JP2016133918A - 当たり面積率の測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の当たり面積率の測定方法は、ワークの摺動面の当たり面積率を測定する方法であって、上記摺動面の規範となる対向基準面を有する測定具を用い、塗料を塗布した上記対向基準面を上記摺動面に擦り合わせる工程と、上記擦り合わせ工程後の摺動面の塗料付着状態をデジタルカメラで異なる複数の方向から撮影する工程と、上記撮影工程で取得した複数の撮影画像を同一縮尺の複数の平面画像に展開する工程と、上記展開工程で取得した複数の展開画像を用い、ハレーション部分を補完しつつ、色パラメータが所定範囲内の画素数の総画素数に対する割合を算出する工程とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
図1に本発明の一実施形態に係る当たり面積率の測定方法の手順を示す。当該当たり面積率の測定方法は、ワークの摺動面の当たり面積率を測定する方法である。
ステップS1の塗布工程では、先ず、例えば図3A及び図3Bに示すような規範となる対向基準面21を有する測定具20を用意し、この測定具20の対向基準面21に一定量の検査用塗料Pを均一に塗り広げて薄く塗布する。測定具20は、後述するステップS2の擦り合わせ工程において、オペレータが把持するハンドル22を有してもよい。
ステップS2の擦り合わせ工程では、ステップS1の塗布工程で塗料Pが塗布された測定具20の対向基準面21を、例えばハンドル22を把持してワーク10の摺動面14に擦り合わせる。これにより、摺動面14の対向基準面21に当接する部分に塗料Pが転写される。摺動面14が対向基準面21の厳密な倣い形状に近くなると、塗料Pが転写される摺動面14の面積が大きくなる。従って、塗料Pが転写された面積が大きい程、摺動面14の仕上げ精度が高いということができる。
ステップS3の貼設工程では、ワーク10の摺動面14の測定領域の周囲に、図4に示すような方形の枠体30を貼設する。枠体30の貼設方法としては、例えば枠体30をマグネットシート(ゴム磁石)で形成することにより、磁力によりワーク10に吸着させる方法が適用可能である。
上記枠体30は、一対の両側枠部31,32と、これら一対の両側枠部31,32の端部間を接続する一対の両端枠部33,34とを有する。上記枠体30は、これら両側枠部31,32及び両端枠部33,34の内周縁により摺動面14の測定領域を画定する。なお、両側枠部31,32は、方形の枠体30の長辺部であることが好ましいが、枠体30の短辺部であってもよい。
ステップS4の撮影工程では、測定領域の外周に枠体30を貼設した摺動面14を異なる複数の方向からデジタルカメラで撮影する。図5に、この撮影工程で得られる撮影画像の例を示す。撮影画像中には、帯状に蛍光灯が映り込んだ複数のハレーションが存在するが、同じ摺動面14を異なる方向から撮影することにより、ハレーションが存在する位置が異なる複数の撮影画像を取得することができる。例えばハレーションの位置を撮影画像中で上下方向に異ならせたい場合には、撮影位置を撮影画像における上下の方向に移動するよう撮影方向を変更すればよい。
ステップS5のホワイトバランス調整工程では、撮影画像中の両端枠部33,34のうちの白色のものの画像データに基づいてホワイトバランスを調整する。具体的には、白色の両端枠部を認識し、この両端枠部の色が予め設定される所定の色温度となるよう、撮影画像全体の色を補正する。色温度の補正方法としては公知の方法が適用できる。このため、ホワイトバランス調整工程の具体的な処理については詳細な説明を省略する。
ステップS6の展開工程では、ステップS4で撮影され、ステップS5のホワイトバランス調整工程で調整された複数の撮影画像を、両側枠部31,32の第1着色部35及び第2着色部36の画像データに基づいて、両側枠部31,32の間に位置する摺動面14の測定領域の画像を所定の方形状に引き伸ばして、同一縮尺かつ同一範囲の複数の平面画像にそれぞれ展開する。
ステップS11の認識工程では、撮影画像の画像データから、色パラメータが両側枠部31,32の色に対応する範囲内である画素、つまり第1着色部35に対応する画素及び第2着色部36に対応する画素をそれぞれ識別する。
ステップS12の座標特定工程では、ステップS11の認識工程で認識した第1着色部35及び第2着色部36の画素の座標データを基に、両側枠部31,32の色が変化する内側境界点を抽出する。具体的には、第1着色部35及び第2着色部36の一方に対応する画素の中で、両側枠部31,32の長さ方向一方側及び両側枠部31,32の幅方向一方側に同じ色の画素が隣接し、両側枠部31,32の長さ方向他方側に第1着色部35及び第2着色部36の他方に対応する画素が隣接し、両側枠部31,32の幅方向他方側に第1着色部35及び第2着色部36のいずれに対応する画素も隣接していない座標を抽出する。
そこで、ステップS13の判別工程では、予め記憶した枠体30の大きさ及び両側枠部31,32の色が変化する内側境界点数を含む枠体データに基づいて、両側枠部31,32を直接撮影した画像による内側境界点を判別し、図8に示すように、反射画像による疑似の内側境界点を除外し、摺動面14の測定領域の外縁を真に示す内側境界点のみを抽出する。
ステップS14の平面展開処理工程では、上記内側境界点の内側の画像データを、所定の縮尺の平面画像に展開した展開画像データを生成する。具体的には、枠体30毎に予め定められる縦横の画素数を有する長方形の画像であって上記内側境界点が両側縁に所定ピッチで等間隔に配置される展開画像を形成するよう、撮影画像を引き延ばす。画像の引き伸ばし方法としては、公知の処理方法を適用することができる。
ステップS7の算出工程では、上記複数の展開画像を用い、ハレーション部分を補完しつつ、色パラメータが所定範囲内の画素数の展開画像1枚当たりの総画素数に対する割合を算出する。
ステップS21の分割領域設定工程では、上記ステップS6の展開工程で取得した複数の展開画像を等しく分割する。ここで、等しく分割するとは、展開画像間で分割位置が異ならないことを意味し、同一の展開画像から分割される複数の分割領域の形状や大きさが等しいことは必ずしも要求されない。しかしながら、演算負荷の低減及びハレーションの除去の確実性の観点から、同一の展開画像から分割される複数の分割領域が全て等しい形状及び大きさとなるようにすることが好ましい。
ステップS22の画素数算出工程では、各分割領域内の画素の中で、色パラメータが塗料Pの色に対応する所定範囲内であるものの画素数をそれぞれカウントする。
ステップS23の最大値選択工程では、ステップS22の画素数算出工程で算出した画素数が最大となる展開画像を各分割領域毎に選択する。各分割領域の画像においてハレーションの存在する部分では、塗料Pの色が光によって消されているため、色パラメータが塗料Pに対応する範囲内である画素の数が少なくなる。よって、色パラメータが塗料Pに対応する範囲内である画素が最大である分割領域を選択することにより、各分割領域について、複数の展開画像の中で最もハレーションが少ないものを選択することができる。
ステップS24の合成画像形成工程では、ステップS23の最大値選択工程で選択された最もハレーションが少ない分割領域の画像を足し合わせることにより、ハレーションの少ない合成画像を形成する。換言すると、この合成画像形成工程では、一の展開画像の中でハレーションが多い分割領域を消去して他の展開画像の対応する分割領域の中でハレーションが少ない分割領域の画像データで補填する。これにより、図11に例示する図9A〜図9Cの展開画像から形成した合成画像のように、ハレーションの低減された画像を得ることができる。
ステップS25の合計算出工程では、ステップS23で選択した分割領域毎の最大値の合計つまりは、ステップS24の合成画像形成工程で形成される合成画像の中で色パラメータが塗料Pに対応する所定範囲内である画素数の合計を算出する。これにより、合成画像の中で摺動面14の測定領域内で塗料Pが付着している領域の面積を画素数として算出する。
ステップS26の比率算出工程では、ステップS25の合計算出工程で算出した塗料Pが付着していると考えられる領域の合計画素数を一の展開画像の総画素数(合成画像の総画素数と同じ)で除算することで、摺動面14の測定領域内で塗料が付着している領域の面積率を算出する。
当該当たり面積率の測定方法は、デジタルカメラで撮影した画像から当たり面積率を定量的に算出するので、摺動面の良否を定量的に評価することができる。また、当該当たり面積率の測定方法では、ステップS7の算出工程において、図10のフローチャートに示されるよう、複数の撮影画像を用いてハレーションを補完するので撮影環境を選ばず、比較的正確に当たり面積率を算出することができる。
続いて、図10とは異なり、図1の当たり面積率の測定方法においてステップS7の算出工程として適用可能な算出工程の詳細な手順を図12に示す。
ステップS31の透明化工程では、ハレーションが存在すると判断される画素を透明化する。このため、図12の算出工程を用いる場合には、各画素の色の情報には、色パラメータとして、色相、彩度及び明度に加えて透明度を示す値(アルファチャンネル)が含まれる。この透明化工程で透明化される画素としては、例えば明度が所定の値以上である画素とされる。この明度の閾値としては、例えば50/255とすることができる。
ステップS32の画像合成工程では、ステップS31の透明化工程でハレーションが存在すると判断される画素を透明化した展開画像を重ね合わせて合成画像を得る。この時、最も上側の展開画像として、複数の展開画像から特定の展開画像(以下、特定展開画像と呼ぶことがある)を選択する。特定展開画像としては、ハレーションの最も少ない画像や、塗料の色に対応する色パラメータの画素数が最も多い画像を選択することが好ましいが、ランダム又は撮影順、コンピュータへの入力順等の画像データの内容とは無関係の基準で選択してもよい。ハレーション部分を透明化した展開画像を重ね合わせることにより、特定展開画像の透明化された部分に上から2番目の展開画像の相当部分を補填した画像が得られる。ここで、特定展開画像と上から2番目の展開画像との透明化した部分が重複する場合、さらに下側に重ね合される3番目以降の展開画像によってこの部分が補填される。以下の工程では、このようにして得られた合成画像を基礎画像として用いる。
ステップS33の合計算出工程では、ステップS32の画像合成工程で得られた合成画像中の塗料Pの色に対応する範囲の色パラメータを有する画素の合計数を算出する。
ステップS34の比率算出工程では、ステップS33の合計算出工程で算出した塗料Pの色に対応する画素の合計数を展開画像の総画素数で除算することで、摺動面14の測定領域内で塗料が付着している領域の面積率を算出する。
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
試験1として、先ず、摺動面の測定領域内に赤色の塗料が市松模様(チェック模様)に付着(塗料付着面積率50.000%)し、その両側に青色と緑色とが交互に配置される両側枠部が貼設された状態を模した図をシートに印刷し、この図を印刷したシートを円筒面に貼着して疑似摺動面とした。続いて、この疑似摺動面をデジタルカメラで撮影した撮影画像を上記コンピュータプログラムによって処理することにより、図中の赤色の塗料を模した部分の面積率を測定した(図13参照)。
試験2として、赤色の塗料が市松模様に付着した部分と、その上下に左右方向に延在するストライプ状に塗料が付着した部分とを有する(塗料付着面積率63.333%)摺動面の測定領域の左右方向両側に青色と緑色とが交互に配置される両側枠部が貼設された状態を模した図をシートに印刷し、この図を印刷したシートを平板上に配置したものを疑似摺動面とした。続いて、この疑似摺動面をデジタルカメラで撮影した撮影画像を上記コンピュータプログラムによって処理することにより、図中の赤色の塗料を模した部分の面積率を測定した(図14参照)。
11 主軸
12 アーム
13 ピン
14 摺動面
20 測定具
21 対向基準面
22 ハンドル
30 枠体
31,32 両側枠部
33,34 両端枠部
35 第1着色部
36 第2着色部
P 塗料
S1 塗布工程
S2 擦り合わせ工程
S3 貼設工程
S4 撮影工程
S5 ホワイトバランス調整工程
S6 展開工程
S7 算出工程
S11 認識工程
S12 座標特定工程
S13 判別工程
S14 平面展開処理工程
S21 分割領域設定工程
S22 画素数算出工程
S23 最大値選択工程
S24 合成画像形成工程
S25 合計算出工程
S26 比率算出工程
S31 透明化工程
S32 合成画像形成工程
S33 合計算出工程
S34 比率算出工程
Claims (8)
- ワークの摺動面の当たり面積率を測定する方法であって、
上記摺動面の規範となる対向基準面を有する測定具を用い、塗料を塗布した上記対向基準面を上記摺動面に擦り合わせる工程と、
上記擦り合わせ工程後の摺動面の塗料付着状態をデジタルカメラで異なる複数の方向から撮影する工程と、
上記撮影工程で取得した複数の撮影画像を同一縮尺の複数の平面画像に展開する工程と、
上記展開工程で取得した複数の展開画像を用い、ハレーション部分を補完しつつ、色パラメータが所定範囲内の画素数の総画素数に対する割合を算出する工程と
を備えることを特徴とする当たり面積率の測定方法。 - 上記擦り合わせ工程後撮影工程前に、両側枠部が一定間隔で色が変化する方形の枠体を測定領域を画定するよう上記摺動面に貼設する工程をさらに備え、
上記展開工程で、上記枠体の両側枠部の画像データに基づいて平面展開処理を行う請求項1に記載の当たり面積率の測定方法。 - 上記枠体の両側枠部を接続する両端枠部の少なくとも一方が白色とされ、
上記算出工程前に、上記白色の枠部の色に基づいて上記複数の画像又は上記複数の展開画像のホワイトバランスを調整する工程をさらに備える請求項2に記載の当たり面積率の測定方法。 - 上記展開工程で、上記枠体の大きさ及び両側枠部の色が変化する内側境界点数を含む枠体データに基づき、平面展開処理の基準となる両側枠部の画像データから上記枠体の反射画像を除く請求項2又は請求項3に記載の当たり面積率の測定方法。
- 上記算出工程の色パラメータが明度である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の当たり面積率の測定方法。
- 上記算出工程における算出の基礎画像として、上記複数の展開画像をそれらのハレーション部分を消去するよう合成した画像を用いる請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の当たり面積率の測定方法。
- 上記算出工程で、上記複数の展開画像を同じ複数の領域毎に分割し、上記複数の展開画像の分割領域毎に色パラメータが所定範囲内の画素数を算出し、分割領域毎に上記色パラメータが所定範囲内の画素数の最大値を選択し、展開画像の総画素数に対する選択した分割領域毎の画素数の合計の比率を算出する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の当たり面積率の測定方法。
- 上記算出工程における算出の基礎画像として、上記複数の展開画像から特定の展開画像を選択し、その特定展開画像からハレーション部分を消去し、その消去したハレーション部分に他の展開画像の相当部分を補填した画像を用いる請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の当たり面積率の測定方法。
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