JP2016096433A - アンテナおよびその調整方法、並びに、無線モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】 各周波数帯における共振特性の調整が容易な複数の周波数帯用のアンテナを提供する。
【解決手段】 複数の周波数帯用のアンテナ100は、基板の上に、接地導体106、複数の周波数帯それぞれに対応する放射導体104、105、接地導体106および放射導体104、105と無線部を接続する接続部103が構成されたアンテナ素子101、並びに、接地導体106に少なくとも高周波的に接続され、放射導体104、105の近傍に開放スタブ111、112を備える導電性のスタブ部102を有する。
【選択図】 図1
【解決手段】 複数の周波数帯用のアンテナ100は、基板の上に、接地導体106、複数の周波数帯それぞれに対応する放射導体104、105、接地導体106および放射導体104、105と無線部を接続する接続部103が構成されたアンテナ素子101、並びに、接地導体106に少なくとも高周波的に接続され、放射導体104、105の近傍に開放スタブ111、112を備える導電性のスタブ部102を有する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電子機器に内蔵される無線通信用のアンテナと、当該アンテナを使用する無線モジュールに関する。
パーソナルコンピュータをはじめとする小型の電子機器として、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)やBluetooth(登録商標)などの無線通信機能を備えるものが普及した。WLANやBluetooth(登録商標)などの無線通信用に例えば2.4GHz帯や5GHz帯の電波が使用される。無線通信機能を備えた電子機器は、無線通信用に、例えば、ダイポールアンテナ、ヘリカルアンテナ、スロットアンテナ、逆Fアンテナなど、機種ごとに様々なアンテナを内蔵する。
これらアンテナは、電子機器の小型化に伴い、機器内の限られた空間への実装を余儀なくされるとともに、コストの低減も要求されている。そのため、アンテナ単独で実装するよりも、例えば無線モジュールチップと同一の基板上にパターン化した形で実装するなどの方法により低コスト化が図られることが多くなった。しかし、小型電子機器にアンテナを内蔵する場合、アンテナの周囲に充分な空間を確保することができず、アンテナに近接して配置された部材によってアンテナの共振状態が変化する場合がある。このような場合、アンテナ単体の周波数特性と、実装したアンテナの周波数特性が異なる問題が発生する。
一般に無線機器は、使用に際しては電波法に定められた試験を受けて許認可を得る必要がある。しかし、前述した実装環境による特性の変動は、製品ごとに異なる変化を示すことが多く、機能部品としての無線モジュールを共通に利用しながら異なる製品に搭載する場合、初めに最適化した特定の製品以外において性能が低下することが多い。また、2.4GHz帯と5GHz帯の両方で動作する無線機器のように、複数の周波数帯で動作するアンテナを実装する場合、そもそも周波数ごとの個別の調整が困難であるという問題もある。
アンテナを搭載する無線機器ごとに、複数の周波数帯において、アンテナの特性を調整する方法として、次の技術が提案されている。特許文献1は、アンテナ給電線路において、各共振周波数ごとにフィルタと整合回路の組み合わせを複数用意し、複数周波数のマッチングを互いに影響を及ぼさないように個別調整する方法を開示する。
また、特許文献2は、動作周波数が異なるコイル状のヘリカルアンテナの二素子を同一軸上に配置し、内側のヘリカル素子の保持位置を上下に調整することで、搭載製品ごとにインピーダンスマッチングを行う方法を開示する。
しかし、特許文献1が記載する、整合回路の調整によりアンテナ実装時における周波数特性を所望の特性に合わせる方法は、構成が異なる機種に対して同一の整合回路を使用することができない可能性がある。そのため、後に、新しい製品に無線部を流用することができない可能性がある。また、特許文献2が記載する、アンテナの保持位置を調整する方法は、複数の製品に共通なアンテナセットにすることができず、生産性や部品管理に関してコストアップの要因となる。
本発明は、各周波数帯における共振特性の調整が容易な複数の周波数帯用のアンテナを提供することを目的とする。
本発明は、前記の目的を達成する一手段として、以下の構成を備える。
本発明にかかるアンテナは、複数の周波数帯用のアンテナであって、基板の上に、接地導体、前記複数の周波数帯それぞれに対応する放射導体、前記接地導体および前記放射導体と無線部を接続する接続部が構成されたアンテナ素子と、前記接地導体に少なくとも高周波的に接続され、前記放射導体の近傍に開放スタブを備える導電性のスタブ部とを有する。
本発明にかかる無線モジュールは、基板の上に構成された上記のアンテナと、前記基板の上に構成された無線部とを有する。
本発明によれば、各周波数帯における共振特性の調整が容易な複数の周波数帯用のアンテナを提供することができる。
以下、本発明にかかる実施例のアンテナおよびアンテナの周波数特性の調整方法を図面を参照して詳細に説明する。なお、実施例は特許請求の範囲にかかる本発明を限定するものではなく、また、実施例において説明する構成の組み合わせのすべてが本発明の解決手段に必須とは限らない。
[アンテナの構成]
図1により実施例1におけるアンテナ100の構成例を示す。図1(A)はアンテナ100全体を示し、アンテナ100は、図1(B)に示すアンテナ素子101と、図1(C)に示すスタブ部102を接続した構成を有する。図1(A)に示すスタブ部102の下側または上側にアンテナ100に接続する無線部114が存在する場合がある。
図1により実施例1におけるアンテナ100の構成例を示す。図1(A)はアンテナ100全体を示し、アンテナ100は、図1(B)に示すアンテナ素子101と、図1(C)に示すスタブ部102を接続した構成を有する。図1(A)に示すスタブ部102の下側または上側にアンテナ100に接続する無線部114が存在する場合がある。
図1(B)はアンテナ素子101の構造例を示す。誘電体基板113上に構成されたアンテナ素子101は、2.4GHz帯および5GHz帯の二つの周波数帯用のデュアルバンドアンテナである。給電部103は、アンテナ100に対する信号の入出力ポイント、言い替えれば、無線部114との接続部である。アンテナ素子101は、例えば、2.4GHz帯の共振素子である放射導体104と5GHz帯の共振素子である放射導体105を有する。二つの共振素子(放射導体104、105)は、ポイント107においてアンテナ素子101のグラウンド領域である接地導体106と接続され、かつ、ポイント108において給電部103からの信号線と接続される。
アンテナ100は、逆F構造のアンテナの二段構成を有し、IEEE802.11無線ネットワーク用途に設計されたものである。アンテナ100は、スマートフォン、タブレット、ディジタルカメラなどの小型の情報機器の内蔵アンテナとして利用するため、20mm四方程度の大きさを有す。
接地導体106は、誘電体基板113の一辺に沿って基板113の一端から、基板113の一端に対向する他端に達する。接地導体106が接する基板113の辺の長さは、最も低い周波数帯の波長に依存する。例えば、2.4GHz帯が最も低い周波数帯とすると、当該辺の長さは、2.4GHz帯の波長(約120mm)の1/4以下(約30mm以下)の寸法を有する。なお、接地導体106が接する基板113の辺に直交する方向の基板113の長さは、アンテナ素子101に組み込む共振素子の数(周波数帯の数)に依存する。
現在主流となっているIEEE802.11規格に準じた無線機能集積回路(以下、無線IC)は、10mm四方以下のサイズにワンチップ化されている。従って、アンテナ素子101のグラウンド領域の方向(図1の下方向)に延伸した20mm四方程度の誘電体基板113上に、アンテナ素子101、無線部114のすべて実装したアンテナ一体型無線モジュールを形成することが可能である。例えば、誘電体基板113の接地導体106に沿う辺の長さは最低周波数帯の波長の、例えば1/6以上1/4以下になる。なお、無線部114には、無線ICおよび周辺の電源や高周波部品が含まれる。勿論、無線部114が搭載される基板とは別体に、アンテナ100を構成し、無線部114との間の信号を高周波同軸線路を使用して給電部103に接続する構成も可能である。
一般にアンテナの共振素子は、使用周波数帯の波長の1/4程度の長さの共振素子を必要とする。2.4GHz帯の波長は凡そ120mmであり共振素子の長さは30mm程度、5GHz帯はその半分の15mm程度の共振素子の長さが必要になる。一辺が20mm程度の誘電体基板113上にアンテナ素子101を実現するために、2.4GHz帯の共振素子である放射導体104を折り返した構造にする。
逆Fアンテナやモノポールアンテナなど、グラウンド領域を必要とする不平衡給電型のアンテナの特性は、共振素子とグラウンド領域が近接すると、それらの間の空隙部分に電界が集中し、共振動作が変化する。アンテナ素子101においても、共振素子である放射導体104、105とグラウンド領域である接地導体106が比較的近接するため、開放端の構造によって特性が大きく変動する。
2.4GHz帯においては放射導体104の先端部に相当する領域109が開放端であるが、折り返し点に相当する領域110も開放端と同様に特性に影響する。一方、素子長が短い5GHz帯においては放射導体105の先端部に相当する領域110のみが開放端として特性に影響する。なお、以下では、放射導体104の折り返し点も開放端として説明を行う場合がある。
所望する周波数で適切にアンテナ100を共振動作させるには、共振素子の長さ、開放端の空隙長、給電点の位置などに関して詳細な最適化設計が必要である。しかし、本発明は、アンテナ素子自体の設計には関与しないため、その設計値に関しては説明を省略し、アンテナ素子101について既に最適設計が実現されているものとする。
図1(C)はスタブ部102の構成例を示す。スタブ部102の接続領域115は、アンテナ素子101のグラウンド領域に貼り合わせて使用する。この貼り合わせにより、アンテナ素子101は、グラウンド領域から突出した導体として二つの開放スタブ111、112をもつ構造になる。開放スタブ111は5GHz帯のインピーダンス特性を改善し、開放スタブ112は2.4GHz帯のインピーダンス特性を改善する役割をもつ。
スタブ部102の素材は、導電性が高い部材が好ましく、コスト要因などを考慮するとアルミ板金などが適切であるが、これに限定されるものではない。また、スタブ部102とアンテナ素子101のグラウンド領域は、少なくとも高周波的に接続されていればよい。つまり、アンテナ100の使用周波数帯において安定してインピーダンスが充分に小さければ、静電容量を介した電気的な接続でも構わない。しかし、静電気の影響などを考慮すると、スタブ部102は、製品の安定電位(例えばグラウンド電位)に直流的に接続されることが好ましい。
また、アンテナ一体型無線モジュールとスタブ部102を組み合わせる場合、開放スタブ111、112、および、アンテナ素子101のグラウンド領域との接続領域115を除くスタブ部102の面積は無線部114の面積以下にする。
開放スタブ111、112の配置に関する条件は以下のとおりである。5GHz帯の開放端は、図1(B)に示す領域110にあるため、5GHz帯のインピーダンス特性を改善するための開放スタブ111は領域110の近傍に配置する。なお、図1(A)においては、接地導体106の左側面側、かつ、スタブ部106の最上部に開放スタブ111を配置する例を示すが、接地導体106の左側面側であれば図における上下方向の配置位置は任意である。
一方、2.4GHz帯の開放端は、図1(B)に示す領域109と110の両方にあるため、2.4GHz帯のインピーダンス特性を改善するための開放スタブ112は接地導体106の左側面側と右側面側のどちらに配置しても構わない。図1(A)には、接地導体106の右側面側、かつ、スタブ部106の最下部に開放スタブ112を配置する例を示すが、図における上下方向の配置位置は任意である。
また、図1(A)において、開放スタブ111と112の両方を接地導体106の左側面側に配置する場合、開放スタブ111の、図における下側に開放スタブ112を配置する。言い替えれば、開放スタブ111を、より放射導体105の近傍に配置する。開放スタブ111と112の長さは、実装条件に合わせて調整するが、その調整方法は後述する。
[アンテナの特性]
図2によりアンテナ素子101単体の共振特性のシミュレーション結果を示す。横軸は周波数を示し、縦軸はアンテナ共振特性をSパラメータS11のリターンロスで示す。S11特性が-10dB以下であれば良好な共振状態と言える。曲線201は2.4GHz帯の共振特性を示し、曲線202は5GHz帯の共振特性を示す。
図2によりアンテナ素子101単体の共振特性のシミュレーション結果を示す。横軸は周波数を示し、縦軸はアンテナ共振特性をSパラメータS11のリターンロスで示す。S11特性が-10dB以下であれば良好な共振状態と言える。曲線201は2.4GHz帯の共振特性を示し、曲線202は5GHz帯の共振特性を示す。
図2は、2.4GHz帯の共振周波数が2.63GHzであることを示すが、これは、アンテナ素子101を製品に実装した際に外装樹脂などの影響による共振周波数の低下を考慮して、予め共振周波数を高めに設計してあるためである。実際、このアンテナ素子101を複数の製品に搭載する場合、アンテナ周辺に金属部材の近接がなければ、図2に示す特性が維持されるが、アンテナ周辺のメカ構成によって特性が変化する。
図3により金属の近接による特性変化のシミュレーション結果を示す。図3(A)は製品へのアンテナの搭載イメージを示し、アンテナ素子101の接地導体106から3mm離れた位置に、製品本体をイメージした金属の直方体が配置されている。
図3(B)は、図3(A)に示す実装条件におけるアンテナ素子101単体の共振特性のシミュレーション結果を示す。図3(B)に曲線303で示す2.4GHz帯の共振特性および曲線304で示す5GHz帯の共振特性は、図2に示す共振特性に比べてリターンロスの劣化を示す。とくに、5GHz帯は目標のリターンロス-10dB以下を達成することができず、実際の放射特性にも劣化が生じると考えられる。
図4によりスタブ部102を追加した場合のアンテナ100の共振特性のシミュレーション結果を示す。スタブ部102の付加により、図4に曲線401で示す2.4GHz帯の共振特性および曲線402で示す5GHz帯の共振特性が改善され、5GHz帯においてもリターンロス-10dB以下という目標が達成される。
[開放スタブの調整方法]
開放スタブ111と112は、図3(A)に示す実装条件において最適な長さに調整される。なお、開放スタブ111の長さをL1、開放スタブ112の長さをL2とする。図5により開放スタブ112の長さL2の調整方法を説明する。まず、図5(A)に示すように、開放スタブ112のみの状態でL2を例えば2mmから20mmまで2mm単位で変更して、2.4GHz帯の共振素子(放射導体104)のインピーダンスを測定(または推定)する。図5(B)は、この調整におけるインピーダンス特性の変化を示すスミスチャートである。
開放スタブ111と112は、図3(A)に示す実装条件において最適な長さに調整される。なお、開放スタブ111の長さをL1、開放スタブ112の長さをL2とする。図5により開放スタブ112の長さL2の調整方法を説明する。まず、図5(A)に示すように、開放スタブ112のみの状態でL2を例えば2mmから20mmまで2mm単位で変更して、2.4GHz帯の共振素子(放射導体104)のインピーダンスを測定(または推定)する。図5(B)は、この調整におけるインピーダンス特性の変化を示すスミスチャートである。
開放スタブ112は接地導体106の右側面側に位置するため、5GHz帯のインピーダンス特性には影響を与えない。従って、図5(B)において、曲線501はL2に応じた5GHz帯のインピーダンス特性の変化を示すが、5GHz帯のインピーダンス特性はL2に依らずほぼ一定であり、各長さL2に対応する曲線が重なって観測される。
一方、2.4GHz帯のインピーダンス特性は、図5(B)に示すように、L2に応じて曲線502から曲線503の間で変化する。これら曲線のうち、線路の特性インピーダンスに最も近付く曲線に対応するL2を採用する。線路の特性インピーダンスに最も近付くのは曲線504の状態であり、開放スタブ112は、曲線504に対応する、例えばL2=14mmに調整される。
図6により開放スタブ111の長さL1の調整方法を説明する。図6(A)に示すように、L2=14mmに固定し、L1を例えば2mmから12mmまで2mm単位で変更して、インピーダンスを測定(または推定)する。図6(B)は、この調整におけるインピーダンス特性の変化を示すスミスチャートである。
開放スタブ111の調整は2.4GHz帯と5GHz帯の両方のインピーダンス特性に影響する。しかし、5GHz帯の波長は2.4GHz帯の半分程度であるため、5GHz帯のインピーダンスを調整する開放スタブ111の長さL1が2.4GHz帯のインピーダンスに与える影響は小さい。そのため、図6(B)に曲線601で示す2.4GHz帯のインピーダンス特性の変化はL1に依らずほぼ一定である。一方、5GHz帯のインピーダンス特性は、図6(B)に示すように、L1に応じて曲線602から曲線603の間で変化する。これら曲線のうち、線路の特性インピーダンスに最も近付く曲線に対応するL1を採用する。線路の特性インピーダンスに最も近付くのは曲線604の状態であり、開放スタブ111は、曲線604に対応する、例えばL1=10mmに調整される。
アンテナ素子101の各周波数帯用の共振素子の開放端の近傍に、インピーダンス調整を行う共振素子の数と同数の開放スタブを配置する。その際、給電部103から距離が遠い開放端の近傍に低い周波数帯用の開放スタブを配置し、給電部103から距離が近い開放端の近傍に高い周波数帯用の開放スタブを配置する。言い替えれば、給電部103からの距離が遠い開放端ほど、より低い周波数帯用の開放スタブを配置する。
そして、最も低い周波数帯用の共振素子に対応する開放スタブの長さによって当該周波数帯のインピーダンス調整を行い、その後、周波数の昇順に、共振素子に対応する開放スタブの長さによって当該周波数帯のインピーダンス調整を行う。これにより、実装条件に合わせて、各周波数帯ごとに個別のインピーダンス調整が可能になる。
このように、設計当初、アンテナ素子単体で最適化された状態にあるアンテナを、製品に実装すると周波数特性が変化して共振特性が劣化する場合、スタブ部のような簡易な部材を追加することで共振特性の劣化を回復することができる。
以下、本発明にかかる実施例2のアンテナおよびアンテナの周波数特性の調整方法を説明する。なお、実施例2において、実施例1と略同様の構成については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する場合がある。
実施例2では、アンテナ100を実施例1とは異なる実装条件で使用する場合に、スタブ部102を最適化する手法を説明する。従って、実施例2におけるアンテナ100の構成は図1と同様であり、アンテナ素子101単体の共振特性は図2と同様である。
図7により実施例2における実装条件と共振特性のシミュレーション結果を示す。図7(A)は製品へのアンテナの搭載イメージを示し、アンテナ素子101の近傍に製品の金属部材702が存在する。金属部材702は、例えば電子回路基板や製品フレームの板金部材などに相当する。アンテナ素子100と金属部材702は5mmの間隔で平行に配置される。
図7(B)は、図7(A)に示す実装条件におけるアンテナ素子101の共振特性のシミュレーション結果を示す。図7(B)において、曲線703は2.4GHz帯の共振特性を示し、曲線704は5GHz帯の共振特性を示す。図2に示すアンテナ素子101単体の共振特性に比べて、どちらの周波数帯においてもリターンロスの大きな劣化を示す。つまり、どちらの周波数帯においても目標のリターンロス-10dB以下を達成することができず、実際の放射特性にも大きな劣化が生じると考えられる。
図8により図7(A)に示す実装条件における、実施例1において調整したスタブ部102を有するアンテナ100の共振特性のシミュレーション結果を示す。図8(A)は製品へのアンテナの搭載イメージを示し、開放スタブ111、112の長さは、実施例1の実装条件において最適化された長さ、言い替えれば、実施例1における製品への搭載に最適化された長さL1=10mm、L2=14mmである。
図8(B)は、図8(A)に示す実装条件におけるアンテナ100の共振特性のシミュレーション結果を示す。図8(B)において、曲線805は2.4GHz帯の共振特性を示し、曲線806は5GHz帯の共振特性を示す。図7(B)に示すアンテナ素子101単体の共振特性に比べて、共振特性が回復するものの、依然、2.4GHz帯のリターンロスは目標の-10dB以下を達成することができない。
そこで、図7(A)に示す実装条件において、実施例1と同様に、開放スタブ111、112の長さを調整する。スタブ長の最適化手順は実施例1と同様であり、その詳細は省略する。図9によりスタブ長調整後のアンテナ100の共振特性のシミュレーション結果を示す。なお、調整の結果、例えば、図9(A)に示すように、2.4GHz帯用の開放スタブ112の長さL2が14mmから18mmに変更される。
図9(B)において、曲線905は2.4GHz帯の共振特性を示し、曲線906は5GHz帯の共振特性を示す。スタブ長の調整により、共振特性がさらに回復し、2.4GHz帯の共振特性および5GHz帯の共振特性のどちらもリターンロス-10dB以下の良好な特性を示す。
このように、実装条件が異なる複数の製品においてアンテナ素子101を共用する場合、スタブ部102のスタブ長を実装条件に合わせて最適化する簡易な調整により、各製品の実装条件に最適化されたアンテナ100を構成することができる。
以下、本発明にかかる実施例3のアンテナおよびアンテナの周波数特性の調整方法を説明する。なお、実施例3において、実施例1、2と略同様の構成については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する場合がある。
実施例3では、アンテナ100を実施例1、2とは異なる実装条件で使用する場合に、スタブ部102を最適化する手法を説明する。従って、実施例3におけるアンテナ100の構成は図1と同様であり、アンテナ素子101単体の共振特性は図2と同様である。
図10により実施例3における実装条件と共振特性のシミュレーション結果を示す。図10(A)は製品へのアンテナの搭載イメージを示し、アンテナ素子101の近傍に製品の金属部材1002が存在する。金属部材1002は、例えば電子回路基板や製品フレームの板金部材などに相当する。アンテナ素子100と金属部材1002は直交するように配置され、5GHz帯の共振素子である放射導体105の開放端と金属部材1002の間隙は5mmである。
図10(B)は、図10(A)に示す実装条件におけるアンテナ素子101の共振特性のシミュレーション結果を示す。図10(B)において、曲線1003は2.4GHz帯の共振特性を示し、曲線1004は5GHz帯の共振特性を示す。図2に示すアンテナ素子101単体の共振特性に比べて、2.4GHz帯のリターンロスが大きな劣化を示し、実際の放射特性にも大きな劣化が生じると考えられる。
図11により図10(A)に示す実装条件における、実施例1、2において調整したスタブ部102を有するアンテナ100の共振特性のシミュレーション結果を示す。図11(A)は製品へのアンテナの搭載イメージを示し、開放スタブ111、112の長さは、実施例1、2における製品への搭載に最適化された長さL1=10mm、L2=14mmおよび18mmである。ただし、5GHz帯用の開放スタブ111については、金属部材1002との配置関係から90度方向を変えて、アンテナ素子101の基板面に対して直交する方向に延伸する構造とする。
図11(B)(C)は、図11(A)に示す実装条件におけるアンテナ100の共振特性のシミュレーション結果を示す。図11(B)において、曲線1105はL2=14mmの場合の2.4GHz帯の共振特性を示し、曲線1106はL2=14mmの場合の5GHz帯の共振特性を示す。また、図11(C)において、曲線1107はL2=18mmの場合の2.4GHz帯の共振特性を示し、曲線1108はL2=18mmの場合の5GHz帯の共振特性を示す。図10(B)に示すアンテナ素子101単体の共振特性に比べて、共振特性が回復するものの、L2=18mmにおける2.4GHzのリターンロスがやや大きく、L2=14mm、18mmともに5GHz帯の共振周波数が低周波数側にずれて帯域が狭くなる。
そこで、図11(A)に示す実装条件において、実施例1と同様に、開放スタブ111、112の長さを調整する。スタブ長の最適化手順は実施例1と同様であり、その詳細は省略する。図12によりスタブ長調整後のアンテナ100の共振特性のシミュレーション結果を示す。なお、調整の結果、例えば、図12(A)に示すように、2.4GHz帯用の開放スタブ112の長さL2が14mmに設定され、5GHz帯の開放スタブ111の長さL1が10mmから6mmに変更される。
図12(B)において、曲線1205は2.4GHz帯の共振特性を示し、曲線1206は5GHz帯の共振特性を示す。スタブ長の調整により、共振特性がさらに回復し、2.4GHz帯の共振特性および5GHz帯の共振特性のどちらもリターンロス-10dB以下の良好な特性を示す。
このように、実装条件が異なる複数の製品においてアンテナ素子101を共用する場合、スタブ部102の開放スタブの配置と長さを実装条件に合わせて最適化する簡易な調整により、各製品の実装条件に最適化されたアンテナ100を構成することができる。
以下、本発明にかかる実施例4のアンテナおよびアンテナの周波数特性の調整方法を説明する。なお、実施例4において、実施例1-3と略同様の構成については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する場合がある。
図13により実施例4におけるアンテナ120の構成例および共振特性を示す。図13(A)は、アンテナ素子121とスタブ部122を含むアンテナ120全体を示す。アンテナ素子121は、実施例1-3に示したデュアルバンド用のアンテナ素子101に、5GHz帯の使用帯域を拡大するために共振素子を一つ追加した三段構成の逆Fアンテナであり、マルチバンド用のアンテナ素子である。開放スタブ123は5GHzの高周波帯のインピーダンス調整用、開放スタブ124は5GHzの低周波帯のインピーダンス調整用、開放スタブ125は2.4GHz帯のインピーダンス調整用である。
開放スタブ123-125の長さの調整方法は、実施例1と同様である。つまり、まず、最も低い周波数帯である2.4GHz帯用の開放スタブ125の長さを調整し、次に、5GHzの低周波帯用の開放スタブ124の長さを調整し、最後に、5GHzの高周波帯用の開放スタブ123の長さを調整する。
図13(B)にスタブ長の調整後の共振特性(曲線1305、1306、1307)を示す。実施例1-3と同様に、アンテナ120の実装条件に応じて各開放スタブ123-125の長さを調整することで、実装条件による共振特性の劣化を回復してリターンロスの目標-10dB以下を満たすことが可能である。つまり、基本になるアンテナ素子121を共通設計として、製品ごとにスタブ部122を変更することで、基本設計のアンテナ特性を最大限に引き出すことができる。
[変形例]
上記では、使用周波数帯が二つのアンテナ100と、使用周波数帯が三つのアンテナ120を例に説明を行ったが、本発明は、使用周波数帯が四つ以上など、複数の使用周波数帯を有するアンテナに適用することができる。その際、開放スタブを基板の一端側に配置する場合、共振素子(放射導体)および開放スタブは、対応する周波数帯が高いほど接地導体106に近接して配置される。
上記では、使用周波数帯が二つのアンテナ100と、使用周波数帯が三つのアンテナ120を例に説明を行ったが、本発明は、使用周波数帯が四つ以上など、複数の使用周波数帯を有するアンテナに適用することができる。その際、開放スタブを基板の一端側に配置する場合、共振素子(放射導体)および開放スタブは、対応する周波数帯が高いほど接地導体106に近接して配置される。
また、例えば、ある実装条件におけるアンテナ素子101単体の2.4GHz帯の共振特性がリターンロスの目標を満たし、5GHz帯の共振特性がリターンロスの目標を満たさない場合が考えられる。そのような場合、スタブ部102は、5GHz帯用の開放スタブ111だけを有する構成になる。逆に、5GHz帯の共振特性がリターンロスの目標を満たし、2.4GHz帯の共振特性がリターンロスの目標を満たさない場合、スタブ部102は、図5(A)に示す構成になる。言い替えれば、各使用周波数に対応する開放スタブは必須ではなく、共振特性の回復に必要な開放スタブがあればよい。
また、図1(B)に示す領域110側に開放スタブ111と112を配置する場合、開放スタブ112の調整だけで、2.4GHz帯と5GHz帯のリターンロスの目標が満される場合や、調整の結果の開放スタブ111が0mmになる場合が考えられる。そのような場合、スタブ部102は、領域110側に開放スタブ112だけを有する構成になる。
このように、複数の周波数帯用のアンテナ素子を実装条件が異なる複数の製品で共用する場合、簡易な構造のスタブ部の追加により、実装条件によって劣化するアンテナの周波数特性を改善することができる。言い替えれば、製品ごとに異なるアンテナの実装条件に対して、アンテナの周波数特性の最適化が可能であり、アンテナ素子の共用によるコスト削減を図ることができる。
100 … アンテナ、101 … アンテナ素子、102 … スタブ部
Claims (9)
- 複数の周波数帯用のアンテナであって、
基板の上に、接地導体、前記複数の周波数帯それぞれに対応する放射導体、前記接地導体および前記放射導体と無線部を接続する接続部が構成されたアンテナ素子と、
前記接地導体に少なくとも高周波的に接続され、前記放射導体の近傍に開放スタブを備える導電性のスタブ部とを有するアンテナ。 - 前記接地導体は、前記基板の一辺に沿って前記基板の一端から、前記基板の一端に対向する前記基板の他端に達し、前記一端と前記他端の間の長さが、前記複数の周波数帯のうち最も低い周波数帯の波長の1/4以下である請求項1に記載されたアンテナ。
- 前記複数の周波数帯のうち低い周波数帯用の第一の放射導体は、前記接続部の近傍から前記基板の一端に達した後、折り返されて前記基板の他端に達し、
前記複数の周波数帯のうち高い周波数帯用の第二の放射導体は、前記接続部の近傍から前記基板の一端に向って延伸する請求項2に記載されたアンテナ。 - 前記第一の放射導体に対応する開放スタブは、前記基板の他端の側の前記第一の放射導体の開放端の近傍に配置され、
前記第二の放射導体に対応する開放スタブは、前記基板の一端の側の前記第二の放射導体の開放端の近傍に配置される請求項3に記載されたアンテナ。 - 前記開放スタブは前記基板の一端の側に配置され、
前記第二の放射導体に対応する開放スタブは、前記第一の放射導体に対応する開放スタブよりも前記第二の放射導体の開放端に近い位置に配置される請求項3に記載されたアンテナ。 - 前記開放スタブは前記基板の一端の側に配置され、
前記放射導体および前記開放スタブは、対応する周波数帯が高いほど前記接地導体に近接して配置される請求項1または請求項2に記載されたアンテナ。 - 前記開放スタブおよび前記接地導体との接続領域を除く前記スタブ部の面積は、前記無線部の面積以下である請求項1から請求項6の何れか一項に記載されたアンテナ。
- 基板の上に構成された請求項1から請求項7の何れか一項に記載されたアンテナと、
前記基板の上に構成された無線部とを有する無線モジュール。 - 基板の上に、接地導体、複数の周波数帯それぞれに対応する放射導体、前記接地導体および前記放射導体と無線部を接続する接続部が構成されたアンテナ素子、並びに、前記接地導体に少なくとも高周波的に接続され、前記放射導体の近傍に開放スタブを備える導電性のスタブ部を有する、前記複数の周波数帯用のアンテナの調整方法であって、
前記複数の周波数帯のうち低い周波数帯における前記アンテナの共振特性に基づき、前記低い周波数帯用の放射導体の近傍に配置された第一の開放スタブの長さを調整し、
前記第一の開放スタブの長さの調整後、前記複数の周波数帯のうち高い周波数帯における前記アンテナの共振特性に基づき、前記高い周波数帯用の放射導体の近傍に配置された第二の開放スタブの長さを調整する調整方法。
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