JP2016085207A - 電気化学センサ及び電気化学センサの製造方法 - Google Patents

電気化学センサ及び電気化学センサの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016085207A
JP2016085207A JP2015186817A JP2015186817A JP2016085207A JP 2016085207 A JP2016085207 A JP 2016085207A JP 2015186817 A JP2015186817 A JP 2015186817A JP 2015186817 A JP2015186817 A JP 2015186817A JP 2016085207 A JP2016085207 A JP 2016085207A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silver
electrode
silver chloride
electrochemical sensor
conductor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015186817A
Other languages
English (en)
Inventor
陽介 村瀬
Yosuke Murase
陽介 村瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Arkray Inc
Original Assignee
Arkray Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Arkray Inc filed Critical Arkray Inc
Priority to US14/886,798 priority Critical patent/US10473611B2/en
Priority to CN201510684153.7A priority patent/CN105548306A/zh
Priority to EP15190563.5A priority patent/EP3012623A1/en
Publication of JP2016085207A publication Critical patent/JP2016085207A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)

Abstract

【課題】銀塩化銀電極(Ag/AgCl電極)の形成範囲や形成位置に関するマージンが広く、銀塩化銀の溶出が抑えられて銀塩化銀電極の電位が安定する電気化学センサを提供する。
【解決手段】電気化学センサは、基材11と、基材11上に配置された導体23aと、導体23aの一部が露出する状態で導体23aを覆う絶縁層30と、少なくとも導体23aの露出した部分上に形成された銀塩化銀電極23と、銀塩化銀電極23を覆う水分透過性を有する有機層32とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気化学センサと、電気化学センサの製造方法とに関する。
グルコースセンサ等の小型な電気化学センサは、作用電極及び対電極と共に参照電極を備えていることが多い。そして、そのような電気化学センサには、通常、参照電極として、銀塩化銀電極(Ag/AgCl電極)が用いられている。
特許第3104672号公報
電気化学センサの銀塩化銀電極は、例えば、電気化学センサの基材上に設けられた下地電極上に形成されている。近年の電気化学センサの各電極(作用電極、対電極、下地電極)のサイズは極めて小さくなっている。また、電極間の間隔も狭くなっているため、近年の電気化学センサは、短絡が生じないように銀塩化銀電極を形成することが困難となっている。また、電気化学センサで長時間測定する場合には、銀塩化銀の溶出により、参照電極の電位が安定しないことが問題であった。
そこで、本発明の課題は、銀塩化銀電極の形成範囲や形成位置に関するマージンを広げることが出来、かつ、銀塩化銀の溶出を抑え、銀塩化銀電極(参照電極)の電位を安定させる技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の電気化学センサは、基材と、前記基材上に配置された導体と、前記導体の一部が露出する状態で前記導体を覆う絶縁層と、少なくとも前記導体の露出した部分上に形成された銀塩化銀電極と、前記銀塩化銀電極を覆う水分透過性を有する有機層とを備える。
すなわち、本発明の電気化学センサの導体(及び基材)上には、導体の一部が露出する状態で導体を覆う絶縁層が設けられている。従って、本発明の電気化学センサでは、銀塩化銀電極の形成時に銀塩化銀電極が絶縁層からはみ出さない限り、銀塩化銀電極による短絡は生じない。そして、導体の一部が露出する状態で導体を覆う絶縁層は、導体よりも大きいのであるから、本発明の構成を採用しておけば、絶縁層が導体上に設けられていない電気化学センサよりも、銀塩化銀電極の形成範囲や形成位置に関するマージンが広い電気化学センサが得られることになる。さらに、本発明の電気化学センサは、銀塩化銀電極を覆う水分透過性を有する有機層を備えている。そのため、本発明の電気化学センサでは、当該有機層により、銀塩化銀の溶出が抑えられ、参照電極としての銀塩化銀電極の電位が安定することにもなる。
また、本発明の電気化学センサを、前記導体の露出した部分及び前記絶縁層上に形成されている銀塩化銀電極を備えたものとして構成(製造)しておけば、絶縁層が導体上に設けられていない電気化学センサよりも、センサ内の銀塩化銀電極の量が多いが故に長寿命なセンサが得られることになる。
本発明の電気化学センサの絶縁層の形状は、基材上の他電極(作用電極や対電極)を過度に覆わないものでありさえすれば、“導体の露出した部分”の近傍のみを覆う形状であっても良い。ただし、絶縁層のサイズが大きい方が、銀塩化銀電極の形成が容易になるし、より大きな銀塩化銀電極を絶縁層上に形成することが出来る。従って、絶縁層の形状は、絶縁層が他電極を覆わない(又は、他電極を過度に覆わない)という条件下、絶縁層の各部の幅が極力広くなるように定めておくことが好ましい。
本発明の電気化学センサの有機層は、水分透過性を有する有機層であれば良いが、銀イオン及び/又は銀クロライド錯体の外部溶液への拡散溶出を抑制する制限膜であることが
好ましい。また、当該制限膜は、親水性基(水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基等)をもっているポリマー製の膜であっても良い。尚、本発明の電気化学センサに、どの程度の水分透過性を有する有機層を採用するかは、電気化学センサの用途や具体的な構成等に基づき定めることが出来る。
また、上記課題を解決するために、本発明の電気化学センサの製造方法は、基材、前記基材上に配置された導体、及び、前記導体の一部が露出する状態で前記導体を覆う絶縁層を含む構造体を形成する工程と、少なくとも前記導体の露出した部分と接触するように前記構造体上に銀塩化銀電極を形成する工程と、前記銀塩化銀電極を覆う水分透過性を有する有機層を形成する工程とを含む。
すなわち、本発明の電気化学センサの製造方法には、『基材、前記基材上に配置された導体、及び、前記導体の一部が露出する状態で前記導体を覆う絶縁層を含む構造体』上に、少なくとも導体の露出した部分と接触するように銀塩化銀電極を形成する工程が含まれる。そして、当該工程は、銀塩化銀電極が、“構造体”の絶縁層からはみ出さない限り、銀塩化銀電極による短絡は生じないものである。従って、本発明の電気化学センサの製造方法によれば、絶縁層が導体上に設けられていない電気化学センサの製造時よりも銀塩化銀電極の形成範囲や形成位置に関するマージンが広い形で、電気化学センサを製造することができる。また、本発明の電気化学センサの製造方法によれば、絶縁層が導体上に設けられていない電気化学センサの製造時よりもセンサ内の銀塩化銀電極の量が多い電気化学センサを容易に製造できることにもなる。さらに、本発明の電気化学センサの製造方法により製造される電気化学センサは、前記銀塩化銀電極を覆う水分透過性を有する有機層を備えている。そのため、本発明の電気化学センサの製造方法により製造される電気化学センサでは、当該有機層により、銀塩化銀の溶出が抑えられ、参照電極としての銀塩化銀電極の電位が安定することにもなる。
本発明の電気化学センサの製造方法における“銀塩化銀電極を形成する工程”は、どのような内容/手順のものであっても良い。ただし、当該工程として、銀塩化銀インクを前記構造体上に塗布する工程を含むものを採用しておけば、他の工程(例えば、マスク層の形成、真空蒸着等からなる工程)を採用した場合よりも、簡単に銀塩化銀電極を形成することが出来る。
また、本発明の電気化学センサの銀塩化銀電極は、絶縁層により覆われた導体の露出した部分と接するように形成され、有機層にて覆われている構成を有する。従って、本発明の電気化学センサの銀塩化銀電極は、形成範囲や形成位置に関するマージンが広い電極となっていることになる。
本発明によれば、銀塩化銀電極の形成範囲や形成位置に関するマージンを広げることが出来、かつ、銀塩化銀の溶出を抑え、銀塩化銀電極の電位を安定させる技術を提供することが出来る。
図1は、実施形態に係る電気化学センサの、銀塩化銀電極が設けられている部分の、基板の短手方向に平行な断面図である。 図2は、実施形態に係る電気化学センサの製造過程で形成されるセンサ用構造体の平面図である。 図3は、実施例1、2及び比較例1に係る電気化学センサの銀塩化銀電極の電位推移の記録結果を示したグラフである。 図4は、絶縁層が設けられていない場合に生ずる現象の説明図である。
以下、本発明の一実施形態に係る電気化学センサの構成を、製造手順と共に説明する。尚、以下で本発明の一実施形態として説明する電気化学センサは、血中または皮下の間質液中のブドウ糖(グルコース)の濃度を持続的に測定するために、人体の腹部や肩等の皮膚下にその先端側が挿入されるセンサである。ただし、本発明に係る参照電極(銀塩化銀電極)関連の構造は、銀塩化銀電極を備えた電気化学センサであれば、その用途によらず、適用できるものである。
図1に、実施形態に係る電気化学センサの、銀塩化銀電極23が設けられている部分の、基材11の短手方向に平行な断面図を示し、図2に、実施形態に係る電気化学センサの製造過程で形成されるセンサ用構造体の平面図を示す。
本実施形態に係る電気化学センサ(図1参照)は、図2に示したセンサ用構造体の下地電極23c及び絶縁層30上に、銀塩化銀電極23を形成してから、少なくとも銀塩化銀電極23を覆う有機層32を形成することにより製造されるものである。
まず、センサ用構造体(図2)について説明する。図示してあるように、センサ用構造体は、細長い基材11と、基材11の一方の端部上に形成された対電極21、作用電極22及び下地電極23cとを備える。また、センサ用構造体は、作用電極22上に形成された酵素試薬層24、及び、基材11の他方の端部上に形成されたコンタクトパッド26a〜26cを備える。さらに、センサ用構造体は、基材11上に形成された、コンタクトパッド26aと対電極21との間を接続する配線25a、コンタクトパッド26bと作用電極22との間を電気的に接続する配線25b及びコンタクトパッド26cと下地電極23cとの間を電気的に接続する配線25cを備える。
センサ用構造体の各コンタクトパッド26x(x=a〜c)は、製造完了後の電気化学センサの使用時に、電気化学センサ用の測定装置に設けられている対応する端子と接続される端子である。尚、電気化学センサの使用時には、通常、コンタクトパッド26a、26c間の電位が制御されて、コンタクトパッド26a、26b間を流れる電流量が検出される。
下地電極23cは、銀塩化銀電極23(図1)の下地電極として基材11上に形成されている導体である。図1及び図2に示してあるように、センサ用構造体(電気化学センサ)の下地電極23c上には、下地電極23cの一部が露出する状態で下地電極23cを覆う絶縁層30が設けられている。
この絶縁層30は、下地電極23cよりも大きなもの(下地電極23cの一部が露出する状態で下地電極23cを覆えるもの)でありさえすれば良い。従って、絶縁層30は、下地電極23cよりも僅かに大きなものであっても良いのであるが、既に説明したように、本実施形態に係る電気化学センサは、下地電極23c及び絶縁層30上に銀塩化銀電極
23(図1)が形成されるものである。そして、絶縁層30のサイズが大きい方が、銀塩化銀電極23の形成が容易になるし、より大きな銀塩化銀電極23を絶縁層30上に形成できる。従って、絶縁層30のサイズは大きい方が良いのであるが、絶縁層30によって下地電極23cの隣接電極(図2では、作用電極22)を覆われることは好ましいではない。
そのため、絶縁層30の形状は、絶縁層30が下地電極23cの隣接電極を覆わない(又は、隣接電極を過度に覆わない)という条件下、絶縁層30の各部の幅が極力広くなるように定めておくことが好ましい。尚、絶縁層30の各部の幅とは、絶縁層30の開口部(そこから下地電極23cが露出する部分)と絶縁層30の外縁との間の距離(間隔)のことである。
センサ用構造体の基材11の構成材料としては、適当な絶縁性及び可撓性を有する、人体への害がない材料、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)のような熱可塑性樹脂を用いることができる。基材11の構成材料として、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂を用いることもできる。
また、絶縁層30の構成材料としては、絶縁性を有する薄膜を容易に製造できる材料、例えば、パレリン(日本パリレン合同会社の登録商標)を用いることが出来る。
基材11上の、対電極21と配線25aとコンタクトパッド26aとからなる部分は、金属(例えばAu(金))等の導電性材料で形成された導電性パターン自体であっても、そのような導電性パターン上の一部に他の導電性材料層を形成したものであっても良い。基材11上の、作用電極22と配線25bとコンタクトパッド26bとからなる部分、下地電極23cと配線25cとコンタクトパッド26cとからなる部分も、上記のような導電性パターン自体であっても、上記のような導電性パターン上の一部に他の導電性材層を形成したものであっても良い。
作用電極22上の酵素試薬層24は、グルコース酸化還元酵素を固定した層である。グルコース酸化還元酵素としては、GOD(グルコースオキシダーゼ)、GDH(グルコースデヒドロゲナーゼ)を用いることができる。また、グルコース酸化還元酵素の固定法としては、公知の手法を用いることができる。具体的には、グルコース酸化還元酵素の固定法としては、重合可能なジェル、ポリアクリルアミド、またはリンのようなポリマーを用いた方法、シランカップリング剤によりリン脂質ポリマーを結合させたMPCポリマーを用いた方法、またはたん白皮膜による方法を用いることができる。
次に、銀塩化銀電極23及び有機層32について説明する。
銀塩化銀電極23は、参照電極として、少なくとも下地電極23cの露出した部分上に形成される銀塩化銀(銀と塩化銀の混合物)である。この銀塩化銀電極23の形成プロセスは、どのようなプロセスであっても良い。例えば、銀塩化銀インクをセンサ用構造体上にスクリーン印刷法により塗布することによって、銀塩化銀電極23を形成しても良い。
また、銀塩化銀電極23のサイズは、下地電極23cと同程度のサイズであっても良い。ただし、本実施形態に係る電気化学センサでは、銀塩化銀電極23が絶縁層30からはみ出さない限り短絡は生じない。そして、電気化学センサ内の銀塩化銀電極23の量が多い方が、電気化学センサの寿命は長くなる。そのため、銀塩化銀電極23のサイズは、下地電極23cよりも大きなサイズとしておくことが好ましい。尚、銀塩化銀電極23のサイズの上限は、銀塩化銀電極23の形成プロセスの位置精度と絶縁層30のサイズとから
求めることが出来る。
有機層32は、水分透過性を有する有機層であれば良いが、銀イオン及び/又は銀クロ
ライド錯体の外部溶液への拡散溶出を抑制する制限膜であることが好ましい。また、有機層32は、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基等の親水性基を有するポリマー製の膜であっても、親水性基を有さないポリマー製の、ポーラスな膜であっても良い。尚、有機層32として、どの程度の水分透過性を有する有機層を採用するかは、電気化学センサの用途や具体的な構成等に基づき定めることが出来る。
また、有機層32は、銀塩化銀電極23とその周辺部分のみを覆うものであっても、電気化学センサの先端側を全て覆うもの(図1参照)であっても良い。尚、図1には、有機層32上に他の層が存在していない電気化学センサを示してあるが、有機層32が、その上に他層が存在していない層である必要はないので、有機層32上に、他の層、例えば、基質(グルコース)の透過を制限するための外層膜が設けられていても良い。
以下、実施例1〜3及び比較例1に基づき、本実施形態に係る電気化学センサの機能についてさらに詳細に説明する。尚、以下で説明する実施例1〜3及び比較例1に係る電気化学センサは、主として、有機層32の機能評価のために製造したものである。各実施例に係る電気化学センサは、銀塩化銀電極23とその周辺部分のみが有機層32で覆われたものとなっており、実施例2、3に係る電気化学センサは、有機層32および作用電極と対電極を、基質の透過を制限するための外層膜で覆ったものとなっている。
《実施例1》
まず、基材11としてのポリエーテルイミド基材上にAu(金)をスパッタ法により形成した。次いで、基材11上のAu膜をレーザートリミングすることにより基材11上に下地電極23c、配線25c及びコンタクトパッド26c等を形成した。その後、下地電極23c等を形成した基材11上をパリレン(日本パリレン合同会社の登録商標)で被覆した。次いで、フォトレジスト貼付後のドライエッチングによりパリレンをパターニングし、下地電極23cが0.04mm2露出する形状の絶縁層30を形成した。
その後、下地電極23cの上記0.04mm2の領域を包含する0.06mm2の領域に、銀塩化銀インク(Gwent Electronic Materials C2121101D1(開発品))をスクリーン印
刷法で塗布することにより、下地電極23c及び絶縁層30上に銀塩化銀電極23が形成されたセンサを得た。そして、当該センサの銀塩化銀電極23上に、プロトン交換樹脂であるNafion(デュポン社の登録商標)をシリンジで塗布することによって、有機層32としてNafion層を備えた実施例1に係る電気化学センサを得た。
《実施例2》
実施例2に係る電気化学センサは、上記したものと同じ手順で銀塩化銀電極23の形成までを行ったセンサに対して、以下の処理(工程)を行うことにより製造したものである。
まず、銀塩化銀電極23上に、水分散ポリエステル/架橋剤混合液をシリンジで40n
L(ナノリットル)塗布した。使用した水分散ポリエステル/架橋剤混合液は、Vilonal MD-1200の終濃度が1.67%、Epocros WS-700の終濃度が3.33%のVilonal及びEpocrosの水溶液である。
次いで、水分散ポリエステル/架橋剤混合液の架橋工程として、当該混合液を塗布した
センサを、60℃で60時間処理した後に100℃で2時間処理する工程を行った。そして、架橋工程を経たセンサに、基質(グルコース)の透過制限のための外層膜を形成する
ために、3.5%酢酸セルロース液をディップコートしてからセンサを100℃で30分間乾燥させた。尚、ディップコート時の引き上げ速度は、0.8mm/secである。
実施例2に係る電気化学センサは、上記のような一連のプロセスにより、有機層32と基質の透過制限のための外層膜とを設けたセンサである。
《実施例3》
実施例3に係る電気化学センサは、上記したものと同じ手順で銀塩化銀電極23の形成までを行ったセンサに対して、以下の処理を行うことにより製造したものである。
まず、25℃、湿度40%の環境下で、銀塩化銀電極23上に、ポリアクリル酸-カル
ボジライト試薬液をシリンジで80nL塗布した。使用した試薬液は、カルボジライト、アンモニア、ポリアクリル酸の終濃度がそれぞれ1.60%、4.0M、5.0%となるように、蒸留水、40%カルボジライト水溶液、25%アンモニア水溶液、20%ポリアクリル酸水溶液を混合したものである。尚、40%カルボジライト水溶液としては、日清紡ケミカル社製のSV−02を用い、ポリアクリル酸としては、和光社製のポリアクリル酸(和光1級)を用いた。また、試薬液の調製は、蒸留水に、40%カルボジライト水溶液、25%アンモニア水溶液、20%ポリアクリル酸水溶液をこの順に混合することにより行った。
そして、ポリアクリル酸-カルボジライト試薬液を塗布した銀塩化銀電極23を、上記
環境下でおよそ15分間、静置してから、低湿度ドライボックス内で24時間乾燥させた。次いで、100℃24時間の熱処理(架橋工程)を行った。その後、基質(グルコース)の透過制限のための外層膜を形成するために、熱処理後のセンサに、3.5%酢酸セルロース液をディップコートしてから、センサを100℃で30分間乾燥させた。
《比較例1》
比較例1に係る電気化学センサは、実施例1、2に係る電気化学センサと同じ手順で銀塩化銀電極23の形成までを行ったセンサ(有機層32を設けていないセンサ)である。
《各実施例/比較例に係る電気化学センサの評価方法及び評価結果》
上記のようにして製造した各実施例/比較例に係る電気化学センサの銀塩化銀電極23の電位の安定性と銀の溶出速度とを評価した。
・銀塩化銀電極23の電位の安定性の評価法及び評価結果
上記手順で製造した各実施例/比較例の電気化学センサを、37℃のPBS(Phosphate
Buffered Saline)溶液中に浸漬し、各センサの銀塩化銀電極23の電位推移を、ビー・
エー・エス社製銀塩化銀電極(内部液3M NaCl)を基準に記録した。尚、使用したPBS溶液は、NaCl、KCl、Na2HPO4、KH2PO4の濃度が、それぞれ、137mM、1.76mM、10mM、2.7mMのものである。
図3に、各電気化学センサの銀塩化銀電極23の電位推移の記録結果を示す。尚、実施例3の電気化学センサの電位推移の記録結果は、実施例1の電気化学センサの電位推移の記録結果と同じ傾向を示した。そのため、グラフ(図3)が煩雑なものとなるのを避けるために、図3には、実施例3の電気化学センサの電位推移の記録結果の図示を省略してある。
この図3から明らかなように、有機層32が設けられていない比較例1の電気化学センサでは、測定(記録)開始直後から電位のドリフトが観察された。一方、有機層32が設けられている実施例1、2(及び3)の電気化学センサでは、電位のドリフトは、殆ど観
察されておらず、上記のような手順で形成された有機層32が、電気化学センサの参照電極(銀塩化銀電極23)の電位の安定化に有効であることが確認できた。
・銀の溶出速度の評価法及び評価結果
各実施例/比較例のセンサを、37℃の10mL(ミリリットル)のPBS溶液に浸漬し、24時間放置した。その後、PBS溶液中のAg濃度を、ICP−AES(Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy)で定量した。
以下に、PBS溶液中のAg濃度の定量結果を示す。
比較例1:0.568mg/L
実施例1:0.201mg/L
実施例2:0.130mg/L
実施例3:0.258mg/L
このように、上記のような手順で形成される有機層32で銀塩化銀電極23を覆うことにより、銀塩化銀電極23からの銀の溶出速度を1/2以下に低減できることが確認できた。
以上、説明したように、本実施形態に係る電気化学センサの下地電極23c及び基材11上には、下地電極23cの一部が露出する状態で下地電極23cを覆う絶縁層30が設けられている。そのため、本実施形態に係る電気化学センサでは、銀塩化銀電極23の形成時に銀塩化銀電極23が絶縁層30からはみ出さない限り、銀塩化銀電極23による短絡は生じない。
一方、絶縁層30が設けられていない場合、図4に模式的に示したように、プロセス誤差により、銀塩化銀電極23の形成位置が下地電極23c・配線25a間の間隔と同程度ずれただけで、銀塩化銀電極23により下地電極23c・配線25a間が短絡してしまうことになる。
そして、上記したように、本実施形態に係る電気化学センサでは、銀塩化銀電極23が絶縁層30からはみ出さない限り、銀塩化銀電極23による短絡は生じない。従って、本実施形態に係る電気化学センサの構成を採用しておけば、絶縁層30を備えない電気化学センサよりも、銀塩化銀電極23の形成位置等に関するマージンが広いセンサを実現できることになる。また、図1と図4とを比較すれば明らかなように、本実施形態に係る電気化学センサの構成を採用しておけば、絶縁層30を設けていない電気化学センサよりも、センサ内の銀塩化銀電極23の量が多い電気化学センサを実現できることにもなる。
さらに、本実施形態に係る電気化学センサの銀塩化銀電極23上には、水分透過性を有する有機層32が設けられている。そのため、本実施形態に係る電気化学センサでは、有機層32により銀塩化銀の溶出が抑えられて、銀塩化銀電極23(参照電極)の電位が安定する(図3参照)ことになる。
《変形形態》
上記した実施形態に係る電気化学センサは、各種の変形が可能なものである。例えば、センサ用構造体(電気化学センサ)の基材11の形状、基材11上の各部の形状及び位置関係は、図2に示した通りのものでなくても良い。ただし、下地電極23cと他電極(対電極21及び/又は作用電極22)とが基材11の短手方向に並んだ構成を採用した場合には、絶縁層30の、基材11の短手方向のサイズが、基材11上の他電極の存在により制限されることになる。従って、下地電極23cと他電極とが基材11の短手方向に並んだ電気化学センサと、各電極が基材11上に基材11の長手方向に沿って並んだ電気化学
センサ(図2参照)とを同じ基材11を用いて製造した場合、前者の電気化学センサは、後者の電気化学センサよりも、絶縁層30のサイズが小さいものとならざるを得ない。
一方、各電極が基材11の長手方向に並んでいれば(図2)、下地電極23cの位置がどこであっても、基材11の両長辺に至るサイズの絶縁層30を形成することができる。従って、センサ用構造体(電気化学センサ)には、電極の順番は上記したものとは同じでなくても良いが、各電極が基材11上に基材11の長手方向に沿って並んだ構成を採用しておくことが好ましい。
また、上記した実施形態に係る電気化学センサは、対電極21、作用電極22、参照電極としての銀塩化銀電極23を備えたものであったが、対電極21を省略して、銀塩化銀電極23を参照電極及び対電極21として利用しても良い。
さらに、各部の構成材料として、上記した材料以外の材料を用いても良い。例えば、有機層32は、水分透過性を有する膜であれば良い。従って、有機層32の構成材料として、上記したものとは異なる材料(例えば、ポリウレタン、ポリアミド等)を用いても良い。また、上記した技術に基づき、ブドウ糖の濃度測定用のものではない電気化学センサを製造しても良いことなどは、当然のことである。
11 基材
21 対電極
22 作用電極
23 銀塩化銀電極
23c 下地電極
24 酵素試薬層
25a、25b、25c 配線
26a、26b、26c コンタクトパッド
30 絶縁層
32 有機層

Claims (7)

  1. 基材と、
    前記基材上に配置された導体と、
    前記導体の一部が露出する状態で前記導体を覆う絶縁層と、
    少なくとも前記導体の露出した部分上に形成された銀塩化銀電極と、
    前記銀塩化銀電極を覆う水分透過性を有する有機層と、
    を備えることを特徴とする電気化学センサ。
  2. 前記銀塩化銀電極が、前記導体の露出した部分及び前記絶縁層上に形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学センサ。
  3. 前記有機層が、銀塩化銀からの溶出成分の透過を制限する制限膜である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気化学センサ。
  4. 前記制限膜が、親水性基をもっているポリマー製の膜である
    ことを特徴とする請求項3に記載の電気化学センサ。
  5. 基材、前記基材上に配置された導体、及び、前記導体の一部が露出する状態で前記導体を覆う絶縁層を含む構造体を形成する工程と、
    少なくとも前記導体の露出した部分と接触するように前記構造体上に銀塩化銀電極を形成する工程と、
    前記銀塩化銀電極を覆う水分透過性を有する有機層を形成する工程と
    を含むことを特長とする電気化学センサの製造方法。
  6. 銀塩化銀電極を形成する前記工程が、銀塩化銀インクを前記構造体上に塗布する工程を含む
    ことを特徴とする請求項5に記載の電気化学センサの製造方法。
  7. 絶縁層により覆われた導体の露出した部分と接するように形成され、有機層にて覆われている
    ことを特徴とする電気化学センサの銀塩化銀電極。
JP2015186817A 2014-10-22 2015-09-24 電気化学センサ及び電気化学センサの製造方法 Pending JP2016085207A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US14/886,798 US10473611B2 (en) 2014-10-22 2015-10-19 Electrochemical sensor and method for producing electrochemical sensor
CN201510684153.7A CN105548306A (zh) 2014-10-22 2015-10-20 电化学传感器、制造电化学传感器的方法和银/氯化银电极
EP15190563.5A EP3012623A1 (en) 2014-10-22 2015-10-20 Electrochemical sensor and method for producing electrochemical sensor

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014215410 2014-10-22
JP2014215410 2014-10-22

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016085207A true JP2016085207A (ja) 2016-05-19

Family

ID=55972038

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015186817A Pending JP2016085207A (ja) 2014-10-22 2015-09-24 電気化学センサ及び電気化学センサの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016085207A (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07198670A (ja) * 1993-11-18 1995-08-01 E I Du Pont De Nemours & Co ナトリウム選択電極用のモネンシンアミド
JPH09292361A (ja) * 1996-04-26 1997-11-11 Nec Corp 参照電極の製造方法
JPH11281609A (ja) * 1998-03-31 1999-10-15 Nec Corp 電流検出型センサ素子およびその製造方法
JP2006508349A (ja) * 2002-12-02 2006-03-09 エポカル インコーポレイティド 不均一膜を有する電位差計参照電極
JP2013238398A (ja) * 2012-05-11 2013-11-28 Funai Electric Advanced Applied Technology Research Institute Inc 酵素センサ及び当該酵素センサの製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07198670A (ja) * 1993-11-18 1995-08-01 E I Du Pont De Nemours & Co ナトリウム選択電極用のモネンシンアミド
JPH09292361A (ja) * 1996-04-26 1997-11-11 Nec Corp 参照電極の製造方法
JPH11281609A (ja) * 1998-03-31 1999-10-15 Nec Corp 電流検出型センサ素子およびその製造方法
JP2006508349A (ja) * 2002-12-02 2006-03-09 エポカル インコーポレイティド 不均一膜を有する電位差計参照電極
JP2013238398A (ja) * 2012-05-11 2013-11-28 Funai Electric Advanced Applied Technology Research Institute Inc 酵素センサ及び当該酵素センサの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
ES2694385T3 (es) Sistema y procedimiento para hacer funcionar un sensor de analitos electroquímico
US11896792B2 (en) On-body microsensor for biomonitoring
US10314527B2 (en) Sensors for analyte detection and methods of manufacture thereof
US8065796B2 (en) Method and apparatus for using flex circuit technology to create an electrode
US10473611B2 (en) Electrochemical sensor and method for producing electrochemical sensor
JP2012517597A (ja) 分析物センサ及び製作方法
TWI593962B (zh) Biosensor and method of making the same
US20150276651A1 (en) Analyte sensor and fabrication methods
CN1245290A (zh) 电极探针及使用该电极探针的体液检查装置
JPS6020700B2 (ja) 電極の対を支持するフレ−ム
JP7201890B2 (ja) 被検物質センサー
JPH06504624A (ja) 流体中の物質濃度測定のためのミニチュア化されたセンサー素子とその製造方法並びにイオン選択電極
US20180271413A1 (en) Method and device for detection of bioavailable drug concentration in a fluid sample
JP2012507371A (ja) 非作用電極層を伴った分析物センサー
JPS6114562A (ja) pH測定装置
JPS61181441A (ja) 電極構造体
JP2006275819A (ja) バイオセンサ
JP2016085207A (ja) 電気化学センサ及び電気化学センサの製造方法
JP6571573B2 (ja) 電気化学センサ及び電気化学センサの製造方法
US20230091983A1 (en) Sensor and method for manufacturing same
TWM493052U (zh) 用於檢測根莖類植物之葡萄糖感測器
WO2018222820A1 (en) Method and device for detection of bioavailable drug concentration in a fluid sample
Rahimi et al. A low-cost, flexible electrochemical sensor for monitoring silver ion concentration in alginate wound dressings
TW202321686A (zh) 具有變化的剛性之感測器
JP2013185993A (ja) 濃度測定センサ及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180403

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190305

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20190903