JP2016137740A - 車両制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 操舵に対する車両の応答遅れを改善しつつ高速走行時の目標ヨーレートと実ヨーレートとの乖離を抑え、かつ、ヨーレート検出手段に異常が生じても車両の走行状態が急変することを防ぐことができるようにする。
【解決手段】 車両の実ヨーレートを目標ヨーレートに一致させるように左右の車輪2の制駆動トルクを制御するフィードフォワード制御手段22による制御と、フィードバック制御手段23による制御との両方を、合成手段24で行う。合成手段24は車速が速くなるに従ってフィードバック制御の操作量を小さくする。
【選択図】 図1
【解決手段】 車両の実ヨーレートを目標ヨーレートに一致させるように左右の車輪2の制駆動トルクを制御するフィードフォワード制御手段22による制御と、フィードバック制御手段23による制御との両方を、合成手段24で行う。合成手段24は車速が速くなるに従ってフィードバック制御の操作量を小さくする。
【選択図】 図1
Description
この発明は、車両のヨーモーメントを制御する車両制御装置に関するものである。
左右輪を独立に制御可能なモータを搭載し、センサにより検出されたヨーレートが所定の目標ヨーレートと一致するように左右輪のモータを独立に制御するものがある(特許文献1)。
また、左右輪の駆動力を独立に制御可能な車両において、左右輪の駆動トルクを車両の運動モデルに基づいて、実ヨーレートが目標ヨーレートと一致するようにフィードフォワード制御を行なうものがある(特許文献2)。
また、左右輪の駆動力を独立に制御可能な車両において、左右輪の駆動トルクを車両の運動モデルに基づいて、実ヨーレートが目標ヨーレートと一致するようにフィードフォワード制御を行なうものがある(特許文献2)。
特許文献1の開示技術は、センサにより検出されたヨーレートのフィードバック制御を行なうのみであるので、操舵に対する車両の応答が遅れる恐れがあり、特に高速走行時のレーンチェンジ等の緊急回避行動が必要な状況では応答遅れによる影響を大きく受ける。また、高速走行時にセンサに異常が生じた際には車両の走行状態が急変する。
特許文献2の開示技術は、車両モデルに基づいて実ヨーレートが目標ヨーレートと一致するようにフィードフォワード制御を行なうので、操舵に対する車両の応答遅れは改善する。しかし、車両モデルと実車との違いや横風などの外乱の影響等により目標ヨーレートと実ヨーレートとの間に乖離が生じ実ヨーレートと目標ヨーレートを一致させることが困難である。特許文献2の実施例には、フィードバック制御とフィードフォワード制御を合成する例も挙げられているが、車速によらず同等に両方の制御を行なう為、高速走行時にセンサに異常が生じた際には車両の走行状態が急変する。
この発明の目的は、操舵に対する車両の応答遅れを改善しつつ高速走行時の目標ヨーレートと実ヨーレートとの乖離を出来るだけ小さく抑え、かつ、ヨーレート検出手段に異常が生じても車両の走行状態が急変することを防ぐことができる車両制御装置を提供することである。
この発明の車両制御装置は、左右の車輪2の制駆動トルクを、これら左右の車輪2に対して個別に設けられた制駆動源4を制御することで独立に制御可能な車両を制御する車両制御装置において、
目標ヨーレートを定められた規則により車両モデルから計算する目標ヨーレート計算手段21と、
ヨーレートセンサ19によって検出された車両の実ヨーレートを前記目標ヨーレート計算手段21で計算された目標ヨーレートに一致させるように左右の車輪2の制駆動トルクを制御するフィードフォワード制御手段22と、
車両の実ヨーレートと前記目標ヨーレートとの差をなくすように左右の車輪2の制駆動トルクを制御するフィードバック制御手段23と、
前記フィードフォワード制御手段22によって計算された操作量と前記フィードバック制御手段23によって計算された操作量を合成してこの合成した操作量に応じて前記左右の車輪2を制御し、車速が速くなるに従ってフィードバック制御の操作量を小さくする合成手段24、とを備える。
目標ヨーレートを定められた規則により車両モデルから計算する目標ヨーレート計算手段21と、
ヨーレートセンサ19によって検出された車両の実ヨーレートを前記目標ヨーレート計算手段21で計算された目標ヨーレートに一致させるように左右の車輪2の制駆動トルクを制御するフィードフォワード制御手段22と、
車両の実ヨーレートと前記目標ヨーレートとの差をなくすように左右の車輪2の制駆動トルクを制御するフィードバック制御手段23と、
前記フィードフォワード制御手段22によって計算された操作量と前記フィードバック制御手段23によって計算された操作量を合成してこの合成した操作量に応じて前記左右の車輪2を制御し、車速が速くなるに従ってフィードバック制御の操作量を小さくする合成手段24、とを備える。
この構成によると、合成手段24により、ヨーレートのフィードフォワード制御とフィードバック制御との両方を行ない、車速が速くなるに従ってフィードバック制御の操作量を小さくする。このことより、操舵に対する車両の応答遅れを改善しつつ高速走行時の目標ヨーレートと実ヨーレートとの乖離を出来るだけ小さく抑え、かつ、ヨーレート検出手段に異常が生じても車両の走行状態が急変することを防ぐことができる。
この発明において、前記合成手段24は、前記フィードバック制御手段23が出力する操作量に重み係数を乗じることにより算出し、その算出した操作量で前記合成を行い、前記重み係数は車速がある閾値を超えると連続的に小さくするようにしても良い。
重み係数を乗じることによりフィードバック制御の操作量を変化させるため、操作量の算出が容易にかつ適切に行える。車速がある閾値を超えるまで(例えば中低速走行時)は、ヨーレートのフィードフォワード制御とフィードバック制御の両方を行ない、フィードバック制御の重みを大きくするため、目標ヨーレートと実ヨーレートとの乖離を出来るだけ小さく抑えることができ、ヨーモーメントの抑制が効果的に行える。中低速走行時では、ヨーレート検出手段の異常発生による車両の走行状態の急変の問題が少なく、フィードバック制御の重みが大きくても実用上の問題がないため、目標ヨーレートと実ヨーレートの乖離が少なくなることが、ヨーモーメントの抑制の上で好ましい。
車速が第1の閾値を超えると重み係数を連続的に小さくするため、目標ヨーレートと実ヨーレートとの乖離を出来るだけ小さく抑えつつ、ヨーレート検出手段の異常発生による車両の走行状態の急変を防ぐことができる。
重み係数を乗じることによりフィードバック制御の操作量を変化させるため、操作量の算出が容易にかつ適切に行える。車速がある閾値を超えるまで(例えば中低速走行時)は、ヨーレートのフィードフォワード制御とフィードバック制御の両方を行ない、フィードバック制御の重みを大きくするため、目標ヨーレートと実ヨーレートとの乖離を出来るだけ小さく抑えることができ、ヨーモーメントの抑制が効果的に行える。中低速走行時では、ヨーレート検出手段の異常発生による車両の走行状態の急変の問題が少なく、フィードバック制御の重みが大きくても実用上の問題がないため、目標ヨーレートと実ヨーレートの乖離が少なくなることが、ヨーモーメントの抑制の上で好ましい。
車速が第1の閾値を超えると重み係数を連続的に小さくするため、目標ヨーレートと実ヨーレートとの乖離を出来るだけ小さく抑えつつ、ヨーレート検出手段の異常発生による車両の走行状態の急変を防ぐことができる。
上記のように重み係数を連続的に小さくする場合に、前記合成手段24は、車速が前記閾値を超えた後、前記重み係数が変化する変化率を、車速が速くなる従って次第に大きくし、さらに車速が速くなると再度次第に小さくなるように非線形に変化させるようにしても良い。
重み係数は線形で変化させてもよいが、上記のように非線形に変化させるとなお良い。フィードバック制御の重みを変化させる速度の閾値付近の重み係数が緩やかに変化するので、運転者はフィードバック制御の操作量の変化による車両挙動の変化に違和感を覚えることがなくなる。また、上記のように車速に応じて重み係数の変化率を変えるので、センサの異常検出による影響をより一層抑制したい高速の車速域でフィードバック制御の操作量を小さくすることができる。
重み係数は線形で変化させてもよいが、上記のように非線形に変化させるとなお良い。フィードバック制御の重みを変化させる速度の閾値付近の重み係数が緩やかに変化するので、運転者はフィードバック制御の操作量の変化による車両挙動の変化に違和感を覚えることがなくなる。また、上記のように車速に応じて重み係数の変化率を変えるので、センサの異常検出による影響をより一層抑制したい高速の車速域でフィードバック制御の操作量を小さくすることができる。
この発明において、前記合成手段24は、車速が第2の閾値を超えると前記重みを零とするようにしても良い。
ある程度以上の高速になると、ヨーレート検出手段に異常が生じた場合に車両の走行状態の急変が生じ易くなるが、フィードバック制御を無くし、フィードフォワード制御のみとすることで、上記異常発生時の走行状態の急変を確実に防止できる。
ある程度以上の高速になると、ヨーレート検出手段に異常が生じた場合に車両の走行状態の急変が生じ易くなるが、フィードバック制御を無くし、フィードフォワード制御のみとすることで、上記異常発生時の走行状態の急変を確実に防止できる。
この発明において、前記目標ヨーレート計算手段21は、目標ヨーレートを車速と操舵角から計算するようにしても良い。
適切なヨーレートは、車速の他、操舵角によっても変わる。そのため、車速と操舵角から目標ヨーレートを計算することで、適切なヨーレート制御が行える。
適切なヨーレートは、車速の他、操舵角によっても変わる。そのため、車速と操舵角から目標ヨーレートを計算することで、適切なヨーレート制御が行える。
この発明において、前記制駆動源4がインホイールモータであっても良い。インホイールモータを制駆動源4とする車両は、左右の車輪2の制駆動トルクを独立に制御可能であり、この発明の上記効果が効果的に得られる。
この発明の車両制御装置は、左右の車輪の制駆動トルクを、これら左右の車輪に対して個別に設けられた制駆動源を制御することで独立に制御可能な車両を制御する車両制御装置において、目標ヨーレートを定められた規則により車両モデルから計算する目標ヨーレート計算手段と、車両の実ヨーレートを前記目標ヨーレート計算手段で計算された目標ヨーレートに一致させるように左右の車輪の制駆動トルクを制御するフィードフォワード制御手段と、ヨーレートセンサによって検出された車両の実ヨーレートと前記目標ヨーレートとの差をなくすように左右の車輪の制駆動トルクを制御するフィードバック制御手段と、前記フィードフォワード制御手段によって計算された操作量と前記フィードバック制御手段によって計算された操作量を合成してこの合成した操作量に応じて前記左右の車輪を制御し、車速が速くなるに従ってフィードバック制御の操作量を小さくする合成手段とを備えるため、操舵に対する車両の応答遅れを改善しつつ高速走行時の目標ヨーレートと実ヨーレートとの乖離を出来るだけ小さく抑え、かつ、ヨーレート検出手段に異常が生じても車両の走行状態が急変することを防ぐことができる。
この発明の一実施形態を図1ないし図6と共に説明する。図1は、この実施形態に係る車両制御装置を搭載した左右輪独立駆動式車両である電気自動車の概念構成のブロック図であり、図の上側が車両の前方である。この電気自動車は、車両1の左右の後輪となる車輪2および左右の前輪となる車輪2が、いずれも制駆動源となる電動のモータ4で独立して駆動される4輪独立駆動の自動車である。前輪となる車輪2は操舵輪とされている。各モータ4は、例えば図6のインホイールモータ駆動装置5を構成するが、車台(図示せず)上に搭載されるオンボード形式であっても良い。
図6において、インホイールモータ駆動装置5は、インホイールモータ(IWM)であるモータ4、減速機7、および車輪用軸受7を有し、これらの一部または全体が車輪2内に配置される。モータ4の回転は、減速機6および車輪用軸受7を介して車輪2に伝達される。車輪用軸受7のハブ輪7aのフランジ部には摩擦ブレーキ装置8を構成するブレーキロータ8aが固定され、同ブレーキロータ8aは車輪2と一体に回転する。モータ4は、例えば、ロータ4aのコア部に永久磁石が内蔵された埋込磁石型同期モータである。このモータ4は、ハウジング4cに固定したステータ4bと、回転出力軸9に取り付けたロータ4aとの間にラジアルギャップを設けたモータである。
図1において、制御系を説明する。車両制御装置10は、車両1に搭載されたECU11と、各モータ4に対して設けられた複数(この例では4つ)のインバータ装置12とで構成される。ECU11は、その基本的な構成として、自動車全般の統括制御や協調制御を行う統合制御手段13と、各インバータ装置12にトルク指令を与えるトルク指令生成・分配手段14とを有する。トルク指令生成・分配手段14は、アクセルペダル等のアクセル操作手段17の操作量の検出信号と、ブレーキペダル等のブレーキ操作手段18の操作量の検出信号とから、車両全体の制駆動のトルク指令を生成し、そのトルク指令を、設定規則に従って各モータ4のインバータ装置12へ個別のトルク指令として分配する。各インバータ装置12は、バッテリ(図示せず)の直流電力をモータ4の駆動のための交流電力に変換する手段であって、その出力を制御する制御部(図示せず)を有し、上記の分配されたトルク指令に従って担当のモータ4を制御する。
ECU11は、マイクロコンピュータ等のコンピュータとこれに実行されるプログラム、並びに各種の電子回路等で構成される。ECU11と各インバータ装置12とは、CAN(コントロール・エリア・ネットワーク)等の車内通信網で接続されている。上記の基本構成を有する車両制御装置10におけるECU11に、車両1のヨーレートを制御するヨーレート制御手段15が設けられている。車両1には、センサ類として、ヨーレートセンサ19、車速センサ20、および操舵角センサ16が設けられている。
ヨーレート制御手段15は、前記トルク指令生成・分配手段14で分配する左右の車輪2,2のトルク指令にトルク差を与えて車両1のヨーレートを制御する手段であり、目標ヨーレート計算手段21、フィードフォワード制御手段22、フィードバック制御手段23、および合成手段24を有する。
目標ヨーレート計算手段21は、目標ヨーレートを定められた規則により車両モデルから計算する手段である。目標ヨーレート計算手段21は、具体的には目標ヨーレートを、車速センサ20から得られる車速と、操舵角センサ16から得られる操舵角とから、前述のヨーレートの計算を行う。
フィードフォワード制御手段22は、ヨーレートセンサによって検出された車両1の実ヨーレートを、前記目標ヨーレート計算手段21で計算された目標ヨーレートに一致させるように左右の車輪2の制駆動トルクをフィードフォワード制御する手段である。
フィードバック制御手段23は、ヨーレートセンサ19によって検出された車両の実ヨーレートと前記目標ヨーレートとの差をなくすように左右の車輪2の制駆動トルクを制御する手段である。図2に示すように、前記フィードバック手段23は、目標ヨーレート計算手段21で計算された前記目標ヨーレートからヨーレートセンサ19(図1参照)によって検出された実ヨーレートを減算する減算部23bと、その減算結果からフィードバック制御の操作量を演算するフィードバック演算部23aとからなる。
合成手段24は、前記フィードフォワード制御手段22によって計算された操作量と前記フィードバック手段23によって計算された操作量を合成し、この合成した操作量に応じて前記左右の車輪2を制御する手段であり、車速が速くなるに従ってフィードバック制御の操作量を小さくする。
前記合成手段24は、前記フィードバック制御手段23が出力する操作量に重み係数を乗じることにより、前記合成に用いるフィードバック制御の操作量を算出し、前記重み係数は車速がある閾値を超えると連続的に小さくする。具体的には合成手段24は、フィードバック重み係数算出部24aと、加減算部24bとを有する。フィードバック重み係数算出部24aは、車速センサ20(図1参照)から得られる車速に対応する重みを定められた規則に従って算出し、その算出した重みを、フィードバック制御手段23で算出したフィードバック操作量に乗算して出力する。加減算部24bは、フィードフォワード制御手段22で算出した操作量に、フィードバック重み係数算出部24aで算出した重み付け後のフィードバック操作量に加算する。フィードフォワード制御の操作量は車速が変化しても変化させない。
合成手段24は、車速がある閾値(第1の閾値V1(図4、図5参照))を超えると、前記重み係数を連続的に小さくする。また、前記合成手段24は、車速が前記閾値V1よりも大きいある閾値(第2の閾値V2(図4、図5参照))を超えると前記重みを零とする。
次に、上記構成の動作、および構成の補足説明を図1を参照しながら行う。センサ類には、操舵角センサ16、車速センサ20、およびヨーレートセンサ19が搭載され、かつアクセル操作手段17の操作量を検出するアクセルセンサ(図示せず)、およびブレーキ操作手段18の操作量を検出するブレーキセンサ(図示せず)が搭載されている。各センサの信号はECU11に入力される。ECU11のトルク指令生成・分配手段14は、決められた制御則に基づき、インホイールモータからなる各モータ4の制駆動トルクを算出し、各モータ4のインバータ装置12へ制駆動トルクを出力している。
図3は、ECU10のヨーレート制御手段15で行なう制御のフローチャートであり、以下同フローチャートに基づき説明する。図2は、前記フローチャートをブロック線図で表わしたものである。
まず、図3のステップ1で各センサ16,20,19から操舵角、車速、ヨーレートを取得する。
ステップ2では、車両モデルに基づき目標ヨーレートを、式1に従って算出する。式1は、操舵角に対するヨーレートの伝達関数である。
まず、図3のステップ1で各センサ16,20,19から操舵角、車速、ヨーレートを取得する。
ステップ2では、車両モデルに基づき目標ヨーレートを、式1に従って算出する。式1は、操舵角に対するヨーレートの伝達関数である。
ステップ3では、目標ヨーレートを達成するモータ4の操作量(すなわち制駆動トルク)を、フィードフォワード制御手段22で算出する。各車輪2のモータ4には制駆動トルクが入力され、左右の車輪2,2の制駆動力差によって車両にヨーモーメントが発生する。式2が、操舵角に対するヨーモーメントの伝達関数である。
式2より目標ヨーレートを達成するヨーモーメントを求め、式3よりモータ4の操作量を算出する。前記フィードフォワード制御では、車両モデルに基づき目標ヨーレートを達成するようにモータ4を制御しているので、制御の結果である車両の実ヨーレートは制御に関与していない。
フィードフォワード制御では、フィードバック制御のように制御の結果を受けて制御することがないので、操舵に対する車両の応答遅れを改善することが可能である。但し、目標ヨーレートと実ヨーレートとの間には、偏差が生じることがある。この偏差が生じる理由は、車両モデルと実車との違いや横風などの外乱の影響等が挙げられる。前記偏差をなくす為には、フィードバック制御をする必要がある。
ステップ4では、車速に応じてフィードバック制御の重み係数を、フィードバック重み係数算出部24a(図2)で算出する。この重み係数は、車速が大きくなるにしたがって小さくなるように設定されており、車速があるしきい値V1(例えば、50〜100 Km/h の範囲内で適宜定めた高速走行時の車速)に達すると重み係数は徐々に小さくなり、車速がV2(例えば、120Km/hを超える範囲内で適宜定めた高速走行時の車速)となると、零となる(図4)。
この重み係数は、図4に示すように第1の閾値V1を超えた後は線形で小さくなるように変化させてもよいが、図5のように非線形に変化させるとなおよい。図5の例では、車速が前記第1の閾値V1を超えた後、前記重み係数が変化する変化率を、車速が速くなる従って次第に大きくし、さらに車速が速くなると再度次第に小さくなるように非線形に変化させ、ある車速で零に至るようにする。
図5のように設定することで、車速V1,V22付近の重み係数が緩やかに変化するので、運転者はフィードバック制御の操作量の変化による車両挙動の変化に違和感を覚えることがなくなる。また、図5のように設定することで、車速に対する重み係数の変化率を変えることができるので、センサ類の異常発生による影響をより一層抑制したい車速域でフィードバック制御の操作量を小さくすることができる。なお、フィードフォワード制御は、走行状態によらず常に行っており、重み付けは行っていない。
図3に戻りステップ5では、ステップ1で検出したヨーレートとステップ2で算出した目標ヨーレートとの偏差をなくすように、モータ4の操作量(制駆動トルク)をフィードバック制御手段23で算出する。この際、ステップ4で算出したフィードバック制御の重み係数を、算出したモータ4の操作量に乗じている。式4より偏差のヨーレートを達成するヨーモーメントを求め、式5よりモータ4の操作量を算出する。
車速が第1の閾値V1よりも遅いときには、目標ヨーレートと車両の実ヨーレートの偏差に対し完全にフィードバック制御を行なうので、目標ヨーレートと車両の実ヨーレートを一致させることができる。車速が閾値V1よりも速くなるとフィードバック重み係数は徐々に小さくなるので、目標ヨーレートと車両の実ヨーレートを完全に一致させることはできなくなるが、ヨーレートの検出手段に異常が生じても車両の走行状態が急変することを防ぐことができる。
ステップ6では、フィードフォワード制御とフィードバック制御の操作量(制駆動トルク)を加減算部24b(図2参照)で足し合わせる。ここで足し合わせた操作量は、(式3)(式5)から求めた一輪あたりの制駆動トルクを一輪毎に足し合せたものである。トルク指令生成・分配手段14は、アクセル操作手段17の踏込量もしくはブレーキ操作手段18の操作量に応じて分配される通常の制駆動トルクに前記加減算部24bで足し合わせた制駆動トルクを加えて、モータ4に対応するインバータ装置12へ出力する。この加える処理は、トルク指令生成・分配手段14で行うようにしても、また合成制御手段24で行うようにしても良い。4輪駆動の場合、4輪の各輪のモータ4にはトルク指令生成・分配手段14の操作量の制駆動トルクが入力される。
モータ4に出力された制駆動トルクは、必要なヨーモーメントを発生可能な制駆動力差をもつ。モータ4へは、アクセル操作手段17の踏込量に応じたアクセルトルクもしくはブレーキ操作手段18の操作量に応じた回生トルクに加えて左右のそれぞれのモータ4に同じ大きさの制動トルクと駆動トルクが入力されるので、前後方向の走行状態は変化しない。例えば加速(減速)走行中であれば加速(減速)走行の状態を維持し、定速走行中であれば定速走行の状態を維持する。
このように、車速がある閾値V1以下(中低速走行時)のときには、ヨーレートのフィードフォワード制御とフィードバック制御の両方を行ない、車速が閾値V1を超えたとき(高速走行時)には、フィードバック制御による操作量を徐々に減らしていく。すなわち、ヨーレートのフィードフォワード制御とフィードバック制御を合成し、かつ車速が大きくなるに従ってフィードバック制御の重み係数を小さくする。このことにより、操舵に対する車両の応答遅れを改善しつつ高速走行時の目標ヨーレートと実ヨーレートとの乖離を出来るだけ小さく抑え、ヨーレート検出手段に異常が生じても車両の走行状態が急変することを防ぐことができる。
なお、上記の実施形態は、一例に過ぎずこれに限定されるものではない。例えば、モータ2を全ての車輪に搭載する必要はなく、前輪の2輪のみもしくは後輪の2輪のみでもよい。さらに制駆動源はモータ4である必要はなく、例えばエンジンでもよい。エンジン車の場合、エンジンの動力を駆動トルクに用い、ブレーキの制動力を制動トルクに用いて、左右独立で制駆動力を制御できる構造の車両であれば本制御を適用できる。
以上、実施例に基づいて本発明を実施するための形態を説明したが、ここで開示した実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1…車両
2…車輪
4…モータ(制駆動源)
5…インホイールモータ駆動装置
11…ECU
12…インバータ装置
15…ヨーレート制御手段
16…操舵角センサ
19…ヨーレートセンサ
20…車速センサ
21…目標ヨーレート計算手段
22…フィードフォワード制御手段
23…フィードバック制御手段
24…合成手段
2…車輪
4…モータ(制駆動源)
5…インホイールモータ駆動装置
11…ECU
12…インバータ装置
15…ヨーレート制御手段
16…操舵角センサ
19…ヨーレートセンサ
20…車速センサ
21…目標ヨーレート計算手段
22…フィードフォワード制御手段
23…フィードバック制御手段
24…合成手段
Claims (6)
- 左右の車輪の制駆動トルクを、これら左右の車輪に対して個別に設けられた制駆動源を制御することで独立に制御可能な車両を制御する車両制御装置において、
目標ヨーレートを定められた規則により車両モデルから計算する目標ヨーレート計算手段と、
車両の実ヨーレートを前記目標ヨーレート計算手段で計算された目標ヨーレートに一致させるように左右の車輪の制駆動トルクを制御するフィードフォワード制御手段と、
ヨーレートセンサによって検出された車両の実ヨーレートと前記目標ヨーレートとの差をなくすように左右の車輪の制駆動トルクを制御するフィードバック制御手段と、
前記フィードフォワード制御手段によって計算された操作量と前記フィードバック制御手段によって計算された操作量を合成してこの合成した操作量に応じて前記左右の車輪を制御し、車速が速くなるに従ってフィードバック制御の操作量を小さくする合成手段、
とを備える車両制御装置。 - 請求項1に記載の車両制御装置において、前記合成手段は、前記フィードバック制御手段が出力する操作量に重み係数を乗じることにより算出し、その算出した操作量で前記合成を行い、前記重み係数は車速が第1の閾値を超えると連続的に小さくする車両制御装置。
- 請求項2に記載の車両制御装置において、前記合成手段は、車速が前記閾値を超えた後、前記重み係数が変化する変化率を、車速が速くなる従って次第に大きくし、さらに車速が速くなると再度次第に小さくなるように非線形に変化させる車両制御装置。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両制御装置において、前記合成手段は、前記フィードバック制御手段の操作量は重み係数を乗じることにより算出し、車速が第2の閾値を超えると前記重み係数を零とする車両制御装置。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両制御装置において、前記目標ヨーレート計算手段は、目標ヨーレートを車速と操舵角から計算する車両制御装置。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の車両制御装置において、前記制駆動源がインホイールモータである車両制御装置。
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WO2019059131A1 (ja) * | 2017-09-20 | 2019-03-28 | Ntn株式会社 | 車両制御装置 |
CN110606075A (zh) * | 2019-08-28 | 2019-12-24 | 中国第一汽车股份有限公司 | 分布式四驱电动车的扭矩分配控制方法、系统和车辆 |
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2015
- 2015-01-26 JP JP2015012060A patent/JP2016137740A/ja active Pending
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