JP2016136851A - ミスマッチエンドヌクレアーゼ活性を有するポリペプチドのゲノム編集への利用 - Google Patents

ミスマッチエンドヌクレアーゼ活性を有するポリペプチドのゲノム編集への利用 Download PDF

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Abstract

【課題】 オフターゲット効果を抑えた、簡便な遺伝子改変方法を提供すること。【解決手段】 二本鎖DNAの塩基配列に対して少なくとも1か所にミスマッチ塩基を有する少なくとも1つのオリゴヌクレオチドおよびミスマッチエンドヌクレアーゼ活性を有するポリペプチドを組み合わせた二本鎖DNAの切断方法、当該二本鎖DNAの切断方法で二本鎖DNAを切断する工程を包含する遺伝子改変方法、ならびに当該方法のための細胞及びキット。【選択図】なし

Description

本発明は、二本鎖DNAの塩基配列に対してミスマッチ塩基を有する少なくとも1つのオリゴヌクレオチド及び当該ミスマッチ部位を認識・切断するミスマッチエンドヌクレアーゼ活性を有するポリペプチドを用いた遺伝子改変方法に関する。
最近、ゲノムDNAの特定部位を切断できる人工制限酵素を用いて任意のDNAの塩基配列に対して、置換、挿入あるいは欠失させる、いわゆるゲノム編集と呼ばれる技術が注目されてきている。現在までにすでに、ZFN(zinc−finger nuclease)法、TALEN(transcription activator−like effector nuclease)法、並びにCRISPR(clustered regularly interspaced short palindromic repeats)/CAS法が提案されている。これらの技術は、ゲノムDNAの特定部位を切断し、非相同末端結合(non−homologous end joining:NHER)による塩基の挿入欠失や相同組換え修復(homology−directed repair:HDR)を引き起こして目的の遺伝子をノックアウト、又はノックインできる。
ZFN法は、1996年に提案された技術であり、ジンクフィンガー(ZF)モジュールと制限酵素FokIのヌクレアーゼドメインを融合させた融合タンパクを二量体で用いることを特徴とする(非特許文献1)。当該技術では、制限酵素FokIのヌクレアーゼドメインは、二量体を形成してDNAを切断するため、二本鎖DNAのお互いに異なる鎖を認識するZFNをペアで結合させる必要がある。また、ジンクフィンガーのDNA認識性において、当該ジンクフィンガーは1モジュールで3塩基を認識するが、このモジュールが複数連結すると、お互いの塩基認識に影響を与え、DNA認識特異性が低下することが知られている。これは、非特異的なDNA切断、いわゆるオフターゲット効果として問題となってきている。
TALEN法は、2010年に提案された技術であり、任意の塩基配列を認識するDNA結合ドメインにZFN法と同じ制限酵素FokIのヌクレアーゼドメインを融合させた融合タンパクを二量体で用いることを特徴とする(非特許文献2)。当該技術でも、前記ZFN法と同様に制限酵素FokIのヌクレアーゼドメインは、二量体を形成してDNAを切断するため、二本鎖DNAのお互いに異なる鎖を認識するTALエフェクター(transcription activator−like effector:TALE)をペアで結合させる必要がある。また、DNA認識性において、当該TALEタンパクのDNA結合リピートは、1モジュールで1塩基を認識するが、このモジュールが複数連結してもお互いの塩基認識に影響を与えることは少ないことが知られている。しかしながら、オフターゲット効果を完全に解消できるところまでは行っていない。さらに、TALEN法におけるDNA結合ドメインは、33〜35アミノ酸の繰り返し配列からなり、当該繰り返し配列を15〜20連結する必要があり、作製は操作が煩雑であるという問題点があった。
CRISPR/CAS法は、2012年に提案された技術であり、標的DNAと相補的な配列を含む短いRNA(single guide RNA:sgRNA)とバクテリア由来の二本鎖DNA切断酵素のCas9タンパクとの組み合わせで任意の塩基配列部位でも特異的に切断できることを特徴としている(特許文献1、非特許文献3)。さらに、2013年には、当該技術がヒト細胞やマウス細胞に利用できることを報告している(非特許文献4及び5)。CRISPR/CAS法は、sgRNAとCas9タンパクの組み合わせという非常にシンプルな組み合わせで実施できる方法であるが、切断しようとする塩基配列部位にPAM(Proto−spacer adjacent motif)配列と呼ばれる特定の短い塩基配列が必要である。さらに、二本鎖DNAを切断するCasタンパクの塩基切断認識が低いことから、ZFNと同様にオフターゲット効果が問題となってきている。
以上のように、現在のゲノム編集方法は、オフターゲット効果による予期せぬ遺伝子改変あるいは人工制限酵素作製の煩雑さなど種々の問題を抱えている。
国際公開第2013/176772号パンフレット
プロシーディング オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシーズ オブ ザ ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、第93巻、1156〜1160頁(1996年) ジェネティクス(Genetics)、第186巻、757〜761頁(2010年) サイエンス(Science)、第337巻、816−821頁(2012年) サイエンス(Science)、第339巻、819−823頁(2013年) サイエンス(Science)、第339巻、823−826頁(2013年)
本発明の目的は、オフターゲット効果を抑えた、簡便な遺伝子改変方法を提供することにある。
本発明者らは、オフターゲット効果を抑えた、簡便な遺伝子改変方法を提供することを目的に鋭意研究の結果、二本鎖DNAの塩基配列に対して少なくとも1か所にミスマッチ塩基を有する少なくとも1つのオリゴヌクレオチドおよびミスマッチエンドヌクレアーゼ活性を有するポリペプチドを組み合わせることで、目的の塩基配列部位で正確に切断して、DSB(double−strand break)を生じさせることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第一の発明は、二本鎖DNAに、前記二本鎖DNAの一方のDNA鎖とハイブリダイズさせた際に少なくとも1個のミスマッチを生じるように設計されたオリゴヌクレオチド及びミスマッチエンドヌクレアーゼ活性を有するポリペプチドを接触させることを特徴とする二本鎖DNAの切断方法に関する。
本発明の第一の発明において、さらに、二本鎖DNAのもう一方のDNA鎖とハイブリダイズさせた際に少なくとも1個のミスマッチを生じるように設計されたオリゴヌクレオチドを用いてもよい。また、本発明の第一の発明において二本鎖DNAに、前記二本鎖DNAの一方のDNA鎖とハイブリダイズさせた際に少なくとも1個のミスマッチを生じるように設計されたオリゴヌクレオチド、前記オリゴヌクレオチドの5’末端側及び/又は3’末端側に隣接して前記一方のDNA鎖とハイブリダイズするように設計された少なくとも1つのオリゴヌクレオチド及びミスマッチエンドヌクレアーゼ活性を有するポリペプチドを接触させてもよい。さらに、二本鎖DNAのもう一方のDNA鎖とハイブリダイズさせた際に少なくとも1個のミスマッチを生じるように設計されたオリゴヌクレオチドの5’末端側及び/又は3’末端側に隣接して前記もう一方のDNA鎖とハイブリダイズするように設計された少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを用いてもよい。
本発明の第一の発明においては、使用するオリゴヌクレオチドがDNAであってもよく、DNAとRNAのキメラオリゴヌクレオチドであってもよい。また本発明の第一の発明は、細胞内で行うことができる。
本発明の第二の発明は、本発明の第一の発明の二本鎖DNAを切断する工程を包含する遺伝子改変方法に関する。本発明の第二の発明では、二本鎖DNAの切断で生成したDNA末端に非相同末端結合又は相同組換えによるDNA鎖の挿入が起こることを特徴とする。
本発明の第三の発明は、二本鎖DNAの切断及び/又は遺伝子の改変に使用される細胞であって、外来性のミスマッチエンドヌクレアーゼ活性を有するポリペプチドを当該細胞内で発現する機能を有することを特徴とする細胞に関する。
本発明の第四の発明は、二本鎖DNAを切断するためのキットであって、
(1)前記二本鎖DNAの一方のDNA鎖とハイブリダイズさせた際に少なくとも1個のミスマッチを生じるように設計されたオリゴヌクレオチド、および
(2)ミスマッチエンドヌクレアーゼ活性を有するポリペプチド、または当該ポリペプチドを目的の細胞内で発現するための核酸、を含むことを特徴とするキットに関する。
本発明の第四の発明の別態様としては、遺伝子改変方法のためのキットであって、
(1)前記遺伝子をコードする二本鎖DNAの一方のDNA鎖とハイブリダイズさせた際に少なくとも1個のミスマッチを生じるように設計されたオリゴヌクレオチド、および
(2)ミスマッチヌクレアーゼ活性を有するポリペプチドを、または当該ポリペプチドを目的の細胞内で発現する細胞、を含むことを特徴とするキットである。
本発明の第四の発明において、さらに、(1)のオリゴヌクレオチドの5’末端側及び/又は3’末端側に隣接して、二本鎖DNAの一方のDNA鎖とハイブリダイズするように設計された少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含むことを特徴とするキットであってもよい。
本発明により、所望の二本鎖DNAの塩基配列部位に正確にDSBを発生させ、当該DSB部位に対して非相同末端再結合や相同組換え修復を起こさせる遺伝子改変方法が提供される。
実施例1で調製したサンプルのネイティブポリアクリルアミドゲル電気泳動写真である。
本発明においてミスマッチとは、二本鎖核酸中に存在するワトソン−クリック塩基対とは異なる塩基の対合、すなわちG(グアニン塩基)−C(シトシン塩基)、A(アデニン塩基)−T(チミン塩基)またはU(ウラシル塩基)の塩基対結合以外の組み合わせの塩基対結合を示す。
本発明においてDSB(double−strand break)とは、二本鎖DNAの切断であって、当該切断部位で非相同末端連結とよばれる切断末端を単純に連結した
DNA修復や、相同組換えによるDNA修復の対象となる切断のことを言う。
以下、さらに詳細に説明する。
(1)本発明の二本鎖DNAの切断方法
本発明の二本鎖DNAの切断方法は、二本鎖DNAに、前記二本鎖DNAの一方のDNA鎖とハイブリダイズさせた際に少なくとも1個のミスマッチを生じるように設計されたオリゴヌクレオチド及びミスマッチエンドヌクレアーゼ活性を有するポリペプチドを接触させることを特徴とする。
本発明の二本鎖DNAの切断方法の対象となる二本鎖DNAの由来は特に限定はされない。前記DSBの対象となる二本鎖DNAとしては、切断しようとする領域の塩基配列が知られているものであればよい。例えば、ヒト、マウス、ラット、ブタ、サルなどの哺乳類、ゼブラフィッシュ、メダカなどの魚類、カイコ、ショウジョウバエなどの昆虫類、ジロイヌナズナなどの植物由来のDNAが好適に使用できる。また、本発明の方法は、生体より取得されたDNA以外にも培養細胞、ES細胞、半数体ES細胞、iPS細胞、受精卵などの細胞中のDNAにも利用できる。
本発明では、切断しようとする二本鎖DNA(以下、標的二本鎖DNAと記載することがある)の少なくとも一方のDNA鎖とハイブリダイズさせた際に少なくとも1個のミスマッチを生じるように設計されたオリゴヌクレオチド(以下、ミスマッチオリゴヌクレオチドと記載することがある)が使用される。当該オリゴヌクレオチドは、切断しようとする二本鎖DNAの配列に基づいて設計することができる。当該オリゴヌクレオチドは、1本鎖DNAとの安定したハイブリダイゼーションに寄与するような構造を有していてもよい。また、当該オリゴヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド(DNA)又はそのアナログ、あるいはリボヌクレオチド(RNA)又はそのアナログ、あるいはこれらの混成物(例えばDNAとRNAのキメラオリゴヌクレオチド)であってもよい。前記のDNA又はRNAのアナログとしては、塩基部分にデアザグアノシンやイノシンを含むヌクレオチド、LNA(locked nucleic acid)等が挙げられる。
さらに本発明で用いるミスマッチオリゴヌクレオチドの鎖長は、二本鎖DNAの一方のDNA鎖とハイブリダイズする部分において、好ましくは15mer〜40merさらに好ましくは17mer〜25merである。また、当該オリゴヌクレオチドにおける、ミスマッチ塩基対を形成する塩基の位置は、5’末端あるいは3’末端から好ましくは5mer〜20merの位置、さらに好ましくは6mer〜10merの位置である。また、本発明のミスマッチオリゴヌクレオチドは、所望の塩基配列部位を含む領域に特異的にかつ安定的にハイブリダイズするために、標的二本鎖DNAのどちらの鎖ともハイブリダイズしない配列からなるループ構造のような構造をさらに有していてもよい。特に、後述のミスマッチエンドヌクレアーゼ活性を有するポリペプチドの切断特性に応じて、特定の塩基がミスマッチ塩基対を形成するように、当該オリゴヌクレオチドを設計することが好ましい。
本発明の好適な態様では、上記ミスマッチオリゴヌクレオチドの5’末端側及び/又は3’末端側に隣接して標的二本鎖DNAの一方のDNA鎖とハイブリダイズするように設計されたオリゴヌクレオチド(以下、補助オリゴヌクレオチドと記載することがある)を組み合わせて使用される。この補助オリゴヌクレオチドは、標的二本鎖DNAの一方のDNA鎖上で、前記ミスマッチオリゴヌクレオチドと並列して、その5’末端側の領域及び/又は3’末端側の領域に配置される。さらに、ミスマッチオリゴヌクレオチドの5’末端側の領域又は3’末端側の領域に複数個の補助オリゴヌクレオチドを並列して配置してもよい。補助オリゴヌクレオチドは、1本鎖DNAとの安定したハイブリダイゼーションに寄与するような立体構造部分をさらに有していてもよい。さらに、補助オリゴヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド(DNA)又はそのアナログ、あるいはリボヌクレオチド(RNA)又はそのアナログ、あるいはこれらの混成物であってもよい。
上記ミスマッチ塩基を有するオリゴヌクレオチドの5’末端側及び/又は3’末端側に隣接し、並列に配置されるオリゴヌクレオチドの鎖長は、好ましくは10mer〜40mer、さらに好ましくは15mer〜25merである。
本発明で使用するミスマッチエンドヌクレアーゼ活性を有するポリペプチド(以下、ミスマッチエンドヌクレアーゼと記載することがある)とは、二本鎖核酸中のミスマッチ部位を認識して切断する活性を有するヌクレアーゼのことをいう。ミスマッチエンドヌクレアーゼとしては、標的二本鎖DNAの少なくとも一方のDNA鎖とミスマッチオリゴヌクレオチドがハイブリダイズして生じたミスマッチ塩基対を特異的に認識して切断できる酵素が好ましい。ミスマッチエンドヌクレアーゼ活性は、ミスマッチ塩基対を形成するヌクレオチドに隣接するリン酸ジエステル結合を切断する活性の他、ミスマッチ塩基対から1〜5塩基対、好ましくは1〜3塩基対離れたヌクレオチドに隣接するリン酸ジエステル結合を切断する活性を包含する。本発明においてミスマッチエンドヌクレアーゼは、特定のミスマッチ塩基対を特異的に認識して二本鎖核酸を切断する活性を有するもの(例えばGTミスマッチを特異的に認識するものや、GTミスマッチ及びGGミスマッチを特異的に認識するもの等)であってもよい。例えば、GTミスマッチを特異的に認識するミスマッチエンドヌクレアーゼを本発明で用いる場合、本発明の方法で用いるミスマッチオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイズするDNA鎖との間にGTミスマッチが生成するように設計することが好ましい、同様に、GTミスマッチ及びGGミスマッチを特異的に認識するミスマッチエンドヌクレアーゼを使用する場合は、本発明の方法で用いるオリゴヌクレオチドとDNA鎖の間でGTミスマッチ及びGGミスマッチを生成するように設計することが好ましい。
本発明の好適な態様では、細胞内でも機能する温度、即ち10℃から45℃の範囲、さらに好ましくは20℃〜40℃の範囲でミスマッチエンドヌクレアーゼ活性を発揮できる酵素が使用される。ミスマッチエンドヌクレアーゼの起源には特に限定はなく、前記温度範囲で酵素活性を有するものであれば、低温性、常温性、高温性又は超耐熱性生物由来のものでも使用できる。
公知のミスマッチエンドヌクレアーゼとして、Pyrococcus furiosus由来のポリペプチド(国際公開第2014/142261号パンフレット)が知られている。また、Thermococcus barophilus、Methanocaldococcus jannaschiiについて前記ポリペプチドのホモログが見いだされている。本発明を特に限定するものではないが、前記ポリペプチドやそのホモログ、それらの変異体が本発明に使用できる。また、45℃付近で生育する生物由来としてはHaloferax elongans、37℃付近で生育する生物由来としてはHalobacterium denitrificans、Mycobacterium tuberculosisやNatronobacterium gregoryiのミスマッチエンドヌクレアーゼ活性を有するポリペプチドやそのホモログが好適に使用できる。さらに、常温性生物由来としては、Candidatus Halobonum tyrrellensisのミスマッチエンドヌクレアーゼ活性を有するポリペプチドやそのホモログが好適に使用できる。
本発明の二本鎖DNAの切断方法では、標的二本鎖DNAに少なくとも1つのミスマッチオリゴヌクレオチドとミスマッチエンドヌクレアーゼを作用させる。そうすると、標的二本鎖DNAのDNA鎖において、当該DNA鎖とミスマッチ塩基対を形成したミスマッチオリゴヌクレオチドは、ミスマッチヌクレアーゼにより両方とも切断される。
また、本発明の好適な態様では、標的二本鎖DNAの両鎖に対して、それぞれミスマッチオリゴヌクレオチドを作製して使用することができる。この場合、標的二本鎖DNAの両DNA鎖が切断を受ける。さらに、標的二本鎖DNAの一方の鎖を切断する場合、両鎖を切断する場合のいずれにおいても、ミスマッチヌクレオチドに1以上の補助オリゴヌクレオチドを組み合わせることにより、ミスマッチエンドヌクレアーゼによるDNA切断の効率を向上させることができる。
本発明の方法の別態様としては、(a)二本鎖DNAの少なくとも一方のDNA鎖の任意の塩基配列部位の塩基配列に対してミスマッチ塩基を有するオリゴヌクレオチド、(b)当該ミスマッチ塩基を有するオリゴヌクレオチドの5’末端側及び/又は3’末端側に隣接して、並列に配置されるオリゴヌクレオチド、(c)さらに前記(b)のオリゴヌクレオチドの5’末端側及び/又は3’末端側に隣接して、並列に配置されるオリゴヌクレオチドをアニーリングさせることもできる。こうすることにより、二本鎖DNAの少なくとも一方のDNA鎖に対してミスマッチ塩基を有するオリゴヌクレオチドのハイブリダイズ効率が促進される。
また、上記別態様においても二本鎖DNAのもう一方のDNA鎖について、(a)ミスマッチ塩基を有するオリゴヌクレオチド、(b)当該ミスマッチ塩基を有するオリゴヌクレオチドの5’末端側及び/又は3’末端側に隣接して、並列に配置されるオリゴヌクレオチド、(c)さらに前記(b)のオリゴヌクレオチドの5’末端側及び/又は3’末端側に隣接して、並列に配置されるオリゴヌクレオチドを組み合わせて使用することができる。
本発明の方法は、ゲノムDNAやその他の細胞内二本鎖DNAを対象として細胞内で行われてもよい。この場合、本発明で使用するミスマッチオリゴヌクレオチドや補助オリゴヌクレオチドは外部から細胞内に公知の方法で導入することが好ましい。さらに、これらオリゴヌクレオチドがRNAの場合は、細胞内の転写機構を利用してRNAを生成するような既存のベクターシステム、例えばRNA polymerase III(pol III)系のプロモーター(human H1、human U6、またはmouse U6)を組み込んだ発現レトロウイルスベクター系、レンチウイルスベクター系、アデノウイルスベクター系及びアデノ随伴ウイルスベクター系などが例示される。さらに、T7/SP6 RNA polymerase転写系とT7/SP6プロモーター配列を有するミスマッチオリゴヌクレオチドや補助オリゴヌクレオチドをウイルス中空粒子、もしくは、ウイルス様粒子などに封入し細胞内に導入することで、RNAを細胞内で効率的且つ一過的に発現する導入システムであってもよい。
また、本発明で使用するミスマッチエンドヌクレアーゼも、公知の方法で細胞内に導入すればよい。目的細胞内でミスマッチエンドヌクレアーゼを発現するように構築された発現系を用いて導入してもよい。好ましくは、サイトメガロウイルス由来プロモーターを用いたタンパク質発現系、当該サイトメガロウイルス由来プロモーターとHIV−1由来のTrans Activation Responsive region(TAR)及びTrans AcTivator(Tat)遺伝子を組み合わせたタンパク質高発現系(HIV−1由来TatがHIV−1 RNAであるTAR配列を認識してRNA転写が促進されるシステム)など、プラスミドのトランスフェクションによる導入システム、もしくは、当該発現系をレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターあるいはアデノ随伴ウイルスベクターに搭載した導入システムが例示される。さらに、タンパク質発現を制御するために、テトラサイクリン誘導発現系や細胞内の目的タンパク質をリガンド依存的かつ可逆調節可能な様式で安定化あるいは分解する発現系と組み合わせてもよい。また、ミスマッチエンドヌクレアーゼをウイルス中空粒子、もしくは、ウイルス様粒子などに封入し細胞内に導入することで、効率的且つ一過的に発現する導入システムであってもよい。
あるいは、細胞内で制御可能な状態で外来性のミスマッチエンドヌクレアーゼが発現するように予め染色体等に組み込まれている細胞内で本発明の二本鎖DNAの切断方法を実施してもよい。
細胞内における本発明の二本鎖DNAの切断方法は、生体から分離された細胞で実施できる他、生体内の細胞について実施することもできる。即ち、熱変性等による二本鎖DNAの一本鎖DNA化は特に必要とされない。
(2)本発明の遺伝子改変方法
本発明の二本鎖DNAの切断方法により切断された細胞内のDNAは、細胞が有するDNA修復機構により、切断で生じたDNA末端の再結合が起こる。この際にDNAの塩基配列が切断前と変化することを利用して遺伝子の改変を実施することができる。
本発明の遺伝子改変方法においては、DNA末端の再結合に際して非相同末端結合又は相同組換えが生じる。非相同末端結合は、特に限定はされないが、切断で生じたDNA末端で起こる塩基の置換、欠失、挿入、逆位などの変異とともにDNAの再結合が生じることを言う。元の塩基配列に対して前記の変異が導入される結果、当該配列が含まれる遺伝子の機能破壊(遺伝子欠損、ノックアウト)や当該遺伝子にコードされるポリペプチドのアミノ酸置換が生じる。また、再結合時に切断で生じたDNA末端と相同性のある配列を有するDNAが共存した場合には、相同組換えによって共存するDNAまたはその一部が切断で生じたDNA末端の間に挿入される(コンディショナルノックアウト、ノックイン、遺伝子挿入など)。
非相同末端修復を利用する本発明の遺伝子改変方法を実施する場合、細胞内において本発明の方法で遺伝子改変されたかどうかの判断は、DSB部位をターゲットとしたPCR法あるいは、サザンブロッティング解析法などによって解析することができる。
また、本発明の方法で遺伝子改変されたかどうかの判断は、表現型で確認するかもしくは、PCR法とシークエンス解析を組み合わせることによって解析することができる。
(3)本発明の細胞
本発明の細胞は、本発明の二本鎖DNAの切断方法、ならびに本発明の遺伝子改変方法を実施するための細胞であって、細胞内でミスマッチエンドヌクレアーゼを発現する機能を有することを特徴とする。外来性のミスマッチエンドヌクレアーゼをコードする遺伝子を、細胞の種類や使用方法に合わせて適切な発現系に組みこんだうえ、細胞に導入したものが好ましい。当該導入手法としては特に限定はされないが、サイトメガロウイルス由来プロモーターを用いたタンパク質発現系、当該サイトメガロウイルス由来プロモーターとHIV−1由来のTrans Activation Responsive region(TAR)及びTrans AcTivator(Tat)遺伝子を組み合わせたタンパク質高発現系(HIV−1由来TatがHIV−1 RNAであるTAR配列を認識してRNA転写が促進されるシステム)など、プラスミドのトランスフェクションによる導入システム、もしくは、当該発現系をレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターあるいはアデノ随伴ウイルスベクターに搭載した導入システムが例示される。さらに、タンパク質発現を制御するために、テトラサイクリン誘導発現系や細胞内の目的タンパク質をリガンド依存的かつ可逆調節可能な様式で安定化あるいは分解する発現系と組み合わせてもよい。また、ミスマッチエンドヌクレアーゼをウイルス中空粒子、もしくは、ウイルス様粒子などに封入し細胞内に導入することで、効率的且つ一過的に発現する導入システムであってもよい。さらに、前記のミスマッチエンドヌクレアーゼ発現系は、予め所望の細胞のゲノムDNA等に制御可能な状態で組み込んでおいてもよい。
本発明の細胞は、ミスマッチエンドヌクレアーゼを当該細胞内で発現させることができるため、例えば改変のターゲットとなる遺伝子を保持する二本鎖DNAと、当該DNAの少なくとも一方のDNA鎖の任意の部位とハイブリダイズさせた際に少なくとも1個のミスマッチを生じるように設計されたオリゴヌクレオチド(ミスマッチオリゴヌクレオチド)を外部から導入するか、当該細胞内で形成させることにより、所望の遺伝子改変が可能となる。ここでDNA鎖の任意の塩基配列部位の塩基配列に対して少なくとも1か所にミスマッチ塩基を有するオリゴヌクレオチドとしては、好ましくは1種類以上、さらに好ましくは2種類以上、さらに好ましくは3種類以上である。
本発明の細胞においては、さらに目的の遺伝子改変のターゲットとなる二本鎖DNAの少なくとも一方のDNA鎖に、当該DNA鎖の任意の塩基配列部位の塩基配列に対して少なくとも1か所にミスマッチ塩基を有する少なくとも1つのオリゴヌクレオチドの5’末端側及び/又は3’末端側に隣接して、並列に配置されるオリゴヌクレオチドを外部から導入するか、当該細胞内で形成させることにより、所望の遺伝子改変が可能となる。必要に応じてさらに当該オリゴヌクレオチドの5’末端側及び/又は3’末端側に隣接して配置されるオリゴヌクレオチドを外部から導入するか、当該細胞内で形成させてもよい。
(4)本発明のキット
本発明は、本発明の二本鎖DNAの切断方法、本発明の遺伝子改変方法に使用されるキットを提供する。
本発明の二本鎖DNAの切断方法に使用されるキットとしては、
1.切断しようとする二本鎖DNAの一方のDNA鎖とハイブリダイズさせた際に少なくとも1個のミスマッチを生じるように設計されたオリゴヌクレオチド、および
2.ミスマッチエンドヌクレアーゼ活性を有するポリペプチド、または当該ポリペプチドを目的の細胞内で発現するための核酸、を含むことを特徴とする。
また本発明の遺伝子改変方法に使用されるキットとしては、
1.改変しようとする遺伝子をコードする二本鎖DNAの一方のDNA鎖とハイブリダイズさせた際に少なくとも1個のミスマッチを生じるように設計されたオリゴヌクレオチド、および
2.ミスマッチエンドヌクレアーゼ活性を有するポリペプチド、または当該ポリペプチドを目的の細胞内で発現する細胞、を含むことを特徴とする。
本発明のキットにおいては、上記(1)のオリゴヌクレオチド(ミスマッチオリゴヌクレオチド)の5’末端側及び/又は3’末端側に隣接して、二本鎖DNAの一方のDNA鎖とハイブリダイズするように設計された少なくとも1つのオリゴヌクレオチド(補助ヌクレオチド)をさらに含んでいてもよい。
本発明のキットにおいて、ミスマッチオリゴヌクレオチド及び補助オリゴヌクレオチドは、前記の本発明の二本鎖DNAの切断方法、本発明の遺伝子改変方法で使用可能なものであればよい。さらに、当該オリゴヌクレオチドを生体や細胞内で発現するように構築されたベクター(核酸構築物)の形態になっているものでもよい。当該ベクターの形態としては、細胞内の転写機構を利用してRNAを生成するような既存のベクターシステム、例えばRNA polymerase III(pol III)系のプロモーター(human H1、human U6、またはmouse U6)を組み込んだ発現レトロウイルスベクター系、レンチウイルスベクター系、アデノウイルスベクター系及びアデノ随伴ウイルスベクター系などが例示される。さらに、T7/SP6 RNA polymerase転写系とT7/SP6プロモーター配列を有するミスマッチオリゴヌクレオチドや補助オリゴヌクレオチドをウイルス中空粒子、もしくは、ウイルス様粒子などに封入し細胞内に導入することで、RNAを細胞内で効率的且つ一過的に発現する導入システムが例示される。あるいは、細胞外から核酸の形態で導入してもよい。
また本発明のキットにおいて、外来性のミスマッチエンドヌクレアーゼを目的の細胞内で発現するための核酸は、目的の生体や細胞内で発現するように構築されたベクター(核酸構築物)の形態になっているものが好適である。当該ベクターの形態としては、特に限定はされないが、サイトメガロウイルス由来プロモーターを用いたタンパク質発現系、当該サイトメガロウイルス由来プロモーターとHIV−1由来のTrans Activation Responsive region(TAR)及びTrans AcTivator(Tat)遺伝子を組み合わせたタンパク質高発現系(HIV−1由来TatがHIV−1 RNAであるTAR配列を認識してRNA転写が促進されるシステム)など、プラスミドのトランスフェクションによる導入システム、もしくは、当該発現系をレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターあるいはアデノ随伴ウイルスベクターに搭載した導入システムが例示される。さらに、タンパク質発現を制御するために、テトラサイクリン誘導発現系や細胞内の目的タンパク質をリガンド依存的かつ可逆調節可能な様式で安定化あるいは分解する発現系と組み合わせてもよい。また、当該ミスマッチエンドヌクレアーゼをウイルス中空粒子、もしくは、ウイルス様粒子などに封入し細胞内に導入することで、効率的且つ一過的に発現する導入システムであってもよい。
さらに本発明のキットにおいては、本発明の(3)の予め外来性のミスマッチエンドヌクレアーゼ活性を有するポリペプチドを発現する細胞を組み合わせてもよい。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
ミスマッチエンドヌクレアーゼ活性を有するポリペプチドとして使用する、Pyrococcus furiosus由来のミスマッチヌクレオチド特異的二本鎖切断活性を有するポリペプチド(以下、NucSと称す)を、国際公開第2014/142261号パンフレットの調製例1〜3及び実施例1記載の方法で調製した。
次に配列表の配列番号1記載の塩基配列を有する環状Cas9 activity substrate plasmid DNAを常法により人工合成した。次に前記環状Cas9 activity substrate plasmid DNAを鋳型として配列表の配列番号2の領域をM13−M4プライマーとM13−RVプライマー(いずれもタカラバイオ社製)とPrimeSTAR GXL試薬(タカラバイオ社製)を用いてPCR増幅した。得られた増幅産物は、NucleoSpin Gel and PCR Clean−up(マッハライ・ナーゲル社製)を用いて精製した。次に精製したDNA 100ngを1×LA Buffer(タカラバイオ社製)の条件下で、250nMまたは500nMのNucSと数種類の配列表の配列番号3〜12記載の塩基配列のguide DNAをそれぞれ5μM又は10μMを含む容量10μlの反応液をTakara LA Taq(タカラバイオ社製)に添付の10×LA PCR Buffer IIを用いて調製し、37℃で1時間反応した。対照として、guide DNAを添加しないもの、NucSを添加しないものを設定した。また、ポジティブコントロールとして、NucSとguide DNAをStreptococcus pyrogen SF370由来の外来DNAの配列特異的な二本鎖切断酵素Cas9(タカラバイオ社製)と配列表の配列番号13記載のguide RNA組み合わせに置き換えたものも設定した。
上記反応後、10×Loading Buffer(タカラバイオ社製)を1/10量添加して、80℃、5分加温した後に、ネイティブポリアクリルアミドゲル電気泳動をした。電気泳動後の結果を図1に示す。
即ち図1は、NucSのDSBを示すネイティブポリアクリルアミドゲル電気泳動写真であり、レーン1は250nMのNucS存在下で配列表の配列番号3および8記載の塩基配列を有するguide DNAを用いた反応、レーン2は250nMのNucS存在下で配列表の配列番号3、4、6、8、9および11記載の塩基配列を有するguide DNAを用いた反応、レーン3はNucS非存在下で配列表の配列番号3および8記載の塩基配列を有するguide DNAを用いた反応、レーン4はNucS非存在下で配列表の配列番号3、4、6、8、9および11記載の塩基配列を有するguide DNAを用いた反応、レーン5はNucS存在下でguide DNA非存在下における反応、レーン6は500nMのNucS存在下で配列表の配列番号3、4、6、8、9及び11記載の塩基配列を有するguide DNAを用いた反応、レーン7は500nMのNucS存在下で配列表の配列番号3、4、6、8、9及び11記載の塩基配列を有するguide DNAを用いた反応、レーン8は250nMのNucS存在下で配列表の配列番号3、4、6、8、9及び11記載の塩基配列を有するguide DNAを2倍濃度で用いた反応、レーン9はCRISPR−Cas9反応系を用いた反応、レーンMは20bpラダーDNA分子量マーカー(タカラバイオ社製)である。なお、ミスマッチオリゴヌクレオチドは、配列表の配列番号3及び8記載の塩基配列を有するguide DNAである。即ち、配列番号3のオリゴヌクレオチドは配列番号2のDNAの相補鎖とハイブリダイズし、1つのミスマッチ塩基対を形成する。配列番号8のオリゴヌクレオチドは配列番号2のDNAとハイブリダイズし、1つのミスマッチ塩基対を形成する。それ以外のguide DNAは、ミスマッチオリゴヌクレオチド3’末端側に隣接し、配列番号2のDNA又はその相補鎖に並列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドである。
図1中のレーン2及びレーン6においてNucSとguide DNA存在下でCas9 activity substrate plasmid DNAのミスマッチ領域にDSBが生じ、切断された断片が確認された。また、guide DNA非存在下やNucS非存在下でDSBは生じないため、切断された断片は確認されなかった。以上のことより、ミスマッチ塩基を有するオリゴヌクレオチドの存在下でNucSは、DSBが生じることが確認できた。このことから、ミスマッチ塩基を有するオリゴヌクレオチドとミスマッチヌクレオチド特異的二本鎖切断活性を有するポリペプチドの組み合わせが遺伝子改変に使用できることが判明した。
本発明の遺伝子改変方法により、オフターゲット効果の抑えられた、所望の二本鎖DNAの塩基配列部位にDSBを発生させ、非相同末端再結合や相同組換え修復を伴う遺伝子改変が実施できる。当該方法は、精度の高いノックアウト及びノックイン生物や細胞を取得することができる方法として有用である。
SEQ ID NO: 1: Synthetic DNA encoding Cas9 activity substrate plasmid.
SEQ ID NO: 2: A portion of Cas9 activity substrate plasmid.
SEQ ID NO: 3: Synthetic DNA that hybridizes to Cas9 activity substrate plasmid.
SEQ ID NO: 4: Synthetic DNA that hybridizes to Cas9 activity substrate plasmid.
SEQ ID NO: 5: Synthetic DNA that hybridizes to Cas9 activity substrate plasmid.
SEQ ID NO: 6: Synthetic DNA that hybridizes to Cas9 activity substrate plasmid.
SEQ ID NO: 7: Synthetic DNA that hybridizes to Cas9 activity substrate plasmid.
SEQ ID NO: 8: Synthetic DNA that hybridizes to Cas9 activity substrate plasmid.
SEQ ID NO: 9: Synthetic DNA that hybridizes to Cas9 activity substrate plasmid.
SEQ ID NO: 10: Synthetic DNA that hybridizes to Cas9 activity substrate plasmid.
SEQ ID NO: 11: Synthetic DNA that hybridizes to Cas9 activity substrate plasmid.
SEQ ID NO: 12: Synthetic DNA that hybridizes to Cas9 activity substrate plasmid.
SEQ ID NO: 13: Synthetic RNA that hybridizes to Cas9 activity substrate plasmid.

Claims (13)

  1. 二本鎖DNAに、前記二本鎖DNAの一方のDNA鎖とハイブリダイズさせた際に少なくとも1個のミスマッチを生じるように設計されたオリゴヌクレオチド及びミスマッチエンドヌクレアーゼ活性を有するポリペプチドを接触させることを特徴とする二本鎖DNAの切断方法。
  2. さらに、二本鎖DNAのもう一方のDNA鎖とハイブリダイズさせた際に少なくとも1個のミスマッチを生じるように設計されたオリゴヌクレオチドを用いることを特徴とする請求項1記載の二本鎖DNAの切断方法。
  3. 二本鎖DNAに、前記二本鎖DNAの一方のDNA鎖とハイブリダイズさせた際に少なくとも1個のミスマッチを生じるように設計されたオリゴヌクレオチド、前記オリゴヌクレオチドの5’末端側及び/又は3’末端側に隣接して前記一方のDNA鎖とハイブリダイズするように設計された少なくとも1つのオリゴヌクレオチド及びミスマッチエンドヌクレアーゼ活性を有するポリペプチドを接触させることを特徴とする請求項1又は2記載の二本鎖DNAの切断方法。
  4. さらに、二本鎖DNAのもう一方のDNA鎖とハイブリダイズさせた際に少なくとも1個のミスマッチを生じるように設計されたオリゴヌクレオチドの5’末端側及び/又は3’末端側に隣接して前記もう一方のDNA鎖とハイブリダイズするように設計された少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを用いることを特徴とする請求項3記載の二本鎖DNAの切断方法。
  5. オリゴヌクレオチドがDNAである請求項1〜4のいずれか1項に記載の二本鎖DNAの切断方法。
  6. オリゴヌクレオチドがDNAとRNAのキメラオリゴヌクレオチドである請求項1〜4のいずれか1項に記載の二本鎖DNAの切断方法。
  7. 細胞内で行われることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の二本鎖DNAの切断方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法で二本鎖DNAを切断する工程を包含する遺伝子改変方法。
  9. 二本鎖DNAの切断で生成したDNA末端に非相同末端結合又は相同組換えによるDNA鎖の挿入が起こる請求項8記載の遺伝子改変方法。
  10. 二本鎖DNAの切断及び/又は遺伝子の改変に使用される細胞であって、外来性のミスマッチエンドヌクレアーゼ活性を有するポリペプチドを当該細胞内で発現する機能を有することを特徴とする細胞。
  11. 二本鎖DNAを切断するためのキットであって、
    (1)前記二本鎖DNAの一方のDNA鎖とハイブリダイズさせた際に少なくとも1個のミスマッチを生じるように設計されたオリゴヌクレオチド、および
    (2)ミスマッチエンドヌクレアーゼ活性を有するポリペプチド、または当該ポリペプチドを目的の細胞内で発現するための核酸、を含むことを特徴とするキット。
  12. 遺伝子改変方法のためのキットであって、
    (1)前記遺伝子をコードする二本鎖DNAの一方のDNA鎖とハイブリダイズさせた際に少なくとも1個のミスマッチを生じるように設計されたオリゴヌクレオチド、および
    (2)ミスマッチヌクレアーゼ活性を有するポリペプチド、または当該ポリペプチドを目的の細胞内で発現する細胞、を含むことを特徴とするキット。
  13. さらに、(1)のオリゴヌクレオチドの5’末端側及び/又は3’末端側に隣接して、二本鎖DNAの一方のDNA鎖とハイブリダイズするように設計された少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含むことを特徴とする請求項11又は12記載のキット。
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