JP2016111986A - 培養装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、上記事情に鑑み、有価物の利用効率を確保しながら濾過手段の透過率を回復可能とし、かつ濾過手段に要するコストを低減することを目的とする。
前記微生物を培養液中で培養する培養槽と、
前記培養後の培養液を濾過する濾過手段と、
前記培養液の濾液又は前記培養後の培養液を後処理(有価物の抽出、利用等)する後処理部と、
逆流洗浄液を前記濾過手段に濾過時とは逆方向に流して、前記濾過手段を逆流洗浄する逆流洗浄手段と、
前記逆流洗浄後の前記逆流洗浄液を前記培養液として前記培養槽へ導入する導入手段と、
を備えたことを特徴とする。
これによって、微生物等の浮遊物質を殆ど含まない液を、逆流洗浄液として用いることができる。
前記濾過手段が、
前記第1流通モードのとき、前記培養後の培養液を濾過する第1濾過器と、
前記第2流通モードのとき、前記培養後の培養液を濾過する第2濾過器と、
を含むことが好ましい。
前記逆流洗浄手段が、前記第1流通モードのときは前記第2濾過器を逆流洗浄し、前記第2流通モードのときは前記第1濾過器を逆流洗浄することが好ましい。
これによって、第1、第2濾過器の一方で濾過中に他方を逆流洗浄できる。したがって、培養後の培養液の濾過、及び濾液の後処理(有価物の抽出、利用等)を連続的に実施しながら、これと併行して、濾過手段の逆流洗浄を行なうことができ、濾過手段の濾過能力を維持できる。
前記濾過手段が、
前記第1流通モードのとき、前記培養後の培養液を濾過する第1濾過器と、
前記第2流通モードのとき、前記培養後の培養液を濾過する第2濾過器と、
前記第3流通モードのとき、前記培養後の培養液を濾過する第3濾過器と、
を含むことが好ましい。
前記逆流洗浄手段が、前記第1流通モードのときは前記第2、第3濾過器の一方を逆流洗浄し、前記第2流通モードのときは前記第1、第3濾過器の一方を逆流洗浄し、前記第3流通モードのときは前記第1、第2濾過器の一方を逆流洗浄し、
前記薬液洗浄手段が、前記第1流通モードのときは前記第2、第3濾過器の他方を薬液によって洗浄し、前記第2流通モードのときは前記第1、第3濾過器の他方を薬液によって洗浄し、前記第3流通モードのときは前記第1、第2濾過器のうち他方を薬液によって洗浄することが好ましい。
これによって、第1〜第3濾過器の1つで濾過中に別の1つを逆流洗浄でき、更に残る1つを薬液洗浄できる。したがって、培養後の培養液の濾過、及び濾液の後処理(有価物の抽出、利用等)を連続的に実施しながら、これと併行して、濾過手段の逆流洗浄及び薬液洗浄を行なうことができ、濾過手段の濾過能力を十分に維持できる。
これによって、培養液を確実に濾過できる。前記濾過膜としては、中空糸や平膜等を用いることができる。
これによって、濾過用砂状物質に捕捉された微生物の活性が落ちる前に、該微生物を逆流洗浄液と共に培養槽に戻すことができる。したがって、微生物の利用効率を高めることができる。
前記後段培養槽で前記微生物を培養した後の培養液を濾過する後段濾過手段と、
を更に備えていてもよい。この場合、前記濾過手段からの前記濾液が、前記後段濾過手段の逆流洗浄液となったうえで前記後段培養槽に導入され、
前記後段培養槽からの培養液、及び前記後段濾過手段からの濾液の何れか1つ又はこれらの混合液が、前記後処理部へ送られて後処理されることが好ましい。
これによって、微生物を前段の培養槽から後段の培養槽に順送りすることで、活性状態の微生物が培養装置の系内に留まって有価物の発酵生成を行なうようにでき、微生物の活性期間と、微生物の培養装置内における滞留期間とをできるだけ一致させることができる。これによって、微生物の利用効率を高めることができる。
培養槽の培養液中で前記微生物を培養する培養工程と、
前記培養後の培養液を濾過手段によって濾過する濾過工程と、
前記培養液の濾液又は前記培養後の培養液を後処理(有価物の抽出、利用等)する後処理工程と、
逆流洗浄液を前記濾過手段に前記濾過工程とは逆方向に流して、前記濾過手段を逆流洗浄する逆流洗浄工程と、
前記逆流洗浄後の前記逆流洗浄液を前記培養液として前記培養槽へ導入する導入工程と、
を備えたことを特徴とする。
本発明方法によれば、培養槽へ導入されるべき培養液を、培養槽への導入前に濾過手段の逆流洗浄に用いることで、実質透過総量ひいては有価物の利用効率を確保しながら、逆流洗浄液の流量を大きくでき、逆流洗浄の実施周期を短くできる。これによって、濾過手段の透過率が少し下がった段階で逆流洗浄を行うことで、透過率を十分に回復できる。よって、濾過手段を大型にしなくても済む。また、逆流洗浄専用の液を別途用意する必要がない。この結果、濾過手段に要するコストを低減できる。
これによって、微生物等の浮遊物質を殆ど含まない液を、逆流洗浄液として用いることができる。
流通モードに応じて、前記濾過手段に含まれる複数の濾過器のうち、前記濾過工程を行う濾過器と、前記逆流洗浄工程を行う濾過器とを選択することが好ましい。
これによって、複数の濾過器の一部で濾過中に他の濾過器を逆流洗浄できる。したがって、培養後の培養液の濾過、及び濾液の後処理(有価物の抽出、利用等)を連続的に実施しながら、これと併行して、濾過手段の逆流洗浄を行なうことができ、濾過手段の濾過能力を維持できる。
流通モードに応じて、前記濾過手段に含まれる3つ以上の濾過器のうち、前記濾過工程を行う濾過器と、前記逆流洗浄工程を行う濾過器と、薬液によって洗浄する濾過器とを選択することが好ましい。
これによって、3つ以上の濾過器の一部で濾過中に別の濾過器を逆流洗浄でき、更に別の濾過器を薬液洗浄できる。したがって、培養後の培養液の濾過、及び濾液の後処理(有価物の抽出、利用等)を連続的に実施しながら、これと併行して、濾過手段の逆流洗浄及び薬液洗浄を行なうことができ、濾過手段の濾過能力を十分に維持できる。
各段の培養槽に対応する濾過手段によって、前記対応する培養槽からの培養液を濾過し、
最終段を除く各段の濾過手段からの濾液を、次段の濾過手段の逆流洗浄液としたうえで次段の培養槽へ導入し、
最終段の培養槽からの培養液、及び最終段の濾過手段からの濾液の何れか1つ又はこれらの混合液を、前記後処理部に送って後処理してもよい。
これによって、微生物を複数段の培養槽にわたって順送りすることで、活性状態の微生物が培養装置の系内に留まって有価物の発酵生成を行なうようにでき、微生物の活性期間と、微生物の培養装置内における滞留期間とをできるだけ一致させることができる。これによって、微生物の利用効率を高めることができる。
[第1実施形態]
図1及び図2は、本発明の第1実施形態を示したものである。
本発明では、培養装置1によって嫌気性の微生物9を培養している。嫌気性微生物9としては、例えば特許文献1(米国公開公報US2013/0065282)の他、特開2014−050406号公報、特開2004−504058号公報等に開示された嫌気性細菌を用いることができる。嫌気性微生物9は、その発酵作用によってエタノール等の有価物を生成する。この有価物を抽出したり反応させたりして種々の利用に供する。
培養槽10には、槽内培養液91が蓄えられている。槽内培養液91中で嫌気性微生物9が培養されている。
培養槽10の中間部には、含固形分液後処理部4が接続されている。
図1に示すように、第1流通モードにおいては、槽送出路51によって、培養槽10の流出ポート14と、第1濾過器21の導入ポート24とが接続されている。かつ、槽還流路52によって、第1濾過器21の非透過液送出ポート26と、培養槽10の還流ポート12とが接続されている。更に、濾液送出路53によって、第1濾過器21の濾液送出ポート25と、抽出部31の導入ポート31cとが接続されている。
なお、槽送出路51の上流端は、培養槽10の槽内培養液91の内部に位置しており、そこから流出ポート14を経由して培養槽10の外部へ引き出されている。
なお、槽導入路59の下流端は、導入ポート13よりも延び、培養槽10の槽内培養液91の内部に挿し入れられている。
<モード切替>
コントローラ5は、培養装置1のモードを所定の間隔置きに第1流通モードと第2流通モードとの間で切り替える。
<第1流通モード>
ここで、第1流通モードに切り替えられたものとする。これによって、図1に示すように、培養槽10と、第1濾過器21とが、槽送出路51及び槽還流路52によって接続され、かつ、第1濾過器21と、抽出部31とが、濾液送出路53によって接続される。また、逆流洗浄路58が、第2濾過器22の濾液送出ポート25に接続され、かつ第2濾過器22の導入ポート24と、培養槽10とが、槽導入路59によって接続される。
培養槽10においては、槽内培養液91中で嫌気性微生物9を培養する。
また、基質ガス源60からの基質ガス(CO,H2,CO2)を槽内培養液91に供給する。
槽内培養液91中の嫌気性微生物9は、基質ガスからエタノール(C2H5OH)等の有価物を発酵生成する。このとき、エタノールの他、酢酸、ブタンジオール等も合成される。これら生成物質は、槽内培養液91中に混合される。
培養槽10を通過したガスは、ガス排出路62から排出される。この排出ガスには、未使用の基質ガス成分(CO,H2,CO2)の他、発酵により生成されたCO2等も含まれる。
槽内培養液91の一部が、培養後培養液92として、培養槽10の流出ポート14から一定流量で流出される。培養後培養液92は、エタノール、酢酸、ブタンジオール等の発酵生成成分や、ビタミンやリン酸等の栄養分を含有し、かつ嫌気性微生物9等の固体成分(浮遊物質SS)が分散されている。この培養後培養液92が、槽送出路51を経て、第1濾過器21の非透過室28に導入される。培養後培養液92の液成分は、第1濾過器21の濾過膜29を透過して透過室27へ移ることができる。一方、培養後培養液92中の嫌気性微生物9等の浮遊物質SSは、濾過膜29を透過するのが阻止される。これによって、第1濾過器21において、培養後培養液92を、濾液93と非透過液94とに分離できる。濾液93は、上記栄養分や発酵生成成分を含み、かつ嫌気性微生物9等の浮遊物質SSを殆ど又はまったく含まない。非透過液94は、嫌気性微生物9等の浮遊物質SSが濃縮されている。この非透過液94が、槽還流路52を経て、培養槽10に戻される。
培養槽10の槽内培養液91の一部(含固形分液99)は、含固形分液後処理部4へ排出される。この含固形分液99中の固形分が後処理されて一定レートで排出される。含固形分液99の流量は、培養槽10に戻される非透過液94の流量よりも小さい。含固形分液99における固形分を除去後の液成分は、培養槽10に戻してもよく、固形分と共に系外へ排出してもよい。
濾液93は、濾液送出路53を経て、抽出部31に導入される。そして、抽出部31において、濾液93からエタノールが抽出される。エタノールは、有価物送出路33へ送出され、精製工程等を経て種々の利用に供される。
また、抽出残液96の残部は、接続路35を経て、水処理部32に導入される。この水処理部32において、抽出残液96中の酢酸やブタンジオール等が除去される。また、抽出残液96に微生物9の屍骸、その他の浮遊物質SSが含まれていた場合には、これも水処理部32において分解等されて除去される。除去処理後の抽出残液96すなわち処理済抽出残液97の一部は、処理済残液流出路57へ送出される。また、処理済抽出残液97の残部は、排出路36から系外に排出される。
残液流出路56からの抽出残液96と、処理済残液流出路57からの処理済抽出残液97と、新規培養液供給源2からの新規培養液90とが互いに合流して、逆流洗浄液98となる。したがって、逆流洗浄液98は、新規培養液90と、抽出残液96と、処理済抽出残液97の混合液である。逆流洗浄液98には、嫌気性微生物9等の浮遊物質SSが殆ど又はまったく含まれていない。この逆流洗浄液98が、逆流洗浄路58から第2濾過器22の濾液送出ポート25に導入され、第2濾過器22を逆流する。つまり、逆流洗浄液98は、培養後培養液92の濾過時とは逆方向に流れる。詳しくは、逆流洗浄液98は、第2濾過器22の透過室27から濾過膜29を透過して非透過室28に流入し、導入ポート24から出される。この逆流洗浄液98の流れによって、第2濾過器22の濾過膜29を洗浄できる。すなわち、濾過膜29に嫌気性微生物9等の固体成分が付着していたときは、これを濾過膜29から解離させて逆流洗浄液98の流れに乗せて第2濾過器22から送出することができる。これによって、第2濾過器22の透過率を回復させることができる。
逆流洗浄後の逆流洗浄液98には、第2濾過器22の濾過膜29から解離した嫌気性微生物9が含まれている。この逆流洗浄液98が、槽導入路59を経て、培養槽10へ導入される。この逆流洗浄液98が、培養槽10の槽内培養液91となる。言い換えると、培養槽10へ導入されるべき槽内培養液91が、培養槽10への導入前に第2濾過器22の逆流洗浄に用いられる。
槽内培養液91の導入流量(ひいては逆流洗浄液98の流量)は、上記濾過工程における濾液93の送出流量とほぼ等しい。これによって、培養槽10の槽内培養液91の量を一定に維持できる。
コントローラ5は、第1流通モードの実行期間が満了したときは、第2流通モードに切り替える。つまり、図2に示すように、培養槽10と、第2濾過器22とを、槽送出路51及び槽還流路52を介して接続する。また、第2濾過器22と、抽出部31とを、濾液送出路53を介して接続する。さらに、逆流洗浄路58を、第1濾過器21の濾液送出ポート25に接続し、かつ第1濾過器21の導入ポート24と、培養槽10とを、槽導入路59にて接続する。
コントローラ5は、第2流通モードの実行期間が満了したときは、第1流通モードに切り替える。
第1流通モードと第2流通モードとの間のモード切替は、嫌気性微生物9の活性維持時間より短い間隔で行なうことが好ましい。これによって、第1流通モードにおいて、第1濾過器21の濾過膜29に捕捉された嫌気性微生物9の活性が落ちる前(死滅する前)に、第2流通モードに切り替えて、上記嫌気性微生物9を活きているうちに逆流洗浄液98と共に培養槽10に戻すことができる。また、第2流通モードにおいて、第2濾過器22の濾過膜29に捕捉された嫌気性微生物9の活性が落ちる前に、第1流通モードに切り替えて、上記嫌気性微生物9を活きているうちに逆流洗浄液98と共に培養槽10に戻すことができる。これによって、嫌気性微生物9の利用効率を高めることができる。
[第2実施形態]
図3及び図4は、本発明の第2実施形態を示したものである。第2実施形態の培養装置1Bでは、濾過手段として、砂濾過手段40が用いられている。砂濾過手段40は、第1濾過器41と、第2濾過器42を含む。第1濾過器41は、容器状になっており、その内部に濾過用砂状物質49が収容されている。濾過用砂状物質49は、培養後培養液92の液成分を透過させ、かつ培養後培養液92中の嫌気性微生物9等の浮遊物質(固体成分)を捕捉する。第1濾過器41の上端部には導入ポート44が設けられている。第1濾過器41の底部には濾液送出ポート45が設けられている。第1濾過器41には、非透過液送出ポート26が設けられておらず、培養装置1Bには、槽還流路52が設けられていない。
<第1流通モード>
図3に示すように、第1流通モードでは、培養槽10からの培養後培養液92は、第1濾過器41の上端の導入ポート44から第1濾過器41内に導入され、第1濾過器41の濾過用砂状物質49内を下降する。この培養後培養液92の嫌気性微生物9等の浮遊物質が、第1濾過器41の濾過用砂状物質49によって捕捉(トラップ)される。これによって、培養後培養液92の液成分が、濾液93となって、第1濾過器41の底部の送出ポート45から抽出部31に送られ、抽出部31においてエタノールが抽出される。そして、抽出残液96,97と、新規培養液供給源2からの新規培養液90とが、逆流洗浄液98となる。この逆流洗浄液98が、第2濾過器42の底部の送出ポート45から第2濾過器42に導入されて、第2濾過器42の濾過用砂状物質4内を逆流(上昇)する。これによって、第2濾過器42の濾過用砂状物質49を逆流洗浄でき、第2濾過器42の濾過性能を回復させることができる。第2濾過器42を通過後の逆流洗浄液98は、第2濾過器42の上端の導入ポート44から出され、槽導入路59を経て培養槽10に導入されて槽内培養液91となる。
図4に示すように、第2流通モードでは、培養槽10からの培養後培養液92は、第2濾過器42の上端の導入ポート44から第2濾過器42内に導入され、第2濾過器42の濾過用砂状物質49内を下降する。この培養後培養液92の嫌気性微生物9等の浮遊物質が、第2濾過器42の濾過用砂状物質49によって捕捉(トラップ)される。これによって、培養後培養液92の液成分が、濾液93となって、第2濾過器42の底部の送出ポート45から抽出部31に送られ、エタノール抽出が行われる。そして、抽出残液96,97と、新規培養液供給源2からの新規培養液90とが、逆流洗浄液98となり、第1濾過器41の濾過用砂状物質4内を逆流(上昇)する。これによって、第1濾過器41の濾過用砂状物質49を逆流洗浄でき、第1濾過器41の濾過性能を回復させることができる。第1濾過器41を通過後の逆流洗浄液98は、第1濾過器41の上端の導入ポート44から出され、槽導入路59を経て培養槽10に導入されて槽内培養液91となる。
コントローラ5は、各第1濾過器41,42の濾過用砂状物質49に捕捉された嫌気性微生物9の活性維持時間より短い間隔(周期)でモード切替を行なう。
つまり、上述したように、第1流通モードにおいては、培養後培養液92中の嫌気性微生物9が第1濾過器41の濾過用砂状物質49に捕捉される。この嫌気性微生物9の活性が落ちる前(死滅する前)に、第1流通モードから第2流通モードに切り替える。これによって、第1濾過器41内に逆流洗浄液98を逆流させて、この逆流洗浄液98の流れに第1濾過器41の嫌気性微生物9を乗せることにより、嫌気性微生物9を活きているうちに培養槽10に戻すことができる。
これによって、嫌気性微生物9の利用効率を高めることができる。
図5〜図7は、本発明の第3実施形態を示したものである。第3実施形態の培養装置1Cは、3つの流通モードを有している。また、濾過手段20は、第1〜第3の3つの濾過器21,22,23を含む。
薬液供給源71には薬液79が蓄えられている。薬液79としては、苛性ソーダ、硫酸、酸素液等が挙げられる。
コントローラ5は、第1〜第3流通モードを所定の時間間隔(周期)で切り替える。
<第1流通モード>
図5に示すように、第1流通モードでは、第1実施形態の第1流通モード(図1)と同様に、培養槽10からの培養後培養液92が第1濾過器21に導入されて、第1濾過器21において濾過されることで、濾液93と非透過液94とに分離される。濾液93は、抽出部31に送られてエタノールが抽出され、非透過液94は、培養槽10に戻される。また、抽出残液96,97と新規培養液90とを混合した逆流洗浄液98が、第2濾過器22に導入されて、第2濾過器22内を逆流する。これによって、第2濾過器22を逆流洗浄でき、第2濾過器22の濾過膜29の透過率を回復させることができる。この逆流洗浄液98が、その後、培養槽10に導入されることによって、槽内培養液91となる。
図6に示すように、第2流通モードでは、培養槽10からの培養後培養液92が第2濾過器22に導入されて、第2濾過器22において濾過される。濾液93は、抽出部31に送られてエタノールが抽出され、非透過液94は、培養槽10に戻される点は、第1流通モードと同様である。また、抽出残液96,97と新規培養液90とを混合した逆流洗浄液98が、第3濾過器23に導入されて、第3濾過器23内を逆流する。これによって、第3濾過器23を逆流洗浄でき、第3濾過器23の濾過膜29の透過率を回復させることができる。その後、逆流洗浄液98が、培養槽10に導入されて槽内培養液91となる点は、第1流通モードと同様である。
図7に示すように、第3流通モードでは、培養槽10からの培養後培養液92が第3濾過器23に導入されて、第3濾過器23において濾過される。濾液93は、抽出部31に送られてエタノールが抽出され、非透過液94は、培養槽10に戻される点は、第1、第2流通モードと同様である。また、抽出残液96,97と新規培養液90とを混合した逆流洗浄液98が、第1濾過器21に導入されて、第1濾過器21内を逆流する。これによって、第1濾過器21を逆流洗浄でき、第1濾過器21の濾過膜29の透過率を回復させることができる。その後、逆流洗浄液98が、培養槽10に導入されて槽内培養液91となる点は、第1、第2流通モードと同様である。
図8及び図9は、本発明の第4実施形態を示したものである。第4実施形態の培養装置1Dは、2段(複数段)の培養槽10,10を備えている。各段の培養槽10に対応する濾過手段20が接続されている。各段の濾過手段20は、第1濾過器21と、第2濾過器22を含む。以下、前後の段の構成要素を互いに区別するときは、前段(図8及び図9において下側)の構成要素には符号に「X」を付し、後段(図8及び図9において上側)の構成要素には符号に「Y」を付す。
コントローラ5は、所定の時間間隔でモードを切り替える。
<第1流通モード>
図8に示すように、第1流通モードでは、新規培養液供給源2からの新規培養液90が、原液供給路55から第2濾過器22Xの濾液送出ポート25に導入され、第2濾過器22X内を逆流する。これによって、第2濾過器22Xを逆流洗浄でき、第2濾過器22Xのフィルター機能を回復させることができる。第2濾過器22Xの逆流洗浄液98Xは、新規培養液90だけで構成されている。原液供給路55が、逆流洗浄路58(逆流洗浄手段)となっている。第2濾過器22Xから出た逆流洗浄液98Xは、培養槽10Xに導入され、槽内培養液91Xとなる。この槽内培養液91X中で嫌気性微生物9が発酵することで、エタノール等の有価物が生成される。
培養装置1Dにおいては、抽出残液96が、濾過手段20へ戻されることはない。したがって、残液流出路56,57(図1参照)は設けられていない。
図9に示すように、第2流通モードでは、新規培養液供給源2からの新規培養液90が、原液供給路55(逆流洗浄手段)から第1濾過器21Xの濾液送出ポート25に導入され、第1濾過器21Xを逆流する。これによって、第1濾過器21Xを逆流洗浄でき、第1濾過器21Xのフィルター機能を回復させることができる。第1濾過器21Xの逆流洗浄液98Xは、新規培養液90だけで構成されている。その後、逆流洗浄液98X(新規培養液90)は、培養槽10Xに導入され、槽内培養液91Xとなる。この槽内培養液91X中で嫌気性微生物9が発酵することで、エタノール等の有価物が生成される。
例えば、濾過手段20,40が、1つの濾過器だけで構成されていてもよい。培養後培養液92を上記1つの濾過器で濾過する濾過モードと、上記1つの濾過器を逆流洗浄液98で逆流洗浄する逆流洗浄モードとを、ある時間周期で切り替えて実行してもよい。
逆流洗浄液98が、新規培養液90だけで構成されていてもよく、抽出残液96,97だけで構成されていてもよく、培養後培養液92だけで構成されていてもよい。また、逆流洗浄液98が、濾液93を含んでいてもよい。培養後培養液92を後処理部30へ供給してもよい。
複数の実施形態の独自構成を互いに組み合わせてもよい。例えば、第3実施形態(図5〜図7)の濾過手段として、第2実施形態(図3、図4)の砂濾過手段40を適用してもよい。第4実施形態(図8、図9)の濾過手段として、第2実施形態(図3、図4)の砂濾過手段40を適用してもよい。
第1実施形態(図1、図2)の変形例として、濾過手段20が、3つ以上の濾過器を含んでいてもよい。3つ以上の流通モードを選択的に切り替えるようにしてもよい。流通モードに応じて、3つ以上の濾過器のうち、濾過工程を行う濾過器と、逆流洗浄工程を行う濾過器とを選択してもよい。
第3実施形態(図5〜図7)において、第1流通モードでは、第1濾過器21で培養後培養液92を濾過しながら、第3濾過器23を逆流洗浄液98で逆流洗浄するとともに、第2濾過器22を薬液79にて洗浄してもよい。また、第2流通モードでは、第2濾過器22で培養後培養液92を濾過しながら、第1濾過器21を逆流洗浄液98で逆流洗浄するとともに、第3濾過器23を薬液79にて洗浄してもよい。第3流通モードでは、第3濾過器23で培養後培養液92を濾過しながら、第2濾過器22を逆流洗浄液98で逆流洗浄するとともに、第1濾過器21を薬液79にて洗浄してもよい。
第3実施形態(図5〜図7)の変形例として、濾過手段20が、4つ以上の濾過器を含んでいてもよい。4つ以上の流通モードを選択的に切り替えるようにしてもよい。流通モードに応じて、4つ以上の濾過器のうち、濾過工程を行う濾過器と、逆流洗浄工程を行う濾過器と、薬液洗浄工程を行なう濾過器とを選択してもよい。
第4実施形態(図8、図9)の各段の濾過手段20X,20Yが、第3実施形態(図5〜図7)と同様に、3つの濾過器21〜23又は4つ以上の濾過器を含んでいてもよく、流通モードに応じて、濾過工程を行う濾過器と、逆流洗浄工程を行う濾過器と、薬液洗浄工程を行なう濾過器とを選択してもよい。
第4実施形態(図8、図9)の変形例として、三段以上の培養槽10を直列に連ねてもよい。そして、各段の培養槽10に対応する濾過手段20によって、対応する培養槽10からの培養後培養液92を濾過し、最終段を除く各段の濾過手段20からの濾液93を、次段の濾過手段20の逆流洗浄液98としたうえで次段の培養槽10へ導入してもよい。また、最終段の培養槽10からの培養後培養液92、及び最終段の濾過手段20からの濾液93の何れか1つ又はこれらの混合液を、後処理部30に送って後処理(エタノールの抽出等)してもよい。
後処理部30が、有価物と他の成分とを反応させる反応部を含んでいてもよい。
5 コントローラ(モード切替手段)
9 嫌気性微生物(微生物)
10 培養槽
10Y 後段培養槽(最終段の培養槽)
20 濾過手段
20Y 後段濾過手段
21 第1濾過器
22 第2濾過器
23 第3濾過器
29 濾過膜
30 後処理部
31 抽出部
32 水処理部
40 砂濾過手段(濾過手段)
41 第1濾過器
42 第2濾過器
49 濾過用砂状物質
50 流通ライン
58 逆流洗浄路(逆流洗浄手段)
59 槽導入路(導入手段)
60 基質ガス源
70 薬液洗浄手段
79 薬液
88 濾過器接続路(逆流洗浄手段)
90 新規培養液
91 槽内培養液
92 培養後培養液
93 濾液
96 抽出残液(後処理後の培養液)
97 処理済抽出残液(後処理後の培養液)
98 逆流洗浄液
Claims (14)
- 有価物を発酵生成する微生物を培養する培養装置であって、
前記微生物を培養液中で培養する培養槽と、
前記培養後の培養液を濾過する濾過手段と、
前記培養液の濾液又は前記培養後の培養液を後処理する後処理部と、
逆流洗浄液を前記濾過手段に濾過時とは逆方向に流して、前記濾過手段を逆流洗浄する逆流洗浄手段と、
前記逆流洗浄後の前記逆流洗浄液を前記培養液として前記培養槽へ導入する導入手段と、
を備えたことを特徴とする培養装置。 - 前記逆流洗浄液が、前記培養前の新規の培養液、前記後処理後の培養液、及び前記濾液のうち何れか1つ又は2以上の混合液であることを特徴とする請求項1に記載の培養装置。
- 第1流通モードと第2流通モードとを選択的に切り替えるモード切替手段を、更に備え、
前記濾過手段が、
前記第1流通モードのとき、前記培養後の培養液を濾過する第1濾過器と、
前記第2流通モードのとき、前記培養後の培養液を濾過する第2濾過器と、
を含み、
前記逆流洗浄手段が、前記第1流通モードのときは前記第2濾過器を逆流洗浄し、前記第2流通モードのときは前記第1濾過器を逆流洗浄することを特徴とする請求項1又は2に記載の培養装置。 - 第1流通モードと第2流通モードと第3流通モードとを選択的に切り替えるモード切替手段と、薬液洗浄手段とを更に備え、
前記濾過手段が、
前記第1流通モードのとき、前記培養後の培養液を濾過する第1濾過器と、
前記第2流通モードのとき、前記培養後の培養液を濾過する第2濾過器と、
前記第3流通モードのとき、前記培養後の培養液を濾過する第3濾過器と、
を含み、
前記逆流洗浄手段が、前記第1流通モードのときは前記第2、第3濾過器の一方を逆流洗浄し、前記第2流通モードのときは前記第1、第3濾過器の一方を逆流洗浄し、前記第3流通モードのときは前記第1、第2濾過器の一方を逆流洗浄し、
前記薬液洗浄手段が、前記第1流通モードのときは前記第2、第3濾過器の他方を薬液によって洗浄し、前記第2流通モードのときは前記第1、第3濾過器の他方を薬液によって洗浄し、前記第3流通モードのときは前記第1、第2濾過器のうち他方を薬液によって洗浄することを特徴とする請求項1又は2に記載の培養装置。 - 前記モード切替手段が、前記微生物の活性維持時間より短い間隔でモード切替を行なうことを特徴とする請求項3又は4に記載の培養装置。
- 前記濾過手段が、前記培養後の培養液を透過させ、かつ前記微生物の透過を阻止する濾過膜を有していることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の培養装置。
- 前記濾過手段が、前記培養後の培養液を透過させ、かつ前記微生物を捕捉する濾過用砂状物質を有し、前記モード切替手段が、前記捕捉された前記微生物の活性維持時間より短い間隔でモード切替を行なうことを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載の培養装置。
- 前記培養槽と前記後処理部との間に配置された後段培養槽と、
前記後段培養槽で前記微生物を培養した後の培養液を濾過する後段濾過手段と、
を更に備え、前記濾過手段からの前記濾液が、前記後段濾過手段の逆流洗浄液となったうえで前記後段培養槽に導入され、
前記後段培養槽からの培養液、及び前記後段濾過手段からの濾液の何れか1つ又はこれらの混合液が、前記後処理部へ送られて後処理されることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の培養装置。 - 有価物を発酵生成する微生物を培養する培養方法であって、
培養槽の培養液中で前記微生物を培養する培養工程と、
前記培養後の培養液を濾過手段によって濾過する濾過工程と、
前記培養液の濾液又は前記培養後の培養液を後処理する後処理工程と、
逆流洗浄液を前記濾過手段に前記濾過工程とは逆方向に流して、前記濾過手段を逆流洗浄する逆流洗浄工程と、
前記逆流洗浄後の前記逆流洗浄液を前記培養液として前記培養槽へ導入する導入工程と、
を備えたことを特徴とする培養方法。 - 前記逆流洗浄液として、前記培養前の新規の培養液、前記後処理後の培養液、及び前記濾液のうち何れか1つ又は2以上の混合液を用いることを特徴とする請求項9に記載の培養方法。
- 複数の流通モードを選択的に切り替え、
流通モードに応じて、前記濾過手段に含まれる複数の濾過器のうち、前記濾過工程を行う濾過器と、前記逆流洗浄工程を行う濾過器とを選択することを特徴とする請求項9又は10に記載の培養方法。 - 3つ以上の流通モードを選択的に切り替え、
流通モードに応じて、前記濾過手段に含まれる3つ以上の濾過器のうち、前記濾過工程を行う濾過器と、前記逆流洗浄工程を行う濾過器と、薬液によって洗浄する濾過器とを選択することを特徴とする請求項9又は10に記載の培養方法。 - 前記モード切替を、前記微生物の活性維持時間より短い間隔で行なうことを特徴とする請求項11又は12に記載の培養方法。
- 直列に連なる複数段の培養槽の培養液中で前記微生物を培養し、
各段の培養槽に対応する濾過手段によって、前記対応する培養槽からの培養液を濾過し、
最終段を除く各段の濾過手段からの濾液を、次段の濾過手段の逆流洗浄液としたうえで次段の培養槽へ導入し、
最終段の培養槽からの培養液、及び最終段の濾過手段からの濾液の何れか1つ又はこれらの混合液を、前記後処理部に送って後処理することを特徴とする請求項8〜13の何れか1項に記載の培養方法。
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JPH01281072A (ja) * | 1988-05-06 | 1989-11-13 | Hitachi Ltd | 細胞培養方法及び装置 |
WO2012090556A1 (ja) * | 2010-12-27 | 2012-07-05 | 東レ株式会社 | 連続発酵による化学品の製造方法 |
WO2013146920A1 (ja) * | 2012-03-30 | 2013-10-03 | 東レ株式会社 | 連続発酵による化学品の製造方法および連続発酵装置 |
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