JP2016109677A - 電磁波検出・発生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】大きなインピーダンスを有する電子素子に対しても好ましい共役整合条件を達成することができるアンテナを有する電磁波検出・発生装置を提供する。【解決手段】電磁波検出・発生装置は、電子素子11と、電子素子11に電気的に接続され少なくとも1つのコイル形状部を有するコイル形状アンテナ12と、を有する。電磁波検出・発生装置はコイル形状アンテナ12の第1の反共鳴周波数の近くで駆動される。コイル形状アンテナのコイル形状部の全長は、例えば、第1の反共鳴周波数に対応する波長の略半分である。【選択図】図2

Description

本発明は、電磁波検出・発生装置、それに用いられるコイル形状の共鳴アンテナなどに関する。特に、ミリ波からテラヘルツ領域(30GHz乃至30THz)のうちの任意の周波数帯域を有する電磁波(以下、テラヘルツ波(THz波)などとも呼ぶ)で動作するそれらに関する。本明細書において、「検出・発生」とは、電磁波検出と電磁波発生(放射)のうちの少なくとも一方を行うことを言う。
上記の如き電磁波センサをアレイ状に配列し適当な焦点レンズを用いることで、測定対象のテラヘルツ領域のイメージを取得するための装置を構築できる。テラヘルツ領域におけるイメージ取得は種々の分野で有用である。例えば、テラヘルツ波は、生体などの組織を透過するが金属を透過しないので、これらのイメージは、秘匿した武器の探知などのセキュリティ分野で有用である。また、医療分野でも有用である。すなわち、癌組織と健康な組織はテラヘルツ波に対して屈折率が異なるので、テラヘルツ領域での生体組織のイメージングは患者の癌細胞を検出するのに有用である。
一方、テラヘルツ領域のイメージングは種々の分野で有用であるが、社会にとっての画期的な応用は未だ開発途上にある。その理由は、テラヘルツ領域の便利且つ充分に安価で有効な発生装置や検出装置が開発されていないからである。これは、テラヘルツギャップとして知られている。テラヘルツ領域のセンサを実現するには、テラヘルツ領域の信号をそれより低い周波数の信号に変換する整流素子等を確立し、その低周波数の信号を普通の電子素子で容易に取り扱えるようにすることが重要である。その為には、媒体を伝播してセンサに到達する電磁波を整流素子にカップリングすることが必要である。このカップリングは、通常、アンテナで行われる。そして、アンテナで捕捉されたパワーを高効率で整流素子に伝送するためには、アンテナと整流素子が共役整合条件を満たす必要がある。ここではアンテナと整流素子との間で、インピーダンスが複素共役関係になっていなければならない。
ギガヘルツ(GHz)領域の比較的低い周波数では、整合回路や伝送線を用いて共役整合条件を満足させることができる。伝送線の場合、アンテナ、伝送線、整流素子の全てが共役整合条件を満足させて要素間の界面における反射を防止し、比較的弱いパワーでも高効率な伝送を可能としている。しかし、テラヘルツ領域では、こうした整合回路や伝送線が未だ確立されていない。そのため、アンテナと整流素子の間で、共役整合条件を直接的に実現しなければならない。
テラヘルツ領域で感度がある整流素子は大インピーダンス(例えば、数千ないし数百万Ω)を呈すると言われている。従って、パワーを有効にアンテナから整流素子に伝送するには、大きい放射インピーダンス(例えば、数千ないし数百万Ω)を有するアンテナが必要とされる。これに加えて、アンテナの放射パターン(指向性)に対しても要求されることがある。つまり、アンテナによって放射される電磁界は、検出される電磁界をキャンセルする必要があり、放射電磁界の方向と検出電磁界の方向が揃っていなければならない。従って、アンテナの設計において、その放射パターンも制御される必要がある。
イメージングにおいては、アレイ状に配列された複数(通常、数千以上)のセンサが必要とされる。増幅された信号を複数のセンサから集めるには、各センサに対して電子スイッチなどを用いる。今日、単一のシリコンウエハ上に数千の電子スイッチを形成する際の信頼できる技術としては、CMOS(相補性金属酸化物半導体)の技術がある。他方、空気に比べてシリコンは大きな誘電率を有するので、空気が周りを包囲している場合、シリコン上に作製されたアンテナの放射パターンは空気側よりシリコン側に向いている。こうしたことを、テラヘルツ領域のセンサアレイ用のアンテナを設計する際には考慮する必要がある。
特許文献1は、テラヘルツ領域の検出装置用のアンテナを開示している。ボロメータによる検出用のアンテナは小さい熱容量を有する様に設計されている。アンテナはスカート形状を有し、全長は実質的に1波長の長さを有する。一例では、こうした形状とサイズのアンテナが抵抗器と熱型センサに接続されている。アンテナの放射インピーダンスは例えば略100Ωである。また、他の例として、2つのループを用いるアンテナも開示され、これは低い抵抗の広帯域を有する。ここでは、大インピーダンスの整流素子などに対して、こうしたアンテナによって共役整合条件を満たすのは容易ではない。よって、電磁波エネルギーを数千Ωの整流素子などに有効に伝送するのに、こうしたアンテナは使用できないことがある。さらに、特許文献1は、アンテナがシリコンウエハと結合して作成される際のアンテナの放射パターンを制御する方法も開示していない。
米国特許公開明細書20140117236号
以上に述べたように、前述の特許文献1はテラヘルツ領域で使用されるアンテナの設計技術を開示しているが、アンテナの放射インピーダンスが低過ぎる。従って、テラヘルツ領域の整流素子などと接続されるときに、共役整合条件を満たすのは困難である。また、イメージングアレイを実現するためにシリコン基板にアンテナを形成するときのアンテナの放射パターンの設計・制御も困難である。従って、本発明の目的は、共役整合条件を満たして整流素子などの電子素子と接続するのに適した比較的高い放射インピーダンスを有するアンテナを備える電磁波検出・発生装置などを提供することである。
本発明の電磁波検出・発生装置は、電子素子と、該電子素子に電気的に接続され少なくとも1つのコイル形状部を有するコイル形状アンテナと、を有し、該コイル形状アンテナの第1の反共鳴周波数の近くで駆動されることを特徴とする。
本発明によれば、例えば千Ω以上の大きな放射インピーダンスのアンテナを実現することができる。従って、電磁波検出・発生装置において、このアンテナは、テラヘルツ領域で動作して大きなインピーダンスを有する整流素子などとも、好ましい共役整合条件を達成することができる。
第1の反共鳴周波数の近くで真空中において励起される3種類のコイル形状アンテナのインピーダンスと放射パターンを説明する図。 第1の実施形態の第1例の上面とA−A断面図、及びショットキーバリアダイオードの側面の拡大表示を示す図。 第1の反共鳴周波数の近くで励起されるシリコン基板上のコイル形状アンテナのインピーダンスと放射エネルギーのポインティングベクトルを示す図。 コイル形状アンテナに接続された整流素子を含む電子素子(回路)の例を示す図。 2つのコイル部分が1つの整流素子に接続された構造を有するコイル形状アンテナを備える第1の実施形態の第4例の平面とA−A断面を示す図。 シリコン基板上に立設されたコイル形状アンテナを備える第1の実施形態の第5例の上面とA−A断面を示す図。 第2の実施形態の第1例の上面とA−A断面の図。 第1の反共鳴周波数の近くで励起される反射器付きシリコン基板上のコイル形状アンテナのインピーダンスと放射エネルギーのポインティングベクトルを示す図。 第2の実施形態の第2例の上面とA−A断面を示す図。 第1の反共鳴周波数の近くで励起される反射器と逆テーパ柱状部を備えたシリコン基板上のコイル形状アンテナのインピーダンスと放射エネルギーのポインティングベクトルを示す図。 第2の実施形態の第3例の上面とA−A断面を示す図。
本発明の一側面では、以下の如き手法でコイル形状アンテナが構築される。まず、目標とする動作周波数と接続相手の電子素子のインピーダンスが決まる。これに基づいて、少なくとも1つのコイル形状部を有するコイル形状アンテナの長さ、形状などの形態が決められる。この際、どの様な形態の基板にアンテナを設けるのかも考慮される。そのとき、実際に基板に幾つかのアンテナを形成し、測定装置によりアンテナ中の電磁波の波長、第1の反共鳴周波数、インピーダンスなどを測定し、その測定結果を用いてコイル形状アンテナを設計することができる。こうして、第1の反共鳴周波数に近い動作周波数に対応する波長に従ってアンテナのサイズ等が設計される。
導線に変調電圧を印加するとき、低い周波数では、導線を流れる電流は略均一である。変調電圧の周波数を高くすると、導線を流れる電流は次第に不均一の程度を増す。そして、或る周波数から、電流は、電流が最小である位置である節(nod)を呈する。節が2つのとき、給電部の所で節が現れ、その時、導線の長さは1波長である。この方法により、導線中の電磁波の波長を決定することができる。ここで、或る周波数の波長の半分の長さの導線を考える。ここに変調電圧の給電部が接続されると、導線の中点は対称中心の電圧結節点であるので、この位置に電圧の節が現れる。これに対応して、この中点で電流が最大となる。導線の長さは半波長であるので、導線の半分の長さは1/4波長である。このことから、給電部の所で、電圧が最大となり、電流が最小となる。従って、オームの法則から、給電部から見たインピーダンスは非常に大きくなる。本発明では、この様なことを利用して大きなインピーダンスのアンテナを実現する。
真空で包囲された3つの平面的コイル(図1(b)のXY平面内に配置)のインピーダンスを市販の有限要素法ソフトウエアHFSS(ansoft社製)を用いて演算した結果を説明する。コイルの導線幅は4μmである。3つのコイルの半径は、それぞれ0.3THz、0.5THz、1THzの周波数の半波長で共鳴するコイルとなるように変化させる。図1(a)の横軸はコイルの周囲の長さCを真空中の電磁波の波長λで割った値であり、コイルの長さは上記節が中点に来るように選択されている。上記説明から分かるように、導線の抵抗はC/λ=0.5近くで最大値を示す。この最大値の所の周波数はコイルの第1の反共鳴周波数に対応する。実際の第1の反共鳴周波数はC/λ=0.45の所の周波数である。この差は、給電部のインピーダンスと導線からの放射の効果に依る。つまり、導線の形状に依存する。こうしたことも本発明では考慮される。
図1(b)に図示の放射パターンは0.3THzで駆動されるコイルに対応するものである。ここで、コイルはXY平面に配置され、その軸(コイルの重心を通りコイルで規定される平面に垂直な直線)はZ軸に沿っており、給電部はX軸上に配置されている。この図はコイルの放射エネルギーが給電部のある方向に沿っていることを示す。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこうした実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態はテラヘルツ領域の検出装置に係わる。テラヘルツ領域の電磁波を検出する検出装置の動作原理については幾つかのものが提案されている。1つの原理では、検出装置を包囲する媒体(例えば空気)を伝播する電磁波をアンテナによって集め、整流素子を含む電子素子で、高い周波数領域の信号を低い周波数領域の信号に変換する。この低い周波数の信号は普通の電子素子によって容易に扱うことができる。テラヘルツ領域の整流素子としては幾つかのものが提案されている。ショトキーバリアダイオード(SBD)、プラズモン型の電界効果トランジスタ(FET)等がある。
高い周波数において、SBDやプラズモン型FETのインピーダンスは非常に大きくなる。SBDでは、カットオフ周波数を大きくするために、ショットキー接合部を小さくしなければならず、抵抗が大きくなる。アンテナから整流素子へ伝送されるパワーを最大化するには、整流素子とアンテナとの間の共役整合条件を出来るだけ満たす必要がある。このために、本実施形態では、高い抵抗のアンテナを構築する。
図2に図示の本実施形態の第1例では、半導体基板10に、整流素子を含む電子素子ないし回路11が集積化される。電子素子は、半導体基板上に成長して形成されている。電子素子は、テラヘルツ領域の周波数の信号をそれより低い周波数領域の信号に変換する電子回路である。SBDは様々な半導体で作製できるので、ここでは半導体基板はシリコンないしIII−V半導体材料からなる。また、コイル形状のアンテナ12が電子素子11に電気的に接続される。ここでは円形状のコイル形状を示すが、コイル形状としては、方形状、三角形状など、種々のものがあり得る。アンテナ12の長さ(全長)は、動作周波数において、アンテナ12が第1の反共鳴周波数で共鳴できるように設定される。例えば、この長さは、アンテナ中の電流の波長の略半分である。ここでは、コイル形状アンテナは、半導体基板側の面の殆どにおいて半導体基板に接している。
モノリシック半導体基板の場合、コイル形状アンテナ中に立つ定常電流の波長は半導体中を伝播する電磁波の波長に基づくと見なすことができる。この波長は、電磁波の周波数と材料の誘電率に依存する。整流素子を構成するために複数材料の層を積層することがある。例えば、ショットキーバリアダイオードは、ショットキー接合部とアンテナの間に誘電体部を介在させることがある。誘電体部は、例えば、二酸化シリコンや窒化シリコンの層である。こうした層の存在により、アンテナ中の電流から見た媒体は、半導体基板単独や、その上に積層された層単独ではなく、それらの混合物である。従って、アンテナ中の電流の波長は、コイル形状アンテナを包囲する構造全体の有効誘電率により規定される。
この有効誘電率は、半導体基板の表面上に積層した様々な長さの伝送線を用意して測定することができる。伝送線は、開放、短絡、抵抗器介在といった条件で終端する。線のインピーダンスはネットワークアナライザにより測定される。線の長さと周波数の関数であるインピーダンスの最大値と最小値により、半導体基板に積層された線における波長の値が得られる。ネットワークアナライザは、1.1THzまで動作するものがあり、こうした伝送線の特性は1.1THzまで得ることができる。この方法で測定される有効誘電率は、伝送線の形状に多少依存することがある。その為、関係する周波数帯で動作するネットワークアナライザを用いてコイル形状アンテナの第1の反共鳴周波数を直接的に測定するのが好ましいこともある。
設計を簡易化するために、積層されたSBDの部分の誘電体層を除去してシリコン上に直接的にアンテナを配置するのが良い場合もある。具体的には、SBDの誘電体層が二酸化シリコンやシリコン窒化物であるとき、こうした層は、フォトレジストのマスクを用いてバッファードフッ酸(BHF)で除去することができる。フォトレジストマスクの形状はパターニングされ、SBDの部分を残して、アンテナが形成されている領域の誘電体が除去される。すなわち、半導体基板であるシリコン基板が少なくとも一部において誘電体層で被覆され、コイル形状アンテナは誘電体層に配置され、アンテナの下面と側面の少なくとも一部において誘電体層を除去することができる。ただし、以下の点に注意すべきである。除去される誘電体層の部分は、アンテナの金属パターンに厳密に沿った形状である必要はない。なぜなら、アンテナの特性は、アンテナにより発せられ、その金属パターン付近に存在する電磁界に依存するからである。それ故、アンテナの金属パターンより大きい誘電体層の部分を除去してもよい。
図2(b)の断面図はSBDの一例を示す。シリコンウエハ上に積層したN型のシリコン層20が、ショットキー接合を成す金属要素21と、抵抗性の接合を成す他の金属要素22とに接続されている。2つのビア23、24を介して、金属要素21、22はアンテナの2つの部分25、26にそれぞれ電気的に接続されている。アンテナの2つの部分25、26は接続することもできる。また、SBDの作製を容易するために、金属要素21、22とビア23、24は、例えば二酸化シリコンの誘電体層27中に形成される。誘電体層27は、N型シリコン層20上に積層されてアンテナ部分25、26を支持する。
図3は、上述したコイル形状アンテナのインピーダンスを示す。これは上記ソフトウエアHFSSを用いて演算された。コイル形状アンテナの導線の幅は3μmである。その半径は9μmである。コイル形状アンテナの大部分は、空間の下半分を占めるシリコン基板に直接的に接触している。図の横軸は、シリコンを伝播する電磁波の波長でコイルの長さを割った値である。シリコンの誘電率は11.9に設定されている。図3のグラフから、コイル形状アンテナが1500Ω以上の大きい抵抗を示すことが分かる。第1の反共鳴周波数(実部のピークの周波数)は、波長に対するコイル長の比率が0.61近くの所にある。これは915GHzの周波数に対応する。この演算結果は、共鳴領域に幅があることを示す。周波数が、抵抗の最大値に対応する周波数からそれぞれ+15%、−15%シフトするとき、抵抗はそれぞれ180Ωと110Ωになる。これは、従来のアンテナのインピーダンスと比較して、高いインピーダンスであり、大きな放射インピーダンスのアンテナを実現することができる。従って、第1の反共鳴周波数の±15%の範囲の周波数で装置を駆動することができる。
本実施形態の目的は、アンテナと電子回路間のエネルギー伝送を最大化することである。理想的には、最大のエネルギー伝送は共役整合状態付近で得られる。実際には、最大のエネルギー伝送が起こるベストの共役状態がある。しかし、第1の反共鳴周波数でのアンテナのインピーダンスが、電子回路のインピーダンスに対して、ベストの共役状態を実現するとは限らない。例えば、電子回路のインピーダンスが第1の反共鳴周波数でのアンテナのインピーダンスより低い場合は、ベストの共役状態は第1の反共鳴周波数近くではあるが、反共鳴周波数では起こらない。よって、本実施形態では第1の反共鳴のピーク領域を用いることにする。上記演算結果は、共鳴に幅のあることを示す。上述したように、周波数が、最大値の抵抗に対応する周波数から+15%、−15%シフトするとき、抵抗値はそれぞれ180Ωと110Ωとなる。ピーク領域の幅はアンテナにおける損失に係わる。アンテナにおける損失はアンテナの材質に関係するが、対象とする周波数領域に影響を与えるものではない。従って、対象とする周波数領域において、シミュレーションの結果を基に第1の反共鳴のピーク領域の幅を決定するのが合理的である。
図3(b)は、第1の反共鳴周波数でアンテナにより放射される電磁波のポインティングベクトルを示す。アンテナで放射される多くのエネルギーがシリコン基板内に放射されることが分かる。その理由は、シリコンの誘電率がシリコン基板上の真空の誘電率より遥かに大きいからである。アンテナを整流素子に接続するとき、整流素子は、アンテナで受信される信号の変動に対応する低い周波数領域の電気信号を生成する。THzカメラの場合、テラヘルツ領域の周波数で信号が振動し、前記変動はそれより低い周波数をもつ。この変動は、カメラで記録されるイメージの変化に対応する。こうした低い周波数の信号はビデオ信号であり、周波数はビデオ周波数と呼ばれる。
整流素子が直接的にコイル形状アンテナに接続される場合、整流素子で生成される整流信号はコイル形状アンテナにより短絡される。なぜなら、低い周波数の整流信号にとって、コイル形状アンテナは短絡回路であるからである。従って、このことを考慮して、電子素子の整流素子はコイル形状アンテナと接続される必要がある。こうした回路例が図4に示されている。コイル形状アンテナ40は、直列に接続されたダイオード42と抵抗器43を含む電子素子41と電気的に接続されている。低い周波数では、ダイオードは、抵抗に直列接続された低周波発生器と見なされ、アンテナは短絡回路に対応する。ダイオードから発する信号は、抵抗の電圧と電流の何れか一方をモニターすることで測定することができる。THz周波数では、コイル形状アンテナはTHz周波数の発生器として機能する。アンテナから見たインピーダンスは、ダイオードと抵抗のインピーダンスの総計である。アンテナからダイオードへのパワーの伝送を最大化するためには、アンテナのインピーダンスは、ダイオードと抵抗のインピーダンスの総計に対して共役整合されねばならない。抵抗で熱として発散されるパワーを抑制してセンシング感度の低減を抑えるためには、抵抗値を最小化する必要がある。しかし、他方、テラヘルツ領域で動作するダイオードの抵抗は数千Ωのオーダーであると想定されるので、数十Ωの抵抗は、システムの全損失の数パーセントの損失に係わるに過ぎない。ここで、抵抗の替わりにコンデンサを用いることもできる。
第1の実施形態の第2例は、半導体基板中に放射されるエネルギーを回収する例に係わる。この第2例でも、整流素子を含む電子素子が半導体基板に集積化され、電子素子はコイル形状アンテナに電気的に接続される。半導体基板上に設けられたコイル形状アンテナは第1の反共鳴周波数の近くで励起される。ここでは、放射エネルギーを集めるために、半導体基板の裏面にシリコンレンズが設けられる。
本発明が検出装置に適用される場合、検出される電磁波がシリコンレンズで集められ、アンテナへと伝播し、アンテナ中に電流を発生させる。この電流はそれ自体で電磁波を放射し、これが前記検出電磁波をキャンセルする。アンテナ中の損失が無いとすると、アンテナで放射された電磁波によりキャンセルされるパワーは、アンテナに接続された電子素子に伝送されるパワーに対応する。従って、検出用のアンテナは放射用のアンテナと全く等しい構造を持つ。
第1の実施形態の第3例は、アンテナで放射される電磁波を増大して制御する構成に係わる。第3例でも、整流素子を備える電子素子が、半導体基板に集積化され、電子素子はコイル形状アンテナに電気的に接続されている。半導体基板上にアンテナが設けられている。ここでは、アンテナにより放射される電磁波の指向性を変えるために、半導体基板の裏面に反射器として機能する金属層が設けられている。反射波を放射波と同相として電磁波のパワーをより大きくするのが好ましい。このために、半導体基板の厚さを、半導体基板中を伝播する電磁波の波長の1/4とする。この厚さは、作用効果を変えないで、該1/4波長の奇数倍とすることもできる。
場合によっては、アンテナのサイズが小さすぎることがある。特に、増幅器や読み出し回路などの他の要素と一体化するピクセルのサイズと比較して小さすぎることがある。アンテナによって放射或いは回収されるパワーはアンテナの有効面積に依存する。物理的理由により、アンテナの有効面積はアンテナの物理的面積より小さくできない。また、有効面積は物理的面積と極端に異なることもない。そのため、アンテナによって放射或いは回収されるパワーを大きくするために、アンテナの他の特性は変えないでアンテナの物理的面積を大きくすることには意義がある。図5に示す第1の実施形態の第4例では、整流素子を含む電子素子51が半導体基板50に設けられ、アンテナもまた半導体基板に設けられている。このアンテナは2つのコイル部分52、53が互いに接続され、各コイル部分は1つの電子素子に接続されている。2つのコイル部分は、電子素子を通りコイル部分と接する線を挟んで鏡像関係になっている。ここでも、2つのコイル部分は第1の反共鳴周波数の近くで励起されて大きな抵抗を生じさせている。
或る周波数帯では、1つのコイル部分の物理的面積は、第4例の2つのコイル部分の物理的面積と同等に扱うことができる。その結果、2つのコイル部分の物理的面積は、1つのコイル部分の物理的面積の2倍となる。アンテナにおける物理的面積と有効面積の上記関係から、2つのコイル部分を持つコイル形状アンテナの有効面積は、1つのコイル部分を持つアンテナの有効面積の略2倍になると考えられる。
他方、小面積のコイルも注目される。小面積のアンテナはピクセルのサイズを小さくし、従って、イメージングシステムの解像度を大きくすることができる。これに対して、望遠鏡やカメラなどのシステムは回折による制限がある。しかし、コンタクトイメージングでは、レンズが無いので、解像度は回折によっては規制されず、直接的にピクセルのサイズによって決定される。
第1の実施形態の第5例は、小さいピクセルによって高い解像度をコンタクトイメージングにおいて実現している。第5例を図6に示す。半導体基板60に、整流素子を含む電子素子61が集積化されている。コイル形状アンテナ62は電気的に電子素子に接続されている。コイルの長さは、動作周波数において、第1の反共鳴周波数でコイル形状アンテナが共鳴するように設定されている。前述した様に、コイル形状アンテナは真空中で優位方向に電磁波を放射する。この優位方向は、コイル形状アンテナで規定される平面内にあって電子回路を通る。また、半導体の誘電率は空気や真空の誘電率より遥かに大きいので、半導体基板上のアンテナの放射パターンの優位方向は半導体基板側に向いている。こうした理由により、コイル形状アンテナ62は図6に示すように半導体基板60に立設されている。
より詳細には、コイルの重心を通過する軸であるコイルの軸63はコイルの平面に対して垂直であり、半導体基板の表面に対して平行である。その結果、コイル形状アンテナは半導体基板側に向いた優位方向に電磁波を放射する。また、コイル形状アンテナは半導体基板上に立設されているので、基板上に配置されるアンテナが占める領域は、僅かに、コイルを成す導線の幅とコイル全長の略半分を掛けたものとなるに過ぎない。
上記アンテナは、以下の方法により作製することができる。まず、整流素子を含む電子回路が集積化されたシリコン基板を用意する。次に、コイル形状アンテナの下部層が積層される。この方法では、金属蒸着、フォトリソグラフィ、金属エッチングによりパターニングして該下部層が電子回路に電気的に接続されるようにする。次に、シリコン基板の表面に、ベンゾシクロブテン(BCB)をスピンコーティングする。BCBは、その後、フォトリソグラフィとRIE(反応性イオンエッチング)を用いてパターニングされる。RIEでは、CFと酸素ガスを用いてコイルの下部の両端を露出させる。こうして、コイルの上部を支持するための支持部64が形成される。
次に、金属蒸着、フォトリソグラフィ、金属エッチングを用いてコイルの上部を形成する。コイルの上部は、下部の両端において、該下部に接続される。コイル上部の金属蒸着と接続を簡易化するために、コイル上部とコイル下部が接続される領域近くに、テーパ部分65を有するBCB部を形成するとよい。
上述した第1の実施形態の各例によれば、大きな放射インピーダンスのアンテナを実現できる。よって、電磁波検出・発生装置において、アンテナは、テラヘルツ領域で動作する大きなインピーダンスを有する整流素子などとも、好適に共役整合条件を達成できる。また、例えば、アンテナがシリコン基板上に直接的に配置されようと、シリコン基板に集積化された反射器上に配置されようと、アンテナは優位(主要)方向に指向性を持つ放射パターンを有するようにできる。その結果、アンテナにより放射されるパワーを、主として、全空間のうちの優位方向に発することができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態のテラヘルツ領域の検出装置では、大きい抵抗のアンテナが大抵抗の整流素子などと整合され、放射パターンがシリコンレンズや反射器で制御されていたが、放射パターンを更に制御する必要があることもある。例えば、1つの基板に複数の検出装置を集積化してイメージングシステムを実現するとき、シリコンレンズを用いるのは好ましくない。なぜなら、複数のレンズの焦点を正確に調整する必要があるからである。また、基板の裏面に金属反射器を形成して基板の厚さを調整する場合、1つの基板に、複数の周波数に感度のある検出装置を集積化するのは困難である。なぜなら、複数の検出装置の周波数に従って基板の厚さを調整する必要があるからである。第2の実施形態はこうした困難を解決するものである。
図7は第2の実施形態の第1例を示す。整流素子を含む電子素子ないし回路71が集積化された半導体基板70が設けられている。電子素子はコイル形状アンテナ72に電気的に接続されている。アンテナによる半導体基板中への電磁波放射を防ぐために、アンテナは、半導体基板に集積化された反射器73に対向して設けられている。電子素子が基板に設置されるように、反射器の所から伸びてきた柱状部74によって電子素子71が支持されている。コイル形状アンテナは第1の反共鳴周波数の近くで励起され、それにより、整流素子などと整合する大抵抗を実現している。第1の実施形態では、第1の反共鳴周波数で駆動されるコイル形状アンテナは、電子素子を通りコイルの軸に垂直な方向の優位方向に電磁波を放射していた。第2の実施形態では、この優位方向の放射を有効に利用するために、コイルの軸が基板の表面と平行になっている。また図7に示すように、コイルの軸75はコイルで規定される平面に垂直な方向に伸びている。
図8に第2の実施形態の第1例のシステムのシミュレーション結果を示す(上記有限要素法ソフトウエアで演算)。ここでは、幅5μmで長さ92μmのシート状のコイルが、深さ10μmで、BCB(誘電率2.6)で充填された凹部上に配置されている。コイル形状の下部と上部間の距離は2μmとなっている。図8はこのコイル形状アンテナのインピーダンスを示す。これから分かる様に、インピーダンスは、第1の反共鳴周波数において1000Ω以上の高抵抗のピークを有する。ここでも横軸は波長に対するアンテナの長さの比率である。電磁波の速度はBCB中を伝播する電磁波のものとした。コイル抵抗の最大値は、上記比率が0.55の所にある。この値は、第1の実施形態で説明したように、アンテナの長さが電磁波の波長の略半分である所の値である。
演算結果は、共鳴に幅のあることを示す。周波数が、最大値の抵抗に対応する周波数から+15%、−15%シフトするとき、抵抗値はそれぞれ54Ωと64Ωとなる。これは、従来のアンテナのインピーダンスと比較して、高いインピーダンスであり、大きな放射インピーダンスのアンテナを実現することができる。図8(b)は、こうしたアンテナで放射される電磁波のポインティングベクトルを示す。電磁波の多くは半導体基板上の真空に放射され、第1の実施形態の図3に示すように基板中ではない。
上記デバイスの製造プロセス例を説明する。まず、ショットキーバリアダイオードが集積化されたシリコンウエハを用意する。SFとフォトリソグラフィを用いるRIEによりシリコンウエハ内に、柱状部74を有する所定の形状の凹部を形成する。次に、電子線による蒸着とフォトリソグラフィを用いて凹部の壁面を金属層で被覆し、スピンコーティングとメカニカルポリッシングを用いて凹部をBCBで充填する。BCBの厚さを精密に調整するために、CFと酸素ガスを用いるRIEによりBCBをエッチングする。
そして、立設コイルの下部を形成するために、電子線による蒸着、フォトリソグラフィ、金属のドライエッチングを用いてパターニングして、第1の金属層を積層する。次に基板は、フォトリソグラフィとドライエッチングでパターニングされたBCBで被覆され、BCBは、立設コイルの下部を被覆する。こうして、コイルの上部を支持する支持部76(図7参照)が形成される。次に、金属の第2の層を積層し、パターニングする。この第2の層は、BCB層を被覆し、立設コイルの下部に接続される。金属の第2の層はこうして立設コイルの上部を形成する。ここでは、コイル形状アンテナの下部上に配された材料部が上部を支えている。半導体基板上に形成された該コイル形状アンテナにおいて、下部と上部の半導体基板の面と平行な部分の長さは、例えば、コイル形状アンテナの全長の略80%である。下部と上部の半導体基板の面と平行な部分の長さは、コイル形状アンテナの全長の80%以上であることが望ましい。
コイルの作製を簡易化するために、コイルの2つの部分に挟まれるBCB層は、2つの部分が接続される領域に、テーパ部77(図7参照)を有するのが好ましい。この場合、例えば電子線による蒸着を用いて、基板の正面側から、コイルの上部の金属を容易に積層することができる。
第1例では、多くのパワーは半導体基板の外側に放射されるが、図8(b)に図示するように、いまだ幾らかのパワーは基板内に放射される。第2例によりこの課題が解決される。図1に示すように、第1の反共鳴周波数で励起されるコイル形状アンテナによって放射される電磁波は、主に、コイルの軸に垂直で電子素子を通る方向に放射される。従って、柱状部に集積化された電子素子を有する凹部の上にアンテナを配置するとき、アンテナから放射された幾らかのエネルギーは柱状部を通って基板中に放射される。第2例は、これに対応するように構成される。
図9は第2の実施形態の第2例を示す。半導体基板90には整流素子を含む電子素子91が集積化されている。基板には反射器92が集積化され、その上に、電子素子に電気的に接続されたコイル形状アンテナ93がある。電子素子は柱状部94で支持されている。アンテナにより放射された電磁波が柱状部94を通って基板中に伝播するのを抑えるために、柱状部は逆テーパ状になっている。すなわち、柱状部は、凹部の底部から電子素子側に向かって断面積が広がる逆テーパ形状を有する。更に、逆テーパ形状の面に反射層が形成されている。このように逆テーパ部が金属層で被覆されているので、柱状部に向かって放射された電磁波は金属層で反射されて基板90の上方側に戻される。
図10は、上記第2例のシステムのシミュレーション結果を示す(上記有限要素法ソフトウエアで演算)。シミュレーションに用いた第2例の形態は、コイルの長さが85.4μmであることと柱状部が逆テーパ状であることを除いて、第2の実施形態の第1例と類似している。図10はコイルのインピーダンスを示す。テーパを逆にしない形態のインピーダンスと比べて、コイルの抵抗が若干大きくなっているのが分かる。ここでも、横軸は上記比率である。電磁波の速度はBCB中を伝播する電磁波のものとしている。コイルの抵抗の最大値は、上記比率が0.5となる位置の付近にある。この値も、第1の実施形態で説明したように、アンテナの長さが電磁波の波長の半分付近である所の値である。
演算結果は、共鳴に幅のあることを示す。周波数が、最大値の抵抗に対応する周波数から+15%、−15%シフトするとき、抵抗値はそれぞれ78Ωと63Ωとなる。これは、従来のアンテナのインピーダンスと比較して、高いインピーダンスであり、大きな放射インピーダンスのアンテナを実現することができる。図10(b)は、こうしたアンテナで放射される電磁波のポインティングベクトルを示す。電磁波の多くは半導体基板上の真空に放射され、第1の実施形態のように基板中ではない。テーパを逆にしない形態のピラーと比べて、より多くのエネルギーが基板の上方に放射されている。逆に、より少ないエネルギーしか基板中に放射されていない。
コイル形状アンテナの上部の両端部と下部の両端部がそれぞれ接続される位置では、接続部の面積が小さいので好適な電気的接続を実現するのが容易とは言い難い。また、同様な理由で、上部と下部を整列させるのには非常に精密な位置合わせが必要とされる。第2の実施形態の第3例はこうした点を解決する。図11に示す第3例は基本的には本実施形態の第1例と類似する。
半導体基板110には、整流素子を含む電子素子111が集積化されている。電子素子はコイル形状アンテナ112に電気的に接続されている。アンテナにより放射された電磁波が基板中に伝播するのを抑えるために、半導体基板中に集積化された反射器113がアンテナに対して形成されている。電子素子を基板に接続するために、反射器から伸びた柱状部114が設けられ、ここに電子素子が支持される。立設コイルの下部115には延長部116が形成され、ここで、上部117が下部115に接続される。立設コイルの上部の作製時において、延長部116の存在により作製マージンに余裕ができる。延長部116はアンテナの抵抗や放射パターンを変化させるものではない。また、2つの延長部を延ばして、コイルに接続する伝送線を提供することもできる。これにより、コイルを他の電子要素(例えば、増幅器、スイッチ)に電気的に接続することもできる。
反射器113の上にコイル形状アンテナ112を立設するとき、コイルで放射される多くのエネルギーを基板の上方や反射器の方向に放射することができる。このために、コイルの長さの多くの部分を基板の表面に平行或いは反射器に平行に方向決めして、反射器の上にコイルを立設する。
コイルで規定される方向の意味について説明する。第2の実施形態のようにコイルが、狭い間隔で略平行に伸びた上部と下部を有するリボン状である場合、コイルの或る部分で方向が規定される。コイルが、主要表面を有しない導線である場合、コイルで規定される平面内に含まれるコイル部分における接線により方向が規定される。半導体製造技術でコイルが形成される場合、この技術は表面マイクロマシーニングから発展したものであるので、コイルは典型的にはリボン状である。ただし、コイルの下部を上部に電気的に接続するために、基板表面で規定される平面に垂直な方向に伸びる部分も有する。
第2の実施形態の各例によっても、大きな放射インピーダンスのアンテナを実現できる。よって、電磁波検出・発生装置において、アンテナは、テラヘルツ領域で動作する大きなインピーダンスを有する整流素子などとも、好適に共役整合条件を達成できる。また、例えば、アンテナがシリコン基板上に直接的に配置されようと、シリコン基板に集積化された反射器上に配置されようと、アンテナは優位(主要)方向に指向性を持つ放射パターンを有するようにできる。その結果、アンテナにより放射されるパワーを、主として、全空間のうちの優位方向に発することができる。
アンテナを用いる電磁波発生装置と電磁波検出装置との構成上の等価性により、上述の検出装置の各例も、電磁波発生装置に適用ないし応用することができる。ここでは、電子素子は、RTD(共鳴トンネルダイオード)などの発振器である。
(第3の実施形態)
本実施形態では、検出・発生器について説明する。本実施形態の検出・発生器は、複数の電磁波検出・発生装置を面上にアレイ状に配置したアレイ型のイメージングセンサで、広範囲における電磁波の検出・発生を行うことができる。複数の電磁波検出・発生装置の少なくとも1つとして、上述の各実施形態の電磁波検出・発生装置を用いることができる。
本発明をイメージングセンサに応用した本実施形態では、上記実施形態で説明した構成のアンテナを複数個アレイ状に配列する。複数のアンテナは、第1の実施形態の第3例に記載の反射器を備えたアンテナであることが好ましい。その理由は、アンテナが基板中を伝播する電磁波に感度をもつことが反射器により防止され、それにより該アンテナないしセンサに向けられていない情報を取得するのが防止できるからである。
上記各実施形態のアンテナを用いる利点は、サイズを動作波長より小さくできることである。センサ画素のサイズを動作波長より小さくしないと解像度が制限されることになるが、通常のレンズを用いる構成では、解像度が制限されやすい。つまり、Fナンバーにも依るが、レンズは動作波長の数倍にもなるので、解像度が制限されやすい。上記実施形態では、アンテナの全長は動作波長の略半分である。更に、アンテナが基板に立設して設けられている上記実施形態では、アンテナの長手方向幅の長さはアンテナの全長の半分になる。つまり、動作波長の略1/4になる。このように上記実施形態のアンテナは動作波長より大幅に小さくできるので、動作波長より小さく画素を設計しても解像度の点で問題が生じにくい。
また、本発明によるアンテナを1画素に複数備えるイメージングセンサを構成することもできる。この構成は以下の利点を生み出す。すなわち、イメージングセンサの空間解像度を損ねることなく、異なる波長に感度をもつセンサを1画素に含ませることができる。また、イメージングセンサの空間解像度を損ねることなく、異なる偏光に感度をもつセンサを1画素に含ませることができる。
10・・・基板、11・・・電子素子(電子回路)、12・・・コイル形状アンテナ

Claims (20)

  1. 電子素子と、前記電子素子に電気的に接続され少なくとも1つのコイル形状部を有するコイル形状アンテナと、を有し、
    前記コイル形状アンテナの第1の反共鳴周波数の±15%の範囲の周波数で駆動されることを特徴とする電磁波検出・発生装置。
  2. 前記電子素子及び前記コイル形状アンテナは基板上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電磁波検出・発生装置。
  3. 前記基板は半導体基板であり、前記電子素子は前記半導体基板上に成長して形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電磁波検出・発生装置。
  4. 前記半導体基板であるシリコン基板が少なくとも一部において誘電体層で被覆され、
    前記コイル形状アンテナは前記誘電体層に配置され、前記コイル形状アンテナの下面と側面の少なくとも一部において前記誘電体層が除去されていることを特徴とする請求項3に記載の電磁波検出・発生装置。
  5. 前記コイル形状アンテナは、少なくとも一部において、前記基板に接していることを特徴とする請求項2に記載の電磁波検出・発生装置。
  6. 前記コイル形状アンテナは、2つのコイル形状部を有することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の電磁波検出・発生装置。
  7. 前記2つのコイル形状部は、前記電子素子を通る線を挟んで鏡像関係になっていて、前記電子素子の所で接続していることを特徴とする請求項6に記載の電磁波検出・発生装置。
  8. 前記コイル形状アンテナの重心を通り該コイル形状アンテナで規定される平面に垂直な直線で規定される軸が、前記電子素子と前記コイル形状アンテナが設けられた基板の面に垂直であることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の電磁波検出・発生装置。
  9. 前記コイル形状アンテナの重心を通り該コイル形状アンテナで規定される平面に垂直な直線で規定される軸が、前記電子素子と前記コイル形状アンテナが設けられた基板の面と平行であることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の電磁波検出・発生装置。
  10. 前記コイル形状アンテナは、下部と、上部と、前記下部と前記上部の両端部をそれぞれ繋ぐ2つの接続部と、を有することを特徴とする請求項9に記載の電磁波検出・発生装置。
  11. 前記コイル形状アンテナの前記下部上に配された材料部が前記上部を支えていることを特徴とする請求項10に記載の電磁波検出・発生装置。
  12. 前記2つの接続部の間隔は、前記下部から前記上部に行くにしたがって狭くなっていることを特徴とする請求項10または11に記載の電磁波検出・発生装置。
  13. 前記下部は、前記接続部と繋がる部分を越えて伸びていることを特徴とする請求項10から12の何れか1項に記載の電磁波検出・発生装置。
  14. 前記電子素子と前記コイル形状アンテナが半導体基板上に設けられ、
    前記下部と前記上部の前記半導体基板の面と平行な部分の長さは、前記コイル形状アンテナの全長の80%以上であることを特徴とする請求項10から13の何れか1項に記載の電磁波検出・発生装置。
  15. 前記電子素子と前記コイル形状アンテナが設けられた半導体基板に、凹部が形成され、前記凹部に立設された柱状部によって前記電子素子が支持されていることを特徴とする請求項1から14の何れか1項に記載の電磁波検出・発生装置。
  16. 前記凹部は反射器として機能することを特徴とする請求項15に記載の電磁波検出・発生装置。
  17. 前記柱状部は、前記凹部の底部から前記電子素子側に向かって断面積が広がる逆テーパ形状を有し、前記逆テーパ形状の面に反射層が形成されていることを特徴とする請求項15に記載の電磁波検出・発生装置。
  18. 前記電子素子は、整流素子であるショットキーバリアダイオードを含むことを特徴とする請求項1から17の何れか1項に記載の電磁波検出・発生装置。
  19. 前記電子素子は発振器を含むことを特徴とする請求項1から17の何れか1項に記載の電磁波検出・発生装置。
  20. 複数の電磁波検出・発生装置がアレイ状に配置されており、
    前記複数の電磁波検出・発生装置の少なくとも1つが、請求項1から19の何れか1項に記載の電磁波検出・発生装置であることを特徴とする検出・発生器。
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