JP2016145445A - 柔軟性、耐磨耗性織物スリーブおよびその構築方法 - Google Patents

Abstract

【課題】細長い部材を引き回しおよび保護するための織物スリーブ、ならびにその構築方法の提供。
【解決手段】その中心軸１８に平行に延びる対向縁１６，１７を有する細長い壁１２を含み、壁１２は、軸１８に平行に延びる経糸２２及び経糸２２を横切って延びる緯糸２４により構成されているスリーブ１であって、経糸２２、緯糸２４には、モノフィラメント糸が使用されているため、スリーブ１０に耐摩耗性を付与するとともに、特に、緯糸２４には、マルチフィラメント糸も併せて使用するため、スリーブ１０の被覆範囲を増加させるとともに柔軟性も維持できる柔軟性・耐磨耗性織物スリーブの構築方法。
【選択図】図１

Description

関連出願との相互参照
本願は、２００９年６月１１日に出願された米国仮出願連続番号第６１／１８６，１７４号の利益を主張し、その全文が引用によってここに援用される。

発明の背景
１．技術分野
この発明は、一般に、細長い部材を保護するための織物スリーブに関し、より特定的には、織られたスリーブに関する。

２．関連技術
摩耗、流体および熱の影響からワイヤを保護するために、自動車、航空機または航空宇宙機などにおいてワイヤおよびワイヤハーネスを保護スリーブに包むことが知られている。望ましい保護を達成するために、保護スリーブは複数の層を有し、それらの層のうちのいくつかは具体的に、異なるタイプの保護のために設けられていてもよい。たとえば、耐水性を目的として、たとえばプラスチック材のシートである１つの層が設けられていてもよく、耐摩耗性を目的として別の層が設けられていてもよく、熱条件に対する保護を目的として、たとえば不織層であるさらに別の層が設けられていてもよい。残念ながら、上述の多層スリーブは、さまざまな環境条件に対する好適な保護を与え得るが、それらは、典型的には嵩高く、比較的重くて限定された柔軟性を示すことから、増加した空間量を必要とする。これは、一部の用途において、特に、窮屈な曲がりくねった区域を通る引き回しを必要とする用途において、また、たとえば航空機および航空宇宙での用途など、重量制限のある用途においては不利となり得る。スリーブの嵩を減らし、柔軟性を向上させるために、密に織られたマルチフィラメント糸およびモノフィラメント糸を経方向および緯方向の両方で用いることも知られている。しかし、密な織り方を用いる必要性には、典型的にはコストの増加が伴う。

発明の概要
発明の一局面は、細長い部材を引き回し、かつ、それが磨耗および汚染などの他の環境条件にさらされることから保護するための、織られたスリーブを提供する。

スリーブは、織られたモノフィラメント糸およびマルチフィラメント糸から構築された、柔軟性、耐摩耗性の自己巻きする（self-curling）細長い壁を有する。壁は、スリーブの中心軸に概ね平行に延びる対向縁を有し、対向縁は、自己巻きすると互いに重なり合う関係になるように付勢される。壁は、経モノフィラメント糸ならびに緯モノフィラメントおよび緯マルチフィラメント糸により織られる。経モノフィラメント糸は、スリーブに耐摩耗性を与え、緯モノフィラメント糸は、壁に自己巻き付勢を与えるとともに、向上した耐摩耗性も与え、一方、緯マルチフィラメント糸は、汚染、瓦礫などの侵入を妨げることにより、スリーブ内の細長い部材にさらなる保護を与え、また、スリーブに向上した柔軟性を与えて、経モノフィラメントに摩擦を付与し、経モノフィラメントを意図される織られたままの位置に維持する。

発明の別の局面に従うと、モノフィラメント緯糸およびマルチフィラメント緯糸は、隙
間により互いから軸方向に離された一対のモノフィラメント糸およびマルチフィラメント糸を与えるように二重挿入される。

発明の別の局面に従うと、織物スリーブの構築方法が提供される。方法は、スリーブの中心軸に平行に延びる対向縁を有する細長い壁を編む工程を含み、壁は、軸に平行に延びる経糸および経糸を横切って延びる緯糸を有する。さらに、方法は、経糸をモノフィラメント糸として提供し、緯糸をモノフィラメント糸およびマルチフィラメント糸として提供する工程を含む。

発明のさらに別の局面に従うと、方法は、モノフィラメント緯糸およびマルチフィラメント緯糸を経糸と共に二重挿入し、中心軸に沿って互いから軸方向に離されたモノフィラメント緯糸およびマルチフィラメント緯糸の不連続な対を与える工程を含む。

発明に従って構築されるスリーブは、その中に収容する細長い部材に向上した保護を与えるのみならず、製造において経済的でもある。

これらのおよび他の局面、特徴および利点は、以下の現在の好ましい実施形態および最良の形態の詳細な説明、添付の請求項および添付の図面に鑑みて、当業者に容易に明らかになるであろう。

中に細長い部材を載置して保護する、発明の一局面に従って構築された織られた自己巻付きスリーブの概略斜視図である。 図１のスリーブの壁の部分拡大図である。

好ましい実施形態の詳細な説明
図面をより詳細に参照すると、図１は、発明の一局面に従って構築された、以下スリーブ１０と呼ぶ、織られた自己巻付き織物スリーブの概略図を示す。スリーブ１０は、たとえばワイヤまたはワイヤハーネス１４などの細長い部材を引き回して、かつ、磨耗および汚染、瓦礫などの侵入から保護するための自己巻付き細長い壁１２を有する。細長い壁１２は、中心の長手方向軸１８に概ね平行に延びる対向縁１６，１７を有する。縁１６，１７は、「タバコが巻かれる」ような様式で互いに重なり合う関係に付勢され、スリーブの中心キャビティ２０内の細長い部材１４を完全に囲うことが好ましい。キャビティ２０は、長手方向軸１８の全長に亘って容易にアクセス可能であるため、細長い部材１４はキャビティ２０内へと径方向に容易に配置され、反対に、手入れ中などは、キャビティ２０から容易に取外されることができる。細長い部材１４に磨耗に対する保護を与えるために、壁１２は、モノフィラメント糸として提供される経糸２２およびモノフィラメント糸として提供される緯糸２４により織られる。緯モノフィラメント糸２４は、細長い部材１４に磨耗に対するさらなる向上した保護を与え、また、対向縁１６，１７を互いに重なり合う関係に自己巻きするように付勢する。付勢は、緯モノフィラメント糸２４を熱硬化（heat-setting）して、中心軸１８のまわりに巻く構成にすることにより付与される。緯モノフィラメント糸２４に加えて、壁１２は、マルチフィラメント糸として提供される緯糸２６を有する。マルチフィラメント糸２６は、細長い部材１４に対し、壁１２のさらなる表面区域被覆範囲（surface area coverage）を与え、キャビティ２０への汚染、瓦礫などの
侵入を妨げることにより、細長い部材１４に向上した保護を与える。さらに、マルチフィラメント糸２６は、経モノフィラメント２２に摩擦を付与することにより、経モノフィラメント２２を意図される織られたままの定位置に維持し、また、スリーブ１０に、たとえば角を回って引き回すために十分な柔軟性を与える。

用途の必要性に依存して、壁１２は、長さおよび直径を含む、任意の好適なサイズを有するように構築することもできる。壁１２が、一般的に外部から力が加えられない自己巻付きした筒状構成にあるとき、縁１６，１７は、好ましくは、少なくとも僅かに互いに重なり合って、キャビティ２０を完全に囲うことにより、キャビティ２０に収容されたワイヤ１４に向上した保護を与える。縁１６，１７は、緯モノフィラメント糸２４により付与される付勢に打ち勝つのに十分な外部から加えられる力の下では、互いから離れるように容易に伸長可能であり、キャビティ２０を少なくとも部分的に開放して露出させる。したがって、ワイヤ１４は、組立中はキャビティ２０へと容易に配置でき、手入れ中はキャビティ２０から容易に取外すことができる。外部から加わる力を解放すると、縁１６，１７は、熱硬化された緯モノフィラメント糸２４により付与される付勢下で、自然な、重なり合っている自己巻き付された位置に自動的に戻る。

モノフィラメント糸２２，２４は、たとえば、硫化ポリフェニレン（ＰＰＳ）またはポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）など、任意の好適な熱硬化性（heat-settable）ポ
リマー材料として提供することができる。１つの例示的なスリーブの実施形態においては、モノフィラメント糸２２，２４は、約０．２２ｍｍの直径を有するＰＥＴとして提供された。壁１２は、約４２ｍｍの幅（壁１２を平らにした状態で、縁１６，１７間に延びる寸法）を有するように形成され、経モノフィラメント２２の端の数は４８であった。緯モノフィラメント糸２４および緯マルチフィラメント糸２６は、インチ当り緯糸数（ＰＰＩ）が１０となるように二重挿入されたが、約８から１２の間のＰＰＩが実施可能な範囲内であるとみなされる。このようにＰＰＩが低いと、隙間２８が壁１２内に形成される。したがって、モノフィラメントおよびマルチフィラメント緯糸２４，２６は、その間の軸方向に延びる隙間２８により、中心軸１８に沿って互いから軸方向に離された、円周方向に延びるモノフィラメントおよびマルチフィラメント緯糸の不連続な対を提供する。マルチフィラメント糸２６は、約１２５０のデニールを有するように提供された。糸２２，２４，２６は、平織りを用いて織られ、その結果、約０．６ｍｍの壁厚を有するスリーブ１０が得られた。さらに別の例示的なスリーブの実施形態においては、経モノフィラメント２２の端の数は５２であり、すべての他の撚り係数（yarn factors）は同じままであった。これらの撚り係数は、当業者により、発明の精神および範囲内で、経糸２２を純粋にモノフィラメントとして、かつ緯糸２４，２６をモノフィラメントとマルチフィラメントとの組合せとして維持しつつ、寸法および数を変更可能であることが認識されるべきである。

経糸２２が純粋にモノフィラメントとして提供されると、スリーブアセンブリ１０の耐摩耗性が向上する。さらに、緯糸２４の一部がモノフィラメントとして提供されると、磨耗に対するさらなる保護が提供される。さらに、緯糸２６の一部がマルチフィラメントとして提供されると、壁１２に、細長い部材１４に対するさらなる表面区域被覆範囲が与えられることにより、キャビティ２０を汚染の侵入からさらに保護し、さらに、マルチフィラメントは、外部磨耗力下であっても、経モノフィラメント２２を意図する場所に維持するように作用する。

明らかに、上記の教示に鑑みて、本発明の多くの変形および変更が可能である。したがって、添付の請求項の範囲内で、発明は、具体的に説明したものとは異なる態様で実施してもよいことを理解すべきである。

好ましい実施形態の詳細な説明
図面をより詳細に参照すると、図１は、発明の一局面に従って構築された、以下スリーブ１０と呼ぶ、織られた自己巻付き織物スリーブの概略図を示す。スリーブ１０は、たとえばワイヤまたはワイヤハーネス１４などの細長い部材を引き回して、かつ、磨耗および汚染、瓦礫などの侵入から保護するための自己巻付き細長い壁１２を有する。細長い壁１２は、中心の長手方向軸１８に概ね平行に延びる対向縁１６，１７を有する。縁１６，１７は、「タバコが巻かれる」ような様式で互いに重なり合う関係に付勢され、スリーブの中心キャビティ２０内の細長い部材１４を完全に囲うことが好ましい。キャビティ２０は、長手方向軸１８の全長に亘って容易にアクセス可能であるため、細長い部材１４はキャビティ２０内へと径方向に容易に配置され、反対に、手入れ中などは、キャビティ２０から容易に取外されることができる。細長い部材１４に磨耗に対する保護を与えるために、壁１２は、モノフィラメント糸として提供される経糸２２およびモノフィラメント糸として提供される緯糸２４により織られる。緯モノフィラメント糸２４は、細長い部材１４に磨耗に対するさらなる向上した保護を与え、また、対向縁１６，１７を互いに重なり合う関係に自己巻きするように付勢する。付勢は、緯モノフィラメント糸２４をヒートセット（heat-setting）して、中心軸１８のまわりに巻く構成にすることにより付与される。緯モノフィラメント糸２４に加えて、壁１２は、マルチフィラメント糸として提供される緯糸２６を有する。マルチフィラメント糸２６は、細長い部材１４に対し、壁１２のさらなる表面区域被覆範囲（surface area coverage）を与え、キャビティ２０への汚染、瓦礫などの侵入を妨げることにより、細長い部材１４に向上した保護を与える。さらに、マルチフィラメント糸２６は、経モノフィラメント２２に摩擦を付与することにより、経モノフィラメント２２を意図される織られたままの定位置に維持し、また、スリーブ１０に、たとえば角を回って引き回すために十分な柔軟性を与える。

用途の必要性に依存して、壁１２は、長さおよび直径を含む、任意の好適なサイズを有するように構築することもできる。壁１２が、一般的に外部から力が加えられない自己巻付きした筒状構成にあるとき、縁１６，１７は、好ましくは、少なくとも僅かに互いに重なり合って、キャビティ２０を完全に囲うことにより、キャビティ２０に収容されたワイヤ１４に向上した保護を与える。縁１６，１７は、緯モノフィラメント糸２４により付与される付勢に打ち勝つのに十分な外部から加えられる力の下では、互いから離れるように容易に伸長可能であり、キャビティ２０を少なくとも部分的に開放して露出させる。したがって、ワイヤ１４は、組立中はキャビティ２０へと容易に配置でき、手入れ中はキャビティ２０から容易に取外すことができる。外部から加わる力を解放すると、縁１６，１７は、ヒートセットされた緯モノフィラメント糸２４により付与される付勢下で、自然な、重なり合っている自己巻き付された位置に自動的に戻る。

モノフィラメント糸２２，２４は、たとえば、硫化ポリフェニレン（ＰＰＳ）またはポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）など、任意の好適なヒートセット（heat-settable）ポリマー材料として提供することができる。１つの例示的なスリーブの実施形態においては、モノフィラメント糸２２，２４は、約０．２２ｍｍの直径を有するＰＥＴとして提供された。壁１２は、約４２ｍｍの幅（壁１２を平らにした状態で、縁１６，１７間に延びる寸法）を有するように形成され、経モノフィラメント２２の端の数は４８であった。緯モノフィラメント糸２４および緯マルチフィラメント糸２６は、インチ当り緯糸数（ＰＰＩ）が１０となるように二重挿入されたが、約８から１２の間のＰＰＩが実施可能な範囲内であるとみなされる。このようにＰＰＩが低いと、隙間２８が壁１２内に形成される。したがって、モノフィラメントおよびマルチフィラメント緯糸２４，２６は、その間の軸方向に延びる隙間２８により、中心軸１８に沿って互いから軸方向に離された、円周方向に延びるモノフィラメントおよびマルチフィラメント緯糸の不連続な対を提供する。マルチフィラメント糸２６は、約１２５０のデニールを有するように提供された。糸２２，２４，２６は、平織りを用いて織られ、その結果、約０．６ｍｍの壁厚を有するスリーブ１０が得られた。さらに別の例示的なスリーブの実施形態においては、経モノフィラメント２２の端の数は５２であり、すべての他の撚り係数（yarn factors）は同じままであった。これらの撚り係数は、当業者により、発明の精神および範囲内で、経糸２２を純粋にモノフィラメントとして、かつ緯糸２４，２６をモノフィラメントとマルチフィラメントとの組合せとして維持しつつ、寸法および数を変更可能であることが認識されるべきである。

Claims (12)

1. 細長い部材を引き回しおよび保護するための織物スリーブであって、
   スリーブの中心軸に平行に延びる対向縁を有する細長い壁を備え、
   前記壁は、前記軸に平行に延びる経糸および前記経糸を横切って延びる緯糸により織られ、前記経糸は、モノフィラメント糸として提供され、前記緯糸は、モノフィラメント糸およびマルチフィラメント糸として提供される、織物スリーブ。
2. 前記モノフィラメント緯糸および前記マルチフィラメント緯糸は、前記経糸と共に二重挿入され、隙間により前記中心軸に沿って互いから軸方向に離された前記モノフィラメント緯糸および前記マルチフィラメント緯糸の不連続な対を与える、請求項１に記載の織物スリーブ。
3. 前記緯糸は、インチ当り約８から１２の間の緯糸数を有するように織られる、請求項２に記載の織物スリーブ。
4. 前記モノフィラメント緯糸は、熱硬化され、壁を前記中心軸のまわりに巻かれた構成に付勢する、請求項１に記載の織物スリーブ。
5. 前記対向縁は、前記モノフィラメント緯糸により付勢されて互いに重なり合う関係になる、請求項５に記載の織物スリーブ。
6. 前記経糸は、モノフィラメント糸としてのみ提供される、請求項１に記載の織物スリーブ。
7. 織物スリーブを構築する方法であって、
   前記スリーブの中心軸に平行に延びる対向縁を有する細長い壁を編む工程を含み、前記壁は、前記軸に平行に延びる経糸および前記経糸を横切って延びる緯糸を有し、さらに、
   前記経糸をモノフィラメント糸として提供し、前記緯糸をモノフィラメント糸およびマルチフィラメント糸として提供する工程を含む、方法。
8. 前記モノフィラメント緯糸および前記マルチフィラメント緯糸を前記経糸と共に二重挿入し、前記中心軸に沿って互いから軸方向に離された前記モノフィラメント緯糸および前記マルチフィラメント緯糸の不連続な対を与える工程をさらに含む、請求項７に記載の方法。
9. インチ当り約８から１２の間の緯糸数を有するように前記緯糸を織る工程をさらに含む、請求項８に記載の方法。
10. 前記モノフィラメント緯糸を熱硬化し、壁を、前記中心軸のまわりに巻かれた構成に付勢する工程をさらに含む、請求項７に記載の方法。
11. 前記対向縁を、前記モノフィラメント緯糸により互いに重なり合う関係に付勢する工程をさらに含む、請求項１０に記載の方法。
12. 前記緯糸をモノフィラメント糸としてのみ提供する工程をさらに含む、請求項７に記載の方法。

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