JP2016113403A - ポリペプチド、及び、ポリペプチドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも収率が高い、ポリペプチドの製造方法を提供すること。【解決手段】式(1)〜(3)のいずれかで表されるペプチドオリゴマーを縮合反応させる工程を含むポリペプチドの製造方法であって、前記縮合反応を硫酸イオンを含む水系溶媒中で、縮合剤、又は、縮合剤及び縮合助剤の存在下で行うことを特徴とするポリペプチドの製造方法。H−(Pro−Y−Gly)n−OH (1)H−(Y−Gly−Pro)n−OH (2)H−(Gly−Pro−Y)n−OH (3)(式(1)〜(3)中、Yはヒドロキシプロリン又はプロリンであり、nは1〜10の整数である。)【選択図】なし

Description

本発明は、ポリペプチド、及び、ポリペプチドの製造方法に関する。
タンパク質の一種であるコラーゲンは、汎用的な医用材料として幅広く用いられている。天然の一型コラーゲン分子は三アミノ酸残基Gly−X−Y(X、Yは様々なアミノ酸で、XはPro、YはHypである場合が多い)の繰り返しからなる特徴的な一次構造を有する。このポリペプチドが同じ向きに3本寄り集まって形成された三重らせんの三次構造をとり、コラーゲン繊維を形成する。
一方、コラーゲン様ポリペプチド(いわゆる合成コラーゲン)として創出された、三アミノ酸残基Pro−Y−Gly(Y:プロリン又はヒドロキシプロリン)の繰り返し構造からなるポリペプチド分子も、三重らせん構造をとることが報告されている(非特許文献1〜2)。
コラーゲン様ポリペプチドは、天然コラーゲンと異なり、感染症の危険性がないこと、工業的合成により得られるため安定な供給が可能であること、三重らせん構造の熱安定性が高いこと、着色やにおいなどがないことなど、諸々の優れた性質を有するため、様々な機能性材料としての研究がなされている(特許文献1)。
例えば、特許文献2には、コラーゲン様ポリペプチドの製造方法として、−(Pro−Y−Gly)n−(YはHyp又はPro、n=1〜20)で示されるペプチドフラグメントを含むペプチドオリゴマーを、ジメチルスルホキシド中やエチレンジアミンを含む水系溶媒等中で縮合反応させる方法が記載されている。
国際公開第2008/075589号パンフレット 特開2003−321500号公報
S. Sakakibara et al., Biochim. Biophys. Acta, 303, 198(1973). T. Kishimoto et al., Biopolymers, 79, 163-172(2005).
本発明が解決しようとする課題は、従来よりも収率が高い、ポリペプチドの製造方法を提供することである。
上記の課題は下記の手段により解決された。
<1>式(1)〜(3)のいずれかで表されるペプチドオリゴマーを縮合反応させる工程を含むポリペプチドの製造方法であって、前記縮合反応を硫酸イオンを含む水系溶媒中で、縮合剤、又は、縮合剤及び縮合助剤の存在下で行うことを特徴とするポリペプチドの製造方法。
H−(Pro−Y−Gly)n−OH (1)
H−(Y−Gly−Pro)n−OH (2)
H−(Gly−Pro−Y)n−OH (3)
(式(1)〜(3)中、Yはヒドロキシプロリン又はプロリンであり、nは1〜10の整数である。)
<2>前記硫酸イオンがアルカリ金属の硫酸塩及びアルカリ土類金属の硫酸塩から選ばれる1種以上の硫酸塩に由来する、上記<1>に記載の製造方法。
<3>前記ポリペプチドが、コラーゲン様ポリペプチドである、上記<1>又は<2>に記載の製造方法。
<4>前記反応をマイクロ波照射下で行う、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の製造方法。
<5>上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の製造方法により製造されたポリペプチドであって、式(4)で表されるペプチドフラグメントを有するポリペプチド。
−(Pro−Y−Gly)m− (4)
(式(4)中、Yはヒドロキシプロリン又はプロリンであり、mは100〜171の整数である。)
本発明によれば、従来よりも収率が高い、ポリペプチドの製造方法を提供することができる。
本発明のポリペプチドの製造方法は、式(1)〜(3)のいずれかで表されるペプチドオリゴマーを縮合反応させる工程を含むポリペプチドの製造方法であって、前記縮合反応を硫酸イオンを含む水系溶媒中で、縮合剤、又は、縮合剤及び縮合助剤の存在下で行うことを特徴とする。
H−(Pro−Y−Gly)n−OH (1)
H−(Y−Gly−Pro)n−OH (2)
H−(Gly−Pro−Y)n−OH (3)
(式(1)〜(3)中、Yはヒドロキシプロリン又はプロリンであり、nは1〜10の整数である。)
以下、本発明について説明する。なお、本明細書において、a〜b等は、a以上、b以下を意味し、a、bをその範囲内に含む。
本明細書においては、「コラーゲン様ポリペプチド(単分子)鎖」とは、Pro−Y−Gly(Yはヒドロキシプロリン又はプロリン)の繰り返し配列を有するポリペプチドであって、三重らせん等の分子鎖間相互作用による構造をとらずに1本鎖として存在する状態をいう。また、「コラーゲン様ポリペプチド複合体」とは、コラーゲン様ポリペプチド(単分子)鎖が三重らせん構造をとった状態を示す。多くの場合において、コラーゲン様ポリペプチド複合体はさらに、三重らせんが分岐構造をとったり、三重らせん分子間で会合したりする高次構造を形成する。なお、三重らせん構造をとっているか否かは円二色性スペクトルを測定することにより確認することができる。
本明細書においては各種アミノ酸残基を次の略語で記述する。
Ala:L−アラニン残基
Arg:L−アルギニン残基
Asn:L−アスパラギン残基
Asp:L−アスパラギン酸残基
Cys:L−システイン残基
Gln:L−グルタミン残基
Glu:L−グルタミン酸残基
Gly:グリシン残基
His:L−ヒスチジン残基
Hyp:L−ヒドロキシプロリン残基
Ile:L−イソロイシン残基
Leu:L−ロイシン残基
Lys:L−リジン残基
Met:L−メチオニン残基
Phe:L−フェニルアラニン残基
Pro:L−プロリン残基
Sar:サルコシン残基
Ser:L−セリン残基
Thr:L−トレオニン残基
Trp:L−トリプトファン残基
Tyr:L−チロシン残基
Val:L−バリン残基
なお、本明細書におけるペプチド鎖のアミノ酸配列は、定法に従い、N末端のアミノ酸残基を左側に、C末端のアミノ酸残基を右側に位置させて記載する。
本発明のポリペプチドの製造方法は、式(1)〜(3)のいずれかで表されるペプチドオリゴマーを縮合反応させる工程を含む。
H−(Pro−Y−Gly)n−OH (1)
H−(Y−Gly−Pro)n−OH (2)
H−(Gly−Pro−Y)n−OH (3)
式(1)〜(3)中、Yはヒドロキシプロリン又はプロリンであり、好ましくはヒドロキシプロリンである。ヒドロキシプロリンは、例えば4Hypであり、trans−4−ヒドロキシ−L−プロリンが好ましい。また、nは1〜10の整数であるが、1〜5の整数であることが、ハンドリングの容易さ、縮合反応の効率、ペプチドオリゴマーの入手の容易さや経済性の観点から好ましい。
本発明において、式(1)〜(3)で表されるペプチドオリゴマーはいずれか1種を用いてもよいし、混合物であってもよい。また、nは単一の整数であってもよいし、種々の繰り返し数のオリゴマーの混合物であってもよい。
これらのペプチドオリゴマーは、既知の固相合成法又は液相合成法により取得することができる。
また、式(1)〜(3)で表されるペプチドオリゴマーに加えて、他のペプチドオリゴマーを用いてもよい。ただし、式(1)〜(3)で表されるペプチドオリゴマーと他のペプチドオリゴマーとの使用量が質量比において100:0〜50:50の範囲であることが好ましい。他のペプチドオリゴマーの使用量が前記範囲にあることにより、製造されるコラーゲン様ポリペプチド(単分子)鎖が三重らせん構造を形成しやすくなる。
他のペプチドオリゴマーとしては、例えば下記式(5)〜(68)で表されるペプチドオリゴマーが挙げられる。
(Asp−Pro−Gly)o (5)
(Asp−Hyp−Gly)o (6)
(Glu−Pro−Gly)o (7)
(Glu−Hyp−Gly)o (8)
(Pro−Gln−Gly−Ile−Ala−Gly)o (9)
(Pro−Asn−Gly−Ile−Ala−Gly)o (10)
(Pro−Leu−Gly−Ile−Ala−Gly)o (11)
(Pro−Ile−Gly−Ile−Ala−Gly)o (12)
(Pro−Val−Gly−Ile−Ala−Gly)o (13)
(Pro−Ala−Gly−Ile−Ala−Gly)o (14)
(Pro−Gln−Gly−Leu−Ala−Gly)o (15)
(Pro−Asn−Gly−Leu−Ala−Gly)o (16)
(Pro−Leu−Gly−Leu−Ala−Gly)o (17)
(Pro−Ile−Gly−Leu−Ala−Gly)o (18)
(Pro−Val−Gly−Leu−Ala−Gly)o (19)
(Pro−Ala−Gly−Leu−Ala−Gly)o (20)
(Asp−Pro−Gly)p−(Pro−Gln−Gly−Ile−Ala−Gly)q (21)
(Asp−Pro−Gly)p−(Pro−Asn−Gly−Ile−Ala−Gly)q (22)
(Asp−Pro−Gly)p−(Pro−Leu−Gly−Ile−Ala−Gly)q (23)
(Asp−Pro−Gly)p−(Pro−Ile−Gly−Ile−Ala−Gly)q (24)
(Asp−Pro−Gly)p−(Pro−Val−Gly−Ile−Ala−Gly)q (25)
(Asp−Pro−Gly)p−(Pro−Ala−Gly−Ile−Ala−Gly)q (26)
(Asp−Pro−Gly)p−(Pro−Gln−Gly−Leu−Ala−Gly)q (27)
(Asp−Pro−Gly)p−(Pro−Asn−Gly−Leu−Ala−Gly)q (28)
(Asp−Pro−Gly)p−(Pro−Leu−Gly−Leu−Ala−Gly)q (29)
(Asp−Pro−Gly)p−(Pro−Ile−Gly−Leu−Ala−Gly)q (30)
(Asp−Pro−Gly)p−(Pro−Val−Gly−Leu−Ala−Gly)q (31)
(Asp−Pro−Gly)p−(Pro−Ala−Gly−Leu−Ala−Gly)q (32)
(Asp−Hyp−Gly)p−(Pro−Gln−Gly−Ile−Ala−Gly)q (33)
(Asp−Hyp−Gly)p−(Pro−Asn−Gly−Ile−Ala−Gly)q (34)
(Asp−Hyp−Gly)p−(Pro−Leu−Gly−Ile−Ala−Gly)q (35)
(Asp−Hyp−Gly)p−(Pro−Ile−Gly−Ile−Ala−Gly)q (36)
(Asp−Hyp−Gly)p−(Pro−Val−Gly−Ile−Ala−Gly)q (37)
(Asp−Hyp−Gly)p−(Pro−Ala−Gly−Ile−Ala−Gly)q (38)
(Asp−Hyp−Gly)p−(Pro−Gln−Gly−Leu−Ala−Gly)q (39)
(Asp−Hyp−Gly)p−(Pro−Asn−Gly−Leu−Ala−Gly)q (40)
(Asp−Hyp−Gly)p−(Pro−Leu−Gly−Leu−Ala−Gly)q (41)
(Asp−Hyp−Gly)p−(Pro−Ile−Gly−Leu−Ala−Gly)q (42)
(Asp−Hyp−Gly)p−(Pro−Val−Gly−Leu−Ala−Gly)q (43)
(Asp−Hyp−Gly)p−(Pro−Ala−Gly−Leu−Ala−Gly)q (44)
(Glu−Pro−Gly)p−(Pro−Gln−Gly−Ile−Ala−Gly)q (45)
(Glu−Pro−Gly)p−(Pro−Asn−Gly−Ile−Ala−Gly)q (46)
(Glu−Pro−Gly)p−(Pro−Leu−Gly−Ile−Ala−Gly)q (47)
(Glu−Pro−Gly)p−(Pro−Ile−Gly−Ile−Ala−Gly)q (48)
(Glu−Pro−Gly)p−(Pro−Val−Gly−Ile−Ala−Gly)q (49)
(Glu−Pro−Gly)p−(Pro−Ala−Gly−Ile−Ala−Gly)q (50)
(Glu−Pro−Gly)p−(Pro−Gln−Gly−Leu−Ala−Gly)q (51)
(Glu−Pro−Gly)p−(Pro−Asn−Gly−Leu−Ala−Gly)q (52)
(Glu−Pro−Gly)p−(Pro−Leu−Gly−Leu−Ala−Gly)q (53)
(Glu−Pro−Gly)p−(Pro−Ile−Gly−Leu−Ala−Gly)q (54)
(Glu−Pro−Gly)p−(Pro−Val−Gly−Leu−Ala−Gly)q (55)
(Glu−Pro−Gly)p−(Pro−Ala−Gly−Leu−Ala−Gly)q (56)
(Glu−Hyp−Gly)p−(Pro−Gln−Gly−Ile−Ala−Gly)q (57)
(Glu−Hyp−Gly)p−(Pro−Asn−Gly−Ile−Ala−Gly)q (58)
(Glu−Hyp−Gly)p−(Pro−Leu−Gly−Ile−Ala−Gly)q (59)
(Glu−Hyp−Gly)p−(Pro−Ile−Gly−Ile−Ala−Gly)q (60)
(Glu−Hyp−Gly)p−(Pro−Val−Gly−Ile−Ala−Gly)q (61)
(Glu−Hyp−Gly)p−(Pro−Ala−Gly−Ile−Ala−Gly)q (62)
(Glu−Hyp−Gly)p−(Pro−Gln−Gly−Leu−Ala−Gly)q (63)
(Glu−Hyp−Gly)p−(Pro−Asn−Gly−Leu−Ala−Gly)q (64)
(Glu−Hyp−Gly)p−(Pro−Leu−Gly−Leu−Ala−Gly)q (65)
(Glu−Hyp−Gly)p−(Pro−Ile−Gly−Leu−Ala−Gly)q (66)
(Glu−Hyp−Gly)p−(Pro−Val−Gly−Leu−Ala−Gly)q (67)
(Glu−Hyp−Gly)p−(Pro−Ala−Gly−Leu−Ala−Gly)q (68)
式(5)〜(20)中、oは1〜10の整数であり、式(21)〜(68)中、p及びqは、それぞれ独立して、1〜10の整数である。ただし、縮合反応の効率及びペプチドオリゴマーの入手の容易さから、o、p、及びqは独立して1〜5の整数であることが好ましく、特に好ましくは1である。
本発明の製造方法は、式(1)〜(3)のいずれかで表されるペプチドオリゴマーを縮合反応させる工程を含むポリペプチドの製造方法であって、縮合反応を硫酸イオンを含む水系溶媒中で、縮合剤、又は、縮合剤及び縮合助剤の存在下で行うことを特徴とするものである。
本発明の製造方法は、水系溶媒中で反応を行うため、脱水反応により生じる水以外にも水分子が反応系中に存在するものであるが、これら水分子の存在によって平衡反応の均衡が崩れて反応効率が低下するということがみられない。斯かる作用や機構は必ずしも明らかではないが、硫酸イオンが、アミド結合生成反応の反応場を制御するためであると、本発明者らは推察する。そして、本発明の製造方法は、アミド結合生成反応により大量に水分子が発生しても反応効率が低下しにくく、ポリペプチドの工業的な大量合成に好適に使用される。また、有機溶媒を使用しなくてもポリペプチドを合成することができ、環境負荷が少ない。
本発明の製造方法は、縮合反応を硫酸イオンを含む水系溶媒中で行うものであるが、硫酸イオンとしては、アルカリ金属の硫酸塩及びアルカリ土類金属の硫酸塩から選ばれる1種以上の硫酸塩に由来する硫酸イオンが好ましい。
ここで、本明細書において、アルカリ金属とは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム及びフランシウムの総称を意味し、アルカリ土類金属とは、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びラジウムの総称を意味する。
本発明の製造方法において、アルカリ金属の硫酸塩としては、反応効率の観点から、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムが好ましい。また、アルカリ土類金属の硫酸塩としては、反応効率の観点から、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムが好ましい。
これらの中でも、本発明の製造方法で用いる硫酸塩としては、反応効率の観点から、アルカリ金属の硫酸塩が好ましく、硫酸ナトリウムが特に好ましい。
なお、本発明の製造方法で用いる硫酸塩は通常、水系溶媒中では、硫酸イオンとアルカリ金属又はアルカリ土類金属のイオンとにわかれる。本発明の製造方法においては、硫酸塩は、反応系中で上記のようなイオンとして存在していてよい。
本発明の製造方法で用いる硫酸塩の合計使用量は、原料化合物の合計1モルに対し、通常、1〜100モル当量であり、好ましくは5〜75モル当量であり、より好ましくは5〜25モル当量である。
また、本発明の製造方法は、水系溶媒中で縮合反応を行うものである。
上記水系溶媒としては、水を30体積%以上含む水系溶媒が好ましく、水を40体積%以上含む水系溶媒がより好ましく、水を50体積%以上含む水系溶媒が更に好ましく、水を80体積%以上含む水系溶媒が更に好ましく、水を95体積%以上含む水系溶媒が特に好ましい。斯様な多量の水を含む水系溶媒を用いた場合であっても、本発明の製造方法によればポリぺプチドを効率よく得ることができる。
なお、上記水系溶媒に含まれる水以外の媒体としては、例えば、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホロアミド等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、窒素含有環状化合物(N−メチルピロリドン、ピリジン等)、ニトリル類(アセトニトリル等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等)が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
水系溶媒としては、水、リン酸緩衝液等の各種緩衝液などが好ましく、反応効率の観点から、水がより好ましく、リン酸イオンを含まないものが特に好ましい。
上記水系溶媒の合計使用量は、原料化合物の合計100質量部に対し、通常、100〜20000質量部であり、好ましくは500〜10000質量部であり、より好ましくは750〜7500質量部であり、さらに好ましくは1000〜6000質量部であり、特に好ましくは2500〜5000質量部である。このような多量の水系溶媒を使用した場合でも、本発明の製造方法によればポリペプチドを効率よく得ることができる。
また、本発明の製造方法は、縮合剤、又は、縮合剤及び縮合助剤を用いるものである。
縮合剤はペプチド合成に使用される縮合剤であればよいが、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)等のカルボジイミド誘導体;O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HBTU)、O−(6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HCTU)、(1−[ビス−(ジメチルアミノ)メチリウミル]−1H−1,2,3−トリアゾール[4,5−b]ピリジン−3−オキサイドヘキサフルオロホスファート(HATU)等のベンゾトリアゾール誘導体の他、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(DMT−MM)等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、カルボジイミド誘導体が好ましく、WSCがより好ましい。
上記縮合剤の合計使用量は、原料化合物の合計1モルに対し、通常、1〜10モル当量であり、好ましくは1〜5モル当量である。
縮合助剤としてはヒドロキシルアミン化合物が挙げられる。具体的には、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)、N−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、HOBtが好ましい。
上記縮合助剤の合計使用量は、原料化合物の合計1モルに対し、通常、0.25〜10モル当量であり、好ましくは0.75〜5モル当量である。
また、本発明の製造方法においては、マイクロ波照射下で上記反応を行ってもよい。マイクロ波を照射することにより速やかに反応が進行し、短時間で収率よく目的とするポリペプチドを得ることができる。
上記マイクロ波の周波数は、好ましくは1〜5GHzの範囲であり、より好ましくは2〜3GHzの範囲である。
また、マイクロ波の波長は、通常、1m〜100μmの範囲である。
また、マイクロ波の出力は、好ましくは5〜2000Wの範囲であり、より好ましくは150〜1500Wの範囲であり、更に好ましくは175〜1000Wの範囲である。
上記のようなマイクロ波照射は、μ−reactor EX(四国計測工業社製)等の市販のマイクロ波反応装置を用いて行うことができる。
また、反応時間は、マイクロ波照射を行わない場合は、通常、5分間〜24時間程度であり、好ましくは10分間〜10時間であり、より好ましくは20分間〜8時間であり、更に好ましくは30分間〜6時間である。一方、マイクロ波照射を行う場合は、通常、10〜1000秒間程度であり、好ましくは10〜300秒間であり、より好ましくは10〜120秒間である。
また、反応温度は、マイクロ波照射を行わない場合は、通常、0〜200℃であるが、好ましくは4〜150℃であり、より好ましくは10〜100℃であり、更に好ましくは20〜50℃であり、更に好ましくは20〜40℃である。マイクロ波照射を行わない場合、低温領域(4〜50℃)での反応の後、追加で高温領域(70〜100℃)での多段階の加熱を施してもよい。
一方、反応温度は、マイクロ波照射を行う場合は、通常、40〜150℃であるが、好ましくは40〜100℃であり、より好ましくは60〜100℃である。
本発明の製造方法によれば、水系溶媒中であるにも拘わらず、ポリペプチドを簡便に且つ収率よく合成できる。
なお、上記反応で得られた反応生成物の単離は、必要に応じて、ろ過、洗浄、乾燥、再結晶、再沈殿、透析、遠心分離、各種溶媒による抽出、中和、クロマトグラフィー等の通常の手段を適宜組み合わせて行えばよい。
また、本発明の製造方法により得られたポリペプチドには、反応に用いた試薬が残存している。得られたポリペプチドをこの後に加工等に供する場合にこれらの残存試薬が影響する恐れがあるため、除去することが好ましい。残存試薬の除去は、透析法、カラム法、限外ろ過法等の既知の手法を用いることができる。
本発明の製造方法により得られたポリペプチドは、凍結乾燥により粉体にする等して、その後の加工へ供するのに取り扱いやすい形態とすることができる。凍結乾燥する場合は、縮合反応後の反応溶液をナス型フラスコ等適切な容器に入れ、凍結乾燥機(例えば、東京理科機械製;EYELA FDU−2000等)を用いて行う。凍結乾燥は、水分が蒸発して乾燥物が得られるまで実施し、通常は一夜から2日間で完了する。得られた乾燥物を任意の溶媒に所望の濃度で溶解させることにより、ファイバー、ナノファイバー、ゲル等の製造に供する原液を調製することができる。
また、ポリペプチドの安定性及び取扱いの容易さから考えると、反応溶媒を保存溶媒に置換することが好ましい。反応溶媒から目的とする保存溶媒への置換は、透析法においては目的とする保存溶媒を透析外液として使用することにより、カラム法においては目的とする保存溶媒を移動相として用いることにより置換することができる。
保存溶媒としては、得られたポリペプチドの物理的性質等の変化を抑えられるものであれば特に限定されない。例えば、水、生理食塩水、弱酸から弱アルカリに緩衝能を有するバッファーを挙げることができる。
本発明の製造方法で得られるポリペプチドとしては、式(4)で表されるペプチドフラグメントを有するポリペプチドが好ましい。
−(Pro−Y−Gly)m− (4)
(式(4)中、Yはヒドロキシプロリン又はプロリンであり、mは100〜171の整数である。)
また、本発明におけるポリペプチド(単分子)鎖は、天然コラーゲンのように三重らせん構造をとりコラーゲン様ポリペプチド複合体を形成することができる。なお、ポリペプチドが三重らせん構造をとっているか否かは、ポリペプチド溶液について円二色性スペクトルを測定することにより確認することができる。具体的には、波長220〜230nmに正のコットン効果を示し、波長195〜205nmに負のコットン効果を示す場合、そのポリペプチドは三重らせん構造をとっていると考えられる。
本発明のポリペプチドは、直線状又は1以上の分岐を有していてもよい。分岐を有する場合、分岐点以降に三重らせん構造が形成されていてもよく、さらにその三重らせん構造の後ろに分岐を有していてもよい。また、ポリペプチド単分子鎖どうしは、互いに架橋されていてもよい。
本発明におけるポリペプチド(単分子)鎖は、ポリ(Pro−Y−Gly)のみからなるものであってもよいが、ポリ(Pro−Y−Gly)の他にアミノ酸残基もしくはペプチドフラグメント又はアルキレンやポリアルキレングリコール鎖を含んでもよい。
アミノ酸残基としては、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Hyp、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Sar、Ser、Thr、Trp、Tyr、Valから選択された少なくとも1種が挙げられる。ペプチドフラグメントとしては、前記アミノ酸残基の1種以上が複数個結合したペプチドが挙げられる。アルキレンとしては、直鎖状、分岐状のいずれでもよく、特に限定されるものではないが、具体的には炭素数1〜18のアルキレンが挙げられ、実用的には炭素数2〜12のアルキレンが好ましい。
本発明におけるポリペプチド(単分子)鎖は、ポリPYGと他のアミノ酸残基もしくはペプチドフラグメント又はアルキレンとを、質量比においてポリPYG:他のアミノ酸残基もしくはペプチドフラグメント又はアルキレン=1:99〜100:0、好ましくは10:90〜100:0の範囲で有するものが好ましい。
本発明の製造方法により得られたポリペプチドは、皮膚外用組成物の添加剤、化粧品の添加剤、食品添加剤、止血材などの用途に用いることができる。詳細には、特開2009-067727号公報、特開2007-223981号公報、特開2009-067727号公報、特開2007-223981号公報、特開2002-256075号公報、特開2007-137875号公報、特開2007-262087号公報、特開2005-058106号公報、特開2009-132654号公報、特開2005-206542号公報、特開2001-233786号公報、特開2007-223981号公報、特開2003-321500号公報、特開2009-040782号公報、特開2009-209064号公報、特開2009-067727号公報、特開2013-006810号公報、特開2013-116874号公報、特開2013-198559号公報、特開2013-199713号公報、特開2014-009194号公報、特開2014-014596号公報、特開2014-015370号公報、国際公開第2011/158864号パンフレット、国際公開第2013/002311号パンフレット、国際公開第2009/035092号パンフレット、国際公開第2008/114577号パンフレット、国際公開第2011/158864号パンフレット、国際公開第2013/002311号パンフレット、国際公開第2009/035092号パンフレット、国際公開第2008/114577号パンフレット、国際公開第2011/158864号パンフレット、国際公開第2008/075589号パンフレット等に記載された用途を参照することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
Pro−Hyp−Gly100mg(0.35mmol)を超純水5mLに溶解させ、これに、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)335mg(1.75mmol)と1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)53mg(0.35mmol)を加え、更に、Na2SO4 0.71gを添加し撹拌し十分に溶解させた。
次いで、上記で得られた溶液を室温(25℃)で1時間、静置した。この反応溶液を撹拌し、分子量カットオフが3500のセルロース透析膜に入れ、水15Lに対して透析を行った。その後、凍結乾燥して、Pro−Hyp−Glyの重合体を得た(収率:48質量%)。
(実施例2)
超純水5mLの代わりに0.01MのPBSバッファー5mLを使用した以外は、実施例1と同様にしてPro−Hyp−Glyの重合体を得た(収率:10質量%)。
(比較例1)
超純水5mLの代わりに0.01MのPBSバッファー5mLを使用し、さらにNa2SO4 0.71gを使用しなかった以外は、実施例1と同様にしてPro−Hyp−Glyの重合体を得た(収率:5質量%)。
Figure 2016113403

Claims (5)

  1. 式(1)〜(3)のいずれかで表されるペプチドオリゴマーを縮合反応させる工程を含むポリペプチドの製造方法であって、
    前記縮合反応を硫酸イオンを含む水系溶媒中で、縮合剤、又は、縮合剤及び縮合助剤の存在下で行うことを特徴とする
    ポリペプチドの製造方法。
    H−(Pro−Y−Gly)n−OH (1)
    H−(Y−Gly−Pro)n−OH (2)
    H−(Gly−Pro−Y)n−OH (3)
    (式(1)〜(3)中、Yはヒドロキシプロリン又はプロリンであり、nは1〜10の整数である。)
  2. 前記硫酸イオンがアルカリ金属の硫酸塩及びアルカリ土類金属の硫酸塩から選ばれる1種以上の硫酸塩に由来する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記ポリペプチドがコラーゲン様ポリペプチドである、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記反応をマイクロ波照射下で行う、請求項1〜3のいずれか1つに記載の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の製造方法により製造されたポリペプチドであって、
    式(4)で表されるペプチドフラグメントを有するポリペプチド。
    −(Pro−Y−Gly)m− (4)
    (式(4)中、Yはヒドロキシプロリン又はプロリンであり、mは100〜171の整数である。)
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WO2024143052A1 (ja) * 2022-12-26 2024-07-04 学校法人神戸学院 ペプチド合成方法

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