以下に本発明の実施の形態を遊技機たるスロットマシンを例に図面を参照しつつ説明する。なお、図1はスロットマシンの分解斜視図、図2は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの分解斜視図、図3はスロットマシンの斜視図、図4は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの縦断面図、図5は図4のZ1部拡大図、図6はコネクタホルダーを移動させた状態を示す図4のZ1部拡大図、図7は扉形前面部材を省略した状態を示すスロットマシンの横断面図、図8(a)は図7のZ2部拡大図、図8(b)はコネクタホルダーを移動させた状態を示す図7のZ2部拡大図、図9は図8(a)の要部を示す拡大図、図10は背板側を示すスロットマシン要部の横断面図、図11はケース部材の分解斜視図、図12はケース部材を後ろから見た斜視図、図13(a),(b)はコネクタホルダーの仮止め状態を説明するケース部材の要部の斜視図、図14は配線中継部材の分解斜視図、図15は配線中継部材のカバー体を省略した正面図、図16,図17はコネクタホルダーの分解斜視図、図18はケース部材を止めるストッパの斜視図、図19は他の形態を示すストッパの斜視図、図20,図21はケース部材のガイド構造を示す要部の断面図、図22は把手の他の形態を示す図柄変動表示装置の部分斜視図、図23はケース部材と外本体側のストッパとの関係を示す要部の斜視図、図24は配線窓と図柄変動表示装置のリールとの関係を示す要部の断面図、図25はスロットマシン上部の縦断面図、図26はメダル放出装置を省略してスロットマシンの下半部を示す斜視図、図27は図26の分解斜視図、図28はスロットマシンの裏側から放熱口を見た背面図、図29は電源装置を示すスロットマシンの一部断面部分正面図、図30は電源装置を下から見上げた状態を示す斜視図、図31は他の形態を示すもので外本体の側板と電源装置の要部断面図、図32は他の形態を示す照明装置の概略断面図、図33は透明板と発光ユニットを分解して示す扉形前面部材の斜視図、図34は透明板を分解して示す扉形前面部材の斜視図、図35は透明板を装着した扉形前面部材の図33A−A線相当断面図、図36はヒンジ金具の分解・組み立て斜視図、図37はヒンジ金具の連鎖を示す線図、図38は扉形前面部材を示す要部の横断平面図、図39は開く途中の扉形前面部材を示す要部の横断平面図、図40は扉形前面部材の上半部を示す裏側から見た斜視図、図41は連結具を縦方向に切断した断面斜視図、図42は他のヒンジ金具の例を示す扉形前面部材の要部横断平面図、図43は図42の扉形前面部材の開く途中を示す要部の横断平面図、図44は機種ユニットにおいて前面開閉部材を開いた状態を示す斜視図、図45は連結具を連結したまま扉形前面部材を開いた状態を示す斜視図である。
[1.第1の実施形態]
本発明における第1の実施形態のスロットマシン1は、図1及び図2に示すように、前面が開口する箱形の外本体100と、該外本体100の前面に回転軸100aをもって横開きの扉状に回動可能に取り付けた扉形前面部材200と、複数の図柄を駆動手段で変動させる図柄変動表示装置300と、前記外本体100に対し着脱自在であって前面に開口部401を有するケース部材400と、任意の画像を表示する画像表示体500と、を有する。
[2.外本体]
外本体100は、図1〜図4に示したように底板101の左右に側板102,102を取着すると共に該側板102,102の頂部に天板103を設置して正面視縦長「口」字形の枠状となし、その枠の背に背板104を固着して前面のみ開口する箱形に形成してなる。前記左右の側板102,102は前縁が後傾状態に僅かに傾斜する台形になっており、従って外本体100の開口は後傾状態の傾きを有する。また、前記天板103には、遊技機設置島(図示せず)に設置した状態で該遊技機設置島の上桟600(図25想像線参照)と対向する領域内に複数(実施形態では4個)の貫通孔132,132…が穿設されている。
[2−1.外本体−仕切板]
外本体100内には高さのほぼ中央に棚板状の仕切板105が設けられている。該仕切板105は金属製であって、図1,図2に示したように中央に突段部106を有する正面視略凸形であり、両端に形成した垂直な取付片107を外本体100の側板102,102内面に固着し、また、後端に形成した垂直な取付片108を外本体100の背板104内面に固着して取り付けられる。なお、仕切板105の後端の取付片108にはバーリング加工(下孔の孔径をポンチで広げながら短筒状の突起を立ち上げる金属加工)による筒状突起(図示せず)が形成されており、該筒状突起を外本体100の背板104にプレ加工した小孔(図示せず)に打ち込んで位置決めされる。また、仕切板105の両横の最奥部には外本体100の背板104との間に配線用の開口109が形成されている。
[2−1−1.外本体−仕切板−下スペース]
外本体100内の前記仕切板105より下のスペースには、遊技媒体たるメダルを前記扉形前面部材200の前面下部にあるメダル用受皿201に放出するメダル放出装置110と、メダル放出装置110からオーバーフローするメダルを貯めるメダル用補助収納箱111と、電源装置112等が設けられている。
[2−1−1−1.外本体−仕切板−下スペース−メダル放出装置]
前記メダル放出装置110は、駆動手段を内蔵した装置本体110aにメダル貯留用のホッパ110bを取り付けたものであり、装置本体110aの前面にメダルの放出口110cが設けられていて、ホッパ110b内にあるメダルが前記駆動手段の作動により放出口110cに向けて1枚ずつ送り出される。また、ホッパ110bには溢れたメダルを排出させるオーバーフロー樋110dが設けてあり、そのオーバーフロー樋110dの突端下方に前記したメダル用補助収納箱111が臨む。なお、メダル放出装置110のメダル放出機構は、現在公知のどのようなものを採用してもよく、よって詳細な説明を省略する。
[2−1−1−2.外本体−仕切板−下スペース−電源装置]
前記電源装置112は、図26〜図30に示したように、外本体100の底板101と、正面向かって左側の側板102と、背板104の三部材が直交する内側コーナー部分に取り付けられている。電源装置112は、前記メダル放出装置110等の電気部品に電気を供給するためのものであって発熱しやすい部品であり、従って外本体100の背板104には電源装置112の取付部位に放熱口104aが開設されている。
電源装置112の装置ケース112aは、透明な合成樹脂で形成されている。こうすることにより装置ケース112aの内部が見えるから、電源装置112の基板112s(図30参照)等に対する不正工作の発見が容易になる。装置ケース112aは、上面をカバーする上面板112bと、外本体100の背板104に対向する後面板112cと、該後面板112cの反対側をカバーする正面板112dと、スロットマシン1の内部に向かう側をカバーする側面板112eと、上面板112bと側面板112eの境界部分を面取り形態にカバーする斜面板112fと、底部をカバーする底面板112r(図30参照)で形成されている。一方、装置ケース112aの、外本体100の側板102に対向する側の面はカバーされておらず開放状態にあるが、この開放面は外本体100に取り付けた状態で外本体100の側板102によって塞がれる。
なお、外本体100の側板102には図26,図27に示したように凸面部102aを設けて段状のガード部102bを形成し、該ガード部102bの下に装置ケース112aの上面板112bの一側を潜り込ませる仕様になっている。これにより装置ケース112aの一面をカバーしなくてもガード部102bによって装置ケース112aと側板102の継ぎ目が塞がれるから異物の差込みが行えない。図31は前記ガード部102bを溝状にした他の実施形態を示すものであり、この例では装置ケース112aの上面板112bの縁を側板102側に若干突出させてその先をガード部102bの溝に嵌め込むようになっている。
このように電源装置112の装置ケース112aにおいて、外本体100の側板102に当接する側の面をカバー無しの開放構造にして使用時に前記側板102で塞がるようにした場合は、装置ケース112a内への基板112s等の組み込みが開放面を使って行い易く、また、装置ケース112aに基板112s等を組み込んだ後の開放面へのカバー付けが不要であるから作業性が向上する。
前記装置ケース112aの上面板112b、側面板112e、斜面板112f、後面板112c、底面板112rには多数の通気孔112g,112g…が形成されていて内部に熱がこもらないようになっている。装置ケース112aは、底部に設けた脚部112h,112h…によって高床式に持ち上げられており、装置ケース112aの底面板112rと外本体100の底板101の間に通気空間112iが形成されている。従って、通気空間112iから底面板112rの通気孔112g,112g…を通って低層の比較的冷たい空気が装置ケース112a内に導入できる。実施形態の通気空間112iは、外本体100の前記放熱口104aに連通するようになっているため、機裏の冷たい空気を通気空間112iに導入することができる。なお、装置ケース112aの後面板112cと底面板112rの境界部に前記通気空間112iを嵩上げする逆L字形の段部112j(図30参照)を形成すれば、脚部112hの高さと放熱口104aの高さにズレがあっても通気空間112iを放熱口104aに連通させることができる。
[2−1−1−2−1.外本体−仕切板−下スペース−電源装置−固定]
電源装置112は、装置ケース112aの正面板112dの一側辺に対して直角である取付片112kと、装置ケース112aの後面板112cから外本体100の背板104に向けて突設した突部112mと、外本体100の背板104に開設した放熱口104aと、の組合せにより外本体100に固定される。
すなわち、放熱口104aの輪郭は装置ケース112aの後面板112cの輪郭より小さく形成されており、従って電源装置112は外本体100の背板104に当たって放熱口104aを通らない。また、装置ケース112aの後面板112cに突設した突部112mは、前記放熱口104aに内接する位置にあり、電源装置112の浮き上がり動作に抗すべく放熱口104aの上辺に内接する水平な突片112m−1と、電源装置112の横転動作に抗すべく放熱口104aの縦辺に内接する垂直な突片112m−2で構成される。従って、電源装置112を外本体100の側板102の内面に沿わせて押し込み、放熱口104aに突部112mを差し込むだけで、装置ケース112aの後面(奥側)の上方向(浮き上がり)と図26において右方向(横転)への固定が完了する。もちろん電源装置112は、下方向に対しては外本体100の底板101によって、また、図26において左方向に対しては外本体100の側板102によってその動きが規制されるため、放熱口104aに突部112mを嵌め込むだけの単純な操作で、手前に引っ張る方向以外について電源装置112の動きが完全に規制できる。
一方、正面板112dに突設した取付片112kにはビス用の透孔112pが複数穿設されており、該透孔112pの少なくとも1個に木ねじ112qを通して外本体100の側板102に固定する。これにより手前に引っ張る方向についても電源装置112の動きが規制されるため、1本の木ねじ112qで外本体100への電源装置112の確実な固定が可能である。
[2−1−1−2−2.外本体−仕切板−下スペース−電源装置−電源コード]
電源装置112には外部から電気の供給を受けるための電源コード(図示せず)が接続されている。そして、従来は前記放熱口104aの横に膨出部を設けてそこから前記電源コードを引き出すようにしていたが、この位置では電源コードを束ねても地面にすれる危険性が高い。スロットマシン1は、製造途中で電源を投入する場合があり、そのときに備えて外本体100の外に電源コードを出しておかなければならないから、製造ライン上での移動の際やライン間での移動の際に電源コードが地面にすれたり、スロットマシン1の底板101の下に入って挟まるおそれがある。
これに対し実施形態の放熱口104aは、その上辺から上に向けてコード引出口104bを拡張し、そこから電源コードを引き出すようにしている。これにより束ねた電源コードを宙づり状態にぶら下げるに十分な高さが確保できる。よってスロットマシン1を製造する工程で誤って電源コードを傷めてしまうトラブルが激減する。
以上のように本発明のスロットマシン1は、電源装置112を外本体100の内側コーナー部分にセットして1本の木ねじ112qをねじ込むだけで取り付けが完了するため、従来に比べて電源装置112の取付作業の大幅な省力化が可能である。また、本発明では、1つの面に対してネジ止めすれば固定が完了するので、特に、固定する部位を電源装置112の前方(手前)に持ってきた場合は視認しやすく、確実に固定できる。ちなみに、従来は電源装置112の複数の面或は部材に対してネジ止めする必要があり、特に、背板104に固定するネジは視認しにくいため忘れる可能性があった。
また、放熱口104aは、電源装置112の冷却手段として必要なものであるから、この放熱口104aを電源装置112の固定に利用しても余分な工程やコストは殆ど発生しない。却って、固定のために放熱口104aの位置と電源装置112の位置を一致させることになるから冷却効率が向上する。加えて、装置ケース112aを実施形態のごとく合成樹脂製にした場合には、取付用の突部112mも一体成形できるため殆どコストが掛からない。よって電源装置112の取り付けに要するトータルのコストも従来に比べて削減できる。
さらにまた、装置ケース112aを合成樹脂製にした場合には、電源装置112の発熱対策として有用な装置ケース112aの脚部112hや段部112jも殆どコストをかけずに実施できるメリットがある。
[2−1−2.外本体−仕切板−上スペース]
一方、外本体100内の仕切板105より上のスペースには前記ケース部材400が納められ、また、外本体100の背板104の内面には後述する配線手段の中核となる配線中継部材113が取り付けられ(図1,図2参照)、さらに背板104には配線中継部材113より上方に放熱用の通気口133が形成されている。
[3.扉形前面部材]
図3に扉形前面部材200の表側が、また、図1に扉形前面部材200の裏側が示されている。扉形前面部材200は、表側の下方にメダル用受皿201を有し、また、表側のほぼ中央に操作部202が設けられている。この操作部202には、メダル投入用の投入口203と、後述するメイン基板409のメモリにデータとして蓄えられているメダルから1枚のみの投入(引き落と)を指示する1枚投入ボタン205と、同じく1回のゲームで使用可能な最高枚数(例えば3枚)の投入を指示するMAX投入ボタン206と、後述するメダルセレクタ207の中に詰まったメダルをメダル用受皿201に戻すためのメダル返却ボタン208と、メイン基板409のメモリにデータとして蓄えられているメダルの貯留解除命令(精算による放出命令)を入力するための貯留解除スイッチ209と、前記図柄変動表示装置300を作動させる始動レバー210と、図柄変動表示装置300の各リール301a,301b,301cを停止させる3個のリール停止ボタン211a,211b,211c等が設けられている。もちろんここに示した操作部202の構成は1つの例示であり、これらに限定されるものではない。
また、前記投入口203の裏側にはメダルセレクタ207が設けられており、そのメダルセレクタ207の横にメダル樋212が、また、下に返却樋213が接続している。メダルセレクタ207は内蔵したソレノイド(図示せず)をON・OFFさせることによって流路を切り替える公知のものであり、遊技者からのメダルの投入を待つ遊技状態のときには流路をメダル樋212側に、また、規定枚数を超えたメダルの投入など、メダルの投入を拒否する遊技状態のときには流路を返却樋213側に設定する。前記メダル樋212は、扉形前面部材200が外本体100の前面に被さる閉じ位置にあるときその突端がメダル放出装置110のホッパ110b内に臨むようになっており、投入口203からメダルセレクタ207を通ってメダル樋212に流れたメダルはホッパ110bに行き着く。一方、前記返却樋213は表側のメダル用受皿201に繋がっており、投入口203からメダルセレクタ207を通って返却樋213に流れたメダルはメダル用受皿201に戻る。
[3−1.扉形前面部材−透視窓]
扉形前面部材200は、外本体100の前面全体をカバーする大きさであって、その上半部は、図33,図34に示したように、透明板214aで覆ったゲーム用の透視窓214になっている。実施形態の透視窓214並びに透明板214aは、前記画像表示体500と図柄変動表示装置300が上下に並んで見えるよう通常より大きくなっており、扉形前面部材200と一体の額フレーム216によって画像表示体500と図柄変動表示装置300の領域が視覚上、上下に区画されている。このように一枚の透明板214aを、画像表示体500と図柄変動表示装置300の双方をカバーする大きさに設定しておけば、画像表示体500と図柄変動表示装置300の配置が上下入れ替わっても、そのまま使用することができる。
[3−1−1.扉形前面部材−透視窓−透明板]
透明板214aは、透明な合成樹脂(例えば耐衝撃性、耐擦傷性、光学特性に優れたゴム入りのメタクリル樹脂、実施形態では三菱レイヨン株式会社製「アクリペット(登録商標)IR D30」を使用)をほぼ逆さ台形にした上広がりの形態であって、底辺を除く三辺(左右側辺と上辺)の周縁に、遊技者と向かい合う側を前面としてその前面側に膨出する縁部材214b,214b,214bを、樹脂成型用型枠を用いての樹脂成型時に一体成型してなる。このように平らな板状の透明板214aの周縁に縁部材214bを一体に成型した場合には、縁部材214bが補強バーになって透明板214a全体の強度を高めるため、透明板214aが上記のように画像表示体500と図柄変動表示装置300の双方をカバーする程度に大きくても撓みや歪みが生じにくい。
前記縁部材214bは、図35に示したように、後面側に開口する殻構造(中実でなく、内部に空間がある殻のような構造であり、各部の肉厚は任意である。)になっており、その内部空間に発光ユニット217と、必要に応じて例えば表面に模様や文字を施した装飾部材(図示せず)が組み込まれる。
なお、図34では、発光ユニット217が扉形前面部材200に取り付けられているように描かれているが、実際の発光ユニット217は、図35に示したように縁部材214bの中に嵌め込まれている。従って、透明板214aと発光ユニット217は、一体の部品として取り扱われる。
縁部材214bの形状は図示したものに限定されず、発光ユニット217や装飾部材のデザインに合わせて任意に変更可能である。また、縁部材214bを設ける部位も実施形態のように透明板214aの周縁の三辺に限定されず、最低限、何れかの一辺に設けるだけでもよい。
その他、図33,図34において符号218は、透明板214aの上の左右コーナー部分に設けた固定部材であって、透明板214aの裏側から透孔214c(図33拡大図参照)に通したビス(図示せず)により、縁部材214bと縁部材214bの間に嵌った図34の状態で止められている。該固定部材218は、外見上コーナー飾りとしての役割を果たす一方、扉形前面部材200と透明板214aの夫々の上のコーナー部分に設けた通孔200a,214d(図33拡大図参照)に対し扉形前面部材200の裏側から通したビス(図示せず)に螺合し、もって透明板214aを扉形前面部材200に固定するナット的な役割を果たす。
また、図33〜図35において、符号217aは発光ユニット217の発光体、217bは発光体217aを支持する反射部材である。左右に位置する発光ユニット217の反射部材217bは、図35に示したように、棒状の発光体217aの光をスロットマシン1の周囲に向けて多く反射するように角度が設定されている。なお、透明板214aの縁部材214bの内部に発光ユニット217を組み込んだ形態は、発光体217aをスロットマシン1の、より手前側に配置することができるから、あたかも岬の突端にある灯台のごとく、光を周囲に向けて放射させる場合に有利である。また、上に位置する発光ユニット217の反射部材217bは、発光体217a(光源217a−1と導光板217a−2の組合せ)の光をスロットマシン1の上方に向けて多く反射するように設定されている。
以上の構成である発光ユニット217は、遊技中、特に大当たりが出た場合などに点灯して大当たりの発生を周囲にアピールする演出を行うことができる。このように周囲に対しアピール度の高い演出を行うことによって、大当りを得た遊技者に注目させることができ、多くの者の視線が遊技者に優越感を抱かせるから、遊技がさらに盛り上がる。また、大当たりが出ていることを周囲にアピールすることにより、その機種の人気が高まり、稼働率が向上することも期待される。
実施形態の透明板214aは以上のような構成であって、扉形前面部材200の裏側に設けた凹溝219(図34拡大図参照)に対し、板状の底辺を扉形前面部材200の前面から斜めに差し入れて建具式に嵌め込み、その状態で透明板214aを直立させて扉形前面部材200の前面に全ての縁部材214b,214b,214bを当接させ、さらに扉形前面部材200の裏から通したビス603(図1参照)によって固定する。図35は、このときの扉形前面部材200の要部を切断したものであり、この図35から明らかなように、もし仮に、遊技者が扉形前面部材200と縁部材214bの境から異物を無理矢理差し込んだとしても、その異物の先が縁部材214bの内部を横断して透明板214aの裏側に到達する余地は殆どない。従って、優れた防犯効果を発揮する。
[3−2.扉形前面部材−錠装置]
扉形前面部材200の自由端側の一側には専用キー(図示せず)を使って開閉操作する錠装置215が設けてある。
[4.図柄変動表示装置]
図柄変動表示装置300はリール回転式表示装置であって、モータ等の駆動手段303で個別に回転可能な例えば3個のリール301a,301b,301cと、該リール301a,301b,301cを組込み・収容する装置ケース302とを有し、リール301a,301b,301cの周面に描いた複数の図柄(図示せず)の組合せで遊技を行う周知のものである。
前記装置ケース302は、あたかも横倒しにした八角柱から正面(遊技者)に向かう3面を除いた変形六角柱形態であって、底部板304と、天板部305と、図11において向かって右側の右側板306と、同じく左側の左側板307と、後面を覆う垂直な後部板308と、天板部305と後部板308の間に設けた上斜板309と、底部板304と後部板308の間に設けた下斜板310で囲った箱形であり、前記リール301a,301b,301cの円弧の一部が装置ケース302の正面からはみ出す状態になっている。
また、装置ケース302の天板部305には指掛可能な使用状態と、天板部305に伏した不使用状態とに変化可能な把手311が設けられており、該把手311に指を掛けて持ち運ぶようになっている。
このように装置ケース302の天板部305に上記のごとく変化可能な把手311を設ける構成は、ケース部材400の強度アップ策と密接に関連する。すなわち、実施形態では後述するようにケース部材400の開口部401に補強桟402を設け、もってケース部材400の開口部401に画像表示体500を片持ちさせるに十分な強度を付与しているが、そのような補強桟402は開口部401を横切るから装置ケース302のケース部材400への出し入れに対し、明らかに障害となる。これに対し実施形態のように把手311を変化可能にして天板部305に伏させておけば、把手311の出っ張りがなくなるから、装置ケース302が補強桟402の下を難なく通過できるのである。従って、装置ケース302の天板部305に上記のように変化可能な把手311を設けてこそ、ケース部材400の開口部401に該開口部401を横切る向きの補強桟402を設けることが可能になる。ちなみに、従来の装置ケースは、天部板から把手が出っ張っていてそれが障害になるため、ケース部材の開口部に補強桟を設ける余地がない。
なお、実施形態の把手311は、立てた使用状態と伏した不使用状態とに揺動して変化させる構造としたが、把手311を使用状態と不使用状態とに変化させ得る構造は、実施形態に限定されない。例えば図22に示したように、天板部305に2つのベルト通し314,314を切り起こし、該ベルト通し314,314に例えば合成樹脂や革製であって両端に抜け止め部315,315を設けてなる帯状の把手311を挿通し、図22の伏した不使用状態から中央を引き上げて指掛可能な使用状態に変化させる構造にするなど、指掛可能な使用状態と、天板部305に伏した不使用状態とに変化可能であれば、どのような構造であってもよい。
また、実施形態の装置ケース302の底部板304には図4,図11に示したようにフランジ状の下把手316が突設されており、該下把手316をつかんで装置ケース302を押し込み又は引っ張ることにより、ケース部材400への出し入れが行い易くなっている。
[5.ケース部材]
ケース部材400は、前記外本体100の仕切板105から上のスペースにほぼ合致する大きさであって、底板403と、該底板403の左右両横に立設した側板404,404と、底板403の後縁に立設した後面板405と、該後面板405と前記側板404,404の上面を覆う天板406とからなり、前面に開口部401を有する箱形である。
該ケース部材400は、底板403が金属製で、側板404,404、後面板405、天板406が合成樹脂製であり、側板404,404と天板406の開口部401内面に金属製の補強部材407,407,407が設けられ、さらに側板404,404の補強部材407,407の間に開口部401を横切る金属製の補強桟402が掛け渡されている。そして、この補強桟402を境にそれより下が前記図柄変動表示装置300の設置領域として、また、補強桟402より上の開口部401が前記画像表示体500の設置領域として、さらにまた、画像表示体500より後方のケース部材400で囲われた領域が配線作業空間408として割り当てられ、その配線作業空間408の後面板405の内壁面に、主たる制御基板であるメイン基板409が装着され、さらにメイン基板409以外の制御基板等(例えば演出制御基板510(図44参))も配線作業空間408内に装着されている。
ケース部材400の天板406には、図1に示したように天窓部443,443が形成されている。この天窓部443,443は、天板406の強度を保つための補強帯444を挟んで2つに分けられており、その夫々が前記外本体100の貫通孔132,132…を通る軸線との交点を含む領域にあり、該貫通孔132,132…より十分に広く開口している。もっとも天窓部443の前側の周縁は前側に位置する貫通孔132の近くに寄せられている。そうすることにより天窓部443の周縁を基準として手探りで貫通孔132が見つけ出せるから、たとえ天窓部443の中を作業者が覗き込めなくとも貫通孔132の位置が素早く簡単に割り出せる。ここで、天窓部443が本発明の開口部としても機能している。つまり、ケース部材400の上面に開口部として複数の天窓部443を備えることにより、軽量化を図ることができ、輸送時や交換時における作業者の負担を一層軽減することが可能になる。
ケース部材400の後面板405の外面には図2,図5,図6,図12に示したように複数のボス410,410が突設されており、該ボス410を外本体100の背板104にプレ加工したボス孔114,114に嵌めて位置決めされる。なお、このボス410,410は、図2,図5に示したように後述する配線窓411近くに設けられており、一方、外本体100側のボス孔114,114は前記配線中継部材113近くに設けられており、これによりケース部材400の配線窓411と背板104の配線中継部材113の位置決めが正確になる。
一方、ケース部材400の底板403の底面には、図2に示したように凹段部412が形成されており、該凹段部412が前記仕切板105の突段部106に嵌まり合う。凹段部412の後面板405側の端部には後方に向かって拡大する向きのテーパ部413が設けてあり、該テーパ部413に案内され仕切板105の突段部106とケース部材400の凹段部412との嵌め合わせが円滑に行える。このようにケース部材400の凹段部412と仕切板105の突段部106の嵌め合いによってケース部材400が仕切板105の奥に真っ直ぐに案内されるが、例えば図20に示したように仕切板105に凹溝形態のレール部材115を敷設又は一体にプレス成形し、一方、ケース部材400の底板403に車輪414を設置し、該車輪414をレール部材115の溝内で転がらせるようにしてもよい。或は、図21に示したように仕切板105に凸形態のレール部材116を敷設又は一体にプレス成形し、一方、ケース部材400の前記車輪414の両端に鍔415,415を形成し、該車輪414の鍔415,415でレール部材116を挟ませるようにしてもよい。
また、ケース部材400は、仕切板105上の所定の位置にセットした状態で、図1,図2,図18,図23に示した揺動レバー形態のストッパ117で止められている。このストッパ117は、図1,図2に示したように仕切板105の前端部と、天板103に垂設した2つの取付具118,118とに軸着されており、図18実線のようにケース部材400の一部に係合する作動姿勢と、図18想像線のようにケース部材400に係合しない非作動姿勢とを手動で切り替えてケース部材400の仕切板105上における前方向の動きを規制する。なお、ストッパ117を図19に示したように鍵形にしてケース部材400に設けた引掛部416に係合させるようにすれば、ケース部材400の仕切板105上における上方向の動きも規制することができる。
また、天板103の取付具118に軸着したストッパ117は、図23に示したようにケース部材400の側板404と天板406のコーナー部に貫設した係止孔442に臨む位置にあり、ケース部材400を所定の位置に押し込んだ状態でケース部材400の内側から作動姿勢と非作動姿勢の切り替えが行えるようになっている。
また、ケース部材400の後面板405には外本体100の背板104側に貫通する長孔形態の配線窓411が開設されている。該配線窓411は、図4,図5,図24に示したようにケース部材400に設置した図柄変動表示装置300の装置ケース302の上斜板309に対応し且つ前記メイン基板409の下側の位置にあり、上斜板309の上にある横長の空きスペース417(或は上斜板309とメイン基板409の間に形成される横長の三角スペース417と観念してもよい。)と背板104を結ぶ開口として機能する。
また、ケース部材400には図5,図12に示したように空きスペース417の高さのほぼ中間位置に棚板状の仮止め部材418(以下「仮止め棚」ともいう。)が設けられており、また、後面板405の外側であって配線窓411の両横にケース部材400の左右側面に抜ける配線通路たる凹み419,419が形成されている。
なお、前記配線窓411の配置を、図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cを基準に特定するならば、配線窓411は、図24に示したように図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cの回転中心を通る水平面HLと、リール301a,301b,301cの最高高さ位置を通る水平面HHとの間の範囲を下限とする状態、つまりその範囲内に下辺を置く高さに配置したものである、と言い換えることもできる。
[6.画像表示体]
画像表示体500は、例えば、少なくとも液晶ディスプレイ(他にもプラズマディスプレイや有機ELディスプレイ等でもよい。)で構成される画像表示可能なパネル形のユニットであり、ケース部材400の前面開口を開閉可能に閉鎖する前面開閉部材90(図44参照)としても機能している。なお、画像表示体500は、図11においてケース部材400の左側の側板404に設けた補強部材407にヒンジ金具420を取り付けて(取付位置は図11斜線部参照)、該ヒンジ金具420により回動自在に支持されている。
また、図44に示すように、画像表示体500の裏面側には、演出制御基板510が組付けられている。このため、液晶ディスプレイ等の画像表示体500と演出制御基板510とを一体的に構成することが可能になり、取扱いが容易になるとともに、両者を繋ぐ配線が省略でき、ケース部材400内における配線作業空間408の煩雑さを抑制できる。また、画像表示体500が開かれると、演出制御基板510がケース部材400内から飛び出すように出現するため、演出制御基板510に対する作業性を著しく向上させることができる。
[6−1.画像表示体−ヒンジ金具]
図36は、ヒンジ金具420の分解・組み立て斜視図である。なお、ヒンジ金具420は、上下が対称な構造であるため、主として上部について説明する。ヒンジ金具420は、前記ケース部材400の補強部材407に取り付く固定部材420aと、画像表示体500の裏側(図36の破線領域500s参照)に取り付く回動部材420bと、該回動部材420bと固定部材420aを連結する短リンク420c及び長リンク420dで構成される。
ヒンジ金具420の固定部材420aは、棚板形態である横向きの固定片420eを有し、該固定片420eの上面に長リンク420dの一端をピンP1で、また、固定片420eの下面に短リンク420cの一端をピンP2で回動自在に軸着する。一方、ヒンジ金具420の回動部材420bは、棚板形態である横向きの軸承片420fを有し、該軸承片420fの上面に長リンク420dの一端をピンP3で、また、軸承片420fの下面に短リンク420cの一端をピンP4で回動自在に軸着する。
こうして固定片420eと軸承片420fと長リンク420dと短リンク420c及びピンP1〜P4は、図37の線図に示したように四節回転連鎖を構成し、その連鎖の中でも特に、最短リンクである軸承片420fに向かい合う固定片420eを固定リンクとする、いわゆる両てこ機構を構成する。この両てこ機構は、図37(a)〜(c)に示したように、画像表示体500の回動軌道を、扉形前面部材200の回転軸100aを中心とする回動軌道に近似させるべく、それぞれのピン位置が設定されている。つまり、ヒンジ金具420が回転中心移動機構として機能しており、扉形前面部材200の回動位置が変化しても、扉形前面部材200の回動外縁側と画像表示体500の回動外縁側との距離が略一定になるようにしている。
なお、長リンク420dと短リンク420cは、画像表示体500がほぼ90度回動した(開いた)状態で上下に重なり合うように重合領域420g,420hが設定されており(例えば長リンク420dの重合領域420gを三角形に膨出させて短リンク420cの重合領域420hに重なるようにする。)、その重合領域420g,420hの夫々にピン孔420i,420jが形成されている。このピン孔420i,420jは、両者を同軸上に揃えて棒状の止めピン(図示せず)を差し込むことにより長リンク420dと短リンク420cを連結し、もって両てこ機構をロックして画像表示体500を開いた位置に固定するためのものである。
[6−2.画像表示体−ロック片]
図11,図12に示したように、ケース部材400の縦の補強部材407のうち前記ヒンジ金具420を設けた補強部材407の反対側の補強部材407(図11において向かって右側)にはロック片421が軸着されており、該ロック片421を図11の状態から時計回りに回動させるとその先端が画像表示体500の裏側に突設した受部508に係合し、この状態で画像表示体500がケース部材400の開口部401の上部を閉じた位置にロックされる。一方、前記ロック片421をロック状態から逆向きに回動させると画像表示体500のロックが解除され、ヒンジ金具420を中心に回動自在になる。通常、ケース部材400を外本体100に装着する前の状態では画像表示体500を閉じ位置にロックして無用な回動を防止し、一方、ケース部材400を外本体100に装着した状態では画像表示体500のロックを解除して回動自在とする。
[6−3.画像表示体−連結具]
ところで、外本体100の扉形前面部材200とは別に、ケース部材400に開閉可能な画像表示体500が設けられることから、ケース部材400内を視認したりケース部材400内で作業したりする場合には、まず手前側の扉形前面部材200を開放し、その後さらに奥側の画像表示体500を開放しなければならず、これにより作業性を低下させたり煩わしさを与えることが懸念される。
そこで、本例のスロットマシン1では、画像表示体500の回動方向を扉形前面部材200の回動方向と同方向にするとともに、扉形前面部材200と画像表示体500を適宜な連結具700で連結し、扉形前面部材200の開閉に連動して画像表示体500も一緒に開閉させるようにしてある。これによれば、扉形前面部材200を開放させると、連結具700を介して画像表示体500も同方向に回動し、ケース部材400の前面が開放される。つまり、画像表示体500が扉形前面部材200に連れ回ることとなり、一回の横開き操作によって外本体100内は勿論、ケース部材400の内部までも視認させることが可能になる。
ここで、前記のように実施形態の扉形前面部材200と画像表示体500とは、ヒンジ金具420の両てこ機構によって、画像表示体500の回動軌跡が扉形前面部材200の回転軸100aを回転中心とする回動軌跡に近似するようになっているものの、それでもなお両者の動きには相対的なずれが生じる。そこで、実施形態の連結具700は、図40及び図41に示したように、画像表示体500の自由端側の裏面に固定鞘部材701を形成し、該固定鞘部材701の内部に摺動自在な状態にロッド702を納め、そのロッド702の先端を扉形前面部材200の裏面(具体的には錠装置215のベース部材215a)に対し、止め軸703で回転可能な状態に連結してある。こうすることにより、図39のように、扉形前面部材200の開閉に連動して画像表示体500が扉形前面部材200の付属部品であるかのごとく一緒に開閉し、その際生じる両者の動きの相対的なずれを連結具700のロッド702が固定鞘部材701に出入りして吸収する。
なお、ロッド702が画像表示体500の回動外縁(自由端)から最も突出したときの最大突出長さは、画像表示体500が開放位置である場合(例えば90°開放された場合)の、扉形前面部材200の回動外縁(止め軸703の位置)と画像表示体500の回動外縁との距離に基づいて設定されている。このため、ロッド702の長さを必要最小限の長さとすることができ、連結具の大型化を抑制することが可能になる。
また、前記止め軸703は、錠装置215のベース部材215aの一部を曲げて形成した支持片215b,215b,215bに対し、上下動自在に装着されており、スプリング703aにより常時下向きに付勢されている。よって、この止め軸703は、スプリング703aの付勢に抗して上動させることが可能であり、上動させて下端を浮かせることによって前記連結具700のロッド702の着脱が可能である。すなわち、ロッド702の先端部分に形成された軸孔部702aに対し上方から止め軸703を挿入させ、スプリング703aの付勢力によって保持することが可能になっている。
また、図40において、符号704は連結具700の固定鞘部材701の上面に設けた弾性的な片持ち梁式のストッパであって、前記止め軸703から外したロッド702を固定鞘部材701の内部に納めて保持するためのものであり、ロッド702の上面に形成した溝705の端部の引掛壁702bに係合してロッド702の盲動を防止する。ロッド702には、その側面に摺動方向と直交する方向に摘み片706が突設されており、該摘み片706を摘んでロッド702を強制的に移動させることにより前記ストッパ704のロックが外れるようになっている。また、固定鞘部材701の先端側底面には、抜止め防止片701aが垂下され、ロッド702の溝705内に挿入されている。この抜止め防止片701aは、ロッド702が最も突出した際に引掛壁702bと当接し、ロッド702が固定鞘部材701から抜け出ることを阻止するものである。
また、図40において、連結具700の近傍にある符号509は、画像表示体500の回動外縁側の裏面に突設した係合部である。該係合部509は、ケース部材400の開口部401を横切る補強桟402に係合して、閉じ位置にある画像表示体500の自由端側の荷重を支えるものである。なお、図11に示したように、補強桟402には、前記係合部509を補強桟402の上面に円滑に導くべく、画像表示体500に向かって下り傾斜する滑り台式の案内部402aが設けてある。また、画像表示体500の係合部509は、画像表示体500とは別の潤滑性に優れた合成樹脂で形成されており、画像表示体500に対し着脱自在(交換自在)に装着されている。
ところで、扉形前面部材200と画像表示体500の回動軌跡の相違に起因する動きの相対的なずれは、上記のような伸縮自在なロッド形式の連結具700の他、柔軟なワイヤーにしても吸収することができる。但し、連結具が柔軟なワイヤー等であると、扉形前面部材200を閉じる段階で扉形前面部材200が開いたまま停止している画像表示体500にぶつかることになって、円滑さを損なうおそれがある。これに対し、例えば画像表示体500に巻バネなどの付勢手段を設けて常時閉じ方向に付勢するようにすればよい。そうすることにより扉形前面部材200の閉じ動作に際し、画像表示体500が上記付勢力の作用で連結具を引っ張りつつ自力で閉じるから、扉形前面部材200と画像表示体500がぶつからない。もちろん扉形前面部材200と画像表示体500の連れ回りのための手段は上記に限定されない。例えば、上記において連れ回りのための一要素たるヒンジ金具420は、上記のような両てこ機構の構造に限定されず、図41,図42に示したような、単独のピン420kを中心にして画像表示体500を回動させる単純なものであってもよい。
ケース部材400に対する画像表示体500の取着手段をヒンジ構造にして該画像表示体500を扉状に回動させ得る構成に、上記のように画像表示体500を閉じ位置にロックするロック手段(上記のロック片421)を付加した場合には、ケース部材400を外本体100に装着した状態で原則ロックを継続させ、配線作業空間408内のチェック等、必要な時にのみロックを解除する、という取り扱いを選択することも可能であり、その場合には画像表示体500によって配線作業空間408内の重要部品(例えばメイン基板409や演出制御基板510)がブロックできるから、防犯性能の向上に効果がある。
ケース部材400の開口部401上縁と閉じた画像表示体500の上縁との前後間には隙間10が設けられており、該隙間10に通した指で天板406の前記補強部材407が掴めるようになっている。また、ケース部材400の天板406の前方中央部分(天窓部443,443の間の補強帯444)には把手口422が形成されており、該把手口422に通した指で天板406の補強部材407が掴めるようになっている。従ってケース部材400は、取り扱う場所や姿勢に応じて該把手口422と前記隙間10との適宜な使い分けが可能である。例えば、ケース部材400を外本体100に組み込む前の搬送時には把手口422を使って鞄形態に持ち運ぶ方がバランスがよく、一方、ケース部材400を外本体100に装着した状態では、図4に示したように把手口422が外本体100の奥に隠れて指が入らないため、前記隙間10から補強部材407に指を掛けてケース部材400を引っ張り出す、という具合である。なお、ケース部材400の底板403の正面中央には前記した装置ケース302の下把手316(図4,図11参照)が突出しており、該下把手316を持って押し込み又は引っ張ることで外本体100へのケース部材400の出し入れが容易に行える。この場合の下把手316は、装置ケース302がケース部材400にビスで固着されていることよりケース部材400と一体であり、従ってケース部材400の底板403の正面に下把手316が突設されているに等しい。
[6−4.画像表示体−枠部材]
画像表示体500は、ケース部材400の開口部401の前記補強桟402から上の領域のほぼ全部を覆う大きさである。また、画像表示体500の下側には、ケース部材400の開口部401の前記補強桟402から下の領域、つまり図柄変動表示装置300の前方領域を額縁状に囲う枠部材501が一体に垂設されており、該枠部材501により前記図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cが縁取られる。この枠部材501の表面は装飾面になっており、適宜な模様等が描かれている。なお、図示しないが、枠部材501にはLED等の発光源と、その発光源を制御する発光制御基板と、発光源の前方に配置され光を透過可能な装飾部材とから構成された電飾部が設けられている。ここで、画像表示体500と枠部材501とを組合せたものを、以下、前面開閉部材90(図44参照)として説明する。
[6−4−1.画像表示体−枠部材−照明装置]
前記枠部材501の裏側上下には照明装置502が設けられており、該照明装置502によって図柄変動表示装置300の図柄が明るく照らされる。枠部材501は画像表示体500の下に垂設されていて図柄変動表示装置300に近いから、そのような枠部材501に照明装置502を組み込むことで光源を図柄変動表示装置300に近づけることができる。従って枠部材501に照明装置502を組み込む手段は、従来の照明装置に比べて低光量でも十分な明るさが確保できる、という特徴がある。
実施形態として例示した照明装置502は、図4に示したように、図の紙面と直交する方向(スロットマシン1の幅方向であってリール301a…の回転軸と同方向)に細長い帯状の基板503に多数の発光ダイオード(以下LEDという。)504を並べたものであり、下側の照明装置502は、上面を例えば乳白色の透光性蓋板505で塞いだチューブ枠506の中にLED504を上向きにして配置し、一方、上側の照明装置502は、断面上向きコ字状の例えば乳白色である透光性カバー507内にLED504を下向きにして配置してなる。
なお、上側の照明装置502は、照明方向を図4に示したように真下より遊技者側、すなわち透明板214a側に向かう斜め下向きに設置してある。実施形態では比較的強い指向性を持ったLED504の主たる照射領域の中心線L(図4拡大図参照)を透明板214aに対し斜めに向かわせるべく、基板503のLED取付面の向きが、前記透明板214a側に向けて斜め下向きに傾けられている。
また、もし照明装置502の光源として蛍光灯のような棒状発光体を採用した場合には、図4の基板503を板状又は光源を包むような凹面状の反射部材に変更し、直射光と反射光の総和により方向付けられる主たる照射領域の中心線が、透明板214a側の裏面に斜めに当たるように設定すればよい。以上のように照明装置502の照射照準を透明板214aに設定すれば、漏れた一部の光がリール301a,301b,301cの外周面を照らしても殆ど影響はない。
実験によれば、照明装置502の照明方向をリール301a,301b,301cの周面側に向けた場合には、湾曲するリール301a,301b,301cの特定部分が強く反射して見辛くなるのに対し、上記のように主たる照射領域の中心線Lを透明板214aに対し斜めに向かわせた場合には、透明板214aを介してリール外周面が照らされることにより、リール301a,301b,301cの広い範囲が明るく見え易くなることが確認できた。その理由として、照明装置502から照射した光が扉形前面部材200の透視窓214に嵌めた透明板214aに当たって反射し全体に拡散するか、或は透明板214aが明るく照らされることでリール301a,301b,301cの広い範囲が明るく見えるか、或はそれらの相乗作用によるものと推測される。
以上のような上側の照明装置502の構造は、下側の照明装置502にも採用することができ、もちろん図32に示したように下側の照明装置502にのみ採用することもできる。なお、図32は図4の上側の照明装置502を下側に配置し、下側の照明装置502を上側に配置したものであるため、上記照明装置502の説明の「上」を「下」に読み替え、「下」を「上」に読み替えればよい。
ところで照明装置502の光源として実施形態のようにLEDを採用した場合には、(a)低電圧で駆動するため約200Vの高電圧で駆動する従来の冷陰極管より安全性が高い、(b)冷陰極管より寿命が長い、(c)ガラス管である冷陰極管より丈夫である、(d)多色発光が可能であるため演出の幅を広げることができる、(e)インバータと組合せて使用する冷陰極管より軽く、従って画像表示体500を支えるヒンジ金具420の負担が少ない、というメリットがある。
[7.配線手段]
前記外本体100に取り付けられている例えばメダル放出装置110や電源装置112及び扉形前面部材200の操作部202にある例えば各投入ボタン205,206や始動レバー210(以下、これらの総称として単に「本体側電気部品」という場合もある。)と、ケース部材400にある例えばメイン基板409等(ケース部材側の電気部品の総称として単に「ケース部材側電気部品」という場合もある。)とは電気的に接続されている。そして、実施形態のスロットマシン1は、前面開閉部材90とケース部材400とからなる機種ユニット50(図44及び図45参照)が外本体100に対し着脱自在であるため、機種ユニット50の交換等に際して本体側電気部品(筐体側電気部品)とケース部材側電気部品とを簡単に接続又は切り離すための合理的な配線手段が設けられている。
[7−1.配線手段−配線中継部材]
前記のように外本体100の背板104の内面上部には、図14に示した配線中継部材113が取り付けられている。該配線中継部材113は図4,図5に示したように、前記ケース部材400の配線窓411に対応する位置にあって該配線窓411からケース部材400の空きスペース417に臨むようになっている。配線中継部材113は、前記本体側電気部品につながる本体側配線類119と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類423とを中継するものであって、外本体100の背板104にビス止めされる取付板120と、該取付板120の前面に被さるカバー体121と、該カバー体121と前記取付板120の間に納められる複数(実施形態では大小2枚)のコネクタ基板(以下「コネクタ接続用端子基板」という場合もある。)122,123とからなる。
前記2枚のコネクタ基板122,123のうち、図14,図15において左側に位置する大きい方のコネクタ基板122は取付板120に対して固定的に取り付けられており、前記メイン基板409につながっているハーネス424の先端のコネクタ425と対をなすコネクタ124が設けられている。
一方、図14,図15において右側に位置する小さい方のコネクタ基板123は、取付板120とカバー体121の間の隙間に非固定的な遊動可能状態に取り付けられており、従って図15拡大図に示したように上下方向に移動可能であり、また、左右方向にも移動し得る。この小さいコネクタ基板123には、メイン基板409以外のケース部材側電気部品につながっているハーネス426の先端のコネクタ427と対をなすコネクタ125が設けられている。なお、該コネクタ125と前記コネクタ124は、プリント基板にハンダ付け等の固着手段で固着する基板固着型であり、安価なDIN規格のものが使われている。
また、取付板120の前面に被さるカバー体121は、前記コネクタ124,125が通る大小2つの開口126,127と、該開口126,127と横並びの位置に突設した支持筒128と、下半部前方に張り出すトンネル状の配線ダクト129と、を有する。
配線中継部材113に接続する本体側配線類119は、前記配線ダクト129の内部を通るか、または配線中継部材113の取付板120の下側前面に突設したフック形状の配線止め130に束ねられた状態で、図1一点鎖線Lに示したように外本体100の側板102,102側に振り分けられ、該側板102,102と背板104のコーナー付近でほぼ垂直に向きを変え、その多くは仕切板105の奥に設けた配線用の開口109を通って本体側電気部品に夫々接続される。もちろん仕切板105より上の領域に本体側電気部品(例えば図1において側板102の内面に設けた外部中継端子板131)がある場合には、仕切板105の配線用の開口109とは無関係にそのまま接続される。
ここまでで説明した配線手段から、次のような技術的思想が把握できる。
(a)ケース部材400の後面板405に、図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cの回転中心を通る水平面とリール301a,301b,301cの最高高さ位置を通る水平面との間に自己の下辺が位置する高さにして配線窓411を形成する。
(b)外本体100の背板104に、本体側電気部品につながる本体側配線類119と、ケース部材側電気部品につながるケース側配線類423とを中継する配線中継部材113を設置する。
(c)外本体100の側板102,102の内面沿いに配線を通す上下方向の配線経路を形成する。
(d)配線中継部材113につながる本体側配線類119をケース部材400の側方に導き、そこから前記配線経路を通って本体側電気部品に接続する。
以上(a)〜(d)の構成要素を備えた遊技機は、図柄変動表示装置300のリール301a,301b,301cの後ろを本体側配線類119が通らず、外本体100の側板102,102沿い(背板104とのコーナーを含む(図10参照)。)に設けた配線経路を迂回するため、リール301a,301b,301cを外本体100の背板104近くにまで寄せることが可能になり、従来の構成、すなわち、本体側配線類119が背板104のほぼ中央を下ってリール301a,301b,301cの後ろを通っていた従来の構成に比べて、リール301a,301b,301cの径を大きくすることができる。なお、リール301a,301b,301cの径は大きい方が、回転時の迫力が増す。
[7−2.配線手段−コネクタ425,427]
上記のように配線中継部材113に設けられている2つのコネクタ124,125には、ケース部材400のメイン基板409につながっているハーネス424の先のコネクタ425と、メイン基板409以外のケース部材側電気部品につながっているハーネス426の先のコネクタ427がそれぞれ接続されている。
この2つのコネクタ425,427は、図16に示したように1つのコネクタホルダー428に一体に取り付けられている。該コネクタホルダー428は、コネクタ425,427がビス止めされるホルダー主体429と、ほぼ中央に透孔430を有し前記ホルダー主体429の両横に突設した板状の取着片431と、該取着片431の透孔430に装着した周知のボタン形パネルファスナー432(商品名「ナイラッチ」:登録商標)と、からなり、図5,図8(a)に示したように配線中継部材113の前記支持筒128の先に取着片431を当て、該取着片431のボタン形パネルファスナー432を支持筒128に差し込んでロックしてある。従ってコネクタホルダー428が固定手段たる支持筒128に固定され、ひいては配線中継部材113に固定されるため、コネクタ425,427とコネクタ124,125の結合が外れない。
[7−2−1.配線中継基板−コネクタ425,427−仮止め棚]
上記のようにコネクタ425,427は配線中継部材113のコネクタ124,125に接続されているが、ケース部材400が外本体100に組み込まれる前、つまり工場出荷から設置完了までの間、コネクタ425,427は、ケース部材400に設けた仮止め棚418に仮止めされている。
前記仮止め棚418は、図5,図6,図12,図13に示したようにケース部材400の内側から前記配線窓411に向かわせた棚板状の部材であり、図6に示したようにコネクタホルダー428を載置するほぼ水平なベンチ部433と、そのベンチ部433の両端に立設したベンチ側板434と、各ベンチ側板434に突設した3本の内向き爪片435,435,435とを有する。この内向き爪片435,435,435の中央の1本と他の上下の2本との間にはコネクタホルダー428の取着片431が嵌まり得る間隔が設けてある。なお、一方のベンチ側板434は、先端に指掛部436を延設した薄板構造であって、指掛部436に指を掛け図8(b)矢示X方向に力を加えることにより一端支持の板バネのごとく外向きに反らせ得るようになっており、その反らせた状態で内向き爪片435,435,435からコネクタホルダー428の取着片431が簡単に外れるようになっている。図8(a)の想像線は指掛部436の先を鍵形に折り曲げた例を示したものであり、こうすることにより矢示Yのようにボタンを押す感覚でコネクタホルダー428の取外しが楽に行える。
しかして、図6に示したように前記仮止め棚418のベンチ部433にコネクタホルダー428を載置し、該コネクタホルダー428の取着片431をベンチ側板434の内向き爪片435,435,435の間に嵌めることによってコネクタホルダー428が仮止め棚418に仮止めされる。もちろん仮止めと言っても、ケース部材400の輸送中にコネクタホルダー428が仮止め棚418から外れない強度を有する設定になっており、従ってケース部材400が外本体100に組み込まれる前までは、コネクタホルダー428と一体のコネクタ425,427はケース部材400に設けた仮止め棚418に仮止めされて動かない。よってケース部材400を輸送したり、ケース部材400を外本体100に組み込む作業の最中に、ハーネス424,426の先にあるコネクタ425,427が、ケース部材400内の部品に当たってその部品はもちろん、自らも損傷する、というようなおそれがない。
そして、図8(b)→図8(a)に示したように、ケース部材400を外本体100に固定した後の配線工程で、上記のように一方のベンチ側板434を外向きに反らせてコネクタホルダー428を仮止め棚418から外し、そのコネクタホルダー428を自己の取着片431が配線中継部材113の支持筒128に当たる位置まで移動させれば、コネクタ425,427が配線中継部材113のコネクタ124,125に嵌まるから(その詳細は後述する。)、その状態で取着片431のボタン形パネルファスナー432を押し込んで取着片431を支持筒128にロックする。なお、このとき図5,図6に二点鎖線で示したように、ベンチ部433にガイド用の案内レール440を設けておけば、コネクタホルダー428を奥に押し込むだけでよいため、作業性が向上する。
以上のようにして配線中継部材113に取り付けたコネクタホルダー428は、外本体100の背板104を支持基盤として安定し、ケース部材から離間していて接触しないため、輸送時の振動等で外本体100と機種ユニット50が相対的に動いても無理な負荷が加わらない。
ここまでの説明から、次のような技術的思想が把握できる。
(a)前面が開口し背面を背板で覆った箱形であって電源装置その他の本体側電気部品を備えた外本体と、
(b)前記外本体に対し着脱自在なケース部材に複数の図柄を変動させる図柄変動表示装置その他のケース部材側電気部品を設けた機種ユニットと、
(c)前記本体側電気部品につながる本体側配線類と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類とを中継すべく前記外本体の背板に取り付けた配線中継部材と、
(d)前記ケース側配線類の先端に取り付けたコネクタと、
(e)該コネクタに取り付けたコネクタホルダーと、
(f)該コネクタホルダーを仮止めするためケース部材に設けた仮止め部材と、
(g)前記コネクタホルダーを前記配線中継部材に固定するための固定手段と、を有し、(h)機種ユニットを外本体に装着する前の状態で前記コネクタホルダーを仮止め部材に仮止めし、機種ユニットを外本体に装着した状態で前記コネクタホルダーを仮止め部材から固定手段に付け替えてコネクタホルダーのコネクタを配線中継部材に接続するようにしたことを特徴とする
(i)遊技機。
上記の遊技機は、機種ユニット50の外本体100への装着とコネクタ同士の結合とを別々に行うようにしたものであるが、これとは対照的に、例えば機種ユニット50に直接コネクタを取り付け、機種ユニット50を外本体100に押し込む動作で自動的にコネクタ同士を結合させる、という方式が考えられる。しかしこの方式は、質量の大きな機種ユニット50が輸送中などに外本体100の内部で振動した場合、大きな負担がコネクタ結合部に掛かるため信頼性に不安があり、その対策にコストが掛かる課題がある。
また、本発明の遊技機は、外本体100に1枚の扉形前面部材200を取り付け、該扉形前面部材200に対して機種ユニット50を物理的に独立させた構成であるが、これとは対照的に、扉形前面部材を上下2段に分割し、上部の扉形前面部材を機種ユニット50側の部品とする遊技機も考えられる。しかし、このような遊技機では、遊技中に興奮した遊技者が上部の扉形前面部材を叩いた場合にコネクタ結合部に直接衝撃が加わるためコネクタの結合が不安定になるおそれがあり、さらに上下の扉形前面部材同士の継ぎ目に対し新たな防犯構造を要する課題がある。
これに対し本発明の遊技機は、外本体100に1枚の扉形前面部材200を取り付け、該扉形前面部材200に対して機種ユニット50を物理的に独立させた構成であり、さらに、コネクタホルダー428を配線中継部材113に接続した後、該コネクタホルダー428は、図5に示したように外本体100に固定した部品(配線中継部材113)と結合し機種ユニット50から離間した独立構造になっているため、プリント基板にハンダ付けして用いる低コストで一般的なコネクタを使用した場合でも、輸送中においても、遊技中においても信頼性・耐久性に不安がない。また、機種ユニット50のみが機種変更時の交換対象であり、扉形前面部材200は交換対象とならないため、機種変更のための遊技場の負担も軽くなる。
[7−2−2.コネクタ425,427とコネクタ124,125の結合]
前記のようにコネクタ425とコネクタ427は、1つのコネクタホルダー428に取り付けられている。こうすることによりコネクタホルダー428を配線中継部材113の所定の位置にセットする1回の動作で2つのコネクタ425,427の接続が完了する。しかし現実の問題として、2つのコネクタ425,427とコネクタホルダー428という独立した要素を寄せ集めて一体にする構造では、コネクタ425,427とコネクタ124,125の「正確な位置決め」という困難な問題に直面する。すなわち2つのコネクタ425,427と配線中継部材113側のコネクタ124,125の4要素の位置決めが全て正確でなければ、コネクタ425,124とコネクタ427,125の一括結合は不可能であるのに、そのような位置決めの精度を量産品レベルのコストで達成するのは困難だからである。そのような問題を解決する1つの手段として、プリント基板にハンダ付けすることなく結合時の融通性を高める機構を施したいわゆるドロワーコネクタを使用する方法が考えられるが、ドロワーコネクタ自体が高価であるため、まだコスト面の負担が大きい。
これに対し実施形態の配線手段では、基板支持部材たる配線中継部材113のコネクタ基板122,123を分割してそれぞれにコネクタ124,125を装着し、そのコネクタ基板122,123の少なくとも一方を、配線中継部材113の取付板120とカバー体121の間の隙間に非固定的に納めてコネクタ427とコネクタ125の結合方向と直交する方向(ここでの「直交」は、厳密な90度にこだわらず、社会通念上のほぼ90度という程度の意味である。)に遊動可能状態にする手段を講じている。かかる構成においてコネクタホルダー428の結合照準をコネクタ425とコネクタ124に定めた場合、もう一方のコネクタ427とコネクタ125の相対位置に若干の狂いがあっても、コネクタ基板123が遊動してその狂いを矯正すべく移動するから、コネクタ427とコネクタ125の結合も可能になる。これにより基板固着型で安価なDIN規格のコネクタで十分に対応できる。
ここまでの説明から、次のような技術的思想が把握できる。
(1)「2以上の配線用のコネクタと、その各コネクタと対をなす2以上の配線用のコネクタとを有する遊技機において、一方のコネクタグループを1つのコネクタホルダーに固着すると共にこれらと対をなす他のコネクタグループをコネクタ基板に装着し、さらにそのコネクタ基板をコネクタ毎に分割してその1つを基板支持部材に固定すると共に他のコネクタ基板を基板支持部材に対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
(2)「前面が開口し背面を背板で覆った箱形であって電源装置その他の本体側電気部品を備えた外本体と、 前記外本体に対し着脱自在なケース部材に複数の図柄を変動させる図柄変動表示装置その他のケース部材側電気部品を設けた機種ユニットと、前記本体側電気部品につながる本体側配線類と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類とを中継すべく前記外本体の背板に取り付けた配線中継部材と、前記ケース側配線類の先端に取り付けた2系統以上のコネクタと、該2系統以上のコネクタをコネクタグループとして一括支持するコネクタホルダーと、該コネクタホルダーを前記配線中継部材に固定するための固定手段と、前記2系統以上のコネクタグループの各コネクタと対をなしプリント基板に固着して使用する基板固着型のコネクタによる他のコネクタグループと、前記背板に取り付けた配線中継部材に取り付けられ、前記他のコネクタグループのコネクタを固着してなるコネクタ接続用端子基板と、を有し、該コネクタ接続用端子基板をコネクタ毎に分割してその1つを前記配線中継部材に固定すると共に他のコネクタ接続用端子基板を配線中継部材に対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。
(3)「2以上の配線用のコネクタと、その各コネクタと対をなす2以上の配線用のコネクタとを有する遊技機において、一方のコネクタグループをコネクタ基板を介して基板支持部材に固着すると共にこれらと対をなす他のコネクタグループを1つのコネクタホルダーに装着し、さらにそのコネクタホルダーに対しコネクタグループの中の1つのコネクタを固定すると共に他のコネクタをコネクタホルダーに対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
(4)「前面が開口し背面を背板で覆った箱形であって電源装置その他の本体側電気部品を備えた外本体と、前記外本体に対し着脱自在なケース部材に複数の図柄を変動させる図柄変動表示装置その他のケース部材側電気部品を設けた機種ユニットと、前記本体側電気部品につながる本体側配線類と、前記ケース部材側電気部品につながるケース側配線類とを中継すべく前記外本体の背板に取り付けた配線中継部材と、前記ケース側配線類の先端に取り付けた2系統以上のコネクタと、該2系統以上のコネクタをコネクタグループとして一括支持するコネクタホルダーと、該コネクタホルダーを前記配線中継部材に固定するための固定手段と、前記2系統以上のコネクタグループの各コネクタと対をなしプリント基板に固着して使用する基板固着型のコネクタによる他のコネクタグループと、前記背板に取り付けた配線中継部材に取り付けられ、前記他のコネクタグループのコネクタを固着してなるコネクタ接続用端子基板と、を有し、
前記コネクタホルダーに対しコネクタグループの中の1つのコネクタを固定すると共に他のコネクタをコネクタホルダーに対しコネクタの結合方向と直交する方向に遊動可能な状態に取り付けるようにしたことを特徴とする遊技機。」
以上の遊技機は、固定したコネクタ接続用端子基板のコネクタに照準を合わせてコネクタホルダーを操作するようにすれば、他のコネクタ同士の相対位置に製造誤差等で若干の狂いがあっても、非固定のコネクタ接続用端子基板がコネクタごと遊動してその狂いを矯正すべく移動し誤差を吸収するから、結合照準でないコネクタ同士の結合も可能になる。従って1つのコネクタホルダーを用いて複数系統のコネクタの一括接続が可能である。しかも使用しているコネクタは、プリント基板にハンダ付けして用いるような汎用的で安価な例えばDIN規格のものであり、コストも安い。
また、コネクタホルダーは、ナイラッチ(登録商標)等の固定手段で配線中継部材、ひいては該配線中継部材を介して外本体の背板に確実に固定される。一方、コネクタホルダーと機種ユニットの間では、フレキシブルなハーネスを介してつながっているのみであり、機種ユニットが動いたとしても、その動きはフレキシブルなハーネスが吸収するので、コネクタホルダーに動きは伝わらない。このため、たとえ輸送中の振動により外本体と機種ユニットの間に相対的な動きが生じても、コネクタホルダーは、外本体のみと一緒に動き、機種ユニットの干渉を受けないから、コネクタの結合部には全く負荷が掛からない。よってコネクタ結合の信頼性が非常に高い。
なお、実施形態のように、小さいコネクタ125に対応する小さいコネクタ基板123を遊動可能とし、大きいコネクタ425,コネクタ124同士を結合の基準に定める構成は、その逆の構成に比べてコネクタ425,124,427,125の結合が楽に行える。小さいコネクタ基板123の方が軽い力で扱えるため、狂いの自動矯正が容易だからである。また、実施形態では、図9のようにコネクタ425,124の方がもう一方のコネクタ427,125より先に結合するようになっており、そうすることにより結合照準のコネクタ同士が合わせやすい。
また、図9に拡大して示したように凸形のコネクタ425,427の凸部先端の周縁角部及び/又は凹形のコネクタ124,125の差込口の周縁角部に面取り部C(直線的な面取り、曲線的な面取りのいずれも可)を形成しておけば、面取り部Cのテーパに沿った誘導作用が、コネクタ同士の結合性をより良好にする。
また、実施形態のように、配線中継部材113のコネクタ基板122,123を遊動可能にする構成の他、コネクタホルダー428側のコネクタ425,427の何れか一方を遊動可能にすることも可能であり、その場合も上記と同様の作用効果が得られる。なお、かかるコネクタホルダー428の具体例を図17に示した。この例では、コネクタホルダー428のホルダー主体429に雌ねじ付きの受筒429aを突設し、一方、コネクタ427の両横に遊孔427aを有する耳片427bを形成し、コネクタホルダー428の受筒429aにコネクタ427の遊孔427aを遊嵌させ、座金付きのビス427cをもって耳片427bの抜け止めとしている。そうすることによりコネクタ427は、コネクタホルダー428に対し、遊孔427aと受筒429aの径の差の範囲で自由に遊動し得る。この場合のコネクタ基板122,123は、一体にして取付板120に固定すればよい。また、実施形態では2つのコネクタを1つのコネクタグループとして取り扱ったが、1つのコネクタグループのコネクタ数は2以上でもよい。
また、実施形態では図4,図12に示したように、ケース部材400の後面板405の裏側であって、前記図柄変動表示装置300の装置ケース302の下斜板310に向けて凹ませたケーブル溝437が形成され、該ケーブル溝437の両端近傍にケース部材400の側板404(又は後面板405)を貫く配線口438,438が開設されている。この配線口438,438とケーブル溝437は、図柄変動表示装置300とメイン基板409等とを接続するためのものであり、図11において図柄変動表示装置300の装置ケース302の向かって右側面(扉形前面部材200の非ヒンジ側の側面)に設けたリール基板312のケーブル313(図12参照)を1つの配線口438からケース部材400の外に引き出し、そのケーブル313を図12のようにケーブル溝437に納め、さらにそのケーブル313の先を他の配線口438からケース部材400の中に戻してメイン基板409等につなぐようにしてある。なお、ケーブル溝437には所定の間隔でケーブル止め439が設けられていて、ケーブル溝437からケーブル313が脱落しないようになっている。
しかしてメイン基板409等とリール基板312は、共にケース部材400の中にあるケース部材側電気部品であり、本来、ケース部材400の外にケーブル313を引き出す要はない。それを敢えてケース部材400に配線口438,438とケーブル溝437を設けてケーブル313を外伝いに迂回させるようにした理由は次のとおりである。
リール基板312の設置場所は、限られたスペースの中でコネクタを抜き差しする配線の作業性を考慮すると、図柄変動表示装置300(装置ケース302)の側面のうち扉形前面部材200の非ヒンジ側に相当する側が好ましい。もし逆に、扉形前面部材200のヒンジ側に相当する装置ケース302の側面にリール基板312を設けると、開ききった扉形前面部材200(図1参照。)とリール基板312が近接位置で向かい合うため、コネクタの抜き差しに必要な広い作業空間が確保できないからである。
しかし一方、リール基板312の接続対象たる基板類(メイン基板409,演出制御基板510,画像表示体500等)の接続部がケース部材400の扉形前面部材200のヒンジ側に相当する側にあると、ケーブル313がケース部材400の内部を横切る格好になる。そうすると前記装置ケース302をケース部材400に装着する際にケーブル313を噛み込んだり、逆に装置ケース302を引き出す際にケーブル313を引っ掛けるおそれがある。
これに対し実施形態のように、ケース部材400に配線口438,438とケーブル溝437を設けてケーブル313を外伝いに迂回させるようにすれば、上記したようなケーブル313のトラブルは生じない。また、配線作業は、装置ケース302を所定の位置から若干引き出した状態で行う方が作業性がよく、それに伴って配線口438からリール基板312までのケーブル313の長さは、配線代とでも言うべき余裕が設けられている。従って装置ケース302を所定の位置にセットした状態でケーブル313に弛みが生じ、引き出し量によってはケーブル313の弛みが大きくなる。そのようなケーブル313の弛みが大きい場合には、配線口438と横並びの位置にある、装置ケース302の下斜板310とケース部材400の奥のコーナー部分との間に出来る三角スペースにケーブル313の弛んだ部分を逃がすことができる。
また、実施形態のようにケーブル溝437を装置ケース302の下斜板310に向かわせて膨らませるようにした場合には、ケース部材400の奥と装置ケース302の下斜板310との間にできるデッドスペースの有効活用に役立つ。なお、配線口438,438とケーブル溝437を使った配線は、リール基板312のケーブル313に限定する必要はなく、ケース部材400の内部を横切るケーブル全てに適用できる。
その他、図11中、符号441は機能分離中継端子板である。
以上のように構成されるスロットマシン1は、ケース部材400を外本体100に装着し、必要な配線を完了した完成品の状態で工場から出荷される。そして、その完成品のまま遊技場の遊技機設置島に取り付けられるが、このとき図25想像線のように、外本体100の天板103と遊技機設置島の上桟600とを木ねじ等の固定部材601で止める場合は、扉形前面部材200と画像表示体500を開放し、外本体100の貫通孔132に対しケース部材400の内側から天窓部443越しに固定部材601を挿通させ、さらにドライバー等の工具602で天窓部443越しに固定部材601を締め付けて外本体100の天板103と遊技機設置島の上桟600とを固定的に連結する。なお、貫通孔132は複数設けられているため、必要に応じてその中から任意に選択して使用することができる。例えば、上桟600の位置やサイズにばらつきがあってもその上桟600に対応する貫通孔132を選択することができる。また、遊技機をまるごと入れ替える場合に、使用する貫通孔132を変更すれば、上桟600の同じ位置に固定部材601の穴が開く弊害(いわゆる、ばか穴化)が防止できる。
ところで、図25に示したように外本体100とケース部材400の間には隙間Sが形成されており、画像表示体500等から発生した熱が画像表示体500の冷却ファン(図示せず)で煽られ、ケース部材400の天窓部443から前記隙間Sを通って背板104の通気口133に至り、そこから遊技機設置島の内部に抜ける。このとき背板104とケース部材400の間に配線中継部材113がありこれが障壁のごとく作用して前記隙間Sを広範囲に塞ぐから、隙間Sを流れる熱気がこの部分で遮られ、配線中継部材113より上方にある背板104の通気口133から積極的に外部に放出される。従って放熱効果が高い。
[8.各リールの図柄、図柄列]
各リール301a,301b,301cには、図46に示すように、複数種類の図柄が一定間隔に配置されることで構成された図柄列(配列番号0番から20番までで示した合計21個の図柄)が表記されたリール帯(図柄帯)が付されている。図46では、各リール301a,301b,301cに付されたそれぞれのリール帯321a,321b,321cに表記された図柄列を平面的に展開した状態を示す。なお、図柄列中に配置された図柄を識別するために上記配列番号を便宜的に記している。また、図46では、リール帯321aが付されるリール301aを左リール、リール帯321bが付されるリール301bを中リール、リール帯321cが付されるリール301cを右リールとして示しており、以下の説明でも、必要に応じて左リール301a、中リール301b、右リール301cと表記する。
そして、各リール301a,301b,301cは、各々の図柄列中に配置された図柄のうち、連続する所定数(例えば、3つ)の図柄が開口部401(図柄表示窓ともいう、以下では図柄表示窓401として統一する)を介して視認可能となるように配置されている(次に説明する図47参照)。
また、図柄の種類は、図46に示すように、「赤で塗りつぶされている「7」図柄(以下「赤7図柄」という)」、「青で塗りつぶされている「7」図柄(以下「青7図柄」という)」、「BAR図柄」、「チェリーの図柄が施された「チェリー図柄」」、「スイカの図柄が施された「スイカ図柄」」、「リプレイ図柄」、「ベルの図柄が施された「ベル図柄」」、「「義」と記載された図柄(以下では「義図柄」という)」、「「正」と記載された図柄(以下では「正図柄」という)」がある。なお、ベル図柄は、ベルのなかに描かれた星の数によって、1個の星が描かれた「ベル1図柄」と2個の星が描かれた「ベル2図柄」とに分けることができる。
図46において、「赤7図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号3番・6番の2つ、リール帯321bにおいては配列番号12番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号10番の1つが相当する。「青7図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号16番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号3番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号15番の1つが相当する。「BAR図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号11番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号6・9番の2つ、リール帯321cにおいては配列番号2番の1つが相当する。「チェリー図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号10番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号1番・14番・17番の3つ、リール帯321cにおいては配列番号7番・14番の2つが相当する。「リプレイ図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号1番・4番・7番・12番・17番の5つ、リール帯321bにおいては配列番号0番・5番・8番・11番・16番・の5つ、リール帯321cにおいては配列番号1番・5番・8番・13番・17番の5つが相当する。「ベル1図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号13番・15番・18番の3つ、リール帯321bにおいては配列番号2番・7番・10番・15番・18番の5つ、リール帯321cにおいては配列番号9番・12番・16番の3つが相当する。ベル2図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号2番・5番・8番の3つ、リール帯321cにおいては配列番号0番・4番の2つが相当する。「スイカ図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号9番・14番・19番の3つ、リール帯321bにおいては配列番号4番・13番の2つ、リール帯321cにおいては配列番号3番・6番・11番・20番の4つが相当する。「義図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号20番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号19番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号18番の1つが相当する。「正図柄」は、リール帯321aにおいては配列番号0番の1つ、リール帯321bにおいては配列番号20番の1つ、リール帯321cにおいては配列番号18番の1つが相当する。なお、図柄の種類は一例であって、これらの種類に限られるものではない。
[9.枠部材]
図47は、図柄表示窓401を含む枠部材501の部分を拡大したところを示している。図柄表示窓401からは、各リール301a,301b,301cの図柄列中の図柄のうち、連続する3つの図柄が視認可能となっている。この図柄が表示されている3つの位置を上から「上段(または上段位置)」(例えば、リール301aの「ベル1図柄」が表示されている位置)、「中段(または中段位置)」(例えば、リール301bの「リプレイ図柄」が表示されている位置)、「下段(または下段位置)」(例えば、リール301cの「ベル1図柄」が表示されている位置)という。
上記のことから、図柄表示窓401内では、「段数×リールの数」個の図柄を表示させることが可能である。従って、スロットマシン1では「段数(3)×リールの数(3)」より図柄表示窓401内には最大で9個の図柄を表示させることができる。
枠部材501(表示パネルともいう、以下では表示パネル501として統一する)の左側端(図柄表示窓401から見て左側には、各種のランプが備えられており、そのうち、「BET1」,「BET2」,「BET3」と記されているのがBETランプ(ベットランプ)614である。BETランプの数字(上記の「BET1」,「BET2」,「BET3」の1,2,3の数字)はそれぞれベット数(賭け数のこと、賭けたメダルの枚数に応じた数のこと)に対応している。すなわち、「1」は1ベット(賭けたメダルの枚数は1枚)、「2」は2ベット(賭けたメダルの枚数は2枚)、「3」は3ベット(MAXベットともいう、賭けたメダルの枚数は3枚)に対応しているということである。
ベット数に応じて有効となる並びが決められている。この「有効となる並び」は有効ラインとも呼ばれる。以下では有効ラインと統一して称する。後述する所定の当選役に対応する図柄の組合せは、一つの有効ライン上に並んで表示されてはじめて当該当選役に対応する図柄の組合せ態様として表示されたと判断されるものである。すなわち、所定の当選役に対応する図柄を構成する各図柄が図柄表示窓401内に個々に表示されたとしても、それぞれの図柄がいずれかの有効ライン上に並んでいなければ(すなわち所定の当選役に対応する図柄の組合せが有効ライン上に並んでいなければ)、所定の当選役に対応する図柄の組合せ態様が表示されたとは判断されないことになる。なお、このように、所定の当選役に対応する図柄の組合せが有効ライン上に並んでいない場合は、バラバラな図柄の組合せ態様(すなわちハズレの図柄の組合せ)が表示されたと判断される。
次に、ベット数及び有効ラインについて具体的に説明する。第1の実施形態のスロットマシン1では、一例として、通常の遊技状態(一般遊技状態)及びボーナス内部状態では3枚掛けによる遊技が規定又は推奨される(規定数3枚)。但し、後述するように、第1の実施形態のスロットマシン1は、ボーナスゲーム中に制御されるボーナス状態では、2枚掛けによる遊技が行われる(規定数2枚)。また、第1の実施形態のスロットマシン1における有効ラインは、右上がりの直線型の並び(右上がりライン)及び右下がりの直線型の並び(右下がりライン)の2ラインとする。具体的には、図47の図柄表示窓401内で「BAR図柄−リプレイ図柄−義図柄」が表示されているライン(すなわち右上がりライン)623bと、「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」が表示されているライン(すなわち右下がり)ライン623aの2つのラインのみを有効ラインとしている。
なお、ベット数及び有効ラインは、上記例に限られるものではない。例えば、有効ラインは図柄表示窓401内で遊技者から視認可能なラインであればよく、例えば、1又は複数の直線型の並びの他、山型やV字型の並び等にしてもよい。また、有効ラインの数も2本に限られるものではなく、1本や複数本の有効ラインを設定してもよい。さらに、遊技におけるメダルのベット数に応じて有効ライン数が変化するようにしてもよい。
図47の図柄表示窓401内に表示されている有効ライン上の図柄の組合せは、有効ラインの一つである右下がりライン623aに表示されている「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」であり、この図柄の組み合わせは、リプレイ役(再遊技役)に対応する図柄の組み合わせであるから、次ゲームにおいて、メダルを投入することなく自動ベットされ、前回のゲームと同様のゲームを再び実行することが可能となる。なお、有効ライン上に「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」が表示されたとしても、遊技者は、いずれの役の図柄の組み合わせが表示されたのか、一見して把握し難い。しかし、有効ラインではない中段ラインに「リプレイ図柄−リプレイ図柄−リプレイ図柄」の図柄の組み合せが表示されることで、遊技者は、リプレイに入賞したことを把握することが可能となる。なお、上述のリプレイ役(再遊技役)のように、有効ライン上では一見して成立役を把握し難いが図柄表示窓401全体で見れば当該成立役を把握し難い図柄組合せを用意することについては、他の当選役でも同様に図柄組合せを用意するようにしてもよい。このとき、有効ラインだけでは一見して成立役を把握し難くても、図柄表示窓401全体で見た場合に、当該当選役の入賞を遊技者に容易に把握させることが可能となる。
その他、表示パネル501には、スロットマシン1の遊技状態に合わせて点灯(あるいは点滅)可能なランプ及びLED類が設けられている。これらのランプ類は図の上から、「ERR」という文字の描かれたエラーランプ604、上記BETランプ614のすぐ下に位置する、「REP」という文字の描かれたリプレイランプ606、「STR」という文字の描かれたスタートランプ608、「INS」という文字の描かれたメダルINランプ610、及び2つの横並びの7セグメントLEDを備えた払出枚数表示LED612がそれぞれ備えられている。なお、これらの他に後述するボーナスゲームの当選を告知するボーナス告知ランプや、ボーナスゲームなどでのメダルの累計払い出し枚数を表示したり、ボーナスゲームをカウントしたりする7セグメントLED等を別途設けてもよい。
エラーランプ604は、スロットマシン1の遊技中に何かトラブル、故障等が生じた場合に点灯(あるいは点滅)を開始し、現在トラブル等が生じていることを遊技者等(ホールの係員なども含む)に知らせる役割を持っている。
リプレイランプ606は、ゲーム結果がリプレイ(後述する)となった場合に、再遊技(新たにメダルを賭けずにもう一度遊技ができること)ができることを遊技者に知らせる役割を持っている。
スタートランプ608は、ベット数がMAXベットに達すると点灯(あるいは点滅)を開始し、遊技者に始動レバー210の操作(始動操作)を促す役割を持っている。
メダルINランプ610は、ベット数が最大(MAXベット)になるまで点灯(あるいは点滅)を続けることにより、遊技者にベットを促す役割を持っている。
払出枚数表示LED612は、ゲーム結果に伴うメダルの払い出しがある場合に、その払い出し数(払出されるメダルの枚数)を表示することにより、遊技者にメダルの払出枚数を知らせる役割を持っている。
[10.スロットマシンの内部構成]
図48は、スロットマシン1に装備されている各種の機構要素や電子機器類、操作部材等の構成を概略的に示している。スロットマシン1は遊技の進行を統括的に制御するためのメイン基板409を有しており、このメイン基板409にはCPU1110をはじめROM1112、RAM1114、入出力インタフェース1116等が実装されている。
前述した1枚投入ボタン205,206や始動レバー210、リール停止ボタン211a,211b,211c、貯留解除スイッチ209等はいずれもメイン基板409に接続されており、これら操作ボタン類は図示しないセンサを用いて遊技者による操作を検出し、検出された操作信号をメイン基板409に出力することができる。具体的には、始動レバー210が操作されると前述した図柄変動表示装置300を始動させる(リール301a,301b,301cの回転を開始させる)操作信号がメイン基板409に出力され、リール停止ボタン211a,211b,211cが操作されると、リール301a,301b,301cをそれぞれ停止させる操作信号がメイン基板409に出力される。
なお、以下では必要に応じて、リール301a,301b,301cをそれぞれ左リール301a,中リール301b,右リール301cと呼ぶ。そして、これに対応するそれぞれのリール停止ボタン211a,211b,211cを左リール停止ボタン211a,中リール停止ボタン211b,右リール停止ボタン211cと呼ぶ。
またスロットマシン1にはメイン基板409とともにその他の機器類が収容されており、これら機器類からメイン基板409に各種の信号が入力されている。機器類には、図柄変動表示装置300のほか、メダル放出装置110等がある。
図柄変動表示装置300はリール301a,301b,301cをそれぞれ回転させるためのリール駆動モータ341a,341b,341cを備えている(左リール駆動モータ341a、中リール駆動モータ341b、右リール駆動モータ341c)。このリール駆動モータはステッピングモータからなり、それぞれのリール301a,301b,301cは独立して回転、停止することができ、その回転時には図柄表示窓401にて複数種類の図柄が上から下へ連続的に変化しつつ表示される。
また各リール301a,301b,301cの回転に関する基準位置を検出するための位置センサ331a,331b,331cを有しており、各リール301a,301b,301cにはそれぞれ位置センサ331a,331b,331cがリール内に対応して設けられている(左リール位置センサ331a、中リール位置センサ331b、右リール位置センサ331c)。これら位置センサからの検出信号(インデックス信号)がメイン基板409に入力されることで、メイン基板409では各リールの停止位置情報を得ることができる。
メダルセレクタ207内には、前述したソレノイド207aや投入センサ207bが設置されている。投入センサ207bは、メダル投入口203から投入されたメダルを検出し、メダルの検出信号をメイン基板409に出力する。ソレノイド207aがOFFの状態のとき、投入されたメダルは投入センサ207bで検出される。逆にソレノイド207aがONの状態のときは、メダルセレクタ207内で投入センサ207bに到達する通路がロックアウトされてメダルの投入が受け付けられなくなり、遊技者がメダルを投入しても、メダルセレクタ207を通って返却樋213に流れたメダルはメダル用受皿201に戻る。このとき合わせて投入センサ207bの機能が無効化されるので、メダル投入によるベットまたはメダルの貯留のいずれも行われなくなる。
メダル放出装置110は、払い出されたメダルを1枚ずつ検出する払出センサ110eを放出口110c内に有しており、この払出センサ110eからメダル1枚ごとの払出メダル信号がメイン基板409に入力されている。また、遊技メダル用補助収納箱111にはメダル満タンセンサ111aが設けられており、内部に貯留されたメダルの貯留数が所定数量を超えた場合、メダルが所定数量を超えた検出信号をメイン基板409に出力する。このとき画像表示体500、エラーランプ604等によりメダル貯留の異常を知らせるエラー表示が行われ、遊技者やホール従業員等に異常が発生したことが報知される。
一方、メイン基板409からは、図柄変動表示装置300やメダル放出装置110に対して制御信号が出力される。すなわち、前述した各リール駆動モータ341a,341b,341cの起動及び停止を制御するための駆動パルス信号がメイン基板409から出力される。またメダル放出装置110には、有効ライン上に停止した図柄の組合せの種類に応じてメイン基板409から駆動信号が入力され、これを受けてメダル放出装置110はメダルの払い出し動作を行う。このときメダル放出装置110内に払い出しに必要な枚数のメダルが不足しているか、あるいはメダルが全く無い状態であった場合、払出センサ110eによる枚数検出が滞ることとなる。そして所定時間(例えば3秒間)が経過すると、払出センサ110eより払い出しメダルの異常信号がメイン基板409へ出力され、これを受けてメイン基板409は、メダルの払い出しに異常が発生したことを知らせる内容をエラーランプ604や画像表示体500等に表示させて遊技者やホール従業員等に異常が発生したことを報知する。
スロットマシン1は、メイン基板409の他に演出制御基板510を備えており、この演出制御基板510にはCPU1118やROM1120、RAM1122、入出力インタフェース1130、VDP(Video Display Processor)1124、AMP(オーディオアンプ)1126、音源IC1128等が実装されている。演出制御基板510はメイン基板409から各種の指令信号を受け、画像表示体500の表示や照明装置502等の発光(または点灯、点滅、消灯等)及びスピーカ512の作動を制御している。
さらに、メイン基板409に外部中継端子板131を設けた場合には、スロットマシン1はこの外部中継端子板131を介して遊技場のホールコンピュータ1200に接続される。外部中継端子板131はメイン基板409から送信される各種信号(投入メダル信号や払出メダル信号、遊技ステータス等)をホールコンピュータ1200に中継する役割を担っている。なお、図48における接続構成は第1の実施形態のスロットマシンにおける一例に過ぎない。例えばその他の接続構成として、メイン基板409だけでなく、メイン基板409以外の周辺基板(例えば演出制御基板510)も外部中継端子板131に接続可能にするようにしてもよく、このような場合、外部中継端子板131に接続された各種の基板から、様々な信号を外部中継端子板131に送信し、外部中継端子板131を介してホールコンピュータ1200に出力することができる。具体的には、演出制御基板510が管理する遊技上の諸情報や、演出制御基板510が管理可能な緊急情報(例えば、スロットマシン1の構成部品等の誤作動や不具合を通知するエラー情報)をホールコンピュータ1200に出力することができるようになる。
その他、電源装置112には、設定キースイッチ112tやリセットスイッチ112u、電源スイッチ112v等が付属している。これらスイッチ類はいずれもスロットマシン1の外側に露出しておらず、扉形前面部材200を開けることではじめて操作可能となる。このうち電源スイッチ112vは、スロットマシン1への電力供給をON−OFFするためのものであり、設定キースイッチ112tはスロットマシン1の設定(例えば設定1〜6)を変更するためのものである。またリセットスイッチ112uはスロットマシン1で発生したエラーを解除するためのものであり、更には設定キースイッチ112tとともに設定を変更する際にも操作される。
以上がスロットマシン1の内部構成例である。スロットマシン1によるゲームは、遊技者がメダルの賭け数を決定した状態で始動レバー210を操作すると各リール301a,301b,301cが回転し、この後、遊技者がリール停止ボタン211a,211b,211cを操作すると、対応する各リール301a,301b,301cが停止制御され、そして、全てのリール301a,301b,301cが停止すると、有効ライン上での図柄の組合せ態様からゲーム結果を判断し、必要に応じて該当する当選役に対応する規定数のメダルが付与される。
前述したとおり、各リール301a,301b,301cには、それぞれリール帯321a,321b,321cが付されている(図46参照)。そして、全てのリール301a,301b,301cを停止させた際に図柄表示窓401内に表示される表示内容(有効ライン上に表示された図柄の組合せ態様)から所定の当選役に対応する図柄の組合せ態様(図柄組合せ)が表示されたか否かが判断される。具体的には、図柄表示窓401内で前述の有効ライン(右上がりライン623b及び右下がりライン623a)に所定の当選役に対応する図柄組合せが表示されているか否かが判断される。
なお、本例では有効ラインは2本として説明しているが、スロットマシン1が複数の有効ラインを有するとしたとき、当該複数の有効ラインの夫々で当選役に対応する図柄組合せが表示されているか否かが判断される。その結果、複数の当選役の図柄組合せが表示されていると判断された場合は、表示された各当選役に対応する払出数を合算した数量のメダルの払出が行われる。なお、スロットマシン1では、1回あたりのメダルの払出数の上限値として所定枚数(例えば15枚)を規定することができる。このような場合に、複数の有効ライン上に表示された各当選役に対応する払出数の合算が当該上限値を超えるときは、上限値の所定枚数のメダルが払い出され、上限値の超過分は切り捨てられる。また、上限値の超過分を次回以降のゲームに分割して払い出す等もしない。
以下では、所定の当選役に対応する図柄の組合せ態様がいずれか一つの有効ライン上に表示された場合のことを、(所定の)当選役に対応する図柄(これを当選役図柄という)の組合せが揃う、あるいは当選役図柄が揃った、という。
スロットマシン1の図柄には、「赤7図柄」、「青7図柄」、「BAR図柄」、「チェリー図柄」、「リプレイ図柄」、「ベル1図柄」、「ベル2図柄」、「スイカ図柄」、「義図柄」及び「正図柄」があることは既に述べたとおりであるが、このうち、「赤7図柄」、「青7図柄」及び「BAR図柄」は他の図柄に比べて目立ち易く、識別しやすい図柄となっている。ここでいう識別のし易さとは、リールの回転中や、リールの停止した状態を含めて遊技者が容易に図柄を識別することができる度合いの高さのことをいう。これらの図柄はリールの回転中もその色彩や図柄の大きさから、遊技者が停止操作する際に、これらの図柄が図柄表示窓401内に停止されるように狙って停止操作することが容易となっている(すなわち目押しすることが容易である)。さらに「義図柄」及び「正図柄」についても、図46を見ても分かるように、「義図柄」と「正図柄」との2つの図柄で円状を形成するかたちで「正義」と読めるように互いに上下に隣接して配置されているとともに、各リール301a,301b,301cにおいて1つしか配置されていないので、目押しすることが容易である。
これらの図柄はそれだけでは象徴的な図柄(図柄1つだけでは当選役に対応しない)に過ぎないものであるが、所定の組合せとなることにより当選役に対応する図柄の組合せとなるものである。すなわち、所定の遊技特典が付与される。以下に、図49に示された各当選役に対応して許容される図柄の組合せ態様について説明する。
[10−1.当選役と図柄の組合せ]
ここで、スロットマシン1の当選役(入賞役と呼ばれるものを含む)と、これに対応する図柄の組合せについて、図49、図50及び図51〜53を用いて説明する。図49は、当選役の抽選に用いられる抽選テーブルの一例である。図49に示す抽選テーブル(当たり値判定テーブルともいう)は、予めROM1112等に格納されている。詳細は後述するが、スロットマシン1ではメイン基板409のCPU1110が当選役の抽選を行い、このような抽選は「内部抽選」とも呼ばれる。
図50は、各当選役と、これら各当選役に対応して成立する条件装置を示す図であり、予めROM1112等に格納されているものである。図50において、表中の空欄は、対応する条件装置番号が付された条件装置が非作動(OFF)であることを意味し、表中の「1」は、対応する条件装置番号が付された条件装置が作動する(ON)ことを意味する。図51〜53は、各条件装置に対応する図柄の組合せ及びメダルの払出数等を示す図(その1〜その3)であり、これについても予めROM1112等に格納されているものである。
なお、以下に説明する第1の実施形態のスロットマシン1は、遊技機が備える機能の一例として、押し順小役を利用したAT(アシストタイム)機能を備えるとする。AT機能を備えた遊技機では、ATの当落が抽選(AT抽選)によって判定され、当該判定の結果ATに当選した場合は、ATゲームが実行される。ATゲームでは、内部抽選で押し順小役が当選役として選ばれた場合を中心に、最も多いメダルの払出に期待できる適正な押し順を教示又は告知することによって、多くのメダルを獲得可能にする。一方、ATゲーム以外の遊技期間(非AT)では、上記の押し順の教示又は告知を行わないことによって、適正な押し順でのメダル獲得を非確実なものにさせることができ、遊技状態ごとにメダルの期待獲得枚数やメダルの消費ペースに差異をもたらすことができる。
また、押し順について補足すると、第1の実施形態のスロットマシン1では、3本のリール301a〜301cを用いていることから、その押し順(リール301の停止順)は、「左−中−右」、「左−右−中」、「中−左−右」、「中−右−左」、「右−左−中」、「右−中−左」の6通りが存在する。以下の説明では、それぞれの押し順を、順に、「順押し」、「挟み押し」、「中順押し」、「中逆押し」、「逆挟み押し」、「逆押し」と呼ぶ。なお、第1の実施形態のスロットマシン1では、「中順押し」又は「中逆押し」の何れの押し順で停止操作が行われても、同じリール停止制御を行うようにすることから、これら2つの押し順を区分せずに、単に「中押し」と呼ぶことがある。
そして、第1の実施形態のスロットマシン1では、リール301を停止させる停止操作の手順として、ATゲームが行われない期間(非AT)のように押し順の教示が行われない遊技の際は、左リール301aを最初に停止させる(すなわち、リール停止ボタン211aに対して最初に停止操作を行う)「左押し(「順押し」又は「挟み押し」)」を推奨する。また、中リール301bや右リール301cを最初に停止させる等して、このような推奨手順に沿わない停止操作が行われた場合には、AT抽選の一時的な停止等の遊技者にとって不利な措置を行うようにしてもよい。
このようなスロットマシン1における停止出目は、例えば、当選役「押し順ベル」の場合、リール停止ボタン211(個別にはリール停止ボタン211a,211b,211c)の押し順によって、停止出目の態様が異なるようにされている。このような停止出目の態様の差異は、例えば、以下のようにして実現することができる。すなわち、「押し順ベル」に相当する当選役として、それぞれに適正な押し順が関連付けられた複数種類の当選役(具体的には、図50に示す「AT1」〜「AT10」に相当し、当選役が「AT1」の場合は、順押しが「適正な押し順」に相当する)を用意し、内部抽選によって選ばれた各当選役の当選時に作動する複数の条件装置に対して、リール停止ボタン211の押し順に基づいた優先順位を設定する。この優先順位には、上記の「適正な押し順」に基づく優先順位と、「適正な押し順」以外の押し順(すなわち、「不適正な押し順」)に基づく優先順位とがあり、「適正な押し順」に基づく優先順位に従って条件装置が作動する場合は、当該作動した条件装置に基づいてリールの停止制御が行われた結果、「不適正な押し順」に基づく優先順位に従って条件装置が作動する場合よりも、遊技者にとって有利な特典(例えば、比較的多くのメダルの払出)を付与し得る停止出目で停止させることができる。
また、リール301の停止時に有効ライン上に引き込み可能な図柄は、リール停止ボタン211に対する停止操作を行った時点のリール301の位置に基づいて制限されるため(具体的には例えば、最大4コマまでの引き込みが許容される)、この停止操作のタイミング(押しタイミング)次第で、引き込み可能な図柄と引き込み不能な図柄とが発生する。その結果、停止出目の態様は押しタイミングによっても異なるものであり、押しタイミングに応じた条件装置の優先度も予め設定される。
なお、以下の説明では、上記のATゲームを遊技者にとって有利な特別遊技の一例とするが、第1の実施形態のスロットマシン1において遊技者にとって有利な特別遊技は、ATゲームに限るものではなく、その他の有利遊技状態(例えば、ボーナスゲーム、ARTゲーム、又はRTゲーム等)であってもよい。また、AT機能についても、押し順小役を利用したAT機能に限定するものではなく、その他、例えば押し位置小役(リール停止ボタン211に対する停止操作のタイミングに基づいて付与される特典が変更され得る役)を利用したAT機能等であってもよい。
[10−1−1.当選役の種類]
まず、図49に示した抽選テーブルについて説明する。第1の実施形態のスロットマシン1では、遊技状態に応じて異なる抽選テーブルが用意されており、図49には、第1の実施形態のスロットマシン1における遊技状態の一例として、一般状態、ボーナス内部状態、及びボーナス状態が示されている。ここで、一般状態は、ボーナスゲーム中でなく、かつ、ボーナスフラグが未成立である通常の遊技状態である。ボーナス内部状態は、内部抽選によってボーナス(具体的には、後述する2種BB)に当選し、かつボーナス状態に移行せずにボーナスの当選成立状態が持ち越されている遊技状態である。ボーナス状態は、内部抽選によってボーナス(具体的には、後述する2種BB)に当選し、当該ボーナスに対応する図柄組合せが表示されたことに基づいて移行する有利遊技状態である。なお、図49では、ボーナスとして2種BB(第二種特別役物)が示されているが、スロットマシン1に搭載可能なボーナスは、他の種類であってもよく、所謂BBボーナス、RBボーナス、シングルボーナス(SB)等を備えるようにしてもよい。このような場合には、それぞれのボーナスに応じた遊技状態が用意される必要があるが、各遊技状態の詳細な説明は一般的な遊技機と同様であるため省略する。
図49に示すように、第1の実施形態によるスロットマシン1では、遊技状態ごとに各当選役についての当選確率(又は置数)が定められており、各遊技状態に対応して予め用意された抽選テーブルを用いて内部抽選が行われる。そして、スロットマシン1では、内部抽選の結果として何らかの役に当選すると、当選役に応じた条件装置が作動し、作動した条件装置に対応する図柄組合せが有効ライン上に表示されるように、後述するリール停止処理が行われる。そして、有効ライン上に表示された図柄組合せによって何らかの入賞役が示された場合は、当該入賞役に基づいたメダルの払出が行われる。入賞役に基づいたメダルの払出において、遊技状態や遊技の掛けメダル数(規定数)に応じてメダルの払出数が異なるように設定されてもよい。このとき、規定数に応じた抽選テーブルを別途用意することが好ましい。
第1の実施形態のスロットマシン1では、一の条件装置とリール制御のパターンとが1対1で対応しているので、一の当選役に対して複数のリール制御パターンを用意したい場合には、一の当選役に対して複数の条件が成立する場合もある(後述の図50参照)。こうすることで、一の当選役に対して、複数パターンの停止出目(有効ライン上に表示される図柄組合せ)を用意することが可能となる。
図49に示された当選役は、ボーナス役、小役、又はリプレイ役(再遊技役)に大別することができ、前述の何れの役にも当選しない場合に「はずれ」と呼ぶ。ここで、「はずれ」は、厳密には当選役ではない。しかし、当選役に関する内部抽選の結果が図49に示された各当選役であった場合と同様に、当選役に関する内部抽選の結果が「はずれ」であった場合は、当該結果に基づいて(すなわち、「はずれ」という当選役に当選したかのようにして)その後の内部処理が設定されることから、以下では、便宜上、「はずれ」を当選役に含めて説明することがある。
それぞれを簡単に説明すれば、「ボーナス役」は、ボーナスゲームの実行契機となる役であって、具体的には「2種BB」がボーナス役に相当する。「リプレイ役(再遊技役)」は、メダルを再投入することなく次回のゲームが実行可能にされる(再遊技)役であって、具体的には「リプレイ」がリプレイ役に相当する。「小役」は、その入賞によって所定枚数のメダルの払出が行われる役であって、具体的には「押し順ベル」、「押し順不問ベル」、「弱スイカ」、「強スイカ」、「弱チェリー」、「強チェリー」、「弱チャンス目」、「強チャンス目」、及び「最強目」が、小役に相当する。なお、前述したように、図49に示した当選役「押し順ベル」は、実際には、図50に示した当選役「AT1」〜「AT10」に相当し、図49に示した当選役「押し順不問ベル」は、実際には、図50に示した当選役「ベル1」,「ベル2」に相当する。これら図50に示した各当選役の置数は、合計が図49に示した置数となるように、適当に振分けられる。各当選役の詳細は後述する。
また、「はずれ」は、当選役に関する内部抽選の結果、何れの当選役も選ばれていないことを意味する。「はずれ」であった場合は、ボーナス役の成立状態が持ち越されている場合(すなわち、ボーナス内部状態)を除き、何れの当選役に対応する図柄組合せも停止されることはない。一方、ボーナス内部状態で「はずれ」となった場合は、ボーナス役に対応する図柄組合せが停止し得る。但し、第1の実施形態のスロットマシン1では、図49のような抽選テーブルを用いる場合、上記の状況(ボーナス内部状態での「はずれ」)は滅多に発生しないように設定されており(1/65535)、また、そもそもボーナス役である「2種BB」の当選確率も極めて低い(1/65535)ことから、ボーナス役に対応する図柄組合せが停止してボーナスゲームが実行される機会は極めて低く、ほとんどの遊技状態は、一般状態又はボーナス内部状態に制御される。
なお、図49によれば、一般状態では、「はずれ」が選ばれる可能性がある程度存在する(15453/65535)が、ボーナス内部状態及びボーナス状態では、「はずれ」が選ばれる可能性はほとんどない(それぞれ1/65535)。さらに、ボーナス状態では、押し順ベルの当選確率が他の遊技状態に比べて格段に低く設定され(1/65535)、ほとんど当選しないようになっている代わりに、押し順不問ベルの当選確率が高く設定されている(32059/65535)。押し順不問ベルは、押し順に拘わらず9枚の払出が行われるのに対し、押し順ベルは不適正な押し順であった場合に、2枚以下の払出しか行われない。したがって、このように置数の振分を行うことで、ボーナス状態に制御されたとき(ボーナスゲーム)は、遊技者の手持ちメダルをほぼ減らすことなく、増加させることができる。
また、内部抽選の結果が「はずれ」ではなく、いずれかの役(ボーナス役、リプレイ役、小役)に当選したとしても、当該当選役に対応する図柄の組合せは、後述する引き込み制御を実行可能な範囲で図柄表示窓524内(より厳密には有効ライン623a,623b)に停止されるように狙って適正なタイミング(押し位置)で停止操作(リール停止ボタン211a〜211cを押す操作)が行われないと、有効ライン上に当選役に対応する図柄の組合せを表示させることができない。したがって、抽選の結果、いずれかの役に当選したにもかかわらず、この当選役に対応する図柄の組合せが有効ライン上に表示されなければ、「はずれ」が選ばれたときと同様に、後述する図54のステップS6においてゲーム結果がハズレである旨が判定される。なお、第1の実施形態のスロットマシン1では、何らかの当選役に当選したにもかかわらずゲーム結果がハズレとなる場合に、無作為に「はずれ」の図柄組合せを表示させるのではなく、当該当選役に基づいた入賞を取り零したことを示す所定の図柄組合せ(停止出目)を図柄表示領域に表示させるように制御することにする。そして、このようなハズレ時に表示される図柄組合せ(停止出目)のことを、以下では「零し(又は、零し目)」と呼ぶ。
また、第1の実施形態に関する説明では、図51に示したように、「押し順ベル(AT1〜AT10)」に関して、「ベル零し(ベル零し目)」という表現が用いられる。ベル零しとは、当選役ごとに適正な押し順が定められた押し順ベルの当選時に、不適正な押し順で停止操作が行われたことによって、ベル揃い(厳密には、9枚の払出が得られるベル役の図柄組合せ)が停止されずに、ベル役を取り零したような別の図柄組合せが表示されることを意味する。このようなベル零しとなる場合、ベル零し目が停止出目として表示され、本来のベル揃いよりも少ない払出(払出なしを含む)が行われる。具体的には、図51の条件装置番号1〜32に対応する図柄組合せがベル零しの図柄組合せであり、このとき、1枚又は2枚の払出数が設定されている。以上のように、「ベル零し」は、前述したハズレ時の「零し」とは異なるものである。
また、第1の実施形態に関する説明では、以上の「零し(零し目)」とは別に、「ばらけ(ばらけ目)」という表現を用いることがある。「ばらけ(ばらけ目)」とは、停止出目の特徴を遊技者が比較的容易に認識し易い「揃い目」ではなく、一見ばらばらの図柄が組み合わされたような停止出目(所謂「ばらけ目」)であることを意味する。すなわち、「ばらけ目」は、図柄組合せの表示態様に関する区分の1つであり、ばらけ目であってもハズレとは限らないため、メダルの払出が行われることもある。
[10−1−2.当選役の当選形態]
図49で例示した当選役は、1回の抽選機会において一つの役のみが選び出される当選役(単独役)である。単独役が当選した場合は、当該当選役に基づいた条件装置が作動することに基づいて、後のリール停止制御が行われる。しかし、第1の実施形態のスロットマシン1では、複数の当選役が同時に選び出されるような当選役(同時当選役)が用意されてもよい。このような同時当選は、1回の抽選機会において複数の当選役が同時に選び出されることを意味し、例えば、複数の小役(例えば、複数のベル役同士)が同時に選び出される場合や、ボーナス役と小役とが同時に選び出される場合がある。
内部抽選によって同時当選役が選ばれた場合には、当該同時当選役に含まれるそれぞれの当選役に基づいた条件装置が同時に作動することに基づいて、後のリール停止制御が行われる。そして、同時当選役に当選したときのリール停止制御では、予め定められた優先順位(例えば、『再遊技>小役>ボーナス』や、『再遊技>ボーナス>小役』のような優先順位)に従って当選役の図柄組合せの表示が許容されるなかでリール停止処理が行われ、入賞した役に応じた特典の払い出しが行われる。なお、遊技機の仕様や小役の組合せ、又は有効ラインの設定方法等によっては、同時当選役を共に入賞させるような制御が行われるようにしてもよく、同時入賞が発生した場合には夫々の入賞した役に応じた特典の払い出しが行われる。何れにしても、小役は、当選ゲームでのみ入賞し得る「非持ち越し役」であり、当選ゲームで入賞できなかった当選役の当選成立状態は、次ゲーム以降に持ち越されないことから、小役の同時当選が選ばれたとしても、当選ゲームで入賞できなかった小役に対しては、当該小役に応じたメダルの払い出しは行われない。
また、ボーナス役と小役とが同時当選した場合について、このような組合せで選ばれる役は重複役ともいう。ボーナス役と小役とが同時当選した場合も、小役同士の同時当選の場合と同様に、夫々の当選役に対応する条件装置が同時に作動し、予め定められた優先順位(例えば、『再遊技>小役>ボーナス』や、『再遊技>ボーナス>小役』のような優先順位)に従って当選役の図柄組合せの表示が許容されるなかでリール停止処理が行われ、入賞した役に応じた特典の払出が行われる。但し、ボーナス役については、上述したように当選ゲームで対応する図柄組合せが表示されなかったとしても、次ゲーム以降に当該ボーナス役の図柄組合せが表示されるまで当該ボーナス役の当選成立状態が持ち越される「持ち越し役」とすることができる。具体的には、2種BBは「持ち越し役」である。また、リプレイ役や小役(例えばベル役)は「非持ち越し役」である。このように重複役の当選によって「持ち越し役」と「非持ち越し役」とが同時当選したときも、何れの図柄組合せの表示を許容するかは、リール停止処理によって制御される。そして、当選ゲームで「持ち越し役」に対応する図柄組合せが表示されなかった場合は、「持ち越し役」の当選成立状態は次ゲーム以降に持ち越される。但し、このような「次ゲーム」において、別の小役に当選したときは、「持ち越し役」と「別の小役」との両方が当選成立している状態となるが、この場合は、互いに別の抽選機会(ゲーム)において選び出されているから、重複役には相当しない。
なお、同時当選の場合に何れの当選役に対応する図柄の組合せが優先して有効ライン上に表示されるようになるかは、リール停止処理における優先順位の設定に基づいて決定される。
以下では、上記で大別した当選役について、図50〜図53も参照しながら詳細に説明していく。
[10−1−3.ボーナス役]
図49に示された当選役「2種BB」は、第二種特別役物に関するボーナス役である。ボーナス役が当選役として選ばれると、対応する条件装置「BB1」が作動し、リール停止処理が行われ、表示された図柄組合せに基づいて特典が付与される。具体的には、条件装置「BB1」に対応する図柄組合せ(「赤7」揃い)が有効ライン上に表示されることで、2種BBのボーナスゲーム(BBゲーム)が実行される。このボーナスゲームは、複数ゲームに亘って遊技者がメダルを集中して獲得できる機会が設けられるゲームであり、本実施例では例えば、遊技の規定数を2枚として、図49のボーナス状態に示された抽選テーブルを用いてボーナスゲームが進められる。そして、ボーナスゲームのゲーム数が規定の上限数(例えば30ゲーム)を経過するか、当該ボーナスゲームにおける払出の累計枚数が規定枚数(例えば200枚)を超えたときにボーナスゲームが終了する。ボーナスゲームが終了すると、遊技状態は、ボーナス状態から一般状態に移行する。
ここで、「2種BB」に対応する図柄組合せ(「赤7」揃い)は、リール停止ボタン211に対する停止操作のタイミング次第では、必ずしも有効ライン上に引き込むことができない配列となっている(図46参照)。しかし、「2種BB」は当選フラグを持ち越し可能な持ち越し役であり、当選ゲームで対応する図柄組合せである「赤7」揃いが表示されなかった(揃えられなかった)としても、次ゲーム以降に当選成立状態が持ち越され、当該図柄組合せが停止されるまで、ボーナス内部状態として遊技が行われる。
そして、ボーナス内部状態に制御されているときに、内部抽選の結果、リプレイ役や小役に当選した場合は、予め定められた優先順位に従って、表示され得る当選役が決定される。具体的には、当該優先順位が『再遊技(リプレイ役)>小役>ボーナス』であるとし、このとき、ボーナス内部状態として2種BBの成立状態が維持されていても、2種BBの図柄組合せを表示し得る機会は、内部抽選でリプレイ役にも小役にも当選しなかったとき(すなわち、はずれ)に限られる。しかし、上述したように、第1の実施形態のスロットマシン1では、ボーナス内部状態において内部抽選ではずれとなる割合は極めて小さく設定されている(1/65535)。したがって、ほとんどの遊技において、2種BBの図柄組合せが表示される機会はなく、遊技状態は、一般状態又はボーナス内部状態に制御される。
[10−1−4.リプレイ役]
図49に示された当選役「リプレイ」は、リプレイ(再遊技役)の当選役である。リプレイ役の当選時には、リプレイ用の条件装置(図50を参照すると、再遊技1)が作動し、有効ライン(ライン623a,623bの何れか)にリプレイ役に対応する図柄組合せの停止表示が許容され、これに基づいて、後述するリール停止処理(図54のステップS5)が行われる。スロットマシン1では、リプレイの当選時には、リプレイ役の図柄組合せが必ず有効ライン上に表示されるように制御されることで、リプレイの図柄組合せが揃ったと判定され、その結果、リプレイ役の特典として、次ゲームにおいて、改めてメダルを投入もしくはベット操作(貯留されたメダルを投入するための操作)をすることなく自動ベットされ、前回のゲームと同様のゲームを再び実行する再遊技が可能となる。なお、リプレイの図柄組合せが有効ライン上に表示されたとしても、賞としてのメダルは払い出されない。
このリプレイゲームの遊技特典の特徴は、メダルの払出しを行わない代わりに次回のゲームで新たにメダルを消費する(新たにメダルを掛ける)必要がないことである。またリプレイはメダルの払い出しを伴わない当選役であるため、例えばその当選確率を高くすることにより、当選頻度が高くなったとしてもホールにとっての不利益は少ない。従って、スロットマシン1では、通常状態(一般状態)において、概ね6〜7回に1回程度は当選する確率としている。これにより、遊技者が消費するメダルの量(一定時間当たりにつき消費するメダル数)をある程度一定の範囲に保つことが可能となる。つまり、リプレイという当選役にゲーム進行における過剰なメダルの消費を抑える役割を持たせることができるということになる。
また、各リール301a,301b,301cにリプレイ役に対応する図柄の組合せ態様を構成する図柄をそれぞれ満遍なく配置する(例えば、リプレイ役に対応する図柄の組合せ態様を構成する図柄と、同じくリプレイ役に対応する図柄の組合せ態様を構成する図柄との間に配置される他の図柄(リプレイ役に対応する図柄の組合せ態様を構成しない図柄)を1個から最大でも4個までにする)ことにより、リプレイ役に対応する図柄の組合せ態様を目押しの必要なく揃えることのできるものとすることができる。そしてこのような場合、表示される当選役の優先順位を『再遊技(リプレイ役)>小役>ボーナス』とすれば、仮にリプレイ役の条件装置とその他の役(小役やボーナス役)の条件装置とが同時に作動したとしても、常にリプレイ役に対応する図柄組合せが停止表示されることになり、その他の役に対応する図柄組合せが停止表示されることはない。
[10−1−5.ベル役]
次に、入賞役としてのベル役について説明する。このベル役は、当選時にメダルの払出が期待できる入賞役である。第1の実施形態では、何種類かのベル役が用意されており、以下ではその一例を具体的に説明する。
[10−1−5−1.押し順不問ベル]
まず、当選時の入賞度合い(入賞率、及び入賞に基づくメダルの払出枚数)がリール301の押し順によって変化しない押し順不問ベル(共通ベル)について説明する。
図49に示した「押し順不問ベル」の具体的な当選役は、図50に示す「ベル1」、「ベル2」である。図50に示すように、「ベル1」が当選役として選ばれたときは、小物17の条件装置が作動し、「ベル2」が当選役として選ばれたときは、小物17及び小物18の条件装置が作動する。ここで、小物17,小物18の条件装置は、リールの押し順及び押しタイミングに拘わらず、常に対応する何れかの図柄組合せが有効ライン上に停止可能に構成されている(図51等参照)。したがって、このような条件装置が作動した場合は、遊技者によるリール停止ボタン211の停止順序及び停止タイミングに拘わらず、ベル役の図柄組合せが停止表示されることによってベル役に入賞し、当該入賞に応じたメダルの払出(9枚)が特典として付与される。
[10−1−5−2.押し順ベル]
次に、当選時の入賞度合い(入賞率、及び入賞に基づくメダルの払出枚数)がリール301の押し順によって変化し得る押し順ベルについて説明する。
図49に示した「押し順ベル」は、主にATゲームで遊技者に確実に特典を付与し得るために用意される当選役である。「押し順ベル」の具体的な当選役は、「AT1」〜「AT10」であり、それぞれ適正な押し順が関連付けられている(図50参照)。
なお、図49では、「押し順ベル」の当選確率は32000/65535となっているが、この当選確率は「AT1」〜「AT10」の当選確率の合算値である。そして、「AT1」〜「AT10」のそれぞれの当選確率は、上記合算値を満たす条件下で任意に振分けることができる。例えば、「AT1」〜「AT10」のそれぞれの当選確率を3200/65535とすれば、「押し順ベル」における5通りの適正な押し順(順押し、挟み押し、中押し、逆押し、逆挟み押し)について、当選確率を均等配分することができる(すなわち、5択ベルの各当選確率を等しくすることができる)。「押し順ベル」の適正な押し順については後で詳述している。また例えば、適正な押し順として左リール301aが第1停止リールに選ばれる「AT1」〜「AT4」の各当選確率を2000/65535とし、適正な押し順として左リール301a以外(中リール301b又は右リール301c)が第1停止リールに選ばれる「AT5」〜「AT10」の各当選確率を4000/65535とすれば、左リール301aを適正な押し順の第1停止リールとする押し順ベルの当選割合を、中リール301b又は右リール301cを適正な押し順の第1停止リールとする押し順ベルの当選割合よりも格段に低くすることができる。このような場合、左リール301aを第1停止することが推奨される通常ゲームにおいて、押し順ベルが入賞する割合を抑制することができ、通常ゲームでの払出率を抑制する分だけATゲーム等の特別遊技での払出率を高めること等も可能となる。
図50に示すように、「AT1」〜「AT10」が当選役として選ばれたときは、小物1〜小物16のうちの複数の条件装置と、小物17の条件装置と、小物24〜小物26のうちの0〜2までの条件装置とが同時に作動する。それぞれの条件装置に対応する図柄組合せ等は、図51〜図53に示す通りである。なお、小物1〜小物16は、それぞれ「ベル零し」の図柄組合せ(1枚又は2枚の払出)に対応する条件装置であり、小物17は、「ベル役」の図柄組合せ(9枚の払出)に対応する条件装置である。また、小物24〜小物26は、本来は、後述する弱チャンス目及び強チャンス目に関する条件装置であり、押し順ベルの当選時には、作動したとしても、その優先順位は作動した他の条件装置よりも低く抑えられることによって、実際に小物24〜小物26に対応する図柄組合せが停止されることはない。
そして、これらの同時作動する複数の条件装置について、遊技者の停止操作におけるリール停止ボタン211(個別にはリール停止ボタン211a〜211c)に対する押し順に応じて、優先的に作動する条件装置が決定されることによって、適正な押し順とそうでない押し順(不適正な押し順)とで、異なる停止出目を表示させることを可能にする。すなわち、当選役に対応する適正な押し順(例えば、AT1であれば順押し)でリール停止ボタン211に対する停止操作が行われている間は、小物17を優先的に作動させることによって、最後まで適正な押し順で停止操作が行われた場合には、ベル役の図柄組合せを有効ライン上が停止されて9枚のメダル払出を特典として付与することができる。一方、リール停止ボタン211に対する停止操作が不適正な押し順で行われた段階で、小物17の優先順位を他の作動している条件装置(小物1〜小物16のいくつか)よりも低くすることで、小物17の条件装置に対応する図柄組合せが有効ライン上に停止されないようにし、ベル零しの図柄組合せが有効ライン上に停止されることとなり、ベル零しとしての特典(1枚又は2枚のメダル払出)が付与される。
図50によれば、「AT1」及び「AT2」は、順押しを適正な押し順とする押し順小役の当選役であり、「AT3」及び「AT4」は、挟み押しを適正な押し順とする押し順小役の当選役であり、「AT5」及び「AT6」は、中押しを適正な押し順とする押し順小役の当選役であり、「AT7」及び「AT8」は、逆押しを適正な押し順とする押し順小役の当選役であり、「AT9」及び「AT10」は、逆挟み押しを適正な押し順とする押し順小役の当選役である。したがって、図50を用いた場合、本実施形態における「押し順ベル」は、適正な押し順が5通り(順押し、挟み押し、中押し、逆押し、逆挟み押し)に分けられた所謂「5択ベル」となる。なお、当然ながらこのような適正な押し順の設定は、遊技機の設計段階で所定の制限内で自由に設定可能であり、例えば、第1停止リールだけに基づいた3択ベルであってもよいし、第1停止リール及び第2停止リールに基づいた6択ベルであってもよい。
このように、押し順ベルの「AT1」〜「AT10」は、適正な押し順で停止操作が行われた場合にのみ、ベル役に入賞したとしての9枚のメダル払出が受けられる当選役であり、不適正な押し順で停止操作が行われた場合は「ベル零し」として、ベル役の入賞時よりも少ない特典(1枚又は2枚のメダル払出)が付与される当選役である。
ここで、第1の実施形態のスロットマシン1では、AT状態ではない非AT状態において、左押し(順押し又は挟み押し)を推奨している。したがって、非AT状態で推奨手順による遊技が行われた場合は、左押し(順押し又は挟み押し)以外を適正な押し順とする押し順ベル(具体的には、AT5〜AT10)に当選したとしても、ベル役に入賞することはできない。しかし、AT状態になれば、適正な押し順が教示され、当該教示内容に従った停止操作が許容されることで、押し順ベルの当選時に容易にベル役を入賞させることが可能となる。なお、非AT時に、遊技者が推奨手順と異なる停止操作を行ってメダルを不当に得てしまった場合には、AT抽選の一時的な停止等の措置を行うことで、全体的なメダル払出の期待値を適正に調整するようにしてもよい。
[10−1−6.チェリー役]
次に、入賞役としてのチェリー役について説明する。このチェリー役は、当選時にメダルの払出(2枚)が期待できる入賞役である。第1の実施形態では、弱チェリーと強チェリーの2種類のチェリー役が用意されている。弱チェリーと強チェリーとは、主にATに関する期待度(ATの当選やATゲームに関する当選確率等)で強弱の差異が設けられている(詳細はATに関する説明で後述する)。
図50に示すように、「弱チェリー」の当選時には、小物19,小物20の条件装置が作動し、「強チェリー」の当選時には、小物19〜小物21の条件装置が作動する(各条件装置に対応する図柄組合せ等は、図52参照)。それぞれの当選役が選ばれたときの条件装置の作動について、詳細な説明は省略するが、小物19,小物20に基づく図柄組合せが有効ライン上に停止表示された場合には、弱チェリー又は強チェリーの何れかに入賞したことが分かり、小物21に基づく図柄組合せが有効ライン上に停止表示された場合には、強チェリーに入賞したことが分かる。
[10−1−7.スイカ役]
次に、入賞役としてのスイカ役について説明する。このスイカ役は、当選時にメダルの払出(5枚)が期待できる入賞役である。第1の実施形態では、弱スイカと強スイカの2種類のスイカ役が用意されている。弱スイカと強スイカとは、主にATに関する期待度(ATの当選やATゲームに関する当選確率等)で強弱の差異が設けられている(詳細はATに関する説明で後述する)。
図50に示すように、「弱スイカ」の当選時には、小物22の条件装置が作動し、「強スイカ」の当選時には、小物22,小物23の条件装置が作動する(各条件装置に対応する図柄組合せ等は、図53参照)。それぞれの当選役が選ばれたときの条件装置の作動について、詳細な説明は省略するが、小物22に基づく図柄組合せが有効ライン上に停止表示された場合には、弱スイカ又は強スイカの何れかに入賞したことが分かり、小物23に基づく図柄組合せが有効ライン上に停止表示された場合には、強スイカに入賞したことが分かる。補足すると、弱スイカの当選時には、右上がりライン又は右下がりライン上にスイカ図柄が揃って停止する可能性があり、強スイカの当選時には、中段ライン上にスイカ図柄が揃って停止する可能性がある。
[10−1−8.チャンス役]
次に、入賞役としてのチャンス役について説明する。このチャンス役は、当選時にメダルの払出(1枚)が期待できる入賞役である。第1の実施形態では、弱チャンス目と強チャンス目の2種類のチャンス役が用意されている。弱チャンス目と強チャンス目とは、主にATに関する期待度(ATの当選やATゲームに関する当選確率等)で強弱の差異が設けられている(詳細はATに関する説明で後述する)。
図50に示すように、「弱チャンス目」の当選時には、小物24の条件装置が作動し、「強チャンス目」の当選時には、小物25,小物26の条件装置が作動する(各条件装置に対応する図柄組合せ等は、図53参照)。それぞれの当選役が選ばれたときの条件装置の作動について、詳細な説明は省略するが、小物24に基づく図柄組合せが有効ライン上に停止表示された場合には、弱チャンス目に入賞したことが分かり、小物25,小物26に基づく図柄組合せが有効ライン上に停止表示された場合には、強チャンス目に入賞したことが分かる。
[10−1−9.最強目]
次に、入賞役としての最強目について説明する。この最強目は、当選時にメダルの払出(1枚)が期待できる入賞役である。図50に示すように、「最強目」の当選時には、小物27の条件装置が作動する。小物27の条件装置に対応する図柄組合せは、その構成図柄の配列上、リール停止ボタン211が適正な押しタイミングで操作されなければ停止することはできないが、適正な押しタイミングの操作によって最強目が入賞するときは、中段ライン上に「正」図柄が揃って表示される。
なお、最強目の当選確率は、何れの遊技状態においても1/65535(図49参照)と極めて低い確率に設定されており、所謂プレミア役としての位置付けることができる。そして、このようなプレミア役の当選時には、リール301の回転制御時にフリーズ制御を追加する等してもよく、その結果、特別な当選役に当選したことを遊技者が容易に把握できるようにして、遊技者の興趣を高めることができる。
以上がスロットマシン1におけるそれぞれの当選役と、それぞれの当選役に対応する図柄の組合せ態様である。
なお、これらの図柄は上記で説明した図柄や図柄の組合せ態様に限定されるものではない。また、上記の図柄に加えて複数種類の図柄を新たに設けることもできる。そして、当選役の種類をさらに増やすことや、あるいは減らすこともできる。さらに、上記で述べた当選役は全てを必ず設けることに限定されるものではなく、適宜必要な種類の当選役を選ぶこととしてもよい。
例えば、ボーナス役と小役(又はリプレイ役)との重複当選が設定されてもよい。このような重複役の当選時にどの役の図柄組合せが優先して有効ライン上に表示されるかは、リール停止処理によって制御される。
また、ATゲームのために用意される押し順小役の代わりに、押し位置小役を用意してもよい。詳細な説明は省略するが、押し位置小役とは、リール停止ボタン211の停止操作が、適正な停止タイミング(押し位置)で行われたときと不適正な停止タイミングで行われたときとで、異なる入賞態様を示すような小役である。このような押し位置小役を搭載する場合には、ATゲームにおいて、適正な押し位置を遊技者が容易に認識できるような教示又は告知を行うようにすることで、押し位置小役の当選時に、遊技者が対応役を容易に入賞させることができるようにし、多くのメダル獲得を可能にすることができる。
[11.ゲーム処理]
次に、スロットマシン1におけるゲーム処理の流れについて説明する。以下のゲーム処理は、メイン基板409(主にCPU1110等)にて実行される制御プログラム上の処理手順に沿って進行する。
図54は、スロットマシン1における基本的な1ゲームの処理手順を一通り示している。先ずステップS1では、ゲームスタートに備えるための初期設定を実行する。特に電源の立ち上げ時等においては、前述した各種装置の接続及び作動状況を確認するとともに、バックアップデータの有無を確認し、バックアップデータが存在する場合には、電源断前の状態に復帰させる処理を実行する。
次のステップS2では、投入口203から投入されたメダルの枚数により、あるいはすでに貯留されているメダルがある場合にはMAX投入ボタン206(あるいは1枚投入ボタン205)の押下操作により賭け数が決定され、始動レバー210の操作待ちの状態となる。すなわち、1回のゲームの賭け数が決定され、始動レバー210の操作が可能な状態となるまでがBET処理にて実行される。なお、第1の実施形態のスロットマシン1を、3枚のメダルを投入することによってゲームの実行が可能となる3枚掛け専用機とする場合には、1枚投入ボタン205が備えられなくてもよい。
ステップS3では、ステップS2において操作待ちの状態となった始動レバー210の操作によりゲームをスタートさせるとともに、いずれかの当選役を内部抽選の結果とするか否かを決定するための内部抽選処理を実行する。この内部抽選処理とは、以降のステップS4にて回転を開始する全てのリール301a,301b,301cが停止状態(遊技者の停止操作により停止状態となること)となる前の段階において、いずれかの当選役を当該ゲームの抽選結果とするかを決定するために実行されるものである。すなわち、この抽選の抽選結果がいずれかの当選役に該当する場合に限り、リール301a,301b,301cの停止操作が行われたときに、該当する当選役に対応する図柄組合せが有効ライン上に停止することが許容されるのである。
次いで、ステップS31では、ATの指示機能(所謂、ATナビ)に関する処理として指示機能処理を行う。指示機能処理では、ATゲームの当選及びその開始等が決定されるだけでなく、ATゲームが開始されるか否かを示唆又は教示する前兆演出が実行される前兆ゲームへの移行等も決定され、ATゲーム中であれば押し順等を教示するATナビが実行される。指示機能処理の詳細については、図57等を参照しながら後述する。本例では、メイン基板409とメイン基板以外の周辺基板(例えば、演出制御基板510)とで、それぞれに指示機能処理を行うとするが、これに限定するものではなく、例えば、全ての指示機能処理をメイン基板409で行うようにしてもよい。また、本例に示すステップS31の指示機能処理では、ステップS3における内部抽選処理の結果に基づいて、ATの指示機能に関する処理内容を決定するものとする。また、指示機能処理は、次段で説明するステップS4のリール回転処理が開始されるよりも前に終了することが好ましい。
次にステップS4では、ステップS3の内部抽選処理の終了に伴い全てのリール301a,301b,301cの回転を開始させるリール回転処理を実行する。このリール回転処理においては、全てのリール301a,301b,301cの回転が開始された時点でリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作を有効とし、リール停止ボタン211a,211b,211cが有効になったことを知らせる操作有効ランプ(図示しない)を点灯させるとともに、次回のリール回転処理が実行されるまでのタイマカウントを開始する。なお、操作有効ランプは各リール停止ボタン211a,211b,211cにそれぞれ内蔵されるランプである。
ステップS5では、遊技者によるリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が受け付けられて、その受け付け順に操作有効ランプを消灯させるとともに、対応するリール301a,301b,301cの回転を停止させるリール停止処理を実行する。
次のステップS6では、ステップS5において全ての右上がりライン)623bと、「ベル1図柄−リプレイ図柄−ベル1図柄」が表示されているライン(すなわち右下がりライン623a)の2つのラインのみを有効ラインとして
が停止状態になったと判定した時点で、有効ライン上に表示された表示内容(図柄の組合せ態様)と、上記のステップS3において決定された内部抽選の結果として許容されているものを照合して当選役の判定を行う判定処理を実行する。
ステップS7では、ステップ6において判定された当選役に対応する遊技特典の内容に基づくメダルの払出処理を実行する。また、ステップS6で判定された当選役が2種BBのように遊技状態の変更を伴う当選役である場合には、それぞれ遊技状態の変更(図49に示される遊技状態の変更)や再遊技等による各種遊技特典の付与を実行する。
以上が、スロットマシン1の基本的な1ゲームの処理手順である。ここで、ステップS2(BET処理)〜ステップS4(リール回転処理)は、遊技者によって行われる一連の外部操作(始動操作)を契機として内部処理が行われるものである。従って、これらの処理(ステップS2、ステップS3、ステップS31、ステップS4)をまとめて始動処理と呼ぶ。以下ではこの始動処理の具体的な説明をする。
[11−1.始動処理]
図55は、始動処理で行われる各処理を具体的に示したものである。
始動処理では、まずステップS101にてメダルの投入または1枚投入ボタン205、MAX投入ボタン206の操作が待ち受けられる。MAXベット操作またはメダル投入があると、ステップS101の判定が満たされ、ステップS102に移る。なお、この判定はMAXベットに相当するメダルの投入(つまり、規定数3枚の遊技の場合は3枚以上のメダルの投入、規定数2枚の遊技の場合は2枚以上のメダルの投入)やMAXベットとなる1枚投入ボタン205、MAX投入ボタン206の操作が有った場合にのみ満たされるものとしている。
次のステップS102では、受付処理として、ベット数(この例ではMAXベットのみ)を決定するとともに、ベット数に応じた有効ラインランプを点灯させる。第1の実施形態のスロットマシン1は、例えば規定数3枚のとき3枚のメダルが投入されると、右上がりライン623bと、右下がりライン623aの2つのラインが有効ラインとなり、これを示す有効ラインランプを点灯させる。
ステップS103では、始動レバー210の操作を有効化する。始動レバー210の操作が有効化されると、この始動レバー210の操作が受け付けられるまで操作待ちの状態となり、次のステップS104に移る。
次のステップS104では、始動レバー210の操作が有効化されているか、またその場合は始動レバー210の操作が受け付けられたかを判定する。先のステップS103にて始動レバー210の操作が有効化されている場合、遊技者による始動レバー210の操作が受け付けられると、この判定が満たされ、次のステップS105へ移る。
また、上記のステップS101にて遊技者がベット操作またはメダル投入をしない、あるいはMAXベットに至らないうちはステップS101の判定が満たされず、ステップS104に移る。このときはステップS104の判定も満たされず、ステップS101に戻り、以降の処理を繰り返す。
また、リプレイゲームでは、新たにメダルのベットを必要としない。これは、後述するリプレイゲーム処理にてMAXベットコマンドがRAM1114に格納されている場合、自動的にMAXベット状態にする。これにより、ステップS101の判定が満たされることになる。
ステップS105では、ステップS104での始動レバー210の操作を受けて、始動レバー210の操作を無効化する。
次にステップS106では、始動レバー210の操作があると、リール301a,301b,301cの回転が開始されるとともに、この始動レバー210の操作に基づいて乱数の抽出を行う。乱数の抽出を行った後、次のステップS107に移る。なお、このときの乱数を抽出するタイミングについては、始動レバー210の操作後直ぐに行ってもよいし、他にも例えば、所定時間(例えば0.5秒後など)後に行うなど、プログラミングの過程で適切な抽出タイミングを設定することができる。
ステップS107では、抽出された乱数値(以下では、抽出乱数値という)からいずれの当選役に該当するかの当たり判定(乱数値の照合)を行う。この当たり判定では、後述する当たり値判定テーブルにて抽出乱数値を照合する。ここで行われる乱数値の照合とは、予め決められた当選役の乱数値に、抽出乱数値が該当(合致、一致)するか否かを判定することである。このとき抽出乱数値がいずれかの当選役に該当すると判定された場合、該当する当選役に対応する条件装置をON(=1)にする(図50を参照)。なお、抽出された乱数値と当たり判定テーブルとを照合して行われる当たり判定における各当選役についての当選確率は、図49に示されるとおりである。
そして、フラグ処理では、当該ゲームにて抽出乱数値の照合を行う際に、判定の基準となる当たり値判定テーブルを決定する場合、後述するBBゲーム中フラグなどのゲーム状態フラグを参照して当該ゲームにおける当たり値判定テーブル(抽選テーブル)を決定する。すなわち、当該ゲームにてON(=1)状態となっているゲーム状態フラグ(遊技状態フラグ)に対応する当たり値判定テーブルをセットして抽出乱数値の照合を行う。ゲーム状態フラグは、遊技状態に応じたフラグがそれぞれ用意されているとし、例えば、一般状態中フラグ、ボーナス内部中フラグ、ボーナス中フラグがあるとする。そして、ボーナス内部中フラグ及びボーナス中フラグのいずれもOFF(=0)状態となっている場合には、常に一般状態中フラグをON(=1)状態とする。
一方、ステップS107にて、抽出乱数値がいずれの当選役にも該当しないと判定された場合、いずれの当選役にも該当しない「ハズレ」となり、いずれの条件装置も作動させない(図50を参照)。ここで、いずれかの条件装置がONになっているとき(作動/成立しているとき)には、その成立している条件装置に対応する図柄組合せを揃えることが可能となる。各条件装置に対応する図柄組合せは、図51〜53に示されるとおりである。従って、いずれの条件装置も成立していないハズレである場合は、いずれの当選役に対応する図柄組合せも、有効ライン上に揃えることができないことになる。上記のステップS106及びステップS107はスロットマシン1の内部にて乱数抽選を行ってものであり、以下ではこれらのステップのことを、まとめて内部抽選、あるいは内部抽選を行う等という。なお、この乱数の抽出からフラグ処理までは内部抽選(前述の図54のステップS3)に相当する。
なお、図54で前述したように、第1の実施形態のスロットマシン1では、ステップS31に示した指示機能処理が行われる。図55には不図示であるが、この指示機能処理は、図55のステップS107のフラグ処理の一部として実行されても良いし、又は、ステップS107のフラグ処理が完了してから、ステップS108でウェイトタイマタイムアップがタイムアップするまでの間に実行されてもよい。指示機能処理の詳細は後述するが、指示機能処理が行われる際は、ステップS107で判定された当選役を識別可能な情報が、コマンド通信によってメイン基板409から周辺基板(例えば、演出制御基板510)に通知される。
次のステップS108では、前回の始動処理(具体的には当該ゲームの1回前のゲーム)にてスタートさせたウェイトタイマがタイムアップ(例えば4.1秒経過)したか否かを判定する。なお、このウェイトタイマと呼ばれるタイマは、当該ゲームにおいてリールの回転が開始されたときから次回のゲームでリールの回転が開始されるまでの所定時間(例えば、4.1秒)の経過を計測するものである。ここで、ウェイトタイマがタイムアップ(既に4.1秒経過した)となった場合にはこの判定が満たされ、次のステップS109に移る。また、この判定はウェイトタイマがタイムアップするまでループする。
ステップS109では、全てのリール301a,301b,301cの回転を開始させる。そして全てのリール301a,301b,301cの回転の速さが一定となると、それぞれのリール停止ボタン211a,211b,211cの操作有効ランプを点灯させる。この点灯により、遊技者はリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が有効になったことを知ることとなる。
なお、スロットマシン1では、回転を開始したリールは遊技者による停止操作(リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作)が受け付けられるまで上記の一定の速さで回転を維持し続けるものである。
次にステップS110では、ウェイトタイマをリセットするとともに、次回の始動処理までウェイトタイマをスタートさせ始動処理は終了となる。
[11−2.内部抽選確率]
上記のとおり、スロットマシン1では、内部抽選の結果(抽出乱数値の照合の結果)が当該ゲームで該当する当選役(以下では、該当当選役をいう)として許容される。ここで該当当選役が許容されると、該当当選役に対応する条件装置を作動させて、この作動した条件装置の情報は、内部抽選の結果を示す情報コマンドとして以降の処理(リール停止処理、判定処理、払出処理等)に反映されることになる。
スロットマシン1では、乱数抽出を行う際の乱数値の範囲(これを抽出範囲という)を予め決めておくものである。この抽出範囲は、例えば、0から16383までの整数値(つまり、2の14乗=16384個の乱数)等と決めることができる。なお、第1の実施形態のスロットマシン1では、抽出範囲の乱数値を、便宜上、1から65535までとしているが、これに限られないことはいうまでもない。この乱数の抽出範囲を拡大すると、その分だけ抽出可能な乱数値の範囲(いわゆる分母)が大きくなるので特定の乱数値が偏って抽出されるといった事象が起こりにくくなる。
上記の抽出範囲内においては、さらにそれぞれの当選役に対応する乱数値が予め割り当てられている。例えば、抽出範囲(第1の実施形態のスロットマシン1では1から65535)内の乱数値のうち、当選役「2種BB」に対応する乱数値を「1」とすれば、抽出乱数値が「1」となった場合に、内部抽選の結果は「2種BBに当選した」ということになり、2種BBの条件装置であるBB1が当該ゲームでの情報コマンドとして処理されることになる。また、これを利用すると、抽出範囲及び2種BBに対応する乱数値から、2種BBの当選確率(2種BBが内部抽選の結果として選び出される確率、抽選確率)を算出することができる。図49の例では、一般状態における2種BBの当選確率は、〔2種BBに対応する乱数値の総個数/抽出範囲内の乱数値の総個数〕が6553/65535となることから、2種BBの当選確率は約1/10となる。
このように全ての当選役にはそれぞれ対応する乱数値が決められており、これらの乱数値は、それぞれの当選役に対応する当たり値と呼ばれる。上記の例(2種BB)では、抽出範囲内の乱数値「1」が2種BBに対応する当たり値ということになる。また、当たり値が複数存在する場合、例えば、所定役の当たり値を抽出範囲内の連続する乱数値「1」、「2」、「3」、「4」とすれば、この所定役の当たり値の範囲は乱数値「1」から「4」までとなる。そして、抽出乱数値が乱数値「1」から「4」までのいずれかに該当すると判定される(照合される)と、内部抽選の結果として「所定役に当選した」ということになる。なお、第1の実施形態のスロットマシン1では、図49に示したように、一の当選役のみに当選する単独役(例えば2種BB、チェリー、リプレイ等)が用意されているが、このような単独役の他に、複数の当選役が同時に当選する同時当選役(ボーナス役+小役が同時当選する「重複役」を含む)が用意されても良いことは前述した通りである。そして、このような重複役を用意する場合、重複役の当たり値についても、上記の当たり値に含まれる。
このことから全ての当選役はその当たり値の範囲が決められ、内部抽選で抽出乱数値がいずれかの当選役の当たり値の範囲に該当するか否かが判定されることになる。このとき、抽出乱数値がいずれの当選役の当たり値の範囲にも該当しない場合は、ハズレ、となる。すなわち、ハズレの当たり値の範囲は、全ての当選役の当たり値の範囲以外ということになる。なお、当たり値は当選許容値とも呼ばれることもある。
ところで、単独役とは、1つの抽出乱数値に対して1つの当選役が対応するものであり、同時当選役とは、1つの抽出乱数値に対して、複数(例えば2つ)の当選役が対応するものである。つまり、抽出された乱数値が同時当選役の当たり値に該当する場合、複数の当選役のいずれにも当選したということになる。このとき、複数当選役のそれぞれの当選役に対応する条件装置が同時に成立する(作動が許容される)。ただし、各当選役に対応する複数の条件装置が同時に成立したとしても、同時当選役に対する条件装置の優先度が設定されるため、実際には、成立した条件装置に対応する図柄組合せの全てが有効ライン上に停止し得るとは限らない。例えば、リプレイ役とボーナス役とが同時当選した場合、リプレイ役の引き込みが優先されるとすれば、ステップS5のリール停止処理はリプレイ役の引き込みを優先するように行われ、さらに、リプレイ役に対応する図柄組合せは押し順や押しタイミングに拘わらず常に有効ライン上に停止可能であることから、結果として、ボーナス役に対応する図柄組合せが有効ライン上に停止することはできず、常にリプレイ役の図柄組合せが停止されることになる。
また、図49によれば、ボーナス中は、停止操作における押しタイミング及び押し順に依存することなく入賞(又は成立)が期待できる押し順不問ベル(ベル1、ベル2)やリプレイの当たり値が抽出範囲の大半以上を占めている。具体的には、抽出範囲の全抽選値65535個のうち、リプレイに割り当てられる抽選値が30993個、押し順不問ベルに割り当てられる抽選値が32059個であるから、合計は63052個となり、抽出範囲の96%以上を占める。そして、第1の実施形態において、ボーナス中の規定数は2枚であり、リプレイが成立した場合はメダルを消費することなく次の遊技が提供され、押し順不問ベルが入賞した場合は9枚のメダルが払い出される。したがって、ボーナスゲームが実行されると、当該ボーナスゲームの実行期間(ボーナス中)に、多量のメダルが払い出されることとなる。
[11−3.遊技状態の制御処理]
以下では、第1の実施形態のスロットマシン1において行われる遊技状態の制御処理について説明する。
[11−3−1.遊技状態移行制御処理]
図56は、メイン基板409に搭載されたCPU1110により実行される遊技状態移行制御処理を示すフローチャートである。
先ず、ボーナスゲーム(BBゲーム)中であるか否かが判断され(ステップS151)、ボーナスゲーム中であると判断された場合は(ステップS151のYES)、当該ボーナスゲームの終了条件が満たされたか否かを確認する(ステップS152)。ボーナスゲームの終了条件が満たされていない場合は(ステップS152のNO)、ボーナス中の遊技状態が維持されたままリターンする。
ステップS152でボーナスゲームの終了条件が満たされた場合は(ステップS152のYES)、ボーナスゲームが終了し、一般状態に移行される(ステップS153)。一般状態では、一定期間にわたってゲームを実行したときに、この一定期間内に、ゲームの結果として払い出されるメダル枚数よりも遊技者がゲームを実行するために賭けるメダル枚数の方が多くなる。すなわち、一般状態は、遊技者がゲームを実行すると、それに伴ってメダル枚数が減少していく遊技状態である。
ステップS151においてボーナスゲーム(BBゲーム)中でないと判断されると(ステップS151のNO)、ボーナス内部中(ボーナス内部状態)であるか否かが判断される(ステップS154)。すなわち、内部抽選においてボーナス役(2種BB)に当選すると、ボーナス役に対応する条件装置が作動するが、このボーナス役に対応する条件装置は、内部抽選に当選したゲームにおいてボーナス役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されなかったとしても、次ゲーム以降においても、ボーナス役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されるまで継続して作動する。
ステップS154でボーナス内部状態であると判断された場合は、その後、ボーナス役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されたかの判断が行われる(ステップS155)。ステップS155でボーナス役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されたと判断されると(ステップS155のYES)、遊技状態がボーナス中(ボーナス状態)に移行し(ステップS156)、ボーナスゲームが実行される。また、ステップS155で否定結果が得られた場合は(ステップS155のNO)、ボーナス内部中の遊技状態が維持されたままリターンする。
一方、ステップS154においてボーナス内部状態ではないと判断されたときは、内部抽選でボーナス役(ここでは2種BBであるが、2種BBを含む重複役であってもよい)に当選したか否かが判断される(ステップS157)。ステップS157においてボーナス役に当選したと判断された場合は(ステップS157のYES)、遊技状態がボーナス内部状態に移行する(ステップS158)。なお、ボーナス役に当選したゲームでボーナス役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示された場合は、ボーナス内部状態でのゲームは行われず、遊技状態がボーナス状態に制御されてボーナスゲームが実行される。また、ステップS157においてボーナス役に当選しなかったと判断された場合は(ステップS157のNO)、一般状態に制御された遊技状態のままリターンする。
このように、第1の実施形態のスロットマシン1では、メイン基板409によって、一般状態、ボーナス内部状態、又はボーナス状態のうち何れかの遊技状態に制御される。一方、前述したように、第1の実施形態のスロットマシン1はAT機能を備えているが、AT機能によるATゲームの実行は、基本的には、上記の遊技状態の制御とは別系統で制御される。すなわち、一般状態及びボーナス内部状態の何れの遊技状態においても、ATゲームを実行することができる。但し、規則等の制限に抵触する場合はその限りではなく、例えば、ボーナス状態ではATゲームを実行できないとする。以下では、AT機能に関する遊技状態の制御処理について詳しく説明する。
[11−3−2.指示機能処理]
図54のステップS31で説明したように、第1の実施形態のスロットマシン1では、メイン基板409が、ステップS3における内部抽選処理によって当選役を選び出した後(抽選テーブルは、図49参照)、メイン基板409と周辺基板(具体的には例えば、演出制御基板510)との夫々によって指示機能処理が実行される。これらの指示機能処理が実行されることによって、ATゲームの当選及びその開始等が決定されるだけでなく、ATゲームが開始されるか否かを示唆又は教示する前兆演出が実行される前兆ゲームへの移行等も決定され(以上が指示機能発生処理)、ATゲーム中であれば押し順等を教示するATナビが実行される(指示発生処理)。
図57は、メイン基板によって実行される指示機能処理の大まかな処理手順を示すフローチャートであり、図58、図59は、図57に示す指示機能処理のうち、指示機能発生処理の詳細な処理手順を示すフローチャート(その1,その2)である。また、図60は、周辺基板によって実行される指示機能処理の処理手順を示すフローチャートである。以下では、まず、メイン基板409による指示機能処理について説明し、その後、周辺基板(演出制御基板510)による指示機能処理について説明する。
なお、以下の指示機能処理に関する説明では、様々なフラグが用いられるが、これらのフラグは、指示機能処理を実行する基板内のメモリ(例えば、メイン基板409のRAM1114、及び演出制御基板510のRAM1122)で保持される内部フラグであり、各基板のCPU等(例えば、CPU1110やCPU1118)によって値の書き換えや読み取りが行われる。また、メイン基板409と周辺基板(例えば演出制御基板510)との間で同名のフラグが用いられるとき、基本的にこれらの内部フラグは共通のデータ形式を有するとし、メイン基板409から周辺基板側にコマンド等の信号が送信されることによって、当該フラグの値が同期されるものとする。
また、上記の内部フラグの他に、変数データが用いられることもあるが、これらの変数データも、当該変数データを参照する基板のメモリ(例えば、メイン基板409の場合はRAM1114、演出制御基板510の場合はRAM1122)に保持されるとし、その値は、CPU等(例えば、メイン基板409の場合はCPU1110、演出制御基板510の場合はCPU1118)によって、読み込み又は書き換えが行われるとする。
[11−3−2−1.指示機能処理(メイン基板)]
まず、図57を参照しながら、メイン基板409による指示機能処理の概要を説明する。図57のステップS61では、指示機能を発生させるか否かに関する処理(指示機能発生処理)が行われる。指示機能発生処理の詳細は、図58、図59、図60を参照して後述する。
ステップS61の指示機能発生処理が終了すると、ATフラグがON(=1)であるか否かが判定される(ステップS62)。ATフラグは、ATゲーム中であるか否かを示すための内部フラグであって、ONである場合にはAT中であることを意味する。
ステップS62においてATフラグがONである場合は(ステップS62のYES)、ステップS63において指示発生処理を行ってATナビを発生させてから処理を終了する。一方、ATフラグがONでない、すなわちOFF(=0)である場合は(ステップS62のNO)、AT中ではないということを意味するので、指示発生を行うことなく、そのまま処理を終了する。
以上が、メイン基板409による指示機能処理の概要である。以下では、図57のステップ61に示した指示機能発生処理について、抽出テーブルの具体例を示しながら詳しく説明していく。図58では、主に特殊モード以外での処理が説明され、図59では、特殊モードにおける処理が説明される。「特殊モード」については後述する。
まず、図58のステップS601では、ATフラグがON(=1)であるか否かが判定される。ATフラグがONである場合は(ステップS601のYES)、格段の処理を行わないまま、指示機能発生処理を終了する。ATフラグがOFFである場合は(ステップS601のNO)、ステップS602において、AT内部フラグがON(=1)であるか否かが判定される。AT内部フラグは、AT中ではないものの内部的にはATゲームへの当選が決定している状態(AT内部状態)であるか否かを示すための内部フラグであり、具体的には、ATに当選後、ATゲームが開始されるまでの非AT状態であるときに、AT内部フラグがONにされる。また、ATに当選していないときやAT中は、AT内部フラグがOFF(=0)にされる。ステップS602において、AT内部フラグがONであった場合はステップS603の処理が行われ、ATフラグがOFFであった場合はステップS621の処理が行われる。
ステップS603では、AT上乗せ抽選が行われる。ステップS603におけるAT上乗せ抽選では、まず、ATの初期ゲーム数を上乗せするか否かが抽選され(初期ゲーム数上乗せ当否抽選)、さらに、上乗せすると決定した場合は、何ゲームを上乗せするかが抽選される(初期ゲーム数上乗せゲーム数抽選)。第1の実施形態のスロットマシン1では、ATの当選後に、当該ATが開始するまでに所定のゲーム期間(例えば、後述する前兆ゲームの期間)が設けられることがあり、このゲーム期間で所定の条件を満たした場合に、ATの初期ゲーム数が上乗せされることがあるとする。そして、ステップS603の処理が行われる場合は、ATフラグがOFFで(ステップS601のNO)、かつ、AT内部フラグがON(ステップS602のYES)であることから、前兆ゲーム中であることを意味するので、AT上乗せ抽選が行われる。なお、前兆ゲーム中は、内部フラグの1つである「前兆ゲームフラグ」がONになっている。
ここで、図61は、初期ゲーム数上乗せ当否抽選に用いられる抽選テーブルを説明するための図である。図61に示した抽選テーブルによれば、内部抽選処理(図54のステップS3参照)によって選ばれた当選役が、「リプレイ」、「押し順ベル」、「2種BB」、又は「はずれ」であった場合には、ほとんどの場合(65534/65535)で非当選が選ばれ、上乗せされない。一方、内部抽選処理によって選ばれた当選役が、上記以外、すなわち、「押し順不問ベル」、「スイカ(弱/強)」、「チェリー(弱/強)」、「チャンス目(弱/強)」、又は「最強目」であった場合には、ある程度の割合(16384/65535)で当選し、上乗せが選択される。
なお、図61で示した2つの当選役のグループは、以降の説明でも、簡略のために繰り返し使うため、「リプレイ」、「押し順ベル」、「2種BB」、及び「はずれ」の当選役を「A群の当選役」と呼ぶことにし、A群以外の当選役、すなわち、「押し順不問ベル」、「スイカ(弱/強)」、「チェリー(弱/強)」、「チャンス目(弱/強)」、及び「最強目」の当選役を「B群の当選役」と呼ぶことにする。言うまでもないが、このようなA群及びB群による当選役の区分は、あくまで説明上の一例であり、実際には、異なる当選役の区分であってもよいし、3以上の区分であってもよいし、抽選テーブルごとに異なる当選役の区分であってもよい。
また、図62は、初期ゲーム数上乗せゲーム数抽選に用いられる抽選テーブルを説明するための図である。初期ゲーム数上乗せゲーム数抽選は、初期ゲーム数上乗せ当否抽選で当選した場合に行われる。図62に示した抽選テーブルでは、当選役がA群の当選役であるかB群の当選役であるかによって、上乗せゲーム数の振分パターンが異なるように設定されている。およその傾向では、A群の当選役の場合は、比較的少ないゲーム数が選ばれることが多く、最大でも200ゲームまでしか選ばれない。一方、B群の当選役の場合は、少ないゲーム数が選ばれやすいことは同じであるが、A群の場合よりは高めのゲーム数が選択されやすく、さらに、200ゲームより多いゲーム数が選ばれる可能性もある。
ステップS603でAT上乗せ抽選が行われた後は、初期ゲーム数上乗せ当否抽選に当選したか否かが判定され(ステップS604)、当選したと判定された場合は、ステップS605において、現在の「AT初期ゲーム数」に、初期ゲーム数上乗せゲーム数抽選で選ばれた上乗せゲーム数を加算する処理が行われる(初期ゲーム数上乗せ)。「AT初期ゲーム数」は、ATの開始時に設定されるATゲームのゲーム数を示すための変数データである。その後、ステップS606の処理に進む。ステップS604で初期ゲーム数上乗せ当否抽選に当選していないと判定された場合も、ステップS606の処理に進む。
ステップS606では、「前兆ゲーム数」が1減算される。「前兆ゲーム数」は、ATの前兆演出(詳細は後述する)が発生し得る「前兆ゲーム」のゲーム数を示すための変数データである。
次いで、ステップS607では、前兆ゲーム数が0になったか否かが判定される。前兆ゲーム数が0以外、すなわち、前兆ゲームの期間が残っている場合には(ステップS607のNO)、指示機能発生処理を終了する。
一方、ステップS607において前兆ゲーム数が0であった場合は(ステップS607のYES)、前兆ゲームが終了したことを意味し、このとき、AT内部フラグはONであることから、ATゲームを開始させるために「ATフラグ」をONにする(ステップS608)。その後、AT内部フラグ及び前兆ゲームフラグをOFFにし(ステップS609,ステップS610)、「特殊状態フラグ」及び「各状態フラグ」もOFFにして(ステップS611,ステップS612)、指示機能発生処理を終了する。
ここで、「特殊状態フラグ」は、「特殊モード」でゲームが進行されるときにONにされる内部フラグである。第1の実施形態において、「特殊モード」とは、単なる演出モードではなく、AT抽選に関する当選確率等が優遇されている特殊なモードである。「特殊モード」に移行する際の条件等については、後に示す各ステップの処理で都度説明する。また、「特殊モード」となる場合に制御されるAT抽選遊技状態については、以下の説明では、専用の「特殊状態」のAT抽選遊技状態に制御されているときに「特殊モード」でゲームが行われる、とする。派生例については後述する。なお、「特殊状態」が複数(特殊状態1、特殊状態2、特殊状態3)存在する場合には(例えば、図63参照)、1つの特殊状態フラグで複数の状態を管理する(例えば、特殊状態フラグが0のときはOFF、1のときは特殊状態1、2のときは特殊状態2、3のときは特殊状態3とする)ようにしてもよいし、各特殊状態に応じた特殊状態フラグを有する(例えば、特殊状態1フラグ、特殊状態2フラグ、特殊状態3フラグが用意される)ようにしてもよい。何れにしても、特殊状態がON又はOFFという以下の判定では、何らかの特殊状態に制御されているときはONと判定し、何れの特殊状態にも制御されていないときはOFFと判定される。
また、「各状態フラグ」は、ATの初当り抽選等に関する当選期待度が異なるように用意される複数の「AT抽選遊技状態」(例えば、低確状態、高確状態、超高確状態、特殊状態1〜3、地獄状態等)の「各状態」についての制御状態を示すための内部フラグである。したがって、各状態フラグは特殊状態フラグや地獄状態フラグを含むと解することもできる。そして、第1の実施形態のスロットマシン1では、「各状態フラグをOFFにする」という場合は、全てのAT抽選遊技状態に関する状態フラグを初期設定に戻す(本例では、低確状態をONにする)ことを意味し、「各状態フラグをONにする」という場合は、直前の状態移行抽選によって選択されたAT抽選遊技状態に対応する状態フラグをONにする(その他の状態フラグはOFF)ことを意味する。また、「各状態フラグをOFFにする」という場合は、AT中ではない場合の各状態フラグ(例えば、AT中でなくても制御され得る低確状態、高確状態、超高確状態等の各状態に関する状態フラグ)を全てOFFにするようにしてもよいし、所定の状態をONにするようにしてもよい。「特殊状態」、「各状態」、「状態移行抽選(状態移行抽選A,B,C、特殊状態移行抽選)」等の詳細については、後述する。
ステップS602においてATフラグがOFFであった場合、すなわち、非AT中で、内部的にもAT当選していないときは、ステップS621において、特殊状態フラグがOFF(=0)であるか否かが判定される。特殊状態フラグがONであった場合(ステップS621のNO)の処理は、図59を参照しながら後述する。
ステップS621において特殊状態フラグがOFFであった場合は(ステップS621のYES)、AT初当り抽選が行われる(ステップS622)。AT初当り抽選は、ATゲームに当選していない状態でATゲームへの当落を決定する抽選である。ステップS622の処理が行われる状況は、AT中ではなく(ステップS601でATフラグOFF)、内部的にAT非当選であり(AT内部フラグOFF)、特殊モードでもない(特殊フラグOFF)、という条件から、ATにも前兆ゲームにも当選していない通常の状態、又は、ATに当選していない前兆ゲーム中(ガセ前兆中)と考えられる。
図63は、AT初当り抽選に用いられる抽選テーブルを説明するための図である。図63に示した抽選テーブルによれば、AT初当り抽選が行われるときに制御されている遊技状態と内部抽選によって選ばれた当選役とに基づいて、AT初当りの当選確率が設定されている。
ここで、図63の抽選テーブルに記載された遊技状態は、図49に記載されたような当選役の内部抽選において異なる置数が設定される「当選役抽選に関する遊技状態」(具体的には、一般状態、ボーナス内部状態、ボーナス状態)ではなく、AT初当りやATの前兆ゲーム等に関する抽選において異なる置数が設定される「ATに関する遊技状態」であり、以後、「AT抽選遊技状態」と呼ぶ。
図63によれば、AT抽選遊技状態の具体例として、AT初当りの当選確率が総じて高くなる順に、地獄状態、低確状態、高確状態、超高確状態、特殊状態1、特殊状態2、及び特殊状態3が用意されている。
各AT抽選遊技状態について簡単に説明すると、まず、地獄状態は、どのような当選役が選ばれてもAT初当りに当選する可能性がない、特別なAT抽選遊技状態である。次に、低確状態は、AT抽選遊技状態の初期状態であるとし、内部抽選によって比較的当選し難い低当選役(「レア役」とも呼び、具体的には、スイカ役、チェリー役、チャンス目役、最強目に相当する。また、ボーナス状態以外における押し順不問ベルをレア役に含めてもよい。)が選ばれた場合に、ある程度のAT初当り当選に期待することができる。特に、同種のレア役(例えば、弱スイカと強スイカ等)における当選確率を比較すると、「弱」系よりも「強」系のときに当選し易く設定されている。これらの傾向は、他のAT抽選遊技状態でも同様である。また、レア役以外の当選役(非レア役)、すなわち、内部抽選によって比較的当選しやすい高当選役(具体的には、リプレイ及び押し順ベル)が選ばれた場合には、何れのAT抽選遊技状態においても、AT初当りへの当選はほぼ期待することができない。
なお、本例では、内部抽選によって比較的当選し難い「低当選役(レア役)」は、有利遊技に関する期待度合い(例えばAT初当り当選)が比較的高い当選役であることから、「高期待役」である。一方、レア役以外の「高当選役(非レア役)」は、「高当選役」よりも有利遊技に関する期待度合いが低い当選役であることから、「低期待役」である。
そして、高確状態は、低確状態よりも総じて各当選役に基づいたAT初当りの当選期待度が高い遊技状態であり、超高確状態は、高確状態よりもさらに当該当選期待度が高い遊技状態である。
また、特殊状態1〜3は、本例において「特殊モード」のときに制御される専用の遊技状態である。特殊状態1〜3は、前述のAT抽選遊技状態(低確状態、高確状態、超高確状態)よりも、さらにAT初当りへの当選期待度が高められており、当選役がレア役であった場合には、少なくとも55000/65535以上の確率でAT初当りに当選する。また、図63によれば、特殊状態1よりも特殊状態2、特殊状態2よりも特殊状態3のほうが、AT初当りへの当選期待度が高く、有利度の高い遊技状態とされている。
なお、図63に示した抽選テーブルにおける振分は一例であって、例えば、特殊状態において当選役がレア役であった場合には必ずAT初当りに当選する等の振分が行われてもよい。また、これらの各状態は当選役に基づいて他の状態に移行する可能性があるが、このようなAT抽選遊技状態の移行抽選については、図71や図74等を参照しながら後述する。
第1の実施形態のスロットマシン1では、「当選役抽選に関する遊技状態」が一般状態又はボーナス内部状態に制御されているとき、「ATに関する遊技状態」が上記の何れかのAT抽選遊技状態に制御される。このようなAT抽選遊技状態の何れに制御されているかは、「各状態フラグ」のON/OFFによって管理される。「各状態フラグ」は、AT抽選遊技状態のそれぞれに対応して設けられる内部フラグであって、低確状態フラグ、高確状態フラグ、超高確状態フラグ、特殊状態フラグ(特殊状態1フラグ〜特殊状態3フラグ)、地獄状態フラグに相当する。これらの各状態フラグは、複数が同時にONになることはなく、何れか1つの状態フラグだけがONにされると、その他の状態フラグはOFFにされる。例えば、超高確状態に制御される場合は、各状態フラグのうち、超高確状態フラグがONにされ、その他の各状態フラグはOFFにされる。なお、「各状態フラグ」はAT抽選遊技状態の種類に対応した個別のフラグでなくてもよく、全てのAT抽選遊技状態を一括して管理するような内部フラグ(例えば、フラグ値が1のときは低確状態、2のときは高確状態、のように管理可能な内部フラグ)等であってもよい。
ステップS623では、ステップS622のAT初当り抽選によってAT初当りに当選したか否かが判定される。AT初当りに当選した場合は(ステップS623のYES)、ステップS624の処理が行われ、AT初当りに当選しなかった場合は(ステップS623のNO)、ステップS632の処理が行われる。
ステップS624では、「前兆ゲーム」を実行するか(移行するか)否かを決定するための前兆抽選が行われる。
ここで、第1の実施形態における「前兆ゲーム」や「前兆演出」について説明する。前述したことであるが、「前兆ゲーム」とは、「前兆演出」が発生し得る特別なゲームであり、抽選によって選ばれた所定ゲーム数(複数ゲーム数)に亘って前兆ゲームが行われる。そして、「前兆演出」とは、有利遊技状態への移行(この場合はATへの移行)に関する当否を、その結果によって示唆又は教示する演出である。「前兆演出」は、複数ゲームに亘って連続的に実行される演出とし、具体的な演出例としては、例えば、複数ゲームに亘って行われる「連続演出」と、1ゲームで完結する示唆演出(例えば、小役のナビ教示やタイトル表示等)とを織り交ぜて形成される。「連続演出」の詳細については、周辺基板による指示機能処理の説明(図60参照)で後述する。
図58,図59等を用いて説明する本例では、前兆ゲームのなかで必ず複数ゲームに亘って前兆演出が行われ、前兆演出の最終ゲームが前兆ゲームの最終ゲームになるようにしている。したがって、前兆演出が示すAT移行の当否結果は、前兆ゲームによる結果とも捉えることができる。また、第1の実施形態のスロットマシン1では、AT初当りに当選した場合(AT当選時)とAT初当りに当選していない場合(AT非当選時)の何れの場合も、前兆ゲームが開始される可能性がある。AT当選時に行われる前兆ゲーム(又は前兆演出)のことを「本前兆」と呼び、AT非当選時に行われる前兆ゲーム(又は前兆演出)のことを「ガセ前兆」と呼ぶ。本前兆の場合は、その最後でAT移行することが示され、ガセ前兆の場合は、その最後でAT移行しないことが示される。
なお、本発明による指示機能処理において実行が決定される前兆ゲームは、上記したように「連続演出」が行われる「前兆演出」を含むだけでなく、他にも様々な演出を含む態様で実行可能である。例えば、連続性のある連続演出ではないが、何らかの所定演出が通常よりも高頻度で発生するような「ざわつき演出」(例えば、特徴的な背景演出が頻発したり、キャラクタのセリフ等の色が変化する演出が頻発したりする等)を行うことが考えられる。
そして、このような「ざわつき演出」を用いる場合、前兆ゲーム(本前兆)のパターン例としては、「ざわつき演出A」+「連続演出A(前兆演出)」というパターン、「連続演出A」+「ざわつき演出A」+「連続演出B(前兆演出)」というパターン、「連続演出A」+「ざわつき演出A」+「ざわつき演出B」+「連続演出B(前兆演出)」というパターン等が実行可能である。本前兆の場合は、最終的にAT移行への当選を告知する必要があるため、最後は前兆演出が行われることが好ましい。
一方、前兆ゲーム(ガセ前兆)のパターン例としては、最終的にAT移行に当選しないため、ガセ前兆の最後に前兆演出が行われなくてもよいことから、本前兆で可能なパターンに加え、「ざわつき演出」のみというパターンや、「連続演出」と「ざわつき演出」とを組合せながら最後は「ざわつき演出」で終わるというパターン等も実行可能である。なお、ガセ前兆時に「ざわつき演出」で終わるパターンの場合は、その前に行われる「連続演出(前兆演出)」の終了を前兆ゲームの終了と見せかけ、「ざわつき演出」は前兆ゲーム以降のゲームで表示されているかのように見せかけてもよい。また、何れの前兆ゲーム(本前兆、ガセ前兆)でも、「連続演出」及び「ざわつき演出」以外に、通常時と変わらない「通常演出」を混合するようにしてもよい。
このように、本発明による指示機能処理における前兆ゲームは、様々なパターンで実行可能ではあるが、本例では、説明の簡略のために、何れの前兆ゲーム(本前兆、ガセ前兆)の場合も、「通常演出」+「連続演出(前兆演出)」というパターンでゲームが進行するものとする。このとき、前述したように、前兆ゲームのなかで必ず複数ゲームに亘って前兆演出が行われ、前兆演出の最終ゲームを前兆ゲームの最終ゲームにすることができる。
ステップS624における前兆抽選では、事前のステップS622でAT初当りに当選しているため、当該ATを開始する前に前兆ゲーム(本前兆)を行うか否かを決定する。一方、第1の実施形態のスロットマシン1では、AT初当り抽選で当選していない場合にも前兆抽選を行うようにしており(例えば、後述するステップS633)、このような前兆抽選では、前兆ゲーム(ガセ前兆)が行われるか否かが決定されるが、ガセ前兆の場合は、ATに移行するかもしれないと遊技者に期待させることができる前兆演出は実行されるものの、実際にはATへの移行は示されない。
なお、本実施形態のスロットマシン1では、メイン基板409は、前兆ゲームの実行可否の判定(例えば、ステップS624の前兆抽選)、及びその実行ゲーム数である前兆ゲーム数の決定(例えば、ステップS626の前兆ゲーム数抽選)までの処理を行い、その後の前兆ゲームの演出に関する処理(例えば、前兆ゲーム中を示唆する表示を行わせたり、前兆演出や連続演出の演出内容及び実行契機を決定し、決定結果に従って演出を実行させたりする等の処理)は、メイン基板409からの前兆ゲーム数コマンドを受信する周辺基板(例えば、演出制御基板510)によって行われることが好ましい。これは、上記処理の全て又は大多数をメイン基板409が行うようにした場合に、メイン基板409による処理量が過剰となり、メイン基板409の処理容量(容量の上限が規定されている)が溢れてしまうことを防止するためである。近年の遊技機では、演出の種類及び内容の充実が進んだ結果、演出に関する処理のために必要なデータ量が増大している。このような背景を考慮すると、やはり演出に関する処理をメイン基板409で行わせることは好ましくなく、上記のようにメイン基板409と周辺基板(演出制御基板510)とで処理負荷を分散させることによって、メイン基板409の処理容量を抑制できるだけでなく、容量制限に縛られない周辺基板による演出内容(演出パターン)の充実を図ることができる。前兆ゲームの演出に関する処理についての詳細は、周辺基板による指示機能処理(図80等)で後述する。
図64〜図66は、前兆抽選に用いられる抽選テーブルを説明するための図(その1〜その3)である。図64〜図66に示した抽選テーブルによれば、前兆抽選では、当選役及びAT抽選遊技状態に基づいて、前兆ゲームを実行するか否か(有/無)が抽選される。図64は、AT当選時に行われる前兆抽選で用いられる抽選テーブルの一例であり、言い換えれば、本前兆の前兆抽選に用いられる抽選テーブルである。また、図65は、非特殊モード(例えば、AT抽選遊技状態が特殊状態以外に制御されてゲームが行われる状態)でAT初当りに当選していない(AT非当選)場合に行われる前兆抽選で用いられる抽選テーブルの一例を示しており、図66は、特殊モード(例えば、AT抽選遊技状態が特殊状態に制御されてゲームが行われる状態)でAT非当選である場合に行われる前兆抽選で用いられる抽選テーブルの一例を示している。言い換えれば、図65,図66は、ガセ前兆の前兆抽選に用いられる抽選テーブルである。
ステップS624の前兆抽選では図64の抽選テーブルが用いられる。図64に例示された抽選テーブルを用いる場合、何れのAT抽選遊技状態であっても、前兆ゲームの実行が決定されるが、有/無の振分を変更して、前兆ゲームが実行されないケースを用意してもよい。
次に、ステップS625では、ステップS624の前兆抽選に当選したか否か、すなわち、前兆ゲームの実行が決定されたか否かを判定し、当選していた場合は(YES)、ステップS626の処理が行われ、当選していなかった場合は(NO)、ステップS631の処理が行われる。
ステップS626では、前兆ゲームを行うゲーム数(前兆ゲーム数)を決定するための前兆ゲーム数抽選が行われる。図67〜図70は、前兆ゲーム数抽選に用いられる抽選テーブルを説明するための図(その1〜その4)である。前兆ゲーム数抽選に用いられる抽選テーブルは、前兆抽選に用いられる抽選テーブル(図64〜図66)と同様に、当該抽選が行われるときの特殊モードの有無、及びAT当選の有無に応じて、異なる抽選テーブルが用意されている。図67は、特殊モード以外でのAT当選時に選択される抽選テーブルの一例であり、図68は、特殊モード以外でのAT非当選時に選択される抽選テーブルの一例であり、図69は、特殊モードでのAT当選時に選択される抽選テーブルの一例であり、図70は、特殊モードでのAT非当選時に選択される抽選テーブルの一例である。ステップS626では、図67の抽選テーブルが用いられる。
図67〜図70に示した抽選テーブルによれば、前兆ゲーム数抽選では、当選役及びAT抽選遊技状態に基づいて前兆ゲーム数が抽選される。そして、当該抽選によって選ばれた前兆ゲーム数の間、前兆ゲームが行われ、途中で前兆演出が現出され、その最後にATに移行するか否かの告知が行われる。なお、各抽選テーブルにおける当選役による振分について、図67〜図70では、前述した「レア役」と「レア役以外(非レア役)」とに当選役がまとめられている。これらの抽選テーブルは、当選役ごとに異なる抽選テーブルに分けて実装されてもよいが、図67〜図70にように、極力共通化した抽選テーブルとすることによって、メイン基板409が保持するデータ容量を削減する効果を奏する。
図67〜図70を比較すると、特殊モードのときは比較的少ない前兆ゲーム数(具体的には、4ゲーム)が選択されるのに対し、特殊モード以外のときは比較的長い前兆ゲーム数(具体的には8ゲーム以上)が選択される。
また、図67と図68を比較すると、特殊モード以外でのAT当選時(図67)とAT非当選時(図68)とでは、AT非当選時の前兆ゲーム数(すなわち、ガセ前兆の前兆ゲーム数)のほうが、AT当選時の前兆ゲーム数(すなわち、本前兆の前兆ゲーム数)よりもやや少ないゲーム数が選択され易くなっている。また、AT非当選時の最大の前兆ゲーム数は32ゲームであるのに対し、AT当選時の最大の前兆ゲーム数は36ゲームに振分があるため、前兆ゲームが特定のゲーム数(32ゲーム)を超えた場合には、その時点で、AT当選を示す本前兆であることが確定するという特別な効果を奏することができる。
ステップS626で前兆ゲーム数抽選が行われた後は、抽選で選ばれた前兆ゲーム数を「前兆ゲーム数」用の変数データにセットする(ステップS627)。そして、内部フラグの1つである「前兆ゲームフラグ」をON(=1)にするとともに(ステップS628)、AT内部フラグをONにする(ステップS629)ことで、以降のゲームで前兆ゲームが開始されるためのフラグがセットされる。そして、前兆ゲームが開始されるということは、特殊モード(特殊状態)ではなくなるということを意味するので、特殊状態フラグをOFFにし(ステップS630)、指示機能発生処理を終了する。
ステップS631では、AT初当り抽選に当選したものの前兆抽選には当選しなかったということで、前兆ゲーム数抽選を行うことなくATに移行するため、ATフラグをONにし、その後、指示機能発生処理を終了する。
ステップS632では、ステップS623でAT初当り抽選に当選しなかったと判定された場合の処理が行われるが、具体的には、前兆ゲームフラグがOFF(=0)であるか否かが判定される。ステップS632で前兆ゲームフラグがOFFであると判定された場合は(ステップS632のYES)、ステップS633の処理が行われ、ステップS632で前兆ゲームフラグがONであると判定された場合は(ステップS632のNO)、ステップS641の処理が行われる。
ステップS633では、前兆ゲームを実行するか否かを決定するための前兆抽選が行われる。ステップS633における前兆抽選は、前述のステップS624と同様の抽選処理であるが、ステップS623でAT初当りに当選していないため、図65に例示した抽選テーブルを用いて、ガセ前兆を行うか否かが抽選される。図65の抽選テーブルによれば、レア役以外(非レア役)の当選役が選ばれた場合には、ほぼ前兆ゲームの実行は選択されないが、弱系のレア役(弱スイカ、弱チェリー、弱チャンス目)が当選役として選ばれた場合には、前兆ゲームの実行が選択される可能性が高くなる。当選役が強系のレア役であった場合には、前兆ゲームが実行される可能性はさらに高くなり、最強目の場合は、必ず前兆ゲームの実行が選択される。
次いで、ステップS634では、ステップS633の前兆抽選に当選したか否か、すなわち、前兆ゲームの実行が決定されたか否かを判定し、当選していた場合は(YES)、ステップS635の処理が行われ、当選していなかった場合は(NO)、ステップS638の処理が行われる。
ステップS635では、前兆ゲームを行う前兆ゲーム数を決定するための前兆ゲーム数抽選が行われ、ステップS636では、抽選によって決定された前兆ゲーム数が「前兆ゲーム数」用の変数データにセットされ、ステップS637では、「前兆ゲームフラグ」がON(=1)にされる。ステップS635〜S637の処理は、前述のステップS626〜S628の処理と同様であるので、詳細な説明は省略する。ステップS637の後は、ステップS638の処理が行われる。
ステップS638では、AT抽選遊技状態の状態移行に関する抽選(状態移行抽選A)が行われる。状態移行抽選Aは、現在のAT抽選遊技状態が低確状態、高確状態、又は超高確状態であるときに、低確状態、高確状態、又は超高確状態のうち、どのAT抽選遊技状態に移行するか(現状態の継続を含む)を抽選するものである。なお、後述する図59のステップS678等では、現在のAT抽選遊技状態が特殊状態(特殊状態1〜3)であるときに、低確状態、高確状態、又は超高確状態のうち、どのAT抽選遊技状態に移行するかを抽選する状態移行抽選Bが示される。
ここで、図71〜図73は、状態移行抽選Aに用いられる抽選テーブルを説明するための図(その1〜その3)である。図71、図72、図73はそれぞれ、現在制御されているAT抽選遊技状態が低確状態、高確状態、超高確状態に制御されているときに用いられる状態移行抽選A用の抽選テーブルの一例である。状態移行抽選を行う際、現在、どのAT抽選遊技状態に制御されているかは、各状態フラグの値を参照することによって認識することができる。
図71〜図73に示す抽選テーブルの特徴を簡単に述べる。低確状態で用いられる図71を参照すると、低確状態のときは、当選役が最強目である場合を除いて、超高確状態に移行(昇格)することはほとんどなく、現実的な可能性としては、当選役がレア役であった場合に、高確状態への移行(昇格)が選ばれ得ることが分かる。特に、弱系のレア役のときに最も高確状態に昇格し易く、具体的には、16384/65535で高確状態への昇格が選択される。
高確状態で用いられる図72を参照すると、高確状態のときは、当選役がレア役であれば、低確状態に移行(降格)せず、当選役がリプレイ、押し順ベル、2種BB、はずれであった場合のかなり低い確率(1310/65535)でのみ、降格する可能性があることが分かる。上位状態である超高確状態には、当選役がレア役(特に、押し順不問ベルか弱系レア役)である場合に、移行(昇格)する可能性がある程度存在することが分かる。全体的に高確状態では、状態が維持又は昇格されることがほとんどであって、低確状態に降格することはほとんどない。
超高確状態で用いられる図73を参照すると、超高確状態のときは、当選役がレア役であれば低位の状態に移行(降格)することはなく、当選役がリプレイ、押し順ベル、2種BB、はずれであった場合のかなり低い確率でのみ、低確状態又は高確状態に降格する可能性があることが分かる。すなわち、多くの場合、超高確状態で状態移行抽選Aが行われても、超高確状態が維持されることで、ATに関する恩恵の高い状態が維持される。
なお、本実施形態のスロットマシン1では、AT抽選遊技状態の状態移行に関する状態移行抽選Aは、ATゲーム中に限定して行われるものではなく、非ATゲーム中の任意の遊技状態(例えば一般状態やボーナス内部状態)においても、同様に行われるとしてよい。そして、このような非ATゲーム中の状態移行抽選Aでは、図71〜図73に例示したのと同じ抽選テーブルが用いられてもよいし、遊技状態に応じて異なる振分が設定された別の抽選テーブルが用いられてもよい。
このように、本実施形態のスロットマシン1では、当選役に基づいて異なる移行確率が設定された抽選テーブルを用いてAT抽選遊技状態の状態移行が抽選されることから、各当選役の当選確率及び移行先状態の選択割合に基づいて、各AT抽選遊技状態が連続して制御されるゲーム数(所謂、平均滞在ゲーム数)を算出することができる。具体的には例えば、図49(当選役抽選の抽選テーブル)及び図71〜図73(状態移行抽選Aの抽選テーブル)を用いて、ボーナス内部状態における各AT抽選遊技状態の平均滞在ゲーム数を算出すると、低確状態の平均滞在ゲーム数は約120ゲーム、高確状態の平均滞在ゲーム数は約25ゲーム、超高確状態の平均滞在ゲーム数は約36ゲームとなる。そして、本実施形態のスロットマシン1では、各AT抽選遊技状態の平均滞在ゲーム数は上記算出例に限定されるものではなく、例えば、それぞれの平均滞在ゲーム数を予め設定し、当該設定に対応するように、各当選役の当選確率や移行先状態の選択割合を調整してもよい。
また、上記算出例の場合、最も長い平均滞在ゲーム数は低確状態の約120ゲームであり、最も短い平均滞在ゲーム数は高確状態の約25ゲームである。これに対し、その他のAT抽選遊技状態である「特殊状態」の滞在ゲーム数は、2ゲームから20ゲームの間から選択される(後述の図75参照)ため、特殊状態の平均滞在ゲーム数は、低確状態、高確状態、超高確状態の何れの平均滞在ゲーム数よりも短いゲーム数となる。本実施形態のスロットマシン1では、前段で述べたように、各AT抽選遊技状態の平均滞在ゲーム数は任意に設定することができるが、特殊状態の平均滞在ゲーム数が、その他のAT抽選遊技状態(低確状態、高確状態、超高確状態)の平均滞在ゲーム数よりも相対的に短いゲーム数とされることが好ましい。
ステップS638の状態移行抽選Aが行われた後は、当該抽選で決定された移行先の状態に対応するように各状態フラグをONにして(ステップS639)、指示機能発生処理を終了する。
一方、ステップS632で前兆ゲームフラグがONであると判定された場合は(ステップS632のNO)、ステップS641の処理として、「前兆ゲーム数」の変数データの値を1減算する処理が行われる。そして、ステップS642では、前兆ゲーム数が0であるか否かが判定される。前兆ゲーム数が0であると判定された場合は(ステップS642のYES)、前兆ゲームが終了したことを意味するため、前兆ゲームフラグをOFFにする(ステップS643)。また、前兆ゲーム数が0ではないと判定された場合は(ステップS642のNO)、前兆ゲームが継続していることを意味し、後述するステップS649の処理が行われる。
ステップS643の処理が行われた後は、「特殊モード(特殊状態)」に移行するか否かを抽選するための特殊状態移行抽選が行われる(ステップS644)。
ここで、第1の実施形態のスロットマシン1における特殊モード(特殊状態)への移行条件について説明する。第1の実施形態のスロットマシン1では、ATに移行するか否かを結果で表示(示唆、教示)する前兆演出が行われ得ることは上述した通りであるが、前兆ゲームで前兆演出が終了した後に、前兆ゲーム(又は前兆演出)の開始前の遊技状態(ここでの遊技状態は、AT抽選遊技状態を意味する)に戻るパターンだけでなく、さらに別の特殊な遊技状態(特殊状態)に制御されることがある(特殊モードへの移行)。なお、前兆演出でATへの移行が確定した場合は、そのままATゲームが開始されることから、特殊モードに移行することはない。したがって、このような特殊状態は、前兆ゲームでATへの移行が示されない場合(すなわち、ガセ前兆)の後にのみ制御され得る特殊なAT抽選遊技状態であり、本例では、特殊状態に制御されて進行されるゲーム状況を「特殊モード」と呼んでいる。
第1の実施形態のスロットマシン1では、ガセ前兆の終了後に、特殊モードに移行するか(特殊状態に制御するか)否かを抽選し、当該抽選に当選した場合には、特殊状態に制御する期間(特殊状態ゲーム数)を抽選によって決定する。そして、特殊状態ゲーム数が消化されるまで、特殊モードでゲームが進行され、その間に選ばれた当選役に基づいて、再度、AT抽選や前兆抽選等が行われる。ここで、第1の実施形態のスロットマシン1では、特殊モードにおけるATに関する抽選が、ガセ前兆の実行前よりも優遇された状況で行われることを特徴の1つとしており、このような特殊モードが用意されることによって、ガセ前兆によってATへの移行が否定された場合であっても、ATへの期待度が高い特殊モードに移行し得ることで、ガセ前兆による遊技者の期待感の低下を抑制し、特別遊技(ATゲーム)への期待感を維持させることができる。なお、特殊モードにおいてATに関する抽選が優遇されることは、例えば、図63に示したAT初当り抽選の抽選テーブルにおいて、特殊状態1〜特殊状態3の場合のAT初当り当選確率が優遇されていることに示されている。なお、特殊状態1〜特殊状態3は、このような優遇の度合いが異なるように分けて設定された遊技状態であり、特殊状態1<特殊状態2<特殊状態3の順に優遇度合が高い。
なお、本例では、特殊状態への移行が決定されたときの遊技状態に基づいて、特殊状態1〜特殊状態3の何れに制御されるかが決定されるとする。具体的には、低確状態で特殊状態への移行が決定された際は、移行先の特殊状態として特殊状態1が選ばれ、同様にして、高確状態の場合は特殊状態2が選ばれ、超高確状態の場合には特殊状態3が選ばれる。このようにすることで、特殊状態に移行する前の遊技状態の有利度合い(低確状態<高確状態<超高確状態)に応じたかたちで、移行先の特殊状態を優遇する(特殊状態1<特殊状態2<特殊状態3)ことができる。また、本実施形態のスロットマシン1では、上記例のように移行前の遊技状態と移行先の特殊状態とを1対1で対応させることに限定されない。他の例としては例えば、低確状態で特殊状態への移行が決定された際は、特殊状態1又は特殊状態2の何れかを移行先の状態として抽選し、同様にして、高確状態の場合は特殊状態2又は特殊状態3の何れかを抽選し、超高確状態の場合は必ず特殊状態3に移行するようにする等であってもよい。
また、図58,図59に示す処理では、ガセ前兆の最終ゲームで特殊状態移行抽選を行い、当該抽選に当選した場合、ガセ前兆が終了した直後に特殊モードに移行させるようにしている。このような処理を行うことによって、第1の実施形態のスロットマシン1では、ガセ前兆が最終ゲームに到達するまでは特殊モードに移行することがないため、AT移行が否定されることもない。したがって、ガセ前兆であっても、その最終ゲームまではAT移行に当選するか否かを遊技者に楽しませることができる。
また、第1の実施形態のスロットマシン1では、ガセ前兆の終了後に特殊モードに移行させるタイミングは、上述のようなガセ前兆の終了後の即移行に限定するものではない。例えば、ガセ前兆の終了後に特殊モードに移行させるまでの間に比較的短期の待機期間(待機ゲーム)を設けるようにしてもよい(但し、待機ゲーム期間はガセ前兆のゲーム数よりも短いことが好ましい)。そして、このような待機ゲームを設ける場合、待機ゲーム中は特定の演出状態に制御することが好ましい。特定の演出状態とは、具体的には例えば、所定の演出が高頻度で発生する高頻度演出モードが考えられる。待機ゲーム中は高頻度演出モードに制御するようにすれば、待機ゲームの複数ゲームに亘って演出を発生させることができるため、複数ゲーム間に亘って前兆演出に似た演出(ショート前兆)を実現することができ、遊技性の向上に期待できる。また、待機ゲームを設ける場合は、前兆ゲームがガセ前兆であったとしても、その終了後に待機ゲームと推測し得る演出が発生した場合に、特殊モードへの移行に期待できるようになるため、遊技者の興趣を維持させる効果に期待できる。
ステップS644では、上述したような特殊モードに移行するか否かを抽選するための特殊状態移行抽選が、所定の抽選テーブルを用いて行われる。図74は、特殊状態移行抽選に用いられる抽選テーブルを説明するための図である。図74に示すように、特殊状態移行抽選の抽選テーブルは、現ゲームの当選役と現在のAT抽選遊技状態(低確状態、高確状態、超高確状態)とに基づいて、特殊状態に制御される(特殊状態に移行する)当選割合が設定されている。具体的には、当選役がレア役であった場合は、AT抽選遊技状態に拘わらず、必ず特殊モードへの移行に当選する。当選役が非レア役の場合は、AT抽選遊技状態が優位度の高い状態であるほど、特殊モードへの移行に当選しやすいようにされており、超高確状態であれば、当選役が非レア役であっても、半分以上の割合(32768/65535)で特殊モードへの移行に当選する。なお、前述したように、特殊状態への移行が決定されたときは、当該決定されたときの遊技状態(低確状態、高確状態、超高確状態)に基づいて、特殊状態1〜特殊状態3の何れに制御されるかが決定されるとする。
そして、ステップS645では、ステップS644の特殊状態移行抽選で特殊モードへの移行に当選したか否かが判定され、特殊モードへの移行に当選した場合は(ステップS645のYES)、ステップS646以降の処理が行われ、特殊モードへの移行に当選しなかった場合は(ステップS645のNO)、後述するステップS649の処理が行われる。
ステップS646では、ステップS644の特殊状態移行抽選での当選を受けて、特殊モードに制御する期間(特殊状態ゲーム数)を抽選によって決定する(特殊状態ゲーム数抽選)。図75は、特殊状態ゲーム数抽選に用いられる抽選テーブルを説明するための図である。図75によれば、特殊状態ゲーム数は、当選役がレア役であるかレア役以外(非レア役)であるかによって異なる振分がされた中から抽選され、当選役が非レア役である場合は、2ゲームから9ゲームの間で選ばれ、当選役がレア役である場合は、2ゲームから20ゲームの間で選ばれる。図75の抽選テーブルの場合、当選役がレア役であったときのほうが、最大ゲーム数の期待が高いだけでなく、平均的なゲーム数も多いため、長く特殊モードが続くことに期待できる。特殊モードは、前兆ゲーム(又は前兆演出)の実行前の遊技状態よりもATに関して優遇されていることから、特殊モードが長く続くということは、ATへの期待度がより高くなることを意味する。
次いで、ステップS647では、ステップS646の特殊状態ゲーム数抽選で選ばれた特殊状態ゲーム数を、特殊状態ゲーム数を示すための変数データ「特殊状態ゲーム数」にセットし、その後、特殊状態フラグをONにして(ステップS648)、指示機能発生処理を終了する。
一方、ステップS642で前兆ゲーム数が0ではないと判定された場合、及び、ステップS645で特殊モードへの移行に当選していないと判定された場合は、ステップS649の処理として、状態移行抽選Aが行われる。ステップS649の状態移行抽選Aは、ステップS638で説明した状態移行抽選Aと同様であり、現在のAT抽選状態に対応する抽選テーブル(図71〜図73参照)を用いて、移行先の状態が決定される。
そして、ステップS650では、ステップS649の状態移行抽選Aで決定された移行先の状態に対応する各状態フラグをONにし、指示機能発生処理を終了する。
以上が図58に示した各処理の説明である。以下では、図59に示した各処理の説明を行う。図59に示した処理は、図58のステップS621で特殊状態フラグがONである(ステップS621のNO)と判定された場合に、続いて行われる処理である。図59において、図58で説明したのと同様の処理が行われる場合は、その詳細な説明を省略することがある。
まず、図59では、ステップS661において、AT初当り抽選が行われる。ステップS661のAT初当り抽選は、ステップS622で説明した処理と同じであるため、詳細は省略する。
次いで、ステップS662において、地獄状態フラグがOFF(=0)であるか否かが判定される。前述した通り、地獄状態は、どのような当選役が選ばれてもAT初当りに当選する可能性がない、特別なAT抽選遊技状態である。第1の実施形態のスロットマシン1では、前兆演出によってATへの移行に対する当選結果が示されない前兆ゲーム(ガセ前兆)の終了後、特殊状態に制御される。そして、特殊状態に制御されているゲーム期間(特殊モード)でレア役が当選役として選ばれる等してAT初当りに当選した場合には、当該ATへの移行に対する当選結果を示す前兆演出が発生する前兆ゲーム(本前兆)が実行される。この本前兆が実行される期間は、ATへの移行当選が確定していることから、更なるAT当選が行われても無駄な遊技となってしまう。したがって、第1の実施形態のスロットマシン1では、特殊モードでAT初当りに当選して本前兆が実行される場合、本前兆の期間を「地獄状態」に制御することで、無駄なAT当選が発生しないようにしている。また、特殊モードからガセ前兆に移行される場合も、地獄状態に制御することができる。
なお、本実施形態のスロットマシン1では、上記のような「地獄状態」に制御しているとき、AT当選を抑制するだけではなく、遊技者に有利な特典を付与するようにしてもよい。具体的には例えば、ATゲーム数の上乗せを行うAT上乗せ抽選が行われるようにしてもよい(通常のATゲーム時よりもAT上乗せ抽選を行われ易くする、でもよい)。なお、このAT上乗せ抽選に関する処理は、ステップS603で説明したAT内部状態で行われるAT上乗せ抽選と同様の処理を行うようにすればよい。
ステップS662において地獄状態フラグがOFFであると判定された場合は(ステップS662のYES)、ステップS663の処理が行われ、地獄状態フラグがOFFではない(ONである)と判定された場合は(ステップS662のNO)、後述するステップS681の処理が行われる。
ステップS663においては、当ゲームの当選役が、リプレイ、押し順ベル、2種BB、又は「はずれ」以外であるか否か(すなわち、当選役が「レア役」であるか否か)が、作動した条件装置を参照することで判定される。なお、当判定の基準となる当選役について、本例では説明の簡略のために「レア役」としているものであって、必ずしも「レア役」だけに限定する必要はなく、また、特定の「レア役」に限定してもよい。ステップS663において当選役が「レア役」であると判定された場合は(ステップS663のYES)、ステップS664の処理が行われ、当選役が「レア役」以外であると判定された場合は(ステップS663のNO)、ステップS671の処理が行われる。
ステップS664の処理は、特殊モードでレア役に当選した場合に行われる処理である。図64(AT当選時に行われる前兆抽選で用いられる抽選テーブル)を参照すると、当選役がレア役であるときにAT当選した場合は、必ず前兆ゲームが発生することが分かる。また、図66(特殊モードに制御されている状態でAT非当選である場合に行われる前兆抽選で用いられる抽選テーブル)を参照すると、当選役がレア役であるときは、AT初当り抽選に当選しなかった(AT非当選)としても、必ず前兆ゲームが発生することが分かる(後述のステップS672の処理が行われるときの状況に相当)。したがって、ステップS664の処理が行われる前に、図58のステップS624で示したような前兆抽選が行われるようにすることで(不図示)、前兆ゲームへの移行を確定させることができる。
なお、上記したように、特殊モードに制御されているときは、レア役が当選役として選ばれると、AT初当り抽選に当選しなかった(AT非当選)としても、必ず前兆ゲームが発生するので、連続演出(前兆ゲームにおける前兆演出)に繋がりやすい遊技状態である。したがって、特殊モード中の表示として「連続演出準備中」といったような画面表示を行わせる等して、連続演出が発生しやすい遊技状態であることを遊技者に示唆するようにしてもよい。また、特殊モード中にレア役に当選すると前兆ゲーム(及び連続演出)が発生することに着目して、特殊モード中の表示として「今、レア役を引けば?」といったような画面表示を行わせる等して、遊技者に対してレア役の当選に期待させるようにしてもよい。何れにしても、特殊モードは、その後の前兆ゲーム(又は前兆演出や連続演出)に繋がるモードと捉えることができるため、広義では、「その後の前兆ゲーム(又は前兆演出や連続演出)」のなかに特殊モードを含めることもできる。
そして、ステップS664では、前兆ゲームの実行が確定しているため、前兆ゲーム数抽選が行われ、当該抽選に続く処理として、抽選された前兆ゲーム数のセット(ステップS665)、及び前兆ゲームフラグのON(ステップS666)が行われる。なお、ステップS664〜S666の処理は、図58のステップ626〜S628で説明した処理と同様であるため、詳細は省略するが、ステップS664の前兆ゲーム数抽選では、図69又は図70に示した抽選テーブル(特殊モードでのAT当選時/AT非当選時に選択される抽選テーブル)が用いられる。
その後、ステップS667では、ステップS661のAT初当り抽選によってAT初当りに当選したか否かが判定される。AT初当りに当選したと判定された場合は(ステップS667のYES)、AT内部フラグがONにされ(ステップS668)、その後ステップS669の処理が行われる。AT初当りに当選したと判定されなかった場合は(ステップS667のNO)、ステップS669の処理が行われる。
ステップS669では、これまでの経過から前兆ゲームが開始されること(前兆ゲームフラグON)が確定しているため、特殊状態フラグがOFFにされる。さらに、この前兆ゲームの実行中(前兆ゲーム中)は地獄状態に制御されるべき状態であることから、ステップS670において、地獄状態フラグがONにされ、指示機能発生処理を終了する。
一方、ステップS663で当選役が「レア役」以外であると判定された場合は(ステップS663のNO)、ステップS671の処理として、ステップS661のAT初当り抽選によってAT初当りに当選したか否かが判定される。
ステップS671の判定処理においてAT初当りに当選したと判定された場合は(ステップS671のYES)、ステップS672の処理が行われる。ステップS672の処理が行われるときは、ステップS664で前述したように、必ず前兆ゲームを発生させる状況となる。したがって、ステップS672の処理が行われる前に、図58のステップS624で示したような前兆抽選が行われるようにすることで(不図示)、前兆ゲームへの移行を確定させることができる。
そして、ステップS672では、前兆ゲーム数抽選が行われ、その後、当該抽選で選ばれた前兆ゲーム数が変数データ「前兆ゲーム数」にセットされ(ステップS673)、前兆ゲームフラグがONにされる(ステップS674)。ステップS672〜S674の処理は、ステップS664〜S666や、図58のステップ626〜S628で説明した処理と同様であるため、詳細は省略する。その後、AT内部フラグがONにされ(ステップS675)、前述のステップS669以降の処理が行われる。
ステップS671の判定処理においてAT初当りに当選したと判定されなかった場合は(ステップS671のNO)、ステップS676の処理が行われる。
ステップS676の処理は、特殊モードでレア役に当選せず、AT初当りにも当選しなかった状況で行われる。図66を参照すると、このような状況では前兆ゲームは実行されない。したがって、ステップS676の処理が行われる前に、図58のステップS624で示したような前兆抽選が行われるようにすることで(不図示)、前兆ゲームに移行しないことを確定させることができる。
そして、ステップS676では、特殊モードのゲーム数を示すための変数データである「特殊状態ゲーム数」の値が1減算される。その後、ステップS677において、特殊状態ゲーム数の値が0であるか否かが判定され、0であると判定された場合は、特殊モードの終了を意味するので、状態移行に関するステップS678〜S680の処理が行われた後、指示機能発生処理を終了する。また、ステップS677において特殊状態ゲーム数の値が0ではないと判定された場合は、特殊モードが継続することを意味するので、ステップS678〜S680の処理を行うことなく、指示機能処理を終了する。
ステップS678では、AT抽選遊技状態の状態移行に関する抽選(状態移行抽選B)が行われる。状態移行抽選Bは、現在のAT抽選遊技状態が特殊状態1〜3の何れかであるときに、低確状態、高確状態、又は超高確状態のうち、どのAT抽選遊技状態に移行するか(現状態の継続を含む)を抽選するものである。
ここで、図76〜図78は、状態移行抽選Bに用いられる抽選テーブルを説明するための図(その1〜その3)である。図76、図77、図78はそれぞれ、現在制御されているAT抽選遊技状態が特殊状態1、特殊状態2、特殊状態3に制御されているときに用いられる状態移行抽選B用の抽選テーブルの一例である。状態移行抽選を行う際、現在、どのAT抽選遊技状態に制御されているかは、各状態フラグ(特に特殊状態フラグ)の値を参照することによって認識することができる。
図76〜図78に示す抽選テーブルは、何れも当選役に基づいて移行先の状態が抽選される。図76を参照すると、特殊状態1に制御されている場合は、超高確状態に移行することはなく、当選役がレア役であった場合は、必ず高確状態への移行が選択され、当選役が非レア役であった場合は、低確状態又は高確状態への移行がほぼ同程度で選択される。図77を参照すると、特殊状態2に制御されている場合は、低確状態に移行することはなく、当選役によって程度の差異はあるものの、高確状態又は超高確状態への移行が選択される。なお、当選役がレア役であった場合のほうが、非レア役である場合よりも、超高確状態への移行が選択され易いという傾向がある。図78を参照すると、特殊状態3に制御されている場合は、低確状態にも高確状態にも移行することはなく、必ず超高確状態への移行が選択される。このように、図76〜図78を比較すると、特殊状態1<特殊状態2<特殊状態3の関係で有利度の高いAT抽選遊技状態(低確状態<高確状態<超高確状態)への移行が選択され易いことが分かり、この点からも、特殊状態1<特殊状態2<特殊状態3で有利度合いが高いことが分かる。
そして、ステップS678の状態移行抽選Bが行われた後は、特殊モードが終了することから特殊状態フラグをOFFにし(ステップS679)、ステップS678の状態移行抽選Bで決定された移行先の状態に対応するように各状態フラグをONにし(ステップS680)、指示機能発生処理を終了する。
次に、ステップS662で地獄状態フラグがOFFではない(ONである)と判定された場合に行われるステップS681以降の処理を説明する。ステップS681の処理が行われる状況は、AT内部フラグがONではなく(ステップS602)、特殊状態フラグがOFFではなく(ステップS621)、地獄状態フラグがOFFではない(ステップS662)という場合であるから、例えば、特殊モードとなった後にAT非当選で前兆ゲーム(ガセ前兆)の実行が行われる状態に相当する。
ステップS681〜S689で行われる処理は、ステップS688の処理を除き、図58のステップS641〜S648で説明した処理と同様であるため、詳細は省略し、簡単な流れだけを説明する。
まず、前兆ゲーム数が減算され(ステップS681)、前兆ゲーム数が0になったか否かが判定され(ステップS682)。前兆ゲーム数が0になった場合は、前兆ゲームフラグがOFFにされて(ステップS683)、特殊状態移行抽選が行われ(ステップS684)、特殊モードへの移行に当選したか否かが判定され(ステップS685)、特殊モードへの移行に当選した場合は、特殊状態ゲーム数抽選が行われ(ステップS686)、抽選されたゲーム数が「特殊状態ゲーム数」にセットされ(ステップS687)、特殊状態フラグがONにされた(ステップS689)後、指示機能発生処理を終了する。但し、このとき地獄状態から特殊モードに移行することから、ステップS687とステップS689の間で地獄状態フラグをOFFにする処理が追加的に行われる(ステップS688)。
また、ステップS685の処理で特殊モードへの移行に当選しなかった場合は、状態移行抽選Cが行われる(ステップS690)。ここで、状態移行抽選Cは、図58のステップS638等で説明した状態移行抽選Aと同様に、AT抽選遊技状態の移行先を抽選するものである。但し、本例では、状態移行抽選Cにおいて、100%の確率で低確状態への移行が決定されるとすることで、次ゲームから有利度の低い低確状態に強制的に転落させる。
ここで、ステップS690の処理が行われる状況は、AT内部フラグがOFFで(ステップS602のNO)地獄状態フラグがONのとき(ステップS662のNO)に、前兆ゲーム数が0になり(ステップS682のYES)、さらに、特殊状態移行抽選で以後の特殊状態への移行が否定された(ステップS685のNO)ときである。具体的な遊技状況で説明すると、前兆演出の終了後に特殊モードに移行し、特殊モード中にレア役に当選したことによって再び前兆演出が行われた(この間、地獄モードに制御される)にも拘わらず、AT非当選であったときに相当し、本例では、このような場合に、特殊モード後の前兆演出の終了後(すなわち、地獄モードの終了時)に、低確状態に強制的に移行させる。
本実施形態において、特殊モード中に高期待役であるレア役に当選すること(AT抽選遊技状態の側面でいえば、地獄状態に制御されることを意味する)は、単なる前兆ゲームに移行することや、その後に特殊モードに移行することに比べて、遊技者にとって極めて有利な遊技状況である(但し、単なる前兆ゲームや特殊モードへの移行も、遊技者にとっては有利な遊技状況である)。しかし、このような極めて有利な遊技状況に到達できたにも拘わらず、結果として特別遊技(AT)に当選できなかった場合には、他の遊技状態よりも有利度合いが著しく低い低確状態に転落するようにしている。すなわち、本実施形態では、非常に有利度の高い遊技状況(特殊モード中のレア役当選)が現出されたにも拘わらず、有利結果(AT当選)が出せなかったときは、反動的に最悪の状態(低確状態)にすることで、遊技者に対して甘いだけの仕様にせず、メリハリの効いた遊技機を実現する。また、ホール側視点では、遊技者にとって有利なモード(具体的には、前兆モード、特殊モード、特殊モード後の前兆演出等)ばかりを備えた遊技機は、ホールに不利益を与える恐れが少なからずあるが、極めて有利な遊技状況の結果が失敗(AT非当選)に終わった場合には最悪の状態に移行することで、ホール側の利益を確保し得る。また、本実施形態のスロットマシン1では、特殊状態に制御されるゲーム期間を、その他の一般的なAT抽選遊技状態(低確状態、高確状態、超高確状態)よりも平均的に短くなるようにすることで、遊技バランスを保つことができる。
ステップS690の状態移行抽選Cが行われた後は、それまでの地獄状態から状態移行抽選Cで抽選された遊技状態に移行するために、地獄状態フラグをOFFにする処理が行われ(ステップS691)、状態移行抽選Cで選択された移行先の状態に対応する各状態フラグ(すなわち、低確状態フラグ)がONにされた(ステップS692)後、指示機能発生処理を終了する。
以上、図58及び図59に示した各ステップの処理が行われることによって、メイン基板409による指示機能発生処理(図57のステップS61)が行われ、当該処理の結果に基づいて、図57に示した指示機能処理のステップS62以降の処理が行われる。
[11−3−2−2.指示機能処理(周辺基板)]
次に、図60を参照しながら、周辺基板(具体的には例えば、演出制御基板510)による指示機能処理について説明する。周辺基板による指示機能処理は、メイン基板409による指示機能処理と並行して行うことによって、全体的な処理に要する時間の短縮が可能であるが、少なくとも、後述のステップS701で示すように、条件装置コマンドの受信が可能なタイミング以降であることが好ましい。
まず、図60のステップS701では、メイン基板409から送信された条件装置コマンドが受信される。条件装置コマンドは、メイン基板409で行われた当選役に関する内部抽選によって選ばれた当選役に基づいて作動が許容された条件装置(複数の条件装置の場合もある)を識別可能な情報がコマンド形式にされたものである。当該コマンドの具体的な形式は、一般的に使用されるコマンド形式であればよく、例えば、全ての条件装置のうちから作動が許容された条件装置だけにビットを立てて通知するような形式や、作動が許容された条件装置に対応付けられた識別番号のみを情報として通知するような形式等が考えられる。
なお、図示はしないが、周辺基板(演出制御基板510)は、ステップS701で条件装置コマンドを受信するのと前後して、メイン基板409による指示機能発生処理で用いられる各状態フラグ(特殊状態フラグ、地獄状態フラグを含む)の値を、コマンド等によって受信しているとする。また、ATフラグやAT内部フラグ等も、適宜コマンド等によってメイン基板409から周辺基板に送信されているとする。
ステップS701で条件装置コマンドを受信した後、ステップS702では、地獄状態フラグがONであるか否かが判定される。地獄状態フラグがONであると判定された場合は(ステップS702のYES)、ステップS703の処理が行われ、地獄状態フラグがONではない(OFFである)と判定された場合は(ステップS702のNO)、後述するステップS721の処理が行われる。
ステップS703では、前兆ゲームのゲーム数を通知する「前兆ゲーム数コマンド」を受信したか否かが判定される。「前兆ゲーム数コマンド」は、メイン基板409の指示機能発生処理において前兆ゲームの実行が決定されている場合に(前兆ゲームフラグON)、適切なタイミングで周辺基板にコマンドとして送信されるものとする。前兆ゲーム数コマンドを受信したと判定された場合は(ステップS703のYES)、ステップS704の処理が行われ、前兆ゲーム数コマンドを受信していないと判定された場合は(ステップS703のNO)、ステップS718の処理として、各種の演出表示を行うための処理が行われ、指示機能処理を終了する。
なお、ステップS718の処理が行われるときは、地獄状態ではなく、前兆ゲームも開始されていない状態であるから、具体的な「各種の演出表示」としては例えば、AT中であれば、AT中であることを遊技者に示す所定の演出画面の表示等が行われる。
ステップS704では、「連続演出フラグ」がOFFであるか否かが判定される。「連続演出フラグ」は、「連続演出」を含む「前兆演出」が実行中である場合に「ON」にされる内部フラグである。
ここで、第1の実施形態における「連続演出」について説明する。この「連続演出」とは、前兆ゲーム中に実行される前兆演出のなかで、1ゲームから複数ゲームまでの所定ゲーム数に亘って、連続的な演出内容で表示等が行われる演出に相当し、「連続演出」の最後には、特別遊技(ここではAT)に対する当否を教示(示唆/告知)する演出結果が表示される。したがって、連続演出の結果は、前兆演出の結果でもあり、さらにいえば、前兆ゲームの結果でもある。
ここで、第1の実施形態における「前兆演出」と「連続演出」との関係例を説明する。例えば、前兆演出の1ゲーム目には、「タイトル表示」を行う。このタイトル表示は、続く連続演出の内容を示すような表示(例えば、「主人公vs敵Aのバトル開始!」)でもよいし、単に連続演出の開始を示すような表示(例えば、「判定チャンス開始!」)等であってもよい。そして、前兆演出の2ゲーム目以降(連続演出の1ゲーム目以降に相当)では、連続演出の演出内容(後述の「連続演出内容」に相当)を表示する。そして、連続演出の最終ゲーム(前兆演出の最終ゲームでもある)では、当該連続演出による結果(ここではAT移行の可否であるが、その他の有利遊技状態への移行であってもよい)を告知(示唆/教示)する。なお、連続演出内容の表示を終了した次のゲームを連続演出の最終ゲームとして、当該連続演出による結果の告知を行うようにしてもよい。
指示機能処理に関する以降の説明において、「連続演出」とは、このようなAT移行に関する連続演出を意味する。なお、前兆演出や連続演出が「複数ゲーム」に亘って実行されるとする場合、この「複数ゲーム」は、1ゲームごとに当選役に関する内部抽選が行われるゲーム(本ゲーム)による複数ゲームであってもよいし、本ゲーム1回の間にリール301を複数回に亘って変動させることで創出される擬似的な複数ゲームであってもよい。
ステップS704において、連続演出フラグがOFFであると判定された場合は(ステップS704のYES)、ステップS705の処理が行われ、連続演出フラグがOFFではない(ONである)と判定された場合は(ステップS704のNO)、ステップS711の処理が行われる。
ステップS705では、「前兆演出(連続演出と捉えてもよい)」を発生させるか否かを決定するための連続演出発生抽選が行われる。前述した例では、前兆演出が発生されるときは、前兆演出の1ゲーム目でタイトル表示が行われ、前兆演出の残りゲームで連続演出が発生されるため、連続演出発生抽選によって連続演出を発生させるか否かを決定していると考えることもできる。
図79,図80は、連続演出発生抽選に用いられる抽選テーブルを説明するための図(その1,その2)である。図79は、AT内部フラグがONであるときに用いられる抽選テーブルの一例であり、図80は、AT内部フラグがOFFであるときに用いられる抽選テーブルの一例である。図79,図80は、何れも、当該時点での前兆ゲーム数(すなわち、残りの前兆ゲーム数)に基づいて、前兆演出(又は連続演出)を実行するか否かを抽選するように振分が設定されている。
図79,図80の例によれば、残りの前兆ゲーム数が5ゲーム以上又は1ゲーム以下のときは、前兆演出の発生に当選することはなく、残りの前兆ゲーム数が2〜4ゲームの場合にのみ、前兆演出の発生に当選する機会が与えられる。しかも、図79,図80の抽選テーブルでは、少なくとも残りの前兆ゲーム数が2ゲームになった時点で、必ず前兆演出の発生に当選する(255/255)ようにされている。また、ATに内部的に当選している場合(図79)とATに内部的に当選していない場合(図80)とを比較すると、ATに内部的に当選している場合のほうが、ATに内部的に当選していない場合よりも、残りの前兆ゲーム数が多い段階で前兆演出の発生に当選しやすいようにされている。このような抽選テーブルを用いて連続演出発生抽選を行うことによって、前兆演出(又は連続演出)の発生時に、当該演出が継続するほど、AT当選という遊技者にとって有利な結果に到達する期待度を高くすることができる。
残りの前兆ゲーム数に応じた前兆演出の内訳例を説明する。連続演出発生抽選において、例えば、残りの前兆ゲーム数が2のときに前兆演出の発生に当選した場合には、1ゲーム目(即実行されるため、残りの前兆ゲーム数2)でタイトル表示が行われ、2ゲーム目(残りの前兆ゲーム数1)で連続演出内容の1ゲーム目(連続演出の1ゲーム目。以下、同様)の表示が行われるとともに、前兆演出(又は連続演出)による結果の表示が行われる。
また、連続演出発生抽選において、例えば、残りの前兆ゲーム数が3のときに前兆演出の発生に当選した場合には、1ゲーム目(即実行されるため、残りの前兆ゲーム数3)でタイトル表示が行われ、2ゲーム目(残りの前兆ゲーム数2)で連続演出内容の1ゲーム目(連続演出の1ゲーム目)の表示が行われ、3ゲーム目(残りの前兆ゲーム数1)で連続演出内容の2ゲーム目(連続演出の2ゲーム目)の表示が行われるとともに、前兆演出(又は連続演出)による結果の表示が行われる。
また、連続演出発生抽選において、例えば、残りの前兆ゲーム数が4のときに前兆演出の発生に当選した場合には、1ゲーム目(即実行されるため、残りの前兆ゲーム数4)でタイトル表示が行われ、2ゲーム目(残りの前兆ゲーム数3)で連続演出内容の1ゲーム目(連続演出の1ゲーム目)の表示が行われ、3ゲーム目(残りの前兆ゲーム数2)で連続演出内容の2ゲーム目(連続演出の2ゲーム目)の表示が行われ、4ゲーム目(残りの前兆ゲーム数1)で連続演出内容の3ゲーム目(連続演出の3ゲーム目)の表示が行われるとともに、前兆演出(又は連続演出)による結果の表示が行われる。
ステップS706では、ステップS705の連続演出発生抽選で前兆演出の発生に当選したか否かが判定され、当選したと判定された場合は(ステップS706のYES)、ステップS707の処理が行われ、当選しなかったと判定された場合は(ステップS706のNO)、指示機能処理を終了する。
そして、ステップS707では、ステップS705の連続演出発生抽選で当選した前兆演出に対して、その前兆演出(又は連続演出)の内容を決定するための連続演出内容抽選が行われる。図81,図82は、連続演出内容抽選に用いられる抽選テーブルを説明するための図(その1,その2)である。特殊モード以外の場合は図81に例示した抽選テーブルが用いられ、特殊モードの場合は図82に例示した抽選テーブルが用いられる。
図81,図82では、演出内容として「弱ストーリー」、「強ストーリー」、「弱バトル」、「強バトル」の4種類が用意されており、それぞれAT内部フラグのON/OFFに基づいて、異なる振分で抽選が行われる。これらの4種類の演出内容は、AT当選に繋がる期待度(信頼度)としては、「弱ストーリー」<「弱バトル」<「強ストーリー」<「強バトル」という関係を持っており、同系の演出内容(ストーリー系、バトル系)では、「弱」よりも「強」の演出のほうが高い信頼度を有するようにされている。
以上のことから、前兆演出(又は連続演出)における信頼度(AT当選に繋がる期待度)は、前兆演出の継続ゲーム数(図79,図80を用いた連続演出発生抽選によって決定される)若しくは、前兆演出の演出内容(図81,図82を用いた連続演出内容抽選によって決定される)によって、可変に実現されることが分かる。
また、第1の実施形態では、特殊モードで連続演出内容抽選が行われるとき(図82を使用)、選ばれる演出内容は、タイトル表示を含めて必ず4ゲーム継続するように定められる。すなわち、特殊状態に制御されているときは、ステップS705の連続演出発生抽選において、残りの前兆ゲーム数が4であるときに必ず前兆演出の発生に当選するようにされるとすることで(不図示)、その後のステップS707における連続演出内容抽選でどのような演出内容が選択されたとしても、当該前兆演出が4ゲーム継続するようにできる。この4ゲームの前兆演出の内訳は、前述した通り、最初の1ゲームがタイトル表示で、残りの3ゲームで連続演出の内容表示が行われ、特に最終ゲームでは前兆演出(又は連続演出)による結果の表示が行われる。
上記の連続演出内容抽選によって前兆演出で表示される連続演出の演出内容が決定されると、ステップS708では、決定された演出内容に基づいた前兆演出の発生が開始される。そして、前兆演出が実行中であることから、連続演出フラグをONにして(ステップS709)、指示機能処理を終了する。
一方、ステップS704で連続演出フラグがOFFではないと判定された場合(すなわち、前兆演出の実行中)は、ステップS711の処理として、前兆ゲーム数が0か否かが判定される。前兆ゲーム数は、ステップS703で受信を確認した前兆ゲーム数コマンドを参照することによって確認できる。そして、前兆ゲーム数が0であると判定された場合は(ステップS711のYES)、前兆ゲームの終了に伴う処理としてステップS712の処理が行われる。前兆ゲーム数が0ではないと判定された場合は(ステップS711のNO)、前兆ゲーム中で、かつ、前兆演出の実行中であることから、ステップS717の処理として、現在実行中の前兆演出の表示(連続演出表示)が行われる。なお、ステップS717の処理によって表示される前兆演出は、ステップS707で決定された演出内容に基づいた前兆演出であって、前兆演出が開始されてからのゲーム数を参照することによって、正確に前兆演出を表示することが可能となる。
ステップS712では、特殊状態フラグがONであるか否かが判定される。前述したように、特殊状態フラグのON/OFFは、メイン基板409による指示機能発生処理において設定されるものであり、第1の実施形態のスロットマシン1では、例えば、前兆ゲーム(前兆演出)が終了した後などに、特殊状態に制御される(特殊モードになる)ことがある。そして、特殊状態フラグがONであると判定された場合は(ステップS712のYES)、ステップS713の処理として、特殊モードであることを遊技者に認識させ得る所定の表示(特殊状態画面表示)を出力させたうえで、指示機能処理を終了する。
また、ステップS712で特殊状態フラグがONではない(OFFである)と判定された場合は(ステップS712のNO)、AT内部フラグがONであるか否かが判定される(ステップS714)。AT内部フラグがONであると判定された場合は(ステップS714のYES)、AT内部当選状態で連続演出及び前兆ゲームが終了したことを意味することからATゲームが開始されるので、ステップS715の処理として、ATの開始を示す所定の表示(AT開始画面)を出力させたうえで、指示機能処理を終了する。AT内部フラグがONではない(OFFである)と判定された場合は(ステップS714のNO)、ステップS716の処理として、各種の演出表示を出力させたうえで、指示機能処理を終了する。
次に、ステップS721以降の処理について説明する。ステップS721以降の処理は、地獄状態フラグがON、すなわち地獄状態に制御されているときに行われる処理である。地獄状態に制御される状況とは、例えば特殊モードの後に前兆ゲームが行われるときであり、図63の抽選テーブルが用いられる場合は、地獄状態においてAT初当りに当選することはない。
このような地獄状態における処理として、まず、ステップS721において、連続演出フラグがOFFであるか否かが判定される。この処理はステップS704の処理と同様であるため、詳細は省略する。
そして、ステップS721において連続演出フラグがOFFであると判定された場合は、連続演出発生抽選が行われた後(不図示だがステップS705と同様)、ステップS722で連続演出内容の抽選が行われ、ステップS723で抽選結果に応じた前兆演出の発生が開始され、ステップS724で連続演出フラグがONにされ、指示機能処理を終了する。なお、ステップS722〜S724の処理は前述したステップS707〜S709の処理と同様であるから詳細は省略する。また、ステップS721において連続演出フラグがOFFではないと判定された場合は、前兆演出中であることから、ステップS725の処理として前兆演出表示(連続演出表示)を行って指示機能処理を終了する。ステップS725の処理は、ステップS717で説明した処理と同様である。
以上、図60に示した各ステップの処理が行われることによって、ATゲームや、ATゲームの前兆として位置づけ得る状態(例えば、前兆ゲームや特殊モード)に関して、周辺基板(演出制御基板510)で管理する制御処理を行うことができる。そして、メイン基板409による指示機能処理(図57等)と合わせて、第1の実施形態のスロットマシン1による特徴的な指示機能処理を実現することができる。なお、ATゲームの終了及びゲーム数管理に関する判定処理(ATゲーム判定処理)については、リール停止処理(図54のステップS5)の後で行われ、その詳細は[11−5−3]等で後述する。
なお、第1の実施形態のスロットマシン1による指示機能処理は、図57等に示した各処理の内容に限定されるものではなく、以下に示すような様々な派生パターンによる処理に置き替えることができる。また、このような派生パターンは、後述する[12]以降でも示される。
例えば、図57〜図60等を参照しながら説明した指示機能処理では、前兆ゲームフラグがONであるか否か(より厳密には、前兆ゲーム中で前兆ゲーム数が0であるか否か)を判定契機として特殊モードへの移行を抽選したが(例えば、図58のステップS632,S642,S644)、第1の実施形態のスロットマシン1による指示機能処理の派生パターンの一例として、前兆ゲームに強弱(強前兆と弱前兆)を設け、強前兆の場合には特殊モードに移行し易くする等してもよい。このようにすることで、特殊モードへの移行度合を適宜調整することが可能となるので、スロットマシン1の遊技性を高めることができる。
また、特殊状態移行抽選と抽選結果に基づく状態移行のタイミングについても、前兆ゲーム数が0となったときに限定するものではなく、例えば、前兆ゲーム中の適当なタイミングで特殊状態移行抽選を行って特殊モードに移行し得るようにしてもよい。このような場合は、前兆ゲームとその後の特殊モードとを合わせて一連の「前兆モード」のように見せることで、図57〜図60等で示したのとは異なる態様で、第1の実施形態の前兆ゲームや特殊モードを構成することができる。具体的には、「前兆モード」として32ゲームのゲーム期間が選ばれ、その中で前兆ゲームが行われているとして、前兆ゲームの途中で特殊状態移行抽選に当選した場合には、前兆ゲームから特殊モードに切り替えることで、「前兆モード」の残りのゲーム期間を特殊モードにすることができる。このとき、前兆ゲームがガセ前兆として終わったとしても、特殊モードはガセ前兆の実行前よりも有利度の高い遊技状態になることから、早いタイミングで特殊モードに移行できれば、特殊モードの期間が長く続き、AT当選への期待度を高めることができる。逆に、前兆ゲームから特殊モードに移行するタイミングが遅くなれば、前兆ゲームで行われる前兆演出によるAT当選結果の表示に長く期待させるとともに、その後に制御される特殊モードによって、改めてAT当選への期待感を抱かせることができる。
また、第1の実施形態のスロットマシン1では、前兆ゲーム(前兆演出)とその後の特殊モード(特殊状態)への移行に関して抽選テーブルの振分を調整することによって、特殊状態へ移行することなく前兆ゲーム内の前兆演出だけでAT当選が告知されるパターンを、当該前兆ゲームの実行契機となる当選役がレア役である場合は1/2とし、当該前兆ゲームの実行契機となる当選役がレア役以外(非レア役)である場合は100%(ほぼ100%近くであってもよい)とすることができる。このようにすることで、普段はATに当選し難い非レア役が選ばれたときに前兆ゲーム(又は前兆演出)に発展した時点で、ATへの当選期待度を格段に高めることができる。
また、図59に示した例では、ステップS663で説明したように、特殊モード中にレア役(低当選役)が当選役として選ばれたときに、前兆ゲームの発生を優遇したが、第1の実施形態のスロットマシン1は、特殊モードからの前兆ゲーム発生への移行についてレア役の当選に限定する必要はない。例えば、特殊モード中に当選役として非レア役(高当選役)が選ばれた場合でも、前兆ゲームの発生に期待できる程度の振分にしてもよく、具体的には例えば、当選役がベル(レア役の押し順不問ベルと非レア役の押し順ベルとを合わせて「ベル」と捉えてもよいし、非レア役の押し順ベルを主な「ベル」として捉えても良い)のときに、70%以上で前兆ゲームの発生が決定されるようにしてもよい。また、特殊モードにおけるAT初当りの当選(図59のステップS661)についても、高当選役(例えばベル)の当選時にもAT当選に期待できる程度の振分にしてよく、例えば当選役がベルのときに50%以上でAT当選するようにしてもよい。このとき、図63に例示した振分テーブルにおいて、押し順ベルに対応する当選値を変更すればよい。このようにすることで、特殊モード中は、通常では前兆ゲームの発生やAT当選にあまり期待できない高当選役であっても十分に期待できる当選役とすることができ、遊技者の興趣を高めることができる。
但し、上記したように特殊モードからの前兆ゲーム発生やAT当選について高当選役を優遇の対象に含める場合は、特殊モードの有利度合いが極めて高くなるので、全体的な出玉率等のバランスを維持する観点から、特殊モードのゲーム期間(特殊状態に制御されるゲーム数)を極端に短くすることが好ましい。このようにすることにより、特殊モードからの前兆ゲームの発生やAT当選の期待度を高める一方で、特殊モードのゲーム期間を短くした場合には、短期間の特殊モードに対する遊技者の期待感をさらに高めることができる。
なお、上記したように特殊モードのゲーム期間(ゲーム数)を極端に短くする場合、その具体的なゲーム数は、例えば以下のようにして決定することができる。
まず、第1例として、高当選役のうち押し順ベルを優遇の対象とする場合には、押し順ベルの当選確率の逆数に基づいた整数値を特殊モードのゲーム期間とする。図49に示した当選役の抽選テーブルによれば、ボーナス状態以外の遊技状態(一般状態、ボーナス内部状態)において、押し順ベルの当選率は約0.49(32000/65535から算出)であるから、その逆数は約2.04となる。したがって、押し順ベルの当選確率の逆数に基づいた整数値として、逆数に近似する整数値を採用する場合は「2」となり、逆数の小数点以下を切り上げた整数値を採用する場合は「3」となる。
特殊モードのゲーム期間を「2ゲーム」とする場合、このゲーム数は、当該ゲーム期間内に所定の当選役(この場合は押し順ベル)に当選できそうと遊技者が感じ得るゲーム数であるので、遊技者の遊技意欲や期待感を高める効果が期待できる。また、特殊モードのゲーム期間を「3ゲーム」とする場合、このゲーム数は、理論上は当該ゲーム期間内に所定の当選役(この場合は押し順ベル)に当選可能なゲーム数(すなわち、当選期待値が1以上)であるので、特殊モードを経て特典(前兆ゲームの発生やAT当選)が付与される可能性を高め、遊技者の期待感をより高められることができる。
次に、第2例として、高当選役のうち押し順ベル及びリプレイを優遇の対象とする場合には、優遇の対象とする当選役が選ばれる当選確率が第1例よりも高くなる(図49によれば、押し順ベル又はリプレイが当選する確率は、一般状態において約0.63であり、ボーナス内部状態において約0.96である)ことから、特殊モードのゲーム期間を第1例よりも短くして、例えば「1ゲーム」に限るようにする。特殊モードのゲーム期間を「1ゲーム」とする場合は、ガセ前兆による失敗結果が示された次遊技に限って、特殊モードに制御されて失敗結果を覆す機会が与えられるので、遊技者の遊技意欲を急激に高めることができる。
以上が、第1の実施形態のスロットマシン1における遊技状態の説明であるが、このような遊技状態の制御に関して各種の内部抽選で用いられる抽選テーブルは、それぞれ1通りである必要はなく、例えば、複数の設定値(例えば、設定値1から4までの4段階)を設け、設定値ごとに異なる抽選テーブルが用いられるようにしてもよい。具体的には、それぞれの設定値では内部抽選確率に格差(段階的な差、極端な差など)がつけられている。この設定値は、設定値1<設定値2<設定値3<設定値4、というように設定値が高くなるほどボーナス当選役やAT当選率等の抽選確率が優遇されるようにするとよい。例えば、設定値1に比べると設定値4ではBB1の当選確率が高く決められているのでBB1に当選する可能性が高いといったようなことである。このように段階的な設定値を設けることにより、設定値ごとに特徴を持たせて遊技者が設定値の推測する際の手掛かりとしたり、ホール等の経営に合わせた設定値にてスロットマシン1の運用をしたり、といったことが可能となる。なお、上記のような設定値に限られることはない。
[11−4.リール停止処理]
始動処理が終了すると、一定速度で回転を続けているリールを停止させるための操作(停止操作、つまりリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作)待ちの状態となる。図83では、一例として「テーブル方式」によるリール停止処理の内容を示している。以下では、リール停止制御の処理の流れを説明する。
リール停止処理では、まずステップS201で、当該ゲームでの内部抽選の結果に対応して作動した条件装置にしたがってリール停止制御テーブルを選択する。このリール停止制御テーブルは予め全ての条件装置に1対1で対応するパターンが用意されており、これらは読み出し専用のテーブルデータとしてメイン基板409のROM1112に格納されている。
上記のステップS201にて成立している条件装置に基づいてリール停止制御テーブルが選択された状態になると、各リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が受け付けられるまで待ち受け状態となる(ステップS202,S210,S217)。これらの待ち受け状態で、左リール301a、中リール301b、右リール301cの各リールがすでに停止しているか否か、あるいは第1リール停止フラグがONとなっていない状態(F=0、つまりOFFの状態)であるか否かを判定するとともに、合わせてリール停止ボタン211a,211b,211cのいずれかが押下されたかについても判定する。全てのリール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作が受け付けられるまでは、ステップS209の判定が満たされず、ステップS202以降の処理を繰り返す。
ここで、リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作の受け付けられた順番(停止操作手順)は、前述したように、「順押し」、「挟み押し」、「中順押し」、「中逆押し」、「逆挟み押し」、「逆押し」の6通りに分けられるが、図83に関する以下の説明では、これらの押し順を、第1に押下操作が行われたリール停止ボタン211に着目して3通りの押し順に分類する。すなわち、第1停止リールが左リール301aである場合を「順押し」、中リール301bである場合を「中押し」、右リール301cである場合を「逆押し」と呼ぶ。
ステップS202では、左リール301aが停止状態となったことを示すフラグ(左リール停止フラグLF)がOFF(LF=0)であり、なおかつ、左リール停止ボタン211aの押下操作が受け付けられたかを判定する。ステップS201で、リール停止ボタン211a,211b,211cの押下操作の待ち受け状態から「順押し」の停止操作手順に沿って最初(第1番目)に左リール停止ボタン211aが押下されたとすると、ステップS202の判定が満たされ、ステップS203に移る。
ステップS203では、第1リール停止フラグがOFF(F=0)であるか判定する。ここでいう「第1リール」とは第1番目に停止操作が受け付けられる、あるいは第1番目に停止するリールのことをいう。この例(「順押し」)では、左リール301aの停止操作が第1番目に受け付けられるので、第1リール停止フラグがOFFの状態(F=0)となっている。従って、ステップS203の判定は満たされ、次のステップS204に移る。
次のステップS204では、左リール301aについて第1リール停止処理が行われる。この第1リール停止処理では、作動している条件装置に対応するリール停止制御テーブルに基づいて内部抽選フラグに対応する当選役図柄の停止位置の制御を実行する。
ステップS206では、残りの中リール301b、右リール301cのリール停止制御テーブルを決定する。前述のとおり、スロットマシン1の有効ラインは右上がりラインと右下がりラインとの2ラインのみであるため、この時点で残りのリール(中リール301b、右リール301c)の停止制御テーブルは1つに決定することができる。つまり、第1停止リール(この場合は左リール301a)の図柄表示窓401内の図柄(これを停止目と呼ぶ、以下同様)のうち特に上段位置または下段位置の図柄が当選役図柄となる可能性のある図柄であった場合、その該当図柄を基準とした有効ライン上に残りのリール(中リール301b、右リール301c)の該当当選役図柄を揃えることの可能なリール停止制御テーブルを選択することになる。
ステップS207では、第1リール停止フラグをON(F=1)として、次のステップS208に移る。
次いでステップS208では、左リール停止フラグLFをON(LF=1)として、ステップS209に移る。
そして、ステップS209では、全てのリール301a,301b,301cが停止状態となったかを判定する。この例では、まだ左リール停止フラグLFがONとなっただけであり、中リール301b及び右リール301cはまだ回転中であることから、この判定が満たされず、ステップS202に戻り以降の処理を繰り返し実行する。
そして、再びステップS202以降の処理が実行される場合、すでに左リール301aは停止状態となっているのでステップS202の判定は満たされず、ステップS210に移る。
ステップS210では、中リール301bが停止状態となったことを示すフラグ(中リール停止フラグMF)がOFF(MF=0)であり、なおかつ、中リール停止ボタン211bの押下操作が受け付けられたかを判定する。ここでは「順押し」の停止操作手順に沿うため、中リール停止ボタン211bの押下操作が受け付けられることとなる。従って、ステップS210の判定が満たされ、次のステップS211に移る。
ステップS211では、上記のステップS203と同様に第1リール停止フラグがOFF(F=0)であるか判定する。そして、この時点ではすでに第1リール停止フラグはON(F=1)となっているため、この判定が満たされず、ステップS213に移る。
ステップS213では、中リール停止処理として、作動している条件装置に対応するリール制御テーブル(この場合は上記のステップS206で決定したリール停止制御テーブル)に基づいて該当当選役図柄の停止位置の制御を実行する。そして、このとき中リール301bは第2番目に停止するリール(第2リール)となり、ステップS212,S214,S215は全て迂回され、ステップS216に移り、中リール停止フラグMFをON(MF=1)としてステップS209に移る。
そして、再度ステップS209では、左リール301a及び中リール301bが停止状態となっただけであり、まだ右リール301cは回転中で停止状態(右リール停止フラグRFがOFFとなっている)となっていないので、この判定が満たされず、ステップS202に戻り、再度以降の処理を繰り返し実行する。
さらに、3度目のステップS202以降の処理では、先ずステップS217で右リール停止フラグMFがOFF(MF=0)であり、なおかつ、右リール停止ボタン211cの押下操作が受け付けられたかを判定していくことになるが、以降のステップS218,S220等の処理は、上記のステップS210以降の処理(ステップS211,S213)と同様であるため詳細な説明は省略する。
そして、ステップS223にて、右リール停止フラグRFをON(MF=1)として、ステップS209に移る。
最後にステップS209では、この時点において、全てのリール301a,301b,301cが停止状態となっていることから、この判定が満たされ、リール停止処理が終了する。
なお、「中押し」の停止操作手順の場合も上記と同様の説明ができるため詳細は省略する。ただし、「逆押し」の停止操作手順の場合は上記の説明と一部異なる点があるため、以下に説明する。
「逆押し」の停止操作手順で、上記の「順押し」あるいは「中押し」の停止操作手順と異なる点は、ステップS221(第1リール停止処理の後に残りのリール停止制御テーブルの決定)についてである。すなわち、「逆押し」の停止操作手順では、右リール301cのみが停止状態となり、なおかつ、右リール301cの停止目のうち、下段位置にいずれかの当選役図柄があった場合、まだ2つの有効ラインのいずれにも該当当選役図柄を揃えることが可能である。従って、ステップS221の段階では、いずれの有効ラインにも該当当選役図柄を揃えることのできるリール停止制御テーブルを複数用意しておき、いずれかを選び出すものとすればよい。
[11−4−1.リール停止制御]
上記のリール停止処理では、成立フラグに対応した当選役図柄(該当当選役図柄)を極力図柄表示窓401内に引き込むリール停止制御を行う(いわゆる、引き込み制御といわれる)。具体的には、遊技者によるリールの停止操作が受け付けられた時点で、図柄表示窓401内に停止させることが可能な範囲(該当当選役図柄を引き込むことが可能な範囲、例えば、図柄4個分)を予め決めておき、その範囲内に該当当選役図柄がある場合、これを図柄表示窓401内に引き込んでリールを停止させる制御を実行する。なお、ここでいう「引き込むことが可能な範囲」とは、リールの停止操作が受け付けられてから当該リールが停止するまでに、リールの回転方向にみて移動が可能な図柄の最大数のことをいう。例えば、引き込み可能な範囲を最大で図柄4個分とすれば、当該リールの停止操作が受け付けられた場合、その位置を基点にしてさらに図柄4個分までリールの回転移動が可能となる。
従って、このようなリール停止制御によれば、リールの停止操作が受け付けられた時点で、図柄表示窓401内に該当当選役図柄がなかったとしても、該当当選役図柄が引き込み可能な範囲内にあれば、その該当当選役図柄を図柄表示窓401内にまで移動させたうえで停止させることが可能となる。また、この引き込み制御を行うことにより、遊技者は該当当選役図柄の目押しのタイミングが多少早かったとしても、引き込み可能範囲内に当該当選役図柄があれば、その当該当選役図柄を図柄表示窓401内に引き込んで停止させることができる。従って、取りこぼし(当該当選役図柄を揃えることができずに当該当選役に対応する遊技特典を獲得できずにその遊技特典が消滅してしまうこと)が生じることを極力抑えることができる。
スロットマシン1では、リプレイ役や押し順不問ベル(ベル1,ベル2)等に対応する条件装置が作動している場合には、遊技者の目押しを必要とせずに必ず該当当選役図柄を揃えることができる。これは、リプレイ役、ベル1、ベル2等のそれぞれに対応する図柄組合せを構成する図柄について、対応するそれぞれの当選役図柄が最大で4個分の図柄おきに配置されているからである(前述の図46参照)。リールの引き込み制御において、最大引き込み数が4個(4コマ)とされるとき、上述のように最大4個分の間隔で配置された図柄は、押しタイミング(押し位置)に拘わらず、常に有効ラインに引き込むことが可能となる。
具体的には例えば、所定のリプレイ役の当選時にリプレイ図柄が中段に揃うとするとき、リプレイ図柄について着目すると、左リール301a上では、リプレイ図柄からリプレイ図柄までのあいだに他の図柄が最大で4個分配置されている(図46参照)。これにより、左リール301aでは、リールのどの位置で停止操作が受け付けられても、リプレイ役に対応する条件装置が作動している限り、必ずリプレイ図柄を有効ライン上のいずれかに引き込んで停止させることができる。
また、内部抽選の結果がボーナス役と小役との重複役であるような場合は、ボーナス図柄よりも小役を優先的に引き込むものとしている。ボーナス役と小役との重複役に当選した場合、この当選したゲームにおいては小役に対応する図柄組合せが表示されたとしても、当該ボーナス役の成立状態が次ゲーム以降に維持され、次ゲーム以降の小役(又はリプレイ役)が成立しなかったゲームにおいて、当該ボーナス役に対応する図柄組合せが表示される。
以上がテーブル方式によるリール停止処理の一例である。これとは別にコントロール方式によるリール停止処理があるが、これについても公知の処理を適用可能であるため、ここでは具体的な説明を省略する。また、第1の実施形態においてコントロール方式またはテーブル方式のいずれのリール停止処理を実行してもよく、どの方式を採用するかは制御プログラムを構築するにあたって適宜決定すればよい。
[11−5.判定処理]
リール停止処理が終了すると、メイン基板409は、図柄表示窓401内にていずれかの有効ライン上に当選役図柄が揃っているか(いずれかの当選役に該当する図柄の組合せ態様が表示されているか)否かについて判定を行う。図84では、この判定処理の内容を具体的に説明する。
リール停止処理により全てのリール301a,301b,301cが停止した状態となると、図柄表示窓401内の停止目の態様から、いずれかの有効ライン上に当選役図柄が揃っているか(当選役に対応する図柄の組合せ態様が表示されているか)否かを判定する。なお、特に全てのリール301が停止状態となった場合の停止目は停止出目と呼ばれる。
まず、ステップS301では、ボーナスゲーム中であるかを判定する。これは、所定のゲーム状態フラグ(例えばボーナスゲーム中フラグ)のON状態(=1)、OFF状態(=0)を判定することである。ボーナスゲーム中フラグがON(=1)となっていると、ステップS301の判定が満たされるので、ステップS302の処理に移行する。また、ボーナスゲーム中フラグがOFF(=0)となっていると、ステップS301の判定が満たされず、ステップS312の処理に移行する。
ステップS302では、有効ライン上に停止した図柄組合せがボーナス図柄(ボーナス役に対応する図柄組合せ)であるか否かを判定する。図柄組合せの判定を具体例で説明すると、ボーナスを図49等に示した2種BBとすれば、2種BBに対応する図柄組合せとは、有効ライン上に「赤7」の図柄並びであり(図53の条件装置「BB1」参照)、何れかの斜めライン上にこのような図柄並びが停止しているときに、2種BB図柄(ボーナス図柄)が停止したと判定できる。このようにして、ボーナス図柄の図柄組合せが有効ライン上に停止したと判定した場合は(ステップS302のYES)、ボーナスゲームの開始に関するボーナスゲーム開始処理を行い(ステップS303)、その後、処理を終了する。ボーナスゲーム開始処理については、図85を参照して後述する。一方、ステップS302において有効ライン上に停止した図柄組合せがボーナス図柄ではないと判定した場合は(ステップS302のNO)、ステップS304の処理に移行する。
ステップS304では、有効ライン上に停止した図柄組合せがリプレイ図柄(リプレイ役に対応する図柄組合せ)であるか否かを判定し、リプレイ図柄であると判定した場合は、リプレイゲーム処理を実行する(ステップS305)。このリプレイゲーム処理では、当該ゲームでのベット数と同じベット数(この例ではMAXベット)にて次回のゲームを開始させるために、MAXベットコマンドをRAM1114に一旦記憶させる。このコマンドに基づき、次回のゲームを再遊技として開始させることができる。ステップS305の処理後は、リプレイ当選フラグをOFF(=0)にして(ステップS306)、処理を終了する。
ステップS304において有効ライン上に停止した図柄組合せがリプレイ図柄ではないと判定した場合は(ステップS304のNO)、次なる判定処理として、当該図柄組合せが小役図柄(小役の入賞を示す図柄組合せ)であるか否かを判定する(ステップS308)。ステップS308で小役図柄であると判定した場合は、ステップS309の処理として、揃っている小役図柄に応じた規定枚数のメダルの払い出しを実行する(メダル放出装置110より規定枚数のメダルを払い出す)。そして、メダルの払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612に表示する)。これにより、遊技者には当該小役に対応した規定枚数のメダルが払い出されたことが報知(告知、表示)される。そして、ステップS309の処理が終了した後は、該当する小役当選フラグをOFF(=0)にして(ステップS310)、処理を終了する。
ステップS308において有効ライン上に停止した図柄組合せが小役図柄ではないと判定した場合(ステップS308のNO)、上記のステップS302,S304,S308のいずれの判定も満たされず、有効ライン上にはいずれの当選役図柄も揃っていない。なお、このときの出目は「ハズレ目(バラバラな図柄の組合せ態様)」とも呼ばれる。このような場合には、ハズレ処理を実行する(ステップS311)。ハズレ処理では、この時点でON(=1)状態となっている当選フラグがボーナスを除く他の当選フラグの場合、当該当選フラグをOFF(=0)にする。また、いずれの当選フラグもON(=1)となっていない場合(このときはハズレフラグがON(=1)となっている)には、ハズレフラグをOFF(=0)にする。ステップS311のハズレ処理の後は、判定処理を終了する。
上記のステップS302からステップS311までの処理は、遊技状態が一般状態又はボーナス内部状態に制御されている場合に実行する処理となる。次に、ステップS301の判定が満たされなかった場合に行われるステップS312以降の処理について説明する。ここでの処理は、遊技状態がボーナス状態に制御されたボーナスゲーム(BBゲーム)中に実行する処理である。
ステップS312では、有効ライン上にボーナスゲーム時払出図柄が揃っているかを判定する。ここでいう「ボーナスゲーム時払出図柄」とは、ボーナスゲーム中に揃うことでメダルの払出が行われる図柄組合せの総称を意味し、具体的には、ボーナスゲーム時払出役(本例では、一般状態又は内部状態において払出が規定された小役と同じとしているが、特別なボーナス専用役を用意してもよい)に対応する図柄組合せである。ステップS312で肯定判定が得られた場合は、揃っているボーナスゲーム時払出図柄に応じた規定枚数のメダルの払出処理を実行する(ステップS313)。メダルの払出処理では、メダル放出装置110より規定枚数のメダルを払い出すとともに、メダルの払出枚数を払出枚数表示LED612に表示する。このようなメダルの払出処理によって、遊技者には当該ボーナスゲーム時払出役に対応した規定枚数のメダルが払い出されたことが報知(告知、表示)される。
ステップS313に次いで、ステップS314では、当該ボーナスゲームを終了させるか否かを判定するボーナスゲーム終了判定処理を実行し(詳細は図86を参照して後述する)、その後、判定処理を終了する。
ステップS312においてボーナスゲーム時払出図柄が停止していないと判定した場合は(ステップS312のNO)、当該成立フラグをOFF(=0)にして(ステップS315)、処理を終了する。ステップS312でNOとなるパターンとしては、ボーナスゲーム時払出役に当選したが取り零した場合、及び、ボーナスゲーム時払出役に当選しなかった場合が考えられる。ステップS315の処理において、前者の場合は、ボーナスゲーム時払出役の成立フラグをOFFにし、後者の場合は、ハズレフラグをOFFにする。なお、ボーナスゲーム中に必ず当選するようなボーナス専用役が用意され、さらに、そのボーナス専用役の当選時には取り零しなく当該役の入賞を可能とするような場合には、ステップS315の処理を省略してもよい。
以上のステップS301〜S315の処理が、メイン基板409(特にCPU1110)によって行われる遊技状態の判定処理であるが、その後、ステップS320でATゲーム判定処理を行う。
第1の実施形態のスロットマシン1は、前述したようにAT機能を備えているため、1回の遊技ごとに、ATゲームの終了及びゲーム数管理に関する判定処理(ATゲーム判定処理)を行う必要がある。第1の実施形態では、[11−3−2]の説明において、メイン基板409(特にCPU1110)が、ATに関するフラグの多く(例えば、AT内部フラグやATフラグ等)を管理し、これらのフラグを周辺基板(例えば、演出制御基板510)にコマンドとして通知する例を挙げたので、以下の説明では、ATゲーム判定処理もメイン基板409が行うものとする。但し、メイン基板409による処理として限定するものではなく、メイン基板409から送信されたコマンドに含まれる内部抽選の結果や停止図柄に関する情報に基づいて、演出制御基板510等がATゲーム判定処理を行うようにしてもよい。
なお、ATゲーム判定処理が行われるタイミングは、図84に示す判定処理のうちの適当なタイミングであれば良いが、ここでは、一例として、ステップS306,S310,S311,S314,S315の各処理の後に、ステップS320のATゲーム判定処理が行われるとする。ATゲーム判定処理の詳細については、[11―5―3]で図87を参照しながら説明する。
[11−5−1.ボーナスゲーム開始処理]
前述の図84のステップS302の判定が満たされた場合、ボーナスゲーム開始処理を実行する。このボーナスゲーム開始処理について図85を用いて説明する。
まず、ステップS401では、ボーナスフラグ(例えば、BBフラグ)がON(=1)となっているかを判定する。ステップS401の判定が満たされると、ステップS404に移る。ステップS404では、ボーナスゲーム中フラグをON(=1)にするとともに、ボーナスフラグをOFF(=0)にする。次いでステップS406にて、ボーナスゲーム中の累計払出枚数カウントをクリアする。これにより、次のゲームから累計払出枚数の累算が実行される。そして、次ゲームからは、ボーナスゲームの規定数(本例ではBBゲームの規定数は2枚)のベット数でボーナスゲームが開始される。
また、ステップS401の判定が満たされない場合、ステップS402に移り、エラー処理を実行する。このような場合となるのは、ボーナスフラグがOFF(=0)であるにも関わらず、ボーナス図柄が揃ってしまうような場合が該当する。すなわち、何らかの不正な手段(例えば、ゴト行為)が行われたか、あるいはスロットマシン1に故障が生じたか、いずれかの場合に起こり得るものである。従って、エラー処理では、エラーランプ604の点灯や、その他前述のLED等にエラー発生を知らせる表示を行う。
[11−5−2.ボーナスゲーム終了判定処理]
続いて、前述の図84のステップS314のボーナスゲーム終了判定処理について図86を用いて説明する。
まず、ステップS451では、前述の図84のステップS313にてメダルの払い出しがあったことを受けて、ボーナスゲーム中の累計払出枚数に当該ゲームの払出枚数を加算する。
次にステップS452では、累計払出枚数がボーナスごとに規定された総払出枚数(例えば200枚)を超えたか否かを判定する。このステップS452の判定が満たされない場合、ステップS454に移り、ボーナスゲーム中の累計払出枚数を表示する(払出枚数表示LED612等に表示する。なお、累計払出枚数は表示用のLED等を別途設けてこれに表示するものとしてもよい)。
一方、ステップS452の判定が満たされなかった場合は、ボーナスゲーム中フラグをOFF(=0)にし(ステップS460)、処理を終了する。
[11−5−3.ATゲーム判定処理]
図87は、ATゲーム判定処理の処理手順を示すフローチャートである。[11−3−2]等で前述したように、ATゲームは、AT抽選でATに当選したことに基づいて実行されるゲームであり、ATゲームが実行されているときに押し順小役(押し順ベル)の当選役に当選すると、多くのメダルの獲得に期待できる「適正な押し順」がナビによって教示(明示)される。ATゲーム判定処理は、このようなATゲームの開始、継続、並びに終了等に関する判定処理であり、ATの制御主体(例えば、演出制御基板510)によって行われる。以下では、図87を参照してATゲーム判定処理の一例を説明する。
まず、ATゲームの概要を説明する。ATゲームは、ATゲームの開始条件が成立した場合に開始され、ATの終了条件が成立するまでの間、以降のゲーム期間で継続して実行される。[11−3−2]の指示機能処理で説明したように、ATゲームの開始条件が満たされた場合には、所定の内部フラグ(ATフラグ)がON(=1)にされてATゲームが開始され、ATゲームの終了時にはATフラグはOFF(=0)にされる。なお、ATフラグのようなATゲームに関する内部フラグや後述するATゲーム数等の情報は、ATゲームを制御する基板内のメモリ(例えば、演出制御基板510のRAM1122)で保持されるとする。
ATゲームが開始される条件(ATフラグがONになる条件)については、[11−3−2]で詳述した通りであるが、簡単に言えば、AT抽選でATに当選した状態(AT内部フラグがON)で、当該当選したATの開始条件が成立することである。また、これも既述したことであるが、ATフラグがONにされてATゲームが開始するときは、AT内部フラグはOFFにされる。
図87のステップS501では、ATゲーム判定処理の最初の処理として、現在のATフラグを前ゲームのATゲーム判定処理におけるATフラグと比較して、ATフラグがON(=1)になったか否かを判定する。すなわち、ステップS501では、前ゲームから現ゲームにかけて、ATフラグがOFFからONになったか否かを判定する。前ゲームのATゲーム判定処理におけるATフラグの値は、別途記憶されているとする。ATフラグがONになったと判定された場合は(ステップS501のYES)、AT開始時のATゲーム数をセットし(ステップS502)、処理を終了する。AT開始時のATゲーム数(所謂、初期ゲーム数)は、固定ゲーム数が予め設定されるようにしてもよいし、AT当選時にゲーム数が抽選されてもよいし、その他の方法によって決定されてもよいが、ここでは一例として、前述の指示機能処理で決定済の初期ゲーム数がAT開始時のATゲーム数としてセットされるとする。
このようなステップS502の処理が行われることで、次ゲームからATゲームが開始される。なお、ATゲームの開始時には、ATゲームの開始、及びATゲーム数を遊技者に明示する演出が行われる(例えば、AT開始画面の表示)。
一方、ステップS501でATフラグがONになったとは判定されなかった場合、すなわち、ATフラグがOFFであるか、ATフラグが前ゲームからONである場合は(ステップS501のNO)、ATフラグがON(=1)であるか否かを判定する(ステップS505)。ATフラグがONであると判定された場合は(ステップS505のYES)、ATゲーム中の1ゲームが行われたということであるから、ATゲーム数の値を「1」減算する処理を行う(ステップS506)。ステップS505においてATフラグがONではないと判定された場合は(ステップS505のNO)、ATゲーム中ではないので、そのまま処理を終了する。
ここで、第1の実施形態のスロットマシン1では、ATゲーム開始時に決定された開始時ゲーム数とは別に、ATゲーム中に所定の条件を満たしたことに基づいて、ATゲーム数を追加する上乗せ機能を有しているとする。ATゲーム数の上乗せが行われる際は、所定の内部フラグ(上乗せフラグ)がON(=1)にされるとともに、追加されるATゲーム数(上乗せゲーム数)が決定される。なお、上乗せが決定される条件は特に限定せず、役抽選における特定の当選役の当選であってもよいし、別の何らかの抽選結果に基づいて決定される等してもよい。また、上乗せゲーム数の決定方法についても、特段の方法に限定しない。そして、以下のステップS507〜S509の処理は、ATゲーム数の上乗せ機能を有する場合に行われる処理である。
まず、ステップS507では、上乗せフラグがON(=1)であるか否かを判定する。上乗せフラグがONであった場合は(ステップS507のYES)、現在のATゲーム数に上乗せゲーム数を加算する処理を行い(ステップS508)、上乗せフラグをOFF(=0)にする(ステップS509)。この結果、残りのATゲーム数が上乗せ分だけ増加することになり、遊技者にとって有利なATゲームの継続期間が延長される。
ステップS509の処理後(上乗せ機能を有しない場合は、ステップS506の処理後)、現在のATゲーム数が「0」であるか否かを判定し(ステップS510)、「0」であった場合は、ATゲームの終了条件を満たすことになるので、ATフラグをOFF(=0)にして(ステップS511)、処理を終了する。なお、このとき、ATゲームの終了を遊技者に明示するだけでなく、一連のATゲームに関する情報(例えば、当該ATゲームにおける払出メダルの総数やATゲーム継続数等)も遊技者に明示するようにしてよい。
ステップS510の判定で、現在のATゲーム数が「0」ではなかった場合は(ステップS510のNO)、ATゲームの終了条件を満たしていないため、ATフラグを変更せずに処理を終了する。その結果、以降のゲームでもATゲームが継続される。
なお、図87で説明したATゲーム判定処理は、ATゲーム用の遊技状態に制御されるゲーム期間(ATゲーム期間)が、1ゲームごと1カウント減算される方式である場合の処理例であるが、ATゲーム期間が他の減算方式(例えば、ATナビの出現回数によってATゲーム期間が定められる方式)によって管理される場合は、当該減算方式に応じた適切なATゲーム判定処理を行うことが望ましい。
また、本実施形態のスロットマシン1では、ATゲーム判定処理のために、ATゲームの開始を示す内部フラグ(例えばAT開始フラグ)をATフラグとは別に用意してもよい。AT開始フラグは、AT初当り抽選に当選してATゲームの開始条件が満たされたときにON(=1)にされる内部フラグとする。このような場合、ATゲーム判定処理による一連の処理において、ステップS501でAT開始フラグがONであるか否かを判定し、AT開始フラグがONであった場合は、ステップS502でATの初期ゲーム数をセットした後に、ATフラグをONにするとともにAT開始フラグをOFFにするような処理を行えばよく、ステップS501でAT開始フラグがOFFであった場合は、ステップS505以降の処理を行うようにすればよい。
[11−6.演出動作の制御]
以上は、主にメイン基板409による制御の例であるが、スロットマシン1では、ゲームの進行にあわせて演出制御基板510により各種演出動作の制御を実行する。これはメイン基板409から出力される各種コマンド(情報コマンド、出力信号)に基づいて、演出制御基板510(主にCPU1118等)にて実行するものである。前述の通りメイン基板449から出力された各種コマンドは、一旦、RAM1122に記憶される。そして、当該コマンドに基づき、予め用意された演出態様を選択し、実行するものである。このような演出態様は、演出態様データテーブル(図示しない)としてROM1120内に格納されており、当該コマンドに対応する演出態様が複数用意されている。
例えば、演出態様としては、当該ゲームのみで完結するもの(以下、単発演出態様という)や、複数のゲームにわたって行われるもの(以下、連続演出態様という)などが含まれる。このうち、単発演出態様には、当該当選フラグを示唆する演出(示唆演出、告知演出、詳細は後述)、メダルの払い出しを知らせる演出(払出演出、なお、払い出し枚数までを知らせる態様でもよい)などがある。
示唆演出は、遊技者に当該当選フラグを直接的に知らせる演出(告知演出)とは異なり、当該当選フラグを間接的に知らせる演出のことをいう、例えば、当該当選フラグに該当する当選役の形、色などを表現した表示等を行うといったことである。また、示唆演出は、当該当選フラグがない場合(つまり、ハズレの場合)にも行われる。この場合には、ハズレであることを気付きにくい内容の演出とする(例えば、いずれの当選役とも取れるような曖昧な内容)。これにより、当該ゲームがハズレであることを遊技者に気付きにくくすることができる。
告知演出は、例えば、当該当選フラグがボーナス役であった場合やAT抽選でAT当選した場合等に、「ボーナス確定!」や「AT当選!」等、遊技に関する結果を遊技者に明確に知らせることのできるものである。この演出は、特にボーナスやATなど遊技者にとって喜ばしい当選役(メダルを大量に獲得できる可能性があるため)について実行させるとより効果的である。すなわち、遊技者がAT等に当選した際に、そのことを祝福する意味合いを持たせることができるからである。
また、連続演出態様としては、一般状態、ボーナス内部状態、ボーナス状態等の遊技状態に対応したものがある。これらは、遊技状態がどのようになっているかを明確にするものであり、遊技者はこれらの演出(連続演出)が行われることにより、現在の遊技状態が、例えば一般状態であるのかボーナス内部状態であるのか、といった区別を付けることが容易となる。
また、第1の実施形態のスロットマシン1では、上記のような遊技状態(一般状態、ボーナス内部状態、ボーナス状態)に対応した連続演出態様だけでなく、[11−3−2]等で説明したATの前兆演出等のように、遊技者に有利な特別遊技(例えばATゲーム)に移行するか否かを示唆又は教示する態様で連続演出を実行することができる。また、このような連続演出は、周辺基板(例えば演出制御基板510)による制御に限定されるものではなく、メイン基板409によって制御されてもよい。さらに、このような連続演出は、1ゲームで完結するようにしても良いが、複数ゲームに亘って関連する演出内容が表示される態様で連続して実行され、最後にその結果が表示されることが一般的である。第1の実施形態の指示機能処理では、「前兆演出」の表示形態として、最初に1ゲームのタイトル表示が行われ、その次から1ゲームから複数ゲームに亘る「連続演出」が行われる例を説明したが、全体的に見れば、「前兆演出」も連続演出であるといえる。そして、このような連続演出(例えば前兆演出)の結果が表示された時点で、遊技者は、以後のゲームで特別遊技が行われる特別遊技状態に移行するか否かを認識することができる。
なお、以上に述べた各種の演出態様は、画像表示体500による画像の表示や、スピーカ512等による効果音の発生、LED装飾等による発光や点灯等、として実行させることができる。このような演出態様は、遊技者が長い時間ゲームを続けている場合など、退屈な印象を与えづらくすることができるものである。なお、演出態様は、画像表示体500、スピーカ512、LED装飾等で実行されることに限られるものではない。例えば、画像表示体500に代えて、ELディスプレイ(Electroluminescence Display)や、ドットLEDを用いてもよい。さらに、キャラクタを模した人形や、可動可能な模型等や、サイドリール(例えば、各リールとは別の位置に配され、演出の一環として遊技者の操作に因らずにその始動と停止を実行するもの)や、あるいは、ランプなどの照明(例えば、回転灯に代表される回転可能なライト等)を設けて各種演出を実行させるものとしてもよい。このような方法をとれば、液晶表示等を用いずとも遊技者を十分に楽しませることが可能である。
[12.その他の実施形態]
上述の[1]〜[11]では、本発明における第1の実施形態のスロットマシン1について説明したが、以下では、その他の実施形態として、本発明における第2及び第3の実施形態のスロットマシンについて説明する。なお、第2及び第3の実施形態のスロットマシンは、その構成や処理の大部分で第1の実施形態のスロットマシン1と同様であることから、その説明は省略し、構成部品や処理等を流用する。第2及び第3の実施形態のスロットマシンは、指示機能処理(第1の実施形態では主に[11−3−2]で説明)における遊技状態(AT抽選遊技状態)の制御処理の点で、第1の実施形態のスロットマシン1と異なっている。
図88は、各実施形態におけるAT抽選遊技状態の遷移例を説明するための図である。図88(A)は、第1の実施形態における一例であり、図88(B)は、第2の実施形態における一例であり、図88(C)は、第3の実施形態における一例である。図88には、時間経過に沿って制御される遊技状態(AT抽選遊技状態)及びその期待度が示されている。ここでの期待度とは、主に特別遊技の当選(AT移行)に関する期待度であり、図88では縦軸方向で上側にいくほど期待値が高いことを意味し、下側にいくほど期待値が低いことを意味する。また、図中の複数の点(a1〜a5、b1〜b5,c1〜c7)は、それぞれの遷移例における特徴的なタイミングを示すものである。以下では、第1の実施形態における遊技状態の制御と比較しながら、第2及び第3の実施形態における特徴的な遊技状態の制御をそれぞれ説明していく。
[12−1.第1の実施形態における遊技状態の遷移例]
まず、図88(A)の遷移例について、図58,図59の各処理との対応を示しながら説明する。
図88(A)では、ATに当選していない(内部的なAT当選もしていない)通常の遊技状態から開始し、このとき、AT抽選遊技状態は低確状態に制御されている。そして、通常の遊技状態の途中のa1において、状態移行抽選の結果(図58のステップS639)、AT抽選遊技状態が高確状態に移行した。
その後、通常の遊技状態でゲームが進み、a2において、レア役の当選役が選ばれる等して前兆抽選(図58のステップS633)に当選したことによって、前兆ゲーム(前兆ゲームA)が開始された。但し、a2で開始される前兆ゲームAは、AT初当りに当選していないガセ前兆とする。a2でガセ前兆の前兆ゲームAが開始されるとき、AT抽選遊技状態の移行については状態移行抽選Aが行われるが(図58のステップS638)、ここでは、高確状態が続行したとする。
第1の実施形態のスロットマシン1では、ガセ前兆による前兆ゲームAが行われる間、AT抽選遊技状態の移行は、通常の遊技状態と特に変わらない。そして、a3において、前兆ゲーム数抽選(図58のステップS635)によって決定された前兆ゲーム数が経過して前兆ゲームAが終了するが、終了時に行われる特殊状態移行抽選(図58のステップS644)で特殊モードへの移行に当選したとすれば、AT抽選遊技状態が特殊状態(特殊状態1〜3の何れか)に制御される等して特殊モードでのゲームが即開始される(図58のステップS648)。なお、特殊モードの間は、それまでの通常状態(低確状態、高確状態、超高確状態)よりも有利度の高い状態でゲームが行われることは第1の実施形態で説明済である。
次いで、a4では、a3から開始された特殊モードのゲームにおいて、レア役の当選役が選ばれたこと等を契機として前兆ゲーム(前兆ゲームB)が開始されたとする(図59のステップS666)。なお、a4で開始される前兆ゲームAは、AT初当りに当選していないガセ前兆とする。a4でガセ前兆の前兆ゲームBが開始されるとき、AT抽選遊技状態の移行については、特殊状態フラグがOFFにされるとともに地獄状態フラグがONされることで地獄状態に制御される(図59のステップS669,S670)。
第1の実施形態で説明したとおり、地獄状態に制御されているゲームでは、AT初当り抽選に当選することがなく(又は、当選し難い抽選テーブルが用いられる)、前兆ゲーム数抽選(図59のステップS664)で決定された前兆ゲーム数の間、前兆ゲームBが実行される。
そして、a5では、前兆ゲームBが終了し、その最終ゲームで前兆演出(連続演出)によってAT非当選の結果が告知され、その後は通常の遊技状態に戻る。なお、前兆ゲームBがAT初当りに当選した場合の本前兆である場合は、a5の時点でATゲームへの移行(AT当選)が告知され、その後ATゲームが開始される。
[12−2.第2の実施形態]
図88(B)は、第2の実施形態のスロットマシンにおける遷移例である。第2の実施形態のスロットマシンでは、有利遊技状態への移行の当否を示す複数ゲームに亘る期待演出の実行が決定された場合に、当該期待演出の実行中に行われる内部抽選によって期待演出の実行に繋がり得る別の契機が成立することを抑制することを特徴としている。このような第2の実施形態のスロットマシンは、ある内部抽選結果を契機として期待演出が実行される場合に、実行が決定された期待演出に対して、その実行形態が受ける影響を抑制するものであり、期待演出の実行可否が当選役抽選等の内部抽選の結果に基づいて決定される場合、内部抽選の結果を大事に扱うという目的を実現することができる。
第2の実施形態のスロットマシンでは、上記のような目的を実現するための遊技状態の具体的な制御例として、図88(B)に示すように、期待演出の実行が決定されたときに、以降の所定のタイミングで抽選状態を低期待状態(例えば、地獄状態)に制御して有利遊技状態への移行を抑制する。
図88(A)の場合と同様に、図88(B)の遷移例における処理の流れを説明する。まず、図88(B)において、b1の処理は図88(A)のa1と同じなので説明を省略する。
図88(B)のb2では、レア役の当選役が選ばれる等して前兆抽選(図58のステップS633)に当選したことによって、ガセ前兆の前兆ゲームAが開始される。ここで、第2の実施形態のスロットマシンでは、ガセ前兆による前兆ゲームAが行われる間、AT抽選遊技状態を低期待な状態(具体的には例えば地獄状態)に制御する。地獄状態に制御することによって、前兆ゲームAの間に行われる当選役の内部抽選でレア役が選ばれたとしても、AT当選や新たな前兆ゲームの実行等が選択されないようにすることができる。
そして、b3において、前兆ゲーム数抽選(図58のステップS635)によって決定された前兆ゲーム数が経過して前兆ゲームAが終了すると、終了時に行われる特殊状態移行抽選(図58のステップS644)で特殊モードへの移行に当選したとすれば、AT抽選遊技状態が特殊状態(特殊状態1〜3の何れか)に制御されて特殊モードでのゲームが即開始される(図58のステップS648)。なお、特殊モードの間は、それまでの通常状態(低確状態、高確状態、超高確状態)よりも有利度の高い状態でゲームが行われることは第1の実施形態と同様である。
その後は、特殊モードのゲーム中に前兆ゲームBの実行が決定されると、b4において前兆ゲームBが開始され、b5において前兆ゲーム数が経過して前兆ゲームBが終了するときには、前兆ゲームBの結果(AT非当選/AT当選)が示される。この一連の流れの処理は、図88(A)のa4,a5と同様であるため、説明を省略する。
なお、図88(B)で説明した処理例は、第2の実施形態のスロットマシンにおける遊技状態の制御の一例であって、実行が決定された期待演出(具体的には、前兆ゲーム、前兆演出、連続演出)の実行期間に対して、有利遊技状態に当選し難くするような方法で遊技状態が制御されればよい。
また、第2の実施形態のスロットマシンは、少なくとも期待演出の実行が決定されたときから当該期待演出が終了するまでの何れかの所定のタイミングで、遊技状態に関する抽選状態を低期待状態に落とすことができる。
[12−3.第3の実施形態]
図88(C)は、第3の実施形態のスロットマシンにおける遷移例である。第3の実施形態のスロットマシンでは、有利遊技状態への移行の当否を示す期待演出が実行されているときに、有利遊技状態に関する期待度が高い有利当選役(「高期待役」に相当し、具体的には例えばレア役)が当選役として選ばれた場合に、上記期待演出による結果を教示しつつも、有利当選役が選ばれたことを契機とする別の期待演出を実行可能にすることを特徴としている。このような第3の実施形態のスロットマシンは、ある内部抽選結果を契機として期待演出が実行される場合に、当該期待演出の実行態様が、別の内部抽選結果に基づいて何らかの影響を受けてしまうことを抑制するものであり、例えば、上記別の内部抽選結果に基づいて別の期待演出の実行に当選した場合、先の期待演出と別の期待演出との双方を尊重するような制御を実現可能な遊技機である。
第3の実施形態のスロットマシンでは、上記のような目的を実現するための遊技状態の具体的な制御例として、図88(C)に示すように、期待演出(先の期待演出)の実行中に別の期待演出(後の期待演出)の実行が決定された場合に、先の期待演出の実行を続行させてその終了時に当該期待演出による結果を表示させた上で、後の期待演出を実行させるようにしている。
図88(A),(B)の場合と同様に、図88(C)の遷移例における処理の流れを説明する。まず、図88(C)において、c1の処理は図88(A)のc1と同じなので説明を省略する。
図88(C)のc2では、レア役の当選役が選ばれる等して前兆抽選(図58のステップS633)に当選したことによって、ガセ前兆の前兆ゲームAが開始される。ここで、第3の実施形態のスロットマシンでは、ガセ前兆による前兆ゲームAが行われる間、AT抽選遊技状態に関して第2の実施形態のような特別な移行制御は行わず、例えば、第1の実施形態と同様に状態移行抽選Aが行われるとする。
その後、前兆ゲームAの実行中のc3において、レア役の当選役が選ばれたとする。このとき、第3の実施形態では、当該レア役に基づく前兆抽選を行い、前兆抽選によって新たな前兆ゲーム(前兆ゲームC)の実行に当選したとすると、前兆ゲームCの実行を、少なくとも前兆ゲームAの終了後となるように遅延させる処理を行う。なお、このとき、前兆ゲームCに対する前兆ゲーム数抽選も行われるが、選ばれた前兆ゲーム数は、現在実行中の前兆ゲームAに対応する前兆ゲーム数とは別の変数データにセットされる。また、前兆ゲームCは、AT初当りに当選していないガセ前兆とし、c3においてレア役の当選役に基づく状態移行抽選(例えば状態移行抽選A)が行われた結果、AT抽選遊技状態は超高確状態に昇格されたとする。
そして、c4において、前兆ゲーム数抽選(図58のステップS635)によって決定された前兆ゲーム数が経過して前兆ゲームAが終了し、終了時には前兆演出(連続演出)によって前兆ゲームAの結果(AT移行非当選)が教示される。こうして、c4では、前兆ゲームAが終了するが、c3で実行が遅延された前兆ゲームCがストックされているため、前兆ゲームCが開始される。図88(c)では、前兆ゲームAの終了から前兆ゲームCの開始の際は、AT抽選遊技状態に関して特別な抽選は行っていない。
なお、第3の実施形態のスロットマシンでは、c4において前兆ゲームAの終了から前兆ゲームCを開始するまでの間に、所定の繋ぎ期間を設けてもよく、さらには、繋ぎ期間で前兆ゲームCの開始を推測し得る煽り演出を行う等してもよい。
そして、前兆ゲーム数抽選で決定された前兆ゲーム数が経過するまでガセ前兆の前兆ゲームCが行われ、その終了時には前兆演出(連続演出)によってAT非当選の結果が告知される。そして、c5において、前兆ゲームCの終了時に特殊状態移行抽選を行って特殊モードへの移行に当選したとすれば、AT抽選遊技状態が特殊状態(特殊状態1〜3の何れか)に制御される等して特殊モードでのゲームが即開始される。
次いで、c5において開始された特殊モードのゲーム中のc6において、レア役の当選役が選ばれたこと等を契機として前兆ゲーム(前兆ゲームB)の実行が決定された場合は、前兆ゲームBが開始される。そして、c7に示すように、前兆ゲームBがガセ前兆である場合は、前兆ゲーム数が経過した終了時に前兆演出(連続演出)によってAT非当選の結果が告知され、その後通常の遊技状態に戻る。また、前兆ゲームBが本前兆である場合は、c7の時点でATゲームへの移行(AT当選)が告知され、その後ATゲームが開始される。
このような図88(C)の処理を補足すると、前兆ゲームA(ガセ前兆)の実行中に、前兆ゲームCの実行契機となるレア役に当選した場合、事前に決定された前兆ゲーム数が変えられることなく前兆ゲームAが続行され、前兆ゲームAが終了した後に、前兆ゲームCが開始される。具体的には例えば、前兆ゲームAの前兆ゲーム数が16ゲームと決定されているときに、10ゲーム目(残り6ゲーム)でレア役に当選したとしても、残りの6ゲームは前兆ゲームAが続行される。
なお、図88(C)で説明した処理例は、第3の実施形態のスロットマシンにおける遊技状態の制御の一例であって、期待演出(前兆ゲームにおける前兆演出や連続演出に相当)による結果を教示しつつも、有利当選役(高期待役、レア役)が選ばれたことを契機とする別の期待演出を実行可能にする態様であれば、これに限定されない。以下、いくつかの別例を示す。
まず、期待演出の実行中に別の期待演出の実行に繋がる契機が成立した場合(前兆ゲームAの実行中に前兆ゲームCの実行を決定するレア役に当選した場合)、前兆ゲームCが実行される前兆ゲーム数は、図88(C)で説明したように当該契機の成立ゲームで抽選されてもよいし、または先の期待演出(前兆ゲームAの前兆演出)が終了したときに前兆ゲーム数抽選が行われるようにしてもよい。
また、図88(C)では、ガセ前兆(前兆ゲームA)中に高期待役(例えばレア役)に当選したことを契機として別のガセ前兆(前兆ゲームC)の実行が決定されたとき、先のガセ前兆の終了後にガセ前兆が再セットされる態様で前兆ゲームCが実行されるとしたが、ガセ前兆中に複数回レア役に当選するような場合、全てのレア役当選(但し、AT当選したレア役は含まない)に対して前兆ゲーム(ガセ前兆)を再セットすると、いつまでも前兆ゲームが継続してしまうおそれがある。第3の実施形態のスロットマシンでは、このような問題を解決するために、前兆ゲーム(特にガセ前兆中)に複数回の高期待役に当選した場合、再セットされる前兆ゲーム(ガセ前兆)の上限回数を制限するようにしてもよい。1回の前兆ゲーム(ガセ前兆)中に複数回の高期待役に当選した場合に再セットされる前兆ゲーム(ガセ前兆)の上限回数を制限する具体的な処理例としては、当該上限回数に達するまでは、高期待役に当選するごとに前兆ゲームの再セットを判定するように処理してもよいし、1回の前兆ゲーム内における高期待役の複数回の当選をまとめて、当該上限回数の範囲内で再セットする前兆ゲーム数を決定するように処理してもよい。なお、上限回数は任意の回数を設定可能であるが、ガセ前兆はAT非当選という遊技者にとって不利な結果を教示するため、不利な結果が繰り返し教示されることを防止するためにも、上限回数は最低限の1回に設定することが望ましい。
また、第3の実施形態のスロットマシンによる別の制御例として、ガセ前兆中に、高期待役のなかでも特に期待度の高い上位高期待役(例えば、強チェリー、強スイカ、強チャンス目等の強系のレア役)が複数回当選した場合は、現在のガセ前兆の終了後、強制的にガセ前兆を再セットするようにしてもよい。具体的に説明すると、前兆ゲームAの途中で強系のレア役に複数回当選した場合、それぞれの強レア役当選に基づく前兆抽選によって前兆ゲームCの実行が決定されなかったとしても、前兆ゲームAの終了後に、強制的に前兆ゲームCを実行させるようにしてもよい。なお、強制的に前兆ゲームが再セットされるための上位高期待役の当選回数は、1回から複数回の間で任意の回数を設定することができる。
また、第3の実施形態のスロットマシンによれば、ガセ前兆の前兆ゲーム(前兆ゲームA)の終了後にセットされる前兆ゲーム(前兆ゲームC)における演出態様について、単なる前兆ゲームと同様の演出態様で現出させてもよいが、前兆ゲームAとの関連を感じさせ得るような演出態様で現出させるようにしてもよい。
例えば、前兆ゲームAが継続しているかのように見せながら前兆ゲームCを実行するようにしてもよい。このような場合、前兆ゲームAと前兆ゲームCのゲーム数をどちらも削除しないことによって、双方の前兆ゲームに割り当てられるゲーム期間を尊重することができるとともに、見た目上は前兆ゲームAが通常よりも長いゲーム数に延長されたように見せることができるため、特別な状況として遊技者の期待感の持続及び向上に期待できる。
また、例えば、前兆ゲームAによる結果を必ず連続演出(前兆演出に置き換え可)によって表示させるようにしてから、前兆ゲームCを開始させるようにしてもよい。このようにする場合、前兆ゲームAによる結果を判定する演出(連続演出)が行われることで、前兆ゲームAの実行契機となった当選役(内部抽選結果)を大事にするものであり、その後の別のタイミングで前兆ゲームCによる結果を判定する演出(連続演出)が行われるため、前兆ゲームCの実行契機となった当選役も大事にすることができる。なお、第3の実施形態のスロットマシンでは、内部抽選結果を大事にするという観点から、前段に示した演出態様(前兆ゲームAが継続しているかのような前兆ゲームC)よりも、本段に示した演出態様(各前兆ゲームの結果を確実に教示する)に制御されるほうが望ましい。
また、第3の実施形態のスロットマシンでは、前述したように前兆ゲームAの実行中に前兆ゲームCの実行が決定した際、前兆ゲームAの終了後に前兆ゲームを再セットする態様で前兆ゲームCを実行させるとしたが、前兆ゲームCの実行が決定してから前兆ゲームAの残りゲーム数が消化されるまでの期間(例えば、前兆ゲームAが16ゲームと決まっているときに10ゲーム目で前兆ゲームCの実行が決定されたときの、前兆ゲームAのための残り6ゲーム)について、当選役の内部抽選結果に基づいて各前兆ゲームA,Cで示される結果表示(AT移行の可否表示)を阻害しない範囲内で、当該期間を所定程度短縮するようにしてもよい。先の具体例でいえば、前兆ゲームAの残りゲーム数が6ゲームであるとき、3ゲームで前兆ゲームAを終わらせるように残り前兆ゲーム数を変更することに相当する。このような場合に、第3の実施形態のスロットマシンによれば、それぞれの内部抽選結果に基づく期待演出(前兆ゲーム内で現出される前兆演出に相当)を実行可能にし、その結果表示を教示することができる。そして、実行中の前兆ゲーム(前兆ゲームA)が短縮されることによって、再セットされる前兆ゲーム(前兆ゲームC)の開始時期を早めることができるため、短縮しない場合よりも短期間で、各期待演出によって遊技者の興趣を高めることができる。
[13.各実施形態の特徴及び効果]
本発明による第1〜第3の実施形態のスロットマシン1によれば、以下のような技術思想を有する遊技機を実現可能であり、当該技術思想によって従来の遊技機では成し得なかった様々な格別の効果を奏する。
[13−1.第1の技術思想]
第1の実施形態のスロットマシン1によれば、「有利遊技への移行に期待させる期待演出を実行可能な遊技機において、所定のゲーム期間に行われた期待演出によって有利遊技への移行が否定されたとしても、当該所定のゲーム期間の後の比較的短いゲーム期間において、複数種類の通常遊技状態よりも有利な特殊遊技状態(特殊モード)に移行し得る遊技機(第1の技術思想)」を実現可能である。
上記の「期待演出」は第1の実施形態のスロットマシン1の指示機能処理で説明した「前兆演出」に相当する。第1の実施形態のスロットマシン1では、有利遊技(ATゲーム)への移行の可否を遊技者に示唆又は教示するために「前兆演出」を実行可能であり、図58のステップS624等で説明したように、その前兆演出が行われる前兆ゲームは、ATゲームに移行すること(AT当選)を示す本前兆と、ATゲームに移行しないこと(AT非当選)を示すガセ前兆とがある。また、前兆ゲームは、ATゲーム移行に関する抽選(AT初当り抽選)が行われたゲームから、その結果が表示されるゲームまでの間の遅延期間で行われる連続的な演出ゲームと言える。
そして、第1の実施形態のスロットマシン1によれば、AT初当り抽選が行われた後に、ガセ前兆が実行され、結果としてATゲームへの移行が否定されたとしても、その後に、特殊モード(特殊状態)に移行することができる。具体的には、図58のステップS644に示した特殊状態移行抽選で当選した場合に、特殊モード(特殊状態)に移行することに相当する。ステップS644の処理が行われるとき、スロットマシン1は、ATに当選していない状態(内部的にも非当選)で前兆ゲームの残ゲーム数が0という状況にある。すなわち、ガセ前兆が行われて終了したときに、特殊モードに移行することが可能である(抽選テーブルは図74参照)。
さらに、第1の実施形態のスロットマシン1において、特殊状態移行抽選で当選した場合に制御される特殊状態は、図63等で述べたように、他のAT抽選遊技状態(所謂、通常遊技状態に相当し、具体的には、低確状態、高確状態、及び超高確状態)に比べて、AT初当りへの当選期待度が高められている等の点から、遊技者にとって有利なモード(特殊モード)といえる。図63の例でいえば、特殊状態に制御されているときに当選役が「レア役」であった場合には、少なくとも約84%(55000/65535)以上というかなりの高確率でAT初当りに当選することができる。但し、第1の実施形態において、「特殊モード」でゲームが行われる状況は非AT状態であり、「特殊モード」の優位度は特別遊技状態(AT状態)ほどには高くない。
なお、特殊モードに移行される期間が「比較的短いゲーム期間」という点は、例えば、通常遊技状態である低確状態、高確状態、及び超高確状態における平均滞在ゲーム数よりも、特殊モードに制御されるゲーム数(特殊状態ゲーム数)が少ないことに基づくものであるが、この詳細な説明は後段で改めて述べる。
以上のことから、第1の実施形態のスロットマシン1は、「有利遊技への移行に期待させる前兆演出を実行可能な遊技機において、前兆演出によって有利遊技への移行が否定されたとしても、遊技者に有利な特殊モードに移行し得る」遊技機である。従来の遊技機においては、前兆演出の結果が失敗(AT非当選)で終わった場合、当該前兆演出が行われたガセ前兆を消化するために費やした遊技価値は遊技者にとって無駄なものとなってしまい、遊技者の損失感を高め、興趣低下を招いてしまうという課題があった。しかし、第1の実施形態のスロットマシン1によれば、上述したように、ガセ前兆の後も遊技者に有利な特殊モードに移行し得ることで、ガセ前兆によって消費された遊技価値を代償(補填)することができ、ガセ前兆による遊技価値の損失感を抑制できるため、遊技者の遊技意欲を維持させることができるという効果を奏する。
さらに、第1の実施形態のスロットマシン1では、前兆ゲーム(前兆演出)が開始される前のAT抽選遊技状態として、低確状態、高確状態、超高確状態の3種類を挙げたが、特殊状態(特殊状態1〜3)は、それらの何れの状態よりもATに関して有利な状態とすることができる(図63参照)。このような第1の実施形態のスロットマシン1によれば、前兆演出によって有利遊技への移行が否定されたとしても、当該前兆演出が実行される前よりも有利な特殊モード(例えば特殊状態)に移行し得るものであり、ガセ前兆の発生によって、却って期待度の高い遊技状態を提供することができる。本来、ガセ前兆は、有利遊技(例えばATゲーム)に繋がらない結果が告知されることで、遊技者を落胆させ得るものであったが、第1の実施形態のスロットマシン1によれば、ガセ前兆を経て期待度の高い特殊モードに繋がることで、ガセ前兆のために遊技者が消費した遊技価値を補い得る期待値を提供することができる。
また、第1の実施形態のスロットマシン1では、有利遊技への移行を否定する結果を有するガセ前兆が行われている最中にも、当該有利遊技に関する状態(AT抽選遊技状態に相当)の状態移行抽選を行うことができる。具体的には、図58のステップS649で行われる状態移行抽選Aに相当する。この状態移行抽選Aでは、当該時点で制御されているAT抽選遊技状態に基づいて図71〜図73に例示した抽選テーブルを用いて状態移行が抽選されるが、その振分を見ると、当該時点で最上位の超高確状態に制御されている場合を除き、当該時点より不利な状態に移行する降格確率よりも、当該時点より有利な状態に移行する昇格確率のほうが高く設定される。例えば、図71では、最低位の低確状態からの状態移行抽選であるため降格することはない。また例えば、図72では、低確状態に降格する割合は、最も確率の高い非レア役の当選時でも600/65535であるのに対し、超高確状態に昇格する割合は、63625/65535となっており、圧倒的に昇格する割合のほうが高い。
このように、第1の実施形態のスロットマシン1によれば、ガセ前兆が行われている最中でも状態移行抽選を行うことができるだけでなく、当該状態移行抽選によって有利度を上げ得るため、ガセ前兆が実行されて有利遊技への移行が否定される結果になるとしても、否定結果によってもたらされる損失を補填するように有利度の高い状態への移行に期待でき、遊技者の遊技意欲の低下を抑制する効果を奏する。
また、第1の実施形態のスロットマシン1では、ガセ前兆が行われるとき、残りの前兆ゲーム数が0になった特定ゲームで、通常に制御され得るAT抽選遊技状態(低確状態、高確状態、超高確状態)よりも有利な特殊モードへの移行抽選を行うことができるため、当該抽選に当選した場合は、以後のゲームにおいて有利な抽選テーブル(特殊状態用の抽選テーブル)を用いて有利遊技への移行抽選(AT初当り抽選)を行うことができる。具体的には、特殊モードへの移行抽選が、図58のステップS644や図59のステップS684で行われる特殊状態移行抽選に相当し、その後の有利遊技への移行抽選が、図59のステップS661のAT初当り抽選に相当する。AT初当り抽選において、AT抽選遊技状態に応じた抽選テーブルが用いられることは、図105に示した通りであり、図105によれば、低確状態、高確状態、超高確状態の何れよりも、特殊状態1〜3のほうがAT初当りの当選確率が高いことが分かる。
また、図58のステップS644や図59のステップS684では、残りの前兆ゲーム数が0であるときに特殊状態移行抽選を行うとして説明を行ったが、第1の実施形態のスロットマシン1では、残りの前兆ゲーム数が0であるときに限定することなく、0以外の所定数であるときに特殊状態移行抽選を行うようにしてもよい。このようにすることで、ガセ前兆の最中にも状態移行抽選(特殊状態移行抽選)を実行させることができるため、ガセ前兆中であっても、現在のAT抽選遊技状態よりも有利な状態(特殊モード)への移行が可能となり、有利遊技への移行が期待できないガセ前兆が実行されたとしても、ガセ前兆を消化するために必要となる遊技価値(メダル)の投資が全て無駄になることなく、投資分を補填するような効果に期待できる。
上述したことを言い換えれば、第1の実施形態のスロットマシン1は、ガセ前兆中(又はガセ前兆直後)の特定ゲームで、良い抽選テーブルが用いられる特殊モード(例えば特殊状態)への移行抽選を行うことができるという特徴を有する。
また、第1の実施形態のスロットマシン1によれば、特殊モードに制御される期間は「比較的短いゲーム期間(比較的短期間)」であり、当該ゲーム期間は、通常遊技状態(低確状態、高確状態、超高確状態)に制御される期間よりも短い。具体的には、指示機能発生処理の状態移行抽選A(例えば、図58のステップS638)で説明したように、図49及び図71〜図73の抽選テーブルが用いられる場合、ボーナス内部状態における低確状態の平均滞在ゲーム数は約120ゲーム、高確状態の平均滞在ゲーム数は約25ゲーム、超高確状態の平均滞在ゲーム数は約36ゲームである。これに対して、特殊状態(特殊状態1〜特殊状態3)の滞在ゲーム数は、2ゲームから20ゲームの間から選択される(後述の図75参照)ため、通常遊技状態の各状態よりも短い期間である。そして、本実施形態のスロットマシン1によれば、遊技者に有利な前兆ゲームがガセ前兆であった場合(すなわち、ATゲームへの移行が否定された場合)に、比較的短期間このような特殊状態に移行し得るため、前兆ゲームにおける期待演出が失敗結果に終わってしまったとしても、特殊状態によって再チャンスの機会を与えることができる。かくして、本実施形態のスロットマシン1によれば、前兆状態と通常状態とが繰り返されるような従来の遊技機における遊技性とは異なる遊技性を実現することができ、遊技者による飽きを生じさせ難いという効果を奏する。
さらに、本実施形態のスロットマシン1では、上述の特殊状態において高期待役(当選確率の観点から見れば低当選役)であるレア役が当選役として選ばれた場合には、高確率(図59の説明では100%)で再度の前兆ゲームが開始されるが、当該前兆ゲームが失敗の結果に終わった場合には、当該前兆ゲームの後の遊技状態は、有利度の低い低確状態に強制的に落とされる(図59のステップS690における状態移行抽選Cを参照)。したがって、このような本実施形態のスロットマシン1によれば、有利な前兆ゲームが失敗に終わったとしても、その後の比較的短期間において、高期待役(低当選役)に当選することで前兆ゲームが再び現出され得るような有利な特殊モードに制御され得ることから、遊技者にとって有利な複数の状況を多重に(又は継続して)提供することができる。しかし、一方で、このような多重の有利状況が提供されたにも拘わらず、それらの結果が失敗(ATゲームに移行せず)に終わった場合には、その反動として、以降の遊技状態を有利度が低い低確状態(本例では最低位の遊技状態)に強制的に落とすことから、遊技者に甘いだけの遊技機ではなく、ホール側の利益をも考慮した遊技機を提供することができる。
また、ホール側の利益確保の観点から言えば、特殊状態は遊技者にとって有利(すなわち、ホール側にとって不利)な遊技状態であるため、特殊状態に制御される期間が長すぎることはホール側にとって好ましくないが、本実施形態のスロットマシン1では、上述したように特殊状態に制御される期間が、通常遊技状態(低確状態、高確状態、超高確状態)の平均滞在ゲーム数よりも短くされることから、ホール側の不利益を抑制することができる。
また、第1の実施形態のスロットマシン1では、図58や図59で説明したような特殊状態移行抽選によって特殊モード(特殊状態)への移行が抽選されるが、特殊モードに移行するか否かの期待度をポイント等で表示して遊技者に示唆するようにしてもよい。なお、ポイント等を付与するタイミングは特に限定しない。また、このような示唆演出は、メイン基板409ではなく周辺基板(例えば演出制御基板510)によって行われてもよい。そして、このような示唆演出が行われる場合は、遊技者の興趣を高めることに期待できる。
なお、第1の実施形態のスロットマシン1では、図58や図59で説明したような特殊モードをガセ前兆の終了後に行うとき、特殊モード中であることを示唆する専用の演出(特殊状態示唆演出)を実行するようにしてもよい。特殊状態示唆演出では、例えば、特殊モード中にレア役に当選した場合に発生し得る連続演出の内容(復帰する前兆演出の内容)を示唆するようにしてもよい。また、特殊状態示唆演出が実行された場合は、複数種類の連続演出のうち、期待度が高めの連続演出が選ばれやすいようにしてもよい。具体的には、図81,図82の抽選テーブルを例にすると、特殊状態示唆演出が実行された場合には、その後に前兆演出(連続演出)が発生するときに、弱系演出(弱ストーリー、弱バトル)よりも強系演出(強ストーリー、強バトル)が選ばれやすいようにする。このようにすることで、特殊状態示唆演出が現出されただけで、遊技者の興趣を高めることができる。
[13−2.第2の技術思想]
第1の実施形態のスロットマシン1によれば、「有利遊技への移行に関する決定結果を示す特定演出を含む複数の演出の何れかを実行可能な遊技機にあって、特定演出が実行されたあとのゲームにおいて、特定演出における当否結果が示されるよりも前段階の所定演出を実行可能にする遊技機(第2の技術思想)」を実現可能である。
上記の「特定演出」は、第1の実施形態のスロットマシン1の指示機能処理で説明した「連続演出」に相当し、「特定演出が実行されたあとのゲームにおいて、特定演出における当否結果が示されるよりも前段階の所定演出」が実行される状態は、例えば、指示機能処理で説明した「特殊モード」、又は、「特殊モード」でレア役に当選したことなどに基づいて再び実行される前兆ゲーム(又は当該前兆ゲーム内の連続演出)等に相当する。
より詳しく説明すると、第1の実施形態のスロットマシン1では、指示機能処理で説明したように、前兆ゲームで行われる前兆演出において「連続演出」が現出されることによって、有利遊技(ATゲーム)への移行の可否を遊技者に教示することができる(図58のステップS624等の説明を参照)。連続演出を含む前兆演出は、ATゲームに移行すること(AT当選)を示す本前兆、又は、ATゲームに移行しないこと(AT非当選)を示すガセ前兆に含まれる。したがって、ガセ前兆で行われる連続演出は、有利遊技への移行を示さない。
また、「連続演出」は、1ゲームで完結してATゲームへの移行可否を教示する態様でもよいが、多くは、複数ゲームに亘って連続的な演出が行われる態様がとられる。また、第1の実施形態における「前兆演出」を「連続演出」の1つとして捉える場合には、必ず複数ゲームに亘って行われる演出となる。さらに、ここでいう「複数ゲーム」は、1ゲームごとに当選役に関する内部抽選が1回行われるゲーム(所謂、本ゲーム)で構成されてもよいし、本ゲーム1回の間に擬似的に複数ゲームの態様を創出するゲーム(所謂、擬似ゲーム)で構成されてもよいし、その混合であってもよい。
ここで、前兆ゲーム中に連続演出を現出可能な従来の遊技機では、連続演出の結果が有利遊技への当選を否定するものであった場合に、その後しばらくの間は、遊技者の興趣が低下し続けてしまうという課題が少なからずあった。具体的な例を挙げると、AT当選の高確率状態でレア役に当選する等して前兆ゲーム中の連続演出が現出された場合、遊技者はAT当選に対して強く期待するが、当該連続演出が失敗結果に終わると、落胆によって期待感が急激に低下してしまい、低下した興趣がすぐには回復されないことがあった。
これに対し、第1の実施形態のスロットマシン1では、前兆演出(連続演出)の結果が有利遊技への当選(ATへの移行)を示さないものであったとしても(すなわち、前兆演出がガセ前兆であったとしても)、ガセ前兆終了後に、次の前兆ゲーム発生に繋がる特殊モードに移行することができるため、最初の前兆演出で失敗結果が示されたときよりも前段階の演出を再現することができる。また、ガセ前兆後の特殊モード中に高期待役(レア役)に当選する等したことに基づいて、再び前兆ゲームを実行させることができるため、このような後の前兆ゲームにおける前兆演出によって、最初の前兆演出で失敗結果が示されたときよりも前段階の演出状態を再現することができる。
したがって、このような第2の技術思想を備えた第1の実施形態のスロットマシン1によれば、上述した従来の遊技機の場合のように連続演出が否定結果を示したことによって遊技者の興趣を連続的に低下させてしまうことなく、連続演出が有利遊技への当選を否定する結果を示したとしても、有利遊技への当否結果が示されるよりも前段階の演出を再度現出可能にすることによって、遊技者の興趣低下を抑制し得るという効果を奏する。
なお、上記のような第1の実施形態のスロットマシン1では、「先の連続演出」において有利遊技への当選を否定する結果が示された後に、「前段階の演出」が現出されたとしても、当該「前段階の演出」又は「前段階の演出」に続く演出によって有利遊技への当選結果が必ずしも示されるものではなく、有利遊技への当選が否定されることもある。ガセ前兆の終了後に特殊モードへ移行することで「前段階の演出」が現出される際、有利遊技への当選結果が示されるか否かは、特殊モード移行時又は特殊モード中に行われた内部抽選の結果(例えば当選役)に基づいて決定される。
また、上記のような第1の実施形態のスロットマシン1において、「前段階の演出」は、「先の連続演出」と同様の演出が再び現出されることを示唆可能な演出であればよく、「先の連続演出」に含まれる演出でなくてもよい。そして、「前段階の演出」が現出されたとしても「先の連続演出」と同様の演出が現出されるかどうかは、内部抽選の結果(例えば当選役)に基づいて決定される。
さらに、特殊モードで制御される特殊状態は、有利遊技に対する期待度合いが連続演出の実行前の状態(例えば、低確状態、高確状態、超高確状態)よりも高い状態であるという特徴も有している(図63の説明を参照)ため、このようなスロットマシン1によれば、連続演出の前後で有利遊技に対する期待度合いが異なる遊技状態に制御されるようにすることで、連続演出の結果が有利遊技への当選を示さないものであったとしても、当該連続演出の後にまで遊技者の期待感を維持させることができる。
また、従来の遊技機では、有利遊技への移行に期待できる連続演出は、それ自体が遊技者の期待感を高めるものの、当該連続演出の結果が失敗(例えばAT非当選)に終わった場合には、期待度合が一気に低下してしまうという側面を有していた。これに対し、第1の実施形態のスロットマシン1では、連続演出の結果が有利遊技への当選を示さず、ガセ前兆における連続演出であったとしても、その後に制御され得る特殊モード(例えば特殊状態)が、連続演出の現出前よりも有利度が高い状態であることから、連続演出の結果が失敗に終わっても、その後に、より高い期待状態を創出することができるという点で格別の効果を奏する。すなわち、連続演出の失敗結果が、期待期間の単なる終了となるのではなく、より優位な高期待期間への布石となることによって、多段階に亘って遊技者の興趣を高め、遊技者の期待感を長く維持できるという効果を奏する。
また、本実施形態のスロットマシン1では、連続演出の失敗後に特殊モードに移行する移行割合について、現出された連続演出の演出態様に基づいて、当該移行割合に差異を付けるようにしてもよい。具体的には例えば、期待度の低い連続演出が現出されたときほど、当該連続演出の結果が失敗に終わった際に特殊モードに移行する確率を高くする(高確率)ようにしてもよい。このような場合に、期待度の低い連続演出が現出されると、当該連続演出の結果が成功する(有利遊技への移行に当選する)ことへの遊技者の期待感は比較的低いものの、一方で、その後、連続演出の現出前よりも有利度が高い特殊モードに移行する確率は高くなることから、特殊モードへの遊技者の期待感を高め、結果として長期に亘って遊技者の期待を持続させることができる。
また、第1の実施形態のスロットマシン1では、連続演出の実行中にも状態移行抽選を行うことができるとともに、連続演出実行中の特定ゲーム(例えば、最終ゲーム)では、通常の状態移行抽選よりも良い抽選テーブルを用いて状態移行抽選を行うことができる。具体的には、図58のステップS649で行われる状態移行抽選Aが、連続演出の実行中に行う状態移行抽選に相当する。また、図58のステップS644や図59のステップS684で行われる特殊状態移行抽選が、連続演出実行中の特定ゲームで通常の状態移行抽選よりも良いテーブルを用いて行われる状態移行抽選に相当する。このような第1の実施形態のスロットマシン1によれば、連続演出の実行中(終了時を含む)に有利度の異なる状態移行抽選を可能とすることによって、連続演出の実行中には有利遊技に関する状態移行(状態移行抽選A)に期待できるだけでなく、特定ゲームでは、より有利度の高い状況で有利遊技に関する状態移行(特殊状態移行抽選)に期待できる。したがって、連続演出が現出されている間は、遊技者に対し、当該連続演出によって示される有利遊技移行の結果を期待させるだけでなく、状態移行による将来の有利遊技への当選をも期待させることができ、遊技者の遊技意欲を維持する効果を奏する。
特に、特殊状態移行抽選が行われる特定ゲームを連続演出の最終ゲームとする場合には、特殊モードに移行した場合のゲームにおいて、優位な特殊モードで有利遊技への移行に当選するか否かを遊技者に楽しませることができるだけでなく、移行前のゲームにおいても、連続演出の最終ゲームまでの間、連続演出の結果によって有利遊技に移行(AT移行)するか否かを遊技者に楽しませることができるため、遊技者の興趣を特に高めることができる。
また、第1の実施形態のスロットマシン1では、連続演出が実行される最終ゲームの次ゲームの遊技開始時(例えば、始動レバー210の始動操作時)に、状態移行抽選を行うようにしてもよい。このような場合も、上記したような連続演出の最終ゲームを特殊状態移行抽選が行われる特定ゲームとする場合と同様に、連続演出の最終ゲームまでの間は連続演出の結果によって有利遊技に移行(AT移行)するか否かを遊技者に楽しませつつ、当該連続演出が失敗の結果に終わったとしても、その後に、特殊状態に移行し得る特殊状態移行抽選が行われることで、優位な特殊モードで有利遊技への移行に当選するか否かを遊技者に楽しませることができるため、遊技者の期待感を長期に亘って維持するとともに興趣を特に高めることが期待できる。
また、第1の実施形態のスロットマシン1では、特殊モード中に「連続演出準備中」や「今、レア役を引けば?」といった画面表示等を行うことによって、特殊モード移行前に実行された前兆ゲームにおける連続演出が失敗結果に終わったとしても、遊技者に対して、前兆ゲームや連続演出が再び発生することに大きく期待させることができるため、先の失敗結果による遊技者の落胆を抑制することができる。
なお、第2の技術思想を実現するような第1の実施形態のスロットマシン1において、「特殊モード」とは、単なる演出モードではなく、特別遊技や特別状態に関する当選確率等(例えば、AT初当り確率)が優遇されているモードである。例えば、図58〜図60等を参照して説明した指示機能処理の場合、「特殊モード」において当選役が「レア役」であった場合には、必ずAT初当りに当選する等の優遇措置が設けられている。また、「特殊モード」では前兆演出(ここでは連続演出と読み替えてもよい)が再発生する確率も高く設定されることから、連続演出の再発生によるAT当選への期待度も高くすることができる。このような「特殊モード」のときに制御される遊技状態については、第1の実施形態で説明したATの指示機能処理の場合、以下のケースが考えられる。
第1のケースは、特定条件が成立したときにのみ移行可能な状態、専用の抽選テーブルを用いて選択される状態を設定するケースである。具体的には、図63等に示した「特殊モード1〜3」である。図63の説明等で述べたように、「特殊状態1〜3」は、前兆ゲーム中の特定条件が成立したときにのみ移行可能な状態であって、専用の抽選テーブルを用いて選択されるAT抽選遊技状態である。第1の実施形態のスロットマシン1では、このように「特殊モード」のときに専用の特別な遊技状態を設定した場合に、他の状況で選択されない専用の遊技状態を用いることができるため、「特殊モード」で行われるゲームの優位性を極めて高くする等が可能となる。
第2のケースは、特定条件が成立したときに限らず、通常時から移行可能な状態の何れかを設定するケースである。具体的には、例えば、図63に示した「超高確状態」が挙げられる。「超高確状態」は、通常時から低確状態及び高確状態との間で移行可能なAT抽選遊技状態であるが、それらの中で有利度としては最上位の状態であるので、「特殊モード」のときに制御されるAT抽選遊技状態としても好ましい。連続演出の所定ゲームで行われた状態移行抽選によって「超高確状態」が選ばれたとき、「特殊モード」でのゲームが開始されることになる。第1の実施形態のスロットマシン1では、このように「特殊モード」のときに通常時から移行可能な特定の遊技状態を設定することで、新たな専用の遊技状態を用意することによるメモリの必要領域の増加を抑制し、CPU1110による処理量を抑えながらも、幅広い遊技性を実現することができる。
また、第1の実施形態のスロットマシン1では、所定の抽選(具体的には、図58のステップS644や図59のステップS684の特殊状態移行抽選)が行われることによって、連続演出後に特殊モードに移行し得るが、特殊モードに移行するか否かに対する期待度をポイント等で表示して遊技者に示唆するようにしてもよい。なお、ポイント等を付与するタイミングは特に限定しない。また、このような示唆演出は、メイン基板409ではなく周辺基板(例えば演出制御基板510)によって行われてもよい。そして、このような示唆演出が行われる場合は、特殊モードへの移行に対する遊技者の興趣を高めることに期待できる。
そして、第1の実施形態のスロットマシン1は、図58,図59に示した特殊状態移行抽選の当選後の処理フローにおいて、ガセ前兆の連続演出の終了時に特殊状態移行抽選が行われ、特殊状態の制御(すなわち、特殊モードへの移行)が決定された場合に、当該連続演出の終了後に特殊モードに即移行させるようにしている。また、前述したように、特殊モードでは、連続演出の実行前とは異なる状態(より優位な状態)に制御される。このように連続演出後に特殊モードへ即移行させることによって、第1の実施形態のスロットマシン1では、連続演出の実行前後で遊技上の期待度を変更することができ、遊技者の期待感の低下を抑制することができる。特に、連続演出の実行前よりも実行後のほうが高期待度とする場合、遊技者の期待感を強く維持することができる。
また、図58のステップS644や図59のステップS684では、ガセ前兆時の残りの前兆ゲーム数が0であるときに特殊状態移行抽選を行う処理例を説明したが、当処理例では、前兆ゲーム中に必ず連続演出(前兆演出の一部)が行われることから、残りの前兆ゲーム数が0という状況は、連続演出の最終ゲームを意味する。このような第1の実施形態のスロットマシン1によれば、連続演出の最終ゲームで特殊モードへの移行制御を判定するようにするが、この場合は、最終ゲーム以前では特殊モードへの移行(すなわち、連続演出によるハズレ)が確定表示されないため、遊技者に対し、連続演出による当り結果(AT移行当選)への可能性を楽しませることができる。
[13−3.第3の技術思想]
第2の実施形態のスロットマシンによれば、「当選期待度が異なる複数の抽選状態のうちの何れかの抽選状態のもとで遊技者に有利な有利遊技が実行される有利遊技状態への移行が抽選され、当該抽選の結果に基づいて有利遊技状態への移行の当否を示す期待演出が複数ゲームに亘って実行される遊技機において、期待演出の実行が決定された場合に、該決定された以降のゲームにおいて当該期待演出の実行態様が受ける影響を抑制するように期待演出の現出割合を可変させることを可能とした遊技機(第3の技術思想)」を実現可能である。
上記の「有利遊技状態」は、第2の実施形態のスロットマシンの指示機能処理における「AT状態」に相当し、同様に「期待演出」は「前兆演出」に相当する。第2の実施形態のスロットマシンでは、前兆演出が行われる前兆ゲーム期間の開始が決定された(図59のステップS666,S674)ことを契機として、地獄状態フラグをONにする(図59のステップS670)ことによって、前兆ゲーム中は、地獄状態に制御するようにしている。地獄状態に制御されているときは新たなAT初当りの当選が抑制される(図63参照)ことから、実行が決定している前兆演出(厳密には決定していなくても、前兆ゲームの開始が決定した時点で、前兆演出が必ず実行されることも決定している)の実行態様が受ける影響を抑制することができる。すなわち、地獄状態で新たなAT初当りの当選が抑制されることによって、新たな前兆ゲームの現出も抑制されるため、前兆演出の現出割合が抑制される方向で可変にされる。その結果、前兆ゲーム中は新たな前兆ゲームが発生されることなく、実行中の前兆ゲームに係る前兆演出を、その実行決定時の実行態様のまま現出することが可能となっている。
また、第2の実施形態のスロットマシンによって現わされる第3の技術思想をより具体的に示すと、「当選期待度が異なる複数の抽選状態のうちの何れかの抽選状態のもとで遊技者に有利な有利遊技が実行される有利遊技状態への移行が抽選され、当該抽選の結果に基づいて有利遊技状態への移行の当否を示す期待演出が複数ゲームに亘って実行される遊技機において、期待演出の実行が決定された場合、以降の所定のタイミングで前記抽選状態を当選期待度が異なる複数の抽選状態のうちの低期待状態に制御して有利遊技状態への移行を抑制することにより、以降のゲームにおける当選役に拘わらず、当該期待演出に対する期待感を維持可能にする遊技機」とも言える。このとき、「低期待状態」は「地獄状態」に相当する。
ここで、従来の遊技機では、複数ゲームに亘る連続的な演出が実行されるとき、遊技者の関心が当該演出に集中するため、当該演出中の各ゲームで行われている当選役の内部抽選の結果に対して疎かになってしまう傾向があった。
また、従来の遊技機では、連続的な演出が行われている間も当選役の内部抽選は行われるが、当該内部抽選における当選役の結果によっては(例えば、レア役のような高期待当選役が選ばれた場合)、新たな別の演出を発生させることになって現在の演出がキャンセルされたり、現在の演出を継続するために新たな別の演出を発生させないようにされたりする等、連続的な演出の実行態様に影響が発生してしまうことがあり、これらの演出に関する遊技者の期待感が変化(主に低下)してしまう、という課題があった。
より具体的には、先の演出がキャンセルされた場合は、その時点で先の演出がハズレ結果であることが分かってしまい、遊技者の期待感が低下する。また、後の演出が発生されない場合は、高期待当選役が選ばれたのにAT等の有利遊技への移行抽選には落選したという結果が推測されてしまうことで、やはり遊技者の期待感が低下する。また、先の演出が途中で切り上げられて後の演出が発生するような場合は、切り上げられる先の演出による結果表示がおざなりになってしまう傾向が強いため、遊技者の期待感までも切り捨てられてしまうおそれがある。
しかし、上述したような第3の技術思想を有する第2の実施形態のスロットマシンによれば、各ゲームにおける内部抽選の結果を大事に扱う遊技機を提供することができる。具体的な処理で説明すると、前兆ゲーム(特にガセ前兆)の実行が決定された場合に、以降の所定のタイミング(例えば、前兆ゲームフラグがONにされたタイミング)で低確率な状態(地獄状態)に落とすことによって、前兆ゲーム中に行われる内部抽選の結果が特別遊技への期待感に繋がらないようにできる。これはすなわち、複数の抽選機会による各抽選結果に基づく発展内容を混同させない遊技状況(演出状況)を提供することであり、かくして、各ゲームにおける内部抽選の結果を大事に扱うという効果を奏することができる。
なお、第3の技術思想を有する第2の実施形態のスロットマシンでは、「低確率な状態(地獄状態)に落とす所定のタイミング」について、以下のように分類することができ、それぞれに効果が期待できる。
まず、ガセ前兆の実行が決定された直後のゲーム、又はガセ前兆の開始ゲームを低確率な状態(地獄状態)に落とす所定のタイミングとする場合、以降のゲーム中(ガセ前兆に移行する前に何らかの準備期間が設けられる場合も含む)に如何なる当選役に当選しても、その当選役による特別遊技への期待を抑制することができるものであり、実行中のガセ前兆の判定要因となった当選役に対する重要さを確保することができるとともに、実行中のガセ前兆の結果に対する遊技者の期待感を確保することができる。
また、ガセ前兆実行中のどこかを低確率な状態(地獄状態)に落とす所定のタイミングとする場合、少なくとも、低確率状態に落とした後の内部抽選における当選役によって、実行中の前兆演出に対する遊技者の期待度が変化してしまうことを抑制することができるため、各ゲームにおける内部抽選の結果を重視した演出実行を担保することに貢献できる。ここで、ガセ前兆の演出パターンとして、第2の実施形態の説明では「連続演出(又は前兆演出)」のほかに、「ざわつき演出」や「通常演出」を織り交ぜることが可能であるとしたが、例えば、ガセ前兆でこれら3種類の演出が行われるとした場合に、遊技者は、「通常演出」が現出された段階では前兆ゲームであることを察知できないかもしれないが、「連続演出(又は前兆演出)」が現出される前であっても「ざわつき演出」が現出された時点で、前兆ゲームであることを推測し得る。しかし、遊技者が前兆ゲームであることを推測できてから低確率な状態に落とすのでは、その間にレア役に当選した場合等に遊技者の期待感が低下するおそれがあるため、ガセ前兆実行中のどこかを低確率な状態に落とす所定のタイミングとするときは、少なくとも「ざわつき演出」が現出されるときを当該タイミングとすることが好ましい。
また、第3の技術思想を有する第2の実施形態のスロットマシンでは、実行される期待演出(前兆演出)の実行態様が受ける影響を抑制するために、遊技状態を通常よりも期待度が低い低確率状態(地獄状態)に強制的に落とす期間が存在する。このように強制的に低確率状態に落とす場合、出玉率が総じて下降するため、第2の実施形態のスロットマシンでは、当該下降分を相殺するような形で、高確率状態(例えば、高確状態や超高確状態)の期間/確率を増やすこともできるし、レア役を引いたときの初当り確率を向上させることもできるし、そもそものレア役の当選確率を向上させることもできる。かくして、第2の実施形態のスロットマシンによれば、内部抽選の結果を大事に扱う遊技機を提供するとともに、遊技者に有利な状況を底上げして強化することができる。また、出玉率にメリハリを付けることもできるため、遊技性を高めることができる。
また、第3の技術思想を有する第2の実施形態のスロットマシンでは、実行される期待演出(前兆演出)の実行態様が受ける影響を抑制するように期待演出の現出割合を可変にするための処理として、上述したように所定の遊技期間に対して通常よりも期待度が低い低確率状態(地獄状態)に強制的に落とすようにすることに限定するものではなく、当該所定の遊技期間に対して有利遊技状態(AT)に当選し難くするような他の方法が用いられてもよい。具体的には例えば、当該所定の遊技期間は、抽選に用いる抽選テーブルを変えることによって当選確率を変更する(遊技状態自体を変更する)ようにしてもよいし、当該所定の遊技期間で行われるゲームについて、擬似遊技によって複数のゲームが行われているように見せることで、内部抽選の実行回数を抑えるようにしてもよい。さらに、期待演出の当選に繋がりやすいレア役が成立し難くなるような他の処理を用いるようにしてもよい。このような処理を行う場合でも、期待演出の実行が決定された以降のゲームにおいて当該期待演出の実行態様が受ける影響を抑制するように期待演出の現出割合を可変にすることができるため、第2の実施形態のスロットマシンは、所定の遊技期間に対して地獄状態に制御するような場合と同様の効果を奏することができる。
[13−4.第4の技術思想]
第3の実施形態のスロットマシンによれば、「当選期待度が異なる複数の抽選状態のうちの何れかの抽選状態のもとで遊技者に有利な有利遊技が実行される有利遊技状態への移行が抽選され、当該抽選の結果に基づいて有利遊技状態への移行の当否を示す期待演出が複数ゲームに亘って実行される遊技機において、期待演出が実行されているときに、有利遊技状態への移行に他の当選役よりも当選し易い有利当選役(例えばレア役)が当選役として選ばれた場合に、当該期待演出による結果を教示しつつも、有利当選役が選ばれたことを契機とする別の期待演出を実行可能にする遊技機(第4の技術思想)」を実現可能である。
上記の「有利遊技状態」は、第3の実施形態のスロットマシンの指示機能処理における「AT状態」に相当し、同様に「期待演出」は「前兆演出」、「連続演出」又は「前兆ゲーム」に相当する。第3の実施形態のスロットマシンでは、内部抽選結果(当選役の抽選結果)に基づいて期待演出(例えば前兆ゲームA)が実行される場合に、当該期待演出の実行中に高期待役が当選役として選ばれることで別の期待演出(例えば前兆ゲームC)の実行が選ばれたとき、前兆ゲームAを継続して実行させ、前兆ゲームAが終了した後で前兆ゲームCを実行させる。そして、第3の実施形態のスロットマシンは、期待演出(前兆ゲームA)による結果を教示しつつも、高期待役が選ばれたことによる期待演出(前兆ゲームC)を別途実行可能にすることで、先の期待演出と別の期待演出との双方を尊重した制御を実現可能にし、それぞれの期待演出の実行契機となった内部抽選結果に対する期待感を維持させる効果を奏することができる。
従来の遊技機では、複数ゲームに亘る連続的な演出が実行されるとき、連続的な演出が行われている間も当選役の内部抽選は行われるが、当該内部抽選における当選役の結果によっては(例えば、レア役のような高期待当選役が選ばれた場合)、新たに別の連続演出を発生させることになって現在の連続演出がキャンセルされたり、現在の連続演出を継続するために別の連続演出がキャンセルされたりする等の処理が行われていた。このような処理が行われる遊技機では、本来であればそれぞれで発生し得た連続演出の一部が現出されないことで各連続演出の結果が十分に教示されず、遊技者の興趣を低下させるおそれがあった。また、発生し得た連続演出の一部が現出されないということで、当該連続演出の実行契機となった内部抽選の結果が蔑ろにされてしまうという課題もあった。
これに対し、上述したような第4の技術思想を有する第3の実施形態のスロットマシンによれば、既に実行中の「先の期待演出」と、「先の期待演出」中に行われた内部抽選結果に基づいて決定される「後の期待演出」について、双方の期待演出を実行し、かつ、それぞれの期待演出の結果を遊技者に教示することで、遊技者の興趣低下を抑制できるものであり、期待演出だけでなく内部抽選の結果をも尊重するという効果を奏する。
また、第3の実施形態のスロットマシンによれば、上述したように、前兆ゲーム(ガセ前兆)中に別の前兆ゲームに当選したとしても双方の前兆ゲームを尊重した制御を行うことができるが、このような制御を実現するために、前兆ゲームの実行中に特別遊技状態に関する抽選状態(AT抽選遊技状態)を強制的に変更することを必要としない。すなわち、前兆ゲームの開始前の通常時と変わらない抽選状態で前兆ゲームを実行可能とすることで、高期待役に当選した際に遊技者が感じるAT当選や前兆演出(連続演出)に対する期待感を維持することができる。そして、上記のように前兆ゲーム中に特別遊技状態に関する抽選状態を強制的に変更しないことで、第1及び第2の実施形態と比べて、特別遊技状態に極めて当選し難い期間を減少させることができる。
また、第3の実施形態のスロットマシンでは、「先のガセ前兆」の終了後に「後のガセ前兆」が実行されたその後は、第1及び第2の実施形態と同様に、それまでよりも特別遊技状態への期待度が高い特殊モードに即移行させるようにしているため、遊技者の興趣低下を抑制し、遊技者の期待感を比較的長期に亘って維持又は向上させることができる。すなわち、ガセ前兆が連続して発生してAT移行の落選結果が教示されたとしても、その後、さらに優位度の高い特殊モードに移行されることで、少なくとも特殊モードが終了するまでは遊技者は期待し続けることができる。また、特殊モードでレア役に当選した場合は、再び前兆ゲームが開始されることで、さらに遊技者の期待感を高めることができる。
また、第3の実施形態のスロットマシンは、派生例で示したように、前兆ゲーム(ガセ前兆)中に高期待役に高頻度で当選した場合に、セットされるガセ前兆の数を抑制することができる。このような第3の実施形態のスロットマシンによれば、複数の期待演出(前兆演出)を尊重した制御を可能としながらも、冗長なガセ前兆の連続を回避することで遊技者の興趣低下を抑制することができる。
また、第3の実施形態のスロットマシンは、派生例で示したように、前兆ゲーム(ガセ前兆)中に上位高期待役に所定回数当選した時点で、強制的にガセ前兆をセットすることができる。このような第3の実施形態のスロットマシンによれば、元々の期待度が高い上位高期待役について、前兆ゲームを開始させる割合を高めることができるため、上位高期待役当選という内部抽選結果を大切にした演出を遊技者に提供することができる。
また、第3の実施形態のスロットマシンでは、派生例で示したように、前兆ゲーム(特にガセ前兆中)中に複数回の高期待役に当選した場合、再セットされる前兆ゲーム(ガセ前兆中)の上限回数を制限するようにしてもよい。このような第3の実施形態のスロットマシンによれば、前兆ゲーム中に高期待役への当選が短期間で複数回当選した場合等に、前兆ゲームの再セットが繰り返されて前兆ゲームが過剰な長期間に亘って継続してしまう状況を防止できるため、適度な長期間に亘って遊技者の興趣を高めることに期待できる。
なお、本発明に係る遊技機として上述した第1の実施形態のスロットマシン1は、複数の図柄が付され回動可能な複数のリール(リール301a〜301cに相当)を有し、当該複数のリールの回転及び停止を制御することによって、内部抽選された当選役に基づいた図柄の組合せを現出させ、該現出させた図柄の組合せに応じて入賞を発生可能にする遊技機であって、メイン基板409(主にCPU1110)は、当選役を抽選する抽選手段の一例であり、抽選手段によって選ばれた当選役に基づいて、遊技者に有利な有利遊技状態への移行の可否を決定する有利移行決定手段の一例である。ここで、「有利遊技状態」とは、例えばATゲームが行われるAT状態に相当する。また、メイン基板409(主にCPU1110)及び演出制御基板510(主にCPU1118)は、有利移行決定手段による決定結果を示す特定演出を少なくとも含んだ複数の演出のうちの何れかの演出を実行可能な演出実行手段の一例である。なお、この演出実行手段は、演出実行手段によって特定演出が実行されたあとのゲームにおいて、特定演出における当否結果が示されるよりも前段階の所定演出を実行可能にする余韻実行手段を備えている。ここで、「有利移行決定手段による決定結果を示す特定演出」とは、指示機能処理で詳細を説明したような「連続演出(又は前兆演出)」に相当するが、この「連続演出」が現出される「前兆ゲーム」を「特定演出」と捉えることもできる。また、余韻実行手段によって実行可能にされる「特定演出における当否結果が示されるよりも前段階の所定演出」とは、指示機能処理で詳細を説明したような「特殊モード」における演出、又は「特殊モードを経由して実行される前兆ゲーム」における演出(前兆ゲーム内の前兆演出や連続演出)に相当する。より具体的には、前兆ゲームがガセ前兆となって終了した後に、次の前兆ゲーム発生に繋がる特殊モードに移行することで、当該特殊状態において、先の前兆ゲームにおける当否結果の表示(AT非当選)よりも前段階の遊技演出を実行することができる。また、ガセ前兆の後の特殊モードを経由して移行した前兆ゲームにおいては、当該前兆ゲームの前兆演出(連続演出)の最後に当否結果が示されるが、その当否結果を示す前に「前段階の遊技演出」を実行することができる。
以上は、本発明のスロットマシン1の一形態であるが、これに限定されることはない。スロットマシン以外の遊技機、例えば、パチンコ機や、パチンコ機とスロットマシンとを融合させてなる遊技機等であっても本発明を適用することができる。