JP2016103997A - メラニン制御剤の探索方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】メラノサイトにおけるメラニン量を制御する物質を簡易に探索する方法の提供。【解決手段】以下の工程a)〜c)を含むメラニン制御剤の探索方法。a)ケラチノサイトに被験物質を接触させ培養する工程、b)培養細胞からエクソソーム画分を単離し、分泌レベルを測定する工程、c)エクソソームの分泌レベルを変化させる被験物質をメラニン制御剤として選択する工程。【効果】前記方法によれば、メラノサイトのメラニン量を変化させる素材やデンドライト形成を変化させる素材を探索することができ、メラニン産生促進剤、皮膚褐色化剤、白斑予防又は治療剤、白髪予防又は改善剤、デンドライト伸長促進剤、メラニン産生抑制剤、美白剤、デンドライト伸長抑制剤等を評価又は選択することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、メラニン制御剤を探索する方法に関する。
人の皮膚や毛髪の色調は、皮膚及び毛髪に存在する色素メラニンの量によって決定される。メラニンは、皮膚や毛髪の毛球部に存在する色素細胞(メラノサイト)において、酵素チロシナーゼやドーパオキシダーゼによってチロシンから生合成されることから、メラノサイトの活性化又はチロシナーゼの活性化によりメラニン産生が亢進すれば、皮膚は褐色化し、毛髪は黒色化する。
皮膚のシミ、ソバカスは、その原因の一つとして、皮膚の紫外線暴露による刺激、ホルモンの異常又は遺伝的要素等によってメラノサイトが活性化され、メラニン産生が亢進することが挙げられる。したがって、従来より、チロシナーゼの活性を阻害してメラニン産生を抑制したり、産生したメラニンを減少させたりする美白剤が開発されてきた。また、表皮角化細胞(ケラチノサイト)に存するメラニン顆粒は、メラノサイトで産生されたメラニン顆粒を、メラノサイトがデンドライトを伸長し、ケラチノサイトと接合して該メラニン顆粒をケラチノサイト内に転送することにより、ケラチノサイトに存するようになる。これは、メラニン色素の皮膚組織への沈着にとって重要な過程であるため、デンドライトの伸長を阻害することは美白剤の開発に有用であるのみならず、皮膚の色素異常症の診断や治療にも役立つと考えられる。
一方で、メラニンの産生を亢進して肌を褐色化する需要も多く、日光浴や屋内での紫外線照射により肌を積極的に日焼けさせることや、タンニング剤を利用することが従来から行われている。また、皮膚に於いて、デンドライトの伸長が妨げられてメラニン顆粒の転送に支障を来すと、メラニン産生が妨げられ白斑などを生ずるようになる。したがって、白斑の治療に於いては、メラノサイトのデンドライト伸長を促進することが有効である。
また、白髪は、毛母色素細胞の変化によってメラニンが減少する生理的老化現象の一つであるが、その発生機序の多くは未だ解明されておらず、染毛剤による染毛が中心となっているのが現状である。従って、白色化した髪を黒髪へと変化させる方法の開発が求められている。
斯様に、メラノサイトに直接的若しくは間接的に作用してメラニン量やデンドライトの形成を変化させる成分の探索は、美白、肌の褐色化、白髪の防止又は改善等を図るために極めて有用である。
一方、エクソソーム(exosome)は脂質二重膜で囲まれた膜小胞で、従来は不要な細胞内成分を外に放出するために機能していると考えられてきたが、近年、免疫細胞や腫瘍細胞をはじめ、多くの細胞がエクソソームを放出し、これが分泌細胞(エクソソーム放出細胞)とその標的細胞(エクソソーム受容細胞)の間で蛋白質や脂質を交換する重要なメッセンジャーとなっていることが解明されつつある。近年、ケラチノサイト由来のエクソソームも単離され、線維芽細胞に添加することで、MMP−1の発現が上昇すること(非特許文献1)、骨髄由来樹状細胞に添加することで、IL−6、IL−10、IL−12の産生が上昇すること(非特許文献2)が報告されている。
しかしながら、ケラチノサイトから放出されるエクソソームがメラノサイトに対して如何なる作用を示すのかは全く知られていない。
Chavez-Munos C et al. (2008) J Cell Biochem., 104: 2165-2173 Kotzerke K et al. (2013) Exp Dermatol., 22: 650-655
本発明は、メラノサイトにおけるメラニン量を制御する物質を簡易に探索する方法を提供することに関する。
本発明者は、メラニン制御に関して種々検討したところ、ケラチノサイトから放出されるエクソソームがメラノサイトに受容され、メラノサイトの細胞増殖及びデンドライト形成を顕著に促進し、メラニン産生を促進することを見出した。すなわち、ケラチノサイト由来のエクソソームは、メラノサイトの細胞増殖能及びメラニン産生能をはじめとした細胞活性を正に制御しており、ケラチノサイトから放出されるエクソソームの分泌レベルを指標とすることにより、メラニン制御剤を評価又は選択できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の工程a)〜c)を含むメラニン制御剤の探索方法に係るものである。
a)ケラチノサイトに被験物質を接触させ培養する工程
b)培養細胞からエクソソーム画分を単離し、分泌レベルを測定する工程
c)エクソソームの分泌レベルを変化させる被験物質をメラニン制御剤として選択する工程
本発明によれば、メラノサイトのメラニン量を変化させる素材やデンドライト形成を変化させる素材を探索することができる。すなわち、メラニン産生促進剤、皮膚褐色化剤、白斑予防又は治療剤、白髪予防又は改善剤、デンドライト伸長促進剤、メラニン産生抑制剤、美白剤、デンドライト伸長抑制剤等を評価又は選択することができる。
ケラチノサイト由来エクソソームの電子顕微鏡観察像。 ケラチノサイト由来エクソソームにおけるマーカータンパク質の発現確認。Lane1:細胞抽出液、Lane2:ケラチノサイト培養上清濃縮物、Lane3:Epilife培地濃縮物、Lane4:ケラチノサイト由来エクソソーム画分 ケラチノサイト由来エクソソームがメラノサイトの細胞活性に及ぼす影響。(A)ドーパオキシダーゼ活性、(B)細胞呼吸鎖活性。 ケラチノサイト由来エクソソームがメラノサイトにおけるメラニン関連遺伝子の発現量に及ぼす影響。(A)エクソソーム添加72時間後におけるMITFの発現量、(B)エクソソーム添加96時間後におけるTYR、TYRP1、Dopachrome tautomerase(DCT)/TYRP2の発現量 ケラチノサイト由来エクソソームがメラノサイトの細胞増殖能及び形態形成に及ぼす影響。(A)細胞数、(B)メラノサイトの顕微鏡観察像 ケラチノサイト由来エクソソームがメラノサイトにおけるメラニン関連タンパク質の発現量に及ぼす影響。 ケラチノサイト由来エクソソームがメラノサイトにおけるメラニン産生に及ぼす影響。 ヒト皮膚組織におけるエクソソーム含有量とメラノソームタンパク量との関連性。(A)Pmel17の発現量、(B)表皮組織中のエクソソーム含有量、(C)Pmel17の発現量と表皮組織中のエクソソーム含有量の相関 D609がケラチノサイトのエクソソーム放出量に及ぼす影響。 D609がケラチノサイト及びメラノサイトからなる共培養系において、メラニン産生量に及ぼす影響。 D609がメラノサイトのメラニン産生量に及ぼす影響。 GW4869がケラチノサイトのエクソソーム放出量に及ぼす影響。 GW4869がケラチノサイト及びメラノサイトからなる共培養系において、メラニン産生量に及ぼす影響。 GW4869がメラノサイトのメラニン産生量に及ぼす影響。 GW4869がヒト表皮メラニン量に及ぼす影響。(A)フォンタナマッソン染色像、(B)表皮と真皮の境界における単位長あたりの表皮メラニン量
本発明において、「エクソソーム」とは、ケラチノサイトから恒常的に放出されるエクソソームを意味する。ケラチノサイト由来のエクソソームは、直径が30〜100nmで、cup形状を有し、Heat shock protein 70(HSP70)、β−Actin、テトラスパニン(CD9、CD63)等のタンパク質を含むという特徴を有することが報告されているが、本発明においてはこれに限定されるものではない。
後記実施例に示すように、ケラチノサイト由来のエクソソームは、メラノサイトの細胞活性(ドーパオキシダーゼ活性、細胞呼吸鎖活性)を上昇させ(図3)、メラニン関連タンパク質をコードする遺伝子(Microphthalmia-associated transcription factor(MITF)、Tyrosinase(TYR)、Tyrosinase related protein1(TYRP1)、Dopachrome tautomerase (DCT)/Tyrosinase related protein2(TYRP2))の発現を上昇させ(図4)、メラノサイトの細胞増殖及び形態形成を促進させ(細胞数の増加、デンドライトの伸長)(図5)、メラニン関連タンパク質(MITF、Tyrosinase、TRP1、TRP2)の発現を上昇させ(図6)、さらにメラニン産生を促進させる(図7)。また、さらに表皮中のエクソソーム含有量とメラノソームに特異的なタンパク質であるPmel17の発現量は良好に相関する(図8)。したがって、ケラチノサイト由来のエクソソームは、メラノサイトの細胞活性を正に制御し、皮膚色形成に関与すると考えられる。
故に、ケラチノサイトからのエクソソームの分泌レベルを変化させることによって、メラニンの制御が可能であり、当該エクソソームの分泌レベルの増加はメラニン量を増加させ、逆に当該エクソソームの分泌レベルの低減はメラニン量を低下させると云え、実際に、エクソソームの放出促進剤によりメラニン生成が促進され(図9〜11)、エクソソームの放出抑制剤によりメラニン生成が抑制される(図12〜15)。
したがって、ケラチノサイトにおけるエクソソームの分泌レベルを指標とすることにより、メラニン制御剤を評価又は選択することができる。
本発明において、「メラニン制御」とは、メラノサイトにおけるメラニン量の制御及びデンドライト形成の制御を意味し、具体的にはメラノサイトの細胞増殖活性の上昇又は低下、メラノサイトの細胞数の増加又は減少、メラニン合成の促進又は低下、メラニン合成に関わる因子(メラニン合成のマスター制御因子:Microphthalmia-associated transcription factor (MITF)、メラニン合成に関わる酵素群:TYR,TRP1,TRP2等)及びその遺伝子の発現量の増加又は減少、デンドライト形成の促進又は低下が包含される。
本発明のメラニン制御剤の探索方法は、a)ケラチノサイトに被験物質を接触させ培養する工程、b)培養細胞からエクソソーム画分を単離し、分泌レベルを測定する工程、c)エクソソームの分泌レベルを変化させる被験物質をメラニン制御剤として選択する工程、を含む。
本発明において用いられる「ケラチノサイト」としては、自己増殖性を有する正常な表皮角化細胞であれば使用可能であり、ヒト、マウス、ラット、ブタ等の哺乳動物由来の細胞を使用することができるが、ヒトの細胞を用いるのが好ましい。当該ケラチノサイトを用いる場合には、動物よりケラチノサイトを採取し、常法に従って処理して用いることができるが、樹立細胞株として市販されているもの(例えば、ヒト表皮角化細胞株であるHaCaT細胞など)を購入して利用することもできる。ヒトの細胞としては、例えば正常ヒトケラチノサイト(NHEK:Normal Human Epidermal Keratinocytes)が好適に挙げられる。
被験物質の種類は特に限定されず、天然物でも合成物でもよく、また単一物質であっても組成物若しくは混合物であってもよい。接触の形態は、被験物質に依存して、任意の形態であり得る。
被験物質とケラチノサイトとの接触における、被験物質の濃度は、通常0.00001質量%以上、好ましくは0.0001質量%以上で、1質量%以下、好ましくは0.1質量%以下であり、また0.00001〜1質量%、好ましくは0.0001〜0.1質量%である。当該細胞と被験物質とを接触させる時間は、通常、12〜120時間であり、48〜72時間が好ましい。
当該細胞と被験物質との接触は、当該細胞が成育可能な条件で培養しながら行われる。例えば、増殖用添加剤(Humedia−KG)を含むEpilife培地(Life Technologies製)、上記、増殖用添加剤のうちhEGFを含まないEpilife培地(Life Technologies製)やCnT-Prime培地(CELLnTEC製)の他、適宜、抗生物質、血清、増殖因子等を添加した培地等の市販の培地中で培養できる。培養は、通常30℃〜40℃、1〜10vol%二酸化炭素存在下で実施すればよく、37℃、5vol%二酸化炭素存在下で実施するのが好ましい。
また、被験物質と接触させる際のケラチノサイトの細胞数は、例えば6wellプレートを用いる場合、通常10〜10個/wellであればよく、5×10〜5×10個/wellが好ましい。
エクソソームの単離は、培養上清を回収した後、超遠心機を用いて、異なる速度で段階的に遠心処理することにより行うことができる(ref. Thery C et al. (2006) Curr Protoc Cell Biol., 3.22.1-3.22.29)。具体的には、培養上清を回収し、300gで10分間、2,000gで20分間、10,000gで30分間と段階的に遠心分離することにより、余分な細胞(破片)を除去した培養上清に対し、100,000gで70分間の遠心分離を行った後で上清を除去し、Phosphate Buffered Saline (PBS)にて一度洗浄し、さらに、100,000gで70分間遠心分離した後に完全に上清を除去することにより行うことができる。また、超遠心機を用いずに、エクソソーム膜に発現するタンパク質(CD9、CD63、そして、CD81など)に対する抗体でコートされたビーズを用いて、エクソソームを直接単離する免疫吸着法(抗体結合法)を用いることもできる(ref. Wubbolts R et al. (2003) J Biol Chem., 278: 10963-10972)。その他、市販のキット試薬(例えばExosome Precipitation Solution, ExoQuick-TC(System Biosciences社、#EXOTC10A-1 or EXOTC50A-1)やmiRCURY Exosome Isolation Kit (EXIQON社、#300102)、Total Exosome Isolation Reagent (invitrogen社、#4478359)等)を用いることでもよい。
エクソソームの分泌レベルの変化は、例えば、被験物質を接触させる細胞群と接触させない群(対照細胞)を用意し、エクソソームの分泌レベルを測定し、両者間で比較することが挙げられる。なお、対照細胞としては、被験物質を接触させない代わりに、対照物質を接触させたものを用いてもよい。
エクソソームの分泌レベルの測定は、例えば、エクソソーム画分の総タンパク質量の測定、エクソソーム中に含まれるマーカー物質(CD9、CD63、CD81、HSP70、Alix、Tsg101、Hrs、GM1ガングリオシドなど)の発現量の測定、エクソソームの粒径の分布と濃度の測定、エクソソーム数の測定、エクソソーム中に含まれるRNA(mRNA、small RNA、miRNAなど)の発現量の測定等によって行うことができる。好適には、48〜72時間の間に培養上清中に放出されたエクソソーム画分のタンパク質定量を行い、それを細胞数で除することにより、単位時間における1細胞あたりのエクソソーム放出量を算出することが挙げられる。
各種測定は、当該分野で通常使用される任意の解析方法を用いればよく、遺伝子発現解析には、例えば、ドットブロット法、ノーザンブロット法、RNaseプロテクションアッセイ法、ルシフェラーゼ等によるレポーターアッセイ、RT−PCR法、DNAマイクロアレイ等を、タンパク質発現解析には、ウェスタンブロッティング法、免疫染色法、ELISA、バインディングアッセイ等を用いることができる。また、市販のキット(例えばCD63 ExoELISA Kit(System Biosciences社、#EXOEL-CD63A-1)等)やナノ粒子解析装置(NanoSight LM10(NanoSight社))を用いることもできる。
上記のように測定されたケラチノサイトにおけるエクソソームの分泌レベルの変化に基づき、メラニン制御剤を選択することができる。すなわち、被験物質(候補物質)を添加したエクソソームの分泌レベルが被験物質(候補物質)を添加しない対照細胞でのレベルと比較して、低下又は減少していれば、メラニン産生抑制剤、美白剤又はデンドライト伸長抑制剤として評価又は選択でき、増強又は増加していれば、メラニン産生促進剤、皮膚褐色化剤、白斑予防又は治療剤、白髪予防若しくは改善剤又はデンドライト伸長促進剤として評価又は選択することができる。
上述した実施形態に関し、本発明においては更に以下の態様が開示される。
<1>以下の工程a)〜c)を含むメラニン制御剤の探索方法。
a)ケラチノサイトに被験物質を接触させ培養する工程
b)培養細胞からエクソソーム画分を単離し、分泌レベルを測定する工程
c)エクソソームの分泌レベルを変化させる被験物質をメラニン制御剤として選択する工程
<2>b)工程における分泌レベルの測定が、エクソソーム画分のタンパク質量を測定し、1細胞あたりのエクソソーム放出量を算出する、<1>の方法。
<3>エクソソームの分泌レベルを増強又は増加させる被験物質を、メラニン産生促進剤、デンドライト伸長促進剤、皮膚褐色化剤、白斑予防若しくは治療剤、又は白髪予防若しくは改善剤として評価及又は選択する<1>又は<2>の方法。
<4>エクソソームの分泌レベルを低下又は減少させる被験物質を、メラニン産生抑制剤、デンドライト伸長抑制剤又は美白剤としてとして評価又は選択する<1>又は<2>の方法。
<5>前記被験物質の濃度は、通常0.00001質量%以上、好ましくは0.0001質量%以上で、1質量%以下、好ましくは0.1質量%以下であり、また0.00001〜1質量%、好ましくは0.0001〜0.1質量%である<1>〜<4>の方法。
<6>前記細胞と被験物質とを接触させる時間は、通常、12〜120時間であり、好ましくは48〜72時間である<1>〜<5>の方法。
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
実施例1:ケラチノサイト由来エクソソームの単離とその特徴付け
(1)細胞培養
正常ヒト新生児包皮由来表皮角化細胞(凍結NHEK (F) Lightly; ケラチノサイト)、表皮角化細胞用増殖培地(Epilife)はLife Technologies社より、その培地用増殖添加剤(Humedia-KG)はクラボウ社より購入した。ケラチノサイトは、37℃ 5Vol%CO2の環境下で培養した。
(2)ケラチノサイト由来エクソソームの単離
ケラチノサイトを2.5×106cells/flask (25mL/flask)の細胞密度で175cm2 flaskに播種した。この時の培地としては、ヒト上皮細胞成長因子(hEGF; Human Epidermal Growth Factor)以外のHumedia-KG増殖添加剤(インスリン、ハイドロコーチゾン、BPE、ゲンタマイシン/アンフォテリシンB)を含むEpilife培地を使用した。3日間の培養後、培養上清を回収し、300gで10分間、2,000gで20分間、10,000gで30分間と段階的に遠心分離することにより、余分な細胞(破片)を除去した。この操作を終えた後の培養上清に対し、100,000gで70分間の遠心分離を行った後で上清を除去し、Phosphate Buffered Saline (PBS)にて一度洗浄した。さらに、100,000gで70分間遠心分離した後に完全に上清を除去し、沈殿物をPBSにて懸濁した。100mLの培養上清から遠心分離した場合、最終沈殿物は200μLのPBSにて懸濁し、これを原液として評価に用いた。また、100,000g遠心後の上清はAmicon(R) Ultra Centrifugal Filters Ultra(R)-3K (Millipore)に供し、4,800rpmで45分間遠心処理を行った。遠心処理後にフィルター上部に残留した液を培養上清濃縮物として回収した。また、細胞非培養の培地に対して同様の処理を施した液を培地濃縮物として回収した。
(3)単離したエクソソーム画分の電子顕微鏡観察
単離したエクソソーム画分をPBSもしくはHEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid) bufferにて適宜希釈した。その溶液を親水化処理したコロジオン膜貼付メッシュ 400メッシュ(日新EM)に5μL滴下し、5分間静置した。膜上の水分を吸い取った後、2% Sodium Dodecatungsto(VI) phosphate n-Hydrate (wako)もしくはEMステイナー(日新EM)を10μL滴下し、1分間もしくは30分間静置することにより、ネガティブ染色を行った。膜上の水分を除いた後、精製水を10μL滴下した。余分な水分を除いた後、H7650透過型電子顕微鏡(日立)を用いて加速電圧100kVで観察した。その結果、既報と同様に、エクソソームに特徴的なサイズ (直径30-100nm)と形態(cup-shaped) を示す小胞を確認した(図1)。
(4)単離したエクソソーム画分におけるマーカータンパク質の発現確認
単離したエクソソーム画分をResuspension buffer (ambion)にて溶解し、その溶液についてBovine Serum Albumin (BSA)を標準物質としたBCA(ビシンコニン酸)法によりタンパク質定量を行った後、細胞抽出物、培養上清濃縮物及び培地濃縮物と共に、タンパク質量を揃え、定法に従ってSDS-PAGE及びウェスタンブロットに供した。一次抗体は、anti-CD9 (Santacruz, 1:1000)抗体、anti-CD63 (Santacruz, 1:1000)抗体、anti-Calnexin (Cell Signaling, 1:1000)抗体、anti-HSP70 (Cell Signaling, 1:1000)抗体、あるいはanti-β-actin (Sigma-Aldrich, 1:5000)抗体を用いた。二次抗体は、anti-mouse IgG, HRP-Linked F(ab’)2Fragment Sheep (GE Healthcare Life Science)あるいはanti-rabbit IgG HRP-Linked F(ab’)2 Fragment Donkey (GE Healthcare Life Science) を用いた。その後、ECL plus western blotting detection reagents (GE healthcare bioscience)を用いて発色させ、LAS4000(富士フィルム)を用いて可視化した。その結果、エクソソームに特徴的に発現するマーカーとされるタンパク質群、すなわち、細胞質に存在するHeat shock protein 70、細胞骨格タンパク質であるActin、また、テトラスパニン(CD9、CD63)の発現がエクソソーム画分に確認され、さらにエクソソームには含有されないとして知られるCalnexinの発現が認められないことも確認された(図2)。それと同時に、ケラチノサイトの培養上清濃縮物(図2; lane2)には、Hsp70を除くエクソソームマーカータンパク質の発現が認められなかったことから、エクソソームがその濃縮過程で除去されていることを確認した。なお、Hsp70の発現が培養上清濃縮物で認められたことは既報(Chavez-Munoz C. et al., 2008, J.Cell. Biochem. 104:2165-2173)と同様の結果である。
以上のことより、ケラチノサイトの培養上清より単離した画分がエクソソーム画分と呼ぶに値するものと判断し、これを用いて、以降の評価を行った。
実施例2:ケラチノサイト由来エクソソームがメラノサイトに及ぼす影響
(1)細胞培養
正常ヒト新生児包皮由来表皮メラニン細胞(凍結NHEM (NB) Darkly; メラノサイト)、表皮メラニン細胞用増殖培地(Medium254)、その培地用増殖添加剤(HMGS)はLife Technologiesより購入した。メラノサイトは、37℃ 5Vol%CO2の環境下で培養した。
(2)メラノサイトに対するケラチノサイト由来エクソソーム画分の処理
メラノサイトを1.0×104 cells/well (100μL/well)、1.0×105 cells/well (500μL/well)及び1.5×105 cells/well (1.5mL/well)の細胞密度で96-well plate、12-well plate及び6-well plateにそれぞれ播種した。この時の試験用培地としては、Medium254 (増殖添加剤(HMGS)のうち、Fetal Bovine Serum (FBS)、Human Fibroblast growth factor-basic (hFGF-B)、ハイドロコーチゾン、インスリン、トランスフェリン、ヘパリン含有、phorbol 12-myristate 13-acetate (PMA)及びbovine pituitary extract (BPE)不含)を用いた。2日後、PBSにて懸濁したエクソソーム画分を添加した後、さらに、96-well plateにおいては5日間、12-well plateにおいては3日間もしくは4日間培養し、それぞれドーパオキシダーゼ活性の計測及び定量的RT-PCR解析に用いた。6-well plateにおいては5日間培養した後に、細胞数の計測及び形態観察、ウェスタンブロッティング解析、さらに、細胞内メラニン定量に用いた。
(3)ケラチノサイト由来エクソソームがメラノサイトのドーパオキシダーゼ活性に及ぼす影響
96-well plateでの培養終了後、培地を全量置換し(100μL/well)、アラマーブルー(Bio-Rad AbD Serotec Limited)試薬を10μL/wellになるように添加した。37℃、5Vol%CO2の条件下で1時間インキュベートした後、培地の蛍光強度 (Ex544nm/Em590nm)を測定することで細胞呼吸鎖(増殖)活性を評価した。その後、細胞の培養プレートをPBSで3回洗浄して、抽出Buffer (0.1M Tris-HCL (pH:7.2)、1% NP-40、0.01% SDS)を20μL/well、Assay Buffer (4%ジメチルホルムアミド、100mM Sodium phosphate-buffered (pH:7.1))を20μL/well添加した。4℃にて2時間かけて細胞を可溶化し、ドーパオキシダーゼ活性の測定を行ったが、その活性測定は、MBTH法(Winder A. et al., 1991, Eur.J. Biochem. 198:317-326)を基本とした次に示す方法で行った。すなわち、可溶化した細胞溶液の各wellに、上記Assay Bufferを80μL、20.7mM MBTH (3-メチル-2-ベンゾチアゾリノン ヒドラゾン)溶液を60μL、基質として5mM L-DOPA (L-ジヒドロキシフェニルアラニン)溶液を40μL加え、37℃にて30〜60分間反応させた後、その吸光度を505nmの測定波長で測定した。その結果、PBSのみを添加したコントロールと比較して、同画分添加による両活性の有意な上昇を確認した(図3A、B)。
(4)ケラチノサイト由来エクソソームがメラノサイトのメラニン関連遺伝子の発現量に及ぼす影響
12-well plateでの培養終了後、細胞をPBSで洗浄した後、RNeasy Mini Kit (QIAGEN)を用いて定法に従いtotal RNAを抽出した。その抽出したtotal RNAを鋳型とし、High Capacity RNA to cDNA Kit (Life Technologies)を用いた逆転写反応によりcDNAを合成した。反応には、MH Research社製のPeltier Thermal Cyclerを用いた。続いて合成したcDNA及びTaqMan(R)probeを用いて、定量的PCR法による遺伝子発現解析を行った。各遺伝子に特異的なprobe及びprimerは、Life Technologies社製のTaqMan(R)Gene Expression Assays (P/N 4331182)を使用した。各々の発現量は、内部標準遺伝子であるribosomal protein, large, P0 (RPLP0)の発現量により補正した。反応条件は定法に従い、アプライドバイオシステムズ社製のシークエンスディテクター(ABI PRISM 7500 Real Time PCR System)を用いて行った。その結果、エクソソーム画分を添加して72時間後にMITFの発現上昇を確認し(図4A)、96時間後にはTYR、TYRP1、Dopachrome tautomerase (DCT) /TYRP2の発現上昇を確認した(図4B)。
(5)ケラチノサイト由来エクソソームがメラノサイトの細胞増殖能及び形態形成に及ぼす影響
6-well plateでの培養終了後、顕微鏡観察をおこない、画像を記録した。その後、0.25% Trypsin-EDTA 溶液(Life Technologies)処理を施して、細胞接着を剥離した後に回収し、血球計算板を用いて細胞数のカウントを行った。その結果、エクソソーム画分を添加して5日後に、PBSを添加したコントロールに対して、細胞数の有意な増加を確認すると共に(図5A)、デンドライトの顕著な伸長を確認した(図5B)。
(6)ケラチノサイト由来エクソソームがメラノサイトのメラニン関連タンパク質の発現量に及ぼす影響
6-well plateでの培養終了後、細胞をPBSで洗浄し、RIPA buffer (Sigma-Aldrich)を用いて回収してから、超音波処理により細胞を破砕した。その後、15,000rpmで15分間遠心分離し、その上清についてBovine Serum Albumin (BSA)を標準物質としたBCA(ビシンコニン酸)法によりタンパク量を定量した後、各群のタンパク質量を揃え、定法に従ってSDS-PAGE及びウェスタンブロットに供した。一次抗体は、anti-MITF (Santacruz, 1:200)、anti-Tyrosinase related protein (TRP) 1 (Santacruz, 1:1000)、anti-TRP2 (Santacruz, 1:200)、あるいはanti-Tyrosinase (Zymed, 1:1000)を用いた。二次抗体は、anti-mouse IgG, HRP-Linked F(ab’)2 Fragment Sheep (GE Healthcare Life Science)、あるいはanti-goat IgG, HRP-Linked F(ab’)2Fragment Sheep (GE Healthcare Life Science)を用いた。 その後、ECL plus western blotting detection reagents (GE healthcare bioscience)を用いて発色させ、LAS4000 (GE healthcare bioscience)を用いて発現量を可視化した。内部標準としてのβ-actinの発現は、monoclonal antibody specific for β-actin (Sigma-Aldrich, 1:5000)を用いて評価した。上記タンパク質の検出バンドの強度を画像解析により定量した結果、PBSを添加したコントロールに対して、全てのタンパク質が有意に発現上昇していることを確認した(図6)。
(7)ケラチノサイト由来エクソソームがメラノサイトのメラニン産生に及ぼす影響
6-well plateでの培養終了後、細胞をPBSで洗浄し、セルスクレーパーを用いてマイクロチューブに細胞を回収した。各マイクロチューブに2M NaOHを150μL加えた後100℃にて細胞を溶解させ、遠心処理によって得られた上清について405nmの測定波長で吸光度を測定し、メラニン量を算出した。その結果、エクソソーム画分を添加して5日後に、PBSを添加したコントロールに対して、メラニン産生が促進傾向にあることを確認した(図7)。
以上のことより、ケラチノサイトが恒常的に分泌しているエクソソームがメラノサイトの細胞活性及びメラニン産生能を正に制御していることが示された。
実施例3:異なる人種由来のヒト皮膚組織におけるエクソソーム含有量とメラノソームタンパク量との関連性
米国スキンバンクNational Disease Research Interchange (NDRI)から、外科手術由来の正常ヒト皮膚組織を提供頂いた。人種の異なる7名の被験者由来の皮膚組織から外科的に脂肪及び真皮の除去を行った後でタンパク質を抽出し、ウェスタンブロット解析により、メラノソーム特異的なタンパク質であるPmel17の発現を検出し、それらのバンド強度を画像解析により定量した(図8A)。一方、10mLのhomogenization buffer (20mM Sodium phosphate、 pH6.5、0.15M NaCl、10mM ethylenediaminetetraacetic acid (EDTA)、1mM dithiothreitol (DTT)、Halt protease inhibitor cocktail (Thermo Scientific))中でガラス製ホモジナイザーを用いて組織破砕を行った。続いて、300gで10分間、2,000gで20分間、遠心分離することにより、余分な組織(破片)を除去した。この破砕液の上清を回収してタンパク質量を定量した後、約6mg分のタンパク質を含む液に調製し、10,000gで30分間、100,000gで70分間の遠心処理を行った。上清を除去し、PBSにて一度洗浄してから、さらに100,000gで70分間遠心処理を行い、完全に上清を除去して沈殿物をPBSに懸濁することで、エクソソーム画分を単離した。そして、そのタンパク質定量を行うことで、表皮組織中のエクソソーム含有量を算出した(図8B)。双方の結果から、Pmel17の発現量と表皮組織中のエクソソーム含有量の間に統計学的に有意な正の相関が見出された(図8C)。
このことより、実際のヒト皮膚組織において、エクソソームの量に応じてメラニン合成が正に制御され、皮膚色に影響を与えている可能性が示された。
実施例4:エクソソーム放出促進剤D609によるメラニン産生の促進
(1)細胞培養
正常ヒト新生児包皮由来表皮角化細胞(凍結NHEK (F) Lightly; ケラチノサイト)、表皮角化細胞用増殖培地(Epilife)はLife Technologies社より、その培地用増殖添加剤(Humedia-KG)はクラボウ社より購入し、また、正常ヒト新生児包皮由来表皮メラニン細胞(凍結NHEM (NB) Darkly; メラノサイト)、表皮メラニン細胞用増殖培地(Medium254)、その培地用増殖添加剤(HMGS)はLife Technologies社より購入した。ケラチノサイト及びメラノサイトは、37℃ 5%CO2の環境下で培養した。
(2)エクソソーム放出促進剤D609がケラチノサイトのエクソソーム放出量に及ぼす影響
ケラチノサイトを1.5×106 cells/flask (25mL/flask)の細胞密度で175cm2 flaskに播種した。この時の培地としては、ヒト上皮細胞成長因子(hEGF; Human Epidermal Growth Factor) 以外のHumedia-KG増殖添加剤(インスリン、ハイドロコーチゾン、BPE、ゲンタマイシン/アンフォテリシンB)を含むEpilife培地を使用した。播種した翌日に、エクソソームの放出促進剤として報告(国際特許公開第2013/054534号)されているD609 (トリシクロデカン-9-イルキサントゲン酸カリウム;Tocris Bioscience社)を終濃度で5μMになるように添加し、37℃、5Vol%CO2の条件下で3日間培養を行った。コントロールとしては、同量のDMSOを添加した。培養終了後、細胞の培養上清から既に記載した遠心分離法によりエクソソーム画分を単離した。培養上清を除去した後に、底面に接着している細胞に対してプロナーゼ溶液(極東製薬工業)処理を施して、細胞接着を剥離した後に回収し、血球計算板を用いて細胞数のカウントを行った。また、エクソソーム画分のタンパク質定量を行い、それを細胞数で除することにより、1細胞あたりのエクソソーム放出量を算出した。その結果、D609の添加により、DMSOを添加したコントロールに対して、その放出量が有意に増加することが確認された(図9)。
(3)エクソソーム放出促進剤D609がケラチノサイト及びメラノサイトからなる共培養系においてメラニン産生に及ぼす影響
ケラチノサイトを6-well plateに1×105 cells/well (2mL/well)の細胞密度で播種し、翌日、メラノサイトを2×105 cells/well (1mL/well)の細胞密度で播種した。さらにその翌日に、D609を終濃度で5μMになるように添加し、37℃、5Vol%CO2の条件下で7日間培養を行った。培地には、試験用培地としてヒト上皮細胞成長因子(hEGF; Human Epidermal Growth Factor) 以外のHumedia-KG増殖添加剤(インスリン、ハイドロコーチゾン、BPE、ゲンタマイシン/アンフォテリシンB)を含むEpilife培地を用いた。コントロールとしては、同量のDMSOを添加した。なお、培地交換は3日に1度行った。培養終了後、細胞の培養プレートをPBSで洗浄し、セルスクレーパーを用いてマイクロチューブに細胞を回収した。各マイクロチューブに2M NaOHを150μL加えた後100℃にて細胞を溶解させ、遠心処理によって得られた上清について405nmの測定波長で吸光度を測定し、メラニン量を算出した。その結果、DMSOを添加したコントロールに対して、有意にメラニン産生が促進していることが確認され、また、細胞の黒化は視覚的にも認められた(図10)。
(4)エクソソーム放出促進剤D609がメラノサイトの単独培養系においてメラニン産生に及ぼす影響
メラノサイトを2×105 cells/well (2mL/well)の細胞密度で播種した。その翌日に、D609を終濃度で1、5、10μMになるように添加し、37℃、5Vol%CO2の条件下で7日間培養を行った。培地には、試験用培地としてMedium254 (増殖添加剤(HMGS)のうち、Fetal Bovine Serum (FBS)、Human Fibroblast growth factor-basic (hFGF-B)、ハイドロコーチゾン、インスリン、トランスフェリン、ヘパリン含有、phorbol 12-myristate 13-acetate (PMA)及びbovine pituitary extract (BPE)不含))を用いた。コントロールとしては、同量のDMSOを添加した。なお、培地交換は3日に1度行った。培養終了後、細胞の培養プレートをPBSで洗浄し、セルスクレーパーを用いてマイクロチューブに細胞を回収した。各マイクロチューブに2M NaOHを150μL加えた後100℃にて細胞を溶解させ、遠心処理によって得られた上清について405nmの測定波長で吸光度を測定し、メラニン量を算出した。その結果、DMSOを添加したコントロールに対して、D609を5μM添加した際にはメラニン産生量の有意な増加は確認されなかった(図11)。
以上のことより、D609はケラチノサイトに作用して、エクソソームの放出を促し、放出されたエクソソームがメラノサイトを活性化させることによって、メラニン産生を促進したものと考えられる。
実施例5:エクソソーム放出抑制剤GW4869によるメラニン産生の抑制
(1)細胞培養
正常ヒト新生児包皮由来表皮角化細胞(凍結NHEK (F) Lightly; ケラチノサイト)、表皮角化細胞用増殖培地(Epilife)はLife Technologies社より、その培地用増殖添加剤(Humedia-KG)はクラボウ社より購入し、また、正常ヒト新生児包皮由来表皮メラニン細胞(凍結NHEM (NB) Darkly; メラノサイト)、表皮メラニン細胞用増殖培地(Medium254)、その培地用増殖添加剤(HMGS)はLife Technologies社より購入した。ケラチノサイト及びメラノサイトは、37℃ 5%CO2の環境下で培養した。
(2)エクソソーム放出抑制剤GW4869がケラチノサイトのエクソソーム放出量に及ぼす影響
ケラチノサイトを1.5×106 cells/flask (25mL/flask)の細胞密度で175cm2 flaskに播種した。この時の培地としては、ヒト上皮細胞成長因子(hEGF; Human Epidermal Growth Factor) 以外のHumedia-KG増殖添加剤(インスリン、ハイドロコーチゾン、BPE、ゲンタマイシン/アンフォテリシンB)を含むEpilife培地を使用した。播種した翌日に、エクソソームの放出抑制剤として報告(国際特許公開第2013/054534号)されているNeutral Sphingomyelinaseの阻害剤GW4869 (N,N’−ビス[4−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)フェニル]−3,3’−p−フェニレン−ビス−アクリルアミド 2塩酸塩、Sigma Aldrich)を終濃度で20μM(溶媒はDMSO)になるように添加し、37℃、5Vol%CO2の条件下で3日間培養を行った。コントロールとしては、同量のDMSOを添加した。培養終了後、細胞の培養上清から既に記載した遠心分離法によりエクソソーム画分を単離した。培養上清を除去した後に、底面に接着している細胞に対してプロナーゼ溶液(極東製薬工業)処理を施して、細胞接着を剥離した後に回収し、血球計算板を用いて細胞数のカウントを行った。また、エクソソーム画分についてBovine Serum Albumin (BSA)を標準物質としたBCA(ビシンコニン酸)法によりタンパク質定量を行い、それを細胞数で除することにより、1細胞あたりのエクソソーム放出量を算出した。その結果、GW4869の添加により、DMSOを添加したコントロールに対して、その放出量が有意に減少することが確認された(図12)。
(3)エクソソーム放出抑制剤GW4869がケラチノサイト及びメラノサイトからなる共培養系においてメラニン産生に及ぼす影響
ケラチノサイトを6-well plateに1×105cells/well (2mL/well)の細胞密度で播種し、翌日、メラノサイトを2×105cells/well (1mL/well)の細胞密度で播種した。さらにその翌日に、GW4869を終濃度で5、10、20μMになるように添加し、37℃、5Vol%CO2の条件下で7日間培養を行った。培地には、試験用培地としてhEGF以外のHumedia-KG増殖添加剤(インスリン、ハイドロコーチゾン、BPE、ゲンタマイシン/アンフォテリシンB)を含むEpilife培地を用いた。コントロールとしては、同量のDMSOを添加した。なお、培地交換は3日に1度行った。培養終了後、細胞をPBSで洗浄し、RIPA buffer (Sigma-Aldrich)を用いて回収してから、超音波処理により細胞を破砕した。その後、15,000rpmで15分間遠心分離し、その上清についてBovine Serum Albumin (BSA)を標準物質としたBCA(ビシンコニン酸)法によりタンパク量を定量した後、各群のタンパク質量を揃え、定法に従ってSDS-PAGE及びウェスタンブロットに供した。一次抗体はanti-Pmel17 (Dako, 1:250)を用いた。二次抗体は、anti-mouse IgG, HRP-Linked F(ab’)2 Fragment Sheep (GE Healthcare Life Science)を用いた。 その後、ECL plus western blotting detection reagents (GE healthcare bioscience)を用いて発色させ、LAS4000 (GE healthcare bioscience)を用いて発現量を可視化した。内部標準としてのβ-actinの発現は、monoclonal antibody specific for β-actin (Sigma-Aldrich, 1:5000)を用いて評価した。Pmel17の検出バンドの強度を画像解析により定量した結果、DMSOを添加したコントロールに対して、GW4869を20μM処理した際に、それが有意に発現低下していることを確認した(図13)。Pmel17はメラノソームに特異的なタンパク質であることから、GW4869処理によりメラニン量が減少したものと考えられる。
(4)エクソソーム放出抑制剤GW4869がメラノサイトの単独培養系においてメラニン産生に及ぼす影響
メラノサイトを2×105cells/well (2mL/well)の細胞密度で播種した。その翌日に、GW4869を終濃度で5、10、20μMになるように添加し、37℃、5Vol%CO2の条件下で7日間培養を行った。培地には、試験用培地としてMedium254 (増殖添加剤(HMGS)のうち、Fetal Bovine Serum (FBS)、Human Fibroblast growth factor-basic (hFGF-B)、ハイドロコーチゾン、インスリン、トランスフェリン、ヘパリン含有、phorbol 12-myristate 13-acetate (PMA)及びbovine pituitary extract (BPE)不含)を用いた。コントロールとしては、同量のDMSOを添加した。なお、培地交換は3日に1度行った。培養終了後、細胞の培養プレートをPBSで洗浄し、セルスクレーパーを用いてマイクロチューブに細胞を回収した。各マイクロチューブに2M NaOHを150μL加えた後100℃にて細胞を溶解させ、遠心処理によって得られた上清について405nmの測定波長で吸光度を測定し、メラニン量を算出した。その結果、DMSOを添加したコントロールに対して、GW4869を添加した際にメラニン産生量に対する影響は確認されなかった(図14)。
(5)エクソソーム放出抑制剤GW4869が表皮メラニン量に及ぼす影響
米国スキンバンクNational Disease Research Interchange (NDRI)から、外科手術由来の正常ヒト皮膚組織を提供頂いた。ヒト皮膚組織は、皮下脂肪をトリミングした後に、ナイフで約1 cm×1 cmの大きさに小片化し、6-well plateを使用して37℃ 5Vol%CO2の環境下にて培養した。培養には、Fetal Bovine Serum (FBS)を10% (v/v)含むAdvanced DMEM培地 (いずれもLife Technologies)を使用した。ヒト皮膚組織を6-well plateに静置し、GW4869を終濃度で20μMになるように培地中に添加した上で組織培養を実施した。2〜3日毎に培地を交換しながら、培養開始から7日間経過後に皮膚組織を回収、定法に従って凍結組織切片を作成後にフォンタナマッソン染色を実施し(図15A)、その染色像に関して、Image Jソフトウェアを用いて二値化を行うことにより、画像解析を行った。表皮と真皮の境界における単位長あたりの表皮メラニン量を算出した結果、DMSOを添加したコントロールに対して、GW4869を処理した皮膚では、有意にメラニン量が低下していることが確認された(図15B)。
以上のことより、GW4869はケラチノサイトに作用して、エクソソームの放出を抑制し、エクソソームによるメラノサイトの活性化を抑制させることで、メラニン産生を抑制したものと考えられる。
実施例4及び5の結果から、ケラチノサイトのエクソソーム放出量を指標に、メラニン制御剤のスクリーニングを行うことが可能である。

Claims (4)

  1. 以下の工程a)〜c)を含むメラニン制御剤の探索方法。
    a)ケラチノサイトに被験物質を接触させ培養する工程
    b)培養細胞からエクソソーム画分を単離し、分泌レベルを測定する工程
    c)エクソソームの分泌レベルを変化させる被験物質をメラニン制御剤として選択する工程
  2. b)工程における分泌レベルの測定が、エクソソーム画分のタンパク質量を測定し、1細胞あたりのエクソソーム放出量を算出する、請求項1記載の方法。
  3. エクソソームの分泌レベルを増強又は増加させる被験物質を、メラニン産生促進剤、デンドライト伸長促進剤、皮膚褐色化剤、白斑予防若しくは治療剤、又は白髪予防若しくは改善剤として評価又は選択する請求項1又は2記載の方法。
  4. エクソソームの分泌レベルを低下又は減少させる被験物質を、メラニン産生抑制剤、デンドライト伸長抑制剤、又は美白剤としてとして評価又は選択する請求項1又は2記載の方法。
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