JP2016089977A - コンロッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 キャップ部を薄肉化した場合でも、破断分割後のロッド部とキャップ部の面合わせが良好であるとともに、キャップ部の飛散の懸念が無く、しかも、簡易な設備と製造条件で実施することができるコンロッドの製造方法を提供する。
【解決手段】 コンロッド11の大端部12のクランクピン孔13に内側治具14を嵌入し、該内側治具により大端部12にコンロッド11の長手方向に荷重を付与して、該大端部をロッド部15とキャップ部16に破断分割し、その後、該ロッド部と該キャップ部を合わせてコンロッド11を構成するようにしたコンロッド製造方法において、大端部12のキャップ部16側の両側部12a,12aに係止部材17,17を取付け、破断分割するに際して、該係止部材を介して大端部12のキャップ部側の両側部12a,12aに、ロッド部15からキャップ部16を離す方向の引張荷重を付与するようにしている。
【選択図】 図2
【解決手段】 コンロッド11の大端部12のクランクピン孔13に内側治具14を嵌入し、該内側治具により大端部12にコンロッド11の長手方向に荷重を付与して、該大端部をロッド部15とキャップ部16に破断分割し、その後、該ロッド部と該キャップ部を合わせてコンロッド11を構成するようにしたコンロッド製造方法において、大端部12のキャップ部16側の両側部12a,12aに係止部材17,17を取付け、破断分割するに際して、該係止部材を介して大端部12のキャップ部側の両側部12a,12aに、ロッド部15からキャップ部16を離す方向の引張荷重を付与するようにしている。
【選択図】 図2
Description
本発明は、コンロッドの製造方法に関する。
従来より、図6に示すように、エンジンのコンロッド1を一体として成形した後、その大端部2のクランクピン孔3に破断分割治具(半割りした治具、あるいはマンドレル等。以下、内側治具という。)4を挿入し、該内側治具の中央に楔5を押し込んで該内側治具にコンロッド1の長手方向(同図に示す矢印A方向)の拡張力を与えて、大端部2を破断部BDのところでロッド部6とキャップ部7に破断分割することが行われている。
ところで、従来より、コンロッド1の特に大端部2の軽量化を図ることが要望されていたが、従来の破断分割方法では、大端部2の軽量化を図るべくキャップ部7を薄肉化した場合には、次のような問題があった。すなわち、破断分割時に楔5により上記拡張力を加えると、キャップ部7が左右両側(図5において矢印B方向)に引っ張られ、その両側部分が内側に入り込むように大きく変形し、キャップ部7側の合わせ面7aとロッド部6側の合わせ面6aが合わなくなってしまう不具合が生じた(図7において矢印Cで示す円で囲む部分参照)。しかも、大端部2を破断分割した際には、その勢いでキャップ部7が飛散してしまう不具合があった。図8は、クランクピン孔3の真円度を示すもので、同図において矢印Dで示す円で囲む部分は、このキャップ部7の合わせ面7aがロッド部6の合わせ面6aに対して内側に大きくズレた様子を示している。同図において、CFは分割後のクランクピン孔3の形状を示し、CF0は分割前のクランクピン孔3の位置を示し、CFminは分割後のクランクピン孔3の内側への最大変位を示し、CFmaxは分割後のクランクピン孔3の外側への最大変位を示し、RODはロッド部6側を示し、CAPはキャップ部7側を示し、図6および図8において、BDは大端部2の破断部を示している。このような大端部2のロッド部6とキャップ部7における合わせ面6a,7aのズレを防止する対策として、特許文献1及び2に示す技術が知られている。
特許文献1では、クランクピン孔に挿入する内側治具に対して該内側治具に押し込む楔が回動できるようにし、これにより、楔と内側治具間で片当たりが生じないようにしたものであるが、同文献の破断分割の技術によってもキャップ部の内側への変形を確実に防止することができず、ロッド部とキャップ部の合わせ面が合致しなくなってしまう不具合を解消することができない。
特許文献2では、コンロッドの大端部を破断分割したときにそのキャップ部が飛散してしまうのを防止するために、大端部のキャップ部側の両側部における肩部(ボルト座面部)にキャップサポートを押し当てるようにしている。しかしながら、大端部の変形を抑えるためにキャップサポートを使う場合には、コンロッドの形状によって、微妙な押付け荷重の調整が必要となり、製造時の管理が難しくなり、また、該キャップサポートをキャップ部の飛散防止専用として使用する場合には、設備が複雑になってしまう欠点がある。
特許文献2では、コンロッドの大端部を破断分割したときにそのキャップ部が飛散してしまうのを防止するために、大端部のキャップ部側の両側部における肩部(ボルト座面部)にキャップサポートを押し当てるようにしている。しかしながら、大端部の変形を抑えるためにキャップサポートを使う場合には、コンロッドの形状によって、微妙な押付け荷重の調整が必要となり、製造時の管理が難しくなり、また、該キャップサポートをキャップ部の飛散防止専用として使用する場合には、設備が複雑になってしまう欠点がある。
また、特許文献2では、コンロッドの大端部に挿入した内側治具を拡張させた際に生じる大端部の変形(特に大端部側面の弓なり変形)を防止するために、大端部の両側面全体に外側治具を当接させるようにしている。しかしながら、大端部の両側面全体に当接された外側治具により、破断分割の際に、き裂を開口させるようなコンロッドの短手方向(図6に示す矢印Eの方向)に力が掛かりにくくなるため、破断し難くなってしまう不具合がある。それ故、破断のためには大きな破断荷重が必要となり、その大きな荷重をかけるために、大型の設備が必要になる欠点がある。
さらに、特許文献2では、コンロッドの大端部の側面に凹部を設けるとともに、大端部の両側に凸部を有する治具を設置して、大端部側面の凹部に治具の凸部を嵌め込んで治具を引張ることで、破断分割の際に、き裂を破断予定面上に誘導・進展し易くして、欠けの発生を抑制するとともに、キャップ部の変形を抑えるようにしている。しかしながら、キャップ部の変形を抑えるほどの引張荷重を治具の凸部と大端部側面の凹部に与えるためには、該凹部の凹み量を大きく設定する必要があるが、大端部の形状を変えずに凹み量だけを大きくすると、破断分割面の面積が小さくなってしまうため、ロッド部にキャップ部を組み付けるときに、その組付けボルトの締付け軸力に耐え切れず、破断分割面が座屈するおそれがある。破断分割予定面上に応力集中が発生するための凹部の凹み量と、座屈しない程度の破断分割面の面積との両方を確保するためには、破断部におけるコンロッドの短手方向の幅をできるだけ長く設定する必要が生じる。そのため、コンロッドだけでなく、シリンダーブロックも大型化してしまう欠点がある。
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、キャップ部を薄肉化した場合でも、破断分割後のロッド部とキャップ部の面合わせが良好であるとともに、キャップ部の飛散の懸念が無く、しかも、簡易な設備と製造条件で実施することができるコンロッドの製造方法を提供することにある。
本発明では、上記目的を達成するため、コンロッドの大端部のクランクピン孔に内側治具を嵌入し、該内側治具により前記大端部に前記コンロッドの長手方向に荷重を付与して、該大端部をロッド部とキャップ部に破断分割し、その後、該ロッド部と該キャップ部を合わせてコンロッドを構成するようにしたコンロッド製造方法において、前記大端部のキャップ部側の両側部に係止部材を取付け、破断分割するに際して、該係止部材を介して前記大端部のキャップ部側の両側部に、前記ロッド部から前記キャップ部を離す方向の引張荷重を付与するようにしている。
また、コンロッドの製造方法の一態様では、前記大端部の両側部に連通穴を形成し、該連通穴のうち前記キャップ部側部分に前記係止部材を係止させる受け部を形成するようにしている。
さらに、コンロッドの製造方法の一態様では、前記受け部の径は、前記連通穴のうち前記ロッド部側部分の径と同等又は同等以上としている。
さらにまた、コンロッドの製造方法の一態様では、前記係止部材はネジまたはボルトであり、前記受け部は雌ネジであることとしている。
加えて、コンロッドの製造方法の一態様では、前記大端部の両側部に取付けた左右の前記係止部材に治具を取付けて、該治具を介して左右の前記係止部材に引張荷重を均等に付加するようにしている。
さらにまた、コンロッドの製造方法の一態様では、コンロッドの大端部のクランクピン孔に内側治具を嵌入し、該内側治具により前記大端部に前記コンロッドの長手方向に荷重を付与して、該大端部をロッド部とキャップ部に破断分割し、その後、該ロッド部と該キャップ部を合わせてコンロッドを構成するようにしたコンロッド製造方法において、前記大端部のキャップ部側の両側部に係止部材を取付け、該係止部材を内側治具のキャップ部側半割部に固定し、破断分割するに際して、前記係止部材の内側治具に対する相対位置を不変となるようにしている。
また、コンロッドの製造方法の一態様では、前記大端部の両側部に連通穴を形成し、該連通穴のうち前記キャップ部側部分に前記係止部材を係止させる受け部を形成するようにしている。
さらに、コンロッドの製造方法の一態様では、前記受け部の径は、前記連通穴のうち前記ロッド部側部分の径と同等又は同等以上としている。
さらにまた、コンロッドの製造方法の一態様では、前記係止部材はネジまたはボルトであり、前記受け部は雌ネジであることとしている。
加えて、コンロッドの製造方法の一態様では、前記大端部の両側部に取付けた左右の前記係止部材に治具を取付けて、該治具を介して左右の前記係止部材に引張荷重を均等に付加するようにしている。
さらにまた、コンロッドの製造方法の一態様では、コンロッドの大端部のクランクピン孔に内側治具を嵌入し、該内側治具により前記大端部に前記コンロッドの長手方向に荷重を付与して、該大端部をロッド部とキャップ部に破断分割し、その後、該ロッド部と該キャップ部を合わせてコンロッドを構成するようにしたコンロッド製造方法において、前記大端部のキャップ部側の両側部に係止部材を取付け、該係止部材を内側治具のキャップ部側半割部に固定し、破断分割するに際して、前記係止部材の内側治具に対する相対位置を不変となるようにしている。
本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
すなわち、本発明では、コンロッドの大端部のクランクピン孔に内側治具を嵌入し、該内側治具により前記大端部に前記コンロッドの長手方向に荷重を付与して、該大端部をロッド部とキャップ部に破断分割し、その後、該ロッド部と該キャップ部を合わせてコンロッドを構成するようにしたコンロッド製造方法において、前記大端部のキャップ部側の両側部に係止部材を取付け、破断分割するに際して、該係止部材を介して前記大端部のキャップ部側の両側部に、前記ロッド部から前記キャップ部を離す方向の引張荷重を付与するようにしているので、破断分割の際に前記係止部材による引張荷重によって前記大端部のキャップ部側が拘束され、結果的に前記キャップ部側の両側部が固定されるため、前記キャップ部を薄肉化した場合でも、前記キャップ部の破断分割面が前記クランクピン孔側に大きく変形してしまうことがなく、前記ロッド部側の破断分割面との面合わせが良好であり、良好に合致させることができる。これにより、前記キャップ部の薄肉化を達成することができ、しいては、前記コンロッドの大端部の軽量化を実現することができる。
すなわち、本発明では、コンロッドの大端部のクランクピン孔に内側治具を嵌入し、該内側治具により前記大端部に前記コンロッドの長手方向に荷重を付与して、該大端部をロッド部とキャップ部に破断分割し、その後、該ロッド部と該キャップ部を合わせてコンロッドを構成するようにしたコンロッド製造方法において、前記大端部のキャップ部側の両側部に係止部材を取付け、破断分割するに際して、該係止部材を介して前記大端部のキャップ部側の両側部に、前記ロッド部から前記キャップ部を離す方向の引張荷重を付与するようにしているので、破断分割の際に前記係止部材による引張荷重によって前記大端部のキャップ部側が拘束され、結果的に前記キャップ部側の両側部が固定されるため、前記キャップ部を薄肉化した場合でも、前記キャップ部の破断分割面が前記クランクピン孔側に大きく変形してしまうことがなく、前記ロッド部側の破断分割面との面合わせが良好であり、良好に合致させることができる。これにより、前記キャップ部の薄肉化を達成することができ、しいては、前記コンロッドの大端部の軽量化を実現することができる。
また、本発明では、破断分割の際に前記係止部材によって大端部のキャップ部側の両側部が固定されるようにしたことから、破断分割に際して、大端部の両側面に凸部を有する従来のような治具を設置する必要がなく、該凸部を嵌め込むための凹部を大端部側面に設ける必要も無くなり、破断分割面の面積が小さくなることも無くなるため、コンロッドの短手方向の幅を長くする必要も無くなり、ロッド部にキャップ部を組み付けるときに、その組付けボルトの締付け軸力に耐え切れずに破断分割面が座屈する虞も無くなり、したがって、コンロッドやシリンダーブロックが大型化することも無く、経済的である。
しかも、本発明では、前記係止部材によって前記大端部のキャップ部側に引張荷重を付加するようにしたので、前記大端部に生じるき裂を容易に開口させることができ、そのため、破断のためには大きな破断荷重を必要とせず、簡易な設備のみで実施できる。
さらに、本発明では、破断分割の際に前記係止部材によって前記大端部のキャップ部側が固定されるようにしたことから、従来のようなキャップサポートが無くても、前記キャップ部の飛散の懸念を無くすことができ、このため、微妙な押付け荷重の調整などの必要が無くなり、製造時の管理が容易となり、キャップサポート及びキャップサポートを保持する設備が不要となり、したがって、簡易な設備と製造条件で実施することができる。
さらにまた、本発明では、コンロッドの大端部のクランクピン孔に内側治具を嵌入し、該内側治具により前記大端部に前記コンロッドの長手方向に荷重を付与して、該大端部をロッド部とキャップ部に破断分割し、その後、該ロッド部と該キャップ部を合わせてコンロッドを構成するようにしたコンロッド製造方法において、前記大端部のキャップ部側の両側部に係止部材を取付け、該係止部材を内側治具のキャップ部側半割部に固定し、破断分割するに際して、前記係止部材の内側治具に対する相対位置を不変となるようにしているので、特別な設備を要せずして、簡単な構成により、ロッド部とキャップ部との良好な破断分割面を得ることができる。
しかも、本発明では、前記係止部材によって前記大端部のキャップ部側に引張荷重を付加するようにしたので、前記大端部に生じるき裂を容易に開口させることができ、そのため、破断のためには大きな破断荷重を必要とせず、簡易な設備のみで実施できる。
さらに、本発明では、破断分割の際に前記係止部材によって前記大端部のキャップ部側が固定されるようにしたことから、従来のようなキャップサポートが無くても、前記キャップ部の飛散の懸念を無くすことができ、このため、微妙な押付け荷重の調整などの必要が無くなり、製造時の管理が容易となり、キャップサポート及びキャップサポートを保持する設備が不要となり、したがって、簡易な設備と製造条件で実施することができる。
さらにまた、本発明では、コンロッドの大端部のクランクピン孔に内側治具を嵌入し、該内側治具により前記大端部に前記コンロッドの長手方向に荷重を付与して、該大端部をロッド部とキャップ部に破断分割し、その後、該ロッド部と該キャップ部を合わせてコンロッドを構成するようにしたコンロッド製造方法において、前記大端部のキャップ部側の両側部に係止部材を取付け、該係止部材を内側治具のキャップ部側半割部に固定し、破断分割するに際して、前記係止部材の内側治具に対する相対位置を不変となるようにしているので、特別な設備を要せずして、簡単な構成により、ロッド部とキャップ部との良好な破断分割面を得ることができる。
以下、本発明に係るコンロッドの製造方法の一実施形態について、図1〜図4を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態に係るコンロッドの製造方法は、図1および図2に示すようなコンロッド11に本発明を適用したもので、該コンロッドの大端部12のクランクピン孔13に内側治具14を嵌入し、該内側治具により大端部12に該コンロッドの長手方向の荷重を付与して、該大端部をロッド部15とキャップ部16に破断分割し(図1(a)参照)、その後、ロッド部15とキャップ部16を合わせてコンロッド11を構成するようにしているが(図1(b)参照)、本実施形態では、とくに、その破断分割前に、予め、大端部12のキャップ部16側部分の両側部12a,12aに係止部材17,17を取付けるようにしている。係止部材17,17としては、例えばネジまたはボルトである。係止部材17の取付け方法としては、大端部12の両側部12a,12aに雌ネジである受け部18,18を形成し(図1(a)および図2参照)、これら受け部18に係止部材17をそれぞれ螺合させて固定するようにしている。これらの受け部18は大端部12の両側部12a,12aのボルト座面から8mm程度深く形成されている。図3にaで示す範囲は、上記で説明した受け部18の形成した場所および長さを示している。また、同図において、bはロッド部15側に形成される通常の雌ネジの形成した場所および長さを示している。
ここで、本実施形態で破断分割試験を行うコンロッド11について、その形状・寸法を具体的に述べれば、次のとおりである。コンロッド11の大端部12のクランクピン孔13の径はφ41mm、キャップ部16の中央下部の湾曲部分である薄肉部16aの肉厚は2mm、キャップ部16の雌ネジサイズはM8×8mmである。
本実施形態に係るコンロッドの製造方法は、図1および図2に示すようなコンロッド11に本発明を適用したもので、該コンロッドの大端部12のクランクピン孔13に内側治具14を嵌入し、該内側治具により大端部12に該コンロッドの長手方向の荷重を付与して、該大端部をロッド部15とキャップ部16に破断分割し(図1(a)参照)、その後、ロッド部15とキャップ部16を合わせてコンロッド11を構成するようにしているが(図1(b)参照)、本実施形態では、とくに、その破断分割前に、予め、大端部12のキャップ部16側部分の両側部12a,12aに係止部材17,17を取付けるようにしている。係止部材17,17としては、例えばネジまたはボルトである。係止部材17の取付け方法としては、大端部12の両側部12a,12aに雌ネジである受け部18,18を形成し(図1(a)および図2参照)、これら受け部18に係止部材17をそれぞれ螺合させて固定するようにしている。これらの受け部18は大端部12の両側部12a,12aのボルト座面から8mm程度深く形成されている。図3にaで示す範囲は、上記で説明した受け部18の形成した場所および長さを示している。また、同図において、bはロッド部15側に形成される通常の雌ネジの形成した場所および長さを示している。
ここで、本実施形態で破断分割試験を行うコンロッド11について、その形状・寸法を具体的に述べれば、次のとおりである。コンロッド11の大端部12のクランクピン孔13の径はφ41mm、キャップ部16の中央下部の湾曲部分である薄肉部16aの肉厚は2mm、キャップ部16の雌ネジサイズはM8×8mmである。
次に、本実施形態に係るコンロッドの製造方法について、さらに詳しく説明する。
まず、係止部材17,17をコンロッド11の大端部12の受け部18,18に螺合させて取付けた後、そのクランクピン孔13に内側治具14を嵌入する。次いで、左右の係止部材17,17を介してコンロッド11に、ロッド部15からキャップ部16を離す方向、すなわち、コンロッド11の小端部21と反対方向(図2に示す矢印F方向)に向けて大端部12のキャップ部16側部分に油圧等により引張荷重を付与した状態で、大端部12内の内側治具14に楔22を押し込んで大端部12に該コンロッドの長手方向(図2に示す矢印G方法)に荷重を付与して、該大端部を破断部BDのところでロッド部15とキャップ部16に破断分割するようにしている。大端部12のキャップ部16側部分に引張荷重が付与された状態のときは、大端部12は、係止部材17,17によりキャップ部16側からは拘束され、結果的に固定された状態となるが、コンロッド11のロッド部15側部分は拘束されず、また、大端部12の左右両側も他の治具等によって固定されていない状態になっている。
まず、係止部材17,17をコンロッド11の大端部12の受け部18,18に螺合させて取付けた後、そのクランクピン孔13に内側治具14を嵌入する。次いで、左右の係止部材17,17を介してコンロッド11に、ロッド部15からキャップ部16を離す方向、すなわち、コンロッド11の小端部21と反対方向(図2に示す矢印F方向)に向けて大端部12のキャップ部16側部分に油圧等により引張荷重を付与した状態で、大端部12内の内側治具14に楔22を押し込んで大端部12に該コンロッドの長手方向(図2に示す矢印G方法)に荷重を付与して、該大端部を破断部BDのところでロッド部15とキャップ部16に破断分割するようにしている。大端部12のキャップ部16側部分に引張荷重が付与された状態のときは、大端部12は、係止部材17,17によりキャップ部16側からは拘束され、結果的に固定された状態となるが、コンロッド11のロッド部15側部分は拘束されず、また、大端部12の左右両側も他の治具等によって固定されていない状態になっている。
なお、左右の係止部材17,17を介してコンロッド11に荷重を付与する方法としては、図2に示すような厚みと強度のある帯状の治具19を用いて係止部材17,17に均等に引張荷重を付与するのが好ましい。この場合、予め治具19の両端側に切り欠きをそれぞれ設けておき、該切り欠きに、大端部12に取付けた左右の係止部材17,17をそれぞれ掛けるようにするか、あるいは、予め治具19の両端側に穴(図示せず)をそれぞれ設けておき、左右の係止部材17,17を治具19の穴を通して大端部12に取付け、その際、係止部材17,17の頭が治具19に掛かるようにしても良い。この場合、係止部材17,17をナット23,23を用い治具19に固定するようにしても勿論良い。また、治具19に、キャップ部16の頂点の薄肉部16aが変形しないように受け24を配設しても良い。これにより、油圧等により治具19を引っ張れることにより、該治具を介して係止部材17,17に均等に引張荷重が付加される。なお、治具19の左右の係止部材17,17への取付け方は、上記例に限定されず、要は、取付けと取外しが可能である方法であれば周知のいかなる方法を用いても良い。
コンロッド11の大端部12を破断した後は、ロッド部15とキャップ部16の破断面(図示せず)を合わせて、大端部12の両側に、キャップ部16からロッド部15まで連通する連通孔25,25を穿設し、該連通孔のうち図3にbで示す範囲に通常の雌ネジを形成する。次いで、該雌ネジにコンロッドボルト26,26を締結させれば、キャップ部16をロッド部15に固定することができ(図1(b)参照)、これにより、コンロッド11が製造される。ここで、ロッド部15側の雌ネジサイズはM6としている。キャップ部16側の雌ネジ径をロッド部15側よりも大きく設定したのは、後工程によるキャップ部16側の雌ネジの除去加工することなく、コンロッドボルト26(図1参照)の締付けを、そのまま行えるようにするためであるが、もし、キャップ部16側の雌ネジ径をロッド部15側の雌ネジ径よりも小さく設定していた場合は、機械加工により、キャップ部16側の雌ネジ部を除去すれば良い。
なお、上記実施形態では、連通孔25,25を大端部12を破断分割した後に形成するようにしたが、破断分割する前に予め形成しておいても良い。この場合は、連通孔25,25のうち、図3にbで示す範囲にコンロッドボルト26用の通常の雌ネジを予め形成するとともに、図3にaで示す範囲に受け部18,18の雌ネジも予め形成し、その際、受け部18,18の雌ネジの径を、連通孔25のうちロッド部15側の雌ネジ(図3にbで示す雌ネジ)の径と同等又は同等以上とすれば、後工程でのキャップ部16側の雌ネジを除去加工することなく、そのまま、従来のコンロッドボルト26を締結することができるので、好ましい。
本実施形態の方法によれば、破断分割時にキャップ部16側部分に引張荷重を付加することによりその両側を結果的に固定された状態とすることができるので、コンロッド11のキャップ部16を薄肉化した場合においても、該キャップ部の両側が内側に入り込むことは無くなる。したがって、ロッド部15とキャップ部16の合わせ面のところでズレを発生させることなく破断分割を行うことができる。図4は、本実施形態の方法による破断分割後のロッド部15とキャップ部16における真円度測定結果を示している。同図において、CFは破断分割後のクランクピン孔13の形状を示し、CF0は破断分割前のクランクピン孔13の位置を示し、CFminは破断分割後のクランクピン孔13の内側への最大変位を示し、CFmaxは破断分割後のクランクピン孔13の外側への最大変位を示し、RODはロッド部15側を示し、CAPはキャップ部16側を示し、BDは大端部2の破断部を示している。同図から明らかなように、本実施形態で破断分割したコンロッド11は、図7に示した従来の場合と比べ、合わせ面のズレがなく、真円度変化も小さくなっており、良好な結果を得られることが判る。したがって、本実施形態に係る方法では、破断分割時にキャップ部16の変形を抑制できるため、キャップ部16を大幅に薄肉化することができる。
さらに、本実施形態に係る方法では、破断分割時にキャップ部16側部分に引張荷重を付加して該キャップ部の両側を結果的に固定した状態とすることができるので、コンロッド11の大端部12の外周部を固定する必要が無くなる。すなわち、ロッド側15を拘束しないで破断分割することができるので、破断分割の際には、ロッド部15側に適度な曲げ方向の力が加わり、それにより破断を助長させることができる。そのため、破断時の引張荷重を増大させる必要がなく、従来のように、コンロッド11の大端部12の両側面全体に当接させる外側治具のような大型の設備も不要となる。
さらにまた、本実施形態に係る方法では、係止部材17により引張荷重を付加して、ボルト座面側からキャップ部16側部分を拘束・固定するようにしたので、キャップ部16への引張荷重付与(固定)とキャップ部16の飛散防止を同時に行うことができ、それ故、コンロッド11の製造設備構造を簡略化することができる。
さらにまた、本実施形態に係る方法では、係止部材17により引張荷重を付加して、ボルト座面側からキャップ部16側部分を拘束・固定するようにしたので、キャップ部16への引張荷重付与(固定)とキャップ部16の飛散防止を同時に行うことができ、それ故、コンロッド11の製造設備構造を簡略化することができる。
なお、本実施形態では、連通孔23における雌ネジ範囲は、キャップ部16の全範囲(図3にcで示す範囲)でも一部の範囲(図3にdで示す範囲)でも良い。また、雌ネジのネジ径は、ロッド部15側のネジ径と同じでも良いし、異なっていても良い。なお、ロッド部15側とキャップ部16側の雌ネジ径が同じ場合には、コンロッドボルト24と係止部材17を共通にすることもできる。この場合には、コンロッドボルト24として首下部が全ねじでないもの(先端部にのみネジが切られていて、非ネジ部の直径がネジ底径より小さいもの)を使用し、キャップ部16側とは噛み合わないようにすることが好ましい。
また、本実施形態では、係止部材17はネジであり、受け部18は雌ネジとしたが、本発明はこれに限らず、例えば、係止部材17が先端にフックを有する棒状部材で、受け部18が該係止部材をそのまま差し込んで、あるいは差し込んで適宜角度回動させることによりそのフックが掛かるような構造としても勿論良い。
また、本実施形態では、係止部材17はネジであり、受け部18は雌ネジとしたが、本発明はこれに限らず、例えば、係止部材17が先端にフックを有する棒状部材で、受け部18が該係止部材をそのまま差し込んで、あるいは差し込んで適宜角度回動させることによりそのフックが掛かるような構造としても勿論良い。
次に、本発明に係るコンロッドの製造方法の他の実施形態について、図5を参照しながら詳細に説明する。なお、図5において、図1〜図4に示した要素と同一の作用・機能をなすものについては同一の符号を付し、それらの要素の詳細な説明は省略する。
本実施形態に係るコンロッドの製造方法は、図5に示すように、コンロッド11の大端部12のキャップ部16と係止部材17,17および治具19を覆う大きさのベースプレート27を用い、該ベースプレートに内側治具14のキャップ部側半割部14aと係止部材17,17を固定するようにしている。なお、本実施形態では、係止部材17,17は、ベースプレート27に治具19を固定するようにし、該治具を介して間接的にベースプレート27に固定するようにしているが、直接的でも間接的な固定でもどちらでも良く、要は、内側治具14のキャップ部側半割部14aに対する係止部材17,17の相対位置が不変となるような構成であれば、いずれの固定方法でも良い。
本実施形態に係るコンロッドの製造方法によれば、引張荷重を係止部材17,17に付与する等の特別な設備を要せずして、簡単な構成により、ロッド部とキャップ部との良好な破断分割面を得ることができる。
なお、図2に示した実施形態のように係止部材17,17に対して引張荷重を付与する方法においては、楔22で内側治具14のキャップ部側半割部14aを押す荷重よりも、係止部材17に付与する引張荷重の方が大きい場合は、必ずしも、図5に示した実施形態のように、係止部材17,17と内側治具14のキャップ部側半割部14aを連結固定する必要はないことを付記する。
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
本実施形態に係るコンロッドの製造方法は、図5に示すように、コンロッド11の大端部12のキャップ部16と係止部材17,17および治具19を覆う大きさのベースプレート27を用い、該ベースプレートに内側治具14のキャップ部側半割部14aと係止部材17,17を固定するようにしている。なお、本実施形態では、係止部材17,17は、ベースプレート27に治具19を固定するようにし、該治具を介して間接的にベースプレート27に固定するようにしているが、直接的でも間接的な固定でもどちらでも良く、要は、内側治具14のキャップ部側半割部14aに対する係止部材17,17の相対位置が不変となるような構成であれば、いずれの固定方法でも良い。
本実施形態に係るコンロッドの製造方法によれば、引張荷重を係止部材17,17に付与する等の特別な設備を要せずして、簡単な構成により、ロッド部とキャップ部との良好な破断分割面を得ることができる。
なお、図2に示した実施形態のように係止部材17,17に対して引張荷重を付与する方法においては、楔22で内側治具14のキャップ部側半割部14aを押す荷重よりも、係止部材17に付与する引張荷重の方が大きい場合は、必ずしも、図5に示した実施形態のように、係止部材17,17と内側治具14のキャップ部側半割部14aを連結固定する必要はないことを付記する。
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
11 コンロッド
12 大端部
12a 側部
13 クランクピン孔
14 内側治具
14a キャップ部側半割部
15 ロッド部
16 キャップ部
16a 薄肉部
17 係止部材
18 受け部
19 治具
21 小端部
22 楔
23 ナット
24 受け
25 連通孔
26 コンロッドボルト
27 ベースプレート
12 大端部
12a 側部
13 クランクピン孔
14 内側治具
14a キャップ部側半割部
15 ロッド部
16 キャップ部
16a 薄肉部
17 係止部材
18 受け部
19 治具
21 小端部
22 楔
23 ナット
24 受け
25 連通孔
26 コンロッドボルト
27 ベースプレート
Claims (6)
- コンロッドの大端部のクランクピン孔に内側治具を嵌入し、該内側治具により前記大端部に前記コンロッドの長手方向に荷重を付与して、該大端部をロッド部とキャップ部に破断分割し、その後、該ロッド部と該キャップ部を合わせてコンロッドを構成するようにしたコンロッド製造方法において、
前記大端部のキャップ部側の両側部に係止部材を取付け、破断分割するに際して、該係止部材を介して前記大端部のキャップ部側の両側部に、前記ロッド部から前記キャップ部を離す方向の引張荷重を付与するようにしたことを特徴とするコンロッドの製造方法。 - 前記大端部の両側部に連通穴を形成し、該連通穴のうち前記キャップ部側部分に前記係止部材を係止させる受け部を形成するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のコンロッドの製造方法。
- 前記受け部の径は、前記連通穴のうち前記ロッド部側部分の径と同等又は同等以上であることを特徴とする請求項2に記載のコンロッドの製造方法。
- 前記係止部材はネジまたはボルトであり、前記受け部は雌ネジであることを特徴とする請求項2に記載のコンロッドの製造方法。
- 前記大端部の両側部に取付けた左右の前記係止部材に治具を取付けて、該治具を介して左右の前記係止部材に引張荷重を均等に付加するようにしたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のコンロッドの製造方法。
- コンロッドの大端部のクランクピン孔に内側治具を嵌入し、該内側治具により前記大端部に前記コンロッドの長手方向に荷重を付与して、該大端部をロッド部とキャップ部に破断分割し、その後、該ロッド部と該キャップ部を合わせてコンロッドを構成するようにしたコンロッド製造方法において、
前記大端部のキャップ部側の両側部に係止部材を取付け、該係止部材を内側治具のキャップ部側半割部に固定し、破断分割するに際して、前記係止部材の内側治具に対する相対位置を不変となるようにしたことを特徴とするコンロッドの製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014226150A JP2016089977A (ja) | 2014-11-06 | 2014-11-06 | コンロッドの製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN110107588A (zh) * | 2018-02-01 | 2019-08-09 | 丰田自动车株式会社 | 用于连杆的制造方法 |
-
2014
- 2014-11-06 JP JP2014226150A patent/JP2016089977A/ja active Pending
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CN110107588A (zh) * | 2018-02-01 | 2019-08-09 | 丰田自动车株式会社 | 用于连杆的制造方法 |
CN110107588B (zh) * | 2018-02-01 | 2021-07-30 | 丰田自动车株式会社 | 用于连杆的制造方法 |
US11371551B2 (en) | 2018-02-01 | 2022-06-28 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Manufacturing method for connecting rod |
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