JP2016102587A - 差動装置 - Google Patents

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Yoichi Yanase
陽一 柳瀬
森 裕之
Hiroyuki Mori
裕之 森
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Abstract

【課題】差動装置において、サイドギヤの大径化でサイドギヤ歯部が出力軸から遠く離れる場合やピニオンが高速回転する場合でも、出力軸側から、ピニオンとサイドギヤの噛合部やピニオンの摺動部へ潤滑油を十分に供給可能として、それら部位の焼付きを効果的に防止する。【解決手段】少なくとも一方のサイドギヤSは、軸部Sjに、軸部Sjの軸方向外端部から内端部へ潤滑油を導く潤滑油通路22を有すると共に、他のサイドギヤSと対向する内側面に、前記潤滑油通路22から歯部Sg側へ潤滑油を供給する潤滑油溝23を有する。【選択図】 図1

Description

本発明は、差動装置、特にピニオン(即ち差動ギヤ)を支持するピニオン支持部(即ち差動ギヤ支持部)を保持して該支持部と共に回転可能な入力部材の回転力を、一対のサイドギヤ(即ち出力ギヤ)を介して一対の出力軸に分配して伝達する差動装置に関する。
従来、斯かる差動装置は、例えば特許文献1にも記載されているように公知であり、この従来装置では、サイドギヤの背面とデフケースとの間の隙間や、サイドギヤ内周と出力軸外周間のスプライン嵌合部を経て、ピニオンの摺動部やサイドギヤとの噛合部に潤滑油が供給されるようになっている。
特開2008−89147号公報 特許第4803871号公報 特開2002−364728号公報
ところが従来装置では、ピニオンとサイドギヤとの噛合部に大量の潤滑油を効率よく集めることができないため、例えばサイドギヤを大径化することで前記噛合部が出力軸から遠く離れる場合やピニオンが高速回転するような過酷な運転状況の場合には、ピニオンの摺動部やサイドギヤとの噛合部への潤滑油の供給が不足してしまう虞れがある。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたもので、上記問題を解決し得る前記差動装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る差動装置は、ピニオンを支持するピニオン支持部を保持して該ピニオン支持部と共に回転可能な入力部材の回転力を、一対のサイドギヤを介して一対の出力軸に分配して伝達する差動装置であって、前記一対のサイドギヤは、前記サイドギヤの外周部に設けられ前記ピニオンと噛合する歯部と、前記サイドギヤの内周部に設けられ前記一対の出力軸にそれぞれ接続される軸部とをそれぞれ有し、少なくとも一方の前記サイドギヤは、前記軸部に、前記軸部の軸方向外端部から内端部へ潤滑油を導く潤滑油通路を有すると共に、他のサイドギヤと対向する内側面に、前記潤滑油通路から前記歯部側へ潤滑油を供給する潤滑油溝を有する(これを第1の特徴とする)。
また好適には、前記一対のサイドギヤは、前記軸部と該軸部から入力部材の半径方向外方に離間した前記歯部との間を一体に接続する扁平な中間壁部を有し、前記少なくとも一方のサイドギヤの前記中間壁部の内側面に前記潤滑油溝を有する(これを第2の特徴とする。)
また好適には、前記潤滑油溝は、直線状に延びる直線溝部と、前記直線溝部の、前記半径方向で外端に連なるガイド溝部とを有し、前記ガイド溝部の底面は、前記直線溝部の底面に対し傾斜している(これを第3の特徴とする。)
また好適には、前記ピニオン支持部は、外周面に、前記ピニオンの内周面に少なくとも一部が対向する切欠き面を有し、前記ガイド溝部と前記切欠き面の一部とは、前記出力軸の軸線と直交する投影面で見て、該軸線を中心とした同一の円周上に位置している(これを第4の特徴とする。)
また上記目的を達成するために、本発明に係る差動装置は、差動ギヤを支持する差動ギヤ支持部を保持して該差動ギヤ支持部と共に回転可能な入力部材の回転力を、一対の出力ギヤを介して一対の出力軸に分配して伝達する差動装置であって、前記一対の出力ギヤは、前記出力ギヤの外周部に設けられ前記差動ギヤと噛合する歯部と、前記出力ギヤの内周部に設けられ前記一対の出力軸にそれぞれ接続される軸部とをそれぞれ有し、少なくとも一方の前記出力ギヤは、前記軸部に、前記軸部の軸方向外端部から内端部へ潤滑油を導く潤滑油通路を有すると共に、他の出力ギヤと対向する内側面に、前記潤滑油通路から前記歯部側へ潤滑油を供給する潤滑油溝を有し、前記出力ギヤの歯数をZ1とし、前記差動ギヤの歯数をZ2とし、前記差動ギヤ支持部の直径をd2とし、ピッチ円錐距離をPCDとしたときに、
Figure 2016102587
を満たし、
且つZ1/Z2>2を満たす(これを第5の特徴とする)。
また、好適には、Z1/Z2≧4を満たす(これを第6の特徴とする)。
また、好適には、Z1/Z2≧5.8を満たす(これを第7の特徴とする)。
本発明の第1の特徴によれば、少なくとも一方のサイドギヤは、軸部に、該軸部の軸方向外端部から内端部へ潤滑油を導く潤滑油通路を有すると共に、他のサイドギヤと対向する内側面に、潤滑油通路から歯部側へ潤滑油を供給する潤滑油溝を有するので、潤滑油通路内を流れる潤滑油を、入力部材の回転による遠心力を利用して、サイドギヤの内側面の上記潤滑油溝を通してサイドギヤの歯部に効率よく供給することができる。これにより、サイドギヤの大径化でサイドギヤの歯部が出力軸から遠く離れる場合やピニオンが高速回転する過酷な運転状況の場合でも、出力軸側から、ピニオンとサイドギヤとの噛合部やピニオンの摺動部へ潤滑油を十分に供給可能となるから、それら噛合部や摺動部の焼付きを効果的に防止できる。
また特に本発明の第2の特徴によれば、一対のサイドギヤは、軸部と該軸部から入力部材の半径方向外方に離間した歯部との間を一体に接続する扁平な中間壁部を有し、少なくとも一方のサイドギヤの中間壁部の内側面に前記潤滑油溝を有するので、サイドギヤの歯数をピニオンの歯数よりも十分大きく設定し得るようにサイドギヤをピニオンに対し十分大径化でき、これにより、ピニオンからサイドギヤへのトルク伝達時におけるピニオン支持部の荷重負担を軽減できてその有効直径の小径化、延いてはピニオンの軸方向幅狭化が図られるため、前記中間壁部が扁平である効果とも相俟って、差動装置の軸方向幅狭化に寄与することができる。また、サイドギヤの上記大径化に伴い、サイドギヤの歯部が出力軸から半径方向に遠く離れても、中間壁部の内側面に特設した上記潤滑油溝を通して出力軸側から該歯部、延いては前記噛合部や摺動部に潤滑油を十分に供給可能である。
また特に本発明の第3の特徴によれば、前記潤滑油溝は、直線状に延びる直線溝部と、直線溝部の、半径方向で外端に連なるガイド溝部とを有し、ガイド溝部の底面は、直線溝部の底面に対し傾斜しているので、潤滑油溝の直線溝部をストレートに流れる潤滑油を、ガイド溝部からサイドギヤ歯部側にスムーズに流動させることができ、前記噛合部や摺動部に対する潤滑効果をより高めることができる。
また特に本発明の第4の特徴によれば、前記ピニオン支持部は、外周面に、ピニオンの内周面に少なくとも一部が対向する切欠き面を有し、前記ガイド溝部と前記切欠き面の一部とは、出力軸の軸線と直交する投影面で見て、該軸線を中心とした同一の円周上に位置しているので、高回転となって焼付きを生じ易いピニオンとピニオン支持部との嵌合面間の潤滑油溜まり(即ち前記切欠き面に臨む空隙部分)に差動機構の回転力を利用して効率的に潤滑油を供給することができる。
また本発明の第5の特徴によれば、少なくとも一方の出力ギヤは、軸部に、該軸部の軸方向外端部から内端部へ潤滑油を導く潤滑油通路を有すると共に、他の出力ギヤと対向する内側面に、潤滑油通路から歯部側へ潤滑油を供給する潤滑油溝を有するので、潤滑油通路内を流れる潤滑油を、入力部材の回転による遠心力を利用して、出力ギヤの内側面の上記潤滑油溝を通して出力ギヤ歯部に効率よく供給することができる。これにより、出力ギヤの大径化で出力ギヤの歯部が出力軸から遠く離れる場合や差動ギヤが高速回転する過酷な運転状況の場合でも、出力軸側から、差動ギヤと出力ギヤとの噛合部や差動ギヤの摺動部へ潤滑油を十分に供給可能となるから、それら噛合部や摺動部の焼付きを効果的に防止できる。その上、前記第5の特徴によれば、従来装置と同程度の強度(例えば静ねじり荷重強度)や最大トルク伝達量を確保しながら、差動装置を全体として出力軸の軸方向で十分に幅狭化できるから、差動装置周辺のレイアウト上の制約が多い伝動系に対しても差動装置を、高い自由度を以て無理なく容易に組込み可能となり、またその伝動系を小型化する上で有利となる。
また第6及び第7の各特徴によれば、従来装置と同程度の強度(例えば静ねじり荷重強度)や最大トルク伝達量を確保しながら、差動装置を出力軸の軸方向で更に十分に幅狭化できる。
本発明の一実施形態に係る差動装置及びその周辺の縦断面図(図2の1−1線断面図) 前記差動装置の一部を破断した側面図(図1の2−2線断面図) 図1の3−3線断面図 図1の4−4線断面図であって、サイドギヤのみを実線で示す (A)は図1の5矢視部の拡大図であり、(B)は(A)のB−B線断面図 前記差動装置の差動ギヤ支持部の変形例を示す、図5(A)対応の部分断面図 従来の差動装置の一例を示す縦断面図 ピニオンの歯数を10とした時の歯数比率に対するギヤ強度変化率の関係を示すグラフ ピッチ円錐距離の変化率に対するギヤ強度変化率の関係を示すグラフ ピニオンの歯数を10とした時のギヤ強度を100%維持する場合における歯数比率に対するピッチ円錐距離の変化率の関係を示すグラフ ピニオンの歯数を10とした時の歯数比率と、シャフト径/ピッチ円錐距離の比率との関係を示すグラフ ピニオンの歯数を6とした時の歯数比率と、シャフト径/ピッチ円錐距離の比率との関係を示すグラフ ピニオンの歯数を12とした時の歯数比率と、シャフト径/ピッチ円錐距離の比率との関係を示すグラフ ピニオンの歯数を20とした時の歯数比率と、シャフト径/ピッチ円錐距離の比率との関係を示すグラフ
本発明の実施の形態を、添付図面に示す本発明の好適な実施例に基づいて以下に説明する。
先ず、図1〜図3において、差動装置Dは、自動車に搭載されるエンジン(図示せず)から伝達された回転駆動力を、左右一対の車軸に連なる左右一対の出力軸Aに分配して伝達することにより、その左右車軸を、それらの差動回転を許容しつつ駆動するためのものであって、例えば車体前部のエンジンの横に配置されたミッションケース1内に収容、支持されている。
差動装置Dは、複数のピニオン(差動ギヤ)Pと、それらピニオンPを回転自在に支持するピニオン支持部(差動ギヤ支持部)としてのピニオンシャフトPSと、ピニオンシャフトPSと共に回転し得るようピニオンシャフトPSを支持する短円筒状の入力部材Iと、ピニオンPに対しその左右両側より噛合し且つ左右一対の出力軸Aにそれぞれ接続される左右一対のサイドギヤ(出力ギヤ)Sと、両サイドギヤSの外側をそれぞれ覆い且つ入力部材Iと一体に回転する左右一対のカバー部C,C′とを備えており、入力部材I及びカバー部C,C′によりデフケースDCが構成される。
尚、本実施形態ではピニオンPを2個とし、ピニオン支持部としてのピニオンシャフトPSを入力部材Iの一直径線に沿って延びる直線棒状に形成して、ピニオンシャフトPSの両端部に2個のピニオンPをそれぞれ支持させるようにしたものを示したが、ピニオンPを3個以上設けてもよい。その場合には、ピニオンシャフトPSを、3個以上のピニオンPに対応して入力部材Iの回転軸線Lから三方向以上に枝分かれして放射状に延びる交差棒状(例えばピニオンPが4個の場合には十字状)に形成して、ピニオンシャフトPSの各先端部にピニオンPを各々支持させるようにする。
また、ピニオンシャフトPSにピニオンPを図示例のように直接嵌合させてもよいし、或いは軸受ブッシュ等の軸受手段(図示せず)を介挿させてもよい。またピニオンシャフトPSは、全長に亘り略一様等径の軸状としてもよいし、或いは段付き軸状としてもよい。また、本実施形態では、ピニオンシャフトPSの両端部の外周面に、ピニオンPとの嵌合面よりも幅広の所定領域において各一対の切欠き面20が形成されており、これら切欠き面20の底面は各々平坦面に形成され且つ互いに平行である。そして、これら切欠き面20が特設されることで、ピニオンP周囲やピニオンPとピニオンシャフトPSとの摺動嵌合部に対する潤滑性能が向上する。尚、上記切欠き面20の形態は、本実施形態の他、種々の変形例が実施可能であり、例えば螺旋状の凹溝や、シャフト軸線に沿って延びる直線溝であってもよい。尚、上記切欠き面20は省略可能である。
デフケースDCは、左右の軸受2を介してミッションケース1に回転自在に支持される。またミッションケース1に形成されて各出力軸Aが嵌挿される貫通孔1aの内周と、各出力軸Aの外周との間には、その間をシールする環状シール部材3が介装される。またミッションケース1の底部には、その内部空間に臨んで所定量の潤滑油を貯溜するオイルパン(図示せず)が設けられており、その潤滑油がミッションケース1内においてデフケースDCその他の回転部材の回転により差動装置Dの周辺に飛散することで、デフケースDCの内外に存する機械連動部分を潤滑できるようになっている。
入力部材Iの外周部には、ファイナルドリブンギヤとしての入力歯部Igが設けられ、入力歯部Igは、エンジンの動力で回転駆動されるドライブギヤ(図示せず)と噛合する。尚、入力歯部Igは、本実施形態では入力部材Iの外周面にその横幅一杯(即ち軸方向全幅)に亘り直接形成されているが、入力歯部Igを入力部材Iよりも小幅に形成したり、或いは入力部材Iとは別体に形成して後付けで入力部材Iの外周部に固定するようにしてもよい。
またピニオンP及びサイドギヤSは、本実施形態ではベベルギヤに形成されており、しかもそれらの歯部を含む全体が各々鍛造等の塑性加工で形成されている。そのため、これらピニオンP及びサイドギヤSの歯部を切削加工する場合のような機械加工上の制約を受けることなく歯部を任意の歯数比を以て高精度に形成可能である。尚、前記ベベルギヤに代えて他のギヤを採用してもよく、例えばサイドギヤSをフェースギヤとし且つピニオンPを平歯車又は斜歯歯車としてもよい。
また一対のサイドギヤSは、一対の出力軸Aの内端部がそれぞれスプライン嵌合されて接続される円筒状の軸部Sjと、軸部Sjから入力部材Iの半径方向外方に離れた位置に在ってピニオンPに噛合する円環状の歯部Sgと、出力軸Aの軸線Lと直交する扁平なリング板状に形成されて軸部Sj及び歯部Sg間を一体に接続する中間壁部Swとを備える。
サイドギヤSの軸部Sjの内周面には、出力軸Aの外周スプライン24に相対回転不能に係合するためのスプライン21が設けられる。そして、スプライン21の一部を欠歯することにより、欠歯部21nと出力軸Aの外周スプライン24との間に、軸方向に延びて軸部Sjの軸方向外端部から内端部に潤滑油を導く複数の潤滑油通路22が形成される。これら潤滑油通路22には、デフケースDCの回転に伴いミッションケース1内で飛散する潤滑油が流入可能である。
図4,図5も併せて参照して、各々のサイドギヤSの、他のサイドギヤSと対向する内側面には、遠心力を利用して各潤滑油通路22の内端からサイドギヤ歯部Sg側へ潤滑油を供給する複数条の潤滑油溝23が放射状に形成される。
潤滑油溝23は、出力軸Aの軸線Lと直交する仮想平面と平行な底面を有してサイドギヤSの半径方向に延びる直線溝部23sと、直線溝部23sの、前記半径方向で外端に連なるガイド溝部23gとを有する。そして、ガイド溝部23gの底面は、直線溝部23sの底面から前記半径方向外方に(即ちサイドギヤSの歯部Sgに)向かって深さが徐々に浅くなるように、直線溝部23sの底面に対し傾斜して延びている。
しかも、ガイド溝部23gと、ピニオンシャフトPSの外周面に形成された前記切欠き面20の一部とは、図2からも明らかなように、出力軸Aの軸線Lと直交する投影面で見て、該軸線Lを中心とした同一の円周上に位置している。これにより、差動装置Dの作動中、高回転となって焼付きを生じ易いピニオンPとピニオンシャフトPSとの嵌合面間の潤滑油溜まり(即ち前記切欠き面20に臨む空隙部分)に対して、差動機構の回転力を利用して効率的に潤滑油を供給可能となる。
また、サイドギヤSの中間壁部Swは、中間壁部Swの半径方向の幅t1がピニオンPの最大直径d1よりも大きくなり、且つ中間壁部Swの、出力軸A軸方向での最大肉厚t2がピニオンシャフトPSの有効直径d2よりも小さくなるように形成(図1参照)される。これにより、後述するように、サイドギヤSの歯数Z1をピニオンPの歯数Z2よりも十分大きく設定し得るようサイドギヤSを十分に大径化することができ、且つ出力軸Aの軸方向でサイドギヤSが十分に薄肉化できる。尚、本明細書において、「有効直径d2」とは、ピニオンPと別体又は一体に形成されてピニオンPを支持し且つ入力部材Iに取付けられる、ピニオン支持部としての軸(即ち、ピニオンシャフトPS或いは後述する支持軸部PS′)の外径d2をいう。
また一対のカバー部C,C′のうちの一方Cは、入力部材Iとは別体に形成されて入力部材Iにボルトbを以て着脱可能に結合されるが、その結合手段としては、ネジ手段以外の種々の結合手段、例えば溶接手段やカシメ手段も使用可能である。また他方のカバー部C′は入力部材Iに一体に形成される。尚、他方のカバー部C′を、一方のカバー部Cと同様に入力部材Iとは別体に形成して、入力部材Iにボルトbその他の結合手段を以て結合してもよい。
また各々のカバー部C,C′は、サイドギヤSの軸部Sjを同心状に囲繞して回転自在に嵌合支持する円筒状のボス部Cbと、外側面を入力部材Iの回転軸線Lと直交する平坦面としてボス部Cbの軸方向内端に一体に連設される板状の側壁部Csとを備えている。
次にピニオン支持部としてのピニオンシャフトPSの入力部材Iへの取付構造について図5を併せて参照して説明する。ピニオンシャフトPSは、両端部がそれぞれ取付体Tを介して入力部材Iに連結支持されており、取付体Tには、ピニオンシャフトPSの端部を全周に亘って嵌合、保持し得る保持孔Thが形成される(図1参照)。また入力部材Iの内周面には、入力部材Iの、一方のカバー部C側の側面に開口部を有して出力軸A軸方向に延びる横断面コ字状の取付溝Iaが凹設されており、取付溝Iaには、入力部材Iの開口部より直方体状の取付体Tが挿入される。取付体Tは、入力部材Iの取付溝Iaに挿入された状態で一方のカバー部Cを入力部材Iにボルトbで締結することにより入力部材Iに固定される。また取付体TとピニオンPの大径側端面との間には、その間の相対回転を許容する環状のスラストワッシャ25が介装される。
上記したようなピニオンシャフトPSの入力部材Iへの取付構造によれば、ピニオンシャフトPSの端部をピニオンシャフトPSの全周に亘り嵌合保持させたブロック状の取付体Tを介して、ピニオンシャフトPSを入力部材Iの取付溝Iaに容易且つ強固に連結固定できるため、入力部材IにピニオンシャフトPS支持のための貫通孔を特別に形成することなく、また組立作業性を低下させることなく、ピニオンシャフトPSを入力部材Iに対し高い強度を以て連結支持させることができる。しかも本実施形態では、サイドギヤSの外側を覆うカバー部Cが取付体Tに対する抜け止め固定手段を兼ねることで構造簡素化が図られる。
かくして、ピニオンシャフトPSの両端部が取付体Tを介して入力部材Iに連結支持された状態では、ピニオンシャフトPSに回転自在に支持されるピニオンPの大径側端面と、入力部材Iの内周面との間には半径方向の間隙10が形成される。従って、間隙10には潤滑油が溜まり易くなるため、間隙10に臨むピニオンPの端部やその周辺部の焼付き防止に有効である。
ところで、一方のカバー部Cの側壁部Csは、出力軸Aの軸方向外方から見た側面視で(即ち図2で見て)ピニオンPと重なる領域を含む第1の所定領域でサイドギヤSの背面を覆う油保持部7を備えており、更に側面視でピニオンPと重ならない第2の所定領域において、サイドギヤSの背面をデフケースDC外に露出させる肉抜き部8と、油保持部7から入力部材Iの周方向に離間し且つ入力部材Iの半径方向に延びてボス部Cb及び入力部材I間を連結する連結腕部9とを併せ持つ構造となっている。換言すれば、カバー部Cの基本的に円板状をなす側壁部Csは、切欠き状をなす肉抜き部8が周方向に間隔をおいて複数形成されることで、肉抜き部8を周方向に挟んで一方側に油保持部7が、他方側に連結腕部9がそれぞれ形成される構造形態となっている。
このようなカバー部Cの側壁部Csの構造形態、特に油保持部7により、入力部材Iの回転による遠心力で径方向外方側に移動しようとする潤滑油を、油保持部7と入力部材Iとで覆われた空間に滞留させ易くなり、ピニオンP及びその周辺部に潤滑油を保持し易くすることができる。従って、潤滑油をピニオンP及びその周辺部に効率よく供給できるため、ピニオンPが高速回転するような過酷な運転状況等においても、ピニオンPの摺動部やピニオンPとサイドギヤSとの噛合部へ潤滑油を効率よく供給できて、その摺動部や噛合部の焼付きを効果的に防止できる。
その上、カバー部Cが肉抜き部8を備えることで、肉抜き部8を通してデフケースDCの内外に潤滑油を流通させることができるため、潤滑油が適度に交換・冷却されて、油劣化防止に効果的である。また、デフケースDC内に多量の潤滑油を閉じ込めておく必要はない上、肉抜き部8の形成分だけカバー部C自体が軽くなるため、それだけ差動装置Dの軽量化が図られる。
尚、肉抜き部8は、本実施形態では側壁部Csの外周端側が開放した切欠き状に形成されるが、外周端側が開放されない貫通孔状に形成してもよい。
また図3からも明らかなように、本実施形態では、他方のカバー部C′においても、側壁部Csに一方のカバー部Cと同様に肉抜き部8が形成される。但し、他方のカバー部C′の側壁部Csにおいては、油保持部7及び連結腕部9は入力部材Iに一体に形成される。尚、カバー部C,C′のうちの何れか一方のカバー部の側壁部Csを、肉抜き部を持たない(従ってサイドギヤSの中間壁部Sw及び歯部Sgの背面全面を覆う)円板状に形成してもよい。
尚、油保持部7及び連結腕部9を入力部材Iに各々連結する構造は、カバー部C,C′の入力部材Iへの連結構造として前述した通りである。即ち、油保持部7及び連結腕部9は、入力部材Iと一体に形成してもよく、また別体に形成する場合には、本実施形態のようにボルトb等のネジ手段で入力部材Iに結合されてもよいし、或いはその他の種々の結合手段(例えば溶接手段、カシメ手段等)で入力部材Iに結合されてもよい。
更に本実施形態のカバー部C,C′は、肉抜き部8の周縁部において、入力部材Iの回転時に入力部材Iの内方側への潤滑油の流入を誘導し得る油誘導斜面fを有する。油誘導斜面fは、油保持部7及び連結腕部9を入力部材Iの周方向に横切る横断面(図2の部分断面図を参照)で見て、油保持部7及び連結腕部9の各々の外側面から内側面に向かって油保持部7及び連結腕部9の各々の周方向中央側に傾斜した斜面より構成される。そして、油誘導斜面fの油誘導作用により、デフケースDCの回転に伴いカバー部C,C′外側から内側へ潤滑油をスムーズに流入させることができ、ピニオンP等に対する潤滑効果が高められる。
尚、カバー部C,C′における肉抜き部8(従って油保持部7及び連結腕部9)の形態は種々の変形例が考えられ、図2,図3の実施形態に限定されない。
次に、本実施の形態の作用について説明する。本実施形態の差動装置Dは、入力部材Iに動力源から回転力を受けた場合に、ピニオンPがピニオンシャフトPS回りに自転しないで入力部材Iと共に入力部材Iの軸線L回りに公転するときは、左右のサイドギヤSが同速度で回転駆動されて、その駆動力が均等に左右の出力軸Aに伝達される。また、自動車の旋回走行等により左右の出力軸Aに回転速度差が生じるときは、ピニオンPが自転しつつ公転することで、ピニオンPから左右のサイドギヤSに対してその差動回転を許容しつつ回転駆動力が伝達される。以上は、従来周知の差動装置の作動と同様である。
ところで差動装置Dの作動中、デフケースDCの回転に伴いミッションケース1内の各所で潤滑油が勢いよく飛散するが、飛散潤滑油の一部は、サイドギヤSの軸部Sjの内周スプライン21の欠歯部21nと出力軸Aの外周スプライン24との間に形成される潤滑油通路22に流入し、潤滑油通路22から更にサイドギヤSの内側面中心部に達すると、遠心力でサイドギヤS内側面の潤滑油溝23内を径方向外方側に流動し、サイドギヤSの歯部Sgに到達する。これにより、サイドギヤSの大径化でサイドギヤ歯部Sgが出力軸Aから遠く離れる場合やピニオンPが高速回転する過酷な運転状況の場合でも、出力軸P側からピニオンPとサイドギヤSとの噛合部や、ピニオンPの摺動部へ潤滑油を効率よく供給可能となるから、その噛合部や摺動部の焼付きを効果的に防止できる。
この場合、潤滑油溝23は、出力軸Aの軸線Lと直交する仮想平面と平行な底面を有してサイドギヤSの半径方向に延びる直線溝部23sと、直線溝部23sの外端に連なるガイド溝部23gとを有していて、ガイド溝部23gの底面が、直線溝部23sの底面から半径方向外方(即ちサイドギヤSの歯部Sg)に向かって深さが徐々に浅くなるよう、直線溝部23sの底面に対し傾斜しているので、潤滑油溝23の直線溝部23sを半径方向外方にストレートに流れる潤滑油を、ガイド溝部23gからサイドギヤ歯部Sg側にスムーズに流動させることができ、ピニオンPとサイドギヤSとの噛合部に対する潤滑効果をより高めることができる。
また本実施形態では、前述のように左右のサイドギヤSの背面をそれぞれ覆う左右のカバー部C,C′にそれぞれ肉抜き部8が形成されていて、ミッションケース1内で差動装置D周辺を飛散する潤滑油が、それら肉抜き部8からもデフケースDC内に効率よく流入する。これにより、ピニオンPとサイドギヤSとの噛合部や、ピニオンPの摺動部に対する潤滑効果を一層高めることができる。
而して、本実施形態の差動装置Dにおいて、サイドギヤSは、出力軸Aに接続される軸部Sjと、出力軸Aの軸線Lと直交する扁平なリング板状に形成されて、軸部Sjと該軸部Sjから入力部材Iの半径方向外方に離間したサイドギヤ歯部Sgとの間を一体に接続する中間壁部Swとを有しており、その上、中間壁部Swは、中間壁部Swの半径方向幅t1がピニオンPの最大直径d1よりも長くなるよう形成されている。このため、サイドギヤSの歯数Z1をピニオンPの歯数Z2よりも十分大きく設定し得るようにサイドギヤSをピニオンPに対し十分大径化できることから、ピニオンPからサイドギヤSへのトルク伝達時におけるピニオンシャフトPSの荷重負担を軽減できてピニオンシャフトPSの有効直径d2の小径化、延いてはピニオンPの、出力軸A軸方向での幅狭化を図ることができる。
また上記のようにピニオンシャフトPの荷重負担が軽減されると共に、サイドギヤSにかかる反力が低下し、その上、サイドギヤSの中間壁部Sw又は歯部Sgの背面がカバー側壁部Csに支持されるので、サイドギヤSの中間壁部Swを薄肉化してもサイドギヤSの必要な剛性強度は確保することが容易であり、即ち、サイドギヤSに対する支持剛性を確保しつつサイドギヤ中間壁部Swを十分に薄肉化することが可能となる。また、本実施形態では、上記のように小径化を可能としたピニオンシャフトPSの有効直径d2よりもサイドギヤ中間壁部Swの最大肉厚t2が更に小さく形成されるため、サイドギヤ中間壁部Swの更なる薄肉化が達成可能となる。しかもカバー側壁部Csが、外側面を出力軸Aの軸線Lと直交する平坦面とした板状に形成されることで、カバー側壁部Cs自体の薄肉化も達成される。
それらの結果、差動装置Dは、従来装置と同程度の強度(例えば静ねじり荷重強度)や最大トルク伝達量を確保しながら、全体として出力軸Aの軸方向で十分に幅狭化することができる。これにより、差動装置Dの周辺のレイアウト上の制約が多い伝動系に対しても差動装置Dを、高い自由度を以て無理なく容易に組込み可能となり、またその伝動系を小型化する上で頗る有利となる。
ところで、上記の実施形態では、ピニオン支持部として長いピニオンシャフトPSを用いるものを示したが、図6に示すようにピニオンPの大径側の端面に同軸に一体に結合された支持軸部PS′でピニオン支持部を構成してもよい。この構成によれば、ピニオンシャフトPSを嵌合させる貫通孔をピニオンPに設ける必要はなくなるため、それだけピニオンPを小径化(軸方向幅狭化)できて、差動装置Dの出力軸A軸方向での扁平化を図ることができる。即ち、ピニオンシャフトPSがピニオンPを貫通する場合、ピニオンPにはピニオンシャフト径に対応するサイズの貫通孔を形成する必要があるが、ピニオンP端面に支持軸部PS′を一体化した場合には、支持軸部PS′の径に依存することなくピニオンPの小径化(軸方向幅狭化)が可能となる。
そして、本実施形態では、サイドギヤSの内側面に形成される潤滑油溝23が、出力軸Aの軸線Lと直交する仮想平面と平行な底面を有してサイドギヤSの半径方向に延びる直線溝部23sのみから構成されていて、先の実施形態のガイド溝部23gに相当する底面傾斜の溝部を有していない。
また本実施形態では、支持軸部PS′の外周面と、支持軸部PS′が挿入される取付体Tの保持孔Th内周面との間に、その間の相対回転を許容する軸受としての軸受ブッシュ12が介挿される。尚、軸受としては、ニードルベアリング等の軸受を使用してもよい。尚また、軸受を省略して、支持軸部PS′を取付体Tの保持孔Thに直接嵌合させてもよい。
ところで上記した特許文献2,3で例示したような従来の差動装置では、通常、サイドギヤ(出力ギヤ)の歯数Z1とピニオン(差動ギヤ)の歯数Z2として、例えば特許文献3に示される14×10、或いは16×10または13×9が用いられており、この場合、差動ギヤに対する出力ギヤの歯数比率Z1/Z2は、それぞれ1.4 、1.6 、1.44となっている。また従来の差動装置では、歯数Z1,Z2の、その他の組合わせとして、例えば15×10、17×10、18×10、19×10、または20×10となっているものも知られており、この場合の歯数比率Z1/Z2は、それぞれ1.5 、1.7 、1.8 、1.9 、2.0 となっている。
一方、今日では、差動装置周辺でのレイアウト上の制約を伴う伝動装置も増えており、差動装置のギヤ強度を確保しつつ差動装置を出力軸の軸方向に十分幅狭化(即ち扁平化)することが市場で要求されている。しかしながら従来の既存の差動装置では、上記歯数比率の組み合わせからも明らかなように出力軸の軸方向で幅広の構造形態となっているため、上記した市場の要求を満たすことが困難な状況にある。
そこで差動装置のギヤ強度を確保しつつ差動装置を出力軸の軸方向に十分幅狭化(即ち扁平化)し得る差動装置Dの構成例を、上記した実施形態とは異なる観点より、以下に具体的に特定する。尚、この構成例に係る差動装置Dの各構成要素の構造は、図1〜図6で説明した上記実施形態の差動装置Dの各構成要素と同様であるので、各構成要素の参照符号は、上記実施形態のそれと同じ符号を使用し、構造説明は省略する。
先ず、差動装置Dを出力軸Aの軸方向に十分に幅狭化(即ち扁平化)するための基本的な考え方を、図7を併せて参照して説明すると、それは、
[1]ピニオンP即ち差動ギヤに対するサイドギヤS即ち出力ギヤの歯数比率Z1/Z2を従来既存の差動装置の歯数比率よりも増大させる。(これにより、ギヤのモジュール(従って歯厚)が減少してギヤ強度が低下する一方で、サイドギヤSのピッチ円直径が増大してギヤ噛合部での伝達荷重が低減しギヤ強度が増大するが、全体としては後述する如くギヤ強度は低下する。)
[2]ピニオンPのピッチ円錐距離PCDを従来既存の差動装置のピッチ円錐距離よりも増やす。(これにより、ギヤのモジュールが増加してギヤ強度が増大すると共に、サイドギヤSのピッチ円直径が増大してギヤ噛合部での伝達荷重が低減しギヤ強度が増大するため、全体としては後述する如くギヤ強度は大幅に増大する。)
従って、上記[1]によるギヤ強度低下の量と、上記[2]によるギヤ強度増大の量とが等しくなるか、或いは上記[1]によるギヤ強度低下の量よりも、上記[2]によるギヤ強度増大の量の方が上回るように、歯数比率Z1/Z2及びピッチ円錐距離PCDを設定することにより、全体としてギヤ強度を従来既存の差動装置と比べて同等もしくは増大させることができる。
次に上記[1][2]に基づくギヤ強度の変化態様を数式により具体的に検証する。尚、検証は、以下の実施形態で説明する。先ず、サイドギヤSの歯数Z1を14、ピニオンPの歯数Z2を10とした時の差動装置D′を「基準差動装置」とする。また「変化率」とは、前記基準差動装置D′を基準(即ち100%)とした場合の各種変数の変化率である。
[1]について
サイドギヤSのモジュールをM、ピッチ円直径をPD1 、ピッチ角をθ1 、ピッチ円錐距離をPCD、ギヤ噛合部での伝達荷重をF、伝達トルクをTとした場合に、ベベルギヤの一般的な公式より、
M=PD1 /Z1
PD1 =2PCD・ sinθ1
θ1 = tan-1(Z1/Z2)
これら式から、ギヤのモジュールは、
M=2PCD・ sin{ tan-1(Z1/Z2)}/Z1 ・・・(1)
となり、
また基準差動装置D′のモジュールは、2PCD・ sin{ tan-1(7/5)}/14
となる。
従って、この両式の右項を除算することにより、基準差動装置D′に対するモジュール変化率は、次の(2)式のようになる。
Figure 2016102587
また、ギヤ強度(即ち歯部の曲げ強度)に相当する歯部の断面係数は、歯厚の二乗に比例する関係にあり、一方、その歯厚は、モジュールMと略リニアな関係にある。従って、モジュール変化率の二乗は、歯部の断面係数変化率、延いてはギヤ強度の変化率に相当する。即ち、そのギヤ強度変化率は、前記(2)式に基づいて次の(3)式のように表される。この(3)式は、ピニオンPの歯数Z2が10の時には図8のL1で示され、これにより、歯数比率Z1/Z2が増えるにつれてモジュール減少によりギヤ強度が低下することが判る。
Figure 2016102587
ところで前記したベベルギヤの一般的な公式より、サイドギヤSのトルク伝達距離は、次の(4)式のようになる。
PD1 /2=PCD・ sin{ tan-1(Z1/Z2)}・・・(4)
そして、トルク伝達距離PD1 /2による伝達荷重Fは、F=2T/PD1 である。従って、基準差動装置D′のサイドギヤSにおいて、トルクTを一定とすれば、伝達荷重Fとピッチ円直径PD1 とが反比例の関係となる。また伝達荷重Fの変化率は、ギヤ強度の変化率とも反比例の関係にあることから、ギヤ強度の変化率は、ピッチ円直径PD1 の変化率と等しくなる。
その結果、ピッチ円直径PD1 の変化率は、(4)の式を用いて、次の(5)式のようになる。
Figure 2016102587
この(5)式は、ピニオンPの歯数Z2が10の時には図8のL2で示され、これにより、歯数比率Z1/Z2が増えるにつれて伝達荷重低減によりギヤ強度が高まることが判る。
結局のところ、歯数比率Z1/Z2が増えることに伴うギヤ強度の変化率は、モジュールMの減少によるギヤ強度の減少変化率(前記した(3)式の右項)と、伝達荷重低減によるギヤ強度の増加変化率(前記した(5)式の右項)との掛け合わせにより、次の(6)式として表される。
Figure 2016102587
この(6)式は、ピニオンPの歯数Z2が10の時には図8のL3で示され、これにより、歯数比率Z1/Z2が増えるにつれて全体としてギヤ強度が低下することが判る。
[2]について
ピニオンPのピッチ円錐距離PCDを基準差動装置D′のピッチ円錐距離よりも増やすと、変更前のPCDをPCD1、変更後のPCDをPCD2とした場合には、PCDの変更前後のモジュール変化率は、前記したベベルギヤの一般的な公式より、歯数を一定とすれば、(PCD2/PCD1)となる。
一方、サイドギヤSのギヤ強度の変化率は、前記(3)式を導いた過程からも明らかなように、モジュール変化率の二乗に相当するため、結局のところ、
モジュール増大によるギヤ強度変化率=(PCD2/PCD1)2 ・・・(7)
この(7)式は、図9のL4で示され、これにより、ピッチ円錐距離PCDが増えるにつれてモジュール増加によりギヤ強度が増加することが判る。
また、ピッチ円錐距離PCDを基準差動装置D′のピッチ円錐距離PCD1よりも増やした場合に、伝達荷重Fが低減されるが、これによる、ギヤ強度の変化率は、前述のようにピッチ円直径PD1 の変化率と等しくなる。またサイドギヤSのピッチ円直径PD1 とピッチ円錐距離PCDとは比例関係にある。従って、
伝達荷重低減によるギヤ強度変化率=PCD2/PCD1 ・・・(8)
この(8)式は、図9のL5で示され、これにより、ピッチ円錐距離PCDが増えるにつれて伝達荷重低減によりギヤ強度が高まることが判る。
そして、ピッチ円錐距離PCDが増えることに伴うギヤ強度の変化率は、モジュールMの増大によるギヤ強度の増加変化率(前記した(7)式の右項)と、ピッチ円直径PDの増加に伴う伝達荷重低減によるギヤ強度の増加変化率(前記した(8)式の右項)との掛け合わせにより、次の(9)式として表される。
ピッチ円錐距離増大によるギヤ強度変化率=(PCD2/PCD1)3 ・・(9)
この(9)式は、図9のL6で示され、これにより、ピッチ円錐距離PCDが増えるにつれてギヤ強度が大幅に高められることが判る。
そして、前記[1]の手法(歯数比率増大)によるギヤ強度の低下分を、前記[2]の手法(ピッチ円錐距離増大)によるギヤ強度の増大分で十分補うようにして全体として差動装置のギヤ強度を従来既存の差動装置のギヤ強度と同等もしくはそれ以上とするように、歯数比率Z1/Z2及びピッチ円錐距離PCDの組み合わせを決定する。
例えば、基準差動装置D′のサイドギヤSのギヤ強度を100%維持する場合には、前記[1]で求めた歯数比率増大に伴うギヤ強度の変化率(前記した(6)式の右項)と、前記[2]で求めたピッチ円錐距離増大によるギヤ強度変化率(前記した(9)の右項)とを掛け合わせたものが100%となるように設定すればよい。これより、基準差動装置D′のギヤ強度を100%維持する場合における歯数比率Z1/Z2とピッチ円錐距離PCDの変化率との関係は、次の(10)式で求められる。この(10)式は、ピニオンPの歯数Z2が10の時には図10のL7で示される。
Figure 2016102587
このように(10)式は、歯数比率Z1/Z2=14/10とした基準差動装置D′のギヤ強度を100%維持する場合における歯数比率Z1/Z2とピッチ円錐距離PCDの変化率との関係(図10参照)を示すものであるが、この図10の縦軸のピッチ円錐距離PCDの変化率は、ピニオンPを支持するピニオンシャフトPS(即ちピニオン支持部)のシャフト径をd2とした場合にはd2/PCDの比率に変換可能である。
Figure 2016102587
すなわち、従来既存の差動装置において、ピッチ円錐距離PCDの増大変化は、上記表1のようにd2の増大変化と相関があり、且つd2を一定としたときはd2/PCDの比率の低下として表現可能である。しかも、従来既存の差動装置においては、上記表1のように、基準差動装置D′の時にはd2/PCDが40〜45%の範囲に収まっている関係と、PCDを増やすとギヤ強度が増大することとから、基準差動装置D′の時には少なくともd2/PCDが45%以下となるように、ピニオンシャフトPSのシャフト径d2及びピッチ円錐距離PCDを決めれば、ギヤ強度を従来既存の差動装置のギヤ強度と同等もしくはそれ以上とすることができる。つまり、基準差動装置D′の場合には、
d2/PCD≦0.45を満たせばよい。この場合、基準差動装置D′のピッチ円錐距離PCD1に対して、増減変更後のPCDをPCD2とすれば、
d2/PCD2≦0.45/(PCD2/PCD1)・・・(11)
を満たせばよいということになる。そして、この(11)式を、前記した(10)式に適用すれば、d2/PCDと、歯数比率Z1/Z2との関係が、次の(12)式のように変換可能である。
Figure 2016102587
この(12)式の等号が成立する時において、ピニオンPの歯数Z2が10の時には図11のL8のように表すことができる。この(12)式の等号が成立する時が、基準差動装置D′のギヤ強度を100%維持する場合のd2/PCDと歯数比率Z1/Z2との関係である。
ところで従来既存の差動装置では、上述したように、通常、基準差動装置D′のような歯数比率Z1/Z2を1.4とするものだけでなく、歯数比率Z1/Z2を1.6とするものや、歯数比率Z1/Z2を1.44とするものも採用されている。この事実を踏まえて、基準差動装置D′(Z1/Z2=1.4)で必要十分な、即ち100%のギヤ強度が得られると想定した場合には、従来既存の差動装置において歯数比率Z1/Z2が16/10の差動装置では、図8から明らかなようにギヤ強度が基準差動装置D′に比べ87%に低下していることが判る。しかしながら、この程度に低下したギヤ強度は、従来既存の差動装置では実用強度として許容され、実用されている。そこで、軸方向に扁平な差動装置においても、前記基準差動装置D′に対し少なくとも87%のギヤ強度があれば、ギヤ強度が十分に確保、許容されると考えられる。
このような観点から、基準差動装置D′のギヤ強度を87%維持する場合における歯数比率Z1/Z2と、ピッチ円錐距離PCDの変化率との関係を先ず求めると、その関係は、前記(10)式を導く過程に倣って演算(即ち、歯数比率増大に伴うギヤ強度の変化率(前記した(6)式の右項)と、ピッチ円錐距離増大によるギヤ強度変化率(前記した(9)の右項)とを掛け合わせたものが87%となるように演算)することにより、次の(10′)式のように表すことができる。
Figure 2016102587
そして、前述の(11)式を、前記した(10′)式に適用すれば、基準差動装置D′のギヤ強度を87%以上維持する場合におけるd2/PCDと、歯数比率Z1/Z2との関係が、次の(13)式のように変換可能である。但し、計算の過程において、変数を用いて表される項を除き、有効数字を3桁で計算し、それ以外の桁は切り捨てで対応する都合上、実際には計算誤差によりほぼ等しいとなる場合でも、式の表現では等号で表すこととする。
Figure 2016102587
この(13)式の等号が成立する場合において、ピニオンPの歯数Z2が10の時には図11のように(より具体的には、図11のL9ラインのように)表すことができ、この場合に(13)式に対応する領域は、図11でL9ライン上及びL9ラインよりも下側の領域となる。そして、この(13)式を満たし、且つ図11でL10ラインよりも右側となる歯数比率Z1/Z2が2.0を超えることを満たす特定領域(図11のハッチング領域)が、特にピニオンPの歯数Z2が10で歯数比率Z1/Z2が2.0を超える軸方向に扁平な差動装置において、前記基準差動装置D′に対し少なくとも87%のギヤ強度を確保可能なZ1/Z2及びd2/PCDの設定領域である。尚、参考までに、歯数比率Z1/Z2を40/10と、d2/PCDを20.00%とそれぞれ設定した時の実施例を図11において例示すれば、菱形点のようになり、また歯数比率Z1/Z2を58/10と、d2/PCDを16.67%とそれぞれ設定した時の実施例を図11において例示すれば、三角点のようになり、これらは前記特定領域に収まっている。これらの実施例について、シミュレーションによる強度解析を行った結果、従来と同等またはそれ以上のギヤ強度(より具体的には基準差動装置D′に対して87%のギヤ強度またはそれ以上のギヤ強度)が得られていることが確認できた。
而して、上記特定領域にある扁平な差動装置は、従来既存の非扁平な差動装置と同程度のギヤ強度(例えば静ねじり荷重強度)や最大トルク伝達量を確保しながら、全体として出力軸の軸方向で十分に幅狭化な差動装置として構成されるものであり、そのため、差動装置周辺のレイアウト上の制約が多い伝動系に対しても差動装置を、高い自由度を以て無理なく容易に組込み可能となり、またその伝動系を小型化する上で頗る有利となる等の効果を達成可能である。
また、上記特定領域にある扁平な差動装置の構造が、例えば、上述した前記実施形態の構造(より具体的には、図1〜6で示される構造)となる場合には、上記特定領域にある扁平な差動装置は、前記実施形態で示した構造に伴う効果も併せて達成可能である。
尚、前述の説明(特に図8,10,11に関する説明)は、ピニオンPの歯数Z2を10とした時の差動装置について行っているが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、ピニオンPの歯数Z2を6,12,20とした場合にも、上記効果を達成可能な扁平な差動装置は、図12,13,14のハッチングで示されるように、(13)式で表すことができる。即ち、前述のようにして導出された(13)式は、ピニオンPの歯数Z2の変化に関わらず適用できるものであって、例えばピニオンPの歯数Z2を6,12,20とした場合でも、ピニオンPの歯数Z2を10とした場合と同様、(13)式を満たすようにサイドギヤSの歯数Z1、ピニオンPの歯数Z2、ピニオンシャフトPSのシャフト径d2及びピッチ円錐距離PCDを設定すれば上記効果が得られる。
また、参考までに、ピニオンPの歯数Z2を12とした場合において、歯数比率Z1/Z2を48/12と、d2/PCDを20.00%とそれぞれ設定した時の実施例を図13に菱形点で、歯数比率Z1/Z2を70/12と、d2/PCDを16.67%とそれぞれ設定した時の実施例を図13に三角点で例示する。これらの実施例について、シミュレーションによる強度解析を行った結果、従来と同等またはそれ以上のギヤ強度(より具体的には基準差動装置D′に対して87%のギヤ強度またはそれ以上のギヤ強度)が得られていることが確認できた。また、これらの実施例は、図13に示されるように前記特定領域に収まっている。
比較例として、前記特定範囲に収まらない実施例、例えばピニオンPの歯数Z2を10とした場合において、歯数比率Z1/Z2を58/10と、d2/PCDを27.50%とそれぞれ設定した時の実施例を図11に星形点で、ピニオンPの歯数Z2を10とした場合において、歯数比率Z1/Z2を40/10と、d2/PCDを34.29%とそれぞれ設定した時の実施例を図11に丸点で、ピニオンPの歯数Z2を12とした場合において、歯数比率Z1/Z2を70/12と、d2/PCDを27.50%とそれぞれ設定した時の実施例を図13の星形点で、ピニオンPの歯数Z2を12とした場合において、歯数比率Z1/Z2を48/12と、d2/PCDを34.29%とそれぞれ設定した時の実施例を図13の丸点で示す。これらの実施例についてシミュレーションによる強度解析を行った結果、従来と同等またはそれ以上のギヤ強度(より具体的には基準差動装置D′に対して87%のギヤ強度またはそれ以上のギヤ強度)が得られなかったことが確認できた。つまり、前記特定範囲に収まらない実施例では上記効果が得られないことが確認できた。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、潤滑油溝23を、潤滑油通路22の内端からサイドギヤSの半径方向外方に(即ち放射状に)延びる直線溝としたものを示したが、本発明の潤滑油溝としては、少なくとも遠心力を利用して各潤滑油通路22からサイドギヤ歯部Sg側へ潤滑油をスムーズに供給可能な溝形状であれば、実施形態に限定されず、種々の変形例が可能であり、例えば少なくとも一部を湾曲させた溝でもよく、またサイドギヤSの半径方向に対し斜めに傾斜した直線溝でもよい。尚、何れの形態の溝も、潤滑油溝23の一端部を潤滑油通路22の内端に、またその他端部をサイドギヤ歯部Sgにそれぞれ連続(又は近接)させることが望ましい。
また上述した実施形態では、潤滑油通路22に対して、ミッションケース1内にランダムに飛散する潤滑油が自然流入するものを示したが、潤滑油通路22に対しては、ミッションケース1内で差動装置Dの回転に伴い特定方向に撥ね掛けるようにした潤滑油や、ミッションケース1の天井部から特定箇所に滴下させる潤滑油を積極的に流入させるようにしてもよく、或いは潤滑油ポンプで潤滑油を潤滑油通路22に対し強制的に圧送させるようにしてもよい。
また上述した実施形態では、左右少なくとも一方のカバー部C,C′の側壁部Csに肉抜き部8を設けたものを示したが、左右何れのカバー部C,C′の側壁部Csにも肉抜き部8を形成しないようにして、それらの側壁部Csにより、対応するサイドギヤSの背面全面を覆うようにしてもよい。
また上述した実施形態では、入力部材Iが入力歯部Igを一体に備えるものを示したが、入力部材Iとは別体に形成したリングギヤを後付けで入力部材Iに固定するようにしてもよい。また本発明の入力部材は、上記のような入力歯部Igやリングギヤを備えない構造であってもよく、例えば入力部材Iが、動力伝達経路で入力部材Iよりも上流側に位置する駆動部材(例えば遊星歯車機構や減速歯車機構の出力部材、無端伝動帯式伝動機構の被動輪等)と連動、連結されることにより、入力部材Iに回転駆動力が入力されるようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、一対のサイドギヤSの背面を一対のカバー部C,C′でそれぞれ覆うものを示したが、本発明では、一方のサイドギヤSの背面にのみカバー部を設けるようにしてもよい。この場合、例えば、そのカバー部が設けられない側に、入力部材Iよりも上流側に位置する駆動部材を配設して、そのカバー部が設けられない側で駆動部材と入力部材とを連動、連結させるようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、サイドギヤSの軸部Sjに形成されて軸部Sjの軸方向外端部から内端部まで潤滑油を導く潤滑油通路22を、軸部Sj内周のスプライン21の一部を欠歯することにより形成したものを例示したが、本発明の潤滑油通路は、上述した実施形態に限定されず、例えばサイドギヤSの軸部Sjの内周面に設けた螺旋溝で潤滑油通路を構成してもよい。
また、上述した実施形態において、差動装置Dは、左右車軸の回転差を許容するものであったが、前輪と後輪の回転差を吸収するセンターデフとしても本発明の差動装置を実施可能である。
A・・・・・出力軸
D・・・・・差動装置
d2・・・・ピニオンシャフトの直径、支持軸部の直径(ピニオン支持部の直径,差動ギヤ支持部の直径)
I・・・・・入力部材
P・・・・・ピニオン(差動ギヤ)
PCD・・・ピッチ円錐距離
PS・・・・ピニオンシャフト(ピニオン支持部,差動ギヤ支持部)
PS′・・・支持軸部(ピニオン支持部,差動ギヤ支持部)
S・・・・・サイドギヤ(出力ギヤ)
Sj・・・・軸部
Sg・・・・歯部
Sw・・・・中間壁部
22・・・・潤滑油通路
23・・・・潤滑油溝
23g・・・ガイド溝部
23s・・・直線溝部

Claims (7)

  1. ピニオン(P)を支持するピニオン支持部(PS,PS′)を保持して該ピニオン支持部(PS,PS′)と共に回転可能な入力部材(I)の回転力を、一対のサイドギヤ(S)を介して一対の出力軸(A)に分配して伝達する差動装置であって、
    前記一対のサイドギヤ(S)は、前記サイドギヤ(S)の外周部に設けられ前記ピニオン(P)と噛合する歯部(Sg)と、前記サイドギヤ(S)の内周部に設けられ前記一対の出力軸(A)にそれぞれ接続される軸部(Sj)とをそれぞれ有し、
    少なくとも一方の前記サイドギヤ(S)は、前記軸部(Sj)に、前記軸部(Sj)の軸方向外端部から内端部へ潤滑油を導く潤滑油通路(22)を有すると共に、他のサイドギヤ(S)と対向する内側面に、前記潤滑油通路(22)から前記歯部(Sg)側へ潤滑油を供給する潤滑油溝(23)を有することを特徴とする差動装置。
  2. 前記一対のサイドギヤ(S)は、前記軸部(Sj)と該軸部(Sj)から入力部材(I)の半径方向外方に離間した前記歯部(Sg)との間を一体に接続する扁平な中間壁部(Sw)を有し、前記少なくとも一方のサイドギヤ(S)の前記中間壁部(Sw)の内側面に前記潤滑油溝(23)を有することを特徴とする、請求項1に記載の差動装置。
  3. 前記潤滑油溝(23)は、直線状に延びる直線溝部(23s)と、前記直線溝部(23s)の、前記半径方向で外端に連なるガイド溝部(23g)とを有し、前記ガイド溝部(23g)の底面は、前記直線溝部(23s)の底面に対し傾斜していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の差動装置。
  4. 前記ピニオン支持部(PS)は、外周面に、前記ピニオン(P)の内周面に少なくとも一部が対向する切欠き面(20)を有し、前記ガイド溝部(23g)と前記切欠き面(20)の一部とは、前記出力軸(A)の軸線(L)と直交する投影面で見て、該軸線(L)を中心とした同一の円周上に位置していることを特徴とする、請求項3に記載の差動装置。
  5. 差動ギヤ(P)を支持する差動ギヤ支持部(PS,PS′)を保持して該差動ギヤ支持部(PS,PS′)と共に回転可能な入力部材(I)の回転力を、一対の出力ギヤ(S)を介して一対の出力軸(A)に分配して伝達する差動装置であって、
    前記一対の出力ギヤ(S)は、前記出力ギヤ(S)の外周部に設けられ前記差動ギヤ(P)と噛合する歯部(Sg)と、前記出力ギヤ(S)の内周部に設けられ前記一対の出力軸(A)にそれぞれ接続される軸部(Sj)とをそれぞれ有し、
    少なくとも一方の前記出力ギヤ(S)は、前記軸部(Sj)に、前記軸部(Sj)の軸方向外端部から内端部へ潤滑油を導く潤滑油通路(22)を有すると共に、他の出力ギヤ(S)と対向する内側面に、前記潤滑油通路(22)から前記歯部(Sg)側へ潤滑油を供給する潤滑油溝(23)を有し、
    前記出力ギヤ(S)の歯数をZ1とし、前記差動ギヤ(P)の歯数をZ2とし、前記差動ギヤ支持部(PS,PS′)の直径をd2とし、ピッチ円錐距離をPCDとしたときに、
    Figure 2016102587
    を満たし、
    且つZ1/Z2>2を満たすことを特徴とする差動装置。
  6. Z1/Z2≧4を満たすことを特徴とする、請求項5に記載の差動装置。
  7. Z1/Z2≧5.8を満たすことを特徴とする、請求項5に記載の差動装置。
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