JP2016097955A - 壁面吸着走行装置の吸着機構 - Google Patents

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【課題】壁面等の吸着面の凹凸形状に合わせて必要な吸着力を変化させ、多様な表面状態であっても吸着させて走行することができる壁面吸着走行装置を提供する。【解決手段】基体10の下面に形成された減圧室11と、減圧室内を強制排気して減圧保持するための電動ファン13、14と、基体に配設され基体を移動させる複数の走行輪20を備える。減圧室の上部には複数個の電動ファンが配設され、減圧室の上側には、複数個の電動ファンの吸入口に連通する上側開口が形成され、吸着面と接する減圧室の下側には、電動ファンの個数に対応して分割された複数個の吸引開口が形成された半独立半連続気泡型の低応力圧縮スポンジからなる柔軟性部材12が配置され、柔軟性部材12と減圧室の上側との間には、電動ファンの個数に対応した複数の通風路が形成された分流部材が配設され、個々の電動ファンの吸入口と複数個の吸引開口とを分流部材の通風路を介して連通させる。【選択図】図1

Description

本発明は、ビルの壁など大型構造物の垂直面の保守点検に利用できる壁面吸着走行装置に関する。
ビルの壁や高速道路・橋梁の橋脚等、大型構造物の垂直面を検査・保守するための自走式装置が望まれている。例えば特許文献1には、永久磁石による吸着機構と車輪による草稿機構とを備えた壁面吸着式移動装置が開示されている。また、特許文献2には、バキュームパッドを備え、回動自在の2個の駆動車輪と2個の遊動車輪を有する自走ロボットが開示されている。
特開平10−151586号公報 特開平6−64570号公報
しかしながら、特許文献1に記載された壁面吸着走行装置は、磁石による吸着機構を備えているため、鉄製の橋梁等には使用できるが、コンクリート製の橋梁やビルには使用できないという問題点がある。また、特許文献2に記載のバキュームカップ式自走ロボットは、減圧するための機構について開示されていないが、例えば減圧装置として真空ポンプを想定した場合、真空度は高くなるものの、空気流量が小さいため、ホースの長さが長くなると効率が低下し真空圧力も低下する。特に、裾端部に等間隔で内向半径方向の所定長にわたって加工された複数のカットにより形成された複数の花弁片を備えたようなバキュームパッドで、完全密閉でなく花弁片同士の間から外気が流入するため、真空ポンプの性能が著しく低下してしまう。このため、比較的大きな凹凸形状の壁面等では吸引力が不足し、壁面吸着走行装置が落下する問題がある。一方、凹凸が小さい平坦な壁面では、逆に吸引力が過度になって摩擦力が増加し、この摩擦がこの車輪に集中するためきわめて大きなトルクが必要となる問題がある。
本発明の課題は、壁面等の吸着面の凹凸形状に合わせて必要な吸着力を変化させ、多様な表面状態であっても装置を吸着させて走行することができる壁面吸着走行装置の吸着機構を提供することにある。
本発明による壁面吸着走行装置の吸着機構は、基体下面に形成された減圧室と、前記減圧室内を強制排気して減圧保持するための電動ファンと、前記基体に配設され前記基体を移動させる複数の走行輪を備えた壁面吸着走行装置であって、前記減圧室の上部には複数個の前記電動ファンが配設され、前記減圧室の上側には、複数個の前記電動ファンの吸入口に連通する上側開口が形成され、吸着面と接する前記減圧室の下側には、前記電動ファンの個数に対応して分割された複数個の吸引開口が形成された半独立半連続気泡型の低応力圧縮スポンジからなる柔軟性部材が配置され、前記柔軟性部材と前記減圧室の上側との間には、前記電動ファンの個数に対応した複数の通風路が形成された分流部材が配設され、個々の前記電動ファンの吸入口と複数個の吸引開口とを前記分流部材の通風路を介して連通させたことを要旨としている。
また、前記柔軟性部材に配置された複数個の吸引開口は、吸着面と接する前記減圧室の下側に分散して形成され、各々の前記電動ファンに対応する前記吸引開口を複数個形成するとともに前記減圧室の下側に分散させて配置することが望ましい。
本発明による壁面吸着走行装置の吸着機構によれば、減圧室の上部に複数個の電動ファンを配設し、吸着面と接する減圧室の下側に電動ファンの個数に対応して分割された複数個の吸引開口を形成した柔軟性部材を配置し、この柔軟性部材と減圧室の上側との間に、電動ファンの個数に対応した複数の通風路が形成された分流部材を配設しているので、複数個の電動ファンを駆動する数を変えることにより、壁面等の吸着面の凹凸形状に合わせて必要な吸着力を変化させることが可能となり、多様な表面状態であっても装置を適正な吸着力によって吸着させながら走行することができる。また、柔軟性部材として、半独立半連続気泡型の低応力圧縮スポンジからなる柔軟性部材を用いることにより、壁面等の吸着面に凹凸があっても、凹凸形状に合わせて柔軟に接合するので、多様な表面状態であっても装置を吸着させて走行することができる。
また、柔軟性部材に配置された複数個の吸引開口を減圧室の下側に分散させて配置し、分散させた吸引開口を各々の電動ファンに対応させているので、1台の電動ファンを駆動させた場合にも減圧室の下側に形成された柔軟性部材の全面にほぼ均一の吸引力を得ることが可能となる。さらに、各々の前記電動ファンに対応する複数個の吸引開口を減圧室の下側に分散させて配置することにより、電動ファンの一部或いは全部を駆動させた場合でも、柔軟性部材全面の吸引力をさらに均一にすることが可能となり、壁面等の吸着面の状態に応じて適正な吸着力によって装置を走行することができる。
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施例について説明する。図1は、本発明による壁面吸着走行装置の実施例の側面図を示す。枠状の基体10の下部に吸着機構としての後述する減圧室11が設けられ、さらにその下面には柔軟性部材12が配置されている。柔軟性部材12の材質としては、柔軟性と機密性を兼ね備えた部材が適切であるため、例えば市販の半独立半連続気泡による帯状の低応力圧縮スポンジを利用している。ここで、低応力圧縮スポンジとは、小さな圧力で変形し、変形が回復するのに一定の時間を要するウレタン素材等のものである。この実施例では、幅と高さが20mm乃至40mm程度のスポンジを使用した。減圧室11の上部には減圧発生装置として2台の電動ファン13、14が配置されている。この壁面吸着走行装置の場合、減圧により壁面に吸着しながら上下左右に走行する必要があるため、柔軟性部材12の機密性があまり高いと走行のために大きな駆動力が必要となり実用的でない。また、ビルの壁などでは凹凸も想定されるため、そのような場合にも吸着力を維持することが必須である。そこで、本発明による壁面吸着走行装置では、真空ポンプではなく例えば電気掃除機用の電動ファン13、14を使用している。電動ファン13、14は、空気流量が多くかつ吸引力が強いため、この用途に適している。できれば、吸入空気の排出口とモーター駆動用の排気口が別に接地されているものが好適である。
枠状の基体10の下部に設けられた減圧室壁11の左右両側には、一対の走行輪20が配設されている。走行輪20は、変形可能な弾性を有するスポンジからなる所定幅の無端ベルト21と、この無端ベルト21を所定の張力で懸架させる一対のプーリー22によって構成されている。左右のプーリー22間には、駆動シャフト23が設けられ、駆動シャフト24の両側の端部にプーリー22が設けられている。また、駆動シャフト23は、図示しない電動モータ等の駆動手段に連結されている。そして、駆動手段を回転駆動することにより、駆動シャフト24を介してプーリー22を回転駆動して無端ベルト21に伝達するようにしている。
無端ベルト21としては、例えば市販の半独立半連続気泡による帯状の低応力圧縮スポンジを使用することが好ましい。この低応力圧縮スポンジは、壁面Wの凹凸形状に合わせて低応力で圧縮して変形し、壁面Wから離間したときに弾性復帰させることができることから、常に最適な状態で摩擦力を保ちながら壁面吸着走行装置を走行させることが可能となる。なお、走行輪としては、図1に示す無端ベルト21を使用したキャタピラ方式の他、複数個の車輪を設けたタイヤ方式に変えても良い。
図2及び図4は、吸着機構としての減圧室11を示している。減圧室11は、上板15、柔軟性部材12、及び、上板15と柔軟性部材12の間に配設された分流部材17によって構成されている。そして、減圧室11の上部には、上述したような2個の電動ファン13、14が配設されている。個の電動ファン13、14の吸入口は、減圧室11の上側に形成された上板15の上側開口15a、15bの連通されている。
分流部材17は、図2及び図4に示すような第1から第4の4枚の分岐板171乃至174を重合させることによって構成されている。第1の分岐板171には、5個の通風路171aが形成され、このうち4個の通風路171a上側は凹所171bによって連通し、1個の通風路171aは独立している。そして、1個の独立した通風路171aには、電動ファン13の点線で示す吸気を通風させ、4個の連通させた通風路には、電動ファン14の実線で示す吸気を通風させるようにしている。この第1の分岐板171の下面には、第2の分岐板172を重合させている。この第2の分岐板172には、第1の分岐板171に形成された5個の通風路171aに対応した位置に、通風路172aが形成されている。
第2の分岐板172下面には、第3の分岐板173を重合させている。第3の分岐板173は、上述した第1の分岐板171によって分岐した吸気をさらに分流するようにしている。第3の分岐板173には、9個の通風路173aが形成され、このうち5個の通風路173aの上側は凹所173bによって連通している。そして、通風路173aには、電動ファン13の点線で示す吸気を各々通風させ、通風路173aには、電動ファン14の実線で示す吸気を各々通風させるようにしている。この第3の分岐板173の下面には、第4の分岐板174を重合させている。この第4の分岐板174には、第3の分岐板173に形成された9個の通風路173aに対応した位置に、通風路174aが形成されている。
この第4の分岐板174の下面には、柔軟性部材12を重合させている。柔軟性部材12は、前述したように、例えば半独立半連続気泡による帯状の低応力圧縮スポンジからなり、図3、図4に示すように、9個の分離した通風路12aが形成されている。これらの通風路12aの位置は、第4の分岐板174の9個の通風路174aに対応している。
このように分流部材17を構成することによって、電動ファン13の点線で示す吸気は、第1乃至第4の分岐板によって分流されて分散する。また、電動ファン14の実線で示す吸気も、第1乃至第4の分岐板によって分流されて分散する。これにより、2台の電動ファン13、14のうちの1台の電動ファンを駆動させた場合であっても、減圧室11の下側に形成された柔軟性部材12の全面にほぼ均一の吸引力を得ることができる。また、2台の電動ファン13、14を駆動させたときは、強力な吸引力を得ることができ、壁面等の吸着面の状態に応じて適正な吸着力によって装置を走行することができる。
次に、上記実施例の動作について説明する。まず、実際に作業する壁面Wに壁面吸着走行装置を接触させ、壁面Wの凹凸状態に応じて、電動ファン13、14の両方またはいずれか一方を作動させる。これにより減圧室11内に負圧が発生し、柔軟性部材12を押圧しつつ走行装置を壁に吸着させる。この状態で、左右両側の一対の走行輪20も壁面Wに押圧されるため、壁面Wとの密着性が高まり摩擦力が大きくなる。次に、駆動手段によって駆動シャフト24を介してプーリー22を回転駆動し、さらに無端ベルト21に伝達する。これにより、走行装置は壁面Wに吸着した状態で壁面Wに沿って移動することになる。このとき、壁面Wが平坦な場合は、柔軟性部材12による吸引力が大きく作用することから、電動ファン13、14はいずれか一方の1台を作動させる。壁面Wの凹凸が大きい場合には、壁面Wとの密着性が低下するため、電動ファン13、14の両方を作動させることが望ましい。
電動ファン13、14はいずれか一方の1台を作動させたとき、電動ファン13の点線で示す吸気は、分流部材17によって分流されることから、図3に示す白い丸印のように、柔軟性部材12に分散される。このため、柔軟性部材12の全面において吸引力が作用する。また、電動ファン14を作動させたときには、図3に示す黒い丸印のように、柔軟性部材12に分散され、やはり柔軟性部材12の全面において吸引力が作用する。さらに、2台の電動ファン13、14を作動させたときは、柔軟性部材12の全面において強力な吸引力が得られる。従って、壁面等の吸着面の状態に応じて、壁面吸着走行装置を適正な吸着力によって装置を走行することができる。
なお、図2に示すように、上板15、第1の分岐板171、第2の分岐板172、第3の分岐板173、及び、第4の分岐板174の間には、低応力圧縮スポンジからなるスペーサー175、176、177、178が重合されている。上板15、第1の分岐板171、第2の分岐板172、第3の分岐板173、及び、第4の分岐板174は、剛性を有する発泡スチロール等の板材によって形成されていることから、各々を重合したときに、密閉性が保たれない問題が生ずることがある。このため、スペーサー175、176、177、178を重合させることにより、密閉性を確保することができる。しかも、スペーサー175、176、177、178を低応力圧縮スポンジによって形成することにより、クッション性を付加することができるので、柔軟性部材12の柔軟性とともに、壁面Wの凹凸状態や起伏状態に応じて対応させることが可能となる。
本発明による壁面吸着走行装置では、単純な構成で吸着性及び走行性の高い走行装置を提供することができ、所望の作業機構と組み合わせることにより、ビルの壁や高速道路・橋梁の橋脚等、大型構造物の垂直面の検査・保守に貢献できる。
本発明による壁面吸着走行装置の実施例を示す側面図である。 図1に示した減圧室を示す断面図である。 柔軟性部材を示す平面図である。 図1に示した減圧室を示す分解図である。
10 基体
11 減圧室
12 柔軟性部材
13、14 電動ファン
15上板
15a、15b 上側開口
17 分流部材
20 走行輪
21 無端ベルト
22 プーリー
23 タイミングベルト
24 駆動シャフト
W 壁面

Claims (2)

  1. 基体下面に形成された減圧室と、前記減圧室内を強制排気して減圧保持するための電動ファンと、前記基体に配設され前記基体を移動させる複数の走行輪を備えた壁面吸着走行装置であって、
    前記減圧室の上部には複数個の前記電動ファンが配設され、
    前記減圧室の上側には、複数個の前記電動ファンの吸入口に連通する上側開口が形成され、
    吸着面と接する前記減圧室の下側には、前記電動ファンの個数に対応して分割された複数個の吸引開口が形成された半独立半連続気泡型の低応力圧縮スポンジからなる柔軟性部材が配置され、
    前記柔軟性部材と前記減圧室の上側との間には、前記電動ファンの個数に対応した複数の通風路が形成された分流部材が配設され、
    個々の前記電動ファンの吸入口と複数個の吸引開口とを前記分流部材の通風路を介して連通させたことを特徴とする壁面吸着走行装置の吸着機構。
  2. 前記柔軟性部材に配置された複数個の吸引開口は、吸着面と接する前記減圧室の下側に分散して形成され、各々の前記電動ファンに対応する前記吸引開口を複数個形成するとともに前記減圧室の下側に分散させて配置した請求項1記載の壁面吸着走行装置の吸着機構。
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US10696338B2 (en) 2017-01-18 2020-06-30 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Wall surface suction-type travel device
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