JP2016097607A - 樹脂成形体の成形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、熱可塑性樹脂の種類、材質又は特性に制限されることが少なく、平面度が高く均一な厚さを有する薄肉の樹脂成形体を成形することができる樹脂成形体の成形方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る樹脂成形体の成形方法は、インラインスクリュ式射出可塑化装置から供給される溶融樹脂をTダイから吐出しながら金型に塗布し、これを冷却・固化して転写成形された樹脂成形体を成形する方法において、前記金型への溶融樹脂の塗布が、塗布する前に、予めスクリュを所定量(スクリュ与圧ストローク)前進させて樹脂に与圧を与え、Tダイ及び射出可塑化装置流路内を十分昇圧すると共に、圧力分布を均一化した上で前記Tダイの樹脂吐出口とスタンパとの塗布隙間をほぼ前記樹脂成形体の厚さに保持しつつ、その金型に対しTダイを相対移動させて行われる。
【選択図】図1

Description

本発明は、金型に溶融樹脂を塗布し、これを冷却・固化して成形品面内での厚み分布、及び成形ショット間での厚みバラツキの小さい樹脂成形体を成形する方法に関する。
従来技術1(特許第3857703号公報)は、熱可塑性樹脂を溶融し、これを極力、最終製品に近い厚さで、下金型に塗布し、塗布した樹脂を上金型で加圧し、冷却・固化した後、金型を開いて取り出す方法である。本工法によって、厚さ数百μm以下の薄肉を有する樹脂成形品を得ることができる。厚さ数百μm以下の薄肉成形品は、携帯電話、パソコン、タブレット、TVをはじめ、様々な製品を薄型化、軽量化するために必要とされている。前記工法では、かかる薄肉とともに、高い微細転写性を生かして、光学部品(各種光学フィルム、導光板、マイクロレンズアレイ等)や、マイクロ流体チップ(イムノアッセイ、血液検査チップ、細胞培養デバイス等)が作製できている。一方、厚み数百μm以下の薄肉の樹脂成形品にはその多くに、μm台の厚みの均一性(厚み分布が数μm以下)が要求される。光学部品では、屈折、反射、透過、回折などの光学特性が、成形品の厚みの影響を強く受ける。また、マイクロ流体チップなど、部材どうしを貼り合わせて用いるものでは、良好な(μm台の)貼合せ密着性(流体のシールなどの目的で)が要求される。すなわち、厚み数百μm以下の薄肉の樹脂成形品には、μm台の厚み精度を要求されるものが多い。
従来技術1では、図11に示すとおり、溶融樹脂を溜めたTダイ吐出口を金型の塗布開始位置に位置決めし(i)、スクリュの前進を開始させ(ii)、Tダイから樹脂を吐出しながら金型に塗布し、(ii→iii)、塗布を終了した位置でスクリュを止める(iii)。
しかし、このように、ただ造作なく、塗布するだけで、均一な厚みが得られるとはいえない。その理由は、
(1)スクリュ前進の開始時に、樹脂圧力の過渡的な変化と、これに伴う樹脂吐出量の変動が現れる。
(2)塗布行程では、流路内の樹脂圧力は、スクリュの前進による圧縮、昇圧と、Tダイ吐出口からの樹脂吐出量、スクリュ後方への樹脂逆流などの物質収支で決まるので、各の流量のバランスにおいては、Tダイからの樹脂吐出量は変化する。
(3)Tダイ、射出可塑化装置の温度や、Tダイ吐出口と金型との間隙に、微妙な変化があれば、前記(2)の理由により、樹脂吐出量が変動する。
以上の問題を解決するために、従来技術2(特許第5442540号公報)では、運転条件(塗布速度、スクリュ前進速度等)から理論的に計算される樹脂吐出厚みと、実際の樹脂成形品の各部の厚みとの間にズレがある場合に、所定の厚みになるように、
(i)塗布速度を塗布する方向の位置に沿って多段に制御する。
(ii)最初にスクリュを前進させ、吐出樹脂量又は樹脂圧力が、所定値に達した上で塗布を開始する。
(iii)樹脂成形品の厚み及びその分布を見ながら、スクリュ前進速度を調整し、しかも塗布する方向の位置に沿って、多段に速度制御する。しかし、以上に述べた(i)多段の塗布速度、(iii)スクリュ前進速度、(ii)塗布開始までのスクリュ前進速度を、樹脂成形品の厚さと対比しながら求める作業は、試行錯誤となる。このため、この方法で、10μm以下の厚み分布を得るのには、発明者らの経験は、数時間を要する。すなわち、均一な厚み分布を得るのに、多大な労力と時間を要するという課題があった。
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、熱可塑性樹脂の種類、材質又は特性に制限されることが少なく、平面度が高く均一な厚さ分布を有するとともに、成形ショット間での厚みバラツキの小さい、薄肉の樹脂成形体を、最小限のバラメータ調整により、簡素で迅速に成形することができる、樹脂成形体の成形方法を提供することを目的とする。
本発明に係る樹脂成形体の成形方法は、インラインスクリュ式の射出可塑化装置により供給される溶融樹脂を、Tダイから吐出しながら金型に塗布し、これを冷却して樹脂成形体を得る成形方法であって、前記樹脂成形体の目標厚みtgで定まるTダイ吐出口と金型との隙間gzと、該隙間gzと樹脂射出速度に依存して定まる樹脂吐出時の流動抵抗と、該流動抵抗で定まり、前記Tダイ及び射出可塑化装置の流路内での樹脂圧力を昇圧及び均一化するのに必要な、流路内樹脂の圧縮変形量を、塗布開始前のgzを定めた時点で、前記射出可塑化装置内のスクリュの前進によってスクリュ与圧ストロークとして与え、次に、前記の隙間gzを略一定に保持しつつ、前記金型に対して、Tダイを相対移動させてスクリュで樹脂を射出しながら行われるものである。ここで、「スクリュ与圧ストロ−ク」とは、以下に説明するΔSpをいう。すなわち、Tダイ吐出口を、金型上の塗布を開始する位置に固定したまま、所定のストロ−クΔSpだけスクリュを前進させて溶融樹脂を圧縮し、ΔSpを変位した後、Tダイ吐出口を金型に対して相対的に移動させて、溶融樹脂を塗布する。このΔSpを「スクリュ与圧ストロ−ク」という。
上記発明において、樹脂成形体は、平面内の厚さ分布及びその成形ショット間でのバラツキをその平均厚さの10%以内にすることができ、厚さが50μm〜5mmの樹脂成形体が成形される。
また、上記発明において、金型への溶融樹脂の塗布は、金型に対しTダイを一定の速度で相対移動させるように、一定の塗布速度VRで行うことができる。また、金型への溶融樹脂の塗布は、初期塗布速度VSから徐々に速くして、一定の塗布速度VRまで到達させ、以後はVRの一定速度で行われるようにすることができる。
本発明によれば、熱可塑性樹脂の種類、材質又は特性に制限されることが少なく、また、平面度が高く均一な厚さを有するとともに、成形ショット間での厚みバラツキの小さい薄肉の樹脂成形体を簡単な調整で迅速に成形することができる。
本発明に係るスクリュ与圧ストロークの説明図である。 成形試験により成形された樹脂成形体の厚さ測定位置を示す説明図である。 成形試験(PC樹脂、スクリュ与圧ストローク1mm、塗布速度22.8mm/s)により成形された樹脂成形体の厚さの測定結果を示す図面である。 成形試験(PC樹脂、スクリュ与圧ストローク4mm、塗布速度22.8mm/s)により成形された樹脂成形体の厚さの測定結果を示す図面である。 成形試験(PC樹脂、塗布速度22.8mm/s)により成形された樹脂成形体の平面度(最大厚さ-最小厚さ)とスクリュ与圧ストロークとの関係を示すグラフである。 型温170℃成形試験(PC樹脂、スクリュ与圧ストローク5mm、塗布速度は最初の10mmの区間を22.5mm/sから22.8mm/sまで徐々に速くし、その後一定の22.8mm/s)により塗布された樹脂成形体の厚さの測定結果を示す図面である。 型温160℃成形試験(PC樹脂、スクリュ与圧ストローク5mm、塗布速度は最初の10mmの区間を22.5mm/sから22.8mm/sまで次第に早くし、その後一定の22.8mm/s)により塗布された樹脂成形体の厚さの測定結果を示す図面である。 型温160℃、加圧力10MPaでプレスした成形試験(PMMA樹脂、スクリュ与圧ストローク0.5mm、塗布速度20.0mm/s)により成形された樹脂成形体の厚さの測定結果を示す図面である。 成形試験(PC樹脂、塗布速度22.8mm/s)により成形された樹脂成形体の平均厚さとスクリュ与圧ストロークとの関係を示すグラフである。 スクリュ与圧ストロークによる本発明の基本的な設定パターンを説明する図面である。 溶融樹脂の塗布による成形の基本的な工程を説明する図面である。
以下、本発明を実施するための形態を、図1を用いて説明する。本発明は、インラインスクリュ式射出可塑化装置から供給される溶融樹脂を、Tダイから吐出しながら金型に塗布し、これを冷却して樹脂成形体を得る方法である。まず最初に、溶融樹脂を計量した後、Tダイ吐出口を金型上の塗布開始位置に位置づけ、停止させる。ここで、Tダイ吐出口と金型との隙間gz(mm)は、樹脂成形体の目標厚みtgの数倍以下の範囲で定まる。ここで、塗布される樹脂の厚みの均一性を高くするためには、インラインスクリュ式射出可塑化装置の樹脂流路内及び、Tダイ内の溶融樹脂圧力を充分なレベルに、かつ均一にすることが必要である。これは、樹脂の塗布を開始した時のTダイ内での樹脂圧力の急激な落ち込みを防止するのが目的の一つである。今一つは、樹脂を塗布する方向及びこれと直交する幅方向の圧力分布を均一にすることである。これらにより、塗布方向及び幅方向に均一な厚み分布の樹脂を成形できる。そのために、金型上の塗布開始位置で、塗布を開始する前に、前記で定義した「与圧ストロ−クΔSp」だけスクリュを前進させる。前記流路内の昇圧と均圧化に必要なΔSpは、Tダイ吐出口の樹脂流動抵抗で定まり、該流動抵抗は、前記金型とTダイ吐出口との間の間隙gzと、樹脂の吐出速度、塗布速度、金型温度及び樹脂の粘度等で決まってくる。さらには、ΔSpは、インライン式射出可塑化装置の逆流防止弁が閉鎖して、スクリュ前側(Tダイ流路側)への樹脂の供給が充分になされるまでのスクリュ前進ストロークをも加味したものでなければならない。これら2つの影響に応じた「スクリュ与圧ストロークΔSp」を与えることで、十分な樹脂圧力の昇圧と均一な圧力分布により、均一な厚み分布の成形品を得られると共に、ショット間でのバラツキの少ない安定した厚み分布が得られる。スクリュ与圧ストロークを与えた後は、間隙gzをほぼ一定に保持しつつ、金型に対してTダイを相対的に塗布方向に移動させながら、樹脂を吐出し、完了させる。
前述したスクリュ与圧ストロークΔSp以上に、スクリュを変位させた後に、金型に対しTダイ吐出口を相対移動させて溶融樹脂の塗布を開始するならば、成形体の面内厚み分布及び成形ショット間の厚みバラツキを小さくすることができる。スクリュ与圧ストロークは、使用する樹脂の種類、成形体の厚さ等により異なる。また、スクリュ与圧ストロークは、スクリュ前進によってバレル内及びTダイ内の溶融樹脂の樹脂圧が上昇すること、あるいはTダイの樹脂吐出口における樹脂圧の吐出幅方向への均一性を確保することに寄与する。
以下にスクリュ与圧ストロークを活用した実施例を示す。図2は、幅104mm×長さ136mm×厚さ200μmの薄肉の樹脂成形体を成形する成形試験を行った場合の、樹脂成形体の厚さ測定部位を示す図面である。厚さの測定は、樹脂成形体の中心部(0mm)、塗布幅方向での右側縁部(+40mm)と左側縁部(-40mm)及び塗布方向に3mm、13mm、23mm・・(13点)の各位置において行った。この樹脂成形体の成形試験において、使用した樹脂はポリカーボネート(PC)樹脂、バレル設定温度は295℃、スタンパを保持する金型は設定温度が170℃であった。スクリュ前進速度は、1.9mm/sであった。なお、スクリュ前進に伴い逆止弁が作動する。
図3は、スクリュ与圧ストロークが1mm、塗布速度を22.8mm/s、前述と同じ樹脂、条件で塗布を行った場合の樹脂成形体面内の厚さ分布を示す。測定値の単位は、mmである。「平均」とは測定厚さの平均値、「標準偏差」とは測定厚さの標準偏差値、「最大-最小」とは最大厚さと最小厚さの差(JIS B0621に規定する平面度に相当する)、「厚さ分布」とは「最大-最小」の「平均」に対する割合(%)、「高低差」とは塗布開始位置から塗布方向に同じ位置にある右端部、中央部及び左端部の測定厚さの内の最大厚さと最小厚さの差である。図3に示す測定厚さの内、最大厚さは下線を付し、最小厚さは二重下線を付し、高低差の最大値は太字で示した。
図3によると、塗布開始位置に近い塗布位置(3mm)において、最小厚さ(0.163mm)、高低差が最大(0.009mm)になっており、塗布位置93mmにおいて最大厚さになっている。厚さの平均値は0.200mm、標準偏差は0.02、厚さ分布は29.5%になっている。最大厚さと最小厚さの差は0.059mm、すなわち平面度は0.059mmになっている。これに対し、図4に、スクリュ与圧ストロークが4mmをスクリュが前進した後、塗布速度を22.8mm/sで塗布を行った場合の樹脂成形体の厚さ測定結果を示す。図4の場合の試験条件は、スクリュ与圧ストロークの相違を除いて図3の場合と同様である。図4の結果は図3の結果の特徴と似ているが、平面度は0.033mm、厚さ分布15.1%で、平面精度は2倍に向上している。
図5に、成形試験を行った樹脂成形体において、スクリュ与圧ストロークと最大厚さと最小厚さの差(平面度)との関係を示す。試験条件は、スクリュ与圧ストロークの相違を除いて図3、図4の場合と同様である。図5によると、樹脂成形体の平面度はスクリュ与圧ストロークが長くなるほど急激に向上することが分かる。また、スクリュ与圧ストロークが5mmを越えると平面度は20μmで安定することが分かる。すなわち、ポリカーボネートからなる厚さがほぼ200μmの樹脂成形体を塗布速度22.8mm/sで成形する場合のスクリュ与圧ストロークは5mm以上とすべきである。
図5の結果、またバレル及びTダイ内の樹脂圧の挙動等から判断すると、本発明において、スクリュ与圧ストロークは、インラインスクリュ式射出可塑化装置のスクリュ前進開始時から加熱筒内又はTダイ内の樹脂圧が十分な圧力に昇圧され、しかも均一な圧力分布が得られるまでに前記スクリュが前進した距離とみなすことができる。また、スクリュ前進開始時からTダイの樹脂吐出口との塗布隙間を一定値に確保するために必要なTダイの鉛直方向の拘束力が所定値に達するまでに前記スクリュが前進する距離とみなすことができる。さらには、スクリュ前進開始時からスクリュ推進力が所定値に達するまでに前記スクリュが前進する距離と理解することができる。なお、塗布隙間を一定値に確保するために必要な拘束力とは、Tダイの樹脂吐出口部が溶融樹脂の反力を受けて塗布隙間が増大するのを拘束する力である。
上記、図3、図4に示すように、樹脂成形体の最小厚さは塗布開始位置部分に現れ易い。これは、以下の現象と関係があると考えられる。塗布開始位置部分の厚みが薄くなるのは、樹脂を吐出する瞬間バレル内(Tダイ内部)の圧力が立ってないので、樹脂が出にくい。その状態からスクリュをTダイ側に押すことにより、内部の圧力が高くなり、ある一定の量だけスクリュが前進すると、樹脂が安定して吐出できる圧力になる。このため、与圧ストロークを使い、バレル内の圧力を塗布開始位置で塗布開始前に上げてやる。また、塗布開始位置で急に塗布速度を上げずに徐々に上昇さることで、圧力の落ち込みを防ぎ、なおかつ圧力を滑らかに上げながら樹脂を吐出するので、樹脂が足りない部分に樹脂を補うことができる。この結果、厚みが途中で落ち込むのを防止できる。
図6、図7は、塗布開始初期の塗布速度を低く(22.5mm/s)して樹脂の厚みを増やし、徐々に10mmの間で塗布速度を22.8mm/sへと上げて、樹脂圧力を定常値に到達させる方式である。スクリュ与圧ストロークは5mm、型温は図6が170℃、図7が160℃である。図6では、平面度は0.013mm、厚さ分布は6.1%に向上している。図7では、平面度は0.007mm、厚さ分布は3.2%に向上している。図7では、最低厚さは塗布開始位置と中央との中間部分(塗布位置33〜53mm)に観察されるが、高低差の最大値は塗布終了位置部分に観察される。図6、図7では、溶融樹脂の塗布は、塗布速度VSから次第に早くして一定の塗布速度VRで行うと平面精度の高い樹脂成形体を得られることを実証している。
一方、図8は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂からなる幅102mm×長さ120mm×厚さ100μmの樹脂成形体を成形した結果を示す。スクリュ与圧ストロークは0.5mm、塗布速度は20.0mm/sであった。バレル設定温度は250℃、金型温度は160℃であった。図8によると、平面度は0.004mm、厚さ分布は4.0%である。また、厚さが約100μmのPMMA樹脂では、目標厚みtgが図4〜図7の半分以下となり、Tダイ吐出口と金型との隙間が、これに伴って小さくなるため、Tダイ吐出口での樹脂流動抵抗が大きくなり、バレル内(Tダイ内)の圧力が上がった。この結果、スクリュ与圧ストロークは0.5mmと小さくなった。PC及びPMMAを用いた成形では、6時間の成形でのショットバラツキは数μm(10μm以内)であった。
以上、スクリュ与圧ストロークは、樹脂の種類、特性、成形条件あるいは樹脂成形体の厚さなどにより異なり、成形試験により決定する必要があることが分かる。そして、スクリュ与圧ストロークに基づいて成形する場合は、厚さが50μm〜5mmの樹脂成形体について厚さ分布10%以内に成形することができ、より厳しくは5%又は1%以内の厚さ分布に成形することができることが分かる。なお、本発明により、成形を行えば樹脂溜りが形成される。この樹脂溜りは、Tダイリップへの付着物やコンタミが集中的に排出されたものであり、これ以降に塗布されて形成される樹脂成形体の製品部からは除外される。このため、本発明は、製品部に不純物の混入がない品質の高い成形品を得られる効果がある。
また、本発明は、上述のように、Tダイの樹脂吐出口と金型との塗布隙間を成形品の形状とされる樹脂成形体の厚さとほぼ同じ寸法に保持しながら塗布を行う。例えば、図3又は図4の成形試験は、樹脂成形体の厚さを200μmとし、Tダイの樹脂吐出口と金型との塗布隙間を200μmにして成形試験を行った場合である。図3又は図4に示すように、成形された樹脂成形体の平均厚さは200μmを少し越えている。この樹脂成形体の平均厚さと、スクリュ与圧ストロークとの関係を図9に示す。試験条件は、図3又は図4の場合と同様である。図9によると、スクリュ与圧ストロークが、1mmから4〜5mmまでは樹脂成形体の厚さが200〜218μmまで急激に増大するが、スクリュ与圧ストロークが、4〜5mmをこえると厚さが218〜219μmで一定になっていることが分かる。すなわち、スクリュ与圧ストロークが4mmを越えると、樹脂成形体の平均厚さを一定にすることができることが分かる。また、スクリュ与圧ストローク(4mm)に基づいて、厚さが約200μmのPC樹脂からなる樹脂成形体を成形するときは、塗布隙間(200μm)より約10%大きい樹脂成形体が成形されるということが分かる。なお、平均厚さの平衡値(与圧ストロークが十分な場合)は、スクリュ射出速度と塗布速度で決まることを付記しておく。
図10は、初期塗布速度と定常塗布速度の設定と、スクリュ与圧ストロークΔSpによる本発明の基本的な設定パターンを示す。ただし、図10に従って、初期塗布速度VSと定常塗布速度VRを設定し、スクリュ与圧ストロークを決めればよく、迅速に、均一な厚み分布条件を決定することができる。特に、塗布速度は、VSとVRとその区間長さだけ決めればよく、従来のように多段の塗布速度を試行錯誤で膨大な時間をかけて条件設定する必要がなくなった。

Claims (5)

  1. インラインスクリュ式の射出可塑化装置により供給される溶融樹脂を、Tダイから吐出しながら金型に塗布し、これを冷却して樹脂成形体を得る成形方法であって、
    前記樹脂成形体の目標厚みtgで定まるTダイ吐出口と金型との隙間gzと、該隙間gzと樹脂射出速度に依存して定まる樹脂吐出時の流動抵抗と、該流動抵抗で定まり、前記Tダイ及び射出可塑化装置の流路内での樹脂圧力を昇圧及び均一化するのに必要な、流路内樹脂の圧縮変形量を、塗布開始前のgzを定めた時点で、前記射出可塑化装置内のスクリュの前進によってスクリュ与圧ストロークとして与え、
    次に、前記の隙間gzを略一定に保持しつつ、前記金型に対して、Tダイを相対移動させてスクリュで樹脂を射出しながら行われることを特徴とする樹脂成形体の成形方法
  2. 樹脂成形体は、平面内の厚さ分布及びその成形ショット間でのバラツキがその平均厚さの10%以内であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体の成形方法。
  3. 樹脂成形体は、厚さが50μm〜5mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂成形体の成形方法。
  4. 金型への溶融樹脂の塗布は、金型に対しTダイを一定の速度で相対移動させるように、一定の塗布速度VRで行われることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の樹脂成形体の樹脂成形方法。
  5. 金型への溶融樹脂の塗布は、初期塗布速度VSから徐々に速くして、一定の塗布速度VRまで到達させ、以後はVRの一定速度で行われることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の樹脂成形体の成形方法。
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