底円筒形状の仕切缶体110を貯留缶20の内部に配置することによって、缶本体28の内部で仕切缶体110の外側の領域を温水貯留領域34とすると共に、仕切缶体110の内側の領域を水貯留領域36とすることも可能である。なお、図4に示す実施形態において、前記実施形態と実質的に同一の部材および部位については、前記実施形態の部材及び部位と同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。
また、前記実施形態では、温水貯留領域34と水貯留領域36とが、それぞれ一つずつ設けられていたが、これら貯留領域の数は特に限定されるものでなく、必要に応じて、それぞれ二つ以上設けられても良い。
また、前記実施形態では温水貯留領域34が水貯留領域36に比して大きくなっていたが、これらの領域は同じ大きさでも良いし、反対に水貯留領域36が温水貯留領域34に比して大きくなっていても良い。
また、特に図示していないが、例えば、温水貯留領域34から吐出手段としての「吐出管路74や動噴ポンプ76、温水ホース14、手動ボール弁82、シャワーヘッド84、吐出ノズル80」に至る温水の経路上において、温水貯留領域34よりも吐出手段に近い側(具体的な例としては、吐出手段の一部である温水ホース14とシャワーヘッド84との接続部分、もしくはシャワーヘッド84または吐出ノズル80)には、温水を補助的に加熱するための補助加熱手段が設けられても良い。この補助加熱手段には、例えば電気ヒータやガスバーナ、灯油バーナなど公知の加熱機器が採用される。そして、第一サーミスタ98により検知された温水の温度が設定温度よりも低い場合に、コントロールユニット22が補助加熱手段を作動させて、温水が補助加熱手段によって加熱されるようにしても良い。
10…温水防除装置、14…温水ホース、16…給水タンク、18…ボイラ、20…貯留缶、22…コントロールユニット、34…温水貯留領域、36…水貯留領域、74…吐出管路、76…動噴ポンプ、80…吐出ノズル、82…手動ボール弁、84…シャワーヘッド、86…給水管路、88…電動三方ボール弁、90…水中ポンプ、98…第一サーミスタ、100…第二サーミスタ、102…第三サーミスタ、104…第四サーミスタ、106…第五サーミスタ
Claims (10)
- 堆肥による土作りを行った圃場で農作物を育成する際に、該圃場と該農作物の少なくとも一方に温水を散布することによって病虫害を防除する温水防除装置であって、
水を加熱することで前記温水を生成する加熱手段と、
前記水を前記加熱手段に供給する給水手段と、
前記加熱手段で生成された前記温水を貯留する温水貯留領域と前記給水手段における前記水を貯留する水貯留領域とを備え、該温水貯留領域と該水貯留領域とは該温水および該水が相互に越流可能に配置されている貯留手段と、
前記貯留手段の前記温水貯留領域から前記温水を外部に吐出させる吐出手段と、
前記温水の温度を検知する温度検知手段と、
前記温水を目的とする温度に設定する温度設定手段と、
前記温度設定手段によって設定された設定温度と前記温度検知手段により検知された前記温水の温度との差に基づいて、前記貯留手段において前記温水貯留領域にだけ前記温水を貯留させたり、該温水貯留領域に該温水を貯留させると共に前記水貯留領域に前記水を貯留させたり、あるいは該温水貯留領域にある該温水と該水貯留領域にある該水との一方を他方に越流させたりすることで、該温水貯留領域における該温水の貯留量と該水貯留領域における該水の貯留量を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする温水防除装置。 - 前記温度設定手段は、前記温水を前記農作物の葉面に散布するのに適した温度に設定する葉面散布モードと、該葉面散布モードよりも高温で該温水を前記圃場の土壌に散布して消毒するのに適した温度に設定する土壌消毒モードとの二つの設定モードを備えており、該温度設定手段が該葉面散布モードである場合に、前記制御手段は、前記貯留手段において前記温水貯留領域にだけ前記温水を貯留する制御を行う一方、該温度設定手段が該土壌消毒モードである場合に、該制御手段は、該温水貯留領域に該温水を貯留すると共に前記水貯留領域に前記水を貯留する制御と、該温水貯留領域にある該温水と該水貯留領域にある該水との一方を他方に越流させる制御とを行う請求項1に記載の温水防除装置。
- 前記制御手段は、前記温度検知手段によって検知された前記温水の温度に基づいて、該温水の温度を前記温度設定手段による前記設定温度に近づける方向に前記温水貯留領域における前記温水の貯留量と前記水貯留領域における前記水の貯留量をフィードバック制御すると共に、該制御手段は、かかるフィードバック制御によって該温水の温度が該設定温度に最も近づいた時の最適データをサンプリングして、該最適データを実現するように該温水の貯留量と該水の貯留量を学習制御する請求項1又は2に記載の温水防除装置。
- 前記温水貯留領域の前記温水と前記水貯留領域の前記水を混合して、該混合水を前記加熱手段に供給する混合手段を備えており、前記制御手段は、前記フィードバック制御によって該温水の温度が前記温度設定手段による前記設定温度に最も近づいた時の最適データをサンプリングして、該最適データを実現するように該混合手段における該温水と該水の混合比を学習制御する請求項3に記載の温水防除装置。
- 前記吐出手段から外部に吐出される前記温水の積算流量を測定する積算流量測定手段と、前記温水を吐出できる流量の制限値を設けて、前記積算流量が該制限値に達したら、その制限値に達したことを報知して、吐出手段の作動を停止する流量制限手段とを備える請求項1乃至4の何れか一項に記載の温水防除装置。
- 前記温水貯留領域の前記温水を外部に排出する排水手段を備えており、前記温度検知手段により検知された該温水の温度が前記温度設定手段による前記設定温度に比して高くなり過ぎた場合に、前記制御手段は、該排水手段を作動して該温水貯留領域の該温水を外部に排出させると共に、前記給水手段又は前記水貯留領域における前記水を該温水貯留領域に供給させる制御を行う請求項1乃至5の何れか一項に記載の温水防除装置。
- 前記温度検知手段の少なくとも一部が、前記温水貯留領域から前記吐出手段に至る前記温水の経路上で、該温水貯留領域よりも該吐出手段に近い側に設けられており、該温度検知手段によって検知された該温水の温度データが、無線通信手段を介して前記制御手段に送られる請求項1乃至6の何れか一項に記載の温水防除装置。
- 前記温水貯留領域から前記吐出手段に至る前記温水の経路上において、該温水貯留領域よりも該吐出手段に近い側には、該温水を補助的に加熱する補助加熱手段が設けられており、前記温度検知手段により検知された該温水の温度が前記温度設定手段により設定された前記設定温度よりも低い場合に、前記制御手段が該補助加熱手段を作動させて、該温水が該補助加熱手段によって加熱される請求項1乃至7の何れか一項に記載の温水防除装置。
- 前記加熱手段、前記給水手段、前記貯留手段、前記吐出手段、前記温度検知手段、前記温度設定手段、前記制御手段、前記混合手段、前記積算流量測定手段、前記流量制限手段、前記排水手段、前記無線通信手段および前記補助加熱手段の少なくとも一つを前記圃場の任意の場所へ移動させる移動手段を備える請求項1乃至8の何れか一項に記載の温水防除装置。
- 前記貯留手段は、前記水や前記温水を入れることが可能な容器により構成され、該容器の内部に仕切部材を設けて複数の領域を区画形成することによって、これら複数の領域の一部または全部により前記温水貯留領域や前記水貯留領域が構成される請求項1乃至9の何れか一項に記載の温水防除装置。
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